(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ガングリオシドGD2に対するヒトモノクローナル抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220405BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220405BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20220405BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220405BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220405BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220405BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220405BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220405BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20220405BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220405BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20220405BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K16/46
A61K39/395 L
A61K39/395 T
A61K45/00
A61K47/68
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K51/10 200
G01N33/53 S
G01N33/531 A
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2020187198
(22)【出願日】2020-11-10
(62)【分割の表示】P 2019168243の分割
【原出願日】2015-06-03
【審査請求日】2020-11-10
(32)【優先日】2014-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519296314
【氏名又は名称】バイオエヌテック リサーチ アンド デベロップメント, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ショルツ
(72)【発明者】
【氏名】リツコ サワダ
【審査官】野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/189554(WO,A1)
【文献】特表2002-508651(JP,A)
【文献】特表昭61-502820(JP,A)
【文献】Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1986, Vol.83, p.8694-8698
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GD2に結合する抗体またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、該抗体またはその機能性断片は、可変重鎖(VH)ドメインおよび可変軽鎖(VL)ドメインを含み、該VHドメインは、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3のアミノ酸配列を有し、該VLドメインは、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3のアミノ酸配列を有し、
該VH CDR1アミノ酸配列が、配列番号30の残基26~33であり;
該VH CDR2アミノ酸配列が、配列番号30の残基51~58であり;
該VH CDR3アミノ酸配列が、配列番号30の残基97~109であり;
該VL CDR1アミノ酸配列が、配列番号32の残基27~37であり;
該VL CDR2アミノ酸配列が、配列番号32の残基55~57であり;かつ
該VL CDR3アミノ酸配列が、配列番号32の残基94~102である、
単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
GD2に結合する抗体またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、該抗体またはその機能性断片は、配列番号30のアミノ酸配列を有する可変重鎖VHドメインと、配列番号32のアミノ酸配列を有する可変軽鎖VLドメインとを含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記VHドメインアミノ酸配列が、配列番号29の核酸配列によってコードされ、前記VLドメインアミノ酸配列が、配列番号31の核酸配列によってコードされる、請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項4】
GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、該抗体またはその機能性断片は、可変重鎖VHドメインおよび可変軽鎖VLドメインを含み、該VHドメインは、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3のアミノ酸配列を有し、該VLドメインは、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3アミノ酸配列を有し、
該VH CDR1アミノ酸配列が、配列番号30の残基26~33であり;
該VH CDR2アミノ酸配列が、配列番号30の残基51~58であり;
該VH CDR3アミノ酸配列が、配列番号30の残基97~109であり;
該VL CDR1アミノ酸配列が、配列番号32の残基27~37であり;
該VL CDR2アミノ酸配列が、配列番号32の残基55~57であり;かつ
該VL CDR3アミノ酸配列が、配列番号32の残基94~102である、
単離された抗体またはその機能性断片。
【請求項5】
GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、該抗体またはその機能性断片は、可変重鎖VHドメインおよび可変軽鎖VLドメインを含み、該VHドメインは、配列番号30のアミノ酸配列を有し、該VLドメインは、配列番号32のアミノ酸配列を有する、単離された抗体またはその機能性断片。
【請求項6】
前記抗体がヒト抗体である、請求項4または5に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
【請求項7】
前記抗体の機能性断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、ダイアボディ、トリアボディおよびミニボディからなる群より選択される、請求項4または5に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
【請求項8】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項4または5に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
【請求項9】
前記抗体がIgGまたはIgMアイソタイプである、請求項4または5に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
【請求項10】
前記IgG抗体がIgG1サブクラスである、請求項9に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
【請求項11】
診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とコンジュゲートしまたは組換えによって融合した、請求項4または5に記載の単離された抗体またはその機能性抗体を含むコンジュゲート。
【請求項12】
検出可能な薬剤を含む、請求項11に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
腫瘍の検出を必要とする対象における腫瘍を検出するための、請求項12に記載のコンジュゲートを含む組成物。
【請求項14】
請求項4または5に記載の抗体またはその機能性断片と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
疾患の治療または予防を必要とする対象における疾患を治療または予防するための、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記疾患ががんまたは腫瘍形成であり、該がんまたは該腫瘍の細胞がGD2を発現する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記がんまたは前記腫瘍が、神経芽腫、骨肉腫および肉腫の他のサブセット、メラノーマ、神経膠腫、小細胞肺がん、乳がん、髄芽腫ならびに星細胞腫からなる群より選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記乳がんが、乳がん幹細胞を含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記医薬組成物と組み合わせて第2の治療剤が同時にまたは順次投与されることを特徴とする、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記第2の治療剤が化学療法剤または免疫療法剤である、請求項19に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2014年6月4日に出願された米国出願第62/007,874号の利益を主張し、当該出願はその全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2015年5月29日に作成されたこのASCIIコピーは、12967-034-228_SL.txtと命名され、サイズが69,238バイトである。
【背景技術】
【0003】
本発明は、一般に、ジシアロガングリオシドGD2を対象とする抗体に関する。より詳細には、本出願は、ヒト抗GD2抗体をコードするポリヌクレオチドおよび対応するコードされる抗体またはその断片、ならびに診断または治療目的のためのそのような抗体の使用に関する。GD2は、腫瘍選択的な発現パターンのために、腫瘍特異的治療、例えば抗体治療にとって魅力的である。現在、マウス抗GD2抗体、ヒト-マウスキメラ抗GD2抗体などのいくつかの抗GD2抗体が開発されている。しかし、これらの抗体は、望ましくない免疫効果をなおも有する。従って、望ましくない免疫効果を低下させ、抗GD2抗体の望ましい抗腫瘍効果を増強することがいまだ必要とされている。本出願は、この必要性を満たし、関連する利点を提供する、GD2に対するヒトモノクローナル抗体(mAb)を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、GD2に結合する抗体またはその機能性断片を作製するための組成物が本明細書で提供される。組成物は、本明細書で提供される相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)を有する可変重鎖(VH)ドメインを含む抗体またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。一態様では、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、本明細書で提供されるアミノ酸配列を有するVHドメインを含む抗体またはその機能性断片もまたコードし得る。別の態様では、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、本明細書で提供される、抗体またはその機能性断片のVHドメインをコードする核酸配列も含み得る。
【0005】
本発明の別の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、本明細書で提供される相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む抗体またはその機能性断片をコードし得る。一態様では、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、本明細書で提供されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体またはその機能性断片もまたコードし得る。別の態様では、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、本明細書で提供される、抗体またはその機能性断片のVLドメインをコードする核酸配列も含み得る。
【0006】
本発明の組成物は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片も含む。一部の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、本明細書で提供されるVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3領域を有するVHドメインを含む抗体またはその機能性断片を提供する。他の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、本明細書で提供されるアミノ酸配列を有するVHドメインを含む抗体またはその機能性断片を提供する。
【0007】
一部の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、本明細書で提供されるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3領域を有するVLドメインを含む抗体またはその機能性断片を提供する。他の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、本明細書で提供されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体またはその機能性断片を提供する。
【0008】
一部の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、VHドメインおよびVLドメインの両方を含み、VHドメインおよびVLドメインが、それぞれ、本明細書で提供されるクローン単離体のVHドメインおよびVLドメインそれぞれのアミノ酸配列を含む、抗体またはその機能性断片を提供する。
【0009】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書で提供される抗体または機能性断片が診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とコンジュゲートしまたは組換えによって融合したコンジュゲートを提供する。本発明の一部の態様では、腫瘍形成を検出および/または診断するための方法において使用することができる検出可能な薬剤を含む本発明のコンジュゲートを主題とする。そのような方法は、それを必要とする対象にコンジュゲートの有効量を投与するステップを含み得る。
【0010】
一部の実施形態では、本発明は、本発明の1種または複数種の抗体または機能性断片および薬学的に許容される担体を有する医薬組成物を提供する。一部の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、本発明の医薬組成物の治療有効量を投与することによって疾患を治療または予防するための方法も提供する。さらに別の態様では、本発明は、第2の治療剤を本発明の抗体または機能性断片と同時にまたは順次投与することを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、クローン1B7の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号1のヌクレオチド配列と配列番号2のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0012】
【
図2】
図2は、クローン1B7の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号3のヌクレオチド配列と配列番号4のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0013】
【
図3】
図3は、クローン2H12の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号5のヌクレオチド配列と配列番号6のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0014】
【
図4】
図4は、クローン2H12の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号7のヌクレオチド配列と配列番号8のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0015】
【
図5】
図5は、クローン1G2の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号9のヌクレオチド配列と配列番号10のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0016】
【
図6】
図6は、クローン1G2の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号11のヌクレオチド配列と配列番号12のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0017】
【
図7】
図7は、クローン1E9の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号13のヌクレオチド配列と配列番号14のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0018】
【
図8】
図8は、クローン1E9の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号15のヌクレオチド配列と配列番号16のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0019】
【
図9】
図9は、クローン1H3の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号17のヌクレオチド配列と配列番号18のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0020】
【
図10】
図10は、クローン1H3の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号19のヌクレオチド配列と配列番号20のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0021】
【
図11】
図11は、クローン2F5の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号21のヌクレオチド配列と配列番号22のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0022】
【
図12】
図12は、クローン2F5の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号23のヌクレオチド配列と配列番号24のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0023】
【
図13】
図13は、クローン2F7の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号25のヌクレオチド配列と配列番号26のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0024】
【
図14】
図14は、クローン2F7の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号27のヌクレオチド配列と配列番号28のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0025】
【
図15】
図15は、クローン2E12の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号29のヌクレオチド配列と配列番号30のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0026】
【
図16】
図16は、クローン2E12の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号31のヌクレオチド配列と配列番号32のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0027】
【
図17】
図17は、クローン31F9の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号33のヌクレオチド配列と配列番号34のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0028】
【
図18】
図18は、クローン31F9V2の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号35のヌクレオチド配列と配列番号36のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0029】
【
図19】
図19は、クローン31F9の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号37のヌクレオチド配列と配列番号38のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0030】
【
図20】
図20は、クローン32E2の可変重(VH)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号39のヌクレオチド配列と配列番号40のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3)も特定されている。
【0031】
【
図21】
図21は、クローン32E2の可変軽(VL)鎖ドメインのヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列を示す図である。図の上部は、配列番号41のヌクレオチド配列と配列番号42のアミノ酸配列のアラインメントを示す。3つの相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)も特定されている。
【0032】
【
図22】
図22は、コンセンサス配列(配列番号43)が下に列挙された、ヒト抗GD2モノクローナル抗体1B7(配列番号2)、2H12(配列番号6)、1G2(配列番号10)、1E9(配列番号14)、1H3(配列番号18)、2F5(配列番号22)、2F7(配列番号26)、2E12(配列番号30)、31F9(配列番号34)、31F9V2(配列番号36)、および32E2(配列番号40)のVH領域のアラインメントを示す図である。
【0033】
【
図23】
図23は、コンセンサス配列(配列番号44)が下に列挙された、ヒト抗GD2モノクローナル抗体1B7(配列番号4)、2H12(配列番号8)、1G2(配列番号12)、1E9(配列番号16)、1H3(配列番号20)、2F5(配列番号24)、2F7(配列番号28)、2E12(配列番号32)、31F9(配列番号38)、および32E2(配列番号42)のVL領域のアラインメントを示す図である。
【0034】
【
図24】
図24は、ヒト抗GD2モノクローナル抗体1B7、31F9、31F9V2、1G2、2F7、32E2および2H12の抗体依存性細胞傷害(ADCC)を示す図である。ADCC活性を、工学的に作製されたJurket細胞をエフェクター細胞として使用してPromegaのレポーターアッセイによって測定した。標的細胞は、SaOS2、H524、Hs578T、TC71、およびLan1-lucを含めた様々な腫瘍細胞である。
【0035】
【
図25】
図25は、H524細胞へのヒト抗GD2モノクローナル抗体の内部移行を示す図である。H524細胞を、サポリンとコンジュゲートした抗ヒトIgGであるHum-ZAPと複合体を形成した1B7、31F9、または31F9V2の存在下で成長させた。値を測定し、Fab-ZAPの非存在下での100%成長に対して正規化した。
【0036】
【
図26】
図26は、Lan1-luc細胞へのヒト抗GD2モノクローナル抗体の内部移行を示す図である。Lan1-luc細胞を、サポリンとコンジュゲートした抗ヒトIgGであるHum-ZAPと複合体を形成した1B7、1G2、2H12、2F7、31F9または32E2の存在下で成長させた。値を測定し、Fab-ZAPの非存在下での100%成長に対して正規化した。
【0037】
【
図27】
図27は、フローサイトメトリーによってpH感受性レポーターを用いて測定した、H524(SCLC)腫瘍細胞への抗ガングリオシド抗体の内部移行の動態を示す図である。エンドソームの低pH環境へと抗体が内部移行した細胞は、フローサイトメトリーによって測定される蛍光を示す。
【0038】
【
図28】
図28は、フローサイトメトリーによってpH感受性レポーターを用いて測定した、TC-71(肉腫)腫瘍細胞への抗ガングリオシド抗体の内部移行の動態を示す図である。エンドソームの低pH環境へと抗体が内部移行した細胞は、フローサイトメトリーによって測定される蛍光を示す。
【0039】
【
図29】
図29は、ヒトSaOS2(骨肉腫)異種移植片を植え付け、抗GD2抗体または対照で処置したSCIDマウスの生存を示す図である。
【0040】
【
図30】
図30は、抗GD2抗体または対照で処置したSCIDマウスにおけるヒトTC-71(肉腫)異種移植腫瘍の成長を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
