(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】可撓性包装のための耐屈曲亀裂性かつ耐熱性の無菌バルクバッグ
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20220405BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B65D65/40 D
C08J5/18 CES
(21)【出願番号】P 2020544374
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(86)【国際出願番号】 US2018060623
(87)【国際公開番号】W WO2019099348
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-08-12
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519342703
【氏名又は名称】リクイ-ボックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ファーカス
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0269623(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0252745(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106739331(CN,A)
【文献】米国特許第05911665(US,A)
【文献】特開2012-139848(JP,A)
【文献】特表2014-530272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
C08J 5/18
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性物質の無菌包装用の耐屈曲亀裂性かつ耐熱性のバルクバッグであって、前記バッグは少なくとも1つの内層を含み、前記少なくとも1つの内層は、
(a)少なくとも60%の
0.914~0.918g/cm
3
の範囲内の密度および0.20~1.0dg/minの範囲内のメルトインデックスを有するエチレン-ヘキセン-1コポリマーとエチレン-α-オレフィンコポリマーのブレンドを含む樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEと前記EAOコポリマーのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含み、
前記樹脂ブレンドの全体の密度は少なくとも0.915
g/cm
3
であり、
前記バルクバッグは、前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100のサイクルにおいて300cm
2あたり10個未満のピンホールを生じるような、耐屈曲亀裂性を有
し、
樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が40~60の範囲内にある、バルクバッグ。
【請求項2】
2つの内層を含む請求項1に記載のバルクバッグであって、各々の内層は、
(a)少なくとも60%の
0.914~0.918g/cm
3
の範囲内の密度および0.20~1.0dg/minの範囲内のメルトインデックスを有するエチレン-ヘキセン-1コポリマーとエチレン-α-オレフィンコポリマーのブレンドを含む樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEと前記EAOコポリマーとのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含み、
前記樹脂ブレンドの全体の密度は少なくとも0.915
g/cm
3
であり、
前記バルクバッグは、前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100のサイクルにおいて300cm
2あたり10個未満のピンホールを生じるような、耐屈曲亀裂性を有
し、
樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が40~60の範囲内にある、バルクバッグ。
【請求項3】
前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm
2あたり5個未満のピンホールを生じる、請求項1に記載のバルクバッグ。
【請求項4】
LDPE含有量
が5%
~20%の範囲内にある、請求項3に記載のバルクバッグ。
【請求項5】
LDPE含有量
が10%
~15%の範囲内にある、請求項4に記載のバルクバッグ。
【請求項6】
EAOコポリマー含有量が40%以下である、請求項1に記載のバルクバッグ。
【請求項7】
EAOコポリマーは密度範囲
が0.818~0.922g/cm
3のブテン-LLDPE樹脂である、請求項4に記載のバルクバッグ。
【請求項8】
バルクバッグのサイズが20ガロン~400ガロンの範囲である、請求項1に記載のバルクバッグ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの内層が20μm~140μmの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載のバルクバッグ。
【請求項10】
流動性物質を含む請求項1に記載のバルクバッグ。
【請求項11】
バルクバッグがESL、高温充填または低温殺菌バッグである、請求項1に記載のバルクバッグ。
【請求項12】
樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱
が50
~60の範囲内にある、請求項
1に記載のバルクバッグ。
【請求項13】
バルクバッグを作る方法であって、該方法は、
(I)少なくとも1つの内層を用意する工程を含み、
前記少なくとも1つの内層は、
(a)少なくとも60%の
0.914~0.918g/cm
3
の範囲内の密度および0.20~1.0dg/minの範囲内のメルトインデックスを有するエチレン-ヘキセン-1コポリマーとエチレン-α-オレフィンコポリマーのブレンドを含む樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEとEAOコポリマーのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含み、
前記樹脂ブレンドの全体の密度は少なくとも0.915
g/cm
3
であり、
前記バルクバッグは、前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm
2あたり10個未満のピンホールを生じるような、耐屈曲亀裂性を有
し、
樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が40~60の範囲内にある、方法。
【請求項14】
請求項
13に記載のバルクバッグを作る方法であって、該方法は、
(I)2つの内層を用意する工程を含み、
各々の内層は、
(a)少なくとも60%の
0.914~0.918g/cm
3
の範囲内の密度および0.20~1.0dg/minの範囲内のメルトインデックスを有するエチレン-ヘキセン-1コポリマーとエチレン-α-オレフィンコポリマーのブレンドを含む樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEとEAOコポリマーのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含み、
前記樹脂ブレンドの全体の密度は少なくとも0.915
g/cm
3
であり、
