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特許7053746電子モジュールの凹部における電磁干渉シールド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】電子モジュールの凹部における電磁干渉シールド
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/00 20060101AFI20220405BHJP
   H05K 3/14 20060101ALI20220405BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H05K3/14
H05K9/00 M
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020158265
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2021072438
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】19206508.4
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515131116
【氏名又は名称】ヘレウス ドイチェラント ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ベール スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ウラント ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】スタドニク アラン ポール
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0103365(US,A1)
【文献】特開2006-013375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54
H01L23/00-23/04
H01L23/06-23/10
H01L23/16-23/26
H05K 3/14
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に取り付けられた少なくとも2つの電子部品を有する電子モジュールであり、
前記電子部品は、誘電体材料で覆われており、
前記誘電体材料は、隣接する電子部品間に凹部を含む、電子モジュールであって、
少なくとも1つの電子部品に面する前記凹部の表面は、導電層で被覆されて、前記基板の平面に実質的に垂直である一方、被覆された前記凹部の表面の反対側の表面は、導電層を実質的に有さず、前記基板の平面に実質的に垂直であることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項2】
前記基板の平面に垂直な少なくとも1つの断面における前記凹部は、7以下のアスペクト比を有する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記凹部はトレンチである、請求項1または2に記載の電子モジュール。
【請求項4】
前記凹部の底部は、導電層で被覆されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項5】
前記導電層は、金属を含むかまたは金属からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項6】
前記凹部の半値全幅は、20~400μmの範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項7】
前記凹部の表面の前記導電層は、前記電子モジュールの少なくとも1つの電子部品のための電磁干渉シールドの一部である、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項8】
前記電磁干渉シールドは、20ミリオーム/□以下のシート抵抗を有する、請求項7に記載の電子モジュール。
【請求項9】
前記導電層は、1GHzを超える周波数の放射に対して少なくとも20dBの減衰係数を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項10】
前記凹部の表面上の前記導電層の厚さは、5nm以上5μm以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項11】
基板に取り付けられた少なくとも2つの電子部品を有する電子モジュールを製造する方法であって、
前記電子部品は、誘電体材料で覆われており、
前記電子モジュールは、隣接する電子部品間の誘電体材料に凹部を含み、
少なくとも1つの電子部品に面する前記凹部の表面は、導電層で被覆されて、前記基板の平面に実質的に垂直である一方、被覆された前記凹部の表面の反対側の表面は、導電層を実質的に有さず、前記基板の平面に実質的に垂直であり、
前記導電層は、インク組成物のインクジェット印刷によって作成される、方法。
【請求項12】
インクジェット印刷は、少なくとも1つのノズルを利用し、少なくとも1つのノズルは、ノズルによって噴出されたインクジェットが被覆される凹部の表面に対して5°~15°の角度シータ(θ)で当たるように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの断面の凹部は、7以下のアスペクト比を有する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記インク組成物は、少なくとも以下の構成成分、
a)少なくとも1つの金属前駆体を含む化合物、またはそれらの2つ以上の組み合わせ、
b)室温および周囲圧力で液体である、好ましくは揮発性有機化合物である、少なくとも1つの有機化合物、
を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの金属前駆体は、銀、金および銅からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
有機化合物は有機溶媒を含む、請求項14または5に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~10のいずれか1項に記載の電子モジュールのコンピュータデバイスのための使用。
【請求項18】
前記コンピュータデバイスは、電話、タブレットコンピュータ、ノートブック、ウェアラブル好ましくは時計、埋め込み型コンピュータ、またはデスクトップコンピュータからなる群から選択される、請求項17に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電層を有する電子モジュール、そのようなモジュールの製造方法、およびそのモジュールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の分野では、個々のモジュールはますます小さくなり、モジュール内の電子部品間の距離は絶えず減少している。そのような電子モジュールは、概して、基板、基板上に取り付けられた電子部品または部品グループ、および電子部品を覆うかまたは埋め込む誘電体材料を含む。
【0003】
基板はキャリアとして機能し、同時に、概して、電子部品間の接続およびワイヤの役を務める。電子部品は、通常、電子回路において異なる機能を有し、しばしば半導体チップなどを含む。誘電体材料は、主に、敏感な電子部品を例えば湿度または酸素のような環境の影響から保護するために使用される。。
