(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】スフェロイドを透明化するための組成物、これを使用するスフェロイドを透明化するための方法、およびこれを備えるキット
(51)【国際特許分類】
G01N 1/30 20060101AFI20220405BHJP
C12N 5/07 20100101ALI20220405BHJP
C07J 31/00 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
G01N1/30
C12N5/07
C07J31/00
(21)【出願番号】P 2020542324
(86)(22)【出願日】2019-02-01
(86)【国際出願番号】 KR2019001484
(87)【国際公開番号】W WO2019151838
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0013747
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510256159
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】キム,ギソク
(72)【発明者】
【氏名】パク,スンヒョン
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/030164(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/090777(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/022883(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/115206(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/139455(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/069519(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1
で表される化合物、その光学異性体、その水和物、またはその塩2~60w/v%、および
尿素20~60w/v%を有効成分として含む、スフェロイド(Spheroid)を透明化するための組成物:
【化1】
。
【請求項2】
スフェロイドが、脳、血管、肝臓、肺、腎臓、膵臓、心臓または腸に由来する細胞を使用して調製される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
固定化されたスフェロイドを、請求項1に記載の組成物と接触させることによって、これを透明化するステップを含む、スフェロイドを透明化するための方法。
【請求項4】
請求項
3に記載のスフェロイドを透明化するための方法であって、スフェロイドの固定化が、パラホルムアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グルタルアルデヒドおよびポリアクリルアミドからなる群より選択される1以上を使用して実施される、前記方法。
【請求項5】
スフェロイドが、脳、血管、肝臓、肺、腎臓、膵臓、心臓または腸に由来する細胞を使用して調製される、請求項
3に記載のスフェロイドを透明化するための方法。
【請求項6】
方法が、4℃~50℃の温度範囲で行われる、請求項
3に記載のスフェロイドを透明化するための方法。
【請求項7】
以下のステップ:
糖類を含有する溶液を固定化されたスフェロイドに前処理すること(ステップ1);および
ステップ1において前処理されたスフェロイドを、請求項1に記載の組成物と接触させて、これを透明化すること(ステップ2)、
を含む、スフェロイドを透明化するための方法。
【請求項8】
請求項
7に記載のスフェロイドを透明化するための方法であって、スフェロイドの固定化が、パラホルムアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グルタルアルデヒドおよびポリアクリルアミドからなる群より選択される1以上を使用して実施される、前記方法。
【請求項9】
請求項
7に記載のスフェロイドを透明化するための方法であって、スフェロイドが、脳、血管、肝臓、肺、腎臓、膵臓、心臓または腸に由来する細胞を使用して調製される、前記方法。
【請求項10】
方法が、4℃~50℃の温度範囲で行われる、請求項
7に記載のスフェロイドを透明化するための方法。
【請求項11】
糖類が、単糖類、二糖類および多糖類からなる群から選択される1以上である、請求項
7に記載のスフェロイドを透明化するための方法。
【請求項12】
請求項1
1に記載のスフェロイドを透明化するための方法であって、単糖類は、フルクトース、ガラクトース、グルコースまたはマンノースであり;二糖類は、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノースまたはセロビオースであり;および多糖類は、デキストラン、ジエチルアミノエチル-デキストラン、デキストリン、セルロースまたはβ-グルカンである、前記方法。
