IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本たばこ産業株式会社の特許一覧

特許7053840喫煙物品用包装容器の検査装置、製造装置、及び検査方法
<>
  • 特許-喫煙物品用包装容器の検査装置、製造装置、及び検査方法 図1
  • 特許-喫煙物品用包装容器の検査装置、製造装置、及び検査方法 図2
  • 特許-喫煙物品用包装容器の検査装置、製造装置、及び検査方法 図3
  • 特許-喫煙物品用包装容器の検査装置、製造装置、及び検査方法 図4
  • 特許-喫煙物品用包装容器の検査装置、製造装置、及び検査方法 図5
  • 特許-喫煙物品用包装容器の検査装置、製造装置、及び検査方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】喫煙物品用包装容器の検査装置、製造装置、及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 19/28 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
B65B19/28
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020533515
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2019029572
(87)【国際公開番号】W WO2020027015
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2018143613
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 誠
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-333156(JP,A)
【文献】特開平11-236005(JP,A)
【文献】特表2001-525586(JP,A)
【文献】特開2012-199476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 19/00-19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品の包装容器として組み立てることが可能なブランク上に配置された、前記ブランクと類似した色を有する被検物の位置ずれを判定するための検査装置であって、
前記被検物を含む前記ブランクを第1方向から照明する照明部と、
前記被検物を含む前記ブランクを前記第1方向とは異なる第2方向から撮像し画像データを生成する撮像部と、
前記画像データにおいて明度に基づいて前記ブランクに対する前記被検物の相対位置を特定する画像処理部と、
を備え
前記画像処理部は、
前記画像データにおいて前記ブランクの端縁を検出することによって前記ブランクの位置を特定する処理と、
前記ブランクの前記検出された端縁を位置基準として前記画像データに動的に前記被検物の目標配置範囲を設定する処理と、
前記画像データにおいて明度に基づいて前記被検物を検出する処理と、
前記検出された被検物と前記目標配置範囲との相対位置を特定する処理と、
前記相対位置に基づいて前記被検物が前記ブランク上において前記目標配置範囲内に入っているか否かを判定する処理と、
を実行するように構成される、喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項2】
前記第1方向と前記第2方向は、前記撮像部の位置から見た前記被検物の表面に前記照明部からの照明によって明部と暗部が作られるような位置的関係に設定される、請求項1に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項3】
前記第1方向と前記第2方向は、前記ブランクの表面が前記明部よりも暗く前記暗部よりも明るくなるような位置的関係に設定される、請求項2に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項4】
前記第1方向は、前記ブランクの表面に対しほぼ平行である、請求項1から3のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項5】
前記第2方向は、前記ブランクの表面に対しほぼ垂直である、請求項1から4のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記被検物を検出する前記処理において、前記被検物の表面の明部と暗部の少なくとも一方に対応する明度を有する画像領域を前記画像データにおいて識別するように構成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記目標配置範囲を設定する前記処理において、前記ブランクの前記検出された端縁から所定距離にある前記画像データ上の位置に前記目標配置範囲を設定するように構成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記被検物を検出する前記処理に先立って、前記画像データを二値化する処理を実行するように構成される、請求項1から7のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項9】