前記バルクバッグは、前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm
2あたり10個未満のピンホールを生じるような、耐屈曲亀裂性を有
し、
樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が40~60の範囲内にある、方法。
【請求項15】
前記フィルムはASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm
2あたり5個未満のピンホールを生じる、請求項
13に記載のバルクバッグを作る方法。
【請求項16】
LDPE含有量
が5%
~20%の範囲内にある、請求項
15に記載のバルクバッグを作る方法。
【請求項17】
LDPE含有量
が10%
~15%の範囲内にある、請求項
16に記載のバルクバッグを作る方法。
【請求項18】
EAOコポリマー含有量が40%以下である、請求項
13に記載のバルクバッグを作る方法。
【請求項19】
EAOコポリマーは密度範囲
が0.818~0.922g/cm
3のブテン-LLDPE樹脂である、請求項
16に記載のバルクバッグを作る方法。
【請求項20】
バルクバッグのサイズが20ガロン~400ガロンの範囲である、請求項
13に記載のバルクバッグを作る方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの内層が20μm~140μmの範囲内の厚さを有する、請求項
13に記載のバルクバッグを作る方法。
【請求項22】
流動性物質を含む、請求項
13に記載のバルクバッグを作る方法。
【請求項23】
バルクバッグがESL、高温充填または低温殺菌バッグである、請求項
13に記載のバルクバッグを作る方法。
【請求項24】
樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱
が50
~60の範囲にある、請求項13に記載のバルクバッグを作る方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、驚くべきことに、高い耐熱性のみならず高い耐屈曲亀裂性をも提供する可撓性包装のためのバルクバッグ(bulk-bag)のための内層に関する。本発明は、また、無菌または他の方法で流動性物質を包装するために作られたそのようなバルクバッグ、ならびにそれらの耐屈曲亀裂性および耐熱性を向上させる方法に関する。好ましくは、包装は無菌である。
【0002】
関連出願の相互参照
この出願は、2017年11月14日に出願された米国特許出願第62/585,673号の優先権を主張し、その開示はあたかもその全体がここに記述されているかのように参照によってここに組込まれる。
【背景技術】
【0003】
一般に、バルクバッグはラミネートフィルムから作られ、流動性物質が充填される。流動性物質を包装するための、一般にポリオレフィンを含む、ラミネートフィルムは、米国特許第4,503,102号、米国特許第4,521,437号、米国特許第5,206,075号、米国特許第5,364,486号、米国特許第5,508,051号、米国特許第5,721,025号、米国特許第5,879,768号、米国特許第5,942,579号、米国特許第5,972,443号、米国特許第6,117,4656号、米国特許第6256,966号、米国特許第6,406,765号、米国特許第6,416,833号および米国特許第6,767,599号に記載されている。これらの特許は、食品包装を含む、流動性物質の包装のための可撓性包装容器を製造するためのポリマーブレンドについて記載している。これらの特許は、参照によってここに組込まれる。
【0004】
流動性物質を包装するためのバルクバッグには、次の2つの問題があり得る。(1)不十分な耐屈曲亀裂性、および(2)不十分な耐熱性。一般的に言って、2つの望ましい特性である耐屈曲亀裂性と耐熱性は、互いに反対に作用する。別の言い方をすると、耐熱性を高めるために樹脂ブレンドの組成を変更すると、耐屈曲亀裂性が低下し、逆も同様である。
【0005】
バルクバッグに「ワニ皮様スキン」が形成されないようにするには、耐熱性とともに優れた耐屈曲亀裂性も必要である。無菌充填プロセス中にバッグの中に注入される過熱水蒸気が、ポリエチレンの内層を、例えば金属化されたPETの積層体であり得る外層に部分的にくっつけるときに、「ワニ皮様スキン」が形成され得る。バッグが冷えるとき、ポリエチレンと金属化PETは異なる速度で収縮し、皺が発生する。外層が内層にくっつくと、バッグの可撓性がより損なわれ、出荷および配送中の屈曲亀裂が増加する。
【0006】
耐屈曲亀裂性
耐屈曲亀裂性は、流動性物質、特に液体、最も特別には水、牛乳、ジュース、濃縮物、ピューレなどのようなより低い粘度の液体を包装するために使用されるバルクバッグにとって非常に重要である。これらの液体は、充填したパッケージの取り扱い、輸送および配送中にかなり激しくぱちゃぱちゃ動く場合があり、内層のフィルムの屈曲とフィルム材料の屈曲亀裂を引き起こす。
【0007】
バルクバッグ内の液体の動きは屈曲亀裂を引き起こす。屈曲亀裂は液相線に近接しているフィルム部分で発生する可能性が最も高い。屈曲亀裂ピンホールは、少なくとも酸素と水分のバリヤーを失わせ、包装された製品の貯蔵寿命可能性を減らし、より極端な場合は、気密シールが失われ、製品の消費を不安全にする。耐屈曲亀裂性は、ASTM F392に従ってゲルボ屈曲試験(Gelbo Flex Testing)によって測定される。一般に、良好な耐屈曲亀裂性を有するフィルムは、ゲルボ屈曲試験機(Gelbo Flex Tester)で非常に多くの回数屈曲させたときに、ピンホールがまったく発生しないか、ごくわずかのピンホールしか発生しない。
【0008】
耐熱性
フィルムの耐熱性は、無菌包装における、特にバッグのための無菌水蒸気殺菌充填プロセスのための、重要な要素である。耐熱性の低いフィルムから作られたバッグは、水蒸気殺菌後にバッグの外側に皺、またはいわゆる「ワニ皮様スキン」を発生させる傾向があり、美観とバッグの特性が低下する。この皺は、しばしば、多層バッグの内層と外層がくっついたり、単層フィルムから作られたバッグでさえそれ自体にくっついたりすることに伴って発生する。液体の食品の無菌充填のための典型的な水蒸気殺菌プロセスでは、バッグは、最初にドラム缶または蓋付きの大箱の中に入れられ、次にフィットメントを充填機の充填ヘッドの上に固定する。バッグの上のフィットメントが開けられる前に、フィットメント(または噴出)アセンブリーは、3~60秒間、水蒸気の噴出流にさらされる。その後、フィットメントが開けられ、製品がバッグの中にポンプで送り込まれる。この段階で、水蒸気がバッグの中に入る場合がある。充填ヘッドの中に残った水蒸気は、ほぼ飽和水蒸気条件の温度を維持する。一旦バッグに製品が充填されたならば、フィットメントが閉められる前に、またはフィットメントが閉められている間に、水蒸気噴出流が用いられる。この充填後の水蒸気噴出流は、典型的には2~8.5秒続くことができる。この工程の間、水蒸気がバッグに入ることがよくある。これらの充填操作で使用される水蒸気温度が高ければ高いほど、バッグに皺が寄る可能性が高くなり、したがって、バッグのためのより耐熱性の高いフィルムが必要になる。
【0009】
高温充填用途のような他のフィルム用途も、また、良好な耐熱性を必要とする。このタイプの操作では、製品がバッグの中にポンプで送り込まれるとき、製品は高温であり、典型的には77~96℃である。製品からの熱は、バッグおよびフィットメントの内部を殺菌する役目をする。バッグは、一旦充填されると、傾斜したシュートに沿って滑り落ち、フィットメントが下を向くようにひっくり返される(その上に高温の製品がある)。その後、バッグは数分間長い加熱トンネルの中を通過し、内容物を高温に保ち、かつ黴や細菌を殺すために、ほぼ製品充填温度と同じ温度に維持される。続いて、バッグは、長い冷却トンネルに入り、その中を通過し、ほぼ室温まで冷却される。そのようなバッグに使用されるフィルムは、高温の製品と接触している間、フィルムとシールが完全性を維持するために、良好な耐熱性を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第4,503,102号明細書