【請求項13】
糖類を含有する溶液は、糖類を含有する水溶液である、請求項
7に記載のスフェロイドを透明化するための方法。
【請求項14】
糖類を含有する溶液の糖類の濃度が、10~70w/v%である、請求項
7に記載のスフェロイドを透明化するための方法。
【請求項15】
糖類溶液を含有するスフェロイド透明化前処理組成物および請求項1に記載のスフェロイドを透明化するための組成物を備える、スフェロイドを透明化するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
関連出願に対する相互参照
この特許出願は、2018年2月5日に出願された韓国特許出願第10-2018-0013747号からの優先権の利益を主張し、この内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
1.本発明の分野
本発明は、スフェロイドを透明化するための組成物、これを使用するスフェロイドの透明性方法、およびこれを有するキットに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の記載
X線を使用する医療診断技術は、三次元の観察が可能である技術として開発され、CTまたはMRIなどの二次元走査による診断を詳述する。光源の代わりに超音波を使用する三次元画像を実現するための別の技法はまた、診断のために積極的に使用されている。しかしながら、これまでに開発されたほとんどの技法は、ミリリットルのレベルのマクロ解像度を有している。細胞内レベルでの分析を実現することができるマイクロレベルでの三次元測定技法は、完全には確立されていない。よって、細胞分析方法のほとんどは、従来の二次元技法を使用する。
【0004】
すなわち、マイクロ構造を分析するために、生検組織または剖検組織などの生物組織は、固定溶液で固定され、および、パラフィンまたはポリマーに包埋される。試料は、光または電波が通過するように、マイクロメートルまたはナノメートルの厚みで切片とされる。および、次いで、透過画像は、光学または電子顕微鏡によって観察される。マイクロ画像技法を使用する三次元画像を得るために、共焦点顕微鏡が必要とされる。これを用いて、何十マイクロメートルの厚みの情報を得ることができる。
【0005】
従来の組織透明化技法は、Spatleholz、BABB、Scale S、およびiDISCO 方法(これらは、有機溶媒を使用する組織透明化のプロセスである)およびACT(活性CLARITY技術)方法(これは、ポリマー注射方法である)を包含する。そして、上記方法によって処理された組織の抗原保存的特性が、報告されている。ACT以外の方法で処理された場合、蛍光および抗原の保存的な特性が低減されるという問題が存在する。
【0006】
ACTの場合、それは、90%超の抗原保存性を示し、これは、CLARITYなどの固定タンパク質に加えて、ヒドロゲルポリマーへの結合を必要とする方法と比較して、高い保存的特性を示す。しかしながら、強力な組織固定プロセスは、抗原性の喪失を引き起こし、および、利用可能な抗体の低減などの問題が考慮されるべきである。したがって、様々な技法的改善が必要とされる。
【0007】
従来の組織透明性技法について、処理された組織において抗原保存性を維持するために、有機溶媒を使用するSpatleholz、BABB、Scale S、およびiDISCO、およびポリマーを使用するACT(活性な透明性技術)が報告されている。ACTを除き、すべての他の方法は、蛍光および抗原保存の減少を表示する。ACTの場合、抗原保存は、少なくとも90%に達し、これは、固定されたタンパク質に結合するヒドロゲルポリマーを使用する他の方法よりもはるかに高い。しかしながら、かかる強力な組織結合プロセスは、抗原性の喪失を引き起こし、貴重な抗体の減少を生じる。したがって、従来の方法は、改善する必要がある。
【0008】
組織透明性のために近年開発された「透明性(CLARIRY)」ベースの技法は、ハイドロゲルを使用することによってDNAまたはタンパク質などの診断に重要な材料を保持し、および、脂質を選択的に除去するように、組織中で構築される正味の支持体を使用する(特許文献1、および非特許文献1,2を参照のこと)。
【0009】
しかしながら、上記の「透明性」ベースの技法に従って、ハイドロゲル支持体は、組織に浸潤する。ハイドロゲルの濃度が増大すると、タンパク質との結合が増大し、および、正味の構造がより硬くなり、これは、組織がより硬くなることを意味する。組織が一旦硬くなると、脂質は、界面活性剤を使用することによって脱出することが困難となり、透明性プロセスのための時間が長くかかることを指し示す。
【0010】
加えて、CLARITY特異的電気泳動デバイスが、脂質を迅速に除去するために使用される場合、強力な電圧または電流が溶液および組織の表面を通過し、および、酸素および組織と組み合わされ、これは、暗色の粒子の沈殿を引き起こすかまたは組織を黄色にする。とりわけ、組織ではなく、スフェロイドおよびオルガノイドのサイズは、何百マイクロメートル~ミリメートルの範囲であるが、これらは、細胞内結合によって接続され、サンプルの弱体化を引き起こし、したがって、損傷が、強力な電気または電圧および電気による加水分解によって引き起こされる。
