(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ローリングダイヤフラムを備えたシリンジ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/152 20060101AFI20220405BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A61M5/152
A61M5/145 500
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020138033
(22)【出願日】2020-08-18
(62)【分割の表示】P 2017507929の分割
【原出願日】2015-04-24
【審査請求日】2020-09-07
(32)【優先日】2014-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴ・ベリー
(72)【発明者】
【氏名】バリー・エル・タッカー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ジェイ・ラインハート
(72)【発明者】
【氏名】マーク・トロッキー
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・ダブリュ・カラン
(72)【発明者】
【氏名】アーサー・イー・ウーバー・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ジェイ・ウラン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴ・カレン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ピー・コーワン
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド・シー・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ティー・クルップ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ジェイ・ギブラー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・マギー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エー・スポーン
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-262614(JP,A)
【文献】米国特許第6620134(US,B1)
【文献】実開昭50-64490(JP,U)
【文献】特表平6-507324(JP,A)
【文献】国際公開第2012/061140(WO,A1)
【文献】米国特許第4171698(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/152
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療流体をその中に受け入れるローリングダイヤフラム(112)であって、
プランジャ(144)と係合する凹状の端壁(136)を備えた近位端であって、前記端壁(136)の少なくとも一部が不均一な厚さを有する、近位端(132)と、
排出首部(140)を有する遠位端(130)と、
長手方向軸に沿って前記近位端(132)と前記遠位端(130)との間に延在する可撓性の側壁(134)であって、前記可撓性の側壁(134)は、前記凹状の端壁(136)が前記遠位端(130)に向かって内側に反転するとともに、前記可撓性の側壁(134)の近位部分が反転される際に折畳み領域における前記側壁(134)の外面が半径方向内側方向に折り畳まれるような転動構成を取る、可撓性の側壁(134)と、
プランジャ係合部分(244)であって、前記凹状の端壁(136)により画定される空洞内で前記プランジャ係合部分(244)が少なくとも部分的に窪みを付けられるように、前記凹状の端壁(136)から近位に突出するプランジャ係合部分(244)と、
を備え、
前記プランジャ係合部分(244)と係合した前記プランジャ(144)が前記遠位端(130)から前記近位端(132)に後退されることにより前記ローリングダイヤフラム(112)を前記医療流体で充填する際に、前記折畳み領域が半径方向外側方向に広げられる際に、前記可撓性の側壁(134)の前記外面が展開する、ローリングダイヤフラム(112)。
【請求項2】
前記可撓性の側壁(134)が、前記プランジャ(144)によって作用されるとそれ自体の上で転動し、それにより、前記プランジャ(144)が前記近位端(132)から前記遠位端(130)に前進される際に、折畳み領域における前記側壁(134)の外面が半径方向内側方向に折り畳まれる、請求項1に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【請求項3】
前記端壁(136)が、連続的に厚さが増大する遠位に延在する傾斜面(272)に遷移する丸みがつけられた折縁(266)を有する、請求項1または2に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【請求項4】
前記プランジャ係合部分(244)が、前記傾斜面(272)の中心領域から近位に突出する、請求項3に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【請求項5】
前記端壁(136)が、前記プランジャ係合部分(244)から前記丸みが付けられた折縁(266)に向かって半径方向外側に突出する1つまたは複数のリブ(278)を有する、請求項3または4に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【請求項6】
前記ローリングダイヤフラム(112)の略中間点の遠位の前記側壁の第1部分(134a)が第1厚さを有し、前記ローリングダイヤフラム(112)の前記略中間点の近位の前記側壁の第2部分(134b)が第2厚さを有し、前記第1厚さが前記第2厚さより大きい、請求項1に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【請求項7】
前記プランジャ係合部分(244)は、前記プランジャ(144)の遠位端上の開口(244b)内に受け入れられるとともに、前記プランジャ(144)の前記遠位端上の前記開口(244b)内に取外し可能に固定される、請求項1~6のいずれか一項に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【請求項8】
前記プランジャ係合部分(244)は、円筒状の外形を有するタブ(244a)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【請求項9】
前記プランジャ係合部分(244)は、タブ(244a)を備え、前記タブ(244c)は、前記タブ(244c)の近位部分から半径方向外側に突出するリップ(224d)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【請求項10】
前記排出首部(140)は、流体流路セットに接続するためのコネクタ(140a)を有し、好ましくは前記コネクタ(140a)がルアーコネクタである、請求項1~9のいずれか一項に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【請求項11】
圧力ジャケット(110)をさらに備え、前記圧力ジャケット(110)は、
遠位端(116)と、
近位端(118)と、
前記圧力ジャケット(110)の前記遠位端(116)と前記圧力ジャケット(110)の前記近位端(118)との間に延在する貫通孔(121)と、
を備え、
前記貫通孔(121)は、前記ローリングダイヤフラム(112)の少なくとも一部を受け入れるように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のローリングダイヤフラム(112)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[出願の相互参照]
本出願は、「Syringe With Rolling Diaphragm」という名称の2014年4月25日に出願された米国仮特許出願第61/984,386号明細書、および「Syringe With Rolling Diaphragm」という名称の2014年3月1日に出願された米国仮特許出願第61/987,086号明細書に対する優先権を主張し、それらの開示内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医療分野において使用されるシリンジに関し、より詳細には、選択的にシリンジに流体を充填しかつシリンジから流体を排出するためのローリングダイヤフラムを含む、医療分野で使用されるシリンジに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医療診断および治療処置において、内科医等の医師は、患者に1種または複数種の医療流体を注入する。近年、造影剤溶液(単に「造影剤」と呼ばれることが多い)、生理食塩水等の洗浄剤および他の医療流体等、医療流体を加圧注入するための多数のインジェクタ作動型シリンジおよび流体注入器(インジェクタ)が、血管造影法、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、ポジトロン断層法(PET)および他の分子イメージング処置等の処置において使用されるために開発されてきた。一般に、これらの流体注入器は、予め設定された圧力および/または流量で予め設定された量の流体を送達するように設計されている。
【0004】
注入処置によっては、医師は、管または他の流体送達接続部に接続されたカテーテルまたは針を患者の静脈または動脈のいずれかの中に配置する。カテーテルまたは管は、手動流体注入機構または自動流体注入機構のいずれかに接続される。自動流体注入機構は、通常、たとえば少なくとも1つの電動式リニアピストンを有する少なくとも1つの流体注入器に接続された少なくとも1つのシリンジを含む。少なくとも1つのシリンジは、たとえば、造影剤源および/または洗浄流体源を含む。医師は、流体注入器の電子制御システムに、一定量の造影剤および/または生理食塩水と各々に対する一定の注入速度とに関する設定を入力する。
【0005】
注入された造影剤および/または生理食塩水は、患者の腕または鼠蹊部等、患者の体内に挿入されたカテーテルまたは針を通して、患者の血管系に送達される。1回分の造影剤をボーラスと呼ぶ。所望の部位に造影剤のボーラスが送達されると、その領域が、血管造影イメージングまたはスキャン、CT、超音波、MRI、PETおよび他の分子イメージング処置等、従来のイメージング技法を用いて画像化される。造影剤の存在は、周囲組織の背景に対して明確に可視化される。
【0006】
医療処置において使用するために、多くのインジェクタ作動型シリンジおよび電動注入器が開発された。通常、注入器は、シリンジプランジャに接続するピストン等の駆動部材を有する。シリンジは、一般に、剛性バレルを含み、そのバレル内にシリンジプランジャが摺動可能に配置されている。駆動部材は、流体をシリンジバレル内に吸引するかまたはシリンジバレルから流体を送達するために、バレルの長手方向に対して近位方向および/または遠位方向にプランジャを駆動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医療分野において使用されるシリンジは、通常、使い捨てであり、1回使用した後に廃棄されることは周知である。使い捨てシリンジは、通常、射出成形等の大量生産法によって作製されるため、それらの製造に関連する材料および精度のために比較的高価である。したがって、注入処置を容易にするシリンジの改善された設計を開発することが依然として望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、概して、シリンジアセンブリと、シリンジアセンブリを形成する方法とに関する。シリンジアセンブリは、流体送達用途において有用であり得る。
【0009】
一態様では、医療流体を受け入れるローリングダイヤフラムは、プランジャと係合する端壁を有する近位端と、圧力ジャケットの貫通孔内に受け入れられる遠位端であって、ノズルを有する遠位端とを有することができる。ローリングダイヤフラムは、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延在する側壁をさらに含むことができる。側壁および端壁のうちの少なくとも一方の少なくとも一部が不均一な厚さを有する。側壁の少なくとも一部は、可撓性を有することができ、かつプランジャによって作用されるとそれ自体の上で転動し、それにより、プランジャが近位端から遠位端に前進される際に、折畳み領域における側壁の外面が半径方向内側方向に折り畳まれ、およびプランジャが近位端から遠位端に後退される際に、折畳み領域における側壁の外面が半径方向外側方向に広げられる。
【0010】
別の態様によれば、端壁は、連続的に厚さが増大する遠位に延在する傾斜面に遷移する丸みがつけられた折縁を有することができる。端壁は、傾斜面の中心領域から近位に突出するプランジャ係合部分を有することができる。端壁は、プランジャ係合部分から丸みが付けられた折縁に向かって半径方向外側に突出する1つまたは複数のリブを有することができる。ローリングダイヤフラムは、近位端から遠位端に向かって細くなる円錐形状を有することができる。円錐形状は、近位端から遠位端に向かって連続的にまたは不連続に細くなることができる。近位端は、プランジャと係合すると、第1凸状形態から第2凹状形態に反転することができる。側壁の外面は、側壁内に半径方向内側に窪みが付けられた1つまたは複数の溝を有することができる。側壁の外面は、側壁から半径方向外側に突出する1つまたは複数の突起を有することができる。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラムは、球形状または楕円形状を有することができる。ローリングダイヤフラムは、長手方向軸に沿って延在する長軸と、長手方向軸に対して垂直に延在する短軸とを有する楕円形断面を有することができる。
【0011】
別の態様によれば、ローリングダイヤフラムは、ローリングダイヤフラムのおよその長手方向中間点から遠位端まで延在する第1部分と、第1部分に形状が相補的であり第1部分から近位端まで延在する第2部分とを有することができる。ローリングダイヤフラムは、側壁の外側部分の少なくとも一部を包囲する圧力スリーブをさらに有することができる。圧力スリーブは、圧力スリーブの側壁を通って延在する1つまたは複数の開口部を有することができる。1つまたは複数の開口部を真空源に接続することができる。ローリングダイヤフラムのおよその中間点の遠位の第1部分が、第1内径を有することができ、ローリングダイヤフラムのおよその中間点の近位の第2部分が、第2内径を有することができる。第1内径を第2内径より大きくすることができる。ローリングダイヤフラムのおよその中間点の遠位の側壁の第1部分が、第1厚さを有することができ、ローリングダイヤフラムのおよその中間点の近位の側壁の第2部分が、第2厚さを有することができる。第1厚さを第2厚さより大きくすることができる。近位端は、近位端と一体的に形成された剛性プランジャを有することができる。近位端にプランジャをオーバモールドすることができる。側壁の外面は、剛性外側シェルと接触することができる。ローリングダイヤフラムの側壁は、プランジャの近位端から遠位端への前進中に側壁がそれ自体の上で転動する際に、剛性外側シェルから分離することができる。ローリングダイヤフラムの側壁の外面の少なくとも一部は、接着剤により剛性外側シェルに接着される。接着剤は、感圧接着剤であり得る。側壁の外面の少なくとも一部は、プランジャの近位端から遠位端への前進中に側壁の外面をプランジャに付着する接着剤を有することができる。
【0012】
別の態様によれば、側壁は、近位端と遠位端との間に不均一な厚さを有することができる。側壁の近位部分は、側壁の遠位部分より厚い側壁厚さを有することができる。側壁の近位部分は、側壁の遠位部分より薄い側壁厚さを有することができる。熱収縮層が、側壁の外面の少なくとも一部を包囲することができる。プランジャがローリングダイヤフラムの近位端から遠位端に前進される際に、折畳み領域は側壁の転動を開始することができる。側壁の外面は、複数のタブを有することができ、各タブは、側壁の外面に接続された第1端部と、第1端部に対して半径方向外側に突出する第2端部とを有する。複数のタブの各々は、半径方向に偏向可能であり得る。ローリングダイヤフラムの側壁は、ローリングダイヤフラムの内部容積内の液体の存在を示す1つまたは複数のしるしを有することができる。ローリングダイヤフラムの内部を、患者に送達される医療流体で予め充填することができる。ローリングダイヤフラムの内部を、患者に送達される流体源からの医療流体で充填することができる。
【0013】
別の態様によれば、流体送達システムは、少なくとも1つの往復動作可能なピストンを有する流体注入器と、ピストンに動作可能に接続可能なプランジャと、流体注入器に解除可能に接続可能な圧力ジャケットと、圧力ジャケットの貫通孔内に配置されたローリングダイヤフラムとを有する。ローリングダイヤフラムは、プランジャと係合する端壁を備えた近位端と、圧力ジャケットの遠位端において受け入れられるように構成された遠位端と、長手方向軸に沿ってローリングダイヤフラムの近位端と遠位端との間に延在する側壁とを有することができる。端壁および側壁の少なくとも一部のうちの少なくとも一方が不均一な厚さを有する。ローリングダイヤフラムの側壁は、可撓性を有し、かつそれ自体の上で転動するように構成され得、それにより、プランジャがローリングダイヤフラムの近位端から遠位端に前進される際に、折畳み領域における側壁の外面が半径方向内側方向に折り畳まれ、およびプランジャがローリングダイヤフラムの近位端から遠位端に後退される際に、折畳み領域における側壁の外面が半径方向外側方向に広げられる。
【0014】
別の態様によれば、プランジャは、プランジャの本体の周囲で半径方向に延在するスカートを有することができる。スカートの外径は、プランジャが遠位方向に前進される際に、スカートが、ローリングダイヤフラムの側壁に対して圧縮されてローリングダイヤフラムの内部から流体を排出するような寸法とすることができる。プランジャは、流体充填空洞を有することができ、流体充填空洞の少なくとも一部に、往復移動可能なピストンが延在している。ローリングダイヤフラムの近位端と一体的にプランジャを形成することができる。プランジャは、プランジャの遠位端に成形された溝を有することができる。ローリングダイヤフラムの近位端は、プランジャの溝内に挿入されてそこに保持されるように構成された突起を有することができる。溝は、T字型であり得る。プランジャは、流体注入器のピストンに、ピストンによって往復駆動されるように解除可能に接続する接続インタフェースを有することができる。プランジャは、第1ねじ切り部材を有することができ、ローリングダイヤフラムの近位端は第2ねじ切り部材を有することができる。プランジャの第1ねじ切り部材は、ローリングダイヤフラムの第2ねじ切り部材と解除可能に接続可能であり得る。
【0015】
別の態様では、プランジャの遠位端は、1つまたは複数の半径方向拡張可能リブを有することができる。プランジャの遠位端は、1つまたは複数の回転可能要素を有することができ、第1方向における1つまたは複数の回転可能要素の回転により、半径方向拡張可リブの拡張がもたらされ、第2方向における1つまたは複数の回転可能要素の回転により、半径方向拡張可能リブの後退がもたらされる。プランジャの遠位端は、ローリングダイヤフラムの近位端の突起を受け入れるように構成されたスロットを有することができる。ローリングダイヤフラムの近位端の突起がスロットに挿入された後、プランジャを回転させて、ローリングダイヤフラムにプランジャを係止することができる。プランジャは、互いに対して入れ子式の向きで配置された複数の同心要素を有することができる。複数の同心要素の各々は、近位方向または遠位方向に独立して移動可能であり得る。ローリングダイヤフラムの近位端とプランジャとを同時成形することができる。プランジャは、第1要素と第1要素を包囲する第2環状要素とを有することができる。第1要素は、第1ピストンと第2ピストンとの間で第2要素に対して移動可能であり得る。第1位置では、第2要素はローリングダイヤフラムの側壁と係合することができ、第2位置では、第2要素はローリングダイヤフラムの側壁を係合解除することができる。
