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特許7053844LNGトレインの障害を除去するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】LNGトレインの障害を除去するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20220405BHJP
   F25J 5/00 20060101ALI20220405BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220405BHJP
   F25D 3/10 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
F25J1/00 B
F25J5/00
F25B1/00 396G
F25D3/10 D
F25B1/00 396C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020534439
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 US2018061313
(87)【国際公開番号】W WO2019125672
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】62/609,825
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517002476
【氏名又は名称】エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】リー ヤウ-イーン
(72)【発明者】
【氏名】ルパスク ソリン
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-507771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0282862(US,A1)
【文献】米国特許第06324867(US,B1)
【文献】Robin Pearsall et al,The AP-X Process: Design Innovation in Large Scale Gas Liquefaction,Proceedings of the 3rd International Gas Processing Symposium,Elsevier,2012年,pp.344-351
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00- 5/00
F25D 3/10
C10L 3/06
C10L 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガス流から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムであって、
前記天然ガス流の第1の部分を液化して、
第1の操作モードでは第1の温LNG流、
第2の操作モードでは第1の冷LNG流
を生成するように構成された第1のLNGトレイン;
前記天然ガス流の第2の部分を液化して、
第1の操作モードでは第2の温LNG流、
第2の操作モードでは第2の冷LNG流
を生成するように構成された第2のLNGトレイン;及び
前記第1の操作モードで、前記第1の温LNG流及び前記第2の温LNG流をサブクールして、前記第1の冷LNG流及び前記第2の冷LNG流を生成するように構成されたサブクーリングユニット
を含み;
前記第1及び第2の温LNG流は、前記第1及び第2の冷LNG流の温度より高い温度を有し;
前記第1の操作モードにおいて、前記第1及び第2の冷LNG流は、前記第2の操作モードにおける前記第1及び第2の冷LNG流の組み合わせ流速より高い組み合わせ流速を有する、
前記システム。
【請求項2】
前記サブクーリングユニットが、窒素冷媒を用いて前記第1及び第2の温LNG流をサブクールする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2のLNGトレインの少なくとも1つが、プロパン冷媒及び/又は混合冷媒を用いて前記天然ガス流の前記第1又は第2の部分を液化する、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記サブクーリングユニットと関連する熱交換器が、渦巻き形熱交換器及びアルミろう付熱交換器の1つである、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記サブクーリングユニットが、既存の第1及び第2のLNGトレインと共に使用されるように設置される、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記サブクーリングユニットが、前記第1及び第2のLNGトレインと時に構築される、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1及び第2のLNGトレイン及び前記サブクーリングシステムの少なくとも1つが、少なくとも1つのガスタービンを含み、かつ前記少なくとも1つのガスタービンと共に設置された流入空気冷却システムをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1及び第2の温LNG流が、サブクーリングシステム内でサブクールされる前に組み合わせられる、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
天然ガス流から液化天然ガス(LNG)を製造する方法であって、
複数のLNGトレイン及びサブクーリングユニットを準備すること;
前記複数の各LNGトレインを用いて前記天然ガス流の一部を液化し、それによって
第1の操作モードでは温LNG流、
第2の操作モードでは冷LNG流
を生成すること;
及び
前記第1の操作モードで、前記サブクーリングユニット内で前記温LNG流をサブクールし、それによって組み合わせ冷LNG流を生成すること
を含み;
