(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】慣性センサによる筆記方向の特定
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20220405BHJP
B43K 8/22 20060101ALI20220405BHJP
B43K 29/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
B43K8/22
B43K29/00 Z
(21)【出願番号】P 2020513817
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2018074111
(87)【国際公開番号】W WO2019048600
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】202017105404.7
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509153928
【氏名又は名称】シュタビロ インターナツィオナール ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】STABILO International GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カール-ペーター ケンプフ
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-230997(JP,A)
【文献】特表2017-516252(JP,A)
【文献】特開平07-200127(JP,A)
【文献】特開平10-301702(JP,A)
【文献】特開2012-027778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
B43K 8/22
B43K 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン位置検出部を有する電子ペン(100)であって、
当該電子ペン(100)は、
少なくとも筆記芯と、
少なくとも1つの電圧源と、
少なくとも1つのデジタル処理ユニットと、
少なくとも1つのデータ伝送モジュールと、
前記電子ペン(100)の場所及び運動を特定するための慣性位置検出センサシステムと
を含み、
前記電子ペン(100)は、2次元の筆記基板(106)上で相互に直交する2つの軸X,Y(107,108)と、前記2次元の筆記基板に対して垂直である軸Zとを有する筆記座標系を初期設定するように構成されている、
電子ペン(100)において、
前記慣性位置検出センサシステムは、前記筆記基板(106)上における複数の、それぞれ異なる軸向きのX軸及びY軸からなるペアに関して、前記X軸(107)及び前記Y軸(108)に沿った前記電子ペンの加速度及び加速度プロファイルを特定するように構成されており、ただし、いずれのペアの軸向きに関しても、前記X軸(107)の軸向きと前記Y軸(108)の軸向きとが相互に直交しており、
前記デジタル処理ユニットは、前記慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイル(312)の少なくとも1つの特徴的な特性を特定することに基づいて、筆記方向を特定するように構成されて
おり、
前記デジタル処理ユニットは、前記慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイル(312)の少なくとも1つの特徴的な特性を特定することに基づいて、筆記方向を特定するように構成されており、
前記慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイル(312)の前記少なくとも1つの特徴的な特性を特定することは、
前記複数の、それぞれ異なる軸向きの前記X軸及び前記Y軸からなるペアからの、所与の向きの前記X軸及び所与の向きの前記Y軸に関して、
加速度プロファイルの、連続する相互に逆向きの加速度変化の少なくとも2つのペアの間の少なくとも2つの時間オフセット(315,318)を特定すること
を含み、
前記デジタル処理ユニットは、前記X軸の向き及び前記Y軸の向きの、以下のようなペアを特定するように構成されており、すなわち、前記X軸又は前記Y軸に沿った、前記特定された加速度プロファイル(312)が、前記時間オフセット(315,318)が極値であり、かつ、相互に異なっているという特徴的な特性を有しているような、ペアを特定するように構成されている
ことを特徴とする、電子ペン(100)。
【請求項2】
前記デジタル処理ユニットは、
所与の向きの前記X軸及び所与の向きの前記Y軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセット(315,318)を、
前記特定された加速度及び加速度プロファイルの1次導関数に基づいて特定する
ように構成されている、
請求項
1記載の電子ペン(100)。
【請求項3】
前記デジタル処理ユニットは、
所与の向きの前記X軸及び所与の向きの前記Y軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化(314,316,317,319)のペアの間の時間オフセット(315,318)を、
前記特定された加速度の1次導関数と、前記特定された加速度の絶対値とがゼロに等しい又はゼロにほぼ等しいような時間インターバルから特定する
ように構成されている、
請求項
2記載の電子ペン(100)。
【請求項4】
前記デジタル処理ユニットは、前記慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイル(407)の少なくとも特徴的な特性に基づいて、筆記方向を特定するように構成されており、
前記慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイル(407)の前記少なくとも1つの特徴的な特性を特定することは、
前記X軸の向き及び前記Y軸の向きの複数のペアからの、所与の向きの前記X軸及び所与の向きの前記Y軸に関する、
前記加速度プロファイル(407)の少なくとも2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の振幅(414,415,416,417)を特定すること
を含み、
前記デジタル処理ユニットは、前記X軸の向き及び前記Y軸の向きの、以下のようなペアを特定するように構成されており、すなわち、前記X軸又は前記Y軸に沿った、前記特定された加速度プロファイル(407)が、前記加速度プロファイルの前記少なくとも2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の前記振幅の差が極値であり、かつ、ゼロとは異なるという特徴的な特性を有しているような、ペアを特定するように構成されている、
請求項1から
3までのいずれか1項記載の電子ペン(100)。
【請求項5】
前記デジタル処理ユニットは、前記慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルの少なくとも特徴的な特性に基づいて、筆記方向を特定するように構成されており、
前記デジタル処理ユニットは、
前記慣性位置検出センサシステムによって特定された前記加速度プロファイルと、所定の加速度プロファイルとの比較を実施して、
前記X軸の向き及び前記Y軸の向きの、以下のようなペアを特定するように構成されており、すなわち、前記X軸又は前記Y軸に沿った、前記特定された加速度プロファイルが、前記所定の加速度プロファイルに一致しているという特徴的な特性を有しているような、ペアを特定するように構成されている、
請求項1から
4までのいずれか1項記載の電子ペン(100)。
【請求項6】
前記所定の加速度プロファイルは、並進的な筆記パターン(300)によって定義され、及び/又は、所定の並進的かつ周期的なパターンによって定義される、
請求項
5記載の電子ペン(100)。
【請求項7】
前記電子ペン(100)は、2次元の筆記基板(106)上で相互に直交する2つの軸X,Y(107,108)と、前記2次元の筆記基板に対して垂直である軸Zとを有する筆記座標系を初期設定するように構成されており、
相互に直交する2つの軸と、軸Zとを有する筆記座標系を初期設定することは、以下の仮定、すなわち、
前記電子ペン(100)の長手方向軸(105)は、重力の方向に対して平行ではない、
前記筆記基板(106)の表面は、重力の方向に対して直交方向に方向決めされている、
前記電子ペンのユーザは、右利き及び/又は左利きである、
前記筆記方向は、前記筆記基板の境界に対して平行である、
前記ユーザの視点からの前記筆記方向は、左から右、又は、右から左、又は、上から下である、
のうちの1つ、複数又は全部を考慮する、
請求項1から
6までのいずれか1項記載の電子ペン(100)。
【請求項8】
2次元の筆記基板(106)上での筆記中に、電子ペン(100)の筆記方向を特定するための方法であって、
当該電子ペン(100)は、
筆記芯と、
少なくとも1つの電圧源と、
少なくとも1つのデジタル処理ユニットと、
少なくとも1つのデータ伝送モジュールと、
前記電子ペンの場所及び運動を特定するための慣性位置検出センサシステムと
を含み、
当該方法は、以下のステップ、すなわち、
2次元の筆記基板(106)上で相互に直交する2つの軸X,Y(107,108)と、前記2次元の筆記基板に対して垂直である軸Zとを有する筆記座標系を初期設定するステップと、
前記筆記基板上における複数の、それぞれ異なる軸向きの前記X軸及び前記Y軸からなるペアに関して、前記X軸(107)及び前記Y軸(108)に沿った前記電子ペンの加速度及び加速度プロファイル(312)を特定するステップであって、ただし、いずれのペアの軸向きに関しても、前記X軸(107)の軸向きと前記Y軸(108)の軸向きとが相互に直交している、ステップと、
特定された加速度プロファイルの少なくとも1つの特徴的な特性を特定することに基づいて、筆記方向を特定するステップと
を含
み、
前記慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルの前記少なくとも1つの特徴的な特性を特定することは、
前記複数の、それぞれ異なる軸向きの前記X軸及び前記Y軸からなるペアからの、所与の向きの前記X軸及び所与の向きの前記Y軸に関して、
前記加速度プロファイル(312)の、連続する相互に逆向きの加速度変化の少なくとも2つのペアの間の少なくとも2つの時間オフセットを特定すること
を含み、
特定された加速度プロファイルの特徴的な特性を特定することに基づいて、筆記方向を特定することは、
前記X軸の向き及び前記Y軸の向きの、以下のようなペアを特定することを含み、すなわち、前記X軸又は前記Y軸に沿った、前記特定された加速度プロファイル(312)が、前記時間オフセット(315,318)が極値であり、かつ、相互に異なっているという特徴的な特性を有しているような、ペアを特定すること
を含む、
方法。
【請求項9】
所与の向きの前記X軸及び所与の向きの前記Y軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセットを、