【0016】
別の態様によれば、プランジャは、ピストンが遠位方向に移動するときにローリングダイヤフラムの側壁と係合するように半径方向外側に拡張するように、ピストンによって圧縮可能であり得る。プランジャは、第1内側要素および第2外側要素を有することができ、第1内側要素は、第1位置と第2位置との間で第2要素に対して移動可能であり得る。第1位置では、ローリングダイヤフラム側壁と係合するように、第2外側要素を半径方向外側に拡張させることができる。第2位置では、ローリングダイヤフラムの側壁を係合解除するように、第2外側要素を半径方向内側に後退させることができる。プランジャは、内側要素と、内側要素の少なくとも一部の周囲に巻きつけられる弾性要素と、内側要素および弾性要素を包囲する拡張可能外側要素とを有することができる。内側要素の周囲で弾性要素が第1方向に回転すると、拡張可能外側要素を半径方向外側に拡張させることができる。弾性要素が内側要素の周囲で第1方向と反対の第2方向に回転すると、拡張可能外側要素を半径方向内側に収縮させることができる。拡張可能外側要素の外面を凹凸にすることができる。拡張可能外側要素は、拡張可能外側要素の近位端と拡張可能外側要素の遠位端との間に長手方向に延在するスリットを有することができる。
【0017】
別の態様では、ローリングダイヤフラムは、プランジャが係合すると、半径方向外側位置から半径方向内側位置に反転される半径方向リップを有することができ、それにより、プランジャの少なくとも一部は、ローリングダイヤフラムの近位端と半径方向リップとの間に保持される。プランジャは、ローリングダイヤフラムの近位端から突出する、タブ等のプランジャ係合部分を受け入れるように構成された中心開口部を有することができる。中心開口部の少なくとも一部内にタブを永久的に固定することができる。タブの少なくとも一部は、中心開口部内に挿入された後に半径方向外側に拡張されて、中心開口部内でタブを保持することができる。中心開口部の少なくとも一部の中に、タブを接着剤で固定することができる。プランジャは、円筒状プランジャ本体を有することができ、それは、円筒状プランジャ本体の外面から半径方向外側に突出する1つまたは複数の突起を有する。1つまたは複数の突起を、ローリングダイヤフラムの側壁と係合するように構成することができる。1つまたは複数の突起のうちの少なくとも1つに対して、プランジャの近位端から遠位端まで近位方向に角度をつけることができる。プランジャの外面は、第1ねじ切り部分を有することができ、ローリングダイヤフラムの側壁の内面は、第2ねじ切り部分を有する。第1ねじ切り部分および第2ねじ切り部分の少なくとも一方は不連続であり得る。ローリングダイヤフラムの近位端は、半径方向タブを備えた近位に延在する接続要素を有することができる。
【0018】
別の態様では、ピストンは、接続要素を解除可能に受け入れる係止構成を有することができる。係止構成は、接続要素および半径方向タブの少なくとも一部を受け入れるように構成された環状凹部と、接続要素の半径方向タブが環状凹部内で係止される第1位置と、接続要素の半径方向タブが環状凹部から取外し可能である第2位置との間で選択的に移動可能な係止要素とを有することができる。係止要素は、第1位置から第2位置に摺動可能であり得る。係止要素は、第1位置から第2位置に回転可能であり得る。ローリングダイヤフラムの側壁は、プランジャがローリングダイヤフラムの近位端と係合するとき、半径方向外側に面する位置から半径方向内側に面する位置まで反転される、1つまたは複数の半径方向に突出する把持要素を有することができる。プランジャは、ローリングダイヤフラムの側壁の把持要素に対応する1つまたは複数の把持要素を有することができる。
【0019】
別の態様では、流体送達システム用のシリンジは、遠位端、近位端、および遠位端と近位端との間に延在する貫通孔を有する圧力ジャケットを有することができる。シリンジは、圧力ジャケットの貫通孔内に配置されたローリングダイヤフラムをさらに含むことができる。ローリングダイヤフラムは、プランジャと係合するように構成された端壁を備える近位端と、圧力ジャケットの遠位端において受け入れられる遠位端と、長手方向軸に沿ってローリングダイヤフラムの近位端と遠位端との間に延在する側壁とを有することができる。端壁および側壁の少なくとも一部のうちの少なくとも一方が不均一な厚さを有する。ローリングダイヤフラムの側壁の少なくとも一部は、可撓性を有し、かつそれ自体の上で転動するように構成され得、それにより、プランジャがローリングダイヤフラムの近位端から遠位端に前進される際に、折畳み領域における側壁の外面が半径方向内側方向に折り畳まれ、およびプランジャがローリングダイヤフラムの近位端から遠位端に後退される際に、折畳み領域における側壁の外面が半径方向外側方向に広げられる。
【0020】
さらなる態様では、圧力ジャケットは、ローリングダイヤフラムのノズルを受け入れるように構成された出口部分で終端する切頭円錐状部分を有することができる。圧力ジャケットの近位端は、使用する前にローリングダイヤフラムおよびプランジャを封止する取外し可能シールを有することができる。圧力ジャケットは、蝶番によって互いに枢支接続された第1部分と第2部分とを有することができる。第1部分および第2部分は、閉鎖状態で係止可能であり得る。圧力ジャケットは、ローリングダイヤフラムの少なくとも一部を囲む取外し可能閉鎖具を有することができる。取外し可能閉鎖具は、圧力ジャケットの遠位端の対応するねじ山と係合するねじ切り端部を有することができる。圧力ジャケットの近位端は、流体注入器に解除可能に接続するように構成された接続インタフェースを有することができる。圧力ジャケットの近位端は、流体注入器に解除可能に接続するように構成された接続インタフェースを有することができる。圧力ジャケットの遠位端は、ローリングダイヤフラムの少なくとも一部を囲む取外し可能閉鎖具を有することができる。圧力ジャケットは、近位端から半径方向外側に突出するシールドを有することができ、シールドは、流体注入器のハウジングの少なくとも一部と係合するように構成されている。圧力ジャケットは、圧力ジャケットの側壁の外側部分に摺動可能に取り付けられる環状フランジを有することができる。環状フランジは、圧力ジャケットを注入器に係止する第1位置と、圧力ジャケットを注入器から係止解除する第2位置との間で摺動可能であり得る。
【0021】
いくつかの態様では、圧力ジャケットは、使用済みローリングダイヤフラムが圧力ジャケットから取り除かれた後に、使用済みローリングダイヤフラムとともに再使用可能であり得る。圧力ジャケットは、ローリングダイヤフラムとともに使い捨てであり得る。圧力ジャケットは、圧力ジャケットの遠位端を囲む第1取外し可能キャップと、圧力ジャケットの近位端を囲む第2取外し可能キャップとを有することができる。圧力ジャケットの遠位端は、圧力ジャケットの貫通孔にローリングダイヤフラムを挿入するかまたはそこから取り除くために、圧力ジャケットの近位端に対して半径方向外側に拡張可能であり得る。圧力ジャケットを流体注入器に永久的に接続することができる。圧力ジャケットを流体注入器に解除可能に接続することができる。アダプタを設けることができ、アダプタは、流体注入器と接続する第1端部と、圧力ジャケットの近位端を解除可能に受け入れる第2端部とを有する。圧力ジャケットは、圧力ジャケットの側壁の外面から半径方向外側に突出するフランジを有することができる。フランジは、フランジを通って軸方向に延在する1つまたは複数の開口部を有することができる。圧力ジャケットの内部に可撓性流体容器を設けることができる。可撓性流体容器は、ローリングダイヤフラムを包囲することができる。可撓性流体容器を、圧力ジャケットの内部にローリングダイヤフラムから近位に配置することができる。圧力ジャケットは、ローリングダイヤフラムを加熱する加熱素子を有することができる。
【0022】
別の態様では、ローリングダイヤフラムは、ローリングダイヤフラムの側壁と一体的に形成されたノズルを有することができる。ノズルは、流体流路セットに接続するように構成されたコネクタを有することができる。コネクタは、ルアーコネクタであり得る。ノズルは、ローリングダイヤフラムの内部を封止するように構成された穿孔可能シールを有することができる。ノズルは、ノズルとローリングダイヤフラムの側壁との間の第1シールと、ノズルを流体流路セットに接続するインタフェースにおける第2シールとを有することができる。ノズルは取外し可能キャップを有することができる。流体流路セットを設けることができ、流体流路セットは穴あけ要素およびシールを有する。シールは、ローリングダイヤフラムのノズルの穿孔可能シールの形状に対応するシール表面を有することができる。
【0023】
本明細書に詳細に記載するさまざまな態様のさらなる詳細および利点は、添付の図面とともにさまざまな態様の以下の詳細を検討することで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一態様による流体注入システムの斜視図である。
【
図2】
図1に示す流体注入システム一部の断面斜視図である。
【
図3】本開示の一態様によるローリングダイヤフラムの側面図である。
【
図4A】非圧縮状態で示す、本開示の別の態様による側面図ローリングダイヤフラムである。
【
図4B】圧縮状態にある
図4Aに示す側面図ローリングダイヤフラムである。
【
図5A】本開示の別の態様による側面図ローリングダイヤフラムである。
【
図5B】線A-Aに沿った
図5Aに示す側断面図ローリングダイヤフラムである。
【
図6】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの側断面図である。
【
図7】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの側断面図である。
【
図8A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第1位置で示されている。
【
図8B】
図8Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第2位置で示されている。
【
図9A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの部分側断面図であり、ローリングダイヤフラムが第1状態で示されている。
【
図9B】
図9Aに示すローリングダイヤフラムの部分側断面図であり、ローリングダイヤフラムがプランジャと係合した後の第2状態で示されている。
【
図10A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの側面図である。
【
図10B】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの部分側面図である。
【
図11A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第1状態で示されている。
【
図11B】
図11Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第2状態で示されている。
【
図12A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第1状態で示されている。
【
図12B】
図12Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第2状態で示されている。
【
図13A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの側断面図である。
【
図13B】
図12に示すローリングダイヤフラムの側断面図であり、ローリングダイヤフラムにプランジャが係合している。
【
図14A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図14B】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの側断面図である。
【
図15A】本開示の別の態様による、ローリングダイヤフラムとローリングダイヤフラムの少なくとも一部を包囲する環状スリーブとの側面斜視図である。
【
図15B】本開示の別の態様による、ローリングダイヤフラムとローリングダイヤフラムの少なくとも一部を包囲する環状シュリンクラップスリーブとの側面斜視図である。
【
図15C】本開示の別の態様による、ローリングダイヤフラムとローリングダイヤフラムの少なくとも一部を包囲する加熱素子との側面斜視図である。
【
図16A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図16B】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの側断面図である。
【
図17A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側面斜視図である。
【
図18】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの側面図である。
【
図19】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図20A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図20B】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図20C】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図21A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図21B】本開示の別の態様によるプランジャの側面斜視図である。
【
図21C】
図21Bに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側面斜視図である。
【
図22】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図23】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図24A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図24B】本開示の別の態様によるプランジャの斜視図であり、プランジャが第1の後退状態で示されている。
【
図24C】第2の拡張状態で示されている
図24Bに示すプランジャの斜視図である。
【
図25A】本開示の別の態様によるプランジャの斜視図であり、プランジャ第1の後退状態で示されている。
【
図25B】第2の拡張状態で示されている
図25Aに示すプランジャの斜視図である。
【
図26A】本開示の別の態様によるプランジャの斜視図である。
【
図27】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図28A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第1軸方向位置で示されている。
【
図28B】
図28Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第2軸方向位置で示されている。
【
図28C】
図28Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第3軸方向位置で示されている。
【
図29】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図30】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図31】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図32A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図33A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第1軸方向位置で示されている。
【
図33B】
図33Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第2軸方向位置で示されている。
【
図34A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第1軸方向位置で示されている。
【
図34B】
図34Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第2軸方向位置で示されている
。
【
図35】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図36A】本開示の別の態様によるプランジャの斜視図である。
【
図36B】
図36Aに示すプランジャとローリングダイヤフラムとの側断面図である。
【
図37】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図38】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図39A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第1軸方向位置で示されている。
【
図39B】
図39Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第2軸方向位置で示されている。
【
図40】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図41A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第1軸方向位置で示されている。
【
図41B】
図41Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第2軸方向位置で示されている。
【
図41C】
図41Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第3軸方向位置で示されている。
【
図42】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図43】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図44】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図45】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図46A】本開示の別の態様によるプランジャの側断面図である。
【
図46B】ローリングダイヤフラムと
図46Aに示すプランジャとの側断面図である。
【
図47A】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第1軸方向位置で示されている。
【
図47B】
図47Aに示すローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図であり、プランジャが第2軸方向位置で示されている。
【
図48A】本開示の別の態様による、圧力ジャケット、ローリングダイヤフラムおよびプランジャを有するシリンジの部分組立分解斜視図である。
【
図49A】本開示の別の態様による、圧力ジャケット、ローリングダイヤフラムおよびプランジャを有するシリンジの部分組立分解斜視図である。