前記温LNG流は、前記冷LNG流及び前記組み合わせ冷LNG流の温度より高い温度を有し;
前記第1の操作モードにおいて、前記組み合わせ冷LNG流は、前記第2の操作モードにおける前記冷LNG流の流速より高い流速を有する、
前記方法。
【請求項10】
前記サブクーリングユニットが、窒素冷媒を用いて前記温LNG流をサブクールする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のLNGトレインの少なくとも1つが、プロパン冷媒及び/又は混合冷媒を用いて前記天然ガス流のそれぞれの部分を液化する、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サブクーリングユニットと関連する熱交換器が、渦巻き形熱交換器及びアルミろう付熱交換器の1つである、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のLNGトレインが既存のLNGトレインであり、さらに、
前記既存のLNGトレインと共に使用されるサブクーリングユニットを構築すること
を含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
さらに、
第1及び第2のLNGトレインと時に前記サブクーリングユニットを構築すること
を含む、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のLNGトレイン及び前記サブクーリングシステムの少なくとも1つが、少なくとも1つのガスタービンを含み、さらに、
前記少なくとも1つのガスタービンと共に流入空気冷却システムを設置すること
を含む、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することによりその内容全体をここに援用する『LNGトレインの障害を除去する(DE-BOTTLENECKING)システム及び方法』と称する2017年12月22日に出願された米国仮特許出願第62/609,825号の優先権の利益を主張する。
【0002】
開示の分野
本開示は、一般的に炭化水素処理プラントの分野に関する。さらに詳細には。本開示は、LNG処理プラント等の炭化水素処理プラントの効率的な設計、構築及び操作に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
このセクションは、本開示と関連する可能性のある技術の種々の態様を紹介することを意図する。この論考は、本開示の特定態様のより良い理解を促すための枠組みを提供することを意図する。従って、このセクションは、この観点から解釈すべきであり、必ずしも先行技術の承認として解釈すべきでないことを理解すべきである。
LNG製造は、天然ガスの供給量が豊富な場所から天然ガスに対する強い需要がある遠隔地に天然ガスを供給するための急速に成長している手段である。従来のLNGサイクルには下記が含まれる:a)水、硫黄化合物及び一酸化炭素等の混入物を除去するための天然ガス源の初期処理;b)例えば自己冷却、外部冷却、リーンオイル等を含めた種々の可能な方法によるいくつかの重質炭化水素ガス、例えばプロパン、ブタン、ペンタン等の分離;c)大気圧又はその近傍及び約-160℃で液化天然ガスを形成するための実質的に外部冷却による天然ガスの冷却;d)LNGからの窒素及びヘリウム等の軽質成分の除去;e)輸送するために設計された船舶又はタンカーでのLNG製品の市場への輸送;及びf)天然ガス消費者に配給可能な加圧天然ガス流を形成するための再ガス化プラントでのLNGの再加圧及び再ガス化。
【0004】
LNG製造契約を巡る競争が増加している時に、将来のLNGプロジェクトの収益性を高めるための極めて大きな要求がある。そうするため、LNG製造業者は各プロジェクトに適用できる重要なコストドライバー及び効率を明らかにし、最適化することができる。LNGトレイン設計の1つの態様は障害を除去することである。安価な天然ガスの余剰は、既存のLNGトレインからの増加するLNG製造を非常に有利にする。しかしながら、大規模なLNGトレインは、既に銘板容量以上で作動されていることが多く、追加トレインを構築することなく利用できるさらなる製造能力はほとんどないことを意味する。これは非常に高い設備投資額を必要とするので、新たな建設コストを最小限にしながらLNG生産量を増やすための方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
概要
第1の態様において、天然ガス流から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムを提供する。第1のLNGトレインは、天然ガス流の第1の部分を液化して、第1の操作モードでは第1の温LNG流、及び第2の操作モードでは第1の冷LNG流を生成するように構成される。第2のLNGトレインは、天然ガス流の第2の部分を液化して、第1の操作モードでは第2の温LNG流、及び第2の操作モードでは第2の冷LNG流を生成するように構成される。サブクーリングユニットは、第1の操作で、第1の温LNG流及び第2の温LNG流をサブクールして、第1の冷LNG流及び第2の冷LNG流を生成するように構成される。第1及び第2の温LNG流は、第1及び第2の冷LNG流より高い温度を有する。第1の操作モードにおいて、第1及び第2の冷LNG流は、第2の操作モードにおける第1及び第2の冷LNG流の組み合わせ流速より高い組み合わせ流速を有する。
【0006】
別の態様において、天然ガス流から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムを提供する。このシステムは、複数のLNGトレインを含む。複数の各LNGトレインは、天然ガス流の一部を液化して、第1の操作モードでは温LNG流、及び第2の操作モードでは冷LNG流を生成するように構成される。サブクーリングユニットは、第1の操作モードで、温LNG流をサブクールし、それによって組み合わせ冷LNG流を生成するように構成される。温LNG流は、冷LNG流及び組み合わせ冷LNG流より高い温度を有する。第1の操作モードにおいて、組み合わせ冷LNG流は、第2の操作モードにおける冷LNG流の流速により高い流速を有する。
