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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/28 20060101AFI20220405BHJP
   B60R 22/38 20060101ALI20220405BHJP
   B60R 22/40 20060101ALI20220405BHJP
   B60R 22/405 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B60R22/28 107
B60R22/38
B60R22/40
B60R22/405
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2019524417
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2017078832
(87)【国際公開番号】W WO2018087266
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】102016121609.7
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504122767
【氏名又は名称】ティーアールダブリュー・オートモーティブ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】リンク,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ドイバー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ランドベック,アドリアン
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506853(JP,A)
【文献】特開2015-205684(JP,A)
【文献】特開2012-111489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00-22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のシートベルトのためのベルトリトラクタ(10)において、前記ベルトリトラクタ(10)が、巻き戻し方向(16)および前記巻き戻し方向(16)と反対方向である巻き方向(18)に回転可能となるようにフレーム(12)内に設置され、さらにはトーションロッド(28)のベルトリール側端部(30)に回転不可能に接続されるベルトリール(14)を有し、前記トーションロッド(28)が前記ベルトリール(14)と実質的に同軸となるように配置され、
前記トーションロッド(28)が前記ベルトリール側端部(30)の反対側にあるロッキング機構側端部(26)を介してロッキング機構(20)に動作可能に接続され、前記ロッキング機構(20)が車両感応方式および/またはウェビング感応方式でセットアップされるロック状態にある場合、前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)が前記巻き戻し方向(16)において回転不可能となるように前記フレーム(12)に固定され、
前記ロック状態において、前記トーションロッド(28)がねじり力を受け、前記ベルトリール側端部(30)が前記ロッキング機構側端部(26)を基準として前記巻き戻し方向(16)に回転可能であり、
前記ベルトリール(14)が、停止機構(22)が停止状態にあるときに、前記巻き戻し方向(16)において回転不可能となるように前記フレーム(12)に固定され、
前記ロッキング機構(20)が前記ロック状態にあるときに、前記ロッキング機構側端部(26)を基準とした所定の回転数により前記ベルトリール側端部(30)が捻じられるときに前記停止状態がセットアップされ、
前記停止機構(22)が前記ベルトリール(14)上に設置される爪(38)を有する、
ベルトリトラクタ(10)であって、
前記停止機構(22)の解放状態において、前記爪(38)が、前記ベルトリール(14)を前記巻き戻し方向(16)において回転不可能となるように前記フレーム(12)に結合するためのクラッチ(32)の作動ディスク(34)の歯部(36)の中に係合されないようにロックピン(40)によって保持され、
前記ロックピン(40)が前記ベルトリール(14)内で変位可能となるように設置され、
前記解放状態において、前記ロックピン(40)が前記爪(38)の保持開口部(42)内に配置され、前記停止状態において前記ロックピン(40)が前記保持開口部(42)の外側に配置され、
前記ロッキング機構側端部(26)を基準として所定の回転数により前記ベルトリール側端部(30)が捻じられるときに前記保持開口部(42)から前記ロックピン(40)を取り外すことを目的としてセットアップされるカウンティング機構(33)が設けられる、
ことを特徴とする
ベルトリトラクタ(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ベルトリール(14)が、前記停止状態において前記ロッキング機構(20)とは反対の前記フレーム(12)の側で固定される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記停止状態において、前記爪(38)が前記クラッチ(32)の前記作動ディスク(34)の歯部(36)の中に係合され、前記クラッチ(32)が前記ベルトリール(14)を前記フレーム(12)に結合し、それにより前記巻き戻し方向(16)において回転不可能となり、具体的には前記爪(38)が前記歯部(36)の方向においてばね付勢される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項4】
請求項3に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記作動ディスク(34)が第1の作動ディスク(34a)であり、前記停止状態において前記第1の作動ディスクが前記クラッチ(32)の第2の作動ディスク(34b)を基準として所定の第1の回転角だけ回転させられ、前記停止状態において、前記第1の作動ディスク(34a)および前記第2の作動ディスク(34b)が前記クラッチ(32)の作動方向において回転可能に結合される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項5】
請求項4に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記停止機構(22)が解放状態にあるとき、前記第1の作動ディスク(34a)および第2の作動ディスク(34b)が、前記クラッチ(32)の前記作動方向において互いを基準として前記所定の第1の回転角だけ回転可能である、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項6】
請求項4または5に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記第1の作動ディスク(34a)と前記第2の作動ディスク(34b)との間に前記クラッチ(32)の第3の作動ディスク(34c)が挿置され、前記停止状態において前記第3の作動ディスク(34c)が前記第1の作動ディスク(34a)を基準として所定の第2の回転角だけ回転させられ、前記停止状態において前記第3の作動ディスクが前記クラッチ(32)の作動方向において前記第1の作動ディスク(34a)に回転可能に結合され、前記停止状態において前記第2の作動ディスク(34b)が前記第3の作動ディスク(34c)を基準として所定の第3の回転角だけ回転させられ、前記停止状態において前記第2の作動ディスクが前記クラッチ(32)の作動方向において前記第3の作動ディスク(34c)に回転可能に結合される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項7】
請求項6に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記第3の作動ディスク(34c)および前記第1の作動ディスク(34a)が、前記停止機構(22)の解放状態において、前記クラッチ(32)の前記作動方向において互いを基準として前記所定の第2の回転角だけ回転可能となり、前記第3の作動ディスク(34c)および前記第2の作動ディスク(34b)が、前記停止機構(22)の解放状態において、前記クラッチ(32)の前記作動方向において互いを基準として前記所定の第3の回転角だけ回転可能となる、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記カウンティング機構(33)が、スレッド(50)と、前記トーションロッド(28)と実質的に同軸となるように配置される巻きディスク(52)とを有し、前記スレッド(50)が一方の端部のところで前記ロックピン(40)に接続されて別の端部のところで前記巻きディスク(52)に接続される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項9】
請求項8に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記巻きディスク(52)が前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)に回転不可能に結合され、具体的には前記巻きディスク(52)が前記ロッキング機構(20)のロックディスク上に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項10】
請求項8または9に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記スレッド(50)が、前記解放状態において前記ロックピン(40)と前記巻きディスク(52)との間に配置される予備分のスレッド(53)を有する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項11】
請求項10に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記予備分のスレッド(53)が前記停止状態において前記巻きディスク(52)上に巻かれ、前記スレッドの自由長さのサイズが、前記保持開口部(42)から前記ロックピン(40)を取り外すような、サイズである、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項12】
請求項10または11に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記予備分のスレッド(53)の長さが所定の回転数に適合する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項13】
請求項8から12までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記スレッド(50)が前記ベルトリール(14)に回転不可能に接続されるハウジング(54)内に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項14】
請求項7に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記カウンティング機構(33)が、前記ロックピン(40)上に配置されるラッチング延長部分(56)と、ラッチング要素(60)と、前記トーションロッド(28)に実質的に同軸に配置される作動ディスク(64)とを有し、前記ラッチング要素(60)が、前記ラッチング延長部分(56)と前記作動ディスク(64)との間で機能的となるように構成される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項15】
請求項14に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記作動ディスク(64)が前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)に回転不可能に結合され、具体的には前記作動ディスク(64)が前記ロッキング機構(20)のロックディスク上に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項16】
