IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浙江三花智能控制股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7053830電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム
<>
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図1
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図2
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図3
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図4
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図5
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図6
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図7
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図8
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図9
  • 特許-電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20220405BHJP
   F16K 31/53 20060101ALI20220405BHJP
   F25B 41/35 20210101ALI20220405BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F16K31/53
F25B41/35
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020529260
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2018118535
(87)【国際公開番号】W WO2019105454
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】201711255162.X
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201711487611.3
(32)【優先日】2017-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517149748
【氏名又は名称】浙江三花智能控制股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Sanhua Intelligent Controls CO., Ltd
【住所又は居所原語表記】Xialiquan, Qixing Street, Xinchang County, Shaoxing, Zhejiang 312500, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ、 ファン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 タァンチィン
(72)【発明者】
【氏名】シュー、 シャオフイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、 シャンラン
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-014306(JP,A)
【文献】特開2012-067835(JP,A)
【文献】特開2005-291223(JP,A)
【文献】特開2011-021749(JP,A)
【文献】特開2004-150743(JP,A)
【文献】特開2017-009025(JP,A)
【文献】特開2008-101765(JP,A)
【文献】特開2006-226369(JP,A)
【文献】米国特許第11168804(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
F16K 31/53
F25B 41/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁であって、
キャビティ(6)及び前記キャビティ(6)に連通する弁口部(11)を有する弁座(10)と、
前記キャビティ(6)内に可動に設けられて前記弁口部(11)を開放させる開放位置及び前記弁口部(11)を閉鎖させる閉鎖位置を有する弁ニードル(20)と、
ロータ(32)及び前記ロータ(32)の周方向の外側に周設されるコイル(31)を含む駆動機構(30)と、
キャリヤ(41)、遊星歯車(42)及びギアボックス(43)を含む遊星歯車減速機構(40)であって、前記ロータ(32)、前記キャリヤ(41)及び前記ギアボックス(43)が同軸に配置され、前記駆動機構(30)が前記遊星歯車減速機構(40)の出力端とされ、前記ロータ(32)が前記キャリヤ(41)に固定接続されることで、前記キャリヤ(41)をその軸線に沿って回動させるように駆動し、前記キャリヤ(41)には第1装着軸(411)が設けられ、前記遊星歯車(42)が前記第1装着軸(411)に外挿され、前記ギアボックス(43)が前記弁座(10)に固定配置されるボックス本体(431)と、前記ボックス本体(431)に設けられる固定リングギヤ(432)と、前記ボックス本体(431)内に可動に設けられる出力リングギヤ(433)とを含み、前記遊星歯車(42)が前記ボックス本体(431)内に入り込むとともに、前記固定リングギヤ(432)及び前記出力リングギヤ(433)と同時に噛合する前記遊星歯車減速機構(40)と、
前記弁座(10)に固定されるナット(52)及び前記ナット(52)の雌ネジと係合し、第1端が前記出力リングギヤ(433)に固定接続されるスクリュ(51)を含む伝動機構(50)と、を備え、
前記ロータ(32)と前記キャリヤ(41)とが一体として射出成形され、前記スクリュ(51)と前記出力リングギヤ(433)とが一体として射出成形されていることを特徴とする電子膨張弁。
【請求項2】
前記電子膨張弁は、前記弁座(10)の上部にカバーするように設けられているとともに前記弁座(10)に支持されるハウジング(60)を含み、
前記ハウジング(60)の内部は、前記ロータ(32)、前記遊星歯車減速機構(40)及び前記伝動機構(50)が設けられる収容空間(1)を有し、前記コイル(31)が、前記ハウジング(60)の周方向の外側に周設されており、
前記電子膨張弁は、トップフレーム(100)及び制振部材(110)を含み、
前記トップフレーム(100)は、前記収容空間(1)内に固定配置されるとともに前記キャリヤ(41)の上方に位置しており、前記制振部材(110)は、前記キャリヤ(41)に下向きの当接力を提供するように前記トップフレーム(100)と前記キャリヤ(41)との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記遊星歯車減速機構(40)が、上から下へ順に貫通するように前記トップフレーム(100)、前記キャリヤ(41)及び前記スクリュ(51)内に配置されているとともに、トップフレーム(100)、前記キャリヤ(41)及び前記スクリュ(51)と隙間嵌められる芯軸(44)を含むことを特徴とする請求項2に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記制振部材(110)は、前記芯軸(44)に外挿され、第1端が前記トップフレーム(100)の底面に当接され、第2端が前記キャリヤ(41)の天井面に当接される制振バネであることを特徴とする請求項3に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記キャリヤ(41)の天井面には、位置決め凹溝(413)が設けられ、前記制振バネの第2端が、前記位置決め凹溝(413)の溝底に当接されていることを特徴とする請求項4に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記固定リングギヤ(432)と前記ボックス本体(431)とが、一体として射出成形されていることを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記第1装着軸(411)が、前記キャリヤ(41)の周方向に沿って配置される一つまたは複数であり、前記遊星歯車(42)が、前記第1装着軸(411)に一対一に対応するように配置される一つまたは複数であることを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記遊星歯車減速機構(40)は、装着孔(4121)が設けられた蓋板(412)を含み、
