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特許7053799再構成可能なステントならびにシステムおよびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】再構成可能なステントならびにシステムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/86 20130101AFI20220405BHJP
【FI】
A61F2/86
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020511792
(86)(22)【出願日】2017-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2017049201
(87)【国際公開番号】W WO2019045695
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-08-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】シン,アシーム
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0041454(US,A1)
【文献】特表2012-505041(JP,A)
【文献】特表2008-514284(JP,A)
【文献】特表2016-520340(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0303981(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82
A61F 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスにおいて、当該デバイスが
格子構造を含み、人体の管腔に適合された管状体と、
前記格子構造の少なくとも一部を形成する複数のフィラメントと、
前記複数のフィラメントの少なくとも一部を形成する複数の微小セルと、を備え、
前記複数の微小セルの各微小セルが、独立に可動の微小表面で構成され、
前記微小表面の組み合わされたミクロ運動により、人体の管腔に合わせて前記管状体が形作られ、
前記複数の微小セルの各微小セルが、前記微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極の上にねじれヒンジ上に取り付けられた前記微小表面を含む、デバイス。
【請求項2】
前記複数のフィラメントの前記一部を形成する前記複数の微小セルが、それぞれのフィラメントに沿って1つまたは複数の、プログラムによりアドレス指定可能な列に配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数の微小セルの各微小セルが、前記微小表面の前記少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持する前記一対の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する状態データを格納するように構成された記憶セルをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記管状体の周りに配置された高分子包装をさらに含み、前記高分子包装が、前記複数のフィラメントを腐食から保護するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記高分子包装が、組織内殖を受け入れるようにさらに構成される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数のフィラメントの各フィラメントに関連付けられた複数のセンサをさらに含み、各センサが、前記微小表面を動かすためにセンサデータを提供するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
ケーブルと接続するように構成されたポートをさらに含み、前記ポートが、前記微小表面を動かすための電力および制御信号を受け入れるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
ステントにおいて、当該ステントが
ステントの管状体を形成するように配置された複数のフィラメントと、
前記複数のフィラメントの各フィラメントを形成する複数の、プログラムによりアドレス指定可能な微小セルと、
複数の可動の微小表面であって、それぞれが、第1の微小表面の角を血管壁の方に、かつ第2の微小表面の角を前記血管壁から離して傾けるように構成される、複数の独立に可動の微小表面と、を備え、
前記複数の微小セルが、前記微小表面を動かして、血管壁と一致するように構成され、それにより、前記血管壁にかかる応力を緩和しながら、開存を維持し、
前記複数の微小表面の各微小表面が、前記微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極の上にねじれヒンジ上に取り付けられる、ステント。
【請求項9】
前記ステントの前記管状体の周りに配置された高分子包装をさらに含み、前記高分子包装が、前記複数のフィラメントを腐食から保護し、組織内殖を受け入れるように構成される、請求項8に記載のステント。
【請求項10】
前記複数のフィラメントの各フィラメントに沿って配置された複数のセンサをさらに含み、前記複数のセンサの各センサが、前記微小表面を動かすためにセンサデータを提供するように構成される、請求項8または9に記載のステント。
【請求項11】
ケーブルと接続するように構成されたポートをさらに含み、前記ポートが、前記微小表面を動かすための電力および制御信号を受け入れるように構成される、請求項8から10のいずれか一項に記載のステント。
【請求項12】
システムにおいて、当該システムが
a)ステントであって、
前記ステントの管状体の少なくとも一部を形成するように配置された複数のフィラメントと、
前記複数のフィラメントの少なくとも一部を形成する複数の微小セルであって、各微小セルが、独立に可動の微小表面を含む、複数の微小セルと、
前記微小表面を動かすため電力および制御信号を受け入れるように構成されたポートとを含み、
前記微小表面の各微小表面が、前記微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極の上にねじれヒンジ上に取り付けられる、ステントを備え、
当該システムが更に、
b)カテーテルであって、
前記ポートと接続し、前記微小表面を動かすための前記電力および前記制御信号を提供するように構成されたケーブルを含み、
前記微小表面を動かすことが、脈管の形状に一致させることを含む、カテーテルと、を備えるシステム。
【請求項13】
