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特許7053837電子構成要素を有するアンテナ構造を装着するための方法および装置
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  • 特許-電子構成要素を有するアンテナ構造を装着するための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】電子構成要素を有するアンテナ構造を装着するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20220405BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20220405BHJP
   H05K 1/03 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
G06K19/077 212
G06K19/077 136
G06K19/077 280
H01P11/00
H05K1/03 650
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020533070
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2018084420
(87)【国際公開番号】W WO2019115557
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】102017129625.5
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520204788
【氏名又は名称】ミュールバウアー・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジークムント・ニクラス
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/006787(WO,A1)
【文献】特表2004-527814(JP,A)
【文献】特開2013-109715(JP,A)
【文献】特表2015-520800(JP,A)
【文献】特開2005-309960(JP,A)
【文献】特開2008-010841(JP,A)
【文献】特開2006-053785(JP,A)
【文献】特開2007-065867(JP,A)
【文献】特開2007-156632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00-19/18
H01P 11/00
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子構成要素(3)、特にRFIDチップを有するアンテナ構造(1)、特にRFIDアンテナ構造の装着のための方法であって、
前記電子構成要素(3)の付着の前に、その焼結後に導電性となる焼結可能な材料により、キャリア基板(2)上にアンテナ構造(1,1a)をプリントすることによって前記アンテナ構造(1,1a)を生成するステップであって、前記焼結可能な材料は、後続の加熱によって焼結される、前記アンテナ構造(1,1d)の導電率を形成するための導電性粒子を含む焼結可能なインクである、ステップと、
キャリア基板(2)上に形成され、その焼結後に導電性となる前記焼結可能な材料から作られるアンテナ構造(1;1a,1b)に電子構成要素(3)を付着させ、その結果、接触面が前記アンテナ構造(1)の接触領域と対応する前記電子構成要素(3)の電気接点との間に形成されるステップと、
前記アンテナ構造(1)を焼結するために前記アンテナ構造(1)を加熱するステップであって、それによって、前記アンテナ構造(1)の前記接触領域と前記電子構成要素(3)の前記電気接点との間で、接着剤を用いない機械的電気的な接続を同時に形成する、ステップと
を含
前記方法は、以下の加熱ステップ、すなわち
前記電子構成要素(3)の前記付着の前に、前記焼結可能な材料および/または前記キャリア基板(2)を少なくとも部分的に乾燥させるために、生成した前記アンテナ構造(1,1a)を、前記焼結可能な材料の焼結温度より低い温度に加熱するステップと、
前記アンテナ構造(1,1c)と前記電子構成要素(3)の事前の接着剤なしの機械的接続のため、前記接触面の領域における前記焼結可能な材料を、前記焼結可能な材料の前記焼結温度より低い温度に加熱するステップと
のうちの1つまたは複数をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記インクが酸化防止剤をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリア基板(2)上への前記アンテナ構造(1,1a)の前記プリントが、インクジェットプリンタによって実行される、請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
前記アンテナ構造(1,1c)の焼結のための前記アンテナ構造(1,1c)の加熱期間に、前記アンテナ構造(1,1c)が、少なくとも前記接触面の前記領域において、少なくとも250℃、好ましくは少なくとも300℃の温度に加熱される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アンテナ構造(1,1b)への前記電子構成要素(3)の前記付着が、
構成要素キャリア基板から前記アンテナ構造(1,1b)への前記電子構成要素(3)の直接搬送、または
構成要素キャリア基板から前記アンテナ構造(1,1b)への搬送デバイスによる前記電子構成要素(3)の間接搬送であって、前記搬送デバイスが、前記構成要素キャリア基板から前記電子構成要素(3)を取って、前記電子構成要素(3)を前記アンテナ構造(1,1b)に移送して前記電子構成要素(3)を前記アンテナ構造(1,1b)に付着する、間接搬送