請求項14または15に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ラッチング要素(60)が、ラッチング延長部分側端部を介して、前記ラッチング延長部分(56)上に構成されるラッチング歯部(58)の中に係合され、具体的には前記ラッチング延長部分側端部(62)が弾性ラッチングアームとして具体化される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項17】
請求項16に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ラッチング歯部(58)が、前記ラッチング延長部分(56)の連動中にのみ前記ラッチング延長部分(56)を基準として前記ロックピン(40)の抜き取り方向(70)において、さらには前記ラッチング歯部(58)の一部分の上を移動させることにより前記抜き取り方向(70)とは反対の方向において、前記ラッチング要素(60)を変位可能にするように、設計される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項18】
請求項17に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記停止状態において、前記ラッチング延長部分(56)が、前記保持開口部(42)から前記ロックピン(40)を取り外すまで前記抜き取り方向(70)に変位させられる、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項19】
請求項17または18に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記解放状態において、前記ラッチング延長部分(56)が変位させられないか、または前記ロックピン(40)を前記保持開口部(42)の中に配置することになる範囲での最大の程度までは前記抜き取り方向(70)に変位させられる、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項20】
請求項14から19までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ラッチング要素(60)が作動ディスク側端部(66)を介して前記作動ディスク(64)の作動用形状部分(67)に当接され、具体的には前記ラッチング要素(60)が前記作動ディスク(64)の方向にばね付勢される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項21】
求項17から19までのいずれか一項を引用先に含む請求項20に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記作動用形状部分(67)が、前記作動用形状部分(67)により前記ラッチング延長部分(56)を基準として前記ラッチング要素(60)を変位可能とするように、具体化される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項22】
請求項21に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記作動用形状部分(67)が所定の回転数に適合する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項23】
請求項14から22までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ラッチング延長部分(56)および前記ラッチング要素(60)が、前記ベルトリール(14)を基準として移動不可能であるハウジング(69)内に配置され、具体的には前記ラッチング延長部分(56)および前記ラッチング要素(60)が実質的に平行に延在する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項24】
請求項1から7までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記カウンティング機構(33)が、前記爪(38)から離れた前記ロックピン(40)の端部上に配置されるロックピン延長部分(72)と、接触面(74)と、切り離し用ディスク(76)とを有し、前記ロックピン延長部分(72)が前記接触面(74)に当接される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項25】
請求項24に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記接触面(74)および前記切り離し用ディスク(76)が前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)に回転不可能に結合され得、具体的には前記接触面(74)および前記切り離し用ディスク(76)が前記ロッキング機構(20)のロックディスク上に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項26】
請求項24または25に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記切り離し用ディスク(76)が前記ロックピン延長部分(72)の延在方向において前記接触面(74)から一定の離間距離のところにある、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項27】
請求項24から25までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ロックピン延長部分(72)が前記接触面(74)の方向にばね付勢される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項28】
請求項24から27までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記切り離し用ディスク(76)が、前記切り離し用ディスク(76)を基準として前記ロックピン(40)が移動させられるときに前記ロックピン延長部分(72)からセグメント(77)を分離することを目的として具体化される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項29】
請求項28に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記セグメント(77)がノッチ(78)により前記ロックピン延長部分(72)内に画定され、前記分離が好適には前記ノッチ(78)の領域内で実施される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項30】
請求項28または29に記載のベルトリトラクタ(10)において、1つまたは複数のセグメント(77)が停止状態で分離され、その結果、前記ロックピン(40)が前記保持開口部(42)から取り外される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項31】
請求項28から30までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記解放状態ではセグメント(77)が分離されないかまたは非常に少ないセグメント(77)しか分離されず、その結果、前記ロックピン(40)が前記保持開口部(42)内に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項32】
請求項1から7までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記カウンティング機構(33)が、前記トーションロッド(28)と実質的に同軸となるように配置されて前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)に回転不可能に接続されるトリガーディスク(80)を有し、前記トリガーディスク(80)が保持面(82)を備え、前記保持面(82)が前記トーションロッド(28)の周りを実質的に延在し、前記停止機構(22)の前記解放状態において、前記爪(38)から離れた前記ロックピン(40)の端部が前記保持面(82)に当接され、前記トリガーディスク(80)が前記保持面(82)を中断する窪み(84)を有し、前記窪み(84)の中に、前記爪(38)から離れた前記ロックピン(40)の前記端部が前記停止状態において係合される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項33】
請求項32に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記保持面(82)が、実質的に、290°から310°の間で、また具体的には298°から302°の間で、前記トーションロッド(28)の周りを延在し、および/または前記窪み(84)が、実質的に、50°から70°の間で、また具体的には58°から62°の間で、前記トーションロッド(28)の周りを延在する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項34】
請求項32または33に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ロックピン(40)が前記トリガーディスク(80)の方向においてプレストレスを与えられ、具体的にはばね(86)によりプレストレスを与えられる、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【請求項35】
請求項32から34までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ロックピン(40)が前記トーションロッド(28)に実質的に平行に延在し、前記ベルトリール(14)上に設置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のシートベルトのためのベルトリトラクタに関し、このベルトリトラクタが、巻き戻し方向および巻き戻し方向と反対方向である巻き方向に回転可能となるようにフレーム内に設置されさらにはトーションロッドのベルトリール側端部に回転不可能に接続されるベルトリールを有し、トーションロッドがベルトリールと実質的に同軸となるように配置され、ここでは、トーションロッドがベルトリール側端部の反対側にあるロッキング機構側端部を介してロッキング機構に動作可能に接続され、ロッキング機構が車両感応方式および/またはウェビング感応方式でセットアップされるロック状態にある場合、トーションロッドのロッキング機構側端部が巻き戻し方向において回転不可能となるようにフレームに固定され、ここでは、ロック状態において、トーションロッドがねじり力を受け、ベルトリール側端部がロッキング機構側端部を基準として巻き戻し方向に回転可能であり、ここでは、ベルトリールが、停止機構が停止状態にあるときに、巻き戻し方向において回転不可能となるようにフレームに固定され、ここでは、ロッキング機構がロック状態にあるときに、ロッキング機構側端部を基準とした所定の回転数によりベルトリール側端部が捻じられるときに停止状態がセットアップされる。
【背景技術】
【0002】
このようなベルトリトラクタは従来技術により知られている。このような事例では、トーションロッドがベルト力制限機構の構成部品として機能する。このベルト力制限機構により、シートベルトのウェビングを特定の長さだけ巻き戻すことが可能となることで、シートベルトにより乗員に対して作用する力の限界が定められる。
【0003】
知られている停止機構は、例えば、回転可能となるようにスレッドを介してトーションロッド上に設置されてまた同時にベルトリールに回転不可能に接続されるナットを有する。この場合、トーションロッドが捻じられると、トーションロッドがベルトリールを基準としておよびナットを基準として回転させられる。所定の回転数の後、ナットの端面のところがロックディスクに到達する。したがって、トーションロッド上のナットがさらに回転することが阻止される。結果として、トーションロッドがさらに捻じられることも阻止され、ベルトリールがフレームを基準として巻き戻し方向にさらに回転することができなくなる。この時点で、ベルトリールおよびトーションロッドが単一部片の心棒として振る舞う。結果として、最終的にはシートベルトのウェビングがベルトリールからさらに巻き戻され得なくなる。ベルト力の限界を定めることが完了する。