【
図50A】本開示の別の態様による、圧力ジャケット、ローリングダイヤフラムおよびプランジャを有するシリンジの部分組立分解斜視図である。
【
図50B】シリンジで使用される圧力ジャケットの斜視図である。
【
図51】本開示の別の態様による、圧力ジャケット、ローリングダイヤフラムおよびプランジャを有するシリンジの部分組立分解斜視図である。
【
図52A】本開示の別の態様による、圧力ジャケット、ローリングダイヤフラムおよびプランジャを有するシリンジの部分組立分解側断面図である。
【
図52B】本開示の別の態様による、圧力ジャケット、ローリングダイヤフラムおよびプランジャを有するシリンジの部分組立分解側断面図である。
【
図53】本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
【
図54】本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
【
図55A】本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
【
図55B】本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
【
図56A】本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
【
図56B】本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
【
図57】本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
【
図58A】本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
【
図59】本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
【
図60A】本開示の別の態様によるシリンジで使用されるシールの側断面図であり、シール穿孔要素が第1位置で示されている。
【
図60B】
図60Bに示すシールの側断面図であり、シール穿孔要素が第2位置で示されている。
【
図61】本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。
【
図62】本開示の別の態様による圧力ジャケットの側断面図である。
【
図63A】本開示の別の態様による圧力ジャケットを有するシリンジの斜視図である。
【
図63C】
図63Aに示す圧力ジャケットで使用されるローリングダイヤフラムの斜視図である。
【
図64A】
図63Aに示す圧力ジャケットで使用されるキャップの代替実施形態の上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実例は、概して、本開示のシステムおよび方法の好ましくかつ限定しない態様を示す。説明は、装置のさまざまな態様を提示するが、決して本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本開示の態様の変更、概念および応用は、当業者により、本明細書における実例および説明を包含するがそれに限定されないものとして解釈されるべきである。
【0026】
以下の説明は、当業者が、本開示を実施するために企図される記載された態様を作成し使用することができるように提供されている。しかしながら、当業者には、さまざまな変更形態、均等物、変形形態および代替物が依然として容易に明らかとなるであろう。あらゆるこうした変更形態、変形形態、均等物および代替物は、本開示の趣旨および範囲内にあるように意図されている。
【0027】
以下の説明の目的で、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」という用語およびそれらの派生語は、図面において向けられているように本開示に関連するものとする。シリンジ、圧力ジャケットおよび/またはローリングダイヤフラムに関連して用いる場合の「近位」という用語は、シリンジ、圧力ジャケットおよび/またはローリングダイヤフラムが注入器に接続するように向けられているときに注入器に最も近い、シリンジ、圧力ジャケットおよび/またはローリングダイヤフラムの部分を指す。「遠位」という用語は、シリンジ、圧力ジャケットおよび/またはローリングダイヤフラムが注入器に接続するように向けられているときに注入器から最も遠い、シリンジ、圧力ジャケットおよび/またはローリングダイヤフラムの部分を指す。「半径方向」という用語は、近位端と遠位端との間に延在する、シリンジ、圧力ジャケットおよび/またはローリングダイヤフラムの長手方向軸に対して垂直な断面における方向を指す。「周囲」という用語は、シリンジ、圧力ジャケットおよび/またはローリングダイヤフラム側壁の内面または外面を取り巻く方向を指す。「軸方向」という用語は、近位端と遠位端との間に延在する、シリンジ、圧力ジャケットおよび/またはローリングダイヤフラムの長手方向軸に沿った方向を指す。しかしながら、本開示は、明示的に反対の指定がある場合を除き、代替的な変形形態およびステップ順序を想定し得ることが理解されるべきである。添付図面に示し以下の本明細書に記載する具体的な装置およびプロセスは単に本開示の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。このため、本明細書に開示する実施形態に関連する具体的な寸法および他の物理的特性(すなわち、態様、変形、変動)は、限定するものとしてみなされるべきではない。
【0028】
いくつかの図を通して同様の参照文字が同様の部分を示す図面を参照すると、本開示は、概して、ローリングダイヤフラムとして構成されたシリンジに関する。
【0029】
図1を参照すると、流体送達システム100は、自動または電動式流体注入器等の流体注入器102を有することができ、それは、本明細書に記載するように、少なくとも1つのローリングダイヤフラム112および圧力ジャケット110とインタフェースしかつそれらを作動させるように適合され、それらの各々に、造影剤、生理食塩水または任意の所望の医療流体等の医療流体を独立して充填することができる。医療処置中に注入器102を用いて、少なくとも1つのローリングダイヤフラム112のプランジャ144を少なくとも1つのピストンによって駆動することにより、患者の体内に医療流体を注入することができる。注入器102は、マルチローリングダイヤフラム注入器とすることができ、そこでは、2つ以上のローリングダイヤフラム112は、対応する圧力ジャケット110とともに並んだ関係または他の関係で向けられ、注入器102に関連するそれぞれのピストンによって別個に駆動される対応するプランジャ144を含むことができる。2つのローリングダイヤフラム/圧力ジャケットが並んだ関係に配置されかつ2つの異なる医療流体で充填されている実施形態では、ローリングダイヤフラム112の一方または両方から流体を送達するように注入器102を構成することができる。
【0030】
プラスチックまたは金属等の好適な構造的材料から形成されたハウジング126内に、注入器102を封入することができる。ハウジング126は、所望の用途に応じてさまざまな形状およびサイズであり得る。たとえば、注入器102は、床の上に配置されるように構成された自立構造であり得るか、または好適な台もしくは支持フレームの上に配置されるようにより小型の設計であり得る。注入器102は、少なくとも1つのローリングダイヤフラム112および圧力ジャケット110をそれぞれのピストン要素に接続する少なくとも1つのポートを含む。
【0031】
少なくとも1つのローリングダイヤフラム112から血管アクセス部位において患者の体内に挿入されるカテーテル、針または他の流体送達接続部(図示せず)に医療流体を送達するために、ローリングダイヤフラム112および圧力ジャケット110を備えた少なくとも1つのシリンジ104の
排出ポート142を有するノズ
ルに、少なくとも1つの流体流路セット108を流体接続することができる。少なくとも1つのシリンジ104からの流体流は、流体制御モジュール(図示せず)によって調整することができる。流体制御モジュールは、注入流量、持続時間、総注入量ならびに/または造影剤および生理食塩水の割合等、使用者が選択する注入パラメータに基づいて、生理食塩水および造影剤等の医療流体の患者への送達を調整するように、さまざまなピストン、弁および/または流量調整構造を操作することができる。少なくとも1つのローリングダイヤフラムと、
図1を参照して本明細書に記載する流体注入器で、少なくとも1つのローリングダイヤフラムおよび圧力ジャケットを装填し解除可能に保持する少なくとも1つのインタフェースとを含む、本明細書に記載するシステムで使用するように変更することができる好適なフロントローディング流体注入器の1つの実施形態が、全体として参照により本明細書に組み込まれる、Reillyらの米国特許第5,393,858号明細書に開示されている。本システムで使用するように変更することができる関連する多流体送達システムの別の実施形態は、Lazzaroらの米国特許第7,553,294号明細書、Cowanらの同第7,666,169号明細書、(国際公開第2012/155035号パンフレットとして公開された)国際特許出願PCT/米国特許出願公開第2012/037491号明細書およびRileyらの米国特許出願公開第2014/0027009号明細書に記載されており、それらはすべて本出願の譲受人に譲渡され、それらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態は、本明細書に開示するローリングダイヤフラムのさまざまな実施形態を含むように設計された新たな流体注入器システムを含むことができる。
【0032】
図2は、
図1に示す流体注入器102の一部の断面斜視図である。
図2を参照すると、シリンジ104は、概して、円筒体または圧力ジャケット110と、圧力ジャケット110とインタフェースするローリングダイヤフラム112とを含む。後述するように、ローリングダイヤフラム112は、流体を受け入れる内部容積114を画定している。ローリングダイヤフラム112は、圧力ジャケット110の少なくとも一部に挿入されているように構成され、圧力ジャケット110は、流体注入器102と係合するように構成されている。シリンジ104は、CT、MRI、PET等の処置で使用されるように適合され、たとえば約200psi~400psiの典型的な動作圧力で動作可能である。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラム112は、「Bladder Syringe Fluid Delivery System」という名称の米国特許出願第13/881,072号明細書に記載されているブラダシリンジ、または「Bellows Syringe Fluid Delivery System」という名称の米国特許出願第13/834,624号明細書に記載されているシリンジとすることができ、それらの開示内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
圧力ジャケット110の円筒体は、遠位端116および近位端118を有し、貫通孔Tが遠位端116と近位端118との間に延在している、一体型の通常円筒状の本体であり得る。圧力ジャケット110は、通常、再使用可能構成要素であり、ローリングダイヤフラム112は、通常、単回使用構成要素である。別の態様では、ローリングダイヤフラム112は、流体で再充填可能であるように再使用可能であり得る。たとえば、ローリングダイヤフラム112は流体で予め充填することができ、または最初は空とすることができ、1回または複数回にわたり充填および/または再充填することができる。別の態様では、圧力ジャケット110およびローリングダイヤフラム112はともに、各患者に使用した後に廃棄される単回構成要素であり得る。この態様では、圧力ジャケット110およびローリングダイヤフラム112の両方が、使用後に廃棄され、新たな圧力ジャケット110およびローリングダイヤフラム112が流体注入器102に装填される。圧力ジャケット110は、遠位端116と近位端118との間に貫通孔を画定する側壁120を有している。近位端118は、流体注入器102とインタフェースするように適合され、1つまたは複数の取付機構122を含み、それは、流体注入器102に対して圧力ジャケット110を適切に取り付けるように、流体注入器102のハウジング126の前端または面板124において係止機構と係合するように配置されている。例として、圧力ジャケット110を流体注入器102に固定するために液体注入器面板124とインタフェースするように、近位端118に2つの対向するバヨネット取付フランジを設けることができる。いくつかの態様では、圧力ジャケット110は、「Self-Orienting Syringe and Syringe Interface」という名称の米国特許出願第14/526,294号明細書または「Self-Orienting Syringe and Syringe Interface」という名称の米国特許出願第14/526,395号明細書に記載されている接続インタフェースの形態で、圧力ジャケットを流体注入器102に解除可能に固定する接続インタフェースを有することができ、上記出願の開示内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。別の態様では、圧力ジャケット110およびローリングダイヤフラム112を流体注入器102に接続するアダプタを設けることができる。
【0034】
圧力ジャケット110の遠位端116は、出口ポート128で終端する実質的に切頭円錐状の部分を含むことができる。圧力ジャケット110は、限定されないがポリカーボネート、アクリル樹脂またはポリエステル等、医療グレードプラスチック材料、望ましくは透明なプラスチック材料等、任意の好適な医療グレード材料から作製することができる。いくつかの態様では、たとえば、限定されないが、圧力ジャケット110の開口部を通して延在して流体注入器102に装填されたときの圧力ジャケット110の回転を防止する格納式ピンにより、流体注入器102に圧力ジャケット110を解除可能に固定することができる。他の態様では、圧力ジャケット110は、流体注入器102のハウジングと係合して流体注入器102に装填されたときの圧力ジャケット110の回転を防止する、1つまたは複数の脚を有することができる。さらなる態様では、圧力ジャケット110の外周に摺動カラーを設けることができる。摺動カラーは、望ましくは、拡張可能リングと係合して、流体注入器102の対応する係止機構に対してリングを拡張させて圧力ジャケット110を流体注入器102に係止する。
【0035】
図3を参照し、
図2を続けて参照すると、ローリングダイヤフラム112は、概して、前方まだは遠位端130、後方または近位端132、およびそれらの間に延在する可撓性側壁134を含む、中空体を含む。近位端132は、閉鎖端壁136を画定している。閉鎖端壁136は、流体注入器102のピストンヘッド138および/またはプランジャ144と直接インタフェースするような形状とすることができる。たとえば、閉鎖端壁136は、同様の形状のピストンヘッド138および/またはプランジャ144と直接インタフェースするように受入れ端ポケットを画定することができる。特に、ピストンヘッド138および/またはプランジャ144は、閉鎖端壁136の形状に一致するような形状とすることができ、またはピストンヘッド138および/またはプランジャ144からの圧力が、ピストンヘッド138および/またはプランジャ144の形状と実質的に一致するように端壁136を適合させることができる。閉鎖端壁136は、別法として、ピストンヘッド138またはプランジャ144と同様に係合する、取り付けられた剛性基部要素を含むことができる。一態様では、ローリングダイヤフラム112の近位端132および/または遠位端130は、側壁134に対してより剛性を有することができる。さらに別の態様では、単一の一体構造に合わせてともに形成される複数の個々の層から、ローリングダイヤフラム112を形成することができる。側壁134が注入処置中に転動する際に、側壁134から層のうちの少なくとも1つが剥離する可能性がある。層のうちの少なくとも1つを、所定温度で収縮するように活性化される熱収縮材料から作製することができる。たとえば、オートクレーブプロセス中に、所定温度を達成することができる。この態様では、熱収縮層は圧力ジャケットとしての役割を果たすことができる。側壁134は、平滑な、実質的に均一の構造を有することができ、または注入処置中に転動を容易にするように、側壁134に1つまたは複数のリブを設けることができる。側壁134に、1つまたは複数のしるし(図示せず)を形成することができる。別の態様では、側壁134は、側壁134の転動を促進するように、その長手方向長さに沿って不均一な厚さを有することができる。たとえば、側壁134の近位端132から遠位端130に向かう転動を容易にするために、遠位端130またはその近くの側壁134より近位端132またはその近くの側壁134を薄くすることができる。遠位端130またはその近くの厚い方の側壁134は、圧力ジャケット110として機能することができ、転動しない可能性がある。具体的な実施形態では、遠位端130またはその近くの側壁134は、実質的に剛性であり得る。
【0036】
側壁134の後方または近位部分は、閉鎖端壁136に接続し、側壁134の前方または遠位部分は、閉鎖端壁136とは反対側の排出首部140を画定している。閉鎖端壁136は、たとえばローリングダイヤフラム112の中心長手方向軸から延在する半径方向に、不均一な厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、端壁136は、中心近くで厚くなり、側壁134の接続部の近くで薄くなることができる。排出首部140は、圧力ジャケット110の出口ポート128と位置合わせされるように、圧力ジャケット110の遠位端116の内側部分に受け入れられるように適合されている。ローリングダイヤフラム112の遠位端130は、圧力ジャケット110の内部に永久的に固定し、接着剤で固定し、または摩擦嵌合接続もしくは圧力ジャケット110の遠位端で固定することによる等、他の好適な機械的接続による等、取外し可能に固定することができる。排出首部140は、排出ポート142で終端し、排出ポート142は、1つの限定しない態様によれば、穿孔可能な箔またはエラストマーシール等、滅菌の目的で破砕可能シール(本明細書で考察する)を有することができる。
【0037】
ローリングダイヤフラム112の側壁134は、ピストンヘッド138および/またはプランジャ144の作用によりそれ自体の上を転がるように構成されている、軟質な、曲げやすい、または可撓性のある、ただし自立する本体を画定する。特に、
図2に示すように、ローリングダイヤフラム112の側壁134は、ピスト
ンおよび/またはプランジャ144が遠位方向に移動する際に、その外面が半径方向内側方向に折り畳まれ反転するように転動し、ピスト
ンおよび/またはプランジャ144が近位方向に後退される際に、半径方向外側方向に、反対に展開し広がるように構成されている。
図3を参照すると、閉鎖端壁136は、側壁134の反転または転動の開始を容易にするように凹形状を有することができる。別の態様では、ローリングダイヤフラム112の側壁134は、複数の軸方向折目112aで折り畳むことにより、
図4Aに示すような第1の非圧縮状態から
図4Bに示すような第2の圧縮状態まで、ピストンヘッド138の作用によって押しつぶされるように構成することができる。軸方向折目112aのうちの1つまたは複数は、ローリングダイヤフラム112の側壁134の所定の軸方向位置に予め形成することができる。
【0038】