前記特定された加速度及び加速度プロファイル(312)の1次導関数に基づいて特定する、
請求項
8記載の方法。
【請求項10】
所与の向きの前記X軸及び所与の向きの前記Y軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセット(315,318)を、
前記特定された加速度の1次導関数と、前記特定された加速度の絶対値とがゼロに等しい又はゼロにほぼ等しいような時間インターバルから特定する、
請求項
9記載の方法。
【請求項11】
前記慣性位置検出センサシステムによって特定された前記加速度プロファイル(312)と、所定の加速度プロファイルとの比較を実施して、
前記X軸の向き及び前記Y軸の向きの、以下のようなペアを特定すること、すなわち、前記X軸又は前記Y軸に沿った、前記特定された加速度プロファイルが、前記所定の加速度プロファイルに一致しているという特徴的な特性を有しているような、ペアを特定する
ことを含む、
請求項
8から
10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記所定の加速度プロファイルは、並進的な筆記パターン(300)によって定義され、及び/又は、所定の並進的なパターンによって定義される、
請求項
11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、特許請求項1の上位概念に記載されている形式の電子ペンと、特許請求項9の上位概念に記載されている方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活、レジャー及び仕事における電子情報通信システム、特にパーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、タブレット及びスマートフォンの使用がますます増加していることにより、ヒューマンマシンインタフェースの改善策を開発することが価値のあるものとなっている。
【0003】
キーボード、マウス又はタッチセンシティブ表面のようなヒューマンマシンインタフェースに加えて、電子ペンに対する関心が特に高まっている。電子ペンは、特に、表面上でペンを用いて筆記することの機能性及び単純さを、電子データ処理のはるかに多数の可能性と組み合わせることが可能となるという利点を有する。それにより、電子ペンは、外観及び取り扱いに関して可能な限り従来のペンに類似していることが望まれている。
【0004】
例えば、国際公開第02/07424号には、圧力感知式又は誘導感知式の表面を備えたタブレット及びペンを有する、手書き文字認識のための電子情報システムが記載されており、同電子情報システムでは、ペン又はペン先端の運動が、タブレットの圧力感知式又は誘導感知式の表面から捕捉され、又は、加速度センサ若しくは光学センサによって捕捉される。
【0005】
次いで、センサデータをワイヤレスでPCに伝送することができ、PCは、受信したペンの動きデータに基づいて手書き文字認識を実行することができる。
【0006】
しかしながら、手書き文字認識のための公知の電子ペン及び電子情報システムの欠点は、筆記基板上の所定の参照パターンのような、電子ペンの内部のカメラを介して評価され、位置特定のために使用される外部の位置参照が必要となることである。
【0007】
この外部の参照を使用しないで済ませたい場合には、現在のところ、特に筆記基板に対する電子ペンの動き及び位置のデータを、必ずしも常に十分な精度で検出することができるとは限らず、このことにより、例えば、ペンの運動の誤った判断がもたらされるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
課題
したがって、本発明の課題は、筆記基板上の電子ペンの運動及び位置を特定することができるように、かつ、特に例えば、外部の参照を使用しなくても筆記基板上の電子ペンの筆記方向を特定することができるように、例えば精度に関して電子ペンを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
解決策
本発明によれば、前述の課題は、請求項1記載の電子ペンと、請求項9記載の方法とによって解決される。有利な実施形態及びさらなる発展形態は、従属請求項の対象である。
【0011】
まず始めに、筆記方向という用語は、例えば、複数の異なる連続する筆記パターン、例えば字、文字、単語を接続した線を意味すると理解され得ることに留意すべきであり、したがって、筆記方向の方向は、連続する筆記パターンが電子ペンによって筆記された順の時系列を指している場合がある。
【0012】
それにより、本発明に係る例示的な電子ペンは、少なくとも筆記芯と、少なくとも1つの電圧源と、少なくとも1つのデジタル処理ユニットと、少なくとも1つのデータ伝送モジュールと、電子ペンの場所及び運動又は動きを特定するための慣性位置センサ技術又は慣性センサ又は慣性位置検出センサシステムとを含み得る。
【0013】
電子ペンは、2次元の筆記基板上で相互に直交する2つの軸X,Yと、2次元の筆記基板に対して垂直である軸Zとを有する筆記座標系を初期設定するように構成され得る。換言すれば、相互に直交する2つの軸X,Yは、2次元の筆記基板内に位置する。
【0014】
慣性位置検出センサシステム又は慣性位置センサは、さらに、筆記基板上における複数の、それぞれ異なる向きのX軸及びY軸からなるペアに関して、X軸及びY軸に沿った電子ペンの加速度及び加速度プロファイル、特に1次元の加速度プロファイルを特定するように構成され得、なお、いずれの軸向きのペアに関しても、又は、いずれのペアの軸向きに関しても、X軸の軸向きとY軸の軸向きとが相互に直交している。
【0015】
慣性位置センサ技術又は慣性位置検出センサシステム又は慣性位置センサは、さらに、ペン本体の3次元の直交座標系における加速度及び加速度プロファイルを特定するために構成され得、電子ペンの長手方向軸が、ペン本体の座標系の軸を指定又は定義することができる。
【0016】
それにより、ペン本体の座標系を、特に例えば、以下のようにして筆記座標系に変換することができる。
【0017】
例えば、ペン本体の座標系における慣性位置検出センサシステムによって取得された加速度情報を評価することによって、地球の重力場の方向又は重力の方向に対する電子ペンの長手方向軸の角度を特定することができ、それにより、電子ペンの長手方向軸と、筆記基板/筆記基板平面との間の傾斜角を特定することができる。
【0018】
それにより、例えば、相互に対する2つの座標系の第1の向きを得るために、筆記基板表面上若しくは筆記基板平面上又は紙表面上若しくは紙平面上への電子ペンの長手方向軸の投影線を、筆記座標系の角度二等分線と見なすことができ、長手方向軸の投影線は、例えば、2つの点を接続した線から得ることができ、すなわち、例えば、電子ペンの先端/ペン先端、例えば筆記芯先端の接点と、紙平面上/筆記基板平面上における、電子ペンの本体の筐体の端部から引いた、又は、電子ペンの本体の筐体の端部を通るように引いた、電子ペンの長手方向軸の垂線の足(又は長手方向軸に沿った、ペン先端ではない任意の他の点から引いた、又は、ペン先端ではない任意の他の点を通るように引いた、電子ペンの長手方向軸の垂線の足)とを接続した線から得ることができる。
【0019】
その場合には、筆記座標系の原点を、例えば、ペン先端又は筆記先端の第1の接触点によって設定することができ、筆記座標系又は筆記基板座標系の軸X,Yを、例えば、投影されたペンの長手方向軸に対して回転を加えることから、例えば、±45°の例示的な角度だけ回転を加えることから、得ることができる。
【0020】
しかしながら、例えば、筆記基板/筆記基板平面に対する電子ペンの方位角、又は、電子ペンの長手方向軸の方位角は、初期時には不明である。
【0021】
したがって、例示的に説明したように、慣性位置検出センサシステムによって特定された傾斜角と、特定又は仮定された方位角とに基づいて、ペン直交座標系の座標を、筆記基板平面上の可能な筆記直交座標系へと変換することができ、なお、ペン直交座標系の1つの軸は、ペンの長手方向軸に一致している。
【0022】
換言すれば、例えば、筆記基板平面に対する電子ペンの位置又は電子ペンの長手方向軸の位置は、筆記基板上に立っている頂点であって、かつ、電子ペンのペン先端又は筆記先端に一致している頂点を有する円錐上又は円錐表面上にのみ、位置することができる。
【0023】
しかしながら、この円錐上における電子ペンの長手方向軸の角度位置又は方位角は、初期時には不明である。
【0024】
理論的には、方位角が不明である場合、2次元の筆記基板平面における、それぞれ異なる軸方向又は軸向きのX軸及びY軸からなるペアが、無限に多数存在し得るか、又は、存在し得る限りのペンの位置と適合し得る。
【0025】
換言すれば、例えば、ペンの或る1つの傾斜角において、前述のペアによってそれぞれ記述される筆記基板平面又は筆記座標系における、それぞれ異なる軸方向又は軸向きのX軸及びY軸からなるペアの各々を、方位角によって記述することができる。
【0026】
したがって、それぞれ異なる軸向きのX軸及びY軸からなる多数のペアの中から、ペアのうちの1つの軸、例えばX軸が実際の筆記方向に一致しているようなペア、又は、そのようなペアの軸向き若しくは方位角を見つけ出す必要がある。
【0027】
上述したように、慣性位置検出センサシステムは、直交座標系における加速度及び加速度プロファイル、特に1次元の加速度プロファイルを特定するように構成され得、ペン座標系における加速度又は加速度プロファイルは、筆記基板平面上の筆記座標系における加速度又は加速度プロファイルに変換され得、又は、逆も同様である。
【0028】
したがって、慣性位置検出センサシステムは、筆記基板上における複数の、それぞれ異なるX軸及びY軸の軸向きからなるペアに関して、X軸及びY軸に沿った電子ペンの加速度及び加速度プロファイル、特に1次元の加速度プロファイルを特定するように構成され得、なお、いずれのペアの軸向きに関しても、X軸の軸向きとY軸の軸向きとが相互に直交している。
【0029】
X軸及びY軸に沿った電子ペンの加速度及び加速度プロファイル、特に1次元の加速度プロファイルを得るための、筆記基板上における複数の、それぞれ異なる軸向きのX軸及びY軸からなるペアの選択を、慣性位置検出センサシステムによって、例えば、前述の円錐又は円錐表面の円周に沿った複数の方位角から、例えば30°又は20°又は10°の刻み寸法で決定することができる。
【0030】
それにより、X軸及びY軸に沿った電子ペンの加速度及び加速度プロファイル、特に1次元の加速度プロファイルを得るための、筆記基板上における複数の、それぞれ異なる軸向きのX軸及びY軸からなるペアの選択を、慣性位置検出センサシステムによって決定することができ、又は、それぞれのペアとの関連付けが可能である方位角の選択を、電子ペンのデジタル処理ユニットによって実行することができる。
【0031】
筆記基板上における複数の、それぞれ異なる軸向きのX軸(複数のX軸)及びY軸(複数のY軸)からなるペアを、例えば、{X0,Y0}0,{X1,Y1}1,{X2,Y2}2,・・・{Xn,Yn}nによって表すことができ、ただし、nは、ゼロ以上の自然数である。
【0032】