前記ステントが、前記管状体の周りに配置された高分子包装をさらに含み、前記高分子包装が、前記複数のフィラメントを腐食から保護し、組織内殖を受け入れるように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ステントが体内に配置されたとき、前記ポートが、前記ポートと前記ケーブルを再接続するのを容易にするように構成された磁気ポートである、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ステントが、前記複数のフィラメントの各フィラメントに沿って配置された複数のセンサをさらに含み、前記複数のセンサの各センサが、前記微小表面を動かすためにセンサデータを前記ケーブルを通じて提供するように構成される、請求項12から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記カテーテルが、前記センサデータからの脈管の形状と一致するように構成された形状決定アルゴリズムを含むマイクロコントローラをさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の微小セルの各微小表面が、第1の微小表面の角を脈管の壁の方に、かつ第2の微小表面の角を前記脈管の前記壁から離して傾けるように構成される、請求項12から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の微小セルの各微小表面が、前記微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極の上にねじれヒンジ上に取り付けられる、請求項12から17のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]ステントおよび関連する管腔内デバイスは、狭くなって血管を通る血流が制限される血管の部分を治療するため医師によって使用される。ステントは、径方向に拡張されて、狭くなった血管(狭窄症)を開いておくことができる、通常、金属製の管状構造物である。こうした狭くなった血管は、例えば、動脈硬化症の結果として起きる。動脈硬化症は、血管形成術により矯正できるが、血管形成術は、続いて、新たに再開した血管を再狭窄として知られる過程で塞ぐ可能性がある過剰な組織の増殖を刺激する場合がある。ステントは、狭くなった血管を「支えて開けておく」ために最もよく使用されるが、ステントは、呼吸器系、生殖系、肝臓系(例えば、胆管)、または管状体構造物を含む任意の他の身体系内の陥没した、または狭くなった管状構造物を強化するためにも使用され得る。しかし、ステントが及ぼす力の量は、ステントを配置した管状構造物に外傷をもたらす可能性がある(もたらすことが多い)。実施形態によっては、前述を対象とする再構成可能なステント、ならびにシステムおよびその方法が本明細書で提供される。
【発明の概要】
【0002】
[0002]実施形態によっては、格子構造の少なくとも一部を形成するフィラメントおよびフィラメントの少なくとも一部を形成する微小セルを有する人体の管腔(例えば、血管内腔、胆管内腔、リンパ管内腔など;以下同じ)に適合された格子構造を含む管状体を含むデバイスが本明細書で提供される。各微小セルは、可動の微小表面で構成される。微小表面の組み合わされたミクロ運動は、管状体を形作る。実施形態によっては、その形状は、人体の管腔の開存を維持するために最適である。
【0003】
[0003]こうした実施形態では、フィラメントの一部を形成する微小セルは、それぞれのフィラメントに沿って1つまたは複数の、プログラムによりアドレス指定可能な列に配置される。
【0004】
[0004]こうした実施形態では、各微小セルは、微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極の上にねじれヒンジ上に取り付けられた微小表面を含む。
【0005】
[0005]こうした実施形態では、微小表面は、ねじれヒンジ上で少なくとも+/-12°回転するように構成された、ねじれヒンジ上の先端にばねの付いたヨーク上にさらに取り付けられる。
【0006】
[0006]こうした実施形態では、微小セルは、回転の角度を人体の管腔の開存を維持する微小セルの回転可能な構成要素上にかけられた応力と釣り合うように最適化される。
[0007]こうした実施形態では、格子構造は、斜交平行型、ダイヤモンドセル型、または編組格子構造である。
【0007】
[0008]こうした実施形態では、格子構造は、自己拡張型格子構造である。
[0009]こうした実施形態では、自己拡張型格子構造は、1つまたは複数のマクロ運動を介して第1の拡張形状を提供するように構成され、微小セルの組み合わされたミクロ運動は、人体の管腔の開存を維持する第2の非外傷性最適形状を提供するように構成される。
【0008】
[0010]こうした実施形態では、各微小セルは、微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持する一対の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する状態データを格納するように構成された記憶セルをさらに含む。
【0009】
[0011]こうした実施形態では、そのデバイスは、管状体の周りに配置された高分子包装をさらに含む。高分子包装は、フィラメントを体内の腐食などの腐食から保護するように構成される。
【0010】
[0012]こうした実施形態では、高分子包装は、組織内殖を受け入れるようにさらに構成される。こうした組織内殖は、デバイスを人体の脈管の壁に固定する。
[0013]こうした実施形態では、デバイスは、各フィラメントに関連付けられたセンサをさらに含む。各センサは、微小表面を動かすためにセンサデータを提供するように構成される。
【0011】
[0014]こうした実施形態では、デバイスは、ケーブルと接続するように構成されたポートをさらに含む。実施形態によっては、ポートはデバイスの端部にある。ポートは、微小表面を動かすための電力および制御信号を受け入れるように構成される。
【0012】
[0015]実施形態によっては、格子構造を形成するフィラメントおよび各フィラメントを形成する微小セルを有する人体の管腔に適合された格子構造を含む管状体を含むデバイスが本明細書で提供される。各微小セルは、可動の微小表面で構成される。微小表面の組み合わされたミクロ運動は、フィラメントを動かして、管状体を形作る。実施形態によっては、その形状は、人体の管腔の開存を維持するために最適である。
【0013】
[0016]こうした実施形態では、各フィラメントを形成する微小セルは、それぞれのフィラメントに沿って1つまたは複数の、プログラムによりアドレス指定可能な列に配置される。
【0014】
[0017]こうした実施形態では、各微小セルは、微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極の上にねじれヒンジ上に取り付けられた微小表面を含む。
【0015】
[0018]こうした実施形態では、各微小セルは、微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持する一対の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する状態データを格納するように構成された記憶セルをさらに含む。
【0016】
[0019]こうした実施形態では、そのデバイスは、管状体の周りに配置された高分子包装をさらに含む。高分子包装は、フィラメントを体内の腐食などの腐食から保護するように構成される。
【0017】
[0020]こうした実施形態では、高分子包装は、組織内殖を受け入れるようにさらに構成される。こうした組織内殖は、デバイスを人体の脈管の壁に固定する。
