(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
A63F 9/08 20060101AFI20220405BHJP
A63H 33/22 20060101ALI20220405BHJP
A63H 33/26 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A63F9/08 502A
A63H33/22 A
A63H33/26 A
(21)【出願番号】P 2019543169
(86)(22)【出願日】2017-10-19
(86)【国際出願番号】 US2017057296
(87)【国際公開番号】W WO2018075714
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2019-06-14
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519145779
【氏名又は名称】オシポフ イリヤ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】オシポフ イリヤ
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0268729(US,A1)
【文献】特開2009-291462(JP,A)
【文献】特表2009-512484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0302303(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0084474(US,A1)
【文献】特表2003-504815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/08
A63H 33/22,33/26
H01R 11/30,13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な
電子デバイスであって、
データ及び電力分配
相互接続導電体を
有する玉継手と、
前記データ及び電力分配相互接続導電体に電気的に接続される複数のキューブレッツであって、前記複数のキューブレッツのそれぞれは、
前記玉継手に直接隣接するコア頂点部であって、前記コア頂点部は、先端が切り取られて前記玉継手に対する電気接続部を形成している、コア頂点部と、
互いに直交する方向に置かれ、概ね前記玉継手から外側へ向いている3つのディスプレイ画面と、
前記ディスプレイ画面の少なくとも一つに電気的に接続される複数の電気的コネクタであって、各電気的コネクタは、
概ね非磁性材料で作製され
、丸い形のプレートアパーチャを有する絶縁プレートを含む筐体と、
前記筐体内に配置された
球形の永久磁石であって、前記永久磁石は、前記プレートアパーチャの直径よりも大きな直径
を有して、前記永久磁石が前記筐体から前記プレートアパーチャを通って脱出することを妨げる、永久磁石と、
丸い形のワッシャアパーチャを
有する導電性軟質強磁性材料で作製されたワッシャであって、前記ワッシャアパーチャ
は、前記永久磁石の前記直径よりも大きい
直径を有し、前記ワッシャは、前記絶縁プレートに近接する前記筐体内に配置されており、前記永久磁石と前記ワッシャは、物理的に接触したままになるように磁気的に引きつけられ、前記ワッシャは、対応するキューブレッツ内において少なくとも一つの導電体に電気的に接続される、ワッシャと、
を含む、複数の電気的コネクタと、を含む、複数のキューブレッツと、
前記複数のキューブレッツのうちの少なくとも1つの内部に収容されており、連結された電気的コネクタの対を介して前記複数のディスプレイ画面と通信可能に接続されている少なくとも1つのプロセッサ回路と、を備え、
連結された電気的コネクタの各対は、第1の電気的コネクタと、第2の電気的コネクタと、を含み、前記第1の電気的コネクタ及び前記第2の電気的コネクタは、第1の位置において、前記玉継手を中心とした前記キューブレッツの少なくとも1つのサブセットの旋回運動であって、前記キューブレッツの前記サブセットの隣接する表面間で剪断を引き起こす旋回運動によって、互いに対して移動できるように、置くことができ、