【0004】
このような停止機構はまた、従来技術の一部では、カウンティング機構とも称される。しかし、厳密には、カウンティング機構は、停止機構の停止状態を設定しなければならないタイミングを決定する機構のみを意味する。カウンティング機構は停止機構と非常に密接に協働するが、原理的には停止機構とは異なる。カウンティング機構および停止機構の上記のような厳密な理解が以下の説明の基礎となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ロッキング機構と、ベルト力限界設定機構(belt force delimiting mechanism)と、停止機構とを有するベルトリトラクタをさらに改善することである。このような事例では特に、コンパクトな寸法を有するベルトリトラクタが作られることになる。加えて、このようなベルトリトラクタは、停止機構が停止状態にあるときに、可能な限り一様に荷重を受けなければならず、したがって結果として高い信頼性で機能しなければならず、重量が軽量でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的が導入部分で挙げたタイプのベルトリトラクタによって達成され、ここでは、停止機構がベルトリール上に設置される爪を有する。停止状態において、ベルトリールが爪によりフレーム上で回転不可能に固定される。解放状態において、ベルトリールがフレームを基準として回転可能である。この場合、爪が係合解除される。このような爪が決まった手法で種々の切り換え状態をとることができ、その結果、停止機構の停止状態および解放状態が正確に高い信頼性で設定され得るようになる。加えて、爪が比較的小さく軽量な構成要素であり、その結果、ベルトリトラクタも小さく軽量になるように設計され得るようになる。具体的には、このようなベルトリトラクタは、長さを短くして、ベルトリールの中心軸に沿うものとして具体化され得る。
【0007】
ベルトテンショナがまた、ガス式ベルトテンショナ(gas-powered belt tensioner)をさらに有することができ、このガス式ベルトテンショナによりいわゆるベルトのプレテンショニングが実行され得るようになる。
【0008】
ベルトリールが、好適には、停止状態においてロッキング機構とは反対のフレームの側で固定される。したがって、テンションロッドの視点から見ると、ベルトリールがトーションロッドのベルトリール側端部のところで停止機構によって固定される。ロッキング機構がトーションロッドのロッキング機構側端部と既知の手法で協働する。したがって、ベルトリールが、またより正確にはベルトリールに接続されるトーションロッドが、その両方の端部のところで保持される。この方式では、停止状態においてベルトリトラクタおよびその構成要素が一様に荷重を受ける。結果として、ベルトリトラクタが、既知のベルトリトラクトと比較して単純となるようにおよび軽量となるように構成され得る。具体的には、ベルトリトラクタの一方側を補強することを少なくも部分的に省くことが可能となる。
【0009】
実施形態によると、停止状態において、爪がクラッチの作動ディスクの歯部の中に係合され、クラッチがベルトリールをフレームに結合し、それにより巻き戻し方向において回転不可能となり、具体的には爪が歯部の方向においてばね付勢される。クラッチは、例えば、米国特許出願第15/228,056号で詳細に説明されている。このようなクラッチはベルトリールの回転軸の方向において非常にコンパクトになるように設計され、その結果、関連付けられるベルトリトラクタが小さい設置空間のみを占有することになる。さらに、クラッチが大きい力を吸収することができ、クラッチ動作回数に関して制限されず、つまりクラッチが任意の回数で係合および係合解除され得る。ばね荷重により、爪が常に所定の状態となる。疑念がある場合、爪がクラッチに接続され、その結果、ベルトリールがフレームに結合される。したがって、乗員の高いレベルの安全が保証される。さらに、爪のばね荷重の効果により、停止機構およびクラッチが迅速かつ正確に制御され得るようになる。また、例えばガタガタする揺れなどを原因とする、望ましくないノイズが回避される。
【0010】
クラッチが単一の作動ディスクまたは一体に結合される複数の作動ディスクによって作動され得、つまり回転不可能にベルトリールをフレームに接続するような状態へと移行され得る。
【0011】
一変形形態では、上で挙げた作動ディスクが第1の作動ディスクであり、停止状態において第1の作動ディスクがクラッチの第2の作動ディスクを基準として所定の第1の回転角だけ回転させられ、ここでは、停止状態において、第1の作動ディスクおよび第2の作動ディスクがクラッチの作動方向において回転可能に結合される。したがって、クラッチを作動させるためには、爪が最初に第1の作動ディスクの歯部の中に係合される。結果として、第1の作動ディスクがベルトリールに回転不可能に接続される。次いで、ベルトリールおよび第1の作動ディスクによって形成される上記結合体が第2の作動ディスクを基準とした所定の第1の回転角だけ再び回転させられ得る。この事例では、トーションロッドがほぼ上記角度で回転させられる。次いで、第1の作動ディスクおよび第2の作動ディスクがクラッチの作動方向においてのみ回転可能に一体に結合され、クラッチが停止状態へと移行され、この停止状態においてクラッチがベルトリールをフレームに固定する。第1の作動ディスクおよび第2の作動ディスクは、例えば、周りを部分的に延在する円周方向溝およびその中に構成される連動用ラグ(entrainment lug)により、一体に結合され得る。この場合、連動用ラグは、溝の端部を介して2つの作動ディスクの間に一方側で回転不可能であるような接続を実現する前の時点で、円周方向溝内で所定の第1の回転角だけ延在している。結果として、副カウンティング機構がクラッチの作動機構に一体化される。副カウンティング機構によって記録される回転または回転角が、カウンティング機構によって記録される回転および回転角に加えられる。したがって、比較的小さくコンパクトになるように設計されるカウンティング機構が使用され得るようになり、その結果として、ベルトリトラクタのデザインが特に軽量およびコンパクトになる。
【0012】
上で挙げた変形形態では、停止機構が解放状態にあるとき、第1の作動ディスクおよび第2の作動ディスクが、クラッチの作動方向において互いを基準として所定の第1の回転角だけ回転可能である。これが、円周方向溝の中で自由に移動可能である上で言及した連動用ラグによって達成される。連動用ラグが、好適には、解放状態において円周方向溝の第1の端部のところに配置され、停止状態においてその反対側の端部のところに配置される。このようにして、クラッチの作動の枠組みで実現されるトーションロッドのねじれ角が、高い精度で調整され得る。
【0013】
クラッチの作動機構が合計で3つの作動ディスクを有することもできる。
【0014】
このような実施形態は、第1の作動ディスクと第2の作動ディスクとの間にクラッチの第3の作動ディスクが挿置されるのを実現し、ここでは、停止状態において第3の作動ディスクが第1の作動ディスクを基準として所定の第2の回転角だけ回転させられ、停止状態において第3の作動ディスクがクラッチの作動方向において第1の作動ディスクに回転可能に結合され、ここでは、停止状態において第2の作動ディスクが第3の作動ディスクを基準として所定の第3の回転角だけ回転させられ、停止状態において第2の作動ディスクがクラッチの作動方向において第3の作動ディスクに回転可能に結合される。第3の作動ディスクに対しての第1の作動ディスクの結合および第2の作動ディスクに対しての第3の作動ディスクの結合が、例えば、円周方向溝および連動用ラグにより、上述の実施形態と同様に実現される。したがって、クラッチの作動機構により可能とされて記録されるトーションロッドの追加のねじれ角が、追加の作動ディスクの結果として、さらに拡大され得る。また、結果として、特に小さくてコンパクトであるカウンティング機構で、トーションロッドの複数回の回転および比較的大きいねじれ角を記録するのに十分となる。
【0015】
好適な手法では、第3の作動ディスクおよび第1の作動ディスクが、停止機構の解放状態において、クラッチの作動方向において互いを基準として所定の第2の回転角だけ回転可能となり、第3の作動ディスクおよび第2の作動ディスクが、停止機構の解放状態において、クラッチの作動方向において互いを基準として所定の第3の回転角だけ回転可能となる。上で挙げた実施形態と同様に、この事例では、連動用ラグが、やはり好適な手法において、解放状態で、対応する円周方向溝の割り当ての第1の端部のところに配置され、この第1の端部が、停止状態において連動用ラグを位置させるところの円周方向溝の端部の反対側にある。
【0016】
停止機構の解放状態において、爪が、歯部の中に係合されないようにロックピンによって保持される。ロックピンが、好適には突起によりロックする形で、爪と相互作用し、その結果、爪が高い信頼性が保持されるようになり、つまり強い加速、減速、または振動の場合にも保持されるようになる。加えて、爪を保持するのに電源が必要なくなる。したがって、ベルトリトラクタが、常に、所定の状態に置かれる。さらに、ロックピンが大きい設置空間を占有しない。
【0017】
ロックピンが、有利には、ベルトリール内で変位可能となるように設置される。したがって、ロックピンが、爪を保持する位置から爪を解放する位置まで変位させられ得る。同様のことが逆の形でも適用される。したがって、ロックピンがベルトリトラクタ内で所定の手法で誘導され、その結果、ロックピンの機能およびベルトリトラクタの機能が高い信頼性で総合的に保証される。
【0018】
この事例では、解放状態において、ロックピンが爪の保持開口部内に配置され、停止状態においてロックピンが保持開口部の外側に配置され得る。したがって、ロックピンが爪の所定のロケーションと協働する。ベルトリトラクタに力および振動が作用する場合でもロックピンが保持開口部内に堅固に保持される。その結果、爪の位置が正確に制御され得る。このようにして停止機構を正確に制御することが保証され、その結果として乗員のための高いレベルの安全が保証される。
【0019】
代替のデザインでは、ベルトリトラクタが、ロッキング機構側端部を基準として所定の回転数によりベルトリール側端部が捻じられるときに保持開口部からロックピンを取り外すことを目的としてセットアップされるカウンティング機構を有する。結果として、トーションロッドのねじりおよびひいてはベルト力制限手段の機能が正確に画定される。一定の回転数後にベルト力の制限が終了し、つまりトーションロッドが機能しなくなる危険が発生する前にまたはシートベルトの過度の長さのウェビングがベルトリールから巻き戻される前に、ベルト力の制限が終了する。保持開口部からロックピンが取り外されてしたがって停止状態が設定される前の捻じられるトーションロッドを中心とした回転数は、原則として、任意の手法で選択され得る。回転数は1回転のうちの一部を含んでよいが、1回転より多くてもよい。この回転数の代替形態として、360°をも超えるような回転角が規定されてもよい。したがって、高い信頼性のベルト力の制限が保証され、それにより自動車の乗員の、つまりベルトリトラクタの使用者の高いレベルの安全が実現される。
【0020】
一実施形態では、カウンティング機構が、スレッドと、トーションロッドと実質的に同軸となるように配置される巻きディスクとを有することができ、ここでは、スレッドが一方の端部のところでロックピンに接続されて別の端部のところで巻きディスクに接続される。この事例では、スレッドは、ケーブル、コード、またはワイヤなどであってもよい。したがって、単純で高い信頼性の機構が提供され、それによりロックピンが爪を解放することができる。さらに、スレッドおよび巻きディスクが非常に軽量であり、小さい設置空間のみを必要とする。
【0021】
この事例では、巻きディスクがトーションロッドのロッキング機構側端部に好適な手法で回転不可能に結合され、具体的には巻きディスクがロッキング機構のロックディスク上に配置される。したがって、巻きディスクがトーションロッドのロッキング機構側端部と共に、また具体的にはロックディスクと共に回転させられる。ロックピンがトーションロッドのベルトリール側端部を基準として回転しなくなると、ロックピンを基準とした巻きディスクの回転がトーションロッドを捻じった状態で行われ、その結果としてスレッドが巻きディスク上に巻かれる。上記機構は単純で信頼性が非常に高い。好適な手法では、巻きディスクがロックディスクと一体に作られる。その結果、製造の労力および製造コストが削減される。