腫瘍細胞表面上で発現されたガングリオシドは、がん免疫療法のための標的であり得る。本明細書で提供される組成物は、少なくとも一部において、例えば、米国特許第6,936,253号;米国特許第7,001,601号、および米国特許第6,916,476号に記載されるような、KLHとコンジュゲートしたGD2L、GD3LおよびGM2抗原を含むMabVaxワクチン(MabVax Therapeutics、San Diego、CA)を用いて免疫化した個体の血液リンパ球から生成されたヒト抗体の同定および特徴付けに基づく。GD2に対する親和性が高い抗体が少なくとも11種同定され(1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2、および32E2)、これらを組換え抗体として発現させ、in vitroモデルにおいてさらに特徴付けた。試験した8種の抗体のうち、6種(1B7、2H12、2F7、2E12、31F9V2、および32E2)は、少なくとも1種のがん細胞系統において補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイにおいて効力があった。試験した6種全ての抗体が、異なる程度までではあるが、5種の異なるがん細胞系統を用いた抗体依存性細胞傷害アッセイにおいて有意な活性を示す。試験した2種の抗体(1B7および31F9)はまた、生存モデルおよび皮下腫瘍モデルの両方において、in vivoで有意な抗腫瘍活性を示した。本明細書で提供される本発明の技術移転の妥当性は2倍である。第1に、GD2-KLHコンジュゲートワクチンは、がん患者において抗GD2 IgGおよびIgM抗体応答を引き出すことができ、抗体産生細胞は、患者血液試料から回収できる。第2に、臨床試験において生成した最も強力な抗体を保存し、標的がん集団に対する、治療薬として、または治療薬の生成において最終的に使用することができる。本明細書で提供される抗体の親和性が高いこと、およびそれらのエフェクター機能が高いことにより、この技術移転の潜在性が支持される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、特異的な分子抗原に結合することができ、2つの同一のポリペプチド鎖の対で構成され、各対が1つの重鎖(約50~70kDa)と1つの軽鎖(約25kDa)を有し、各鎖の各アミノ末端部分が約100~約130またはそれ超のアミノ酸の可変領域を含み、各鎖の各カルボキシ末端部分が定常領域を含む、ポリペプチドの免疫グロブリンクラスの範囲に入るB細胞のポリペプチド産物を意味するものとする(Borrebaeck(編)(1995年)Antibody Engineering、第2
版、Oxford University Press.;Kuby(1997年)Immunology、第3版、W.H. Freeman and Company、New Yorkを参照されたい)。本発明に関しては、本発明の抗体が結合し得る特異的な分子抗原として、標的GD2が挙げられる。
【0043】
「ヒト」という用語は、抗体またはその機能性断片に関して使用される場合、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に対応するヒト可変領域および/またはヒト定常領域またはその一部を有する抗体またはその機能性断片を指す。そのようなヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列は、Kabatら(1991年)Sequences of Proteins of Immunological
Interest、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91~3242により記載されている。ヒト抗体は、本発明に関しては
、GD2に結合し、かつ、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン核酸配列の天然に存在する体細胞性バリアントである核酸配列によりコードされる抗体を含み得る。ヒト抗体を作製する典型的な方法が実施例Iに提示されているが、当業者に周知の任意の方法を使用することができる。
【0044】
「モノクローナル抗体」という用語は、単一細胞クローンもしくはハイブリドーマまたは単一細胞に由来する細胞の集団の産物である抗体を指す。モノクローナル抗体とは、単一分子免疫グロブリン種が産生されるように組換え方法によって重鎖および軽鎖をコードする免疫グロブリン遺伝子から作製される抗体も指すものとする。モノクローナル抗体調製物内の抗体のアミノ酸配列は実質的に均一であり、そのような調製物内の抗体の結合活性は実質的に同じ抗原結合活性を示す。対照的に、ポリクローナル抗体は、集団内の異なるB細胞から得られる、特異的な抗原に結合する免疫グロブリン分子の組合せである。ポリクローナル抗体の各免疫グロブリンは、同じ抗原の異なるエピトープに結合し得る。モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方の作製方法は当技術分野で周知である(HarlowおよびLane.、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989年)およびBorrebaeck(編)、Antibody Engineering: A
Practical Guide、W.H. Freeman and Co.、Publishers、New York、103~120頁(1991年))。
【0045】
本明細書で使用される場合、「機能性断片」という用語は、抗体に関して使用される場合、その断片が由来する抗体としての結合活性の一部または全部を保持する重鎖または軽鎖ポリペプチドを含む抗体の一部を指すものとする。そのような機能性断片としては、例えば、Fd、Fv、Fab、F(ab’)、F(ab)2、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ(triabody)、テトラボディおよびミニボディを挙げることができる。他の機能性断片としては、例えば、そのような機能性断片が結合活性を保持する限りは、重鎖または軽鎖ポリペプチド、可変領域ポリペプチドまたはCDRポリペプチドまたはその一部を挙げることができる。そのような抗体の結合性断片は、例えば、HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(1989年);Myers(編)、Molec. Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference、New York:VCH Publisher, Inc.;Hustonら、Cell Biophysics、22巻:189~224頁(1993年);PluckthunおよびSkerra、Meth. Enzymol.、178巻:497~515頁(1989年)な
らびにDay、E.D.、Advanced Immunochemistry、第2版、Wiley-Liss, Inc.、New York、NY(1990年)に見いだすことができる。
【0046】
「重鎖」という用語は、抗体に関して使用される場合、アミノ末端部分が約120~130またはそれ超のアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分が定常領域を含む、約50~70kDaのポリペプチド鎖を指す。定常領域は、重鎖定常領域のアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)およびミュー(μ)と称される5種の別個の型のうちの1種であり得る。別個の重鎖は、サイズが異なり、α、δおよびγはおよそ450アミノ酸を含有し、μおよびεはおよそ550アミノ酸を含有する。これらの別個の型の重鎖を軽鎖と組み合わせると、IgGの4つのサブクラス、すなわちIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含め、5つの周知のクラスの抗体、それぞれIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが生じる。重鎖はヒト重鎖であり得る。
【0047】
「軽鎖」という用語は、抗体に関して使用される場合、アミノ末端部分が約100~約110またはそれ超のアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分が定常領域を含む、約25kDaのポリペプチド鎖を指す。軽鎖のおおよその長さは211~217アミノ酸である。定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてカッパ(κ)またはラムダ(λ)と称される2種の別個の型が存在する。軽鎖アミノ酸配列は当技術分野で周知である。軽鎖はヒト軽鎖であり得る。
【0048】
「可変ドメイン」または「可変領域」という用語は、一般に軽鎖または重鎖のアミノ末端に位置し、長さが重鎖では約120~130アミノ酸、軽鎖では約100~110アミノ酸であり、特定の抗体それぞれの、その特定の抗原に対する結合および特異性に使用される、抗体の軽鎖または重鎖の一部を指す。可変ドメインは異なる抗体の間で配列が広範囲にわたって異なる。配列の変動性はCDRに集中し、可変ドメイン内の変動性の低い部分はフレームワーク領域(FR)と称される。軽鎖および重鎖のCDRは、抗体と抗原の相互作用に主に関与する。本明細書で使用されるアミノ酸の位置の番号付けは、Kabatら
(1991年)Sequences of proteins of immunological interest.(U.S. Department of Health and Human Services、Washington、D.C.)、第5版にある通りE
U Indexに従う。可変領域はヒト可変領域であり得る。
【0049】
CDRとは、免疫グロブリン(Igまたは抗体)VH β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(H1、H2またはH3)のうちの1つ、または抗体VL β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(L1、L2またはL3)のうちの1つを指す。したがって、CDRとは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。CDR領域は当業者には周知であり、例えば、Kabatにより、抗体可変(V)ドメイン内の最も超可変性の領域であると定義されてい
る(Kabatら、J. Biol. Chem. 252巻:6609~6616頁(1977年);Kabat、Adv. Prot. Chem. 32巻:1~75頁(1978年))。またCDR領域配列は、Chothiaにより、保存されたβ-シートフレームワークの一部ではなく、したがって、
異なるコンフォメーションに適合させることができる残基であると構造的に定義されている(ChothiaおよびLesk、J. Mol. Biol. 196巻:901~917頁(1987年))。どちらの用語法も当技術分野において十分に認識されている。標準的な抗体可変ドメイン内のCDRの位置は、多数の構造を比較することによって決定されている(Al-Lazikaniら、J. Mol. Biol. 273巻:927~948頁(1997年);Moreaら、Methods 20巻:267~279頁(2000年))。超可変領域内の残基の数は異なる抗体では変動するので、標準的な可変ドメイン番号付けスキームでは慣習的に、標準的な位置と比較して追加的な残基には残基数の隣にa、b、cなどの番号が付される(Al-Lazikaniら、上記(1997年))。そのような命名法も同様に当業者に周知である。
【0050】
例えば、Kabat(超可変)またはChothia(構造的)による命名のいずれかに従って定義されるCDRは、以下の表1に記載されている。
【表1】
【0051】
1つまたは複数のCDRを共有結合または非共有結合のいずれかにより分子に組み入れて、イムノアドヘシンを作出することもできる。イムノアドヘシンは、CDR(複数可)をより大きなポリペプチド鎖の一部として組み入れることもでき、CDR(複数可)を別のポリペプチド鎖と共有結合により連結することもでき、CDR(複数可)を非共有結合により組み入れることもできる。CDRにより、イムノアドヘシンが特定の目的の抗原に結合することが可能になる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、抗体、抗体機能性断片またはポリヌクレオチドに関して使用される場合、参照されている分子が天然で見いだされる少なくとも1つの成分を含まないことを意味するものとする。この用語は、その天然の環境で見いだされる他の成分の一部または全部から取り出された抗体、抗体機能性断片またはポリヌクレオチドを包含する。抗体の天然の環境の成分としては、例えば、赤血球、白血球、血小板、血漿、タンパク質、核酸、塩および栄養素が挙げられる。抗体機能性断片またはポリヌクレオチドの天然の環境の成分としては、例えば、脂質膜、細胞小器官、タンパク質、核酸、塩および栄養素が挙げられる。本発明の抗体、抗体機能性断片またはポリヌクレオチドはまた、それが単離されたまたは組換えによって作製された細胞のこれらの成分または任意の他の成分の全てを含まないまたは実質的にまで含まないものであり得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる抗体クラスを指す。所与の抗体または機能性断片の重鎖により、その抗体または機能性断片のクラス、IgM、IgG、IgA、IgDまたはIgEが決定される。各クラスはκまたはλ軽鎖のいずれかを有し得る。「サブクラス」という用語は、サブクラスを識別する重鎖のアミノ酸配列の軽微な差異を指す。ヒトでは、IgAのサブクラスが2つ(サブクラスIgA1およびIgA2)存在し、IgGのサブクラスが4つ(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)存在する。そのようなクラスおよびサブクラスは当業者には周知である。
【0054】
「結合する(binds)」または「結合(binding)」という用語は、本明細書で使用される場合、複合体が形成される、分子間の相互作用を指す。相互作用は、例えば、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、および/またはファンデルワールス相互作用を含めた、非共有結合性の相互作用であってよい。複合体は、共有結合性または非共有結合性の結合、相互作用または力によって一緒に保持される2つまたはそれ超の分子の結合も含み得る。抗体またはその機能性断片の結合は、例えば、実施例Iで提示される方法である酵素結合免疫吸着アッセイ、または当業者に周知のいくつかの方法の任意の1つを使用して検出することができる。
【0055】
抗体または機能性断片上の単一の抗原結合性部位とGD2などの標的分子の単一のエピトープの間の非共有結合性の相互作用全体の強度は、そのエピトープに対する抗体または機能性断片の親和性である。抗体またはその機能性断片と一価の抗原の会合(k1)と解離(k-1)の比(k1/k-1)が会合定数Kであり、これが親和性の尺度である。Kの値は、抗体または機能性断片と抗原の異なる複合体で変動し、k1およびk-1の両方に依存する。本発明の抗体または機能性断片についての会合定数Kは、本明細書で提供される任意の方法または当業者に周知の任意の他の方法を使用して決定することができる。
【0056】
1つの結合性部位における親和性が必ずしも抗体または機能性断片と抗原の間の相互作用の真の強度を反映するとは限らない。複合体の抗原が、例えば、多価GD2など、多数の結合性部位を含有する抗体と接触する多数の反復抗原性決定因子を含有するものである場合、1つの部位における抗体または機能性断片と抗原の相互作用により、第2の部位における反応の確率が上昇する。そのような多価抗体と抗原の間の多数の相互作用の強度は結合活性と称される。抗体または機能性断片の結合活性は、その結合能に関して、その個々の結合性部位の親和性よりも良好な尺度であり得る。例えば、IgGよりも低い親和性を有する可能性があるが、その多価性によって生じるIgMの高結合活性により抗原に有効に結合することが可能になる五量体IgM抗体に関して時に見いだされる通り、高結合活性によって低親和性が補償され得る。
【0057】
抗体またはその機能性断片の特異性とは、個々の抗体またはその機能性断片の、1つの抗原とのみ反応する能力を指す。抗体または機能性断片は、抗原または抗原の異性体型の一次、二次または三次構造の差異を区別することができるものであれば、特異的であるとみなすことができる。抗体は、結合エピトープが他の抗原上に存在する場合、交差反応性であり得る。
【0058】
「ポリヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのいずれか、またはその類似体の、任意の長さのポリマーの形態のヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチドの配列は4種のヌクレオチド塩基:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);チミン(T);およびポリヌクレオチドがRNAの場合にはチミンの代わりにウラシル(U)で構成される。したがって、「ヌクレオチド配列」または「核酸配列」という用語は、ポリヌクレオチドのアルファベット表示である。ポリヌクレオチドは、遺伝子または遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、ESTまたはSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブおよびプライマーを含み得る。ポリヌクレオチドはまた、二本鎖分子と一本鎖分子の両方を指す。別段の指定または必要がない限り、ポリヌクレオチドである本発明の任意の実施形態は、二本鎖形態および二本鎖形態を構成することが分かっているまたは予測される2つの相補的な一本鎖形態のそれぞれの両方を包含する。本明細書に記載の単離されたポリヌクレオチドおよび核酸は、天然に存在しないポリヌクレオチドおよび核酸を対象とすることが理解される。天然に存在しないポリヌクレオチドおよび核酸としては、これらに限定されないが、cDNAおよび化学的に合成された分子を挙げることができる。
【0059】
ポリヌクレオチドに関して使用される「コードする」という用語またはその文法上の等価物は、そのネイティブな状態の、または当業者に周知の方法によって操作した場合に、転写されてmRNAを生じ得、次いでそれがポリペプチドおよび/またはその断片に翻訳されるポリヌクレオチドを指す。アンチセンス鎖は、そのようなポリヌクレオチドの相補物であり、それからコード配列を推定することができる。
【0060】
「治療剤」という句は、GD2の発現に関連する疾患および/またはそれに関連する症状の治療、管理または好転に使用することができる任意の薬剤を指す。ある特定の実施形態では、治療剤とは、本発明の抗体または機能性断片を指す。他の実施形態では、治療剤とは、本発明の抗体または機能性断片以外の薬剤を指す。治療剤は、GD2の発現に関連する疾患および/またはそれに関連する1つもしくは複数の症状を治療する、管理するまたは好転させるために有用であることが周知である、または、そのために使用されていたもしくは現在使用されている薬剤であってよい。
【0061】
「診断剤」という句は、疾患の診断に役立つ、対象に投与される物質を指す。そのような物質は、疾患を引き起こすプロセスの局在化を明らかにするため、正確に示すため、および/または定義するために使用することができる。ある特定の実施形態では、診断剤は、対象に投与した場合または対象由来の試料と接触させた場合に、がんまたは腫瘍形成の診断に役立つ、本発明の抗体または機能性断片とコンジュゲートした物質を含む。
【0062】
「検出可能な薬剤」という句は、試料または対象における本発明の抗体または機能性断片などの所望の分子の存在(existence)または存在(presence)を確認するために使用することができる物質を指す。検出可能な薬剤は、可視化することができる物質または他のやり方で決定および/もしくは測定すること(例えば、定量化によって)ができる物質であってよい。
【0063】
「有効量」とは、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回または複数回の投与、塗布または投薬で投与することができる。そのような送達は、個々の投薬単位が使用される期間、薬剤の生物学的利用能、投与経路などを含めたいくつかの変数に左右される。
【0064】
「治療有効量」という句は、本明細書で使用される場合、所与の疾患および/またはそれに関連する症状の重症度および/または持続時間を低下および/または好転させるのに十分な、治療剤(例えば、本明細書で提供される抗体もしくは機能性断片または本明細書で提供される任意の他の治療剤)の量を指す。治療剤の治療有効量は、所与の疾患の進行(advancement)または進行(progression)を低下もしくは好転させるため、所与の疾患の再発、発生もしくは発症を低下もしくは好転させるため、および/または、別の療法(例えば、本明細書で提供される抗体または機能性断片を投与すること以外の療法)の予防もしくは治療効果を改善もしくは増強するために必要な量であり得る。
【0065】
GD2ガングリオシド、ガングリオシドGD2、およびガングリオシドG2としても公知の化合物GD2は、分子式C74H134N4O32およびモル質量1591.86g/molを有するジシアロガングリオシドである。ガングリオシドは、ほとんどの細胞膜の外表面上に見いだされる酸性スフィンゴ糖脂質である。これらは、高い抗原密度、修飾の欠如、多くの腫瘍における相対的均一性およびサイトカインによる上方調節の可能性のために、モノクローナル抗体(mAb)の標的であり得る。多くの腫瘍が異常な糖脂質組成および構造を有する。GD2は、神経外胚葉または上皮起源のもの、事実上全てのメラノーマ、ならびに骨肉腫および軟部組織肉腫由来の腫瘍試料のおよそ50%を含む、広いスペクトルのヒト腫瘍において見いだされている。
【0066】
一部の実施形態では、本発明は、抗体重鎖または軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供し、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる抗体重鎖または軽鎖またはその機能性断片は
図1~21に示されているまたは表2に列挙されている相補性決定領域(CDR)のうちの1つまたは複数を有する。CDRのうちの1つまたは複数を含む抗体またはその機能性断片は、本明細書に記載の通りGD2に特異的に結合することができる。GD2への特異的な結合は、本明細書で提供される抗体のいずれかに関して実施例Iで提示される特異性、親和性および/または結合活性を含み得る。一部の態様では、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる抗体またはその機能性断片は、本明細書に記載のクローン単離体1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2または32E2の任意の1つの補体依存性細胞傷害(CDC)活性および/または抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を含み得る。抗体またはその機能性断片の特異性、親和性および/または結合活性を評価するための方法は当技術分野で周知であり、例示的な方法は本明細書で提供される。
【0067】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその機能性断片は、6つ未満のCDRを含む。一部の実施形態では、抗体またはその機能性断片は、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのCDRを含む。特定の実施形態では、抗体またはその機能性断片は、本明細書に記載のクローン単離体1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2または32E2のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのCDRを含む。
【0068】
一部の実施形態では、本発明は、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを含む抗体重鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、VH CDR1アミノ酸配列が、配列番号2の残基26~33;配列番号6の残基26~33;配列番号10の残基26~33;配列番号14の残基26~33;配列番号18の残基26~33;配列番号22の残基26~33;配列番号26の残基26~33;配列番号30の残基26~33;配列番号34の残基26~33;配列番号36の残基26~33;および配列番号40の残基26~33からなる群から選択され;VH CDR2アミノ酸配列が、配列番号2の残基51~58;配列番号6の残基51~58;配列番号10の残基51~58;配列番号14の残基51~58;配列番号18の残基51~58;配列番号22の残基51~58;配列番号26の残基51~58;配列番号30の残基51~58;配列番号34の残基51~58;配列番号36の残基51~58;および配列番号40の残基51~58からなる群から選択され;VH CDR3アミノ酸配列が、配列番号2の残基97~109;配列番号6の残基97~109;配列番号10の残基97~108;配列番号14の残基97~108;配列番号18の残基97~108;配列番号22の残基97~108;配列番号26の残基97~109;配列番号30の残基97~109;配列番号34の残基97~110;配列番号36の残基97~110;および配列番号40の残基97~108からなる群から選択される、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0069】
他の実施形態では、本発明は、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを含む抗体重鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、VH CDR1アミノ酸配列が、配列番号1の残基76~99;配列番号5の残基76~99;配列番号9の残基76~99;配列番号13の残基76~99;配列番号17の残基76~99;配列番号21の残基76~99;配列番号25の残基76~99;配列番号29の残基76~99;配列番号33の残基76~99;配列番号35の残基76~99;配列番号39の残基76~99からなる群から選択される核酸配列によってコードされ;VH CDR2アミノ酸配列が、配列番号1の残基151~174;配列番号5の残基151~174;配列番号9の残基151~174;配列番号13の残基151~174;配列番号17の残基151~174;配列番号21の残基151~174;配列番号25の残基151~174;配列番号29の残基151~174;配列番号33の残基151~174;配列番号35の残基151~174;配列番号39の残基151~174からなる群から選択される核酸配列によってコードされ;VH CDR3アミノ酸配列が、配列番号1の残基289~327;配列番号5の残基289~327;配列番号9の残基289~324;配列番号13の残基289~324;配列番号17の残基289~324;配列番号21の残基289~324;配列番号25の残基289~327;配列番号29の残基289~327;配列番号33の残基289~330;配列番号35の残基289~330;配列番号39の残基289~324からなる群から選択される核酸配列によってコードされる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0070】
一部の実施形態では、本発明は、クローン単離体1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2または32E2のVH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重(VH)鎖ドメインを含む抗体重鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0071】
