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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ソール要素
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20220405BHJP
   A43B 13/04 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A43B13/14 B
A43B13/04 A
【請求項の数】 28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020155366
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2021053376
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】10 2019 214 944.8
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ロビー パターソン
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン レナート クリストフ グリュットナー
(72)【発明者】
【氏名】バーンハード レオポルド シャスター
(72)【発明者】
【氏名】カティナ ミラ フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】フォーク ブランズ
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン バートル
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-503896(JP,A)
【文献】特表2018-529461(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0132564(US,A1)
【文献】特開2015-198931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0307025(US,A1)
【文献】特開2005-160727(JP,A)
【文献】特開2005-185748(JP,A)
【文献】特開2019-130304(JP,A)
【文献】特開2007-307377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/00 - 13/42
A43B 5/00 - 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
のためのソール要素であって、
(a.)ミッドソールと、
(b.)異方性曲げ特性を有するソールプレートと
第1の補強要素と
を備え、
(c.)前記ソールプレートが、前記ミッドソールの上に配置され、
前記ミッドソールが、前記ミッドソールの上に前記ソールプレートを受け入れるように適合された凹部を備え、
前記凹部が、前記ミッドソールの上に前記第1の補強要素を受け入れるようにさらに適合される、
ソール要素。
【請求項2】
前記異方性曲げ特性が、前記ソールプレートの背屈を可能にする曲げ剛性である、請求項1に記載のソール要素。
【請求項3】
前記ソールプレートが、前記ソールプレートの背屈を可能にするための第1の曲げ剛性および第2の曲げ剛性を有し、前記第1の曲げ剛性が、前記第2の曲げ剛性よりも低い、請求項1または2に記載のソール要素。
【請求項4】
前記ソールプレートが、第1の背屈角度を下回る前記第1の曲げ剛性と、前記第1の背屈角度を上回る前記第2の曲げ剛性とを有する、請求項3に記載のソール要素。
【請求項5】
前記第1の背屈角度が、20°~40°の範囲内である、請求項4に記載のソール要素。
【請求項6】
前記異方性曲げ特性が、前記ソールプレートの足前部領域におけるものである、請求項1から5のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項7】
前記ソールプレートが、5~15mmの範囲内で、前記ソール要素の足前部領域への踵領域の落込みを可能にする、請求項1から6のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項8】
8~17mmの範囲内の前記ソール要素の中足骨領域における第の高さを備える、請求項1から7のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項9】
前記ソールプレートが、繊維を有する材料を含む、請求項1から8のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項10】
前記材料がガラスを含む、請求項に記載のソール要素。
【請求項11】
前記第1の補強要素が、前記ソールプレートの下方に配置される、請求項1から10のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項12】
前記第1の補強要素が、前記ソールプレートの足中央部領域内に配置される、請求項1から11のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項13】
前記第1の補強要素が、前記ミッドソールにより少なくとも部分的に取り囲まれる、請求項1から12のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項14】
前記第1の補強要素が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、請求項から13のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項15】
前記凹部が、0.8~1.8mmの範囲内の深さを有する、請求項1から14のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項16】