【0022】
スレッドが、解放状態においてロックピンと巻きディスクとの間に配置される予備分のスレッドを有することができる。この事例では、好適な手法で、予備分のスレッドのサイズが、解放状態においてスレッドに張力がかからないような、サイズである。結果として、スレッドによりロックピンに対していかなる力も作用させない状態で、ロックピンが爪を堅固に保持する。したがって、解放状態が高い信頼性で維持され、振動または同様の事例においてもカウンティング機構の影響を受けない。
【0023】
好適な手法で、予備分のスレッドが停止状態において巻きディスク上に巻かれ、フリースレッドの自由長さのサイズが、保持開口部からロックピンを取り外すような、サイズである。トーションロッドが捻じられるときに巻きディスク上にスレッドが巻かれるようになり、これが、目立った抵抗もなしに、実質的にノイズレスで起こる。十分な長さのスレッドが巻きディスク上に巻かれるとすぐに、ロックピンが保持開口部から引き出される。したがって、停止状態が高い信頼性で設定される。この事例でのカウンティング機構の動作方法に対して、トーションロッドのねじり中にトーションロッドが可能性としてたるむことがほぼ影響しない程度となり、その結果、ベルトリトラクタの高いレベルの機能信頼性が実現する。
【0024】
加えて、予備分のスレッドの長さが所定の回転数に適合し得る。したがって、巻きディスクとロックピンとの間のスレッドの長さが、所定の回転数後に巻きディスクとロックピンとの間でスレッドに張力をかけて保持開口部からロックピンを取り外すような正確な長さとなるように選択される。所定の回転数は、スレッドの長さにより、単純でコスト効率の高い手法で正確に調整され得および/または変化させられ得る。
【0025】
一変形形態では、スレッドがベルトリールに回転不可能に接続されるハウジング内に配置される。したがって、スレッドが環境の影響から保護され、さらにはベルトリトラクタの他の要素上に捕捉されることから保護される。停止状態では、ロックピンがやはり好適にはハウジング内に少なくとも部分的に位置する。このような形で、ベルトリトラクタが高いレベルの信頼性および長い寿命を有する。
【0026】
代替的実施形態では、カウンティング機構が、ロックピン上に配置されるラッチング延長部分(latching continuation)と、ラッチング要素と、トーションロッドに実質的に同軸に配置される作動ディスクとを有し、ここでは、ラッチング要素が、ラッチング延長部分と作動ディスクとの間で機能的となるように構成される。したがって、ロックピンがそのラッチング延長部分のところでラッチング要素によって保持され、作動ディスクによって制御される。ラッチング延長部分、ラッチング要素、および作動ディスクが、例えば、プラスチック材料から作られる。このような機構はデザインが単純であり、動作の信頼性が高い。さらに、この手法ではベルトリトラクタの全体の重量が軽量になることが保証され得る。
【0027】
この事例では、作動ディスクがトーションロッドのロッキング機構側端部に回転不可能に結合され得、具体的には作動ディスクがロッキング機構のロックディスク上に配置される。したがって、作動ディスクがトーションロッドのロッキング機構側端部と共に回転させられ、具体的にはロックディスクと共に回転させられる。ロックピン、ラッチング延長部分、およびラッチング要素が、トーションロッドのベルトリール側端部を基準として回転しないようになると、トーションロッドが捻じられるときに上で挙げた要素を基準として作動ディスクの回転が起こる。結果として、トーションロッドのベルトリール側端部を基準としたトーションロッドのロッキング機構側端部の回転位置に応じて、ラッチング要素およびロックピンが作動ディスクにより積極的に制御される。上記機構は単純で信頼性が非常に高い。好適な手法では、作動ディスクがロックディスクと一体に作られる。その結果、製造の労力および製造コストが削減される。
【0028】
代替のデザインでは、ラッチング要素が、ラッチング延長部分側端部を介して、ラッチング延長部分上に構成されるラッチング歯部の中に係合され、具体的にはラッチング延長部分側端部が弾性ラッチングアームとして具体化される。したがって、ラッチング延長部分およびひいてはロックピンが、ラッチング歯部を介して、ラッチング要素によって保持される。これによりロックピンが望まれずに移動することが防止される。弾性ラッチングアームが具体的にはラッチング歯部の方向においてプレストレスを与えられ、その結果として弾性ラッチングアームがラッチング延長部分を堅固に保持する。その結果、例えば振動などの考えられる環境の影響に関係なく、ラッチング延長部分およびひいてはロックピンがその位置で堅固に維持される。その結果、カウンティング機構および停止機構が高い信頼性で動作する。
【0029】
ラッチング歯部が、ラッチング延長部分の連動(entrainment)中にのみラッチング延長部分を基準としてロックピンの抜き取り方向において、さらにはラッチング歯部の一部分の上を移動させることにより抜き取り方向とは反対の方向において、ラッチング要素を変位可能にするように、設計され得る。この事例では、ラッチング延長部分が連動するということが、ラッチング延長部分とラッチング要素との間で相対移動が起こらない、ということを意味する。結果として、ラッチング延長部分により、ロックピンが、ラッチング要素によりその位置で保持され得るかまたは抜き取り方向において所定の手法で変位させられ得る。十分に変位すると、ロックピンが保持開口部から取り外され、停止機構が停止状態へと移行される。ラッチング要素により抜き取り方向とは反対の方向においてロックピンを変位させることが不可能となる。ラッチ要素の変位が作動ディスクによって制御される。したがって、ロックピンが積極的な高い信頼性の手法で制御される。
【0030】
有利な手法では、停止状態において、ラッチング延長部分が、保持開口部からロックピンを取り外すまで抜き取り方向に変位させられる。次いで、ロックピンが制御される形で爪を解放し、その結果、停止機構の停止状態が設定される。結果として、乗員の高いレベルの安全が保証される。
【0031】
代替のデザインでは、解放状態において、ラッチング延長部分が変位させられないか、またはロックピンを保持開口部の中に配置することになる範囲での最大の程度までは抜き取り方向に変位させられない。したがって、ロックピンが爪を継続して固定し、停止機構が解放状態にある。この事例では、ロックピンがラッチング要素によって保持され、作動ディスクがそのラッチング延長部分によって保持される。したがって、解放状態が安定的に設定される。
【0032】
ラッチング要素が作動ディスク側端部を介して作動ディスクの作動用形状部分(actuating contour)に当接され得、具体的にはラッチング要素が作動ディスクの方向にばね付勢され得る。作動用形状部分がラッチング要素の移動を制御し、つまり作動用形状部分がロックピンの抜き取り方向の反対の方向において制御される形でラッチング要素を変位させ、また制御される形でロックピンの抜き取り方向の反対の方向においてラッチ要素をスプリングバックさせるのを可能にする。この事例では、ラッチング要素が上述した手法でラッチング延長部分と相互作用する。したがって、カウンティング機構が作動ディスクにより全体として制御される。ばね荷重の結果として正確な制御が保証される。
【0033】
好適な手法で、作動用形状部分が、作動用形状部分によりラッチング延長部分を基準としてラッチング要素を変位可能とするように、具体化される。その結果として、作動用形状部分の回転位置に応じて、ラッチング要素と上述のラッチング延長部分との間の相互作用が制御される。これは単純で信頼性が高い。
【0034】
加えて、作動用形状部分が所定の回転数に適合し得る。この場合、作動用形状部分が、所定の回転数後、ラッチング延長部分およびひいてはロックピンを保持開口部から取り外して停止機構を停止状態にするように、形成される。したがって、所定の回転数に応じて停止機構が単純で高い信頼性の手法で制御され得る。その結果、ベルト力の制限が終了する。
【0035】
代替のデザインでは、ラッチング延長部分およびラッチング要素が、ベルトリールを基準として移動不可能であるハウジング内に配置され、具体的にはラッチング延長部分およびラッチング要素が実質的に平行に延在する。結果としてラッチング延長部分およびラッチング要素が環境の影響から保護される。停止状態では、ロックピンが好適にはやはりハウジング内に少なくとも部分的に位置する。このような形で、ベルトリトラクタが高いレベルの信頼性および長い寿命を有する。加えて、ラッチング延長部分およびラッチング要素の平行な構成の結果として、小さい設置空間のみが占有されることになる。
【0036】
代替的実施形態では、カウンティング機構が、爪から離れたロックピンの端部上に配置されるロックピン延長部分と、接触面と、切り離し用ディスクとを有し、ここでは、ロックピン延長部分が接触面に当接される。したがって、ロックピンが接触面によりその位置で保持される。ロックピンの移動が切り離し用ディスクによって制御される。ロックピン延長部分および接触面が好適な手法ではプラスチック材料から作られ、切り離し用ディスクが少なくとも部分的に金属から作られる。このような機構はデザインが単純であり、動作の信頼性が高い。さらに、この手法では全体の重量が軽量になることおよび必要となる設置空間が小さくなることが保証され得る。
【0037】
接触面および切り離し用ディスクがトーションロッドのロッキング機構側端部に回転不可能に結合され得、具体的には接触面および切り離し用ディスクがロッキング機構のロックディスク上に配置される。したがって、接触面および切り離し用ディスクがトーションロッドのロッキング機構側端部と共に回転し、具体的にはロックディスクと共に回転する。ロックピンおよびロックピン延長部分がトーションロッドのベルトリール側端部を基準として回転しなくなると、トーションロッドが捻じられるときに切り離し用ディスクが上で言及した要素を基準として回転する。結果として、切り離し用ディスクにより、ロックピン延長部分およびひいてはロックピンが、トーションロッドのベルトリール側端部を基準としたトーションロッドのロッキング機構側端部の回転位置に応じて、積極的に制御される。上記機構は単純で信頼性が高い。好適な手法では、切り離し用ディスクがロックディスクと一体に作られる。その結果、製造の労力および製造コストが削減される。
【0038】
一実施形態では、切り離し用ディスクがロックピン延長部分の延在方向において接触面から一定の離間距離のところにある。この事例では、切り離し用ディスクが、接触面と比較してロックピンの近くに配置される。したがって、ロックピン延長部分が2つの部分に分割され得る。第1の部分がロックピンと切り離し用ディスクとの間を延在し、第2の部分が切り離し用ディスクと接触面との間に延在する。結果として、切り離し用ディスクがロックピン延長部分と常に相互作用することができることおよびひいてはロックピン延長部分を常に制御することができることが保証される。
【0039】
ロックピン延長部分が接触面の方向にばね付勢され得る。その結果、ロックピン延長部分が接触面に常に当接されることになる。結果として、カウンティング機構が非常に高い信頼性で機能する。
【0040】
一変形形態では、切り離し用ディスクが、切り離し用ディスクを基準としてロックピンが移動させられるときにロックピン延長部分からの1セグメントを分離することを目的として具体化される。この場合、切り離し用ディスクが、切り離し用ディスクと接触面との間を延在する、ロックピン延長部分の部分をロックピン延長部分の残りの部分から分離する。切り離し用ディスクがこの目的のための鋭利な縁部を有するように具体化される。上記セグメントが分離されると、ロックピン延長部分およびひいてはロックピンが、接触面の方向において、分離されたセグメントの長さの分だけ変位させられる。この事例では、ロックピンが少なくとも部分的に保持開口部から出るように移動させられる。変位後、上記の切り離し面が接触面に当接される。結果として、トーションロッドの捻じれに応じてロックピンを制御するための単純な機構が提供される。
【0041】
