(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】仮想現実シーンにおいてパスワードを入力するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04815 20220101AFI20220405BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20220405BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20220405BHJP
【FI】
G06F3/0481 150
G06F3/01 570
G06F21/31
(21)【出願番号】P 2019525010
(86)(22)【出願日】2018-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2018086273
(87)【国際公開番号】W WO2018205968
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2019-07-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】201710335059.X
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520015461
【氏名又は名称】アドバンスド ニュー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】ジエ・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】ジアジア・リ
【合議体】
【審判長】角田 慎治
【審判官】林 毅
【審判官】野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-526237(JP,A)
【文献】特表2008-527528(JP,A)
【文献】特開2014-010663(JP,A)
【文献】特開2015-75789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/0481
G06F21/31
G06F3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実装された方法であって、前記方法は、
VRデバイスのユーザのために仮想現実(VR)シーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示するステップであって、前記インタラクティブ入力インターフェースは全体入力のために使用される複数の入力ユニットを備え、前記複数の入力ユニットのうちの各入力ユニットは1つ以上の入力要素を備え
、前記複数の入力ユニットのうちの少なくとも一部の前記入力ユニットは2つ以上の入力要素を備える、仮想現実(VR)シーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示するステップと、
前記VRシーン内のユーザシーン焦点が前記複数の入力ユニットのうちの選択された入力ユニット上にあると決定するステップと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の移動軌道が入力条件を満たすと決定するステップであって、前記移動軌道は円形軌道、正方形軌道、三角形軌道、および所定のグラフィックの少なくとも1つを含む、前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の移動軌道が入力条件を満たすと決定するステップと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の前記移動軌道が前記入力条件を満たすと決定したときに、前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット内の前記入力要素
の全てを入力パスワードの一部として使用するステップとを含む、
コンピュータに実装された方法。
【請求項2】
前記入力要素は、数字、文字または画像のうちの少なくとも1つを含み、前記入力パスワードは複数のセグメントに分割され、前記複数のセグメントのうちの各セグメントは単一のインタラクションを通して入力される、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項3】
前記VRシーン内に前記インタラクティブ入力インターフェースを提示するステップは、
所定の配列順序に基づいて、前記全体入力のために使用される前記複数の入力ユニットを前記VRシーン内の3次元空間内に提示するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項4】
前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の前記移動軌道が前記入力条件を満たすと決定するステップは、
前記移動軌道が前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット内の全ての前記入力要素を囲む円形軌道であると決定することを含み、前記円形軌道は時計回り、または反時計回りである、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項5】
前記方法は、