一部の実施形態では、本発明は、配列番号2の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号6の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号10の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号14の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号18の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号22の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号26の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号30の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号34の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;配列番号36の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;ならびに配列番号40の残基26~33、残基51~58、および残基97~108からなる群から選択されるVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重(VH)鎖ドメインを含む抗体重鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0072】
他の実施形態では、本発明は、配列番号1の残基76~99、残基151~174、および残基289~327;配列番号5の残基76~99、残基151~174、および残基289~327;配列番号9の残基76~99、残基151~174、および残基289~324;配列番号13の残基76~99、残基151~174、および残基289~324;配列番号17の残基76~99、残基151~174、および残基289~324;配列番号21の残基76~99、残基151~174、および残基289~324;配列番号25の残基76~99、残基151~174、および残基289~327;配列番号29の残基76~99、残基151~174、および残基289~327;配列番号33の残基76~99、残基151~174、および残基289~330;配列番号35の残基76~99、残基151~174、および残基289~330;配列番号39の残基76~99、残基151~174、および残基289~324からなる群から選択される核酸配列によってコードされるVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重(VH)鎖ドメインを含む抗体重鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0073】
別の実施形態では、本発明は、配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変重(VH)鎖ドメインを含む抗体重鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0074】
さらに別の実施形態では、本発明は、可変重(VH)鎖ドメインを含む抗体重鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、VHドメインアミノ酸配列が、配列番号1;配列番号5;配列番号9;配列番号13;配列番号17;配列番号21;配列番号25;配列番号29;配列番号33;配列番号35;および配列番号39からなる群から選択される核酸配列によってコードされる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0075】
一部の実施形態では、本発明は、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む抗体軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、VL CDR1が、配列番号4の残基27~37;配列番号8の残基27~37;配列番号12の残基27~38;配列番号16の残基27~38;配列番号20の残基27~38;配列番号24の残基27~38;配列番号28の残基27~37;配列番号32の残基27~37;配列番号38の残基27~32;および配列番号42の残基27~38からなる群から選択され;VL CDR2が、配列番号4の残基55~57;配列番号8の残基55~57;配列番号12の残基56~58;配列番号16の残基56~58;配列番号20の残基56~58;配列番号24の残基56~58;配列番号28の残基55~57;配列番号32の残基55~57;配列番号38の残基50~52;および配列番号42の残基56~58からなる群から選択され、VL CDR3が、配列番号4の残基94~102;配列番号8の残基94~102;配列番号12の残基95~103;配列番号16の残基95~103;配列番号20の残基95~103;配列番号24の残基95~103;配列番号28の残基94~102;配列番号32の残基94~102;配列番号38の残基89~97;および配列番号42の残基95~103からなる群から選択される、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0076】
一部の実施形態では、本発明は、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む抗体軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、VL CDR1が、配列番号3の残基79~111;配列番号7の残基79~111;配列番号11の残基79~114;配列番号15の残基79~114;配列番号19の残基79~114;配列番号23の残基79~114;配列番号27の残基79~111;配列番号31の残基79~111;配列番号37の残基79~96;および配列番号41の残基79~114からなる群から選択される核酸配列によってコードされ;VL CDR2が、配列番号3の残基163~171;配列番号7の163~171;配列番号11の166~174;配列番号15の166~174;配列番号19の166~174;配列番号23の166~174;配列番号27の163~171;配列番号31の163~171;配列番号37の148~156;および配列番号41の166~174からなる群から選択される核酸配列によってコードされ;VL CDR3が、配列番号3の残基280~306;配列番号7の残基280~306;配列番号11の残基283~309;配列番号15の残基283~309;配列番号19の残基283~309;配列番号23の残基283~309;配列番号27の残基280~306;配列番号31の残基280~306;配列番号37の残基265~291;配列番号41の残基283~309からなる群から選択される核酸配列によってコードされる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0077】
一部の実施形態では、本発明は、クローン単離体1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2または32E2のVL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽(VL)鎖ドメインを含む抗体軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0078】
一部の実施形態では、本発明は、配列番号4の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号8の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号12の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号16の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号20の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号24の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号28の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号32の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号38の残基27~32、残基50~52、および残基89~97;ならびに配列番号42の残基27~38、残基56~58、および残基95~103からなる群から選択されるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む抗体軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0079】
他の実施形態では、本発明は、配列番号3の残基79~111、残基163~171、および残基280~306;配列番号7の残基79~111、残基163~171、および残基280~306;配列番号11の残基79~114、残基166~174、および残基283~309;配列番号15の残基79~114、残基166~174、および残基283~309;配列番号19の残基79~114、残基166~174、および残基283~309;配列番号23の残基79~114、残基166~174、および残基283~309;配列番号27の残基79~111、残基163~171、および残基280~306;配列番号31の残基79~111、残基163~171、および残基280~306;配列番号37の残基79~96、残基148~156、および残基265~291;配列番号41の残基79~114、残基166~174、および残基283~309からなる群から選択される核酸配列によってコードされるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む抗体軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0080】
別の実施形態では、本発明は、配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む抗体軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0081】
さらに別の実施形態では、本発明は、可変軽鎖(VL)ドメインを含む抗体軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、VLドメインアミノ酸配列が、配列番号3;配列番号7;配列番号11;配列番号15;配列番号19;配列番号23;配列番号27;配列番号31;配列番号37;および配列番号41からなる群から選択される核酸配列によってコードされる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0082】
一部の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片を提供する。一部の態様では、抗体またはその機能性断片は、
図1~21に示されているまたは表2に列挙されているCDRのうちの1つまたは複数を有する。CDRのうちの1つまたは複数、特にCDR3を含む抗体またはその機能性断片は、本明細書に記載の通りGD2に特異的に結合することができる。GD2への特異的な結合は、本明細書で提供される抗体のいずれかに関して実施例Iに記載される特異性および親和性を含み得る。一部の態様では、本発明の抗体またはその機能性断片は、本明細書に記載のクローン単離体1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2または32E2のうちのいずれか1つのCDC活性および/またはADCC活性を含み得る。
【0083】
一部の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片を提供する。従って、一部の態様では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを含み、VH CDR1アミノ酸配列が、配列番号2の残基26~33;配列番号6の残基26~33;配列番号10の残基26~33;配列番号14の残基26~33;配列番号18の残基26~33;配列番号22の残基26~33;配列番号26の残基26~33;配列番号30の残基26~33;配列番号34の残基26~33;配列番号36の残基26~33;および配列番号40の残基26~33からなる群から選択され;VH CDR2アミノ酸配列が、配列番号2の残基51~58;配列番号6の残基51~58;配列番号10の残基51~58;配列番号14の残基51~58;配列番号18の残基51~58;配列番号22の残基51~58;配列番号26の残基51~58;配列番号30の残基51~58;配列番号34の残基51~58;配列番号36の残基51~58;および配列番号40の残基51~58からなる群から選択され;VH CDR3アミノ酸配列が、配列番号2の残基97~109;配列番号6の残基97~109;配列番号10の残基97~108;配列番号14の残基97~108;配列番号18の残基97~108;配列番号22の残基97~108;配列番号26の残基97~109;配列番号30の残基97~109;配列番号34の残基97~110;配列番号36の残基97~110;および配列番号40の残基97~108からなる群から選択される、抗体またはその機能性断片を提供する。
【0084】
一部の他の態様では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、配列番号2の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号6の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号10の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号14の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号18の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号22の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号26の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号30の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号34の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;配列番号36の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;ならびに配列番号40の残基26~33、残基51~58、および残基97~108からなる群から選択されるVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを含む、抗体またはその機能性断片を提供する。
【0085】
さらに他の態様では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを含む、抗体またはその機能性断片を提供する。
【0086】
一部の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含み、VL CDR1が、配列番号4の残基27~37;配列番号8の残基27~37;配列番号12の残基27~38;配列番号16の残基27~38;配列番号20の残基27~38;配列番号24の残基27~38;配列番号28の残基27~37;配列番号32の残基27~37;配列番号38の残基27~32;および配列番号42の残基27~38からなる群から選択され;VL CDR2が、配列番号4の残基55~57;配列番号8の残基55~57;配列番号12の残基56~58;配列番号16の残基56~58;配列番号20の残基56~58;配列番号24の残基56~58;配列番号28の残基55~57;配列番号32の残基55~57;配列番号38の残基50~52;および配列番号42の残基56~58からなる群から選択され、VL CDR3が、配列番号4の残基94~102;配列番号8の残基94~102;配列番号12の残基95~103;配列番号16の残基95~103;配列番号20の残基95~103;配列番号24の残基95~103;配列番号28の残基94~102;配列番号32の残基94~102;配列番号38の残基89~97;および配列番号42の残基95~103からなる群から選択される、抗体またはその機能性断片を提供する。
【0087】
一部の態様では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、配列番号4の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号8の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号12の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号16の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号20の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号24の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号28の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号32の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号38の残基27~32、残基50~52、および残基89~97;ならびに配列番号42の残基27~38、残基56~58、および残基95~103からなる群から選択されるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む、抗体またはその機能性断片を提供する。
【0088】
一部の他の態様では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む、抗体またはその機能性断片を提供する。
【0089】
一部の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、可変重鎖(VH)ドメインおよび可変軽鎖(VL)ドメインを含み、VHドメインが、配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し;VLが、配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、抗体またはその機能性断片を提供する。
【0090】
一部の他の実施形態では、本発明は、GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、可変重鎖(VH)ドメインおよび可変軽鎖(VL)ドメインを含み、VHドメインおよびVLドメインが、それぞれ、配列番号2および配列番号4;配列番号6および配列番号8;配列番号10および配列番号12;配列番号14および配列番号16;配列番号18および配列番号20;配列番号22および配列番号24;配列番号26および配列番号28;配列番号30および配列番号32;配列番号34および配列番号38;配列番号36および配列番号38;ならびに配列番号40および配列番号42からなる群からのアミノ酸配列を含む、抗体またはその機能性断片を提供する。
【表2】
【0091】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で提供されるポリヌクレオチドのバリアントを提供する。バリアントは、ポリヌクレオチドに関して使用される場合、例えば、これらに限定されないが、メチル化されたヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体などの、1つまたは複数の修飾されたヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを含む。さらに、バリアントポリヌクレオチドは、非ヌクレオチド成分が間に入ったポリヌクレオチドを含み得る。ポリヌクレオチドに対する修飾は、当業者に周知の方法を使用してポリヌクレオチドの集合前または後に加えることができる。例えば、ポリヌクレオチドは、重合後に酵素的または化学的技法のいずれかを使用して標識成分とコンジュゲートすることによって修飾することができる(例えば、GottfriedおよびWeinhold、2011年、Biochem. Soc. Trans.、39巻(2号):523~628頁;Paredesら、2011年、Methods、54巻(2
号):251~259頁に記載の通り)。
【0092】
当技術分野で周知の任意の方法によってポリヌクレオチドを得、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができる。1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2および32E2の可変重鎖ドメインおよび可変軽鎖ドメインのアミノ酸配列は既知であるので(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42を参照されたい)、抗体およびこれらの抗体の修飾型をコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で周知の方法を使用して決定することができる、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが分かっているヌクレオチドコドンを、当該抗体をコードする核酸が生成するように集合させる。そのような抗体をコードするポリヌクレオチドは、化学的に合成したオリゴヌクレオチドから集合させることができ(例えば、Kutmeierら、1994年、BioTechniques 17巻:242頁に記載の通り)、これは
、簡単に述べると、抗体、断片、またはそのバリアントをコードする配列の重複オリゴヌクレオチド含有部分を合成し、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーションを行い、次いで、ライゲーションしたオリゴヌクレオチドをPCRによって増幅することを伴う。
【0093】
本発明の抗体またはその機能性断片をコードするポリヌクレオチドは、単離体1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2または32E2の可変重鎖ドメインおよび/または可変軽鎖ドメインの核酸配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、および41)を使用して生成することができる。抗体または機能性断片をコードする核酸は、化学的に合成することもでき、適切な供給源(例えば、抗体またはその機能性断片を発現させるために選択されたハイブリドーマ細胞などの抗体またはその機能性断片を発現する細胞から単離したcDNA)から、配列の3’および5’末端とハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用したPCR増幅によって、または特定の核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用したクローニングによって得ることもできる。次いで、PCRによって生成した増幅核酸を、当技術分野で周知の任意の方法を使用して、複製可能なクローニングベクターにクローニングすることができる。
【0094】
本発明の一部の態様では、単離された抗体またはその機能性断片はモノクローナル抗体である。本発明の一部の態様では、本明細書で提供される単離された抗体またはその機能性断片はIgGまたはIgMアイソタイプである。本発明のさらなる態様では、抗体またはその機能断片は、IgG1サブクラスの抗体である。
【0095】
一部の実施形態では、本発明は、本発明の抗体またはその機能性断片を作製する方法を提供する。本発明の方法は、本発明のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するステップ、宿主細胞を、本発明の抗体または機能性断片のコードされる重鎖および/または軽鎖を産生させる条件下、それに十分な期間にわたって培養するステップ、ならびに抗体または機能性断片の重鎖および/または軽鎖を精製するステップを含み得る。他の実施形態では、本発明は、本発明の抗体または機能性断片をコードするポリヌクレオチドを有する組換え細胞を提供する。一部の態様では、抗体またはその機能性断片は、1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2または32E2と名付けた抗体の可変重鎖ドメインおよび可変軽鎖ドメインを有する。
【0096】
GD2抗原に結合する本発明の抗体またはその機能性断片の組換え発現は、本発明の抗体または機能性断片の重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を含み得る。本発明の抗体またはその機能性断片(重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインを含有することが好ましいが、必ずしもそうでなくてよい)をコードするポリヌクレオチドが得られたら、抗体または機能性断片を産生させるためのベクターを、当技術分野で周知の技法を使用して組換えDNA技術によって作製することができる。抗体またはその機能性断片をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによってタンパク質を調製するための方法は、本明細書に記載されている。
【0097】
当業者に周知の方法を使用して、抗体またはその機能性断片のコード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、in vitroにおける組換えDNA技法、合成法、およびin vivoにおける遺伝子組換えが挙げられる。したがって、本発明は、プロモーターに作動可能に連結した、本発明の抗体またはその機能性断片をコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。そのようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含み得(例えば、国際公開第WO86/05807およびWO89/01036号;ならびに米国特許第5,122,464号を参照されたい)、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖全体と軽鎖全体の両方を発現させるために、抗体の可変ドメインをそのようなベクターにクローニングすることができる。
【0098】
発現ベクターを従来の技法によって宿主細胞に移入することができ、次いで、トランスフェクトされた細胞を従来の技法によって培養して本発明の抗体またはその機能性断片を産生させる。したがって、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結した、本発明の抗体またはその機能性断片をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を包含する。二本鎖抗体の発現に関する一部の実施形態では、以下に詳述されている通り、免疫グロブリン分子全体を発現させるために、重鎖および軽鎖を両方コードするベクターを宿主細胞において同時発現させることができる。