さらに別の態様において、天然ガス流から液化天然ガス(LNG)を製造する方法を提供する。複数のLNGトレイン及びサブクーリングユニットを準備する。複数のLNGトレインを用いて、天然ガス流の一部を液化し、それによって第1の操作モードでは温LNG流、及び第2の操作モードでは冷LNG流を生成する。第1の操作モードで、サブクーリングユニット内で温LNG流をサブクールし、それによって組み合わせ冷LNG流を生成する。温LNG流は、冷LNG流及び組み合わせ冷LNG流の温度より高い温度を有する。第1の操作モードにおいて、組み合わせ冷LNG流は、第2の操作モードにおける冷LNG流の流速より高い流速を有する。
【0007】
図面の説明
本開示は、図面に示し、ここで詳述する種々の変更形態及び代替形態、それらの具体例となる実施を受け入れる余地がある。しかしながら、具体例となる実施のここに記載の説明は、本開示をここで開示する特定形態に限定する意図でないことを理解すべきである。本開示は、添付の特許請求の範囲によって規定される全ての変更形態及び等価物を包含することになる。また、図面は、必ずしも縮尺で描いているわけではなく、本発明の例となる実施形態を明確に示す原理に重点を置いていることを理解すべきである。さらに、該原理を視覚的に伝えるのを助けるため特定の寸法を拡大することがある。さらに、適当であると考えられる場合、対応要素又は類似要素を指示するために図面間で参照番号を繰り返すがことがある。さらに、図面に別個又は別々に描かれている2つ以上のブロック又は要素を組み合わせて単一の機能的ブロック又は要素にしてもよい。同様に、図面に示した単一のブロック又は要素を複数のステップとして実施するか又は複数の要素を連携して実施してもよい。ここで開示する形態を例として添付図面の図に示すが、これに限定するものではなく、図中、同様の参照番号は類似要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の態様で使用可能な液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムのフロー図である。
図2】本開示の態様に従って第1の操作モードでLNGを製造するためのシステムの模式図である。
図3】本開示の態様に従って第2の操作モードでLNGを製造するためのシステムの模式図である。
図4】本開示の態様に従う方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
用語法
ここで使用する単語及び句は、当業者による当該単語及び句の理解と一致する意味を有するように理解及び解釈すべきである。用語又は句の特別な定義、すなわち、当業者が理解する一般的及び慣習的意味と異なる定義がないのは、その用語又は句の一貫した用法を意味するという意図である。用語又は句が特別な意味、すなわち、当業者が理解する最も広い範囲以外の意味を有すると意図される範囲まで、該用語又は句に特別又は明確な定義を与える定義づけ様式で当該特別又は明確な定義を本明細書に明示的に示す。
例えば、下記論考は、本開示で使用するいくつかの特別な用語の定義の包括的でないリストを含有する(他の用語が本明細書のどこかの定義づけ様式で定義されるか又は明らかにされることがある)。これらの定義は、ここで使用する用語の意味を明らかにする意図である。それらの一般的意味と一致する様式で用語を使用すると考えられるが、それでもここでは明白さのために定義を規定する。
【0010】
a/an:ここで使用する冠詞「a」及び「an」は、明細書及び特許請求の範囲に記載の本発明の実施形態及び実施におけるいずれの特徴に適用されるときにも1つ又は複数を意味する。「a」及び「an」の使用は、その意味を単一の特徴に限定しない。但し、そのような限定を明示している場合を除く。用語「a」又は「an」を付したエンティティーは、1つ又は複数の当該エンティティーを指す。結果として、ここでは用語「a」(又は「an」)、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」を互換的に使用することができる。
約:ここで使用する「約」は、明らかにされる特定の性質に典型的な実験誤差に基づく逸脱度を指す。用語「約」によって与えられる許容範囲は、具体的状況及び特定の性質によって決まり、当業者は容易に識別することができる。用語「約」は、そうでなければ与えられる可能性のある等価物の度合を特定の値に拡大又は限定する意図でない。さらに、特に断りのない限り、用語「約」は、範囲及び数値データに関する下記論考と一致する「正確に」を明示的に包含するものとする。
【0011】
及び/又は:第1のエンティティーと第2のエンティティーの間に置かれる用語「及び/又は」は、(1)第1のエンティティー、(2)第2のエンティティー、及び(3)第1のエンティティーと第2のエンティティーの1つを意味する。「及び/又は」と共に列挙された複数の要素は同じように、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」と解釈すべきである。場合によっては「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外に、具体的に特定された要素に関連しても関連しなくても他の要素が存在してもよい。従って、非限定例として、開放型(open-ended)の言葉、例えば「含む(comprising)」と併用するとき、「A及び/又はB」への言及は、一実施形態では、Aのみ(場合によりB以外の要素を含めて);別の実施形態では、Bのみ(場合によりA以外の要素を含めて);さらに別の実施形態では、AとBの両方(場合により他の要素を含めて)を指すことができる。本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、「又は」は、上記「及び/又は」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、リスト中の項目を分けるとき、「又は」若しくは「及び/又は」は包括的であると、すなわち、いくつかの要素若しくは要素リスト、及び、場合によっては、リストにない追加項目の少なくとも1つを含めるが、1つより多くをも含むものと解釈すべきである。逆に明白に「単独」を示す用語、例えば「…の1つのみ」又は「…の正確に1つ」、或いは特許請求の範囲で使用するとき、「から成る」は、いくつかの要素又は要素リストの正確に1つの要素の包含を指すことになる。一般に、ここで使用する用語「又は」は、「どちらか」、「…の1つ」、「…の1つのみ」、又は「…の正確に1つ」等の排他性の用語が先行するとき、排他的選択肢(すなわち、「両方でなく一方又は他方」)を示すとのみ解釈すべきである。
