(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング機器構成要素診断及び予測的保守のためのデバイス及び文脈特有の信号パターンの分析
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20220405BHJP
G01N 24/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 355
G01N24/00 530Y
G01N24/00 580A
(21)【出願番号】P 2019548396
(86)(22)【出願日】2018-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2018055270
(87)【国際公開番号】W WO2018162371
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-04
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウーレマン ファルク
(72)【発明者】
【氏名】プレイス グラハム ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】グレスリン イングマル
(72)【発明者】
【氏名】ファインデクリー クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】リップス オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ブロム コルネリス ヤコブス ヘンドリクス アドリアヌス
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0191383(US,A1)
【文献】米国特許第05551430(US,A)
【文献】中国特許出願公開第103852743(CN,A)
【文献】特開2000-296121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0244515(US,A1)
【文献】特開2011-244056(JP,A)
【文献】特表平11-508744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01N 24/00 -24/14
G01R 33/20 -33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成要素信号分析に基づいて磁気共鳴(MR)イメージングデバイス内の差し迫った構成要素障害を識別することを容易にするシステムであって、前記システムは、
複数の無線周波数(RF)コイルを備えるMRイメージングデバイスと、
前記複数のRFコイルがそれぞれ異なる時点において電源に接続されるコネクタと、
プロセッサとを備え、前記プロセッサは、
前記複数のRFコイルの各々について、少なくとも1つのRFコイルパラメータをモニタリングし、
少なくとも1つの所定の測定基準に従ってデータポイントを廃棄することによって、フィルタリング済みデータセットを生成し、
前記フィルタリング済みデータセットに基づく少なくとも1つのシステム構成要素内の少なくとも1つの障害状態を識別し、
識別されている前記少なくとも1つの障害状態のレポートを送信し、
識別されている前記少なくとも1つの障害状態の根本原因を示す情報及び構成要素補修推奨を含む信号を受信し、
前記構成要素補修推奨をユーザインターフェース(UI)上に出力
し、
モニタリングされている前記少なくとも1つのRFコイルパラメータは、位相ロック喪失事象であり、前記プロセッサはさらに、位相ロック喪失事象の数が、所定の期間内で、又は、プラグ事象周辺の有効時間範囲にわたってフィルタリングすることによって決定される期間のセット内で、所定の閾値を超えるときに、警告を生成する、システム。
【請求項2】
モニタリングされている前記少なくとも1つのRFコイルパラメータは、前記少なくとも1つのRFコイルの測定電圧を含
み、前記プロセッサはさらに、経時的な前記測定電圧の劣化を検出し、前記障害状態は、前記測定電圧が所定の閾値を下回るときに識別される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記UI上に出力される前記構成要素補修推奨は、前記複数のRFコイルの各々を識別するテーブルと、各RFコイルに対する補修推奨とを含
み、前記テーブルは、補修が推奨される、各RFコイルの検出されている障害状態の根本原因をさらに含み、前記補修推奨は、前記根本原因が、所定の期間にわたって所定の閾値を下回る電圧劣化であると判定されたときに、前記RFコイルを交換するための推奨である、請求項1
又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記RFコイルはデジタルRFコイルである、請求項1
から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサはさらに、プラグ事象遅延期間内に入るデータポイントを廃棄することによって前記フィルタリング済みデータセットを生成する、請求項1
から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記プラグ事象遅延期間は、所与のコイルが前記コネクタにプラグ接続され又は前記コネクタからプラグ接続解除される時点に隣接して、前記時点の前及び後のうちの少なくとも1つにおいて発生する所定の期間である、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システム構成要素は、