パスワード入力プロセスにおいて、前記ユーザが前記複数の入力ユニットのうちの少なくとも2つの入力ユニットを選択することを識別するステップと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記少なくとも2つの入力ユニットの入力要素を取得するステップと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記少なくとも2つの入力ユニットを取得する順序に基づいて、前記複数の入力ユニットのうちの前記少なくとも2つの入力ユニットの前記入力要素を結合し、前記入力パスワードを取得するステップと、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項6】
前記ユーザシーン焦点は、ユーザの凝視焦点、または前記VRデバイスの入力デバイスを使用することによって制御されるデバイス制御焦点を含み、前記複数の入力ユニットのうちの各入力ユニットは、少なくとも3つの入力要素を含む、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項7】
コンピュータシステムによって操作を実行するために実施され得る1つ以上の命令を記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記操作は、
VRデバイスのユーザのために仮想現実(VR)シーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示することであって、前記インタラクティブ入力インターフェースは全体入力のために使用される複数の入力ユニットを備え、前記複数の入力ユニットのうちの各入力ユニットは1つ以上の入力要素を備え
、前記複数の入力ユニットのうちの少なくとも一部の前記入力ユニットは2つ以上の入力要素を備える、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示することと、
前記VRシーン内のユーザシーン焦点が前記複数の入力ユニットのうちの選択された入力ユニット上にあると決定することと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の移動軌道が入力条件を満たすと決定することであって、前記移動軌道は円形軌道、正方形軌道、三角形軌道、および所定のグラフィックの少なくとも1つを含む、前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の移動軌道が入力条件を満たすと決定することと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の前記移動軌道が前記入力条件を満たすと決定したときに、前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット内の前記入力要素
の全てを入力パスワードの一部として使用することと、を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記入力要素は、数字、文字または画像のうちの少なくとも1つを含み、前記入力パスワードは複数のセグメントに分割され、前記複数のセグメントのうちの各セグメントは単一のインタラクションを通して入力される、請求項7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記VRシーン内に前記インタラクティブ入力インターフェースを提示することは、
所定の配列順序に基づいて、前記全体入力のために使用される前記複数の入力ユニットを前記VRシーン内の3次元空間内に提示することを含む、請求項7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の前記移動軌道が前記入力条件を満たすと決定することは、
前記移動軌道が前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット内の全ての前記入力要素を囲む円形軌道であると決定することを含み、前記円形軌道は時計回り、または反時計回りである、請求項7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記操作は、
パスワード入力プロセスにおいて、前記ユーザが前記複数の入力ユニットのうちの少なくとも2つの入力ユニットを選択することを識別することと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記少なくとも2つの入力ユニットの入力要素を取得することと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記少なくとも2つの入力ユニットを取得する順序に基づいて、前記複数の入力ユニットのうちの前記少なくとも2つの入力ユニットの前記入力要素を結合し、前記入力パスワードを取得することと、をさらに含む、請求項7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記ユーザシーン焦点は、ユーザの凝視焦点、または前記VRデバイスの入力デバイスを使用することによって制御されるデバイス制御焦点を含み、前記複数の入力ユニットのうちの各入力ユニットは、少なくとも3つの入力要素を含む、請求項7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
コンピュータに実装されたシステムであって、前記システムは、
1つ以上のコンピュータと、
1つ以上のコンピュータメモリデバイスであって、前記1つ以上のコンピュータと相互操作可能に連結され、前記1つ以上のコンピュータによって実施されるときに1つ以上の操作を実行する1つ以上の命令を記憶している、有形の非一時的な機械可読媒体と、を含み、
