(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】構造の基礎
(51)【国際特許分類】
E02D 13/00 20060101AFI20220405BHJP
E02D 27/52 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
E02D13/00 A
E02D27/52 Z
(21)【出願番号】P 2019532749
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2017083909
(87)【国際公開番号】W WO2018115176
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-17
(32)【優先日】2016-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518399243
【氏名又は名称】オルステッド・ウィンド・パワー・エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Orsted Wind Power A/S
【住所又は居所原語表記】Kraftvaerksvej 53,7000 Fredericia,Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】シュプ, ジェンス
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-155808(JP,A)
【文献】特開2011-112429(JP,A)
【文献】特開2014-159674(JP,A)
【文献】米国特許第04119511(US,A)
【文献】特開2001-038360(JP,A)
【文献】特開昭53-087504(JP,A)
【文献】米国特許第04305800(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一領域が第一の電極を形成する側面および土壌に挿入するための遠位端を有する本体と、
前記第一の電極から電気的に絶縁される第二の電極と、を含む、構造の基礎であって、
前記第二の電極は、前記本体の前記側面上に設けられ、
前記第二の電極は、前記第二の電極の全長に渡って、前記本体の前記側面に接触しており、
前記本体は、
前記第二の電極が前記土壌から分離されるように、前記本体が前記土壌に挿入された時に、前記第二の電極と前記土壌との間にギャップを形成するスペース形成物をさらに含むことを特徴とする構造の基礎。
【請求項2】
前記スペース形成物は、窪みを含む、請求項1に記載の基礎。
【請求項3】
前記第二の電極は、前記窪み内に設けられる、請求項2に記載の基礎。
【請求項4】
前記スペース形成物は、前記本体が土壌に挿入される時に、前記土壌を前記第二の電極から排除するための横方向突起部を含む、請求項1~3のいずれかに記載の基礎。
【請求項5】
前記第二の電極は、前記第二の電極と前記第一の電極との間に設けられる絶縁層によって前記第一の電極から電気的に絶縁される、請求項1~4のいずれかに記載の基礎。
【請求項6】
前記第一の電極と第二の電極との間の電界強度の空間分布を調節するために、前記本体の前記側面上に設けられた抵抗被覆をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の基礎。
【請求項7】
流体を前記第二の電極の表面に供給するか、または流体を前記第二の電極の前記表面から排出するための流体ポートをさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の基礎。
【請求項8】
前記第一および前記第二の電極を電源に接続するための端子をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の基礎。
【請求項9】
前記本体は、前記第一の電極として機能するために導電性である、請求項1~8のいずれかに記載の基礎。
【請求項10】
複数の第二の電極をさらに備え、
前記本体は、前記本体が前記土壌に挿入された時に、前記複数の第二の電極の個々の一つと前記土壌との間にギャップを形成するための複数のスペース形成物をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の基礎。
【請求項11】
風から電気を発生するための発電機組立品と、
前記発電機組立品を支持するための請求項1~10のいずれかに記載の基礎をと含む、風力タービン。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の基礎と、
前記土壌内の水を前記第一の電極に引き寄せて、前記本体を前記土壌の中に挿入することを容易にするために、前記第一の電極がカソードであり、前記第二の電極がアノードであるように、電位差を前記第一の電極および前記第二の電極に印加するための電源と、を含む、構造基礎システム。
【請求項13】
前記第二の電極がアノードとして機能するために、前記第二の電極を電源の正端子に接続する工程と、
前記第一の電極がカソードとして機能するために、前記第一の電極を前記電源の負端子に接続する工程と、
前記本体の前記遠位端を前記土壌内に挿入し、前記土壌中の水を前記第一の電極に引き付けるために、電気浸透効果を生成するための電位差を前記第一の電極および前記第二の電極にわたって印加する工程とを含み、それによって前記本体を前記土壌へ挿入することを容易にすることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の基礎を設置する方法。
【請求項14】
前記第二の電極がカソードとして機能するために、前記第二の電極を電源の負端子に接続する工程と、
前記第一の電極がアノードとして機能するために、前記第一の電極を前記電源の正端子に接続する工程と、
前記土壌中の水を前記第一の電極からはじくために、電気浸透効果を生成するための電位差を前記第一の電極および前記第二の電極にわたって印加する工程と、を含む、土壌に挿入された、請求項1~10のいずれか一項に記載の基礎を安定化する方法。
【請求項15】
前記第二の電極がアノードとして機能するために、前記第二の電極を電源の正端子に接続する工程と、
前記第一の電極がカソードとして機能するために、前記第一の電極を前記電源の負端子に接続する工程と、
前記土壌中の水を前記第一の電極に引き付けるために、電気浸透効果を生成するための電位差を前記第一の電極および前記第二の電極にわたって印加する工程と、
前記本体を前記土壌内に動かす工程と、を含む、土壌に挿入された、請求項1~10のいずれか一項に記載の基礎を調整する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造のための基礎(a foundation for a structure)およびそれを設置する方法およびシステムに関する。特に、本発明は、建物、壁、シートパイル壁、洋上構造物、風力タービンなどの支持構造物のために土壌に挿入することができる以下のような構造的基礎に関する。つまり、パイル、管状のパイル、閉じたパイル、モノパイル、バケット基礎、吸引バケット基礎、サクションパイル基礎、吸引ケーソン基礎、吸引アンカー、シートパイル、スパッドキャン、浅いまたは重力ベース基礎、および他の種類の一時的および恒久的な浅いまたは深い基礎である。本発明の基礎は、多くの場合、沖合、深海、および沿岸の場所に関連し、通常高粘土またはシルトの含有量を持つ低透水率の土壌に最も適している。
【背景技術】
【0002】