【0099】
本発明の抗体またはその機能性断片を発現させるために、種々の宿主-発現ベクター系を利用することができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照されたい)。そのような宿主-発現系は、目的のコード配列を産生させ、その後、精製することができるビヒクルを意味するが、適切なヌクレオチドコード配列を用いて形質転換またはトランスフェクトすると、in situで本発明の抗体分子を発現し得る細胞も意味する。これらとしては、これらに限定されないが、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換した細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis);抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターを用いて形質転換した酵母(例えば、Saccharomyces Pichia)などの微生物;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させた、もしくは抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)を用いて形質転換した植物細胞系;または、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)が挙げられる。一部の態様では、特に組換え抗体全体を発現させるための、Escherichia
coliなどの細菌細胞、または真核細胞を、組換え抗体または機能性断片を発現させるために使用する。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと併せて、抗体の有効な発現系である(Foeckingら、1986年、Gene 45巻:101頁;およびCockettら、1990年、Bio/Technology 8巻:2頁)。一
部の実施形態では、本発明の抗体またはその断片をCHO細胞において産生させる。一実施形態では、GD2に結合する本発明の抗体またはその機能性断片をコードするヌクレオチド配列の発現を構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは組織特異的プロモーターによって調節する。
【0100】
細菌系では、発現させる抗体分子の意図された使用に応じて、いくつかの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、抗体分子の医薬組成物を生成するためにそのような抗体を大量に産生させる場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を導くベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターとしては、これらに限定されないが、抗体コード配列を個別にlac Zコード領域とインフレームでベクターにライゲーションすることができ、したがって融合タンパク質を産生させるE.coli発現ベクターpUR278(Rutherら、1983年、EMBO 12巻:1791頁);pINベクター(Inouye & Inouye、1985年、Nucleic Acids Res. 13巻:3101~
3109頁;Van Heeke & Schuster、1989年、J. Biol. Chem. 24巻:55
03~5509頁)などが挙げられる。外来ポリペプチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させるためにpGEXベクターを使用することもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズに吸着および結合させ、その後、遊離のグルタチオンの存在下で溶出させることによって溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含み、したがって、クローニングされた標的遺伝子産物をGST部分から放出させることができるように設計されている。
【0101】
昆虫系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用する。ウイルスはSpodoptera frugiperda細胞で成長する。抗体または機能性断片のコード配列を個別にウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン遺伝子)にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
【0102】
哺乳動物宿主細胞では、いくつかのウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、目的の抗体コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー配列にライゲーションすることができる。次いで、このキメラ遺伝子をin vitroまたはin vivoにおける組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、E1領域またはE3領域)への挿入により、感染した宿主において生存可能であり、抗体分子を発現することができる組換えウイルスが生じる(例えば、Logan & Shenk、1984年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
81巻:355~359頁を参照されたい)。挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳のために特定の開始シグナルを使用することもできる。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、挿入断片全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは所望のコード配列の読み枠と同相になければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然でも合成でも種々の起源のものであってよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることによって増強することができる(例えば、Bittnerら、1987年、Methods in Enzymol. 153巻:51~544頁を参照されたい)。
【0103】
さらに、挿入配列の発現を調節する、または遺伝子産物を所望の特定の様式で修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、抗体または機能性断片の機能のために重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾に関して特徴的かつ特異的な機構を有する。発現させる外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするために適切な細胞系統または宿主系を選択することができる。この目的のために、一次転写物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化、およびリン酸化のための細胞機構を有する真核生物宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞としては、これらに限定されないが、CHO細胞、VERY細胞、BHK細胞、Hela細胞、COS細胞、MDCK細胞、293細胞、3T3細胞、W138細胞、BT483細胞、Hs578T細胞、HTB2細胞、BT2O細胞およびT47D細胞、NS0(内因的にはいかなる免疫グロブリン鎖も産生しないマウス骨髄腫細胞系統)細胞、CRL7O3O細胞およびHsS78Bst細胞が挙げられる。
【0104】
長期間にわたり、組換えタンパク質の高収率の産生、安定発現が好ましい。例えば、本発明の抗体または機能性断片を安定に発現する細胞系統を工学的に作製することができる。ウイルスの複製開始点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制御されるDNA、および選択マーカーを用いて宿主細胞を形質転換することができる。外来DNAの導入後、工学的に作製した細胞を栄養強化培地で1~2日間成長させることができ、次いで選択培地に切り換える。組換えプラスミド内の選択マーカーにより選択に対する耐性が付与され、細胞がそれらの染色体内にプラスミドを安定に組み込み、成長して巣を形成させることが可能になり、今度はそれをクローニングし、拡大増殖させて細胞系統にすることができる。この方法を有利に使用して、抗体分子を発現する細胞系統を工学的に作製することができる。
【0105】
これらに限定されないが、それぞれtk-細胞、hgprt-細胞またはaprt-細胞において使用することができる単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerら、1977年、Cell 11巻:223頁)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska & Szybalski、1992年、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 48巻:202頁)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ
遺伝子(Lowyら、1980年、Cell 22巻:8~17頁)を含めた、いくつかの選択系を使用することができる。また、代謝拮抗薬耐性を以下の遺伝子に対する選択の基礎として使用することができる:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wiglerら、1980年、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 77巻(6号):3567~7
0頁;O'Hareら、1981年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78巻:1527頁);グルタミン酸およびアンモニアが使用されるグルタミンの生合成に関与する酵素であるグルタミンシンテターゼ(GS)(Bebbingtonら、1992年、Biuotechnology 10巻:169頁);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg、
1981年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78巻:2072頁);アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(WuおよびWu、1991年、Biotherapy 3巻:87~95頁;Tolstoshev、1993年、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32巻:573~596頁;Mulligan、1993年、Science 260巻:926~932頁
;ならびにMorganおよびAnderson、1993年、Ann. Rev. Biochem. 62巻:191~217頁;1993年5月、TIB TECH 11巻(5号):155~215頁);およ
びハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerreら、1984年、Gene
30巻:147頁)。所望の組換えクローンを選択するために、組換えDNA技術の技術分野で周知の方法を常套的に適用することができ、そのような方法は、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY(1993年);Kriegler、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、NY(1990年);ならびにDracopoliら(編)、Current Protocols in Human Genetics、12章および13章、John Wiley & Sons、NY(1994年);Colberre-Garapinら、1981年、J. Mol. Biol. 150巻:1頁に記載されている。
【0106】
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって上昇させることができる(総説については、BebbingtonおよびHentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells、DNA cloning、3巻(Academic Press、New York、1987年)を参照されたい)。抗体または
その機能性断片を発現させるベクター系内のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルが上昇すると、マーカー遺伝子のコピー数が増加する。増幅された領域は抗体遺伝子に関連するので、抗体の産生も増加する(Crouseら、1983年、Mol. Cell. Biol. 3巻:257頁)。
【0107】
宿主細胞に、本発明の2種の発現ベクター、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターを同時トランスフェクトすることができる。2種のベクターは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択マーカーを含有してよい。あるいは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現させることができる単一のベクターを使用することができる。そのような状況では、毒性の遊離重鎖が過剰になるのを回避するために、軽鎖を重鎖の前に置くことができる(Proudfoot、1986年、Nature 322巻:5
2頁;およびKohler、1980年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77巻:2197~2199頁)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
【0108】
さらに、本発明の抗体または機能性断片の重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを、当技術分野で周知の技法を使用したコドン最適化に供して、所望の宿主細胞における本発明の抗体または機能性断片の最適化された発現を実現することができる。例えば、コドン最適化の1つの方法では、ネイティブなコドンを参照遺伝子セット由来の最も頻度の高いコドンで置換し、各アミノ酸についてのコドン翻訳の速度が高くなるように設計する。本発明の抗体または機能性断片の重鎖および/または軽鎖に適用することができる、所望のタンパク質を発現させるためのコドン最適化されたポリヌクレオチドを生成するための追加的な例示的な方法は、Kanayaら、Gene、238巻:143~155頁(1999年)、Wangら、Mol. Biol. Evol.、18巻(5号):792~800頁(2001年)、米国特許第5,795,737号、米国特許公開第2008/0076161号およびWO2008/000632に記載されている。
【0109】
本発明の抗体分子が組換え発現によって産生されたら、それを、免疫グロブリン分子を精製するための当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、特に特異的な抗原に対してはプロテインAクロマトグラフィーの後にアフィニティクロマトグラフィー、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差的な溶解性によって、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準の技法によって精製することができる。さらに、本発明の抗体または機能性断片は、精製を容易にするために、本明細書で提供されるまたはそうでなければ当技術分野で公知の異種ポリペプチド配列と融合することができる。例えば、本発明の抗体または機能性断片は、市販されている、とりわけ、ポリ-ヒスチジンタグ(Hisタグ)、FLAGタグ、赤血球凝集素タグ(HAタグ)またはmyc-タグを組換えによって付加することおよび当業者に周知の精製方法を利用することによって精製することができる。
【0110】
一部の実施形態では、本発明の抗体機能性断片は、これらに限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、scFV、ダイアボディ、トリアボディ、ミニボディまたは単一ドメイン抗体(sdAB)であってよい。抗体およびその機能性断片に関して、種々の形態、変更および修飾が当技術分野で周知である。本発明のGD2特異的抗体断片は、そのような種々の抗体の形態、変更および修飾のいずれかを含み得る。当技術分野で公知のそのような種々の形態および用語の例は以下に記載されている。
【0111】
Fab断片とは、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価の断片を指し、F(ab’)2断片は、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結した2つのFab断片を含む二価の断片であり、Fd断片は、VHおよびCH1ドメインからなり、Fv断片は、抗体の単一の腕のVLおよびVHドメインからなり、dAb断片(Wardら、Nature 341巻:544~546頁、(1989年))は、VHドメインからなる。
【0112】
抗体は1つまたは複数の結合性部位を有し得る。2つ以上の結合性部位が存在する場合、結合性部位は互いと同一であってもよく、異なってもよい。例えば、天然に存在する免疫グロブリンは2つの同一の結合性部位を有し、単鎖抗体またはFab断片は1つの結合性部位を有するが、「二特異性」または「二機能性」抗体は2つの異なる結合性部位を有する。
【0113】
単鎖抗体(scFv)とは、VL領域とVH領域がリンカー(例えば、アミノ酸残基の合成配列)によってつながって連続的なポリペプチド鎖を形成した抗体を指し、リンカーは、タンパク質鎖が折りたたまれ、一価の抗原結合性部位が形成されるのが可能になるのに十分に長いものである(例えば、Birdら、Science 242巻:423~26頁(19
88年)およびHustonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85巻:5879~83頁(1988年)を参照されたい)。ダイアボディとは、2つのポリペプチド鎖を含む二価の抗体を指し、各ポリペプチド鎖は、リンカーによってつながったVHドメインとVLドメインを含み、リンカーは、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成が可能になるには短すぎ、したがって各ドメインが別のポリペプチド鎖上の相補的なドメインと対形成するのを可能にするものである(例えば、Holligerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻:6444~48頁(1993年)、およびPoljakら、Structure 2巻:1121~2
3頁(1994年)を参照されたい)。ダイアボディの2つのポリペプチド鎖が同一である場合には、それらの対形成によって生じるダイアボディは2つの同一の抗原結合性部位を有するものになる。異なる配列を有するポリペプチド鎖を使用して、2つの異なる抗原結合性部位を有するダイアボディを作出することができる。同様に、トリボディ(tribody)およびテトラボディは、それぞれポリペプチド鎖を3つおよび4つ含み、同じであっても異なってもよい抗原結合性部位をそれぞれ3つおよび4つ形成する抗体である。
【0114】
本発明は、GD2に結合する、1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2および32E2の誘導体である抗体またはその機能性断片も提供する。本発明の抗体またはその機能性断片をコードするヌクレオチド配列に変異を導入するために、例えば、アミノ酸置換をもたらす部位特異的変異誘発およびPCR媒介性変異誘発を含めた、当業者に周知の標準の技法を使用することができる。一部の態様では、誘導体は、元の分子と比較して25個未満のアミノ酸置換、20個未満のアミノ酸置換、15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、または2個未満のアミノ酸置換を含む。
【0115】
一部の実施形態では、本発明は、修飾された形態の天然に存在するアミノ酸、保存的置換、天然に存在しないアミノ酸、アミノ酸類似体および模倣物を有する抗体またはその機能性断片が本明細書で定義されている機能活性を保持する限りは、そのような抗体または機能性断片を提供する。一実施形態では、誘導体は、1つまたは複数の予測される非必須アミノ酸残基においてなされた保存的アミノ酸置換を有する。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸残基が同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられたものである。同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野で定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。あるいは、飽和変異誘発などによってコード配列の全部または一部を通してランダムに変異を導入することができ、得られた変異体を生物活性についてスクリーニングして、活性を保持する変異体を同定することができる。変異誘発後、コードされる抗体またはその機能性断片を発現させることができ、抗体または機能性断片の活性を決定することができる。
【0116】
一部の実施形態では、本発明は、本発明の抗体または機能性断片内に含有されるFc断片のフコシル化、ガラクトシル化および/またはシアリル化が改変された抗体またはその機能性断片を提供する。Peippら、Blood、112巻(6号):2390~2399頁(2008年)において論じられている通り、そのようなFc断片の改変により、Fc受容体媒介性活性がもたらされ得る。例えば、Fc N-グリカン由来のコアフコース残基を欠く糖鎖工学により作製された治療用抗体は、フコシル化対応物と比較して低濃度で強力なADCCを示し、また、有効性がはるかに高い。Shieldsら、J. Biol. Chem.、277
巻(30号):26733~40頁(2002年);Okazakiら、J Mol Biol.、336巻:1239~1249頁(2004年);Natsumeら、J. Immunol. Methods.、30
6巻:93~103頁(2005年)。抗体のフコシル化、ガラクトシル化および/またはシアリル化をその機能性断片に関して改変するための方法は当技術分野で周知である。例えば、脱フコシル化手法は、Yamane-Ohnukiら、MAbs.、1巻(3号):230~236頁(2009年)に記載の通り、3つの方法体系(1)非哺乳動物細胞のN-グリコシル化経路の「ヒト化」非フコシル化経路への変換;(2)哺乳動物細胞のN-グリカンフコシル化経路の不活化および(3)非フコシル化N-糖タンパク質のin vitroにおける化学合成またはN-グリカンから非フコシル化形態への酵素による改変に群分けすることができる。これらの方法の任意の1つまたは当技術分野において周知の任意の他の方法を使用して、フコシル化、ガラクトシル化および/またはシアリル化が改変された抗体またはその機能性断片を作製することができることが理解される。
【0117】
GD2に結合する本発明の抗体またはその機能性断片は、抗体を、特に化学合成によってまたは組換え発現技法によって合成するための当技術分野で公知の任意の方法によって作製することができる。本発明の実施には、別段の指定のない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成および修飾、核酸ハイブリダイゼーション、ならびに当技術分野の技術の範囲内の関連する分野の従来の技法を使用する。これらの技法は、本明細書において引用されている参考文献に記載されており、文献において十分に説明されている。例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Maniatisら(1982年)Molecular Cloning:
A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrookら(1989年)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrookら(2001年)Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons(
1987年および1年毎の更新);Current Protocols in Immunology、John Wiley
& Sons(1987年および1年毎の更新)Gait(編)(1984年)Oligonucleotide
Synthesis: A Practical Approach、IRL Press;Eckstein(編)(1991年)Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach、IRL Press;Birrenら(
編)(1999年)Genome Analysis: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor
Laboratory Press;Borrebaeck(編)(1995年)Antibody Engineering l、第
2版、Oxford University Press;Lo(編)(2006年)Antibody Engineering: Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology);248巻、Humana Press, Incを参照されたい。
【0118】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマおよび組換え技術、またはこれらの組合せの使用を含めた当技術分野で公知の多種多様な技法を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で公知であり、例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれるHarlowら、Antibodies: A Laboratory Manual、(Cold
Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988年);Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563~681頁(Elsevier、N.Y.、1981年)において教示されているものを含めたハイブリドーマ技法を使用して作製することができる。モノクローナル抗体はハイブリドーマ技術によって作製された抗体に限定されない。モノクローナル抗体を作製する他の例示的な方法は当技術分野で公知である。モノクローナル抗体を作製する追加的な例示的な方法は、本明細書の実施例Iにおいて提示されている。
【0119】