明示的に別段の記載がない限り、X軸及び/又はY軸という用語は、前述の例示的なペア{X0,Y0}0,{X1,Y1}1,{X2,Y2}2,・・・{Xn,Yn}nからの1つの軸として理解され得、なお、いずれのペアにおいても、それぞれのペアの軸同士が相互に直交している。
【0033】
ここで、それぞれ異なる向きのX軸(複数のX軸)及びY軸(複数のY軸)は、複数のペアの全てのX軸及びY軸が2次元の筆記基板平面内に位置するように、かつ、それぞれの所与のペアの軸同士が相互に直交するように、選択される。
【0034】
慣性位置検出センサ技術によって特定され得る、電子ペンの前述の加速度及び加速度プロファイルは、字、文字又は単語のような、電子ペンの筆記動作の筆記パターンを表すことができる。特に、前述の加速度及び加速度プロファイルは、周期的な筆記パターンのシーケンスを含み得る。
【0035】
本発明の1つの態様は、特に、以下のような驚くべき発見に基づいており、すなわち、その驚くべき発見とは、慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度又は加速度プロファイルを評価することにより、結果的に、加速度及び減速度の時間的なシーケンスにおける、多かれ少なかれ顕著なパターンがもたらされ、この顕著なパターンは、選択された筆記座標系の軸、すなわち、それぞれのX軸及びY軸からなる所与のペア、又は、このペアとの関連付けが可能である対応する方位角が、どのくらい良好に、実際の筆記方向が1つの軸、例えばX軸に対して平行であるような筆記座標系の軸に一致している、又は、実際の筆記方向が1つの軸、例えばX軸に一致しているような筆記座標系の軸に一致しているかに依存している、というものである。
【0036】
完全を期すために、いずれのペアのX軸及びY軸に関しても、これら2つの軸に直交する対応するZ軸を特定して、例示的な3次元の筆記直交座標系を定義することができることに留意すべきである。
【0037】
加速度を特定するという表現は、加速度の絶対値及び/又は方向及び/又は符号を特定することを含み得、加速度プロファイルという用語は、例えば、加速度の絶対値及び/又は方向及び/又は符号の時間的な変化を記述するための、又は、慣性位置検出センサ技術によって測定された加速度信号の経時的な変化を記述するための、1次元の加速度プロファイルを含み得る。
【0038】
特に例えば、前述の加速度プロファイルの特定は、例えば、所与の筆記座標系又は所与のペン座標系の軸のうちの1つに沿って実施され得る。
【0039】
明示的に別段の記載がない限り、加速度プロファイルは、特に、1次元の加速度プロファイルであると理解され得、特に例えば、筆記基板平面内に位置し得る筆記座標系の軸に沿った、すなわち例えばX軸及び/又はY軸に沿った、1次元の加速度プロファイルであると理解され得る。
【0040】
前述の例示的なデジタル処理ユニットは、筆記方向を特定するように構成され得、前述の特定は、慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルの少なくとも1つの特徴的な特性を特定することに基づき得る。
【0041】
慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルの特徴的な特性とは、1つ又は複数の特性、例えば数学的及び/又は物理的な特性であると理解され得るか、又は、1つ又は複数の状況、例えば数学的及び/又は物理的な状況であると理解され得る。
【0042】
換言すれば、前述の例示的なデジタル処理ユニットは、慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルの少なくとも1つの特徴的な特性を特定するように構成され得、少なくとも1つの特徴的な特性は、例えば、それぞれ可能な筆記座標系を定義することができる、筆記基板上における複数の、それぞれ異なる軸向きのX軸及びY軸からなるペアを選択することに依存し得るか、又は、少なくとも1つの特徴的な特性は、ペア又は筆記座標系との関連付けが可能である方位角を選択することに依存し得る。
【0043】
ここで、例えば、2つの最良の解の間、又は、2つの所定の筆記座標系の間の補間によって、筆記方向の特定の可能な精緻化を実施することができ、これに加えてさらなる精緻化のために、補間された筆記座標系に対して回転された、例えば+10°及び-10°だけ回転された少なくとも2つ以上の筆記座標系に対して、筆記方向の特定を実施することができる。
【0044】
本発明に係る電子ペンは、特に、ユーザが筆記基板上で電子ペンを用いて筆記しているときの筆記方向を、慣性位置検出センサシステムによる電子ペンの加速度のデータ又は測定値のみから導出することが可能となるという利点を提供する。
【0045】
したがって、例えば、ユーザの利き手及び/又は筆記言語に関する仮定、及び/又は、筆記基板の向きに関する仮定のような、外部の参照を使用しないで済ませることが可能となる。
【0046】
さらに、本発明に係る電子ペンは、筆記方向に沿った電子ペンの加速度プロファイルが、筆記方向を特定するための基礎として役立ち得る特徴的な特性を有するという驚くべき発見の活用に基づいている。
【0047】
本発明に係る電子ペンは、例えば、外部の参照に頼る必要なしに10°未満の精度で筆記方向を特定することを可能にし得る。
【0048】
ちなみに、電子ペンは、本明細書では剛体として理解され得、すなわち、電子ペンは、3つの並進自由度及び3つの回転自由度を有することができ、つまり、合計6つの移動自由度を有することができる。したがって、一般的に例えば、選択された座標系の任意の潜在的に必要とされる初期化と、積分誤差とは別にして、3次元の座標系における電子ペンの位置及び/又は運動を記述するために、2つの3次元の位置検出センサで十分であろう。
【0049】
電子ペンの位置及び運動を検出するための慣性位置検出センサシステムという用語は、明示的に別段の記載がない限り、1つの空間方向又は2つ若しくは3つの相互に直交する空間方向における加速度を測定でき、及び/又は、局所磁場の強度及び/又は角速度又は角回転速度を測定することができる、位置特定センサシステム又は位置特定センサを含み得る。
【0050】
しかしながら、例えば、筆記方向を特定するために、1つの3次元の、すなわち3軸式の加速度センサだけを電子ペンに装備することも考えられる。本明細書で説明される筆記方向の特定は、例えば実質的に、並進運動の評価に基づき得るので、前述の例示的な加速度センサを、電子ペンの長手方向軸から距離を置いて配置することもできる。
【0051】
慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルの前述の少なくとも1つの特徴的な特性を特定することは、複数の、それぞれ異なる軸向きのX軸及びY軸からなるペアからの、所与の向きのX軸及び所与の向きのY軸に関して、加速度プロファイルの、連続する相互に逆向きの加速度変化の少なくとも2つのペアの間の少なくとも2つの時間オフセット又は時間インターバルを特定することを含み得る。
【0052】
時間オフセットという用語は、特に、時間スパン、時間期間、時間インターバル又は時間遅延を意味すると理解され得る。
【0053】
加速度変化という用語は、例えば、加速度の絶対値又は大きさ及び/又は方向が変化する時点を含むと理解され得、また、加速度の絶対値又は大きさ及び/又は方向が変化する時間期間を含むとも理解され得る。
【0054】
例えば、所与の軸向きのX軸及び/又はY軸に関する、加速度プロファイルの2つの連続する相互に逆向きの加速度変化は、2つの連続する相互に逆向きの加速度増加及び/又は加速度最大値として理解され得る。
【0055】
加速度又は加速度変化の方向又は逆向きの方向という用語は、特に、加速度の符号として、例えば正又は負の加速度、例えば減速又は減速度として理解され得る。
【0056】
それにより、所与の軸向きのX軸及び/又はY軸に関する、加速度プロファイルの前述の2つの連続する相互に逆向きの加速度変化は、1つのペアを形成することができ、このペアは、例えば、加速度ペアと呼ばれ得る。
【0057】
それにより、前述の慣性位置検出センサシステムは、所与の軸方向のX軸及び/又はY軸に関して、複数の、例えば少なくとも2つのそのような加速度ペアを特定することができる。
【0058】
電子ペンのデジタル処理ユニットは、X軸の向き及びY軸の向きの、以下のようなペアを特定するように構成され得、すなわち、1つの軸、例えばX軸に沿った、特定された加速度プロファイルが、時間オフセットが極値であり、例えば最小値(又は最小)及び/又は最大値(又は最大)にあり、かつ、相互に異なっているという特徴的な特性を有している又は満たしているような、ペアを特定するように構成され得る。
【0059】
例えば、このようにして、軸、例えばX軸及び/又はY軸の軸向きに沿った加速度プロファイルの2つの加速度ペアから、1つの軸に対して、2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の間の2つの時間オフセット又は時間期間を特定することができる。
【0060】
この特定を、X軸及びY軸の軸向きからなる複数のペアに対して実施することができ、電子ペン又は慣性位置検出センサシステム又はデジタル処理ユニットは、X軸及びY軸の軸方向(又は軸向き)からなるペア、例えば{Xbest,Ybest}を特定することができるように構成され得る。この場合、1つの軸、例えばXbest軸及び/又はYbest軸に対して、1つの軸、例えばXbest軸及び/又はYbest軸に沿った加速度変化の少なくとも2つのペアに関する、2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の間の、特定された時間オフセット又は時間スパンは、極値であり、例えば、最小値(又は最小)及び/又は最大値(又は最大)にあり、かつ、相互に異なっている。
【0061】
それにより、電子ペン又はデジタル処理ユニットは、所与の軸向きのX軸及び所与の軸向きのY軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセットを、特定された加速度及び加速度プロファイルに基づいて特定するように、例えば、所与の軸向きのX軸及び所与の軸向きのY軸に関する、特定された1次元の加速度プロファイルの1次導関数に基づいて特定するように構成され得る。
【0062】
このことは、例えば、慣性位置検出センサシステムのあらゆるゼロ点誤差を排除することが可能となり、例えば、測定信号から特定された電子ペンの位置及び運動に関して、或る一定の筆記方向と、慣性位置検出センサシステムの測定信号の誤差によって引き起こされるドリフトとをより良好に区別することが可能となるという利点を提供する。
【0063】
例えば、電子ペン又はデジタル処理ユニットは、所与の向きのX軸及び所与の向きのY軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセット又は時間スパンを、特定された加速度の1次導関数と、特定された加速度の絶対値とがゼロに等しい又はゼロにほぼ等しいような時間インターバルから特定するように構成され得る。
【0064】
これにより、所与の軸向きのX軸及び所与の軸向きのY軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセットの大きさ又は量を、明確に特定することが可能となる。
