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特許7053811医療用超音波対象物を追跡するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】医療用超音波対象物を追跡するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220405BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20220405BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20220405BHJP
【FI】
A61B17/22 510
A61B8/14
A61B34/20
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2020518001
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2017054251
(87)【国際公開番号】W WO2019066888
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,プオン
【審査官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-227239(JP,A)
【文献】米国特許第05728062(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
A61B 8/14
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管閉塞治療システムであって、
超音波撮像プローブおよび表示画面の各々に通信可能に結合された撮像制御回路を有する超音波撮像システムであって、超音波撮像空間から収集された超音波撮像データから、前記表示画面に表示するための超音波画像を生成するように構成された、超音波撮像システムと、
超音波カテーテルに動作可能に結合された超音波発生器を有する超音波振動システムであって、前記超音波カテーテルは、遠位先端を備えたコアワイヤを有し、前記超音波発生器は、超音波動作周波数と追跡周波数とを交互に切り替えるように構成された発生器制御回路を有し、前記発生器制御回路は、前記撮像制御回路に通信可能に結合された、超音波振動システムとを備え、
前記発生器制御回路は、前記発生器制御回路が、前記超音波動作周波数から前記追跡周波数に切り替わったときに、前記撮像制御回路に通知を送信するプログラム命令を実行するように構成され、
前記撮像制御回路は、
前記超音波撮像空間における探索を開始して、前記追跡周波数において振動している前記超音波カテーテルの前記コアワイヤの前記遠位先端を特定し、
前記表示画面に表示された前記超音波画像における前記遠位先端の位置を示すプログラム命令を実行することにより、前記通知に応答するように構成された、血管閉塞治療システム。
【請求項2】
前記超音波撮像空間は、3D撮像データによって表現され、前記超音波画像は、2D超音波画像または3D超音波画像である、請求項1に記載の血管閉塞治療システム。
【請求項3】
前記追跡周波数に対する前記超音波動作周波数の時間比は、80:20~95:5の範囲内である、請求項1または2に記載の血管閉塞治療システム。
【請求項4】
前記追跡周波数の所定の持続時間後、前記発生器制御回路が、前記超音波動作周波数へ再び切り替えるプログラム命令を実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の血管閉塞治療システム。
【請求項5】
前記発生器制御回路が、約1Hz~約1000Hzの切替周波数で、前記超音波動作周波数と前記追跡周波数とを切り替えるプログラム命令を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の血管閉塞治療システム。
【請求項6】
前記発生器制御回路が、約1Hz~約1000Hzの反復周波数で、前記追跡周波数へ切り替え、前記通知を送信し、前記超音波動作周波数へ再び切り替える行為を繰り返すプログラム命令を実行する、請求項1から5のいずれか一項に記載の血管閉塞治療システム。
【請求項7】
前記追跡周波数が、毎秒約1センチメートル~毎秒約500センチメートルの範囲で、前記超音波カテーテルの前記遠位先端の振動速度をもたらす、請求項1から6のいずれか一項に記載の血管閉塞治療システム。
【請求項8】
前記追跡周波数が、前記超音波動作周波数よりも高い、請求項1から6のいずれか一項に記載の血管閉塞治療システム。
【請求項9】
前記追跡周波数が、前記超音波動作周波数よりも低い、請求項1から6のいずれか一項に記載の血管閉塞治療システム。
【請求項10】
前記表示画面に表示された前記超音波画像における前記遠位先端の前記位置を示す行為は、前記撮像制御回路が、前記超音波カテーテルの前記コアワイヤの前記遠位先端に対応する前記表示画面に表示される前記超音波画像の一部を強調するプログラム命令を実行することを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の血管閉塞治療システム。
【請求項11】
超音波撮像プローブおよび表示画面を有する超音波撮像システムを使用して医療用超音波対象物を追跡する方法であって、前記超音波撮像プローブは、前記表示画面に表示するための超音波画像の生成のための超音波撮像データを、超音波撮像空間において生成し、前記方法は、
超音波発生器が、前記医療用超音波対象物を超音波動作周波数と追跡周波数とで交互に振動させるように、前記超音波動作周波数と前記追跡周波数とを交互に切替えるステップであって、前記超音波動作周波数と前記追跡周波数とは異なる周波数である、切り替えるステップと、
前記超音波発生器が、前記超音波動作周波数から前記追跡周波数への変化を、前記超音波撮像システムに通知するステップと、
前記超音波撮像システム探索を開始して、前記超音波撮像空間を探索し、前記追跡周波数において振動している前記医療用超音波対象物を特定するステップと、
前記超音波撮像システムが、前記表示画面に表示された前記超音波画像における前記医療用超音波対象物の位置を示すステップと
を備える、方法。
【請求項12】