GD2に結合する抗体機能性断片は、当業者に周知の任意の技法によって生成することができる。例えば、本発明のFabおよびF(ab’)2断片は、パパイン(Fab断片を作製するため)またはペプシン(F(ab’)2断片を作製するため)などの酵素を使用した免疫グロブリン分子のタンパク質分解性の切断によって作製することができる。F(ab’)2断片は、重鎖の可変領域、軽鎖定常領域およびCH1ドメインを含有する。
【0120】
本発明の抗体機能性断片は、当技術分野で公知の種々のファージディスプレイ法を使用して生成することもできる。例えば、ファージディスプレイ法では、本明細書で提供されるCDRを1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ有する重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域などの機能性抗体ドメインを、それらをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面上に提示させる。VHおよびVLドメインをコードするDNAをPCRによってscFvリンカーと一緒に組み直し、ファージミドベクターにクローニングする。ベクターをE.coliに電気穿孔により導入し、E.coliにヘルパーファージを感染させる。これらの方法において使用するファージは、典型的には、fdおよびM13を含めた繊維状ファージであり、通常、VHおよびVLドメインをファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかと、組換えによって融合する。GD2などの特定の抗原に結合する抗原結合性ドメインを発現するファージを、抗原を用いて、例えば、標識した抗原または固体表面もしくはビーズに結合させたもしくは捕捉した抗原を使用して選択または同定することができる。本発明の抗体機能性断片を作出するために使用することができるファージディスプレイ法の例としては、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Brinkmanら、1995年、J. Immunol. Methods、182巻:
41~50頁; Amesら、1995年、J. Immunol. Methods、184巻:177~186頁;Kettleboroughら、1994年、Eur. J. Immunol.、24巻:952~958頁;Persicら、1997年、Gene、187巻:9~18頁; Burtonら、1994年、Advances in Immunology、57巻:191~280頁;PCT出願第PCT/GB91/0
1134号;国際公開第WO90/02809、WO91/10737、WO92/01047、WO92/18619、WO93/1 1236、WO95/15982、WO95/20401、およびWO97/13844号;ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、および同第5,969,108号に開示されているものが挙げられる。
【0121】
上記の参考文献に記載の通り、ファージ選択後、ファージ由来の抗体コード領域を単離し、それを使用して、ヒト抗体を含めた全抗体または任意の他の所望の抗原結合性断片を生成し、例えば、本明細書に記載の哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含めた任意の所望の宿主において発現させることができる。
【0122】
Fab、Fab’およびF(ab’)2断片を組換えによって作製するための技法も、そのそれぞれの全体が参照により組み込まれる、PCT公開第WO92/22324号;Mullinaxら、1992年、BioTechniques 12巻(6号):864~869頁;Sawaiら、1995年、AJRI 34巻:26~34頁;およびBetterら、1988年、Science
240巻:1041~1043頁に開示されているものなどの当技術分野で公知の方法を使用して利用することができる。
【0123】
全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを使用して、scFvクローンにおいてVHまたはVL配列を増幅することができる。当業者に周知のクローニング技法を利用して、PCR増幅されたVHドメインをVH定常領域、例えば、ヒトガンマ1定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅されたVLドメインをVL定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。VHおよびVLドメインを必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングすることもできる。次いで、当業者に周知の技法を使用して重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞系統に同時トランスフェクトして、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定なまたは一過性の細胞系統を生成する。
【0124】
一部の実施形態では、本発明の抗体または機能性断片を1つまたは複数の診断剤、検出可能な薬剤または治療剤または任意の他の所望の分子とコンジュゲートする(共有結合または非共有結合によるコンジュゲーション)または組換えによって融合する。コンジュゲートしたまたは組換えによって融合した抗体または機能性断片は、特定の療法の有効性の決定などの、臨床試験の手順の一部として、GD2の発現に関連する疾患、例えば、がんまたは腫瘍形成などの発症、発生、進行および/または重症度をモニタリングまたは診断するために有用であり得る。
【0125】
一部の態様では、本発明の抗体またはその機能性断片を検出可能な薬剤とコンジュゲートする。検出および診断は、例えば、本発明の抗体または機能性断片と、これらに限定されないが、放射性材料、例えば、これらに限定されないが、ジルコニウム(89Zr)、ヨウ素(131I、125I、124I、123I、および121I)、炭素(14C、11C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、および111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、15O、13N、64Cu、94mTc、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、86Y、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、および117Snなど;および種々の陽電子放出断層撮影法を使用する陽電子放出性金属、種々の酵素、例えば、これらに限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなど;補欠分子族、例えば、これらに限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなど;蛍光材料、例えば、これらに限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocynate)、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンなど;発光材料、例えば、これに限定されないが、ルミノールなど;生物発光材料、例えば、これらに限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンなど、ならびに非放射性常磁性金属イオンを含めた、検出可能な物質をカップリングすることによって実現することができる。
【0126】
本発明は、1つまたは複数の治療剤とコンジュゲートした(共有結合または非共有結合によるコンジュゲーション)または組換えによって融合した本発明の抗体または機能性断片の治療的使用をさらに包含する。この場合、例えば、抗体は、細胞毒、例えば、細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊剤、または放射活性金属イオン、例えば、アルファ-エミッターなどの治療剤とコンジュゲートするまたは組換えによって融合することができる。細胞毒または細胞傷害剤は、細胞に対して有害である任意の薬剤を含む。治療剤は、化学療法薬、例えば、これらに限定されないが、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシンおよびダウノルビシン(以前はダウノマイシン))など;タキサン(例えば、パクリタキセル(タキソール)およびドセタキセル(タキソテレ);代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルおよびデカルバジン);またはアルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CC
NU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シスジクロロジアミン白金(II)(DDP)およびシスプラチン);抗生物質(例えば、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC));アウリスタチン分子(例えば、アウリスタチンPHE、ブリオスタチン1、ソラスタチン(solastatin)10、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)およびモノメチルアウリスタチンF(MMAF));ホルモン(例えば、グルココルチコイド、プロゲスチン、アンドロゲン、およびエストロゲン);ヌクレオシド類似体(例えばゲムシタビン)、DNA修復酵素阻害剤(例えば、エトポシドおよびトポテカン)、キナーゼ阻害剤(例えば、グリベックまたはメシル酸イマチニブとしても公知の化合物ST1571);細胞傷害剤(例えば、マイタンシン、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド(glucorticoid)、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシンおよびその類似体またはホモログ、ならびに米国特許第6,245,759号、同第6,399,633号、同第6,383,790号、同第6,335,156号、同第6,271,242号、同第6,242,196号、同第6,218,410号、同第6,218,372号、同第6,057,300号、同第6,034,053号、同第5,985,877号、同第5,958,769号、同第5,925,376号、同第5,922,844号、同第5,911,995号、同第5,872,223号、同第5,863,904号、同第5,840,745号、同第5,728,868号、同第5,648,239号、同第5,587,459号に開示されている化合物);ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、R115777、BMS-214662、および、例えば、米国特許第6,458,935号、同第6,451,812号、同第6,440,974号、同第6,436,960号、同第6,432,959号、同第6,420,387号、同第6,414,145号、同第6,410,541号、同第6,410,539号、同第6,403,581号、同第6,399,615号、同第6,387,905号、同第6,372,747号、同第6,369,034号、同第6,362,188号、同第6,342,765号、同第6,342,487号、同第6,300,501号、同第6,268,363号、同第6,265,422号、同第6,248,756号、同第6,239,140号、同第6,232,338号、同第6,228,865号、同第6,228,856号、同第6,225,322号、同第6,218,406号、同第6,211,193号、同第6,187,786号、同第6,169,096号、同第6,159,984号、同第6,143,766号、同第6,133,303号、同第6,127,366号、同第6,124,465号、同第6,124,295号、同第6,103,723号、同第6,093,737号、同第6,090,948号、同第6,080,870号、同第6,077,853号、同第6,071,935号、同第6,066,738号、同第6,063,930号、同第6,054,466号、同第6,051,582号、同第6,051,574号、および同第6,040,305号によって開示されているもの);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン、イリノテカン、SN-38、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、GG-211(GI147211)、DX-8951f、IST-622、ルビテカン(rubitecan)、ピラゾロアクリジン、XR-5000、サイントピン(saintopin)、UCE6、UCE1022、TAN-1518A、TAN 1518B、KT6006、KT6528、ED-110、NB-506、ED-110、NB-506、ファガロニン(fagaronine)、コラリン(coralyne)、ベータ-ラパコンおよびレベッカマイシン(rebeccamycin));DNA副溝結合物質(例えば、Hoescht色素33342およびHoechst色素33258);アデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、リン酸フルダラビンおよび2-クロロデオキシアデノシン);またはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、クラスレート、もしくはプロドラッグであってよい。治療剤は、例えば、これらに限定されないが、セツキシマブ、ベバシズマブ、ハーセプチン(heceptin)、リツキシマブ)などの免疫療法薬であってよい。
【0127】
さらに、本発明の抗体または機能性断片は、例えば、放射活性金属イオン、例えば、213Biなどのなどのアルファ-エミッターなど、または、これらに限定されないが、131In、131LU、131Y、131Ho、131Smを含めた放射性金属イオンのコンジュゲートに有用な大環状キレート化剤;または、大環状キレート化剤、例えば、リンカー分子によって抗体または機能性断片に付着させることができる1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(DOTA)などの治療剤とコンジュゲートすることができる。そのようなリンカー分子は一般に当技術分野で公知であり、Denardoら、1998年、Clin Cancer Res. 4巻(10号):2483
~90頁;Petersonら、1999年、Bioconjug. Chem.10巻(4号):553~7頁
;およびZimmermanら、1999年、Nucl. Med. Biol. 26巻(8号):943~5
0頁に記載されている。
【0128】
さらに、本発明の抗体または機能性断片は、所与の生物学的応答を改変する治療剤とコンジュゲートする(共有結合または非共有結合によるコンジュゲーション)または組換えによって融合することができる。したがって、治療剤は、古典的な化学的治療剤に限定されると解釈されるべきでない。例えば、治療剤は、所望の生物活性を有するタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドであってよい。そのようなタンパク質としては、例えば、毒素(例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、コレラ毒素およびジフテリア毒素);腫瘍壊死因子、γ-インターフェロン、α-インターフェロン、神経増殖因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、アポトーシス作用物質(例えば、TNF-γ、AIM I、AIM II、FasリガンドおよびVEGF)、抗血管新生作用物質(例えば、アンジオスタチン、エンドスタチンおよび組織因子などの凝固経路の成分)などのタンパク質;生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロンガンマ、インターロイキン-1、インターロイキン-2、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-7、インターロイキン-9、インターロイキン-10、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターロイキン-23、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、および顆粒球コロニー刺激因子などのサイトカイン);増殖因子(例えば、成長ホルモン)、または凝固作用物質(例えば、カルシウム、ビタミンK、組織因子、例えば、これらに限定されないが、ハーゲマン因子(第XII因子)、高分子量キニノーゲン(HMWK)、プレカリクレイン(PK)、凝固タンパク質-第II因子(プロトロンビン)、第V因子、第XIIa因子、第VIII因子、第XIIIa因子、第XI因子、第XIa因子、第IX因子、第IXa因子、第X因子、リン脂質、およびフィブリン単量体など)を挙げることができる。
【0129】
本発明は、異種タンパク質またはポリペプチドと組換えによって融合または化学的にコンジュゲートして(共有結合または非共有結合によるコンジュゲーション)融合タンパク質を生成する本発明の抗体または機能性断片を包含する。一部の態様では、そのようなポリペプチドの長さは約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90または約100アミノ酸であってよい。一部の態様では、本発明は、本発明の抗体の機能性断片(例えば、Fab断片、Fd断片、Fv断片、F(ab)2断片、VHドメイン、VH CDR、VLドメインまたはVL CDR)および異種タンパク質またはポリペプチドを有する融合タンパク質を提供する。一実施形態では、抗体または機能性断片と融合させる異種タンパク質またはポリペプチドは、抗体または機能性断片を、GD2を発現する細胞などの特定の細胞型にターゲティングするために有用である。
【0130】
本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とコンジュゲートした(共有結合または非共有結合によるコンジュゲーション)または組換えによって融合した本明細書で提供される本発明のいずれかの抗体または機能性断片を含む。一実施形態では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2または32E2抗体と、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含む。別の実施形態では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、1B7、2H12、1G2、1E9、1H3、2F5、2F7、2E12、31F9、31F9V2または32E2抗体の機能性断片と、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含む。
【0131】
一部の実施形態では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、配列番号2、6、10、14、18、22、26、30、34、36、または40に示されているVH CDRの任意の1つのアミノ酸配列を有する1つまたは複数のVH CDRと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含む。別の実施形態では、コンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、配列番号4、8、12、16、20、24、28、32、38、または42に示されているVL CDRの任意の1つのアミノ酸配列を有する1つまたは複数のVL CDRと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含む。
【0132】
一部の態様では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3アミノ酸配列を有するVHドメインと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含み、VH CDR1アミノ酸配列は、配列番号2の残基26~33;配列番号6の残基26~33;配列番号10の残基26~33;配列番号14の残基26~33;配列番号18の残基26~33;配列番号22の残基26~33;配列番号26の残基26~33;配列番号30の残基26~33;配列番号34の残基26~33;配列番号36の残基26~33;および配列番号40の残基26~33からなる群から選択され;VH CDR2アミノ酸配列は、配列番号2の残基51~58;配列番号6の残基51~58;配列番号10の残基51~58;配列番号14の残基51~58;配列番号18の残基51~58;配列番号22の残基51~58;配列番号26の残基51~58;配列番号30の残基51~58;配列番号34の残基51~58;配列番号36の残基51~58;および配列番号40の残基51~58からなる群から選択され;VH CDR3アミノ酸配列は、配列番号2の残基97~109;配列番号6の残基97~109;配列番号10の残基97~108;配列番号14の残基97~108;配列番号18の残基97~108;配列番号22の残基97~108;配列番号26の残基97~109;配列番号30の残基97~109;配列番号34の残基97~110;配列番号36の残基97~110;および配列番号40の残基97~108からなる群から選択される。
【0133】
一部の他の態様では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、配列番号2の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号6の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号10の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号14の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号18の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号22の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号26の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号30の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号34の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;配列番号36の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;ならびに配列番号40の残基26~33、残基51~58、および残基97~108からなる群から選択されるVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3アミノ酸配列を有するVHドメインと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含む。
【0134】
さらに他の態様では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHドメインと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含む。
【0135】
一部の実施形態では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3アミノ酸配列を有するVLドメインと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含み、VL CDR1は、配列番号4の残基27~37;配列番号8の残基27~37;配列番号12の残基27~38;配列番号16の残基27~38;配列番号20の残基27~38;配列番号24の残基27~38;配列番号28の残基27~37;配列番号32の残基27~37;配列番号38の残基27~32;および配列番号42の残基27~38からなる群から選択され;VL CDR2は、配列番号4の残基55~57;配列番号8の残基55~57;配列番号12の残基56~58;配列番号16の残基56~58;配列番号20の残基56~58;配列番号24の残基56~58;配列番号28の残基55~57;配列番号32の残基55~57;配列番号38の残基50~52;および配列番号42の残基56~58からなる群から選択され、VL CDR3は、配列番号4の残基94~102;配列番号8の残基94~102;配列番号12の残基95~103;配列番号16の残基95~103;配列番号20の残基95~103;配列番号24の残基95~103;配列番号28の残基94~102;配列番号32の残基94~102;配列番号38の残基89~97;および配列番号42の残基95~103からなる群から選択される。
【0136】
他の実施形態では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、配列番号4の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号8の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号12の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号16の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号20の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号24の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号28の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号32の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号38の残基27~32、残基50~52、および残基89~97;ならびに配列番号42の残基27~38、残基56~58、および残基95~103からなる群から選択されるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3アミノ酸配列を有するVLドメインと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含む。
【0137】
一部の他の態様では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVLドメインと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含む。
【0138】
一部の実施形態では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、VHドメインおよびVLドメインと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含み、VHドメインは、配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し;VLドメインは、配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0139】
