(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】単位用量無菌エアロゾルミスト噴霧装置
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
A61M11/00 300F
(21)【出願番号】P 2021007084
(22)【出願日】2021-01-20
(62)【分割の表示】P 2018521849の分割
【原出願日】2016-10-28
【審査請求日】2021-01-20
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515233487
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Inc.
【住所又は居所原語表記】199 Grandview Road, Skillman, NJ 08558, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パウネスク・アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】フゼア・リチャード・ジェイ
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-87959(JP,A)
【文献】特開2004-283802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ハウジングを有する手持ち式ミスト噴霧装置であって、該ハウジングが、
i)変換器及び該変換器に接続された近位端と前記ハウジングの外部に音波エネルギーを伝達するように配置及び構成された遠位端とを有する細長いホーンを含む音波発生器と、
ii)前記音波発生器に接続された電源と、を格納するように配置及び構成されている、手持ち式ミスト噴霧装置と、
b)少なくとも1つの単位用量カプセルであって、
i)前記細長いホーンの前記遠位端と分離可能に係合するように構成された変形可能な膜を有する第1の部分と、
ii)少なくとも1つのノズルを有する第2の部分であって、前記単位用量カプセルが前記細長いホーンの前記遠位端と係合される際に外側に面した向きで配置される、前記単位用量カプセルの第2の部分と、
iii)前記少なくとも1つのノズルと連通した、第1の液体組成物が入れられた
、直径よりも小さい厚さを有する円筒状のリザーバと、を有する、単位用量カプセルと、を含む、キット。
【請求項2】
複数の単位用量カプセルがリボルバーに動作可能に連結され、前記リボルバーが、前記細長いホーンの前記遠位端と係合するように各単位用量カプセルを割り出すように配置及び構成されている、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記細長いホーンの前記遠位端の近くに配置されたレセプタクルを有し、前記単位用量カプセルを分離可能に収容するように配置及び構成されている、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
音波発生器とともに使用される単位用量カプセルであって、
a)細長いホーンの遠位端と分離可能に係合するように構成された変形可能な膜と、
b)前記変形可能な膜から離間した関係で配置された少なくとも1つの供給開口部を有するノズルであって、前記単位用量カプセルが前記細長いホーンの前記遠位端と係合させられる際に外側に面した向きで配置される、ノズルと、
c)
前記ノズルと連通した、液体組成物が入れられた
、直径よりも小さい厚さを有する円筒状のリザーバと、を有する、単位用量カプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久的な音波発生器及び交換式液体リザーバ及びノズルを用いた単位用量無菌ミスト噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スプレー及び/又はミスト噴霧装置は、化粧用及び一般的なヘルスケア用の液体を供給する目的でしばしば使用される。低コストのシステムは、何らかの形のノズルを備えたドロッパー及び/又はスクイズボトルを採用しており、液体はこのノズルから押し出されて比較的制御されていない用量及び液滴径で供給される。
【0003】
高価なシステムでは、計量ポンプ及び/又は高価なエアロゾル生成構成部品を採用することができる。例えば、フセー(Hseih)らによる米国特許第7992800号、及びフセー(Hseih)らによる米国特許出願公開第20120318260号は、圧電式及び/又は磁気ドライブによって駆動されてエアロゾルミストを発生させるネブライザーについて開示している。
【0004】
他の例としては、ザ・テクノロジー・パートナーシップ社(The Technology Partnership PLC)による欧州特許出願公開第EP615470(B1)号、ヘイルズ(Hailes)らによる米国特許第7550897号、及びブラウン(Brown)らによる米国特許第7976135号が挙げられ、ノズルの外側面から液滴を発射するためにトランスデューサを採用した液体発射装置について開示している。