【0004】
このような電子モジュールは、システムインパッケージ(SIP)または半導体パッケージと呼ばれることもある。モジュールの継続的な小型化により、特に無線周波数の範囲で、電磁放射源からの電磁干渉(EMI)に敏感な電子部品をシールドすることがますます困難になっている。無線周波数干渉を受けやすい部品の例には、無線周波数トランシーバー回路が含まれる。クロック信号は、無線周波数干渉の発生源のもう1つの例である。
【0005】
EMIシールドは、単一の電子部品または電子部品グループの電磁干渉への曝露を減らすことができる。シールドは、モジュールの誘電体材料の表面に共形導電層を適用することによって行われることが好ましい。場合によっては、同じ電子モジュール内で、電子部品グループを電磁干渉から保護する必要がある一方で、他の電子部品(アンテナなど)は保護しないでおく必要がある。これは、概して、隣接する電子部品間の誘電体材料に凹部を導入することによって行われる。概して、凹部は、薄いダイシングソーブレードまたはレーザーによって作成されるトレンチである。次いで、凹部に導電性材料を充填するか、または凹部表面を導電性材料で被覆する。よりコンパクトなモジュールを構築するために、電子部品間の凹部はますます小さくなっているので、それらの凹部の内側の隣接する部品間にEMIシールド特性を有する導電層を導入することは、ますます困難になっている。凹部、特にトレンチ、の一般的な幅は、10μm~150μmの範囲である。
【0006】
凹部への導電性材料の導入は、概して、導電性ペーストを充填することによって、または蒸着技術によって行われる。例えば、特許文献1は、金属粒子インクまたは導電性ポリマーによるトレンチの充填を記載している。どちらの手法にも重大な欠点がある。
【0007】
化学蒸着または物理蒸着などの蒸着技術は、真空技術を使用しているために費用がかかる。さらに、蒸着は、凹部の完全な表面の被覆のみを可能にする。部分的な被覆が必要な場合は、高価なマスキング技術を使用する必要がある。
【0008】
一方、充填技術には、EMIシールドを確保するために技術的に必要とされるよりも多くの導電性材料を利用するという欠点がある。充填技術には、それぞれが充填材料の塗布および硬化を含むいくつかの後続のステップで凹部が充填されるため、遅いという追加の欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許第EP1622435A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の問題の少なくとも1つを解決することである。
【0011】
特に、本発明の目的は、隣接する電子部品間の凹部に導電層を有する材料効率のよい被覆を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、電子モジュール内のEMIに敏感な電子部品に高品質のEMIシールドを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、隣接する電子部品間の凹部に導電層を有するための高速プロセスを提供することである。
【0014】
本発明の好ましい目的は、EMIシールド層の場所固有の適用を可能にするプロセスを提供することである。
【0015】
本発明の好ましい目的は、基板平面に垂直な少なくとも1つの断面における凹部が7以下のアスペクト比を有する、凹部の表面上に導電層を生成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的の少なくとも1つは、独立請求項の主題によって解決される。好ましい実施形態は、1つまたは複数の従属請求項の対象となる。
【0017】
I.基板に取り付けられた少なくとも2つの電子部品を有する電子モジュールであり、
電子部品は、誘電体材料で覆われており、
誘電体材料は、隣接する電子部品間に凹部を含む、電子モジュールであって、
少なくとも1つの電子部品に面する凹部の表面は、導電層で被覆される一方、被覆された凹部の表面の反対側の表面は、導電層を実質的に有さないことを特徴とする、電子モジュール。
【0018】
II.基板の平面に垂直な少なくとも1つの断面における凹部は、7以下のアスペクト比を有する、実施形態1に記載の電子モジュール。
【0019】
III.電子モジュールの1つの電子部品は、電磁放射を放出する部品、好ましくは無線周波数送信機である、実施形態IまたはIIに記載の電子モジュール。
【0020】
IV.誘電体材料はポリマー材料である、実施形態I~IIIのいずれかに記載の電子モジュール。
【0021】
V.ポリマー材料は架橋樹脂である、実施形態1~IVのいずれかに記載の電子モジュール。
【0022】
VI.凹部はトレンチである、実施形態I~Vのいずれかに記載の電子モジュール。
【0023】
VII.基板はプリント回路基板である、実施形態I~VIのいずれかに記載の電子モジュール。
【0024】
VIII.凹部の底部は、導電層で被覆されている、実施形態I~VIIのいずれかに記載の電子モジュール。
【0025】
IX.基板平面に垂直な少なくとも1つの断面における凹部は、5以下、好ましくは3以下のアスペクト比を有する、実施形態I~VIIIのいずれかに記載の電子モジュール。
【0026】
X.導電層は、金属を含むかまたは金属からなる、実施形態I~IXのいずれかによる電子モジュール。
【0027】
XI.凹部の半値全幅は、20~400μm、好ましくは50~250μmの範囲である、実施形態I~Xのいずれかに記載の電子モジュール。
【0028】
XII.凹部の表面の導電層は、電子モジュールの少なくとも1つの電子部品のための電磁干渉シールドの一部である、実施形態I~XIのいずれかに記載の電子モジュール。
【0029】
XIII.電磁干渉シールドは、20ミリオーム/□以下のシート抵抗を有する、実施形態I~XIIのいずれかに記載の電子モジュール。
【0030】
XIV.導電層は、1GHzを超える周波数の放射に対して少なくとも20dBの減衰係数を有する、実施形態I~XIIIのいずれかに記載の電子モジュール。
【0031】
XV.凹部の表面上の導電層の厚さは、5nm以上5μm以下である、実施形態I~XIVのいずれかに記載の電子モジュール。
【0032】
XVI.存在する場合、凹部の外側の導電層の厚さ、および凹部の導電層の厚さは、3倍以上、好ましくは2倍以上変わらない、実施形態I~XVのいずれかに記載の電子モジュール。
【0033】
XVII.基板に取り付けられた少なくとも2つの電子部品を有する電子モジュールを製造する方法であって、
電子部品は、誘電体材料で覆われており、
電子モジュールは、隣接する電子部品間の誘電体材料に凹部を含み、
少なくとも1つの電子部品に面する凹部の表面は、導電層で被覆される一方、被覆された凹部の表面の反対側の表面は、導電層を実質的に有さず、
導電層は、インク組成物のインクジェット印刷によって作成される、方法。
【0034】
XVIII.インクジェット印刷は、少なくとも1つのノズルを利用し、少なくとも1つのノズルは、ノズルによって噴出されたインクジェットが被覆される凹部の表面に対して5°~15°の角度シータ(θ)で当たるように構成される、実施形態XVIIに記載の方法。
【0035】
XIX.少なくとも1つの断面の凹部は、7以下、好ましくは5以下、特に3以下のアスペクト比を有する、実施形態XVIIまたはXVIIIに記載の方法。
【0036】
XX.インク組成物は、少なくとも以下の構成成分、
a)少なくとも1つの金属前駆体を含む化合物、またはそれらの2つ以上の組み合わせ、