前記医療用超音波対象物は、超音波カテーテルによって送られるコアワイヤの遠位先端である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記超音波撮像空間が、3D撮像データによって表現され、前記超音波画像が、2D超音波画像または3D超音波画像である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記追跡周波数に対する前記超音波動作周波数の時間比は、80:20~95:5の範囲である、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記追跡周波数の所定の持続時間後、前記超音波動作周波数へ再び切り替えるステップを備える、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記切り替えるステップは、約1Hz~約1000Hzの切替周波数で、前記超音波動作周波数と前記追跡周波数とを切り替えるステップを備える、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記切り替えるステップは、約1Hz~約1000Hzの反復周波数で、前記追跡周波数へ切り替え、通知し、前記超音波動作周波数へ再び切り替える行為を繰り返すステップを備える、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記追跡周波数が、毎秒約1センチメートル~毎秒約500センチメートルの範囲で、前記医療用超音波対象物の振動速度をもたらす、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記追跡周波数が、前記超音波動作周波数よりも高い、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記追跡周波数が、前記超音波動作周波数よりも低い、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記示すステップは、前記医療用超音波対象物に対応する前記表示画面に表示される前記超音波画像の一部を強調するステップを備える、請求項11から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
超音波撮像プローブおよび表示画面を有する超音波撮像システムと共に使用される超音波カテーテルの遠位先端を特定する方法であって、前記超音波撮像プローブは、前記表示画面に表示するための超音波画像の生成のための超音波撮像データを、超音波撮像空間において生成し、前記方法は、
前記超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端を、予め確立された超音波動作周波数と、前記超音波動作周波数とは異なる追跡周波数とで交互に振動させるように、超音波発生器が、前記超音波動作周波数と前記追跡周波数とを交互に切り替えるステップと、
前記超音波発生器が、前記超音波動作周波数から前記追跡周波数への前記超音波カテーテルの動作の変化を前記超音波撮像システムに通知するステップと、
前記通知に応答して、前記超音波撮像システム探索を開始し、前記追跡周波数において振動している前記超音波カテーテルの前記コアワイヤの前記遠位先端を、前記超音波撮像空間において特定するステップと、
前記超音波撮像システムが、前記表示画面に表示された前記超音波画像における前記超音波カテーテルの前記コアワイヤの前記遠位先端の位置を示すステップと
を備える、方法。
【請求項23】
前記超音波撮像空間が、3D撮像データによって表現され、前記超音波画像が、2D超音波画像または3D超音波画像である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記追跡周波数に対する前記超音波動作周波数の時間比は、80:20~95:5の範囲である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記追跡周波数の所定の持続時間後、前記超音波動作周波数へ再び切り替えるステップを備える、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記交互に切り替えるステップは、約1Hz~約1000Hzの切替周波数で、前記超音波動作周波数から前記追跡周波数に切り替えるステップを備える、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記交互に切り替えるステップは、約1Hz~約1000Hzの反復周波数で、前記追跡周波数へ切り替え、通知し、前記超音波動作周波数へ再び切り替える行為を繰り返すステップを備える、請求項22から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記追跡周波数が、毎秒約1センチメートル~毎秒約500センチメートルの範囲で、前記超音波カテーテルの前記遠位先端の振動速度をもたらす、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記追跡周波数が、前記超音波動作周波数よりも高い、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記追跡周波数が、前記超音波動作周波数よりも低い、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記示すステップが、前記超音波カテーテルの前記コアワイヤの前記遠位先端に対応する前記表示画面に表示される前記超音波画像の一部を強調するステップを備える、請求項22から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
血管閉塞治療システムであって、
超音波撮像プローブおよび表示画面の各々に通信可能に結合された撮像制御回路を有する超音波撮像システムであって、超音波撮像空間から収集された超音波撮像データから、前記表示画面に表示するための超音波画像を生成するように構成された、超音波撮像システムと、
超音波カテーテルに動作可能に結合された超音波発生器を有する超音波振動システムであって、前記超音波カテーテルは、遠位先端を有する遠位部分を備えたコアワイヤを有し、前記超音波発生器は、同じ超音波周波数を維持しながら、治療のための出力電力レベルと画像追跡のための出力電力レベルとを交互に切り替えるように構成された発生器制御回路を有し、前記発生器制御回路は、前記撮像制御回路に通信可能に結合される、超音波振動システムと
を備え、
前記発生器制御回路は、前記発生器制御回路が、前記治療のための出力電力レベルから前記画像追跡のための出力電力レベルに切り替わったときに前記撮像制御回路に通知を送信するプログラム命令を実行するように構成され、
前記撮像制御回路は、
ドップラ機能を利用して、前記超音波撮像空間における探索を開始して、前記超音波撮像空間において動くあらゆる成分を検出し、
前記表示画面に表示された前記超音波画像における前記遠位先端の位置を示すプログラム命令を実行することによって、前記通知に応答するように構成された、血管閉塞治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]なし。