[0021]こうした実施形態では、デバイスは、各フィラメントに関連付けられたセンサをさらに含む。各センサは、微小表面を動かすためにセンサデータを提供するように構成される。
【0018】
[0022]こうした実施形態では、デバイスは、ケーブルと接続するように構成されたポートをさらに含む。実施形態によっては、ポートはデバイスの端部にある。ポートは、微小表面を動かすための電力および制御信号を受け入れるように構成される。
【0019】
[0023]また、実施形態によっては、ステントの管状体を形成するため配置されたフィラメント、プログラムによりアドレス指定可能な各フィラメントを形成する微小セル、および可動の微小表面を含むステントが本明細書で提供される。各微小表面は、第1の微小表面の角を体内の血管壁の方に、第2の微小表面の角を体内の血管壁から離して傾けるように構成される。微小セルは、これらの微小表面を動かして、血管壁に一致するように構成され、それにより、血管壁上の応力を緩和しながら開存を維持する。
【0020】
[0024]こうした実施形態では、各微小表面は、微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極の上にねじれヒンジ上に取り付けられる。
【0021】
[0025]こうした実施形態では、ステントは、ステントの管状体の周りに配置された高分子包装をさらに含む。高分子包装は、フィラメントを体内の腐食から保護し、ステントを血管壁に固定するため組織内殖を受け入れるように構成される。
【0022】
[0026]こうした実施形態では、ステントは、各フィラメントに沿って配置されたセンサをさらに含む。各センサは、微小表面を動かすためにセンサデータを提供するように構成される。
【0023】
[0027]こうした実施形態では、ステントは、ケーブルと接続するように構成されたポートをさらに含む。実施形態によっては、ポートはステントの端部にある。ポートは、微小表面を動かすための電力および制御信号を受け入れるように構成される。
【0024】
[0028]また、実施形態によっては、ステントおよびカテーテルを含むシステムが本明細書で提供される。ステントは、少なくともステントの管状体の一部を形成するように配置されたフィラメント、フィラメントの少なくとも一部を形成する微小セル、およびポートを含む。各微小セルは、可動の微小表面を含む。ポートは、微小表面を動かすための電力および制御信号を受け入れるように構成される。カテーテルは、ステントのポートと接続し、微小表面を動かすための電力および制御信号を提供するように構成されたケーブルを含む。微小表面を動かすことは、管の形状に一致させることを含む。実施形態によっては、形状は、血管の応力を緩和しながら、血管の開存を維持するために最適である。
【0025】
[0029]こうした実施形態では、ステントは、管状体の周りに配置された高分子包装をさらに含む。高分子包装は、フィラメントを体内の腐食から保護し、ステントを管の壁に固定するため組織内殖を受け入れるように構成される。
【0026】
[0030]こうした実施形態では、ポートは、ステントが体内に配置されたとき、ケーブルをポートに再接続するのを容易にするように構成される磁気ポートである。
[0031]こうした実施形態では、ステントは、各フィラメントに沿って配置されたセンサをさらに含む。各センサは、微小表面を動かすためにケーブルを通じてセンサデータを提供するように構成される。
【0027】
[0032]こうした実施形態では、カテーテルは、センサデータからの管の形状と一致するように構成されたメモリ内の形状決定アルゴリズムを含むマイクロコントローラをさらに含む。実施形態によっては、形状は、管の応力を緩和しながら、管の開存を維持するために最適である。
【0028】
[0033]こうした実施形態では、各微小表面は、第1の微小表面の角を体内の管の壁の方に、かつ第2の微小表面の角を体内の管の壁から離して傾けるように構成される。
[0034]こうした実施形態では、各微小表面は、微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極の上にねじれヒンジ上に取り付けられる。
【0029】
[0035]こうした実施形態では、各微小表面は、ねじれヒンジ上で少なくとも+/-12°回転するように構成された、ねじれヒンジ上の先端にばねの付いたヨーク上にさらに取り付けられる。
【0030】
[0036]こうした実施形態では、微小セルは、管の開存を維持し、管の応力を緩和しながら、回転の角度を微小セルの回転可能な構成要素上にかけられた応力と釣り合うように最適化される。
【0031】
[0037]こうした実施形態では、ステントの管状体は、斜交平行型、ダイヤモンドセル型、または編組格子構造である、格子構造を含む。
[0038]こうした実施形態では、格子構造は、自己拡張型格子構造である。
【0032】
[0039]こうした実施形態では、自己拡張型格子構造は、1つまたは複数のマクロ運動を介して第1の拡張形状を提供するように構成され、微小表面を動かすことは、管の応力を緩和しながら、管の開存を維持する第2の非外傷性適合形状を提供する1つまたは複数のミクロ運動を含む。
【0033】
[0040]また、実施形態によっては、ステントおよびカテーテルを含むシステムが本明細書で提供される。ステントは、ステントの管状体を形成するように配置されたフィラメント、各フィラメントを形成する微小セル、およびポートを含む。各微小セルは、可動の微小表面を含む。ポートは、微小表面を動かすための電力および制御信号を受け入れるように構成される。カテーテルは、ステントのポートと接続し、微小表面を動かすための電力および制御信号を提供するように構成されたケーブルを含む。微小表面を動かすことは、管の形状に一致させることを含む。実施形態によっては、形状は、管の応力を緩和しながら、管の開存を維持するために最適である。
【0034】
[0041]こうした実施形態では、ステントは、管状体の周りに配置された高分子包装をさらに含む。高分子包装は、フィラメントを体内の腐食から保護し、ステントを管の壁に固定するため組織内殖を受け入れるように構成される。
【0035】
[0042]こうした実施形態では、ポートは、ステントが体内に配置されたとき、ケーブルをポートに再接続するのを容易にするように構成される磁気ポートである。
[0043]こうした実施形態では、ステントは、各フィラメントに沿って配置されたセンサをさらに含む。各センサは、微小表面を動かすためにケーブルを通じてセンサデータを提供するように構成される。
【0036】
[0044]こうした実施形態では、カテーテルは、センサデータからの管の形状と一致するように構成されたメモリ内の形状決定アルゴリズムを含むマイクロコントローラをさらに含む。実施形態によっては、形状は、管の応力を緩和しながら、管の開存を維持するために最適である。
【0037】
[0045]こうした実施形態では、各微小表面は、第1の微小表面の角を体内の管の壁の方に、かつ第2の微小表面の角を体内の管の壁から離して傾けるように構成される。
[0046]こうした実施形態では、各微小表面は、微小表面の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極の上にねじれヒンジ上に取り付けられる。
【0038】