前記RFコイルのうちの1つ又は複数を電源に接続するコネクタ、及び
前記RFコイルのうちの1つ又は複数を前記コネクタに接続するコイルインターフェースのうちの1つである、請求項1
から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
構成要素信号分析に基づいて磁気共鳴(MR)イメージングデバイス内の差し迫った構成要素障害を識別する方法であって、前記方法は、
少なくとも1つの無線周波数(RF)コイルパラメータを、コネクタを介して電源に周期的に接続される複数のRFコイルの各々についてモニタリングするステップと、
少なくとも1つの所定の測定基準に従って、モニタリング中に収集されるデータポイントを廃棄することによって、フィルタリング済みデータセットを生成するステップと、
前記フィルタリング済みデータセットに基づく少なくとも1つのシステム構成要素内の少なくとも1つの障害状態を識別するステップと、
識別されている前記少なくとも1つの障害状態のレポートを送信するステップと、
識別されている前記少なくとも1つの障害状態の根本原因を示す情報及び構成要素補修推奨を含む信号を受信するステップと、
前記構成要素補修推奨をユーザインターフェース(UI)上に出力するステップと
を有
し、
モニタリングされている前記少なくとも1つのRFコイルパラメータは、位相ロック喪失事象であり、位相ロック喪失事象の数が、所定の期間内で、又は、プラグ事象周辺の有効時間範囲にわたってフィルタリングすることによって決定される期間のセット内で、所定の閾値を超えるときに、警告を生成するステップをさらに有する、方法。
【請求項9】
モニタリングされている前記少なくとも1つのRFコイルパラメータは、前記少なくとも1つのRFコイルの周期的に測定される電圧を含
み、経時的な測定電圧の劣化を検出するステップをさらに有し、前記障害状態は、前記測定電圧が所定の閾値を下回るときに識別される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記UI上に出力される前記構成要素補修推奨は、前記複数のRFコイルの各々を識別するテーブルと、各RFコイルに対する補修推奨とを含
み、前記テーブルは、補修が推奨される、各RFコイルの検出されている障害状態の識別される根本原因をさらに含み、前記補修推奨は、前記根本原因が、所定の期間にわたって所定の閾値を下回る電圧劣化であると判定されたときに、前記RFコイルを交換するための推奨である、請求項
8又は9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
プラグ事象遅延期間内に入るデータポイントを廃棄することによって前記フィルタリング済みデータセットを生成する
ステップをさらに有する、請求項
8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記プラグ事象遅延期間は、所与のコイルが前記コネクタにプラグ接続される又は前記コネクタからプラグ接続解除される時点に隣接して、前記時点の前及び後のうちの少なくとも1つにおいて発生する所定の期間である、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記システム構成要素は、
前記RFコイルのうちの1つ又は複数を電源に接続するコネクタ、及び
前記RFコイルのうちの1つ又は複数を前記コネクタに接続するコイルインターフェースのうちの1つである、請求項
8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
構成要素信号分析に基づいて磁気共鳴(MR)イメージングデバイス内の差し迫った構成要素障害を識別することを容易にするシステムであって、前記システムは、
複数の無線周波数(RF)コイルを備えるMRイメージングデバイスと、
前記複数のRFコイルがそれぞれ異なる時点において電源に接続されるコネクタと、
プロセッサとを備え、前記プロセッサは、
前記複数のRFコイルの電圧及び各々の少なくとも1つの位相ロック喪失事象のデータサンプルを収集し、
少なくとも1つの所定の測定基準に従ってデータサンプルを廃棄することによって、フィルタリング済みデータセットを生成し、
前記フィルタリング済みデータセットに基づく少なくとも1つのモニタリングされているRFコイル内の少なくとも1つの障害状態を識別し、
識別されている前記少なくとも1つの障害状態のレポートを送信し、
識別されている前記少なくとも1つの障害状態の根本原因を示す情報、及び
コイル補修推奨
を含む信号を受信し、
前記コイル補修推奨をユーザインターフェース(UI)上に出力
し、
前記少なくとも1つの所定の測定基準が、位相ロック喪失事象の所定の閾値数であり、前記プロセッサがさらに、前記フィルタリング済みデータセット内で検出される位相ロック喪失事象の数が、所定の期間内で、前記所定の閾値を超えるときに、警告を生成する、システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの所定の測定基準が、所与のコイルが前記コネクタにプラグ接続される又は前記コネクタからプラグ接続解除される時点に隣接して、前記時点の前及び後のうちの少なくとも1つにおいて発生するプラグ事象遅延期間であり、前記プロセッサはさらに、前記フィルタリング済みデータセットを、プラグ事象遅延期間内に入るデータサンプルを廃棄することによって生成する、請求項