ローリングダイヤフラム112は、任意の好適なプラスチック材料、望ましくは、限定されないが、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンインパクトコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、POM、ABS、HPDE、ナイロン、環状オレフィンコポリマー、多層ポリプロピレン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン等、透明なプラスチック材料から作製することができる。ローリングダイヤフラム112の材料は、望ましくは、必要な引張応力および平面応力要件、水蒸気透過および化学的/生物学的適合性を満たすように選択される。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラム112は、電圧の印加に応答して拡張または収縮する少なくとも1つの電気活性ポリマー層を有することができる。電気活性ポリマー層は、プランジャ144を解除するかまたはプランジャ144と係合するようにローリングダイヤフラム112の側壁134を拡張または収縮させるように活性化することができる。いくつかの態様では、電気活性ポリマー層は、NAFIONTM材料またはFLEMIONTM材料から作製することができる。さまざまな実施形態では、エチレンオキシドへの暴露または電磁放射滅菌処置等、滅菌処置を耐えることができる。
【0039】
本明細書におけるさまざまな実施形態によるローリングダイヤフラム112は、関連する努力傾注分野においてブロー成形シール(blow-mold-seal)(BFS)技法とも呼ばれるブロー成形-充填-キャッピング(blowing-filling-capping)(BFC)によって作製することができ、そこでは、後述するように、ローリングダイヤフラム112は、ブロー成形され、生理食塩水または造影剤等の所望の医療流体で充填され、一体的に形成され/成形された破断可能シールで排出ポート142を封止することにより、無菌で封止される。BFC技法により、通常1つの機械または装置でローリングダイヤフラム112を形成し、充填し、封止することができる。これらのステップは、滅菌が維持された条件下で、形成され、充填され、封止されたローリングダイヤフラム112に汚染物質を導入する可能性を制限して、達成することができる。アセンブリ全体を、滅菌するためにオートクレーブで処理するか、または他の方法で処理することができる。破断可能シールは、ローリングダイヤフラム112の充填の最後に、成形プロセスの一部として形成される。滅菌が強化された予め形成され予め充填されたローリングダイヤフラム112は、BFCプロセスから得られる。破断可能シールは、使用者によって外部に除去されるかまたは穴があけられるように設計することができ、またはピストンヘッド138がローリングダイヤフラム112において遠位にまたは前方に移動する際に、ローリングダイヤフラム112内で予め設定された内部圧力に達すると、容易に破裂するように設計することができる。別の態様では、圧力ジャケット110に設けられた穿孔要素によって、ローリングダイヤフラム112を破断させることができる。別の態様では、剛性を向上させ汚染を防止するように、保護カバー(図示せず)にローリングダイヤフラム112を入れることができる。保護カバーは、注入器102に設置する前に、ローリングダイヤフラム112から取り除く場合もあれば取り除かない場合もある。種々の形状を有するようにローリングダイヤフラム112を形成することができる。たとえば、ローリングダイヤフラム112は、円筒状、円錐形、球形、楕円形、卵形等であり得る。さらに、ローリングダイヤフラムは、異なる幅対長さ比を有することができる。たとえば、ローリングダイヤフラム112を、直径がその長手方向の長さに比較して実質的に小さいかまたは大きいように形成することができる。当業者は、ローリングダイヤフラム112から実質的に一定かつ予測可能な流量の流体を送達するために、注入器102を望ましくは、プランジャ144の移動を制御するようにプログラムし得ることを理解するであろう。
【0040】
ローリングダイヤフラム112の外径は、ローリングダイヤフラム112が、圧力ジャケット110の貫通孔および内面によって画定された内部空間内に適合するような寸法とすることができる。一態様では、ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112の外面が圧力ジャケット110の壁の内面に当接するように、圧力ジャケット110内に密にはまる。別の態様では、ローリングダイヤフラム112の外面の少なくとも一部と圧力ジャケット110の内面との間に間隙があるように、ローリングダイヤフラム112は、圧力ジャケット110内に緩くはまる。注入処置中、ローリングダイヤフラム112の外面が圧力ジャケット110の内面に当接するように、ローリングダイヤフラム112を圧力下で拡張させることができる。
【0041】
図5Aおよび
図5Bは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112を示す。
図5Bは、線A-Aに沿った
図5Aに示す側断面図ローリングダイヤフラムである。
図5Aおよび
図5Bに示すローリングダイヤフラム112の構成要素は、
図2および
図3を参照して本明細書に記載したローリングダイヤフラム112の構成要素と実質的に同様である。
図5Aおよび
図5Bにおける参照数字を用いて、
図2および
図3における対応する参照数字として同一の構成要素が示される。
図2および
図3に概して示すローリングダイヤフラム112に関する先の考察は、
図5Aおよび
図5Bに示す態様に適用可能であるため、これらのシステムの間の関連する相違のみについて、以下考察する。
【0042】
最初に
図5Aを参照すると、ローリングダイヤフラム112の遠位端130は、端部が開放した排出首部140を有し、それは、流体流路セット(図示せず)に接続することができる対応する接続インタフェースに接続するための接続インタフェース140aを有している。いくつかの態様では、接続インタフェース140aは、流体流路セットへの接続インタフェースの対応するねじ山と嵌合する1つまたは複数のねじ山140bを有するねじ切りインタフェースである。いくつかの態様では、流体流路への接続インタフェースは、ルアー接続部等、流体流路に接続するように構成された接続部を有することができる。
【0043】
図5Bを参照すると、排出首部140は、側壁134の厚さT
2より大きい第1側壁厚さT
1を有している。厚さT
1は、排出首部140が、排出首部140を実質的に変形させることなく、流体流路セット(図示せず)の対応する接続インタフェースに接続するのを可能にするように十分剛性であり得るように選択される。厚さT
2は、ローリングダイヤフラム112の側壁134が、本明細書に記載するように側壁134の転動および展開を可能にするように可撓性があるように選択される。閉鎖端壁136等、ローリングダイヤフラム112の近位端132は、側壁134の転動中に変形を防止するように補強することができる。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラム112の近位端132は、プランジャ144(図示せず)と係合するように構成されている。近位端132は、ローリングダイヤフラム112の側壁134の転動、およびいくつかの実施形態では展開を開始するように可撓性側壁を有する丸みがつけられた折縁226を有している。この実施形態では、折縁226は、端壁136の遠位部分274まで連続的に増大する側壁厚さT
3を有する遠位に延在する傾斜面272に遷移することができる。遠位部分274は、遠位部分274の上面から遠位に延在する丸みが付けられた中心部分276と、遠位部分274の下面から近位に延在するプランジャ係合部分244とを有することができる。プランジャ係合部分244は、本明細書に記載するように、プランジャ144(図示せず)と係合するように構成されている。ローリングダイヤフラム112の近位端132は、傾斜面272の下面に沿ってプランジャ係合部分244から半径方向外側に突出する1つまたは複数のリブ278を有することができる。
【0044】
図6は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112の側断面図である。ローリングダイヤフラム112の第1部分112aは、第1径D
1を有し、ローリングダイヤフラム112の第2部分112bは、第1径D
1とは異なる第2径D
2を有している。いくつかの態様では、第1部分112aは、ローリングダイヤフラム112の遠位端130からおよその中間点まで延在する、ローリングダイヤフラム112の前方部分とすることができ、第2部分112bは、ローリングダイヤフラム112のおよその中間点から近位端132まで延在する、ローリングダイヤフラム112の後方部分とすることができる。第2部分112bが折縁226を中心に反転する際に第2部分112bが第1部分112aの内部で入れ子になることができるように、第1径D
1を第2径D
2より大きくすることができる。第1部分112a内に第2部分112bを入れ子にすることにより、折縁226における円周圧縮が最小限になる。折縁226は、ローリングダイヤフラム112の第1部分112aおよび第2部分112bの側壁134に比較して厚くなった側壁134aを有することができる。いくつかの態様では、第1部分112aは、側壁134を包囲するかまたは側壁134によって包囲されるカラー228を有することができ、第2部分112bは、プランジャ144(図示せず)との係合を補強するプランジャ支持基部230を有することができる。
図40は、
図6に示す可変直径を有する側壁134なしに、プランジャ支持基部230およびカラー228を備えたローリングダイヤフラム112を示す。
【0045】
図7は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112の側断面図である。ローリングダイヤフラム112の第1部分112aは第1側壁134aを有し、ローリングダイヤフラム112の第2部分112bは、第1側壁134aとは厚さが異なる第2側壁134bを有している。ローリング径112の内径は、第1部分134aと第2部分134bとの間で一定であり得る。いくつかの態様では、第1部分112aは、ローリングダイヤフラム112の遠位端130からおよその中間点まで延在する、ローリングダイヤフラム112の前方部分とすることができ、第2部分112bは、ローリングダイヤフラム112のおよその中間点から近位端132まで延在する、ローリングダイヤフラム112の後方部分とすることができる。ローリングダイヤフラム112の第1部分112aがローリングダイヤフラム112の第2部分112bより剛性があるように、第1側壁134aを第2側壁134bより厚くすることができる。第2部分112bは、折縁226を中心に反転する際に、第1部分112aの内部で入れ子になる。第2側壁134bの外部部分は、カラー228によって周方向に支持することができる。いくつかの態様では、第1部分134aおよび第2部分134bは実質的に同一の壁厚さを有することができ、第1部分134aと第2部分134bとの間のおよその中間点は、第1部分134aおよび第2部分134bの側壁に対して側壁厚さの薄い部分を有し、それにより、折縁または反転正面を画定し、第2部分134bがそれ自体の上で反転する際に、側壁の座屈を防止する。
【0046】
図8Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、そこでは、プランジャ144は第1位置で示されている。
図8Bは、
図8Aに示すローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、そこでは、プランジャ144は第2位置で示されている。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラム112の側壁134はテーパ状であり、それにより、幅が狭くなり、直径が近位端132から遠位端130に向かって低減してプランジャ144のテーパ形状に実質的に対応する。プランジャ144がその最大遠位位置に前進した後に残留容積を最小限にするために、側壁134の折畳み部分170と非折畳み部分172との間に接触があるように、側壁134を折り畳むことができる。側壁134が転動する半径Rは、折畳み部分における局所応力を低減させるように望ましくは最小化される。
図8Bを参照すると、別の態様では、プランジャ144がその最大遠位位置まで前進される際に、側壁134の折畳み部分170と非折畳み部分172との間に接触がないように、側壁134を折り畳むことができる。この態様では、半径R’は、
図8Aの半径Rより大きい。
【0047】
図9Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112の部分側断面図であり、そこでは、ローリングダイヤフラム112は第1状態で示されている。
図9Bは、
図9Aに示すローリングダイヤフラム112の部分側断面図であり、ローリングダイヤフラム112は、プランジャ144と係合した後に第2の状態で示されている。ローリングダイヤフラム112の近位端132を最初は凸形状に形成することができ、それにより、近位端132の一部が近位方向に外側に凸状に延在する。プランジャ144が、
図9Bに示すように近位端132と係合すると、プランジャ144が遠位方向に前進される際に、近位端132の凸形状は遠位端146に向かって反転し、それにより近位端132は実質的に凹状である。近位端132は、プランジャ144が係合するとローリングダイヤフラム112の転動を容易にする、予め形成された転動半径Rを有することができる。いくつかの態様では、近位端132は、プランジャ144と係合すると近位端132の初期凸形状から凹形状への反転を容易にする、1つまたは複数の予め画定された折部分132aを有することができる。折部分132aは、ローリングダイヤフラム112の側壁134の厚さに対して薄い側壁を有することができる。
【0048】
図10Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112の側面図である。ローリングダイヤフラム112は、半径方向内側方向に延在するように形成された1つまたは複数の窪み要素を有している。いくつかの態様では、側壁134が、1つまたは複数の窪み要素182aが形成されている領域の少なくとも一部にわたって実質的に均一な厚さを有するように、1つまたは複数の窪み要素182aを形成することができる。他の態様では、側壁134が、1つまたは複数の窪み要素182aが形成されている場所において相対的に薄いかまたは厚い側壁厚さを有するように、1つまたは複数の窪み要素182aを形成することができる。側壁134の転動を容易にするために、1つまたは複数の窪み要素182aを、ローリングダイヤフラム112の外周に一様にまたは非一様に間隔を空けて配置することができる。プランジャ144(図示せず)が遠位方向に前進される際に、複数の窪み要素182aのうちの1つまたは複数と係合するように、プランジャ144を構成することができる。いくつかの態様では、プランジャ144は、1つまたは複数の窪み要素182aを有するローリングダイヤフラム112の形状に対応するような形状とすることができる。
【0049】
図10Bは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの部分側面図である。ローリングダイヤフラム112は、半径方向外側方向に延在するように形成された1つまたは複数のリブ182bを有している。いくつかの態様では、側壁134が、1つまたは複数のリブ182bが形成されている領域の少なくとも一部にわたって実質的に均一な厚さを有するように、1つまたは複数のリブ182bを形成することができる。他の態様では、側壁134が、1つまたは複数のリブ182bが形成されている位置において相対的に薄いかまたは厚い側壁厚さを有するように、1つまたは複数のリブを形成することができる。1つまたは複数のリブ182bは、1つまたは複数のリブ182bの第1部分がリブ182の第2部分に比較してさらに半径方向外側に延在するような形状とすることができる。たとえば、リブ182bが、1つまたは複数のリブ182bの中心部分に比較して近位端および遠位端においてまたはその近くでさらに半径方向外側に延在するように、1つまたは複数のリブ182bを形成することができる。側壁134の転動を容易にするために、1つまたは複数のリブ182bを、ローリングダイヤフラム112の外周に一様にまたは非一様に間隔を空けて配置することができる。プランジャ144(図示せず)が遠位方向に前進される際に複数のリブ182bのうちの1つまたは複数と係合するように、プランジャ144を構成することができる。いくつかの態様では、プランジャ144は、1つまたは複数のリブ182を有するローリングダイヤフラム112の形状に対応するような形状とすることができる。
【0050】
図11Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第1状態で示されている。
図11Bは、
図11Aに示すローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第2状態で示されている。近位端壁136が遠位端130に向かって内側に反転して、ローリングダイヤフラム112の内部容積114に流体がないように、ローリングダイヤフラム112を最初に形成することができる。ローリングダイヤフラム112の近位端壁136を近位方向に引き出し、ローリングダイヤフラム112の内部容積を流体で充填するために、プランジャ144は、近位端壁136の少なくとも一部と係合して、近位方向に引き出す前に近位端壁136を「つかむ」。いくつかの態様では、プランジャ144の外径は、
図11Aに示す反転状態のローリングダイヤフラム112の内径よりわずかに小さくすることができる。ローリングダイヤフラム112の近位端壁136のプランジャ144との接続を容易にするために、膨張可能発泡体等の拡張可能材料214を設けることができる。拡張可能材料214は、プランジャ144がローリングダイヤフラム112の近位端壁136と係合する前に非拡張状態にあり得る。たとえば、プランジャ144がローリングダイヤフラム112の近位端壁136に向かって前進される際に、プランジャ144によって穿孔される容器に、拡張可能材料214を収容することができる。拡張可能材料214は、空気に露出すると拡張可能となることができ、それにより、拡張して、近位端壁136およびプランジャ144においてローリングダイヤフラム112の側壁134と係合する。拡張可能材料214は、所定時間の後に硬化して、プランジャ144をローリングダイヤフラム112の近位端壁136に永久的にまたは解除可能に接続し、プランジャ144の移動によりローリングダイヤフラム112が近位方向に引き出されるのを可能にすることができる。拡張可能材料214に対する表面と近位端壁136および/または近位端壁136に近接する内側に面する外壁との間に係合を提供するために、側壁134の折畳み部分にかつ/またはプランジャ144の遠位部分の外周の少なくとも一部に、1つまたは複数の把持要素246を設けることができる。
【0051】
図12Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第1状態で示されている。
図12Bは、
図12Aに示すローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第2状態で示されている。近位端壁136が遠位端130に向かって内側に反転され、それにより、ローリングダイヤフラム112の内部容積に流体がなくなるように、ローリングダイヤフラム112を最初に形成することができる。ローリングダイヤフラム112の近位端壁136を近位方向に引き出し、ローリングダイヤフラム112の内部容積を流体で充填するために、プランジャ144は、近位端壁136の少なくとも一部と係合して、近位方向に引き出す前に近位端壁136を「つかむ」。いくつかの態様では、プランジャ144の外径は、
図12Aに示す反転状態のローリングダイヤフラム112の内径よりわずかに小さくすることができる。ローリングダイヤフラム112の近位端壁136のプランジャ144との接続を容易にするために、プランジャ144の遠位部分は拡張可能バルーン216を有することができる。バルーン216の内部に流体または加圧ガス等の作動流体を導入することにより、バルーン216を、
図12Aに示すような収縮状態から