前記ミッドソールが、第2の補強要素を備える、請求項1から15のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項17】
前記第2の補強要素が、エチレン酢酸ビニル(EVA)を含む、請求項16に記載のソール要素。
【請求項18】
前記第2の補強要素が、少なくとも部分的に前記ミッドソールのクッション要素を包む、請求項16または17に記載のソール要素。
【請求項19】
前記ミッドソールが、発泡材料の粒子を含む、請求項1から18のいずれか1つに記載ソール要素。
【請求項20】
前記発泡材料が、発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU)を含む、請求項19に記載のソール要素。
【請求項21】
アウトソール要素をさらに備える、請求項1から20のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項22】
前記アウトソール要素が、少なくとも2つの非連結部分を備える、請求項21に記載のソール要素。
【請求項23】
前記少なくとも2つの非連結部分が、様々な成形突出部の異なる群を含む、請求項22に記載のソール要素。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1つに記載のソール要素を備える、
【請求項25】
アッパー、シュトローベルボード、および中敷きのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項24に記載の靴。
【請求項26】
請求項1から23のいずれか1つに記載の靴のためのソール要素を製作する方法であって、
(a.)ミッドソールを用意するステップと、
(b.)異方性曲げ特性を有するソールプレートを前記ミッドソールの上に設けるステップと
を含む、方法。
【請求項27】
第1の補強要素、第2の補強要素、およびアウトソール要素のうちの少なくとも1つをさらに設ける、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(a.)前記ソール要素に前記アッパーを取り付けるステップと、
(b.)前記ソールプレートの上に前記シュトローベルボードを配置するステップと、
(c.)前記シュトローベルボードの上に前記中敷きを配置するステップと
を含む、請求項25に記載の靴を製作する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソール要素、靴、およびその製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
靴のソールは、アスリートによって知覚される履き心地にとって、また、最大限のパフォーマンスを可能とすることにとっても、極めて重要である。履き心地およびパフォーマンスの両方にとって重要な側面は、ソールの剛性である。例えば、歩行または軽いランニング速度では、柔軟なソールが、アスリートによってより快適であると知覚されるであろう。しかし、速いランニング速度では、損傷を防ぐために、また、アスリートのパフォーマンスを向上させるために、より剛性のあるソールが有利であり得る。したがって、開発者は、着用者の足を保護するのみならず最大限のパフォーマンスを可能にする快適なソールを提供するために、矛盾に直面することが多い。
【0003】
米国特許出願公開第2018/0338568号明細書は、足中央部領域(midfoot region)ならびに足前部領域(forefoot region)および踵領域のうちの少なくとも一方を含むソールプレートを備える、フットウェア品のためのソール構造を開示している。ソールプレートは、その横断面において、起伏のある輪郭を有する。起伏のある輪郭は、頂と谷とをそれぞれが有する、複数の波を含む。ソールプレートは、各波の頂および谷と一致しかつ足中央部領域ならびに足前部領域および踵領域のうちの少なくとも一方の全体にわたって長手方向に延在する、隆起部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0338568号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の前述の欠点を克服すること、および、靴のための改善されたソールを提供することが、本発明の根本的な目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項の教示によって達成される。有利な実施形態が、従属請求項に含まれる。
【0007】
1つの実施形態では、靴、特に運動靴のためのソール要素が、(a.)ミッドソールと、(b.)異方性曲げ特性を有するソールプレートとを備え、(c.)ソールプレートは、ミッドソールの上に配置される。ソールプレートの異方性曲げ特性は、ソール要素を含む靴の着用者の最大限のパフォーマンスが達成され得るように、一方向におけるソール要素の異方性曲げを可能にする。さらに、本発明者らは、ミッドソールの上にソールプレートを配置することは、この一方向における特定の曲げ特性と相まって靴の着用者のための最適な履き心地を提供する改善された方法に関連することを認識した。例えば、本発明のソール要素は、必要なときにのみソールプレートが堅くなり、例えば蹴り出し時にソールプレートに由来する不快感は存在しないが、着地時、および長距離走者などの着用者の歩行周期の移行期間には、ソールプレートは柔軟であるので、より快適なランニング体験を提供する。したがって、ランニングの快適さを失うことなしに、長距離走者のランニングエコノミーへのプラスの影響を得ることができる。
【0008】
異方性曲げ特性は、ソールプレートの背屈を可能にする曲げ剛性であり得る。ソール要素の曲げの方向は、ソールの履き心地および性能にとって、したがって靴の履き心地および性能にとって、重要な役割を果たす。本発明者らは、非常に応答的なランニングにとって、特に歩行周期中の長距離走者の上述の蹴り出しにとって、背屈が重要な因子であることを見出した。さらに、足前部の横滑りが回避され得るので、背屈は、足前部の損傷を減少させるのに役立つ。