14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、イメージングシステム保守システム及び方法に適用される。しかしながら、記載されている技法はまた、他の構成要素障害検出システム、他の予測的保守技法などにも適用されることが了解されよう。
【背景技術】
【0002】
[0002] MRスキャナのようなイメージング機器におけるデバイス及び/又は構成要素のエラーの検出は、複雑な作業である。この作業は、例えば、ソフト及びハードウェアのバージョンなどの構成要素バージョンの差異、コイルがアナログであるか又はデジタルであるか、並びに、構成要素の製造元の差異によってさらに妨げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] イメージング機器の障害又は機能不全を診断する従来の手法では、最初に、遠隔サービスが、システムへの遠隔接続を介して、問題を識別しようと試みる。この分析が高度に不確実であることに起因して、フィールドサービスエンジニア(FSE)が問題を解決することを可能にするために、複数のフィールド交換可能ユニット(FRU)が、顧客サイトに送られることが多い。しかしながら、この手法の結果として、余分な構成要素が顧客サイトに送られることになる。その上、障害のある構成要素は、最初の障害分析の間に正確に識別されず、それゆえ送られず、したがってサービス措置の間に現場にないことが多い。したがって、破損したコイルを正確に識別することは通常、簡単ではないため、是正保守の間に、正しく機能する部品が不要に交換されることが多く、又は、機能する部品が、破損した部品とともに交換される。さらに、FSEは、イメージング機器を完全に機能するようにするために、複数回現場に戻る必要がある。
【0004】
[0004] 本出願は、イメージングシステム構成要素障害予測及び根本原因判定を容易にする新規の改善されたシステム及び方法を提供し、それによって、上記で参照した問題などを克服する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 第1の態様によれば、構成要素信号分析に基づいて磁気共鳴(MR)イメージングデバイス内の差し迫った構成要素障害を識別することを容易にするシステムは、複数のRFコイルを備えるMRイメージングデバイスと、複数のコイルがそれぞれ異なる時点において電源に接続されるコネクタとを備える。システムは、複数のRFコイルの各々について、少なくとも1つの無線周波数(RF)コイルパラメータをモニタリングし、少なくとも1つの所定の測定基準に従ってデータポイントを廃棄することによって、フィルタリング済みデータセットを生成し、フィルタリング済みデータセットに基づいて、少なくとも1つのモニタリングされているRFコイル内の少なくとも1つの障害状態を識別するように構成されているプロセッサをさらに備える。プロセッサは、識別されている少なくとも1つの障害状態のレポートを送信し、識別されている少なくとも1つの障害状態の根本原因を示す情報及びコイル補修推奨を含む信号を受信し、コイル補修推奨をユーザインターフェース(UI)上に出力するようにさらに構成されている。
【0006】
[0006] 別の態様によれば、構成要素信号分析に基づいて磁気共鳴(MR)イメージングデバイス内の差し迫った構成要素障害を識別する方法は、コネクタを介して電源に周期的に接続される複数のRFコイルの各々について、少なくとも1つの無線周波数(RF)コイルパラメータをモニタリングするステップと、少なくとも1つの所定の測定基準に従って、モニタリングの間に収集されているデータポイントを廃棄することによって、フィルタリング済みデータセットを生成するステップと、フィルタリング済みデータセットに基づいて、少なくとも1つのモニタリングされているRFコイル又はイメージングチェーン内の他の部分構成要素内の少なくとも1つの障害状態を識別するステップとを有する。方法は、識別されている少なくとも1つの障害状態の根本原因を示す情報及びコイル補修推奨を含む、識別されている少なくとも1つの障害状態のレポートを送信するステップと、コイル補修推奨をユーザインターフェース(UI)上に出力するステップとをさらに有する。
【0007】
[0007] 別の態様によれば、構成要素信号分析に基づいて磁気共鳴(MR)イメージングデバイス内の差し迫った構成要素障害を識別することを容易にするシステムは、複数の無線周波数(RF)コイルを備えるMRイメージングデバイスと、複数のコイルがそれぞれ異なる時点において電源に接続されるコネクタとを備える。システムは、複数のRFコイルの各々についての電圧VDL及び少なくとも1つの位相ロック喪失(PLL)事象のデータサンプルを収集し、少なくとも1つの所定の測定基準に従ってデータサンプルを廃棄することによって、フィルタリング済みデータセットを生成し、フィルタリング済みデータセットに基づいて、少なくとも1つのモニタリングされているRFコイル内の少なくとも1つの障害状態を識別するように構成されているプロセッサをさらに備える。プロセッサは、識別されている少なくとも1つの障害状態の根本原因を示す情報及びコイル補修推奨を含む、識別されている少なくとも1つの障害状態のレポートを送信し、コイル補修推奨をユーザインターフェース(UI)上で利用可能にするようにさらに構成されている。
【0008】
[0008] 1つの利点は、健常なMRコイルが不要に交換されることがないことである。
【0009】
