(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】変速機及びそのような変速機が設けられた圧縮機又は真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 29/02 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
F04C29/02 351D
(21)【出願番号】P 2019559721
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(86)【国際出願番号】 IB2018051661
(87)【国際公開番号】W WO2018203151
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-02-05
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ファン ホーフェ リヌス
(72)【発明者】
【氏名】デ マン ステーヴン
【審査官】大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07299792(US,B1)
【文献】米国特許第08439019(US,B1)
【文献】特開平01-277696(JP,A)
【文献】特開2006-037895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/04
F04C 29/02
F16H 1/00、57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
従動シャフト(9)を有する圧縮機要素(2)と、該圧縮機要素(2)を駆動する駆動シャフト(13)を有するモータ(3)とが設けられた圧縮機であって、該圧縮機(1)には、前記駆動シャフト(13)と前記従動シャフト(9)の間に更に変速機(4)が設けられ、該変速機(4)が、ハウジング(10)と、少なくとも前記従動シャフト(9)上に装着された従動歯車(11)及び前記駆動シャフト(13)上に装着された駆動歯車(14)とを含み、
前記ハウジング(10)は、2つの個別チャンバ(20、22)、すなわち、前記従動シャフト(9)に接続された第1のチャンバ(20)及び該第1のチャンバ(20)とは別のものである第2のチャンバ(22)を含み、該第1のチャンバ(20)は、該第2のチャンバ(22)とチャネル(21)を通じて接続され、前記駆動歯車(14)
及び前記従動歯車(11)の
一方の周りに該第2のチャンバ(22)が形成され、
前記第2のチャンバ(22)の壁と前記駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方との間の半径方向の距離が前記駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方の回転方向(P)により大きくなり、前記チャネル(21)は、前記回転方向(P)における前記第2のチャンバ(22)の端部に接続し、前記駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方の回転が前記第2のチャンバ(22)内で前記回転方向(P)へのガス流れを生成し、該ガス流れがベンチュリ効果によって該チャネル(21)内に陰圧を引き起こ
して前記第1のチャンバ(20)内のガスを前記チャネル(21)を通じて前記第2のチャンバ(22)に到達させるようになっている、
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記第2のチャンバ(22)は、前記ハウジング(10)の壁(23)内に一体化されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記変速機(4)には、前記
駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方の隣に又はそれに対して装着され、かつ前記第2のチャンバ(22)を形成するように切り欠きが設けられたシールドが設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記第2のチャンバ(22)は、最大直径及び/又は最大周辺速度を有する前記
駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方に沿って延びることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記第2のチャンバ(22)は、前記
駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の係合の位置から開始して前記
駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方の円周の0°から225°まで延びることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記第2のチャンバ(22)は、前記
駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方の円周の25%から75%にわたっ
て延びることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記第2のチャンバ(22)は、前記駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方の円周の45%から55%にわたって延びることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記第2のチャンバ(22)は、前記駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方の円周の50%にわたって延びることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記第2のチャンバ(22)は、
前記変速機(4)に接続されたフィルタ要素(16
)に接続していることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項10】
従動シャフトを有する真空ポンプ要素と該真空ポンプ要素を駆動する駆動シャフトを有するモータ(3)とが設けられた真空ポンプであって、
前記真空ポンプには、前記駆動シャフト(13)と前記従動シャフト(9)の間に更に変速機(4)が設けられ、
前記変速機(4)が、ハウジング(10)と、少なくとも前記従動シャフト(9)上に装着された従動歯車(11)及び前記駆動シャフト(13)上に装着された駆動歯車(14)とを含み、
前記ハウジング(10)は、2つの個別チャンバ(20、22)、すなわち、前記従動シャフト(9)に接続された第1のチャンバ(20)及び該第1のチャンバ(20)とは別のものである第2のチャンバ(22)を含み、該第1のチャンバ(20)は、該第2のチャンバ(22)とチャネル(21)を通じて接続され、前記駆動歯車(14)
及び前記従動歯車(11)の
一方の周りに該第2のチャンバ(22)が形成され、
前記第2のチャンバ(22)の壁と前記駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方との間の半径方向の距離が前記駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方の回転方向(P)により大きくなり、前記チャネル(21)は、前記回転方向(P)における前記第2のチャンバ(22)の端部に接続し、前記駆動歯車(14)及び前記従動歯車(11)の前記一方の回転が前記第2のチャンバ(22)内で前記回転方向(P)へのガス流れを生成し、該ガス流れがベンチュリ効果によって該チャネル(21)内に陰圧を引き起こ
して前記第1のチャンバ(20)内のガスを前記チャネル(21)を通じて前記第2のチャンバ(22)に到達させるようになっている、
ことを特徴とする真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機及びそのような変速機が設けられた圧縮機又は真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの駆動シャフトと例えば圧縮機要素の回転子の従動シャフトとの間の変速機には、変速機の歯車が位置付けられるハウジングが設けられることは公知である。
【0003】
適正な作動を保証するために、オイルが変速機のハウジングに注入されて潤滑剤として機能する。
【0004】
駆動シャフトは、圧縮機要素から変速機まで延びるので、シールが圧縮機要素と変速機の間に設けられる。
【0005】
しかし、何らかの漏出流れが常に存在することになり、これは、何らかの空気が変速機のハウジングに到達し、従って、変速機内の圧力上昇を引き起こすことになることを意味する。
【0006】
そのような陽圧を取り除くことは、上述のシールが過剰に大きい圧力差にこれがそれらの適正作動に影響を与える可能性があるという理由で露出すべきではないので重要である。
【0007】
圧力差が大き過ぎる場合に、空気が変速機から圧縮機要素に漏出することになることが可能である。この空気はまた、注入された潤滑剤を含有することになる。
【0008】
そのような状況は、この潤滑剤が意図せずに圧縮機要素に到達し、圧縮機要素によって発生された圧縮空気をこの場合は潤滑剤で汚染させることになるので常に避ける必要がある。
【0009】
明らかに、清浄な圧縮空気を必要とするオイルフリー用途の場合に、そのような状況は許容可能ではない。
【0010】