前記操作は、
VRデバイスのユーザのために仮想現実(VR)シーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示することであって、前記インタラクティブ入力インターフェースは全体入力のために使用される複数の入力ユニットを備え、前記複数の入力ユニットのうちの各入力ユニットは1つ以上の入力要素を備え
、前記複数の入力ユニットのうちの少なくとも一部の前記入力ユニットは2つ以上の入力要素を備える、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示することと、
前記VRシーン内のユーザシーン焦点が前記複数の入力ユニットのうちの選択された入力ユニット上にあると決定することと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の移動軌道が入力条件を満たすと決定することであって、前記移動軌道は円形軌道、正方形軌道、三角形軌道、および所定のグラフィックの少なくとも1つを含む、前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の移動軌道が入力条件を満たすと決定することと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の前記移動軌道が前記入力条件を満たすと決定したときに、前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット内の前記入力要素
の全てを入力パスワードの一部として使用することと、を含む、コンピュータに実装されたシステム。
【請求項14】
入力要素は、数字、文字または画像のうちの少なくとも1つを含み、前記入力パスワードは複数のセグメントに分割され、前記複数のセグメントのうちの各セグメントは単一のインタラクションを通して入力される、請求項13に記載のコンピュータに実装されたシステム。
【請求項15】
前記VRシーン内に前記インタラクティブ入力インターフェースを提示することは、
所定の配列順序に基づいて、前記全体入力のために使用される前記複数の入力ユニットを前記VRシーン内の3次元空間内に提示することを含む、請求項13に記載のコンピュータに実装されたシステム。
【請求項16】
前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット上の前記ユーザシーン焦点の前記移動軌道が前記入力条件を満たすと決定することは、
前記移動軌道が前記複数の入力ユニットのうちの前記選択された入力ユニット内の全ての前記入力要素を囲む円形軌道であると決定することを含み、前記円形軌道は時計回り、または反時計回りである、請求項13に記載のコンピュータに実装されたシステム。
【請求項17】
前記操作は、
パスワード入力プロセスにおいて、前記ユーザが前記複数の入力ユニットのうちの少なくとも2つの入力ユニットを選択することを識別することと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記少なくとも2つの入力ユニットの入力要素を取得することと、
前記複数の入力ユニットのうちの前記少なくとも2つの入力ユニットを取得する順序に基づいて、前記複数の入力ユニットのうちの前記少なくとも2つの入力ユニットの前記入力要素を結合し、前記入力パスワードを取得することと、をさらに含む、請求項13に記載のコンピュータに実装されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はネットワーク技術の分野に関し、詳細には、仮想現実(VR:virtual reality)シーンにおいてパスワードを入力するための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
VRは、仮想世界を生み出し、体感するために使用することができるコンピュータシミュレーションシステムである。VRは、コンピュータを使用することによって、シミュレートされた環境を生成し、マルチソース情報統合(multi-source information integration)、インタラクティブ3次元動体視力およびエンティティ挙動からなるシステムシミュレーションであり、ユーザがその環境内に没入できるようにする。現在、VR技術は、ゲーム、産業およびショッピング等の数多くの分野において広く使用されている。いくつかの適用例のシナリオでは、パスワードを入力する必要がある。例えば、VRシーンにおいていくつかの機能が有効にされるとき、パスワード検証を実行することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存の技術においてパスワードを入力するための方法は、以下のようなものとすることができる。VRシーン内のユーザの前に仮想キーボードが提示され、或る時間より長い時間にわたってユーザの凝視焦点がキーボード上の或る文字にとどまる場合に、その文字の入力が指示される。しかしながら、その方法の不利な点は、誤操作が起こりやすいことであり、例えば、ユーザが考えごとをしているとき、またはVRデバイスを外すプロセスにおいて、ユーザの焦点が或る仮想キーに偶然にとどまるときに、誤操作が起こりやすいことである。さらに、その方法では、パスワードの入力時間が長い。ユーザのパスワードが相対的多くの文字を含むとき、ユーザは何度も入力を実行する必要がある。さらに、ユーザは、入力をトリガする前に、或る特定の時間にわたって或る仮想キーに焦点を合わせておく必要があるので、凝視時間決定しきい値が相対的に短い場合には、誤操作の確率が相対的に高くなり、あるいは、凝視時間決定しきい値が相対的に長い場合には、入力プロセスが相対的に遅くなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これを考慮して、本出願は、パスワードを迅速かつ正確に入力できるような、仮想現実(VR)シーンにおいてパスワードを入力するための方法およびデバイスを提供する。