【0011】
スフェロイド画像を獲得するために、共焦点顕微鏡または同種のものを使用しなければならず、および、このケースにおいて、何十マイクロメートルの厚みの情報を、一般に得ることができる。大まかに、この厚みは、光源が透過できる深さによって制限される。しかしながら、スフェロイド構造は、数百マイクロメートルまたはそれを超えるサイズを有するので、いくつかの情報のみが、この様式で、得ることができる。
【0012】
したがって、より厚い組織において情報を得るために、何十マイクロの厚みの連続切片を調製し、顕微鏡を介してこれらを画像化し、およびこれらを再構成する、一連のプロセスが必要とされる。しかしながら、スフェロイド試料は脆弱なので、切断およびペースト化の間に、様々な問題が指数関数的に生じ得る。
【0013】
組織透明化技術は、組織を損傷することなく、組織の内部構造およびタンパク質分布を同定することができ、既存の技術の観察の制限を超えて、組織構造のより深い観察、および、様々な系からの統合された構造および分子情報へのアクセスを可能にする。よって、組織を透明にする技術は、近年、様々な手法で開発されている。しかしながら、スフェロイド組織にのみ適用する透明化キットは存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【非特許文献】
【0015】
【文献】Chung K, et al. (2013) Nature 497(7449):332-337
【文献】Lee H, et al. BMC Developmental Biology 2014 14:781
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、スフェロイドを透明化するための組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、スフェロイドのための透明性方法を提供することである。
本発明の別の目的は、スフェロイドを透明化するためのキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の式1:
【化1】
によって表される化合物、その光学異性体、水和物または塩を含む、スフェロイドを透明化するための組成物を提供する。
【0018】
本発明の別の側面において、本発明は、固定されたスフェロイドを組成物と接触させることによって、これを透明化するステップを含む、スフェロイドを透明化するための方法を提供する。
本発明の別の側面において、本発明は、以下のステップを含む、スフェロイドの透明性方法を提供する:
糖類を含有する溶液を固定化されたスフェロイドに前処理すること(ステップ1);および
ステップ1で前処理されたスフェロイドを、組成物と接触させることによってこれを透明化すること(ステップ2)。
【0019】
本発明の別の側面において、本発明は、糖類溶液を含有するスフェロイド透明化前処理組成物、および、請求項1に記載のスフェロイドを透明化するための組成物を含む、スフェロイドを透明化するためのキットを提供する。
【発明の効果】
【0020】
有利な効果
式1の化合物を含むスフェロイドを透明化するための組成物は、都合良くかつ急速にスフェロイドを透明化することができ、その結果、スフェロイドを画像化するのに有用であり得、並びに、様々な疾患の原因を同定するために、これらを処置するために、および、薬物の有効性および毒性を予測するために有効に使用することができる。加えて、組成物は、様々な医療デバイスに適用することによって使用することができ、および、とりわけ、これをキットとして構成することによって、インビトロ診断デバイスとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面の簡単な記載
【
図1】
図1は、スフェロイドがSpheroidFilm上に形成される、一連の画像である。
【
図2】
図2は、透明化の前後に分析されたスフェロイドを示す。左図:JuLI生細胞ムービーアナライザーを用いて分析した、透明化の前後のスフェロイド中の細胞の数の変化を示す。右図:一般的な顕微鏡を用いて分析された、透明化の前後のスフェロイドの蛍光の明るさを示す画像である。
【
図3】
図3は、顕微鏡を使用して測定された透明化後のスフェロイドの蛍光の明るさを示す。
【
図4】
図4は、本発明の実験例において使用されるSpheroidFilmの情報を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好ましい態様の記載
図3に示されるとおり、各細胞の形状および核の形状の解像度は、三次元で明確に確認され得る。
本明細書の以降において、本発明は、詳細に記載される。
【0023】
本発明は、以下の式1:
【化2】
によって表される化合物、その光学異性体、水和物、または塩を含む、スフェロイドを透明化するための組成物を提供する。
本明細書の以降において、スフェロイドを透明化するための組成物は、詳細に説明される。
