(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】暗視野X線画像情報の提示のための装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
(21)【出願番号】P 2020530628
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2018082147
(87)【国際公開番号】W WO2019110313
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-05-11
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィームカー ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤロシェンコ アンドリー
(72)【発明者】
【氏名】リント カルステン
(72)【発明者】
【氏名】サブシンスキ ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マーク ハンス‐インゴ
【審査官】門 良成
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-507984(JP,A)
【文献】国際公開第2017/055527(WO,A1)
【文献】特表2011-523076(JP,A)
【文献】国際公開第2006/116700(WO,A2)
【文献】特表2017-532986(JP,A)
【文献】特表2014-521945(JP,A)
【文献】国際公開第2013/187150(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ユニットと、処理ユニットと、出力ユニットとを備える、暗視野情報の提示のための装置であって、
前記入力ユニットは、前記処理ユニットに、物体の関心領域のX線減衰画像を提供し、
前記入力ユニットは、前記処理ユニットに、前記物体の前記関心領域の暗視野X線画像を提供し、
前記処理ユニットは、前記関心領域の前記X線減衰画像に基づいて、又は前記関心領域の前記暗視野X線画像に基づいて、前記関心領域
を複数のサブ領域
にセグメント化し、
前記処理ユニットは、前記複数のサブ領域の各々について少なくとも1つの定量値を導出し、前記サブ領域についての前記少なくとも1つの定量値は、前記サブ領域のX線減衰画像から導出したデータと、前記サブ領域の前記暗視野X線画像から導出したデータとを含み、
前記処理ユニットは、前記複数のサブ領域に複数の性能指数を割り当て、前記サブ領域についての前記性能指数は、前記サブ領域についての前記少なくとも1つの定量値に基づき、
前記出力ユニットは、それぞれの前記サブ領域についての前記性能指数と共に前記関心領域を表すデータを出力する、
装置。
【請求項2】
前記サブ領域についての前記少なくとも1つの定量値は、前記サブ領域の前記暗視野X線画像から導出されたデータに対する、前記サブ領域の前記X線減衰画像から導出されたデータの正規化を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サブ領域についての前記少なくとも1つの定量値の導出は、前記サブ領域の前記暗視野X線画像から導出されたデータと、前記関心領域の前記X線減衰画像から導出された前記サブ領域の3Dモデルとの結合を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記サブ領域の前記X線減衰画像から導出されたデータは、前記サブ領域の少なくとも1つの透過値を含み、前記サブ領域の前記暗視野X線画像から導出されたデータは、前記サブ領域の少なくとも1つの暗視野値を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記サブ領域の前記X線減衰画像から導出されたデータは、前記サブ領域の少なくとも1つの透過値の少なくとも1つの対数を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記サブ領域の前記X線減衰画像から導出されたデータは、前記サブ領域の第1の位置における透過値の対数を、前記サブ領域の第2の位置における透過値の対数から減算したものを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記サブ領域の前記暗視野X線画像から導出されたデータは、前記サブ領域の少なくとも1つの暗視野値の少なくとも1つの対数を含む、請求項4から6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記サブ領域の前記暗視野X線画像から導出されたデータは、前記サブ領域の第1の位置における暗視野値の対数を、前記サブ領域の第2の位置における暗視野値の対数から減算したものを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、前記サブ領域の少なくとも2つの透過値から決定されたサブ領域の肺ボリュームを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記サブ領域についての少なくとも1つの定量値は複数の定量値であり、前記サブ領域についての性能指数は、前記複数の定量値の均一性の決定を含む、請求項1から9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの画像取得ユニットと、請求項1から10の何れか一項に記載の暗視野情報の提示のための装置とを備える、暗視野情報の提示のためのシステムであって、