b)室温および周囲圧力で液体である、好ましくは揮発性有機化合物である、少なくとも1つの有機化合物、
を含む、実施形態XVII~XIXのいずれかに記載の方法。
【0037】
XXI.少なくとも1つの金属前駆体は、銀、金および銅からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む、実施形態XVII~XXのいずれかに記載の方法。
【0038】
XXII.有機化合物は有機溶媒を含む、実施形態XVII~XXIのいずれかに記載の方法。
【0039】
XXIII.インク組成物は、温度20℃、周囲圧力1013hPaで測定して、0.1~100mPas、例えば5~70mPasの範囲の粘度を有する、実施形態XVII~XXIIのいずれかに記載の方法。
【0040】
XXIV.実施形態I~XVIのいずれかに記載の電子モジュールのコンピュータデバイスのための使用。
【0041】
XXV.コンピュータデバイスは、電話、タブレットコンピュータ、ノートブック、ウェアラブル、好ましくは時計、埋め込み型コンピュータ、またはデスクトップコンピュータからなる群から選択される、実施形態XXIVに記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0042】
層と誘電体材料との関係に関して「隣接する」という用語は、本文脈では、層が誘電体材料を覆い、誘電体材料の表面と完全に接続されていることを説明するために使用される。完全にとは、塗布プロセスの欠陥または誘電体上の不要な粒子が原因で、単に小さな接続されていないスポットが残る場合があることを意味する。しかしながら、欠陥がEMIシールド効果を減少させないことが好ましい。誘電体材料に隣接する層は、しばしば「共形層」とも呼ばれる。
【0043】
室温は、20℃(+293K)に相当する。周囲圧力という用語は、1013hPaの絶対圧力を表する。本文脈における標準湿度は、特に明記しない限り、50%相対湿度である。銀のコンダクタンスは、20℃で6.14・10Am/Vである。
【0044】
本文脈における液体は、20℃でDIN53019-1:2008に従って決定される、0.1~300mPasの範囲の粘度を有する2つ以上の構成成分を有する物質または組成物を表す。本発明の文脈における粘度は、100rpmおよび20℃で、Brookfield DV3レオメーター、スピンドルNr.21を使用して測定される。
【0045】
揮発性という用語は、周囲圧力でせいぜい250℃の開始沸点を有する有機化学化合物または組成物を指す。
【0046】
本文脈における伝導性は、常に電気伝導性を指す。25℃でのバルク電気伝導率σが1・10S/m以上の場合、物品または構造、例えば層は、導電性である。バルク電気コンダクタンスは、Dektak DXT-E プロフィロメーターで中央値の膜厚を測定した後、英国シェフィールドのOssila社による4点プローブシステムを使用して決定される。
【0047】
現在の文脈で言及されている範囲には、制限として指定された値が含まれる。したがって、サイズAに関する「XからYの範囲内」というタイプの表示は、Aが値X、Y、およびXとYとの間の値を想定できることを意味する。サイズAの「Yまで」というタイプの片側制限範囲には、同様にYの値、およびYよりも小さい値が含まれる。
【0048】
「電磁干渉」(EMI)という用語は、高周波(RF)信号および、電子モジュールの部品からまたは他のソースから発せられる他の周波数信号を含む、広帯域波形信号を表すものとする。無線周波数は、100MHz~300GHz間の電磁放射として理解し得る。
【0049】
本発明の文脈におけるEMIシールドは、無線周波数信号の少なくとも5dB、好ましくは10dB、最も好ましくは少なくとも30dBの減衰として理解されるべきである。
【0050】
本発明の第1の態様は、基板に取り付けられた少なくとも2つの電子部品を有する電子モジュールであり、電子部品は、誘電体材料で覆われており、誘電体材料は、隣接する電子部品間に凹部を含む、電子モジュールであって、少なくとも1つの電子部品に面する凹部の表面は、導電層で被覆される一方、被覆された凹部の表面の反対側の表面は、導電層を実質的に有さないことを特徴とする、電子モジュールに関する。
【0051】
本発明の効果は、導電層を生成するために消費される金属材料の量が、充填技術と比較して大幅に削減できることである。
【0052】
本発明の一実施形態では、電子モジュールの少なくとも1つの電子部品は、例えば、半導体チップ、送信機、受信機およびアンテナからなる群から選択されてもよい。
【0053】
基板は、好ましくは、例えば繊維強化ポリマー樹脂、特にガラス繊維充填エポキシ樹脂のような絶縁材料から作られる。本発明の好ましい実施形態では、基板はプリント回路基板である。好ましくは、基板は、電子部品をホストする側の平面である。
【0054】
基板上の電子部品は、誘電体で覆われている。好ましい実施形態では、部品は誘電体材料に埋め込まれてもよい。このような埋め込みは、成形とも呼ばれる。誘電体材料は、「モールド」とも呼ばれる。電子モジュールの電子部品を覆う誘電体材料は、当技術分野で知られている任意のタイプのものとすることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、誘電体材料は、ポリマー材料を含むかまたはポリマー材料からなる。より好ましくは、ポリマー材料は、架橋ポリマー樹脂であってよい。本発明の一実施形態では、ポリマー材料は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビフェニル樹脂またはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。アクリル樹脂は、アクリレート樹脂またはメタクリレート樹脂を含み得る。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電体材料は、有機または無機の充填材料を含んでよい。無機充填材の例は、シリカまたはアルミナ粒子である。
【0057】
本発明の電子モジュールは、隣接する部品間の誘電体材料に凹部を含む。好ましい実施形態では、凹部は、プリント回路基板上の隣接する電子部品間に存在する。
【0058】
本発明のさらに好ましい実施形態では、凹部はトレンチである。本発明の一実施形態では、トレンチは直線に沿って延びるか、またはトレンチは角度付き線に沿って延びる。この点については、図4を参照されたい。図4は、3つの凹部a)~c)を有する電子モジュールの上面図を示す。例示的なシナリオa)およびb)は各々、直線(破線)に沿って延びるトレンチを示す。シナリオc)は、角度付き線に沿って延びるトレンチの例を示している。いくつかの実施形態では、凹部表面は、誘電体材料を含むかまたは誘電体材料からなる。凹部内の誘電体材料の表面仕上げ(例えば、粗さ)は、例えば、凹部形成のプロセス(例えば、鋸引きまたはレーザーアブレーション)から直接生じてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、凹部の表面は、例えば、当該技術分野で既知のパラメータを用いたプラズマ洗浄により洗浄されてもよい。
【0059】
凹部の準備はいくつかの方法で行うことができる。例えば、凹部は、レーザーアブレーションによって、または薄いダイシングソーブレードを用いて、形成することができる。特に、レーザーアブレーションは、非常に高いアスペクト比、例えばアスペクト比が3以上の非常に狭い凹部の準備を可能にする。凹部は、いくつかの実施形態では、矩形の断面を有してもよく、または丸い底部領域を含んでもよい。凹部の対向する表面は、互いに厳密に平行であってもよく、または凹部の片面または両面が傾斜していてもよい。例えば、表面の傾斜は、互いに対して1~5°の範囲であり得る。本発明の凹部は、開口部よりも底部でより広い幅を有さないことが好ましい。