【0005】
本出願は、以下の技術的解決策を使用することによって実現される。
【0006】
第1の態様によれば、VRシーンにおいてパスワードを入力するための方法が提供され、その方法は、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示することであって、インタラクティブ入力インターフェースは全体入力のために使用される複数の入力ユニットを含み、各入力ユニットは少なくとも1つの入力要素を含む、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示することと、VRシーン内のユーザシーン焦点が入力ユニットのうちの1つに配置され、その入力ユニット上でユーザシーン焦点が焦点移動を実行したと決定することと、焦点移動の移動軌道が入力条件を満たすと決定したときに、入力ユニット内の全ての入力要素を入力パスワードの一部として使用することを決定することとを含む。
【0007】
第2の態様によれば、VRシーンにおいてパスワードを入力するためのデバイスが提供され、そのデバイスは、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示するように構成されるインターフェース提示モジュールであって、インタラクティブ入力インターフェースは全体入力のために使用される複数の入力ユニットを含み、各入力ユニットは少なくとも1つの入力要素を含む、インターフェース提示モジュールと、VRシーン内のユーザシーン焦点が入力ユニットのうちの1つに配置され、その入力ユニット上でユーザシーン焦点が焦点移動を実行したと決定するように構成される焦点識別モジュールと、焦点移動の移動軌道が入力条件を満たすと決定したときに、入力ユニット内の全ての入力要素を入力パスワードの一部として使用することを決定するように構成される入力決定モジュールとを含む。
【0008】
第3の態様によれば、VRデバイスが提供され、そのVRデバイスは、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行することができるコンピュータ命令とを含み、プロセッサは、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示するステップであって、インタラクティブ入力インターフェースは全体入力のために使用される複数の入力ユニットを含み、各入力ユニットは少なくとも1つの入力要素を含む、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示するステップと、VRシーン内のユーザシーン焦点が入力ユニットのうちの1つに配置され、その入力ユニット上でユーザシーン焦点が焦点移動を実行したと決定するステップと、焦点移動の移動軌道が入力条件を満たすと決定したときに、入力ユニット内の全ての入力要素を入力パスワードの一部として使用することを決定するステップとを実施する命令を実行する。
【0009】
本出願におけるVRシーンにおいてパスワードを入力するための方法およびデバイスによれば、インタラクティブ入力インターフェース内のユーザのインタラクティブアクションを使用することによって、入力要素の選択が決定される。既存の技術における、凝視に基づく選択方法と比べて、誤操作確率を下げることができ、パスワードを正確に入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本出願の一実施態様による、パスワード入力インターフェースを示す概略図である。
【
図2】本出願の一実施態様による、パスワード入力を示すフローチャートである。
【
図3】本出願の一実施態様による、パスワード入力インタラクション方法を示す概略図である。
【
図4】本出願の一実施態様による、VRシーンにおいてパスワードを入力するためのデバイスを示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
徐々に発展しながら、仮想現実(VR)技術は、ゲーム、産業およびショッピング等の数多くの分野において広く使用されている。さらに、シナリオによっては、パスワードを入力する必要がある。一例としてVRショッピングが使用される。以前の方法は以下の通りである。ユーザがVR環境において製品を視認し、製品を選択した後にモデルを記憶し、VRグラスを外し、その製品をコンピュータまたはモバイルフォン上で購入する。その場合、VRは製品を表示するための1つの方法にすぎない。ユーザ操作を容易にし、ユーザ体感を改善するために、VR環境において支払いも直接実行することができる。それゆえ、VR環境において支払いが実行されるときに、パスワード入力を伴う。本出願は、VRシーンにおいてパスワードを入力するための方法を提供する。しかしながら、VRショッピングはパスワード入力の1つの適用例にすぎず、その方法は別のシナリオにも適用することができる。
【0012】