【文献】米国特許第4,521,437号明細書
【文献】米国特許第5,206,075号明細書
【文献】米国特許第5,364,486号明細書
【文献】米国特許第5,508,051号明細書
【文献】米国特許第5,721,025号明細書
【文献】米国特許第5,879,768号明細書
【文献】米国特許第5,942,579号明細書
【文献】米国特許第5,972,443号明細書
【文献】米国特許第6,117,4656号明細書
【文献】米国特許第6256,966号明細書
【文献】米国特許第6,406,765号明細書
【文献】米国特許第6,416,833号明細書
【文献】米国特許第6,767,599号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の2つの問題、すなわちバルクバッグにおける耐屈曲亀裂性の不足と耐熱性の不足に、耐熱性のためのブレンドの1つの分子量特性および耐屈曲亀裂性のためのもう1つの特性を活性化する二峰性の分子量分布を有するポリマー材料を含む樹脂ブレンドを使用することによって、同時に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0012】
より具体的には、本発明は、流動性物質の無菌包装用の耐屈曲亀裂性かつ耐熱性のバルクバッグであって、前記バッグは少なくとも1つの内層を含み、前記少なくとも1つの内層は、
(a)少なくとも60%のExceed(登録商標)XP樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEと前記EAOコポリマーのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含み、
前記樹脂ブレンドの全体の密度は少なくとも0.915であり、
前記バルクバッグは、前記フィルムがゲルボ屈曲試験(Gelbo Flex Test)においてASTM F392に従って測定したときに、機械方向と横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm2あたり10個未満のピンホールを生じるような耐屈曲亀裂性を有する、バルクバッグに関する。
【0013】
本発明のバルクバッグは優れた耐屈曲亀裂性を有する。さらに、内層を構成する樹脂の1つがより高い密度を有するということは、バルクバッグがバルクバッグの内層用に利用できるフィルムのいくつかに使用される超低密度ポリエチレン(ULDPE、0.912g/cm3)樹脂よりも優れた耐熱性を有することを意味する。しかし、本発明の内層およびそれから得られるバルクバッグの耐屈曲亀裂性は、ULDPE材料を含む内層から作られたバルクバッグの耐屈曲亀裂性と同等である。
【0014】
1つの実施形態では、本発明は、
(a)少なくとも60%のExceed(登録商標)XP樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEと前記EAOコポリマーのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含む2つの内層を含む、上に記載のバルクバッグであって、
前記樹脂ブレンドの全体の密度は少なくとも0.915であり、
前記バルクバッグは、前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm2あたり10個未満のピンホールを生じるような、耐屈曲亀裂性を有する、バルクバッグに関する。
【0015】
もう1つの実施形態では、本発明は、上に記載のバルクバッグであって、前記バルクバッグは、前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm2あたり5個未満のピンホールを生じるような、耐屈曲亀裂性を有する、バルクバッグに関する。
【0016】
さらにもう1つの実施形態では、本発明は、LDPE含有量が約5%~約20%の範囲内にある、上に記載のバルクバッグに関する。
【0017】
1つの実施形態では、本発明は、LDPE含有量が約10%~約15%の範囲内にある、前に記載のバルクバッグに関する。もう1つの実施形態では、本発明は、EAOコポリマー含有量が40%以下である、上に記載のバルクバッグに関する。さらにもう1つの実施形態では、本発明は、EAOコポリマーは密度範囲が約0.818~0.922g/cm3のブテン-LLDPE樹脂である、上に記載のバルクバッグに関する。
【0018】
1つの実施形態では、本発明は、前記バルクバッグのサイズが20ガロン~400ガロンの範囲である、前に記載のバルクバッグに関する。もう1つの実施形態では、本発明は、前記少なくとも1つの内層が20μm~140μmの範囲内の厚さを有する、上に記載のバルクバッグに関する。さらにもう1つの実施形態では、本発明は、流動性物質を含む前に記載のバルクバッグに関する。もう1つの実施形態では、本発明は、前記バルクバッグがESL、高温充填または低温殺菌バッグである、前に記載のバルクバッグに関する。
【0019】
1つの実施形態では、本発明は、樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が約40~約60の範囲内にある、前に記載のバルクバッグに関する。もう1つの実施形態では、本発明は、また、樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が約50~約60の範囲内にある、前に記載のバルクバッグに関する。
【0020】
1つの実施形態では、本発明は、バルクバッグを作る方法であって、前記方法は、
(I)少なくとも1つの内層を用意する工程を含み、前記少なくとも1つの内層は、
(a)少なくとも60%のExceed(登録商標)XP樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEと前記EAOコポリマーのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含み、
前記樹脂ブレンドの全体の密度が少なくとも0.915であり、
前記バルクバッグは、前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm2あたり10個未満のピンホールを生じるような、耐屈曲亀裂性を有する、方法に関する。
【0021】
もう1つの実施形態では、本発明は、上に記載のバルクバッグを作る方法であって、該方法は、
(I)2つの内層を用意する工程を含み、前記2つの内層は、
(a)少なくとも60%のExceed(登録商標)XP樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEと前記EAOコポリマーのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含み、
前記樹脂ブレンドの全体の密度は少なくとも0.915であり、
前記バルクバッグは、前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm2あたり10個未満のピンホールを生じるような、耐屈曲亀裂性を有する、方法に関する。
【0022】