【0060】
基板平面に垂直な少なくとも1つの断面における凹部は、7以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下のアスペクト比を有する。同時に、いくつかの例における凹部の断面のアスペクト比は、0.1以上、好ましくは0.5以上、特に1以上であってもよい。
【0061】
凹部の断面を決定するために、基板に平行な平面が決定される。基板に平行なこの平面は、基板平面50とも呼ばれる。基板平面の例示的な向きが図5に示されている。基板平面50は、電子接続または部品が取り付けられていないベアの基板平面から決定される。好ましくは、基板平面50は、プリント回路基板の表面に平行に延びる。プリント回路基板の例では、平面は、ベアの基板の樹脂材料の表面に沿って延びている。これは、プリント回路基板上の導体に起因するバンプまたはディップを考慮しない。
【0062】
凹部の断面は、基板平面50に対して垂直に向いている。好ましくは、断面は、凹部の2つの対向する表面間の最短距離に沿って延びる。この文脈では、図4を参照する。図4は、凹部a)~c)を有する電子モジュールの上面図を示す。シナリオa)は、対向する表面間の最短距離を示す一方、シナリオb)は、好ましくない長い断面を示している。双方向矢印は、基板平面50上に垂直に立っている断面の方向を示す。断面を決定するための本発明の実施形態では、凹部の対向する表面は、互いに平行に向けられる。概して、これにより、対向する表面間の距離が最も短くなり、以下で説明するように、アスペクト比が最も高くなる。
【0063】
本発明における凹部のアスペクト比は、凹部の深さを凹部の最大の半分での全幅で割ったものとして計算される。この点については、図2を参照されたい。凹部25の深さdは、モジュールの表面レベル60から凹部の最も深いスポットまでの距離として定義される。半値全幅d/2の全幅wは、凹部の深さの半分の距離での対向する表面間の最短距離である。特に、凹部の全幅を最大値の半分に決定すると、凹部の対向する表面は互いに平行になる。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、凹部の表面は、基板の平面50に対して90°-5°の角度で配向される。
【0065】
本発明の一実施形態では、凹部の最大半値全幅は、少なくとも20μm、好ましくは少なくとも50μm、最も好ましくは少なくとも100μmに達する。同時に、半値全幅の最大値は、最大で400μm、好ましくは最大で250μm、より好ましくは最大で150μmであってよい。
【0066】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの電子部品に面する凹部の表面は導電層で被覆される一方、その被覆された凹部表面の対向する表面は導電層を実質的に含まない。好ましくは、導電層は、凹部の表面の少なくとも一部に隣接する。凹部の表面上の隣接する導電層は、好ましくは共形層を形成する。この文脈において、「実質的に含まない」という用語は、対向する表面が、凹部のこの対向する表面上に連続的な導電層を示さないことを意味する。特に、この対向する表面は、EMIシールド特性を提供する層を示さない。このシナリオは、インク組成物に由来する導電性材料のいくつかの痕跡または孤立したスポットがこの「実質的に含まない」表面上に存在することを除外しなくてもよい。
【0067】
電子部品に面する凹部の表面の、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも95%が導電層で被覆される。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、凹部の底は、導電層でさらに被覆される。あるいは、凹部の底部には導電層がなくてもよい。さらに、導電層は、好ましくは、凹部の外側の導電層(例えば、電子モジュールの上面または電子モジュールの側面上の導電層)に電気的に接続される。本発明の導電層は、電子モジュールの電気的接地と電気的に接触していることがさらにより好ましい。
【0069】
いくつかの実施形態では、導電層は、最大で5μm、例えば5nm~5μm、または50nm~2μm、または100nm~1μmの範囲の厚さを有する。例えば、凹部の被覆された表面上の導電層は、500nm~5μmの範囲の厚さを有してよい。
【0070】
導電層が厚くなりすぎると(例えば、>5μm)、単一のインクジェット層として製造できなくなる可能性がある。非常に薄い層(例えば、<5nm)は、電磁干渉シールドの効率に欠けることがある。ただし、電磁干渉シールド材料の層が薄いほど、塑性変形のウィンドウが大きくなるため、変形に対する耐性が高くなる。これにより、層が剥離したり、パッケージが反ったりする傾向が減少する。いくつかの実施形態では、本発明の導電層の厚さは、最大で50%変動する。
【0071】
本発明のさらなる実施形態では、導電層は、20mオーム/□以下のシート抵抗を有する。いくつかの実施形態では、導電層は、電磁干渉シールド層を構成するバルク金属の導電率に関して、常に、少なくとも5%、例えば少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも50%、または20~50%、または25~40%の範囲の導電率を有することができる。その導電率は、電磁干渉シールド層を構成するバルク金属の導電率に基づいて、最大100%、例えば最大90%、の値に達することがある。
【0072】
本発明のさらなる実施形態では、導電層は、金属を含むかまたは金属からなる。好ましくは、導電層は金属であり、すなわち、化学結合のモード、熱伝導率および電気伝導率に関して金属特性を有する。
【0073】
本発明の一実施形態では、導電層は、元素金属を含むかまたは元素金属からなる。好ましくは、金属は、銅、銀および金ならびにそれらの混合物およびそれらの合金からなる群から選択される。場合によっては、導電層は、複数の金属を含んでよい。例えば、2つ以上の金属が合金として導電層に存在してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、導電層は、導電性ポリマーを含むことができ、または導電性ポリマーからなることができる。
【0075】
本発明のさらなる実施形態では、凹部表面上に被覆された導電層は、電磁干渉(EMI)シールドの一部である。したがって、導電層は、凹部の表面だけを被覆するのではなく、凹部の外側の誘電体材料の表面を横切ってさらに延びる。好ましくは、EMIシールドは、電子モジュール内の電子部品全体または電子部品のグループに対して効果的である。この文脈での電磁干渉シールドとは、この導電層全体のRF周波数範囲の電磁放射が少なくとも5dB減少することを意味する。好ましい実施形態では、電磁放射は、少なくとも10dB、より好ましくは少なくとも20dB、最も好ましくは少なくとも30dBだけ低減される。特に、導電層は、電子モジュールの少なくとも電子部品に対するEMIシールドを構成してもよい。
【0076】