[0009] もう1つの利点は、実際の障害の前に、障害が起こるMRシステム構成要素が識別されることである。
【0010】
[0010] もう1つの利点は、システム修復が予測されることである。
【0011】
[0011] 本発明のまたさらなる利点は、当業者には、以下の詳細な説明を読み、理解することによって、了解されよう。
【0012】
[0012] 図面は、様々な態様を例示することのみを目的としており、限定として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013] 本明細書において説明されている1つ又は複数の態様による、磁気共鳴(MR)イメージングシステム内で交換のための候補無線周波数(RF)コイルを識別することを容易にするシステムを示す図である。
【
図2】[0014] 本明細書において説明されている様々な態様による、予測的構成要素交換のための事前構成要素診断を実施することを容易にする構成要素のより詳細なビューを有する、システムの図である。
【
図3】[0015] 本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、疑わしいコネクタの問題によって測定電圧レベルの劣化が進行していることを示す、複数のコイルの低電圧(VDL)及び高電圧(VDH)のグラフを示す図である。
【
図4】[0016] 本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、繰り返し発生する電圧降下を示す、低電圧(VDL)及び高電圧(VDH)のグラフを示す図である。
【
図5】[0017] 本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、短過渡電圧問題を示す、低電圧(VDL)及び高電圧(VDH)のグラフを示す図である。
【
図6】[0018] 本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、測定電圧信号のフィルタリングが実施される様態を示す図である。
【
図7】[0019] 本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、構成要素信号分析に基づいて磁気共鳴(MR)イメージングシステム内の差し迫った構成要素障害を識別する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0020] 以下の説明は、本発明を例示するためにデジタルRFコイルを使用している。無論、同じ原理が、十分な診断情報が利用可能な他の構成要素にも適用され得る。提案されている実施形態は、構成要素(例えば、コイル及びコネクタ)の障害及びコイルの破損の効率的(高速且つ信頼できる)で自動的な遠隔診断を可能にし、それによって、面倒な分析及び複雑な保守作業の技能レベルに依存する結果を軽減する。特に、本発明のソリューションは、種々の信号及びデバイスのヘルス状態の自動的な分析を容易にする。
【0015】
[0021] 構成要素の特定の障害モード(例えば、コネクタの問題)は、経時的に、特定の診断信号(例えば、電圧及びそれぞれのスキャン)において非常に特異的なパターンを呈する。構成要素(例えば、コイル)のヘルス状態及びそれぞれの特性時間依存パターンとのそれらの相関に関する基準情報を使用して、特定の構成要素の状態又は障害を診断するとともに、予測情報を提供することができる。これによって、従来の手法に見られるような「単純な」エラー閾値又は時間と無関係な相関を使用することでは識別することができない、可能性のある問題のきめ細かな根本原因分析が可能になる。
【0016】
[0022] 提案されているソリューションは、可能性のある障害モードの複雑さ、及び、コイル状態をより効率的、正確、且つ遠隔して判定することが可能であることに起因して、MRIコイルに特によく適している。しかしながら、本発明は、十分な予備知識及び診断情報が利用可能な場合、任意の複雑なデバイス及び/又は構成要素に適用可能であることが、当業者には理解されよう。
【0017】
[0023]
図1は、本明細書において説明されている1つ又は複数の態様による、磁気共鳴(MR)イメージングシステム内で交換のための候補無線周波数(RF)コイルを識別することを容易にするシステム10を示す。システムは、内部配線16(例えば、電源のためのガルバニック配線など)を介してコネクタ18(例えば、テーブルコネクタ、システム内に磁石に配置されているコネクタなど)に電力を供給する電源14を有するMRイメージャ12を備え、コネクタ18には、外部配線20を介して、1回又は複数回のMRスキャンの間の異なる時点において複数のRFコイル22、30、38が結合される。各RFコイル22、30、38は、それぞれの内部配線24、32、48を備え、内部配線を通じて、それぞれの第1の受信モジュール(RXE)26、34、42及び第2の受信モジュール(RXE)28、36、44に電力が供給される。RXEは、パラメータ情報(例えば、検出が閾値を上回る場合は秒ごとの電圧)をログ記録する測定機器を備える。システム10はまた、同様に内部配線16(例えば、光ファイバハブのための光ファイバ配線など)を介してコネクタ18に結合されている光ファイバハブ15をも備え、コネクタ18には、外部配線20を介して、1回又は複数回のMRスキャンの間の異なる時点において複数のRFコイル22、30、38が結合される。各RFコイル22、30、38は、それぞれの内部配線24、32、48を備え、内部配線を通じて、それぞれの第1の受信モジュール(RXE)26、34、42及び第2の受信モジュール(RXE)28、36、44に信号が供給される。