さらにもう1つの実施形態では、本発明は、LDPE含有量が25%以下である、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。1つの実施形態では、本発明は、LDPE含有量が約5%~約20%の範囲内にある、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。もう1つの実施形態では、本発明は、LDPE含有量が約10%~約15%の範囲内にある、前に記載バルクバッグを作る方法に関する。さらにもう1つの実施形態では、本発明は、EAOコポリマー含有量が40%以下である、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。1つの実施形態では、本発明は、前記EAOコポリマーは密度範囲が約0.818~0.922g/cm3のブタン-LLDPE樹脂である、前に記載の方法に関する。
【0023】
もう1つの実施形態では、本発明は、前記バルクバッグのサイズが20ガロン~400ガロンの範囲である、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。さらにもう1つの実施形態では、本発明は、前記少なくとも1つの内層が20μm~140μmの範囲内の厚さを有する、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。1つの実施形態では、本発明は、流動性物質を含む、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。もう1つの実施形態では、本発明は、前記バルクバッグがESL、高温充填または低温殺菌バッグである、前に記載の方法に関する。
【0024】
本発明は、さらに、樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が約40~約60の範囲内にある、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。本発明は、また、樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱体のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が約50~約60の範囲内にある、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、密度が0.918g/cm
3でMIが1のブテン-LLDPE(Equistar GA501-23)についてのDSC融解曲線(2回目の再加熱、10℃/min)を示し、HDPEの吸熱が全融解吸熱の58%であることを示す。
【0026】
【
図2】
図2は、オクテン-LLDPE(Dow Elite(登録商標)5400G)+10%のLDPE(Dow 611A)(密度:0.916g/cm
3、MI:1)についてのDSC融解曲線(2回目の再加熱、10℃/min)を示し、HDPEの吸熱が全融解吸熱の30%であることを示す。
【0027】
【
図3】
図3は、ULDPE樹脂(密度:0.912g/cm
3、MI:1)についてのDSC融解曲線(2回目の再加熱、10℃/min)を示し、HDPEの吸熱が全融解吸熱の36%であることを示す。
【0028】
【
図4】
図4は、25%のPP+61%のULDPE+10%のEVA(FlexFX(登録商標))を含むポリマーブレンド(ULDPE部分の密度:0.912g/cm
3、MI:1)についてのDSC融解曲線(2回目の再加熱、10℃/min)を示し、HDPEの吸熱が全融解吸熱の24%であることを示す。
【0029】
【
図5】
図5は、Dow Innate(登録商標)+10%のLDPEを含むポリマーブレンド(密度:0.915g/cm
3、MI:0.9)についてのDSC融解曲線(2回目の再加熱、10℃/min)を示し、HDPEの吸熱が全融解吸熱の30%であることを示す。
【0030】
【
図6】
図6は、Exxon Exceed(登録商標)XP+10%のLDPE(Dow 611A)を含むポリマーブレンド(密度:0.916g/cm
3)についてのDSC融解曲線(2回目の再加熱、10℃/min)を示し、HDPEの吸熱が全融解吸熱の54%であることを示す。
【0031】
【0032】
【
図8】
図8は、石鹸水を充填した小さなパウチのピンホールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
範囲は、範囲内の各値をリストし記載しなければならないことを回避するために、ここでは略記で使用される。例えば、範囲内の任意の適切な値を、範囲の上限値、下限値または末端として選択することができる。
【0034】
ここで使用するときは、文脈が明確に他のことを示さない限り、単語の単数形は複数形を含み、その逆もまた同様である。したがって、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という言及は、一般に、それぞれの用語の複数形を含む。例えば、「方法(a method)」という言及は複数のそのような「方法(methods)」を含む。同様に、「含む(include)」、「含んでいる(including)」および「または(or)」という用語は、すべて、そのような解釈が文脈から明確に禁止されない限り、包括的であると解釈されるべきである。同様に、「例(examples)」という用語は、特に用語のリストが続く場合、単なる例示または実例であり、排他的または包括的であると見なされるべきではない。
【0035】
「を含む(comprising)」という用語は、「本質的に・・・からなる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という用語によって包含される実施形態を含むと意図される。同様に、「本質的に・・・からなる」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語によって包含される実施形態を含むと意図される。
【0036】
方法および組成物ならびにここに開示された他の進歩は、当業者が十分に理解するように、それらが変化し得るので、ここに記載された特定の機器またはプロセスに限定されない。さらに、ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、開示の範囲または請求の範囲を限定することを意図しておらず、かつ開示の範囲または請求の範囲を限定しない。
【0037】
別段の定めがない限り、ここで使用される技術的および科学的用語、技術用語および頭字語は、すべて、発明の分野またはその用語が使用される分野における当業者によって普通に理解される意味を有する。ここに記載されたものに類似または均等のいかなる組成物、方法、製造品または他の手段もしくは材料も本発明の実施に使用することができるが、ここには好ましい組成物、方法、製造品または他の手段もしくは材料が記載される。
【0038】
ここで引用または参照された特許、特許出願、刊行物、技術的および/または学術的論文および他の文献は、すべて、それらの全体が、法律によって許される範囲で、参照によりここに組み入れられる。それらの文献の議論は、単にその中でなされた主張を要約することのみを意図している。そのような特許、特許出願、刊行物または文献のいずれも、またはそれらのいずれの部分も、関連、重要または先行技術であることを認めるものではない。そのような特許、特許出願、刊行物および他の文献の関連、重要または先行技術としての主張の正確性および適切性に異議を唱える権利は、特に留保される。
【0039】
本発明は流動性製品に関する。
【0040】
ここで使用するときは、「流動性製品」という用語は、重力下で流動性であるか、またはポンプで送ることができる物質を包含する。流動性製品としては、中に微粒子を含む、または微粒子を含まない、流体、液体、半液体、ペーストおよびそれらの組み合わせが挙げられる。通常、そのような物質は気体ではない。種々の粘度の、液体、粉末、ペースト、オイル、顆粒などの形態の食品または食品成分が思い描かれる。製造業および医薬品において使用される物質もまた、そのような物質の範囲内であると見なされる。
【0041】