前記蓋板(412)が、前記キャリヤ(41)の下端にカバーするように設けられ、前記第1装着軸(411)の下端が、前記装着孔(4121)内に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
前記弁ニードル(20)の外側に外挿されるとともに前記弁座(10)に固定される弁ニードルスリーブ(80)であって、前記弁ニードル(20)が可動に前記弁ニードルスリーブ(80)内に設けられ、前記弁ニードルスリーブ(80)が装着セグメント(81)及び前記装着セグメント(81)の下に位置する案内セグメント(82)を含み、前記装着セグメント(81)と前記案内セグメント(82)との接続箇所には段階面(83)が形成され、前記案内セグメント(82)と前記弁ニードル(20)とが互いに適合される前述弁ニードルスリーブ(80)と、
前記装着セグメント(81)内に位置し、一端が前記弁ニードル(20)の天井部の当接突起(21)に当接され、他端が前記段階面(83)に当接されるバネ(90)であって、前記弁ニードル(20)が前記閉鎖位置から前記開放位置に移動する場合に、前記弁ニードル(20)には前記バネ(90)における上向きの弾性復帰力が受けられる前記バネ(90)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項10】
前記ボックス本体(431)の一端には、前記弁座(10)に固定接続される端折部(431a)が設けられ、前記ボックス本体(431)の他端が、前記固定リングギヤ(432)に固定接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項11】
前記ボックス本体(431)には、その本体を貫通する貫通部(431b)が設けられ、前記固定リングギヤ(432)が、射出成形という方式で前記ボックス本体(431)に固定され、前記貫通部(431b)が、前記固定リングギヤ(432)によって充填されていることを特徴とする請求項10に記載の電子膨張弁。
【請求項12】
前記貫通部(431b)の断面形状は、円形、矩形または不規則の形状であり、前記貫通部(431b)の数量が、一つ以上であり、均一に前記ボックス本体(431)の周壁に分布されていることを特徴とする請求項11に記載の電子膨張弁。
【請求項13】
前記電子膨張弁は、トップフレーム(100)及び前記弁座(10)の上部をカバーするように設けられているとともに前記弁座(10)に支持されるハウジング(60)を含み、
前記ハウジング(60)の内部は、収容空間(1)を有し、前記トップフレーム(100)は、前記収容空間(1)内に固定配置されるとともに前記キャリヤ(41)の上方に位置しており、
前記遊星歯車減速機構(40)は、上から下へ順に貫通するように前記トップフレーム(100)と前記キャリヤ(41)と前記スクリュ(51)内に配置されるとともに前記トップフレーム(100)と前記キャリヤ(41)と前記スクリュ(51)とに隙間嵌められる芯軸(44)を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項14】
電子膨張弁を含む冷凍システムであって、前述電子膨張弁は、請求項1~請求項13のいずれかの一項に記載の電子膨張弁であることを特徴とする冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍分野に関わり、具体的には、電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システムに関わる。
本出願は、以下の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、援用されることで本出願に結合されたものである。
1、2017年12月01日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201711255162.Xであり、発明名称が「電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム」である中国出願。
2、2017年12月30日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201711487611.3である、発明名称が「電子膨張弁及びそれを具備する冷凍システム」である中国出願。
【背景技術】
【0002】