【0005】
最後に、テラダ(Terada)らによる米国特許第6863224号、ヤマモト(Yamamoto)らによる米国特許第6901926号、及びエサキ(Esaki)らによる米国特許第8286629号は、超音波液体噴霧装置を開示している。
【0006】
残念ながら、これらの高価な構成部品は繰り返しの使用によって汚染され、念入りな清掃又は廃棄が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、制御された個別用量若しくは単位用量及び/又は粒子/液滴径のエアロゾルミストを供給するための比較的低コストのシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、本発明者らは、変形可能な膜を使用したサブミリメートルサイズのノズルを通じて液体を超音波により霧化することによって、使用の全体を通じて膜の一体性が維持されることで、リザーバ/膜アセンブリ内に封入された液体が超音波ホーンと接触することを防止することにより、無菌的な霧化が可能となることを見出したものである。
【0009】
本発明の一態様では、音波発生器とともに使用される単位用量カプセルは、細長いホーンの遠位端に分離可能に係合するように構成された変形可能な膜と、少なくとも1つの供給開口部を有するノズルと、少なくとも1つの供給開口部を有するノズルと、それらの間に配置された、液体組成物が入れられたリザーバと、を有する。単位用量カプセルが細長いホーンの遠位端に係合させられる際、ノズルは外側に面した向きで配置され、リザーバは少なくとも1つのノズルと液体連通する。
【0010】
本発明の別の態様では、単位用量カプセルは、音波発生器と音波発生器に接続された電源とを格納するように配置及び構成された、吐出窓を有するハウジングを含む手持ち式ミスト噴霧装置とともにキットに含まれる。音波発生器は、変換器、及び変換器に接続された近位端とハウジングの外部に音波エネルギーを伝達するように配置及び構成された遠位端とを有する細長いホーンを含む。
【0011】
本発明の別の態様では、エアロゾルミストを発生させる方法は、第1の単位用量カプセルを手持ち式ミスト噴霧装置に連結することと、装置に通電してエアロゾルミストを発生させることと、細長いホーンの遠位端から第1の単位用量カプセルを取り外すことと、細長いホーンの遠位端に第2の単位用量カプセルを接続することと、音波発生器に通電してエアロゾルミストを発生させることと、を含む。各単位用量カプセルは細長いホーンの遠位端に接続され、各単位用量カプセルは、細長いホーンの遠位端に分離可能に係合するように構成された変形可能な膜と、少なくとも1つの供給開口部を有するノズルと、少なくとも1つの供給開口部を有するノズルと、それらの間に配置された、液体組成物が入れられたリザーバと、を有する。音波発生器に通電する工程は、細長いホーンの遠位端を変形可能な膜と係合させることと、変形可能な膜を通じて音波エネルギーを液体組成物に伝達することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に基づく単位用量エアロゾルミスト噴霧装置の斜視図である。
【
図2】
図1の単位用量エアロゾルミスト噴霧装置の平面図である。
【
図3】内部の要素が見えるようにハウジングを取り外した
図1の単位用量エアロゾルミスト噴霧装置の側面図である。
【
図4】
図1の単位用量エアロゾルミスト噴霧装置の前方の吐出部分の端面図である。
【
図5】
図1の単位用量エアロゾルミスト噴霧装置において有用な単位用量カプセルの後面図である。
【
図6】
図5の単位用量カプセルの6-6線に沿った断面図である。
【
図8A】
図5の単位用量カプセルの供給開口部の代替的な形態である。
【
図8B】
図5の単位用量カプセルの供給開口部の代替的な形態である。
【
図8C】
図5の単位用量カプセルの供給開口部の代替的な形態である。
【
図9】単位用量カプセルと係合する前の細長いホーンの遠位端の拡大図である。
【
図10】エアロゾルミストを発生するように単位用量カプセルと係合させられた状態の細長いホーンの遠位端の拡大図である。
【
図11A】音波ミスト噴霧装置のホーンと係合されるように構成された複数単位用量リボルバーの、ホーンと係合する面の平面図である。
【
図12】本発明の代替的な一実施形態に基づく複数単位用量音波ミスト噴霧装置の斜視図である。
【
図13】ハウジングを取り外した
図12の複数単位用量音波ミスト噴霧装置の斜視図である。
【
図14】
図13に示されるような複数単位用量リボルバーの分解斜視図である。
【
図15】
図14の組み立てられた複数単位用量リボルバーの15-15線に沿った断面図である。
【
図16】
図13に示されるような別の複数単位用量リボルバーの分解斜視図である。