【0012】
いずれの(any):形容詞「いずれの」は、数量の制限なく無差別に1つ、いくつか、又は全てを意味する。
少なくとも:本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、1つ以上の要素のリストに関する句「少なくとも1つ」は、要素のリスト中のいずれの1つ以上の要素からも選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙されたありとあらゆる要素の少なくとも1つを含むものではなく、かつ要素のリスト中の要素のいずれの組み合わせをも排除しない。この定義は、場合によっては、具体的に特定した当該要素に関連してもしなくても、句「少なくとも1つ」が指す要素のリスト内に具体的に特定した要素以外の要素が存在してよいことをも許容する。従って、非限定例として、「AとBの少なくとも1つ」(或いは、同等に、「A又はBの少なくとも1つ」、或いは、同等に、「A及び/又はBの少なくとも1つ」は、一実施形態では、少なくとも1つ、場合により2つ以上のAを指し、Bは存在せず(かつ場合によりB以外の要素を含む);別の実施形態では、少なくとも1つ、場合により2つ以上のBを指し、Aは存在せず(かつ場合によりA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、場合により2つ以上のA、及び少なくとも1つ、場合により2つ以上のBを指す(かつ場合により他の要素を含む)ことができる。句「少なくとも1つ」、「1つ以上」、並びに「及び/又は」は、開放型表現であり、有効な接続語でも、離接語でもある。例えば、各表現「A、B及びCの少なくとも1つ」、「A、B、又はCの少なくとも1つ」「A、B、及びCの1つ以上」、「A、B、又はCの1つ以上」並びに「A、B、及び/又はC」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、或いはA、B及びCを共に意味する。
【0013】
に基づく(based on):「に基づく」は、明白に別段の定めがある場合を除き、「にのみ基づく」を意味しない。言い換えれば、句「に基づく」は、「にのみ基づく」、「に少なくとも基づく」、及び「に少なくとも一部は基づく」の両方を表す。
含む(comprising):特許請求の範囲のみならず、明細書においても、全ての移行句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「で構成される(composed of)」等は開放型であると、すなわち、含むがこれに限定されないと理解すべきである。移行句「から成る」及び「から本質的に成る」のみが、米国特許庁特許審査手続便覧(United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures)のセクション2111.03に示されるように、それぞれ、閉鎖型(closed)又は半閉鎖型(semi-closed)移行句となる。
【0014】
結合(Couple):用語「連結(connect)」、「係合(engage)」、「結合(couple)」、「付着(attach)」、又は要素間の相互関係を記述するいずれの他の用語のいずれの形態のいずれの使用も、相互作用を要素間の直接相互作用に限定するという意味ではなく、記載要素間の間接相互作用をも含めてよい。
決定する(determining):「決定する」は、種々多様の作用を包含し、従って「決定する」は、計算する(calculating)、コンピュータ処理する(computing)、処理する(processing)、導き出す(deriving)、調査する(investigating)、検索する(looking up)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造で検索する)、確認する(ascertaining)等を包含し得る。また、「決定する」は、受け取る(receiving)(例えば、情報を受け取る)、アクセスする(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスする)等を包含し得る。また、「決定する」は、解決する(resolving)、選択する(selecting)、選択する(choosing)、確立する(establishing)等を包含し得る。
【0015】
実施形態:本明細書全体を通して「一実施形態」、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一態様」、「態様」、「いくつかの態様」、「いくつかの実施」、「一実施」、「実施」、又は同様の構成は、該実施形態、態様、又は実施に関連して記載される特定の構成要素、特徴、構造、方法、又は特性が、請求項に係る主題の少なくとも1つの実施形態及び/又は実施に含まれることを意味する。従って、明細書全体を通していろいろな場所での句「一実施形態において」又は「一態様において」又は「いくつかの実施形態(又は「態様」若しくは「実施」において」)の出現は、必ずしも同実施形態及び/又は実施に関する全てではない。さらに、1つ以上の実施形態又は実施において、いずれの適切な様式でも特定の特徴、構造、方法、又は特性を組み合わせてよい。
【0016】
模範的(exemplary):ここでは「模範的」を排他的に用いて、「例、実例、又は図解として役立つこと」を意味する。「模範的」としてここに記載のいずれの実施形態"も、必ずしも他の実施形態に比べて好ましい又は有利と解釈すべきでない。