によって実行される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アンテナ構造(1,1d)への前記電子構成要素(3)の機械的電気的な接続を作った後で、前記電子構成要素(3)をカプセル化するステップ
をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カプセル化が、前記電子構成要素(3)上への液体またはペースト状のカプセル化化合物の塗布、およびその後のカプセル化化合物の硬化によって、非接触の様式で実行される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法の過程の間の、少なくとも1つの時点における、前記アンテナ構造(1)および/または前記電子構成要素(3)のセンサベースの検査、ならびに
このセンサベースの検査の結果に応じた前記方法の前記センサベースの検査の後の過程の制御
をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記検査の前記結果に従って製品の障害が検出される場合に、前記方法に従った障害のないアンテナ構造/電子構成要素の組合せ(1,3または1f)の製造のために想定される前記方法の少なくとも1つの方法ステップが省略されるようなやり方で、前記方法の前記センサベースの検査の後の過程が制御される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記キャリア基板(2)が、テープの形状であるように構築され、その長手方向に沿って移送され、
前記長手方向に対してある角度に延びる第2の方向に沿って、前記キャリア基板上に複数のアンテナ構造(1)が設けられ、または生成され、その結果、いくつかのトラックの上にそれに応じて分散された、ある量のアンテナ構造/電子構成要素の組合せ(1,3または1f)を製造するための、マルチトラック製造プロセスが、移送方向に沿ってもたらされる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
電子構成要素(3)、特にRFIDチップを有するアンテナ構造(1,1a)、特にRFIDアンテナ構造を装着するための装置(10)であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行するように配置される装置(10)。
【請求項12】
キャリア基板(2)上に形成されるアンテナ構造上(1,1b)に電子構成要素(3)を配置するように構成される装着デバイス(14)であって、そのアンテナ構造(1,1b)は、接触面が前記アンテナ構造(1,1c)の接触領域と対応する前記電子構成要素(3)の電気接点との間に形成されるように、その焼結後に導電性となる焼結可能な材料から作られる、装着デバイス(14)と、
前記アンテナ構造を焼結するために前記アンテナ構造を加熱するように構成された焼結デバイス(16a,b)であって、一方前記アンテナ構造を焼結するための前記アンテナ構造の加熱により、前記アンテナ構造(1,1c)の前記接触領域と前記電子構成要素(3)の前記電気接点との間で、接着剤を用いない機械的電気的な接続を同時に形成させる焼結デバイス(16a,b)と
を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記装着デバイス(14)が、
構成要素キャリア基板から前記アンテナ構造(1,1b)に電子構成要素(3)を直接搬送するように構成される第1の搬送デバイス、および/または
構成要素キャリア基板から前記アンテナ構造(1,1b)に電子構成要素(3)を間接搬送するように構成される第2の搬送デバイスであって、前記電子構成要素(3)を構成要素キャリア基板から取り、前記電子構成要素(3)を前記アンテナ構造(1,1b)に移送して、前記電子構成要素(3)を前記アンテナ構造(1,1b)に付着するように構成される、第2の搬送デバイス
を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
以下のデバイス、すなわち
前記焼結デバイス(16a,b)によって焼結することにより前記アンテナ構造(1,1d)の導電率を形成するための導電性粒子を含む焼結可能なインクによって、前記キャリア基板(2)上に前記アンテナ構造(1,1a)をプリントすることによって、前記電子構成要素(3)の前記付着の前に、前記アンテナ構造(1,1a)を生成するように構成されるプリントデバイス(11)、
前記電子構成要素(3)の前記付着の前に、前記インクおよび/または前記キャリア基板(2)を少なくとも部分的に乾燥させるために、生成した前記アンテナ構造(1,1a)を、前記アンテナ構造(1,1a)の材料の焼結温度より低い温度に加熱するように構成される乾燥デバイス(13a,b)、
前記アンテナ構造(1,1a)への前記電子構成要素(3)の事前の接着剤なしの機械的接続のため、前記接触面の領域における前記インクを、前記インクの焼結温度より低い温度に加熱するように構成される固定デバイス(15)、
前記アンテナ構造(1,1c)への前記電子構成要素(3)の機械的電気的な接続が確立された後で、前記電子構成要素(3)をカプセル化するように構成されるカプセル化デバイス(17)、
前記方法の過程の間の、少なくとも1つの時点における前記アンテナ構造および/または前記電子構成要素(3)のセンサベースの検査のためのセンサデバイス(12)、ならびに、このセンサベースの検査の結果に応じて、前記方法の前記センサベースの検査の後の過程を制御するための制御デバイス(21)、
前記装置(10)の前記デバイス(11から19)のうちの2つの連続したデバイスの間で前記キャリア基板(2)を緩衝するように構成される緩衝デバイス(22a,b)、
完成したアンテナ構造/電子構成要素の組合せ(1,3,または1e)を試験するための試験デバイス(18)、
共通のキャリア基板(2)上で作製された前記アンテナ構造/電子構成要素の組合せ(1,3,または1e)を分割するための分割デバイス(19)