[0002]本発明は、患者の医療用対象物を追跡することに関し、より詳細には、血管閉塞治療システムなどにおける患者の医療用超音波対象物を追跡するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]超音波カテーテルシステムは、米国特許第8,690,819号に開示されており、ここでは、血管系の血管内の石灰化プラークを切除することにより、アテローム切除や血管閉塞などの血管閉塞物の破壊を行うために、超音波活性化カテーテル(以下、超音波カテーテル)が使用される。超音波カテーテルシステムは、超音波カテーテルの一部に結合された振動運動を生成するように構成された超音波振動源を含む。
【0003】
[0004]特に、超音波カテーテルは、管腔を有するカテーテルシースを有し、カテーテルシースの管腔内に移動可能に配置される超音波伝送部材を有する。超音波伝送部材は、振動運動を超音波伝送部材に伝達する超音波トランスデューサを介して超音波振動源に結合される近位部分を有する。超音波伝送部材の遠位部分は、カテーテルシースから露出され得る。動作中、超音波トランスデューサによって生成された超音波によって遠位部分が励起され、超音波カテーテルの超音波伝送部材の遠位部分で長手方向および横断方向の機械的振動が発生し、血管系の血管内の石灰化した病変を除去する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0005]当該技術分野で必要とされているものは、超音波撮像システムを利用して、医療処置中に超音波カテーテルなどの医療用超音波対象物の位置を特定、追跡、および表示する装置および方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0006]本発明は、超音波撮像を利用して、医療処置中に患者の医療用超音波対象物を特定および追跡し、超音波撮像システムの表示画面に医療用超音波対象物の位置を表示する装置および方法を提供する。
【0006】
[0007]本発明は、一形態では、超音波撮像システムおよび超音波振動システムを含む血管閉塞治療システムを対象とする。超音波撮像システムは、超音波撮像プローブおよび表示画面の各々に通信可能に結合された撮像制御回路を有する。超音波撮像システムは、超音波撮像空間から収集された超音波撮像データから、表示画面に表示するための超音波画像を生成するように構成される。超音波振動システムは、超音波カテーテルに動作可能に結合された超音波発生器を有する。超音波カテーテルは、遠位先端を備えたコアワイヤを有する。超音波発生器は、超音波動作周波数と追跡周波数とを交互に切り替えるように構成された発生器制御回路を有する。発生器制御回路は、撮像制御回路に通信可能に結合される。発生器制御回路は、発生器制御回路が超音波動作周波数から追跡周波数に切り替わったときに撮像制御回路に通知を送信するプログラム命令を実行するように構成される。撮像制御回路は、超音波撮像空間における探索を開始して、追跡周波数において振動している超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端を特定し、表示画面に表示された超音波画像で遠位先端の位置を示すプログラム命令を実行することによって通知に応答するように構成される。
【0007】
[0008]本発明は、別の形態では、超音波撮像プローブおよび表示画面を有する超音波撮像システムを使用して医療用超音波対象物を追跡する方法を対象とし、超音波撮像プローブは、表示画面に表示するための超音波画像の生成ための超音波撮像データを、超音波撮像空間において生成する。この方法は、超音波動作周波数および追跡周波数において医療用超音波対象物を交互に振動させることであって、超音波動作周波数と追跡周波数とは異なる周波数である、振動させることと、超音波動作周波数から追跡周波数への変化を超音波撮像システムに通知することと、超音波撮像システムによる探索を開始して、超音波撮像空間を探索し、追跡周波数において振動している医療用超音波対象物を特定することと、表示画面に表示された超音波画像において医療用超音波対象物の位置を示すこととを含む。
【0008】
[0009]本発明は、別の形態では、超音波撮像プローブおよび表示画面を有する超音波撮像システムと連携して使用される超音波カテーテルの遠位先端を特定する方法を対象とし、超音波撮像プローブは、表示画面に表示するための超音波画像の生成のための超音波撮像データを、超音波撮像空間において生成する。この方法は、超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端の超音波動作周波数を確立すること、超音波動作周波数とは異なる超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端の追跡周波数を確立すること、超音波動作周波数において遠位先端を振動させることと追跡周波数において遠位先端を振動させることとを交互に行うように、超音波カテーテルを動作させること、超音波動作周波数から追跡周波数への超音波カテーテルの動作の変化を超音波撮像システムに通知すること、通知に応答して、超音波撮像システムによる探索を開始して、超音波撮像空間において、追跡周波数において振動している超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端を特定すること、及び、表示画面に表示された超音波画像における超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端の位置を示すことを含む。
【0009】
[0010]本発明は、別の形態では、代替の血管閉塞治療システムを対象とし、ここでは、超音波発生器は、同じ超音波周波数を維持しながら、治療のための出力電力レベルと、画像追跡のための出力電力レベルとを交互に切り替えるように構成された発生器制御回路を有し得る。治療のための発生器出力電力レベルは、強力な振動エネルギーをカテーテルに伝送し、コアワイヤのカテーテル遠位部分、すなわち、活性区間を、超音波周波数で強く振動させることができる。画像追跡のための発生器出力電力レベルは、比較的低いエネルギーを超音波カテーテルに伝送し、コアワイヤの遠位部分、すなわち活性区間を振動させることができるが、治療効果はない。発生器制御回路は、撮像制御回路に通信可能に結合される。発生器制御回路は、発生器制御回路が、治療のための出力電力レベルから画像追跡のための出力電力レベルに切り替わったときに、撮像制御回路に通知を送信するプログラム命令を実行するように構成される。撮像制御回路は、ドップラ機能を利用して超音波撮像空間における探索を開始するプログラム命令を実行することにより、通知に応答するように構成される。ドップラ機能は、超音波撮像空間において動くあらゆる成分のみを検出する。したがって、超音波カテーテルのコアワイヤの遠位部分、すなわち活性区間の振動は、超音波撮像システムによって検出することができる。アクティブな平均化とフィルタリングの後、コアワイヤの遠位先端の位置が、超音波撮像システムの表示画面に表示される超音波画像に表示される。