図1は、減速型の電子膨張弁を示し、この変調空調に用いられる電子膨張弁は、主に、流量調節のための弁体部分と、駆動するためのコイル部分とからなる。
コイル部分には、永久磁石式のステッピングモータ1’と、三段階減速の歯車減速機2’と、ステッピングモータ1’の回転運動をスクリュ3’の垂直運動に変換する螺子対偶構成5’とが含まれ、弁ボディは、弁座10’と、弁ニードル8を昇降させるように制御するバネ7などの核心部材を含むように構成されている。
以下は、電子膨張弁の作動原理を紹介し、まず、空調システムの電子コントローラーは、電子膨張弁のステッピングモータ1’の出力軸を回転させるように制御し、歯車減速機2’の出力軸を回転させるように、ステッピングモータ1’と歯車減速機2’とが協力し、スクリュ3’を回転させるように、歯車減速機2’の出力軸とスクリュ3’とが協力し、スクリュ3’を上下に移動させるように、スクリュ3’と螺子対偶構成5’とが協力する。
スクリュ3’の頂端には、鋼球11’が溶接され、鋼球11’の下端には、ブシュ6’が設けられ、ブシュ6’の下端には、弁ニードル8が接続される。
スクリュ3’が駆動部材によって下に移動するように駆動される場合に、スクリュ3’が鋼球11’に当接され、鋼球11’がブシュ6’に当接され、ブシュ6’が弁ニードル8に当接されることで、弁ニードル8が、閉鎖位置、即ち、弁ニードル8が、弁ボディ10’に当接される位置にあるまでに、弁ニードル8とスクリュとが同期に下に運動する。
弁ニードル8が、閉鎖位置にある場合に、バネ7が続いて引っ張られている状態にある。
逆方向パルスが付与される場合に、スクリュ3’が上に運動し、弁ニードル8がバネ7の復帰弾力とシステム圧力の作用で続いて上に運動することで、弁口部9の開放程度を変更し、通流面積を変化させ、流量調節の過熱度を制御するという目的に達する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的には、電子膨張弁の減速機構は、平歯車減速機構(固定歯車列)である。
図2は、三段階減速の歯車減速機2’の具体的な構成を示し、第1段階減速機構が、歯車1aと歯車1bからなり、第2段階減速機構が、歯車2aと歯車2bからなり、第3段階減速機構が、歯車3aと歯車3bからなる。
モータ軸12’と歯車1aとが、同軸に配置され、モータ軸12’が、歯車1aを回動させるように駆動し、歯車1aが、歯車1bを回動させる。
歯車1bが、第2段階減速機構の歯車2aを回動させるように駆動し、歯車2aが、歯車2bを回動させる。
歯車2bが、第3段階減速機構の歯車3aを回動させるように駆動し、歯車3aが、歯車3bを回動させ、最後は、出力軸13’を回動させる。
前記減速機構にとって、流量の制御範囲を向上させるために、出力トルクを増大しなければならなくて、その同時に、制御精度を向上させるために、他の条件が変化しない場合(例えば、出力トルクが変化しない場合)に、減速比を大きく配置しなければならない。
減速比を向上させる方式は、二つがあり、一つは、各段階歯車の減速比を向上させ、つまり、歯車の歯数を増えることであり、ただし、前記構成は、必ず大歯車の外径の増大を招致し、さらに、歯車減速機の体積の増大につながる。
もう一つは、歯車減速の段階数を増えることであり、ただし、前記構成は、歯車の数量の増加を招致するから、同じように、歯車減速機の体積の増大につながる。
最後は、高い精度、小型化という要求を満たしていない。
また、段階数の増加は、全体システムの伝動効率及び安定性の低減を招致する恐れがある。
その同時に、ギアボックスの構成にも、改良空間が存在する。
【0004】
本発明は、新たなギアボックス構成が採用される電子膨張弁を提供することを目的として、これに基づき、電子膨張弁が採用される冷凍システムを提供している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を実現するために、本発明によれば、電子膨張弁を提供し、前記電子膨張弁は、キャビティ及びキャビティに連通する弁口部を有する弁座と、可動にキャビティ内に設けられ、弁口部を開放させる開放位置及び弁口部を閉鎖させる閉鎖位置を有する弁ニードルと、ロータ及びロータの周方向の外側に周設されるコイルを含む駆動機構と、キャリヤ、遊星歯車及びギアボックスを含む遊星歯車減速機構とを備え、前記ギアボックスには、ボックス本体、固定リングギヤ及び可動に前記ボックス本体内に設けられる出力リングギヤが含まれ、前記ボックス本体の一端には、前記弁座に固定接続される端折部が設けられ、他端が、前記固定リングギヤに固定接続される。
【0006】
本発明によれば、電子膨張弁を含む冷凍システムを提供している。