のうちの1つまたは複数をさらに備える、請求項11から13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子構成要素、特にRFIDチップを有するアンテナ構造、特にRFIDアンテナ構造、ならびに少なくとも1つの構成要素を備えて電気的および機械的に接続したそのようなアンテナ構造(以降では、アンテナ構造/構成要素の組合せ)の装着のための方法ならびに装置に関する。本文脈では、RFIDは、「無線周波数識別、radio frequency identification」という英語の用語を意味し、電波を使用して物体および生物を自動的に非接触で識別および位置特定するための、送受信器システムのためのよく知られた技術のことを呼ぶ。RFIDの場合には、電子構成要素(RFIDチップ)に接続されるアンテナ構造(アンテナ構造/構成要素の組合せ)は、具体的には、それが呼ばれているように、具体的にはRFID無線ラベルを表すこと、またはRFID無線ラベルの一部であることができる(しばしば、「RFIDタグ」とも呼ばれる)。しかし、本発明は、RFID用途に限定されず、他の技術および用途に関係して使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
知られているアンテナ構造は、たとえば、従来型の金属製ロッドアンテナなどの自己支持型となるように構築することができ、または逆に、特に短距離無線通信のためのアンテナの場合に、たとえば、薄膜メタライゼーションとしてキャリア基板に付着することができる。無線モジュールを形成するため、アンテナ構造は、具体的には無線チップの形での電子構成要素の形で構築することができる、好適な回路を備えなくてはならない。アンテナ構造もしくはそのアンテナ接点を接続するために、キャリア基板に適用されるアンテナ構造のため(たとえば、RFIDタグのためなど)の従来の解決策は、たとえばエポキシベースの導電性接着剤が、典型的には、アンテナ構造のアンテナ接点に塗布され、次いで電子構成要素がその上に置かれる。加えて、その後に接着剤を熱硬化させるため、硬化期間にアンテナ接点上に構成要素を押しつけるため、および接着剤を加熱するように、典型的には、加熱したサーモードが使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子構成要素、特にRFIDチップを有するアンテナ構造、特にRFIDアンテナ構造、ならびに対応するアンテナ構造/構成要素の組合せの装着を改善するための方法ならびに装置を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この問題に対する解決策は、独立請求項の教示に従って提供される。本発明の様々な実施形態およびさらなる発展形態が、従属請求項の主題である。
【0005】
本発明の第1の態様は、電子構成要素、特にRFIDチップを有するアンテナ構造、特にRFIDアンテナ構造の装着のための方法に関する。方法は、以下のステップ、すなわち、(i)キャリア基板上に形成され、焼結後に導電性となる焼結可能な材料から作られるアンテナ構造に電子構成要素を付着させ、その結果、接触面がアンテナ構造の接触領域と対応する構成要素の電気接点との間に形成されるステップと、(ii)アンテナ構造を焼結するためにアンテナ構造を加熱するステップであって、それによって、アンテナ構造の接触領域と構成要素の電気接点との間で、接着剤を用いない機械的電気的な接続を同時に形成する、ステップとを含む。複数の電子構成要素を有するアンテナ構造を装着するために、本方法を使用することもできる。
【0006】
本発明の意味における「アンテナ構造」は、無線アンテナとして構築される、導電性材料、特に金属または金属合金から作られる空間的物理的構造を意味すると理解されたい。アンテナ構造は、具体的には、たとえば紙またはプラスチック材料のキャリア基板上に、具体的にはやはり薄い層として形成することができる。
【0007】
本発明の意味における「電子構成要素」とは、(i)電気的に受動もしくは能動の個別構成要素、(ii)電子回路、具体的には集積回路(IC)、または(iii)いくつかの個別構成要素もしくは電子回路を備えるプリント回路(PCB、プリント回路板)などといった組立体を意味すると理解されたい。電子構成要素の接点は、したがって、具体的には個別構成要素上、集積回路上または組立体上の、導電性コンタクトパッドまたは導電性接触面であってよい。
【0008】
「焼結後に導電性となる焼結可能な材料」とは、微細な導電性粒子、具体的には金属粒子を含み、(焼結)温度へ加熱するが工作物(この場合はアンテナ構造)の形状(形)が維持されるように材料の主成分の融点未満を維持すると、材料に圧力を印可する必要なしに、硬さ、強度もしくは導電率および/または熱伝導率などといった、材料の最終的な特性を得る材料を意味すると理解されたい。具体的には、材料は、焼結前には電気的絶縁体であってよく、または焼結後のその導電率と比較してより低い導電率だけを有してよく、その結果、最終的に完成したアンテナ構造の導電率は焼結によってのみ実現される。
【0009】
本順序に従った方法を用いれば、具体的には、とりわけ時間および費用の節約を達成するために使用できる、アンテナ構造/構成要素の組合せを製造するためのプロセスを簡略化することが可能である。従来型の製造プロセスと比較したとき、具体的には個別の製造ステップを簡略化することまたは省略することさえできる。具体的には、アンテナ構造と構成要素の間の接続の最終的な確立のための、加熱したサーモードの使用はもはや必要でなく、このことによって、さらに、構成要素に対して機械的な損傷が生じる関連リスクがなくなる。同様に、以前に使用されていた、構成要素をアンテナ構造に固定するために接着剤を塗布する製造ステップを省略することができる。
【0010】