構造的基礎は、土壌の中へと基礎を移動させるために、一連の軸方向に衝撃をかけるためのパイルハンマーを使用して基礎を地面の中に移動させることによって設置されることが多い。それが移動されるとき、土壌は基礎のパイルによって排除され、それによって周囲の土壌を圧縮し、基礎の本体に沿って軸方向の摩擦力を増加させる。これによって、基礎の軸方向の負荷容量が増大する。しかしながら、基礎を土壌を通して移動させる一方で、せん断力が非常に高いので、いくつかの問題が生じる。まず、パイル移動に必要な高衝撃力は、設置中の不具合を避けるために基礎自体に有意な機械的要件を課すことになる。さらに、衝突によって生成される騒音は極めて高くなりうる。海洋設置の場合、このことは、洋上での生活に対し、特に著しい環境の危険がある。
【0003】
これに関して、海洋構造物の基礎の設置は、海洋生物に対する有害な物理的および動作的影響を引き起こす可能性がある。近年、こうした設置の間に発生した騒音を軽減するために、重要な努力が行われている。例えば、パイル位置から放出される騒音レベルを減少させるために、気泡カーテンがパイル部位の周りに必要とされることがよくある。しかしながら、こうしたノイズ緩和手段の使用により、海外構造物の設置にかなりの費用がかかる。例えば、各パイル位置に対して気泡カーテンを設定する必要がある場合、全体的な設置時間が著しく増加する。さらに、気泡カーテンおよび別個の気泡カーテンベッセルを設けることに関与する費用は非常に重大であり、海上ウインドパークの設置にかなりの費用がかかる。これは、大きな基礎に対する特定の問題であり、大きな寸法の場合、現在の騒音緩和の選択肢が不十分でありえる。
【0004】
上記に対処するために、カソードとして作用する基礎本体に向かって土壌の水を引き寄せることにより、海洋設置におけるパイルの移動抵抗を減少させるために、電気浸透性を使用する研究がなされてきた。基礎本体と周囲の土壌との間の界面における間隙水圧が蓄積し、効果的な応力を低減し、それによって土壌粒子と基礎表面の摩擦を低減する。これは、基礎を地面の下方に移動させるために必要なせん断抵抗を低減することによって潤滑効果を有する。これにより、設置が、より低い数の衝撃および低移動/ハンマーエネルギーで達成され、より迅速な設置が可能となり、雑音問題がより少なくなる。
【0005】
米国特許第4,157,287号明細書は、電気浸透を使用した一つのこうしたパイル移動システムを開示している。米国特許第4,157,287号明細書では、導電性管状のパイルには、その外側側面上に電気絶縁コーティングが設けられ、その内側側面はカソードを形成するために露出されたままである。その後、一つまたは複数のアノードをパイルに隣接して海底に配置し、直流を印加して、水を、パイルの外側を下に、底部の開放端でカソード内部に向かって土壌の中を移動させる。ただし、この配置にはいくつかの問題がある。第一に、米国特許第4,157,287号明細書システムは、パイルに隣接して海底にアノードを設置する必要がある。これは、設置のセットアップ時間および費用を相当に増大させる。第二に、電気浸透効果を達成するための十分な電界強度を生成するために、電極間の長い距離のため、非常に高い電圧が必要とされ、それ自体が危険である。第三に、高電圧のため、短絡を避けるためにパイルの外部全体にわたる電気絶縁の完全性が必須となる。これにより、このシステムで使用するためのこのようなパイルの製造が高価となり、欠陥に対してより耐性が低くなる。実際、これは、この技術が商業的に次の事に頼るにはリスクが大きすぎることを意味する。設置中にコーティングが失敗した場合、気泡カーテンおよびより大きなハンマーが依然として不測の事態としてその位置に必要となる。そのため、潜在的なコスト削減は否定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は従来技術が有する上記問題を対処することを求めたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、側面および土壌への挿入のための遠位端を有する本体であって、前記側面の少なくとも一領域が第一の電極を形成する本体と、前記第一の電極から電気的に絶縁される第二の電極とを含む構造の基礎であって、第二の電極が本体の側面上に設けられ、本体は、本体が土壌に挿入された時に第二の電極と土壌との間のギャップを形成するスペース形成物をさらに含む、構造の基礎が設けられる。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明は、基礎組立品自体が第一および第二の電極を含む配置を提供する。これにより、別個の対電極を海底上にまたは海底中に提供し、設置する必要がなくなり、その代わりに基礎自体を囲む土壌の異なる領域の間に電位差が確立される。故に、電気浸透を誘起し、土壌を通した水のポンピングに効果がある。同時に、基礎の異なる領域間での電位差を確立できるため、電極間の距離は、別個のアノードを持つ従来技術の配置と関連するものよりも著しく短くて局在化されうる。これによって、電気浸透流を誘起するために十分に強い電界を生成する一方で、低電圧が使用されるようになる。そのため、第二の電極がアノードであり、本体がカソードである設置の間、周囲の土壌中の水は本体に引き寄せられ、土壌を軟化させ、その側面上に潤滑膜を形成する。これにより、基礎をより簡単に移動させることができ、第二の電極の周りの脱水土壌の固着がスペース形成物を設けることによって軽減される。
【0009】
実施形態において、スペース形成物は窪み(凹部)を含み、第二の電極は窪み内に設けられる。このようにして、窪みの深さは、土壌内の水が電解質接続を確立するために排出される土壌から第二の電極を分離するためのギャップを作り出す。すなわち、第二の電極がアノードであるように電気が印加されると、ギャップ内の水が土壌内に押され、アノードから遠ざかる。最終的には、これはギャップの真空を引き起こしうる。
【0010】
実施形態において、スペース形成物が、本体が土壌に挿入される時に、土壌を第二の電極から排除するための横方向突起部を含む。このように、土壌は、基礎が下方に移動するにつれて、隆起またはビードなどの突起部によって第二の電極の表面から離れて圧縮される。これにより、土壌内および海底からの水が電解質接続を確立するために排水することができる突起部の遠位前縁の後ろにギャップが生じる。
【0011】
実施形態において、第二の電極が、間に設けられる絶縁層によって第一の電極から電気的に絶縁される。これにより、絶縁層が本体に積層され、第二の電極は積層によって本体から電気的に分離された状態で、基礎本体が一つの材料で形成されることを可能にする。これによって製造を簡略化できる。絶縁層が、第二の電極を第一の電極に固定するための接着剤として設けられうる。例えば、絶縁層は、接着剤の液滴を含む噴霧を用いてスプレーされうる。
【0012】
実施形態において、基礎は、第一の電極と第二の電極との間の電界強度を調節するために、本体の側面上に設けられた抵抗被覆をさらに含む。このように、第二の電極と本体との間の接合部に、直接隣接する領域における過度に高い電界強度の生成を回避しうる。そのため、使用時に、第二の電極に接続された導体は、より少ない電流を搬送する必要がある。したがって、より少ない加熱を受けるため、より小さい断面が設けられうる。同時に、アノードの隣の本体の表面積に向かって過剰量の水の排出も回避される。結果として、抵抗被覆を使用して潤滑効果をもたらしうる。いくつかの実施形態では、抵抗被覆は、第二の電極の近くの電界強度を徐々に軽減するための段階的なものとしうる。例えば、絶縁層がスプレーされる実施形態では、抵抗被覆は、スプレーの密度を段階的にして設けられうる。このように、完全な断熱および完全な導電率の間の滑らかな推移は、噴霧された塗料/接着剤の液滴がだんだん希薄になるようにして提供される。
【0013】