前記少なくとも1つの画像取得ユニットは、前記X線減衰画像を提供し、前記暗視野X線画像を提供し、
前記出力ユニットは、前記X線減衰画像及び/又は前記暗視野X線画像を、前記関心領域のそれぞれのサブ領域についての性能指数と共に出力する、
システム。
【請求項12】
暗視野情報の提示のための方法であって、
a)入力ユニットが、物体の関心領域のX線減衰画像を提供するステップと、
b)前記入力ユニットが、前記物体の前記関心領域の暗視野X線画像を提供するステップと、
c)処理ユニットが、前記関心領域の前記X線減衰画像に基づいて、又は前記関心領域の前記暗視野X線画像に基づいて、前記関心領域
を複数のサブ領域
にセグメント化するステップと、
d)前記処理ユニットが、前記複数のサブ領域の各々について少なくとも1つの定量値を導出するステップであって、前記サブ領域についての前記少なくとも1つの定量値は、前記サブ領域の前記X線減衰画像から導出したデータと、前記サブ領域の前記暗視野X線画像から導出したデータとを含む、導出するステップと、
e)前記処理ユニットが、前記複数のサブ領域に複数の性能指数を割り当てるステップであって、前記サブ領域についての性能指数は、前記サブ領域についての少なくとも1つの定量値に基づく、割り当てるステップと、
f)出力ユニットが、それぞれのサブ領域についての性能指数と共に前記関心領域を表すデータを出力するステップと、
を有する、方法。
【請求項13】
ステップd)は、前記処理ユニットが、前記サブ領域の前記暗視野X線画像から導出されたデータに対して、前記サブ領域の前記X線減衰画像から導出されたデータを正規化するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から10の何れか一項に記載の装置又は請求項11に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラムであって、処理ユニットによって実行されると、請求項12又は13に記載の方法のステップを実行する、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗視野X線画像情報の提示のための装置、暗視野X線画像情報の提示のためのシステム、暗視野X線画像情報の提示のための方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
X線暗視野放射線撮影は、肺疾患の検出のための有望な技術である。しかしながら、迅速で信頼性のある診断のために、患者ごとに費やされる時間を大幅に増大させることなく、この新たな情報を放射線医/医師にどのように提示するべきかが明確でない。
【0003】
WO2017/055527A1は、肺状態のバイオマーカを、従来、肺活量計を用いて取得することができることを記載している。肺活量計は、肺により吐き出される空気量の推定値を提供する。肺ボリュームの減少は症状が相当に進んだ時点で初めて現れ得ることに起因して、これは肺状態の段階分類のかなり間接的なバイオマーカである。慢性閉塞性肺疾患(COPD)等の肺状態は、典型的には、関連組織(肺胞を有する微細構造肺組織)が大量の空気を含むことに起因して、従来のX線減衰画像において可視でない。X線暗視野は、肺胞等の微細構造を示すことに成功することができる。したがって、暗視野を用いた肺の撮像は、COPDのステータスに関する情報を提供することができる。
【0004】
WO2009/150565A2は、診断撮像デバイスが、核崩壊イベントを示すガンマ線を検出するための検出器要素を含むことを記載している。同時に検出されるガンマ線のペアが、応答線(LOR)を規定し、それらが収集され、タイムスタンプを付され、リストモードに集約される。組織かん流検査において、再構成画像におけるコントラストと信号対雑音比とを同時に最大化するデータを使用することが有利である。リストモードデータを用いて、調節可能な時間窓におけるイベントが再構成され、再構成画像は、画像のコントラスト及び信号対雑音特性に基づく性能指数を決定するために解析される。時間窓を反復的に調節し、その開始点を時間を遡って延長し、再構成、解析、及び調節のステップを繰り返すことによって、最適性能指数を持つ画像が得られる。
【0005】
WO2006/116700A2は、コンピュータにより実施される品質保証システムに関し、これは、データベースから品質保証及びサポート情報を索出するステップと、患者の監視から、技術的変数に関する情報を受信し、撮像研究の実行における放射線撮影機器に関する情報を受信するステップと、前記技術的変数及び前記品質保証及びサポート情報に基づいて、前記撮像研究後に品質保証スコアを生成するステップと、品質保証スコアに基づいて、撮像研究の品質保証解析を行うステップとを含む。スコアを用いて、傾向解析を行い、教育の推奨を提供し、臨床医、放射線医及び部門にフィードバックすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、放射線医/医師に対し暗視野X線画像情報を提供するための改善した技術を有することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、更なる実施形態が従属請求項に組み込まれている。下記の本発明の態様は、暗視野X線画像情報を提示するための装置、暗視野X線画像情報を提示するためのシステム、暗視野X線画像情報を提示するための方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも適用されることに留意されたい。