【0007】
本発明によれば、電子膨張弁は、遊星歯車減速機構を含み、駆動機構が遊星歯車減速機構の出力端として、遊星歯車減速機構は、スクリュを自転させるように伝動機構のスクリュに固定接続される出力リングギヤを有し、スクリュがナットにネジ接続されることで、スクリュの回動運動を直線運動に変換する。
スクリュが上下に運動することができるから、スクリュに当接される弁ニードルも上下に運動することができ、最後は、弁ニードルが開放位置と閉鎖位置との間で移動するという目的を実現することができる。
遊星歯車減速機構には、内噛合の歯車が採用され、十分に伝動空間を利用するから、全体の減速機構の空間サイズが、同じ条件での平歯車減速機構より遥かに小さくなる。
つまり、同じサイズという条件で、遊星歯車減速機構の減速比が、平歯車減速機構の減速より遥かに大きい。
減速比の向上によって、弁ニードルの行程制御の精度が、より高くなる。
従って、前記構成によって、電子膨張弁が、流量調節範囲を大きくすると同時に、高い精度、小型化という要求に達して、従来技術における電子膨張弁が流量調節範囲を大きくすると同時に、高い精度、小型化という要求に達していない問題を解决する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は、本発明を理解するために用いられ、本発明の実施例及びその説明は、本発明に対する不当限定を構成するものでなく、本発明を解釈するために用いられる。
図1】背景技術における電子膨張弁の内部構成図。
図2図1の電子膨張弁の減速機構の構成図。
図3】本発明の実施例による電子膨張弁の縦断面構成図。
図4図3に示す遊星歯車減速機構とロータ及びスクリュとが係合する断面構成図。
図5図4に示す遊星歯車減速機構とロータ及びスクリュとが係合する縦断面構成図。
図6図4に示す遊星歯車減速機構とロータ及びスクリュとの分解構成図。
図7図4に示すボックス本体と固定リングギヤとが係合する一部断面を示す構成図。
図8図4に示す出力リングギヤとスクリュとの立体構成図。
図9図4に示すロータとキャリヤとの一部断面を示す構成図。
図10図9に示すロータとキャリヤとの縦断面構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願の実施例における特徴は、互いに組み合わせてもよい。
以下は、図面を参照し、実施例を結合し、本発明を詳しく説明する。
【0010】
図3図10に示すように、本実施例の電子膨張弁は、弁座10と、弁ニードル20と、駆動機構30と、遊星歯車減速機構40と伝動機構50とを含み、弁座10が、キャビティ6及びキャビティ6に連通する弁口部11を有している。
弁ニードル20は、可動にキャビティ6内に設けられ、弁口部11を開放させる開放位置及び弁口部11を閉鎖させる閉鎖位置を有している。
駆動機構30が、ロータ32及びロータ32の周方向の外側に周設されるコイル31を含む。
遊星歯車減速機構40が、キャリヤ41、遊星歯車42及びギアボックス43を含み、ロータ32、キャリヤ41及びギアボックス43が同軸に設けられ、駆動機構30が、遊星歯車減速機構40の出力端として、ロータ32がキャリヤ41に固定接続されることで、キャリヤ41をその軸線に沿って回動させるように駆動し、キャリヤ41には、第1装着軸411が設けられ、遊星歯車42が第1装着軸411の外に配され、ギアボックス43が、弁座10に固定配置されるボックス本体431と、ボックス本体431に設けられる固定リングギヤ432と、可動にボックス本体431内に設けられる出力リングギヤ433とを含み、遊星歯車42が、ボックス本体431内に入り込むと同時に、固定リングギヤ432及び出力リングギヤ433と噛合し、出力リングギヤ433がキャリヤ41を支持している。
伝動機構50が、弁座10に固定されるナット52及びナット52の雌ネジと係合するスクリュ51を含み、スクリュ51の第1端が、出力リングギヤ433に固定接続され、第2端が、弁ニードル20に当接されることで、弁ニードル20を開放位置と閉鎖位置との間に移動させる。
【0011】
本発明によれば、電子膨張弁は、遊星歯車減速機構40を含み、駆動機構30が、遊星歯車減速機構40の出力端として、遊星歯車減速機構が、スクリュ51を自転させるように伝動機構50のスクリュ51に固定接続される出力リングギヤ433を有し、スクリュ51が、ナット52にネジ接続されることで、スクリュ51の回動運動を直線運動に変換する。