【0024】
式1によって表される化合物は、以下の式A:
【化3】
によって表される化合物であり得る。
式A中、
R
1およびR
2は、独立して直鎖状または分枝のC
1-10アルキルであり;および
p、qおよびrは、独立して0~10の整数である。
【0025】
R1およびR2は、独立して直鎖状のまたは分枝のC1-5アルキルであり;および
p、qおよびrは、独立して0~5の整数である。
R1およびR2は、メチルであり;および
p、qおよびrは、整数1である。
【0026】
本発明のスフェロイドを透明化するための組成物は、光の透過をブロックする脂質構成要素および他の分子をスフェロイドから除去し、タンパク質の構造上の変性を引き起こさず、および組織を硬化させる。
【0027】
スフェロイドを透明化するための組成物において、式1によって表される化合物の濃度は、2~55w/v%(重量/体積%)の濃度で包含され得、および、試料への適用のために、40w/v%の濃度で使用することができる。このとき、濃度を指し示すための溶液は、一般に使用される模擬体液、より具体的に、蒸留水、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、TBS(トリス緩衝液)等々であり得るが、これらに常に限定されない。
【0028】
式1によって表される化合物の濃度が2w/v%未満で包含される場合、スフェロイドの透明化速度は、顕著に遅らせることができ、および、式1によって表される化合物の濃度が、60w/v%を超えて包含される場合、式1によって表される化合物は、完全に溶解されていなくてもよい。
【0029】
スフェロイドを透明化するための組成物は、スフェロイドの透明化を加速させるために、浸透圧を制御する材料をさらに包含し得る。このとき、スフェロイドの透明化を迅速に加速させるための材料として、尿素、CHAPSO(3-([3-コラミドプロピル]ジメチルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホナート)、スクロース、フルクトース(フルクトース)、グリセロール、ジアトリゾ酸、Triton X-100、Tween-20、2,2’-チオエタノール、イオへキソール、クロラール水和物、またはそれらの組み合わせが使用され得るが、これらに常に限定されない。
【0030】
スフェロイドの透明化を急速に加速させるための材料は、5~80w/v%、5~75w/v%、10~70w/v%、5~50w/v%、または35~60w/v%の濃度で包含され得る。このとき、濃度が5w/v%未満である場合、組織を透明化させるための速度は、遅くなり、および、濃度が、80w/v%を超える場合、結晶が形成されてもよいし、溶液中で溶解されなくてもよい。
【0031】
1つの特定の例において、尿素が、スフェロイドの透明化を迅速に加速させるための材料として使用される場合、尿素の濃度は、10~70w/v%、および好ましくは20~60w/v%である。加えて、スフェロイドの透明化を迅速に加速させるための材料の濃度は、式1によって表される化合物の好ましい濃度範囲とともに適切に調整され得る。
【0032】
上記スフェロイドは、生体、具体的に言うと、これらに常に限定されないが、脳、血管、肝臓、肺、腎臓、膵臓、心臓、および腸から分離された組織に由来する細胞を使用して調製され得る。
【0033】
すなわち、本発明のスフェロイドを透明化するための組成物は、様々な細胞から作製されたスフェロイド、とりわけ、脳、血管、肝臓、肺、腎臓、膵臓、腸、心臓等々に由来する細胞を使用して調製されたスフェロイドおよびオルガノイドに適用され得る。透明化は、スフェロイドまたはオルガノイドの全部または一部において生じ得る。
【0034】
スフェロイドが、スフェロイドを透明化するための組成物を使用することによって透明化された後、透明化前後で比較される。透明化された後、認識される細胞の数は、有意に増大し、蛍光の明るさは、有意に増大し、および、各細胞の形状および核の形状の解像度は、三次元で明確に確認された(実験例2および
図2および3を参照のこと)。
【0035】
スフェロイドを透明化するための組成物は、高価な電気泳動デバイスおよび高価な溶液を必要とせず、および、組織膨張、泡形成、脱色、および黒色堆積物なしで、スフェロイドの透明度を改善する。
スフェロイドを透明化するための組成物は、都合良くおよび急速にスフェロイドを透明化することができ、したがって、様々な疾患の原因を同定するために、これらを処置するために、薬物の有効性および毒性を予測するために有効に使用され得る。加えて、組成物は、様々な医療デバイスに適用することによって使用することができ、および、とりわけ、組成物は、それをキットとして構成することによって、インビトロ診断デバイスとして使用することができる。
【0036】
加えて、上記組成物を使用することによって、スフェロイドを同時に都合良く調製および透明化させることが可能であり、および、これを介して、細胞および分子の三次元分布を画像化および観察することができる。したがって、観察の研究は、複雑な構造を有する様々なスフェロイドについての1つの完全な構造において、数百ミリメートルまたはそれ以上のサイズで実施され得る。それで、組成物は、様々な疾患の原因を同定するため、および、処置方法ならびにさらに薬物の有効性および毒性を推定するために有効に使用することができる。