陽圧は、大気の中に放出することができると考えられる。これは、潤滑剤を有する空気が大気中に到達することを意味する。そのような状況は、この潤滑剤が機械上に又はその近くに到達することになり、かつそうする際に偶然に機械にも到達する場合があるので、オイルフリー用途に対しては回避されることが好ましい。
【0011】
これが、オイル分離器を通して変速機内のオイル-空気混合物を清浄化することができ、かつそれを大気の中に放出するように変速機のハウジングがオイル分離器に接続される理由である。分離されたオイルは、オイルリザーバに誘導して戻され、次に変速機の中に注入して戻すことができる。
【0012】
公知の変速機では、変速機からベンチュリチャネルを通じてオイル分離器までの抽出を取得するのに圧縮ガスが使用される。
【0013】
上述のベンチュリチャネルに分岐される圧縮機によって発生された圧縮ガスの一部がこのために使用される。その結果、オイル-空気混合物は、変速機から抽出されることになり、それによって圧縮ガス及びオイル-空気混合物は、フィルタを通し吹き込まれる。
【0014】
当然ながら、これは、機械の効率の損失を意味する。
【0015】
更に、分枝は、遮断される又は切り離される可能性があり、そのためにベンチュリチャネルがその効果を失い、そのためにオイル分離器への抽出が行われない。
【0016】
これに代えて、例えば通風機を有する外部(電気)ソースを通じて抽出を取得することも可能である。
【0017】
しかし、このソリューションは、電気の余分な消費も意味し、かつ外部ソースが故障した場合、例えば、電力喪失又はケーブルの破断の場合の追加リスクも意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、上述の及び他の欠点のうちの少なくとも1つに対するソリューションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的のために、本発明は、駆動シャフトと従動シャフトの間の変速機に関し、この変速機は、ハウジングと、少なくとも従動シャフト上に装着された従動歯車及び駆動シャフト上に装着された駆動歯車とを含み、それによってハウジングは、2つの個別のチャンバ、すなわち、従動シャフトに接続された第1のチャンバ及び第1のチャンバとは別の第2のチャンバを含み、それによって第1のチャンバは、第2のチャンバとチャネルを通じて接続され、それによって駆動歯車又は従動歯車の周りには、第2のチャンバが形成され、それによって第2のチャンバの形状は、当該の歯車が回転する時にベンチュリ効果によってチャネル内に陰圧を引き起こすガス流れがこの歯車の周りに生成されるようになっている。
【0020】
歯車の周りの上述のガス流れは、「ギアウインド」とも呼ばれ、かつ歯車の回転する歯によって発生された空気流れ又は渦である。
【0021】
「第1のチャンバは、従動シャフトに接続される」は、上述の漏出流れがこのチャンバ内に到達するように、このチャンバが従動シャフトの側に位置付けられることを意味する。
【0022】
第1の利点は、陰圧がチャネルに生成されるので、ガス及びいずれの潤滑剤の抽出も、強いて言えば上述の第1のチャンバからチャネルを通して第2のチャンバまでで起こることになるということである。
【0023】
これは、これに起因して第1のチャンバ内の圧力を圧縮機要素と変速機の間のシールにわたる圧力差の限度内に僅かな陽圧又は陰圧で低く保つことができるという利点を提供する。
【0024】
第1のチャンバのガス及び潤滑剤が到達する第2のチャンバでは、圧力上昇が存在することになる。
【0025】
別の主な利点は、このシステムがいずれの外部パワーソース、すなわち、圧縮空気又は電気も必要としないことである。
【0026】
これは、この外部パワーソースの停止による故障又は欠陥のリスクがないことも意味する。
【0027】
更に、それは、自動自己調整システムであり、すなわち、歯車が速く回転するほど、より多くの漏出流れが圧縮機要素から変速機まで存在することになり、第1のチャンバの抽出は、歯車が速く回転するほど大きくなることになる。
【0028】
これは、第1のチャンバの抽出のレベルがその状況にそれ自体を自動的に適応させることになることを意味する。
【0029】
好ましくは、歯車及びハウジングは、第1のチャンバと第2のチャンバの間の漏出経路を可能な限り最小にし、かつ従って両方のチャンバの間に十分に大きい圧力差を生成するようにタイトフィットを形成する。
【0030】
好ましくは、第2のチャンバの壁と当該の歯車の間の半径方向の距離も、当該の歯車の回転方向でより大きい。
【0031】
これは、歯車によって発生された「ギアウインド」を誘導し、従って上述のチャネル内の陰圧を増大するのを補助することになる。
【0032】
実際的実施形態では、上述のハウジング内の第2のチャンバは、当該の歯車の円周の0°から225°まで延びて歯車の係合の位置から逸脱する。