【0008】
第1の態様によれば、
入力ユニットと、
処理ユニットと、
出力ユニットと、
を備える、暗視野情報の提示のための装置が提供される。
【0009】
入力ユニットは、処理ユニットに、物体の関心領域のX線減衰画像を提供するように構成される。入力ユニットは、処理ユニットに、物体の関心領域の暗視野X線画像を提供するようにも構成される。処理ユニットは、関心領域のX線減衰画像に基づいて、又は関心領域の暗視野X線画像に基づいて、関心領域の複数のサブ領域を定義するように構成される。処理ユニットは、複数のサブ領域の各々について少なくとも1つの定量値を導出するようにも構成され、サブ領域についての少なくとも1つの定量値は、サブ領域のX線減衰画像から導出したデータと、サブ領域の暗視野X線画像から導出したデータとを含む。処理ユニットは、複数のサブ領域に複数の性能指数を割り当てるようにも構成され、サブ領域についての性能指数は、サブ領域についての少なくとも1つの定量値に基づく。出力ユニットは、それぞれのサブ領域についての性能指数と共に関心領域を表すデータを出力するようにも構成される。
【0010】
このようにして、放射線医は、改善されたワークフローで、暗視野撮像技術の背後にある量的情報の要約を提供される。肺の異なる複数の部分等の身体の領域のサブ領域には性能指数が提供され、これにより、放射線医が、肺の一部分が正常なものから逸脱しているか否かを判断することを可能にし、例えば、肺疾患が迅速に診断されることを可能にする。
【0011】
例において、サブ領域についての少なくとも1つの定量値は、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータに対する、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータの正規化を含む。
【0012】
このようにして、正規化された暗視野信号を対応するサブ領域について要約し、これにより、放射線医に性能指数を提供し、そこから診断を行うことができる、効率的で効果的な方式を提供することができる。
【0013】
このようにして、物体の長さを通過したX線の影響を相殺することができ、結果として、物体のサブ領域についての「材料定数」を表す少なくとも1つの定量値が得られ、それによって、この少なくとも1つの定量値を、例えば、物体のサイズ及び/又は患者のサイズに依拠しない、正常値からのずれを判断するのにより良好に用いることができる。
【0014】
例において、サブ領域についての少なくとも1つの定量値の導出は、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータと、関心領域のX線減衰画像から導出されたサブ領域の3Dモデルとの結合を含む。
【0015】
例において、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの透過値を含み、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの暗視野値を含む。
【0016】
例において、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの透過値の少なくとも1つの対数を含む。
【0017】
このようにして、X線減衰画像から導出されたデータは、物体を通る長さと結合された、減衰パラメータに関する情報を提供する。
【0018】
例において、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の第1の位置における透過値の対数を、サブ領域の第2の位置における透過値の対数から減算したものを含む。
【0019】
このようにして、ビーム硬化及びコンプトン散乱の影響を軽減することができる。
【0020】
例において、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの暗視野値の少なくとも1つの対数を含む。
【0021】
このようにして、暗視野X線画像から導出されたデータは、物体を通る長さと結合された、散乱パラメータに関する情報を提供する。
【0022】
例において、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータは、サブ領域の第1の位置における暗視野値の対数を、サブ領域の第2の位置における暗視野値の対数から減算したものを含む。
【0023】
このようにして、特に、X線減衰画像からの対応する透過値が対応する2つの位置において用いられ、これらの位置からX線減衰画像から導出されたデータが、サブ領域の第1の位置における透過値の対数を、サブ領域の第2の位置における透過値の対数から減算したものを含むとき、ビーム硬化及びコンプトン散乱の影響を軽減することができる。
【0024】
例において、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも2つの透過値から決定されたサブ領域の肺ボリュームを含む。
【0025】
このようにして、暗視野信号を肺ボリュームに対して正規化することができ、また、より良好に診断を行うことを可能にするために、正規化された暗視野信号と共に肺ボリュームデータも放射線医に提示することができる。
【0026】
例において、サブ領域についての少なくとも1つの定量値は複数の定量値であり、サブ領域についての性能指数は、複数の定量値の均一性の決定を含む。
【0027】
第2の態様によれば、
少なくとも1つの画像取得ユニットと、
第1の態様による暗視野情報の提示のための装置と、