スクリュ51が、上下に運動することができるから、スクリュ51に当接される弁ニードル20も上下に運動することができ、最終的に、弁ニードル20が、開放位置と閉鎖位置との間を移動することができる。
遊星歯車減速機構40には、内噛合の歯車が採用され、十分に伝動空間を利用するから、全体の減速機構の空間サイズが、同じ条件での平歯車減速機構より遥かに小さくなる。
つまり、同じサイズという条件で、遊星歯車減速機構40の減速比が、平歯車減速機構の減速比より大きい。
減速比の向上によって、弁ニードル20の行程制御の精度が、より高くなる。
従って、前記構成によって、電子膨張弁が、流量調節範囲を大きくすると同時に、高い精度、小型化という要求に達して、従来技術における電子膨張弁が流量調節範囲を大きくすると同時に、高い精度、小型化という要求に達していない問題を解决する。
【0012】
本実施例において、キャリヤ41、ロータ32、出力リングギヤ433及びスクリュ51の重量がナット52のネジに支持される。
以下は、電子膨張弁の具体的な作動過程を説明し、即ち、ロータ32が回動すると、ロータ32に固定配置されるキャリヤ41がともに回動する。
この際、遊星歯車42が、キャリヤ41の回動軸の周りに公転する。
公転する遊星歯車42が、固定リングギヤ432と噛合してから自転する。
自転する遊星歯車42が、出力リングギヤ433と噛合することで、出力リングギヤ433を自転させる。
出力リングギヤ433が、スクリュ51に固定接続されるから、スクリュ51も、ともに回動する。
スクリュ51が回動している過程において、弁座10に固定されるナット52と係合することで、スクリュ51の回動運動を直線運動に変換する。
スクリュ51の下向きの移動に連れて、固定接続される出力リングギヤ433も下に移動する。
出力リングギヤ433が、キャリヤ41及びキャリヤ41に固定されるロータ32を支持するから、出力リングギヤ433の下向きの移動に連れて、キャリヤ41及びロータ32もともに下に移動する。
同じように、スクリュ51の上向きの移動に連れて、固定接続される出力リングギヤ433も上に移動する。
出力リングギヤ433が、キャリヤ41及びキャリヤ41に固定されるロータ32を支持するから、出力リングギヤ433の上向きの移動に連れて、キャリヤ41及びロータ32もともに上に移動する。
従って、スクリュ51の上下の移動に連れて、キャリヤ41及びロータ32もともに上下に移動する。
【0013】
図3に示すように、本実施例において、電子膨張弁は、ハウジング60を含む。
ハウジング60が、カバーするように弁座10の上部に設けられるとともに弁座10に支持され、ハウジング60の内部がキャビティ6に連通し、且つ、ロータ32、遊星歯車減速機構40及び伝動機構50が設けられる収容空間1を有し、コイル31がハウジング60の周方向の外側に周設されている。
ロータ32、遊星歯車減速機構40及び伝動機構50などの精密部材が、密閉の空間に設けられることで、これらの精密部材が、外部の水蒸気、埃に影響されることを防止し、電子膨張弁の寿命を向上させる。
【0014】
本実施例において、キャリヤ41とロータ32が、その重力の作用で、出力リングギヤ433に押されて、前記構成が簡単であるが、電子膨張弁が作動している際に振動すると(例えば、駆動機構30が作動している際に発生される振動)、キャリヤ41とロータ32が、前記振動の影響で上下に揺れ動く恐れがあり、このように、キャリヤ41とロータ32が出力リングギヤ433または他の部品と互いに衝突し、異常の騒音を発生させ、ユーザーの体験が悪くなる。
前記問題を解决するために、図3に示すように、本実施例において、電子膨張弁は、トップフレーム100及び制振部材110を含む。
トップフレーム100が、収容空間1内に固定配置されるとともに、キャリヤ41の上方に位置している。
制振部材110が、キャリヤ41に下向きの当接力を提供するように、トップフレーム100とキャリヤ41との間に設けられている。
前記キャリヤ41は、自身の重力の作用で出力リングギヤ433に押される以外、さらに、制振部材110から付与される下向きの当接力を受けることで、出力リングギヤ433に押される。
従って、前記構成が、キャリヤ41とロータ32の、出力リングギヤ433または他の部品との互いの衝突を大幅に減小させることで、異常騒音を大幅に低減させ、ユーザーの体験を改良する。
制振部材110の、キャリヤ41に付与する当接力の大きさが実際の状況に応じて調整さればよい。
【0015】
代替案として、トップフレーム100を配置しなくてもよく、制振部材110を直接的にハウジングの天井部とキャリヤ41との間に配置することも、本発明の目的を実現することができる。
