(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズ、車両照明装置及び自動車
(51)【国際特許分類】
F21S 41/275 20180101AFI20220405BHJP
F21S 41/27 20180101ALI20220405BHJP
F21S 41/265 20180101ALI20220405BHJP
F21S 41/32 20180101ALI20220405BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20220405BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220405BHJP
【FI】
F21S41/275
F21S41/27
F21S41/265
F21S41/32
F21W102:13
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020571694
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(86)【国際出願番号】 CN2019119177
(87)【国際公開番号】W WO2021003946
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】201921096137.6
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910927121.3
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲聰▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 大攀
(72)【発明者】
【氏名】桑 文慧
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108302479(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106439672(CN,A)
【文献】中国実用新案第206268977(CN,U)
【文献】米国特許第05278731(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0124069(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0292704(US,A1)
【文献】特開2008-078001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/275
F21S 41/27
F21S 41/265
F21S 41/32
F21W 102/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ本体(1)を備えるロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズであって、
前記レンズ本体(1)の入光面(15)上にロービームゾーンIII形成構造(13)が設けられるか、又は一体形成されており、該ロービームゾーンIII形成構造(13)は、光線を拡散させるための、前記入光面(15)から突出した複数の突起を備え
、
前記ロービームゾーンIII形成構造(13)は、前記レンズ本体(1)の上下方向(Z)に沿って延びている複数の縦縞状突起(13a)を備え、あるいは
前記ロービームゾーンIII形成構造(13)は、前記レンズ本体(1)の左右方向に沿って延びている(Y)複数の横縞状突起(13b)を備え、あるいは
前記ロービームゾーンIII形成構造(13)は、凸曲面が接続されてなる複数のブロック状突起(13c)を備える、ことを特徴とするロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズ。
【請求項2】
前記レンズ本体(1)の入光面の上部及び中央部の領域(11)が、上下方向(Z)における平面であり、前記レンズ本体(1)の入光面の下部領域(12)が、上から下にかけて出光方向へ傾斜する平面であり、前記入光面の下部領域(12)にはロービームゾーンIII形成構造(13)が設けられるか、又は一体形成されている、ことを特徴とする請求項
1に記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズ。
【請求項3】
前記ロービームゾーンIII形成構造(13)は、入光面(15)の左側縁から右側縁まで順次配列された複数の前記縦縞状突起(13a)を備え、各前記縦縞状突起(13a)は連結されて縞状構造となり、各前記縦縞状突起(13a)の入光面の縦方向カットオフラインが、上から下にかけて出光方向へ傾斜し、あるいは
