(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】内部永久磁石を有する電気機械用の回転子
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20220405BHJP
【FI】
H02K1/276
(21)【出願番号】P 2020503372
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(86)【国際出願番号】 FR2018050824
(87)【国際公開番号】W WO2018185421
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-04
(32)【優先日】2017-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】タヴェルニエ,ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー,ガエル
(72)【発明者】
【氏名】ドリシー,バスティアン
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-017633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行六面体の永久磁石(51~58)を受け入れるための複数の凹部(1~8)を画定するシートの積層からなるヨークを備え、前記凹部(1~8)は、磁気的に飽和した外側の横断方向の峡部(11、12)および横方向の峡部(15、16)と、半径方向の峡部(10、20、30、40)と、斜めの峡部(13、14)とによって囲まれている、内部永久磁石を有する電気機械用の回転子であって、
前記半径方向の峡部(10、20、30、40)は、前記ヨークの中心から半径方向に延びており、前記複数の凹部(1~8)のうちの一対の間であって且つ前記外側の横断方向の峡部(11、12)の間に配置され、
前記外側の横断方向の峡部(11、12)は、直線状であり、前記半径方向の峡部(10、20、30、40)に対して実質的に垂直であり、且つ、前記凹部(1~8)の外側に配置されており、
前記横方向の峡部(15、16)は、各一対の凹部の隣接する凹部の間に位置しており、
前記磁石(51~58)は、対にされる磁石の間に配置された前記半径方向の峡部(10、20、30、40)の前記半径方向と垂直な同じ方向に磁化された磁石(51、52)の対に組み立てられ、
前記半径方向の峡部(10、20、30、40)は、前記回転子の直径の5%未満の厚みを有し、
前記回転子の断面の周囲は、2つの連続する磁石の対の間の一連の湾曲した輪郭(B)と、前記外側の横断方向の峡部(11、12)における接線方向の直線状の輪郭(A)とによって形成される、ことを特徴とする回転子。
【請求項2】
前記磁石の累積断面が前記回転子の断面の40%よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の回転子。
【請求項3】
前記磁石(51~58)が長方形の断面を有することを特徴とする請求項1に記載の回転子。
【請求項4】
前記磁石(51~58)は前記半径方向の平面(10、20、30、40)に対して対称な台形断面を有し、短い底辺は固定子に向けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転子。
【請求項5】
前記ヨークは、前記回転子の磁極に対応する二対の磁石の間に開口部(21~24)を有することを特徴とする請求項1に記載の回転子。
【請求項6】
前記横方向の峡部(15、16)は、前記半径方向の峡部(10)に対し、45°の角度において、半径方向に配向することを特徴とする請求項1に記載の回転子。
【請求項7】
連続する二対の磁石が中実な材料領域(31、32、33、34)によって分離されていることを特徴とする請求項1に記載の回転子。
【請求項8】
少なくとも一部が電気コイルによって取り囲まれた極性歯を有する固定子と、平行六面体の永久磁石(51~58)を受け入れるための複数の凹部(1~8)を画定するシートの積層からなるヨークを備える内部永久磁石を有する回転子とを備え、前記凹部(1~8)は、磁気的に飽和した外側の横断方向の峡部(11、12)によってと、半径方向の峡部(10、20、30、40)、横方向の峡部(15、16)および斜めの峡部(13、14)によってと、取り囲まれている電気機械であって、