【0009】
本出願において使用される「屈曲(flexion)」および「曲げ、曲り(bending)」という用語は交換可能であり得ることに留意されたい。さらに、「背屈(dorsal flexion)」という用語は、ソール要素の一領域における上向きの曲りに関連する。対照的に、「足底屈(plantar flexion)」という用語は、ソール要素の一領域における下向きの曲りに関連する。下向きとは、ソール要素を含む靴がその通常の配置で履かれたときの、地面に向かう方向である。上向きは反対方向であり、例えば靴が通常の配置で履かれたときの、空に向かう方向である。さらに、これらの異なる2種類の屈曲(または曲り)の中立位置を定めるためのゼロ線はソール要素の長尺延長部を通る水平線であることが、理解されるべきである。
【0010】
いくつかの実施形態では、ソールプレートは、ソールプレートの背屈を可能にするための第1および第2の曲げ剛性を有することができ、この場合、第1の曲げ剛性は、第2の曲げ剛性よりも低い。さらに、ソールプレートは、第1の背屈角度を下回る第1の曲げ剛性、および第1の背屈角度を上回る第2の曲げ剛性を有し得る。
【0011】
説明されたこれらの実施形態の全てが、ソール要素のための述べられた曲げ剛性をさらに最適化するという同じ考え方に従う。例えば、ソールプレートが第1の曲げ剛性および第2の曲げ剛性を有し、そのどちらの曲げ剛性もソール要素のつま先領域における上向きの曲りのためのものであり、第1の曲げ剛性が第2の曲げ剛性よりも低い場合、ソール要素は、ランニング中に最適に従事することができるが、つま先の過度の上向き曲りに起因する足の損傷を防ぐことができる。
【0012】
1つの実施形態では、第1の背屈角度は、20°~40°、好ましくは25°~35°、最も好ましくは28°~32°の範囲内である。示された値は、蹴り出し時の、特にソール要素を特定の角度に曲げようとするときのパフォーマンスに必要とされる剛性と、靴の着地時に十分な履き心地を提供するための十分な柔軟性との間の合理的な妥協をもたらすことが分かっている。ここで、蹴り出しとは、長距離走者が走っているときの一歩ごとにその足を地面から突き放すことを必要とする動作に関連するものであり、一方で、着地とは、長距離走者が各ストライドの終わりにその足を地面に着ける動作に関連するものである。
【0013】
1つの実施形態では、ソールプレートは、ソール要素の長尺延長部を通る上述の水平線と比べて好ましくは20°~40°の間の角度で、ソールプレートの足前部領域において予め曲げられる。言い換えれば、曲げまたは屈曲に対して生じる力が少しもない静止状態では、ソールプレートの足前部領域は、20°~40°の間であり得る角度で、上向きに曲がり得る。
【0014】
異方性曲げ特性は、ソールプレートの足前部領域におけるものであってもよく、好ましくはソールプレートの中足骨領域(metatarsal region)におけるものであってもよく、最も好ましくはソールプレートの中足関節領域(metatarsal joint region)におけるものであってもよい。したがって、このソールプレートにおける屈曲角の位置は長距離走者のための最適な必要性に合わせて解剖学的に位置決めされるので、背屈を可能にするソール要素の曲げ剛性が向上され得る。靴の着地中のねじれ運動が可能とされてよく、中足関節の周りでのエネルギー損失が回避され得る。
【0015】
ソールプレートは、5~15mm、好ましくは約8~12mm、最も好ましくは9~11mmの範囲内で、ソール要素の足前部領域への踵領域の落込みを可能にし得る。本出願において、「落込み(drop)」という用語は、ソール要素の踵領域におけるソール要素の高さと足前部領域におけるソール要素の高さとの間の差と定義される。言い換えれば、落込みは、靴の踵領域と靴の足前部領域との間での高さのオフセットである。ソール要素のそのような落込みは、ソール要素の多少堅い踵領域における十分なクッション性(cushioning)の他に、足前部領域における向上された曲げ剛性を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ソール要素は、8~17mm、好ましくは10~15mm、最も好ましくは11~14mmの範囲内の、ソール要素の中足骨領域における第1の高さ、および/または、16~26mm、好ましくは18~24mm、最も好ましくは19~23mmの範囲内の、ソール要素の踵領域における第2の高さを備え得る。ここで、本発明者らは、地面上方の長距離走者の足の下のソール要素の高さに対するこれらの示された値は効率性へのプラスの影響を有することを認識した。
【0017】
ソールプレートは、繊維を有する材料を含んでもよい。さらに、材料は、ガラスを含んでもよい。繊維または繊維複合材料は、軽量でありながらも非常に頑丈である。特に、ガラスまたはガラス繊維は、かなり安価でありかつ耐湿性があるだけでなく、高い強度重量比を有する。さらに、繊維は一般に、様々な方法で加工され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、ソール要素は、第1の補強要素をさらに備える。さらに、第1の補強要素は、ソールプレートの下方に配置され得る。さらに、第1の補強要素は、ソールプレートの足中央部領域に配置され得る。補強要素は、選択された領域においてソール要素の安定性を高める働きをする。さらに、補強要素のためのそのような実施形態は、足中央部領域におけるねじれ要素および/または安定化要素として機能し、かつ、追加の足中央部曲げ支持、および向上された足中央部曲げ剛性を提供し得る。具体的には、靴の足中央部は足前部よりも堅いはずであるので、ソールプレート自体による足前部領域のための上述の曲げ剛性と一緒にこれらの2つの領域のための最適化された曲げの比率が、足のいかなる損傷をも回避するために維持され得る。
【0019】