前記ロービームゾーンIII形成構造(13)は、入光面(15)に設けられて複数の前記縦縞状突起(13a)が連結されてなる突起構造を備え、各前記縦縞状突起(13a)の横断面の幅が、中央から両側に向かうに従って減少し、各前記縦縞状突起(13a)の入光面の縦方向カットオフラインが、上から下にかけて出光方向へ傾斜する、ことを特徴とする請求項
1に記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズ。
【請求項4】
各前記縦縞状突起(13a)の横断面の外縁は、中心領域が両側領域よりも高い凸曲線であり、各前記横縞状突起(13b)の縦断面の外縁は、中心領域が両側領域よりも高い凸曲線である、ことを特徴とする請求項
1に記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズ。
【請求項5】
各前記縦縞状突起(13a)の幅が等しい、又は、各前記横縞状突起(13b)の幅が等しい、又は、各前記ブロック状突起(13c)の中心領域が周辺領域よりも高いことを特徴とする請求項
1に記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズ。
【請求項6】
前記レンズ本体(1)の出光面(14)は凸曲面であり、且つ、前記出光面(14)にはグリッド状構造が設けられるか、又は一体形成されている、前記入光面(15)は平面又は凸曲面である、ことを特徴とする請求項
1に記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズ。
【請求項7】
前記グリッド状構造中の単一のグリッドユニットが、凸曲面、凹曲面又は平面である、ことを特徴とする請求項
6に記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズ。
【請求項8】
前記グリッド状構造中の単一のグリッドユニットが、長方形、正方形、三角形又は多角形である、ことを特徴とする請求項
7に記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズ。
【請求項9】
光伝搬路がその内部に形成されている車両照明装置であって、
光源、一次光学素子(2)及びレンズを備え、前記レンズは、請求項1~
8のいずれか1項に記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズである、ことを特徴とする車両照明装置。
【請求項10】
前記一次光学素子(2)は、集光器構造の一次光学素子若しくは反射鏡構造の一次光学素子である、ことを特徴とする請求項
9に記載の車両照明装置。
【請求項11】
自動車であって、
請求項
9又は
10に記載の車両照明装置を備えることを特徴とする、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車ランプに関し、具体的には、ロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズに関する。また、本発明は車両照明装置及び自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ランプは、自動車を構成するための重要な部分であり、次の2つのタイプを含む。1、通行人や他の道路利用者に自車の運転計画を知らせることを主な機能とする信号灯。2、運転者が道路や障害物をはっきりと見えて、それを効果的に回避するようにすることを主な機能とする照明ランプ。照明ランプには、ロービームランプ、ハイビームランプ、読書ランプ、後退ランプなどがあり、その中でも、ロービームランプは、近距離照明用であり、関連するランプの標準(中国標準GB25991を例に)によると、ロービーム配光パターンは、カットオフラインより上にある「ゾーンIII」と呼ばれる重要な部分を持ち、主に看板など路面上方の物体を照明して、運転者が看板などの情報を取得できるようにする役割を果たす。
【0003】
従来の自動車用ロービームゾーンIII照明構造は、ほとんどが集光器の下面に配置されており、光源から発光する光は、集光器の下側面にあるゾーンIII照明構造によって屈折し、レンズを通して放射されて、規制要件を満たすロービーム配光パターンを満たすゾーンIII配光パターンの部分となる。しかしながら、カーランプモジュールの種類の多様化に対する要件が高まるに伴い、さまざまな顧客のニーズを満たすために、カーランプモジュール内の部品の配置が異なり、車両のロービームゾーンIII照明構造が集光器の下側面に配置されている場合、集光器の下にある部品と干渉し、ロービームゾーンIII配光パターンの部分の形成に影響を与える可能性が非常に高くなる。
【0004】
以上の理由により、従来技術では、カーライトモジュール内の各部品の位置及び数が絶えずに変える場合に、ロービームゾーンIII配光パターンの形成に影響を与えないことを効果的に確保することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする第1の課題は、カーライトモジュール内の各部品の位置及び数が絶えずに変える場合に、ロービームゾーンIII配光パターンの形成構造がほかの部品と干渉することを回避し、カーライトモジュールの内部の部品配置の柔軟性を向上させ、且つ構造がシンプルであり、加工されやすく、光学特性が安定的である、ロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズを提供することである。