流動性製品には食品および食品以外の製品が含まれる。そのような物質としては、液体(例えば、牛乳、水、ジュース、果汁、オイル)、エマルション(例えば、アイスクリームミックス、ソフトマーガリン、シャンプー、液状石鹸および洗剤)、ペースト(例えば、ミートペースト、チーズ、ソースおよびピーナッツバター)、保存食品(例えば、ジャム、パイフィリングおよびマーマレード)、ゼリー、パン生地、挽肉(例えばソーセージ肉)、粉末(例えばゼラチン粉末、洗剤)、粒状の固体(例えばナッツ、砂糖および塩)、ピューレ、濃縮物、ミックス、ならびにそのような物質が挙げられる。ここに記載された発明は、特に、流動性食品に有用である。
【0042】
非流動性製品とは、一般に、より大きな固体、例えば粒子または微粒子物質とは見なされない固体を意味する。本発明は、流動性製品および非流動性製品の両方に、ならびに食品および食品以外の製品の両方に適用されるが、本発明は流動性製品に関して議論される。その議論は非流動性製品にも当てはまる。
【0043】
本発明は、流動性物質の無菌包装用の耐屈曲亀裂性かつ耐熱性のバルクバッグであって、前記バッグは少なくとも1つの内層を含み、前記少なくとも1つの内層は、
(a)少なくとも60%のExceed(登録商標)XP樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEと前記EAOコポリマーのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含み、
前記樹脂ブレンドの全体の密度は少なくとも0.915であり、
前記バルクバッグは、前記フィルムがASTM F392に従って測定したときにゲルボ屈曲試験において機械方向および横方向の両方で8,100サイクルにおいて300cm2あたり5個未満のピンホールを生じるような、耐屈曲亀裂性を有する、バルクバッグに関する。
【0044】
バルクバッグ中の内層
内層は、
(a)少なくとも60%のExceed(登録商標)XP樹脂と、
(b)以下の3つの成分
(i)0~40%のLDPE、
(ii)0~40%のEAOコポリマー、および
(iii)0~40%のLDPEと前記EAOコポリマーのブレンド
のうちの1種と
を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムを含み、
前記樹脂ブレンドの全体の密度は少なくとも0.915であり、
前記内層の厚さは25μm~100μmの範囲である。
【0045】
本発明のフィルムは、内層を形成する単層として使用することができる。本発明のフィルムは、少なくとも1つの外層すなわちスキン層がここに記載された本発明のフィルムであるような、3層、5層または7層構造体におけるスキン層としても使用することができる。内層として使用される多層フィルムの他の層は、ここで議論される様々な文献に見いだされる標準の構造体である。
【0046】
本発明のフィルムは、バッグを作るための多層フィルムにおけるスキン層を形成することができる。内層として本発明の単層フィルムまたは多層フィルムである少なくとも1つのフィルムを組込んだ多層バッグまたはパウチを作製することができる。製造された単層フィルムは約20~約150ミクロンの膜厚を有していてもよい。好ましくは、単層フィルム厚さは約25~約140ミクロンの範囲であってもよく、より好ましくは約30~約125ミクロンの範囲であってもよい。
【0047】
別の言い方をすると、内層の厚さは、μmで測定された下記の数値のいずれか1つ、またはそのような範囲の端点を含む下記に提供される数の任意の2つによって定義される範囲内であり得る。
20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139および140。
【0048】
バルクバッグの前記少なくとも1つの内層を作製するために使用されるブレンドの樹脂成分を、以下に記載する。
【0049】
バルクバッグ中の内層は耐熱性を提供するために構成される。耐熱性は、DSC測定において、全融解吸熱(TME)のパーセントとしてのHDPE(高密度ポリエチレン)のピークの融解吸熱(PME)として測定することができる。本発明の1つの実施形態では、HDPE吸熱パーセントは少なくとも40%である。60%にもなることがある。別の言い方をすると、本発明のバルクバッグの内層を作るために使用される樹脂ブレンドについてのDSC測定における、全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱(100×[PME/TME])は、%で測定された下記の数のいずれか1つ、またはそのような範囲の端点を含む下記に提供される数の任意の2つによって定義される範囲内であり得る。
40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59および60。
【0050】
A.Exceed(登録商標)XP樹脂
Exceed(登録商標)XPは、0.2~0.80.85dg/minの範囲内のMIおよび0.914~0.918g/cm
3の範囲内の密度を有するエチレン-ヘキセン-1コポリマーと第2のエチレン-α-オレフィンコポリマーの樹脂である。
図6のDSC吸熱における2つのピークによって実証されるように、それは二峰性の分子量分布を示す。それは先進的分子触媒を使用して調製され、高分子量画分は無菌包装用バルクバッグに耐熱性を付与し、低分子量画分は耐屈曲亀裂性を付与する。Exceed(登録商標)XPグレードのいくつかには、XP6026シリーズ(0.2、0.916)、XP6056ML(0.5、0.916)、XP8318ML(1.0、0.918)、XP8358シリーズ(0.50、0.918)、XP8656MK(0.50、0.916)、XP8656ML(0.50、0.916)およびXP8784シリーズ(0.80、0.914)が含まれる。本発明は、また、正しいメルトインデックスおよび密度に到着するために、XP樹脂グレードの1つまたはそれ以上から調製されたブレンドを含む。括弧内の数は、それぞれ、dg/minおよびg/cm
3で測定されたメルトインデックスおよび密度である。Exceed(登録商標)XP樹脂はエクソンモービル社(the ExxonMobil Company)から手に入れられる。
【0051】
Exceed(登録商標)XP樹脂グレードまたは前記樹脂グレードのブレンドのメルトインデックスは約0.2~約0.8dg/minの範囲内にあることができる。別の言い方をすると、メルトインデックスは下記の数のリストからのいずれか1つの数であることができる。
0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7および0.8。
【0052】
メルトインデックスは、また、範囲の端点を含む、上記の数の任意の2つによって定義される範囲内にあることができる。
【0053】
Exceed(登録商標)XP樹脂グレードまたは前記樹脂グレードのブレンドの密度は、約0.914~約0.918g/cm3の範囲内にあることができる。別の言い方をすると、密度は下記の数のリストからのいずれか1つの数であることができる。
0.914、0.915、0.916、0.917および0.918。
【0054】
密度は、また、範囲の端点を含む、上記の数の任意の2つによって定義される範囲内にあることができる。
【0055】
Exceed(登録商標)XP樹脂グレードまたはそのブレンドは、上記の数からのメルトインデックスおよび上記の数からの密度を有することができ、それらは別々に変化することもできる。
【0056】
本発明のバルクバッグで使用される内層を調製するために使用されるブレンド中のExceed(登録商標)XP樹脂の含有量は、少なくとも68%~約99%の範囲である。別の言い方をすると、内層を作るために使用されるフィルム中のExceed(登録商標)XP含有量は、%で測定された下記の数のいずれかの1つ、またはそのような範囲の端点を含む、下記に提供される数の任意の2つによって定義される範囲内であり得る。
68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98および99。