図12Bに示すような膨張状態に拡張させることができる。収縮状態から膨張状態にバルーン216が拡張することにより、バルーン216は、近位端壁136においてローリングダイヤフラム112の側壁134と係合する。したがって、プランジャ144によって付勢されると、ローリングダイヤフラム112を近位方向に引き出すことができる。
【0052】
図13Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112の側断面図である。
図13Bは、
図13Aに示すローリングダイヤフラム112の側断面図であり、そこでは、プランジャ144がローリングダイヤフラム112と係合している。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラム112の近位端132を、圧力ジャケット110の近位端118ではなく遠位端116に接続することができ、それにより、ローリングダイヤフラム112は、
図2に示すローリングダイヤフラム112に対して反転する。特に、ローリングダイヤフラム112の側壁134は、最初は、ローリングダイヤフラム112の遠位端130が圧力ジャケット110の近位端118に向かって配置されるように、圧力ジャケット110の内部に反転する。プランジャ144は、ローリングダイヤフラム112の遠位端130に設けられている。
図13Bを参照すると、ローリングダイヤフラム112をプランジャ144と同時成形することができる。同時成形した後、ローリングダイヤフラム112をブロー成形技法によってその最終形態まで拡張させることができる。たとえば、ストレッチブロー成形技法によってローリングダイヤフラム112を拡張させることができる。別法として、ローリングダイヤフラム112をその最終的な拡張形状に成形することができ、ローリングダイヤフラム112とともにプランジャ144を同時成形することができる。
【0053】
図14Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。ローリングダイヤフラム112は実質的に球形の形状を有している。ローリングダイヤフラム112の近位端132は、プランジャ144に形成された対応する係合部材218bと係合する係合部材218aを有することができる。近位端132は、プランジャ144と係合すると、第1の凸状形態から第2の凹状形態に反転する。ローリングダイヤフラム112の遠位端130は、遠位方向においてプランジャ144のストロークの最後にプランジャ144と係合する支持要素220を有することができる。支持要素220は、ローリングダイヤフラム112の内部容積内に設けることができる。別法として、支持要素220は、ローリングダイヤフラム112の遠位端130において外部側壁と係合することができる。プランジャ144は、望ましくは、ローリングダイヤフラム112の内部容積から実質的にすべての流体を排出するような形状である。
【0054】
図14Bは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの側断面図である。
図14Aに示すローリングダイヤフラム112の実質的に球形の形状と同様に、
図14Bのローリングダイヤフラム112は、実質的に楕円形の形状を有している。ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112の長手方向に沿って延在する長軸A
1と、長手方向に対して垂直に延在する短軸A
2とを有する楕円形断面を有し、長軸A
1は短軸A
2より長い。このように、ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112のおよその長手方向中間点から遠位端130まで延在する第1部分と、第1部分に対して形状が相補的でありかつ第1部分から近位端132まで延在する第2部分とを有している。流体注入器102(
図1に示す)は、ローリングダイヤフラム112の形状に関わらず一定の流体流を提供するアルゴリズムを内蔵したコントローラを有することができる。たとえば、コントローラは、さまざまな長手方向箇所においてピスト
ンの速度を増減させて、こうした長手方向箇所におけるローリングダイヤフラム112の断面積の変化によるあらゆる流体流量変化を補償するように、ピスト
ン(図2に示す)の速度を制御することができる。
【0055】
図15Aは、本開示の別の態様による、ローリングダイヤフラム112とローリングダイヤフラム112の少なくとも一部を包囲する環状スリーブ222との側面斜視図である。環状スリーブ222は、環状スリーブ222の側壁を通って延在する1つまたは複数の開口部224を有することができる。いくつかの態様では、圧力ジャケット110は、ローリングダイヤフラム112を圧力ジャケット110の内部側壁120または環状スリーブ222に対して引っ張る真空手段を有することができる。さらに別の態様では、圧力ジャケット110は、環状スリーブ222の1つまたは複数の開口部224を通して加圧空気を導入することによって、使用後に圧力ジャケット110からローリングダイヤフラム112を解除する圧力手段を有することができる。ローリングダイヤフラム112の外面が環状スリーブ222の内面に固着しないように、かつ使用後に環状スリーブ222からのローリングダイヤフラム112の除去を容易にするように、環状スリーブ222の内部側壁を凹凸にすることができる。
【0056】
図15Bを参照すると、ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112の少なくとも一部を包囲する環状シュリンクラップスリーブ222aを有している。シュリンクラップスリーブ222aは、半径方向内側に収縮してローリングダイヤフラム112の外側側壁134に対して圧縮するように、熱活性化することができる。シュリンクラップスリーブ222aは、圧力ジャケット110(図示せず)とローリングダイヤフラム112との間に配置することができる。
【0057】
図15Cを参照すると、ローリングダイヤフラム112の少なくとも一部の周囲に加熱素子223を設けることができる。圧力ジャケット110の内部側壁または外部側壁等、圧力ジャケット110に加熱素子223を配置することができる。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラム112の側壁134を予熱して、たとえば、プランジャ144(図示せず)が作用するときにローリングダイヤフラム112の柔軟性を上昇させかつその反転を促進するように、加熱素子223を構成することができる。加熱素子は、
図15Bに示すシュリンク-ラップスリーブに熱を施すことができる。
【0058】
図16Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。この態様によれば、ローリングダイヤフラム112は、最初に折畳みまたは空状態にある。ローリングダイヤフラム112の少なくとも一部とプランジャ144との間に、接着剤層232が配置されている。ローリングダイヤフラム112の少なくとも一部およびプランジャ144の少なくとも一部に、接着剤層232を付着させることができる。接着剤層232は、プランジャ144が近位方向に移動すると、ローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の一方または両方から解除可能であり得る。いくつかの態様では、側壁134がそれ自体の上で転動する前に、ローリングダイヤフラム112の側壁134の外側部分に接着剤層232を設けることができる。接着剤層232は、側壁134の反転部分にプランジャ144が係合したときに側壁134の座屈を防止するのに役立つことができる。ローリングダイヤフラム112の内部容積114は、最初は空であり得る。ローリングダイヤフラム112の近位端132を遠位端130から引き出し内部容積114に流体を充填するために、プランジャ144は、ローリングダイヤフラム112の反転部分の端壁および/または側壁134と係合する。接着剤層232は、プランジャ144が近位方向に後退される際にローリングダイヤフラム112の側壁134の反転部分に接着力を加える感圧接着剤であり得る。接着剤層232は、折縁226において側壁134から剥離することができ、またはローリングダイヤフラム112の側壁134に付着し続けることができる。接着剤層232は接着剤コーティングであり得る。プランジャ144は、プランジャ144の相互移動を可能にするように注入器のピストンと解除可能に係合するように構成された1つまたは複数のピストン係合要素234を有することができる。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラム112の内部容積114は、プランジャ144(図示せず)が近位方向に後退されるときにローリングダイヤフラム112内に流体を引き込むのに役立つ真空を有することができる。
図16Bにおいて、接着剤コーティング等の接着剤層232は、ローリングダイヤフラム112の側壁134と圧力ジャケット110との間に配置されている。いくつかの態様では、プランジャ(図示せず)がローリングダイヤフラム112の近位端132を遠位端130に向かって付勢する際に、ローリングダイヤフラム112は圧力ジャケット110の内部側壁から剥離する。ローリングダイヤフラム112と圧力ジャケット110との間の接着接触面に剥離層(図示せず)を設けることができる。
【0059】
図17Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112の側面斜視図である。
図17Bは、
図17Aに示すローリングダイヤフラム112の上面図である。ローリングダイヤフラム112は、側壁134の外周に複数の折畳み可能タブ236を有している。各折畳み可能タブ236の第1端を側壁134の外側部分に接続することができ、一方で、第2端は、側壁134の外側部分の円周方向において第1端に対して折畳可能である。折畳み可能タブ236のすべてが側壁134の外側部分に対して折り畳まれる場合等、折畳み形態では、ローリングダイヤフラム112の中身を識別するラベル等のしるし238を識別することができるように、折畳み可能タブ236を位置合せすることができる。
【0060】
図18は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムの側面図である。ローリングダイヤフラム112の側壁134は、ローリングダイヤフラム112の内部容積114に流体が充填されているか否かを示す1つまたは複数の流体存在指標240を有することができる。1つまたは複数の流体存在指標240は、ローリングダイヤフラム112の側壁134に一体的に形成することができる。
【0061】
図19は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。プランジャ144は、プランジャ144の遠位端から半径方向外側に延在するスカート174を有している。スカート174は、プランジャ144が遠位方向に前進される際に内部容積114内で遠位方向に流体を前進させるように、ローリングダイヤフラム112の側壁134に対して圧縮される。スカート174は、折目176における流体の残留体積を最小限にするかまたはなくす。
【0062】
図20Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の断面図である。プランジャ144は、その遠位端にピストン178を有し、それにより、ピストン178は、プランジャ144の遠位端に形成された流体またはエラストマー充填空洞180内で往復移動可能である。ローリングダイヤフラム112の内部容積114からの流体送達中等、プランジャ144が遠位方向に前進される際に、ピストン178は空洞180内に押し込まれ、それにより空洞180内の流体またはエラストマーの圧力が上昇する。流体またはエラストマーの圧力の上昇により空洞180がローリングダイヤフラム112の側壁134に対して拡張するように、空洞180は望ましくは可撓性がある。空洞180は、プランジャ144が遠位方向に前進される際に、流体を内部容積114内で前進させるように、ローリングダイヤフラム112の側壁134に対して圧縮される。空洞180の拡張により、折目176における流体の残留体積が最小限になるかまたはなくなる。プランジャ144が近位方向に後退されると、ピストン178もまた空洞180から後退して、その中の圧力を低下させ、プランジャ144をローリングダイヤフラム112から後退させることができる。いくつかの態様では、空洞180をエラストマーで充填することができる。
【0063】
図20Bは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。
図20Aに示すローリングダイヤフラム112と同様に、プランジャ144はその遠位端にピストン178を有し、それにより、ピストン178は、プランジャ144の遠位端に形成された流体充填空洞180内で往復移動可能である。いくつかの態様では、空洞180をエラストマーで充填することができる。ローリングダイヤフラム112の充填中等、プランジャ144が、最初に圧縮または空形態で、近位方向に引き出される際に、プランジャ144に対して近位方向にピストン178を独立して移動させることができ、それにより、空洞180内の流体の圧力が上昇する。流体圧力の上昇により空洞180がローリングダイヤフラム112の側壁134に対して拡張するように、空洞180は望ましくは可撓性がある。プランジャ144が近位方向に引き出される際に、側壁134と接触して、プランジャ144と側壁134との間の把持力を増大させるように、空洞180は、ローリングダイヤフラム112の側壁134に対して圧縮される。
【0064】
図20Cは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。
図20Aに示すローリングダイヤフラム112と同様に、プランジャ144はその遠位端にピストン178を有し、それにより、ピストン178は、プランジャ144の遠位端に形成された流体充填空洞180内で往復移動可能である。いくつかの態様では、空洞180をエラストマーで充填することができる。空洞180は、第1遠位部分180aと、流体ライン180cを介して第1遠位部分180aと流体連通している第2近位部分180bとを有している。プランジャ144が、ローリングダイヤフラム112の流体による充填中等、近位方向に引き出されている際に、プランジャ144に対して近位方向にピストン178を独立して移動させることができ、それにより、流体ライン180cを通して流体を第2近位部分180bから第1遠位部分180a内に押し込んで、空洞180内の流体の圧力を上昇させる。第1遠位空洞180a内の圧力を上昇させる際のピストン178の機械的流体利点を増大させるように、ピストン178の外径を、第2の第1遠位部分180の外径より小さくすることができる。流体圧力の上昇により第1遠位部分180aがローリングダイヤフラム112の側壁134に対して拡張するように、空洞180は望ましくは可撓性がある。第1遠位部分180aは、プランジャ144が近位方向に引き出される際に、側壁134と接触して側壁134に対する把持力を増大させるように、ローリングダイヤフラム112の側壁134に対して圧縮される。
【0065】
図21Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。ローリングダイヤフラム112は組込みプランジャ144を有している。いくつかの態様では、プランジャ144は、ローリングダイヤフラム112の内部容積114内に配置される。別法として、ローリングダイヤフラム112の近位端132において、成形によりまたは接着剤による等、プランジャ144を形成することができる。使用する前、ローリングダイヤフラム112の近位端132は、プランジャ144が外れるのを防止するためにシール150によって封止される。
【0066】
図21Bは、本開示の別の態様によるプランジャ144の側面斜視図である。
図21Cは、ローリングダイヤフラム112と
図21Bに示すプランジャ144との側面斜視図である。プランジャ144は、プランジャ144の遠位端に成形される溝206を有している。動作時、溝206は、側壁134の転動を容易にするために、ローリングダイヤフラム112の近位端132において側壁134または端壁の少なくとも一部を捕捉する。
図21Cに示すように、溝206は、ローリングダイヤフラム112の近位端132に形成された突起208を受け入れるような形状とすることができる。溝206は、突起208の形状に対応するT字型形態を有することができる。限定されないが卵形、矩形、三角形等を含む種々の他の形状も企図される。
図26Aおよび
図26Bに示すようなさらなる態様では、溝206は、突起208を受け入れるような形状であるスロットの形態である。溝206は、プランジャ144およびローリングダイヤフラム112のうちの一方に配置され、突起208は、プランジャ144およびローリングダイヤフラム112の他方に配置されている。溝206は、突起208を一方向にのみ挿入することができるような形状である。溝206に挿入されると、ローリングダイヤフラム112に対してプランジャ144を係止するために、溝206に対して突起208を回転させることができる。溝206から突起208を取り除くために、突起208は、望ましくは、挿入方向に対応する方向に溝206と位置合わせされるように回転する。
図23および
図24に示すようなさらに別の態様では、プランジャ144およびローリングダイヤフラム112の他方のめねじ機構とねじ式に係合するプランジャ144およびローリングダイヤフラム112の一方におねじ機構を有するねじ切り部材210により、プランジャ144はローリングダイヤフラム112に接続される。おねじ機構およびめねじ機構の位置が反対になる実施形態も企図される。
【0067】
図22は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。プランジャ144の遠位端は、ローリングダイヤフラム112の側壁134と係合するようにプランジャ144から半径方向外側に延在する突起211を有している。突起211は、プランジャ144が遠位方向に前進される際に折縁226の転動を容易にするようにローリングダイヤフラム112の折縁226と係合することができる。
【0068】
図23および
図24Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。プランジャ144は、ローリングダイヤフラム112のめねじ機構とねじ式に係合するプランジャ144のおねじ機構を有するねじ切り部材210によって、ローリングダイヤフラム112に接続される。いくつかの態様では、ねじ切り部材210は、ローリングダイヤフラム112のおねじ機構とねじ式に係合するプランジャ144のめねじ機構を有する。
【0069】
図24Bは、本開示の別の態様によるプランジャ144の斜視図であり、プランジャ144は第1の後退状態で示されている。
図24Cは、第2の拡張状態で示されている
図24Cに示すプランジャ144の斜視図である。プランジャ144は、遠位端に、第1の後退状態(
図24Bに示す)から第2の拡張状態(
図24C)まで半径方向外側に拡張可能な1つまたは複数の拡張可能リブ213を有している。1つまたは複数の拡張可能リブ213は、プランジャ144の遠位移動または近位移動に応じて自動的に拡張可能かつ後退可能であり得る。いくつかの態様では、1つまたは複数の拡張可能リブ213は、プランジャ144がローリングダイヤフラム112から流体を排出するように遠位方向に前進されるときに、ローリングダイヤフラム112(図示せず)の側壁134と係合するように半径方向外側に拡張することができる。他の態様では、1つまたは複数の拡張可能リブ213は、ローリングダイヤフラム112が空の折畳状態にあり、プランジャ144がローリングダイヤフラム112(図示せず)を流体で充填するように近位方向に後退されるとき、ローリングダイヤフラム112の側壁134と係合するように半径方向外側に拡張することができる。
図25A~
図25Cは、プランジャ144の非拡張部分に1つまたは複数のローラ215があるプランジャ144を示す。ローラ215は、ローリングダイヤフラム112(