前記第1の位置において、それぞれの絶縁プレートが直接隣接して互いに向い合い、それぞれの磁石は互いに接続するとともにそれぞれのワッシャと接続し、前記それぞれの磁石及び前記それぞれのワッシャは、連続した導電路を形成する、
変形可能な
電子デバイス。
【請求項2】
前記第1の電気的コネクタ及び前記第2の電気的コネクタは、前記連続した導電路を維持しながら、前記第1の位置を中心としたミスアライメント範囲内で互いに対して移動できるように、置くことができる、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の電気的コネクタ及び前記第2の電気的コネクタは、前記連続した導電路が壊れる第2の位置において互いに対して移動できるように、置くことができる、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の位置において、前記電気的コネクタの各対の各電気的コネクタの前記永久磁石は、それぞれの筐体から部分的に突出しており、
前記第2の位置において、前記電気的コネクタの各対の各電気的コネクタの前記永久磁石は、その筐体の凹んだ場所に置かれている、
請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
各電気的コネクタの前記永久磁石は、自由に回転して、支配的な磁場に応じた方向をとる、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、全部で8個のキューブレッツを有する、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記プレートアパーチャは、円形である、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ワッシャアパーチャは、円形である、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記複数のキューブレッツに電力を供給する少なくとも一つのバッテリーを更に備え、
前記少なくとも一つのバッテリーは、前記複数のキューブレッツの少なくとも一つの中に収容されている、
請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、PCT第8条に従い、2016年10月20日に出願された米国仮特許出願第62410786号明細書、及び2017年2月23日に出願された米国仮特許出願第62462715号明細書の優先権を主張する。これらの開示は、あらゆる目的において、全体が参照により援用される。
【0002】
本開示は、自己作動式電気コネクタ、このようなコネクタによって使用可能になる変形可能な電子デバイス及び玩具キットに関する。
【背景技術】
【0003】
自己作動式コネクタは、機械部品の頻繁な機械的係合及び係脱が必要なデバイスにおいて必要なときに電力又は信号伝送を支持する、電気路を作成する又は切断するための便利な手段を可能にする。このような用途のいくつかの例としては、変形可能な電子デバイス、ツイストパズル、及び電子機能を有する他の玩具、並びに移動式又は可動式電子デバイスのドッキングステーションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0004】
特に関心が持たれるのは、2つの構造的要素を係合させて平面を接触させることで電気接続を可能にするコネクタである。より一般的な場合においては、電気接続要素の近傍にある、構造的要素の隣接する表面は実質的に平坦であってもよいが、全般的にはより複雑な形状のものである。
【0005】
変形可能な電子デバイスの要素を電気的に接続するための一般的な手法は、機械的なばね懸架式ピンの使用である。
【0006】
いくつかの既知の近接作動式機械的コネクタは、ブラケット上に回転自在に取り付けられた、第1の円筒の回転対称軸が第2の円筒の回転対称軸に平行な2つの円筒状磁石を含む。磁石は、各円筒の外部表面上に交互に位置決め可能に配置されたN極及びS極を有する。円筒状磁石は、円筒の軸を中心に自由に回転させることができる。磁石を近接させると、磁石は、第1の磁石のN極が第2の磁石のS極に直接隣接する位置に係合するように回転することによって作動する。この構成の磁気モーメントは、接触面によって画定される平面に対して回転し、自己配向を可能にする。この場合の回転は、接触平面及び円筒の軸に垂直な平面に限定される。