【0065】
これに代えて及び/又はこれに加えて、所与の軸向きのX軸及び所与の軸向きのY軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセット又は時間スパンを、特定された加速度の1次導関数がゼロに等しいか又はゼロに近似しており、かつ、特定された加速度の量又は絶対値が最大又は最小であり、すなわち最大値又は最小値にあるような時間インターバルから特定することが考えられるであろう。
【0066】
このようにして、例えば、加速度プロファイルの2つの極値、すなわち最大値及び/又は最小値の間の時間インターバル又は時間オフセット又は時間スパンを特定することができる。加速度プロファイルが、明確に定義(well-defined)された最大値又は最小値ではなく、最大値プラトー又は最小値プラトーを有する場合には、例えば、隣り合う最大値プラトーの中心又は中心点と、最小値プラトーの中心又は中心点との間の時間スパンを特定することも考えられるであろう。
【0067】
これに代えて又はこれに加えて、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセット又は時間スパンを画定する時点を特定するために、加速度変化の最大値を使用することも考えられる。
【0068】
これに代えて又はこれに加えて、さらに、例えば、X軸の向き及びY軸の向きの複数のペアからの、所与の向きのX軸及び所与の向きのY軸に関する、加速度プロファイルの少なくとも2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の振幅を特定することに基づいて、筆記方向を特定することが考えられる。
【0069】
したがって、例えば、これに代えて又はこれに加えて、慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルの少なくとも1つの特徴的な特性の特定に基づいて、筆記方向を特定するように構成され得る電子ペン、又は、電子ペンのデジタル処理ユニットが考えられ、この場合、加速度プロファイルの前述の特徴的な特性を特定することは、X軸の向き及びY軸の向きの複数のペアからの、所与の向きのX軸及び所与の向きのY軸に関する、加速度プロファイルの少なくとも2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の振幅を特定することを含む。
【0070】
それにより、電子ペン又はデジタル処理ユニットは、X軸の向き及びY軸の向きの、以下のようなペアを特定するように構成され得、すなわち、1つの軸、例えばX軸に沿った、特定された加速度プロファイルが、加速度プロファイルの少なくとも2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の振幅の差が極値であり、かつ、ゼロとは異なるという特徴的な特性を有している又は満たしているような、ペアを特定するように構成され得る。
【0071】
このようにして、筆記方向における電子ペンの運動が、筆記方向とは反対方向における対応するより小さい加速度と比較してより強力な加速度を引き起こし得るという、驚くべき技術的な洞察及び知識を使用することができる。
【0072】
換言すれば、本発明によれば、例えば、加速度プロファイルの位相及び/又は振幅の非対称性に起因する、1つの軸、例えばX軸の軸方向に沿った加速度プロファイルの非対称性から、筆記方向が特定され得る。
【0073】
少なくとも2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の振幅の差を特定することと共に、前述の時間スパン及び時間オフセットを特定することにより、筆記方向を特定することの精度を大幅に高めることができ、筆記方向を特定することのロバスト性を大幅に改善することができる。
【0074】
これに代えて又はこれに加えて、さらに、例えば、慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルと、所定の加速度プロファイルとの比較に基づいて、筆記方向を特定することが考えられる。
【0075】
したがって、例えば、これに代えて又はこれに加えて、慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルの少なくとも1つの特徴的な特性に基づいて、筆記方向を特定するように構成され得る電子筆記ペン、又は、電子筆記ペンのデジタル処理ユニットが考えられ、この場合、デジタル処理ユニットは、慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルと、所定の加速度プロファイルとの比較を実施して、X軸の向き及びY軸の向きの、以下のようなペアを特定するように構成され得、すなわち、1つの軸、例えばX軸に沿った、特定された加速度プロファイルが、所定の加速度プロファイルに一致しているという特徴的な特性を有している又は満たしているような、ペアを特定するように構成され得る。
【0076】
それにより、一致しているという表現は、特に、所与の許容範囲内での一致として理解され得る。
【0077】
筆記者が、例えば、基礎となる特に既知の筆記パターン、例えばUの文字列に関連又は対応する、或る1つの所定又は既知の加速度プロファイルを生成している場合には、例えば、これらのUの先端の休止点又は停止点に後続する加速の方向から、筆記方向又は筆記基板の向きを導出することが可能である。停止又は停止点では、電子ペンの筆記先端の瞬間的な休止が存在し、この瞬間的な休止を、例えば、加速度センサ又は慣性位置検出センサシステムのノイズによって検出することができる。
【0078】
より具体的には、例えば、加速度センサ又は慣性位置検出センサシステムのノイズの電力密度スペクトルを特定することができ、それにより、例えば、しきい値を設定することができ、このしきい値を下回ると、先端が静止中であると仮定することができる。
【0079】
例えば、加速度の1次導関数を評価することにより、1つの軸における加速度の導関数の最大値と、この軸に直交する軸における同時の最小値とにおいて、反転点を発見することができる。この直交する軸は、U(uの文字)の文字列の筆記方向である。加速度の導関数を使用することは、これを使用してセンサのゼロ誤差を排除することが可能となるという利点を有する。
【0080】
少なくとも2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の振幅の前述の差を特定することと共に、さらには、慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルと、所定の加速度プロファイルとを比較することと共に、前述の時間インターバル又は時間オフセットを特定することにより、筆記方向を特定することの精度及びロバスト性をさらに改善することができる。
【0081】
例えば、前述の例示的な所定の加速度プロファイルは、並進的な筆記パターン、例えば所定の単語によって定義され得、及び/又は、所定の並進的かつ周期的なパターン、例えばガーランドによって定義され得る。
【0082】
筆記方向を特定することの精度及びロバスト性のさらなる改善は、特に、以下のようにして達成され得る。
【0083】
上述したように、電子ペンは、2次元の筆記基板上で相互に直交する2つの軸X,Yと、2次元の筆記基板に対して垂直である軸Zとを有する筆記座標系を初期定義又は初期設定するように構成され得る。
【0084】
それにより、2次元の筆記基板上で相互に直交する2つの軸X,Yと、軸Zとを有する筆記座標系を前述のように初期定義又は初期設定することは、以下の例示的な仮定、すなわち、
・電子ペンの長手方向軸の空間位置は、重力の方向に対して平行ではない、
・筆記基板の表面は、重力の方向に対して直交方向に方向決めされている、
・電子ペンのユーザは、右利き及び/又は左利きである、
・筆記方向は、筆記基板の境界又は縁部に対して平行であり、ユーザの視点からの筆記方向は、左から右、又は、右から左、又は、上から下である、
のうちの1つ、複数又は全部を考慮し得る。
【0085】
前述の例示的な仮定は、特に、筆記基板の位置又は筆記基板の向きと、最終的には筆記方向とを特定するために役立ち得る。
【0086】
電子ペンの長手方向軸の位置が重力の方向と平行ではない、すなわち、ペンが斜めに保持されているという例示的な仮定は、殆どの事例に当てはまるはずである。なぜなら、通常、ユーザは、筆記する際に電子ペンを正確に垂直に維持することが難しいからである。
【0087】
ペンが斜めに保持されている場合には、例えば、重力加速度の作用する線に対して垂直な線である、平面上、例えば筆記基板平面上へのペンの長手方向軸の投影線を、形成することができる。特に、この投影線は、(前述の)他の例示的な仮定と併せて、近似的な紙の位置又は筆記基板の位置を特定するために役立ち得る。
【0088】
筆記基板の表面が重力の方向に対して直交方向に方向決めされている、すなわち、筆記基板が水平に置かれているという例示的な仮定については、例外が比較的簡単に発生し得る。例えば、この仮定は、例えば筆記基板を保持するためにクリップボード上に配置されている場合、又は、動いている車両内で筆記が行われる場合には、無効になり得る。しかしながら、書字運動測定の文脈では、筆記パッド又は筆記基板が水平位置であると仮定することができる。
【0089】
例えば、ユーザの利き手の仮定は、慣性位置センサシステムからのデータの取得後に照会され得、及び/又は、オプションで修正され得る。
【0090】
しかしながら、筆記方向が筆記基板の縁部又は境界に対して平行であるとの仮定は、殆どの事例に当てはまるはずであり、例えば、電子ペンのソフトウェアの言語設定に結合され得る。
【0091】
例えば西洋の言語では、筆記方向が左から右であるが、その一方で、例えばアラビア語及びヘブライ語では、筆記方向が右から左であると仮定されるべきである。例えばアジアの文章の場合には、上から下に筆記することもあり得るが、このことは、筆記者が適切に制御することにより、書字運動測定のための適切なソフトウェアによって、通常の左から右へと反転させることができる。
【0092】
例示的な仮定のうちの1つ、複数又は全てが当てはまる場合には、特に、電子ペンを用いた筆記を開始する前であっても、例えば、紙平面上又は筆記基板平面上への電子ペンの長手方向軸の投影線を、紙シート座標系の角度二等分線として、又は、筆記基板平面内の筆記座標系の角度二等分線として解釈することにより、筆記基板のシート位置の良好な近似を達成することが可能である。
【0093】
それにより、例えばユーザの視点から、X軸は、筆記方向を指すことができ、Y軸は、下を指すことができる。それにより、長手方向軸の投影線は、例えば、2つの点を接続した線から得ることができ、すなわち、ペン先端又は筆記芯先端の接点と、紙平面上/筆記基板平面上における、電子ペンの本体の筐体の端部から引いた、又は、電子ペンの本体の筐体の端部を通るように引いた、電子ペンの長手方向軸の垂線の足(又は長手方向軸に沿った、ペン先端ではない任意の他の点から引いた、又は、ペン先端ではない任意の他の点を通るように引いた、電子ペンの長手方向軸の垂線の足)とを接続した線から得ることができる。
【0094】