一部の他の実施形態では、本発明のコンジュゲートしたタンパク質または融合タンパク質は、VHドメインおよびVLドメインと、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とを含み、VHドメインおよびVLドメインは、それぞれ、配列番号2および配列番号4;配列番号6および配列番号8;配列番号10および配列番号12;配列番号14および配列番号16;配列番号18および配列番号20;配列番号22および配列番号24;配列番号26および配列番号28;配列番号30および配列番号32;配列番号34および配列番号38;配列番号36および配列番号38;ならびに配列番号40および配列番号42からなる群からのアミノ酸配列を有する。
【0140】
診断剤、検出可能な薬剤または治療剤(ポリペプチドを含む)と抗体を融合またはコンジュゲートするための方法は周知である。例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs
In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeld
ら(編)、243~56頁(Alan R. Liss, Inc.、1985年);Hellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」、Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinson
ら(編)、623~53頁(Marcel Dekker, Inc.、1987年);Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」、Monoclonal Antibodies 84: Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)
、475~506頁(1985年);「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」
、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)
、303~16頁(Academic Press、1985年)、Thorpeら、1982年、Immunol.
Rev.、62巻:119~58頁;米国特許第5,336,603号、同第5,622,929号、同第5,359,046号、同第5,349,053号、同第5,447,851号、同第5,723,125号、同第5,783,181号、同第5,908,626号、同第5,844,095号、同第5,112,946号、同第7,981,695号、同第8,039,273号、同第8,142,784号;米国特許公開第2009/0202536号、同第2010/0034837号、同第2011/0137017号、同第2011/0280891号、同第2012/0003247;EP307,434;EP367,166;EP394,827;PCT公開第WO91/06570、WO96/04388、WO96/22024、WO97/34631、およびWO99/04813号;Ashkenaziら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88巻:10535~
10539頁、1991年;Trauneckerら、Nature、331巻:84~86頁、1988年;Zhengら、J. Immunol.、154巻:5590~5600頁、1995年;Vilら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:11337~11341頁、1992年;ならびにSenter、Current Opinion in Chemical Biology、13巻:235~244頁(
2009年)を参照されたい。
【0141】
別の態様では、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤は、還元した抗体成分のヒンジ領域においてジスルフィド結合を形成させることによって付着させることができる。あるいは、そのような薬剤は、N-サクシニル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)などの異種二官能性(heterobifunctional)架橋剤を使用して抗体成分に付着させることができる。Yuら、Int. J. Cancer 56巻:244号(1994年)。そのようなコンジュゲーションのための一般的な技法は当技術分野で周知である。例えば、Wong、CHEMISTRY OF PROTEIN CONJUGATION AND CROSS-LINKING(CRC Press 1991年);Upeslacisら、「Modification of Antibodies by Chemical Methods」、MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND APPLICATIONS、Birchら(
編)、187~230頁(Wiley-Liss, Inc. 1995年);Price、「Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies」、MONOCLONAL ANTIBODIES: PRODUCTION、ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATION、Ritterら(編)
、60~84頁(Cambridge University Press 1995年)を参照されたい。
【0142】
あるいは、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤は、抗体のFc領域の炭水化物部分を介してコンジュゲートすることができる。ペプチドを抗体成分と抗体炭水化物部分を介してコンジュゲートするための方法は、当業者には周知である。例えば、全てその全体が参照により組み込まれる、Shihら、Int. J. Cancer. 41巻:832~839頁(19
88年);Shihら、Int. J. Cancer. 46巻:1101~1106頁(1990年)
;およびShihら、米国特許第5,057,313号を参照されたい。一般的な方法は、酸化した炭水化物部分を有する抗体成分を、少なくとも1つの遊離のアミン官能を有し、複数のペプチドを担持させた担体ポリマーと反応させることを伴う。この反応により、最初のシッフ塩基(イミン)連結がもたらされ、これを還元によって第二級アミンに安定化して最終的なコンジュゲートを形成することができる。
【0143】
しかし、Fc領域が存在しない場合、例えば、本明細書で提供される抗体機能性断片が望ましい場合でも、診断剤、検出可能な薬剤または治療剤を付着させることが可能である。炭水化物部分を全長抗体または抗体断片の軽鎖可変領域に導入することができる。例えば、全てその全体が参照により組み込まれる、Leungら、J. Immunol.、154巻:5919頁(1995年);米国特許第5,443,953号および同第6,254,868号を参照されたい。工学的に作製した炭水化物部分を使用して診断剤、検出可能な薬剤または治療剤を付着させる。
【0144】
GD2に結合する本発明の抗体もしくは機能性断片とコンジュゲートしまたは組換えによって融合した治療剤は、所望の予防または治療効果(複数可)が実現されるように選択することができる。どの治療剤を本発明の抗体または機能性断片とコンジュゲートしまたは組換えによって融合するかを決定する際に、疾患の性質、疾患の重症度、および対象の状態を考慮することは、臨床医または他の医療関係者の技術レベルの範囲内であることが理解される。
【0145】
本明細書で提供される通り検出可能に標識した、GD2に結合する本発明のコンジュゲートまたは融合抗体または機能性断片は、診断目的で、疾患を検出、診断、またはモニタリングするために使用することができ、ここで、疾患を引き起こすまたは疾患に関連する細胞はGD2を発現する。例えば、本明細書で提供される通り、例えば、これらに限定されないが、神経芽腫、骨肉腫および肉腫の他のサブセット、メラノーマ、神経膠腫、小細胞肺がん、乳がんおよび乳がん幹細胞、髄芽腫、ならびに星細胞腫などのがん細胞および腫瘍は、GD2を発現することが示されている。他の型の肉腫としては、これらに限定されないが、軟部組織肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫、および平滑筋肉腫が挙げられる。軟部組織肉腫としては、これらに限定されないが、胞巣状軟部肉腫(aveolar soft part sarcoma)、血管肉腫、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、神経線維肉腫、横紋筋肉腫が挙げられる。
【0146】
したがって、本発明は、それを必要とする対象に本発明のコンジュゲートまたは融合抗体または機能性断片の有効量を投与することによって対象におけるがんまたは腫瘍形成を検出するための方法を提供する。一部の態様では、検出方法は、GD2に結合する本発明の1種または複数種のコンジュゲートまたは融合抗体または機能性断片を使用して、対象の細胞または組織試料におけるGD2の発現をアッセイするステップ、およびGD2のレベルを対照レベル、例えば、正常組織試料(例えば、疾患を有さない対象由来のもの、または疾患が発症する前の同じ対象由来のもの)におけるレベルと比較し、それにより、アッセイされたGD2のレベルがGD2の対照レベルと比較して上昇していることにより、疾患が示されるステップをさらに含んでよい。そのような診断方法により、医療従事者が他の場合で可能になるよりも早く予防の尺度または侵襲性の治療を使用し、それにより、疾患の発生またはさらなる進行を予防することが可能になり得る。
【0147】
本発明の抗体または機能性断片は、本明細書で提供されるまたは当業者に周知の古典的な免疫組織学的方法を使用して生体試料中のGD2抗原レベルをアッセイするためにも使用することができる(例えば、Jalkanenら、1985年、J. Cell. Biol. 101巻:976~985頁;およびJalkanenら、1987年、J. Cell. Biol. 105巻:3087~3096頁を参照されたい)。GD2を検出するために有用な他の抗体に基づく方法としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが挙げられる。適切な抗体アッセイ標識は当技術分野で公知であり、それらとして、酵素標識、例えばグルコースオキシダーゼなど;放射性同位元素、例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(121In)、およびテクネチウム(99Tc)など;発光標識、例えばルミノールなど;および蛍光標識、例えばフルオレセインおよびローダミンなど、ならびにビオチンが挙げられる。
【0148】
一態様では、本発明は、ヒトにおける疾患の検出および診断を提供する。一実施形態では、診断は、a)GD2に結合する本発明のコンジュゲートまたは融合タンパク質の有効量を対象に投与する(例えば、非経口的に、皮下に、または腹腔内に)ステップ、b)コンジュゲートまたは融合タンパク質を対象におけるGD2が発現している部位に優先的に集中させるために(および、一部の態様では、結合していないコンジュゲートまたは融合タンパク質をバックグラウンドレベルまで除くために)、投与後ある時間間隔をあけるステップ、c)バックグラウンドレベルを決定するステップ、およびd)対象におけるコンジュゲートまたは融合タンパク質を検出し、その結果、バックグラウンドレベルを上回るコンジュゲートまたは融合タンパク質が検出されることにより、対象が疾患を有することが示されるステップを含む。バックグラウンドレベルは、検出されたコンジュゲートまたは融合タンパク質の量を特定の系に関して予め決定された標準値と比較することを含めた、種々の方法によって決定することができる。
【0149】
対象のサイズおよび使用する画像処理系は、診断画像を作成するために必要な画像処理部分の数量を決定し、当業者により容易に決定され得ることが理解される。例えば、ヒト対象に関して、本発明の抗体または機能性断片とコンジュゲートした放射性同位元素の場合では、注射する放射活性の数量は通常、約5~20ミリキュリーの99Tcに及ぶ。次いで、コンジュゲートはGD2を発現する細胞の場所に優先的に蓄積する。in vivoにおける腫瘍画像処理は、S.W. Burchielら、「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments.」(Tumor Imaging: The Radiochemical Detection of Cancer、13章、S.W. BurchielおよびB.A. Rhodes編、Masson Publishing Inc.(1982年)に記載されている。
【0150】
使用する検出可能な薬剤の種類および投与形式を含めたいくつかの変数に応じて、コンジュゲートを対象における部位に優先的に集中させるため、および結合していないコンジュゲートをバックグラウンドレベルまで除くための投与後の時間間隔は6~48時間または6~24時間または6~12時間である。別の実施形態では、投与後の時間間隔は5~20日または5~10日である。一実施形態では、疾患のモニタリングを、本明細書で提供される診断方法を、例えば、最初の診断の1カ月後、最初の診断の6カ月後、最初の診断の1年後、またはそれよりも後に繰り返すことによって行う。
【0151】
コンジュゲートまたは融合タンパク質の存在は、対象においてin vivoにおけるスキャンの技術分野で公知の方法を使用して検出することができる。これらの方法は、使用する検出可能な薬剤の種類に依存する。当業者は、特定の検出可能な薬剤を検出するために適した方法を決定することができる。本発明の診断方法において使用することができる方法およびデバイスとしては、これらに限定されないが、コンピュータ断層撮影法(CT)、陽電子放出断層撮影法(position emission tomography)(PET)などの全身スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、および超音波検査が挙げられる。一実施形態では、本発明の抗体または機能断片を放射性同位元素とコンジュゲートし、対象において放射線応答性外科用機器を使用して検出する。別の実施形態では、本発明の抗体または機能断片を蛍光化合物とコンジュゲートし、対象において蛍光応答性スキャン機器を使用して検出する。別の実施形態では、本発明の抗体または機能断片を、ジルコニウム(89Zr)などの陽電子放出性金属または本明細書で提供されるもしくは陽電子放出断層撮影法によって検出可能であることが当技術分野において周知である任意の他の陽電子放出性金属とコンジュゲートし、対象において陽電子放出断層撮影法を使用して検出する。さらに別の実施形態では、本発明の抗体または機能断片を常磁性標識とコンジュゲートし、対象において磁気共鳴画像法(MRI)を使用して検出する。
【0152】
一実施形態では、本発明は、本発明の抗体または機能性断片および薬学的に許容される担体を有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物において使用することができる薬学的に許容される担体としては、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、および油・水エマルションなどのエマルション、および種々の型の湿潤剤などの当技術分野で公知の標準の医薬担体のいずれかが挙げられる。これらの医薬組成物は、本発明の抗体または機能性断片を治療を必要とする対象の標的領域に送達するのに十分な液体の単位用量形態または任意の他の投薬形態で調製することができる。例えば、医薬組成物は、選択された投与形式、例えば、血管内、筋肉内、皮下、腹腔内などに適した任意の様式で調製することができる。他の任意選択の成分、例えば、医薬品グレードの安定剤、緩衝剤、防腐剤、賦形剤などは、当業者が容易に選択することができる。pH、等張性、安定性などを考慮する医薬組成物の調製は当技術分野の技術レベルの範囲内である。
【0153】
本明細書で提供される本発明の1つまたは複数の抗体または機能性断片を含有する医薬製剤は、所望の程度の純度を有する抗体を任意選択の生理的に許容される担体、賦形剤または安定剤と混合することにより(Remington's Pharmaceutical Sciences(1990
年)Mack Publishing Co.、Easton、PA)、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で保管用
に調製することができる。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投薬量および濃度でレシピエントに対して非毒性のものであり、それらとして、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含めた単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性物質が挙げられる。
【0154】
したがって、一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において疾患を治療または予防するための方法を提供する。本発明の方法は、本明細書で提供される医薬組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含み得る。例えば、医薬組成物は、本明細書で提供される1つまたは複数の抗体または機能性断片を含み得る。本発明の方法を使用して治療または予防することができる疾患としては、がん、腫瘍形成および/または転移が挙げられる。特に、本発明の方法は、がん細胞または腫瘍がGD2を発現するがんまたは腫瘍形成を治療するために有用である。本発明の方法を使用して治療または予防することができるがんまたは腫瘍の非限定的な例としては、神経芽腫、骨肉腫および肉腫の他のサブセット、メラノーマ、神経膠腫、小細胞肺がん、乳がん、髄芽腫、ならびに星細胞腫が挙げられる。他の型の肉腫としては、これらに限定されないが、軟部組織肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫、および平滑筋肉腫が挙げられる。軟部組織肉腫としては、これらに限定されないが、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、神経線維肉腫、横紋筋肉腫が挙げられる。乳がん幹細胞は、GD2を発現することも公知である。Battula1 VLら、Ganglioside GD2 identifies breast cancer stem cells and promotes tumorigenesis. J CLIN INVEST.122巻(6号):2066~2078頁(2012年)。
【0155】
従って、一部の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、抗体またはその機能性断片を有する医薬組成物の治療有効量を投与することによってがんまたは腫瘍形成を治療するための方法であって、抗体または機能性断片がGD2に結合し、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを有し、VH CDR1アミノ酸配列が、配列番号2の残基26~33;配列番号6の残基26~33;配列番号10の残基26~33;配列番号14の残基26~33;配列番号18の残基26~33;配列番号22の残基26~33;配列番号26の残基26~33;配列番号30の残基26~33;配列番号34の残基26~33;配列番号36の残基26~33;および配列番号40の残基26~33からなる群から選択され;VH CDR2アミノ酸配列が、配列番号2の残基51~58;配列番号6の残基51~58;配列番号10の残基51~58;配列番号14の残基51~58;配列番号18の残基51~58;配列番号22の残基51~58;配列番号26の残基51~58;配列番号30の残基51~58;配列番号34の残基51~58;配列番号36の残基51~58;および配列番号40の残基51~58からなる群から選択され;VH CDR3アミノ酸配列が、配列番号2の残基97~109;配列番号6の残基97~109;配列番号10の残基97~108;配列番号14の残基97~108;配列番号18の残基97~108;配列番号22の残基97~108;配列番号26の残基97~109;配列番号30の残基97~109;配列番号34の残基97~110;配列番号36の残基97~110;および配列番号40の残基97~108からなる群から選択される、方法を提供する。
【0156】
一部の他の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、抗体またはその機能性断片を有する医薬組成物の治療有効量を投与することによってがんまたは腫瘍形成を治療するための方法であって、抗体または機能性断片がGD2に結合し、配列番号2の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号6の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号10の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号14の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号18の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号22の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号26の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号30の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号34の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;配列番号36の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;ならびに配列番号40の残基26~33、残基51~58、および残基97~108からなる群から選択されるVH CDR1、VH
CDR2、およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを有する、方法を提供する。
【0157】
さらに他の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、抗体またはその機能性断片を有する医薬組成物の治療有効量を投与することによってがんまたは腫瘍形成を治療するための方法であって、抗体または機能性断片がGD2に結合し、配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを有する、方法を提供する。
【0158】
一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、抗体またはその機能性断片を有する医薬組成物の治療有効量を投与することによってがんまたは腫瘍形成を治療するための方法であって、抗体または機能性断片がGD2に結合し、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを有し、VL CDR1が、配列番号4の残基27~37;配列番号8の残基27~37;配列番号12の残基27~38;配列番号16の残基27~38;配列番号20の残基27~38;配列番号24の残基27~38;配列番号28の残基27~37;配列番号32の残基27~37;配列番号38の残基27~32;および配列番号42の残基27~38からなる群から選択され;VL CDR2が、配列番号4の残基55~57;配列番号8の残基55~57;配列番号12の残基56~58;配列番号16の残基56~58;配列番号20の残基56~58;配列番号24の残基56~58;配列番号28の残基55~57;配列番号32の残基55~57;配列番号38の残基50~52;および配列番号42の残基56~58からなる群から選択され、VL CDR3が、配列番号4の残基94~102;配列番号8の残基94~102;配列番号12の残基95~103;配列番号16の残基95~103;配列番号20の残基95~103;配列番号24の残基95~103;配列番号28の残基94~102;配列番号32の残基94~102;配列番号38の残基89~97;および配列番号42の残基95~103からなる群から選択される、方法を提供する。
【0159】
一部の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、抗体またはその機能性断片を有する医薬組成物の治療有効量を投与することによってがんまたは腫瘍形成を治療するための方法であって、抗体または機能性断片がGD2に結合し、配列番号4の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号8の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号12の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号16の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号20の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号24の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号28の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号32の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号38の残基27~32、残基50~52、および残基89~97;ならびに配列番号42の残基27~38、残基56~58、および残基95~103からなる群から選択されるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを有する、方法を提供する。
【0160】
一部の他の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、抗体またはその機能性断片を有する医薬組成物の治療有効量を投与することによってがんまたは腫瘍形成を治療するための方法であって、抗体または機能性断片がGD2に結合し、配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを有する、方法を提供する。
【0161】
一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、GD2に結合する抗体またはその機能性断片を有する医薬組成物の治療有効量を投与することによってがんまたは腫瘍形成を治療するための方法であって、抗体またはその機能性断片が可変重鎖(VH)ドメインおよび可変軽鎖(VL)ドメインを含み、VHドメインが、配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し;VLドメインが、配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、方法を提供する。