【0010】
[0011]本発明の利点は、本発明の装置および方法が、患者における医療用対象物を特定する際に使用される別個の追跡視野を生成するための別個の追跡視野生成システムを必要としないことである。
【0011】
[0012]本発明の上述したおよび他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する手法が、より明らかになり、本発明は、添付図面と連携された本発明の実施形態の以下の説明を参照することによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0013]超音波撮像システムと、医療用超音波対象物を特定し追跡するように構成された超音波振動システムとを含む血管閉塞治療システムの回路ブロック図である。
図2】[0014]医療用超音波対象物を特定および追跡している血管閉塞治療処置中の図1の血管閉塞治療システムの使用のグラフィック図である。
図3】[0015]図1の血管閉塞治療システムを使用して医療用超音波対象物を特定および/または追跡する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0016]対応する参照文字は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。本明細書に記載されている例示は、本発明の実施形態を示しており、そのような例示は、いかなる手法でも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0014】
[0017]ここで図面、特に図1を参照すると、本発明の実施形態による血管閉塞治療システム10が示されている。血管閉塞治療システム10は、超音波撮像システム12および超音波振動システム14を含む。
【0015】
[0018]超音波撮像システム12は、たとえば電気(マルチワイヤ)ケーブルなどの可撓性通信ケーブル20などによって超音波撮像プローブ18に通信可能に結合された超音波コンソール16を含む。超音波コンソール16は、撮像制御回路22および表示画面24を含む。撮像制御回路22は、たとえば、それぞれの有線接続26、28によって、超音波撮像プローブ18および表示画面24の各々に通信可能に結合される。図2も参照すると、超音波撮像システム12は、超音波撮像プローブ18によって画定された超音波撮像空間30から収集された超音波撮像データから、表示画面24に表示するための超音波画像60を生成するように構成される。一実施形態では、たとえば、超音波撮像空間30は、3次元(3D)撮像データによって表現され得、超音波画像は、2次元(2D)超音波画像または3D超音波画像であり得る。
【0016】
[0019]超音波撮像プローブ18は、プローブハウジング18-1および超音波トランスデューサアレイ18-2を含む。超音波トランスデューサアレイ18-2は、たとえば、有線接続を介して、撮像制御回路22に通信可能に結合されるトランシーバとして構成され得る。超音波トランスデューサアレイ18-2は、プローブハウジング18-1に取り付けられ、たとえば、その中に含まれ、超音波撮像空間30を、プローブハウジング18-1からZ軸18-3に沿って延びる超音波体積として画定する。超音波トランスデューサアレイ18-2は、超音波撮像空間30の超音波視野体積内に2次元(2D)超音波スライスデータを生成し、多数の連続する2D超音波データスライスは、たとえば、互いにつなぎ合わされてマージされ(merged)、3D撮像データを有する3Dデータセットを形成する。本実施形態では、3Dデータセットを生成するために、超音波撮像プローブ18の超音波トランスデューサアレイ18-2は、掃引動作で電子的に走査される圧電素子の2次元(2D)マトリクスであり得る。このように、超音波撮像空間30は、複数の連続的に生成された2D超音波画像スライスから構成される。あるいは、超音波撮像プローブ18の超音波トランスデューサアレイ18-2は、機械的に走査されて、連続的に生成される複数の超音波画像スライスを生成する、圧電素子の機械的に移動可能な1次元(1D)線形アレイであり得る。さらなる代替として、必要に応じて、超音波トランスデューサアレイ18-2は、単一の超音波画像スライス(定期的に更新される)を生成する固定位置線形アレイ(すなわち、プローブハウジング18-1に対して固定された)であり得、この場合、超音波撮像空間30は、単一の超音波画像スライスの厚さまで狭められる。
【0017】
[0020]本実施形態では、撮像制御回路22は、超音波撮像プローブ18によって生成された撮像データを処理し、表示画面24に表示するための超音波画像の生成のためのデータ処理能力およびコマンド生成能力を有する電気回路である。本実施形態では、撮像制御回路22は、マイクロプロセッサ22-1および関連する非一時的な電子メモリ22-2、ならびに入力/出力(I/O)回路構成を有する。当業者に認識されるように、マイクロプロセッサ22-1および関連する非一時的な電子メモリ22-2は、市販の構成部品である。マイクロプロセッサ22-1は、当該技術分野で知られているように、単一のマイクロプロセッサ、または2つ以上の並列マイクロプロセッサの形態であり得る。非一時的な電子メモリ22-2は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性RAM(NVRAM)、読取専用メモリ(ROM)、および/または電気的に消去可能なプログラム可能な読取専用メモリ(EEPROM)など、多数のタイプのデジタルデータメモリを含み得る。非一時的な電子メモリ22-2はさらに、上述した電子メモリ形態のうちの1つまたは複数、またはコンピュータハードドライブもしくは光ディスク上の大容量データ記憶装置を含み得る。あるいは、撮像制御回路22は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)として組み立てられ得る。
【0018】
[0021]図1および図2を参照すると、超音波撮像空間30は、生成され、撮像制御回路22の非一時的な電子メモリ22-2に記憶される3次元(3D)撮像データによって表現され得る。撮像制御回路22は、表示画面24に表示するための超音波画像60(図2参照)を生成するために、ソフトウェアまたはファームウェアなどのプログラムソースから受信したプログラム命令、および超音波撮像プローブ18から受信した、および/または、撮像制御回路22が電子的なアクセスを有する非一時的な電子メモリ22-2に以前に格納された超音波撮像データを処理する。換言すると、撮像制御回路22は、超音波撮像空間30から収集された超音波撮像データから表示画面24に表示するための超音波画像60を生成し、超音波撮像データは、超音波撮像プローブ18の超音波トランスデューサアレイ18-2によって生成され、非一時的な電子メモリ22-2に記憶される。