【0033】
上述の実施形態は、第2のチャンバ内の圧力上昇に必要な電力が補償され、かつチャネル内のベンチュリ効果が最大にされて第1のチャンバ内の陰圧を保証するように渦損失を最小にする。
【0034】
本発明はまた、圧縮機又は真空ポンプ要素と圧縮機又は真空ポンプ要素に動力供給するモータとが設けられた圧縮機又は真空ポンプに関し、それによって圧縮機又は真空ポンプ要素には、モータの駆動シャフトと圧縮機又は真空ポンプ要素の従動シャフトの間に本発明による変速機が同じく設けられる。
【0035】
本発明の特性をより良く示すために、本発明による変速機及びそれが設けられた圧縮機又は真空ポンプの小数の好ましい実施形態を添付図面を参照していずれの制限する意図もなく一例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明による圧縮機を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に示す圧縮機1は、圧縮機要素2と、モータ3と、圧縮機要素2とモータ3の間の変速機4とを本質的に含む。
【0038】
圧縮機要素2は、この場合はスクリュー圧縮機要素2であり、それは、圧縮機要素ハウジング5及び2つの協働スクリュー回転子6a、6b、より具体的には、雄スクリュー回転子6a及び雌スクリュー回転子6bを含み、そのローブ7は、協働的に互いの中に回転する。
【0039】
両方の回転子6a、6bは、圧縮機要素ハウジング5内でそれらのシャフト8を用いて軸受によって装着される。
【0040】
回転子のうちの一方6bのシャフト8は、伸張されて従動シャフト9を形成する。
【0041】
この従動シャフト9は、変速機4のハウジング10の中に達し、従動歯車11は、その端部に装着される。
【0042】
圧縮機要素2を変速機4から遮断するために、2つのシール12a、12b、すなわち、オイルシール12a及び空気シール12bが従動シャフト9上に装着される。
【0043】
モータ3は、変速機4のハウジング10の中に達する駆動シャフト13を有し、その上に上述の従動歯車11上に係合する駆動歯車14が装着される。
【0044】
変速機4は、上述の歯車11及び14がそこにある上述のハウジング10を含む。
【0045】
勿論、ハウジング10内で追加の歯車が従動歯車11と駆動歯車14の間に装着されることは排除されない。
【0046】
これは、モータ3が変速機4のハウジング10内に位置付けられることも排除しない。
【0047】
フィルタ要素16は、変速機4のハウジング10内にあるオイル-空気混合物からオイルを濾過することができるように変速機4のハウジング10に接続される。
【0048】
この場合に、必須ではないが、変速機4のハウジング10は、注入されたオイルを収集するためにオイルリザーバ15に接続され、このオイルリザーバ15には、フィルタ要素16が設けられる。
【0049】
更に、図示の実施例の圧縮機1には、オイルポンプ18を用いてオイルリザーバ15内に収集されたオイル、すなわち、ハウジング10から逆流するオイル及びフィルタ要素16によって分離されたオイルを変速機4及び/又はモータ3に戻すことができるオイル回路17が同じく設けられる。これに加えて、オイル回路17には、不純物をオイルから除去することができるようにオイルフィルタ19が同じく設けられる。
【0050】
本発明により、変速機4のハウジング10は、2つのチャンバ20及び22を含む。第1のチャンバ20は、従動シャフト9に接続され、第2のチャンバ22は、第1のチャンバ20とは別のものである。これは
図2に示されている。
【0051】
図2から分かるように、従動シャフト9は、第1のチャンバ20の中に延びる。
【0052】
第2のチャンバ22は、駆動歯車14の周りに設けられる。第1のチャンバ20は、チャネル21を通じてこの第2のチャンバ22に接続される。
【0053】
第2のチャンバ22の形状は、
図3に明確に示されている。
【0054】
この場合に、第2のチャンバ22は、変速機4のハウジング10の壁23内に一体化される。
【0055】
しかし、歯車14の隣に、周りに、又はそれに対して装着されて第2のチャンバ22に類似の形状に設けられたシールドを変速機4に設けることも可能である。そのようなシールドは、ハウジング10内に装着することができる。これは、可能な既存のハウジング10に対して何も変更する必要がないという利点を提供する。
【0056】
第2のチャンバ22は、陰圧がベンチュリ効果に起因してチャネル21内に引き起こされるように駆動歯車14の回転によって生成された「ギアウインド」がチャネル21に沿って誘導されるようなものである。
【0057】
図3に見ることができるように、第2のチャンバ22は、矢印Pに示すように駆動歯車14の回転方向により大きくなる。このチャネル21はまた、駆動歯車14の回転方向Pに見られるように第2のチャンバ22の端部に、すなわち、その最も大きい端部に接続する。