【0037】
本発明の別の側面において、本発明は、固定化されたスフェロイドを、スフェロイドを透明化するための組成物と接触させることによって透明化するステップを含む、スフェロイドについての透明性方法を提供する。
スフェロイドについての透明性方法は、固定化されたスフェロイドを、スフェロイドを透明化するための組成物と接触させることによって、これを透明化させるステップを包含する。
【0038】
具体的には、本発明に従うスフェロイドのための透明性方法において、スフェロイドの物理化学的特性は改変され、および、光がより深く透過するように透明に構成され、固定化されたスフェロイドを、式1によって表される化合物を含有する組成物と接触させることによって、それを透明にする。
【0039】
本発明に従うスフェロイドのための透明性方法は、泡の形成、脱色、および黒色堆積物なしで、スフェロイドの透明度を改善し、および、タンパク質変性または同種のものに起因する所望される組織における情報を失わず、または歪めることもない。したがって、GFPタンパク質などの様々なフルオロフォアを使用して、組織中の情報を検出することができる。
【0040】
本発明に従うスフェロイドのための透明性方法において、スフェロイドは、透明化に先立つ抗原性の喪失を引き起こすことなくスフェロイドを固定化する方法である限り、いずれの具体的な制限なく、固定化することができる。
より具体的には、スフェロイドの固定化は、これらに常に限定されないが、パラホルムアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グルタルアルデヒド、ポリアクリルアミドまたはそれらの組み合わせを使用する従来の方法によって実施することができる。
【0041】
本発明に従うスフェロイドのための透明性方法において、式1によって表される化合物および尿素の混合物が処理される場合、タンパク質の構造上の結合力が増大され、変性は生じず、組織は硬化され、スフェロイド透明化プロセスにおいて出現する膨張は防止され、および、抗体処理および洗浄のプロセスにおいて生じる組織のクラッキングが防止され得る。
【0042】
このとき、濃度を指し示すための溶液は、一般に使用される模擬体液、より具体的に、蒸留水、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、TBS(トリス緩衝液)等々であり得るが、これらに常に限定されない。反応は、10℃~50℃、12℃~48℃、14℃~46℃、16℃~44℃、18℃~42℃、20℃~40℃、24℃~39℃、28℃~38℃、30℃~37℃、および33℃~34℃の範囲で実施され得る。
【0043】
スフェロイドを透明化するための組成物において、式1によって表される化合物の濃度は、2~55w/v%(重量/体積%)の濃度で包含され得、および、試料に適用するために、40w/v%の濃度で使用され得る。このとき、濃度を指し示すための溶液は、一般に使用される模擬体液、より具体的に、蒸留水、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、TBS(トリス緩衝液)等々であり得るが、これらに常に限定されない。
【0044】
式1によって表される化合物の濃度は、2w/v%未満で包含される場合、スフェロイドの透明化速度は、顕著に遅れ得、および、式1によって表される化合物の濃度が、60w/v%を超えて包含される場合、式1によって表される化合物は、完全に溶解されてなくてもよい。
【0045】
上記スフェロイドは、生体、具体的に言うと、脳、血管、肝臓、肺、腎臓、膵臓、心臓、および腸から分離された組織に由来する細胞を使用して調製され得るが、これらに常に限定されない。
方法は、4℃~50℃の範囲の温度で行われ得る。
【0046】
本発明のスフェロイドを透明化するための組成物は、式1によって表される化合物またはその水和物を、2~55w/v%(重量/体積%)の濃度で、および好ましくは4~50w/v%の濃度で包含し得る。このとき、濃度を指し示す溶液は、一般に使用される模擬体液、より具体的に、蒸留水、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、TBS(トリス緩衝液)等々であり得るが、これらに常に限定されない。式1によって表される化合物の濃度が、2w/v%未満で包含される場合、スフェロイドの透明化速度は顕著に遅くなり得、および、式1によって表される化合物の濃度が、55w/v%を超えて包含される場合、式1によって表される化合物は、スフェロイドを透明化するための組成物中に完全に溶解されなくてもよい。
【0047】