実施形態において、基礎は、流体を第二の電極の表面に供給するため、または流体を第二の電極の表面から排出する流体ポートをさらに含む。このように、設置の移動段階の間に第二の電極がアノードとして機能するとき、流体は第二の電極に供給されて、水が、電極から離れ、土壌内にポンプで送り込まれるとき、電解導電性を維持する。それにより、電位的に真空または非導電性の水蒸気電解空間を残す。流体供給源はまた、第二の電極と土壌との間のギャップを維持し、流体の水クッションを提供するのに役立ちうる。逆に、安定化作業中に第二の電極がカソードとして機能するとき、流体は第二の電極部位から離れて引き出され、排気を通して他の場所に送り出されうる。これにより、第二の電極を囲む土壌中の過剰な軟化を避けることができる。流体ポートは、流体ポートと流体ポンプとの間の流体連通を設けるために、流体パイプシステムに接続されることが好ましい。流体パイプシステムは、基礎の近位端に延伸することが好ましい。流体パイプシステムは、短絡を防止するための電気絶縁穴を含むことが好ましい。設置後、流体ポートおよび配管システムは、グラウトまたは樹脂でシールされて、基礎が周期的負荷を受ける間、水をこの領域まで引き出されるのを阻止することができる。さらに、実施形態では、流体を循環できるように、第二の流体ポートおよび第二の配管システムも設けられうる。これは、電気浸透効果または電気化学的土壌セメント化を最適化するための電解質を循環するために使用することができる。
【0014】
実施形態において、基礎はさらに、第一および第二の電極を電源に接続するための端子を含む。端子は、電源への取り付けのための移動可能な取り付け端部を含むことが好ましい。このように、取り付け端部の移動は、基礎から取り付け点へ伝達される衝撃力を軽減しうる。これに関して、取り付け端部は、例えば、端子材料内に形成されたばね形成部を有することによって、力を軽減するため、弾性的に移動可能でありうる。代替的な配置では、摺動可能な接触が設けられうる。磁石および/または弾性膜が、関連する対抗表面との摺動可能な接触を維持するために使用されうる。
【0015】
実施形態において、本体は第一の電極として機能するため導電性である。このように、基礎本体のバルク材料は、共通の第一の電極を形成しうる。例えば、本体は、本体に接触するエンティティの安全性の問題を最小限に抑えるために、0Vで接地されても良い。
【0016】
実施形態において、基礎は、複数の第二の電極をさらに備える。本体は、本体が土壌に挿入された時に、複数の第二の電極の個々の一つと土壌との間のギャップを形成するための複数のスペース形成物をさらに含む。このように、いくつかの第二の電極が、基礎のより大きな領域にわたる電気浸透効果を生成する基礎の上に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、複数の第二の電極は、使用時に共通の電位を有するように構成される。いくつかの実施形態では、複数の第二の電極は、それぞれの第二の電極が土壌表面の下になるまで、それらの動作を制限するために選択的に活性化されうる。いくつかの実施形態では、複数の第二の電極および関連するスペース形成物は、異なる鉛直方向のレベルで、基礎本体の上に配置されうる。いくつかの実施形態では、複数の第二の電極は、使用時に異なる電位を有するように構成される。例えば、中空の基礎の内側および外側上の電極の電位は、表面間の異なるレベルの潤滑を提供するように調整されうる。例えば、プラグリフト(plug lift)の問題に対処するために、バケット基礎の内部および外部を制御しうる。吸引補助接地段階の間の吸引力が十分に高く、砂層にかぶさる粘土層がバケット内部で持ち上げられるとき、プラグリフトが発生する。これに対処するために、バケットの外側の潤滑は、要求される吸引圧力を低減するためにより高い電位を使用することによって最大化されうる。同時に、バケットの内側に対する潤滑は、プラグが上向きにスライドするのを防止するため、プラグおよびバケット基礎の内側の間に十分な摩擦があるように、より低いレベルで設定されてもよい、または逆に設定されてもよい。
【0017】
実施形態において、本体の遠位端は、内部空洞へ開く開口部を含む。このように、基礎は、開放端の中空本体として設けられうる。すなわち、本体の遠位端でのパイル先端(toe)は、その内側の側面によって画定される基礎の中空の内部に開口部を画定しうる。
【0018】
実施形態において、本体は管状である。例えば、基礎はモノパイルであってもよく、10mまたは20mの長さを超える細長い管状本体を持ちうる。その他の実施形態では、基礎は円形の底面積を有するバケット基礎であってもよい。バケット基礎は、直径4~16メートルおよび鉛直長さ2~30メートル、好ましくは7~12メートルの直径および2~9メートルの貫通深さを持ちうる。本体が中空の空洞を持つ実施形態では、それは内側側面を含みうる。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、風から電気を発生するための発電機組立品と、発電機組立品を支持するための上記による基礎をと含む風力タービンが設けられる。このように、基礎は、風力タービンのベースを設け、風力タービンの発電機組立品のナセルおよびロータが基礎上に支持されてもよい。風車は、例えば海上で設置されてもよい。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、上記の基礎と、土壌内の水を第一の電極に引き寄せて、本体を土壌の中に挿入するのを容易にするために、第一の電極がカソードであり、第二の電極がアノードであるように、電位差を第一および第二の電極に印加するための電源とを含む、構造基礎システムが設けられる。構造基礎システムは、流体を第二の電極に供給するかまたは流体を第二の電極から排出するための第二の電極の表面と流体連通する流体ポンプとをさらに含みうる。
【0021】
本発明のさらなる態様によると、上記の基礎を設置する方法が提供される。その方法は、第二の電極がアノードとして機能するために、第二の電極を電源の正端子に接続する工程と、第一の電極がカソードとして機能するために、第一の電極を電源の負端子に接続する工程と、本体の遠位端を土壌内に挿入し、土壌中の水を第一の電極に引き付けるために、電気浸透効果を生成するための電位差を第一および第二の電極にわたって印加し、それによって本体を土壌へ挿入することを促進する工程と、を含む。このようにして、基礎はより簡単に土壌の中に移動することができる。
【0022】
本発明のさらなる態様によると、上記の基礎を安定化する方法が提供される。その方法は、第二の電極がカソードとして機能するために、第二の電極を電源の負端子に接続する工程と、第一の電極がアノードとして機能するために、第一の電極を電源の正端子に接続する工程と、土壌中の水を第一の電極からはじくために、電気浸透効果を生成するための電位差を第一および第二の電極にわたって印加する工程と、を含む。このようにして、基礎の本体を囲む土壌は、基礎本体と土壌の間のせん断抵抗を強化するために強固にされうる。これにより、基礎を安定化させることができる。実際に、土壌と基礎との間の界面の強度は、通常のレベルに復元されるばかりでなく、追加的な土壌強固の影響によって、界面強度がこれを超えて改善されうる。さらに、この効果はまた、基礎のすぐ近くを越えて延伸してもよい。さらに、安定化プロセスは、設置プロセス中に土壌内で生成された可能性のある酸性度を少なくとも部分的に中和するのにも役立ちうる。つまり、第二の電極がカソードとして作用する状態で、OH-イオンが、設置プロセスから残るH+を中和することができる周囲の土壌内の間隙水で生成される。
【0023】