別の好ましい実施形態では、導電層は、1GHzを超える周波数で少なくとも20dB、より好ましくは少なくとも30dBの放射に対する減衰係数を有する。例えば、低減される電磁放射は、少なくとも50GHzまたはさらには少なくとも100GHzの周波数を含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、EMIシールドを構成する導電層は、電子モジュールの誘電体材料のアクセス可能な表面の40%~95%、例えば、50~90%または60~95%の範囲をカバーする。誘電体材料のアクセス可能な表面は、基板と直接接触していない誘電体材料の表面として理解することができる。好ましくは、導電層は、実質的に穴を有さない均質な導電層である。実質的に穴がないとは、製造プロセス中に作成された導電層に意図的に追加されたピンホールがないとして理解できる。ピンホールは、導電層を通したEMIの漏洩を可能にする欠陥と見なすことができる。あるいは、穴がないという用語は、導電層のEMIシールド性能を低下させるピンホールが存在しない状況として理解され得る。導電層を含まず、電磁放射が通過できるように設計された、電子モジュールの表面上の意図的に生成された領域は、穴として理解されないものとする。
【0078】
本発明の好ましい実施形態では、凹部の表面上の導電層は、EMIシールドの一部である。これは、導電層が凹部の外側の誘電体材料上にも存在することを意味する。導電層が凹部の外側にも存在する本発明による実施形態では、凹部の外側の導電層の厚さと凹部の導電層の厚さとは、3倍より大きくは、好ましくは2倍より大きくは異ならない。
【0079】
いくつかの実施形態では、導電層上にカバー層を重ねることができる。カバー層は、電子モジュールの電気的および/または環境的絶縁を確実にするために、電子モジュールの上面、底面およびまたは側面、あるいは前述の表面の組み合わせに配置することができる。
【0080】
本発明の可能な実施形態では、導電層は、インクジェット印刷によって調製される。さらに好ましい実施形態では、EMIシールド、すなわち、導電層が電気的に接続される凹部の外側の導電層は、インクジェット印刷によって形成される。
【0081】
一実施形態では、導電層は、インクジェット印刷材料の連続した層を積み重ねることによって生成されてもよい。これは、導電層の厚さを増すために特に有用である可能性がある。
【0082】
第2の態様では、本発明は、基板に取り付けられた少なくとも2つの電子部品を有する電子モジュールを製造する方法であって、電子部品は、誘電体材料で覆われており、電子モジュールは、隣接する電子部品間の誘電体材料に凹部を含み、少なくとも1つの電子部品に面する凹部の表面は、導電層で被覆される一方、被覆された凹部の表面の反対側の表面は、導電層を実質的に有さず、導電層は、インク組成物のインクジェット印刷によって作成される、方法に関する。
【0083】
インクジェット印刷による表面上の導電層の生成には、特定の利点がある。特に、インクジェット印刷は、凹部の内側に導電層を形成するために使用することができ、さらに、凹部の外側に導電層を形成するために使用することができる。これにより、EMIシールドを生成するために必要なマシンの数が減少する。さらに、インク組成物のインクジェット印刷を使用することにより、充填技術と比較して、高価な金属材料の量を減らすことができる。
【0084】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、本発明の第1の態様による電子モジュールを生成する。本発明の一実施形態では、方法における電子モジュールの要件は、本発明の第1の態様の場合と同じである。
【0085】
本発明の電子モジュールは、隣接する電子部品間の誘電体材料に少なくとも1つの凹部を含む。好ましくは、凹部はトレンチである。本発明によれば、少なくとも1つの電子部品に面する凹部の表面は、導電層で被覆される。導電層は、インクジェット印刷によって生成される。
【0086】
少なくとも1つの電子部品に面する凹部の表面は導電層で被覆される一方、被覆された表面の反対側の表面は導電層を実質的に含まない。
【0087】
この文脈において、「実質的に含まない」という用語は、対向する表面が、凹部のこの対向する表面上に連続的な導電層を示さないことを意味する。特に、この対向する表面は、EMIシールド特性を提供する層を示さない。このシナリオは、インク組成物に由来する導電性材料のいくつかの痕跡または孤立したスポットがこの「実質的に含まない」表面上に存在することを除外しなくてもよい。
【0088】
本発明の一実施形態では、インクジェット印刷は少なくとも1つのノズルを利用し、少なくとも1つのノズルは、ノズルによって噴出されたインクが、凹部表面に対して5°~15°の角度シータ(θ)で、被覆される凹部の表面に当たるように構成される。角度シータは、インクが表面に当たる場所で、凹部表面の平面とインクジェットの突出との間に形成される。好ましくは、角度シータは、7°~12°の範囲にある。これに関連して、誘電体材料20に凹部を有するモジュールの断面を示す図3を参照する。凹部表面は、インクジェット印刷で被覆されている。角度シータ(θ)は、凹部の表面レベル55と、インクジェットが凹部の表面に当たる点における、ノズル70によって噴出されるインクジェット80との間の角度を表す。
【0089】
いくつかの実施形態においてインクジェット80の傾斜を達成するために、ノズル70は、凹部の表面レベル55に対して5°~15°の範囲の角度アルファ(α)だけ傾斜されてもよい(図3参照)。場合によっては、角度アルファ(α)と角度シータ(θ)とを同じにすることも、角度シータ(θ)を角度アルファ(α)より小さくすることもできる。
【0090】
インクを塗布するための印刷パラメータは、実際の技術的用途に応じて広範囲に変化する可能性がある。
【0091】
本発明による例示的な印刷パラメータは、以下のパラメータの1つまたは複数を含んでよい。
・印刷時のインク滴サイズは、5~10pL程度が好ましい。
・印刷に使用される解像度は、例えば600~1800dpiの範囲から選択されるが、技術的な要件に応じて、それより高くまたは低くなる場合がある。
【0092】
塗布されたインク組成物は、100nm~10μmの範囲の波長の光で硬化することができる。いくつかの例では、硬化は、100~400nmのUV範囲の光で行うことができる。他の例では、400~800nmの可視範囲で硬化を行うことができ、さらに別の例では、800nm~10μmの範囲の波長で硬化を行うことができる。
【0093】
本発明の方法は、インク組成物を必要とする。本発明の一実施形態では、インク組成物は、少なくとも以下の構成成分を含む。
a)少なくとも1つの金属前駆体を含む化合物、またはそれらの2つ以上の組み合わせ。
b)室温および周囲圧力で液体である少なくとも1つの有機化合物であり、好ましくは揮発性有機化合物。
【0094】
インク組成物のすべての構成成分の量は、常に合計で100重量%になる。
【0095】
インク組成物は、例えば、接着促進剤、粘度補助剤、有機溶媒などのさらなる構成成分を含むことができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、有機化合物は、少なくともテルペン、例えば5~20または5~12の範囲の炭素原子を有するテルペン、または2つ以上のテルペンの組み合わせ、を含む。
【0097】
本文脈におけるテルペンは、天然物質から単離することができ、その構造を1つまたは複数のイソプレン単位にさかのぼることができる、天然に存在する不飽和炭化水素である。今日、一部のテルペンは、工業的および人工的に入手することもできる。シス-およびトランス-ポリイソプレンのポリマーは、通常、テルペンとは見なされない。テルペンは、好ましくは非環式テルペンまたは環式テルペンである。環式テルペンの中でも単環テルペンが好ましい。好ましくは、テルペンはヘテロ原子を含まない。本発明の別の実施形態では、テルペンは、酸素および/または窒素原子を含んでよい。
【0098】
