(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】マルチコプターシステム
(51)【国際特許分類】
B64C 3/56 20060101AFI20220405BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220405BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20220405BHJP
【FI】
B64C3/56
B64C27/08
B64F1/36
(21)【出願番号】P 2021131555
(22)【出願日】2021-08-12
【審査請求日】2021-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】栗原 元夫
(72)【発明者】
【氏名】親川 健
(72)【発明者】
【氏名】西澤 幸康
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/159383(WO,A1)
【文献】特開2019-172125(JP,A)
【文献】特開2018-024431(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107117310(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0159471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/56
B64C 27/08
B64F 1/36
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコプターと、
外部からの指示で変位する駆動端を有する駆動機構と、
を備え、
前記マルチコプターは、
互に背合わせの関係にある上面と下面とを有する胴体と、
複数のロータと、
複数の前記ロータ毎に設けられ、前記ロータを回転させるモータと、
複数の前記モータ毎に設けられ、前記モータを支持するアームと、
複数の前記アーム毎に設けられ、前記アームを前記胴体に対して揺動可能に接続するアーム接続部と、
複数の前記アームのそれぞれを揺動動作させることができる揺動機構と、
複数の前記アームの揺動動作を拘束可能な揺動拘束機構と、
を有し、
前記上面と前記下面とが並ぶ方向が前記マルチコプターにおける上下方向を成し、
前記アーム接続部は、複数の前記ロータ毎の回転軸が前記上下方向に延び且つ複数の前記ロータが互いに接触不能な飛行可能状態と、複数の前記モータ相互間の距離が前記飛行可能状態のときより短くなっている折り畳み状態との間で、複数の前記アームが前記胴体に対して揺動可能に複数の前記アームを前記胴体に接続し、
前記揺動機構は、前記駆動端に接続されている又は接触可能で、前記駆動端の変位に伴って変位する駆動受け端と、複数の前記アーム毎に接続され、前記駆動受け端の変位に伴って変位して、前記飛行可能状態及び前記折り畳み状態を実現可能に、前記アームを揺動させるアーム操作端と、を有し、
前記揺動拘束機構は、前記駆動端の変位に応じて、前記飛行可能状態を維持できるよう複数の前記アームの揺動を拘束する一方で、複数の前記アームの拘束を解除できるよう、構成されている、
マルチコプターシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチコプターシステムにおいて、
前記折り畳み状態では、複数の前記ロータ毎の前記回転軸は、前記上下方向よりも前記上下方向に垂直な方向の成分が多くなる方向に延びる、
マルチコプターシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマルチコプターシステムにおいて、
中継装置をさらに備え、
前記中継装置は、前記胴体と分離及び接続可能なケーシングを有する、
マルチコプターシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のマルチコプターシステムにおいて、
前記中継装置を狭隘空間内に保持しておくための保持装置をさらに備え、
前記保持装置は、前記狭隘空間を画定する狭隘空間形成面に接触可能な接触端と、前記ケーシングから遠ざかる向きに前記接触端を押す押圧部材と、を有する、
マルチコプターシステム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のマルチコプターシステムにおいて、
第一端と第二端とを有し、前記第一端が前記マルチコプターに接続されているワイヤと、
前記ワイヤの前記第二端に接続され、前記ワイヤを巻き取ることが可能な巻き取り機構と、
をさらに備え、
前記巻き取り機構は、前記ケーシング内に配置されている、
マルチコプターシステム。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載のマルチコプターシステムにおいて、
前記中継装置は、前記駆動機構を有し、
前記駆動機構は、前記ケーシング内に配置され、
前記胴体が前記ケーシングに接続されているときに、前記駆動機構の前記駆動端に前記揺動機構の前記駆動受け端が接触可能である、
マルチコプターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチコプターを備えるマルチコプターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチコプターは、例えば、以下の特許文献1に記載されているように、胴体と、複数のロータと、複数のロータ毎に設けられているモータと、複数の前記モータ毎に設けられているアームと、を備える。アームの先端部にはモータが取り付けられ、アームの基端部は胴体に固定されている。胴体は、モータ等を駆動させるためのバッテリーと、モータに供給する駆動電力等を制御するコントローラと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチコプターの飛行空間が、狭隘空間を経て、操作装置が位置している操作空間につながっている場合、マルチコプターを狭隘空間に通すために、上記特許文献1に記載のマルチコプターでは、胴体を中心としてほぼ対称に位置している二つのモータ間の距離が狭隘空間の最小幅より小さい必要がある。すなわち、この場合、狭隘空間に応じて、マルチコプターのサイズを定める必要がある。このため、上記特許文献1に記載のマルチコプターでは、ペイロードの制限が厳しくなる。
【0005】