【0007】
タブレットコンピュータ、スマートフォン、ラップトップコンピュータ等などの電子デバイスの充電ポートに接続するために、磁気的に作動される凹接点が使用されてきた。このような電気の典型的な構成は、導電材料で形成された外部部分と、磁石を含む内部部分と、可撓性取付特徴部を含むフレキシブル回路とを有する浮動接点を含む。可撓性取付特徴部は、浮動接点に電気的に接続されており、係合位置と係脱位置との間における浮動接点の運動に適応するように構成されている。磁石の向きは固定されており、その磁気モーメントは、永久に、その許容される並進的な機械的運動の方向とともに誘導される。自身の磁石を有する電子デバイスと近接させると、コネクタは作動され、接続位置(係合位置)に摺動することによって係合する。(典型的には手動での)外力の印加によって接続が切断されると、コネクタに組み込まれた機械的なばね作用要素が磁石を係脱位置へと戻す。
【0008】
外部から印加された磁場に応答して移動する可動磁気要素を含む、磁気的に作動される電気コネクタが使用されてきた。いくつかの実施形態では、電気コネクタは、コネクタを接続するように設計された電子デバイスと関連付けられた、外部から印加される磁場に応答して、凹んだ位置から係合位置に移動する凹接点を含む。いくつかの実施形態では、外部磁界は、一致する極性パターンと関連する接点を、凹んだ位置から引き出すように構成された特定の極性パターンを有する。この種類のデバイスにおいて、可動磁気要素は、磁力によって作動されると「ポゴピン」に似たように作用するばね作用機械的要素に接続される。磁気要素の運動は、接触面に垂直な軸に沿ってのみ可能である一方、磁気要素はその磁軸を中心に回転することが可能であってもよく、磁軸の方向は接触面に垂直に予め設定され、磁気要素の磁軸の回転は可能とされない。この種類のコネクタは、無性導電性(genderless conductivity)及び磁気極性の不変性が欠如しており、適切な接続を確実とするためには更なる機械的特徴を必要とする。
【0009】
別の構成では、コネクタ構成要素は、接続表面に垂直な中心軸に垂直に配置され、接続表面に垂直な中心軸を中心として回転可能な磁気モーメントを有する磁極を含む。磁気モーメントは、したがって、接続表面に平行な平面内に限定される。2つの同一の接続構成要素を近接させると、これらは軸を中心に回転する各磁石によって自己作動して反対方向に整列し、接続表面を導電路に係止させる。
【0010】
更に、接触平面に平行な面内において回転させることが可能な磁軸を有するコネクタ構成要素を含む磁気的に作動される電気コネクタが開示されている。2つの同一の磁気要素を近接させると、これらは、各コネクタ構成要素の磁極がコネクタ構成要素の各々の反対の極性の磁極に近接する位置へと回転することによって作動する。近接的に作動されると、整列した磁石は安定した電気接続のための導電路を提供する。
【0011】
【0012】
表1は、本開示及び本解決策の関連用途に重要ないくつかの機能性を比較する。
【0013】
無性接続性は、各コネクタ部分を任意の他のコネクタ部分に接続する能力として理解され、各特定の対に用いられる部分は雄種と雌種との間の区別なく同一である。
【0014】
初期配向の不変性は、平行表面の初期配向を問わず、近接する表面を係合させることを可能にし、コネクタ部分は引き付けられ、作動を提供する磁石の初期相互配向を問わず信頼性の高い接点を形成する。
【0015】
接続平面の並進又は回転相対運動を可能にする接続平面の可能性としては、カルーセル、ロータホイール、又はパズルの回転要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
隣接する表面を互いに並進的に又は回転的に移動させること必要とする変形可能な電子デバイス、ツイストパズル及び他の類似の用途としては、カルーセル、ロータホイール、又はパズルの回転要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