【0057】
B.LDPE
LDPEとは低密度ポリエチレンを意味する。一般に、「低密度」とは、0.918~0.930g/cm3の範囲のポリエチレン密度を指す。LDPE分子は、複雑な分岐パターンを有し、容易に識別できる主鎖はない。ポリマー分子は、短いものから長いものまで、様々な長さの枝のネットワーク全体で構成されている。LDPEは、平均分子量が比較的高い、言いかえればメルトインデックスが低い(0.1~1.1dg/min)、高圧低密度ポリエチレン(すなわちHP-LDPE)であり得る。
【0058】
LDPEは、内層のポリマーブレンドの最大30重量%まで加えることができる。違う言い方をすると、内層フィルムのポリマーブレンド中のLDPEの重量パーセントは、%で測定される下記の数のいずれかの1つ、またはそのような範囲の端点を含む、下記に提供される数の任意の2つによって定義される範囲内であり得る。
0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30%。
【0059】
LDPE重量含有量の好ましい範囲は、内層中のポリマーブレンドの10~15%である。好ましいLDPEは、0.25~1dg/minのMIおよび0.918~0.925g/cm3の密度を有するものである。例えば、0.924g/cm3の密度および0.88のMIを有するDow 611Aが好ましい。0.25のMIおよび0.921g/cm3の密度を有するDow 132iも好ましい。
【0060】
C.エチレン-α-オレフィンコポリマー(EAOコポリマー)
ここで使用されるEAOコポリマーはエチレン-C4~C10-α-オレフィンインターポリマーである。エチレン-C4~C10-α-オレフィンインターポリマーすなわちEAOコポリマーは、0.4~1.5dg/min(g/10min、190℃、2.16kg)のメルトインデックス、0.900~0.916g/cm3の密度を有する。単一のポリマーであってもよいし、2種のポリマーのブレンドであってもよいし、数種の個別のポリマーグレードのブレンドであってもよい。インターポリマーはコポリマー、ターポリマーなどを包含する。このEAOコポリマーは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)から選ばれてもよい。産業界の慣習を使用して、密度範囲0.915~0.930g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンをLLDPEと呼び、密度範囲0.900~0.915g/cm3のものを超低密度ポリエチレン(ULDPE)または超低密度ポリエチレン(VLDPE)と呼ぶ。
【0061】
不均一に分岐したULDPEおよびLLDPEは、直鎖状ポリエチレン技術分野の実務家の間でよく知られている。それらは、例えばアンダーソン(Anderson)らの米国特許第4,076,698号(その開示は参照によってここに組込まれる。)に記載されているようなチーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)溶液、スラリーまたは気相重合プロセスおよび配位金属触媒を使用して調製される。これらのチーグラー(Ziegler)タイプの直鎖状ポリエチレンは、均一に分岐しておらず、長鎖分岐を有しない。0.90g/cm3未満の密度では、これらの物質は従来のチーグラー・ナッタ触媒反応を使用して調製するのが非常に難しく、また、ペレット化するのも非常に難しい。ペレットは粘着性があり、凝集する傾向がある。ダウ(Dow)、ノバ(Nova)およびハンツマン(Huntsman)のような会社は、溶液相プロセスを使用して、適切なインターポリマー(商品名:それぞれDowlex(商標)、Sclair(商標)およびRexell(商標))を商業的に製造することができ、エクソンモービル(ExxonMobil)、シェブロンフィリップス(ChevronPhillips)およびノバは、気相プロセスによって適切なインターポリマー(商品名:それぞれNTX(商標)、MarFlex(商標)LLDPE、Novapol(商標)LLDPE)を製造することができ、シェブロンフィリップスはスラリープロセス(MarFlex(商標)LLDPE)を使用している。これらのポリマーは、内層フィルム層のブレンド成分として使用することができる。
【0062】
均一に分岐したULDPEおよびLLDPEもまた、直鎖状ポリエチレン技術分野の実務家の間でよく知られている。例えば、エルストン(Elston)の米国特許第3,645,992号参照。それらは、シングルサイト触媒系を使用して、溶液、スラリーまたは気相プロセスで製造することができる。例えば、イーウェン(Ewen)らの米国特許第4,937,299号は、シングルサイト触媒のメタロセンバージョンを使用した製造方法について記載している。エルストンおよびイーウェンの開示は、参照によってここに組込まれる。これらのポリマーは、Exact(登録商標)という商標でエクソンモービル・ケミカル(ExxonMobil Chemical)によって、Affinity(登録商標)という商標でダウ・ケミカル(Dow Chemical)によって、およびSurpass(登録商標)という商標でノバ化学品・ケミカル(Nova Chemical)によって商業的に販売されている。
【0063】
「均一に分岐」という用語は、ここでは、(1)α-オレフィンモノマーが所与の分子内にランダムに分布し、(2)インターポリマー分子の実質的にすべてが同一のエチレン:α-オレフィンモノマー比を有し、そして(3)インターポリマーが狭い短鎖分岐分布を有していることを意味すると定義される。短鎖分岐分布指数(SCBDI)は、メジアン全モルコモノマー含有量の50パーセント以内のコモノマー含有量を有するポリマー分子の重量パーセントとして定義される。溶液から結晶化することができるポリオレフィンの短鎖分岐分布指数は、ワイルド(Wild)ら,ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science),ポリマー・フィジックス・エディション(Poly. Phys. Ed.),第20巻,第441頁(1982)、エル・ディー・キャディー(L. D. Cady),「LLDPE製品の性能におけるコモノマーの種類と分布の役割(The Role of Comonomer Type and Distribution in LLDPE Product Performance)」,SPEリージョナル・テクニカル・コンフェレンス(SPE Regional Technical Conference),クエーカー・スクエアー・ヒルトン(Quaker Square Hilton),オハイオ州アクロン(Akron),10月1日~2日,第107頁~第119頁(1985)、または米国特許第4,798,081号に記載されたような、よく知られた昇温溶出分別技術によって決定することができる。
【0064】
本発明の直鎖状低密度ポリエチレンに含めるのに適したC4~C10-α-オレフィンは、1-オクテン、1-ヘキセン、1-ブテンまたはそれらの混合物であってもよく、最も好ましくはα-オレフィンは1-オクテンである。
【0065】
好ましいEAOコポリマーは、密度範囲が約0.818~約0.922g/cm3でブテンが40%以下のブテン-LLDPEポリマーである。
【0066】
本発明のバルクバッグの内層フィルムに使用することができるポリマー、インターポリマー、コポリマー、ターポリマーなどのタイプについて当技術分野には広範囲な説明がある。そのようなポリマーについて記載している特許の具体例としては、米国特許第4,503,102号、米国特許第4,521,437号および米国特許第5,288,531号が挙げられる。これらの特許は、パウチを作るために使用されるフィルムについて記載しており、そのフィルムはバッグを作るためにも使用することができる。スキン層ポリマーについて記載している他の特許文献としては、米国特許第8,211,533号、米国特許第8,252,397号、米国特許第8,563,102号、米国特許第9,757,926号、米国特許第9,283,736号および米国特許第8,978,346号が挙げられる。