前記半径方向の峡部(10、20、30、40)は、前記ヨークの中心から半径方向に延びており、前記複数の凹部(1~8)のうちの一対の間であって且つ前記外側の横断方向の峡部(11、12)の間に配置され、
前記外側の横断方向の峡部(11、12)は、直線状であり、前記半径方向の峡部(10、20、30、40)に対して実質的に垂直であり、且つ、前記凹部(1~8)の外側に配置されており、
前記横方向の峡部(15、16)は、各一対の凹部の隣接する凹部の間に位置しており、
前記磁石(51~58)は、対にされる磁石の間に配置された前記半径方向の峡部(10、20、30、40)の前記半径方向と垂直な同じ方向に磁化された磁石(51、52)の対に組み立てられ、
前記半径方向の峡部(10、20、30、40)は、前記回転子の直径の5%未満の厚みを有し、
前記回転子の断面の周囲は、2つの連続する磁石の対の間の一連の湾曲した輪郭(B)と、前記外側の横断方向の峡部(11、12)における接線方向の直線状の輪郭(A)とによって形成される、ことを特徴とする電気機械。
【請求項9】
少なくとも一部が電気コイルによって取り囲まれた極性歯を有する固定子と、平行六面体の永久磁石(51~58)を受け入れるための複数の凹部(1~8)を画定するシートの積層からなるヨークを備える内部永久磁石を有する回転子とを備えるモータによって駆動されるタービンを備え、前記凹部(1~8)は、磁気的に飽和した外側の横断方向の峡部(11、12)によってと、半径方向の峡部(10、20、30、40)、横方向の峡部(15、16)および斜めの峡部(13、14)によってと、取り囲まれている電気コンプレッサであって、
前記半径方向の峡部(10、20、30、40)は、前記ヨークの中心から半径方向に延びており、前記複数の凹部(1~8)のうちの一対の間であって且つ前記外側の横断方向の峡部(11、12)の間に配置され、
前記外側の横断方向の峡部(11、12)は、直線状であり、前記半径方向の峡部(10、20、30、40)に対して実質的に垂直であり、且つ、前記凹部(1~8)の外側に配置されており、
前記横方向の峡部(15、16)は、各一対の凹部の隣接する凹部の間に位置しており、
前記磁石(51~58)は、対にされる磁石の間に配置された前記半径方向の峡部(10、20、30、40)の前記半径方向と垂直な同じ方向に磁化された磁石(51、52)の対に組み立てられ、
前記半径方向の峡部(10、20、30、40)は、前記回転子の直径の5%未満の厚みを有し、
前記回転子の断面の周囲は、2つの連続する磁石の対の間の一連の湾曲した輪郭(B)と、前記外側の横断方向の峡部(11、12)における接線方向の直線状の輪郭(A)とによって形成される、ことを特徴とする電気コンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部永久磁石(internal permanent magnet,IPM)構成を有するブラシレス同期回転電気機械の回転子に関する。永久磁石を有する電気機械は一般に、高エネルギー密度および優れた構造強度を有するサマリウムおよびネオジムなどの希土類を使用する。
【0002】
しかしながら、これらの希土類抽出場所の不足、およびこれらの材料の不足を人為的に引き起こす可能性がある地政学的選択のために、これらの原料の価格は急激に変動し、特に上昇する傾向がある。したがって、このような磁石を特定の構成、例えば、円柱形状に成形することに伴う工業生産コストは、重大になり得る。
【0003】
この状況を克服するために、内部永久磁石(IPM)を有する電動機の構想は発展してきた。これは、強磁性ヨークに形成された空洞に、より経済的に製造および磁化される外形を有する磁石のブロックを挿入することからなり、これはまた、より大きな体積を有する磁石の使用を可能にする。硬質フェライトのような、より低い性能を有する磁石の使用もまた、このより大きな体積のために考慮され得る。
【0004】
それ自体公知の方法で回転電気機械は、巻かれた固定子と、シャフトと一体の回転子とからなる。回転子は一般に、駆動シャフトおよび/または被駆動シャフトと一体であり、交流発電機、電気モータ、または両方の形態で動作することができる可逆的機械の形態の回転電気機械に属することができる。
【0005】
固定子は、通常、例えばベアリング又はブッシングを介して回転シャフトを支持するように構成された凹部内に取り付けられる。固定子はクラウンを形成する薄いシートの積層(stack)からなる本体(body)またはヨークを有し、クラウンの内側には、相巻線を受け入れるために内側に向かって開いたスロットが設けられている。分散波形巻線では、巻線が例えば、連続エナメル被覆ワイヤから、または溶接によって互いに接続された導電性ピン形状要素から得られる。