[0047]本明細書に提供された概念のこれらおよびその他の特徴は、図面、説明、および添付の特許請求の範囲を参照することでより良く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】[0048]一部の実施形態による、再構成可能なステントの概略図を示す。
図1B】[0049]管状構造物内に配置される既存のステントから生じる外傷の概略図を示す。
図2】[0050]一部の実施形態による、再構成可能なステントのフィラメントの一部を形成する複数の微小セルの概略図を示す。
図3A】[0051]一部の実施形態による、複数の微小セルの上からの画像、ならびに微小セルの一部の補足概略図を示す。
図3B】[0052]一部の実施形態による、部分的に分解された微小セルを含む複数の微小セルの上からの画像、ならびに微小セルの一部の補足概略図を示す。
図3C】[0053]一部の実施形態による、複数の部分的に分解された微小セルの上からの画像、ならびに微小セルの一部の補足概略図を示す。
図4】[0054]一部の実施形態による、再構成可能なステントの単一の微小セルの分解概略図を示す。
図5】[0055]一部の実施形態による、ステントを再構成するカテーテルと係合された再構成可能なステントの概略図を示す。
図6】[0056]一部の実施形態による、再構成可能なステントのシステムアーキテクチャの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[0057]一部の特定の実施形態をより詳細に説明する前に、本明細書に記載される特定の実施形態は、本明細書に記載される概念の範囲を制限するものではないことを理解されたい。また、本明細書に記載される特定の実施形態は、特定の実施形態からすぐに独立し、本明細書に記載される任意の数の他の実施形態の特徴と任意に組み合わされ得る、または置き換えられ得る特徴を有し得ることを理解されたい。
【0041】
[0058]本明細書で使用される用語に関して、用語は一部の特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書に記載される概念の範囲を制限するものではないことも理解されたい。別段の指示がない限り、序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一群の特徴または工程内の異なる特徴または工程を区別する、または識別するために使用され、連続する、または数値の限定を意味しない。例えば、「第1の」、「第2の」、および「第3の」特徴または工程は、必ずしもその順番で現れる必要がなく、こうした特徴または工程を含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴または工程に制限される必要はない。別段の指示がない限り、「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「前方」、「逆」、「時計回り」、「反時計回り」、「上」、「下」などの任意の表示、または「上方」、「下方」、「後方」、「前方」、「垂直」、「水平」、「近位」、「遠位」、などの他の同様の用語は、便宜上使用され、例えば、特定の固定された場所、向き、または方向を示すことを意図しないことも理解されたい。代わりに、こうした表示は、例えば、相対位置、向き、または方向を反映するために使用される。また、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という単数形は、その内容によって明らかに別途定められていない限り、複数形の参照を含むことも理解されたい。
【0042】
[0059]「近位」に関して、例えば、カテーテルの「近位部」または「近位端部」は、カテーテルが患者に使用されているとき、臨床医の近くにあると意図されるカテーテルの一部を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長」は、カテーテルが患者に使用されているとき、臨床医の近くにあると意図されるカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されているとき、臨床医の近くにあると意図されるカテーテルの端を含む。カテーテルの近位部、近位端部、または近位長は、カテーテルの近位端を含んでもよいが、カテーテルの近位部、近位端部、または近位長は、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、その内容によって別途示唆されていない限り、カテーテルの近位部、近位端部、または近位長は、カテーテルの終端部または終端長ではない。
【0043】
[0060]「遠位」に関して、例えば、カテーテルの「遠位部」または「遠位端部」は、カテーテルが患者に使用されているとき、患者の近くかまたは患者内にあると意図されるカテーテルの一部を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長」は、カテーテルが患者に使用されているとき、患者の近くか患者内にあると意図されるカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されているとき、患者の近くか患者内にあると意図されるカテーテルの端を含む。カテーテルの遠位部、遠位端部、または遠位長は、カテーテルの遠位端を含んでもよいが、カテーテルの遠位部、遠位端部、または遠位長は、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、その内容によって別途示唆されていない限り、カテーテルの遠位部、遠位端部、または遠位長は、カテーテルの終端部または終端長ではない。
【0044】
[0061]別途定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術的かつ科学的用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。
[0062]ステントおよび関連する管腔内デバイスは、狭くなって血管を通る血流が制限される血管の部分を治療するため医師によって使用される。ステントは、径方向に拡張されて、狭くなった血管(狭窄症)を開いておくことができる、通常、金属製の管状体を含む管状構造物である。こうした狭くなった血管は、例えば、動脈硬化症の結果として起きる。動脈硬化症は、血管形成術により矯正できるが、血管形成術は、続いて、新たに再開した血管を再狭窄として知られる過程で塞ぐ可能性がある過剰な組織の増殖を刺激する場合がある。ステントは、狭くなった血管を「支えて開けておく」ために最もよく使用されるが、ステントは、呼吸器系、生殖系、肝臓系(例えば、胆管)、または管状体構造物を含む任意の他の身体系内の陥没した、または狭くなった管状構造物を強化するためにも使用され得る。しかし、ステントが及ぼす力の量は、ステントを配置した管状構造物に外傷をもたらす可能性がある(もたらすことが多い)。実施形態によっては、前述を対象とする再構成可能なステント、ならびにシステムおよびその方法が本明細書で提供される。
【0045】
[0063]図1Aは、一部の実施形態による、再構成可能なステント100の概略図を示す。
[0064]図1Aに示すように、再構成可能なステント100は、管の内腔内に嵌合するように寸法設定された管状体を含む。再構成可能なステント100は、解剖学的構造を横断し再構成可能なステント100を配置するために、展開装置(例えば、図5のカテーテル500)と界接するようにさらに寸法設定される。再構成可能なステント100は、管状体構造物(例えば、脈管系、呼吸器系、生殖系、肝臓系など)を含む任意の器官で使用できるので、再構成可能なステント100は、器官または用途に対して必要とされる複数の異なる直径および長さで寸法設定することができる。