第1の補強要素は、ミッドソールにより少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。第1の補強要素のそのような配置は、ランニング中に生じる力がミッドソールの材料に均等に分散され得るので、追加の支持を提供することができる。
【0020】
第1の補強要素は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み得る。この材料は、高い耐摩耗性を有する。特に、そのような補強要素は、それらの部分のために発泡熱可塑性ポリウレタンを含み得る不規則に配置された粒子を備えることができるミッドソールとの併用で、極めて頑丈で耐久性がある発泡粒子との化学結合を形成し、かつ、接着剤の追加的な使用を必要としないので、有利に使用され得る。それにより、そのようなソール要素の製造は、より容易になり、より費用効果の良いものになり、かつ、より環境に優しいものになる。
【0021】
いくつかの実施形態では、ミッドソールは、ミッドソールの上にソールプレートを受け入れるように適合された凹部を備え得る。さらに、凹部は、ミッドソールの上に第1の補強要素を受け入れるようにさらに適合され得る。言い換えれば、ソールプレートは、ソールプレートの下方の補強要素と一緒に、2つの構成要素がミッドソールの上にしっかりと固着され得るように、一種の空洞としての凹部内に設置され得る。これは、長距離走者により高い安定性を提供する。
【0022】
凹部は、0.8~1.8mm、好ましくは1.0~1.6mm、最も好ましくは1.1~1.5mmの範囲内の深さを有し得る。この実施形態は、ソールプレートがミッドソール内に面一に収まることを可能にする。したがって、長距離走者は、堅いソールプレートを感じることがなくなり、また、ランニング時に不快にならなくなる。
【0023】
いくつかの実施形態では、ミッドソールは、第2の補強要素をさらに備え得る。一般に、第2の補強要素もまた、ミッドソール要素のためのねじれ要素および/または安定化要素として機能することができ、それと同時に、ミッドソールのクッション要素と一緒にさらなるクッション要素として機能することができる。さらに、第2の補強要素は、エチレン酢酸ビニル(EVA)を含み得る。この材料は、高い安定性、低重量、および比較的良好なクッション性を顕著にする。
【0024】
第2の補強要素は、少なくとも部分的にミッドソールのクッション要素を包み得る。これは、リムの形態でソール要素にさらなる安定性を提供することができる。さらに、そのようなリムは、どちらもミッドソール内に設置されるソールプレートおよび第1の補強要素と一緒に、より良好なエネルギー返還、十分なクッション性、より軽い重量、および向上された安定性を提供する。
【0025】
ミッドソールは、発泡材料の粒子を含み得る。粒子は、不規則に配置されてもよいし、配置されなくてもよい。粒子は特に容易に取り扱うことができるので、発泡材料の粒子の使用は、そのようなミッドソールの製造を相当に促進する。そのため、例えば、粒子は、ソール要素およびミッドソールをそれぞれ製作するために使用される型の中に、圧力下でまたは搬送流体を使用することによって充填され得る。
【0026】
発泡材料は、発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU)を含み得る。この材料は、その特に良好な弾性およびクッション性、ならびに高いエネルギー返還を顕著にし、すなわち、インパクトの際に吸収されるエネルギーの大部分が返還される。これは、長距離走者のためのソールの実施形態において特に有利である。
【0027】
ソール要素は、アウトソール要素(outsole element)をさらに備え得る。さらに、アウトソール要素は、少なくとも2つの非連結部分を含み得る。さらに、少なくとも2つ非連結部分は、様々な成形突出部の異なる群を含み得る。これは、ソール要素全体に対するより多くの支持を可能にし、かつ、長距離走者の個々の要求に対して高い設計自由度を提供する。
【0028】
本発明の別の態様は、本明細書において説明されるソール要素を備える靴、特に運動靴を対象とする。したがって、この靴は、最適な支持および履き心地を提供する、軽量で耐久性のあるソール要素を備える。
【0029】
さらに、靴は、アッパー、シュトローベルボード(strobel board)、および中敷きのうちの少なくとも1つをさらに備えることができ、中敷きは、好ましくはエチレン酢酸ビニル(EVA)を含む。
【0030】
本発明は、本明細書において説明された靴のためのソール要素を製作する方法にさらに関する。方法は、(a.)ミッドソールを用意するステップと、(b.)異方性曲げ特性を有するソールプレートをミッドソールの上に設けるステップとを含み得る。さらに、ソール要素は、本明細書において説明された第1の補強要素、第2の補強要素、およびアウトソール要素のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0031】
本発明はまた、(a.)ソール要素にアッパーを取り付けるステップと、(b.)ソールプレートの上にシュトローベルボードを配置するステップと、(c.)シュトローベルボードの上に中敷きを配置するステップとを含む、本明細書において説明された靴を作成する方法に関する。
【0032】
説明された全ての実施形態は、ソール要素または靴における最適な曲げ剛性を提供する改善された方法に関する。さらなる詳細ならびに技術的効果および利点が、ソール要素または靴に関して上記で詳しく説明されている。
【0033】
本発明は、以下の実施形態を含む。
【0034】
実施形態1
靴、特に運動靴のためのソール要素(100)であって、
(a.)ミッドソール(105)と、
(b.)異方性曲げ特性を有するソールプレート(120)と
を備え、
(c.)前記ソールプレート(120)が、前記ミッドソール(105)の上に配置される、
ソール要素(100)。
【0035】
実施形態2
前記異方性曲げ特性が、前記ソールプレート(120)の背屈を可能にする曲げ剛性である、実施形態1に記載のソール要素(100)。
【0036】
実施形態3