【0006】
あるいは、「同心」巻線においては、閉コイルからなる相巻線が、固定子歯の周りに巻かれている。シートメタルパッケージと巻線ワイヤとの間の保護は、紙タイプの絶縁材、オーバーモールドによるプラスティック、または挿入物の手段のいずれかによって提供される。これらの巻線は星形またはデルタ形に接続された多相巻線であり、その出力はインバータに接続されている。
【0007】
さらに、回転子は、回転子を軸方向に貫通するリベット、またはステープルまたはボタンまたは接着剤溶液などの適切な固定方法を用いて、パッケージの形態で保持されたメタルシートの積層によって形成された本体からなる。回転子は、回転子本体の空洞内に収容された永久磁石によって形成された磁極を有する。
【0008】
過給機(「電気過給機」)に結合された回転電気機械が知られている。この電気過給機は、燃料消費および粒子状物質排出を低減する(いわゆる「小型化」の原則の)ために、多くの自動車に使用されている小型内燃機関の動力損失を少なくとも部分的に補償する。
【0009】
この目的のために、電気過給機は燃焼機関の上流の吸気ダクト上に配置されたプロペラを含み、燃焼機関シリンダの充填を最適化するために吸気を圧縮することができる。
【0010】
電気機械は例えば、特に加速時の過渡段階の間、または停止および始動動作後の内燃機関の自動再始動段階の間に、トルク応答時間を最小限に抑えるために、圧縮機タービンを駆動するように設計される。
【背景技術】
【0011】
IPMタイプの電気機械については、多くの回転子トポロジが知られている。
【0012】
例えば、ヨーロッパ特許出願EP0803962は、半径方向に延びるスロットによって分離された湾曲した基部を有する台形部分を画定するダイカット領域を有する、多数の重ね合わされたディスク形状の強磁性シートを有する、交流発電機用の永久磁石を有する回転子を記載している。焼結された永久磁石は、半径方向に延びるスロット内に導入される。
【0013】
US201528888233特許出願は、内径及び外径を有する円筒状の主芯によって形成された回転子であって、半径方向の磁石ブロックが収納された軸方向の空洞を有し、各々が主芯の外周縁に垂直な方向に延在するものを記載している。これらの永久磁石は、半径方向の核がそれらの間の中心にある状態で、対向する磁極が互いに向き合うように磁化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
これらの解決策は、特に高速で動作する電気機械の場合、性能が比較的控えめなままであるため、完全に満足のいくものではない。このような機械では、回転子に形成された空洞に挿入された磁石に及ぼされる遠心力が大きいため、磁石を凹部の内側に押し込めなければならない。しかしながら、回転子の周縁保持領域は、磁気短絡を生じさせる峡部であるため、あまりにも大きくすることはできない。
【0015】
本発明の目的は高速回転中に高い機械的応力を受ける破損領域を制限しながら、磁石体積、したがってモータの出力を最大にすることによって、磁気的および機械的性能を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のために、本発明はその最も広い意味において、平行六面体の永久磁石を受け入れるための複数の凹部を画定するシートの積層からなるヨークを備え、前記凹部は、磁気的に飽和した外側の横断方向の峡部および横方向の峡部によって、ならびに半径方向および斜めの峡部によって取り囲まれている、内部永久磁石を有する電気機械のための回転子であって、
前記磁石は、対にされる磁石の間に配置された前記半径方向の峡部の前記半径方向に垂直な同じ方向に磁化された磁石の対に組み立てられ、
前記半径方向の峡部は前記回転子の直径の5%未満の厚みを有し、
前記回転子の断面の周囲は2つの連続する磁石の対の間の一連の湾曲した輪郭と、前記外側の横断方向の峡部における接線方向の直線状の輪郭とによって形成されることを特徴とする回転子に関する。
【0017】
好ましくは、本発明の目的は磁石の断面積を最大にすることであるので、前記磁石の累積断面積は前記回転子の断面積の40%よりも大きい。前記回転子の断面は、挿入可能な機械的シャフトを含む材料を含む前記回転子の断面と考えられる。
【0018】