【0006】
また、本発明が解決しようとする課題は、カーライトモジュール内の各部品の位置及び数が絶えずに変える場合に、ロービームゾーンIII配光パターンの形成構造がほかの部品と干渉することを回避し、カーライトモジュールの内部の部品配置の柔軟性を向上させ、且つ構造がシンプルであり、加工されやすく、光学特性が安定的であるレンズを内部に備える、車両照明装置を提供することである。
【0007】
さらに、本発明が解決しようとする課題は、車両照明装置の構造が多様化されており、そしてロービームゾーンIII配光パターンが安定的であり、光学効率が高い、自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一態様によれば、レンズ本体を備え、前記レンズ本体の入光面上にロービームゾーンIII形成構造が設けられるか、又は一体形成されており、該ロービームゾーンIII形成構造は、光線を拡散させるための、前記入光面から突出した複数の突起を備えるロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズを提供する。
【0009】
本発明の一好ましい構造形態として、前記ロービームゾーンIII形成構造は、前記レンズ本体の上下方向に沿って延びている複数の縦縞状突起を備える。
【0010】
或いは、前記ロービームゾーンIII形成構造は、前記レンズ本体の左右方向に沿って延びている複数の横縞状突起を備える。
【0011】
さらに、或いは、前記ロービームゾーンIII形成構造は、凸曲面が接続されてなる複数のブロック状突起を備える。
【0012】
本発明の別の好ましい構造形態として、前記レンズ本体の入光面の上部及び中央部の領域が、上下方向における平面であり、前記レンズ本体の入光面の下部領域が、上から下にかけて出光方向へ傾斜する平面であり、前記入光面の下部領域にはロービームゾーンIII形成構造が設けられるか、又は一体形成されている。
【0013】
本発明のさらなる好ましい構造形態として、前記ロービームゾーンIII形成構造は、入光面の左側縁から右側縁まで順次配列された複数の前記縦縞状突起を備え、各前記縦縞状突起は連結されて縞状構造となり、各前記縦縞状突起の入光面の縦方向カットオフラインが、上から下にかけて出光方向へ傾斜する。
【0014】
或いは、前記ロービームゾーンIII形成構造は、入光面に設けられて複数の前記縦縞状突起が連結されてなる突起構造を備え、各前記縦縞状突起の横断面の幅が、中央から両側に向かうに従って減少し、各前記縦縞状突起の入光面の縦方向カットオフラインが、上から下にかけて出光方向へ傾斜する。
【0015】
本発明の一特定実施形態として、各前記縦縞状突起の横断面の外縁は、中心領域が両側領域よりも高い凸曲線であり、各前記横縞状突起の縦断面の外縁は、中心領域が両側領域よりも高い凸曲線である。
【0016】
より具体的には、各前記縦縞状突起の幅が等しく、各前記横縞状突起の幅が等しい。
【0017】
さらに具体的には、各前記ブロック状突起の中心領域が周辺領域よりも高い。
【0018】
本発明の別の特定実施形態として、前記レンズ本体の出光面は凸曲面である。
【0019】
より具体的には、前記出光面にはグリッド状構造が設けられるか、又は一体形成されている。
【0020】
さらに、前記グリッド状構造中の単一のグリッドユニットが、凸曲面、凹曲面又は平面である。
【0021】
またさらに、前記グリッド状構造中の単一のグリッドユニットが、長方形、正方形、三角形又は多角形である。
【0022】
本発明のさらなる特定実施形態として、前記入光面は平面又は凸曲面である。
【0023】
本発明の別の態様によれば、光伝搬路がその内部に形成されており、光源、一次光学素子及びレンズを備え、前記レンズは、上記技術案のいずれか1つに記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズである、車両照明装置を提供する。
【0024】
本発明の一特定構造形態として、前記一次光学素子は、集光器構造の一次光学素子若しくは反射鏡構造の一次光学素子である。
【0025】
本発明の別の特定構造形態として、前記光源はLED光源である。
【0026】
さらに、本発明は、上記技術案のいずれか1項に記載の車両照明装置を備える、自動車をさらに提供する。
【発明の効果】
【0027】