【0019】
[0022]表示画面24は、グラフィックユーザインターフェースであるか、またはその一部を形成してもよく、表示画面24は、ユーザ入力に適合するタッチスクリーンであり、超音波撮像空間30の3D撮像体積内の超音波撮像プローブ18によって提供される2D超音波スライスデータから形成される超音波画像を表示する。表示画面24は、標準的な2Dディスプレイとして構成されてもよく、または任意選択として、3Dディスプレイとして構成されてもよい。たとえば、超音波撮像システム12によってキャプチャされた3Dデータセットは、自動立体視、または、3D画像をユーザに提示する他の表示方法を介してユーザに提示され得る。したがって、表示画面24は、超音波画像60を2Dまたは3D超音波画像として表示し得る。
【0020】
[0023]超音波振動システム14は、超音波発生器32、超音波トランスデューサ34、および医療用超音波対象物36を含む。この例では、医療用超音波対象物36は、超音波カテーテルの一部などの振動デバイスである。
【0021】
[0024]超音波発生器32は、超音波トランスデューサ34を介して医療用超音波対象物36に動作可能に結合される。より具体的には、超音波発生器32は、マルチワイヤケーブルなどの通信ケーブル38を介して超音波トランスデューサ34に通信可能に結合される。超音波発生器32は、超音波周波数で電気信号を発生するように構成され、超音波周波数は、通信ケーブル38を介して超音波トランスデューサ34に供給される。音響ホーンなどの超音波トランスデューサ34は、超音波発生器32から受信した超音波電気信号を、機械的振動波に変換する。超音波トランスデューサ34は、超音波振動波を医療用超音波対象物36に伝送するように、医療用超音波対象物36に機械的および/または音響的に結合される。
【0022】
[0025]超音波発生器32は、発生器制御回路40を含む。発生器制御回路40は、データ処理能力およびコマンド生成能力を有する電気回路である。本実施形態では、発生器制御回路40は、マイクロプロセッサ40-1および関連する非一時的な電子メモリ40-2、ならびに入力/出力(I/O)回路構成を有する。当業者に理解されるように、マイクロプロセッサ40-1および関連する非一時的な電子メモリ40-2は、市販の構成部品である。マイクロプロセッサ40-1は、当該技術分野で知られているように、単一のマイクロプロセッサ、または2つ以上の並列マイクロプロセッサの形態であり得る。非一時的な電子メモリ40-2は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性RAM(NVRAM)、読取専用メモリ(ROM)、および/または電気的に消去可能なプログラム可能な読取専用メモリ(EEPROM)など、多数のタイプのデジタルデータメモリを含み得る。非一時的な電子メモリ40-2はさらに、上述した電子メモリ形態のうちの1つまたは複数、またはコンピュータハードドライブまたは光ディスク上の大容量データ記憶装置を含み得る。あるいは、発生器制御回路40は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)として組み立てられ得る。
【0023】
[0026]発生器制御回路40は、有線ケーブルなどの通信リンク42を介して、またはBluetooth(登録商標)などの短距離ワイヤレスプロトコルで動作するワイヤレスインターフェースによって、撮像制御回路22に通信可能に結合される。
【0024】
[0027]発生器制御回路40は、可変超音波電気信号を生成するように超音波発生器32を動作させるように構成され、超音波信号の動作周波数は、超音波動作周波数と、超音波動作周波数と異なる追跡周波数との間で交互に切り替わる。より具体的には、発生器制御回路40は、多数の超音波動作周波数、すなわち、少なくとも1つの超音波動作周波数と、超音波動作周波数と異なる追跡周波数とにおいて、可変超音波電気信号を生成するように超音波発生器32を動作させるように、発生器制御回路40が電子的なアクセスを有するソフトウェアまたはファームウェアなどのプログラムソースから受信したプログラム命令を処理する。発生器制御回路40はまた、発生器制御回路40が、超音波発生器32によって生成された超音波電気信号の動作周波数を、超音波動作周波数から追跡周波数に切り替えたとき、たとえばトグルビットまたはメッセージパケットのような通知を、通信リンク42を介して、撮像制御回路22に送信するプログラム命令を実行する。
【0025】
[0028]本例示的な実施形態では、超音波動作周波数は、たとえば、約20キロヘルツ(kHz)~約40kHzの周波数範囲の動作周波数であり得、追跡周波数は、毎秒約1センチメートル~毎秒約500センチメートルの範囲の、たとえば細長い超音波コアワイヤの遠位先端のような医療用超音波対象物36の振動速度をもたらす異なる動作周波数である。いくつかの実装形態では、追跡周波数が超音波動作周波数よりも低いことが望ましい場合があり、他の実装形態では、追跡周波数が超音波動作周波数よりも高いことが望ましい場合がある。
【0026】
[0029]本明細書で使用される場合、「約」という用語は、示された単位で示された量のプラスまたはマイナス10パーセントを指す。
[0030]動作周波数の各々、すなわち、超音波動作周波数および追跡周波数は、超音波発生器32によって交互に生成され、次いで、超音波トランスデューサ34を介して医療用超音波対象物36に結合される。本実施形態では、医療用超音波対象物36は、超音波カテーテル44の振動部分であり得る。
【0027】
[0031]たとえば、図1および図2を参照して示すように、超音波カテーテル44は、カテーテルシース46およびコアワイヤ48を有する。カテーテルシース46は、近位端46-1、遠位端46-2、および近位端46-1と遠位端46-2との間に長手方向に延びる管腔46-3を有する。コアワイヤ48は、カテーテルシース46の内腔46-3内に移動可能に配置される。コアワイヤ48は、超音波伝送部材として機能するように、ニチノールなどの可撓性金属で作られた単一の細長い部材として形成され得る。
【0028】
[0032]コアワイヤ48は、近位部分48-1、遠位部分48-2、および遠位先端48-3を有する。コアワイヤ48の近位部分48-1は、超音波トランスデューサ34を介して超音波発生器32に機械的および/または音響的に結合され、その結果、超音波トランスデューサ34は、コアワイヤ48、より詳細には、コアワイヤ48の遠位部分48-2に振動運動を伝送する。コアワイヤ48の遠位部分48-2は、たとえば5ミリメートル(mm)~200mmの範囲など、カテーテルシース46の遠位端46-2から露出される場合があり、コアワイヤ48の露出した遠位部分48-2は、本明細書では、遠位先端48-3を有する活性区間と呼ばれる。
【0029】