【0018】
[0024] MRイメージングデバイス12は、本明細書において説明されている様々な機能、措置、方法などを実施するためのコンピュータ実行可能命令を実行するプロセッサ46及び当該コンピュータ実行可能命令を記憶するメモリ48に結合されている。メモリ48は、ディスク、ハードドライブなどのような、制御プログラムが記録されているコンピュータ可読媒体である。一般的な形態のコンピュータ可読媒体は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、若しくは任意の他の磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD、若しくは任意の他の光学媒体、RAM、ROM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、それらの変形形態、他のメモリチップ若しくはカートリッジ、又は、プロセッサ46がそこから読み出し実行することができる任意の他の有形媒体を含む。この文脈において、記載されているシステムは、1つ又は複数の汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラ及び周辺集積回路要素、ASIC又は他の集積回路、デジタル信号プロセッサ、個別素子回路のような配線接続電子回路又は論理回路、PLD、PLA、FPGAのようなプログラム可能論理デバイス、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、又はPALなどの上で、又はそれらとして実施される。
【0019】
[0025]
図2は、本明細書において説明されている様々な態様による、予測的構成要素交換のための事前構成要素診断を実施することを容易にする構成要素のより詳細なビューを有する、システム10の図である。システムは、それに記憶されるものとして、MRログファイル、MRイメージングデバイス12、プロセッサ46、メモリ48、及びユーザインターフェース50を含む。メモリは、コネクタを介してMRイメージングデバイスにプラグ接続されている各コイルのコイル識別(ID)情報102を含むMRログファイル100を記憶している。ログファイルは又、各コイルが使用されたスキャンのタイプ及び継続時間を記述するスキャンログ104をも含む。この情報は、各コイルがどれだけ重度に使用されたかを判定するのに有用であり、この情報は、残りのコイル寿命を評価するためなどに使用される。
【0020】
[0026] メモリはまた、プロセッサ46によって実行されると、1つ又は複数のコイルパラメータをモニタリングするパラメータモニタリングモジュールをも記憶する。モニタリングされるコイルパラメータは、現提ではないが、測定電圧、スキャンタイプ及び継続時間(例えば、頭部及び頸部、全身、コントラストスキャンなど)、コイル使用期間(例えば、製造、設置などから数えた)、コイルバージョン(これには故障率が関連付けられる)、コイルが使用された回数(例えば、コネクタが使用された回数、コイルが使用された総スキャン継続時間(総使用時間長))などを含む。このモニタリングされるパラメータ情報は、プロセッサによる分析のために、様々なログファイル及びストレージに記憶される。
【0021】
[0027] メモリは、プロセッサ46によって実行されると、モニタリングされているパラメータを閾値と比較する比較モジュール108をさらに含む。測定電圧を例にとると、モニタリングされている電圧が所定の閾値を下回って降下した場合、障害検出モジュール110(同じくプロセッサによって実行される)がコイル内の障害状態を識別する。別の実施形態において、障害検出モジュールは、測定電圧が、所定の時間期間内又はスキャン回数内に所定の測定回数にわたって所定の閾値を下回ったときに、障害状態を識別する。比較モジュールは加えて、他のモニタリングされるパラメータを他の所定の閾値と比較する。例えば、コイルの総使用時間を所定の閾値と比較することができ、これを上回ると、コイルは、差し迫った障害又は予防的交換などのためにフラグ立てされる。
【0022】
[0028] プロセッサ46は、評価のために、定期的に(例えば、毎時間、毎日など)遠隔サーバ(図示せず)に信号分析レポート112を送信する。信号分析レポートは、コイル使用状況に関連する情報、検出されている障害の情報、差し迫った障害の情報などを含む。プロセッサは、遠隔サーバから補修推奨メッセージ114を受信し、現場の(すなわち、MRイメージングデバイスのところにいる)技術者に補修推奨を提示する。技術者に提示される補修推奨はまた、コイルを交換すべきであるという最終決定の前の推奨される措置をも含む。フィルタリングモジュール118は、プロセッサによって、評価のために遠隔サーバにデータを送信する前に、無効なデータポイントをフィルタリング除外するために実行される。フィルタリングが実行される様式は、
図6に関連してより詳細に説明する。
【0023】
[0029] 表1は、診断信号分析によって生成される、システム並びにそれぞれのデバイス及び/又は部分構成要素のための警告に基づいて、遠隔診断(すなわち、MRシステムのロケーションにない)のためにプロセッサ46によって送信されるなどの、障害情報の単純化された例を示す。
【0024】
【0025】
[0030] 表2は、プロセッサ46によって受信されるもののような補修推奨レポートの一例を示す。例示的な命令は、フィールドサービスエンジニア(システムのロケーションにいる)に対する診断分析及び/又は論理によって生成される警告に基づく。