前記ソールプレート(120)が、前記ソールプレート(120)の背屈を可能にするための第1および第2の曲げ剛性を有し、前記第1の曲げ剛性が、前記第2の曲げ剛性よりも低い、実施形態1または2に記載のソール要素(100)。
【0037】
実施形態4
前記ソールプレート(120)が、第1の背屈角度を下回る前記第1の曲げ剛性と、前記第1の背屈角度を上回る前記第2の曲げ剛性とを有する、実施形態3に記載のソール要素(100)。
【0038】
実施形態5
前記第1の背屈角度が、20°~40°、好ましくは25°~35°、最も好ましくは28°~32°の範囲内である、実施形態4に記載のソール要素(100)。
【0039】
実施形態6
前記異方性曲げ特性が、前記ソールプレート(120)の足前部領域(123)、好ましくは前記ソールプレート(120)の中足骨領域(123a)、最も好ましくは前記ソールプレート(120)の中足関節領域(123b)におけるものである、実施形態1から5のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0040】
実施形態7
前記ソールプレート(120)が、5~15mm、好ましくは約8~12mm、最も好ましくは9~11mmの範囲内で、前記ソール要素(100)の足前部領域(123)への踵領域(121)の落込みを可能にする、実施形態1から6のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0041】
実施形態8
8~17mm、好ましくは10~15mm、最も好ましくは11~14mmの範囲内の前記ソール要素(100)の中足骨領域(123a)における第1の高さ、および/または、16~26mm、好ましくは18~24mm、最も好ましくは19~23mmの範囲内の前記ソール要素(100)の踵領域(121)における第2の高さを備える、実施形態1から7のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0042】
実施形態9
前記ソールプレート(120)が、繊維を有する材料を含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0043】
実施形態10
前記材料がガラスを含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0044】
実施形態11
第1の補強要素(130)をさらに備える、実施形態1から10のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0045】
実施形態12
前記第1の補強要素(130)が、前記ソールプレート(120)の下方に配置される、実施形態1から11のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0046】
実施形態13
前記第1の補強要素(130)が、前記ソールプレート(120)の足中央部領域(122)内に配置される、実施形態11または12に記載のソール要素(100)。
【0047】
実施形態14
前記第1の補強要素(130)が、前記ミッドソール(105)により少なくとも部分的に取り囲まれる、実施形態11から13のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0048】
実施形態15
前記第1の補強要素(130)が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、実施形態11から14のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0049】
実施形態16
前記ミッドソール(105)が、前記ミッドソール(105)の上に前記ソールプレート(120)を受け入れるように適合された凹部(115)を備える、実施形態1から15のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0050】
実施形態17
前記凹部(115)が、前記ミッドソール(105)の上に前記第1の補強要素(130)を受け入れるようにさらに適合される、実施形態1から16のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0051】
実施形態18
前記凹部(115)が、0.8~1.8mm、好ましくは1.0~1.6mm、最も好ましくは1.1~1.5mmの範囲内の深さを有する、実施形態16または17に記載のソール要素(100)。
【0052】
実施形態19
前記ミッドソール(105)が、第2の補強要素(140)を備える、実施形態1から18のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0053】
実施形態20
前記第2の補強要素(140)が、エチレン酢酸ビニル(EVA)を含む、実施形態1から19のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0054】
実施形態21
前記第2の補強要素(140)が、少なくとも部分的に前記ミッドソール(105)のクッション要素(110)を包む、実施形態19または20に記載のソール要素。
【0055】
実施形態22
前記ミッドソール(105)が、発泡材料の粒子を含む、実施形態1から21のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0056】
実施形態23
前記発泡材料が、発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU)を含む、実施形態1から22のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0057】
実施形態24
アウトソール要素(150)をさらに備える、実施形態1から23のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0058】
実施形態25