平面を引き合わせることによって電気路を接続するという共通のタスクは、2段階の手順で実施され得る場合に、より実用的且つ便利になる。2段階の手順では、まず平面が係合し、次いで、磁石が係合して電気接続を近接作動させるまで、平面の相対位置を相互作用的に手動で調整する。
【0018】
ばね又は他の弾性材料を使用することなくばね状作用を提供する接触要素は、特定の範囲まで、接続平面を引き離す外力に耐える。
【0019】
コネクタが視覚的及び触覚的に目立たない。玩具、パズル又は電子デバイスのユーザは、一般に、接続について覚えておく必要もなく、コネクタ間の精密な整列について気に掛ける必要もなく、前記コネクタの存在について考える又は知る必要すらない。
【0020】
接続平面を完全に清潔又は無傷に維持する必要のない、引掻き、チッピングがかなり存在すること、及び中程度の表面汚染に耐える信頼性の高い接続を形成する。
【0021】
設計は、機械的に頑丈であり、鋭く、小さな、吸入可能又は飲み込み可能な断片に分解する傾向のない、鋭い縁又は複雑な幾何学的形状のない限られた数の部品を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本開示は、開放面を有する、概ね非磁性材料で作製された筐体と、プレートアパーチャを有する絶縁プレートと、筐体内に配置された永久磁石であって、磁石は、プレートアパーチャを通って筐体から出ないようにする寸法である、永久磁石と、筐体内に配置された前記永久磁石の寸法よりも大きいワッシャアパーチャを有する、導電性軟質強磁性材料で作製されたワッシャと、を含む、コネクタ要素を提供する。自己作動式コネクタ要素を使用して組み立てられるディスプレイ、玩具及び教育用キットを任意選択的に含む変形可能な電子デバイスも開示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A-1D】外力のない状態で相互作用している磁石及びワッシャを示す。
【
図2A-2C】外力が印加及び除去されたときの、ワッシャと相互作用する永久磁石のばね作用を示す。
【
図4A-4B】コネクタ要素の好ましい構成を示す。
【
図5A-5B】開示される接続要素における磁石の回転の許容自由度を示す。
【
図6A】キューブレッツ(cubelet)を示す。
【
図6B】機能的なキューブレッツ(cubelets)を含む変形可能な電子デバイスを示す。
【
図7A-7B】変形可能な電子ディスプレイデバイスを示す。
【
図8A-8B】相互作用的に制御されるコンテンツがサブディスプレイ上に表示された変形可能な電子ディスプレイデバイスを示す。
【
図9】複数の磁気玉継手を備える変形可能な電子デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面の詳細な説明
図1A~
図1Dは、安定した極性無関係コネクタを構築するのに適切な磁石-ワッシャ相互作用の動的効果を示す。
【0025】
軟質強磁性磁性材料(ferromagnetic magnetic material)で作製された円板形のワッシャと相互作用する小球形の永久磁石であり、本明細書に開示される電気コネクタの開発に適用する特徴的な動的効果を示す。
【0026】
図1A~
図1Bに示される本開示の一態様において、磁石110はN極N及びS極Sを有し、これらを接続する矢印として磁軸112が示される。スチールワッシャ114は、アパーチャ116及び対称面118を有する。
【0027】
磁石をワッシャアパーチャに近接させると、磁石は
図1C~
図1Dに示すように配置される傾向にある。磁石の直径120はワッシャ内壁122に対する引力によってワッシャの対称面118に整列する。
【0028】
一例では、直径約6ミリメートルの球形ネオジム磁石110と、一般的な磁性鋼で作製された、外径11ミリメートル及びアパーチャ116直径6.5ミリメートルの単純な円板形のワッシャ112とを用いて実験を行った。1.5ミリメートル及び2ミリメートルのワッシャ厚さを試したが、性能の変化は認められなかった。
【0029】