【
図17】
図16の組み立てられた複数単位用量リボルバーの17-17線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、比較的高価な音波発生器及びホーンが、ミスト噴霧装置によって吐出される単位用量の液体から隔離されていることから、従来の音波ミスト噴霧装置よりも経済的なものとなっている手持ち式音波ミスト噴霧装置に関する。このため、本ミスト噴霧装置は、ホーンに液体が蓄積することなく液体を補充することができる。
【0014】
図1~
図4に示される本装置の1つの形態では、手持ち式ミスト噴霧装置100は、音波発生器300と電力及び制御システム400とを格納したハウジング200を有している。手持ち式ミスト噴霧装置100は、一連の単位用量カプセル500とともに使用することができる。
【0015】
図1に示されるように、ハウジング200は、後端204及び前端206を有する細長い概ね円筒状の外側スリーブ202を有している。外側スリーブ202は、後端204から、電力及び制御システム400及び音波発生器300の変換器302を格納した前端206に向かって延びるほぼ均一な断面を有している。外側スリーブ202の前方部分208は、単位用量カプセル500を収容するように配置及び構成された吐出窓211を有するレセプタクル210に向かってテーパしている。音波変換器302からハウジング200の前端206に向かって細長いホーン304が延びている。
【0016】
電力及び制御システム400は、電池402のような電源、1以上の制御基板404を有している。
【0017】
図1~
図4に示される実施形態では、ハウジング200は、外側スリーブ202内でスライド可能な内側スリーブ212を有している。内側スリーブ212の後端214は、外側スリーブ202の後端204から外側に突出しており、内側スリーブ212は電池402、制御基板404、及び音波発生器300が固定されるフレームを与えている。音波変換器302と外側スリーブ202の前端206との間にはばね216が配置されている。このばね216は、装置を作動させることが望ましい場合以外に外側スリーブ202の前端206の方向に向かう内側スリーブ212の運動に対する抵抗を与える。
【0018】
単位用量カプセル500の1つの例が
図5~
図7に示されている。単位用量カプセル500は、直径よりも小さい厚さを有する円筒状のリザーバである。リザーバは、少なくとも1つの供給開口部504を有する第1のほぼ平面状の表面502を有しており、この供給開口部504からリザーバ内に入れられた液体310を上記で概略的に述べたエアロゾルミストの形態で吐出することができる。リザーバの反対側のほぼ平面状の表面506は、例えばスロット512においてリザーバの壁510に固定された薄膜508の形態となっている。
【0019】
供給開口部504はエアロゾルミストを供給するような寸法に構成されている。好ましくは、各供給開口部504は、約200マイクロメートル(μm)未満、より好ましくは約50~約150μmの最大寸法(開口部にわたった)を有する。好ましい供給開口部504は概ね円形であるが、当業者であれば特定の所望のエアロゾル特性が得られるようにこれを改変することができる。供給開口部の数は、所望のミスト噴霧流が供給されるように選択される。1個の供給開口部を有するカプセルが有用なエアロゾルのプルームを生じることが示されているが、6個及び7個の開口部を有する他のカプセルも有用なエアロゾルプルームを生じた。したがって、当業者であれば1個~10個よりも多い数の供給開口部を選択することができる。供給開口部は一定の通路を有してもよく(
図6に示される)、又はリザーバ表面から単位用量カプセルの外側表面へと変化してもよい。側壁のテーパ又は他の漏斗形状がエアロゾルプルームを制御する助けとなりうる。こうした形態の例が
図8A(テーパ状、又は円錐台状)、8B(円錐台状の第1の部分504aと一定の通路である第2の部分504bとを有する「Y字状」)、及び8C(半球状の第1の部分504a’と一定の通路である第2の部分504bとを有する)に示されている。
【0020】
使用時には、操作者は電源スイッチ406を作動させて音波発生器300に通電し、ハウジング200の外側スリーブ202を保持し(例えば、親指と1本以上の手指との間で)、別の指を用いて内側スリーブ212の後端214を押し込んで内側スリーブ212をばね216の抵抗に打ち勝つように外側スリーブ202の前端206の方向に押す。
図9及び
図10に示されるように、この運動(矢印218によって示される)により、細長いホーン304の遠位端306が押されて単位用量カプセル500の膜508と直接係合し、液体310を供給開口部504から押し出すことによってエアロゾルミスト308を生成する。供給開口部504のサイズ、形状、数、及び配置により、ミスト噴霧装置100によって発生させられるミスト308のプルームが規定される。
【0021】