前記アウトソール要素(150)が、少なくとも2つの非連結部分(150a、150b)を備える、実施形態1から24のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0059】
実施形態26
前記少なくとも2つの非連結部分(150a、150b)が、様々な成形突出部の異なる群を含む、実施形態1から25のいずれか1つに記載のソール要素(100)。
【0060】
実施形態27
実施形態1から26のいずれか1つに記載のソール要素(100)を備える、靴、特に運動靴。
【0061】
実施形態28
アッパー、シュトローベルボード、および中敷きのうちの少なくとも1つをさらに備え、前記中敷きが、好ましくはエチレン酢酸ビニル(EVA)を含む、実施形態27に記載の靴。
【0062】
実施形態29
実施形態1から26のいずれか1つに記載の靴のためのソール要素(100)を製作する方法であって、
(a.)ミッドソール(105)を用意するステップと、
(b.)異方性曲げ特性を有するソールプレート(120)を前記ミッドソール(105)の上に設けるステップと
を含む、方法。
【0063】
実施形態30
第1の補強要素(130)、第2の補強要素(140)、およびアウトソール要素(150)のうちの少なくとも1つをさらに設ける、実施形態29に記載の方法。
【0064】
実施形態31
(a.)前記ソール要素(100)に前記アッパーを取り付けるステップと、
(b.)前記ソールプレート(120)の上に前記シュトローベルボードを配置するステップと、
(c.)前記シュトローベルボードの上に前記中敷きを配置するステップと
を含む、実施形態28に記載の靴を製作する方法。
【0065】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本発明によるソール要素のための例示的なソールプレートの異方性曲げ特性を示す図である。
図2a】本発明による例示的なソール要素の分解組立図である。
図2b】本発明によるソール要素の第1の補強要素を有する例示的なソールプレートの2つの側面図である。
図2c】本発明によるソール要素のためのクッション要素および第2の補強要素を有する例示的なミッドソールの側面図である。
図2d】本発明によるソール要素のための例示的なアウトソール要素の側面図である。
図2e】本発明による例示的なソール要素の長手方向断面を示す図である。
図2f】本発明による例示的なソール要素の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、靴、特に長距離走者用の運動靴のためのソール要素を特に参照しながら、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明の概念は、例えばカジュアルシューズ、編み上げ靴、紐なしの靴などの他のシューズ、または作業靴などのブーツ、または任意のスポーツ用品に、等しくまたは同様に適用され得る。
【0068】
これらの例示的な実施形態は様々な方法で修正されかつ矛盾のないときにはいつでも互いに組み合わせられ得ること、および、いくつかの特徴はそれらが重要でないと思われる場合には省略されてもよいことが、理解されるべきである。
【0069】
図1は、本発明によるソール要素のためのソールプレート120の異方性曲げ特性の原理を概略的に示す。図に示すように、ソール要素120は、踵領域121、足中央部領域122、足前部領域123、およびつま先領域124を備える。さらに、ソール要素の足前部領域123は、中足関節領域123bを含む中足骨領域123aを部分的に備える。ソールプレート120のためのこれらの領域は、残りの図2a~fに示されかつ以下で説明されるように、ソールプレート120を備えるソール要素100、およびソール要素100の他の要素にも適用されることが、留意されるべきである。
【0070】
ソールプレート120の異方性曲げ特性は、背屈を可能にする曲げ剛性であり得る。上述のように、「屈曲」および「曲げ、曲り」という用語は、交換可能であり得る。さらに、「背屈」という用語は、ソール要素120の一領域における上向きの曲りに関連する。対照的に、「足底屈」という用語は、ソール要素120の一領域における下向きの曲りに関連する。下向きとは、ソールプレート120を含むソール要素を有する靴がその通常の配置で履かれたときの、地面に向かう方向である。上向きとは、例えばそのような靴が通常の配置で履かれたときに空に向かう、反対方向である。さらに、「剛性(stiffness)」という用語は、応力-ひずみ曲線の勾配によって与えられ、応力-ひずみ曲線は、簡単に言うと、結果として生じる変形にわたって印加された力を描画するものである。
【0071】
図1で分かるように、ソールプレート120の長尺延長部を通る破線の水平線は、異なる2種類の屈曲(または曲り)の中立位置を定めるためのゼロ線である。したがって、図1のソールプレート120は、ゼロ線に対するソールプレート120の背屈または上向きの曲りを可能にする。
【0072】
ソールプレート120は、ソールプレート120の背屈を可能にするための第1および第2の曲げ剛性を有し、ここで、第1の曲げ剛性は、第2の曲げ剛性よりも低い。上述のとおり、異なる曲げ剛性が、長距離走者の個々の要求を満たすことができる。
【0073】
さらに、ソールプレート120は、図1において二重の矢印で示されるように特定の角度範囲を画定する第1の背屈角度(α)を下回る第1の曲げ剛性を有する。第1の背屈角度(α)は、20°~40°、好ましくは25°~35°、最も好ましくは28°~32°の範囲内であり得る。さらに、またはその代わりに、例えば重量または回外運動もしくは回内運動等のような他の解剖学的条件といった着用者の特定の要求、あるいは、例えば上り坂でのランニングまたは平地でのランニング等の特定のランニング条件に応じて、他の範囲も可能であり得る。第2の曲げ剛性は、図1において単独矢印で示されるように、第1の背屈角度(α)を上回る。
【0074】
第1の曲げ剛性は、第2の曲げ剛性よりも低い。第1の背屈角度(α)を下回るそのような第1の曲げ剛性は、ソールプレート120を有する靴の着地時に十分な履き心地のための十分な柔軟性を提供し、一方で、第1の背屈角度(α)を上回る第2の曲げ剛性は、蹴り出し時の、特にソールプレート120をしたがってソール要素全体および靴を曲げようとするときの、パフォーマンスに必要とされる剛性を提供する。