図25Cに示す)の側壁134と係合し、プランジャ移動方向において自由に回転可能であり得る。
【0070】
図27~
図28Cは、本開示の他の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。プランジャ144は、互いに対して入れ子式の向きで配置された複数の同心部分144a~144dを有している。同心部分144a~144dの各々は、残りの同心部分144a~144dとは独立して近位方向または遠位方向に前進させることができる。一態様では、外側同心部分は、ローリングダイヤフラム112の近位端132を支持することができ、内側同心部分は、ローリングダイヤフラム112から流体を送達するために前進される。個々の同心部分144a~144dの移動を制御することにより、ローリングダイヤフラム112をより均一に圧縮し、ローリングダイヤフラム112から完全に流体を排出することができる。さらに、個々の同心部分144a~144dを近位方向に選択的に引き出すことにより、圧縮後にプランジャ144からローリングダイヤフラム112をより容易に取り除くことができる。
【0071】
図29は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。ローリングダイヤフラム112は、遠位端130に出口ポートが画定されていてもいなくても、可撓性容器として形成することができる。圧力ジャケット110内にローリングダイヤフラム112を保持し、ローリングダイヤフラム112の近位端132においてプランジャ144によってローリングダイヤフラム112に作用することができる。プランジャ144を遠位方向に移動させることにより、圧力ジャケット110の遠位側壁262に対してローリングダイヤフラム112が圧縮される。圧力ジャケット110の遠位側壁262に、シール266を有する穿孔要素264が設けられている。プランジャ144が圧力ジャケット110の遠位側壁262に対してローリングダイヤフラム112を圧縮すると、穿孔要素264は、ローリングダイヤフラム112の側壁134を穿孔して、流体流路セット108をローリングダイヤフラム112の内部容積114と流体連通させる。シール266は、側壁134の穿孔部分の周囲を封止して、圧力ジャケット110から流体が漏れないようにする。
【0072】
図30は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。ローリングダイヤフラム112は、プランジャ144と同時成形される。いくつかの態様では、プランジャ144は、剛性の実質的に非変形可能プランジャであり得るが、ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112の内部容積114が拡張または収縮することができるようにそれ自体の上で転動することができる可撓性側壁134を有することができる。最初に、ローリングダイヤフラム112pは、プランジャ144と同時成形される予備成形された形態であり得る。ローリングダイヤフラム予備成形品112pをプランジャ144と同時成形した後、金型M内でのブロー成形技法により、ローリングダイヤフラム予備成形品112pをその最終形体まで拡張させることができる。たとえば、ストレッチブロー成形技法を用いて、ローリングダイヤフラム予備成形品112pを拡張させることができる。ローリングダイヤフラム予備成形品112pの少なくとも一部がブロー成形によって拡張する間、金型M内にプランジャ144を固定することができる。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラム112の第2部分が拡張する間、金型M内にローリングダイヤフラムの第1部分が固定され、その拡張の間、プランジャ144は金型Mで移動することができる。別法として、ローリングダイヤフラム112をその最終的な拡張形状に成形することができ、プランジャ144をローリングダイヤフラム112と同時成形することができる。いくつかの態様では、近位端および遠位端等、ローリングダイヤフラム112の第1部分を予備成形することができ、一方で、ローリングダイヤフラム112の第2部分を、ストレッチブロー成形技法による等、拡張させることができる。
【0073】
図31は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。プランジャ144は、内側要素268と、内側要素268を包囲しかつ外側要素270に対して移動可能な外側要素270とを有している。外側要素270は、外側要素270の外周から半径方向外側に突出する1つまたは複数の把持要素246を有している。外側要素270の1つまたは複数の把持要素246は、折縁226においてローリングダイヤフラム112の側壁134と係合する。内側要素268または外側要素270の少なくとも一部と係合するとき、1つまたは複数の把持要素246は後退可能であり得る。プランジャ144は、一連の漸進的なストロークにおいて外側要素270に対して内側要素268を往復移動させる。各ストロークは、遠位成分および近位成分を有し、近位成分は遠位成分より長い。このように、プランジャ144は、近位方向に正味の移動を有する。プランジャ144の各遠位移動により、内側要素268は外側要素270に対して遠位に移動し、それにより、外側要素270における半径方向荷重が解放され、ローリングダイヤフラム112の側壁134から(外側要素270内に把持要素246を引き出すことによる等)把持要素246の把持力が低減する。したがって、外側要素270を遠位に前進させて、折縁226の遠位で側壁134と係合させることができる。プランジャ144の各近位移動により、内側要素268は外側要素270に対して近位に移動し、それにより、外側要素270の半径方向荷重が増大し、把持要素246がローリングダイヤフラム112の側壁134と係合する。外側要素270は、折縁226に達するまでローリングダイヤフラム112の側壁134を近位方向に引っ張り、折縁226に達した後、プランジャの移動が繰り返される。このように、ローリングダイヤフラム112の内部容積114を流体で充填することができる。流体は、本明細書に記載するようにローリングダイヤフラム112から排出することができる。いくつかの態様では、外側要素270は、ばね等の弾性的に偏向可能な要素を有する拡張可能要素とすることができ、それは、プランジャ144が外側要素270と係合すると、ローリングダイヤフラム112の側壁134と接触するように半径方向外側に拡張する。
【0074】
図32Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。
図32Bは、
図32Aに示すプランジャ144の上面図である。プランジャ144は、中心部分145と、中心部分145に作動的に接続された複数の半径方向伸張可能要素147とを有している。中心部分145は、中心部分145の実質的に円錐形の遠位部分を画定する第1傾斜面145’を有している。半径方向伸張可能要素147の各々は、中心部分145の第1傾斜面145’に対応する第2傾斜面147’を有している。プランジャ144は、最初に、反転したローリングダイヤフラム112に挿入される。中心部分145が近位方向に移動することにより、中心部分145の第1傾斜面145’は、複数の半径方向伸張可能要素147のうちの少なくとも1つの第2傾斜面147’と係合する。第1傾斜面145’および第2傾斜面147’の勾配により、中心部分145の近位移動の結果として、半径方向伸張可能要素147の少なくとも1つに半径方向移動成分が加えられる。半径方向伸張可能要素147のうちの少なくとも1つのこうした半径方向移動により、プランジャ144が後退される際に、半径方向伸張可能要素147のうちの少なくとも1つの把持面147’’がローリングダイヤフラム112の側壁134の折畳み部分と係合する。
【0075】
図33Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第1軸方向位置で示されている。
図33Bは、
図33Aに示すローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第2軸方向位置で示されている。ローリングダイヤフラム112の近位端132は、ローリングダイヤフラム112の近位端132において側壁134に対して半径方向外側に突出するリングとして形成されたプランジャ係合部分254を有している。プランジャ係合部分254は、ローリングダイヤフラム112の近位端132の周囲に連続的にまたは不連続に延在することができる。プランジャ144は、プランジャ144が遠位方向に移動すると、ローリングダイヤフラム112のプランジャ係合部分254と協働するように構成された半径方向内側窪み部分256を有している。いくつかの態様では、
図33Aに示すように、圧縮されていないローリングダイヤフラム112において最初に半径方向外側方向に突出するプランジャ係合部分254は、プランジャ144の遠位方向の移動によりローリングダイヤフラム112の側壁134が折り畳まれたときに、
図33Bに示すように半径方向内側に突出するように反転される。プランジャ係合部分254が半径方向内側方向に折り畳まれると、プランジャ144の窪み部分256は、プランジャ係合部分254を受け入れ、それにより、プランジャ係合部分254は、窪み部分256の遠位端のカラー258と窪み部分256の近位端のプランジャ基部260との間で軸方向に保持される。プランジャ144のカラー258は、プランジャ144をローリングダイヤフラム112のプランジャ係合部分254から解除することができるように、半径方向内側に後退可能であり得る。
【0076】
図34Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第1軸方向位置で示されている。
図34Bは、
図34Aに示すローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第2軸方向位置で示されている。ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112の近位端132に形成された第1係合部分244aを有している。第1係合部分244aは、プランジャ144と係合するように構成されている。いくかの態様では、第1係合部分244aは、近位端132の中心部分から近位に延在するタブとして形成されている。第1係合部分244aは、加熱による等、非変形可能であるかまたは変形可能であり得る。第1係合部分244は、プランジャ144に形成された第2係合部分244bに接続可能である。第2係合部分244bは、第1係合部分244aのタブを受け入れるように構成された凹部として形成することができる。いくつかの態様では、第2係合部分244aに第1係合部分244aを解除可能にまたは非解除可能に接続することができる。たとえば、第1係合部分244aの少なくとも一部を加熱することによる等、第1係合部分244aの少なくとも一部を第2係合部分244bに融着または接着することにより、第2係合部分244bに第1係合部分244aの少なくとも一部を永久的にかつ非解除可能に結合することができる。いくつかの態様では、スナップフィット接続を介してまたはねじ式接続を介して、第2係合部分244bに第1係合部分244aの少なくとも一部を解除可能に結合することができる。接続されると、第1係合部分244aおよび第2係合部分244bにより、プランジャ144が往復移動することができ、ローリングダイヤフラム112の充填または排出を可能にする。
【0077】
いくつかの態様では、第1係合部分244aは、近位端132の中心部分から近位に延在するタブ244cとして形成されており、リップ244dが、タブ244cの近位端から半径方向外側に突出している。第1係合部分244aは、プランジャ144に形成された第2係合部分244dに接続可能である。第2係合部分244bは、第1係合部分244aのリップ244dと係合するように構成された一対の半径方向偏向可能フィンガ244eを有することができる。半径方向偏向可能フィンガ244eは、第2係合部分224bを第1係合部分244aに係止するように、プランジャ144が遠位に前進される際にリップ244dを通過するように第1位置から第2位置まで偏向可能であり得る。係止されると、フィンガ244eの少なくとも一部の周囲に延在するカラーにより、フィンガ244eの半径方向偏向を阻止することができる。いくつかの態様では、ローリングダイヤフラム112の充填中等、プランジャ144の近位方向の引戻し中に、フィンガ244eが第1係合部分244aからはずれないように、圧力ジャケット110(
図2に示す)に対してフィンガ244eを係止することができる。
【0078】
図35は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。プランジャ144は、第1端部144aおよび第2端部144bを有し、第1端部144aは第2端部144bに対して軸方向に移動可能である。第1端部144aおよび第2端部144bは、プランジャ144の長手方向軸に対して斜めに延在するウェビング144cによって互いに接続されている。第1端部144aが第2端部144bに向かって移動すると、ウェビング144cは、半径方向外側に拡張してローリングダイヤフラム112の側壁134と係合し、空のローリングダイヤフラム112の内側に面する壁の後退を可能にする。第2端部144bから離れるように第1端部144aが移動すると、ウェビング144cは、半径方向内側に収縮して、ローリングダイヤフラム112の側壁134から外れる。
【0079】
図36Aは、本開示の別の態様によるプランジャ144の斜視図である。
図36Bは、
図36Aに示すプランジャ144とローリングダイヤフラム112との側断面図である。プランジャ144は、プランジャ144の本体に対して半径方向外側に突出する1つまたは複数の第1把持要素246aを有している。いくつかの態様では、1つまたは複数の第1把持要素246aは、プランジャ144の本体に接続された第1端部と、第1端部に対して半径方向外側に突出する第2端部とを有することができる。1つまたは複数の第1把持要素246aのうちの少なくとも1つを、ローリングダイヤフラム112(図示せず)の平滑な側壁134と係合するように構成することができる。
図36Bに示す他の態様では、プランジャ144の1つまたは複数の第1把持要素246aのうちの少なくとも1つを、ローリングダイヤフラム112の側壁134に形成された対応する第2把持要素246bと係合するように構成することができる。第1把持要素246aと第2把持要素246bとの間の相互作用により、ローリングダイヤフラム112のプランジャ144と側壁134との間の接触面において把持力が増大する。1つまたは複数の把持要素は、
図43に示すように、プランジャ144の本体に対して(半径方向伸張により)係合するかまたは(半径方向後退により)係合解除する能動的な把持要素であり得る。いくつかの態様では、プランジャ144の近位移動中に意図せずに外れないように、プランジャ144およびローリングダイヤフラム112の長手方向軸に対して、第1把持要素246aおよび第2把持要素246bのうちの少なくとも1つに角度をつけることができる。
【0080】
図37は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。プランジャ144は第1ねじ切り部分240aを有し、一方で、ローリングダイヤフラム112の側壁134の内側に面する外側部分が、プランジャ144の第1ねじ切り部分240aとねじ式に係合することができる第2ねじ切り部分240bを有している。いくつかの態様では、第1ねじ切り部分240aが第2ねじ切り部分240bと係合することができるように、プランジャ144を、その長手方向軸を中心に回転させ、長手方向軸に沿って直線状に移動させることができる。係合すると、プランジャ144を回転なしに軸方向に引き出されるように移動させることができる。第1ねじ切り部分240aと第2ねじ切り部分240bとの間のねじ式係合は、ローリングダイヤフラム112が、折畳み形態から近位方向に引き出されてローリングダイヤフラム112の内部容積114を流体で充填する際に、ローリングダイヤフラム112の側壁134に対してプランジャ144の把持力を増大させるのに役立つ。いくつかの態様では、第1ねじ切り部分240aおよび第2ねじ切り部分240bのうちの少なくとも一方は、ローリングダイヤフラム112のピスト
ンおよび側壁134それぞれの周囲の少なくとも一部にわたって不連続であり得る。他の態様では、第1ねじ切り部分240aおよび第2ねじ切り部分240bは、プランジャ144およびローリングダイヤフラム112それぞれの長手方向軸を中心にらせん状に延在することができる。さらなる態様では、第1ねじ切り部分240aおよび第2ねじ切り部分240bは、プランジャ144およびローリングダイヤフラム112のうちの一方の複数の円形隆起と、プランジャ144およびローリングダイヤフラム112のうちの他方の対応する円形溝として形成することができる。
【0081】
図38は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラムおよびプランジャの側断面図である。ローリングダイヤフラム112の側壁134の折り畳まれた内側に面する部分とプランジャ144との間に、環状部材242を配置することができる。プランジャ144が近位方向に引き出されるときに側壁134の曲げおよび座屈を防止するために、ローリングダイヤフラム112の側壁134に対して拡張するように、環状部材242に加圧することができる。いくつかの実施形態では、環状部材242は、本明細書に記載するローリングダイヤフラム112の転動と同様にそれ自体の上で転動することができる。
【0082】
図39Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第1軸方向位置で示されている。
図39Bは、
図39Aに示すローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第2軸方向位置で示されている。ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112の近位端132に形成された第1係合部分244aを有している。第1係合部分244aは、プランジャ144と係合するように構成されている。いくつかの態様では、第1係合部分244aは、近位端132の中心部分から近位に延在する1つまたは複数の脚244cとして形成されている。脚244cの各々は、その近位端において半径方向に延在する棚244dを有している。第1係合部分244aは、プランジャ144に形成された第2係合部分244bに接続可能である。第2係合部分244bは、第1係合部分244aの脚244cおよび棚244dを受け入れるように構成された凹部として形成することができる。いくつかの態様では、第2係合部分244bに第1係合部分244aを解除可能に接続することができる。たとえば、プランジャ144の第2係合部分244bは、ローリングダイヤフラム112の第1係合部分244aを選択的に係止するように移動可能な、移動可能係止要素244eを有することができる。いくつかの態様では、係止要素244eは、脚244cおよび棚244dを第2係合部分244bの凹部から引き出すことができるように、半径方向において直線状に移動可能であり得る。他の態様では、係止要素244eは、脚244cおよび棚244dが第2係合部分244bの凹部内で係止される係止位置と、脚244cおよび棚244dを第2係合部分244bの凹部から引き出すことができる係止解除位置との間で枢支点を中心に枢動可能であり得る。接続されると、第1係合部分244aおよび第2係合部分244bにより、プランジャ144は往復移動することができ、ローリングダイヤフラム112の充填または排出を可能にする。いくつかの態様では、バヨネット接続を用いて、第1係合部分244aおよび第2係合部分244bのうちの一方を第1係合部分244aおよび第2係合部分244bのうちの他方に対して回転させることにより、第1係合部分244aおよび第2係合部分244bを接続することができる。
【0083】
図41Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第1軸方向位置で示されている。