本発明のさらなる態様によると、土壌に挿入された上記の基礎を調整する方法が提供される。その方法は、第二の電極がアノードとして機能するために、第二の電極を電源の正端子に接続する工程と、第一の電極がカソードとして機能するために、第一の電極を電源の負端子に接続する工程と、土壌中の水を第一の電極に引き付けるために、電気浸透効果を生成するための電位差を第一および第二の電極にわたって印加する工程と、本体を土壌内に動かす工程とを含む。このようにして、基礎は、例えば基礎が土壌から退避することを可能にするように、より簡単に調整され得る。この方法は、例えば、極端な負荷によって移動した基礎をリセットするために、基礎の位置を調整するためにも使用されうる。これは、特に、構造を真っ直ぐにするためのバケットを再水平化するために、摩擦を減少させることによって、バケット基礎に関連してもよい。強力な粘土タイプの土壌において、バケット基礎の再水平化の従来的な方法は、バケットを取り除くために必要な水圧が下の土壌に亀裂をいれるリスクがあったので、非常に困難でありえる。多くの場合、これは傾いたバケット基礎を救済できないことを意味し、バケットはそれを除去するためにマッドラインで切断する必要がある。したがって、本発明の実施形態は、構造が許容限界を超えて傾斜した後に、修正される単一のバケットの上昇を提供する。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、カソードとして作用するための第一の電極領域とアノードとして作用するための第二の電極領域とを含む細長い本体と、パイルが土壌の中に移動されるときに土壌を第二の電極領域から遠ざけて排除するために、細長い本体上に設けられたスペース形成物とを含む、土壌中に移動するパイルが提供される。
【0025】
さらなる発明の配置によれば、基礎が提供される。その基礎は、土壌に挿入するためのベースであって、ベース表面の少なくとも一領域が第一の電極を形成するベースと、第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極とを含む。ベースは、遠位に面した表面上に窪みをさらに含む。窪みが、第二の電極を含み、ベースが土壌に挿入された時に第二の電極と土壌との間にギャップを形成する。このように、電気浸透効果は、重力ベースの基礎またはスパッドキャン(spudcan)などの基礎に設けられうる。重力ベースの基礎は、例えば、横方向の力および横倒しにするモーメントに対して安定性を提供するために、大きな接触面積上に分布した重量に依存する。しかし、過剰な間隙圧力が、やがて、周期的な負荷により、基礎の下に発生しうる。結果として、容易な設置に加えて、本発明の配置で達成された電気浸透効果は、間隙圧力を減少させ、強化される基礎の下の弱い土壌を強固にすることを可能にするために使用されうる。これにより、例えば、より小さな基礎寸法を使用できるか、または設置前に柔らかい土壌を浚渫する必要性を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ここで、本発明の例示的実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態による基礎の断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図2に示す領域の代表を示し、電気力線を示す。
【
図4A】
図4Aは、本発明の実施形態による基礎、システム、および方法を使用して設置される海洋風力タービンの概略図を示す。
【
図4B】
図4Bは、本発明の実施形態による基礎、システム、および方法を使用して設置される海洋風力タービンの概略図を示す。
【
図4C】
図4Cは、本発明の実施形態による基礎、システム、および方法を使用して設置される海洋風力タービンの概略図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の第二の実施形態による基礎の断面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の第三の実施形態による基礎の断面図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の第四の実施形態による基礎の遠位端の領域の断面図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の第五の実施形態による基礎の遠位端の領域の断面図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の第六の実施形態による基礎の遠位端の領域の断面図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の第七の実施形態による基礎の遠位端の領域の斜視図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の第八の実施形態によるパイル基礎の斜視図を示す。
【
図13C】
図13Cは、
図12に示す第八の実施形態の特徴の拡大図を示し、遠位スペース形成物および注流チャネルを示す。
【
図14】
図14は、さらなる実施形態によるコネクタの斜視図を示す。
【
図15】
図15は、代替的な発明の配置の実施形態によるスパッドキャン基礎を持つジャッキアップリグの概略側面図を示す。
【
図17A】
図17Aは、別の実施形態によるスパッドキャン基礎を示し、上部斜視図を示す。
【
図17B】
図17Bは、別の実施形態によるスパッドキャン基礎を示し、底部斜視図を示す。
【
図17C】
図17Cは、別の実施形態によるスパッドキャン基礎を示し、スパッドキャンのセクションの断面概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の第一の実施形態による基礎1の概略断面図を示す。本実施形態では、基礎1は、海洋風力タービン30に対するモノパイルである。基礎1は、水位の上方に風力タービン30を支持するための近位端3と、土壌2に挿入された遠位端5とを有する中空の管状本体4を含む。本体4は、その外側側面8および内側側面9が第一の電極として機能することを可能にするため導電性である。本実施形態では、本体4は、材料全体に導電性を提供するための金属で形成されるが、他の構成が可能である。例えば、他の材料を使用してもよく、および/または、導電性領域を、導電性コーティングを露出した表面に塗布することによって形成してもよい。第一の端子40は、本体4を電源(図示せず)に電気的に接続するための、本体4の近位端3に設けられる。
【0028】
窪み(凹部)6は、本体4の遠位端5に向かって形成され、外側の側面の周りに円周チャネルを設ける。第二の電極7は窪み6内に据え付けられ、配線(図示せず)によって本体4の近位端3で第二の端子41に電気的に接続される。
【0029】
図2は、
図1で識別される領域Aの拡大図を示す。図示されるように、窪み6は、本体の遠位端5に隣接する本体4の外側の側面8の領域に鉛直に延伸する。窪み6は絶縁層10で裏打ちされ、第二の電極7は窪み6内の絶縁層10上に据え付けられ、本体4から電気的に絶縁される。使用時、第二の電極7は、第二の端子41を介して電源に電気的に接続され、それによって、第二の電極7と第一の電極として作用する本体4との間の電位差を確立する。
【0030】
第二の電極7が窪み6内に完全に据え付けられるとき、ギャップ11が、第二の電極の側面と本体4の外側の外側側面8によって画定される平面との間に形成される。窪み6によって形成されるギャップ11は、深さ約0.5cm~1cmであることが好ましい。本体4が土壌2に挿入されると、土壌粒子は本体4によって第二の電極7の表面から排除される。同時に、基礎4の底端5が上の海水から土壌を貫通するので、このギャップ11に水が閉じ込められる。さらに、電界は印加されない一方、周囲の土壌からの間隙水もギャップ内に移動しうる。
【0031】
抵抗被覆領域12は、本体1の外側側面8上に設けられ、第二の電極7の両側面に鉛直に延伸する。抵抗被覆領域12は、本体4と第二の電極7の間に生成された土壌内の電界強度分布を制御する働きをする。つまり、電極に対して電位差が印加される場合、抵抗被覆領域12は、
図3に示す通り、第二の電極7の近傍の電界強度を低減する働きをする。これによって、過度に高い電界強度が、水を気化しうる電極間の小さな距離のため、第二の電極7と本体4との間の接合部に直接隣接する領域において作り出されるのを回避される。いくつかの実施形態では、抵抗被覆12は、抵抗効果を徐々に下げるために、第二の電極からの距離が増加するのに従って段階的でありうる。このように、抵抗を徐々に下げることは、近接のために増大する電界強度を徐々に阻止するために使用され、第二の電極7から延伸するより均一な電界を達成することができる。