上記技術案によれば、本発明のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズは、レンズ本体を備え、前記レンズ本体の入光面上にロービームゾーンIII形成構造が設けられるか、又は一体形成されており、該ロービームゾーンIII形成構造は、光線を拡散させるための、前記入光面から突出した複数の突起を備える。本発明のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズの入光面上にロービームゾーンIII形成構造が設けられるか、又は一体形成されているため、該ロービームゾーンIII形成構造は、ロービームゾーンIII配光パターンを形成することができ、構造がシンプルであり、加工されやすい。また、該レンズのロービームゾーンIII形成構造は、ほかの部品と干渉しにくく、光学特性がより安定的である。
【0028】
本発明のほかの利点及び好ましい実施形態の技術的効果については、後述する特定実施形態においてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明のレンズの一特定実施例の側面構造模式図である。
【
図2】本発明のレンズの一特定実施例の三次元構造模式図である。
【
図3】本発明のゾーンIII形成構造の第1特定実施例の部分拡大構造模式図である。
【
図4】本発明のゾーンIII形成構造の第1特定実施例の正面構造模式図である。
【
図5】本発明のゾーンIII形成構造の第2特定実施例の正面構造模式図である。
【
図6】本発明のゾーンIII形成構造の第3特定実施例の正面構造模式図である。
【
図7】本発明の車両照明装置の第1特定実施例の構造模式図である。
【
図8】本発明の車両照明装置の第2特定実施例の構造模式図である。
【
図9】ロービームゾーンIII形成構造が設置されていない場合の配光パターン図である。
【
図10】本発明のロービームゾーンIII形成構造が設置された場合の配光パターン図である。
【
図11】本発明の縦縞状突起の横断面の構造模式図である。
【
図12】本発明の横縞状突起の縦断面の構造模式図である。
【
図13】本発明のゾーンIII形成構造の第4特定実施例の構造模式図である。
【
図14】本発明のゾーンIII形成構造の第4特定実施例の側面構造模式図である。
【
図15】
図14のA-A線矢視断面模式図及び該断面模式図の部分拡大図である。
【
図16】本発明のゾーンIII形成構造の第4特定実施例の上面構造模式図である。
【
図17】
図16のB-B線矢視断面模式図及び該断面模式図の部分拡大図である。
【
図18】本発明のゾーンIII形成構造の第5特定実施例の構造模式図である。
【
図19】本発明のゾーンIII形成構造の第6特定実施例の構造模式図である。
【
図20】本発明のゾーンIII形成構造の第6特定実施例の側面構造模式図である。
【
図21】
図20のC-C線矢視断面模式図及び該断面模式図の部分拡大図である。
【
図22】本発明のゾーンIII形成構造の第6特定実施例の上面構造模式図である。
【
図23】
図22のD-D線矢視断面模式図及び該断面模式図の部分拡大図である。
【
図24】本発明のレンズの出光面の一特定実施例の構造模式図及び部分拡大図である。
【
図25】本発明のレンズの出光面の別の特定実施例の部分構造放大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の特定実施形態を詳しく説明する。ただし、ここで説明する特定実施形態は、本発明を説明して解釈するために過ぎず、本発明を制限するものではない。
【0031】
まず、なお、以下の説明において本発明の技術案を明瞭に説明するために使用される方位用語、たとえば、「後端」、「前端」などは、すべて出光路により定義される方位から誘導される意味を有し、たとえばレンズを例にすると、レンズの光源寄りの一端は後端、光源から離れた一端は前端であり、また、光線が入る一端は後端、光線が射出される一端は前端であると理解してもよい。本発明に記載の出光方向とは、光源から発光する光線が一次光学素子を透過してレンズへ伝搬する方向であり、即ち、光伝搬路である。また、以下、説明の便宜上、自動車産業の当業者による自動車全体の方位の説明から、Y方向は、正常に使用されている自動車の左右方向、X方向は、正常に使用されている自動車の前后方向、Z方向は、正常に使用されている自動車の上下方向を表す。
【0032】
なお、本発明の説明では、別途明確な規定や限定がない限り、用語「取り付ける」、「接続」は、広義で理解すべきであり、たとえば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体に接続されてもよい。直接接続されてもよく、中間物を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子の内部が連通してもよく、2つの素子が相互作用関係を有してもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解できる。
【0033】
図1、
図2及び
図13~
図23に示されるように、本発明のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズは、レンズ本体1を備え、該レンズ本体1の入光面15上にロービームゾーンIII形成構造13が設けられるか、又は一体形成されており、該ロービームゾーンIII形成構造13は、光線を拡散させるための、前記入光面15から突出した複数の突起を備える。本発明のレンズにロービームゾーンIII形成構造13が設けられるか、又は一体形成されており、該ロービームゾーンIII形成構造13は、入光面15の任意の位置にあり、主にロービームゾーンIII配光パターンの形成に用いられ、そして、該ロービームゾーンIII配光パターンは、連続的で均一であり、その照度が法規による要件を満たす。