【0046】
[0065]例えば、図1Aは、血管形成術バルーンの配置後など拡張していない状態の脈管系の血管V内に初期に配置された再構成可能なステント100を示す。再構成可能なステント100は、続いて血管Vの壁Wに対して拡張状態に拡張し、血管Vの形状に一致するように構成され得る。血管Vの形状に一致することによって、血管Vの開存を維持する間、再構成可能なステント100は、血管Vの壁Wにほとんどか、または全く外傷を与えない。これは、ステントが配置された管に外傷を生じる可能性があり、よく外傷を生じる図1Bに示すような既存のステントを超える目覚ましい改良である。したがって、再構成可能なステント100は、血管壁などの管の壁への応力を緩和しながら、開存を維持するように構成される。
【0047】
[0066]再構成可能なステント100は、フィラメント110などの複数のフィラメント含み、フィラメントは、格子構造またはセグメント構造に配置される。再構成可能なステント100の格子構造は、斜交平行型、ダイヤモンドセル型、または編組格子構造として示されるが、格子構造は、器官または用途に対して必要とされるように変更し得る。例えば、実施形態によっては、再構成可能なステント100の格子構造は、自己拡張型格子構造であり、それについて多くの例がある。こうした自己拡張型格子構造は、1つまたは複数のマクロ運動によって第1の拡張形状へ再構成可能なステント100を拡張して、管の内腔と界接させるのに有用である。続いて、複数のミクロ運動は、再構成可能なステント100に再構成可能なステント100が配置される管の開存を維持するため第2の非外傷性最適形状を与えることができる。しかし、再構成可能なステント100の格子構造は、マクロ運動およびミクロ運動の両方を利用して、再構成可能なステント100が配置される管の開存を維持するため再構成可能なステント100に最適形状を与えるよう自己拡張型格子構造である必要はない。実施形態によっては、再構成可能なステント100は、再構成可能なステント100が、単にこれらのミクロ運動を介して配置される管の開存を維持するための最適形状をとり、それを維持する(再構成を介して)ように構成される。
【0048】
[0067]図1Aにさらに示すように、実施形態によっては、再構成可能なステント100の管状体は、体内の腐食からフィラメントを保護するための包装に包まれてもよい。これは、セクション(断面)A-Aによって図1Aに示され、その中で格子構造は、層102によって表され、包装は、層104in(内層)および104out(外層)によって表される。包装は、拡張PTFE(「ePTFE」)などのポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)を含むが、それに限定されない高分子包装であってもよく、ePTFEは、再構成可能なステント100を管の壁に固定するため組織内殖を受け入れるように構成される。実際、PTFEは、損傷したまたは病気にかかった血管を取り換えるために使用される血管移植組織または人工器官を作るための材料として有利であると証明されている。なぜなら、PTFEは、体内の免疫原生反応をほとんどまたは全く引き起こさない極めて生物適合性のある材料だからである。また、ePTFEは、ノードによって分離されるPTFEの原繊維による多孔性であるためでもある。生細胞は、再構成可能なステント100をePTFE包装に包んで生体の永久部分になることができるように、ePTFEの包装のノードに入植することができる。
【0049】
[0068]図2は、一部の実施形態による、再構成可能なステント100のフィラメント110の一部を形成する複数の微小セル220の概略図を示す。
[0069]第1に、フィラメント110の部分は、再構成可能なステント100の格子構造内の複数のフィラメントの任意のフィラメントの一部の単に例に過ぎない。第2に、9つの微小セル220が図2に示されるが、これらは、図1Aに示す再構成可能なステント100のフィラメント110の部分を形成する複数の微小セル220の単に例に過ぎない。再構成可能なステント100は、数百万個以上の微小セル(例えば、フィラメント当たり10個以上の微小セル)を含むことができ、各微小セルは、せいぜい、直径数十μmである。図示の通り、フィラメント110の部分は、図2の座標系のx座標の正の向きまたは負の向き(あるいは両方に)に沿って、任意の数の追加の微小セル220で長手方向に延びることができる。フィラメント110の部分は、図2の座標系のy座標の正の向きまたは負の向き(あるいは両方に)に沿って、任意の数の追加の微小セル220で横方向に延びる(または1つもしくは2つの微小セルによって横方向に収縮される)こともできる。すなわち、フィラメント110の部分もフィラメント110の部分が表す複数のフィラメントの任意の部分も3つの微小セルの幅に制限されない。各フィラメントを形成する複数の微小セル220は、それぞれのフィラメントに沿って1つまたは複数の長手方向あるいは横方向の向きの列に配置することができる。これらの列は、個々に微小セルをアドレス指定するのに、プログラムによりアドレス指定可能である。
【0050】
[0070]図2にさらに示すように、複数の微小セル220の各微小セルは、少なくとも2つの異なる方向のうちの任意の方向に独立に可動する微小表面332(図3Aを参照)を含む。1つまたは複数のミクロ運動を介して各微小表面332が一方または別の方向に動くことができるので、再構成可能なステント100を管の開存を維持する最適形状をとり、再構成可能なステント100のその後の再構成によって最適形状を維持できる。実際、組み合わされたミクロ運動は、フィラメントを動かして、管の開存を維持するための最適形状を与える。
【0051】
[0071]図3A図3Cは、一部の実施形態による、再構成可能なステント100の複数の微小セル220の画像および概略図を示す。図3Aは、複数の微小セルの上からの画像のほか、微小セルの一部の補足概略図を示す。図3Bは、部分的に分解された微小セルを含む複数の微小セルの上からの画像のほか、微小セルの一部の補足概略図を示す。図3Bは、複数の部分的に分解された微小セルの上からの画像のほか、微小セルの一部の補足概略図を示す。
【0052】
[0072]図3A図3Cおよび図4の中に示すように、複数の微小セル220の各微小セルは、ねじれヒンジ346を備えるヨーク344に微小表面332を取り付けるように構成された柱334を含む微小表面332を含む。各微小セルは、微小表面332の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するように構成された少なくとも一対の電極をさらに含む。例えば、微小表面332の角(例えば、参照線および微小表面332の番号332を含む図4の微小表面332の左角)は、微小表面332の下にあるヨーク344が、ねじれヒンジ346によって電極342の方へ回転されるとき(例えば、+/-17°など、+/-12°までかそれ以上)、下にある電極342によって静電的に定位置に保持され得る。したがって、複数の微小セル220の各微小表面332は、体内に配置されたとき、その第1の角を管の壁の方に、その第2の角(例えば、図4の微小表面332の左角)を管の壁から離して傾けるように構成される。