[0033]図2を参照して示すように、血管54が延びている組織52を有する患者50の一部、たとえば、脚の一部のグラフィック表示が示されている。血管54内には、石灰化した閉塞56がある。超音波カテーテル44は、導入カニューレ58を介して血管54に挿入される。閉塞除去処置の間、コアワイヤ48の遠位部分48-2は、石灰化した閉塞56と係合するようになる。コアワイヤ48の遠位部分48-2は、超音波トランスデューサ34によって生成される超音波によって超音波動作周波数で励起される。超音波トランスデューサ34は次に、コアワイヤ48の遠位部分48-2において長手方向および横断方向の機械的振動を生成する。コアワイヤ48の遠位先端48-3を含む遠位部分48-2におけるこの長手方向および横断方向の機械的振動は、患者50の血管54内の石灰化した閉塞56を切除する。
【0030】
[0034]コアワイヤ48の医療用超音波対象物36、たとえば、遠位先端48-3の位置を特定し追跡するために、発生器制御回路40は、超音波動作周波数と追跡周波数とを交互に切り替え、追跡周波数は、超音波動作周波数とは異なる。発生器制御回路40が、超音波発生器32によって生成された超音波電気信号の動作周波数を、超音波動作周波数から追跡周波数へ切り替えるときに、発生器制御回路40は、超音波撮像システム12の撮像制御回路22に、たとえばトグルビット、またはメッセージパケットのような通知を送信するプログラム命令を実行する。超音波撮像システム12の撮像制御回路22は、超音波撮像空間30、すなわち関連する3D撮像データにおける探索を開始し、追跡周波数において振動している超音波カテーテル44のコアワイヤ48の遠位先端48-3を特定し、特定されると、表示画面24に表示された超音波画像60における遠位先端48-3の位置を示すプログラム命令を実行することにより、通知に応答するように構成される。表示画面24に表示された超音波画像60における遠位先端48-3の位置を示す行為は、超音波カテーテル44のコアワイヤ48の遠位先端48-3に対応する、表示画面24に表示された超音波画像60の、ひし形62によって表現される部分を強調するプログラム命令を実行する撮像制御回路22によって達成され得る。本明細書で使用される場合、「強調する」とは、超音波画像60の明るさおよび/または色に対して対照的な色または明るさを提供することを意味する。
【0031】
[0035]発生器制御回路40は、たとえば、連続ループにおけるように、超音波動作周波数と追跡周波数とを周期的に交互に切り替えることができ、ここで、追跡周波数に対する超音波動作周波数の時間比は、80:20~95:5の範囲内であり得る。たとえば、超音波動作周波数の持続時間は、追跡周波数の持続時間よりも少なくとも4倍長くなり得、その結果、追跡周波数の持続時間は、コアワイヤ48の遠位先端48-3の閉塞除去性能に悪影響を与えない。また、超音波動作周波数と追跡周波数との切り替えは、約1Hz~約1000Hzの切替周波数で起こり得る。追跡周波数の持続時間の終わりに、発生器制御回路40は、プログラム命令を実行して、超音波動作周波数へ再び切り替える。さらに、発生器制御回路40は、プログラム命令を連続ループとして実行して、追跡周波数へ切り替え、通知を送信し、設定されたまたは可変の反復周波数で、超音波動作周波数へ再び切り替える行為の各々を繰り返すプログラム命令を連続ループとして実行し得、ここで、反復周波数は、約1Hz~約1000Hzの範囲であり得る。
【0032】
[0036]図3を参照すると、超音波撮像プローブ18および表示画面24を有する超音波撮像システム12を使用して医療用超音波対象物36を特定および/または追跡する方法のフローチャートが示されている。より十分に説明したように、超音波撮像プローブ18は、表示画面24に表示するための超音波画像60の生成のために、超音波撮像空間30において超音波撮像データを生成する。
【0033】
[0037]ステップS100において、医療用超音波対象物36は、超音波動作周波数と追跡周波数とにおいて交互に振動され、超音波動作周波数と追跡周波数とは異なる周波数である。超音波動作周波数および追跡周波数の各々は予め定められており、発生器制御回路40の非一時的な電子メモリ40-2内で参照するために確立され得る。医療用超音波対象物36は、たとえば、超音波カテーテル44によって送られるコアワイヤ48の遠位先端48-3、またはコアワイヤ48の遠位先端48-3を含む遠位部分48-2であり得る。たとえば、ステップS100において、超音波カテーテル44の動作は、超音波動作周波数において遠位先端48-3を振動させることと、追跡周波数において遠位先端48-3を振動させることとを交互される。
【0034】
[0038]超音波動作周波数は、約20kHz~約40kHzの範囲で超音波発生器32によって生成される動作周波数であり得、追跡周波数は、毎秒約1センチメートル~毎秒約500センチメートルの範囲の医療用超音波対象物36の振動速度をもたらす超音波発生器32によって生成される動作周波数であり得る。追跡周波数は、超音波動作周波数よりも高くなり得るか、あるいは、追跡周波数は、超音波動作周波数よりも低くなり得る。
【0035】
[0039]追跡周波数に対する超音波動作周波数の時間比は、80:20~95:5の範囲であり、追跡周波数の所定の持続時間後、超音波発生器32の動作周波数は、超音波動作周波数へ再び切り替えられる。追跡周波数の所定の持続時間後、方法は、超音波動作周波数へ再び切り替える。ステップS100において交互に振動させる行為は、約1Hz~約1000Hzの切替周波数で、超音波動作周波数と追跡周波数とを交互に切り替える。
【0036】
[0040]ステップS102において、超音波撮像システム12は、超音波動作周波数から追跡周波数への変化を通知される。特に、発生器制御回路40は、発生器制御回路40が、超音波発生器32により生成された超音波電気信号の動作周波数を、超音波動作周波数から追跡周波数へ切り替えるときに、超音波撮像システム12の撮像制御回路22に、たとえばトグルビット、またはメッセージパケットのような通知を送信するプログラム命令を実行する。
【0037】
[0041]ステップS103において、ステップS102における通知に応答して、超音波撮像システム12は、超音波撮像プローブ18によって生成および収集された撮像データを使用して、超音波撮像空間30における探索を開始し、追跡周波数において振動している医療用超音波対象物36を特定する。
【0038】
[0042]たとえば、医療用超音波対象物36が、超音波カテーテル44のコアワイヤ48の遠位先端48-3を有する遠位部分48-2であると仮定する。通知に応答して、超音波撮像システム12によって探索が開始され、超音波撮像空間30において、追跡周波数において振動している超音波カテーテル44のコアワイヤ48の遠位先端48-3を特定する。たとえば、追跡周波数が、毎秒約50センチメートルで医療用超音波対象物36(たとえば、遠位先端48-3)の振動速度をもたらすように選択されると仮定する。そのような場合、たとえば、撮像制御回路22は、追跡周波数に関連付けられた振動速度での振動発生の超音波撮像空間30内の位置を決定するように、ドップラ機能を呼び出し、超音波撮像空間30に関連付けられた撮像データセットを探索して、毎秒約50センチメートルの速度で、あるいは正確に50センチメートルの速度で振動している対象物を識別し得る。