を備える、暗視野情報の提示のためのシステムが提供される。
【0028】
少なくとも1つの画像取得ユニットは、X線減衰画像を提供し、暗視野X線画像を提供するように構成される。出力ユニットは、X線減衰画像及び/又は暗視野X線画像を、関心領域のそれぞれのサブ領域についての性能指数と共に出力するように構成される。
【0029】
第3の態様によれば、暗視野情報の提示のための方法であって、
a)物体の関心領域のX線減衰画像を提供することと、
b)物体の関心領域の暗視野X線画像を提供することと、
c)関心領域のX線減衰画像に基づいて、又は関心領域の暗視野X線画像に基づいて、関心領域の複数のサブ領域を定義することと、
d)複数のサブ領域の各々について少なくとも1つの定量値を導出することであって、サブ領域についての少なくとも1つの定量値は、サブ領域のX線減衰画像から導出したデータと、サブ領域の暗視野X線画像から導出したデータとを含むことと、
e)複数のサブ領域に複数の性能指数を割り当てることであって、サブ領域についての性能指数は、サブ領域についての少なくとも1つの定量値に基づくことと、
f)それぞれのサブ領域についての性能指数と共に関心領域を表すデータを出力することと、
を有する、方法が提供される。
【0030】
例において、ステップd)は、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータに対して、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータを正規化することを含む。
【0031】
別の態様によれば、上述した装置を制御するコンピュータプログラム要素が提供され、コンピュータプログラム要素は、処理ユニットによって実行されると、上述した方法ステップを実行するように適合される。
【0032】
別の態様によれば、上述したコンピュータ要素を記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0033】
有利には、上記の態様及び例のうちの任意のものによって提供される利点が、他の態様及び例の全てに等しく適用され、逆もまた同様である。
【0034】
上記の態様及び例は、以下に記述される実施形態から明らかになり、これらの実施形態を参照して説明される。
【0035】
例示的な実施形態について、次の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】暗視野X線画像情報の提示のための装置の例を示す。
【
図2】暗視野X線画像情報の提示のためのシステムの例を示す。
【
図3】暗視野X線画像情報の提示のための方法の例を示す。
【
図4】肺の画像を複数のサブ領域にどのように分割又はセグメント化することができるかの2つの例を示す。
【
図5】暗視野X線画像情報の提示のためのシステムの動作の例の詳細なワークフローを示す。
【
図8】肺の3D形状に関連付けられたX線投影射線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、暗視野情報の提示のための装置10の例を示す。装置10は、入力ユニット20と、処理ユニット30と、出力ユニット40とを備える。入力ユニット20は、処理ユニット30に、物体の関心領域のX線減衰画像を提供するように構成される。入力ユニット20はまた、処理ユニット30に、物体の関心領域の暗視野X線画像を提供するように構成される。処理ユニット30は、関心領域のX線減衰画像に基づいて、又は関心領域の暗視野X線画像に基づいて、関心領域の複数のサブ領域を定義するように構成される。処理ユニット30はまた、複数のサブ領域の各々について少なくとも1つの定量値を導出するように構成される。サブ領域についての少なくとも1つの定量値は、サブ領域のX線減衰画像から導出したデータと、サブ領域の暗視野X線画像から導出したデータとを含む。処理ユニット30はまた、複数のサブ領域に複数の性能指数を割り当てるように構成される。サブ領域についての性能指数は、サブ領域についての少なくとも1つの定量値に基づく。出力ユニット40は、それぞれのサブ領域についての性能指数と共に関心領域を表すデータを出力するように構成される。
【0038】
例において、関心領域は肺である。
【0039】
例において、物体の領域のセグメント化を通じて複数のサブ領域が定義される。例えば、セグメント化は、解剖学的構造に向けたものであってもよく、更には手動で定義された領域に向けたものであってもよい。
【0040】
例によれば、サブ領域についての少なくとも1つの定量値は、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータに対する、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータの正規化を含む。
【0041】
例によれば、サブ領域についての少なくとも1つの定量値の導出は、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータと、関心領域のX線減衰画像から導出されたサブ領域の3Dモデルとの結合を含む。
【0042】
例によれば、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの透過値を含み、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの暗視野値を含む。
【0043】
例によれば、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの透過値の少なくとも1つの対数を含む。