フロー図:模範的方法は、フロー図又はフローチャートを参照して、より良く理解することができる。説明の簡単さの目的で、図解方法を示し、一連のブロックとして記載しているが、異なる実施形態では、図示及び記載したのとは異なる順序で及び/又は他のブロックと同時に行なってよいブロックもあるので、該方法は、ブロックの順序によって限定されないことを理解すべきである。さらに、模範的方法を実施するために全ての図示ブロックが必要とされるわけではない。いくつかの例では、ブロックを組み合わせてよく、複数の構成要素に分けてよく、追加ブロックを利用してよい等である。
…してよい(may):単語「…してよい」は、本出願全体を通して強制的意味(すなわち、…しなければならない(must))ではなく、許容的意味(すなわち、…する可能性を有する、…することができる)で用いられることに留意されたい。
作動可能に連結及び/又は結合される(operatively connected and/or couple):「作動可能に連結及び/又は結合される」は、情報、力、エネルギー、又は物質を伝達又は伝導するために直接又は間接的に連結されることを意味する。
【0017】
最適化する(optimizing):ここで用る用語「最適な」、「最適化すること」、「最適化する」、「最適性」、「最適化」(並びに当該用語及び関連する単語や句の派生語及び他の形態)は、本発明が最良の解決策を見出すか又は最善の決断を下すことを必要とするという意味で限定的であることを意図しない。数学的に最適な解決策は、実際に全ての数学的に利用できる可能性のベストに至ることができるが、最適化のルーチン、方法、モデル、及びプロセスの現実世界の実施形態は、該目標に向かって努力するが、いつも実際は完璧に達しないことがある。従って、本開示の利益を有する当業者は、本発明の範囲の文脈では、これらの用語が一般的であることが分かるであろう。これらの用語は、下記:1)最善の利用可能な解決策、好ましい解決策、又は制約の範囲内で特定利益を提供する解決策であり得る解決策に向かって努力すること;2)継続的に改善すること;3)精密にすること;4)目的に向かってハイポイント又は最高点を探し求めること;5)ペナルティ関数を減らすために処理すること;6)1つ以上の他の因子を最大にし、最小限にし、又は別のやり方で制御する際に競合性及び/又は協同的利害関係を考慮して1つ以上の因子を最大にするように努力すること等の1つ以上を表し得る。
【0018】
ステップの順序:また、明白に反対の定めがない限り、複数のステップ又は行為を含むここに記載のいずれの方法においても、方法のステップ又は行為の順序は、必ずしも方法のステップ又は行為が列挙されている順序に限定されないことを理解すべきである。
範囲:本出願では、濃度、寸法、量、及び他の数値データを範囲形式で提示することがある。該範囲形式は、単に簡便さ及び簡潔さのために使用しているものであり、範囲の限定として明示的に列挙された数値を含むのみならず、範囲内に包含される全ての個々の数値又は下位範囲が、まるで各数値及び下位範囲が明示的に列挙されているかのように含まれるものと柔軟に解釈すべきであることを理解すべきである。例えば、約1~約200の範囲は、1及び約200という明示的に列挙された限界を含むのみならず、個々のサイズ、例えば2、3、4等及び下位範囲、例えば10~50、20~100等をも含むものと解釈すべきである。同様に、数値範囲が与えられているときには、該範囲は、範囲の下限値を記述するのみであるクレーム限定並びに範囲の上限値を記述するのみであるクレーム限定に対する逐語的サポートを提供するものと解釈すべきであることを理解すべきである。例えば、10~100という開示数値範囲は、クレーム記述「10より大きい」(上限なし)及びクレーム記述「100未満」(下限なし)に対する逐語的サポートを提供する。
【0019】
ここで使用する場合、用語「炭化水素」は、主に、限らないにしても、水素及び炭素元素を含む。炭化水素の例としては、燃料として使用できるか又は改良して燃料にすることができるいずれの形態の天然ガス、油、石炭、及びビチューメンをも指す。
ここで使用する場合、用語「炭化水素流体」は、気体又は液体である炭化水素又は炭化水素の混合物を指す。例えば、炭化水素流体は、形成条件、処理条件、又は周囲条件(20℃及び1atmの圧力)で気体又は液体である炭化水素又は炭化水素の混合物を含み得る。炭化水素流体としては、例えば、油、天然ガス、ガスコンデンセート、コールベッドメタン(coal bed methane)、シェールオイル、シェールオガス、及び他の気体又は液体状態の炭化水素が挙げられる。
【0020】
説明
以下、例として具体的形態についてさらに説明する。下記例は、ここで開示する主題の特定形態を示すが、その範囲を限定するものと解釈すべきでなく、むしろ完全な説明に貢献するものと解釈すべきである。
開示態様に従って、1つ以上の障害除去戦略を2つ以上のLNGトレインに利用する方法及びシステムを提供する。さらに詳細には、各LNGトレインを温LNGモード用に設定し、1つ以上の新しいサブクーリングユニットを下流に設置することによって、2つ以上の既存LNGトレインの製造能力を高めることができる。サブクーリングユニット(複数可)の設計及び関連ガスタービンドライバー(複数可)のサイズは、LNGプラント(すなわち、サブクーリングユニットに作動可能に連結されたLNGトレイン)の入口及びガス前処理セクションで利用できる既知の過剰供給ガス容量、それに加えていずれのさらに計画又は期待される障害除去にも適合される。
【0021】
さらに詳細には図面を参照すると、図1は、天然ガス(LNG)を液化するための典型的な既知システム10及びプロセスを示す。システム10では、供給ガス(天然ガス)は、入口ライン11を通って準備ユニット12に入り、そこで処理されて混入物が除去される。この処理済みガスは次にユニット12から一連の熱交換器13、14、15、16に送られ、そこでプロパンを蒸発させることによって冷却される。このプロパンは、順次、それぞれの熱交換器を経てプロパン回路20を通って流れる。冷却天然ガスは、次に分留カラム17に流れ、その中でペンタン及びより重質の炭化水素がライン18を経て除去されて、分留ユニット19内でさらに処理される。