その場合には、筆記座標系の原点を、例えば、ペン先端又は筆記芯先端の第1の接触点によって設定することができ、筆記座標系又は筆記基板座標系の軸X,Yを、例えば、投影されたペンの長手方向軸に対して回転を加えることから、例えば、±45°の例示的な角度だけ回転を加えることから、得ることができる。
【0095】
筆記基板平面におけるペンの長手方向軸の投影線と、紙シート座標系又は筆記座標系との間の前述の角度は、推定値であり、例えば慣性位置検出センサシステムによって収集され得る参照データによってさらに精緻化され得る。
【0096】
例えば、電子ペンのソフトウェアドライバをセットアップする際、又は、電子ペンを初期化する際には、左から右への運動と、上から下への他の運動とを実施するように、ユーザに要求することができる。特に、これにより、ペンが通常保持されるときの傾斜角を、より簡単に特定することが可能となり、したがって、筆記基板平面上への長手方向軸の投影線の特定が改善される。例えば、この角度を保存しておけば、ただ1回の測定で十分となり得る。さらに、ユーザが電子ペンの挙動にもはや満足することができなくなった場合は、ユーザによって後々の時点に同様の方法で再較正をトリガすることができる。
【0097】
2次元の筆記基板上での筆記中に、電子ペンの筆記方向を特定するための本発明に係る例示的な方法であって、当該電子ペンは、例えば、筆記芯と、少なくとも1つの電圧源と、少なくとも1つのデジタル処理ユニットと、少なくとも1つのデータ伝送モジュールと、電子ペンの場所及び運動を特定するための慣性位置センサ技術又は慣性位置検出センサシステムとを含み得る、方法において、当該方法は、以下のステップ、すなわち、
・例えば、2次元の筆記基板上で相互に直交する2つの軸X,Yと、2次元の筆記基板に対して垂直である軸Zとを有する筆記座標系を初期設定するステップと、
・例えば、筆記基板上における複数の、それぞれ異なる軸向きのX軸及びY軸からなるペアに関して、X軸及びY軸に沿った電子ペンの加速度及び加速度プロファイルを特定するステップであって、なお、いずれのペアの軸向きに関しても、X軸の軸向きとY軸の軸向きとが相互に直交している、ステップと、
・特定された加速度プロファイルの少なくとも1つの特徴的な特性を特定することに基づいて、筆記方向を特定するステップと
のうちの1つ、複数又は全部を含み得る。
【0098】
上述したように、そのような方法は、特に、ユーザが筆記基板上で電子ペンを用いて筆記しているときの筆記方向を、慣性位置検出センサシステムによる電子ペンの加速度のデータ又は測定値のみから導出することが可能となるという利点を提供し得る。
【0099】
したがって、例えば、ユーザの利き手及び/又は筆記言語に関する仮定、及び/又は筆記基板の向きに関する仮定のような、外部の参照を使用しないで済ませることが可能となる。
【0100】
さらに、本発明に係る方法は、筆記方向に沿った電子ペンの加速度プロファイルが、筆記方向を特定するための基礎として役立ち得る特徴的な特性を有するという驚くべき発見の利用に基づいている。
【0101】
ここでは、例えば、慣性位置センサ技術又は慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルの前述の少なくとも1つの特徴的な特性を特定することは、複数の、それぞれ異なる軸向きのX軸及びY軸からなるペアからの、所与の向きのX軸及び所与の向きのY軸に関して、加速度プロファイルの、連続する相互に逆向きの加速度変化の少なくとも2つのペアの間の少なくとも2つの時間オフセット又は時間スパンを特定することを含み得る。
【0102】
さらに、特定された加速度プロファイルの特徴的な特性を特定することに基づいて、筆記方向を特定することは、X軸の向き及びY軸の向きの、以下のようなペアを特定することを含み得、すなわち、1つの軸、例えばX軸に沿った、特定された加速度プロファイルが、時間オフセット又は時間スパンが極値であり、例えば最小(最小値)及び/又は最大(最大値)であり、かつ、相互に異なっているという特徴的な特性を有している又は満たしているような、ペアを特定することを含み得る。
【0103】
ここでは、所与の向きのX軸及び所与の向きのY軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセット又は時間スパンを、特定された加速度及び加速度プロファイルの1次導関数に基づいて特定することができる。
【0104】
特に、例えば、所与の向きのX軸及び所与の向きのY軸に関する、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセット又は時間スパンを、特定された加速度の1次導関数と、特定された加速度の絶対値とがゼロに等しい又はゼロにほぼ等しいような時間インターバルから特定することができる。
【0105】
これに代えて又はこれに加えて、筆記方向の特定は、慣性位置検出センサシステムによって特定された加速度プロファイルと、所定の加速度プロファイルとの比較を実施して、X軸の向き及びY軸の向きの、以下のようなペアを特定すること、すなわち、1つの軸、例えばX軸に沿った、特定された加速度プロファイルが、所定の加速度プロファイルに一致しているという特徴的な特性を有している又は満たしているような、ペアを特定することに基づくことができる。
【0106】
例えば、所定の加速度プロファイルは、所定の並進的な筆記パターンによって、例えば所定の単語によって定義され、及び/又は、所定の並進的かつ周期的なパターン、例えばガーランドによって定義され得る。換言すれば、並進的な筆記パターンは、回転対称ではない。それとは対照的に、定置的な筆記パターンは、回転対称であり得る。
【0107】
一般的に、電子ペンの慣性位置検出センサシステムによって、本発明に従って特定される加速度プロファイルは、ユーザによって電子ペンを用いて実施された筆記動作に基づく筆記パターンを表すことができる。
【0108】
周期的な筆記パターンという用語は、繰り返しの筆記パターンを意味すると理解され得る。
【0109】
周期的な筆記パターンは、この周期的な筆記パターンから測定することができる周期的な加速度プロファイルから、結果的に、筆記方向の測定の改善をもたらすことが可能となるという利点を提供することができる。なぜなら、例えば、複数の周期的な加速度プロファイルから特定された筆記方向は、より良好かつより正確に特定されたものであり得るからである。
【0110】
筆記動作にかかる時間が長ければ長いほど、又は、周期的に筆記される筆記パターンが多ければ多いほど、(支配的な)筆記方向をより簡単かつより正確に特定することが可能となる。例えば、まず始めに、筆記基板の幅全体にわたってガーランドを生成するように、ユーザに要求し得ることが考えられるであろう。
【0111】
以下の図面は、次のことを例示的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1a】筆記座標系の例示的な第1のビュー(上面図)である。
【
図1b】筆記座標系の例示的な第2のビュー(側面図)である。
【
図2a】例示的かつ定置的かつ周期的な筆記運動を示す図である。
【
図2b】定置的かつ周期的な筆記運動の例示的な特性を示す図である。
【
図3a】例示的かつ並進的かつ周期的な筆記運動を示す図である。
【
図3b】並進的かつ周期的な筆記運動の例示的な特性を示す図である。
【
図4】位相シフトと振幅の差とを有する筆記運動の例示的な特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
図1a及び
図1bの図面は、例示的な筆記基板106、例えば紙のシートに対する例示的な電子ペン100の可能な場所を、それぞれ異なる視点から見た図を例として示す。
【0114】
さらに、これらの図面は、初期設定された例示的な筆記座標系を示し、又は、2次元の筆記基板106上における2つの直交する軸X,Y(参照符号107,108が付されている)を有する、慣性位置検出センサシステムによって特定された例示的な筆記座標系を示す。
【0115】
軸X(107),Y(108)は、相互に直交するX軸及びY軸からなる1つの例示的なペア{X,Y}(109)を表している。例えば、前述の軸107,108は、筆記座標系を筆記基板106上の4つの象限に、すなわち第1の象限101と、第2の象限102と、第3の象限103と、第4の象限104とに分割し得る。
【0116】
象限を使用することにより、ユーザの利き手に関する処理及び記述の仮定が簡単になり得ると共に、例えば、筆記座標系の(初期)定義又は(初期)設定も簡単になり得る。
【0117】
図1a及び
図1bの例示的な図示では、電子ペン100の例示的な長手方向軸105は、重力の方向(図示せず)に対して平行には位置決めされていない。さらに、例えば、筆記基板106の表面は、重力の方向に対して直交方向に方向決めされている。換言すれば、電子ペン100は、電子ペン100の長手方向軸105と、筆記基板/筆記基板平面106との間に例示的な傾斜角112を有し得る。
【0118】
図1bには、理解しやすいように、既に説明した円錐又は円錐表面118の例が示されており、この円錐又は円錐表面118は、例示的な所与の傾斜角112に対してペン100が潜在的にとり得る複数の場所を表すことができ、円錐/円錐表面の頂点は、筆記基板106上に立っており、電子ペン100の筆記先端114に一致することができる。
【0119】
例示的な筆記パターン116によって例示されている筆記方向117は、例えば、筆記基板の縁部又は境界に対して平行であり、ユーザの視点からの筆記方向117は、例えば、左から右である。
【0120】
したがって、例えば、筆記基板平面106上又は紙平面上における電子ペン100の長手方向軸105の投影線111を、筆記座標系の角度二等分線として見なすことができる。
【0121】
この場合には、例えば、X軸107は、筆記方向117を指しており、Y軸108は、ユーザから見て下方を指している。長手方向軸の投影線111は、例えば、2つの点を接続した線から得ることができる。
【0122】
すなわち、電子ペンの先端/ペン先端114、例えば筆記芯先端の接点115と、紙平面上/筆記基板平面106上における、電子ペン100の本体の筐体の端部から引いた、又は、電子ペン100の本体の筐体の端部を通るように引いた、電子ペン100の長手方向軸105の垂線の足113(又は長手方向軸105に沿った、ペン先端ではない任意の他の点から引いた、又は、ペン先端ではない任意の他の点を通るように引いた、長手方向軸105の垂線の足)とを接続した線から得ることができる。
【0123】
その場合には、筆記座標系の原点を、例えば、筆記先端114の第1の接触点115によって設定することができ、筆記座標系又は筆記基板座標系の軸X,Yを、例えば、投影されたペンの長手方向軸111に対して回転を加えることから、例えば、±45°の例示的な角度だけ回転を加えることから、得ることができる。
【0124】
ペンの長手方向軸105の投影線111と、筆記座標系との間の前述の例示的な角度は、1つの推定値であり、この推定値を、より良好な参照データを用いて精緻化することが可能である。
【0125】