前記画像処理部は、前記被検物の少なくとも一部分が前記ブランク上において前記目標配置範囲内に入っていない場合に製造不良と判断するように構成される、請求項1から8のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項10】
前記画像処理部は、前記被検物を検出する前記処理において前記被検物が検出されない場合に製造不良と判断するように構成される、請求項1から9のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項11】
前記被検物は、前記ブランク上に塗布されたエマルジョン、ゾル、又は液体である、請求項1から10のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項12】
前記被検物は、前記ブランク上に塗布された、前記ブランクを前記包装容器として組み立てるための接着剤である、請求項1から11のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の喫煙物品用包装容器の検査装置と、
前記ブランクを搬送する搬送装置と、
前記ブランク上に前記被検物を供給する供給装置と、
前記ブランクを前記包装容器に組み立てる組立装置と、
を備える、喫煙物品用包装容器の製造装置。
【請求項14】
喫煙物品の包装容器として組み立てることが可能なブランク上に配置された、前記ブランクと類似した色を有する被検物の位置ずれを判定するための検査方法であって、
前記被検物を含む前記ブランクを第1方向から照明するステップと、
前記被検物を含む前記ブランクを前記第1方向とは異なる第2方向から撮像し画像データを生成するステップと、
前記画像データにおいて明度に基づいて前記ブランクに対する前記被検物の相対位置を特定するステップと、
を含
前記特定するステップは、
前記画像データにおいて前記ブランクの端縁を検出することによって前記ブランクの位置を特定するステップと、
前記ブランクの前記検出された端縁を位置基準として前記画像データに動的に前記被検物の目標配置範囲を設定するステップと、
前記画像データにおいて明度に基づいて前記被検物を検出するステップと、
前記検出された被検物と前記目標配置範囲との相対位置を特定するステップと、
前記相対位置に基づいて前記被検物が前記ブランク上において前記目標配置範囲内に入っているか否かを判定するステップと、
を含む、喫煙物品用包装容器の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙物品用包装容器の検査装置、製造装置、及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、喫煙物品の包装容器を光学的に検査することが可能な装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-288742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された装置は、喫煙物品の包装容器として組み立てるためのブランク上に塗布された、ブランクと同色又は類似色の接着剤の位置ずれを検査する機能を有していない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、喫煙物品の包装容器を製造するために、ブランク上に塗布されたブランクと同色又は類似色の接着剤の位置ずれを判定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、喫煙物品の包装容器として組み立てることが可能なブランク上に配置された、前記ブランクと類似した色を有する被検物の位置ずれを判定するための検査装置であって、前記被検物を含む前記ブランクを第1方向から照明する照明部と、前記被検物を含む前記ブランクを前記第1方向とは異なる第2方向から撮像し画像データを生成する撮像部と、前記画像データにおいて明度に基づいて前記ブランクに対する前記被検物の相対位置を特定する画像処理部と、を備える、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0007】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記第1方向と前記第2方向は、前記撮像部の位置から見た前記被検物の表面に前記照明部からの照明によって明部と暗部が作られるような位置的関係に設定される、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記第1方向と前記第2方向は、前記ブランクの表面が前記明部よりも暗く前記暗部よりも明るくなるような位置的関係に設定される、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記第1方向は、前記ブランクの表面に対しほぼ平行である、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記第2方向は、前記ブランクの表面に対しほぼ垂直である、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記画像処理部は、前記画像データにおいて前記ブランクの端縁を検出することによって前記ブランクの位置を特定する処理と、前記ブランクの前記特定された位置に応じて動的に前記被検物の目標配置範囲を設定する処理と、前記画像データにおいて明度に基づいて前記被検物を検出する処理と、前記検出された被検物と前記目標配置範囲との相対位置を特定する処理と、前記相対位置に基づいて前記被検物が前記ブランク上において前記目標配置範囲内に入っているか否かを判定する処理と、を実行するように構成される、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記画像処理部は、前記被検物を検出する前記処理において、前記被検物の表面の明部と暗部の少なくとも一方に対応する明度を有する画像領域を前記画像データにおいて識別するように構成される、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記画像処理部は、前記目標配置範囲を設定する前記処理において、前記ブランクの前記検出された端縁を位置基準として前記画像データに前記目標配置範囲を設定するように構成される、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記画像処理部は、前記目標配置範囲を設定する前記処理において、前記ブランクの前記検出された端縁から所定距離にある前記画像データ上の位置に前記目標配置範囲を設定するように構成される、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記画像処理部は、前記被検物を検出する前記処理に先立って、前記画像データを二値化する処理を実行するように構成される、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記画像処理部は、前記被検物の少なくとも一部分が前記ブランク上において前記目標配置範囲内に入っていない場合に製造不良と判断するように構成される、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記画像処理部は、前記被検物を検出する前記処理において前記被検物が検出されない場合に製造不良と判断するように構成される、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0018】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記被検物は、前記ブランク上に塗布されたエマルジョン、ゾル、又は液体である、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0019】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記被検物は、前記ブランク上に塗布された、前記ブランクを前記包装容器として組み立てるための接着剤である、喫煙物品用包装容器の検査装置である。
【0020】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様の喫煙物品用包装容器の検査装置と、前記ブランクを搬送する搬送装置と、前記ブランク上に前記被検物を供給する供給装置と、前記ブランクを前記包装容器に組み立てる組立装置と、を備える、喫煙物品用包装容器の製造装置である。
【0021】
また、本発明の他の一態様は、喫煙物品の包装容器として組み立てることが可能なブランク上に配置された、前記ブランクと類似した色を有する被検物の位置ずれを判定するための検査方法であって、前記被検物を含む前記ブランクを第1方向から照明するステップと、前記被検物を含む前記ブランクを前記第1方向とは異なる第2方向から撮像し画像データを生成するステップと、前記画像データにおいて明度に基づいて前記ブランクに対する前記被検物の相対位置を特定するステップと、を含む、喫煙物品用包装容器の検査方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ブランク上に塗布されたブランクと同色又は類似色の接着剤の位置ずれを判定して、喫煙物品の包装容器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る包装容器製造装置の概略構成図である。
図2】ブランク、喫煙物品、及び包装容器の概略的な形状を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る検査装置の概略構成図である。
図4】本発明の一実施形態に係る、被検物を検査するための画像処理方法を示すフローチャートである。
図5】画像処理対象の画像データの一例を示す図である。
図6】画像データにおけるブランクの位置の変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る、喫煙物品用包装容器を製造するための包装容器製造装置100の概略構成図である。図2は、包装容器製造装置100において取り扱われるブランク210、喫煙物品220、及び包装容器230の概略的な形状を示す図である。包装容器製造装置100、ブランク210、喫煙物品220、及び包装容器230の各々の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0026】
包装容器製造装置100は、喫煙物品供給装置110と、ブランク供給装置120と、接着剤供給装置130と、検査装置140と、組立装置150と、搬送装置160とを備えている。包装容器製造装置100は、ブランク210を包装容器230に組み立てる装置である。包装容器230の中には喫煙物品220が収容されて、搬送装置160の出口から完成品として排出される。
【0027】