好ましい設計によれば、テルペンは、オレンジテルペン、リモネンおよびピネンまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0099】
オレンジテルペンは、沸点が170~180℃(p=1bar)のテルペンの液体混合物で、通常はオレンジの皮を冷間圧搾することで得られる。オレンジテルペンは、80重量%を超える、好ましくは85重量%を超える、特に好ましくは90重量%を超える(+)/(-)-リモネンを含有する。オレンジテルペンの他の成分には、オクタナール、デカナール、シネンサール、酢酸オクチル、酢酸ネリルなどのアルデヒドが含まれることがよくある。オレンジテルペン(CAS No. 68647-72-3)のサプライヤーは、Carl Roth GmbH,76231 Karlsruhe,ドイツである。
【0100】
本文脈におけるピネンは、分子式C1016を有するモノテルペン炭化水素である。特に好ましいピネンは、β-ピネン(CAS No. 19902-08-0)である。
【0101】
本文脈におけるリモネンは、(r)-(+)-リモネン、(s)-(-)-リモネン、ならびに例えばラセミ混合物としての任意の比率の2つの混合物を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、金属前駆体は、50~500℃の範囲、例えば80~500℃の範囲、または150~500℃、または180~350℃、または150~300℃、または180~270℃の範囲の分解温度を有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、金属前駆体は、以下の特徴の少なくとも1つによって特徴付けられる。
a)銀、銅、金、またはこれらのいずれか2つ、または3つすべての組み合わせからなるグループから選択された少なくとも1つの金属カチオン。
b)カルボン酸塩、カルバミン酸塩、ギ酸塩および硝酸塩からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン。
または、a)およびb)による2つ以上の要素と2つ以上の特徴との組み合わせ。
【0104】
いくつかの実施形態では、同じ金属カチオンであるが同じまたは異なるタイプの2つ以上の異なるアニオンの2つ以上の金属前駆体の組み合わせを使用することができる。例えば、これには、銀カルボン酸塩と銅塩との組み合わせ、2つの異なる銀カルボン酸塩の組み合わせ、ならびに銀カルボン酸塩と銀カルバミン酸塩との組み合わせなどが含まれる。
【0105】
この文脈におけるカルボン酸塩は、カルボン酸の塩であり、1つまたは複数の金属カチオンおよび1つまたは複数のカルボン酸アニオンから構成される。カルボン酸アニオンのカルボン酸部分は、線状または分岐状であるか、または環状構造要素を有するか、または飽和または不飽和であることができる。モノ-およびジカルボキシレート、環状カルボキシレートおよびケトカルボキシレートは、さらに好ましいタイプのカルボン酸塩である。カルボン酸塩は、通常、室温で固体である。本発明による組成物が液体または固体と液体成分との混合物である場合、銀カルボン酸塩の少なくとも一部は、完全に溶解した形態に変化している可能性がある。この文脈における液体組成物は、1つ以上の液体有機化合物を含み得る。
【0106】
一実施形態では、直鎖飽和カルボン酸塩、例えば、常にカルボン酸塩基の炭素原子を含む、1~20個の炭素原子を有する、または7~16個の炭素原子を有する、カルボン酸塩が好ましい。このような線形カルボン酸塩は、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブタン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサノ酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、ノナン酸塩、デカン酸塩、ウンデカン酸塩、ドデカン酸塩、テトラデカン酸塩、ヘキサデカン酸塩、オクタデカン酸塩からなる群から選択できる。別の実施形態では、1~20個の炭素原子を有する、または7~16個の炭素原子を有する飽和イソ-カルボン酸塩および飽和ネオ-カルボン酸塩を使用することができる。いくつかの実施形態では、ネオペンタノエート、ネオヘキサノエート、ネオヘプタノエート、ネオオクタノエート、ネオノナノエート、ネオデカノエートおよびネオドデカノエートのような5個以上の炭素原子を有するネオ-カルボキシレートが好ましい。対応するネオカルボン酸は、例えば、シェルまたはエクソンによって製造される。
【0107】
いくつかの実施形態では、銀が好ましい金属カチオンであり、カルボン酸塩の好ましい群は銀カルボン酸塩である。これらのうち、直鎖飽和カルボン酸塩、例えば、常にカルボン酸塩基の炭素原子を含む、1~20個の炭素原子を有する、または7~16個の炭素原子を有する、カルボン酸塩が好ましい。そのような線状のカルボン酸塩は、酢酸銀、プロピオン酸銀、ブタン酸銀、ペンタン酸銀、ヘキサン酸銀、ヘプタン酸銀、オクタン酸銀、ノナン酸銀、デカン酸銀、ウンデカン酸銀、ドデカン酸銀、テトラデカン酸銀、ヘキサデカン酸銀、オクタデカン酸銀、からなる群から選択できる。別の実施形態では、1~20個の炭素原子を有する、または7~16個の炭素原子を有する、飽和イソ銀カルボン酸塩および飽和ネオ銀カルボン酸塩を使用することができる。ネオペンタン酸銀、ネオヘキサン酸銀、ネオヘプタン酸銀、ネオオクタン酸銀、ネオノナン酸銀、ネオデカン酸銀およびネオドデカン酸銀などの、5個以上の炭素原子を有するネオ銀カルボン酸塩が特に好ましい。
【0108】
この文脈におけるカルバミン酸塩は、カルバミン酸の塩である。この文脈におけるギ酸塩は、ギ酸の塩、例えば銀と銅のギ酸塩、である。いくつかの実施形態では、硝酸塩は、金属前駆体、例えば硝酸銀、および硝酸銅、である。
【0109】
いくつかの実施形態では、インク組成物は、例えば、接着促進剤、粘度補助剤、グリコールエーテルなどの有機溶媒、および添加剤からなる群から選択される1つまたは複数のさらなる成分を任意選択で含んでよい。インク組成物のすべての構成成分の合計は、常に100重量%を与える。
【0110】
グリコールエーテルは、少なくとも1つのエチレングリコール単位または1つのジエチレングリコール単位を有する有機物質である。プロピレングリコールエーテルまたはジプロピレングリコールエーテルは、グリコールエーテルとして特に好ましい。市販の例は、ダワノールPNP(プロピレングリコールn-プロピルエーテル)およびダワノールPnB(プロピレングリコールn-ブチルエーテル)、ダワノールDPnB(ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル)およびダワノールDPnP(ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル)である。
【0111】
コロホニー樹脂またはその誘導体は、インク組成物に関して適切な粘度補助剤である。特に好ましい市販製品は、H.Reynaud & Fils GmbH,ハンブルグから入手可能なバルサミコ樹脂である。
【0112】
いくつかの実施形態では、インク組成物は、0.05~3重量%の範囲、より好ましくは0.05~1重量%の範囲の重量比率でさらなる添加剤を含有することができ、重量パーセントは、いずれの場合も、インク組成物の総重量に基づく。専門家に知られており、意図した目的に適していると思われるすべての化学物質および混合物は、追加の添加物と見なすことができる。シリコーン含有添加剤、例えば1つ以上の含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、さらなる添加剤として特に好ましい。このような添加剤は、例えば、BYK Additives & Instruments GmbH, 46483 WeselからBYKの商品名で入手できる。