例えば、電子ペンのソフトウェアドライバをセットアップする際、又は、電子ペンを初期化する際には、左から右への運動と、上から下への他の運動とを実施するように、ユーザに要求することができる。これによって例えば、ペンが通常保持されるときの傾斜角を、より簡単に特定することが可能となり得る。例えば、この角度を保存しておけば、ただ1回の測定で十分となり得る。さらに、ユーザが電子ペンの挙動にもはや満足することができなくなった場合は、ユーザによって後々の時点に同様の方法で再較正をトリガすることができる。
【0126】
例えば、図示のように右利きの人の場合には、どちらかといえば標準となっている電子ペンの位置(ユーザの視点から見た場合)は、右下の象限、すなわち第4の象限104にあると仮定することができるが、その一方で、左利きの人の場合には、全ての他の象限にあることが考えられる。
【0127】
実際にどのペン位置がとられているのかを判断するためには、ペンの長手方向軸の投影線111の位置と、加速度プロファイルの特性との両方を評価することが有用であり、なお、加速度プロファイルの特性は、電子ペンの位置及び運動を検出するための慣性位置検出センサシステムによって特定される。
【0128】
完全を期すために、見やすくする理由から、筆記座標系の可能な第3の空間軸が図示されていないこと、例えば、2次元の筆記基板106に対して垂直である又は軸X,Yに直交するZ軸が図示されていないことを述べておく。
【0129】
図2aは、例示的かつ定置的かつ周期的な(ループ形状の、又は、
【数1】
-形状の)筆記パターン200を用いた、又は、筆記パターン要素(実線のループ形状の、又は、
【数2】
-形状の線)を用いた、例示的な筆記プロセス又は筆記動作を概略的に示し、ここでは、筆記動作若しくは筆記パターン又は筆記パターン要素の開始点201及び終了点202が、例示的にマーキングされている。
【0130】
筆記パターン200は、筆記動作若しくは筆記パターン又は筆記パターン要素の開始点201と終了点202とが、例示的に示されたY軸203に関して同一の座標を有するように、例示的に方向決めされている。例示的かつ定置的かつ周期的な筆記パターンでは、さらに、筆記運動の例示的な方向に、参照符号204が付されている。
【0131】
図2bは、特に、例示的かつ定置的かつ周期的な筆記パターン200に関して、電子ペンの経路又は位置の経過210と、電子ペンの速さ又は速度の経過211と、電子ペンの加速度の経過212とを、時間209の関数として例示的かつ理想的に示す。換言すれば、例えば、加速度プロファイル212は、ループを筆記する際の、筆記方向に対して法線方向又は直交方向の加速度に関する加速度プロファイルとして理解され得る。
【0132】
参照符号205は、電子ペンの
図2aの例示的な筆記動作200の、例示的な位置信号若しくは場所信号又は位置信号プロファイルのY軸成分を、例示的に示す。
【0133】
参照符号206は、例えば、筆記動作200の速さ又は速度を示し、参照符号207は、(電子ペンの慣性位置検出センサシステムによって特定される)筆記動作200の加速度を示す。
【0134】
さらに、理想的な筋活動電位が例示的に示されており、この理想的な筋活動電位は、筆記パターン200を筆記する際に活性化され得る筋肉ペアの、駆動(主動筋)及び抑制(拮抗筋)の役割を説明することを意図している。参照符号213は、筆記動作200に基づく例示的な力プロファイル又は労力プロファイルの包絡曲線を例示的に示す。
【0135】
参照符号223,224,225,226は、主動筋223,225及び拮抗筋224,226に関する例示的な力の変化を示す。
【0136】
電子ペンによって、例えば、(手書きの文字
【数3】
の場合のように)左から右への一連のループを筆記する際には、ペン先端は、規則的な往復動きを実施し、この往復動きの最も単純な要素が、例示的な筆記パターン200であり得る。
【0137】
筆記パターン200の筆記は、反復的な動きであり得るので、時間軸209は、極座標系の角度としても理解され得る。
【0138】
したがって、
図2b(並びに
図3及び
図4)は、サイクル的又は周期的な運動の1つのフェーズ内における時間的なシーケンスを説明するものとして理解され得る。
【0139】
この事例では、主動筋の運動は、まず始めに、選択された方向へのペンの加速をもたらすことができ、これによって速さ又は速度が増加し、ペン先端は、この方向に動き始めることができる。
【0140】
抑制力がない場合、この運動は、拮抗筋の運動が初期加速度に対抗してペンに作用する力を発揮することができるようになるまで、継続し得る。
【0141】
図示の例213では、主動筋に関する力の作用の強さ及び持続時間と、拮抗筋に関する力の作用の強さ及び持続時間とが同等であり、その結果として、速さ又は速度が完全に低下し、ペン先端が一時的に停止し得る。その後、これらの筋肉の役割が逆転して、継ぎ目のない対抗運動を形成することができ、ここでも、力の作用の強さ及び持続時間が同等であると仮定することができる。
【0142】
これにより、このサイクル/周期の終わりには、ペン先端は、自身の開始点に戻ることができ、速さ又は速度は、再び完全に低下することができる。
【0143】
例示的に図示された経過又はシーケンスは、特に、Y軸に対して平行に方向決め又は位置決めされたループを筆記する際において見ることができる。
【0144】
筆記パターン200のこの例示的な事例では、時間209の関数としての、電子ペンの場所又は位置210に関するプロファイル、速さ又は速度211に関するプロファイル及び、加速度212に関するプロファイルは、筆記動作200の周期の半分に対して対称である。
【0145】
加速度プロファイル212の観点から見ると、時間オフセット又は時間スパン215と、時間オフセット又は時間スパン218とは、同等のサイズ又は同等の長さを有する。これに関して、時間オフセット又は時間スパン215,218は、例示的に、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間インターバルによって定められている。
【0146】
例えば、時間オフセット/時間スパン215は、正の軸方向の加速度変化214と、負の軸方向の加速度変化216との間の時間インターバルによって定められており、時間オフセット/時間スパン218は、負の軸方向の加速度変化217と、正の軸方向の加速度変化219との間の時間インターバルによって定められている。したがって、それぞれ、加速度変化214と216とが、連続する相互に逆向きの加速度変化の1つのペアとして解釈され、加速度変化217と219とが、連続する相互に逆向きの加速度変化のもう1つのペアとして解釈され得る。
【0147】
さらに、参照符号220,221,222の加速度極値又は加速度最大値が、例えば、それぞれ同等の振幅を有していることに留意すべきである。
【0148】
時間オフセット又は時間スパン215,218は、特に、特定された加速度の1次導関数及び特定された加速度の(絶対)値が、ゼロに等しい又はゼロにほぼ等しいという事実によって特定され得る。
【0149】
Y方向のプロファイル210,211,212,213の経過を、X方向の時間309の関数としての、電子ペンの位置又は場所310に関するプロファイルの経過、速さ又は速度311に関するプロファイルの経過及び、加速度312に関するプロファイルの経過と比較しながら観察してみると、筋肉運動の時間的なシーケンスが変化している。
【0150】
より良好に理解するために、
図3aには、周期的かつ並進的な(ループ形状の若しくは
【数4】
-形状の)筆記パターン若しくは筆記プロセス300、又は、筆記パターン要素(連続的なループ形状の若しくは
【数5】
-形状の線)が、例として示されており、ここでは、筆記動作若しくは筆記パターン又は筆記パターン要素の開始点301及び終了点302が、例示的にマーキングされている。
【0151】
筆記パターン300は、例示的に、筆記方向がX軸303に対して平行に位置決めされるように位置決めされている。この事例では、例えば、筆記動作若しくは筆記パターン又は筆記パターン要素の開始点301と終了点302とは、同等の高さ(又は同一のY軸座標)にあるが、例示的に図示されたX軸303に関して、開始点301の座標と終了点302の座標とは、それぞれ異なっている。
【0152】
例えば、筆記パターン300と筆記パターン200とは、筆記動作の開始点及び終了点だけがそれぞれ異なっているが、それぞれ同様の筆記運動を有してもよいし、又は、それぞれ同様の筆記運動を表してもよい。
【0153】
例示的かつ並進的かつ周期的な筆記パターンでは、さらに、筆記運動の例示的な方向に、参照符号304が付されている。
【0154】
図3bは、例示的かつ並進的かつ周期的な筆記パターン300に関して、電子ペンの位置又は場所310のプロファイルの経過、速さ又は速度311のプロファイルの経過及び、加速度312のプロファイルの経過を、X方向の時間309の関数として例示的に示す。
【0155】
図2bとは対照的に、加速度プロファイル312は、ループを筆記する際の、筆記方向の加速度に関する加速度プロファイルとして理解され得る。
【0156】
参照符号305は、電子ペンの
図3aの例示的な筆記動作300の、例示的な位置信号若しくは場所信号又は位置信号プロファイルのX軸成分を、例として示す。
【0157】
参照符号306は、例えば、筆記動作300の速さ又は速度を示し、参照符号307は、(電子ペンの慣性位置検出センサシステムによって特定される)筆記動作300の加速度を示す。
【0158】
さらに、理想的な筋活動電位が例示的に示されており、この理想的な筋活動電位は、筆記パターン300を筆記する際に活性化され得る筋肉ペアの、駆動(主動筋)及び抑制(拮抗筋)の役割を説明することを意図している。参照符号313は、例示的な筆記動作300に基づく例示的な力プロファイル又は労力プロファイルの包絡曲線を例示的に示す。
【0159】
参照符号323,324,325,326は、主動筋323,325及び拮抗筋324,326に関する例示的な力の変化を示す。
【0160】
図2bの例示的な事例とは対照的に、ここでは、筋肉運動の時間的な分布が変化している。すなわち、例えば、ここでは、第1の拮抗筋324は、主動筋323に対して遅延して活動しており、第2の拮抗筋326は、主動筋325に対してより早く活動する。
【0161】
さて、筋肉の作用する力の強さ及び持続時間は、依然として同等であるが、時間的なシフトによって、前進方向における速さ又は速度の方が、後退方向における速さ又は速度よりも長くなっており、その結果、全サイクル/全周期の経過後には、ペン先端が、Y方向に永続的にシフトし得る。
【0162】
拮抗筋-主動筋の力作用のこの例示的な位相シフトを発見すべきであり、例えば、或る1つの方向における、或る1つの時間期間にわたって平均化された位相シフトの値が、その最大値にある場合に、筆記方向が発見される。
【0163】
特に、筆記方向の特定は、拮抗筋-主動筋の力活動/力効果の前述の例示的な位相シフトを反映するような、加速度プロファイル312の少なくとも1つの特徴的な特性を、特定することに基づき得る。
【0164】
例えば、加速度の導関数の(絶対)値がしきい値を超えた場合に、力が発現したことを識別し、ゼロ点誤差の影響を回避することができる。
【0165】
筆記方向を特定するためには、速度の単純な評価では不十分である。なぜなら、速度プロファイルの場合には、単純なドリフト、又は、(例えば、外乱又は内乱によって引き起こされる)位置検出センサシステムの信号ドリフトとの区別がつかないからである。
【0166】