別の例において、直径約3ミリメートルを有するネオジム磁石110と、アパーチャ直径3.0ミリメートル及び3.5ミリメートルを有するワッシャ112とを用いて実験を行い、実質的に同じ結果が認められた。一般に、球形磁石の直径を約10~15%上回るアパーチャ直径を選択することが推奨される。
【0030】
更に別の例では、磁石は非球形のものであってもよい又は/及びワッシャは単純な円板構成のものでなくてもよい。玉形の磁石は任意の形状を有する磁石と入れ替えることができる。重要なのは、磁石は回転できるべきであり、磁場の作用下で磁極が回転できるようにすることである。このような場合では、任意の形状の磁石の磁気赤道はワッシャアパーチャの平面と整列する。
【0031】
磁石110及びワッシャ114は、軸対称な場合であっても、ワッシャ表面によって画定される平らなワッシャ内において機械的に不安定であり、
図1C~
図1Dに示すように、磁石は、ワッシャ114の内部表面122上の任意の点にくっつく。
【0032】
図2A~
図2Cは、本開示のコネクタのばね作用態様を示し、説明する。
【0033】
この好ましい構成では、磁石110は、
図2Aに示すように、ワッシャ114のアパーチャ116の
内部表面122上の任意の点のうちの1つに付いている。外部から作用する力がない状態において、平衡状態は、ワッシャの対称面118への磁石直径120の整列によって画定される。磁石110が小さな外力Fにより押されて又は引かれて整列しなくなると、
図2Bに示すように磁石110は平衡状態を脱する。平衡状態を脱すると、球の直径120のどこもワッシャの対称面118に整列しない(
図2Bを参照)。外力Fが除去されると、
図2Cに示すように、磁石は磁力Aによって初期平衡状態に戻る。したがって、球形磁石110と軟質強磁性体で作製されたワッシャ114との間の磁気相互作用がばね状(弾性)効果を生じさせる。
【0034】
この効果は、玉が例えば平面上を摺動する又は転がる必要があるときに非常に有用である。平面に対する圧力は磁石を平衡状態から押し出し、磁力は磁石を表面に対して押し、側方に押されたときに摩擦駆動による転がりを可能にする。2つの接続要素が剪断によって組み合わされる場合、すなわち、相手コネクタの磁石の玉が接触するまで一方の表面が他方の表面上を摺動する場合に特に有用である。
【0035】
【0036】
本開示の一態様では、磁石110は概ね非磁性材料で作製された筐体128内に配置されており、前記筐体は開放面126及び閉鎖面124を有する。
【0037】
筐体128は、概して、開放面中空スラブとして示される例又は5つの閉鎖面124を有する箱を含むが、これらに限定されない任意の形態のものであってもよい。
【0038】
筐体128の寸法は、磁石110が筐体128内で全方向に自由に回転し、その磁極の向きを自ずから選択することができるほど十分であることが必要である。しかしながら、筐体の寸法は、磁石110がワッシャ114及び前面プレート130の近傍に維持されるように十分に小さいことが好ましい。
【0039】
本開示の一実施形態において、ワッシャの内径は玉磁石の直径よりも大きくすることができる。この設計は、玉の回転の自由を確実に高め、玉の磁極の自己配向を著しく容易にする。円板形のワッシャは異なる形状の要素又は要素セットと入れ替えることができ、重要なことは、この要素が磁石の玉を、この玉を強固に固定することなく特定の位置に維持し、それにより、磁極の自己配向、玉の転がり、及びばね効果が可能であるようにすることである。
【0040】
別の実施形態では、ワッシャの直径は磁石の玉の直径よりも小さくてもよい。コネクタは、磁石及びワッシャの材料が、これらの間の引力ワッシャが比較的弱くなるように選択される場合(逆の場合では、玉の磁極の自己配向は妨げられる)、なお動作可能であってもよい。
【0041】
図3B~
図3Dは、
図3Aに示されるタイプの2つのコネクタ要素を近接させた自己作動式コネクタを示す。
【0042】
絶縁機能面130は、円形の機能表面アパーチャ136(前記円形の機能表面アパーチャの直径は球形磁石110の直径よりも小さい)と、筐体対向表面132と、外側対向表面134とを含み、機能表面アパーチャ136は筐体128に隣接するより広い側が面取りされている又は傾斜が付けられている。
【0043】