【0075】
図1で分かるように、異方性曲げ特性は、ソールプレート120の足前部領域123にある。曲げ特性の位置は、ソールプレート120が曲がり始めるゼロ線上の曲り位置または屈曲位置によって特徴付けられ得る。さらに、この曲り位置または屈曲位置の周りの特定の領域が、好ましくはソールプレート120の中足関節領域123bに沿って、ソールプレート120の中足骨領域123a内に位置し得る。
【0076】
図2aは、本発明による例示的なソール要素100の分解組立図を示す。図2bは、ソール要素100の第1の補強要素130を有する図1に示された例示的なソールプレート120の2つの側面図を示す。図2cは、ソール要素100のクッション要素110および第2の補強要素140を有する例示的なミッドソール105の側面図を示す。図2dは、ソール要素100の例示的なアウトソール要素150の側面図を示す。図2eは、本発明による例示的なソール要素100の長手方向断面を示す。図2fは、本発明による例示的なソール要素100の上面図を示す。
【0077】
図2aで分かるように、本発明による靴のためのソール要素100は、ミッドソール105と、異方性曲げ特性を有するソールプレート120とを備え、ソールプレート120は、ミッドソール105の上に配置される。そのようなミッドソール105の上にソールプレート120を配置することは、一方向における特定の曲げ特性と相まって、最適な曲げ特性、例えばソール要素100における曲げ剛性をこのソール要素100を有する靴の長距離走者のための最適な履き心地と一緒に提供する、改善された方法に関連する。ソールプレート120は、図1の実施形態の上述の特徴のうちの1つまたは複数を備え得る。
【0078】
ミッドソール105は、多数の粒子から製造されるクッション要素110を備える。粒子は、発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU)などの発泡材料から作られる。任意の他の適切な材料、例えばミッドソールの製造に適した任意の他の粒子フォーム、例えば、発泡ポリアミド(ePA)、発泡ポリエーテルブロックアミド(ePEBA)、発泡ポリラクチド(ePLA)、発泡テレフタル酸ポリエチレン(ePET)、発泡テレフタル酸ポリブチレン(ePBT)、発泡熱可塑性ポリエステルエーテルエラストマ(eTPEE)が使用され得ることも、考えられる。
【0079】
さらに、発泡粒子は、クッション要素110の内部に不規則に配置される。あるいは、発泡粒子は、クッション要素110の内部に特定のパターンで配置されてもよい。クッション要素110のさらなる特徴は、図2cに関して説明される。
【0080】
ソールプレート120は、繊維を有する材料を含む。炭素繊維または炭素繊維複合材料は、軽量でありながらも非常に頑丈であるので、使用可能な材料であり得る。ガラスまたはガラス繊維もまた、かなり安価でありかつ耐湿性があるだけでなく、高い強度重量比を有するので、考えられる材料である。さらに、ガラス繊維は、様々な方法で加工され得る。さらに、またはその代わりに、特定の角度における柔軟性を提供するように設計することができる、軽量さとともに十分な剛性を提供し得る任意の材料または材料の混合物が、使用され得る。
【0081】
組み立てられたソール要素100は、8~17mm、好ましくは10~15mm、最も好ましくは11~14mmの範囲内の、組み立てられたソール要素100の中足骨領域124における第1の高さ、および/または、16~26mm、好ましくは18~24mm、最も好ましくは19~23mmの範囲内の、組み立てられたソール要素100の踵領域121における第2の高さを備え得る。
【0082】
図2bは、図1および図2aに示されたソール要素100の第1の補強要素130と一緒に、例示的なソールプレート120の2つの側面図を示す。第1の補強要素130は、長距離走者に対して履き心地が損なわれないように、ソールプレート120の下方に配置される。したがって、第1の補強要素130はまた、ソールプレート120の曲率に適応され得る。
【0083】
第1の補強要素130は、ソールプレート120の足中央部領域122内に配置される。第1の補強要素は、足中央部領域122におけるねじれ要素および/または安定化要素として機能し、かつ、追加の足中央部曲げ支持および向上された足中央部曲げ剛性を長距離走者に提供し得る。具体的には、ソール要素120の足中央部領域122は他の領域、例えば足前部領域123よりも堅いはずであるので、ソールプレート120の第1の背屈角度を下回る第1の曲げ剛性と一緒に足中央部領域122のための最適化された曲げの比率が、足のいかなる損傷をも回避するために維持され得る。さらに、またはその代わりに、複数の第1の補強要素もまた、この効果を向上させるために考えられる。この複数の第1の補強要素のうちのいくつかは、より高い剛性を提供するために、ソールプレート120の他の領域内に配置されてもよい。
【0084】
第1の補強要素130は、耐摩耗性および引裂き抵抗が非常に高い熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。例えば炭素、ポリアミド、ゴム、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の他の適切な材料が使用され得ること、または、ソールプレート120に対して上述されたような繊維を含む材料が使用され得ることもまた、考えられる。
【0085】
第1の補強要素130は、3つの細長い突出部135をさらに備える。それらの突出部135は、ソール要素120の足中央部領域122におけるより高い剛性、および、ねじれ運動に対する向上された安定性を提供し得る。長距離走者の要求に応じて、より多いまたはより少ない突出部も考えられる。点、矩形、三角形、等のような幾何学的輪郭を有する非長尺形状もまた、使用され得る。突出部135はまた、ミッドソール105への第1の補強要素のより良好な取付け、把持、または嵌合を確実にする。