【0016】
図3図6に示すように、本実施例において、遊星歯車減速機構40は、上から下へ順に貫通するように、トップフレーム100、キャリヤ41とスクリュ51内に配置されるとともに、トップフレーム100、キャリヤ41とスクリュ51とが隙間嵌められる芯軸44を含む。
前記構成が簡単で、キャリヤ41及びスクリュ51が同軸にあるように保証する。
【0017】
図3に示すように、制振部材110は、芯軸44の外に配され、第1端が、トップフレーム100の底面に当接され、第2端がキャリヤ41の天井面に当接される制振バネである。
制振バネが、芯軸44の外に配されることで、制振バネが圧縮される際に、位置ずれという現象を発生させなくて、制振バネが、キャリヤ41に所定の当接力を提供し、さらに、ノイズ低減という効果を保証する。
また、制振バネが、既存の芯軸44の外に配されるから、制振バネと係合する他の部品を配置する必要がなくなるから、製造コストを低減させる。
【0018】
図3図5図6に示すように、本実施例において、キャリヤ41の天井面には位置決め凹溝413が設けられ、制振バネの第2端が、位置決め凹溝413の溝底に当接される。
前記構成によって、制振バネが圧縮される際に発生される位置ずれという現象をさらに避けている。
【0019】
本実施例において、ロータ32とキャリヤ41とが一体として射出成形され、及び/または、スクリュ51と出力リングギヤ433とが一体として射出成形される。
前記構成が、簡単で、加工を便利にする。
また、前記構成が、他の締結具を介してロータ32をキャリヤ41に固定することを避けるから、組立効率を大幅に向上させ、製造コストを低減させる。
説明を必要とするのは、加工する場合に、まず、キャリヤ41を成型に加工してから、ロータ32をキャリヤ41に射出成形する。
無論、当業者が分かるように、ロータ32とキャリヤ41との間の固定が、一体として射出成形される方法以外、さらに、溶接、接着、ねじ接続などの形態で、固定されてもよい。
【0020】
図7に示すように、本実施例において、固定リングギヤ432とボックス本体431とが一体として射出成形される。
具体的には、ボックス本体431が、筒状を呈して、固定リングギヤ432が、ボックス本体431の上端に位置している。
ボックス本体431の下端が、溶接を介して弁座10に固定されている。
【0021】
具体的には、ボックス本体431は、略筒状の構成を呈して、一端が、溶接という方式で弁座10に固定接続される端折部431aを有している。
ボックス本体431の他端には、その本体を貫通する貫通部431bが設けられ、貫通部431bの数が一つ以上であり、具体的には、製造する場合に、まず、ボックス本体431を金型に入れてから、射出成形という方式を利用して、このように、固定リングギヤ432をボックス本体431に成型させ、貫通部431bが固定リングギヤ432の一部の材料によって充填される。
貫通部431bの配置によって、固定リングギヤ432とボックス本体431との接続が密接になり、逸脱し得なくて、高い接続強度を有している。
【0022】
さらに、貫通部431bの形状と数に対して、いろんな異なる変更をしてもよく、例えば、ボックス本体431の筒状の周壁に沿って、均一または非均一に複数の貫通部431bを配置し、例えば、穿孔という方式を利用して、成形が簡単で、大量の製造を便利にする。
貫通部431bの縦方向の断面形状も、円形に限定されず、矩形、三角型または不規則の形状であってもよく、当業者が理解するように、固定リングギヤが射出成形される場合に可塑性材料が貫通部431bに流入するように、ボックス本体431の周壁を貫通し、貫通部431bを充填するという目的を実現すればよい。
【0023】
前記構成が、簡単で、加工を便利にする。
また、前記構成が、他の締結具を介して固定リングギヤ432をボックス本体431に固定することを避けるから、大幅に組立効率を向上させ、製造コストを低減させる。
【0024】
図3図6に示すように、本実施例において、第1装着軸411が、キャリヤ41の周方向に沿って配置される一つまたは複数であり、遊星歯車42が、第1装着軸411に一対一に対応するように配置される一つまたは複数である。
具体的には、第1装着軸411が、一つであってもよく、第1装着軸411が、一つである場合に、遊星歯車42が、第1装着軸411に対応するように一つであり、第1装着軸411が、キャリヤ41の軸線の周方向の外側に位置している。
【0025】