図3Cに示されるように2つの同一のコネクタ150と250を近接させると、各々の永久磁石110及び210の磁極が例えば互いに引かれるように自己配向される。同時に、各磁石は、鉄又は任意の適切な軟質強磁性材料で作製された各々のワッシャ114及び214に引き付けられ、信頼性の高い電気接続を確実とする。導体138及び導体238は、筐体内部でワッシャ114及びワッシャ214に取り付けられ、接続された電気路を形成する。
【0044】
本開示の主な特徴は、以下、
図7B、
図8B及び
図9に示すように、「剪断」範囲内において互いに移動させることができる平面を適切に動作させることが可能なことである。更なる図は、コネクタの典型的な適用を示す。
【0045】
本開示の他の実施形態では、導電性ワッシャは、磁性材料、例えば鉄、又は異なる形状を有するが要素との磁気接触及び電気接触は確保する導体で作製してもよい。
【0046】
広範な実験を通して、接触平面間の様々な間隙、割れ目、ユーザによる細部の非整列等が存在するので、玉形又は円筒形の磁石を完全には整列させる必要がないことを見出した。しかしながら、信頼性の高い接触は、玉又は円筒の磁気特性によって、及び「スロップ(slop)」の生成を可能にする空間によって保証される。したがって、このようなコネクタを作動させ、接合するために完全な軸の整列は必要ない。
【0047】
磁気導電性ワッシャ及び筐体は、玉が筐体内の、筐体の表面より下に「隠れ」、相手コネクタが接近するともう一方のコネクタに応答して再び現れ、接続を確実にするように形成されている。磁石の玉間の引力が玉と磁気ワッシャとの間の引力を超えた場合、(図では、コネクタの磁石間の磁気引力は各磁石と各々のワッシャとの間の磁力よりも大きく、これにより磁石の玉が、もう一方のコネクタが接近したときにもう一方のコネクタの方に移動し、相手コネクタが離れる場合初期位置に戻ると決定されることが示されている)可能である。
【0048】
図4A~
図4Bは、変形可能な電子デバイス、パズル玩具、及び他の類似用途における使用に適応させた自己作動式コネクタ要素の好ましい構成を示す。
【0049】
図3A~
図3Dの簡略化されたコネクタ要素と同様に、接続要素450は、非導電性の、非磁性材料、例えば、適切な性質を有する任意のプラスチックから作製された絶縁前部プレート430を含む。前面プレートは、面取りされた又は傾斜が付けられた縁部を有する4つの円形アパーチャ436を含む。
【0050】
後部プレート440は、部分球形表面として形成された4つの筐体428を含むように構成されている。アパーチャ436及び筐体428は、本開示で上述したようなネオジム磁石410に関連する大きさにされている。この場合、4つの導電性ワッシャ414は、接続要素450の筐体対向表面432に直接隣接して保持されている。
【0051】
図5A~
図5Bは、
図3Dに示される接続要素150及び接続要素250又は
図4A~
図4Dに示される接続要素450に類似する2つの接続要素を近接させたときの永久磁石110及び永久磁石210の相互再配置の可能性を示す。
【0052】
図5A~
図5Bの軸Zは、
図3A~
図3Bの前面134及び前面234又は
図4Aの前面434に垂直な方向に選択される。軸X及び軸YはZに垂直な平面内に選択され、したがって、表面134及び表面234に平行である。
【0053】
ベクトルM1及びベクトルM2は、それぞれ磁石110及び磁石210の磁気モーメントを示す。ベクト(Vecto)M1XYは、Z軸に垂直なXY平面上にベクトルM1を投影したものを示す。
【0054】
空間内におけるベクトルM1の空間的方向は、軸Zから測定した極角θ1及び軸XとM1XYとの間の平面XY内で測定した方位角φ1によって完全に表すことができる。同様に、極角θ2及び方位角φ2はM2の特別方向を完全に表す。
【0055】
図3A~
図4Bに示される例に類似する配置は、コネクタ要素を近接させると磁石110及び磁石210の制限のない回転を可能にし、各々の極角及び方位角を調整する。
【0056】
本開示の本質は、玉形又は円筒形の磁石が接続要素筐体の本体、又はワッシャ、又は構造体の任意の他の要素、又は任意の特定の軸のいずれにも固定されず、軸を中心に回転させることができることである。
【0057】