喫煙物品供給装置110は、喫煙物品220を搬送装置160上に供給する。ブランク供給装置120は、ブランク210を搬送装置160上に供給する。搬送装置160は、喫煙物品220及びブランク210を下流方向へ搬送する。搬送装置160の下流側には、接着剤供給装置130と検査装置140が配置されており、その更に下流側には、組立装置150が配置されている。図1に示される包装容器製造装置100において、喫煙物品供給装置110は搬送装置160の最上流に配置されているが、これは一例であって、喫煙物品供給装置110の配置場所は特に限定されない。例えば、喫煙物品供給装置110は、組立装置150のすぐ上流に配置されてもよい。
【0028】
喫煙物品220は、紙巻たばこであってもよいし、あるいは電気加熱型たばこであってもよい。典型的に、喫煙物品220は細長い円柱形状を有している。例えば、喫煙物品供給装置110からは、複数本の喫煙物品220が連続的に、あるいは1つの包装容器230の収納本数分の束になって、搬送装置160上に供給される。1束の喫煙物品には、束が個々の喫煙物品に離散しないように、包装材(例えばアルミ箔)が巻かれてもよい。
【0029】
ブランク210は、組み立てたときに喫煙物品220を収容可能な箱型の包装容器230となるような形状に裁断加工された板紙である。例えば、ブランク210は、正面211、背面212、側面213、214、上面215、及び底面216を備える。ブランク210は更に、ブランク210を包装容器230として組み立てるために接着剤を塗布するためののりしろ217を備える。なお、図2においてブランク210は、説明の便宜のため簡略化された形状で描かれている。実際の製品の包装容器230となるブランク210は、図2とは異なるより複雑な形状、面の数、又は各面の配置を有してもよい。例えば、国際公開第2012/131834号の図1乃至3に開示されるようなブランク及び包装容器が、本実施形態において適用されてもよい。
【0030】
ブランク210の表側の面(即ち、包装容器230の外装となる面)には、喫煙物品の商品名、図柄、及び商品に関する説明等が様々な色で印刷されている。これに対して、ブランク210の裏側の面(即ち、包装容器230の内側となる面)は、通常、無地の白色である。のりしろ217の接着剤が塗布される面もまた、無地の白色である。
【0031】
接着剤供給装置130は、搬送装置160上を流れるブランク210ののりしろ217に接着剤を供給する。例えば、接着剤供給装置130は、流動性のある接着剤を吐出するように構成されたノズルを備える。接着剤供給装置130は更に、搬送装置160の搬送速度を検知するためのセンサ、又は搬送装置160上の各ブランク210の位置を検知するためのセンサを備える。接着剤供給装置130は、接着剤の液滴を、搬送装置160上を搬送されるブランク210の移動速度に同期して、各ブランク210ののりしろ217の所定位置に目掛けてノズルから吐出する。接着剤としては、例えば、エマルジョン、ゾル、又は液体のものが利用される。接着剤の色は、ブランク210ののりしろ217の接着剤塗布面と同じ白色、又はそれに類似した色であると想定する。ここで、類似した色とは、光学的又は視覚的にはっきり識別することが困難な程度に色味が近似する2色を意味するものとする。
【0032】
検査装置140は、接着剤(以下、被検物とも称する)がブランク210上の適切な位置に供給されているか否かを検査する。検査装置140の構成及び動作の詳細については後述する。
【0033】
組立装置150は、ブランク210を所定の折り線に沿って折り曲げて立体化し、接着剤が付着しているのりしろ217をブランク210の所定箇所に当接させ接着剤を硬化させることで、包装容器230を形成する。組み立てられた包装容器230には、所定本数の喫煙物品220が収容される。組立装置150は、喫煙物品220が収容された包装容器230に、包装容器230の汚損を防止するための保護フィルムを装着させてもよい。検査装置140によって接着剤がブランク210上の適切な位置に供給されていないと判定された場合には、不良品が製造されてしまうことを回避するために、組立装置150は、ブランク210から包装容器230を組み立てる動作を停止することとしてもよいし、あるいは、接着剤が適切な位置に供給されていないと判定された当該ブランク210を搬送装置160のライン上から排除することとしてもよい。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係る検査装置140の概略構成図である。検査装置140は、照明部142と、撮像部144と、画像処理部146とを備える。検査装置140は、撮像部144によって撮像したブランク210の画像を用いて、ブランク210上の適切な位置に被検物が配置されているか否かを検査するように構成される。
【0035】
照明部142は、搬送装置160上のブランク210に向けて照明光を発する光源である。撮像部144は、照明光に照らされた搬送装置160上のブランク210(特に、のりしろ217とその周辺近傍)を撮像し、電子的な画像データを生成して出力する光学センサである。上述したように、ブランク210ののりしろ217の接着剤塗布面と、そこに付着している接着剤(即ち被検物)250は、ともに同じ白色であるか、又は互いに類似した色である。そのため、もし照明部142と撮像部144が同一方向からブランク210を照明し又は撮像するように配置されているとすると、接着剤も接着剤塗布面も一様に照明光で照らされてしまうので、撮像部144により生成された画像データにおいて、のりしろ217上に存在しているはずの被検物である接着剤を判別することが困難となる。
【0036】