【0039】
[0043]探索をさらに細かく実施するために、いくつかの実装形態では、超音波撮像システム12は、追跡周波数において振動する対象物の位置を特定することと連携して、医療用超音波対象物36の形状を考慮し得る。
【0040】
[0044]ステップS104において、医療用超音波対象物36の位置が、表示画面24に表示された超音波画像60に示される。超音波画像60は、たとえば、2D超音波画像または3D超音波画像であり得る。再び図2を参照すると、表示画面24に表示された超音波画像60における遠位先端48-3の位置を示す行為は、撮像制御回路22が、医療用超音波対象物36、たとえば超音波カテーテル44のコアワイヤ48の遠位先端48-3に対応する、表示画面24に表示された超音波画像60の、ひし形62で表現される部分を強調するプログラム命令を実行することによって達成され得る。
【0041】
[0045]医療用超音波対象物36、たとえば超音波カテーテル44のコアワイヤ48の遠位先端48-3が、超音波撮像プローブ18の超音波撮像空間30内に配置されていない場合、表示画面24に表示される超音波画像60は、医療用超音波対象物36の現在の場所を示すことができない。この状況を改善するために、ユーザは、医療用超音波対象物36が超音波撮像プローブ18の超音波撮像空間30内に配置されるまで、患者50に対して超音波撮像プローブ18を移動させる。医療用超音波対象物36が超音波撮像空間30内に配置されると、患者50に対する医療用超音波対象物36の現在の位置が、表示画面24に表示される超音波画像60に示される。
【0042】
[0046]医療用超音波対象物36の位置が識別されると、医療用超音波対象物36の位置は、医療用超音波対象物36に対応する表示画面24に表示された超音波画像60の、ひし形62によって表現される強調された部分の動きを観察することによって追跡され得る。
【0043】
[0047]上記の方法および装置の代替として、超音波発生器32の発生器制御回路40は、同じ超音波周波数を使用しながら、治療のための出力電力レベルと画像追跡のための出力電力レベルとを交互に切り替えるように構成され得る。治療のための発生器出力電力レベルは、強い振動エネルギーを超音波カテーテル44に伝送し、コアワイヤ48の遠位部分48-2、すなわち、活性区間を、超音波周波数において強く振動させることができる。画像追跡のための発生器出力電力レベルは、比較的低いエネルギーを超音波カテーテル44に伝送し、コアワイヤ48の遠位部分48-2、すなわち活性区間を振動させるが、治療効果はない。発生器制御回路40は、撮像制御回路22に通信可能に結合される。発生器制御回路40は、発生器制御回路40が治療電力レベルから画像追跡電力レベルに切り替わったときに、撮像制御回路22に通知を送信するプログラム命令を実行するように構成される。撮像制御回路22は、ドップラ機能を利用して超音波撮像空間30における探索を開始するプログラム命令を実行することにより、通知に応答するように構成される。ドップラ機能は、超音波撮像空間30において動くあらゆる成分のみを検出する。したがって、超音波カテーテル44のコアワイヤ48の遠位部分48-2、すなわち、活性区間の振動は、超音波撮像システム12によって検出されることが可能である。アクティブな平均化およびフィルタリングの後、コアワイヤ48の遠位先端48-3の位置は、たとえば、超音波撮像システム12の表示画面24に表示される超音波画像において、ひし形62によって表現される強調によって表示される。
【0044】
[0048]以下の項目も本発明に関する。
[0049]一形態では、本発明は、超音波撮像システムおよび超音波振動システムを含む血管閉塞治療システムに関する。超音波撮像システムは、超音波撮像プローブおよび表示画面の各々に通信可能に結合された撮像制御回路を有する。超音波撮像システムは、超音波撮像空間から収集された超音波撮像データから、表示画面に表示するための超音波画像を生成するように構成される。超音波振動システムは、超音波カテーテルに動作可能に結合された超音波発生器を有する。超音波カテーテルは、遠位先端を備えたコアワイヤを有する。超音波発生器は、超音波動作周波数と追跡周波数とを交互に切り替えるように構成された発生器制御回路を有し、超音波動作周波数と追跡周波数とは、異なる周波数であり得る。発生器制御回路は、撮像制御回路に通信可能に結合される。発生器制御回路は、発生器制御回路が超音波動作周波数から追跡周波数に切り替わったときに撮像制御回路に通知を送信するプログラム命令を実行するように構成される。撮像制御回路は、超音波撮像空間における探索を開始して、追跡周波数において振動している超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端を特定し、表示画面に表示された超音波画像における遠位先端の位置を示すプログラム命令を実行することによって通知に応答するように構成される。
【0045】
[0050]超音波撮像システムは、3D撮像データによって超音波撮像空間を表現するように構成され得、超音波画像は、2D超音波画像または3D超音波画像であり得る。追跡周波数に対する超音波動作周波数の時間比は、約80:20~95:5であり得る。任意選択で、追跡周波数の所定の持続時間後、発生器制御回路は、超音波動作周波数へ再び切り替えるプログラム命令を実行する。発生器制御回路は、約1Hz~約1000Hzの切替周波数で、超音波動作周波数と追跡周波数とを切り替えるためのプログラム命令を実行し得る。より具体的には、発生器制御回路は、約1Hz~約1000Hzの反復周波数で追跡周波数へ切り替え、通知を送信し、超音波動作周波数へ再び切り替える行為を繰り返すプログラム命令を実行し得る。追跡周波数は、毎秒約1センチメートル~毎秒約500センチメートルの範囲で、超音波カテーテルの遠位先端の振動速度をもたらし得る。追跡周波数は、超音波動作周波数よりも高くなり得る。あるいは、追跡周波数は、超音波動作周波数よりも低くなり得る。撮像制御回路は、超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端に対応する表示画面に表示される超音波画像の一部を強調するプログラム命令を実行することにより、表示画面に表示される超音波画像に遠位先端の位置を示すように構成され得る。
【0046】