【0162】
一部の他の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、GD2に結合する抗体またはその機能性断片を有する医薬組成物の治療有効量を投与することによってがんまたは腫瘍形成を治療するための方法であって、抗体またはその機能性断片が可変重鎖(VH)ドメインおよび可変軽鎖(VL)ドメインを含み、VHドメインおよびVLドメインが、それぞれ、配列番号2および配列番号4;配列番号6および配列番号8;配列番号10および配列番号12;配列番号14および配列番号16;配列番号18および配列番号20;配列番号22および配列番号24;配列番号26および配列番号28;配列番号30および配列番号32;配列番号34および配列番号38;配列番号36および配列番号38;ならびに配列番号40および配列番号42からなる群からのアミノ酸配列を有する、方法を提供する。
【0163】
本明細書に記載されているものなどの製剤は、治療する特定の疾患に対する必要に応じて2種以上の活性化合物を含有してもよい。ある特定の実施形態では、製剤は、本発明の抗体または機能性断片と、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有する1種または複数種の活性化合物とを含む。そのような分子は、意図された目的のために有効な量で組み合わせて適切に存在する。例えば、本発明の抗体または機能性断片は、1種または複数種の他の治療剤と組み合わせることができる。そのような併用療法は、対象に同時にまたは順次投与することができる。
【0164】
したがって、一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象に本明細書で提供される医薬組成物の治療有効量を投与することによって疾患を治療または予防するための方法であって、医薬組成物が本発明の抗体または機能性断片と第2の治療剤とを含む、方法を提供する。適切な第2の治療剤は、本明細書で論じられている通り当業者が容易に決定することができる。一態様では、第2の治療剤は、化学療法剤または免疫療法剤である。
【0165】
本明細書で提供される医薬組成物は、薬学的に許容される担体中で、本明細書で提供される本発明の抗体の1つまたは複数の治療有効量、および任意選択で1種または複数種の追加的な治療剤を含有する。そのような医薬組成物は、がんもしくは腫瘍形成などの疾患、またはその症状の1つもしくは複数の予防、治療、管理または好転において有用である。
【0166】
医薬組成物は、本発明の1つまたは複数の抗体または機能性断片を含有してよい。一実施形態では、抗体または機能性断片を、非経口投与用の滅菌溶液または懸濁剤などの適切な医薬調製物に製剤化する。一実施形態では、本明細書で提供される抗体または機能性断片を、当技術分野で周知の技法および手順を使用して医薬組成物に製剤化する(例えば、Ansel(1985年)Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms、第4版、126頁を参照されたい)。
【0167】
本発明の抗体または機能性断片は、治療される対象に対して、望ましくない副作用がなく、治療的に有用な効果が発揮されるのに十分な治療有効量で医薬組成物中に含めることができる。治療有効濃度は、常套的な方法を使用して化合物をin vitroおよびin vivo系において試験し、次いで、そこからヒトに対する投薬量を推定することによって経験的に決定することができる。医薬組成物中の抗体または機能性断片の濃度は、例えば、抗体または機能性断片の物理化学特性、投薬スケジュール、および投与量、ならびに当業者に周知の他の因子に左右される。
【0168】
一実施形態では、治療有効投薬量により、約0.1ng/mlから約50~100μg/mlまでの、抗体または機能性断片の血清中濃度がもたらされる。別の実施形態では、医薬組成物により、1日当たり体重1キログラム当たり抗体約0.001mgから約500mgまでの投薬量がもたらされる。医薬単位剤形(dosage unit form)を、単位剤形当たり約0.01mg、0.1mgまたは1mgから約30mg、100mgまたは500mgまで、一実施形態では約10mgから約500mgまでの抗体もしくは機能性断片および/または他の任意選択の基本的な成分の組合せがもたらされるように調製することができる。
【0169】
本発明の抗体または機能性断片は、一度に投与することもでき、時間間隔をあけて投与するいくつかのより小さな用量に分けることもできる。治療の正確な投薬量および持続時間は、治療される疾患に応じ、公知の試験プロトコールを使用して、またはin vivoもしくはin vitroにおける試験データを外挿することによって、経験的に決定することができることが理解される。濃度および投薬量値は、軽減しようとする状態の重症度によっても変動し得ることに留意すべきである。任意の特定の対象に対して、個々の必要性および組成物の投与を管理または監督する人の専門的な判断に応じて特定の投薬レジメンを経時的に調整することができること、および本明細書に記載されている濃度範囲は単なる例示であり、特許請求された組成物の範囲または実施を制限するものではないことがさらに理解されるべきである。
【0170】
本発明の抗体または機能性断片を混合または添加した際に生じる混合物は、溶液、懸濁液などであってよい。生じる混合物の形態は、意図された投与形式および選択された担体またはビヒクル中での化合物の溶解性を含めたいくつかの因子に左右される。有効濃度は、治療される疾患、障害または状態の症状を好転させるのに十分であり、経験的に決定することができる。
【0171】
医薬組成物は、ヒトおよび動物に、化合物または薬学的に許容されるそれらの誘導体の適切な分量を含有する滅菌非経口用溶液または懸濁液などの単位剤形(unit dosage form)で投与するように提供される。一実施形態では、抗体または機能性断片は、単位剤形または複数剤形(multiple-dosage form)で製剤化し投与することができる。単位剤形(unit-dose form)とは、ヒトおよび動物対象に適するものであり、当技術分野で公知の通り個別に包装された物理的に別個の単位を指す。各単位用量は、所望の治療効果をもたらすのに十分な本発明の抗体または機能性断片の所定数量を、必要な医薬担体、ビヒクルまたは希釈剤を伴って含有する。単位剤形の例としては、アンプルおよびシリンジが挙げられる。単位剤形は、その分数または倍数で投与することができる。複数剤形(multiple-dose form)は、単位剤形を分けて投与するように単一の容器内に包装された複数の同一の単位剤形である。複数剤形の例としては、パイントまたはガロンのバイアルまたはビンが挙げられる。したがって、複数剤形は、包装が分けられていない複数の単位用量である。
【0172】
一実施形態では、本発明の1種または複数種の抗体または機能性断片は、液体医薬製剤中にある。薬学的に投与可能な液体組成物は、例えば、本明細書で提供される抗体または機能性断片と任意選択の医薬アジュバントを、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどの担体中に溶解させるか、分散させるか、または他のやり方で混合して、それにより、溶液を形成することによって調製することができる。所望であれば、投与される医薬組成物は、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など、例えば、酢酸、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、および他のそのような薬剤も含有してよい。そのような剤形の実際の調製方法は当業者に公知である、または明らかになる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(1990年)Mack Publishing Co.、Easton、PAを参照されたい。
【0173】
本発明の医薬組成物を投与するための方法は当技術分野で周知である。医薬組成物の適切な投与経路は、熟練臨床医が容易に決定することができることが理解される。例示的な投与経路としては、静脈内注射、筋肉内注射、皮内注射または皮下注射が挙げられる。さらに、医薬組成物の製剤は、投与経路に適応するように容易に調整することができることが理解される。本発明は、本発明の医薬組成物の投与後に、本明細書で提供される1種または複数種の医薬組成物の遅延、順次および/または反復投薬を対象に施すことができることも提供する。
【0174】
疾患を治療するための本発明の方法は、(1)疾患を予防すること、すなわち、疾患の素因があり得るが、まだ疾患の症状を経験しておらず、現していない対象において疾患の臨床症状が発生しないようにすること;(2)疾患を阻害すること、すなわち、疾患もしくはその臨床症状の発生を静止もしくは低下させること;または(3)疾患を軽減すること、すなわち、疾患もしくはその臨床症状の退縮を引き起こすことを含むものとする。疾患を予防するための本発明の方法は、がんまたは腫瘍形成を示す臨床症状を未然に防ぐことを含むものとする。そのような未然に防ぐことは、例えば、対象における正常な生理的指標の維持を含む。したがって、予防は、対象を腫瘍転移の出現から保護するための対象に対する予防的処置を含み得る。
【0175】
本発明の方法において使用される医薬組成物の治療有効量は、使用される医薬組成物、疾患およびその重症度、ならびに治療される対象の年齢、体重などに応じて変動し、これらは全て、担当臨床医の技能の範囲内である。本発明の方法によって治療される対象は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを含む。
【0176】
本発明の種々の実施形態の活性に実質的に影響を及ぼさない改変も本明細書で提供される本発明の定義の範囲内で提供されることが理解される。したがって、以下の実施例は、例示であるが本発明を限定するものではないものとする。
【実施例】
【0177】
(実施例I)
GD2に対するヒトモノクローナル抗体は強力な抗腫瘍活性を有する
ジシアロガングリオシドGD2は、神経芽腫、骨肉腫および肉腫の他のサブセット、メラノーマ、神経膠腫、小細胞肺がん、乳がん、髄芽腫、ならびに星細胞腫を含めた広いスペクトルのヒト腫瘍において見いだされている。乳がん幹細胞は、GD2を発現することも公知である。Battula VLら、Ganglioside GD2 identifies breast cancer stem
cells and promotes tumorigenesis. J Clin Invest.122巻(6号):2066~2078頁(2012年)。ガングリオシドは、高い抗原密度、修飾の欠如、多くの腫瘍における相対的均一性およびサイトカインによる上方調節の可能性のために、モノクローナル抗体(mAb)に対する理想的な標的である。従って、本明細書に記載の通り、GD2に対する完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)を生成した。いくつかのmAbを、ELISAおよびFACSに基づいて選択し、さらに特徴付けた。試験した抗体のうち、1B7、2H12、2F7、2E12、および31F9V2は、一部のがん細胞系統に対して高レベルの補体依存性細胞傷害を示し、1B7、31F9、31F9V2、および2F7は、一部のがん細胞系統に対して高レベルの抗体依存性細胞傷害を示し、抗腫瘍活性を、in vivoモデルにおいても確認した。免疫攻撃の標的としてのGD2の潜在性ならびにそれらの親和性、特異性、およびエフェクター機能に基づいて、抗GD2mAbには、がんの治療における臨床的な有用性がある。
【0178】
材料、細胞、および抗体
抗原:GD2-PAA-ビオチン(cat番号0832-BP)、GM2-PAA-ビオチン(cat番号0835-BP)およびGD3-PAA-ビオチン(cat番号0898-BP)はLectinity(Moscow、Russia)から購入した。Tn-PAA-ビオチン(cat番号01-010)、sTn-PAA-ビオチン(cat番号01-059)、TF-PAA-ビオチン(cat番号01-023)およびsLeA-PAA-ビオチン(cat番号01-044)はGlycotech(Gaithersburg、MD)から購入した。GD2-セラミド、GM2-セラミド、GD3-セラミド、フコシル-GM1-セラミドおよびGlobo-H-ビオチンはMSKCC(New York、NY)から入手した。MUC1ペプチド-ビオチン(cat番号353951)はAmerican Peptide Company(Sunnyvale、CA)から購入した。GM3-セラミド(cat番号1503)はMatreya(Pleasant Gap、PA)から購入した。セラミド抗原はメタノール中に溶解させ、他は全て、1mg/mlでPBS中に再浮遊させた。
【0179】
細胞系統:H524、Lan1-luc、BxPC3、SK-MEL19、ST88、LS141、SaOS2細胞系統はMSKCC(New York、NY)から入手した。Capan2(ATCC、HTB-80)、DMS79(ATCC、CRL-2049)、Jurkat(ATCC、TIB-152)、SK-MEL28(ATCC、HTB72)、HT29、(HTB-38)およびMCF7(ATCC、HTB22)はATCC(Manassas、VA)から購入した。TC-71(AAC516)はLeibniz Institute DSMZ(Braunschweig、Germany)から購入した。
【0180】
抗GD2 mAb産生ハイブリドーマおよびリンパ芽球様細胞系統(LCL)の生成:メラノーマ(melonama)の患者におけるGD2-/GD3-KLHコンジュゲートワクチンを用いた治験および肉腫の患者におけるGD2-/GD3-/GM2-KLH三価ワクチンを用いた治験における患者から血液試料を得た。メラノーマ第I相治験はMSKCCにおいて行い、肉腫治験は多施設盲検第II相研究であった。それぞれの施設ならびにFDAの認可を受けたIRBプロトコールおよびINDの下で全ての試料を得た。およそ80~90mlの血液からHistopaque-1077(cat番号10771、Sigma、St Louis、MO)での勾配遠心分離を使用してRosetteSep Human B Cell Enrichment Cocktail(cat番号15024、StemCell Technologies、Vancouver、BC、Canada)によってヒトB細胞を単離した。L-グルタミン(cat番号25030081、Life Technologies、Carlsbad、CA)、Omega Scientific、Tarzana、CAの非必須アミノ酸(cat番号NE-01)、ピルビン酸ナトリウム(cat番号SP-90)、ビタミン(cat番号ME-30)、ペニシリン/ストレプトマイシン(PS-20)、10%FBS(cat番号FB-01)、ならびに刺激薬とサイトカインとの混合物を補充したRPMI-1640培地(cat番号10-040-CV、Mediatech、Manassas、VA)でB細胞を培養した。5~7日後、細胞を電気融合によってP3X63Ag8.653骨髄腫細胞(cat番号PTA-8434、ATCC、Manassas、VA)と融合した。IL2およびR848またはPS2006の存在下でB細胞にEBV(B95-8培養物上清)を感染させることによってLCLを生成した。GD2特異的ELISAを使用して抗GD2産生ハイブリドーマおよびLCLを同定した。
【0181】
ELISA:ビオチン化抗原のために:50μl/ウェルのNeutrAvidin(cat番号31000、Thermo Scientific、Rockford、IL)を、4μg/mlでELISAプレート(cat番号655061、Greiner Bio-One、Monroe、NC)上にコーティングし、室温で2時間インキュベートした。プレートを、室温で2時間または4℃で一晩、1.25%ヒト血清アルブミン(HuSA)(cat番号HA25S、Monobind、Lake Forest、CA)でブロッキングした。プレートを0.05%Tween/PBS(PBS-0.05%T)で2回洗浄した後、50μl/ウェルのビオチン化抗原(PBS中2μg/mlの最終濃度)またはPBSを添加し、室温で30分間または4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBS-Tで2回洗浄し、1.25%HuSA中に2μg/mlで希釈した精製されたmAb 100μl/ウェルと一緒に室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS-0.05%Tで3回洗浄した後、100μl/ウェルの二次抗体、アルカリホスファターゼとコンジュゲートした抗ヒトIgGまたはIgM(1.25%HuSA中に1:3000希釈、それぞれ、cat番号075-1002およびcat番号075-1003、KPL、Gaithersburg、Maryland)を添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS-0.05%Tで4回洗浄した。100μl/ウェルのpNPP基質(cat番号PI34045、Thermo Scientific、Rockford、IL)を添加し、室温で1時間インキュベートし、25μl/ウェルの2N NaOHで反応を停止させた。
【0182】
セラミド抗原のために:50μl/ウェルのセラミド抗原(EtOH中5μg/mlの最終濃度)またはEtOHを、96ウェルプレート(cat番号269620、Thermo Scientific、Rockford、IL)上にコーティングし、室温で2時間インキュベートした。プレートをPBSで1回洗浄し、室温で2時間または4℃で一晩、2.5%HuSAでブロッキングした。プレートをPBSで1回洗浄し、1.25%HuSA中に2μg/mlで希釈した精製されたmAb 100μl/ウェルと一緒に室温で1時間インキュベートした。プレートをPBSで2回洗浄し、その後上記のとおりの二次抗体を添加した。プレートをPBS-0.025%Tで3回洗浄し、その後基質を添加した。
【0183】
FACS:細胞を、0.25×106細胞/mlで200μl/チューブのPBS/1%BSA(cat番号A3059、Sigma、St.Louis、MO)中に再浮遊させた。精製されたmAbを、IgGについて2mg/mlまたはIgMについて5mg/mlでチューブに添加し、4℃で40分間インキュベートした。PBS/1%BSAで1回洗浄した後、200μlのフルオロフォアとコンジュゲートした抗体であるAlexa488-抗ヒトIgG(cat番号H10120、Life Technologies、Carlsbad、CA)またはAlexa488-抗ヒトIgM(cat番号A21215、Life Technologies、Carlsbad、CA)をチューブに添加し、4℃で40分間インキュベートした。細胞をPBS/1%BSAで2回洗浄し、Guava Personal Cell Analysis-96(PCA-96)System(Millipore、Billerica、MA)を使用してGuava ExpressProソフトウェアを用いて分析した。
【0184】
親和性の決定:BiaCore 3000(GE Healthcare、Piscataway、NJ)で表面プラズモン共鳴(SPR)の原理を使用して親和定数を決定した。特注合成したビオチン標識したGD2-ポリアクリルアミド(GD2-PAA-ビオチン)をLectinity Holdings Inc(Moscow、Russia)から入手し、ストレプトアビジンコーティングされたバイオセンサーチップ(SA;Cat番号BR100398)に製造者の説明書に従ってカップリングした。HSA、および遊離のビオチンを含有する培養培地を用いてブロッキングした1つのフローセルを参照セルとして使用した。HBS-EP緩衝液(10mMのHEPES pH7.4、150mMのNaCl、3.4mMのEDTA、0.005%の界面活性物質P20)中に希釈したいくつかの既知濃度の抗体から、GD2-PAA-ビオチンでコーティングしたフローセルを使用して結合速度パラメータを決定した。BiaCore instrumentから提供された曲線あてはめソフトウェアを使用して、会合および解離速度を算出した。
【0185】
CDCアッセイ:細胞を、PBSで2回洗浄し、1mlのPBSに106細胞/ml/チューブで再浮遊させ、12.5μl/チューブのカルセインAM(DMSO中1mg/ml)(cat番号C3100MP、Invitrogen、Carlsbad、CA)と一緒に37℃で30分間インキュベートした。標識した細胞を、10%FBSを含有する培地(完全培地)(cat番号FB-12、Omega Scientific、Tarzana、CA)で2回洗浄し、1mlの完全培地に再浮遊させた。標識した細胞(50μl/ウェル)を、完全培地中に希釈したmAb 100μl/ウェルと一緒に4℃で15分間インキュベートした。完全培地中に希釈したヒト補体(cat番号IPLA-CSER、Innovative Research、Novi、MI)50μl/ウェルをウェルに添加し、37℃で90分間インキュベートした。ヒト補体のための適切な最終希釈を各細胞系統について事前決定した(1:5と1:16の間)。1600rpmで8分間の遠心分離後、上清(100μl/ウェル)を、新たな蛍光96ウェルプレート(cat番号7605、Thermo Scientific、Rockford、IL)に移した。各試料を3連で評価した。NP40を添加する対照試料を最大死滅を決定するために使用し、補体単独を添加する試料はベースラインとしての機能を果たす。死滅した細胞の百分率を、相対蛍光単位によって決定し、次式に従って算出する:%死滅=(%試料-%補体単独)/(%NP40-%補体単独)*100。
【0186】
抗体依存性細胞傷害アッセイ:ADCC Reporter Bioassay Core Kit(cat番号G7010)をPromega(Madison、WI)から購入し、アッセイを取扱説明書に従って実施した。簡単に述べると、エフェクター細胞(コアキットからのJurkat)およびGD2抗原発現標的細胞を洗浄し、それぞれ、3×106細胞/mlおよび0.5×106細胞/mlで、10%低ウシIgG血清(コアキット)を含むRPMI1640培地で再浮遊させた。標的細胞(12,500細胞/25μl/ウェル)を、25μl/ウェルの抗GD2 mAb(5μg/mlの最終濃度)または培地のみ、およびエフェクター細胞(75,000/25μl/ウェル)と一緒に37℃で17時間インキュベートした。100μl/ウェルのBio-Gloルシフェラーゼアッセイ基質(コアキット)を添加し、10分間インキュベートした。Synergy2ルミノメーター(BioTek、Winooski、VT)によって相対光単位(RLU)を測定した。エフェクター細胞および培地のみのウェルはベースラインRLUとしての機能を果たした。各試料を3連で試験する。
【0187】
内部移行アッセイ:抗GD2抗体の内部移行を、GD2発現細胞系統、H524およびLan1-lucに対するmAbおよびHum-ZAP二次コンジュゲート(cat番号IT22、Advanced Targeting Systems、San Diego、CA)複合体の細胞傷害活性を測定することによって評価した。細胞を、2連で96ウェルプレートにプレーティングし(2,000細胞/90μl/ウェル)、一晩インキュベートした。抗GD2抗体を、Hum-ZAP二次コンジュゲートと一緒に、製造者の説明書に従い、室温でインキュベートした。次に、10μl/ウェルのmAbおよびHum-ZAP複合体を細胞に添加し、3日間インキュベートした。mAbの最終濃度は10μg/mlであった。アッセイを3連で実施した。25μlのThiazolyl Blue Tetrazolium Bromide(cat番号M5655、Sigma、St Louis、MO)溶液(PBS中5mg/ml)を各ウェルに添加し、37℃でインキュベートした。2時間のインキュベーション後、100μl/ウェルの可溶化溶液(20%SDS/50%N,N-ジメチルホルムアミド、cat番号D4551、Sigma、St Louis、MO)を各ウェルに添加し、37℃でさらに4時間インキュベートした。570/690nmにおいてODを測定し、培地単独を用いて得られた値をプレートバックグラウンド減算のために使用した。抗体を伴わない3つの並行した培養物を使用して試料の値を正規化した(試料/無処理平均*100)。
【0188】
pH感受性細胞内蛍光プローブを使用する内部移行アッセイ:ヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2断片(Jackson ImmunoResearch、cat番号109-006-006)を、製造者のプロトコールに従ってpHAb Amine Reactive Dye(Promega、cat番号G9841)とコンジュゲートした。pHAbは、細胞がそれらのリソソームに抗体を取り込むときに遭遇する酸性pHでのみ蛍光を示すpHセンサー色素である。簡単に述べると、6μg/ml(200μl/チューブ)の一次抗体(1B7、31F9、5A7G3または試薬対照としてmAbなし)および4.5μg/ml(200μl/チューブ)の抗ヒトIgG F(ab’)2-pHAbを、室温で20分間インキュベートした。H524またはTC-71細胞を、RPMI1640+10%FBS+グルタミン+P/S培地に1.5×106細胞/mlで再浮遊させた。200μlの細胞を、一次プラス二次抗体混合物に添加し、4℃で40分間インキュベートした。細胞を遠心分離し、0.5mlの培養培地で再浮遊させ、96ウェル組織培養プレートに分配し、37℃、5%CO2でインキュベートした。試料を、Guava
Express Proソフトウェアを使用するフローサイトメトリー分析のために、1時間、2時間、4時間および24時間の時点で採取して、細胞の陽性の百分率を決定した。
【0189】
異種移植モデル:骨肉腫SaOS2細胞をATCC(Cat番号HTB-85;Manassas、VA)から入手し、雌CB17 SCIDマウス(5~8週齢)をTaconic(Germantown、NY)から購入した。完全成長培地0.1ml中のSaOS2細胞(1×106)を、0日目に28G針を伴うBDインスリンシリンジ(BD、Franklin Lakes、NJ)を使用して、群当たり10匹の動物の尾静脈に注射した。200μgのmAb(1B7または31F9)を、腫瘍細胞注射の1日後、4日後、8日後、11日後、14日後、21日後および28日後に腹腔内に注射した。生存を毎日モニタリングし、GraphPad Prism 6.05(GraphPad Software、San Diego、CA)を使用してカプラン・マイヤー生存曲線を作成した。
【0190】
ユーイング肉腫TC-71細胞をLeibniz-Institute DSMZ GmbH(Braunschweig、Germany)から入手し、推奨どおりに培養した。0.1mlのBD Matrigel(商標)Basement Membrane
Matrix(Becton Dickinson Bioscience)中のTC-71細胞(0.1×106)を、0日目に、群当たり5匹のマウスで雌CB17 SCIDマウス(5~8週齢)の右後側腹部に皮下注射した。200μgのmAb(1B7または31F9)を、腫瘍細胞注射の1日後、4日後、8日後、11日後、14日後、21日後および28日後に腹腔内に注射した。対照群の動物にPBSをモック注射した。1週間に2回腫瘍成長についてマウスをモニタリングし、腫瘍サイズをノギスによって測定した。長さ×幅×幅×0.5として腫瘍体積(mm3)を算出した。
【0191】
全ての手順をMemorial Sloan Kettering Cancer Center Institutional Animal Care and Use Committeeによる認可を受けたプロトコールの下で実施した。
【0192】