【0032】
図3は
図2に基づき、第二の電極7がアノードであり、本体4がカソードである時に発生した電界の概略図を示し、基礎が地面の中を移動した時に印加される極性を反映する。これに関して、設置の移動段階の間、好ましくは約+40V~+400Vの正電圧、および最も好ましくは約+80V未満の正電圧が、第二の電極7に印加される。電圧が+80V未満の電圧では、電圧は有利なことに危険なレベルより低い。同時に、本体4は、それによってカソードとして機能する0V電位を持つことが好ましい。このようにして、本体4自体が電位ゼロであるので、設置中に他体との接触からの安全上の危険は存在しない。すなわち、基礎の帯電領域は、土壌2の下に埋められた第二の電極7で本体の遠位端に分離される。
【0033】
図4A~4Cは、設置される
図1~3の基礎の概略図を示す。
図4Aに示すように、基礎1の本体4は、設置用ベッセル(船舶)15のパイル駆動リグによって配置され、その遠位端5が土壌2にわずかに浸される。第二の電極7が土壌で覆われると、設置用ベッセル15上のDC電源は、第一および第二の端子40および41を通して電位差を印加するために使用されうる。本体4は接地され、およそ+80Vの正電圧が第二の電極7に印加されることが好ましい。これにより、
図3に示す通り、第二の電極7と本体4との間の+80Vの電位差となり、これらの間に土壌を介して電解が生成される。
【0034】
図3に示す電界の効果は、電気浸透効果が土壌内で基礎の周りに誘発されることである。具体的には、土壌内で、負帯電した土壌粒子は、二重層内および/または粒子間の結合していない水域内にある間隙水流体によって囲まれる。電界の印加は、この間隙水の一部分を本体4によって設けられる負に帯電したカソードに向けて移動させる。これにより、本体4の側面8に隣接した土壌中の土壌水分を増加させる効果があり、それによって本体4と土壌2の間の界面を潤滑する。さらに、水は界面に圧迫され、潤滑水膜が界面で形成され、水が、より小さな土壌接触応力の領域に上向きに移動し、それによって上部領域で潤滑効果を加速する。同時に、第二の電極7によって設けられる正に帯電したアノードは、間隙水をそれからはじく働きをする。これにより、周囲の土壌における土壌水分の連続的な減少がもたらされるが、窪み6によって設けられるギャップ11は、この脱水領域が第二の電極7の表面に付着することを回避する。
【0035】
電気浸透効果が確立されると、基礎1は、土壌と本体4の側面との間のせん断抵抗が減少するので、土壌2の中をより簡単に移動することができる。そのため、より小さい数の衝撃および/または小さい衝撃力が、設置の完了に必要とされ、ノイズを低減し、故に、その他の騒音削減対策の必要性を回避する。実際に、特に軟質の粘土を持つ一部の場所では、電気浸透効果は、パイル基礎1を、吸引バケット基礎と類似した荷重バラストのみおよび/または内部吸引を使用して土壌2の中に移動するのに十分でありうる。さらに、バケット基礎については、必要な吸引圧力を減少させることができ、これはより小さな直径の基礎を地面により深く設置することが可能となる。
【0036】
基礎の遠位端5が要求される深さに達したら、
図4Bに示すように、土壌2と本体4の側面との間のせん断抵抗は、電源をオフにすることで回復できる。これにより、電気浸透効果が停止し、その潤滑を減少させることによって基礎を安定化する。しかしながら、この安定化は時間がかかりうる。これは、粘土が非常に低い透過性を持ち、そのため、基礎のとなりの過剰な間隙圧力が、土壌に消散するのに時間がかかりうるからである。したがって、安定化は、本体4がアノードとして作用し、第二の電極7がカソードとして機能するように、電源の極性を一時的に逆転することによってさらに強化されうる。これにより、間隙水が本体4の側面8から遠ざかるように
図3に示す電界を逆にし、それによって、本体4と土壌2との間の界面の接着強度を強化する。
図4Cに示すように、風力タービン30が、次に、基礎1上に設置されてもよい。当然のことながら、この効果は、周期的な負荷の間に蓄積された可能性のある軸方向またはモノパイルの基礎の周りの過剰な間隙圧力を除去するためにも使用されうる。
【0037】
図5は、本発明の第二の実施形態を示す。本実施形態では、基礎1は、ジャケット構造(図示せず)の接続脚部32を支持するためのバケット基礎として設けられる。第二の実施形態は、第一の実施形態と同じ方法で機能し、バケット本体4の側面は、
図1に示す管状のモノパイルの側面に対応する。バケット本体4は、バケットの中空空洞内に開口部を画定するその遠位端5にスカート先端を有する。円周の窪み6は、本体の遠位端5の近くの外側の側面8上に設けられる。第一の実施形態と同様に、第二の電極7は窪み6内に据え付けられる。設置中、本体4は再び接地され、200Vの正電位が第二の電極7に印加され、土壌内の間隙水が本体4に引き付けられ、基礎が土壌2の中へとより簡単に設置されるようになる。
【0038】
図6は、本発明の第三の実施形態を示しており、これは第一の実施形態のように、モノパイルの基礎1に関する。しかしながら、本実施形態では、複数の第二の電極7および関連する窪み形成物6が基礎本体上に設けられ、それぞれが第一の実施形態の
図2および
図3に関連して説明した第二の電極と同様に機能する。
【0039】
この接続において、本実施形態では、本体4の遠位端5に向かって設けられ、外部の側面8および内部の側面9に位置する第二の電極7の第一のセットがある。さらに、本体の鉛直長さの上方に、第二の電極7の第二のセットが設けられており、これは外部の側面8および内部の側面9の両方に設けられる。その他の実施形態では、第二の電極のさらなるセットが、本体の鉛直長さに沿って設けられうることが理解されよう。使用時に、第二の電極は、共通の電位を有するように構成され、故にそれぞれの第二の電極7と接地された本体4との間に電位差が生成され、それによって土壌の隣接する領域に電気浸透効果を生成する。すなわち、第二の電極7の第二のセットがまだ土壌2よりも上方である設置初期段階の間に短絡を回避するために、スイッチが、第二の電極7の第二のセットを電源回路から切断するために設けられうる。このように、第二の電極の第二のセットは、それらが土壌ラインの下方に安全に下方に位置するまで充電されていないままであってもよく、その後、その領域に電気浸透効果を生成するために電源回路に接続されてもよい。設置後、第二の電極7の両セットがカソードとして作用し、および間隙水が本体4のアノードの側面8から離れるように移動するように、基礎が、電源の極性を逆転することによって再び安定化されうる。
【0040】
図6に示すように、
図7を参照しながらさらに詳細に説明すると、第三の実施形態は、流体パイプシステム20をさらに含む。流体パイプシステム20は、流体を第二の電極7から送達および/または排出することを可能にする。これに関して、
図7は、
図6で識別される領域Aの拡大図を示す。図示されるように、流体パイプシステム20は、本体内に形成されたマニホールド、および各第二の電極7の側面に設けられる流体ポート21での開口を介して、本体4の内側側面9の下方に供給される。流体パイプシステム20の内部空洞は、そこを通過する流体を介した短絡回避のために、本体4から電気的に絶縁されている。この電気絶縁は、システム全体を通して延伸する必要はなく、短絡を十分に制限または回避すればよい。本実施形態の流体パイプシステムは一体的に設けられるが、基礎本体の外側に取り付けることもできることが理解されよう。
【0041】