したがって、上述したように、複数の直交座標系に関して、又は、事前に初期設定された紙シート平面又は筆記基板平面において、筆記基板上における複数の、それぞれ異なる軸向きのX軸及びY軸からなるペア(例えば、Z方向が、重力に沿って位置決めされており、X-Y平面が、すなわち筆記基板平面が、重力に対して垂直に配置されていると定義する)に関して、2つの連続する相互に逆向きの加速度増加又は加速度最大値の間の時間オフセット/時間スパンを特定することが可能である。
【0167】
例えば、第1の加速度が正の軸方向に発生している場合には、この時間オフセットは、正の軸方向が筆記方向と等しくなるときに最大値にあるはずである。しかしながら、例えば、第1の加速度が負の軸方向に発生している場合には、次の逆向きの加速度増加又は最大加速度までの時間的な距離が、最小値にあるはずである。
【0168】
例えば、この解決策の十分な確実性を保証することができるようにするために、この特定を複数回実施することができ、筆記方向として認識される個々の軸方向又は軸向きの平均を選択することができる。
【0169】
筆記方向に対して法線方向、すなわち直交方向である軸方向又は軸向きの場合には、加速度のペアの間の時間は、各自の方向の意味とは関係なく、平均してそれぞれ異ならないはずである。
【0170】
したがって、例えば、複数の時間オフセットをベクトル加算した結果、1つの軸方向に関して最大値に到達する非ゼロの値が生じた場合には、このことを、筆記方向を識別するための指標として使用することができる。
【0171】
上述したように、特に、加速度プロファイルにおける時間オフセットを特定するために、加速度の導関数を使用することができる。
【0172】
時間オフセットの時間測定のために使用することができる時点を特定するために、いくつかの可能性が考えられる。
【0173】
1つの可能性は、例えば、1つ又は複数の時点を選択するために加速度変化の最大値を使用することである。
【0174】
これに代えて、加速度の発現及び終了によって筆記速さ又は筆記速度の変化が最大値に到達するので、加速度の1次導関数のゼロ点を利用して、連続する相互に逆向きの加速度変化のペアの間の時間オフセット又は時間スパンに関するそれぞれの終了時間及び開始時間を特定することが可能である。
【0175】
例示的に図示された加速度プロファイル312では、参照符号314が、正の軸方向の例示的な加速度変化を示し、第1の時間オフセット315の後に、負の軸方向の逆向きの加速度変化316が続く。したがって、加速度変化314と加速度変化316とが、連続する相互に逆向きの加速度変化の例示的な(第1の)ペアを表す。
【0176】
連続する相互に逆向きの加速度変化の他の(第2の)ペアは、例えば、負の軸方向の加速度変化317と、正の軸方向の加速度変化319とによって提供され、この例示的な第2のペアの間の時間オフセットには、参照符号318が付されている。2つの時間オフセット315,318は、対称ではなく、例えばサイズ又は持続時間がそれぞれ異なっている。この例示的な事例では、筆記パターン300の例示的な筆記方向が、X軸に対して平行であるので、第1の時間オフセット315は、最大値にあり、第2の時間オフセット318は、最小値であり、すなわち、時間オフセット315と時間オフセット318との差の(絶対)値は、最大値にある。
【0177】
上述したように、時間オフセット315,318を特定するために、加速度プロファイル312の導関数を使用することができる。例えば、特定された加速度の1次導関数と、特定された加速度の(絶対)値とがゼロに等しい又はゼロに近似している時間インターバルから、時間オフセット315,318を特定することができる。
【0178】
完全を期すために、加速度極値又は加速度最大値又は加速度最大値プラトー320,321,322が、例えば、それぞれ同等の振幅を有していることに留意すべきである。
【0179】
さらに、時間オフセット315,318を特定するために使用され得る加速度変化314,316,317,319が、例えば、加速度の、非ゼロである導関数と、加速度変化の時点の加速度の、ゼロに等しい(絶対)値とによって説明され得ることに留意すべきである。このことは、
図2bの加速度変化214,216,217,219にも同様に当てはまる。
【0180】
完全を期すために、複数のループの筆記は、周期的なプロセスであるので、両方の図面における時間軸が、0から2πまでの1周期全体にわたる位相角としてプロットされていることも述べておく。
図2a及び3aは、
図2b及び3bに示された加速度プロファイルによって生成され得る、可能な筆跡を示す。ここでは、曲線の実線部分が、1周期全体を表しており、その一方で、破線部分は、この周期の前後の曲線挙動を示している。Y方向(
図2a)のプロットは、X方向(
図3a)のプロットからπ/2だけシフトされており、これによって、加速度プロファイルの特性の類似性がより良好に強調され得ることに留意すべきである。筆記方向に位相シフトが存在することは、開始運動の減速中と、対抗運動の開始時とにおいて容易に見て取ることができるが、この位相シフトは、筆記方向に対して法線方向の場合には発生していない。
図2aの実線は、この実線が開始したときと同一のy座標において終了するが、その一方で、
図3aのX方向では、1周期の経過後にオフセットが存在する。
【0181】
図4は、筆記方向において加速度極値の振幅がそれぞれ異なっている、例示的かつより一般的な筆記パターン(図示せず)に関して、X方向における電子ペンの位置405のプロファイル、速度406のプロファイル及び、加速度407のプロファイルを、時間404の関数として例示的に示す。
【0182】
参照符号400は、電子筆記ペンの例示的な筆記動作(図示せず)の、例示的な場所信号若しくは位置信号又は位置信号プロファイルのX軸成分を示す。
【0183】
参照符号401は、例えば、筆記動作の速度又は速さを示し、参照符号402は、(電子ペンの慣性位置検出センサシステムによって特定される)筆記動作(図示せず)の加速度を示す。
【0184】
さらに、理想的な筋活動電位が例として示されており、この理想的な筋活動電位は、筆記パターンを筆記する際に活性化され得る筋肉ペアの、駆動(主動筋)及び抑制(拮抗筋)の役割を説明することを意図している。参照符号418は、筆記動作に基づく例示的な力プロファイルの包絡曲線を例示的に示す。
【0185】
先行する例では、例として、加速度振幅が両方の軸方向において同等であると仮定されてきた。しかしながら、これに代えて、並進的な筆記パターンの場合には、筆記方向においてより強力な(より高い又はより強い)加速度が発生し、対応して、反対方向においてより低い(より弱い)加速度が発生する可能性があることも考えられる。
【0186】
筆記方向に対して法線方向又は直交方向では、駆動の加速度と抑制の加速度との両方が同等の振幅を有し得るが、その一方で、位相シフトを伴わない並進が達成されるべき場合には、筆記方向への運動のために、筆記方向に沿ってより大きい振幅が要求され、筆記方向とは反対方向への運動のために、より小さい振幅が要求される。
図4は、このことを例として示す。
【0187】
したがって、筆記方向の特定に代えて又はこれに加えて、少なくとも2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の振幅の差を使用することができる。
【0188】
特に例えば、筆記方向の特定は、加速度プロファイルの少なくとも2つの連続する相互に逆向きの加速度変化の振幅の差が極値であり、かつ、ゼロとは異なるという少なくとも1つの特性を満たしているような、1つの軸の、例えばX軸の軸方向に沿った加速度プロファイルを特定することに基づき得る。
【0189】
実際には、通常、両方の効果(筋肉運動の時間的な分布の非対称性と、振幅の非対称性と)の組み合わせに遭遇するので、位相シフトと振幅の差との両方を測定することが可能であり、筆記方向を特定するために使用することができる。
【0190】
しかしながら、振幅を正確に特定するためには、慣性位置検出センサシステムのより高品質のセンサデータが要求される場合がある。なぜなら、例えばノイズと、限定された時間分解能とが、振幅を正確に特定するための邪魔になる可能性があるからである。振幅測定の精度を改善するためには、特に、例えば、振幅測定の数を増やすことと、複数の異なる統計的評価方法を使用することとが考えられるであろう。
【0191】
例示的な筆記パターン(図示せず)に関して、時間404の関数としての、X方向における電子ペンの位置405、速度406及び加速度407の全ての例示的に図示されたプロファイルにおいて、複数の異なる振幅を認識することができる。
【0192】
加速度プロファイル407では、例えば、第1の振幅414を有する(正の軸方向の)加速度最大値の後、正の軸方向の第1の加速度変化408が発生し、この第1の加速度変化408は、第1の時間オフセットの後、第2の加速度変化410へと遷移し、この第2の加速度変化410は、第2の加速度変化振幅415を有する(負の軸方向の)第2の加速度最大値に到達する。
【0193】
この(負の軸方向の)第2の加速度最大値には、負の軸方向の他の(第3の)加速度変化が続くか、又は、ゼロに等しくない導関数を有しかつ該当区間の各点において加速度がゼロに等しくないような、加速度変化区間427が続く。そこで、加速度プロファイルは、第3の振幅416を有する(負の軸方向の)さらなる(第3の)加速度最大値に到達する。
【0194】
この(第3の)加速度最大値には、負の軸方向の他の(第4の)加速度変化411が続き、この他の(第4の)加速度変化411は、加速度の導関数と加速度(の絶対値)とがゼロである(第2の)時間オフセット412の後、正の軸方向の他の(第5の)加速度変化413へと遷移し、(正の軸方向の)さらなる(第4の)加速度最大値417に到達する。
【0195】
加速度プロファイルの振幅414,415,416,417の大きさ又はサイズがそれぞれ異なっていること及び進化していることは、振幅423,424,425,426と、力プロファイル418の駆動筋の力の変化又は筋活動電位の変化419,420,428,421とにおいても見て取れる。
【0196】
本明細書には、
図1a,1b,2a,2b,3a,3b,及び4の図面を有する4枚のシートが続く。それぞれの図面における参照符号は、以下のように割り当てられている。
【符号の説明】
【0197】
100 例示的な電子ペン
101 筆記座標系の例示的な(第1の)象限
102 筆記座標系の例示的な(第2の)象限
103 筆記座標系の例示的な(第3の)象限
104 筆記座標系の例示的な(第4の)象限
105 例示的な電子ペンの例示的な長手方向軸
106 例示的な筆記基板、例示的な筆記基板平面
107 例示的なX軸
108 例示的なY軸
109 相互に直交するX軸及びY軸からなる例示的なペア{X,Y}
110 電子ペンの長手方向軸から筆記基板上への例示的な垂線
111 筆記基板上/筆記基板平面上への電子ペンの長手方向軸の例示的な投影線
112 電子ペンの長手方向軸と、筆記基板/筆記基板平面との間の例示的な傾斜角
113 垂線の例示的な足/足点
114 例示的な先端/筆記先端/電子ペンのペン先端/例示的な筆記芯先端
115 電子ペンの先端の例示的な接触の点/接触点、例示的な筆記座標系の例示的な原点
116 例示的な筆記された筆記パターン、例示的な筆記テキスト