免疫グロブリンcDNAクローニングおよび組換え抗体発現:ヒトmAb重鎖および軽鎖の可変領域cDNAをRT-PCRによって個々のハイブリドーマまたはLCL細胞系統から回収し、以前に記載されている通りIgG1もしくはIgM重鎖発現ベクター、またはIgKもしくはIgL軽鎖発現ベクターにサブクローニングした。Sawada-Hirai, R.ら、Human anti-anthrax protective antigen neutralizing monoclonal antibodies derived from donors vaccinated with anthrax vaccine adsorbed. J IMMUNE BASED THER VACCINES 2巻(1号):5頁(2004年)。Ig重鎖または軽
鎖発現ベクターをNot IおよびSal Iで2重消化し、次いで、両方の断片をライゲーションして二重遺伝子発現ベクターを形成した。6ウェルプレート中のCHO細胞に、Lipofectamine 2000(cat番号11668019、Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用して二重遺伝子発現ベクターをトランスフェクトした。24時間後に、トランスフェクトされた細胞を、選択培地[10%透析FBS(cat番号26400044、Life Technologies、Carlsbad、CA)、50μMのL-メチオニンスルホキシイミン(MSX、cat番号M5379、Sigma、St Louis、MO)、GS supplement(cat番号58762C、Sigma、St Louis、MO)およびペニシリン/ストレプトマイシン(cat番号PS-20、Omega Scientific、Tarzana、CA)を補充したDMEM]を伴う10cmのディッシュに移した。2週間後、MSX耐性トランスフェクタントを単離し、拡大増殖させた。GD2特異的ELISAアッセイにおいて上清中の抗体レベルを測定することによって高抗GD2抗体産生クローンを選択し、大規模mAb産生のために拡大増殖させた。
【0193】
結果
組換え抗体の生成:11種の選択された抗体由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域をRT-PCRによって回収し、全長IgGもしくはIgM重鎖発現ベクター、またはIgKもしくはIgL軽鎖発現ベクターにクローニングした。IMGT/V-Questを使用した分子配列解析(Brochetら、Nucleic Acids Res.、36巻:W503~8頁(2
008年))により、9種の選択されたヒト抗GD2抗体が3つの異なるVHファミリーに由来すること、および全てカッパ軽鎖が使用されていることが明らかになった。これらのIgG抗体は、生殖細胞系列から外れた変異をそれぞれ5個、7個、8個、9個、10個、または20個伴う異なるCDR配列を示した(
図1~14、
図17~21;表3)。IgM抗体(2E12)ではカッパ軽鎖も利用され、重鎖変異が3個ある(
図15~16;表3)。ウェーブバイオリアクターシステム中、CHO細胞系統において組換え抗体を産生させ、IgGおよびIgMに対してそれぞれプロテインAまたはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを使用して精製した。精製された組換え抗体は、ELISAでの結合および特異性に関して元のハイブリドーマ由来の抗体の性質を保持した。
【表3】
【0194】
結合特異性:抗原特異的ELISAアッセイにおいて、7種のヒト抗GD2抗体(1B7、2H12、1G2、2F7、2E12、31F9、および32E2)が、GD2-PAAコンジュゲートに対して強い反応性を示したが、GD3-PAA、Globo-H、MUC1、Tn-PAA、sTn-PAA、TF-PAA、またはSleA-PAAに対しては示さなかった。3種の抗体(1B7、2H12および2F7)は、GM2-PAAコンジュゲートに対しても交差反応性を示した。同様に、これら7種の抗体はまた、GD2-セラミドコンジュゲート(GD2-cer)と強い反応性を実証したが、GD3-セラミドコンジュゲート(GD3-cer)、F-GM1-セラミドコンジュゲート(F-GM1-cer)、またはGM3-セラミドコンジュゲート(GM3-cer)とは実証しなかった。
【表4】
【0195】
腫瘍細胞結合の分析:細胞表面結合は細胞傷害活性に関して極めて重要であり、したがって、抗GD2抗体1B7、2H12、1G2、2F7、2E12、31F9、および32E2についてこれを次に試験した。フローサイトメトリーにより、7種全ての抗体の、小細胞がん細胞系統H524、神経芽腫細胞系統Lan1-Luc、乳がん細胞系統Hs527T、ならびに2つの肉腫細胞系統TC71およびSaOS2への強力な結合が示された。7種の抗体のうち一部と、膵がん細胞、急性T細胞白血病細胞、メラノーマ細胞、および他の肉腫細胞を含めた他のがん細胞系統との間でも、陽性結合が検出された(表5)。
【表5】
【0196】
親和性測定:GD2への結合の相対的な親和性/結合活性を、ビオチン化GD2-PAAを捕捉するためにストレプトアビジンでコーティングしたバイオセンサーチップを使用してSPRによってプローブした(表6)。
【表6】
【0197】
CDC活性:1B7、2H12、1G2、2F7、2E12、31F9、31F9V2、および32E2の機能活性を評価するために、4種の異なる細胞(H524、Lan1-Luc、Jurkat、およびTC-71)を用い、補体の供給源としてヒト血清の存在下でそれらの細胞傷害活性を試験した。1B7は、試験した4種の細胞のうち3種において、10μg/mLでほぼ100%の死滅活性を示した。2H12、2F7、31F9V2、および32E2は全て、一部の細胞系統に対して有意なレベルのCDC活性を示した。IgM抗体2E12は、H524、Lan1-LucおよびTC-71に対して5μg/mLでほぼ100%の死滅活性を示し、これは、補体媒介性細胞傷害アッセイにおいてIgM抗体がより有効であることが分かっていたので、予測された。
【表7】
【0198】
抗体依存性細胞傷害:CDCアッセイでは2E12の効力が有意に大きかったが、IgG抗体は、in vivoにおける腫瘍の死滅に関して重要である抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有することが公知であった。6種の抗GD2 IgG抗体(1B7、31F9、31F9V2、1G2、2F7、および32E2)を、5種の異なる細胞系統(SaOS2、H524、Hs578T、TC71)で試験した。培地のみによる処置を対照として使用した。1B7、31F9、31F9V2および2F7抗体を特にTC71細胞系統と共に使用して、高レベルの細胞傷害性が測定された(
図24)。1G2および32E2も、比較的低いレベルではあるが、いくらかの活性を示した。
【0199】
内部移行アッセイ:抗GD2抗体の内部移行を、GD2発現細胞系統であるH524およびLan1-lucに対するmAbおよびHum-ZAP二次コンジュゲート複合体の細胞傷害活性を測定することによって評価した。複合体が内部移行した細胞は死滅するが、サポリンが内部移行しないことにより細胞は無傷のままになる。培地のみによる処置を対照として使用した。
図25に示されている通り、H524細胞は、1B7、31F9、または31F9V2の存在下で有効に死滅した。同様に、Lan1-Luc細胞は、1B7、1G2、2H12、2F7、31F9、および32E2の存在下で有効に死滅した(
図26)。
【0200】
さらなる内部移行アッセイを、PH感受性蛍光タグにより内部移行の動態を直接測定するpH感受性細胞内蛍光プローブを使用して実施した。
図27および28は、H524(SCLC)細胞およびTC-71(肉腫)細胞への1B7および31F9V2の内部移行の動態を実証している。示されている通り、有意な量の抗GD2抗体が、5A7G3(抗GD3)および抗F(ab’)2-pHAbのみと比較して、H524(SCLC)腫瘍細胞およびTC-71(肉腫)腫瘍細胞の両方に内部移行した。
【0201】
in vivoモデル:抗GD2抗体の抗腫瘍効果を、in vivoモデルにおいても評価した。
図29は、ヒトSaOS2(骨肉腫)異種移植片を植え付けたSCIDマウスの生存を測定した生存モデルの結果を示す。
図29に実証したように、植え付けたマウスのパーセント生存は、マウスにPBSのみを注射した対照群と比較して、31F9または1B7のいずれかによって処置することによって有意に増加した。
図30は、SCIDマウスにおけるヒトTC-71(肉腫)異種移植腫瘍の成長を測定した皮下腫瘍モデルの結果を示す。
図30に実証したように、植え付けたマウスにおける腫瘍体積は、マウスにPBSのみを注射した対照群と比較して、31F9または1B7のいずれかによって処置することによって有意に低下した。
【0202】
従って、上記のデータにより、ヒト抗GD2 mAb処置を使用して、樹立腫瘍を抑制しまたは退縮させ、生存に対する利点をもたらす有意な潜在性が実証される。
【0203】
本出願全体を通して種々の刊行物が参照されている。これらの刊行物の開示は、本発明が関する技術分野の現状をより詳細に説明するためにそれらの全体がこれによって参照により本出願に組み込まれる。本発明は上に提供した実施例を参照して説明されているが、本発明の趣旨から逸脱することなく種々の改変を行うことができることが理解されるべきである。
例えば、本発明の実施形態において以下の項目が提供される。
(項目1)
VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを含む抗体重鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、
前記VH CDR1アミノ酸配列は、配列番号2の残基26~33;配列番号6の残基26~33;配列番号10の残基26~33;配列番号14の残基26~33;配列番号18の残基26~33;配列番号22の残基26~33;配列番号26の残基26~33;配列番号30の残基26~33;配列番号34の残基26~33;配列番号36の残基26~33;および配列番号40の残基26~33からなる群から選択され;
前記VH CDR2アミノ酸配列は、配列番号2の残基51~58;配列番号6の残基51~58;配列番号10の残基51~58;配列番号14の残基51~58;配列番号18の残基51~58;配列番号22の残基51~58;配列番号26の残基51~58;配列番号30の残基51~58;配列番号34の残基51~58;配列番号36の残基51~58;および配列番号40の残基51~58からなる群から選択され;
前記VH CDR3アミノ酸配列は、配列番号2の残基97~109;配列番号6の残基97~109;配列番号10の残基97~108;配列番号14の残基97~108;配列番号18の残基97~108;配列番号22の残基97~108;配列番号26の残基97~109;配列番号30の残基97~109;配列番号34の残基97~110;配列番号36の残基97~110;および配列番号40の残基97~108からなる群から選択される、単離されたポリヌクレオチド。
(項目2)
前記VHドメインが、配列番号2の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号6の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号10の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号14の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号18の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号22の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号26の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号30の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号34の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;配列番号36の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;ならびに配列番号40の残基26~33、残基51~58、および残基97~108からなる群から選択されるVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3アミノ酸配列を有する、項目1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目3)
配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを含む抗体重鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチド。
(項目4)
前記VHドメインアミノ酸配列が、配列番号1;配列番号5;配列番号9;配列番号13;配列番号17;配列番号21;配列番号25;配列番号29;配列番号33;配列番号35;および配列番号39からなる群から選択される核酸配列によりコードされる、項目3に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目5)
VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む抗体軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、
前記VL CDR1は、配列番号4の残基27~37;配列番号8の残基27~37;配列番号12の残基27~38;配列番号16の残基27~38;配列番号20の残基27~38;配列番号24の残基27~38;配列番号28の残基27~37;配列番号32の残基27~37;配列番号38の残基27~32;および配列番号42の残基27~38からなる群から選択され;
前記VL CDR2は、配列番号4の残基55~57;配列番号8の残基55~57;配列番号12の残基56~58;配列番号16の残基56~58;配列番号20の残基56~58;配列番号24の残基56~58;配列番号28の残基55~57;配列番号32の残基55~57;配列番号38の残基50~52;および配列番号42の残基56~58からなる群から選択され、
前記VL CDR3は、配列番号4の残基94~102;配列番号8の残基94~102;配列番号12の残基95~103;配列番号16の残基95~103;配列番号20の残基95~103;配列番号24の残基95~103;配列番号28の残基94~102;配列番号32の残基94~102;配列番号38の残基89~97;および配列番号42の残基95~103からなる群から選択される、
単離されたポリヌクレオチド。
(項目6)
前記VLドメインが、配列番号4の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号8の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号12の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号16の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号20の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号24の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号28の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号32の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号38の残基27~32、残基50~52、および残基89~97;ならびに配列番号42の残基27~38、残基56~58、および残基95~103からなる群から選択されるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3アミノ酸配列を有する、項目5に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目7)
配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む抗体軽鎖またはその機能性断片をコードする単離されたポリヌクレオチド。
(項目8)
前記VLドメインアミノ酸配列が、配列番号3;配列番号7;配列番号11;配列番号15;配列番号19;配列番号23;配列番号27;配列番号31;配列番号37;および配列番号41からなる群から選択される核酸配列によりコードされる、項目7に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目9)
GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3アミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを含み、
前記VH CDR1アミノ酸配列は、配列番号2の残基26~33;配列番号6の残基26~33;配列番号10の残基26~33;配列番号14の残基26~33;配列番号18の残基26~33;配列番号22の残基26~33;配列番号26の残基26~33;配列番号30の残基26~33;配列番号34の残基26~33;配列番号36の残基26~33;および配列番号40の残基26~33からなる群から選択され;
前記VH CDR2アミノ酸配列は、配列番号2の残基51~58;配列番号6の残基51~58;配列番号10の残基51~58;配列番号14の残基51~58;配列番号18の残基51~58;配列番号22の残基51~58;配列番号26の残基51~58;配列番号30の残基51~58;配列番号34の残基51~58;配列番号36の残基51~58;および配列番号40の残基51~58からなる群から選択され;
前記VH CDR3アミノ酸配列は、配列番号2の残基97~109;配列番号6の残基97~109;配列番号10の残基97~108;配列番号14の残基97~108;配列番号18の残基97~108;配列番号22の残基97~108;配列番号26の残基97~109;配列番号30の残基97~109;配列番号34の残基97~110;配列番号36の残基97~110;および配列番号40の残基97~108からなる群から選択される、
抗体またはその機能性断片。
(項目10)
前記VHドメインが、配列番号2の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号6の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号10の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号14の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号18の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号22の残基26~33、残基51~58、および残基97~108;配列番号26の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号30の残基26~33、残基51~58、および残基97~109;配列番号34の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;配列番号36の残基26~33、残基51~58、および残基97~110;ならびに配列番号40の残基26~33、残基51~58、および残基97~108からなる群から選択されるVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3アミノ酸配列を有する、項目9に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
(項目11)
GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)ドメインを含む、抗体またはその機能性断片。
(項目12)
GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3アミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含み、
前記VL CDR1は、配列番号4の残基27~37;配列番号8の残基27~37;配列番号12の残基27~38;配列番号16の残基27~38;配列番号20の残基27~38;配列番号24の残基27~38;配列番号28の残基27~37;配列番号32の残基27~37;配列番号38の残基27~32;および配列番号42の残基27~38からなる群から選択され;
前記VL CDR2は、配列番号4の残基55~57;配列番号8の残基55~57;配列番号12の残基56~58;配列番号16の残基56~58;配列番号20の残基56~58;配列番号24の残基56~58;配列番号28の残基55~57;配列番号32の残基55~57;配列番号38の残基50~52;および配列番号42の残基56~58からなる群から選択され、
前記VL CDR3は、配列番号4の残基94~102;配列番号8の残基94~102;配列番号12の残基95~103;配列番号16の残基95~103;配列番号20の残基95~103;配列番号24の残基95~103;配列番号28の残基94~102;配列番号32の残基94~102;配列番号38の残基89~97;および配列番号42の残基95~103からなる群から選択される、
抗体またはその機能性断片。
(項目13)
前記VLドメインが、配列番号4の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号8の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号12の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号16の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号20の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号24の残基27~38、残基56~58、および残基95~103;配列番号28の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号32の残基27~37、残基55~57、および残基94~102;配列番号38の残基27~32、残基50~52、および残基89~97;ならびに配列番号42の残基27~38、残基56~58、および残基95~103からなる群から選択されるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3アミノ酸配列を有する、項目12に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
(項目14)
GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)ドメインを含む、抗体またはその機能性断片。
(項目15)
GD2に結合する単離された抗体またはその機能性断片であって、可変重鎖(VH)ドメインおよび可変軽鎖(VL)ドメインを含み、
前記VHは、配列番号2;配列番号6;配列番号10;配列番号14;配列番号18;配列番号22;配列番号26;配列番号30;配列番号34;配列番号36;および配列番号40からなる群から選択され;
前記VLは、配列番号4;配列番号8;配列番号12;配列番号16;配列番号20;配列番号24;配列番号28;配列番号32;配列番号38;および配列番号42からなる群から選択される、
抗体またはその機能性断片。
(項目16)
前記VHドメインおよび前記VLドメインが、それぞれ、配列番号2および配列番号4;配列番号6および配列番号8;配列番号10および配列番号12;配列番号14および配列番号16;配列番号18および配列番号20;配列番号22および配列番号24;配列番号26および配列番号28;配列番号30および配列番号32;配列番号34および配列番号38;配列番号36および配列番号38;ならびに配列番号40および配列番号42からなる群からのアミノ酸配列を含む、項目15に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
(項目17)
前記抗体がヒト抗体である、項目9から16までのいずれか一項に記載の単離された抗体またはその機能断片。
(項目18)
前記抗体機能性断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFV、ダイアボディ、トリアボディ、ミニボディおよび単一ドメイン抗体(sdAB)からなる群から選択される、項目9から16までのいずれか一項に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
(項目19)
前記抗体がモノクローナル抗体である、項目9から16までのいずれか一項に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
(項目20)
前記抗体がIgGまたはIgM同位元素である、項目9から16までのいずれか一項に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
(項目21)
前記IgG抗体がIgG1サブクラスである、項目20に記載の単離された抗体またはその機能性断片。
(項目22)
診断剤、検出可能な薬剤または治療剤とコンジュゲートしているか、または組換えによって融合している、項目9から16までのいずれか一項に記載の単離された抗体またはその機能性断片を含むコンジュゲート。
(項目23)
検出可能な薬剤を含む、項目22に記載のコンジュゲート。
(項目24)
腫瘍の検出を必要とする対象における腫瘍を検出するための方法であって、前記対象に項目23に記載のコンジュゲートの有効量を投与するステップを含む方法。
(項目25)
項目9から16までのいずれか一項に記載の抗体またはその機能性断片および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目26)
疾患を治療または予防するための方法であって、疾患の治療または予防を必要とする対象に項目25に記載の医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含む方法。
(項目27)
前記疾患ががんまたは腫瘍形成であり、前記がんまたは前記腫瘍の細胞がGD2を発現する、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記がんまたは前記腫瘍が、神経芽腫、骨肉腫および肉腫の他のサブセット、メラノーマ、神経膠腫、小細胞肺がん、乳がん、髄芽腫ならびに星細胞腫からなる群から選択される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記乳がんが、乳がん幹細胞を含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
第2の治療剤を同時にまたは順次投与するステップをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目31)
前記第2の治療剤が化学療法剤または免疫療法剤である、項目30に記載の方法。
【配列表】