スフェロイドを透明化するための組成物は、スフェロイド透明化を加速させる浸透圧を制御する材料をさらに包含し得る。このとき、スフェロイド透明化を迅速に加速させるための材料として、尿素、CHAPSO(3-([3-コラミドプロピル]ジメチルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホナート)、スクロース、フルクトース(フルクトース)、グリセロール、ジアトリゾ酸、Triton X-100、Tween-20、2,2’-チオエタノール、イオへキソール、クロラール水和物、またはそれらの組み合わせが使用され得るが、これらに常に限定されない。
【0048】
スフェロイド透明化を迅速に加速させるための材料は、5~80w/v%、5~75w/v%、10~70w/v%、5~50w/v%、または35~60w/v%の濃度で包含され得る。このとき、濃度が5w/v%である場合、組織を透明化する速度は遅れ、および、濃度が80w/v%を超える場合、結晶は、形成されても良いし、溶液中に溶解されなくてもよい。
【0049】
1つの特定の例において、尿素がスフェロイド透明化を迅速に加速させるための材料として使用される場合、尿素の濃度は、10~70w/v%、および好ましくは20~60w/v%であり得る。加えて、スフェロイド透明化を迅速に加速させるための材料の濃度は、式1によって表される化合物の好ましい濃度とともに適切に調整され得る。
【0050】
本発明の別の側面において、本発明は、以下のステップを含む、スフェロイドのための透明性方法を提供する:
糖類を含有する溶液を固定されたスフェロイドに前処理すること(ステップ1);および
ステップ1で前処理されたスフェロイドを、スフェロイドを透明化するための組成物と接触させることによって、これを透明化すること(ステップ2)。
【0051】
スフェロイドのための透明性方法において、ステップ1は、糖類を含有する溶液を固定されたスフェロイドに処理する前処理ステップである。
上記スフェロイドは、生体、具体的に言うと、これらに常に限定されないが、脳、血管、肝臓、肺、腎臓、膵臓、心臓、および腸から分離された組織に由来する細胞を使用して調製できる。
【0052】
スフェロイドの固定化は、これらに常に限定されないが、パラホルムアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グルタルアルデヒド、ポリアクリルアミドまたはそれらの組み合わせを使用する従来の方法によって実施することができる。
【0053】
糖類は、単糖類、二糖類、多糖類等々であり得、およびより具体的に言うと、単糖類は、フルクトース、ガラクトース、グルコースまたはマンノースであり;二糖類は、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノースまたはセロビオースであり;および多糖類は、デキストラン、ジエチルアミノエチル-デキストラン、デキストリン、セルロースまたはβ-グルカンである。好ましくは、スクロースは、糖類として使用され得る。加えて、糖類を含有する溶液は、好ましくは、糖類を含有する水溶液である。
糖類を含有する(含む)溶液の糖類濃度は、10~70w/v%、20~60w/v%、25~50w/v%、および30~40w/v%の範囲であり得る。
【0054】
多糖溶液がスフェロイドに処理されると、光の透過をブロックする脂質構成要素および他の分子がスフェロイドから予め除去され、および、脱水が誘導され、および、その結果として、組織およびスフェロイドを固定化する試薬の構造上の結合能力が増大し、これは、変性を引き起こさない。
【0055】
加えて、組織を硬化させること、スフェロイド透明化プロセスにおいて生じる組織膨張を防止すること、および、抗体処理および洗浄のプロセスにおいて生じる組織のクラッキングを防止することが実行可能である。しかしながら、糖類を含有する溶液の糖類濃度が10w/v%である場合、効果が生じないという問題があり、および、糖類を含有する溶液の糖類濃度が70w/v%を超える場合、経済的ではないという問題が存在する。
【0056】
スフェロイドのための透明性方法において、ステップ2は、ステップ1において前処理されたスフェロイドを、式1によって表されるCHAPS化合物またはその水和物を含むスフェロイドを透明化するための組成物と接触させることにより、スフェロイドを透明化させるステップである。
ステップ2は、固定および前処理されたスフェロイドを、スフェロイドを透明化させるための組成物と接触させることにより、スフェロイドを透明化させるステップを包含する。
【0057】
具体的には、本発明に従うスフェロイドのための透明性方法において、スフェロイドの物理化学的特性は、改変され、および、光がより深く透過するように透明に構成され、および、固定化されたスフェロイドを式1によって表される化合物を含む組成物と接触させることによって、スフェロイドを透明にする。
【0058】
本発明に従うスフェロイドのための透明性方法は、泡形成、脱色および黒色堆積物なしでスフェロイドの透明度を改善し、および、タンパク質変性または同種のものに起因する所望される組織における情報を喪失または歪めることもない。したがって、GFPタンパク質などの様々なフルオロフォアを使用して、組織中の情報を検出することができる。
【0059】