【0067】
これらの市販の製品のいずれかの代替品は、本目的のために当業者によって選択可能であろう。上に定義された樹脂ブレンドは、結果として得られるフィルムが定義された特性を保証するように選択される。本発明のフィルムの所望の特性に悪影響を与えない限り、次に記記載するような他の成分をブレンドに加えてもよい。
【0068】
他の成分
本ブレンドは、加工助剤、酸化防止試剤、紫外線安定剤、顔料、フィラー、相溶化剤またはカップリング剤として追加の成分を、および本発明の本質的な特徴に影響を与えない他の添加剤を含んでもよい。それらは、加工マスターバッチ、着色剤マスターバッチ、本ブレンドの成分(b)のEAOコポリマー成分とは異なる少なくとも1種の低密度エチレンホモポリマー、コポリマーまたはインターポリマー、EVA、EMA、EMを含む群から選ばれる少なくとも1種のポリマー、本ブレンドの成分(b)とは異なる少なくとも1種のポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンインターポリマーから選ばれてもよい。一般に「マスターバッチ」と呼ばれる加工添加剤は、様々な加工目的で商業的に入手することができる特別の配合物を含む。
【0069】
本件においては、加工添加剤は、スリップ剤、ブロッキング防止剤、着色剤および加工助剤の組み合わせから選ばれる。本配合物においては、加工添加剤の量は0重量%~約20重量%の範囲であることができる。典型的なマスターバッチは、1~5重量%のエルカミドスリップ剤、10~50重量%のシリカブロッキング防止剤、1~5重量%のフルオロポリマー加工助剤およびこれらの添加剤の2つおよび3つの組み合わせを含んでもよい。
【0070】
バルクバッグ
本発明の他の態様は、上記フィルムから作られた流動性物質を入れるためのバッグを含む。本発明のフィルムはバッグを作るための多層フィルムにおける内層として使用される。バッグは、単層であってもよいし、多層であってもよい。本発明の単層フィルムまたは多層フィルムである内層として少なくとも1つのフィルムを組込んだ多層バッグを作ることができる。輸送および取扱性能を向上させるために加えられる多層バッグの内層は、通常、単層フィルムである。多層フィルムは、より高度な特性(例えば、より高い酸素バリヤー)の組み合わせを必要とするバッグを作るために使用される。多層バッグの外層は、多くの場合、多層フィルムである。中間層または内層もまた多層フィルムであってもよく、多くの場合、外層とは組成が異なる。
【0071】
バッグは、包装技術分野においてよく知られている標準的な手順に従って、使用前に放射線を照射してもよい。無菌包装は本発明のバッグの主要な特徴である。そのようなフィルムを使用する改善されたバッグ成形プロセスもまた思い描かれる。
【0072】
多層ポリマーフィルムにおいては、ポリマー層が本質的に互いにくっつくので、または適切な接着剤の中間層が使用されるので、層は一般に接触面全体にわたって互いに接着する。多層バッグまたはパウチ中の層は、ヒートシールされたバッグまたはパウチの端、または取り付け領域を除いて、互いに接着していない。
【0073】
本発明は、さらに、樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が約40~約60の範囲内にある、前に記載のバルクバッグに関する。本発明は、また、樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が約50~約60の範囲内にある、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。
【0074】
本発明のフィルムから製造することができるバッグは、あらかじめ製造され、その後、通常は、フィットメントを通じて食品を充填する。それらは多くの場合殺菌され、例えば、当技術分野において知られている標準的な放射線条件を使用して、バッチプロセスで放射線照射してもよい。バッグではなく、フィルムも殺菌してもよい。殺菌は、フィルムまたはバッグを過酸化水素水に曝すことによるなどの様々な既知の方法で達成することができる。パウチを作るために使用されるフィルムは、パッケージ形成前に、同様に処理されてもよい。重要なことは、フィルムおよびバッグが無菌包装条件に耐えることができるということである。
【0075】
本発明の樹脂ブレンド組成物を使用するバッグまたはパウチは、また、例えば、印刷前のコロナ処理の使用などの、当技術分野において知られている技術を使用して、表面処理し、その後、印刷することができる。
【0076】
本発明の組成物から作られるバッグの容量はさまざまであり得る。典型的には、バッグのサイズは2~400ガロンであり得る。例えば、バッグは、ガロンで表示された下記のいずれかの数で示されるサイズ、または端点を含む下記の数の任意の2つによっても定義される範囲内のサイズであってもよい。
2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、250、300、350、400。
【0077】
バッグはあらかじめ作られ、その後、通常は、フィットメントを通じて充填される。それらは、多くの場合、バッグ製造者によってバッチプロセスで放射線殺菌される。包装条件は、無菌包装のための条件を含んでもよい。
【0078】
バッグの作製
一般に、本発明は、改善したバッグ作製方法を提供し、その方法は、内層および外層を有する多層フィルム構造(ただし、内層および外層の少なくとも一方は本発明のフィルムである。)を用意する工程、中に設けた穴を通してフィルム構造の内層および外層に注ぎ口を固定する工程、多層フィルム構造体の幅にわたって内層と外層を一緒に横方向にシールし、1つのバッグの上部シールおよびそのバッグの下部シールと隣接のバッグの上部シールを形成する工程、次に、フィルムのいずれかの側においてバッグラインの長さに平行に内層と外層を一緒にシールする工程、バッグを完全にシールする前に、閉じ込められた空気を除去する工程、および使用の直前にバッグを分離する工程を含む。
【0079】
バッグ作製方法は、米国特許第8,211,533号に概説されており、その内容は参照によってここに組込まれる。
【0080】
1つの態様において、本発明は、バルクバッグを作るためのここに記載のフィルム(ただし、前記フィルムは、多層バッグの内層を形成する。)の提供に関する。
【0081】
本発明は、さらに、樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が約40~約60の範囲内にある、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。本発明は。また、樹脂ブレンドのDSC測定における全融解吸熱のパーセントとしてのHDPEピークの融解吸熱が約50~約60の範囲内にある、前に記載のバルクバッグを作る方法に関する。
【0082】
流動性物質を充填したバッグ
1つの態様において、本発明は、また、流動性物質を充填した上に記載のバッグに関する。具体例としては、水、飲料、ジュース、コーヒー、お茶、栄養ドリンク、ビール、ワイン、ソース、マスタード、ケチャップ、フードドレッシング、牛乳、チーズ、サワークリーム、マヨネーズ、サラダドレッシング、レリッシュ、オイル、ソフトマーガリン、コーヒー濃縮物、ペースト、ピューレ、アイスクリームミックス、ミルクセーキミックス、保存食品、エマルション、ドーナッツフィリング、ゼリー、洗剤、コーキング材、医薬品、製造業において使用される物質などのような流動性物質を充填したバッグが挙げられている。
【実施例】
【0083】
本発明のフィルム用の樹脂ブレンドを特徴づけかつ選択するために使用される試験について、以下に記載する。