以下では、本方法の好ましい実施形態およびさらなる発展形態が記載されることになるが、その各々は、明示的に除外されない限り、互いに、ならびに以下に記載される本発明の他の態様と任意の望ましい様式で組み合わせることができる。具体的には、本方法は、以下に記載される本発明の第3の態様に従ったアンテナ構造/構成要素の組合せを製造するのに好適である。
【0011】
好ましい実施形態によれば、構成要素が付着される前に、アンテナ構造は、最初に、アンテナ構造の導電率を形成するための導電性粒子を含む焼結可能なインクで、キャリア基板上にアンテナ構造をプリントし、それがその後の加熱によって焼結される方法で作られる。この方法では、事前に予め製造する必要なしに、対応するキャリア基板上に種々多様なアンテナ構造を形成することが、簡単で高度にフレキシブルな様式で可能である。
【0012】
これに関係するさらなる好ましい実施形態によれば、インクは、酸化防止剤(還元剤)をさらに含む。この方法では、具体的には、インク中の導電性粒子を、酸化に起因する材料の変化に対して保護することができる。好ましい実施形態によれば、そのようなインクは、(たとえば、銅から作られる)金属ナノ粒子、キャリア剤(たとえば、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテル)、ならびにそのような酸化防止剤(たとえば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸またはアルカンチオール)を含む。インクの体積(100%)に基づいた、具体的に好適な混合比は、約25~35%のナノ粒子、約65~75%のキャリア剤、および1%未満の酸化防止剤である。約30%のナノ粒子、約70%のキャリア剤、および1%未満の酸化防止剤の混合比が特に好ましい。
【0013】
さらに好ましい実施形態によれば、キャリア基板上へのアンテナ構造のプリントは、インクジェットプリンタによって実行される。このことによって、様々な異なるアンテナ構造形状の生成に関しての、特に高いフレキシビリティおよび可変性を達成することが可能になる。というのは、古典的なスクリーン印刷とは異なり、たとえば、異なるアンテナ構造の形状を製造するために、予め製造したプリントマスクを製造する必要も、プリントマスクを交換する必要もないためである。このことは、それに応じてフレキシビリティを高めることが達成されるのに加えて、具体的には、処理時間およびそれに従って製造費用を減らすためにも使用することができる。
【0014】
さらなる好ましい実施形態によれば、方法は、以下の加熱ステップ、すなわち、(i)構成要素を付着する前に、インクおよび/またはキャリア基板を少なくとも部分的に乾燥させるために、生成したアンテナ構造を、インクの焼結温度より低い温度に加熱するステップと、(ii)アンテナ構造と構成要素の事前の接着剤なしの機械的接続のため、接触面の領域中のインクを、インクの焼結温度より低い温度に加熱するステップとのうちの1つまたは複数をさらに含む。加熱するステップは、(i)具体的には、プリントしたアンテナ構造への電子構成要素の後続の付着期間に、たとえば、依然として液体であるインクがぼけることもしくは移動すること、または依然として湿っているキャリア基板が望ましくない変形をすることに起因して、アンテナ構造の形状に何らかの望ましくない変化を引き起こさないような程度に、インクがキャリア基板に塗布された後にインクまたはキャリア基板を乾燥させるように働くことができる。加熱するステップは、(ii)一方で、既に言及したように、アンテナ構造との構成要素の一時的な接着剤なしの機械的接続を確立させるために使用することができる。本文脈では、具体的には、インクのさらなる乾燥によって、事前の機械的接続が達成され、この結果として、インクで湿っているアンテナ構造の表面区域における(すなわち、接触面における)、アンテナ構造への構成要素の少なくとも弱い接着が結果として得られる。
【0015】
「焼結温度」とは、ここでは、温度による原因についてだけとする(すなわち、具体的にはさらなる圧力の印加がない)場合に、(他は通常の条件下で)インクの焼結がそれ以上で開始する温度を意味すると理解されたい。具体的には、本方法で焼結に実際に使用される温度が、本発明の意味における焼結温度を表す。
【0016】
さらなる好ましい実施形態によれば、アンテナ構造の焼結のためのアンテナ構造の加熱期間に、アンテナ構造は、少なくとも接触面の領域において、少なくとも250℃、好ましくは少なくとも300℃の温度(焼結温度)に加熱される。好ましくは、この過程の間に、350℃の温度を超えない。一方では、インクの焼結を引き起こし、他方では、電子構成要素上の温度に関連する圧力を保つと共に、アンテナ構造を有するキャリア基板を可能な限り低くし、したがってこれによってもたらされる障害または損傷を回避するので、この温度範囲が特に好ましいことが発見されている。
【0017】
さらなる実施形態によれば、アンテナ構造への構成要素の付着は、(i)構成要素キャリア基板からアンテナ構造への構成要素の直接搬送(たとえば、DDA、「直接ダイアタッチメント」を介する)、または(ii)構成要素キャリア基板からアンテナ構造への搬送デバイスによる構成要素の間接搬送であって、搬送デバイスは、構成要素キャリア基板、たとえば、半導体ウェハまたは構成要素キャリア(たとえば、テープまたはトレイ)から構成要素を取って、構成要素をアンテナ構造に移送して構成要素をアンテナ構造に付着する間接搬送のいずれかによって実行される。実施形態(i)が、具体的には費用および速さの点で利点を提供できる一方、実施形態(ii)は、単一のタイプの構成要素だけが処理されるわけではないとき、またはキャリア基板の幅が構成要素キャリアの実効幅を超え、その結果、直接搬送は苦労してようやく可能となる、または全く可能でないときに、特に利点を提供できる。
【0018】