メタン、エタン、プロパン、及びブタンの残留混合物は、ライン21を通って分留カラム17から除去され、主極低温熱交換器22内において、混合冷媒回路30を通って流れる混合冷媒でガス混合物をさらに冷却することによって液化される。混合冷媒は、窒素、メタン、エタン、及びプロパンの混合物であり、コンプレッサー23内で圧縮され、次に、ガスタービン24によって駆動される。圧縮後、混合冷媒は、空気又は水冷却器25a、25bにそれを通すことによって冷却されてから、熱交換器26、27、28、及び29内でプロパン回路20からのプロパンを蒸発させることによって部分的に凝縮される。混合冷媒は、次に高圧混合冷媒分離器31に送られ、その中で凝縮液体(ライン32)は蒸気(ライン33)から分離される。図1で見られるように、分離器31から液体も蒸気も主極低温熱交換器22を通って流れ、そこで混合冷媒を蒸発させることによってそれらは冷却される。
【0022】
ライン32内の冷液体流は、熱交換器22の中央から除去され、その圧力は膨張弁34を通って下がる。今では低圧の混合冷媒は、次に交換器22に戻され、そこで、より温かい混合冷媒流及びライン21内の供給ガス流によって蒸発させられる。混合冷媒蒸気流が熱交換器22の頂部に到達すると、それは凝縮されて除去され、膨張弁35を通って膨張した後に熱交換器22に戻される。この凝縮混合冷媒蒸気は交換器22内で落下しながら、ライン21内の供給ガス及びライン32内の高圧混合冷媒流と熱交換することによって蒸発させられる。交換器22の中央で、落下する凝縮混合冷媒蒸気は、交換器22内の低圧混合冷媒液体流と混ざり、この混合流は、下部交換器22から蒸気として出口36を通って出てコンプレッサー23まで逆流して混合冷媒回路30を完成する。
【0023】
閉鎖プロパン回路20を用いて、供給ガスと混合冷媒を両方とも冷却した後に主極低温熱交換器22にそれらを通す。プロパンは、コンプレッサー37によって圧縮され、次に、ガスタービン38によって駆動される。この圧縮プロパンは、冷却器39(例えば海水又は空気冷却)内で凝縮され、プロパンサージタンク40に回収され、そこからそれは熱交換器(プロパン冷却器)13~16及び26~29を次々と流され、そこで蒸発して、それぞれ、供給ガスと混合冷媒を両方とも冷却する。両ガスタービン24及び38は、エアフィルター41を含み持ってよい。
【0024】
システム10は、LNGトレインと呼ばれることがあり、直列又は並列のどちらかで同様のLNGトレインと組み合わせてLNG生産量を最大にすることができる。該組み合わせは、開示態様に従うLNGプラントの模式図である図2に示してある。LNGプラント100は、少なくとも2つのLNGトレインを含み、図2には、LNGトレインが第1のLNGトレイン102及び第2のLNGトレイン104によって表されている。各LNGトレインは、当技術分野で周知のように、プロパン冷媒及び混合冷媒をそれぞれ、プロパン冷媒サイクル及び混合冷媒サイクル内で用いて、供給量の天然ガス106を液化する。既知の原則に従って、プロパン冷却ユニット108、108aは、プロパン冷媒を所望温度まで冷却し、混合冷媒冷却ユニット110、110aは、混合冷媒を別の所望温度まで冷却する。各冷却ユニットは、それぞれの冷媒を所望の温度及び圧力まで冷却するために1つ以上のコンプレッサー、電動機、熱交換器、膨張器、及び/又はガスタービン(図示せず)を含んでよい。各冷媒の組成は、設計仕様及び有効性に応じて異なってよく、フルオロカーボン、貴ガス、炭化水素等を有する組成物を含め、既知のプロパン冷媒組成物及び混合冷媒素組成物を含み得る。
【0025】
作動中、各LNGトレイン102、104は、供給量の天然ガス106を例えば約-100℃~約-140℃の温度、及び約5バール(bara)~約70バール(bara)まで液化して温LNG流112を生成する。温LNG流112は、窒素冷媒を窒素サブクーリングサイクル内で使用する窒素サブクーラー114に送られる。窒素サブクーリングユニット116は、窒素冷媒を所望温度まで冷却する。各冷却ユニットは、それぞれの冷媒を所望の温度及び圧力まで冷却するために1つ以上のコンプレッサー、電動機、膨張器、熱交換器、及び/又はガスタービン(図示せず)を含んでよい。サブクーリング冷媒の組成は、ここに記載のように純窒素又は設計仕様及び有効性に応じて多様な組成の別の冷媒のどちらであってもよく、実質的に全て窒素であるか、又は窒素と他のクーラントの組み合わせを含んでよい。窒素サブクーリングユニット116は、温LNG流112を例えば、約-155℃の温度及び約4バール(bara)の圧力までサブクールし、それによって冷LNG流118を形成する。この温度及び圧力で、冷LNG流118を要望どおりに貯蔵及び/又は輸送してよい。
【0026】
LNGプラント100は、図3に示すように、窒素サブクーラー114なしで操作してもよい。並列のLNGトレインを有する既知LNGプラントの通常の操作と同様であるこの操作モードでは、各LNGトレイン102、104が天然ガス流112を例えば、約-155℃の温度、及び約4バール(bara)の圧力まで冷却及びサブクールし、それによって冷LNG流118aを形成する。LNGトレインは、作動中に窒素サブクーリングループなしでLNGをサブクールする責任を負うので、図2の冷LNG流118に比べて冷LNG流118a中のLNGは少ない。その結果、窒素サブクーラー114のLNGプラントへの追加は、それによって別のLNGトレインを必要とせずに製造されるLNGの量を増やすことが分かる。そのため、窒素サブクーラーはもう1つのLNGトレインより構築及び維持するための費用がかなり安価なので、窒素サブクーラー114は、有効なLNG障害除去解決策として役立ち得る。さらに、窒素は、大気にも(おそらくさらに)天然ガス流にも含まれる成分なので、サブクーラントとして用いる窒素は、窒素除去ユニット(nitrogen rejection unit)(NRU)から、又はLNG貯蔵タンクのボイルオフガスから、又はLNG再ガス化プラントで生成されてLNGプラント100に輸送された液体窒素(LIN)から、又は他の手段から得ることができ、それによってプロパン冷媒及び/又は混合冷媒のさらなる供給の必要性を排除する。
【0027】