【0044】
例によれば、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の第1の位置における透過値の対数を、サブ領域の第2の位置における透過値の対数から減算したものを含む。
【0045】
例によれば、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの暗視野値の少なくとも1つの対数を含む。
【0046】
例によれば、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータは、サブ領域の第1の位置における暗視野値の対数を、サブ領域の第2の位置における暗視野値の対数から減算したものを含む。
【0047】
例によれば、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも2つの透過値から決定されたサブ領域の肺ボリュームを含む。
【0048】
例によれば、サブ領域の少なくとも1つの定量値は複数の定量値である。このとき、サブ領域についての性能指数は、複数の定量値の均一性の決定を含むことができる。
【0049】
図2は、暗視野情報の提示のためのシステム100の例を示す。システム100は、少なくとも1つの画像取得ユニット110と、
図1に関して説明したような暗視野情報の提示のための装置10と、上記の例又は例の組合せのうちの任意のものとを備える。少なくとも1つの画像取得ユニット110は、X線減衰画像を提供し、暗視野X線画像を提供するように構成される。出力ユニット40は、関心領域のそれぞれのサブ領域についての性能指数と共に、X線減衰画像及び/又は暗視野X線画像を出力するように構成される。
【0050】
例において、少なくとも1つの画像取得ユニットは、格子をベースとした暗視野X線撮像デバイスを備える。例において、少なくとも1つの画像取得ユニットが干渉計装置を備える。
【0051】
例において、少なくとも1つの画像取得ユニットは、X線撮像デバイスを備える。例えば、デバイスは、暗視野撮像のために準備された放射線撮影システムとすることができる。
【0052】
例において、少なくとも1つの画像取得ユニットが、標準放射線撮影モードで動作することができ、透過された放射線の強度が、物体を通じた減衰の情報を提供する。例において、同じ画像取得ユニットを用いて、減衰画像及び暗視野画像を取得することができる。例えば、減衰情報及び暗視野情報は、同じ取得データの評価の出力とすることができる。このデータは、格子のうちの1つの異なる位相位置を有する画像を示す多重露光(例えば4~20)とすることができる。検出器と同じ大きさの格子を用いて全視野システムを実施することができる。
【0053】
例において、少なくとも1つの画像取得ユニットは、検査領域内に物体がある状態及びない状態でのX線の強度値の検出に関する、減衰画像を生成する。例において、少なくとも1つの画像取得ユニットは、検査領域内に物体がある状態及びない状態でのX線の縞の可視性の検出に関する暗視野(又はデコヒーレンス)画像を生成する。例において、少なくとも1つの画像取得ユニットが、これらの画像の任意の組合せを生成する。例えば、少なくとも1つの画像取得ユニットは、減衰画像を生成し、かつ暗視野画像を生成することができる。例において、減衰画像及び暗視野画像は、同時に生成することができる。
【0054】
例において、物体は、身体又は身体の一部であり、領域は身体の肺である。例において、領域は身体の他の部分であってもよい。
【0055】
図3は、暗視野情報の提示のための方法200を、その基本的なステップにおいて示す。方法200は、
ステップa)とも呼ばれる提供ステップ210において、物体の関心領域のX線減衰画像を提供することと、
ステップb)とも呼ばれる提供ステップ220において、物体の関心領域の暗視野X線画像を提供ことと、
ステップc)とも呼ばれる定義ステップ230において、関心領域のX線減衰画像に基づいて、又は関心領域の暗視野X線画像に基づいて、関心領域の複数のサブ領域を定義することと、
ステップd)とも呼ばれる導出ステップ240において、複数のサブ領域の各々について少なくとも1つの定量値を導出し、サブ領域についての少なくとも1つの定量値は、サブ領域のX線減衰画像から導出したデータと、サブ領域の暗視野X線画像から導出したデータとを含む、ことと、
ステップe)とも呼ばれる割当てステップ250において、複数のサブ領域に複数の性能指数を割り当て、サブ領域についての性能指数は、サブ領域についての少なくとも1つの定量値に基づく、ことと、
ステップf)とも呼ばれる出力ステップ260において、それぞれのサブ領域についての性能指数と共に関心領域を表すデータを出力することと、を有する。
【0056】
例によれば、ステップd)は、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータに対して、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータを正規化することを含む。
【0057】
例において、ステップd)は、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータと、関心領域のX線減衰画像から導出されたサブ領域の3Dモデルとを結合することを含む。
【0058】
例において、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの透過値を含み、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの暗視野値を含む。