[0051]別の形態では、本発明は、たとえば、超音波撮像プローブおよび表示画面を有する超音波撮像システムを使用して医療用超音波対象物を追跡するための、たとえば医療機器を操作するための方法に関し、超音波撮像プローブは、表示画面に表示するための超音波画像の生成のための超音波撮像データを、超音波撮像空間において生成する。この方法は、医療用超音波対象物を超音波動作周波数と追跡周波数とで交互に振動させることを含み、超音波動作周波数と追跡周波数とは異なる周波数である、振動させることと、超音波動作周波数から追跡周波数への変化を、超音波撮像システムに通知することと、超音波撮像システムによる探索を開始して、超音波撮像空間を探索し、追跡周波数において振動している医療用超音波対象物を特定することと、表示画面に表示された超音波画像における医療用超音波対象物の位置を示すこととを含む。
【0047】
[0052]医療用超音波対象物は、超音波カテーテルによって送られるコアワイヤの遠位先端であり得る。超音波撮像空間は、3D撮像データによって表現され得、超音波画像は、2D超音波画像または3D超音波画像であり得る。追跡周波数に対する超音波動作周波数の時間比は、約80:20~95:5であり得る。任意選択で、追跡周波数の所定の持続時間後、方法は、超音波動作周波数へ再び切り替えることを含む。交互に振動させる行為は、約1Hz~約1000Hzの切替周波数で、超音波動作周波数と追跡周波数とを切り替えることを含み得る。交互に振動させる行為は、約1Hz~約1000Hzの反復周波数で、追跡周波数へ切り替え、通知し、超音波動作周波数へ再び切り替える行為を繰り返すことを含み得る。追跡周波数は、毎秒約1センチメートル~毎秒約500センチメートルの範囲で医療用超音波対象物の振動速度をもたらし得る。追跡周波数は、超音波動作周波数よりも高くなり得る。あるいは、追跡周波数は、超音波動作周波数よりも低くなり得る。示す行為は、医療用超音波対象物に対応する表示画面に表示された超音波画像の一部を強調することを含み得る。
【0048】
[0053]別の形態では、本発明は、超音波撮像プローブおよび表示画面を有する超音波撮像システムと共に使用される超音波カテーテルの遠位先端を特定する、たとえば、医療機器を操作するための方法に関し、超音波撮像プローブは、表示画面に表示するための超音波画像の生成のための超音波撮像データを、超音波撮像空間において生成する。この方法は、超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端の超音波動作周波数を確立すること、超音波動作周波数とは異なる超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端の追跡周波数を確立すること、超音波動作周波数において遠位先端を振動させることと追跡周波数において遠位先端を振動させることとを交互に行うように、超音波カテーテルを動作させること、超音波動作周波数から追跡周波数への超音波カテーテルの動作の変化を超音波撮像システムに通知すること、通知に応答して、超音波撮像システムによる探索を開始し、追跡周波数において振動している超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端を、超音波撮像空間において特定すること、及び、表示画面に表示された超音波画像における超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端の位置を示すことを含む。
【0049】
[0054]超音波撮像空間は、3D撮像データによって表現され得、超音波画像は、2D超音波画像または3D超音波画像であり得る。追跡周波数に対する超音波動作周波数の時間比は、任意選択で80:20~95:5の範囲である。任意選択で、追跡周波数の所定の持続時間後、方法は、超音波動作周波数へ再び切り替えることを含む。超音波カテーテルを動作させる行為は、約1Hz~約1000Hzの切替周波数で、超音波動作周波数から追跡周波数に切り替えることを含み得る。
【0050】
[0055]超音波カテーテルを動作させる行為は、約1Hz~約1000Hzの反復周波数で、追跡周波数へ切り替え、通知し、超音波動作周波数へ再び切り替える行為を繰り返すことを含み得る。追跡周波数は、毎秒約1センチメートル~毎秒約500センチメートルの範囲で、超音波カテーテルの遠位先端の振動速度をもたらし得る。追跡周波数は、超音波動作周波数よりも高くなり得る。あるいは、追跡周波数は、超音波動作周波数よりも低くなり得る。示す行為は、超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端に対応する、表示画面に表示された超音波画像の一部を強調することを含み得る。
【0051】
[0056]別の形態では、本発明は、代替の血管閉塞治療システムに関する。システムは、超音波撮像システムおよび超音波振動システムを含む。超音波撮像システムは、超音波撮像プローブおよび表示画面の各々に通信可能に結合された撮像制御回路を有する。超音波撮像システムは、超音波撮像空間から収集された超音波撮像データから、表示画面に表示するための超音波画像を生成するように構成される。超音波振動システムは、超音波カテーテルに動作可能に結合された超音波発生器を有する。超音波カテーテルは、遠位先端を有する遠位部分を備えたコアワイヤを有する。超音波発生器は、同じ超音波周波数を維持しながら、治療のための出力電力レベルと、画像追跡のための出力電力レベルとを交互に切り替えるように構成された発生器制御回路を有する。発生器制御回路は、撮像制御回路に通信可能に結合される。発生器制御回路は、発生器制御回路が、治療のための出力電力レベルから、画像追跡のための出力電力レベルに切り替わったときに、撮像制御回路に通知を送信するプログラム命令を実行するように構成される。撮像制御回路は、ドップラ機能を利用して、超音波撮像空間における探索を開始して、超音波撮像空間において動くあらゆる成分を検出し、表示画面に表示された超音波画像における遠位先端の位置を示すプログラム命令を実行することによって、通知に応答するように構成される。
【0052】
[0057]超音波撮像システムは、3D撮像データによって超音波撮像空間を表すように構成され得、超音波画像は、2D超音波画像または3D超音波画像であり得る。撮像制御回路は、超音波カテーテルのコアワイヤの遠位先端に対応する表示画面に表示される超音波画像の一部を強調するプログラム命令を実行することにより、表示画面に表示される超音波画像における遠位先端の位置を示すように構成され得る。
【0053】
[0058]本発明が、少なくとも1つの実施形態に関して説明されたが、本発明は、この開示の趣旨および範囲内でさらに変更することができる。したがって、本願は、その一般的な原理を使用する本発明のあらゆる変形、使用、または適合を網羅することが意図されている。さらに、本願は、本発明が関係し、添付の特許請求の範囲の境界内である、当該技術分野における既知または通例の慣習内に入る、本開示からのそのような逸脱をカバーすることが意図される。
図1
図2
図3