【0053】
[0073]ねじれヒンジ346の軸は、両端ともヨーク344のヨーク柱に固定され、ねじれヒンジ346は、中間で(例えば、微小表面332の柱334がヨーク344に取り付けられる場所)ねじれる。微小セルの小さい縮尺のため(例えば、わずか直径数十μm)、ヒンジの疲労は、ねじれヒンジ346の問題ではない。これにより、再構成可能なステント100の制限のない再構成が、管の開存を維持するための最適形状など、所望の形状をまずとり、それを維持できるようにする。
【0054】
[0074]ストップ354は、微小セルの一方の角から対角線上に微小セルの反対の角に延び、ストップ354は、ストップ354の終端にヨーク344に対抗し、過回転を防ぐように構成される停止すなわちランディング地点355を含む。ヨーク先端348(必要に応じて先端にばねの付いたヨーク先端348)は、過回転を防ぐランディング地点355に接触する。実施形態によっては、こうした機械的微小セルの部分は、アルミニウムまたは他の生体非感受性材料を含む。
【0055】
[0075]微小表面332の回転の角度(例えば、+/-17°など、+/-12°までかそれ以上)は、微小表面332の角とその下の電極342との間の距離、ヨーク344上の1組のヨーク先端348とその下のランディング地点355との間の距離、またはそれらの組み合わせ次第である。上述の距離のうちの1つ以上の増加は、より大きい回転の角度に対する微小表面332を構成し、上述の距離のうちの1つ以上の減少は、より小さい回転の角度に対する微小表面332を構成する。実施形態によっては、例えば、複数の微小表面のそれぞれは、少なくとも+/-1°、+/-5°、+/-10°、+/-12°、+/-15°、+/-17°、+/-20°、+/-25°、+/-30°、+/-35°、または+/-45°など1桁ずつなど適宜増加して回転するように構成される。実施形態によっては、例えば、複数の微小表面のそれぞれは、+/-45°、+/-35°、+/-30°、+/-25°、+/-20°、+/-17°、+/-15°、+/-12°、+/-10°、+/-5°、または+/-1°など1桁ずつなど適宜増加してそれより大きく回転しないように構成される。したがって、実施形態によっては、複数の微小表面のそれぞれは、+/-10°~+/-25°の間、例えば、+/-12°~+/-17°の間など、+/-5°~+/-25°の間を含む+/-1°~+/-45°の間を回転するように構成される。より大きい角度で回転する微小表面は、再構成可能なステント100の当初の位置または形状から(例えば、上述の第1の拡張形状)管の壁を押し出すために使用することができるが、より大きい回転の角度は、微小セルの構成要素により大きな応力をかけ得る。微小セルは、必要に応じて回転の角度をその構成要素への応力と釣り合うように最適化することができる。
【0056】
[0076]少なくとも図3Cおよび図4にさらに示すように、ストップ354を含む複数の微小セル220の層は、その上の電極の柱を介してその上の電極と電気通信する少なくとも一対のアドレスパッド352をさらに含む。また、複数の微小セル220の各微小セルは、少なくとも一対の電極を含み、その電極は、アドレスパッド352と1対1で対応する。上述の通り、各フィラメントを形成する複数の微小セル220は、それぞれのフィラメントに沿って1つまたは複数の長手方向あるいは横方向の向きの列に配置することができ、その列は、アドレスパッド352を介するなど、個々に微小セルをアドレス指定するのに、プログラムによりアドレス指定可能である。
【0057】
[0077]複数の微小セル220の各微小セルは、微小表面332の少なくとも1つの角を静電的に定位置に保持するため一対の電極(対応するアドレスパッドを介して)のうちの少なくとも1つの電極342の状態データを格納するように構成された記憶セル460(例えば、相補型金属酸化膜半導体(「CMOS」)技術で作られたスタティックランダムアクセスメモリ(「SRAM」)をさらに含む。
【0058】
[0078]動作の際には、各微小セルの一対の電極は、静電引力により微小表面332の位置を制御する。一対の電極は、ねじれヒンジ346の各側に少なくとも1つの電極342を含み、少なくとも1つの電極342を、ヨーク344、微小表面332、またはヨーク344および微小表面332の両方で作用するように位置付ける。ほとんどの時間、同じバイアスの電荷が一対の電極の両側に同時に印加される。微小表面332を中央の位置に動かす代わりに、同じバイアスの電荷は、実際は現在の位置に微小表面332を保持する。
【0059】
[0079]微小セルの微小表面332を動かすために、微小セルコントローラ(図6を参照)は、まず状態を微小セルの最下位層に位置する記憶セル460にロードする。すると、記憶セルは、アドレスパッド352を介して一対の電極に電気的に接続される。記憶セル460にロードされた状態は、2つの相補的記憶要素にロードされる。すなわち、一方の記憶要素が論理的な「1」の場合、他方の記憶要素は、論理的な「0」である(その逆も同様)。記憶セル460にロードされた状態は、微小表面332を動かす役割を果たすが、記憶セル460のロードが自動的に微小表面332を動かすわけではない。記憶セル460にロードされた状態が微小表面332のミクロ運動に転換されるために、微小セルは、リセットまたはクロックパルスを受け取る必要がある。リセットまたはクロックパルスは、瞬間的に微小表面332を解放して、記憶セル460にロードされた状態に基づいて動かせるようにする。微小表面332の+または-の角度状態への動きは、ヨーク先端348に対するストップ354のランディング地点355により再現性が高い。リセットまたはクロックパルスは、再構成可能なステント100の1つ以上のフィラメントの複数の微小セル220のうちの任意の組の記憶セルが、その後の同時の組み合わされたミクロ運動のため予めロードされてリセットまたはクロックパルスした1つまたは複数のフィラメントを動かせるようにする。
【0060】
[0080]フィラメントの動きは、フィラメント内の1つまたは複数の微小セルのオンオフのデューティサイクルをプログラムすることによって生成される。1つまたは複数の微小セルは、フィラメントの全体的な動きを生成するため多重化され得る。さらに、2つ以上のフィラメント内の微小セルは、多重化されて、2つ以上フィラメントの動きを生成し得る。例えば、2つ以上のフィラメントの微小セルが多重化されて、フィラメントを第1の拡張形状に動かして、管の内腔と界接させることができる。複数のミクロ運動は、再構成可能なステント100に再構成可能なステント100が配置される管の開存を維持するため第2の非外傷性最適形状を与えるようになされてもよい。
【0061】
[0081]再構成可能なステント100などの再構成可能なステントは、リアルタイムで手動で制御され得るか、先進的な撮像技術(例えば、蛍光透視法、X線透視法;以下同じ)が、最良の可能な形状および再構成可能なステントの配向を決定する支援として使用され得る。
【0062】
[0082]図5は、一部の実施形態による、再構成可能なステント100を再構成するカテーテル500と係合された再構成可能なステント100の概略図を示す。