【0058】
両方の特性は、上述の効果が可能な限り最適となることを保証することになる。
【0059】
第2のチャンバ22は、歯車の係合から始まって矢印Pの回転方向に駆動歯車14の円周の0°から約225°まで延びる。
【0060】
好ましくは、駆動歯車14の円周の残余は、タイトフィットを形成する。
【0061】
これは、渦損失が最小限まで低減されることを保証することになる。
【0062】
図1に見ることができるように、第2のチャンバ22は、変速機4に接続されたフィルタ要素16に接続される。このフィルタ要素16は、例えば、通気フィルタ又はフィルタが設けられた液体分離器とすることができる。
【0063】
フィルタ要素16内のオイル分離は、ある一定の圧力低下に常にリンクしているので、その結果は、第2のチャンバ22内の陽圧であることになる。これは、第2のチャンバ22内の余分な渦損失を意味する。
【0064】
図3に示すような第2のチャンバ22の形状により、駆動歯車14のタイトフィットによる渦損失の低減とフィルタ要素16にわたる圧力上昇に起因する第2のチャンバ22内の余分な渦損失とが互いに相殺することになり、これは、モータ3の余分な動力を必要としないことを意味する。
【0065】
圧縮機1の作動は、非常に簡単で以下の通りである。
【0066】
圧縮機1の作動中に、モータ3は、駆動歯車14に動力供給することになり、それによって従動歯車11を通じた動きは、圧縮機要素2の従動シャフト9に伝達される。
【0067】
オイルは、歯車11、14、軸受、及び他の部品の冷却及び/又は潤滑のために変速機4及び潜在的にはモータ3にも注入されることになる。
【0068】
圧縮機1の作動は、従動シャフト9上の空気シール12bが変速機4に向けて圧縮機要素2の方向にある一定の漏出流れを許すことになるので、変速機4内のある一定の圧力上昇をもたらすことになる。
【0069】
その結果、変速機4のハウジング10内には、上昇した圧力でオイル-空気混合物が存在することになる。
【0070】
駆動歯車14の回転は、チャンバ22内にいわゆる「ギアウインド」を生成することになり、それによって空気流れ又は渦が、駆動歯車14の回転する歯によって発生される。
【0071】
チャネル21に沿ってこの空気流れを誘導することにより、ベンチュリ効果は、チャネル21内に陰圧を引き起こすことになる。
【0072】
この陰圧の結果として、第1のチャンバ20は、強いて言えば吸引されることになり、このチャンバ内のオイル-空気混合物は、チャネル21を通じて第2のチャンバ22に到達することになる。
【0073】
これは、第1のチャンバ20と第2のチャンバ22の間に圧力差を引き起こし、それによって第1のチャンバ20内の圧力は、第2のチャンバ22内の圧力よりも低くなる。
【0074】
第1のチャンバ20内のより低い圧力は、オイル-空気混合物が圧縮機要素2に到達することができることが回避されるように、従動シャフト9上のシール12a、12bが過剰に大きい圧力差に露出されることを防止する。
【0075】
オイル-空気混合物は、圧力上昇がフィルタ要素16にわたる圧力低下に起因して起こることになる第2のチャンバ22に到達し、その後に、清浄化されてオイルフリーの空気は、誘導されて出すことができる。
【0076】
フィルタ要素16内で分離されたオイルは、次に、オイル回路17を通じて変速機4及び/又はモータ3の中に注入されて戻ることができる。
【0077】
図示の例では、第2のチャンバ22は駆動歯車14の周りに設けられているが、このチャンバ22が従動歯車11又は(存在する場合は)別の歯車の周りに設けられることは排除されない。
【0078】
しかし、好ましくは、このチャンバ22は、歯車11、14又は(存在する場合は)別の歯車のうち、最大直径及び/又は最大周辺速度を有する歯車に沿って延びる。
【0079】
図3に見ることができるように、この場合の駆動歯車14は、従動歯車11よりも大きく、第2のチャンバ22は、従って同じく駆動歯車14の周りに設けられる。
【0080】
より大きい歯車14は、結局、チャネル21内の陰圧がより大きく、かつ第1のチャンバ20のより良好な抽出が得られるように、より大きいガス流れを生成することができることになる。
【0081】
本発明により、本発明が本発明によって変速機4が設けられた圧縮機1に関連する必要はない。機械は、同じく真空ポンプとすることができると考えられる。
【0082】
本発明は、一例として説明して図面に示す実施形態に決して限定されず、むしろ本発明による変速機及びこれが設けられた圧縮機又は真空ポンプは、本発明の範囲から逸脱することなく全ての種類の形態及び寸法に実現することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 圧縮機
4 変速機
7 ローブ
11 従動歯車
14 駆動歯車