上述のように、基礎の移動中、第二の電極7がアノードとして、本体4がカソードとして作用するとき、間隙水は第二の電極から遠ざかり、本体4の表面に引き寄せられる。これにより、第二の電極7に隣接する土壌2を脱水する効果がある。したがって、本実施形態の流体パイプシステム20を設けることで、ギャップ11および隣接する土壌を再水和するために、水が流体ポート21から供給されることが可能になる。これは、流体パイプシステムの近位端を海水に開くことによって達成され、それによって海水がギャップ11に引き出される。別の方法として、ポンピングシステムが、ギャップ11に水を送達するために設けられてもよい。ギャップ11への水の送達は、第一に、アノードとカソードの間の電解質流体接続を維持し、そのためカソードの本体4への水の電気浸透流を確保するのに役立つ。第二に、ポンプ水はまた、土壌2が基礎本体4上に戻って近づくとき、窪み6によって形成されたギャップ11を維持する働きをする。流体ポート21からの水がない場合、土壌はギャップ11に入りうる。これは、弾性半空間リラクゼーション、アノードから離れて移動する水によって引き起こされる真空効果、周囲のストレス条件のせいでギャップに押し込まれる土壌、非凝集性土壌の場合にギャップに落ちる土壌粒子、電気浸透潤滑効果により、ギャップの下に形成されたスラリーでギャップを埋める土壌、またはギャップの上端が下方に進むにつれて、周囲の土壌表面から削り取られる土壌の一つまたは複数によるものでありうる。したがって、流体ポート21から送り出された水は、アノードでの局所的な固着を回避するのに役立ちうる。いくつかの実施形態では、添加剤が、例えば、その導電率を高めるか、または化学的安定化を提供するために、流体ポート21から送り出される流体の水にさらに導入されてもよい。その他の実施形態では、二つのポートを水および/または電解質を循環するために使用してもよい。ポートはまた、配管システムを密封するためのグラウト(grout)または類似の材料を供給することによって、およびギャップ11内に閉じ込められた残りの水を排除させることによって、設置を完了するために使用されうる。
【0042】
この接続では、流体ポートでの流体の送達は、アノードで発生した酸性度を中和または希釈するために使用されうる。すなわち、電気浸透効果に加えて、電解質はそれぞれアノードおよびカソードで化学的酸化および還元反応をもたらす。可能性のある反応の範囲は、どのイオン種が利用可能であるか、または存在するかに依存する。したがって、調整されたコンディショニング剤の導入は、特定の反応を増強または抑制するために役立ちうる。一例として、不活性電極を有する純水において、H2ガスおよびOH-陰イオンはカソードで生成され、およびO2ガスおよびH+陽イオンはアノードで生成される。電界の結果として、陽イオンおよび陰イオンはそれぞれカソードおよびアノードに向かって移動する。H+陽イオンの可動性が高いため、関連する酸性前面は、一般的に、水酸化物陰イオンによって一掃する場合に比べ、大きい量の土壌を一掃する。土壌中のこの酸性度は、生物活性を減少させ、土壌の電気浸透の透過性を低下させ、基礎自体の腐食を加速させることを含む、いくつかの望ましくない効果を持ちうる。これらの効果に対抗するために、化学的コンディショニング流体を、ポート21からポンプで送り込んで、正に帯電したH+イオンを中和または希釈することができる。さらに、コンディショニング流体は、粘土粒子の表面化学を修正するため、または空孔内でセメントを沈殿させるために選択されうる。そのような変化は、土壌の強度および剛性を増加させることができる。例えば、通常の極性の段階の間、ライムまたは塩化カルシウム溶液は変性剤としてポート21を通して導入されてもよく、逆極性のとき、このようなコンディショナーはケイ酸ナトリウムを含んでセメンテーション反応で沈殿することができる。
【0043】
流体パイプシステム20のさらなる特徴として、流体は第二の電極7から安定化作業において排出されうる。すなわち、上述のように、基礎が必要な深さに達したとき、電源の極性は、カソードとして作用する第二の電極7に水が引き寄せられるように逆転しうる。間隙水がこの領域に移動するにつれて、流体パイプシステム20は、流体ポート21を通して水を引き出すためにポンプ駆動し、システムを上昇して海中に排出させることができる。そのため、基礎1の周囲の土壌を脱水し、安定化することができ、一方で、第二の電極において収集される過剰な水が除去される。
【0044】
流体パイプシステム20のさらなる特徴として、基礎の固定を強化するために、流体ポート21を通してセメント化または硬化材料を送達しうる。例えば、設置の最終段階では、セメント懸濁液は流体ポート21からポンプで送り出されうる。これは、ギャップ11内の水を排除する働きをする場合があり、この水はそうでなければ第二の電極を取り囲む土壌を経時的に軟化させうる。同時に、このセメント懸濁液はまた、周囲の土壌粒子と結合して、基礎に隣接した硬化したセメント状の土壌領域を形成しうる。例えば、接着剤として作用するか、土壌自体の塩分を変化させて粘土強度を増加させる材料が、基礎を固めるために使用されうる。
【0045】
図8および9は、本発明の二つのさらなる実施形態による、基礎の遠位端の一部を示す。これらの実施形態では、その他のスペース形成物6は、第二の電極7から離れて土壌を排除するように利用される。
図8では、本体4の遠位端5は、第二の電極7を据え付けるための凹んだ窪み6を有するテーパプロフィールを持つ。そのため、本体4の主要側面8は、第二の電極7の平面からさらに突出する。
図9では、スペース形成物6は、第二の電極7の遠位にある、溶接されたビードまたは固定隆起として設けられる。
【0046】
図10は、土壌2の半空間リラクゼーションの効果が例示されている、さらなる実施形態による基礎の遠位端の一部を示す。本実施形態では、ビードまたは隆起によるスペース形成物6が流体パイプシステム20と共に使用される。図示されるように、スペース形成物6の遠位前縁は、第二の電極7および本体4の側面8から土壌を排除する働きをする。この排除後、土壌2は基礎に向かって和らぎ、側面8との接触を形成する。図示されるように、本実施形態では、絶縁層10は、流体パイプシステム20の内部空洞内の離れた場所から延伸し、短絡を防止する。絶縁層10はまた、半空間リラクゼーションによって土壌2が基礎4と接触して戻る点を越えて、本体4の側面8上に鉛直に延伸する。この配置は、スペース形成物6によって形成される拡張ギャップ11に排出された間隙水の短絡のリスクを軽減することである。
【0047】
上記実施形態では、第二の電極7およびスペース形成物は、円周方向の配置として設けられてきた。しかし、鉛直構成も可能であり、
図11は一つのこうした配置の斜視図を示す。
図11は、スペース形成物6が本体4の側面8から横方向に突出するブロックとして設けられる基礎本体4の遠位端5を示す。スペース形成物6は、それの後ろに鉛直に延伸する第二の電極7から土壌を排除するための前縁を形成する。第二の電極7は、第二の電極7の周りに境界を形成し、延伸する絶縁層10によって本体4から電気的に分離され、電界強度を調節し、短絡を防止する。前の実施形態と同様に、第二の電極7がアノードを形成するために充電され、本体4がカソードを形成するとき、土壌内の間隙水は本体に引き寄せられ、それによって潤滑液体フィルムを形成する。単一の第二の電極7およびスペース形成物6が、
図11に示されているが、複数の第二の電極7およびスペース形成物6が、電気浸透効果を分散するために、本体4の周囲の周りに設けられてもよく、および/またはその長さに沿って鉛直方向に設けられてもよい。
【0048】
図12は、本発明の第八の実施形態によるパイル基礎4の斜視図を示す。本実施形態では、基礎本体4には、二つのスペース形成物6が設けられており、スペース形成物6aは、本体の遠位端5に設けられており、中間スペース形成物6bは、本体4の軸方向の長さの近位で上方に設けられている。使用時に、スペース形成物6aは、その上方の近位に位置する、鉛直に延伸する第二の電極7aから土壌を排除するための前縁として機能する。同様に、使用時に、中間スペース形成物6bは、その上方の近位に位置する、鉛直に延伸する第二の電極7bから土壌を排除する働きをする。第二の電極7aおよび7bはそれぞれ、コネクタストリップ43を介して基礎本体4の近位端に位置するコネクタ41aおよび41bにそれぞれ接続される。本実施形態では二つの第二の電極が示されているが、その他の実施形態では、それぞれが関連するスペース形成物を有する、二つ以上の第二の電極が設けられてもよいことが理解されよう。