[0083]図5に示すように、システムは、再構成可能なステント100およびカテーテル500を含む。再構成可能なステント100は、再構成可能なステント100の端部内または端にポート(図6のポート670を参照)をさらに含み得る。再構成可能なステント100のポートは、複数の微小セル220の微小表面を動かすための電力、制御信号、または電力と制御信号の両方を受け入れるように構成され得る。カテーテルは、複数の微小セル220の微小表面を動かすための再構成可能なステント100のポートと接続し、電力、制御信号、またはそれらの組み合わせを提供するように構成されたカテーテル500内に配置されたカテーテルケーブル502を含み得る。再構成可能なステント100のポートは、磁気ポートとすることができ、カテーテルケーブル502は、再構成可能なステント100が、体内に配置されたとき、再構成可能なステント100のその後の再構成のためにポートとカテーテルケーブル502を再接続するのを容易にするように構成された相補的磁気端を有することができる。
【0063】
[0084]図5にさらに示すように、再構成可能なステント100は、再構成可能なステント100の各フィラメントに関連付けられた、またはそうでなければそれに沿って配置された 複数のセンサをさらに含むことができる。1つのこうしたセンサは、図5のアスタリスク(「*」)で示される。各センサは、続いて複数の微小セル220の微小表面を動かすためにセンサデータをカテーテルケーブル502で提供するように構成され得る。カテーテル502は、管の応力を緩和しながら、管の開存を維持するためセンサデータからの管の形状と一致するように構成されたメモリ内の形状決定アルゴリズムを含むマイクロコントローラをさらに含み得る。形状決定アルゴリズムに伝達されるセンサデータは、進行した癒着ならびに管とのより少ない外傷性相互作用のため使用することができる。
【0064】
[0085]カテーテル500は、再構成可能なステント100の配置のため再構成可能なステント100と薄型のケーブルレールをずり上げるように構成され得る。再構成可能なステント100が管内に配置されると、再構成可能なステント100のポートに接続されたカテーテル500のカテーテルケーブル502を含むシステムは、管に対する再構成可能なステント100の形状と一致するように構成され得る。再構成可能なステント100の形状が管に一致した後で、システムは、カテーテル500を再構成可能なステント100から取り外すようにされに構成され得る。カテーテル500は、続いて取り除かれてもよく、再構成可能なステントは、体内に残されてもよい。
【0065】
[0086]図6は、一部の実施形態による、再構成可能なステント100のシステムアーキテクチャの概略図を示す。
[0087]図6に示すように、再構成可能なステント100のシステムアーキテクチャは、微小セルコントローラ610、再構成可能なステント100用のファームウェア620、メモリ630、フィラメントドライバ640、複数の微小セル220の微小セル650、微小セルドライバ660、およびポート670を含むことができ、その構成要素は、図示のように接続可能である。例えば、微小セルコントローラ610は、微小セル650に接続され、微小セル650を構成するデータおよび制御信号を提供するように構成することができる。微小セルコントローラ610はまた、微小セル650に接続され得る微小セルドライバ660にも接続され、リセットまたはクロックパルスを提供して、瞬間的に微小表面332を解放して記憶セル460にロードされた状態に基づいて動かすことができるように構成され得る。
【0066】
[0088]再構成可能なステント100は、ステント製造技術、微小電気機械システム(「MEMS」)製造技術、およびステント製造技術とMEMS製造技術の両方の組み合わせから選択された技術を含むがそれに制限されない、様々な製造技術を用いて製造され得る。実施形態によっては、例えば、再構成可能なステントは、i)ステント製造技術を用いる再構成可能なステントの管状体の格子構造の少なくとも一部を形成すること、ii)MEMS製造技術を用いて再構成可能なステントの微小セルを形成すること、およびiii)微小セルを格子構造と組み合わせて、再構成可能なステントを形成することによって製造され得る。こうした実施形態では、再構成可能なステントのフィラメントの少なくとも一部は、ステント製造技術を用いて形成された格子構造を形成する。フィラメントの残りの部分は、層内の微小セルをステント製造技術を用いて形成されたフィラメントの少なくとも一部の外側に固定すること、MEMS製造技術を用いる微小セルの相補的フィラメントを形成する(例えば、モノリシックに形成する)こと、またはステント製造技術を用いて形成されたフィラメントの少なくとも一部の外側に層内の微小セルを固定することおよびMEMS製造技術を用いて微小セルの相補的フィラメントを形成することの両方を含む、微小セルによって形成され得る。しかし、実施形態によっては、再構成可能なステントは、主として、MEMS製造技術によって製造され得る。
【0067】
[0089]ステント製造技術に関して、再構成可能なステントの管状体の格子構造は、ステンレス鋼の小直径金属チューブ、プラチナ合金、コバルトクロム合金(例えば、エルジロイ(登録商標)などのCoCrNiFeMoMn)、ニッケルチタン合金(例えば、ニチノール)などから形成され得る。こうした配管の管は、レーザの焦点が管の表面に衝突するように、レーザ加工システムで取り付けられる。レーザが気体(例えば、空気、酸素、アルゴンなど)の同軸ジェットと一緒に加えられると、管は、レーザエネルギーおよびあるいは、空気または酸素との化学反応によって貫通される。管は、回転および長手方向の少なくとも2軸に沿ってレーザの下を動き、その結果、レーザが管の表面に衝突する間、連続カット(または、切り口)がなされる。レーザはまた、長手方向の回転する動きと共にコンピュータ制御の元でスイッチをオンオフされ、その結果、カットの不連続なパターンが管に加えられて、再構成可能なステントの格子構造のフィラメントの少なくとも一部を形成する。
【0068】
[0090]レーザ加工プロセスに続いて、過剰な材料は、レーザ加工管の内部表面および外部表面から取り除かれ、管は、任意の複数のさらなる加工ステップでさらに処理されて、再構成可能なステントを作製し、その加工ステップは、微小セルをステント製造技術を用いて形成されたフィラメントの少なくとも一部に固定することを含む。しかし、ステント製造技術に関して続けると、例えば、自己拡張型ステントは、段々大きくなる主軸上の連続的に拡張するレーザ加工管によってさらに処理され得る。それぞれの連続ステップで、レーザ加工管は、熱処理ステップを受けて、適切にサイズ設定された主軸上で管を熱硬化する。例えば、ニッケルチタン合金のレーザ加工管は、セ氏480度(華氏896度)で30秒間 加熱され得るが、熱処理ステップまたは拡張段階のため適切にサイズ設定された主軸上にいる。通常、2~6の拡張段階が使用されて、ニッケルチタン合金の自己拡張型ステントを完全に拡張する。拡張後、自己拡張型ステントは、滑らかな、生物適合性表面を作製するため化学、機械、および電解研磨の組み合わせにより、仕上げられる。微小セルは、続いて、ステント製造技術を用いて形成されたフィラメントの少なくとも一部に固定され得る。こうしたステントは、その後冷却されて、柔らかく変形可能なマルテンサイト結晶構造に変形されて、カテーテル上に配置するのに十分小さいサイズに径方向に圧縮され得る。
【0069】