【0113】
いくつかの実施形態では、インク組成物中の金属の量は、常に熱重量分析(TGA)によって決定される、インク組成物の総重量に基づいて、1~60重量%の範囲内、例えば1~50重量%、または10~30重量%、30~50重量%の範囲内である。
【0114】
いくつかの実施形態では、インク組成物の少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%または少なくとも95重量%、99または100重量%までは、銀カルボン酸塩とテルペン、またはその組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の構成成分を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、インク組成物は、金、ロジウム、バナジウム、パラジウム、プラチナ、オスミウム、銅、タングステン、ビスマス、シリコン、ジルコニア、スズ、銅、およびアルミニウムの合計に対する銀の重量比が、インク組成物中の重量比に対して100:1を超え、好ましくは150:1を超える。
【0116】
さらなる実施形態において、インク組成物は、インク組成物中の重量比に対して100:1を超え、好ましくは150:1を超える、ロジウムに対する銀の重量比を有する。
【0117】
いくつかの実施形態では、金、ロジウム、バナジウム、パラジウム、プラチナ、オスミウム、タングステン、ビスマス、シリコン、ジルコニア、スズ、銅およびアルミニウムからなる群から選択される元素の1つまたは複数を含むインク組成物の構成成分の総重量パーセントは、10重量%未満、好ましくは8重量%未満または6重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは2重量%未満または1重量%未満であり、重量パーセントは常にインク組成物の総重量に基づいている。
【0118】
別の実施形態では、ロジウム、バナジウムおよびオスミウムからなる群から選択される1つ以上の元素を含むインク組成物の構成成分の総重量パーセントは、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満または0.2重量%未満であり、重量パーセントは組成物の総重量に基づいている。
【0119】
いくつかの実施形態では、インク組成物中の構成成分b)、テルペン、に対する構成成分a)、銀カルボン酸塩、の重量比は、4:1~1:5、例えば1:2~2:1、または1:1~1:2、または約1:1.5~約1:2の範囲である。好ましくは、成分a)が銀カルボン酸塩の場合、および成分b)がテルペンの場合、インク組成物中の重量比は、約1:1.5~約1:2の範囲である。約の表示は、表示された精度の範囲内で、専門家が商業的に四捨五入された値をすべて上記の数値に読み取ることを意味する。例えば1:2の場合、これは、銀カルボン酸塩およびテルペンの重量に基づいて、1:1.5~2:4.9までの範囲を意味する。そのような値は、液体組成物から、例えばHPLC測定から、決定することができ、それにより、特徴的な信号が各成分に対して選択され、比例される。
【0120】
いくつかの実施形態では、構成成分a)、銀カルボン酸塩、およびb)、テルペン、の重量による比率の合計は、インク組成物の総重量に基づいて、10~95重量%、または10~80重量%の範囲である。さらに、35~95重量%、または35~80重量%、または40~60重量%、最も好ましくは45~55重量%の範囲の構成成分a)およびb)の重量比率の合計は、好ましくは、35~95重量%、または40~60重量%、最も好ましくは45~55重量%の範囲の成分a)およびb)の重量比率の合計であり、重量パーセントは、いずれの場合も、組成物の総重量に基づく。
【0121】
いくつかのさらなる実施形態では、構成成分a)、銀カルボン酸塩、の重量比は、10~80重量%、好ましくは10~60重量%、または15~45重量%の範囲であり、重量パーセントは、インク組成物の総重量に基づく。
【0122】
さらなる実施形態では、インク組成物は、さらなる構成成分として、少なくとも1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のカルボン酸を含み得る。カルボン酸は、原則として、専門家に知られており、適切であると思われる任意のカルボン酸、特に5個以上の炭素原子を有する1つ以上の第3級カルボン酸であり得る。第3級カルボン酸として、ネオペンタン酸、ネオヘキサン酸、ネオヘプタン酸、ネオオクタン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸およびネオドデカン酸の1つまたはいくつかの組み合わせを選択してよい。ネオデカン酸、またはネオデカン酸と上記の他のネオカルボン酸のうちの1つとの組み合わせが特に好ましい。ネオカルボン酸は、例えば、シェルまたはエクソンによって製造される。カルボン酸またはいくつかのカルボン酸の組み合わせを添加することにより、インク組成物の貯蔵寿命を延長することができる。
【0123】
一部の実施形態では、カルボン酸は、組成物中に存在し得るカルボン酸アニオンと同じ構成の炭素原子を有し得る。これは、例えば、カルボン酸塩がネオヘプタン酸塩である場合、ネオヘプタン酸がさらなる構成成分として添加されることを意味する。
【0124】
いくつかの実施形態では、インク組成物中の金属粒子の含有量は、インク組成物の総重量に基づいて、1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.2重量%未満である。その結果、本発明による組成物は、実際には金属粒子を含まない。この文脈における金属粒子は、いずれの場合も固体である。
【0125】
さらなる実施形態では、インク組成物は、インク組成物の総重量に基づいて、1~30重量%の範囲の貴金属含有量を有する。貴金属という用語は、本発明の文脈において以下の物質を指す:金、銀、水銀、パラジウム、プラチナ、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、タングステン、ビスマス、シリコン、ジルコニア、スズ、銅およびアルミニウム。
【0126】
いくつかの実施形態では、インク組成物は、温度20℃、周囲圧力1013hPaで測定された、0.1~100mPasの、例えば5~70mPasの範囲の粘度を有する。特に好ましい実施形態では、粘度は、30℃で5~15mPasの範囲である。
【0127】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による電子モジュールのコンピュータデバイスのための使用に関する。
【0128】
本発明の一実施形態では、コンピュータデバイスは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブック、ウェアラブル(例えば、時計)、埋め込み型コンピュータ、およびデスクトップコンピュータからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0129】