117 例示的な筆記方向
118 例示的な円錐又は円錐表面、所与の傾斜角又は仰角に対する電子ペンの可能な場所又は位置の集合
200 例示的かつ周期的かつ定置的なパターン/筆記パターン/例示的なY軸方向/向きの筆記パターン要素、例示的な筆記動作
201 例示的な筆記運動の例示的な開始点、定置的かつ周期的なパターンの例示的な開始/終了
202 例示的な筆記運動の例示的な終了点、例示的な終了、定置的かつ周期的なパターンの例示的な終了点
203 例示的なY軸
204 例示的な筆記動作、例示的な筆記運動、例示的な筆記プロセス、例示的な筆記運動の方向
205 例示的な縦座標、例えば、時間又は位相の関数としての電子ペンの場所/位置のY軸成分
206 例示的な縦座標、筆記動作/筆記運動の速さ又は速度
207 例示的な縦座標、筆記動作/筆記運動の加速度
208 例示的な縦座標、筆記動作/筆記運動の力/労力
209 例示的な横座標、例えば、電子ペンの筆記動作の0から2πまでの1周期にわたる時間軸又は位相角
210 例示的なY軸成分/例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な場所信号又は位置信号のY軸成分、例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な位置信号プロファイル
211 例示的なY軸成分/例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な速度信号のY軸成分、例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な速度プロファイル
212 例示的なY軸成分/例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な加速度信号のY軸成分、例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な加速度プロファイル
213 例示的な力プロファイル又は労力プロファイル、電子ペンを用いて例示的な筆記動作を実施する際のユーザの手又は指又は腕の筋肉の例示的な筋活動電位
214 例示的な加速度変化、正の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
215 連続する相互に逆向きの加速度変化の(第1の)ペアの間の例示的な(第1の)時間オフセット/例示的な時間スパン
216 例示的な加速度変化、負の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
217 例示的な加速度変化、負の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
218 連続する相互に逆向きの加速度変化の(第2の)ペアの間の例示的な(第2の)時間オフセット/例示的な時間スパン
219 例示的な加速度変化、正の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
220 (正の軸方向の)例示的な(第1の)加速度最大値、又は、(正の軸方向の)例示的な(第1の)加速度最大値プラトー
221 (負の軸方向の)例示的な(第2の)加速度最大値、又は、(負の軸方向の)例示的な(第2の)加速度最大値プラトー
222 (正の軸方向の)例示的な(第3の)加速度最大値、又は、(正の軸方向の)例示的な(第3の)加速度最大値プラトー
223 例示的な(第1の)力の変化又は労力の変化、駆動筋(主動筋)の筋活動電位の変化
224 例示的な(第2の)力の変化又は労力の変化、抑制筋(拮抗筋)の筋活動電位の変化
225 例示的な(第3の)力の変化又は労力の変化、駆動筋(主動筋)の筋活動電位の変化
226 例示的な(第4の)力の変化又は労力の変化、抑制筋(拮抗筋)の筋活動電位の変化
300 例示的なX軸方向における例示的かつ周期的かつ並進的なパターン/筆記パターン/筆記パターン要素、例示的な筆記動作
301 例示的な筆記運動の例示的な開始点、並進的かつ周期的なパターンの例示的な始まり/開始
302 例示的な筆記動作の例示的な終了点、例示的な終了、並進的かつ周期的なパターンの例示的な終了点
303 例示的なX軸
304 例示的な筆記動作/筆記プロセス、例示的な筆記運動、筆記運動/筆記方向の例示的な方向
305 例示的な縦座標、時間又は位相の関数としての電子ペンの場所/位置の例示的なX軸成分
306 例示的な縦座標、筆記動作の速度
307 例示的な縦座標、筆記動作の加速度
308 例示的な縦座標、筆記動作の力又は労力
309 例示的な横座標、例えば、電子ペンの筆記動作の0から2πまでの1周期にわたる時間軸又は位相角
310 例示的なX軸成分/例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な場所信号又は位置信号のX軸成分、例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な位置信号プロファイル
311 例示的なX軸成分/例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な速度信号のX軸成分、例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な速度プロファイル
312 例示的なX軸成分/例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な加速度信号のX軸成分、例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な加速度プロファイル
313 例示的な力プロファイル又は労力プロファイル、電子ペンを用いて例示的な筆記動作を実施する際のユーザの手又は指又は腕の筋肉の例示的な筋活動電位
314 例示的な加速度変化、正の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
315 連続する相互に逆向きの加速度変化の(第1の)ペアの間の例示的な(第1の)時間オフセット/例示的な時間スパン
316 例示的な加速度変化、負の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
317 例示的な加速度変化、負の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
318 連続する相互に逆向きの加速度変化の(第2の)ペアの間の例示的な(第2の)時間オフセット/例示的な時間スパン
319 例示的な加速度変化、正の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
320 (正の軸方向の)例示的な(第1の)加速度最大値、又は、(正の軸方向の)例示的な(第1の)加速度最大値プラトー
321 (負の軸方向の)例示的な(第2の)加速度最大値、又は、(負の軸方向の)例示的な(第2の)加速度最大値プラトー
322 (正の軸方向の)例示的な(第3の)加速度最大値、又は、(正の軸方向の)例示的な(第3の)加速度最大値プラトー
323 例示的な(第1の)力の変化又は労力の変化、駆動筋(主動筋)の筋活動電位の変化
324 例示的な(第2の)力の変化又は労力の変化、抑制筋(拮抗筋)の筋活動電位の変化
325 例示的な(第3の)力の変化又は労力の変化、駆動筋(主動筋)の筋活動電位の変化
326 例示的な(第4の)力の変化又は労力の変化、抑制筋(拮抗筋)の筋活動電位の変化
400 例示的な縦座標、時間又は位相の関数としての電子ペンの場所/位置の例示的なX軸成分
401 例示的な縦座標、筆記動作の速度
402 例示的な縦座標、筆記動作の加速度
403 例示的な縦座標、筆記動作の力又は労力
404 例示的な横座標、例えば、電子ペンの筆記動作の0から2πまでの1周期にわたる時間軸又は位相角
405 例示的なX軸成分/例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な場所信号又は位置信号のX軸成分、例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な位置信号プロファイル
406 例示的なX軸成分/例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な速度信号のX軸成分、例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な速度プロファイル
407 例示的なX軸成分/例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な加速度信号のX軸成分、例示的な電子ペンの筆記動作の例示的な加速度プロファイル
408 例示的な加速度変化、正の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
409 連続する相互に逆向きの加速度変化の(第1の)ペアの間の例示的な(第1の)時間オフセット/例示的な時間スパン
410 例示的な加速度変化、負の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
411 例示的な加速度変化、負の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
412 連続する相互に逆向きの加速度変化の(第2の)ペアの間の例示的な(第2の)時間オフセット/例示的な時間スパン
413 例示的な加速度変化、正の軸方向の例示的な加速度降下/加速度増加
414 第1の振幅を有する、(正の軸方向の)例示的な(第1の)加速度最大値、又は、(正の軸方向の)例示的な(第1の)加速度最大値プラトー
415 第2の振幅を有する、(負の軸方向の)例示的な(第2の)加速度最大値、又は、(負の軸方向の)例示的な(第2の)加速度最大値プラトー
416 第3の振幅を有する、(負の軸方向の)例示的な(第3の)加速度最大値、又は、(負の軸方向の)例示的な(第3の)加速度最大値プラトー
417 第4の振幅を有する、(正の軸方向の)例示的な(第4の)加速度最大値、又は、(正の軸方向の)例示的な(第4の)加速度最大値プラトー
418 例示的な力プロファイル又は労力プロファイル、電子ペンを用いて例示的な筆記動作を実施する際のユーザの手又は指又は腕の筋肉の例示的な筋活動電位
419 例示的な(第1の)力の変化又は労力の変化、駆動筋(主動筋)の筋活動電位の変化
420 例示的な(第2の)力の変化又は労力の変化、抑制筋(拮抗筋)の筋活動電位の変化
421 例示的な(第3の)力の変化又は労力の変化、駆動筋(主動筋)の筋活動電位の変化
422 例示的な(第4の)力の変化又は労力の変化、抑制筋(拮抗筋)の筋活動電位の変化
423 例示的な(第1の)振幅
424 例示的な(第2の)振幅
425 例示的な(第3の)振幅
426 例示的な(第4の)振幅
427 導関数が非ゼロであって、かつ、該当区間の各点において加速度がゼロに等しくないような、例示的な加速度プロファイルの例示的な区間、例示的な加速度変化
428 導関数がゼロに等しくなくて、かつ、該当区間の各点において力がゼロに等しくないような、例示的な力プロファイル/労力プロファイルの例示的な区間