図41B~
図42Cは、
図41Aに示すローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は、それぞれ第2軸方向位置および第3軸方向位置で示されている。ローリングダイヤフラム112は、圧縮されていないローリングダイヤフラムの外径より大きい内径を有する圧力ジャケット110内に配置され、それにより、圧力ジャケット110の内部側壁とローリングダイヤフラム112の側壁134の外側部分との間に空間Sがもたらされる。プランジャ144がローリングダイヤフラム112の遠位端130に向かって前進される際に、ローリングダイヤフラム112の側壁134は圧縮され、それにより、側壁134は、半径方向外側に拡張し、圧力ジャケット110の内部側壁と係合する。望ましくは、ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112の出口においてまたは管セット(図示せず)内で所定圧力に達するまで、ローリングダイヤフラム112の内部容積114から流体が送達されないようにする高亀裂圧力弁とともに使用される。プランジャ144を遠位方向にさらに移動させることにより、ローリングダイヤフラム112の側壁134がさらに圧縮され、側壁134の弾性限界内で維持しながら側壁134に対する全ひずみを増大させる。
【0084】
図42は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。プランジャ144は、本明細書に記載するようなローリングダイヤフラム112の側壁134の内部部分と係合するように往復移動可能な外部部分143aを有している。プランジャ144は、外部部分143aに対して独立して移動可能な内部部分143bをさらに有している。外部部分143aは、ローリングダイヤフラム112の側壁134と接触するまで遠位に移動する。その後、内部部分143bは遠位に前進され、ローリングダイヤフラム112の側壁134を圧縮してローリングダイヤフラム112の内部容積114から流体を送達する。したがって、内部部分143bは近位に後退し、一方で外部部分143aは遠位に移動する。ローリングダイヤフラム112の内部容積114から流体を排出するようにする内部部分143bの移動は、連続的に行うことができる。プランジャ144は、外部部分143aに対して半径方向内側に突出する1つまたは複数の第1把持要素246aを有している。プランジャ144の1つまたは複数の第1把持要素246aのうちの少なくとも1つを、ローリングダイヤフラム112の側壁134に形成された対応する第2把持要素246bと係合するように構成することができる。第1把持要素246aと第2把持要素246bとの間の相互作用により、プランジャ144とローリングダイヤフラム112の側壁134との間の接触面における把持力が増大する。
【0085】
図44は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。プランジャ144は、共通枢支点250を中心に枢動可能である一対の枢動可能要素248を有している。枢動可能要素248の近位端248aを互いに向かって移動させることにより、遠位端248bは、互いにから離れてかつローリングダイヤフラム112の側壁134と係合するように移動する。逆に、枢動可能要素248の近位端248aを互いにから離れるように移動させることにより、遠位端248bは、互いに向かってかつローリングダイヤフラム112の側壁134と係合しなくなるように移動する。
図45において、枢動可能要素248は、第1枢支点250aおよび第2枢支点250bを中心に枢動可能である。枢動可能要素248は、ローリングダイヤフラム112の近位端132から突出する係合部分244と係合するように半径方向内側に枢動可能である。いくつかの実施形態では、第1枢支点250aおよび第2枢支点250bは同じであり得る。
【0086】
図46Aは、本開示の別の態様によるプランジャ144の側断面図である。
図46Bは、ローリングダイヤフラム112と
図46Aに示すプランジャ144との側断面図である。プランジャ144は、全体として参照により本明細書に組み込まれる、Reillyらの米国特許第5,383,858号明細書、Hitchinsらの同第5,873,861号明細書およびTrockiらの同第6,652,489号明細書に記載する接続機構を有するピストン178と係合するように構成された接続インタフェース
254Aを有している。ピストン178は、ピストン178に対するプランジャのその長手方向軸を中心とする向きに関わらずプランジャ144と解除可能に係合するように適合された少なくとも1つの取付部材を有している。いくつかの態様では、プランジャ144は、プランジャ144の本体の少なくとも一部を覆うカバー280を有している。カバー280は、本体282の溝286と係合するリップ284によって本体282と保持される。本体282は、ピストン178から可逆的に伸張可能な1つまたは複数のピン290を受け入れる環状隆起288をさらに有している。1つまたは複数のピン290がピストン178から半径方向外側に延在するとき、ピン290のうちの少なくとも1つが環状隆起288の内側に受け入れられる。このように、ピストン178が近位または遠位に移動することにより、環状隆起288内にピン290のうちの少なくとも1つが係合する結果として、プランジャ144が対応して移動する。1つまたはピン290を半径方向内側方向に後退させることにより、1つまたは複数のピン290が環状隆起288から解除され、ピストン178をプランジャ144から解除することができる。
【0087】
図47Aは、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第1軸方向位置で示されている。
図47Bは、
図47Aに示すローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図であり、プランジャ144は第2軸方向位置で示されている。ローリングダイヤフラム112は、近位端132から遠位端130に向かって半径方向外側に延在する円錐形状を有している。側壁134の外周は、側壁134の周囲に巻かれ、近位端132と遠位端130との間で延在する、ばね等の弾性要素252を有している。弾性要素252は、プランジャ144と係合すると、ローリングダイヤフラム112の側壁134の転動と同様にそれ自体の上で転動するように構成されている。いくつかの態様では、弾性要素252は、強化エラストマーばねまたは金属メッシュであり得る。
【0088】
図48Aは、本開示の別の態様による、圧力ジャケット110、ローリングダイヤフラム112およびプランジャ144を有するシリンジの部分組立分解斜視図である。
図48Bは、
図48Aに示すシリンジの側断面図である。
図48Aおよび
図48Bに示すシリンジ104の構成要素は、
図2および
図3を参照して上述したシリンジ104の構成要素と実質的に同様である。
図48Aおよび
図48Bにおける参照数字は、
図2および
図3における対応する参照数字と同一の構成要素を示すために使用されている。
図2および
図3において概して示すシリンジ104に関する先の考察は、
図48Aおよび
図48Bに示す態様に適用可能であるため、これらのシステムの関連する相違のみを以下考察する。
【0089】
図48Aおよび
図48Bは、患者に送達する流体で予め充填される使い捨ての単回使用シリンジ104を示す。シリンジ104は、
図2を参照して上述したように、注入器102とインタフェースする使い捨て圧力ジャケット110を含む。圧力ジャケット110の近位端118は、ローリングダイヤフラム112の端壁136と係合するプランジャ144を有している。プランジャ144は、ローリングダイヤフラム112の端壁136と係合する遠位端146と、注入器102のピストンヘッド138と係合するような形状である近位端148とを有している。圧力ジャケット110の近位端118には、シール150が設けられている。シール150は、注入器102(
図48および
図48Bには示さず)で使用する前に圧力ジャケット110の近位端118を封止する。さらに、シール150は、防湿材を提供する。望ましくは、シール150は、注入器102にシリンジ104を接続する前に取り除かれる。シリンジ104は、ローリングダイヤフラム112の遠位端130に設けられたキャップ152をさらに含む。キャップ152は、ローリングダイヤフラム112の遠位端130に成形し、接着し、ねじ込み、または他の方法で機械的に結合することができる。望ましくは、典型的な注入圧力に耐えるために、キャップ152とローリングダイヤフラム112の遠位端130との間に接続部が形成される。キャップ152は、流体流路セット(図示せず)に接続する、ルアー型コネクタ等のコネクタ154を有している。一態様では、流体流路セットは、キャップ152のコネクタ154に結合する対応するコネクタを含む。たとえば、流体流路セットに穿孔針156を設けて、キャップ152およびローリングダイヤフラム112の排出ポート142を穿孔してローリングダイヤフラム112の内部容積114を流体流路セットと流体接続することができる。望ましくは、流体流路セットは、使用後にローリングダイヤフラム112とともに廃棄される。
【0090】
図49Aは、本開示の別の態様による圧力ジャケット110、ローリングダイヤフラム112およびプランジャ144を有するシリンジ104の部分組立分解斜視図である。
図49Bは、
図49Aに示すシリンジ104の側断面図である。
【0091】
図49Aおよび
図49Bに示すシリンジ104の構成要素は、
図48Aおよび
図48Bを参照して上述したシリンジ104の構成要素と実質的に同様である。
図49Aおよび
図49Bにおける参照数字は、
図48Aおよび
図48Bにおける対応する参照数字と同一の構成要素を示すために使用されている。
図48Aおよび
図48Bにおいて概して示すシリンジ104に関する先の考察は、
図49Aおよび
図49Bに示す態様に適用可能であるため、これらのシステムの関連する相違のみを以下考察する。圧力ジャケット110は、種々のローリングダイヤフラム112と使用することができる再使用可能圧力ジャケット110であり得る。望ましくは、圧力ジャケット110は、実質的に円錐形であり、少なくともローリングダイヤフラム112の側壁134に沿って延在するように注入器102に取外し可能に接続可能である。圧力ジャケット110の遠位端116からローリングダイヤフラム112を装填することができる。キャップ152は、ローリングダイヤフラム112の遠位端130から側壁134の少なくとも一部まで延在するように形成される。キャップ152は、キャップ152の外面から半径方向外側に延在する少なくとも1つの係止タブ158を含む。係止タブ158は、注入器102に設けられた係止カラー160と係合するように形成されている。係止カラー160は、使用中は係止タブ158と係合させ、ローリングダイヤフラム112を圧力ジャケット110から取り除くべきときに係止タブ158から分離することができるように、後退可能である。プランジャ144は、再使用可能であり、かつ圧力ジャケット110の軸に沿った遠位方向における軸方向移動により半径方向に拡張する。プランジャ144に対して、1つまたは複数のばね162によってピストンヘッド138に対してばね荷重を与えることができる。ピストンヘッド138を近位方向に引き出すと、ばね162はプランジャ144をピストンヘッド138から押し離し、プランジャ144が近位方向に引き出される際にプランジャ144の直径を低減させることができる。一態様では、圧縮空気の噴出、またはローリングダイヤフラム112を容易に廃棄するために小型サイズに押しつぶす機械的ピストンの作用等、除去部材によって、使用済みローリングダイヤフラム112を圧力ジャケット110から取り除くことができる。
【0092】
図50Aは、本開示の別の態様による、圧力ジャケット110、ローリングダイヤフラム112(図示せず、圧力ジャケット110内)およびプランジャ144を有するシリンジ104の部分組立分解斜視図である。いくつかの態様では、圧力ジャケット110は、合わせて蝶番式に接続される2つの円筒状半体110a、110bから形成されている。圧力ジャケット110の長手方向軸と実質的に平行に蝶番166を設けることができ、または近位端118もしくは遠位端116に長手方向軸に対して実質的に垂直に、蝶番
166を設けることができる。圧力ジャケット110を開放しローリングダイヤフラムのより容易な装填を可能にするように、蝶番の作用により、円筒状半体110a、110bの一方を他方に対して枢動させることにより、圧力ジャケット110を開放することができる。装填されると、注入器102に接続する前に圧力ジャケット110を閉鎖することができる。
図50Bを参照すると、別の態様による圧力ジャケット110が示されている。この態様では、圧力ジャケット110は、クラムシェル形態で互いに接合される2つの円筒状半体110a、110bから形成される。圧力ジャケット110の遠位端116に、フィンガロック194が設けられている。ローリングダイヤフラム112をより容易に装填することができるように、円筒状半体110a、110bのうちの一方を他方に対して揺動させることにより、圧力ジャケット110を開放することができる。装填されると、注入器102(図示せず)に接続する前に圧力ジャケット110を閉鎖することができる。
【0093】
図51は、本開示の別の態様による、圧力ジャケット110、ローリングダイヤフラム112およびプランジャ144を有するシリンジ104の側断面図である。圧力ジャケット110は、圧力ジャケット110の遠位端116を囲む取外し可能閉鎖具196を有している。閉鎖具196は、圧力ジャケット110内にローリングダイヤフラム112を装填するために、圧力ジャケット110の遠位端116から取り外し可能であり得る。ローリングダイヤフラム112が装填されると、圧力ジャケット110の遠位端116は、閉鎖具196によって閉鎖される。たとえば、閉鎖具196は、圧力ジャケット110の遠位端116の対応するねじ山と係合するめねじまたはおねじを有することができる。別法として、閉鎖具196は、圧力ジャケット110の遠位端116の対応するスロットまたはタブと係合するタブまたはスロットを有するバヨネット型閉鎖具であり得る。閉鎖具196は、流体流路セット(図示せず)に接続するねじ切り取付具を有することができる。
【0094】
図52Aおよび
図52Bは、本開示の別の態様による、圧力ジャケット110、ローリングダイヤフラム112およびプランジャ144を有するシリンジ104の部分組立分解側断面図である。
図52Aおよび
図52Bに示すシリンジ104の構成要素は、
図48Aおよび
図48Bを参照して上述したシリンジ104の構成要素と実質的に同様である。
図52Aおよび
図52Bにおける参照数字は、
図48Aおよび
図48Bにおける対応する参照数字と同一の構成要素を示すために使用されている。
図48Aおよび
図48Bにおいて概して示すシリンジ104に関する先の考察は、
図52Aおよび
図52Bに示す態様に適用可能であるため、これらのシステムの間の関連する相違のみを以下考察する。
図52aは、実質的に円筒状の圧力ジャケット110を有するシリンジ104を示す。さまざまな実施形態によれば、キャップ152は、キャップ152に取外し可能に接続される閉鎖部材168を有している。閉鎖部材168は、任意選択的に、キャップ152と一体的に形成することができ、一方で依然としてキャップ152に取外し可能に接続される。使用する前に、閉鎖部材168は、キャップ152と係合してキャップ152を封止し、その汚染を防止する。したがって、閉鎖部材168は取り除かれて、キャップ152を穿孔部材156で穿孔し流体流路セット(図示せず)に接続することができる。使用後、いかなる残りの流体もキャップ152からこぼれないように、キャップ152に閉鎖部材168を再接続することができる。
【0095】
図53は、本開示の別の態様によるシリンジ104の側断面図である。シリンジ104は、圧力ジャケット110内に封入されるローリングダイヤフラム112を有し、流体スリーブ184がローリングダイヤフラム112の側壁134と圧力ジャケット110との間に配置されている。流体スリーブ184は、圧力ジャケット110内に配置された後のローリングダイヤフラム112の周囲で充填される。キャップ152は、圧力ジャケット110内で流体スリーブ184を密閉する。圧力ジャケット110の近位端から流体スリーブ184が漏れないように、圧力ジャケット110の近位端を第2キャップ186で封止することができる。
【0096】
図55Aおよび
図55Bは、本開示の別の態様によるシリンジ104の側断面図である。
図55Aおよび
図55Bを参照すると、流体スリーブ184は、圧力ジャケット内でローリングダイヤフラム112を包囲するバッグの形態で(
図55A)、またはローリングダイヤフラム112に対して近位のバッグとして(
図55B)であり得る。プランジャ144は、ローリングダイヤフラム112からの流体が送達された後にプランジャ144の後退を可能にする逆止め弁188を有している。流体スリーブ184またはローリングダイヤフラム112の破断を検出するために、圧力ジャケット110内にセンサ190を設けることができる。
図55Aを参照すると、ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112の長手方向長さに沿って設けられた、対応する形状の流体スリーブ184を有している。一態様では、流体スリーブ184は、ローリングダイヤフラム112のミラーコピーであり得る。注入器102(図示せず)に挿入されるとき、ローリングダイヤフラム112は、流体流路セット(図示せず)に流体接続される。注入処置中、流体スリーブ184は、ローリングダイヤフラム112の内部容積114から流体を押し出す圧縮面として機能する。特に、プランジャ144等の注入器102の一部が、ローリングダイヤフラム112に対して流体スリーブ184を圧縮するように流体スリーブ184に作用する。このように、流体スリーブ184の圧縮力は、ローリングダイヤフラム112の表面全体にわたって均一に分散され、ローリングダイヤフラム112内に残っている流体の残留量を最小限にする。アセンブリの取扱を容易にするために、流体スリーブ184およびローリングダイヤフラム112の一方または両方の側方部分に、把持タブ192を設けることができる。
【0097】
図56Aおよび
図56Bは、本開示の別の態様によるシリンジ104の側断面図である。ローリングダイヤフラム112は、ローリングダイヤフラム112の遠位端130に成形し、接着し、ねじ込み、または他の方法で機械的に結合することができるキャップ152を有する。望ましくは、典型的な注入圧力に耐えるように、ローリングダイヤフラム112のキャップ152と遠位端130との間に接続部が形成される。キャップ152は、流体流路セット108に接続する、ルアー型コネクタ等のコネクタ154を有している。一態様では、流体流路セットは、キャップ152のコネクタ154に結合するための対応するコネクタを含む。ローリングダイヤフラム112の排出ポート142を封止する、キャップ152の脆弱シール200の穿孔を可能にするために、流体流路セット108に穿孔針156が設けられている。
図56Bに示す態様では、キャップ152内に穿孔針156を組み込むことができる。脆弱シール200が穿孔されると、ローリングダイヤフラム112の内部容積114は、流体流路セット108と流体接続される。
図54を参照すると、ローリングダイヤフラム112は、その遠位端130に高圧シール202を有し、キャップ152は低圧シール204を有している。
【0098】
図58Aは、本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。
図58Bは、
図58Aに示すシールの部分断面斜視図である。ローリングダイヤフラム112の排出首部140は、二重シール構成をもたらすようにキャップ152のシール200aに当接するシール200を有している。キャップ152は、望ましくは、本明細書に記載する複数の方法のうちの1つで排出首部140に取り付けられる。キャップ152は、流体流路セット108のめねじとねじ式に係合する複数のおねじとして形成された接続部材212を有している。ローリングダイヤフラム112の内部容積114と流体流路セット108との間に流体連通を確立するために、二重シール構成に穿孔するように、流体流路セット108の終端部に穿孔針156が形成されている。