セグメントがノッチによりロックピン延長部分内に画定され得、ここでは、分離が好適にはノッチの領域内で実施される。複数のノッチが存在してもよく、この場合、複数のセグメントが画定され得る。切り離し用ディスクが、好適には、ノッチの領域内でセグメントを分離するのを実行する。上記ポイントのところでは、分離する必要があるロックピン延長部分の材料厚さが縮小され、その結果、切り離し用ディスクに加えることが必要となる分離力が低減される。この事例では、セグメントの幅、つまりロックピン延長部分の接触面側端部と隣接するノッチとの間の距離および/または2つの隣接するノッチの間の距離が、好適には、接触面と切り離し用ディスクとの間の距離に対応する。このようにして、低抵抗および低ノイズでのセグメントの分離が保証され得る。
【0042】
1つまたは複数のセグメントが好適には停止状態で分離され、その結果、ロックピンが保持開口部から取り外される。この事例では、ロックピン延長部分が多くのセグメントにより短くされ、その結果、ロックピン延長部分の接触面側端部が接触面に当接されるときにロックピンが保持開口部内に位置することができなくなる。この場合、ロックピンが制御される形で爪を解放し、その結果、停止機構の停止状態が設定される。結果として、乗員の高いレベルの安全が保証される。
【0043】
また、解放状態ではセグメントが分離され得ないかまたは非常に少ないセグメントしか分離され得ず、その結果、ロックピンが保持開口部内に配置される。この事例では、ロックピン延長部分の接触面側端部が接触面に常に当接される。ロックピン延長部分が爪を継続して固定し、停止機構が解放状態にある。
【0044】
一実施形態では、カウンティング機構が、トーションロッドと実質的に同軸となるように配置されてトーションロッドのロッキング機構側端部に回転不可能に接続されるトリガーディスクを有し、ここでは、トリガーディスクが保持面を備え、保持面がトーションロッドの周りを実質的に延在し、停止機構の解放状態において、爪から離れたロックピンの端部が保持面に当接され、またここでは、トリガーディスクが保持面を中断する窪みを有し、その窪みの中に、爪から離れたロックピンの端部が停止状態において係合される。保持面および窪みが、好適には、トーションロッドの周りを完全に延在するリングを形成するように補完される。したがって、爪から離れたロックピンの端部が保持面に当接されることの結果として、ロックピンの爪側端部が保持開口部の中で保持される。この事例では、窪みが、爪から離れたロックピンの端部が窪みの中に係合されるときに、保持開口部からロックピンの爪側端部を取り外すかまたは滑り出させるように、設計される。結果として、爪が高い信頼性で解放されることおよびひいてはカウンティング機構が円滑に機能することが保証される。
【0045】
一変形形態では、保持面が、実質的に、290°から310°の間で、また具体的には298°から302°の間で、トーションロッドの周りを延在し、および/または窪みが、実質的に、50°から70°の間で、また具体的には58°から62°の間で、トーションロッドの周りを延在する。特に好適な実施形態では、保持面が301°で周りを延在し、窪みが59°で周りを延在する。保持面に割り当てられる回転角を固定することにより、トーションロッドのロッキング機構側端部を基準としたトーションロッドのベルトリール側端部の回転角またはねじれ角を画定することができ、その回転角またはねじれ角のところでベルト力の制限が終了し、ベルトリール側がフレームに固定されることになる。ねじれ角が、この事例では、保持面の回転角に実質的に対応する。
【0046】
ロックピンが好適にはトリガーディスクの方向においてプレストレスを与えられ、具体的にはばねによりプレストレスを与えられる。結果として、これにより、ロックピンが保持面に高い信頼性で当接されること、およびひいては所定のねじれ角でトーションロッドを捻じるときにすぐに窪みの中に高い信頼性で係合されることが保証される。結果として、カウンティング機構が確実にかつ高い信頼性で機能する。
【0047】
代替形態では、ロックピンがトーションロッドに実質的に平行に延在し、ベルトリール上に設置される。結果として、ロックピンがトーションロッドのベルトリール側端部と一体に回転する。この事例では、爪から離れたロックピンの端部が、解放状態において、保持面上で円周方向に摺動する。
【0048】
添付図面に示される種々の例示の実施形態により以下で本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明によるベルトリトラクタを示す斜視図である。
図2】ハウジング部分を取り外した状態の、図1の、本発明によるベルトリトラクタを示す別の斜視図である。
図3】解放状態にある本発明によるベルトリトラクタの停止機構を示す詳細図である。
図4図3からのものであるが停止状態である本発明によるベルトリトラクタの停止機構を示す詳細図である。
図5】スレッドに基づく第1の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す図である。
図6】第1の実施形態による本発明によるベルトリトラクタのベルトリール組立体を示す図である。
図7】第1の実施形態による本発明によるベルトリトラクタのカウンティング機構を示す詳細図である。
図8】第1の実施形態による本発明によるベルトリトラクタのカウンティング機構を示す別の詳細図である。
図9】ラッチングの原理に基づく第2の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す図である。
図10】第2の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す別の図である。
図11】第2の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す詳細図である。
図12】第2の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す別の詳細図である。
図13】分離の原理に基づく、第3の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す図である。
図14】第3の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す別の図である。
図15】第3の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す詳細図である。
図16】第3の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す別の詳細図である。
図17】第3の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す追加の詳細図である。
図18】第3の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す側面斜視図である。
図19】第4の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す断面図である。
図20】第4の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す詳細図である。
図21】第4の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す別の詳細図である。
図22】第4の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す追加の詳細図である。
図23】第4の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す別の詳細図である。
図24】第4の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す補助的な詳細図である。
図25】第4の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す別の詳細図である。
図26】第4の実施形態による本発明によるベルトリトラクタを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1が、フレーム12内で回転可能となるように設置されるベルトリール14を有するベルトリトラクタ10を示す。この事例では、ベルトリール14が巻き戻し方向16および巻き戻し方向16とは反対の方向である巻き方向18においてフレーム12内で回転させられ得る。分かり易いようにウェビングが示されていない。
【0051】
ベルトリトラクタ10が、ロッキング機構20と、停止機構22と、ベルト力制限機構24(例えば、図5および6を参照されたい)とをさらに有する。
【0052】
この事例では、ロッキング機構20および停止機構22がベルトリール14の反対側に配置される。
【0053】
詳細には示されないロッキング機構20が、ウェビング感応方式および/または車両感応方式でロック状態をセットアップすることを目的としてひいては巻き戻し方向16においてフレーム12を基準としてベルトリール14の回転移動を阻止することを目的として、機能する。
【0054】
ロック状態では、トーションロッド28のロッキング機構側端部26がこの目的のためにフレーム12上で巻き戻し方向16において回転不可能に固定される。これが、ロッキング機構20を配置しているフレーム12の側で実施される。したがって、トーションロッド28がロッキング機構20に動作可能に接続される。
【0055】
この場合、乗員に作用する力を制限するベルト力制限機構24がロック状態で機能する。これがトーションロッド28が捻じられる結果として起こる。
【0056】
これを目的として常にベルトリール14に回転不可能に接続される、トーションロッド28のベルトリール側端部30がロッキング機構側端部26を基準として回転させられる。
【0057】
停止機構22が、クラッチ32によりフレーム12上でベルトリール14を固定することを目的としてセットアップされ、ここではクラッチ32が停止機構22を配置しているフレーム12の側でベルトリール14を固定する。
【0058】
この場合、停止機構22が停止状態である。これは、ロッキング機構側端部26を基準として所定の回転数だけベルトリール側端部30が捻じられてロッキング機構20がロック状態に置かれるときに、常にセットアップされる。
【0059】
この事例では、カウンティング機構33が、所定の回転数に到達したかどうかを記録する。カウンティング機構33がさらに、停止機構22の停止状態をセットアップする。
【0060】
図2では停止機構22を覆うハウジング部分が除外されていることから、クラッチ32の作動ディスク34が可視となる。停止機構22の爪38と相互作用する歯部36が作動ディスク34内に配置される。
【0061】
この事例では、爪がベルトリール14上に枢動可能に設置される。
【0062】
停止機構22が停止状態にあるとき(図4を参照)、爪38が作動ディスク34の歯部36の中に係合される。この場合、作動ディスク34が爪38を介して連動させられ、クラッチ32を閉じてベルトリール14をフレーム12上で固定するように、回転させられる。これが、フレーム12を基準として巻き戻し方向16においてベルトリール14が少なくとも回転することができなくなるように、実施される。
【0063】
停止機構22が解放状態にあるとき(図3を参照)、爪38が歯部36の中に係合されない。結果として、クラッチ32が開いた状態を維持し、少なくとも停止機構22に対しては、ベルトリール14がフレーム12内で自由に回転することができる。
【0064】
解放状態では、爪38が、爪38の保持開口部42内に配置されるロックピン40によって保持される。この事例では、ロックピン40がベルトリール14内で変位可能となるように設置される。
【0065】
停止状態においてロックピン40が保持開口部42から取り外される。
【0066】
この事例では、爪38が作動ディスク34の歯部36の方向においてばね44の作用を受ける。これは、ロック状態の方向において爪38が予め張力を受ける、ということを意味する。
【0067】
停止状態は、阻止機構20の阻止状態時に阻止機構側端部26を基準として所定の回転数でベルトリール側端部30が回転させられるときに、セットアップされる。トーションロッド28が所定の回転数で捻じられる。
【0068】
種々の実施形態を介して以下でカウンティング機構33を説明する。カウンティング機構33が、所定の回転数の到達時に保持開口部42からロックピン40を取り外すことを目的としてセットアップされる。
【0069】
図5~8に示されるベルトリトラクタ10の第1の実施形態では、カウンティング機構33がスレッド50に基づく。