さらなる実施形態によれば、方法は、電子構成要素のアンテナ構造への機械的電気的な接続を作った後で、電子構成要素をカプセル化するステップをさらに含む。この方法では、構成要素は、カプセル化によって、望ましくない外部の影響から保護される。結果として得られるアンテナ構造/構成要素の組合せの機械的安定性を、この方法で高めることもできる。これに対する好ましい変形形態によれば、カプセル化は、構成要素上への液体またはペースト状のカプセル化化合物の付着およびその後の硬化によって、非接触の様式で実行される。具体的には、この方法では、カプセル化は、グローブトップ技術によって実行することができる。グローブトップ技術は、半導体構成要素の製造で知られており、そこでは、液体またはペースト状のカプセル化化合物が、半導体構成要素(チップ、ベアダイ)上に塗布され、次いで熱的、または好ましくは紫外線光で照射することによって硬化される。
【0019】
さらなる実施形態によれば、本方法では、アンテナ構造および/または構成要素のセンサベースの検査が、本方法の過程の間の、少なくとも1つの時点でやはり実行される。本方法のさらなる過程は、ここで、このセンサベースの検査の結果に応じて制御される。この方法では、本方法のさらなる過程、具体的には、やはり、たとえば、アンテナ構造、電子構成要素、および/または実施されるカプセル化の場合のカプセル化化合物の材料などといった、最初の構成要素の使用は、先行する方法ステップにおいて製品の障害が発生し、その結果、検査に基づいて、障害のない製品(アンテナ構造/構成要素の組合せ)、もしかすると既に搭載したアンテナ構造を製造することが、もはや期待できないのかに応じて制御することができる。この方法では、具体的には、製品の障害を検出し、対応する欠陥のある製造結果を取り除き、材料の使用を最適化して、スループット時間を最適化することが可能である。
【0020】
具体的には、この特定の実施形態に従って、検査の結果に従って製品の障害が検出される場合に、本方法に従った障害のないアンテナ構造/構成要素の組合せの製造のために想定される方法の少なくとも1つの方法ステップが省略されるようなやり方で、方法のさらなる過程が制御されるようなやり方で、本方法を規定することができる。たとえば、アンテナ構造への電子構成要素の付着は、検査によって、アンテナ構造が欠陥があると事前に検出された場合に省略することができる。同様の様式で、構成要素の付着に続く1つまたは複数の方法ステップを省略することができる。たとえば、アンテナ構造に付着された構成要素に欠陥があると検査が示した場合、カプセル化を省略することができる。
【0021】
さらなる実施形態によれば、キャリア基板は、テープの形状であるように構築され、その長手方向に沿って移送される。長手方向に対してある角度に延びる第2の方向に沿って、キャリア基板上に複数のアンテナ構造が設けられ、または生成され、その結果、いくつかのトラックの上にそれに応じて分散された、ある量のアンテナ構造/構成要素の組合せを製造するための、マルチトラック製造プロセスまたは装着プロセスは、移送方向に沿ってもたらされる。この方法では、少なくとも1つの方法ステップで、好ましくは方法ステップ毎に、複数のアンテナ構造またはアンテナ構造/構成要素の組合せを並列で処理することが可能であり、これは、具体的には、純粋な直列処理を有するプロセスと比較して効率を高めるために使用することができる。
【0022】
本発明の第2の態様は、電子構成要素、特にRFIDチップを有するアンテナ構造、特にRFIDアンテナ構造を装着するための装置に関し、装置は、本発明の第1の態様に従った、好ましくは本明細書に記載される第1の態様の実施形態のうちの1つまたは複数に従った方法を実行するように配置構成される。本方法に関連して上で述べたものの全部は、したがって、本装置にも適用される。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、装置は、装着デバイスと焼結デバイスとを備える。装着デバイスは、キャリア基板上に形成されるアンテナ構造上に電子構成要素を配置するように構成され、そのアンテナ構造は、接触面がアンテナ構造の接触領域と対応する構成要素の電気接点との間に形成されるように、その焼結後に導電性となる焼結可能な材料から作られる。焼結デバイスは、アンテナ構造を焼結するためにアンテナ構造を加熱し、一方それによって、アンテナ構造の接触領域と構成要素の電気接点との間で、接着剤を用いない機械的電気的な接続を同時に形成させるように構成される。
【0024】
様々な実施形態によれば、装着デバイスは、キャリア基板からアンテナ構造に構成要素を直接搬送するように構成される第1の搬送デバイス、および/またはキャリア基板からアンテナ構造に構成要素を間接搬送するように構成される第2の搬送デバイスを備える。本文脈では、第2の搬送デバイスは、存在する場合には、順に、構成要素をキャリア基板から取り、構成要素をアンテナ構造に移送して、構成要素をアンテナ構造に付着するように構成される。
【0025】
さらなる実施形態によれば、本装置は、以下のデバイス、すなわち(i)焼結デバイスによって焼結することによりアンテナ構造の導電率を形成するための導電性粒子、特にナノ粒子を含む焼結可能なインクで、キャリア基板上にアンテナ構造をプリントすることによって、構成要素を付着する前に、アンテナ構造を生成するように構成されるプリントデバイス、(ii)構成要素を付着する前に、インクおよび/またはキャリア基板を少なくとも部分的に乾燥させるために、生成したアンテナ構造を、アンテナ構造の材料の焼結温度より低い温度に加熱するように構成される乾燥デバイス、(iii)アンテナ構造への構成要素の事前の接着剤なしの機械的接続のため、接触面の領域中のインクを、インクの焼結温度より低い温度に加熱するように構成される固定デバイス、(iv)電子構成要素のアンテナ構造への機械的電気的な接続が確立された後で、電子構成要素をカプセル化するように構成されるカプセル化デバイス、(v)本方法の過程の間の、少なくとも1つの時点におけるアンテナ構造および/または構成要素のセンサベースの検査のためのセンサデバイス、ならびに、このセンサベースの検査の結果に応じて、本方法のさらなる過程を制御またはフィードバック制御するための制御デバイス、(vi)本装置のデバイスのうちの2つの連続したデバイスの間でキャリア基板を緩衝するように構成される緩衝デバイス、(vii)完成したアンテナ構造/構成要素の組合せを試験するための試験デバイス、(viii)共通のキャリア基板上で作製されたアンテナ構造/構成要素の組合せを分割するための分割デバイスのうちの1つまたは複数をさらに備える。