【0059】
例において、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの透過値の少なくとも1つの対数を含む。
【0060】
例において、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の第1の位置における透過値の対数を、サブ領域の第2の位置における透過値の対数から減算したものを含む。
【0061】
例において、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも1つの暗視野値の少なくとも1つの対数を含む。
【0062】
例において、サブ領域の暗視野X線画像から導出されたデータは、サブ領域の第1の位置における暗視野値の対数を、サブ領域の第2の位置における暗視野値の対数から減算したものを含む。
【0063】
例において、サブ領域のX線減衰画像から導出されたデータは、サブ領域の少なくとも2つの透過値から決定されたサブ領域の肺ボリュームを含む。
【0064】
例において、サブ領域の少なくとも1つの定量値は複数の定量値であり、サブ領域についての性能指数は、複数の定量値の均一性の決定を含む。
【0065】
ここで、暗視野X線画像情報の提示のための装置、システム及び方法が、
図4~
図5を参照して更に詳細に説明される。
【0066】
図4は、肺のサブ領域を定義する例について、領域のサブ領域がどのように定義されるかの2つの例を示す。肺は、X線減衰画像とも呼ばれる従来の胸部X線像に基づいて異なる複数のセグメントに分割されている。セグメント化は、解剖学的構造に向けたものであってもよいが、更には手動で定義された領域に向けたものであってもよい。
図4の上部において、肺は複数の肺葉に分割又はセグメント化される。
図4の下部において、肺は、複数の幾何学的サブ領域に分割され、この例では、4つのサブ領域に分割されているが、必要に応じて、2つ~9つのサブ領域に分割されてもよい。サブ領域を定義するために、X線減衰画像又は暗視野画像を分割又はセグメント化することができ、それにより、肺の減衰画像が異なる複数のセグメントに分割される代わりに、肺の暗視野画像が同様の方式で異なる複数のセグメントに分割されてもよい。
【0067】
肺の定義されたサブ領域に基づいて、暗視野信号及び透過信号の結合に基づいた肺の品質に関する局所定量情報が導出される。これは、暗視野信号の正規化を通じて達成される。次に、正規化された暗視野が、例えば、以下で表に記載するように、0~4のスケールを用いて対応するサブ領域について要約される。
【0068】
【0069】
以下は、暗視野正規化に関する更なる詳細を提供し、暗視野信号の特定の例がX線減衰画像の透過に対して正規化されているが、暗視野画像は、例えば、
図5に示す詳細なワークフローを用いて肺ボリュームに対して正規化されてもよい。
【0070】
X線減衰画像から開始して、以下が適用される。
I=X線の強度;I0=減衰していない強度
μ=減衰パラメータ
l=材料を通る長さ
T=透過;T=I/I0 I=I0e-μl
T=e-μl
【0071】
したがって、負の対数の透過は、物体特性と密に関係している。
-ln(T)=μl
【0072】
このため、透過の負の対数は、その位置における物体材料の減衰パラメータで畳み込まれた物体の寸法に等しい。
【0073】
次に、暗視野信号を検討して、以下が適用される。
V=干渉計における縞パターンの可視性;V0=減衰していない可視性
ε=散乱パラメータ
l=材料を通る長さ
D=暗視野;D=V/V0 V=V0e-εl
D=e-εl
【0074】
このとき、暗視野の負の対数は、物体特性にも関連する。
-ln(D)=εl
【0075】
このため、暗視野信号の負の対数は、このポイントにおける物体の散乱パラメータで畳み込まれた物体の寸法に等しい。値「εl」は、暗視野信号と呼ぶこともできる。
【0076】
肺に関する暗視野撮像の特定の利点は、肺が、ほとんどの他の組織と反対にε>0を有することである。達成される最も高い縞信号は、物体が存在しないときであり、干渉計の可視性はV0である。対数領域において、-ln(D=1)=0であり、物体が存在しないとき、「物体なし」の暗視野信号は0の値を有する。肺が存在すると、可視性が低下し、-ln(D)>0である。このため、肺の存在により、暗視野信号=-ln(D):暗視野信号=ε1で暗視野信号が生成される。
【0077】
正常な肺組織は、εの高値を有し、病的状態の肺はεの低値を有することが分かっていることに留意されたい。
【0078】
正規化に関して、撮像に関与する肺組織のみが存在し、他の軟組織、骨、及び空洞が存在しない場合、2つの指数法則は類似の結果をもたらす。
-ln(T)=μl
-ln(D)=εl=暗視野信号
【0079】
画像T(x,y)及びD(x,y)は共に、物体l(x,y)の寸法を表す。
【0080】
しかしながら、対数領域において、減衰画像における透過に対し暗視野信号を正規化することによって(ここで、「正規化」は逆にも適用できる)、比は以下となる。
【数1】
【0081】
このため、そのような正規化を通じて2つの画像の比を決定することによって、位置l(x,y)における物体を通る長さの影響が相殺される。このとき、商μ/εは、まさにこの肺の「材料定数」とみなすことができる。
【0082】