本開示の態様は、本開示の精神に沿いながら多くの点で異なってよい。例えば、LNGトレイン102、104及び/又は窒素サブクーラー内での冷却には、水に基づく冷却及び/又は空気に基づく冷却を含めてよく、またLNGサブクーリングと関連する熱交換器は、渦巻き形熱交換器、アルミろう付熱交換器、又は他の既知タイプの熱交換器を含んでよい。窒素サブクーラーは、一軸、二軸、及び/又は多軸ガスタービン及び/又は電動機ドライバーを含んでよい。窒素サブクーラーは、LNGトレインと同時に建設してよく(すなわち、グリーンフィールド設置)、或いは既存LNGプラントに建設してよい(すなわち、ブラウンフィールド設置)。どちらの場合にも、追加の障害除去の可能性のために窒素サブクーラーをエンドフラッシュガスユニットと組み合わせてよい。LNGトレイン102、104内の既存ガスタービン及び/又は窒素サブクーラー内のガスタービンと共に使用すべき流入空気冷却システムを設置することによってLNG製造効率をさらに高めることもできる。流入空気冷却の概念は、参照することによりその開示内容全体をここに援用する共同所有のFanningらに対する米国特許第6,324,867号にさらに完全に説明されている。さらに、サブクーリングユニット114内で冷媒として窒素を用いることには特有の利点があるが、サブクーリングユニット内で、他の組成物、例えば窒素、メタン、プロパン、より重質の炭化水素、フルオロカーボン、貴ガス等の1種以上を使用することが望ましいこともある。最後に、プロパン及び混合冷媒を用いて天然ガスを冷却及び液化するとしてLNGトレイン102、104について述べたが、異なる冷媒又は冷媒の組み合わせを使用するLNGトレインと共に窒素サブクーリングユニットを使用してもよい。
【0028】
図4は、開示態様に従って天然ガス流から液化天然ガス(LNG)を製造する方法200を示すフローチャートである。ブロック202で複数のLNGトレイン及びサブクーリングユニットを準備する。ブロック204で、複数の各LNGトレインを用いては天然ガス流の一部を液化し、それによって第1の操作モードでは温LNG流を生成し、第2の操作モードでは冷LNG流を生成する。ブロック206において、第1の操作モードでは、温LNG流がサブクーリングユニット内でサブクールされ、それによって組み合わせ冷LNG流を生成する。温LNG流は、冷LNG流及び組み合わせ冷LNG流の温度より高い温度を有する。第1の操作モードにおいて、組み合わせ冷LNG流は、第2の操作モードにおける冷LNG流の流速より高い流速を有する。
【0029】
開示態様の利点は、追加のLNGトレインを構築するより安価かつ速く設置できることである。別の利点は、窒素は大気に放出できるので、追加のフレアコネクション(flare connection)は限られることである。別の利点は、追加のC2及び/又はC3(エタン及び/又はプロパン)冷媒在庫が必要ないことである。さらに別の態様は、開示サブクーリングループがオフラインであるときに、能力は低下するが、LNGトレインは障害除去前(pre-debottlenecking)モードで作動できることである。さらに別の利点は、大型窒素膨張器(例えば、10MW、15MW、又は21MWまで)を適格とし、使用できることである。さらに別の利点は、サブクーリングユニットを現場で建設(すなわち、現場組み立て)、部分的にモジュール化、又は完全にモジュール化できることである。このような製造柔軟性は、製造の時間及びコストを削減することができる。
【0030】
本開示に従うシステム及び方法のさらに説明に役立つ非排他的例を下記列挙パラグラフで提示する。下記列挙パラグラフ中のものを含め、ここに記載の方法の個々のステップは、さらに又は代わりに、記載作用を遂行する「ためのステップ」と見なし得ることは本開示の範囲内である。
【0031】
1. 天然ガス流から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムであって、下記:
天然ガス流の第1の部分を液化して、
第1の操作モードでは第1の温LNG流、及び
第2の操作モードでは第1の冷LNG流
を生成するように構成された第1のLNGトレイン;
天然ガス流の第2の部分を液化して、
第1の操作モードでは第2の温LNG流、及び
第2の操作モードでは第2の冷LNG流
を生成するように構成された第2のLNGトレイン;及び
第1の操作モードで、第1の温LNG流及び第2の温LNG流をサブクールして、第1の冷LNG流及び第2の冷LNG流を生成するように構成されたサブクーリングユニット
を含み;
第1及び第2の温LNG流は、第1及び第2の冷LNG流の温度より高い温度を有し;かつ
第1の操作モードにおいて、第1及び第2の冷LNG流は、第2の操作モードにおける第1及び第2の冷LNG流の組み合わせ流速より高い組み合わせ流速を有する、
システム。
【0032】
2. サブクーリングユニットが、窒素冷媒を用いて第1及び第2の温LNG流をサブクールする、パラグラフ1のシステム。
3. 第1及び第2のLNGトレインの少なくとも1つが、プロパン冷媒を用いて天然ガス流の第1又は第2の部分を液化する、パラグラ1又はパラグラフ2のシステム。
4. 第1及び第2のLNGトレインの少なくとも1つが、混合冷媒を用いて天然ガス流の第1又は第2の部分を液化する、パラグラフ1~3のいずれか1つのシステム。
5. 第1及び第2のLNGトレインの少なくとも1つが、プロパン冷媒及び混合冷媒を用いて天然ガス流の第1又は第2の部分を液化し、かつサブクーリングユニットが、窒素冷媒を用いて第1及び第2の温LNG流をサブクールする、パラグラフ1のシステム。
6. サブクーリングユニットと関連する熱交換器が、渦巻き形熱交換器及びアルミろう付熱交換器の1つである、パラグラフ1~5のいずれか1つのシステム。
7. サブクーリングユニットが、既存の第1及び第2のLNGトレインと共に使用されるように設置される、パラグラフ1~6のいずれか1つのシステム。
8. サブクーリングユニットが、第1及び第2のLNGトレインと実質的に同時に構築される、パラグラフ1~6のいずれか1つのシステム。
9. 第1及び第2のLNGトレイン及びサブクーリングシステムの少なくとも1つが、少なくとも1つのガスタービンを含み、かつ少なくとも1つのガスタービンと共に設置された流入空気冷却システムをさらに含む、パラグラフ1~8のいずれか1つのシステム。
10. 第1及び第2の温LNG流が、サブクーリングシステム内でサブクールされる前に組み合わせられる、パラグラフ1~9のいずれか1つのシステム。
【0033】