【0034】
さらに、
図1及び
図2に示されるように、レンズ本体1の入光面の上部及び中央部領域11が、上下方向Zにおける平面であり、前記レンズ本体1の入光面の下部領域12が、上から下にかけて出光方向へ傾斜する平面であり、前記入光面の下部領域12にはロービームゾーンIII形成構造13が設けられるか、又は一体形成されており、該ロービームゾーンIII形成構造13は、光線を拡散させるための、前記入光面の下部領域12から突出した複数の突起を備える。本発明の前記入光面の下部領域12の複数の突起は、ロービーム配光パターンのゾーンIII配光パターンが連続的で均一であり、そしてその照度が法規による要件を満たすことを確保するために、光線を拡散させる。
【0035】
本発明のレンズ本体1の入光面の上部及び中央部の領域11は上下方向Zに沿う平面であり、入光面の下部領域12は上から下にかけて出光方向へ傾斜しており、このような構造によって、該ロービームゾーンIII形成構造に射入された光線が、レンズ本体1の出光面14により屈折されてロービーム配光パターンのゾーンIIIに至り、即ち、カットオフラインよりも上方に屈折される。また、ロービームゾーンIII形成構造13がレンズ本体1の入光面の下部領域12に設けられることによって、光線は、該ロービームゾーンIII形成構造13を通してレンズ本体1に入射された後、レンズ本体1の出光面14で屈折されて、ロービーム配光パターンのゾーンIII配光パターンの部分となる。
【0036】
図2~
図4に示されるように、本発明の特定実施構造の一例として、前記ロービームゾーンIII形成構造13は、前記レンズ本体1の上下方向Zに沿って延びている複数の縦縞状突起13aを備える。
【0037】
より具体的には、各前記縦縞状突起13aの横断面の外縁は、中心領域が両側領域よりも高い凸曲線である。
【0038】
さらに具体的には、各前記縦縞状突起13aの幅が等しい。
【0039】
図11に示されるように、各前記縦縞状突起13aの横断面の外縁の曲線では、中心領域が両側領域よりも高く、且つ、各前記縦縞状突起13aの幅が等しく、このようにして、前記縦縞状突起13aは光線を左右方向Yへ容易に発散させる。
【0040】
図5に示されるように、本発明の特定実施構造の好ましい特定実施構造の一例として、前記ロービームゾーンIII形成構造13は、前記レンズ本体1の左右方向Yに沿って延びている複数の横縞状突起13bを備える。
【0041】
より具体的には、各前記横縞状突起13bの縦断面の外縁は、中心領域が両側領域よりも高い凸曲線である。
【0042】
さらに具体的には、各前記横縞状突起13bの幅が等しい。
【0043】
図12に示されるように、各前記横縞状突起13bの縦断面の外縁の曲線では、中心領域が両側領域よりも高く、且つ、前記横縞状突起13bの幅が等しく、このようにして、前記横縞状突起13bは光線を上下方向Zへ容易に発散させる。
【0044】
図6に示されるように、本発明の特定実施構造の別の好ましい特定実施構造として、前記ロービームゾーンIII形成構造13は、凸曲面が接続されてなる複数のブロック状突起13cを備える。
【0045】
この好ましい特定実施構造の特定構造形態として、各前記ブロック状突起13cの中心領域が周辺領域よりも高く、このようにして、前記ブロック状突起13cは光線を周辺へ容易に発散させる。
【0046】
本発明の上記3つの特定実施例では、ロービームゾーンIII形成構造13の突起は、それぞれ縦縞状突起13a、横縞状突起13b及びブロック状突起13cであり、縦縞状突起13aは該縦縞状突起13aを透過した光線を左右方向Yへ発散させ、横縞状突起13bは該横縞状突起13bを透過した光線を上下方向Zへ発散させ、ブロック状突起13cは該ブロック状突起13cを透過した光線を周辺へ発散させることができる。しかしながら、本発明のロービームゾーンIII形成構造13の突起は、この3種類の形態に制限されず、ほかの形状とされてもよく、具体的な形状については、所望の配光パターンに応じて変化させることができる。
【0047】
本発明の別の特定実施構造として、前記ロービームゾーンIII形成構造13は、入光面15の左側縁から右側縁まで順次配列された複数の前記縦縞状突起13aを備え、各前記縦縞状突起13aは連結されて縞状構造となり、各前記縦縞状突起13aの入光面の縦方向カットオフラインが、上から下にかけて出光方向へ傾斜する。
【0048】
或いは、前記ロービームゾーンIII形成構造13は、入光面15に設けられて複数の前記縦縞状突起13aが連結されてなる突起構造を備え、各前記縦縞状突起13aの横断面の幅が、中央から両側に向かうに従って減少し、各前記縦縞状突起13aの入光面の縦方向カットオフラインが、上から下にかけて出光方向へ傾斜する。