このようにして、この方式での暗視野信号の正規化を通じて、物体のサイズの影響を軽減することができる。このため、低暗視野信号は、病的状態の肺を表し得る一方で、小さな寸法「l」を有する肺の暗視野撮像に起因する可能性もあるが、暗視野信号を正規化することによって、肺についての材料定数情報を決定することができ、この情報が肺を通る長さから逆畳み込みされ、正常な肺組織が病的状態の組織と差別化されることが可能になる。
【0083】
しかしながら、実際には、「暗視野信号値」は肺の外側で0ではない。その理由は、ビーム硬化及びコンプトン散乱であり、これらは共に、縞の可視性の減少につながり、したがって、「偽の暗視野信号」又は誤った暗視野信号につながる。
【0084】
これに対処し、正規化からこれを取り出すために、特定の校正及び局所参照を適用することができる。これは、肺内の2つの場所(1及び2)における暗視野信号が、肺内のそれら2つの場所における透過値と結合されて用いられることに基づく正規化につながり、それによって以下となる。
【数2】
【0085】
上記は、暗視野信号を透過「信号」に対しどのように正規化することができるかの1つの例に関する。しかしながら、暗視野信号は、それ自体が透過信号から導出された肺ボリュームに対して正規化されてもよい。これは、T信号を胸郭内の空気のmmに変換することが可能であることに起因して可能である。追加の2d情報T(x,y)を用いて、各肺をmm3単位の肺ボリュームと関連付けることができる。この方式での肺ボリュームの決定に関する更なる詳細は、US2016/0210739A1において得ることができる。
【0086】
このとき、各サブ領域は、上記の表において要約された値として示される信号強度を有する。ここで、実際に、サブ領域ごとに複数の異なる信号強度が存在する。しかしながら、放射線医に、サブ領域についての信号強度に加えて更なる情報を提供するために、サブ領域についての信号の均一性も放射線医に提供され、0~3の値Hが割り当てられる。
【0087】
【0088】
このため、提示される装置、システム及び方法の結果として、放射線医は、表示された従来の胸部放射線撮影と、異なる複数のサブ領域について正規化された暗視野値、並びに信号均一性及び対応する肺ボリュームを表示する表とを有することになる。この情報は、放射線医が有効な診断を行うのに役立つ。
【0089】
胸部全体の肺部分を横切る投影射線の長さは、2D暗視野画像から直接測定することができないため、信号の大きさの絶対値が決定されない。これは、正規化を通じて対処することができる。しかしながら、2D DAX画像の投影特性は、多くの部位について、2つ以上の肺葉/セグメント/サブ領域が互いの上に重ね合わされ、それによって肺葉ごとの寄与が決定されないことにつながる。したがって、サブ領域の定量値が決定されることを可能にするために、透過「信号」に対し暗視野信号を上記で論考した方式で正規化するのではなく、2D暗視野投影画像を肺葉3Dモデルと結合することができる。
【0090】
肺葉モデルは、
(a)一般的であり、暗視野画像に付随する吸収画像における肺輪郭に適合されるか、又は、
(b)患者固有であり、患者の追加の3D CT画像に適合され、その後、CT検査と暗視野検査との間の可能性のある異なる吸気状態を考慮に入れるように、暗視野画像に付随する吸収画像における肺輪郭に適合されることができる。
【0091】
暗視野信号が1つの肺葉(又はセグメント)内で均一であるという仮定を用いて、過剰決定系の連立一次方程式が、K個の未知数(5つの肺葉又は20個のセグメント)について解かれる。次に、N個の投影射線を取得して、N個の投影射線(N>>K)の各々について式が形成される。式ごとに、モデルを用いて、肺葉(セグメント)の各々について、射線が横切る部分射線長が決定される。未知数は、ボリューム要素ごとの平均DAX信号であり、これらは、非負の解の制約下で標準的な1次方程式ソルバによって解かれる。その和によって、観測される暗視野投影値が得られる。このようにして、2D暗視野画像、及びX線減衰画像から導出された肺葉モデルからの補足情報を用いて、肺胞がCT画像内で可視でなく、肺葉境界が暗視野画像内で可視でないときに、肺葉値が決定されることが可能となる。K個の肺葉(セグメント)暗信号を、数値結果として放射線医に報告し、任意選択で、例えばヒートマップ疑似カラースケールを用いて冠状/矢状グラフィックに変換することができる。肺葉/セグメントごとの報告は、ボリューム要素ごとの平均信号、及び肺葉累積信号値の双方であり得る。
【0092】
これは、
図6~
図8を参照して更に詳細に説明される。
【0093】
【0094】
上記のa)又はb)において論考されるようなセグメント化及びモデル適合は、場所の推定値及び個々の肺セグメントの境界を含む肺の3D形状を提供する。これらは
図6においてS1~S4で指示される。
【0095】
図7は、散乱特性を有する肺の3D形状を示す。各セグメントは、ε
1~ε
4で表される均一散乱特性を有するものと想定される。
【0096】
図8は、肺の3D形状に関連付けられたX線投影射線を示す。投影形状も分かっており、すなわち、検出器における測定値ごとに、X線が肺を通るいずれのルートを取るかが3Dで分かっている。したがって、射線R
1~R
5ごとに、各肺セグメントを通る経路長の長さがどれだけであったかが分かる。セグメントjを通る射線iの経路長がL
ijによって表されるものとする。
【0097】
射線iにおいて累積された予測DAX(暗視野)信号(すなわち、射線iが検出器に当たる検出器ピクセルにおけるDAX信号)は、このモデルにおいて、以下である。
【数3】
【0098】
行列-ベクトル表記において、これは以下のように表される。
【数4】
【0099】
通例、数千の射線が存在するが、肺セグメントは20個のみである。このため、この連立一次方程式は、大幅に過剰決定である。このため、例えば、以下のように計算することができるムーア-ペンローズの疑似逆行列L