11. 天然ガス流から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムであって、下記:
天然ガス流の一部を液化して、
第1の操作モードでは温LNG流、及び
第2の操作モードでは冷LNG流
を生成するようにそれぞれ構成された複数のLNGトレイン;
及び
第1の操作モードで、温LNG流をサブクールし、それによって組み合わせ冷LNG流を生成するように構成されたサブクーリングユニット
を含み;
温LNG流は、冷LNG流及び組み合わせ冷LNG流の温度より高い温度を有し;かつ
第1の操作モードにおいて、組み合わせ冷LNG流は、第2の操作モードにおける冷LNG流の流速より高い流速を有する、
システム。
【0034】
12. サブクーリングユニットが、窒素冷媒を用いて温LNG流をサブクールする、パラグラフ11のシステム。
13. 複数のLNGトレインの少なくとも1つが、プロパン冷媒を用いて天然ガス流のそれぞれの部分を液化する、パラグラフ11又はパラグラフ12のシステム。
14. 複数のLNGトレインの少なくとも1つが、混合冷媒を用いて天然ガス流のそれぞれの部分を液化する、パラグラフ11~13のいずれか1つのシステム。
15. 複数のLNGトレインの少なくとも1つが、プロパン冷媒及び混合冷媒を用いて天然ガス流のそれぞれの部分を液化し、かつサブクーリングユニットが、窒素冷媒を用いて温LNG流をサブクールする、パラグラフ11のシステム。
16. サブクーリングユニットと関連する熱交換器が、渦巻き形熱交換器及びアルミろう付熱交換器の1つである、パラグラフ11~15のいずれか1つのシステム。
17. 複数のLNGトレインが既存のLNGトレインであり、さらにサブクーリングユニットが、既存のLNGトレインと共に使用されるように構築される、パラグラフ11~16のいずれか1つのシステム。
18. サブクーリングユニットが、第1及び第2のLNGトレインと実質的に同時に構築される、パラグラフ11~16のいずれか1つのシステム。
19. 複数のLNGトレイン及びサブクーリングシステムの少なくとも1つが、少なくとも1つのガスタービンを含み、かつ少なくとも1つのガスタービンと共に設置された流入空気冷却システムをさらに含む、パラグラフ11~18のいずれか1つのシステム。
【0035】
20. 天然ガス流から液化天然ガス(LNG)を製造する方法であって、下記:
複数のLNGトレイン及びサブクーリングユニットを準備すること;
複数の各LNGトレインを用いて天然ガス流の一部を液化し、それによって
第1の操作モードでは温LNG流、及び
第2の操作モードでは冷LNG流
を生成すること;
及び
第1の操作モードで、サブクーリングユニット内で温LNG流をサブクールし、それによって組み合わせ冷LNG流を生成すること
を含み;
温LNG流は、冷LNG流及び組み合わせ冷LNG流の温度より高い温度を有し;かつ
第1の操作モードにおいて、組み合わせ冷LNG流は、第2の操作モードにおける冷LNG流の流速より高い流速を有する、
方法。
【0036】
21. サブクーリングユニットが、窒素冷媒を用いて温LNG流をサブクールする、パラグラフ20の方法。
22. 複数のLNGトレインの少なくとも1つが、プロパン冷媒を用いて天然ガス流のそれぞれの部分を液化する、パラグラフ20又はパラグラフ21の方法。
23. 複数のLNGトレインの少なくとも1つが、混合冷媒を用いて天然ガス流のそれぞれの部分を液化する、パラグラフ20~22のいずれか1つの方法。
24. 複数のLNGトレインの少なくとも1つが、プロパン冷媒及び混合冷媒を用いて天然ガス流のそれぞれの部分を液化し、かつサブクーリングユニットが、窒素冷媒を用いて温LNG流をサブクールする、パラグラフ20の方法。
25. サブクーリングユニットと関連する熱交換器が、渦巻き形熱交換器及びアルミろう付熱交換器の1つである、パラグラフ12~24のいずれか1つの方法。
26. 複数のLNGトレインが既存のLNGトレインであり、さらに下記:
既存のLNGトレインと共に使用すべきサブクーリングユニットを構築すること
を含む、パラグラフ20~25のいずれか1つの方法。
27. さらに下記:
第1及び第2のLNGトレインと実質的に同時にサブクーリングユニットを構築すること
を含む、パラグラフ20~25のいずれか1つの方法。
28. 複数のLNGトレイン及びサブクーリングシステムの少なくとも1つが、少なくとも1つのガスタービンを含み、かつさらに下記:
少なくとも1つのガスタービンと共に流入空気冷却システムを設置すること
を含む、パラグラフ20~27のいずれか1つの方法。
【0037】
産業上の利用可能性
ここで開示する装置及び方法は、石油ガス産業に適用可能である。
上記開示は、独立した有用性を有する複数の異なる発明を包含すると考えられる。これらの各発明をその好ましい形態で開示したが、多数の変形形態が可能なので、ここで開示及び説明したその具体的形態を限定的意味で考えるべきでない。本発明の主題には、ここで開示する種々の要素、特徴、機能及び/又は特性の新規かつ自明でないすべての組み合わせ及び部分的組合せが含まれる。同様に、請求項が「a」若しく「第1の(a first)」要素又はその等価物を列挙する場合、該請求項は、1つ以上の該要素の組み入れを包含し、2つ以上の該要素を必要ともせず排除もしないものと理解すべきである。
【0038】
下記請求項は、開示発明の1つを対象にし、新規かつ自明でない特定の組み合わせ及び部分的組み合わせに特に注目すると考えられる。特徴、機能、要素及び/又は特性の他の組み合わせ及び部分的組み合わせで具体化された発明は、本請求項の補正又は本出願若しくは関連出願の新しい請求項の提示を通じて主張可能である。このような補正されたか又は新しい請求項は、それらが異なる発明を対象にしようが同一発明を対象にしようが、最初の請求項と異なるか、より広いか、より狭いか、又は等しい範囲であろうが、やはり本開示の発明の主題に含まれるとみなされる。
本発明を特定の実施形態を参照して記載及び説明したが、当業者は、必ずしもここで説明していない変形形態に本発明が適していることが分かるであろう。そこで、この理由から、本発明の真の範囲を決定するという目的では添付の特許請求の範囲のみを参照すべきである。
図1
図2
図3
図4