スフェロイドを透明化するための組成物において、式1によって表される化合物の濃度は、2~55w/v%(重量/体積%)の濃度で包含され、および、試料への適用のために、40w/v%の濃度で使用され得る。このとき、濃度を指し示すための溶液は、一般に使用される模擬体液、より具体的に、蒸留水、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、TBS(トリス緩衝液)等々であり得るが、これらに常に限定されない。
【0060】
式1によって表される化合物の濃度が、2w/v%未満で包含される場合、スフェロイドの透明化速度は、顕著に遅れ、および、式1によって表される化合物の濃度は、60w/v%を超えて包含され、式1によって表される化合物は、完全に溶解されなくてもよい。
【0061】
本発明に従うスフェロイドのための透明性方法において、スフェロイドは、透明化に先立ち抗原性の喪失を引き起こすことなくスフェロイドを固定化する方法である限り、いずれの具体的な制限なく、固定化することができる。
【0062】
より具体的には、スフェロイドの固定化は、これらに常に限定されないが、パラホルムアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グルタルアルデヒド、ポリアクリルアミドまたはそれらの組み合わせを使用する従来の方法によって実施され得る。
【0063】
本発明に従うスフェロイドのための透明性方法において、式1によって表される化合物および尿素の混合物が処理される場合、タンパク質の構造上の結合力が増大され、変性は生じず、組織は硬化され、スフェロイド透明化プロセスにおいて現れる膨張は防止され、および、抗体処理および洗浄のプロセスにおいて生じる組織のクラッキングは防止され得る。
【0064】
このとき、濃度を指し示すための溶液は、一般に使用される模擬体液、より具体的に、蒸留水、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、TBS(トリス緩衝液)等々であり得るが、これらに常に限定されない。反応は、10℃~50℃、12℃~48℃、14℃~46℃、16℃~44℃、18℃~42℃、20℃~40℃、24℃~39℃、28℃~38℃、30℃~37℃、および33℃~34℃の温度範囲で実施され得る。
方法は、4℃~50℃の温度範囲で行われ得る。
【0065】
スフェロイドを透明化するための組成物は、スフェロイド透明化を加速するために、浸透圧を制御する材料をさらに包含する。このとき、スフェロイド透明化を迅速に加速するための材料として、尿素、CHAPSO(3-([3-コラミドプロピル]ジメチルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホナート)、スクロース、フルクトース(フルクトース)、グリセロール、ジアトリゾ酸、Triton X-100、Tween-20、2,2’-チオエタノール、イオへキソール、クロラール水和物、またはそれらの組み合わせを使用することができるが、これらに常に限定されない。
【0066】
このとき、スフェロイド透明化を迅速に加速させるための材料は、5~80w/v%、5~75w/v%、10~70w/v%、5~50w/v%、または35~60w/v%の濃度で包含され得る。このとき、濃度が5w/v%未満である場合、組織を透明化するための速度は遅れ、および、濃度が、80w/v%を超える場合、結晶は形成されてもよいし、溶液中に溶解されなくてもよい。
【0067】
1つの特定の例において、尿素が、スフェロイド透明化を迅速に加速させるための材料として使用される場合、尿素の濃度は、10~70w/v%、および好ましくは20~60w/v%であり得る。加えて、スフェロイド透明化を迅速に加速させるための材料の濃度は、式1によって表される化合物の好ましい濃度範囲ととも適切に調整され得る。
【0068】
本発明の別の側面において、本発明は、糖類溶液を含有するスフェロイド透明化前処理組成物および請求項1に記載のスフェロイドを透明化するための組成物を備える、スフェロイドを透明化するためのキットを提供する。
【0069】
式1によって表される化合物を含むスフェロイドを透明化するための組成物は、スフェロイドを都合良くおよび急速に透明化することができるので、これを含むスフェロイドを透明化するためのキットは、スフェロイドを画像化するために有用であり得、および、様々な疾患の原因を同定するため、および、薬物の治療効果、有効性および毒性を予測するため、に有効に使用することができる。
【0070】
本明細書の以降において、本発明は、以下の例および実験例によって詳細に記載される。
しかしながら、以下の例および実験例は、本発明を例示するためのみのものであり、および、本発明の内容は、それらに限定されない。
【0071】
実験例1:透明化された組織のサイズ変化の確認
本発明に従う幹細胞凝集体(スフェロイド)を透明化するための組成物の、スフェロイドを透明化する能力を評価するために、具体的に言うと、透明化がスフェロイドを損傷することなく十分に実施されることを確認するために、以下の実験を実施した。
このステートメントにおいて記載された全ての実験動物は、韓国毒物学研究所動物資源委員会(Committee for Animal Resources, Korea Institute of Toxicology)のガイダンス(承認番号RS17003)に従って実施した。