したがって、磁石は固定軸セットを意図的に有さず、空間内で任意の向きをとることを可能とされる。筐体は、磁石の自由回転を制限することなく全3つの特別寸法におけるある程度の横方向変位を可能にする。その自由状態において、同一のコネクタと接触していない状態で、磁石は任意の方向に回転させることができる。しかしながら、接点に位置するワッシャ(又は磁気特性を有する任意の他の導体)の磁気特性によって、磁石の玉は自身の磁気特性によりこの導体と接触したままになる。
【0058】
図6Aは、3つの接続要素650、652及び654を含むキューブレッツ660を示す。モジュール660は、先端が切り取られて玉継手666に対する便利な取付部及び電気接点を形成しており、冗長データ及び電力分配バスの形成を助ける1つの頂点部670(以下、「コア頂点部」)を備える略立方体形状のフレーム664に組み付けられる。
【0059】
バスは、本業界では一般的な用語であり、接続機構を定義し、この接続機構を介して本開示の変形可能デバイスの他の部品にデータ又は電力が与えられる。このバスは、一般に、データオーバーパワー(DoP:data over power)バスと呼ばれ、キューブレッツ間を接続するのに必要な電気及びデータ接続の両方を提供する。DoPバスは、
図3A~
図3D、
図4A~
図4Dなどに例示したコネクタ要素、玉継手666、コア頂点部670、及びキューブレッツ内部の更なるバス構成要素を含む。
【0060】
例えば、頂点部は、凹球面の一部へと機械加工されてもよく、球の中心はキューブレッツの頂点部に一致してもよく、球形部分の曲率半径は
図6B及び
図9に示される玉継手の半径に実質的に等しくてもよい。
【0061】
他の実施形態では、頂点部は、信頼性の高い電気接続を提供し、電子デバイスの全体にわたるデータ及び電力分配バスを形成する限りは他の形状に形成されてもよい。
【0062】
接続要素650、652及び654は、頂点部670に直接隣接する相互に垂直な面上に取り付けられている。キューブレッツは、電気パススルー、受動電気構成要素(コンデンサ、インダクタ、抵抗器)、センサ、LED、バッテリー、他の充電蓄電デバイス、バッテリー保護回路、電流の極性を設定するダイオード、出力調整回路、アンテナ、アナログ信号をデジタル形態に及びその逆に変換するマイクロプロセッサ、様々な構成の小型(msall)電動機、信号処理操作用の手段、ゲーミング及びワイヤレスコントロール、ディスプレイ制御電子モジュール、無線リンク、Bluetoothサポート機能、パワーバス、並びに外部コンピュータ及びアナログデバイスへのインターフェイスを含むが、これらに限定されない多様な機能性を備えた様々な電子要素及び電気要素を更に含んでもよい。モジュール面上に取り付けられた接続要素650、652及び654は、様々な機能の隣接するモジュール間、例えば、モジュール670とモジュール690との間の電力接続及び制御接続を支持するように適合されている。
【0063】
図6Bは、8つのキューブレッツ660、665、670、675(不図示)、680、685(説明のために取り除かれている)、690及び695がいかにして立方体に組み立てられるかを示す。各モジュールの、先端が切り取られた頂点部670は、中心要素666に対する玉継手を形成している。
【0064】
機能的な組立モジュールの表面に組み込まれることで、接続要素は、機能的な組立モジュールに対して移動する隣接する機能的な組立モジュールの表面上の各同一の相手コネクタと(例えば同軸に)整列されたとき、動作する(電流及び/又は信号の伝送を確実にする)ようになる。
【0065】
この配置により、4つのキューブレッツの群が立方体の主要な3つの対称軸を中心に回転することが可能になる。このことは、キューブレッツ間の電気接続を切り換え、再構成する機会を提供する。したがって、アセンブリは、変形可能な電子デバイスとして機能する。
【0066】
例えば、キューブレッツ660、665、670及び675を含む群が軸KLを中心として