本発明は、現在提供されているものよりも衛生的な方法で薬剤及び/又は保湿溶液のエアロゾルプルームを供給するうえで有用である。エアロゾルプルームの音波による発生は、20kHz~200kHzの超音波ホーンの周波数の実用的な範囲によって与えられる、約20~約60μmの液滴径を有する極めて微細なミストを提供することができる。
【0022】
別の実施形態では、複数の単位用量カプセルをリボルバーに組み込むことができる。
図11A~Cには、4単位用量リボルバー600が示されている。
図11Aに示されるように、円形のリボルバー600は4個の単位用量カプセル602を有している。各カプセル602は、ホーンに面する面に配置された膜604、及び外側面の各供給開口部(図に示されていない)を覆った取り外し可能な保護タブ606を有している。このタブ606は使用者が取り外すか又はスクレーパー(図に示されていない)によって自動的に取り外すことができる。リボルバー600は軸608を中心として回転可能であり、機械的連結機構により、又はソレノイド制御された回転子(図に示されていない)によって、ホーンと整列するように割り出しすることができる。
【0023】
図12及び
図13に示されるような更に別の実施形態は、ハウジング200’内に密閉された変換器302’、細長いホーン304’、及び複数単位用量リボルバー600’を有する音波発生器300’を有している。単位用量リボルバー600’は、使用後に交換できるようにハウジング200’から取り外し可能となっている。ハウジング200’は、電池402’、制御基板404’、及び1対の制御ばね216a及び216bが配置された制御シャフト220も格納している。これらの制御ばねは、制御レバー222と協働して音波発生器300’の運動を制御する。制御レバー222が直立位置にある場合(222a、実線で示される)、制御レバー222は音波変換器302’の前面に当接しており、ホーン304’を保持する後部制御ばね216aをリボルバーから離れる方向に圧縮しているため、使用者が単位用量カプセル602’を、ホーン304’と整列する定位置へとローレット224の運動によって回転させることができる。制御レバー222が前方の位置にある場合(222b、破線で示される)、後部制御ばね216a(前部制御ばね216aよりも強い)がホーン304’を、ホーン304’と整列した単位用量カプセル602’に向かって押すことで、装置の前面の窓226からエアロゾルミストが発生する。
【0024】
図14~
図15に示される一実施形態では、複数単位用量リボルバー600’は、トップカバー6002、リザーバディスク6004、及びそれらの間に配置された膜6006を有している。これらの構成部品は、トップカバー6002の中心部分の周囲に配置された複数の内側爪6008と、トップカバー6002の外周に沿って配置された外側爪6009とを用いてトップカバー6002をリザーバディスク6004にスナップ嵌めするように配置及び構成されている。得られたアセンブリは、上記に述べたような特徴を有する複数の単位用量カプセル6020を与える。内側爪6008はリザーバディスク6004の中央開口部2012のリム6010に引っ掛かり、外側爪6009はリザーバディスク6004の外周2013に引っ掛かる。複数のローレット224がトップカバー6002の外周に沿って配置されている。
【0025】
当業者であれば、これらの要素において有用な材料を認識するであろう。しかしながら、一般的な指標は以下のようなものである。トップカバー6002は、リザーバディスク6004よりも固くない材料で形成されることが好ましい。超音波によって変形可能な膜6006は、より高い温度に耐えることができるが、加熱時に(この場合では、熱超音波エネルギー)変形可能な材料で形成された厚さ25~75μmのものであることが好ましい。リザーバディスク6004は、ミスト噴霧の際(超音波トランスデューサがキャビティ内に前進して膜を変形させる際)に変形によって超音波エネルギーを減衰させないような充分な剛性を有する材料で好ましくは形成される。
【0026】
図16~
図17に示される別の実施形態では、複数単位用量リボルバー600’’は、トップカバー6002’、リザーバディスク6004’、及びそれらの間に配置された膜6006’を有している(
図17、
図14のものと同様であるが
図16には示されていない)。これらの構成部品は、トップカバー6002’の周囲に沿って配置された複数の柱状要素6016を用いてトップカバー6002’をリザーバディスク6004’に超音波溶接するように配置及び構成されている。これらの柱状要素6016は、リザーバディスク6004’の複数の穴6014内に嵌合される。これらの柱状要素6016がリザーバディスク6004’の底面6018における嵌合いを与えることにより、遠位端6019とリザーバディスク6004’の底面6018との間の超音波若しくは他の形態の熱溶接(精密レーザ溶接を含む)、又は更には紫外線硬化性エポキシなどの他の接着剤が実現される。得られたアセンブリは、上記に述べたような特徴を有する複数の単位用量カプセル6020’を与える。複数のローレット224がトップカバー6002’の外周に沿って配置されている。