【0070】
スレッド50が一方の端部のところでロックピン40に接続される。スレッド50がもう一方の端部のところで巻きディスク52に接続される。
【0071】
この事例では、巻きディスク52がトーションロッド28のロッキング機構側端部26に回転不可能に接続される。加えて、巻きディスク52がトーションロッド28と実質的に同軸に配置される。
【0072】
さらに、巻きディスク52がロッキング機構20のロックディスク(一切詳細には示されない)上に配置され得る。
【0073】
停止機構22の解放状態が図5~8に示される。これは、スレッド50が、巻きディスク52とロックピン40との間に配置されるが張力を受けていない予備分のスレッド53を有する、ということを意味する。
【0074】
停止機構22が停止状態にあるとき(一切詳細には示されない)、予備分のスレッド53が小さいことを理由としてスレッド50が巻きディスク52とロックピン40との間で張力を受け、ロックピン40がスレッド50により保持開口部42から取り外される。
【0075】
この事例では、スレッドが、ベルトリール14に回転不可能に接続されるハウジング54内に配置され得る。また、ロックピン40が停止状態においてハウジング54内に少なくとも部分的に位置する。
【0076】
ベルトリトラクタ10の第1の実施形態の、停止機構22およびカウンティング機構33が以下の通りに機能する。
【0077】
解放状態では、ロックピン40が初期状態において爪38の保持開口部42内に位置する。スレッド50の予備分のスレッド53が緩んだ形でハウジング54内に載置される。
【0078】
このような形でロッキング機構20のロック状態がセットアップされる場合、つまりトーションロッド28のロッキング機構側端部26がフレーム12に固定される場合、トーションロッド28に張力を受けさせるままで、ベルトリール14がベルト力制限の枠組みで巻き戻し方向16のみに回転させられ得る。
【0079】
上記回転の場合、巻きディスク52がさらにロックピン40を基準として回転させられてひいてはスレッド50の両端部が互いを基準として回転させられるとき、スレッド50が巻きディスク52上に巻かれる。
【0080】
この事例では、所定の回転数においてスレッド50が巻きディスク52とロックピン40との間で張力を受けてスレッド50がロックピン40を保持開口部42から出すように引くことになるように、予備分のスレッド53の長さ、つまりスレッド50の全体の長さが適合される。この場合、ロックピン40がハウジング54の中に少なくとも部分的に載置される。
【0081】
この場合、爪38が歯部36の中に係合され、停止機構22が停止状態にある。
【0082】
ベルトリトラクタ10の第2の実施形態が図9~12に示される。
【0083】
この実施形態では、カウンティング機構33が第1の実施形態のカウンティング機構とは異なる。
【0084】
ここでは、カウンティング機構33が、ロックピン40上に具体化されてロックピン40と共に一部片で作られるラッチング延長部分56を有する。
【0085】
ラッチング歯部58がラッチング延長部分56上に配置され、ラッチング歯部58を介してラッチング延長部分56がラッチング要素60と相互作用する。ラッチング要素60が、この目的のために、弾性ラッチングアームであってよいラッチング延長部分側端部62を有する。
【0086】
さらに、ラッチング要素60が作動ディスク64と相互作用する。この目的のために、作動ディスク側端部66がラッチング要素60上に提供される。
【0087】
ラッチング要素60がばね68により作動ディスク64の方向において予め張力を受け、その結果、ラッチング要素60、またより正確には作動ディスク側端部66が作動ディスク64の作動用形状部分67に常に当接される。
【0088】
作動ディスク64がトーションロッド28のロッキング機構側端部26に回転不可能に結合されてトーションロッド28と同軸に配置される。この事例では、作動ディスク64が具体的にはロッキング機構20のロックディスク上に配置され得る。
【0089】
ラッチング延長部分56、ラッチング要素60、およびばね68が、好適には、ベルトリール14上に回転不可能に設置されるハウジング69内に配置される。
【0090】
ラッチング要素60およびラッチング延長部分56がハウジングの中で実質的に平行に延在する。
【0091】
第2の実施形態の動作方法は以下の通りである。
【0092】
爪38の保持開口部42内に少なくとも部分的にロックピン40を配置する、停止機構22の解放状態から開始して、ロッキング機構20が移動させられてロック状態となる。
【0093】
したがって、トーションロッド28のロッキング機構側端部26がベルトリトラクタ10のフレーム12内で固定される。
【0094】
ベルト力制限の枠組みで、トーションロッド28のベルトリール側端部30がロッキング機構側端部26を基準として回転させられる場合、ラッチング延長部分56およびラッチング要素60が作動ディスク64および作動用形状部分67を基準として回転させられる。
【0095】
ばね68によって提供されるばね荷重により、この事例では、ラッチング要素60の作動ディスク側端部66が作動ディスク64の作動用形状部分67に常に当接される。
【0096】
作動用形状部分67に従って、この場合、ラッチング要素60が、ラッチング延長部分56を基準として、ロックピン40の抜き取り方向70の反対に変位させられ得る。この事例では、ラッチング歯部58およびラッチング延長部分側端部62が、ラッチング歯部58の上をラッチング延長部分側端部62が移動することになるように、つまり上記ラッチング延長部分を移動させることなく、ラッチング延長部分56を基準として抜き取り方向70の反対にラッチング要素60を移動させるように、相互作用する。
【0097】
しかし、ラッチング要素60が抜き取り方向70においてラッチング延長部分56と常に連動し、つまり抜き取り方向70においてラッチング要素60とラッチング延長部分56との間での相対移動がない。
【0098】
したがって、ラッチング延長部分56およびひいてはロックピン40が、作動ディスク64の作動用形状部分67の位置に応じて、制御される形で抜き取り方向70に移動させられる。
【0099】
示される実施形態では作動用形状部分67が傾斜部分を有する(特には図12を参照されたい)。
【0100】
トーションロッド28のロッキング機構側端部26およびベルトリール側端部30が、傾斜部分をラッチング要素60の作動ディスク側端部66と協働させるように、互いを基準として回転させられる場合、ラッチング要素60がばね68の力の反対に変位させられる。この事例では、ラッチング延長部分側端部62が例えばラッチング歯部58の歯の上を移動する。
【0101】
作動用形状部分67がさらに回転させられてその結果として作動ディスク側端部66が傾斜部分に係合されなくなると、ラッチング要素60がばね68により作動ディスク64の方向に戻るように移動させられる。この事例では、ラッチング延長部分側端部62がラッチング突起56を連動する。
【0102】
したがって、示される実施形態では、作動ディスク64が完全に一周分だけ相対的に回転するごとに、ラッチング延長部分56およびひいてはロックピン40が増分だけ保持開口部42から引き出される。
【0103】
この事例では、作動ディスク64の作動用形状部分67が、所定の回転後に保持開口部42からロックピン40を完全に取り外すように、設計される。この場合、爪が歯部36の中に係合され、停止機構22がその停止状態にある。
【0104】
ベルトリトラクタ10の第3の実施形態が図13~18に示される。上記実施形態は、カウンティング機構33に関して、ベルトリトラクタ10の第1および第2の実施形態とは異なる。
【0105】
ここでは、カウンティング機構33が、ロックピン40上に配置されるロックピン延長部分72を有する。
【0106】
この事例では、ロックピン延長部分72が、トーションロッド28のロッキング機構側端部26に回転不可能に結合される接触面74まで延在する。したがって、ロックピン延長部分72がトーションロッド28の実質的に全長にわたって延在する。
【0107】
ロックピン延長部分72が接触面74の方向にばね付勢され、その結果、ロックピン延長部分72が接触面74に常に当接される。関連するばねはこれらの図には示されていない。
【0108】
さらに、上記実施形態が、ロッキング機構側端部26に回転不可能にやはり接続される切り離し用ディスク76を有する。この事例では、切り離し用ディスク76が爪38の方向において接触面74から一定の離間距離のところにある。
【0109】
接触面74および切り離し用ディスク76が具体的にはロッキング機構20のロックディスク(詳細には図示せず)上に配置され得る。
【0110】
この事例では、ロックピン延長部分72が、ベルトリール14を基準として固定されるガイド内に設置される。この事例では、ガイドがやはりハウジング内に配置され得る(一切詳細には示されない)。
【0111】
カウンティング機構33の動作方法は以下の通りである。
【0112】
ロックピン40を保持開口部42内に配置するような、ロッキング機構20のロック状態および停止機構22の解放状態から開始して、トーションロッド28のロッキング機構側端部26がフレーム12上に固定される。
【0113】
結果として、接触面74および切り離し用ディスク76がさらに回転不可能にフレーム12に接続される。
【0114】
しかし、ベルト力制限の枠組みで、ベルトリール側端部30、ベルトリール14、ならびにひいてはロックピン40、およびロックピン延長部分72が、さらに、ロッキング機構側端部26を基準として回転させられ得る。
【0115】
このように回転する場合、ロックピン延長部分72が所定の位置において切り離し用ディスク76の周囲部分に接するように延びており、その結果、切り離し用ディスク76と接触面74との間の距離に対してその長さが実質的に一致するようなセグメント77がロックピン延長部分72から分離される。
【0116】
これを理由として、切り離し用ディスク76が対応する位置のところに鋭利な縁部を有するように具体化される。
【0117】
その結果としてロックピン延長部分72が短くされ、ロッキング機構側端部26の方向において、分離されるセグメント77の長さに対応するセクション分だけ移動させられる。
【0118】
この事例では、切り離し用ディスク76、ロックピン延長部分72、および接触面74が、所定の回転後に十分な大きさのセグメント77をロックピン延長部分72から分離してそれによりロックピン40を保持開口部42から取り外すように、セットアップされる。
【0119】
この場合、爪38が歯部36の中に係合され、停止機構22が停止状態に置かれる。
【0120】
個別に分離されることになるロックピン延長部分72のセグメント77が、ノッチ78により、互いに分けられ得る。この場合、切り離し用ディスク76が、好適にはノッチ78の領域において、ロックピン延長部分72の残りの部分からセグメント77を分離する。
【0121】
図19から26がベルトリトラクタ10の第4の実施形態を示す。
【0122】
この事例では、カウンティング機構33が、トーションロッド28と実質的に同軸となるように配置されてトーションロッド28のロッキング機構側端部26に回転不可能に接続されるトリガーディスク80を有する。
【0123】
トリガーディスク80がロッキング機構20の他の構成要素と一体に形成され得る。
【0124】
トリガーディスク80がトーションロッド28の周りを実質的に延在する保持面82を備え、解放状態において、爪38から離れるロックピン40の端部が保持面82に当接される(具体的には、図20および図21を参照されたい)。
【0125】
加えて、トリガーディスク80が保持面82を中断する窪み84を有し、爪38から離れたロックピン40の端部が停止状態において窪み84に係合される(具体的には、図22および図23を参照されたい)。これによりロックピンが爪38の保持開口部42の中に係合されず、保持開口部42を解放する。
【0126】
図19から26に示される実施形態では、保持面が実質的に301°で周りを延在する。完全なリングを形成するために窪み84がこれを補完し、したがってトーションロッド28の周りを実質的に59°で延在する。
【0127】
ロックピン40がトリガーディスク80の方向においてばね86により予め張力を受ける。結果として、爪38から離れたロックピン40の端部が高い信頼性で保持面82または窪み84に常に当接される。
【0128】