図1図1は、電子部品30が取り付けられた基板10を含む本発明の電子モジュールの概略図を示す。電子部品30は、誘電体材料20で覆われ、接続手段35によって接続される。導電層40は、電子モジュールの一部の誘電体材料上に被覆される。このようにして、電子部品30’は、電子部品30から発生する可能性のあるEMIからシールドされる。見て取れるように、1つの電子部品30’に面する凹部25の表面は、導電層で被覆される一方、電子部品30に面する凹部25の反対側の表面は、導電層を示さない。
図2図2は、本発明の電子モジュールの概略的断面図を示す。これは、凹部25のアスペクト比の決定を示している。凹部25は、隣接する部品30、30’間に配置されている。凹部の深さdは、モジュールの平均表面レベル60から凹部25の最低点まで延びる。全幅wは、深さの半分d/2で測定される。基板平面50は、凹部の断面が垂直に向けられる基板のレベルを示す。
図3図3は、本発明の電子モジュールの別の例示的な概略的断面図を示し、本発明の導電層を製造するためのプロセスが示されている。ここでは、角度シータθの決定が示されている。ノズル70は、インク組成物のジェット80を噴出する。ジェット80は、凹部表面の表面レベル55に対して角度シータθで凹部の表面に当たる。図3の例示的な図では、凹部の表面レベル55は、基板平面50に対して垂直に向けられている。角度アルファαは、凹部の表面に対するノズル70の傾斜を示す。
図4図4は、トレンチの形態のいくつかの凹部25を有するモジュール1の上面図を示す。双方向矢印は、基板平面50(図示せず)に垂直に立つ断面の延長方向を示す。この図4によれば、断面は、この図の描画平面に垂直に伸びている。図4の破線は、トレンチの形の凹部が直線(シナリオa)およびシナリオb))に沿って伸びることができ、またはトレンチの形の凹部が角度付けられた線(シナリオc)に沿って伸びることができることを示す。
図5図5は、本発明の電子モジュール1の概略的斜視図を示す。取り付けられた部品30、30’は、誘電体材料20で覆われている。導電層40は、あるグループの部品30’をEMIからシールドする一方、別のグループの電子部品30は、導電層の下でシールドされない。隣接する部品間には、凹部25が延びている。凹部の一方の表面は導電層40で被覆され、凹部の反対側の表面は導電層を示さない。先の図1図4の注釈が適用される。この図で特に見ることができるのは、基板10の表面に沿って広がる基板平面50である。
【符号の説明】
【0130】
1…電子モジュール
10…基板
20…誘電体材料
25…凹部
30,30’…電子部品
35…接続手段
40…導電層
50…基板レベル
55…凹部の表面
60…平均表面レベル
70…ノズル
80…インクジェット
【0131】
試験方法
a.金属含有量の決定
誘導結合プラズマ(ICP)が発光分光分析(OES)と組み合わせて評価される。ここで使用される方法による典型的な測定限界は1ppmである(サンプルの計量量に関連)。測定機器による元素濃度の測定は、機器メーカー(ICP-OES:VARIAN Vista MPX)の仕様に従い、認定された基準液を使用して校正を行う。機器によって決定された溶液(100ml)の元素濃度は、次いで、元のサンプル重量(0.1g)に変換される。
【0132】
注:分析対象のサンプルは、Anton Paarのマイクロ波反応システムMultiwaveProで王水(3部のHCL、37重量%と1部のHNO、65重量%の混合物)で溶解される。
【0133】
次の元素はこの方法で決定できる:Ag、Au、B、Bi、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、In、Ir、Mn、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、Sb、Si、Sn、Ti、V、Zn、Zr。
【0134】
b.電磁干渉シールド層の厚みと厚みのばらつき
半導体パッケージの導電層の厚さは、SEM分析によって直接測定するか、または、同じ条件でガラスに印刷したフィルムを比較のために使用して、Dektak DXT-E プロフィロメーターでドクターブレードの意図的なスクラッチの深さを測定した。厚さの変動は、プロフィロメーターからのラインスキャンの最大値と最小値から導き出される。層の導電率が計算され、銀のバルク値6.3×10S/mに対して評価される。
【0135】
c.シート抵抗と導電率
電磁干渉シールド層のシート抵抗を測定するために、英国シェフィールドのOssila社の4点プローブを使用する。層の導電性特徴の2つの外部プローブが定電流を適用し、同じ特徴上の2つの内部プローブおよび外部プローブ間が電圧を測定する。シート抵抗は、Ω/□のオームの法則を使用して推定される。平均シート抵抗を決定するために、測定は、電磁干渉シールド層の25の等分布スポットで実行される。22±1℃の温度の空調された部屋で、測定前にすべての機器および材料が平衡化される。測定を実行するために、4点プローブには、導電層に確実に接触するために丸い先端を有する4点測定ヘッドが装備される。最大電流100mAが適用される。測定が開始される。電磁干渉シールド層上の25の等分布スポットを測定した後、平均シート抵抗がΩ/□で計算される。
【0136】
電磁干渉シールド層の導電率も、Ossila社の4点プローブを使用して決定された。シート抵抗はさまざまな方向で測定され、導電率は、プロフィロメーター Dektak DXT-E(Bruker GmbH, Karlsruhe,ドイツ)で測定された中央値の膜厚を入力すると、Ossila社の4点プローブのソフトウェアによって計算される。
【実施例
【0137】
シリカ球充填エポキシノボラック樹脂でカプセル化された被覆されていない電子モジュールが提供された。DISCO HI-TEC Europe GmbHから入手可能なダイシングソーで2種類のトレンチを切った。2つのサンプルは、トレンチの幅が異なっていた。(例1:幅150μm、高さ1.000μm;例2:幅300μm、高さ1.000μm)。表面は、20体積%の酸素と80体積%のアルゴンを含む、90mbarの減圧雰囲気で、Nordson March, Concord (CA),米国のプラズマクリーナーAP-600を使用して、400Wのプラズマ出力で90秒間クリーニングした。
【0138】
次に、以下のものを使用して電子モジュールの上面に印刷した。
・基板平面に垂直に配置された7pLの液滴を印刷できるインクジェットヘッドを備えたEMIインクジェットプリンタ。
・インク組成物の総重量に基づいて、50重量%のネオデカン酸Agと50重量%のリモネン(DL-Limonene,CAS No. 138-86-3,Merck KGaAから入手可能)からなるインク。
・1200/600dpiの印刷解像度。
・UV光源HERAEUS SEMRAY UV4103。
【0139】
印刷された上面に隣接するトレンチの表面は、基板平面の面法線に対して10°傾けられたノズル(すなわち、印刷ヘッド)で被覆された。
【0140】
続いて、印刷された層は、UV光源HERAEUS SEMRAY UV4103を使用して硬化され、均質な銀層が得られた。
【0141】
電磁干渉シールド層のシート抵抗は、英国シェフィールドのOssila社の4点プローブシステムを使用して、さまざまな方向とさまざまな位置(モジュールの上部、被覆されたトレンチの両側)でシート抵抗を測定し、SEMによって決定された中央値の膜厚を入力したうえでシステムによる比コンダクタンスの計算によって測定された。
【0142】
導電率は、3×10S/mと測定された。
【0143】
【表1】
【0144】
表1は、準備した導電層の厚さ測定と抵抗測定からの例1の特性評価結果を示している。表1から分かるように、本発明の方法によって調製された導電層は、電磁干渉から電子部品をシールドするのに非常に適した低いシート抵抗を有する。

図1
図2
図3
図4
図5