【0027】
上記に述べたように、音波発生器は従来のスクイズ及びスプレイボトルよりも高価であるため、高価で再使用可能な音波発生器及びホーンを、比較的安価で使い捨て可能とすることができる液体リザーバから分離することが重要である。当業者であれば、本発明の手持ち式ミスト噴霧装置の一般的な組み立ては認識されるところであろう。しかしながら、以下の要素の相互作用を考慮することは重要である。第1に、ホーン304の遠位端306と膜508とが近密に係合することによって、ホーンから供給開口部の反対側のノズルの壁への非効率的な運動の伝達によるエネルギー損失が最小限に抑えられることで熱の蓄積が最小限に抑えられ、得られるエアロゾルプルームの制御性が最大となる。更に、ホーン304の遠位端306は操作の全体を通じて膜508の中心と係合する必要がある。ホーン304の遠位端306とリザーバの壁510とが接近しすぎる場合、膜508が破裂して、液体310がホーン304を汚染するおそれがある。
【0028】
ハウジングは任意の適当な材料又は材料の組み合わせで構成することができる。ハウジングは1又は2以上の硬質の耐熱性材料を含むことが好ましい。適当な材料の例としては、これらに限定されるものではないが、金属、合金、プラスチック、若しくはこれらの材料の1つ又は2つ以上を含む複合材料、又はセラミックが挙げられる。プラスチックとしては、食品又は医薬用途に適した熱可塑性プラスチック、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びポリエチレンを挙げることができる。材料は、軽量かつ非脆性であることが好ましい。ハウジングは、プラスチック射出成形、又は他の任意の適当な方法によって製造することができ、人間工学に叶った、使用者の手の中に快適に収まるように適合されたものであることが好ましい。好ましい一実施形態では、ハウジングは、約20cm以下、より好ましくは約15cm以下、最も好ましくは約10cm以下の最大の直線寸法(長さ)を有する。長さに対して垂直な最大寸法は好ましくは8cmであり、より好ましくは5cmである。
【0029】
この場合もやはり、電力及び制御システム400は、電池402のような電源、1又は2以上の制御基板404を有している。電源402は、音波発生器並びに任意の追加的制御回路及び/又は電気機械的サブシステムに充分な電力を供給するようなサイズのものである。例えば、音波ホーンを単位用量カプセルと接触させる手動操作をリニアモータに置き換えることで、より高度な制御を行うことができる。電源は、交換可能及び/又は再充電可能なものであることが好ましく、コンデンサなどの素子、又はより好ましくは電池を含むことができる。本発明の好ましい一実施形態では、電源402は、これらに限定されるものではないが、リチウムポリマー電池を含むリチウム系電池などの二次電池である。内部電源の1つの例として、少なくとも約200ミリアンペア時(mAh)の容量を有し、約3.7Vの電圧を供給するリチウムポリマー電池がある。
【0030】
単位用量カプセル500(ポッド又はカートリッジとして記述することもできる)は、金属箔若しくはプラスチックパウチ又はブリスターパックなどの気密容器内にパッケージングすることができる。各単位用量カプセルは、所望の処理を行ううえで充分な液体を提供する。例えば、ヒトの目に適用される場合、カプセルは約5~約20マイクロリットル(μL)を含んでよく、ヒトの鼻腔に適用される場合、カプセルは約50~150μLを含んでよく、消毒用傷口ケア製品ではカプセルは200μLよりも多い量を含むことができる。当業者であれば、これらの容積はこれらの用途及び他の所望の用途に合わせて変更できる点は認識されよう。
【0031】
カプセル500は、壁510、供給開口部504を有する第1の表面502、及び膜508などの複数の構成部品で形成することができる。壁及び第1の表面は好ましくは剛性プラスチックで製造される。例えば、単位用量カプセルは金属又はエンジニアリングプラスチックで形成し、適当な公差の範囲内で細長いホーンの遠位端のレセプタクル内に収まるように機械加工又は成形することができる。有用な材料の非限定的なリストとしては、アセタール樹脂(デュポン(DuPont)(登録商標)エンジニアリング・ポリマーズ(Engineering Polymers)社よりDELRIN(登録商標)ブランドで販売されるものなど)、ポリエーテルエーテルケトン、非晶質熱可塑性ポリエーテルイミド(PEI)樹脂(サビック(SABIC)社よりULTEM(登録商標)ブランドで販売されるものなど)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0032】