好ましくは、図4図6に示すように、第1装着軸411が、キャリヤ41の周方向に沿って間隔を持って配置される複数(二つ以上であり、例えば、2つ、3つ、4つ…)であり、遊星歯車42が、第1装着軸411に一対一に対応するように配置される複数(二つ以上であり、例えば、2つ、3つ、4つ…)である。
前記構成によって、遊星歯車減速機構40の運転が、より安定になる。
好ましくは、本実施例において、第1装着軸411が、3つであり、遊星歯車42が第1装着軸411に一対一に対応するように配置される3つである。
【0026】
図4図6に示すように、各遊星歯車42が一対一に対応するように、各第1装着軸411に外挿され、作動すると、各遊星歯車42が高速に回転し、遊星歯車42が第1装着軸411から脱出することを防止するために、図4に示すように、本実施例において、キャリヤ41は、複数の第2装着軸415及び複数の第2装着軸415に一対一に対応するように配置される複数のリブ414を含み、各リブ414が、各第2装着軸415の周方向の外側に包まれ、第1装着軸411と第2装着軸415とが間隔を持って配置され、遊星歯車減速機構40は、第1装着軸411と第2装着軸415とが係合する装着孔4121が設けられ、天井面が、リブ414の底面に当接される蓋板412を含む。
遊星歯車42の上端が、キャリヤ41にストッパされ、遊星歯車42の下端が、蓋板412にストッパされるから、遊星歯車42が、第1装着軸411から脱出することを防止している。
本実施例において、リブ414と第2装着軸415とが、一体として射出成形される構成である。
【0027】
図3に示すように、本実施例において、電子膨張弁は、弁ニードルスリーブ80及びバネ90を含む。
弁ニードルスリーブ80が、弁ニードル20の外側に外挿されるとともに、弁座10に固定配置され、弁ニードル20が、可動に弁ニードルスリーブ80内に配置され、弁ニードルスリーブ80が、装着セグメント81及び装着セグメント81の下に位置する案内セグメント82を含み、装着セグメント81と案内セグメント82との接続箇所には、段階面83が形成され、案内セグメント82が、弁ニードル20とが互いに適合される。
バネ90は、装着セグメント81内に位置し、一端が、弁ニードル20の天井部の当接突起21に当接され、他端が、段階面83に当接され、弁ニードル20が、閉鎖位置から開放位置に移動すると、弁ニードル20には、バネ90の上向きの弾性復帰力が受けられる。
【0028】
具体的には、弁ニードル20が弁口部11を開放する必要が有る場合に、スクリュ51が回転するとともに上に運動し、弁ニードル20の天井部の当接力が小さくなる。
スクリュ51から弁ニードル20に付与する下向きの力が、弁ニードル20に受けられる上向きの弾性復帰力より小さい場合に、弁ニードル20が上に運動する傾向を有することになり、具体的には、弁ニードル20の上向きの移動の行程の大きさが、スクリュ51の移動の行程によって決定される。
前記構成が、簡単で、装着セグメント81が、バネ90の装着を実現し、案内セグメント82が弁ニードル20に対する案内を実現する。
【0029】
本出願は、さらに、冷凍システムを提供し、本出願による冷凍システム(図示せず)は、前記電子膨張弁を含む。
前記電子膨張弁は、精度が高く、体積が小さいなどの利点を有するから、それを具備する冷凍システムも前記利点を有している。
以上は、本発明を限定していなく、本発明の好適な実施例のみであり、当業者にとって、本発明は、いろんな変更と変化を有してもよい。
本発明の精神と原則でなされた補正、等価の差し替え、改良などは、いずれも本発明の保護範囲に該当すべきである。
【符号の説明】
【0030】
1 ・・・収容空間
6 ・・・キャビティ
10 ・・・弁座
11 ・・・弁口部
80 ・・・弁ニードルスリーブ
81 ・・・装着セグメント
82 ・・・案内セグメント
83 ・・・段階面
20 ・・・弁ニードル
21 ・・・当接突起
30 ・・・駆動機構
31 ・・・コイル
32 ・・・ロータ
40 ・・・遊星歯車減速機構
41 ・・・キャリヤ
411 ・・・第1装着軸
412 ・・・蓋板
4121・・・装着孔
413 ・・・位置決め凹溝
414 ・・・リブ
415 ・・・第2装着軸
42 ・・・遊星歯車
43 ・・・ギアボックス
431 ・・・ボックス本体
432 ・・・固定リングギヤ
433 ・・・出力リングギヤ
44 ・・・芯軸
50 ・・・伝動機構
51 ・・・スクリュ
52 ・・・ナット
60 ・・・ハウジング
90 ・・・バネ
100 ・・・トップフレーム
110 ・・・制振部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10