【0049】
図2~
図6に示されるロービームゾーンIII形成構造13は、レンズ本体1が全体にわたって配置されている入光面の下部領域12の突起構造であり、
図13及び
図18から明らかなように、前記ロービームゾーンIII形成構造13は、入光面15の左側縁から右側縁まで順次配列された複数の縦縞状突起13aであってもよく、これらの縦縞状突起13aは連結されて縞状構造となり、ロービームゾーンIII配光パターンの配光要件を満たすために、
図17に示されるように、該縦縞状突起13aの入光面の縦方向カットオフラインが、上から下にかけて出光方向へ傾斜し、一方、
図19及び
図22から明らかなように、前記ロービームゾーンIII形成構造13は、入光面15に設けられて複数の縦縞状突起13aが連結されてなる突起構造であってもよく、この突起構造の位置及び形態については、実際のロービームゾーンIII配光パターンの形成に応じて設計することができ、たとえば、
図19に示されるこの突起構造は、入光面15の上部の中央位置にあり、この複数の縦縞状突起13aの長さが、中央から両側に向かうに従って減少し、同様に、
図20に示されるように、該縦縞状突起13aの入光面の縦方向カットオフラインが、ロービームゾーンIII配光パターンの配光要件を満たすように、上から下にかけて出光方向へ傾斜する。勿論、上記
図13、
図18及び
図19における突起は、横縞状突起13b、ブロック状突起13cやほかの構造の形態とされてもよい。
【0050】
図13に示されるように、ロービームゾーンIII形成構造13は入光面15の下部に形成され、入光面15は上下方向Zにおける平面であり、
図14~
図23に示されるように、ロービームゾーンIII形成構造13は入光面15の上部に形成され、該入光面15も上下方向Zにおける平面であり、入光面15でのロービームゾーンIII形成構造13の位置の変化はロービームゾーンIII配光パターンの形成へ影響を与えることがないため、実際のニーズに応じて、ロービームゾーンIII形成構造13は、入光面15の任意の位置に設けられてもよく、ロービームゾーンIIIの配光要件を満たす各種構造形態のロービームゾーンIII形成構造13によって、光線が該ロービームゾーンIII形成構造13を透過してレンズ本体1に入射された後、レンズ本体1の出光面14で屈折されて、ロービーム配光パターンのゾーンIII配光パターンの部分となればよい。
【0051】
本発明の別の特定構造形態として、前記レンズ本体1の出光面14は凸曲面である。
【0052】
本発明のさらなる特定実施形態として、前記出光面14上にはグリッド状構造が設けられるか、又は一体形成されている。
【0053】
さらに、前記グリッド状構造中の単一のグリッドユニットが、凸曲面、凹曲面又は平面である。
【0054】
より具体的には、当前記グリッド状構造中の単一のグリッドユニットが平面である場合、長方形、正方形、三角形、多角形又は輪郭が不規則的なほかの形状であってもよい。
図24に示されるグリッド状構造は、横方向と縦方向において交差して分割されたグリッド状構造であり、
図25に示されるグリッド状構造は、斜めに交差して分割されたグリッド状構造であるが、本発明の出光面14上のグリッド状構造は、この2種類に制限されず、所望した実際の配光パターンに応じて決定することができる。
【0055】
明らかなように、出光面14にはグリッド状構造が設けられてもよく、これらのグリッド状構造は、照明角度の拡大及び配光パターンの均一性の改善が可能である。
【0056】
本発明の別の特定実施形態として、前記入光面15が、平面又は凸曲面である。
【0057】
図24及び
図25に示されるように、出光面14と入光面15がともに凸曲面である場合、本発明のレンズは双凸レンズであり、出光面14が凸曲面であり、入光面15が平面である場合、本発明のレンズは平凸レンズである。なお、本発明のレンズが平凸レンズであるか双凸レンズであるかは、必ず具体的なゾーンIII形成構造13と関係があるとは限らず、つまり、平凸レンズ及び双凸レンズは、両方ともに任意のゾーンIII形成構造13と組み合わせて使用することができる。
【0058】
本発明は、光伝搬路がその内部に形成されており、光源、一次光学素子2及びレンズを備え、前記レンズは上記技術案のいずれか1つに記載のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズである、車両照明装置をさらに提供する。
【0059】
好ましくは、前記一次光学素子2は、集光器構造の一次光学素子若しくは反射鏡構造の一次光学素子である。
【0060】
図7に示される特定実施例では、一次光学素子2は集光器構造の一次光学素子であり、光源から発光する光線が、集光器構造の一次光学素子により集光された後、本発明のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズに入射され、次に、レンズ本体1の出光面14で屈折されて、ロービームゾーンIII配光パターンとなる。
【0061】