[0091]MEMS製造技術に関連して、MEMS製造技術は、集積回路を製造するために使用されたものと類似の微小加工プロセスであるが、図3A図3Cおよび図4に記載されたものなどの微小セル用を含む。複数の微小セル220の各微小セルは、直径数十μmであるため、数万以上の微小セルがシリコンウェーハまたはその他の選択の基板上に生成され得る。
【0070】
[0092]さらに詳細には、複数の微小セル220は、単一フィラメントを形成する、またはステント製造技術によって製造されたフィラメントに固定するそれぞれの数の完成した記憶セル460(例えば、CMOSベースのSRAM記憶セル)上にモノリシックに形成され得る。微小セル上部構造(例えば、微小表面332、柱334、ヨーク344、ねじれヒンジ346などを含む機械要素)のための低温製造プロセスが使用されて、下にあるCMOS記憶セルを形成する金属被覆法の完全性を保持することができる。機械要素は、スパッタ蒸着アルミニウム合金、別の生体非感受性材料、またはそれらの組み合わせであってもよい。機械要素間の犠牲層(またはスペーサ)は、深紫外線(DUV)-硬化フォトレジストで形成され得る。プラズマエッチングが使用されて、DUV-硬化フォトレジストを取り除いて、ヨーク344とストップ354の間などの機械要素間に空気ギャップを形成できる。微小セルのフィラメントがステント製造技術を用いて形成されたフィラメントを組み合わされても、または微小セルがステント製造技術を用いて形成されたフィラメントの外側の層に固定されても(あるいは両方でも)、こうしたステントは、続いて、カテーテル上に配置するのに十分小さいサイズに径方向に圧縮され得る。
【0071】
[0093]実施形態によっては、再構成可能なステント100は、再構成可能なステントをカテーテル上に取り付けてステント・カテーテル組み合わせを形成すること、治療を提供するため患者の身体を通してステント・カテーテル組み合わせを進めること、治療にしたがってステント・カテーテル組み合わせの再構成可能なステントを構成すること、再構成可能なステントをステント・カテーテル組み合わせから取り外すこと、カテーテルを患者から引き出すことによって使用できる。
【0072】
[0094]再構成可能なステントをカテーテル上に取り付けてステント・カテーテル組み合わせを形成することは、カテーテルケーブルを再構成可能なステントのポートに接続すること(例えば、磁気接続)を含み得る。
【0073】
[0095]治療を提供するため患者の身体を通してステント・カテーテル組み合わせを進めることには、治療の必要のある管を含む患者の身体の場所にステント・カテーテル組み合わせを進めることを含み得る。患者の身体を通してステント・カテーテル組み合わせを進めることでは、ステント・カテーテル組み合わせは、治療の必要のある管を含む患者の身体の場所に配置するため薄型のケーブルレールをずり上げるように構成することができる。
【0074】
[0096]治療にしたがって、ステント・カテーテル組み合わせの再構成可能なステントを構成することは、例えば、再構成可能なステントを構成して、塞がれた、または部分的に塞がれた管に対する開存を復元すること、陥没した管を補強すること、またはそれらの組み合わせを含み得る。微小表面の組み合わされたミクロ運動は、再構成可能なステントのフィラメントを動かして、径方向にステントを拡張して治療を提供する。再構成可能なステントの1つ以上のセンサは、組み合わされたミクロ運動で微小表面を動かすためにカテーテルケーブルを通じてセンサデータを提供するように構成され得る。代替で、または追加で、蛍光透視法などの先進的な撮像技術は、組み合わされたミクロ運動で微小表面を動かすための支援として使用され得る。管の形状と一致する再構成可能なステントを伴うこの治療は、従来のステントと比べて管にかかる応力を緩和する。
【0075】
[0097]カテーテルケーブルを再構成可能なステントの磁気ポートから取り外すことなど、再構成可能なステントをステント・カテーテル組み合わせから取り外すことは、再構成可能なステントの形状が管と一致した後で完全にカテーテルを再構成可能なステントから取り外すことをさらに含む。
【0076】
[0098]カテーテルを患者から引き出すことは、完全にカテーテルを患者から取り除くことを含む。
[0099]実施形態によっては、再構成可能なステント100は、さらなる治療を提供するため患者の身体を通してカテーテルを進めること、カテーテルを再構成可能なステントに接続してステント・カテーテル組み合わせを形成すること、さらなる治療にしたがってステント・カテーテル組み合わせの再構成可能なステントを構成すること、ステント・カテーテル組み合わせから再構成可能なステントを取り外すこと、およびカテーテルを患者から引き出すことによって、さらに使用できる。
【0077】
[0100]カテーテルを再構成可能なステントに接続してステント・カテーテル組み合わせを形成することは、カテーテルとの再構成可能なステントの磁気ポートを見つけて、再構成可能なステントの磁気ポートにカテーテルケーブルを接続することを含む。
【0078】
[0101]さらなる治療にしたがって、ステント・カテーテル組み合わせの再構成可能なステントを構成することは、例えば、再構成可能なステントを構成して、以前の治療以来失われた管に対する開存を復元することを含み得る。微小表面の組み合わされたミクロ運動は、再構成可能なステントのフィラメントを動かして、径方向にステントを拡張して治療を提供する。再構成可能なステントの1つ以上のセンサは、微小表面を動かすためにカテーテルケーブルを通じてセンサデータを提供するように構成され得る。蛍光透視法などの先進的な撮像技術は、組み合わされたミクロ運動で微小表面を動かすための支援として使用され得る。管の形状と一致する再構成可能なステントを伴う治療は、従来のステントと比べて管にかかる応力を緩和する。
【0079】
[0102]また、カテーテルケーブルを再構成可能なステントの磁気ポートから取り外すことなど、再構成可能なステントをステント・カテーテル組み合わせから取り外すことは、再構成可能なステントの形状が管と一致した後で完全にカテーテルを再構成可能なステントから取り外すことをさらに含む。カテーテルを患者の身体から引き出すことは、完全にカテーテルを患者の身体から取り除くことを含む。
【0080】
[0103]このプロセスは、数か月毎に繰り返されて、再構成可能なステントが、例えば、管の同じ領域でのプラークまたは血栓の再蓄積を軽減できているか確かめることができる。
【0081】
[0104]実施形態によっては、再構成可能なステントは、管内に配置された再構成可能なステントと通信し、複数のフィラメントに再構成された形態および配向を取得させることなどにより管へのアクセスの必要なしに配置後でも再調整するように制御できる。
【0082】
[0105]一部の特定の実施形態が本明細書に提供され、特定の実施形態がいくつか詳細に提供されてきたが、特定の実施形態が本明細書に提示された概念の範囲を制限することを意図するものではない。追加の適合および/または変更が当業者には見ることができ、より広い態様において、これらの適合および/または変更も包含される。したがって、本明細書に提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書に提供される特定の実施形態からの逸脱がなされてもよい。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6