【0086】
図2cは、図2aに示されるようなソール要素100のクッション要素110および第2の補強要素140を含むミッドソール105の側面図を示す。
【0087】
第2の補強要素140は、高い安定性および比較的良好なクッション性を顕著にするエチレン酢酸ビニル(EVA)を含む。他の適切な材料、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ゴム、ポリプロピレン(PP)、またはポリスチレン(PS)等が使用され得ること、または、ソールプレート120および第1の補強要素130に対して上述されたような繊維を含む材料が使用され得ることも、考えられる。
【0088】
図2cで分かるように、第2の補強要素140は、少なくとも部分的にミッドソール105のクッション要素110を包む。言い換えれば、クッション要素110のさらなる安定性のために、したがってミッドソール105の、また、ソール要素100のさらなる安定性のために、リムが設けられ得る。さらに、そのようなリムは、ソールプレート120および第1の補強要素130と一緒に、より良好なエネルギー返還、十分なクッション性、より軽い重量、および向上された安定性を提供する。
【0089】
図2aに示されるように、第2の補強要素140は、基本的にU形状であり、かつ、つま先領域125周辺の内側に沿ってミッドソール105の外側までクッション要素110を包む。さらに、またはその代わりに、第2の補強要素140は、向上された安定性を提供するために、基本的にクッション要素110の周囲全体を包むことができる。
【0090】
ミッドソール105は、ミッドソール105の上に第1の補強要素130およびソールプレート120を受け入れるように適合された凹部115を備える。そのような構成は、ソールプレート120の異方性曲げ特性と相まって、靴の着用者のための最適な履き心地と一緒に最適な曲げ特性を提供する。
【0091】
さらに、図2bに示されるような第1の補強要素130がミッドソール105の上に受け入れられた場合、第1の補強要素130は、少なくとも部分的にミッドソール105によって取り囲まれる。この第1の補強要素130の埋設により、ランニング中に生じる力をミッドソール105の材料に均等に分散させることができ、また、第1の補強要素130の望ましくないずれを回避することができるので、ミッドソール105の追加の支持が可能になる。
【0092】
凹部115は、0.8~1.8mm、好ましくは1.0~1.6mm、最も好ましくは1.1~1.5mmの範囲内の深さを有し得る。したがって、ソールプレート120および第1の補強要素130は、ミッドソール105内に面一に収まる。さらに、凹部115は、図2bに示されるような第1の補強要素130の3つの細長い突出部135を受け入れるように適合された、3つの細長い溝116を備える。
【0093】
図2dは、図2aに示されるようなソール要素100のアウトソール要素150の側面図を示す。
【0094】
アウトソール要素150は、例えば、射出成形、圧縮成形、熱成形、または当業者に知られている2D設計を3D成形品に変換する任意の他の方法により、予め製造され得る。
【0095】
図2dで分かるように、アウトソール要素150は、第1の非連結部分150a、および第2の非連結部分150bを備え、第1の非連結部分150aは、第2の非連結部分150bの第2の複数の成形突出部とは異なる第1の複数の成形突出部を備える。
【0096】
第1の非連結部分150aの第1の複数の成形突出部は、踵接地時に長距離走者に向上された滑り抵抗を提供するために、三角形の輪郭を有する。さらに、またはその代わりに、円形、角のある形状、または他の幾何学的形状などの他の輪郭も考えられる。
【0097】
第2の非連結部分150bの第2の複数の成形突出部は、細長い直線状の形状を備える。第2の複数の成形突出部のうちの第1の小集団が、横方向に、すなわちアウトソール要素150の内側からアウトソール要素150の外側に、または外側から内側に延在する。第2の複数の成形突出部のうちの第2の小集団が、長手方向に、すなわちアウトソール要素150の踵領域からアウトソール要素150のつま先領域へ、またはつま先領域から踵領域へ延在する。したがって、第2の非連結部分150bの2つの小集団は、規則的なパターンを形成する。さらに、またはその代わりに、2つの小集団または3つ以上の小集団の他の幾何形状も考えられる。
【0098】
図2eは、本発明による例示的なソール要素100の長手方向断面を示す。
【0099】
ソールプレート120は、5~15mm、好ましくは約8~12mm、最も好ましくは9~11mmの範囲内で、組み立てられたソール要素100の足前部領域123への踵領域121の落込みを可能にし得る。本出願において、「落込み」という用語は、ソール要素100の踵領域121におけるソール要素100の高さとソール要素100の足前部領域123におけるソール要素100の高さとの間の差と定義される。言い換えれば、落込みとは、ソール要素100の踵領域121とソール要素100の足前部領域123との間での高さのオフセットである。
【0100】
図2fは、本発明による例示的なソール要素100の上面図を示す。この実施形態では、屈曲または曲りの位置は、中足関節領域123b沿いにあり、ここで、この位置は、内側ではソールプレート120の長さの70から75%であり外側ではソールプレート120の60から65%であると定義され得る。
【符号の説明】
【0101】
100 ソール要素
105 ミッドソール
110 クッション要素
115 凹部
116 溝
120 ソールプレート
121 踵領域
122 足中央部領域
123 足前部領域
123a 中足骨領域
123b 中足関節領域
124 つま先領域
130 第1の補強要素
135 突出部
140 第2の補強要素
150 アウトソール要素
150a 第1の非連結部分
150b 第2の非連結部分
α 第1の背屈角度
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f