【0099】
図59を参照すると、本開示の別の態様によるシリンジの側断面図である。ローリングダイヤフラム112の排出首部140は最初に封止されている。キャップ152の穿孔針156が排出首部140においてローリングダイヤフラム112の側壁134に穿孔することができるように、キャップ152は圧力ジャケット110に取付可能である。いくつかの態様では、キャップ152は、流体流路セット108(図示せず)のめねじとねじ式に係合する複数のおねじとして形成された接続部材212を有することができる。ローリングダイヤフラム112の内部容積114間で流体連通を確立するために、ローリングダイヤフラム112の側壁134に穿孔するように、キャップ152の終端部に穿孔針156が形成されている。
【0100】
図60Aは、本開示の別の態様によるシリンジおよびローリングダイヤフラムとともに使用されるシールの側断面図であり、シール穿孔要素が第1封止位置で示されている。
図60Bは、
図60Bに示すシールの側断面図であり、シール穿孔要素は第2穿孔位置で示されている。シール150は、基部151と、基部151に対して実質的に垂直に突出する側壁153とを有することができる。基部151は、流体流路セットに設けられたスパイク等、穿孔要素155によって穿孔可能である。穿孔要素155が基部151を穿孔すると、基部151は、シール150の周囲を流体封止する。さらに、穿孔要素155の本体157は、シール150の側壁153と係合して二次シールを提供する。
【0101】
図61は、本開示の別の態様によるローリングダイヤフラム112およびプランジャ144の側断面図である。プランジャ144は、内側要素300と内側要素300の少なくとも一部の周囲に巻きつけられた弾性要素310とを有している。近位端310aまたは遠位要素310b等の弾性要素310の一端は内側要素300に固定することができ、弾性要素310の反対側の端部は、内側要素300を中心に自由に回転することができる。弾性要素310の一端が内側要素300を中心に、右回り方向または左回り方向等、第1方向に回転すると、弾性要素310は、半径方向外側に拡張して、内側要素300および弾性要素310を包囲する外側要素320の内面と係合することができる。外側要素320は、その長手方向軸に沿ってスリットが延在する分割円筒体として形成することができる。外側要素320の外面は、ローリングダイヤフラム112の側壁134と係合する。したがって、弾性要素310が外側要素320の内面に対して拡張する際に、外側要素320は、その外面がローリングダイヤフラム112の側壁134と係合するように、半径方向外側に拡張する。このように、プランジャ144は、ローリングダイヤフラム112の内部容積114から流体を引き出すかまたは流体を排出するように、ローリングダイヤフラム112の側壁134を移動させることができる。いくつかの態様では、弾性要素310は、拡張状態で、ローリングダイヤフラム112の側壁134と係合することができる。弾性要素310を内側要素300の周囲で第1方向とは反対の第2方向に回転させると、弾性要素310は半径方向内側に収縮することができ、それにより外側要素320を係合解除する。いくつかの態様では、弾性要素310は、収縮状態では、ローリングダイヤフラム112の側壁134を係合解除することができる。
【0102】
図62は、本開示の別の態様による圧力ジャケット110の側断面図である。圧力ジャケット110は、圧力ジャケット110を注入器102と解除可能に接続するアダプタ110aを有することができる。圧力ジャケット110の外側側壁は、外側側壁に対して半径方向外側に突出する1つまたは複数のタブ330を有している。1つまたは複数のタブ330は、対応するスロット340またはアダプタ110aに形成された係合機構に受け入れられる。いくつかの態様では、圧力ジャケット110をアダプタ110aの中心開口部内に挿入し、タブ330がスロット340内に受け入れられるまで、圧力ジャケット110をアダプタ110aに対して第1方向に(右回り方向または左周り方向に1/4回転等)回転させることにより、アダプタ110aに圧力ジャケット110を固定することができる。受け入れられると、圧力ジャケット110が第1方向と反対の第2方向に(左回り方向または右周り方向に1/4回転等)回転するまで、タブ330は、圧力ジャケット110をアダプタ110aと係止された状態で維持する。アダプタ110aは、流体が注入器102内に滴下しないように、外側側壁から突出する半径方向フランジ350を有することができる。注入器102の対応する係止機構とアダプタ110aを取外し可能に係止するために、アダプタ110aに1つまたは複数の係止要素360を設けることができる。いくつかの態様では、アダプタ110aは、バヨネット接続による等、注入器102に取外し可能に係止することができる。
【0103】
図63Aは、本開示の別の態様による、圧力ジャケット110を有するシリンジの斜視図である。
図63Bは、
図63Aに示すシリンジの側断面図である。
図63Cは、
図63Aに示す圧力ジャケット110と使用されるローリングダイヤフラム112の斜視図である。シリンジ104は、本明細書に記載するように、注入器102(
図1に示す)と取外し可能にインタフェースする圧力ジャケット110を含む。圧力ジャケット110は、遠位端116と、近位端118と、貫通孔121(
図63Bに示す)を画定するように、圧力ジャケット110の長手方向軸に沿って遠位端116と近位端118との間に延在する側壁119とを有している。いくつかの態様では、圧力ジャケット110の側壁119は、貫通孔121内にローリングダイヤフラム112(
図63Bに示す)の少なくとも一部を受け入れるような形状である。圧力ジャケット110は、典型的には再使用可能構成要素であり、ローリングダイヤフラム112は、典型的には単回使用構成要素である。別の態様では、ローリングダイヤフラム112が流体で再充填可能であるように、ローリングダイヤフラム112は再使用可能であり得る。圧力ジャケット110の側壁119は、ローリングダイヤフラム112の少なくとも一部を受け入れる第1遠位部分360aと、注入器102とインタフェースする第2近位部分360bとを有している。いくつかの態様では、第2遠位部分360bは、第2近位部分360bの外面から半径方向外側に突出する係止ラグまたはリップ370を有している。係止ラグまたはリップ370は、第2近位部分360bの外周に連続的にまたは不連続に延在することができる。いくつかの態様では、係止ラグまたはリップ
370は、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、Reillyらの米国特許第5,383,858号明細書、Hitchinsらの同第5,873,861号明細書およびTrockiらの同第6,652,489号明細書、「Self-Orienting Syringe and Syringe Interface」という名称の米国特許出願第14/526,294号明細書、ならびに「Self-Orienting Syringe and Syringe Interface」という名称の米国特許出願第14/526,395号明細書に記載する流体注入器102の対応する係止機構に、圧力ジャケット110を解除可能に固定するように、接続インタフェースを有することができる。
【0104】
図63Bを参照すると、圧力ジャケット110は、遠位端116に解除可能に固定されているキャップ390を有する。いくつかの態様では、ねじ式係合、バヨネット継手、または別の機械的締結構成により、圧力ジャケット110の遠位端116にキャップ390を固定することができる。たとえば、キャップ390は、圧力ジャケット110の少なくとも1つの溝440内に受け入れられる少なくとも1つの突起430を有することができ、それにより、少なくとも1つの突起430を溝440内にはまるように位置合わせすることにより、圧力ジャケット110にキャップ390を係止することができる。いくつかの態様では、キャップ390は、キャップ390を形成するように互いに接合される2つ以上の別個の要素から形成することができる。たとえば、キャップ390は、キャップ390の長手方向断面において互いに接合された2つの要素を有することができる。キャップ390の要素を保持するために、別個の要素の少なくとも一部の周囲にリングを設けることができる。キャップ390は、キャップ390を通って延在するノズル410とともに内側要素400を有することができる。ノズル410は、ローリングダイヤフラム112と流体連通して、ローリングダイヤフラム112内にまたはローリングダイヤフラム112から流体を送達することができる。ノズル410は、流体流路セット108(
図1に示す)のコネクタ420に取外し可能に接続する接続インタフェースを有することができる。キャップ390は、ノズル410および/またはコネクタ420から滴下する可能性があるいかなる流体も収集するポケット450を有することができる。
【0105】
図63Cを参照すると、キャップ390に、ローリングダイヤフラム112の少なくとも一部を取外し可能に固定することができる。いくつかの態様では、キャップ390の内部側壁は、ローリングダイヤフラム112の対応するねじ山140b(
図5Aに示す)と係合する1つまたは複数のねじ山
440A(
図64Bに示す)を有することができる。他の態様では、スナップフィット、締り嵌め、接着接続、同時成形または他の任意の機械的締結構成によって、キャップ390にローリングダイヤフラム112を固定することができる。ローリングダイヤフラム112は、組込みキャップ390を有することができる。ローリングダイヤフラム112は、流体で予め充填することができ、または流体で充填することができるように空であり得る。さまざまな態様において、キャップ390にローリングダイヤフラム112を、取外し可能にまたは取外し不可能に接続することができる。望ましくは、ローリングダイヤフラム112は、圧力ジャケット110の貫通孔121に挿入される前にキャップ390に固定される。圧力ジャケット110にキャップ390を固定した後、プランジャ144(
図2に示す)は、本明細書に記載するように、ローリングダイヤフラム112と係合して、ローリングダイヤフラム112内にまたはローリングダイヤフラム112から流体を送達することができる。
【0106】
図64Aは、
図63Aに示す圧力ジャケット110と使用されるキャップ390に対する代替実施形態の上面斜視図である。キャップ390は、ローリングダイヤフラム112をキャップ390に接続するねじ切りインタフェースを備えた一体型構造を有することができる。
【0107】
上述した説明では、流体送達システムおよびそのために使用されるローリングダイヤフラムを有するシリンジの態様を提供したが、当業者は、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、これらの態様に対する変更形態および改変形態をなし得ることができる。したがって、上述した説明は、限定するのではなく例示するように意図されている。上述した開示は、添付の特許請求の範囲によって定義され、請求項の均等性の意味および範囲内にある本開示に対するすべての変更形態はそれらの範囲内に包含されるべきである。
【0108】
さらに、本発明では以下の例を含むことも好ましい。
[項1]
医療流体をその中に受け入れるローリングダイヤフラムであって、
プランジャと係合する端壁を備えた近位端と、圧力ジャケットの貫通孔内に受け入れられる遠位端であって、ノズルを有する遠位端と、長手方向軸に沿って前記近位端と前記遠位端との間に延在する側壁とを備え、前記側壁および前記端壁のうちの少なくとも一方の少なくとも一部が不均一な厚さを有し、
前記側壁が、前記プランジャによって作用されるとそれ自体の上で転動し、それにより、前記プランジャが前記近位端から前記遠位端に前進される際に、折畳み領域における前記側壁の外面が半径方向内側方向に折り畳まれるように、前記側壁の少なくとも一部が可撓性を有し、前記プランジャが前記近位端から前記遠位端に後退される際に、前記折畳み領域が半径方向外側方向に広げられる際に、前記側壁の前記外面が展開する、ローリングダイヤフラム。
[項2]
前記端壁が、連続的に厚さが増大する遠位に延在する傾斜面に遷移する丸みがつけられた折縁を有する、項1に記載のローリングダイヤフラム。
[項3]
前記端壁が、前記傾斜面の中心領域から近位に突出するプランジャ係合部分を有する、項2に記載のローリングダイヤフラム。
[項4]
前記端壁が、前記プランジャ係合部分から前記丸みが付けられた折縁に向かって半径方向外側に突出する1つまたは複数のリブを有する、項3に記載のローリングダイヤフラム。
[項5]
前記ローリングダイヤフラムのおよその中間点の遠位の前記側壁の第1部分が第1厚さを有し、前記ローリングダイヤフラムの前記およその中間点の近位の前記側壁の第2部分が第2厚さを有し、前記第1厚さが前記第2厚さより大きい、項1に記載のローリングダイヤフラム。
[項6]
前記近位端が、前記近位端と一体的に形成された剛性プランジャを有する、項1に記載のローリングダイヤフラム。
[項7]
前記プランジャ係合部分が、前記プランジャの開口部内に受け入れられる、項3に記載のローリングダイヤフラム。
[項8]
前記プランジャ係合部分が、前記プランジャの少なくとも一部と取外し不可能に固定される、項7に記載のローリングダイヤフラム。
[項9]
前記プランジャ係合部分の少なくとも一部は、前記プランジャ係合部分を前記プランジャの前記開口部内に保持するように、前記プランジャの前記開口部内に挿入された後に半径方向外側に拡張される、項7に記載のローリングダイヤフラム。
[項10]
前記ローリングダイヤフラムの内部が、医療流体で予め充填される、項1に記載のローリングダイヤフラム。
[項11]
前記ノズルが、流体流路セットに接続するコネクタを有する、項1に記載のローリングダイヤフラム。
[項12]
前記コネクタがルアーコネクタである、項11に記載のローリングダイヤフラム。
[項13]
前記ノズルが、前記ローリングダイヤフラムの内部を封止する穿孔可能なシールを有する、項1に記載のローリングダイヤフラム。
[項14]
前記ノズルが、前記ノズルと前記ローリングダイヤフラムの前記側壁との間の第1シールと、前記ノズルを流体流路セットに接続するインタフェースにおける第2シールとを有する、項1に記載のローリングダイヤフラム。
[項15]
流体送達システム用のシリンジであって、
遠位端、近位端、および前記遠位端と前記近位端との間に延在する貫通孔を有する圧力ジャケットと、
前記圧力ジャケットの前記貫通孔内に配置されたローリングダイヤフラムであって、プランジャと係合する端壁を有する近位端と、前記圧力ジャケットの前記遠位端において受け入れられる遠位端であって、ノズルを有する前記ローリングダイヤフラムの遠位端である遠位端と、長手方向軸に沿って前記ローリングダイヤフラムの前記近位端と前記遠位端との間に延在する側壁とを有し、前記端壁および前記側壁の少なくとも一部のうちの少なくとも一方が不均一な厚さを有する、ローリングダイヤフラムと
を備え、
前記ローリングダイヤフラムの前記側壁の少なくとも一部が、可撓性を有し、かつそれ自体の上で転動し、それにより、前記プランジャが前記ローリングダイヤフラムの前記近位端から前記遠位端に前進される際に、折畳み領域における前記側壁の外面が半径方向内側方向に折り畳まれ、および前記プランジャが前記ローリングダイヤフラムの前記近位端から前記遠位端に後退される際に、前記折畳み領域が半径方向外側方向に広げられる際に、前記側壁の前記外面が展開する、シリンジ。
[項16]
前記圧力ジャケットが、前記ローリングダイヤフラムの少なくとも一部を囲む取外し可能閉鎖具を有する、項15に記載のシリンジ。
[項17]
前記取外し可能閉鎖具が、前記圧力ジャケットの前記遠位端の対応するねじ山と係合するねじ切り端部を有するか、または前記取外し可能閉鎖具が、前記圧力ジャケットの前記遠位端のバヨネットロック機構と係合する対応するスロットに挿入される1つまたは複数の半径方向に伸張するタブを有する、項16に記載のシリンジ。
[項18]
前記圧力ジャケットの前記近位端が、流体注入器に解除可能に接続する接続インタフェースを有する、項16に記載のシリンジ。
[項19]
少なくとも1つの往復動作可能なピストンを備える流体注入器と、
前記ピストンに動作可能に接続可能なプランジャと、
遠位端、近位端、および前記遠位端と前記近位端との間に延在する貫通孔を有する圧力ジャケットであって、前記流体注入器に動作可能に接続可能な圧力ジャケットと、
前記圧力ジャケットの貫通孔内に配置されたローリングダイヤフラムであって、前記プランジャと係合する端壁を備えた近位端と、前記圧力ジャケットの前記遠位端において受け入れられる遠位端であって、ノズルを有する前記ローリングダイヤフラムの遠位端である遠位端と、長手方向軸に沿って前記ローリングダイヤフラムの前記近位端と前記遠位端との間に延在する側壁であって、前記側壁および前記端壁のうちの少なくとも一方の少なくとも一部が不均一な厚さを有する、側壁とを備える、ローリングダイヤフラムと
を備え、
前記ローリングダイヤフラムの前記側壁の少なくとも一部が、可撓性を有し、かつそれ自体の上で転動し、それにより、前記プランジャが前記ピストンにより前記ローリングダイヤフラムの前記近位端から前記遠位端に前進される際に、折畳み領域における前記側壁の外面が半径方向内側方向に折り畳まれ、および前記プランジャが前記ピストンにより前記ローリングダイヤフラムの前記近位端から前記遠位端に後退される際に、前記折畳み領域が半径方向外側方向に広げられる際に、前記側壁の前記外面が展開する、流体送達システム。
【符号の説明】
【0109】
100 流体送達システム
102 流体注入器
104 シリンジ
108 流体流路セット
110 圧力ジャケット
112 軸方向折目
114 内部容積
116 遠位端
118 近位端
119 側壁
120 内部側壁
121 貫通孔
122 取付機構
124 液体注入器面板
126 ハウジング
128 出口ポート
130 遠位端
132 近位端
134 側壁
136 端壁
138 ピストンヘッド
140 排出首部
142 排出ポート
144 プランジャ
145 中心部分
145’ 第1傾斜面
146 遠位端
147 半径方向伸張可能要素
147’ 第2傾斜面
147’’ 把持面
148 近位端
150 シール
151 基部
152 キャップ
153 側壁
154 コネクタ
155 穿孔要素
156 穿孔針
157 本体
158 係止タブ
160 係止カラー
166 蝶番
168 閉鎖部材
170 部分
172 部分
174 スカート
176 折目
178 ピストン
180 空洞
184 流体スリーブ
186 第2キャップ
188 弁
190 センサ
192 把持タブ
194 フィンガロック
196 可能閉鎖具
200 脆弱シール
202 高圧シール
204 低圧シール
206 溝
208 突起
210 部材
211 突起
212 接続部材
213 拡張可能リブ
214 拡張可能材料
215 ローラ
216 拡張可能バルーン
218 係合部材
220 支持要素
222 環状スリーブ
223 加熱素子
224 開口部
226 折縁
228 カラー
230 プランジャ支持基部
232 接着剤層
234 ピストン係合要素
236 可能タブ
240 流体存在指標
242 環状部材
244 プランジャ係合部分
246 把持要素
248 枢動可能要素
250 共通枢支点
252 弾性要素
254 プランジャ係合部分
256 部分
258 カラー
260 プランジャ基部
262 遠位側壁
264 穿孔要素
266 シール
268 内側要素
270 外側要素
272 傾斜面
274 遠位部分
276 中心部分
278 リブ
280 カバー
282 本体
284 リップ
286 溝
288 環状隆起
290 ピン
300 内側要素
310 弾性要素
320 外側要素
330 タブ
340 スロット
350 半径方向フランジ
360 係止要素
370 リップ
390 キャップ
400 内側要素
410 ノズル
420 コネクタ
430 突起
440 溝
450 ポケット