【0049】
以下でさらに詳細に論じるように、本実施形態では、コネクタストリップ43は、第二の電極に電荷、および、一体的に形成された流体管を使用した第二の電極の表面への流体を送るために、絶縁層によって分離された、積み重ねられた(stacked)シート金属ストリップを含む。ただし、金属ストリップは必ずしも積み重ねられる必要はなく、ないことが理解され、別の方法として、異なる深さで終わる基礎本体の下方向に平行なトラックとして設けられうることが理解されよう。
【0050】
さらに、金属ストリップの代わりに、コネクタストリップ43は、ブレードまたは電線を含みうることも理解されるであろう。ストリップ、ブレードまたは電線も、基礎本体の表面上に接着されてもよい。
【0051】
図13Aに示すように、本実施形態では、コネクタストリップ43は、互いに層状になり、かつ基礎本体4から絶縁ストリップ10によって電気的に絶縁される二つのコネクタ層を含む。中間絶縁層10aは、コネクタ層41aおよび41bの間に設けられ、これによって層を互いに電気的に絶縁する。コネクタ41aは、第二の電極7aに電気接点を形成し、コネクタ41bは第二の電極7aに電気接点を形成する。基礎本体4の近位端において、
図13Aに示すように、コネクタ層は、基礎本体から横方向に曲がり、二つの別個の湾曲したコネクタ41aおよび41bを形成する。別個のコネクタは、電源に独立して接続可能であり、それらを介して第二の電極7aおよび7bに印加される電荷が個別に制御されることを可能にする。
【0052】
コネクタ41aおよび41bおよびそれらの関連するコネクタ層はまた、流体を第二の電極7aおよび7bの表面に供給するための流体パイプ20aおよび20bをそれぞれさらに含む。
【0053】
コネクタ41aおよび41bのそれぞれの湾曲した形状により、コネクタの端部と基礎本体4へのアタッチメントとの間のある程度の軸方向の相対的動きを許容するための弾力性のあるバネのような形成物を形成する。そのため、移動段階の間に基礎が影響を受けるとき、ばね形成物によって設けられる弾力性は、コネクタ41aおよび41bを電源と流体ポンプへの接続からせん断する衝撃を回避する。
【0054】
図13Bは、絶縁層10および中間絶縁層10aの上に嵌合され、基礎本体4に固定されたくさび留め金属製形成物として設けられる中間スペース形成物6bを示す。そのため、中間スペース形成物6bはまた、第一の電極の一部として機能し、したがって、移動段階の間にカソードとして作用し、潤滑効果により利益を得る。
【0055】
図13Cは、基礎本体4の遠位端5を示す。遠位スペース形成物6aは遠位端に設けられ、溶接された金属製くさびとして本実施形態で形成される。絶縁層10は、その下の基礎本体およびその上の第二の電極7aを形成する金属ストリップに結合された接着ストリップとして設けられる。絶縁層はまた、塗装またはスプレーされうる。第二の電極7aを形成するコネクタ層は、流体を送達するための流体パイプ20aを形成するチャネルを含む。
【0056】
図12および13に示す実施形態で、複数の第二の電極7およびスペース形成物6をパイル4に沿って鉛直に設けることによって、電気浸透効果はより大きい距離にわたって分布されうる。さらに、第二の電極7aおよび7bを独立して制御することを可能にすることにより、土壌の下に浸すまで第二の電極7bの充電を遅らせることにより、短絡を回避することができる。
【0057】
図14は、本発明のさらなる実施形態によるものであって、
図13Aに示すコネクタ41aまたはコネクタ41bの代替として使用するコネクタ41の斜視図を示す。本実施形態では、コネクタ41は、基礎本体4の外部表面に取り付けられるフレーム47を含む。フレーム4の内部は、基礎本体4の表面上に設けられる接触パッド46に対して導電性接触ブロック45を弾性的に保持する弾性膜44を支持する。故に、接触ブロック45は、接触したままで、接触パッド46の表面上にスライドしてもよい。接触ブロック45は、接触パッド46との接触を維持するのを助けるために、基礎本体に対して引かれる磁石をさらに含みうる。
【0058】
接触パッド46は、基礎本体4から電気的に絶縁され、第二の電極に接続されるコネクタストリップ43に電気的に接続された導電性外側面を含む。接触ブロック45は、電線48を通して電源に電気的に接続される。さらに、流体パイプ20は、流体を、コネクタストリップ43内に埋め込まれた流体チャネル20に送達するために、弾性膜44の内部に供給され、次に、コネクタストリップ43は、流体を第二の電極の表面に供給する。
【0059】
上記の配置では、接触ブロック45は、移動段階の間に接触パッド46に対して弾性的に移動して、コネクタに加えられる衝撃力を軽減することができる。前の実施形態と同様に、これにより、衝撃が、電線48および流体パイプ20を基礎への接続でせん断することを回避する。
【0060】
図15~18は、スパッドキャン基礎の形態の代替的な発明の配置の実施形態を示す。この代替的な発明の配置では、上記の実施形態と同様に、電気浸透を効果的に達成しうる。しかし、スパッドキャンが広い円錐形のベースを持つので、第二の電極は遠位端に設けられ、この本体に対して電気浸透効果を集中させる。スパッドキャンの場合、その下の弱い土壌層に到達するためには、土壌の薄く強い層を貫通して設置し、それにより安全な土壌に達するまで脚を貫通させ続けることが必要とされる場合を除き、設置中に、必ずしも電気浸透効果を使用する必要はない。しかしながら、逆電気浸透効果は、一旦基礎が土壌を強化するために所定の位置にあると、有利に使用され得る。基礎を元に戻す間、効果は土壌と金属基礎本体の間の固着を破壊するためにも使用されてもよく、水が下のギャップに移動し、真空を防止し、かつスパッドキャンの側面を潤滑するのを可能にする。これにより、粘着性土壌からの基礎の取り外しがより簡単になりうる。
【0061】
この接続において、
図15に示すように、各スパッドキャン基礎4は、可動ドリルプラットフォームまたはクレーン付き設置用ベッセルなどのジャッキアッププラットフォーム60を保持するために使用されるジャッキアップ脚51のベースにあるスパッドキャンベースコーン50を含む。モバイルドリルプラットフォーム60によって展開されるとき、スパッドキャンは、十分な深さに海底の中を移動し、プラットフォーム60上の横方向の力に安定性を提供し、プラットフォーム60が水位より上にジャッキアップされることを可能にする。
【0062】
図16は、
図15に示すスパッドキャンの拡大断面図を示す。本実施形態において、ベースコーン50は、例えば、コーンを導電体の金属本体として形成することによって、またはその表面の領域に導電性コーティングを設けることによって、第一の電極として設けられる。第二の電極7は、ベースコーン50の側面に形成された窪み6内に設けられ、第一の電極から絶縁される。抵抗被覆領域12は、窪み6の側面の周りにベースコーン50の表面上に設けられる。前の実施形態と同様に、抵抗被覆領域12は、ベースコーン50と第二の電極7の間に生成された土壌内の電界強度分布を制御し、短絡を防止する働きをする。
【0063】
窪み6は、使用時に水に充填されて、土壌と第二の電極7との間の接触を防止するための水クッションを提供するスペース形成物を設ける。実施形態において、窪み6は、土壌と第二の電極7との間の分離の維持をさらに支援する多孔性非導電性フィラー材料を含みうる。フィラー材料は、例えば、プラスチックスポンジで形成されてもよく、また土壌によって圧縮されるとき、損傷に抵抗するのに十分強く、一方で十分に多孔性であり、流体がそれを通過することを可能にする。水または電解質流体が、供給パイプ20を使用して窪み空洞内に供給されてもよい。逆に、基礎を安定させるために、電極に印加される極性は逆になり、第二の電極7に引き寄せられる水が、流体パイプ20を使用して窪み6から排出されうる。