効果的なエアロゾル化をもたらすには、膜は、(1)厚さ25~75μmとできるだけ薄くし、(2)高温度プラスチックで製造され(PFAのようにフッ素化されたもの)、(3)可撓性を有し、(4)製造時に超音波溶接しやすいものである必要がある。カプセルは、上記に列記した材料の1つでノズル表面及び側壁を形成し、これに接着剤、熱接着、超音波溶接により膜を接合し、側壁と更なるリングとの間で膜を締め付け、次いでリングを側壁にねじ又はボルトで留めることによって組み立てることができる。
【0033】
上記の明細書及び実施形態は、本明細書で開示される本発明の完全且つ非限定的な理解を助けるために提示されるものである。本発明の多くの変形形態及び実施形態が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能となるため、本発明は、以下に添付する特許請求の範囲に含まれるものである。
【0034】
〔実施の態様〕
(1) 変換器及び該変換器に接続された近位端とハウジングの外部に音波エネルギーを伝達するように配置及び構成された遠位端とを有する細長いホーンを含む音波発生器と、該音波発生器に接続された電源と、を格納した前記ハウジングを有する手持ち式装置を使用してエアロゾルミストを発生させる方法であって、
a)第1の単位用量カプセルを前記細長いホーンの前記遠位端に接続する工程であって、前記カプセルが、
i)前記細長いホーンの前記遠位端と分離可能に係合し、変形可能な膜を通じて音波エネルギーを伝達するように構成された前記変形可能な膜を有する第1の部分と、
ii)少なくとも1つのノズルを有する第2の部分であって、前記細長いホーンの前記遠位端と接続される際に外側に面した向きで配置される、第2の部分と、
iii)前記少なくとも1つのノズルと連通した、液体組成物が入れられたリザーバと、を有するものである、工程と、
b)前記音波発生器に通電することによって前記細長いホーンの前記遠位端に接続された前記第1のカプセルに音波エネルギーを供給してエアロゾルミストを発生させる工程であって、
i)前記細長いホーンの前記遠位端を前記変形可能な膜と係合させ、
ii)前記変形可能な膜を通じて前記液体組成物に音波エネルギーを伝達することにより、前記液体を前記少なくとも1つのノズルから押し出すことによってエアロゾルミストを発生させる、工程と、
c)前記第1の単位用量カプセルを前記細長いホーンの前記遠位端から取り外す工程と、
d)第2の単位用量カプセルを前記細長いホーンの前記遠位端に接続する工程と、
e)前記音波発生器に通電することによって前記細長いホーンの前記遠位端内に接続された前記第2の単位用量カプセルに音波エネルギーを供給する工程と、を含む、方法。
(2) 前記第2の単位用量カプセルが、前記第1の単位用量カプセルとほぼ同じものであり、実質上同じ液体組成物を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第2の単位用量カプセルが、前記第1の単位用量カプセルとほぼ同じものであり、第2の液体組成物を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記単位用量カプセルの前記第1の部分が前記細長いホーンの前記遠位端と直接係合させられる、実施態様1に記載の方法。
(5) a)ハウジングを有する手持ち式ミスト噴霧装置であって、該ハウジングが、
i)変換器及び該変換器に接続された近位端と前記ハウジングの外部に音波エネルギーを伝達するように配置及び構成された遠位端とを有する細長いホーンを含む音波発生器と、
ii)前記音波発生器に接続された電源と、を格納するように配置及び構成されている、手持ち式ミスト噴霧装置と、
b)少なくとも1つの単位用量カプセルであって、
i)前記細長いホーンの前記遠位端と分離可能に係合するように構成された変形可能な膜を有する第1の部分と、
ii)少なくとも1つのノズルを有する第2の部分であって、前記単位用量カプセルが前記細長いホーンの前記遠位端と係合される際に外側に面した向きで配置される、前記カプセルの第2の部分と、
iii)前記少なくとも1つのノズルと連通した、第1の液体組成物が入れられたリザーバと、を有する、単位用量カプセルと、を含む、キット。
【0035】
(6) 複数の単位用量カプセルがリボルバーに動作可能に連結され、前記リボルバーが、前記細長いホーンの前記遠位端と係合するように各単位用量カプセルを割り出すように配置及び構成されている、実施態様5に記載のキット。
(7) 前記ハウジングが、前記細長いホーンの前記遠位端の近くに配置されたレセプタクルを有し、前記単位用量カプセルを分離可能に収容するように配置及び構成されている、実施態様5に記載のキット。
(8) 音波発生器とともに使用される単位用量カプセルであって、
a)前記細長いホーンの前記遠位端と分離可能に係合するように構成された変形可能な膜と、
b)前記変形可能な膜から離間した関係で配置された少なくとも1つの供給開口部を有するノズルであって、前記単位用量カプセルが前記細長いホーンの前記遠位端と係合させられる際に外側に面した向きで配置される、ノズルと、
c)前記少なくとも1つのノズルと連通した、液体組成物が入れられたリザーバと、を有する、単位用量カプセル。