【0026】
【0027】
[0031] 1つの実施形態において、補修推奨テーブル116が、ユーザインターフェース上に提示される。補修推奨テーブル116は、そのコイル識別情報(例えば、シリアル番号、コイル番号、又は何らかの他の適切な識別子)によって各コイルを識別し、コイルを交換すべきか否かを示す。例えば、測定電圧が特定の期間内で所定の使用回数又は所定の回数にわたって所定の閾値電圧を下回って降下したコイルが、交換を推奨される。低電圧測定値を呈しない他のコイルは、交換を推奨されない。別の実施形態において、補修推奨テーブル116は、補修又は交換を必要とするMRシステムの他の構成要素を識別する。例えば、モニタリングされるコイル電圧情報を使用して、RFコイルの1つ又は複数を電源に接続するコネクタに障害があること、及び/又は、RFコイルの1つ又は複数をコネクタに接続するコイルインターフェースに障害があることを判定することができる。
【0028】
[0032] 引き続き
図1及び
図2を参照すると、経時的な様々な信号の以下の図面及び説明は、種々の信号のそのような時間依存特性パターン、並びに、障害モード及び根本原因を区別するためにその分析をどのように使用することができるかを示す。
【0029】
[0033]
図3は、本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、疑わしいコネクタの問題によって測定電圧レベルの劣化が進行していることを示す、複数のコイルの低電圧(VDL)150及び高電圧(VDH)160のグラフを示す。複数のコイルの各々の測定電圧は、それぞれの色分けされた点によって表される。電圧の変動は、内部デバイスネットワークの状態が不安定又は障害があることを示す。特定の関与するデバイス(例えば、コイルインターフェース)、サブシステム(RXE0)及び信号(VDL)の分析を利用して、障害モード(例えば、電圧接続/コネクタの破損又は劣化)及び位置(例えば、コイルインターフェース)を識別することができる。この種類の信号劣化は、実際にシステムが機能不全になる前に障害を予測するために使用され、これは、それぞれの未然の措置によって対処することができる。
【0030】
[0034] グラフ150によれば、所定の電圧閾値は1.2ボルトに設定されている。この閾値電圧を一貫して又は繰り返し下回って測定されるコイルは、交換の候補と考えられる。見てとれるように、測定期間(例えば、数週間などの期間)の終わりまでに、いくつかのコイルの電圧が1.2V閾値を下回って降下している。この例において、紫色の点は、頭部及び頸部のコイルの測定電圧を示す。頭部及び頸部のコイルの測定電圧152(紫色)は、モニタリングされる期間の終わりまでに一貫して閾値を下回っており、したがって、頭部及び頸部のコイルは交換の候補である。頭部コイル(緑色)、ベースコイル(紺青色)のような他のコイルが、閾値を下回る測定電圧を示しているが、散発的なものに過ぎず、したがって、交換の候補ではない。
【0031】
[0035]
図4は、本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、繰り返し発生する電圧降下を示す、低電圧(VDL)170及び高電圧(VDH)180のグラフを示す。この信号視覚化は、指定の通常動作範囲(赤色の線)を下回る電圧降下が発生した後に実施された(示されている時間の約2/3において)是正措置182を示している。この措置は、一定の時間にわたって通常の動作範囲の電圧(VDH)をもたらした。
【0032】
[0036] しかしながら、措置の直後のVDHの電圧劣化の再発は、障害の根本原因が、最初の是正措置によって正しく対処されなかったことを示す。したがって、続いて行われる措置は、特に電源により近い、根本原因のより広範囲の探索を含むべきである。これは、グラフによれば、システムに接続されているすべてのコイルがこの電圧問題の影響を受けているためである。
【0033】
[0037]
図5は、本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、短過渡電圧問題を示す、低電圧(VDL)190及び高電圧(VDH)200のグラフを示す。信号視覚化は、信号(VDL、VDH)が通常、所定の閾値(赤色の線)を上回ったままであることを示す。しかしながら、ある瞬間202(すなわち、視覚化されている時間の約3/4における1日の間)において、VDH信号の著しい降下(すべてのデバイスにわたる)が発生する。これは、コイル/コネクタの漸進的な劣化又は障害の問題は提示されないが、システムの過渡的な状態が機能不全をもたらすことを示す。これは、システムの使用/オペレータに起因する可能性が最も高く、直ちに是正処置に処す必要はない。したがって、与えられている例から、特定の信号及びデバイスの分析及びコンテキストが、障害の障害モード及び/又は根本原因を識別するために使用することができる値の情報を提供することは明らかである。
【0034】
[0038] 説明されている視覚的分析は、現提ではないが、フィルタリング(窓動作を伴う又は伴わない)、相関、曲線適合などを含む、適切な数値的信号分析によって実施することができる。例えば、それらの時間的コンテキストに起因する実際の機能不全を表さない規格外事象(すなわち、コイルの接続切断又は接続の瞬間の間の位相ロック喪失エラー)をフィルタリング除外することができる。別の実施形態において、スキャンが実施されることに起因する短過渡変動を排除又は低減するために、信号のローパスフィルタリングが実施される。別の実施形態において、時間窓動作を伴う分析が実施され、信号分析が過敏になるのを回避するために、指定の最小継続時間を超えて存在するエラーのみがエラーとして考えられることが保証される。