【0072】
ステップ1:スフェロイドの形成および固定化
最初に、母親マウスを、吸入麻酔薬のイソフルラン(1cc/min)で麻酔して、および、15匹の胎仔の心臓を抽出した。抽出した胎仔心臓を、0.2%トリプシン溶液中に配置し、これに続き、細分化した(chopping)。細分化した心臓組織を、酵素溶液中に配置し、および、20分間インキュベートした。心臓細胞は、十分に分離され、および、SpheroidFilm上に噴霧された。次いで、スフェロイドは、細胞インキュベーター中で形成することを可能とされた。
スフェロイドの形成後、細胞質染色のための分子プローブqtracker 525標識化キット(Cat#Q25049) および核染色のためのDAPI(sigma Cat# D 9542) を2時間処理した。細胞質および核を染色した場合、洗浄を、PBSを用いて実施し、および、スフェロイドを、パラホルムアルデヒドを用いて12時間固定した。
【0073】
ステップ2:組成物を使用するスフェロイドの透明化
スフェロイドの損傷を妨げるため、SpheroidFilmを、45℃の水溶液中の1%低融解アガロースに添加した。SpheroidFilmは、アガロースで充分に湿らせて、および、次いで、室温で硬化させた。通気の場合、気泡をインスリン注射針を使用して除去し、および次いで、フィルムを室温で硬化させた。アガロースで固定したSpheroidFilmは、37℃、100rpmで24~48時間、CHAPS(40w/v%)および尿素(40w/v%)を含有する混合溶液中でインキュベートした。透明化したスフェロイドは、蒸留水で4時間洗浄した。最終的に、試料を、マウント溶液(mounting solution)中に配置して、および、24時間インキュベートした。
【0074】
図1は、スフェロイドがSpheroidFilm上に形成された、一連の画像である。
図1に示されるとおり、スフェロイドが通常に形成されたことが理解される。
上記結果において示されるとおり、スフェロイドは、本発明のスフェロイドを透明化するための組成物を使用することによって、都合良く同時に調製および透明化できることが確認された。
【0075】
実験例2:透明化されたスフェロイドの分析
実験例1において透明化されたスフェロイドの透明化の程度を確認するために、透明化の前後で、スフェロイド中の認識可能な細胞の数および蛍光の明るさを測定した。
【0076】
2-1.透明化の前後の、スフェロイド中の認識された細胞の数の測定
透明化前後の、細胞の数の変化を観察し、および、結果を、JuLI生細胞動画分析計を用いて分析し、および、
図2に示す。
図2の左図は、JuLI生細胞動画分析計を用いて分析した、透明化の前後の、スフェロイド中の細胞の数の変化を示すグラフである。
図2の左図において示されるとおり、約30%の細胞が、透明化前に認識されたが、JuLI生細胞動画分析計によって認識される細胞は、透明化後に42%まで増大した。一旦透明化されると、細胞様輪郭が出現し、従って、JuLI系において細胞として認識された。
すなわち、本発明の透明化組成物を用いるスフェロイドの透明化後、認識される細胞の数は、有意に増大し、このことは、本発明の透明化組成物が、スフェロイドを透明化する優れた効果を有することを示唆する。
【0077】
2-2.一般的な顕微鏡を用いる、透明化前後の、スフェロイドの蛍光の明るさの測定
透明化の前後の蛍光の明るさを、一般的な顕微鏡を使用して比較し、および、結果を
図2に示す。
図2の右図は、一般的な顕微鏡を用いて分析した、透明化前後の、スフェロイドの蛍光の明るさを示す、一連の画像である。
図2の右図において示されるとおり、一般的な顕微鏡を使用して、透明化前後の、蛍光の明るさを比較する場合、緑色フルオレセイン蛍光は、透明化前にはほとんど観察されなかったが、蛍光の明るさは、透明化後に有意に増大した。DAPIの蛍光はまた、透明化の前よりも後で、有意に増大した。
さらに、DICの結果から、スフェロイドが透明化されたことが視覚的に確認された。
【0078】
2-3.顕微鏡を用いる、透明化後のスフェロイドの蛍光の明るさの測定
三次元生物学的画像(bioimage)を得るために、緑色蛍光およびDAPIシグナルを、マクロレーザーライトシート照明画像化システム共焦点顕微鏡下、5×対物レンズを使用して確認した。結果を
図3に示す。
図3は、顕微鏡を使用して測定された、透明化後のスフェロイドの蛍光の明るさを示す。
図3に示されるとおり、各細胞の形状および核の形状の解像度は、三次元で明確に確認できることが理解され得る。
本発明の式1の化合物を含む、スフェロイドを透明化するための組成物は、スフェロイドを都合良くおよび急速に透明化することができるので、スフェロイドを画像化するのに有用であり得、および、様々な疾患の原因を同定するために、これらを処置するために、および、薬物の有効性および毒性を予測するために、有効に使用され得る。加えて、組成物は、様々な医療デバイスに適用することによって使用することができ、および、とりわけ、それをキットとして構成することにより、インビトロでの診断デバイスとして使用することができる。