【0026】
本発明の意味では、「構成される」という用語は、特定の機能を実施するように、対応する装置またはデバイスが既に設定されている、または設定することができる、すなわち構成することができることを意味すると理解されたい。構成は、この点に関し、たとえば、機能性または設定をアクティブ化または非アクティブ化するために、プロセスの過程のパラメータまたはスイッチなどの対応する設定によって実行することができる。具体的には、装置は、いくつかの予め決められた構成または動作モードを有することができ、その結果、構成は、これらの構成または動作モードのうちの1つを選択することにより実行することができる。
【0027】
したがって、乾燥デバイス、固定デバイス、ならびに焼結デバイスが、各々、アンテナ構造またはアンテナ構造/構成要素の組合せを加熱するために設けられ、その結果、これらのデバイスのうちの2つ以上をユニットとして構築することもでき、たとえばその結果、2重使用構成要素を使用して、特に有効な解決策または空間の使用に関して最適化した解決策を実装することが可能である。
【0028】
本発明の第3の態様は、アンテナ構造に接続される電子構成要素、特にRFIDチップを有するアンテナ構造、特にRFIDアンテナ構造に関する。アンテナ構造は、キャリア基板上に形成され、焼結した導電性材料で作られる。アンテナ構造は、焼結した材料によって形成される、接着剤を用いない機械的電気的な接続によって、アンテナ構造の接触領域と電子構成要素の対応する電気接点との間の接触面において、構成要素に接続される。このアンテナ構造/構成要素の組合せは、具体的には、本発明の第1の態様に従った方法によって、および/または本発明の第2の態様に従った装置で製造することができる。
【0029】
本発明のさらなる利点、特徴、および可能な用途は、図と共に以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に従った方法の好ましい実施形態を図示するためのフローチャートを概略的に示した図である。
図2図1の方法に従ったその製造期間に生じる、製造されるべきアンテナ構造/構成要素の組合せの様々な中間状態を概略的に示した図である。
図3】本発明に従った装置の好ましい実施形態を図示するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の図では、本発明の同じ要素または互いに対応する本発明の要素について全体を通して同じ参照符号が使用される。
【0032】
最初に図1および図2を参照して、本発明に従った方法またはプロセスの好ましい実施形態を説明することになる。方法は、アンテナ構造1または1aが、キャリア基板2上にプリントすることによって生成されるステップS1を含む。この文脈では、プリントのために、好ましくは、インクジェットプリンタが使用される。使用されるインクは、焼結可能インクであって、少なくとも焼結後に、導電性となる。この目的のため、液体またはペースト状のキャリア基板に加えて、インクが、好ましくは、たとえば銅といった金属ナノ粒子、ならびに好ましくはナノ粒子のための腐食防止としての酸化防止剤(還元剤)を含む。図2では、キャリア基板は、テープとして構築され、その上には、アンテナ構造/構成要素の組合せの列(トラック)が、テープの長さの範囲すなわち長手方向に沿って生成される(シングルトラックプロセス)。これの代替実施形態として、長手方向に対してある角度、特に直角となる方向に、1つまたは複数のトラックでキャリア基板上にさらなるアンテナ構造を生成することもでき、その結果、全体では、マルチトラックプロセスおよび、この意味で並列処理されるものがもたらされる。
【0033】
マルチトラック製造プロセスまたは装着プロセスにおいて、以下のデバイス、すなわち、プリンタ11、カメラ2、カプセル化デバイス17、および試験デバイス18のうちの少なくとも1つは、1つのデバイスでいくつかの列を処理するために、長手方向に、および/または、長手方向に対してある角度である第2の方向に、電動式で変位可能であってよい。乾燥デバイス13a、13b、固定デバイス15、および焼結デバイス16a、16bは、具体的には、いくつかのトラックをカバーする対応する広い構造によってマルチトラックプロセスに適合することができる。ここで、「方向」という用語は、対応する反対方向をやはりそれぞれ含み、その結果、たとえばキャリア基板の移送方向と反対方向、すなわち移送方向の逆の両方で、モータ駆動の変位を行うことができる。加えて、後者は、純粋なシングルトラック様式の動作用の装置の場合、または少なくともシングルトラック様式の動作用に構成可能な装置の場合にも実現することができる。
【0034】
ステップS2がこれに続き、ステップS2では、新たにプリントしたアンテナ構造S1aをセンサベースの様式、特に画像評価によって、特にプリント欠陥といった潜在的な製造上の欠陥に関して自動的に検査する(検査試験)。さらなるステップS3において、検査試験期間に製造上の欠陥が検出されたか、反対に検査試験をパスしたかに応じて、プロセスシーケンスが分岐する。欠陥(S3:ノー)の場合、方法は、分割ステップS10に直接ジャンプし、分割ステップS10では、キャリア基板2を対応して切断することによって、アンテナ構造1aの分割が行われ、障害のない場合のために設けられたさらなる製造ステップS4~S9を省略する。検査試験をパスしなかったため、後続のステップS11において、方法は排出ステップS13(S11:ノー)に分岐する。排出ステップS13では、欠陥があるアンテナ構造1aは、障害のある製品としてプロセスから排出される。一方、ステップS2において検査試験をパスした(S3:イエス)場合、乾燥ステップS4が続く。乾燥ステップS4では、プリントしたアンテナ構造1aは、インクおよび/またはキャリア基板を部分的に、だがまだ完全にではなく乾燥するために、インクの焼結温度より低い温度に加熱され、その結果、部分的に乾燥したアンテナ構造1bがもたらされる。