【0035】
[0039] 本明細書において説明されているMRシステムは複数のコネクタを有し、複数のコイルがそれらの各々に接続される。電圧及び位相ロック喪失(PLL)のような他の障害モードを含む、多数のパラメータが、デジタルコイルによってモニタリングされる。データが適切にフィルタリングされた後、毎日のログファイルからのフィルタリングされたデータが、モニタリングされているデータ(デジタルコイルからのデータ、環境データ(技術室又は実験室)又は他のデジタル構成要素からのデータを含む)を含むファイルのような、他のソースとともに分析される。コネクタは、デジタルデータ及び供給電圧を伝送するためのレンズシステムを含む。コイルが接続された後、すべてのデジタル内部構成要素が正確なセンサデータを提供する前に遅延期間が存在し、結果、ほとんどの場合、プラグ事象周辺のデータをフィルタリング除外する必要がある。コイルがプラグ接続されるよりも前のタイムスタンプを伴ってログ記録された任意のサンプルは、コイルサブシステムと実際のログファイルとの間の時間同期が不正確であることから生じるエラーを表すため、フィルタリング除外する必要がある。さらに、コイルをプラグ接続した直後に発生するサンプルはフィルタリング除外する必要があり、フィルタ定数の継続時間は、ログ記録されている個々のパラメータに適合される必要がある。2部品コイルの第2の部品がプラグ接続されるとき、第1の部品(すでに接続されている部品)内の電圧の変化が発生する可能性があり、結果、他のコイルのプラグ事象周辺でログ記録されるサンプルもフィルタリングされる。モニタリングの開始時の時間遅延は、フィルタリングを容易にするように選択される(例えば、位相ロック喪失の場合は90秒)が、スキャンの終了時の時間遅延は、患者がイメージングデバイスを離れて移動し、コイルをプラグ接続解除するのに必要な時間よりも短くなるように選択される(例えば、プラグ接続解除事象の15秒前に、データサンプルがフィルタリング除外される)。
【0036】
[0040]
図6は、本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、測定電圧信号のフィルタリングが実施される様態を示すダイアグラム230を示す。プロセッサ46による信号(「電圧VDL」と名付けられている信号の円によって示される(第2行内))のフィルタリングが、「プラグ事象」及びそれぞれの有効測定範囲に関する情報を含む二次情報源と関連して実施される、すなわち、コイルをプラグ接続した直後又はコイルをプラグ接続解除する直前の信号は有効であるとは考えられない。結果として、赤色の×印を有しない円のみが、診断分析に有効なデータを示す。
【0037】
[0041] ダイアグラム230において、最上行232は、モニタリングされるデバイス又はコイル(例えば、ベースコイル)の事象を示す。事象は、ベースコイルが接続される時点C、及び、ベースコイルが接続切断される時点Dを含む。接続遅延期間234が示されており、これは、接続時点Cから第1の有効サンプリング期間236までに及ぶ。図の中央行238は、モニタリングされるコイルのパラメータ(例えば、電圧VDL)について収集されるデータサンプルを示し、データサンプルはフィルタリングを必要とする。図の最下行240は、システム内の異なるコイル(例えば、トップコイル)の事象を示し、事象は、モニタリングされるコイルのデータサンプルのフィルタリングに影響を与える。具体的には、異なるコイル(例えば、トップコイル)の接続時点C’において、モニタリングされるコイルの電圧VDLが変動する。それゆえ、接続時点C’の周辺に遅延期間242が示されており、その間、収集されるデータサンプルは無効であると考えられる。異なるコイルは後に時点D’において接続切断される。遅延期間242の後、第2の有効サンプリング範囲244が示されており、その間、モニタリングされるコイルについて収集されるデータサンプルは有効と考えられる。ベースコイル接続切断Dが検出されると、第2の有効範囲244から接続切断Dまでに及ぶ遅延期間245内のデータサンプルも無効であると考えられ、フィルタリング除外される。
【0038】
[0042]
図6の例において、データサンプル246は、ベースコイルの接続の前に発生するためにフィルタリング除外される(すなわち、接続の前に電圧VDLはないはずであるため、このサンプルは無効であると考えられる)。第2のデータサンプル248は、接続遅延期間内に発生するためにフィルタリング除外される(すなわち、ベースコイル接続の後の早すぎる時点で発生しており、有効であるとは考えられない)。データサンプル250、252は第1の有効サンプリング範囲内で発生し、それゆえ、フィルタリング除外されない。データサンプル254は、トップコイルが接続された、有効サンプリング範囲236、244の間の遅延期間242内で発生し、それゆえ、フィルタリング除外される。データサンプル256、258は第2の有効サンプリング範囲内で発生し、それゆえ、フィルタリング除外されない。データサンプル260は接続切断遅延期間245の間に発生し(すなわち、ベースコイルが接続切断される時点に近すぎる)、有効であると考えられ、それゆえ、フィルタリング除外される。無効なデータサンプルのフィルタリングは、