VRシーンは、3次元コンピュータ技術を使用することによってシミュレートされる仮想3次元空間世界であり、操作者がVRソフトウェアおよびハードウェアを使用することによって没入体感を有することができ、操作を完了することができるように、視覚シミュレーション環境、聴覚シミュレーション環境、触覚シミュレーション環境および他の感覚シミュレーション環境を統合する。本出願の解決策では、VRシーンの3次元空間内にインタラクティブ入力インターフェースを提示することができる。インタラクティブ入力インターフェースは、ここでは、少なくとも2つの特徴を有することができる。第一に、そのインターフェースはパスワード入力のために使用され、それゆえ、入力インターフェースと呼ばれる。第二に、そのインターフェースはインタラクティブであり、すなわち、ユーザはそのインターフェースにおいて操作を実行することができ、そのインターフェースはユーザの操作を取得し、対応する操作意図を識別することができる。
【0013】
一例として、6桁パスワードの入力が使用される。
図1を参照すると、6桁パスワード(例えば、199320)の入力を実施するために、複数の入力ユニットを含むインタラクティブ入力インターフェース11をVRシーン内に表示することができ、例えば、インタラクティブ入力インターフェース11は、入力ユニット12、入力ユニット13等を含むことができる。一例において、入力ユニットがVR3次元空間内に提示されるとき、入力ユニットは、所定の配列順序に基づいて表示することができる。例えば、
図1に示されるように、入力ユニットは、000から999までの昇順に表示することができる。しかしながら、
図1の配列順序には限定されず、自分が入力するつもりである対象の数字をユーザが迅速に見つけるのを助けることができる順序に基づいて、入力ユニットを配列することができる。
【0014】
パスワードを入力するとき、ユーザは、インタラクティブ入力インターフェース内の入力ユニットを使用することによって、インタラクティブ操作を実行することができ、全体入力のために各入力ユニットを使用することができる。一例として、入力ユニット12が使用される。ユーザが入力ユニット12を選択する場合には、ユーザは一度に3桁「000」を入力することができる。ユーザが入力ユニット13を選択する場合には、ユーザは一度に3桁「102」を入力することができる。すなわち、各入力ユニット内の全ての入力要素を、全体入力を通してパスワードの一部として使用することができる。
【0015】
図1に示される例において、入力ユニット内の全ての入力要素が数字である。別の例では、入力要素はAまたはb等の文字とすること、または画像もしくは他の形態とすることができる。さらに、
図1の例では、1つの入力ユニットが3つの入力要素を含む。別の例では、各入力ユニットが少なくとも1つの入力要素を含むことができる。一例として、
図1における6桁パスワードがさらに使用される。各入力ユニット内には2桁を設定することができ、またいくつかの入力ユニットでは2桁を含み、いくつかの入力ユニットでは3桁を含み、さらには、いくつかの入力ユニットでは4桁を含む。本出願の一例において、入力ユニット内の入力要素の形態または数量は、厳密には限定されない。しかしながら、1つの入力ユニット内に少なくとも2つの入力要素が存在するとき、ユーザは入力中に一度に少なくとも2つの要素を入力することができ、それにより、1桁ずつパスワードを入力するための方法と比べて、入力効率を改善することができる。
【0016】
インタラクティブ入力インターフェースは、本出願においてパスワードを入力するためのデバイスによって表示することができる。一例において、パスワードを入力するためのデバイスは、ソフトウェアの形で実現することができる。そのデバイスはさらに、ユーザとインタラクティブ入力インターフェースとの間のインタラクションを識別することができ、そのインタラクションに基づいて、パスワード入力を実施することができる。
図2は、本例においてパスワードを入力するためのデバイスによって実行されるパスワード入力手順を示す。その手順は以下のステップを含むことができる。
【0017】
ステップ201において、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示する。
【0018】
例えば、
図1に示されるように、VR3次元空間内に複数の入力ユニットを提示することができる。
【0019】
ステップ202において、VRシーン内のユーザシーン焦点が入力ユニットのうちの1つに配置され、その入力ユニット上でユーザシーン焦点が焦点移動を実行することを識別する。
【0020】
本ステップにおいて、VRシーン内のユーザシーン焦点はユーザの凝視焦点とすることまたはVR入力デバイスを使用することによって制御されるデバイス制御焦点とすることができる。例えば、凝視焦点はVRシーン内に描かれるドット、例えば、
図1の焦点14とすることができる。ドットはユーザの凝視焦点を表す。焦点14は最初に3次元空間内のランダムな場所に合わせることができ、ユーザは、首を横に振る、顔を上げる、下げる等によって焦点を動かすことができる。別の例の場合、いくつかの専用VRデバイスによって提供されるマッチングハンドルまたはコントローラ等の入力デバイスを使用することによって、ユーザが焦点14を動かすように制御することができる。
【0021】
ユーザは、凝視することを通して、または入力デバイスを使用することによって、焦点14を入力ユニットのうちの1つに配置されるように制御することができ、その入力ユニット上で焦点移動を実行するようにユーザシーン焦点をさらに制御することができる。ここで、複数の焦点移動方法が存在することができ、例えば、焦点を時計回りに、もしくは反時計回りに回すように制御すること、または入力ユニットを囲むように所定のグラフィックを描くことができる。焦点移動方法に制限は課せられない。
【0022】