図8に示される特定実施例では、一次光学素子2は反射鏡構造の一次光学素子であり、光源から発光する光線が、反射鏡構造の一次光学素子により反射された後、本発明のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズに入射され、次に、レンズ本体1の出光面14で屈折されて、ロービームゾーンIII配光パターンとなる。
【0062】
以上の
図7及び
図8に示される2つの特定実施構造は、いずれもロービームゾーンIII配光パターンを形成することができ、その使用は、具体的には、製造コスト、カーライトモジュールの空間設計などの要因を考慮して決定される。
【0063】
より好ましくは、前記光源はLED光源であり得る。
【0064】
LED光源は、新エネルギーとして、従来の光源に徐々に取って代わっており、LED光源は、省エネで環境にやさしいだけでなく、長寿命、高輝度、安定した性能、及び高発光純度を持っているため、LED光源設計に基づく車両用ランプ照明装置には、応用の将来性が期待できる。
【0065】
なお、本発明の光源はLED光源を用いたものであるが、LED光源に限定されるものではなく、同等の代替品としてレーザー光源やほかの類似した光源を用いてもよい。
【0066】
図9はロービームゾーンIII照明構造が設置されていない場合の配光パターン図であり、
図10はロービームゾーンIII照明構造が設置された場合の配光パターン図である。
図10に示される配光パターン図には、LED光源から発光する光線が、一次光学素子2を透過して本発明のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズに入射され、次に、レンズ本体1の出光面14で屈折されて、ロービームゾーンIII配光パターンとなる。車両用ランプ照明装置のロービームゾーンIII配光パターン図を分析するために、車両用ランプ照明装置に配光スクリーンを設ける必要があり、該配光スクリーンは、車両の前方から25mに設けられる垂直スクリーンである。配光スクリーンに投射されたロービームゾーンIII配光パターンを比較して分析したところ、図示したとおり、
図10に示されるロービームゾーンIII配光パターンは、カットオフラインよりも上にある配光パターン部分(即ち、図の方框により囲まれた配光パターンの部分)であり、ロービームゾーンIII形成構造13が設置されていない
図9の配光パターン図では、配光スクリーンにロービームゾーンIII配光パターンが形成されていない。そして、本発明のロービームゾーンIII形成構造13は示されるレンズ本体1の入光面15上に設けられ、それによって、構造がよりコンパクトになり、ほかの部品と干渉しにくく、且つ、製造コストを増加することがない。
【0067】
さらに、本発明は、上記技術案のいずれか1項に記載の車両照明装置を備える、自動車をさらに提供する。
【0068】
以上の説明から明らかなように、本発明のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズは、レンズ本体1を備え、前記レンズ本体1の入光面15上にロービームゾーンIII形成構造13が設けられるか、又は一体形成されており、該ロービームゾーンIII形成構造13は、光線を拡散させるための、前記入光面15から突出した複数の突起を備える。本発明のロービームゾーンIII配光パターン形成用のレンズの入光面15上にロービームゾーンIII形成構造13が設けられるか、又は一体形成されており、該ロービームゾーンIII形成構造13は、ロービームゾーンIII配光パターンを形成することができ、そして、該ロービームゾーンIII形成構造13はレンズ本体1の入光面15に設けられるため、構造がシンプルであり、加工されやすい。また、該レンズのロービームゾーンIII形成構造13はほかの部品と干渉しにくく、光学特性がより安定的である。
【0069】
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明は上記実施形態の詳細に制限されず、本発明の技術的構想の範囲内で本発明の技術案に対してさまざまな簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形はすべて本発明の特許範囲に属する。
【0070】
また、なお、上記特定実施形態において説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、任意の適切な方式で組み合わせることができ、不必要な繰り返しを避けるため、本発明では、すべての可能な組み合わせ方式については説明しない。
【0071】
さらに、本発明の各種の異なる実施形態も任意に組み合わせることができ、本発明の主旨を逸脱しない限り、同様に本発明で開示された内容とみなされるべきである。
【符号の説明】
【0072】
1 レンズ本体
2 一次光学素子
11 入光面の上部及び中央部の領域
12 入光面の下部領域
13 ロービームゾーンIII形成構造
13a 縦縞状突起
13b 横縞状突起
13c ブロック状突起
14 出光面
15 入光面