図1のプロセッサ46によって、所与のスキャン又はテスト手順などの間に、各データポイントと関連付けられるタイムスタンプを、種々のコイルの接続及び接続切断の時点と比較することによって実施されることは理解されよう。
【0039】
[0043] 1つの実施形態において、フィルタリングを実行するとき、プラグ事象遅延の継続時間(その間はデータサンプル点が無効であると考えられる、コイルのプラグ事象の前の遅延期間及びプラグ接続解除事象の後の遅延期間)は、無効な位相ロック喪失事象が最小限に抑えられるように選択される。例えば、遅延期間が短すぎる(例えば、3秒など)場合、偽陽性PLL事象が、データサンプルセットから適切にフィルタリング除外されない場合がある。他方、プラグ事象遅延期間が長すぎる場合、実際のPLL事象が不要にフィルタリング除外される場合がある。
【0040】
[0044] 別の実施形態において、QPI(画像品質劣化をもたらすスパイクに関係付けられ、MRデバイスによって測定されるパラメータ)を使用して、無効なデータセットのフィルタリングが実施される。サンプリングされるパラメータデータが種々のシステム間で比較可能であるようにするために、また、すべてのシステムの閾値を生成するために、データは、例えば、スキャン時間又は何らかの他の適切な測定基準に対して正規化され、その後、例えば1日ごとに、集約される必要がある。一例によれば、上限QPI閾値が設定され(例えば、0.5)、これを上回るデータサンプルは、障害を表すと考えられる。例えば、1日ごとに集約されている、この特定のパラメータの所定数の障害サンプルが閾値を超える場合、コイルの補修又は交換を求める警告を生成することができる。
【0041】
[0045] 別の実施形態において、PLLデータが1日ごとに集約され、スライディングウィンドウ(例えば、5日間の継続時間又は何らかの他の所定の継続時間を有する)が使用されて、ウィンドウ内の1日を超える時間においてPLL事象が発生したか否かがチェックされる。例えば、2回を超える事象がスライディングウィンドウ内に入る場合、警告が生成され、分析のために遠隔サーバに送信される。スライディングウィンドウ継続時間は、モニタリングされる特定のコイルがウィンドウ内で少なくとも2回、MRイメージングデバイスに接続されるのに十分に長くなるように選択される。例えば、MRコイルが週に1度しか使用されない場合、3週間、5週間などのウィンドウが選択される。
【0042】
[0046] 別の実施形態において、各コイルの電圧VDLがモニタリングされる。下回ると警告が生成される所定の閾値が設定される。VDLの劣化は、コネクタに接続されているすべてのコイルにわたってモニタリングされることは理解されよう。例えば、コイル供給電圧(フィルタリング後)の最小値が閾値を下回って降下する場合、コネクタに接続されている複数のコイルのうちの1つについてのみ低電圧が発生する場合に、データサンプルはコイル欠陥に関する警告としてカウントされる。しかしながら、複数のコイルが同じ挙動を示す場合、問題はコネクタ又はコネクタの電源にある可能性がより高く、データはコネクタごとに分析される必要がある。
【0043】
[0047] 例えば、特定のコイルが1つのコネクタ上で低電圧を示すが、異なるコネクタでは正常な電圧を示す場合、根本原因はコイルの問題ではなく、コネクタの問題であると判定される。しかしながら、複数のコネクタにおいて1つのコイルのみが問題を示す場合、根本原因はコイルの欠陥であると判定される。
【0044】
[0048]
図7は、本明細書において説明されている1つ又は複数の特徴による、構成要素信号分析に基づいて磁気共鳴(MR)イメージングシステム内の差し迫った構成要素障害を識別する方法を示す。400において、少なくとも1つの無線周波数(RF)コイルパラメータが、コネクタを介して電源に周期的に接続される複数のRFコイルの各々についてモニタリングされる。402において、少なくとも1つの所定の測定基準に従って、モニタリング中に収集されるデータポイントを廃棄することによって、データセットがフィルタリングされる。1つの例によれば、少なくとも1つの所定の測定基準が、所与のコイルがコネクタにプラグ接続され又はコネクタからプラグ接続解除される時点に隣接して、その前及び後のうちの少なくとも1つにおいて発生するプラグ事象遅延期間であるとき、フィルタリング済みデータセットは、プラグ事象遅延期間内に入るデータサンプルを廃棄することによって生成することができる。付加的に又は代替的に、所定の測定基準がPLL事象の所定の閾値数であるとき、フィルタリング済みデータセット内で検出されるPLL事象の数が、所定の期間、又は、プラグ事象周辺の有効時間範囲にわたってフィルタリングすることによって決定される期間のセット内で、所定の閾値を超えるときに、警告を生成することができる。
【0045】
[0049] 404において、フィルタリング済みデータセットに基づく少なくとも1つのモニタリングされるRFコイル内の少なくとも1つの障害状態が識別される。406において、識別されている少なくとも1つの障害状態のレポートが、遠隔サーバに送信される。408において、識別されている少なくとも1つの障害状態の根本原因を示す情報及びコイル補修推奨を含む信号が、遠隔サーバから受信される。410において、補修推奨がユーザインターフェース(UI)上に出力される。
【0046】
[0050] 本発明は、いくつかの実施形態を参照して説明されている。先行する詳細な説明の読解及び理解を受けて、他のものに対する修正及び改変を行うことができる。本発明は、添付の特許請求項及びそれらの均等物の範囲内に入る限り、すべてのそのような修正及び改変を含むものとして解釈されることが意図されている。