この事例では、ばね86が、ロックピン40上に設けられるカラー88に作用することができる。
【0129】
加えて、本実施形態では、ばね86がハウジング90内に配置され、ハウジング90がベルトリール14上に設置されて好適にはプラスチック材料から作られる。
【0130】
同時に、ロックピン40がトーションロッド28に実質的に平行に延在し、ベルトリール14上に設置される。
【0131】
加えて、本実施形態では、爪38が安全要素92によって保持される。
【0132】
この事例では、安全要素92が、爪38の、さらには上記爪38の中に係合されるロックピン40の端部の、軸受構成として機能する。この事例では、安全要素92が第4の実施形態に固有のものではない。安全要素92は挙げられるすべての実施形態と共に使用され得る。
【0133】
加えて、クラッチ32の作動機構がベルトリトラクタ10の第4の実施形態に示される。やはり、上記作動機構がすべての実施形態と共に使用され得る。
【0134】
作動機構が、クラッチ32の、第1の作動ディスク34a、第2の作動ディスク34b、および第3の作動ディスク34cを有する。この事例では、第3の作動ディスク34cが第1の作動ディスク34aと第2の作動ディスク34bとの間に挿置される。
【0135】
歯部36が第1の作動ディスク34a上に設けられ、爪38が停止状態において歯部36の中に係合される。
【0136】
停止状態で、第1の作動ディスク34aが第2の作動ディスク34bを基準として所定の第1の回転角だけ回転させられ、両方の作動ディスク34a、34bがクラッチ32の作動方向において回転可能に結合される。
【0137】
加えて、停止状態において、第3の作動ディスク34cが第1の作動ディスク34aを基準として所定の回転角だけ回転させられ、第3の作動ディスクが停止状態においてクラッチ32の作動方向において第1の作動ディスク34aに回転可能に結合される。
【0138】
同様のことが第2の作動ディスク34bおよび第3の作動ディスク34cにも適用される:停止状態において、第2の作動ディスク34bが第3の作動ディスク34cを基準として所定の第3の回転角だけ回転させられ、第2の作動ディスクが作動方向において第3の作動ディスク34cに回転可能に結合される。
【0139】
したがって、爪38により回転方向において妨害される第1の作動ディスク34aの状態から開始して、クラッチ32が第2の作動ディスク34bによって作動され、つまり第3の作動ディスク34cが、フレーム12に対してベルトリール14を固定する状態へと移行される。
【0140】
停止機構22が解放状態にあるとき、第1の作動ディスク34aがクラッチ32の作動方向において第2の作動ディスク34bを基準として所定の第1の回転角だけ回転可能である。
【0141】
さらに、第3の作動ディスク34cが解放状態においてクラッチ32の作動方向において第1の作動ディスク34aを基準として所定の第2の回転角だけ回転可能であり、第3の作動ディスク34cが第2の作動ディスク34bを基準として所定の第3の回転角だけ回転可能である。
【0142】
結果として、第1、第2、および第3の回転角が、クラッチ32によりベルトリール側端部30をフレーム12に固定する前にトーションロッド28が回転することが可能となるような回転角を補完する。
【0143】
言い換えると、作動ディスク34a、34b、34cが副カウンティング機構を具体化し、この副カウンティング機構により、カウンティング機構33により記録され得る角度または回転数が補完され得る。
[形態1]
自動車のシートベルトのためのベルトリトラクタ(10)において、前記ベルトリトラクタ(10)が、巻き戻し方向(16)および前記巻き戻し方向(16)と反対方向である巻き方向(18)に回転可能となるようにフレーム(12)内に設置されさらにはトーションロッド(28)のベルトリール側端部(30)に回転不可能に接続されるベルトリール(14)を有し、前記トーションロッド(28)が前記ベルトリール(14)と実質的に同軸となるように配置され、
前記トーションロッド(28)が前記ベルトリール側端部(30)の反対側にあるロッキング機構側端部(26)を介してロッキング機構(20)に動作可能に接続され、前記ロッキング機構(20)が車両感応方式および/またはウェビング感応方式でセットアップされるロック状態にある場合、前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)が前記巻き戻し方向(16)において回転不可能となるように前記フレーム(12)に固定され、
前記ロック状態において、前記トーションロッド(28)がねじり力を受け、前記ベルトリール側端部(30)が前記ロッキング機構側端部(26)を基準として前記巻き戻し方向(16)に回転可能であり、
前記ベルトリール(14)が、停止機構(22)が停止状態にあるときに、前記巻き戻し方向(16)において回転不可能となるように前記フレーム(12)に固定され、
前記ロッキング機構(20)が前記ロック状態にあるときに、前記ロッキング機構側端部(26)を基準とした所定の回転数により前記ベルトリール側端部(30)が捻じられるときに前記停止状態がセットアップされる、
ベルトリトラクタ(10)であって、
前記停止機構(22)が前記ベルトリール(14)上に設置される爪(38)を有する
ことを特徴とする
ベルトリトラクタ(10)。
[形態2]
形態1に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ベルトリール(14)が、前記停止状態において前記ロッキング機構(20)とは反対の前記フレーム(12)の側で固定される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態3]
形態1または2に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記停止状態において、前記爪(38)がクラッチ(32)の作動ディスク(34)の歯部(36)の中に係合され、前記クラッチ(32)が前記ベルトリール(14)を前記フレーム(12)に結合し、それにより前記巻き戻し方向(16)において回転不可能となり、具体的には前記爪(38)が前記歯部(36)の方向においてばね付勢される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態4]
形態3に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記作動ディスク(34)が第1の作動ディスク(34a)であり、前記停止状態において前記第1の作動ディスクが前記クラッチ(32)の第2の作動ディスク(34b)を基準として所定の第1の回転角だけ回転させられ、前記停止状態において、前記第1の作動ディスク(34a)および前記第2の作動ディスク(34b)が前記クラッチ(32)の作動方向において回転可能に結合される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態5]
形態4に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記停止機構(22)が解放状態にあるとき、前記第1の作動ディスク(34a)および第2の作動ディスク(34b)が、前記クラッチ(32)の前記作動方向において互いを基準として前記所定の第1の回転角だけ回転可能である、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態6]
形態4または5に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記第1の作動ディスク(34a)と前記第2の作動ディスク(34b)との間に前記クラッチ(32)の第3の作動ディスク(34c)が挿置され、前記停止状態において前記第3の作動ディスク(34c)が前記第1の作動ディスク(34a)を基準として所定の第2の回転角だけ回転させられ、前記停止状態において前記第3の作動ディスクが前記クラッチ(32)の作動方向において前記第1の作動ディスク(34a)に回転可能に結合され、前記停止状態において前記第2の作動ディスク(34b)が前記第3の作動ディスク(34c)を基準として所定の第3の回転角だけ回転させられ、前記停止状態において前記第2の作動ディスクが前記クラッチ(32)の作動方向において前記第3の作動ディスク(34c)に回転可能に結合される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態7]
形態6に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記第3の作動ディスク(34c)および前記第1の作動ディスク(34a)が、前記停止機構(22)の解放状態において、前記クラッチ(32)の前記作動方向において互いを基準として前記所定の第2の回転角だけ回転可能となり、前記第3の作動ディスク(34c)および前記第2の作動ディスク(34b)が、前記停止機構(22)の解放状態において、前記クラッチ(32)の前記作動方向において互いを基準として前記所定の第3の回転角だけ回転可能となる、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態8]
形態3から7までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記停止機構(22)の解放状態において、前記爪(38)が、前記歯部(36)の中に係合されないようにロックピン(40)によって保持される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態9]
形態8に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ロックピン(40)が前記ベルトリール(14)内で変位可能となるように設置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態10]
形態8または9に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記解放状態において、前記ロックピン(40)が前記爪(38)の保持開口部(42)内に配置され、前記停止状態において前記ロックピン(40)が前記保持開口部(42)の外側に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態11]
形態10に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ベルトリトラクタが、前記ロッキング機構側端部(26)を基準として所定の回転数により前記ベルトリール側端部(30)が捻じられるときに前記保持開口部(42)から前記ロックピン(40)を取り外すことを目的としてセットアップされるカウンティング機構(33)を有する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態12]
形態11に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記カウンティング機構(33)が、スレッド(50)と、前記トーションロッド(28)と実質的に同軸となるように配置される巻きディスク(52)とを有し、前記スレッド(50)が一方の端部のところで前記ロックピン(40)に接続されて別の端部のところで前記巻きディスク(52)に接続される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態13]
形態12に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記巻きディスク(52)が前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)に回転不可能に結合され、具体的には前記巻きディスク(52)が前記ロッキング機構(20)のロックディスク上に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態14]
形態12または13に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記スレッド(50)が、前記解放状態において前記ロックピン(40)と前記巻きディスク(52)との間に配置される予備分のスレッド(53)を有する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態15]