【0064】
図17A~17Cは、本発明の配置の別の実施形態によるスパッドキャン基礎4を示す。
図17Aおよび17Bは、スパッドキャンの斜視図を示す。本実施形態では、複数のスペース形成物が、ベースコーン50の本体の幅にわたって分布された複数の管6の形態で設けられる。
【0065】
図17Cは、スパッドキャン4のセクションおよび単一の管6の断面概略図を示す。図示されるように、各管6はスパッドキャン本体50を通って鉛直に延伸し、第二の電極7を収容し、故に周囲の土壌から離れるように本体内に凹没する。第二の電極7は、第二の電極の後ろで延伸する絶縁層10によって、スパッドキャン本体50から絶縁される。抵抗層12は、
図17Aおよび17bに示す通り、管6を通して管の開口部を囲む本体の領域上に延伸する。前の実施形態と同様に、抵抗被覆領域12は、第一の電極を設けるスパッドキャン本体の露出した主要表面において、周りの電界を制御および指示するために使用される。グレーチング(grating)52は、管6の遠位端の開口部に設けられ、土壌が内部の穴に入るのを防止する。グレーチング52は、被覆された金属または繊維強化材料で形成されうる。理解される通り、電気浸透効果は、第一の電極と第二の電極との間の電界を生成することによって、上記の実施形態と同じ方法で機能する。有利なことに、本実施形態では、第二の電極を管6の内側穴の上に設けることによって、電界を生成するための大きな表面積が設けられる。同時に、管状電極はまた、所定位置での安定性を改善するための基礎の下から水を排出することができる。そして、スパッドキャンが地上から引き出されると、水が管を通じてスパッドキャンの上方からスパッドキャンの下方のギャップに排水でき、戻し中の吸い込み圧力を防ぐ。その他の実施形態では、管6は上部で閉じ、管から水または電解質を送達または排出するための流体供給源に接続されうることが理解されよう。
【0066】
図18A~18Dは、四つのさらなるスパッドキャン実施形態の断面概略図を示す。これらの実施形態は、
図17Cに示す実施形態の変形であり、ここで第二の電極がスパッドキャン内に埋め込まれる。このようにして、これらの実施例は、本質的に同一の方法で機能し、および対応する参照番号を対応する特徴に使用されている。
【0067】
図18Aに示す実施形態において、管6は電極管7の両側で減少した直径を持つ。これによって、第二の電極7の表面積が管の開口部と比較して最大化され、管直径が電気抵抗を制御するために調整されることが可能となる。
図18Bに示す実施形態では、管6は、土壌が入るのを最小限にするための狭まった遠位開口部で形成され、一方で水が流れることを可能にする。
【0068】
図18Cに示す実施形態では、管状の窪み空洞6は、スパッドキャンの遠位端に形成され、空洞への開口部が非導電性グレーチング52によって覆われ、土壌が入るのを防止する。配管20が、空洞6に水または電解質を送達するためにさらに設けられる。
図18Dに示す実施形態では、管6は、電界を方向付けてスパッドキャンの下に比較的強い場を生成するために、第二の電極7の上方の長く狭いチャネルを含む。
【0069】
理解されるように、本明細書に開示される本発明の配置により、基礎位置で必要とされるセットアップ時間を大幅に伸ばすことなく、基礎が土壌内へ移動するのがより簡単になされる。これにより、コストが削減され、より安定した基礎が得られ、パイル基礎において設置ノイズが軽減されることが可能になる。これは、海洋への適用にとって特に重要である。
【0070】
上述の実施形態は、例示の目的のためにのみ本発明の適用を示すことが理解されよう。実際には、本発明は、多くの異なる構成に適用されてもよく、詳細な実施形態は、当業者にとって実施することが簡単である。
【0071】
例えば、基礎は、土壌と第二の電極との間の分離を維持するためのその他の要素をさらに含むことも理解されるであろう。例えば、スペーサー要素は、水が排水されることを許容するが、土壌粒子が分離した状態を保つために窪み内に設けられてもよい。例えば、グレーチングスクリーンまたはスポンジまたはリブ付き材料が設けられてもよい。さらに、第二の電極の上に土壌ギャップを維持するためにさらなるスペース形成物が設けられてもよく、スペース形成物の組み合わせも使用されてもよい。例えば、スペース突起部が、第二の電極を収容する窪みの遠位前方に設けられてもよく、それによって土壌の分離を高める。
【0072】
さらに、上記の例示的な実施形態のいくつかでは、基礎はモノパイルおよびバケット基礎などの中空体であるが、軸方向のパイルおよびシートパイル、スパッドキャン、およびその他の重力ベース基礎などのその他の基礎も可能である。
【0073】
風力タービンだけでなく、本発明は海洋プラットフォームやシート壁またはドルフィンパイルなどのその他の構造に使用されうる。
【0074】
さらに、上記の例示的実施形態では、システムは設置用ベッセル上に設けられる電源を使用して説明されてきたが、その他の配置が可能であることが理解されよう。例えば、基礎または構造自体に位置する電池または発電機が、電源として使用されうる。これは、例えば、基礎が設置された後の長期間の電気浸透効果を適用するために使用されてもよく、第二の電極は、水をそれから離すよう押しだすことによって基礎本体の周りの土壌の強度を徐々に増加させるためのカソードとして作用する。
【0075】
さらに、本発明は海洋場所を参照して説明してきたが、本発明は、土壌が電気浸透に対し十分に高い含水量を有する他の場所で使用されてもよいことを理解されたい。これには、例えば、微粒子の粘着性の粘土堆積物、低透過性問題のある土壌、膨張性土壌、分散性土壌、高圧縮性粘土、海洋粘土、繊細な粘土、クイッククレイ、塩水/ナトリウム土壌、およびソフトな泥炭が含まれうる。このようなソフトクレイ土壌は、多くの場合、沿岸土壌、ならびに河口、川、湖の場所に関連する。
【0076】
追加的に、上記実施形態では、第二の電極は固体本体として記述されているが、穿孔された金属プレート/シート、金属スポンジ/ブレードなどの多孔性材料で形成されうることが理解されよう。こうした実施形態では、第二の電極は、流体が電極本体を通って前方にある土壌ギャップに流れる状態で、その後方でポートから注流されてもよい。こうした配置では、電極に海水を送達するために、電極の後ろの鉛直方向のフィーダーチャネルまたは空間を設けることによって、第二の電極に注流することも可能でありうる。
【0077】
また、本発明は、水を本体4からはじき、および第二の電極7で収集された水を排水するために電気浸透効果を再活性することにより、基礎の周りの土壌の周期的な再強化を可能にすることも理解されるであろう。同様に、本発明は、電気浸透効果を再活性化して、本体4の上に流体潤滑フィルムを形成し、それによって土壌からのその取り出しを容易にすることにより、撤去中に、基礎を退避させることを簡略化しうる。
【0078】
これに関して、本発明では、基礎の異なる部分にわたりDC電圧を印加することにより、周囲の土壌において二つの電気浸透効果が生成される。まず、電気浸透により、流れの方向に応じて土壌を弱めるまたは強化するように作用する水の移動が生じる。そのため、設置または撤去の間、土壌/基礎界面を水膜で潤滑するために、過剰な土壌の間隙圧力を生成しうる。別の方法として、負圧の間隙圧力を使用して、基礎を安定化させるための土壌構造および境界面摩擦を回復または改善しうる。電気浸透の第二の効果は、基礎に対し、土壌内のイオンを動かす働きをすることである。これは、例えば、または強度のため基礎の周りの柔らかい粘土、またはその他の粘着性土壌を強固するために使用されうる。イオン効果はまた、接合用電解質の浸透が基礎を本来の位置に強固にするのを可能にするが、これは粒状土壌に特に有用でありうる。