†を用いて安定解を得ることができる。
L
†=(L
TL)
-1L
T
【数5】
【0100】
X線暗視野撮像における更なる詳細は、以下の論文において得ることができる。Pfeiffer、Franz他、「Hard-X-ray dark-field imaging using a grating interferometer」Nature materials 7.2 (2008)、134~137頁、及びYaroshenko、Andre他「Pulmonary emphysema diagnosis with a preclinical small-animal x-ray dark-field scatter-contrast scanner」Radiology 269.2 (2013)、427~433頁。
【0101】
別の例示的な実施形態では、前出の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを適切なシステムで実行するように構成されていることを特徴とする、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0102】
したがって、コンピュータプログラム要素は、一実施形態の一部でもあり得るコンピュータユニットに記憶され得る。この計算ユニットは、上述の方法のステップを実行する、又はステップの実行を誘導するように構成される。更に、計算ユニットは、上述の装置の構成要素を動作させるように構成される。計算ユニットは、自動的に動作するように、かつ/又はユーザの命令を実行するように構成することができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリにロードされ得る。したがって、データプロセッサは、前出の実施形態のうちの1つによる方法を実施するように装備される。
【0103】
本発明のこの例示的な実施形態は、まさに最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、既存のプログラムを、更新によって本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を包含する。
【0104】
更に、コンピュータプログラム要素は、上述の方法の例示的な実施形態の手順を実行するのに必要な全てのステップを提供することができる。
【0105】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、CD-ROM等のコンピュータ可読媒体が提示され、このコンピュータ可読媒体には、前の段落で記述されているコンピュータプログラム要素が記憶されている。
【0106】
コンピュータプログラムが、他のハードウェアと一緒に、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体等の適切な媒体によって記憶及び/又は配布されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線遠隔通信システム等を介する他の形でも配布される。
【0107】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、このようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードすることができる。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードできるようにするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0108】
本発明の実施形態は、異なる主題に関して説明されていることに留意すべきである。特に、いくつかの実施形態は方法タイプの請求項に関して説明されているのに対し、他の実施形態はデバイスタイプの請求項に関して説明されている。しかし、当業者であれば、上記及び下記の説明から、特に明記されていない限り、一種類の主題に属する特徴の任意の組合せに加えて、異なる主題に関連する特徴の間の任意の組合せもまた、本出願によって開示されるものと考えられることが推論されよう。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、これらの特徴の単純な和をとるよりも多くの相乗効果をもたらすことができる。
【0109】
本発明を図面及び上記の説明で詳細に図示及び説明してきたが、このような図示及び説明は限定的なものではなく、説明的又は例示的なものと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の諸変形形態が、特許請求された本発明を実践する際に、図面、本開示、及び従属請求項を検討することにより、当業者によって理解され、達成され得る。
【0110】
特許請求の範囲中で、「備える、含む、有する」という語は他の要素又はステップを除外せず、また単数形は複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に列挙されたいくつかの物品の機能を実現する。いくつかの方策が互いに異なる従属請求項に列挙されているにすぎないことは、これらの方策の組合せを有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲中のいかなる参照符号も特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。