本実施形態の検査装置140においては、図3に示されるように、照明部142は、ブランク210を第1方向D1から照明するように配置され、撮像部144は、第1方向D1とは異なる第2方向D2からブランク210を撮像するように配置されている。より具体的には、照明部142は、ブランク210の表面に対してほぼ平行な第1方向D1からブランク210を照明するように配置され、撮像部144は、ブランク210の表面に対してほぼ垂直な第2方向D2からブランク210を撮像するように配置されている。
【0037】
このように、照明部142がブランク210を照明する第1方向D1と撮像部144がブランク210を撮像する第2方向D2が異なるので、撮像部144の位置からブランク210上の接着剤(被検物)250を見ると、その表面には、照明部142からの照明光に照らされて明るく見える明部Saと、照明光が当たらず陰になっている暗部Sbとが見える。また、ブランク210の表面がそれとほぼ平行な第1方向D1から照らされるので、ブランク210の表面の明るさは、ブランク210上の被検物250の明部Saと暗部Sbの間の明るさとなる。したがって、撮像部144によって生成される画像データには明度の差が生じ、その明度の差から、ブランク210の白い接着剤塗布面に付着した、白い、又は白に類似した色の接着剤(被検物)を判別することができる。
【0038】
上述した照明部142と撮像部144の配置は、検査装置140の単なる一構成例にすぎない。画像データにおける明度の差を利用して被検物が判別可能であるためには、照明部142と撮像部144は、撮像部144からブランク210上の被検物250を見たときにその表面に照明部142からの照明光による明部と暗部が生じ得るような、任意の位置的関係に配置されていればよい。
【0039】
画像処理部146は、撮像部144により生成された画像データを処理するコンピュータである。画像処理部146は、少なくとも、プロセッサ146-1と、メモリ146-2と、通信インターフェイス146-3とを備える。メモリ146-2には、後述する画像処理を実施するためのコンピュータプログラム、及び他のコンピュータプログラム(例えばオペレーティングシステム等)、並びに各種の設定データが格納されている。通信インターフェイス146-3は、外部装置との間でデータを送受信する。通信インターフェイス146-3は、少なくとも撮像部144から画像データを受信する。受信された画像データは、メモリ146-2に一時的に格納される。プロセッサ146-1は、メモリ146-2から画像処理プログラム及び撮像部144から受信された画像データを読み出して、画像処理プログラムに従った処理を実行する。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態に係る画像処理部146が実施する、ブランク210上の被検物を検査するための画像処理方法400を示すフローチャートである。画像処理方法400は複数の処理ステップを含んでいるが、各処理ステップは、技術的又は論理的に可能な場合には、図4に示され以下に説明されるのとは異なる順序で実行されてもよい。また、処理ステップのいくつかが、必要でない場合には省略されてもよい。図5に示す画像データ500の一例を参照しながら、本実施形態による画像処理方法400を説明する。
【0041】
ステップ402において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、画像データ500上でブランク210の端縁(エッジ)を検出する。本実施形態では、ブランク210とブランク210の背景とは大きな明度差(例えば背景はブランク210に比べて十分に暗い)又は異なる色を有していると想定する。プロセッサ146-1は、画像データにおける明度差又は色の違いに基づいて、ブランク210の端縁を検出することができる。これにより、画像データ内のブランク210の位置が特定される。
【0042】
ステップ404において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、画像データ500上のブランク210の内部に被検物(接着剤)の目標配置範囲218を設定する。目標配置範囲218は、被検物である接着剤が配置されていることが望まれる、ブランク210ののりしろ217内の部分的領域を示している。接着剤が適切にのりしろ217の目標配置範囲218内に存在しており、且つ目標配置範囲218の外にはみ出して存在していなければ、ブランク210を良品の包装容器230に組み立てることができる。しかしながら、接着剤がのりしろ217の目標配置範囲218内に存在していない、又は目標配置範囲218内に存在していても、同時に目標配置範囲218の外にもはみ出して存在している場合には、ブランク210から組み立てられた包装容器230は製造不良品となる。
【0043】
画像処理部146のプロセッサ146-1は、画像データ500上のブランク210の端縁を位置の基準として、目標配置範囲218を設定する。包装容器230の材料であるブランク210は板紙で作られているので、搬送装置160に搬送されている際に、撓みや反りなどの変形が生じやすい。そのため、撮像部144が所定速度で移動するブランク210を適切なタイミングで撮像したとしても、ブランク210の周縁にあるのりしろ217は板紙の撓みや反りのためにその位置が不安定となり、その結果、画像データとして写るのりしろ217の位置が、ブランク210毎に変動し得る。この様子を図6に示す。本実施形態の画像処理方法400では、実際に撮像された画像データ500上のブランク210の端縁を位置の基準として動的に目標配置範囲218が設定されるので、画像データ500上のブランク210の位置が揺らいだとしても、目標配置範囲218を所定の正しい位置に定めることができる。