好ましくは、磁石は長方形の断面を有する。ただし、その隅には、フィレット又は面取り部を設けることができる。
【0019】
あるいは、前記磁石は、前記半径方向の平面に対して対称な台形断面を有し、短い底辺は、前記回転子の外側の固定子に向けられている。
【0020】
第1の実施形態では、連続する二対の磁石が中実な材料領域によって分離される。
【0021】
第2の実施形態では、前記ヨークが前記回転子の磁極に対応する二対の磁石の間に開口部を有する。
【0022】
好ましくは、前記横方向の峡部が前記半径方向の峡部に対して45°の角度45°の角度において、半径方向に配向する。本発明は主に、二対の磁極を有する電気機械を対象とする。
【0023】
また、本発明は、その少なくとも一部が電気コイルによって取り囲まれた極性歯を有する固定子と、上述の回転子に適合する内部永久磁石を有する回転子とを備える、エンジン、特に過給機エンジン、または発電機の製造へのそのような回転子の適用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は添付の図面を参照しながら、非限定的な例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって最も良く理解されるのであろう。
【
図1a】磁石なしの、本発明の第1の実施形態に係る回転子のヨークの断面図を表す。
【
図1b】磁石ありの、本発明の第1の実施形態に係る回転子のヨークの断面図を表す。
【
図2a】磁石なしの、本発明の第2の実施形態に係る回転子のヨークの断面図を表す。
【
図2b】磁石ありの、本発明の第2の実施形態に係る回転子のヨークの断面図を表す。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る電気機械の斜視図を表す。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る電気機械の縦方向の横断面図を表す。
【
図5】磁石が台形断面を有する代替形態における、本発明による回転子の斜視図を示す。
【
図6a】機械的シャフトの通過のための内径が変化し得る代替実施形態を示す。
【
図6b】機械的シャフトの通過のための内径が変化し得る代替実施形態を示す。
【
図7】固定子が磁石を位置決めするためのピンを有する代替実施形態を示す。
【
図8a】2つの連続する磁石対の間の湾曲した輪郭が異なる代替実施形態を示す。
【
図8b】2つの連続する磁石対の間の湾曲した輪郭が異なる代替実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1の実施形態では回転子ヨークがシートの積層からなり、シートの積層は、0.2~0.5ミリメートルの典型的な厚みを有し、この厚みは限定的ではないが、切断されて、他の峡部10、20、30、40の両側に対を形成する凹部1~8を形成する。記載された例では、回転子は4つのカット対を有する。一対の凹部1、2は、典型的には0.5mmの厚みの半径方向に配向された峡部10によって分離されている。この厚みは限定的なものではないが、本発明にとって、この厚みはこの
図1に見られる回転子断面に対して、峡部10、20、30、40によって占められる面を最小限に抑えるために、部品の生産および機械的抵抗に影響を及ぼす可能性を最小限に抑えられることが重要である。
【0026】
凹部1~8は、峡部によって画定されている。「峡部(isthmus)」という語は、機械的抵抗機能を提供する強磁性体の細い帯を意味する。これら細い峡部は、各々の厚みが、回転子内の他の磁気要素の厚みよりも小さく、磁気性能を低下させることなく機械的強度を確保する。
【0027】
半径方向の峡部10は、回転子ヨークの中心から一対の凹部1、2を通って半径方向に延びている。外側の横断方向の峡部11、12は、半径方向の峡部10に対して実質的に垂直であり、凹部1~8の外側に配置されている。斜めの峡部13、14は、凹部と回転子ヨークの中心との間の、凹部1~8の内側に配置されている。横方向の峡部15、16は、一対の凹部の隣接する凹部の間に配置され、材料領域31~34と回転子ヨークの中心とを接続する。外側の横断方向の峡部11、12および横方向の峡部15hh、16は磁気的に飽和しているが、半径方向の峡部10、20および斜めの峡部13、14は磁気的に飽和していない物質の帯である。
【0028】