図6Bの矢印Pで示される方向に回転するとき、アパーチャ636によって画定される、見る者に面する4つのコンタクトは、キューブレッツ685の直接隣接する表面上の各々のアパーチャコンタクトから、キューブレッツ680の各表面上のアパーチャコンタクトへの接続に切り換わる。したがって、モジュール675内の電子要素は、モジュール685の要素への直接電気接触によって画定される第1の機能的構成から、モジュール680の要素への直接電気接触によって画定される第2の機能的構成に切り換えられる。
【0067】
この回転切換中、玉666及び隣接する先端が切り取られた頂点部670によって形成された運動学的な玉継手は、変形可能デバイスのデータ及び電力分配バスの連続性を維持する。
【0068】
これら切換及び変形可能性により、参照番号660のようなキューブレッツのセットを、リモートコントローラ、ゲーミングデバイス、通信デバイス、及び玩具キットを含むが、これらに限定されない機能的な電子デバイスへと構成することができる。
【0069】
図7Aは、全モジュールの各外面上に情報ディスプレイが取り付けられている変形可能な電子デバイス700の好ましい構成を示す。
図7Aに示されるモジュール660、665、670、675、680、685、及び不図示のモジュール690はそれぞれ、
図6A~
図6Bに示すように、先端が切り取られて中心磁気玉継手に対する電気接点を形成している頂点に直接隣接していない面上に取り付けられた情報ディスプレイを有する。
【0070】
本開示の目的において、変形可能なディスプレイは、互いに位置を変化させることができる小さなサイズの別個のディスプレイを含むディスプレイを意味する。周辺要素は、中心要素とは対照的に、デバイスの外部に配置されるので常に視認できる。周辺要素の外面は、ユーザに面する周辺要素の平面である。周辺要素の内面は、ユーザとは逆に、すなわち、中心ユニットに向かって面する周辺要素の平面である。
【0071】
例えば、3つの電子ディスプレイ692、694及び696は、機能的な組立モジュール690の外側対向面に取り付けられている。
【0072】
機能的な組立モジュール内の電子構成要素及び電気構成要素は、キューブレッツの外側対向面上の各ディスプレイ上に視覚コンテンツを表示し、モジュールの機能的な位置の相対位置を検出するように適合されている。
【0073】
変形可能デバイスを含むモジュールの相対位置、及びデバイスが
図7Bに示されるように変形するときに起こるモジュールの相対位置の変化は、各ディスプレイ上に表示されるコンテンツを構成するマイクロプロセッサの入力としての役割を果たす。
【0074】
図8A~
図8Bは、キューブレッツ660、665、670、675、680、685(
図7Aに図示)及び690(不図示)の各外面により小型の情報ディスプレイ(以下、サブディスプレイ)が取り付けられている変形可能な電子ディスプレイデバイス800の好ましい構成を示す。サブディスプレイは、
図6A~
図6Bに示すように、先端が切り取られて中心磁気玉継手に対する電気接点を形成している頂点に直接隣接していない面上に取り付けられている。
【0075】
示されるように、4つのキューブレッツの群を、玉継手を中心に別の4つの群に対して回転させることによってデバイスを1つの状態から別の状態に変形することは、変形可能なディスプレイ上に表示されるコンタクトの双方向の変化につながる情報の入力手段としての役割を果たす。入力変数は、回転させる要素群の構成、相対回転の方向、及び回転角度(典型的には、90度刻み)を含む。変形可能な動作を使用して、異なるタイプのコンテンツ、例えば、ゲーミング、通信、ソーシャルネットワークステータス、又はリモートコントローラによる入力を表示させ、アクセスしてもよい。
【0076】
図9は、変形可能な電子デバイス900が、参照番号960、965、970、975(このモジュールはこの図に示される視点では見えない)、980、985、990及び995のようなキューブレッツに結合された参照番号966のような複数の玉継手を含む本発明の更に別の実施形態を示す。
【0077】
これら要素は、例えば、群996、998並びにキューブレッツ980、985、990及び995を含む群のような4つの群において玉継手を中心に回転させることができる。キューブレッツの外面は、変形可能なディスプレイを形成するサブディスプレイを備えてもよい、又はデバイスの回転変形によって制御されるビデオコンテンツは外部ディスプレイに供給されてもよい。