【0035】
次いで、ステップS5において、たとえば、RFIDチップといった電子構成要素3は、この結果として、アンテナ構造1bの接触領域と構成要素3の対応する電気接点、特にチップ上の導体パッドとの間に接触面が形成されるような方法で、部分的に乾燥したアンテナ構造1bに付着される。ここでチップは、典型的には、参照されるようにベアダイとして付着され、その結果、これによって、組立済みアンテナ構造1cがもたらされる。さらなるステップS6において、アンテナ構造1cと構成要素3の事前の接着剤なしの機械的接続(固定)を確立するため、接触面の領域において、インクの焼結温度より低い温度にインクが加熱される。本ステップS6は任意選択であって、具体的には、ステップS5と同時に、または少なくともほぼ同時に実行することもできる。ステップS6において、具体的には、インクをさらに乾燥することによって固定が達成され、その結果、付着した構成要素3とアンテナ構造1cの間の接着がもたらされ、その接着によって、具体的には、構成要素3が最終的にアンテナ構造に固定されるまでの本方法のさらなる過程の間に、アンテナ構造に対する構成要素の不要な移動に対する保護が提供される。
【0036】
さらなるステップS7において、アンテナ構造1cは、アンテナ構造1cを焼結するために焼結温度に加熱され、それによって、同時に、アンテナ構造1cの接触領域と構成要素3の電気接点との間で、接着剤を用いない機械的電気的な接続が同時に形成され、具体的には補強される。アンテナ構造1cの材料特性は、焼結によって変わる。具体的には、この期間に、焼結したアンテナ構造1dが、所望のアンテナ機能のために必要な十分に高い導電率を有するような方法で、金属ナノ粒子が一緒に焼き固められる。加えて、アンテナ構造1dへの構成要素の機械的接続または接着が、これによってやはりさらに強化される。
【0037】
ステップS8がこれに続き、ステップS8では、カプセル化化合物(たとえば、グローブトップ)の非接触塗布、およびUV光の照射によるカプセル化化合物の硬化によって、電子構成要素3に筐体4が設けられる(カプセル化)。こうして完成したアンテナ構造/構成要素の組合せ1eは、次いで、具体的には、正しく機能する、および/または欠陥がないかについて、ステップS9で試験される。これが共通のキャリア基板上で他と共に最初に製造された場合に限り、アンテナ構造/構成要素の組合せ1eを分割するために、既に述べた分割ステップS10がこれに続く。ステップ9からの試験で欠陥が検出された場合(S11:ノー)、プロセスは、既に記載したステップS13へと再び戻って分岐し、欠陥のあるアンテナ構造/構成要素の組合せは排除される。さもなければ、試験が正常にパスした場合(S11:イエス)、ここで完成した障害のないアンテナ構造/構成要素の組合せ1fは、出力ステップS12で障害のない製品として出力される。具体的には、分割ステップの使用は、具体的には使用するキャリア基板の形式に応じて、やはり任意選択であってよい。たとえば、テープの形のキャリア基板の場合、分割ステップを使用することができ、または代わりに、その障害のない組み立てられたアンテナ構造ならびに、適用可能な場合には、装着済み未装着のいずれかの、その障害のあるアンテナ構造を含むキャリア基板を巻き上げることができる。
【0038】
図3は、本発明に従った装置10の好ましい実施形態を示しており、装置10は、具体的には、図1または図2に示された方法を実行するために使用することができる。示された例では、キャリア基板2は、テープとして構築され、その上に、各々に電子構成要素3が備えられた複数のアンテナ構造1が製造されることになる。この目的のため、テープ2は、装置10を通るベルトコンベアの形で、移送デバイス20aによって(図3では左から右へ)移送される。
【0039】
装置10は、プリントデバイス11を有しており、プリントデバイス11は、具体的には、ステップS1を実行するように設定される(ここで、言及されるステップに関して、図1と、関連する限り、図2を下で比較せよ)。支持部11aは、プリントプロセス期間にキャリア基板2を支持するために、プリントデバイス11に対して空間的に反対側に設けられる。プリントデバイス11によってキャリア基板2上に新たにプリントしたアンテナ構造1の視覚的検査(ステップS2)のためのカメラを有するセンサデバイス12が、キャリア基板2が移送方向に沿った下流で後続する。これに、2つの部分13a、13bにおける乾燥デバイスが後続し、乾燥デバイスは、キャリア基板2を部分的に乾燥するために両側でキャリア基板2を加熱する(ステップS4)。キャリア基板2は、その上にプリントしたアンテナ構造1を有する。電子構成要素3をそこに付着することによって、電子構成要素3をアンテナ構造1に装着させるために、装着デバイス14が設けられる(ステップS5)。任意選択で、特に同じ場所に固定デバイス15を追加で設けることができる。固定デバイス15は、アンテナ構造1への構成要素3の事前の固定をもたらすために、既に付着した構成要素3とインクをさらに乾燥する役割を果たす(ステップS6)。固定デバイス15は、具体的には、装着位置または装着デバイスより下に配置することができる。具体的には、DDAプロセスで実行される装着の場合に、緩衝デバイス22a、22bによって装置10に一体化される一体型分割器モジュールとして、固定デバイス15をDDA装着デバイス14と一緒に構築することが任意選択でできる。
【0040】
これに、焼結デバイス16a、16bは、アンテナ構造1を焼結するために、既に装着されたアンテナ構造をインクの焼結温度に加熱するためにキャリア基板2の両側に設けられる加熱要素を有する移送方向に沿った焼結デバイス16a、16bが続く(ステップS7)。その下流で、これにカプセル化デバイス17が続き、カプセル化デバイス17は、具体的には、非接触の様式で、すなわちカプセル化デバイス17と構成要素3の間に何ら機械的接触なしに、構成要素3上に液体またはペースト状の形で好適なカプセル化化合物を塗布し、具体的には、UV光で照射することによって、そこでカプセル化化合物を硬化するように設定される(ステップS8)。