しかしながら、本ステップにおいて、ユーザシーン焦点が入力ユニットのうちの1つに配置されることは、以下のようなものとすることができる。ユーザがパスワード入力プロセスにおいていくつかの要素を入力するつもりであるとき、ユーザは、その要素を含む入力ユニットに焦点を配置する。例えば、ユーザが000を入力するつもりであるとき、ユーザは、凝視することを通して、または入力デバイスを使用することによって、
図1の焦点14を入力ユニット12に配置されるように制御することができる。さらに、ユーザが入力ユニット上で焦点移動を実行する場合には、ユーザが、インタラクティブ移動を通して、パスワードの一部として入力ユニット内の要素を選択し、入力するつもりであることを指示することができる。パスワードを入力するためのデバイスは、インタラクティブ移動を識別することができ、詳細については、以下のステップ203を参照することができる。
【0023】
ステップ203において、焦点移動の移動軌道が入力条件を満たすと決定したときに、入力ユニット内の全ての入力要素を入力パスワードの一部として使用することを決定する。
【0024】
本例において、入力条件を設定することができ、ステップ202の焦点移動軌道が入力条件を満たすとき、ユーザが入力ユニット内の全ての入力要素を入力するつもりであると決定される。例えば、入力条件は、移動軌道が入力ユニット内の全ての入力要素を囲む円軌道であるとすることができる。
図3の一例を参照すると、ユーザは、選択を完了するために、焦点14を時計回りに回すように制御することができる。焦点14が入力ユニット内の「199」を囲むように回るとき、ユーザがパスワードの一部として「199」を入力する必要があると決定することができる。
【0025】
別の例において、入力条件によって制限される焦点移動軌道は、他の形、例えば、正方形軌道および三角形軌道をとることができる。制限は課せられない。
【0026】
さらに、パスワード入力プロセスにおいて、多桁パスワードをいくつかのセグメントに分割することができ、それにより、ユーザは一度のインタラクションを通して1つのセグメントを入力することができる。一例として、6桁パスワードが使用される。パスワードが199320であると仮定する。パスワードを2つの3桁番号:「199」および「320」に分割することができる。2つの3桁番号はいずれも、
図1の例の入力ユニットを使用することによって見つけ、選択し、入力することができる。代替的には、パスワードは、3つの2桁番号:「19」、「93」、「20」に分割することができるとともに、3つの番号がインタラクティブ入力インターフェース内に表示され、VR3次元空間内の表示は2桁番号を含む入力ユニットを含むことができる。すなわち、
図1の各入力ユニットを、「00」、「01」または「02」等の2桁番号を含むユニットに置き換えることができるか、またさらにユーザが、自分が入力するつもりであるパスワード内容を含む入力ユニットを見つけることができるなら、いくつかの入力ユニットは2桁番号(例えば、「19」、「02」)を含み、いくつかの入力ユニットは3桁番号(例えば、「338」または「390」)を含むことも可能である。
【0027】
一例として、パスワード199320の入力がさらに使用される。本出願のパスワードを入力するためのデバイスは、ユーザが少なくとも2つの入力ユニットを選択することを識別することができ、少なくとも2つの入力ユニット内の全ての入力要素を取得することができる。パスワードを入力するためのデバイスは、少なくとも2つの入力ユニットの取得する順序に基づいて、全ての入力要素を結合し、入力パスワードを取得することができる。例えば、ユーザが最初に「199」を選択し、その後、「320」を選択する場合には、その順序に基づいて、パスワード「199320」を取得することができる。ユーザが移動軌道を使用することによって最初に「320」を入力し、その後、「199」を入力する場合には、取得されたパスワードは「320199」である。
【0028】
本例におけるパスワードを入力するための方法において、入力要素の選択は、インタラクティブ入力インターフェースにおけるユーザのインタラクティブアクションを使用することによって決定される。既存の技術における、凝視に基づく選択方法と比べて、誤操作確率を下げることができ、パスワードを正確に入力することができる。さらに、各入力ユニットは少なくとも1つの入力要素を含むので、パスワードをより迅速に入力することができる。さらに、凝視に基づく選択方法における長時間の凝視と比べて、インタラクティブ選択および入力方法では、入力プロセスの速さも改善することができる。本例のパスワードを入力するための方法では、ユーザシーン焦点は凝視焦点またはデバイス制御焦点とすることができるので、その方法は、入力デバイスを用いるVRシーンおよび入力デバイスを用いないVRシーンの両方に適用可能であり、適用範囲が相対的に広いことにさらに留意する価値があるはずである。
【0029】
図2に示される手順におけるステップの実行順序は、フローチャート内の順序には限定されない。さらに、それらのステップの説明は、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせの形で実現することができる。例えば、当業者は、ソフトウェアコードの形で実施することができ、そのコードは、それらのステップに対応する論理機能を実施することができるコンピュータ実行可能命令とすることができる。それらの説明がソフトウェアの形で実施されるとき、実行可能命令は、メモリに記憶し、デバイス内のプロセッサによって実行することができる。
【0030】