このように、一対の凹部1、2は、外側が外側の横断方向の峡部11、12によって、内側が斜めの峡部13、14によって画定されている。さらに、一対の凹部1、2は、半径方向に配向され、半径方向の峡部10に対して45°の角度をなしている2つの横方向の峡部15、16によって画定されている。
【0029】
図1aおよび図lbに示されるこの第1の実施形態では、二対の切断部の間の材料領域31、32、33、34は中実であり、開放されない。
【0030】
図2aおよび
図2bの第2の例示的な実施形態では、その領域が開口部21~24を形成するように窪んでおり、これにより、回転子の重量を減少させ(慣性を減少させ)、特に高速回転中に横方向の峡部15、16にかかる機械的応力を減少させることができる。
【0031】
また、この第2の実施形態では、開口部24が2つのセグメント17、18を画定し、これらのセグメントは峡部10に平行に延在し、エッジ15の外側端部を外側の横断方向の峡部11の端部に接続する。したがって、これらの開口部21~24は、使用される各シートについて、抵抗性の一続きの要素を形成するために、ヨークの各シートの材料連続性を中断することなく、ヨークの機械的密着を確実にする。
【0032】
セグメント17、18の厚みは、ヨーク材料の顕著な磁気飽和を回避するのに十分な磁束の通過を容易にするために、典型的には横方向の峡部15、16、外側の横断方向の峡部11、12、および半径方向の峡部10の厚みよりも、典型的には2~4倍大きい。
【0033】
外側の横断方向の峡部11、12は、特徴的なT字形を形成するように半径方向の峡部10に対して直角に配向されており、このT字形は非円形の周縁を与えるが、セグメント17、18の間の連続した湾曲した輪郭Bと、外側の横断方向の峡部11、12における接線方向の直線状の輪郭Aとから構成されている。
【0034】
湾曲した輪郭Bは好ましくは円形であるが、電流なしでの残留トルクを調整するために、または機械の逆起電力の状態を整えるために、局所的に変形されてもよい。
【0035】
直線状の輪郭Aは、外側の横断方向の峡部11、12がほぼ一定の厚みを有するという事実を反映している。厚みの変動、すなわち、直線性の変動が小さいことは、同様に、電流なしでの残留トルクを調整すること、または機械の逆起電力の状態を整えること、または磁石の組立および/または位置決め機能を可能にすることを目的として、本発明によって実現できる。
【0036】
図lbおよび
図2bは、それぞれ、凹部1~8に磁石51~58を配置した第1および第2の実施形態を示す。典型的には、磁石51~58は、磁化による方向が太い矢印によって図lbおよび
図2bで示され、また、動作中の遠心力によって半径方向の峡部10および外側の横断方向の峡部11、12と接触しているように、配置される。永久磁石51~58は、典型的には平行六面体の断面を有するブロックの形式であり、例えば、ここに示されるようなフィレット(fillet)を有する方形、または面取り部(図示せず)を有する方形であり、周囲の形状は限定的ではない。
【0037】
図3は本発明の第1の実施形態に係る回転子の斜視図であり、
図1bに示すようなヨークと、動かされる外部要素、例えば、電気過給機に適用される場合にはタービンに接続される機械的シャフト9とからなる。2つの凹部1、2を分離する、半径方向の峡部10の平面に垂直な方向、すなわち接線方向に磁化された磁石51~58は、凹部1、2の各対に収容される。しかし、磁化方向は機械の残留トルクおよび逆起電力を調整するために、接線方向から数度ずれてもよい。
【0038】
図4は、磁石51~58が取り付けられた、
図2bの第2の実施形態で説明したようなヨークによって形成された回転子の斜視図を示す。ヨークは、明確にするためにここでは明示されないシートの積層から作られる。
【0039】
図5は、前記磁石51~58が半径方向の平面10、20、30、40に対して対称な台形断面を有し、短い底辺が固定子に向けられている、回転子の代替実施形態を示す。この磁石形状は、磁石の保持力および回転子の機械的強度を改善するために有利であり得る。
【0040】
図6aおよび
図6bは、電気機械の動力を伝達するための機械的シャフトを収容するために使用される中心空間60が異なるサイズを有する実施形態を示す。
【0041】
図7は、磁石51~58が凹部1~8の半径方向の底部に確実に接触するように位置決めピン59を使用する一実施形態を示す。
【0042】
図8aおよび
図8bは、2つの連続する磁石対の間の湾曲した輪郭Bが電流の有無にかかわらず対を管理するために可変である代替的な実施形態を示す。これらの輪郭の修正は、反復試験によって実施することができる。