形態14に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記予備分のスレッド(53)が前記停止状態において前記巻きディスク(52)上に巻かれ、前記スレッドの自由長さのサイズが、前記保持開口部(42)から前記ロックピン(40)を取り外すような、サイズである、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態16]
形態14または15に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記予備分のスレッド(53)の長さが所定の回転数に適合する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態17]
形態12から16までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記スレッド(50)が前記ベルトリール(14)に回転不可能に接続されるハウジング(54)内に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態18]
形態11に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記カウンティング機構(33)が、前記ロックピン(40)上に配置されるラッチング延長部分(56)と、ラッチング要素(60)と、前記トーションロッド(28)に実質的に同軸に配置される作動ディスク(64)とを有し、前記ラッチング要素(60)が、前記ラッチング延長部分(56)と前記作動ディスク(64)との間で機能的となるように構成される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態19]
形態18に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記作動ディスク(64)が前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)に回転不可能に結合され、具体的には前記作動ディスク(64)が前記ロッキング機構(20)のロックディスク上に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態20]
形態18または19に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ラッチング要素(60)が、前記ラッチング延長部分側端部を介して、前記ラッチング延長部分(56)上に構成されるラッチング歯部(58)の中に係合され、具体的には前記ラッチング延長部分側端部(62)が弾性ラッチングアームとして具体化される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態21]
形態20に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ラッチング歯部(58)が、前記ラッチング延長部分(56)の連動中にのみ前記ラッチング延長部分(56)を基準として前記ロックピン(40)の抜き取り方向(70)において、さらには前記ラッチング歯部(58)の一部分の上を移動させることにより前記抜き取り方向(70)とは反対の方向において、前記ラッチング要素(60)を変位可能にするように、設計される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態22]
形態21に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記停止状態において、前記ラッチング延長部分(56)が、前記保持開口部(42)から前記ロックピン(40)を取り外すまで前記抜き取り方向(70)に変位させられる、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態23]
形態21または22に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記解放状態において、前記ラッチング延長部分(56)が変位させられないか、または前記ロックピン(40)を前記保持開口部(42)の中に配置することになる範囲での最大の程度までは前記抜き取り方向(70)に変位させられる、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態24]
形態18から23までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ラッチング要素(60)が作動ディスク側端部(66)を介して前記作動ディスク(64)の作動用形状部分(67)に当接され、具体的には前記ラッチング要素(60)が前記作動ディスク(64)の方向にばね付勢される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態25]
形態24および形態21から23までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記作動用形状部分(67)が、前記作動用形状部分(67)により前記ラッチング延長部分(56)を基準として前記ラッチング要素(60)を変位可能とするように、具体化される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態26]
形態25に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記作動用形状部分(67)が所定の回転数に適合する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態27]
形態18から26までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ラッチング延長部分(56)および前記ラッチング要素(60)が、前記ベルトリール(14)を基準として移動不可能であるハウジング(69)内に配置され、具体的には前記ラッチング延長部分(56)および前記ラッチング要素(60)が実質的に平行に延在する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態28]
形態11に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記カウンティング機構(33)が、前記爪(38)から離れた前記ロックピン(40)の端部上に配置されるロックピン延長部分(72)と、接触面(74)と、切り離し用ディスク(76)とを有し、前記ロックピン延長部分(72)が前記接触面(74)に当接される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態29]
形態28に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記接触面(74)および前記切り離し用ディスク(76)が前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)に回転不可能に結合され得、具体的には前記接触面(74)および前記切り離し用ディスク(76)が前記ロッキング機構(20)のロックディスク上に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態30]
形態28または29に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記切り離し用ディスク(76)が前記ロックピン延長部分(72)の延在方向において前記接触面(72)から一定の離間距離のところにある、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態31]
形態28から30までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ロックピン延長部分(72)が前記接触面(74)の方向にばね付勢される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態32]
形態28から31までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記切り離し用ディスク(76)が、前記切り離し用ディスク(76)を基準として前記ロックピン(40)が移動させられるときに前記ロックピン延長部分(72)からの1セグメント(77)を分離することを目的として具体化される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態33]
形態32に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記セグメント(77)がノッチ(78)により前記ロックピン延長部分(72)内に画定され、前記分離が好適には前記ノッチ(78)の領域内で実施される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態34]
形態32または33に記載のベルトリトラクタ(10)において、1つまたは複数のセグメント(77)が停止状態で分離され、その結果、前記ロックピン(40)が前記保持開口部(42)から取り外される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態35]
形態32から34までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記解放状態ではセグメント(77)が分離されないかまたは非常に少ないセグメント(77)しか分離されず、その結果、前記ロックピン(40)が前記保持開口部(42)内に配置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態36]
形態11に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記カウンティング機構(33)が、前記トーションロッド(28)と実質的に同軸となるように配置されて前記トーションロッド(28)の前記ロッキング機構側端部(26)に回転不可能に接続されるトリガーディスク(80)を有し、前記トリガーディスク(80)が保持面(82)を備え、前記保持面(82)が前記トーションロッド(28)の周りを実質的に延在し、前記停止機構(22)の前記解放状態において、前記爪(38)から離れた前記ロックピン(40)の端部が前記保持面(82)に当接され、前記トリガーディスク(80)が前記保持面(82)を中断する窪み(84)を有し、前記窪み(84)の中に、前記爪(38)から離れた前記ロックピン(40)の前記端部が前記停止状態において係合される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態37]
形態36に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記保持面(82)が、実質的に、290°から310°の間で、また具体的には298°から302°の間で、前記トーションロッド(28)の周りを延在し、および/または前記窪み(84)が、実質的に、50°から70°の間で、また具体的には58°から62°の間で、前記トーションロッド(28)の周りを延在する、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態38]
形態36または37に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ロックピン(40)が前記トリガーディスク(80)の方向においてプレストレスを与えられ、具体的にはばね(86)によりプレストレスを与えられる、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
[形態39]
形態36から38までのいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(10)において、前記ロックピン(40)が前記トーションロッド(28)に実質的に平行に延在し、前記ベルトリール(14)上に設置される、ことを特徴とする、ベルトリトラクタ(10)。
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