例えば、その方法に対応して、本出願はまた、VRデバイスを提供する。そのデバイスは、プロセッサと、メモリと、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行することができるコンピュータ命令とを含むことができる。プロセッサは、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示するステップであって、インタラクティブ入力インターフェースは全体入力のために使用される複数の入力ユニットを含み、各入力ユニットは少なくとも1つの入力要素を含む、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示するステップと、VRシーン内のユーザシーン焦点が入力ユニットのうちの1つに配置され、その入力ユニット上でユーザシーン焦点が焦点移動を実行したと決定するステップと、焦点移動の移動軌道が入力条件を満たすと決定したときに、入力ユニット内の全ての入力要素を入力パスワードの一部として使用することを決定するステップとを実施する命令を実行する。
【0031】
本出願は、VRシーンにおいてパスワードを入力するためのデバイスをさらに提供する。
図4に示されるように、パスワードを入力するためのデバイスは、インターフェース提示モジュール41と、焦点識別モジュール42と、入力決定モジュール43とを含むことができる。
【0032】
インターフェース提示モジュール41は、VRシーン内にインタラクティブ入力インターフェースを提示するように構成され、インタラクティブ入力インターフェースは全体入力のために使用される複数の入力ユニットを含み、各入力ユニットは少なくとも1つの入力要素を含む。
【0033】
焦点識別モジュール42は、VRシーン内のユーザシーン焦点が入力ユニットのうちの1つに配置され、その入力ユニット上でユーザシーン焦点が焦点移動を実行したと決定するように構成される。
【0034】
入力決定モジュール43は、焦点移動の移動軌道が入力条件を満たすと決定したときに、入力ユニット内の全ての入力要素を入力パスワードの一部として使用することを決定するように構成される。
【0035】
一例において、入力決定モジュール43は、移動軌道が入力ユニット内の全ての入力要素を囲む円軌道であると決定したときに、焦点移動の移動軌道が入力条件を満たすと決定するように構成される。
【0036】
一例において、入力決定モジュール43は、パスワード入力プロセスにおいて、ユーザが少なくとも2つの入力ユニットを選択することを識別し、少なくとも2つの入力ユニット内の全ての入力要素を取得し、少なくとも2つの入力ユニットによって入力要素を取得する順序に基づいて全ての入力要素を結合し、入力パスワードを取得するようにさらに構成される。
【0037】
一例において、ユーザシーン焦点は、ユーザの凝視焦点を含むか、またはVR入力デバイスを使用することによって制御されるデバイス制御焦点を含む。
【0038】
上記の実施態様において説明される装置またはモジュールは、コンピュータチップまたは実在物(entity)によって実現すること、または或る特定の機能を有する製品によって実現することができる。典型的な実施態様のデバイスはコンピュータであり、コンピュータは、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、セルラー電話、カメラフォン、スマートフォン、携帯情報端末、メディアプレーヤ、ナビゲーションデバイス、電子メール送信/受信デバイス、ゲームコンソール、タブレットコンピュータ、ウェアラブルデバイス、またはこれらのデバイスの任意の組み合わせとすることができる。
【0039】
説明を容易にするために、上記の装置は、機能に基づいて、装置を様々なモジュールに分割することによって説明される。当然、本出願が実施されるとき、モジュールの機能は、同じソフトウェアおよび/またはハードウェアの同一のまたは複数の部分において実現することができる。
【0040】
さらに、
図2に示されるパスワード入力手順はまた、コンピュータ可読記憶媒体に含むことができる。その媒体は、パスワード入力制御ロジックに対応する機械可読命令を記憶し、その媒体は命令を実行する処理デバイスに接続することができ、その媒体に記憶される命令は、処理デバイスによって実行することができる。
【0041】
本出願において、コンピュータ可読記憶媒体は複数の形をとることができる。異なる例において、機械可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、記憶ドライブ(ハードディスクドライブ等)、ソリッドステートドライブ、任意のタイプの記憶ディスク(光ディスクまたはDVD等)もしくは類似の記憶媒体、またはそれらのデバイスの組み合わせとすることができる。詳細には、コンピュータ可読媒体は、プログラムを印刷することができる紙または別の適切な媒体とすることもできる。その媒体が使用されるとき、これらのプログラムは電気的に(例えば、光学的に走査することを通して)取得することができ、適切な方法を使用することによって、コンパイルし、解釈し、処理することができ、その後、コンピュータ媒体に記憶することができる。
【0042】
上記の説明は、本出願の実施態様の例示にすぎず、本出願を限定することは意図していない。本出願の趣旨および原理から逸脱することなく行われる、任意の変更形態、同等の代替形態または改善形態が、本出願の保護範囲内に入るべきである。
【符号の説明】
【0043】
11 インタラクティブ入力インターフェース
12 入力ユニット
13 入力ユニット
14 焦点
41 インターフェース提示モジュール
42 焦点識別モジュール
43 入力決定モジュール