【0041】
電子構成要素のカプセル化への追加または代替として、組立済みアンテナ構造は、焼結デバイス16a/16bの前または好ましくは後のいずれかで、コーティングデバイス(図示せず)によって、たとえばプリント、注型封入、またはスプレーすることによって、たとえば10~50μmの厚さにUV硬化ラッカーでコートすることができる。その場合、インクが必ずしも酸化防止剤を含む必要はない。ラッカーが機械的な損傷に対するアンテナ構造の保護を可能にする。
【0042】
試験デバイス18がカプセル化デバイス17の下流に位置しており、その試験デバイス18は、具体的には、光学的に検知可能な損傷もしくは欠陥および/またはその機能的な能力に関して、既に完成したアンテナ構造/構成要素の組合せを試験する役割を果たす(ステップS9)。最後に、分割デバイス19が続く。分割デバイス19は、個々のアンテナ構造/構成要素の組合せ1fを分割するように設定され、それは、キャリア基板2からテープの形で、具体的にはRFIDラベルとして構築されてよい(ステップS10)。
【0043】
全システムを制御するために、制御ユニット21が設けられる。具体的には、制御ユニット21は、センサデバイス12と組み合わせて設定され、デバイス13a、13b~18でこの欠陥のあるアンテナ構造1aの、新たにプリントしたアンテナ構造1a中の欠陥が、センサデバイス12によって検出された場合(ステップS3:ノー)、さらに処理しないようにし、障害のある製品として欠陥のあるアンテナ構造1aを排出する(ステップS13)。試験デバイス18による試験の結果に応じて(ステップS11)、障害のない製品として完成したアンテナ構造/構成要素の組合せ1fを出力するか(ステップS12)、さもなければそれを障害のある製品として排出するか(ステップS13)がやはり設定される。制御デバイス21は、具体的には、入力手段および表示スクリーンを備えることができる。スクリーン上の入力マスクを使用して、操作者は、アンテナ構造1が使用されることになる周囲の条件、どのタイプのインクが存在するか、アンテナ構造1が有するようになる1つまたは複数の特性量(アンテナのサイズ、インピーダンス、検出範囲、共鳴周波数など)、またはできるだけ多くのアンテナ構造1をプリントすることが可能となるように、どのアンテナの幾何形状が利用可能な量のインクでプリントできるかを選択することができる。1つまたは複数のパラメータを入力することによって、操作者にとって、好適なアンテナ構造1が計算されて、操作者に示唆される。加えて、プリントデバイス11、移送デバイス20a、20b、乾燥デバイス13a、13b、固定デバイス15、および焼結デバイス16a、16bは、各々、制御システムによって、たとえば、インクが厚い層で塗布された場合に、より長い焼結時間のために移送速度を減らすことによって、選択されたアンテナ構造1に適合することができる。これは、高いレベルの自動化、効率の向上、機械上の設定を調整するためのより短いダウンタイム、および装置10が人手によって正しく調整されるまでに生じる障害のある製品の量の減少を達成するために、有利に使用することができる。
【0044】
最後に、1つまたは複数の緩衝デバイスまたは緩衝区域22a、22bを任意選択で設けることができ、そこでは、それぞれの中間の製品が、次のプロセスステップに送られる前に、さらなるプロセス保護なしに、予め決められた時間期間または予め決められた移送区間の間、「緩衝」される。これは、それぞれの中間の製品に前のプロセスステップの後続効果のための十分な長さの時間を与えるため(具体的には、インクおよび/または結果として湿ったキャリア基板の乾燥のため)に、具体的には、乾燥デバイス13a、13bにおける乾燥の後、または装着デバイス14もしくは固定デバイス15においてそれぞれ装着もしくは固定した後に有用となる場合がある。
【0045】
上で、少なくとも1つの例示的な実施形態を記載したが、これに対する多数の変形形態があることに留意されたい。記載された例示的な実施形態は、単に非限定の例を表しており、それによって、本明細書に記載されるデバイスおよび方法の範囲、用途、または構成を限定する意図はないことも留意されたい。むしろ、前の記載は、少なくとも1つの例示的な実施形態の実装について、当業者に指示を提供することになり、それによって、添付した特許請求の範囲にそれぞれ規定される主題ならびにその法的な等価物から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載される要素の機能性および配置構成に関して様々な変更を行うことができると理解されよう。
【符号の説明】
【0046】
1 アンテナ構造
1a まだ乾燥してないインクを有する新たにプリントしたアンテナ構造
1b 第1の(部分的な)乾燥ステップ後のアンテナ構造
1c 電子構成要素を装着したアンテナ構造
1d 焼結および組み立てたアンテナ構造
1e カプセル化構成要素を有するアンテナ構造
1f カプセル化構成要素を有する分割したアンテナ構造
2 キャリア基板
3 電子構成要素、具体的には集積回路を有するチップ
4 構成要素、具体的にはグローブトップのカプセル化
10 アンテナ構造に構成要素を装着するための装置
11 プリントデバイス
11a キャリア基板を支持するための支持部
12 センサデバイス、具体的にはカメラ
13a 乾燥デバイス
13b 乾燥デバイス
14 装着デバイス
15 固定デバイス
16a 焼結デバイス
16b 焼結デバイス
17 カプセル化デバイス
18 試験デバイス
19 分割デバイス
20a 移送デバイス
20b 移送デバイス
21 制御デバイス
22a 緩衝区域または緩衝デバイス
22b 緩衝区域または緩衝デバイス
図1
図2
図3