【0084】
A.耐屈曲亀裂性
バルクバッグの内層に使用されるフィルムの耐屈曲亀裂性を測定するために、ゲルボ屈曲試験を用いた。その試験について以下に記載する。
【0085】
ゲルボ屈曲試験
この試験は、屈曲に起因するピンホール欠陥に対する可撓性包装材料およびフィルムの耐性を測定する。しかし、それは屈曲欠陥に関連する摩耗特性を測定しない。その試験の着色テレピン油部分は、前記構造体を完全に貫通する物理的な穴によって特徴づけられた欠陥を測定する。
【0086】
ゲルボ屈曲試験機はASTM F392に従って試験するように設定する。この装置は、直径3.5インチ(90mm)の固定マンドレルと、ストロークの開始位置(すなわち最大の距離)で向かい合わせから7インチ(180mm)の距離をおいて配置された3.5インチの可動マンドレルとから本質的に構成される。フィルムサンプルが両マンドレルの間に中空の円筒を形成するように、フィルムサンプルの両サイドを両円形マンドレルのまわりにテープで固定する。可動マンドレルの運きは、可動マンドレルが取り付けられている溝付きシャフトによって制御される。シャフトは、440度のねじり運動を与え、同時に固定マンドレルに向かって移動してフィルムを押しつぶし、向かい合うマンドレルが最短距離で1インチ離れたところで停止するように設計されている。その機械の運動は往復運動であり、その1サイクルは前進ストロークと戻りストロークからなる。その機械は毎分45サイクルで作動する。
【0087】
この試験機においては、可撓性材料の試験片は、別段の定めがない限り、標準的な大気条件(23℃および相対湿度50%)で屈曲される。屈曲サイクルの数は試験されるフィルム構造体の耐屈曲亀裂性に依存して変えることができる。非常に多くの屈曲サイクル(少なくとも10,000回)を受けた場合でさえ、耐ピンホール性フィルムは、ピンホールをほとんど発生させない(5個未満)であろう。
【0088】
この機械によって生み出される屈曲動作は、ねじり運動からなり、それによって、フィルムを繰り返し、ねじり、押しつぶす。屈曲亀裂欠陥はフィルムに形成されたピンホールを測定することによって測定される。ピンホールは、試験するフィルムサンプル(面積300cm2)の片面に着色テレピン油を塗布し、着色テレピン油がピンホールを通して白い裏紙または吸い取り紙の上にしみをつけるようにさせることによって測定した。ピンホールの形成は欠陥を測定するために提供された標準的な基準であるが、気体透過速度のような他の試験をピンホール試験の代わりにまたはピンホール試験に加えて使用することもできる。報告された結果は、4回の繰り返しの平均である。
【0089】
実施例1:8,100サイクルでのゲルボ屈曲試験
ゲルボ屈曲試験をASTM F-392法に従って行なった。単層フィルムを、1.8ミル(1ミル=1/1000インチ)の厚さでブロー成形した。ピンホールを紙の上で数える前に、フィルムを1分間に8,100サイクルにさらした。
【0090】
下記の実施例1および1Tに示されるように、0.916の高密度を有する標準的なオクテン-LLDPE/LDPEポリマーは、機械方向と横方向の両方において検出されたピンホールの数が25であることから明らかなように、ゲルボ屈曲試験をしたときに劣った耐屈曲亀裂性を示した。
【0091】
標準的なDow Attane(登録商標)6401のようなより低密度のポリマーを使用した場合、ピンホールの数は、ゲルボ屈曲試験の横方向と機械方向と横方向の両方で1~5個の間であることが見いだされた。Dow Attane(登録商標)6401ポリマー樹脂の密度は0.912であり、それは標準的なオクテン-LLDPE/LDPE樹脂の密度0.916のよりもはるかに低いことに注意されたい。
【0092】
成分の樹脂の密度を下げると、フィルムの耐屈曲亀裂性が向上する可能性が高いことに注意すべきであり、このことはよく知られている。また、より高い密度では、フィルムの耐熱性がより低い密度での耐熱性よりもはるかに良好であるという事実もよく知られている。
【0093】
下記の結果は、Exxon Exceed(登録商標)XP 8656フィルムが、同じ密度の標準的なオクテン-LLDPEフィルム(5400G)およびDow Innate(登録商標)樹脂(59910.04)に対して、機械方向(MD)と横方向(TD)の両方において優れた耐屈曲亀裂性を有することを示す。Exxon XPフィルムは、事実、密度0.912のULDPEフィルムと同様に機能する。これは驚くべきことであり、予想外のことである。
【0094】
【0095】
実施例2:27,000サイクルでのゲルボ屈曲試験
この屈曲試験(ASTM標準に従っていない)では、使用したフィルムサンプルは280mm×200mmのテンプレート(0.056m2に等しい)であった。3つのフィルムサンプル(1つの比較標準サンプルおよび2つの実験用すなわち本発明サンプル)を調製した。3つのサンプルをすべて、同じテンプレートを使用して、同じ条件で切り出した。その材料を、製造現場から受け取った形で試験した。
【0096】
3つのサンプルを、10~12mm幅の両面テープを使用してマンドレルに取り付けた。その後、試験パラメーターを装置に入力し、試験を行なった。屈曲試験サイクルが完了したら、停止させた。各サイクルは、水平ストローク155mmで、フィルム/バッグを440°までの回転させた。機械のねじり周波数は45サイクル/minに等しかった。
【0097】
図7はGFT機械を示す。GFT機械での27,000サイクルの後、サンプルは、屈曲耐久性試験中に作られたピンホールの数について試験した。3つの試験サンプルをシールして小さなパウチにし、石鹸水を充填した。その後、バッグを圧縮し、水漏れすなわちピンホールの数を数えた。
図8はピンホールを数えるために石鹸水を充填したバッグを示す。
【0098】
【0099】
上記の結果から、驚くべきことに、30%のブテン-LLDPEとのブレンドでさえ、Exceed(登録商標)XP8656で作られたフィルムは、標準ライナーフィルムに対して耐屈曲亀裂性が400%改善することが分かる。
【0100】
B.耐熱性
実施例3:ULDPE樹脂を超える耐熱性の改善
LLDPE樹脂は、ポリマー中の分子量分布により、高融点の「HDPE」ピークと低融点ピークを含む。全融解吸熱に対するHDPEピークの割合が大きいほど、ポリマーはより大きな耐熱性を有するであろう。一連のDSC曲線を以下に示す。その曲線は全融解吸熱中のHDPE部分の割合を測定する。それは以下のように要約することができる。10℃/minの加熱および冷却サイクルで実行されるDSCに基づく。値はすべて第2ヘッドのDSCに基づいた。
【0101】
【0102】
上記の表と下記のDSCグラフから、Exxon Exceed(登録商標)XPは、密度0.918g/cm3のブテン-LLDPEと同様の高いHDPEパーセントを有することが見いだされた。FlexFX(登録商標)フィルムは、構成成分の大部分がULDPEであるが、水蒸気曝露に対してまだ耐熱性を有するという点でユニークであった。我々は、密度0.918g/cm3のブテン-LLDPEもまた、バルクバッグ無菌充填中に十分な水蒸気耐性を有する、したがって、(全融解吸熱のうちのHDPE%が類似する)Exxon Exceed(登録商標)XPは、同様の耐熱性を有するはずであり、密度0.912g/cm3のULDPEや密度0.916g/cm3のオクテン-LLDPEの耐熱性よりはるかに良好な耐熱性を有するはずであることを知っている。
【0103】
したがって、Exxon Exceed(登録商標)XP材料を含む樹脂ブレンドから作られたフィルムは、250°Fでの過熱水蒸気による殺菌を必要とする無菌包装バルクバッグに耐熱性を付与すると同時に、耐屈曲亀裂性をも付与する。そのように作られたバルクバッグは、機械方向と横方向の両方で1~10個のピンホール、好ましくは1~5個のピンホールと同じくらい低い耐屈曲亀裂性と、密度0.918g/cm3のブテン-LLDPEと同等の耐熱性との両方を有するであろう。