【0044】
より具体的に、画像処理部146のプロセッサ146-1は、画像データ500上のブランク210の端縁から所定距離の位置に、目標配置範囲218を設定する。図5に示される例において、目標配置範囲218は、画像データ500上のブランク210の第1の端縁210aから距離L1、第2の端縁210bから距離L2、第3の端縁210cから距離L3の位置に設定されている。距離L1、L2、及びL3は、例えば製品(即ち、ブランク210や包装容器230の種類)毎に予め決められて、メモリ146-2に格納されている。プロセッサ146-1は、画像データ500上において検出されたブランク210の各端縁からそれぞれ距離L1、L2、L3の位置に目標配置範囲218が外縁を有するように、目標配置範囲218を設定する。
【0045】
ステップ406において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、画像データを二値化する。例えば、プロセッサ146-1は、画像データの各ピクセルについて、ピクセル値が所定値以上の場合にはその値を第1の値(例えば1)に置き換え、ピクセル値が当該所定値よりも小さい場合にはその値を第2の値(例えば0)に置き換える。二値化の基準の所定値は、例えば、被検物の暗部Sbよりも明るく、且つ、被検物の明部Sa及びブランク210の表面よりも暗い明度に対応する値であってよい。この場合、画像データは、被検物の暗部Sbが黒であり、他の部分が白である二値化画像に変換される。また例えば、二値化の基準の所定値は、被検物の暗部Sb及びブランク210の表面よりも明るく、且つ、被検物の明部Saよりも暗い明度に対応する値であってよい。この場合、画像データは、被検物の明部Saが白であり、他の部分が黒である二値化画像に変換される。
【0046】
ステップ408において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、二値化された画像データから被検物を検出する。上述した例では、二値化された画像データは、被検物250の暗部Sbが黒で他の部分が白の画像、又は被検物250の明部Saが白で他の部分が黒の画像となっている。したがって、プロセッサ146-1は、二値化された画像データから、被検物の暗部Sb又は明部Saに対応する画像領域を識別することができる。
【0047】
ステップ410において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、ステップ408において被検物が検出されたか否かを判定する。被検物が検出された場合はステップ412へ進み、被検物が検出されなかった場合はステップ418へ進む。
【0048】
ステップ412において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、ステップ408において検出された画像データ500上の被検物250とステップ404において設定した目標配置範囲218との相対位置を特定する。
【0049】
ステップ414において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、目標配置範囲218と検出された被検物250との相対位置に基づいて、被検物250が目標配置範囲218内に存在しているか否かを判定する。被検物250が目標配置範囲218内に存在しており、且つ目標配置範囲218の外にはみ出して存在していない場合には、ステップ416へ進む。被検物250が目標配置範囲218内に存在していないか、又は目標配置範囲218内に存在していても、同時に目標配置範囲218の外にもはみ出して存在している場合には、ステップ418へ進む。
【0050】
ステップ416において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、ブランク210ののりしろ217の適切な位置に被検物(即ち接着剤)250が供給されていると判断する。
【0051】
ステップ418において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、ブランク210ののりしろ217の適切な位置に被検物(即ち接着剤)250が供給されていないと判断する。
【0052】
ステップ420において、画像処理部146のプロセッサ146-1は、ブランク210ののりしろ217の適切な位置に被検物(即ち接着剤)250が供給されていないことを、組立装置150及び搬送装置160に通知する。この通知を受けて、組立装置150は、上述したように、包装容器230の組み立てを停止又は組み立てられた包装容器230を排除するように動作する。また、画像処理部146からの通知を受けて、搬送装置160が搬送動作を停止してもよい。
【0053】
画像処理部146のプロセッサ146-1は、搬送装置160上を搬送される各ブランク210に対して、画像処理方法400を実施する。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 包装容器製造装置
110 喫煙物品供給装置
120 ブランク供給装置
130 接着剤供給装置
140 検査装置
142 照明部
144 撮像部
146 画像処理部
146-1 プロセッサ
146-2 メモリ
146-3 通信インターフェイス
150 組立装置
160 搬送装置
210 ブランク
217 のりしろ
218 目標配置範囲
220 喫煙物品
230 包装容器
250 被検物
図1
図2
図3
図4
図5
図6