そこで、本開示は、マルチコプターの飛行空間が、狭隘空間を経て、操作装置が位置している操作空間につながっている場合、マルチコプターのペイロードの制限を緩和することができるマルチコプターシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための一態様としてのマルチコプターシステムは、
マルチコプターと、外部からの指示で変位する駆動端を有する駆動機構と、を備える。前記マルチコプターは、互に背合わせの関係にある上面と下面とを有する胴体と、複数のロータと、複数の前記ロータ毎に設けられ、前記ロータを回転させるモータと、複数の前記モータ毎に設けられ、前記モータを支持するアームと、複数の前記毎に設けられ、前記アームを前記胴体に対して揺動可能に接続するアーム接続部と、複数の前記アームのそれぞれを揺動動作させることができる揺動機構と、複数の前記アームの揺動動作を拘束可能な揺動拘束機構と、を有する。前記上面と前記下面とが並ぶ方向が前記マルチコプターにおける上下方向を成す。前記アーム接続部は、複数の前記ロータ毎の回転軸が前記上下方向に延び且つ複数の前記ロータが互いに接触不能な飛行可能状態と、複数の前記モータ相互間の距離が前記飛行可能状態のときより短くなっている折り畳み状態との間で、前記胴体に対して複数の前記アームが揺動可能に複数の前記アームを前記胴体に接続する。前記揺動機構は、前記駆動端に接続されている又は接触可能で、前記駆動端の変位に伴って変位する駆動受け端と、複数の前記アーム毎に接続され、前記駆動受け端の変位に伴って変位して、前記飛行可能状態及び前記折り畳み状態を実現可能に、前記アームを揺動させるアーム操作端と、を有する。前記揺動拘束機構は、前記駆動端の変位に応じて、前記飛行可能状態を維持できるよう複数の前記アームの揺動を拘束する一方で、複数の前記アームの拘束を解除できるよう、構成されている。
【0007】
マルチコプターの飛行空間が、狭隘空間を経て、操作装置が位置している操作空間につながっている場合について説明する。この場合、本態様では、折り畳み状態のマルチコプターを操作空間から、狭隘空間を経て、飛行空間内に入れる。マルチコプターを飛行空間内に入れた後、外部から駆動機構に駆動端の変位を指示する。この結果、駆動機構の駆動端が変位し、この変位に伴って、揺動機構のアーム操作端が変位する。アーム操作端が変位すると、複数のアームが揺動して、マルチコプターが飛行可能状態になる。揺動拘束機構は、この過程で、マルチコプターを飛行可能状態に拘束する。
【0008】
以上のように、本態様のマルチコプターは、飛行可能状態と折り畳み状態とに変形可能である。このため、本態様では、飛行可能状態のままではマルチコプターを狭隘空間に通すことができない場合でも、マルチコプターを折り畳み状態にすることで、マルチコプターを狭隘空間に通すことができる。よって、本態様によれば、飛行可能状態におけるマルチコプターのサイズが狭隘空間のサイズに応じたサイズである必要がなく、マルチコプターのペイロードの制限を緩和することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様では、マルチコプターの飛行空間が、狭隘空間を経て、操作装置が位置している操作空間につながっている場合、マルチコプターのペイロードの制限を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示に係る一実施形態におけるマルチコプターシステムの構成、及び、マルチコプターの飛行可能状態を示す概念図である。
【
図2】本開示に係る一実施形態におけるマルチコプターシステムの構成、及び、マルチコプターを飛行空間に入れる前の状態を示す概念図である。
【
図3】本開示に係る一実施形態におけるマルチコプターシステムの構成、及び、マルチコプターの折り畳み状態を示す概念図である。
【
図4】本開示に係る一実施形態におけるマルチコプターシステムの構成、及び、マルチコプターが飛行可能状態から折り畳み状態に変形する過程の状態とマルチコプターが折り畳み状態から飛行可能状態に変形する過程の状態を示す概念図である。
【
図5】本開示に係る一実施形態の第一変形例におけるマルチコプターシステムの構成、及び、マルチコプターの折り畳み状態を示す概念図である。
【
図6】本開示に係る一実施形態の第二変形例におけるマルチコプターシステムの構成、及び、マルチコプターの飛行可能状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係るマルチコプターシステムの一実施形態、さらに、一実施形態に対する複数の変形例について、
図1~
図6を参照して詳細に説明する。
【0012】
「実施形態」
本開示に係る一実施形態におけるマルチコプターシステムについて、
図1~
図4を参照して説明する。
【0013】
マルチコプターシステムは、
図1に示すように、操作装置10と、中継装置20と、マルチコプター50と、を備える。このマルチコプターシステムは、マルチコプター50の飛行空間Sfが、狭隘空間Snを経て、操作装置10が位置している操作空間Soにつながっている場合に好適なシステムである。このような場合としては、例えば、マルチコプター50の飛行空間Sfが容器内の空間であり、狭隘空間Snが容器の入口であり、操作装置10が配置される空間が容器外の空間である場合である。この他、マルチコプター50の飛行空間Sfが地震等で倒壊した建物内の空間であり、狭隘空間Snがこの建物の窓等であり、操作装置10が配置される空間がこの建物外の空間である場合である。
【0014】
マルチコプター50は、胴体51と、複数のロータ55と、複数のロータ55毎に設けられているモータ56と、複数のモータ56毎に設けられているアーム57と、複数のアーム57毎に設けられているアーム接続部60と、複数のアーム57のそれぞれを揺動動作させることができる揺動機構61と、複数のアーム57の揺動動作を拘束可能な揺動拘束機構66と、中継装置20と接続するためのマルチコプター側接続部69と、操作装置10との間で信号を送受信可能な通信機70と、操作信号が示す内容に応じて複数のモータ56等の駆動を制御するコントローラ71と、を有する。
【0015】
胴体51は、互に背合わせの関係にある上面51uと下面51dとを有する。この上面51uと下面51dとが並ぶ方向が、このマルチコプター50における上下方向Daである。また、下面51dに対して上面51uが位置する側は、このマルチコプター50における上側であり、その反対側がこのマルチコプター50における下側である。また、上下方向Daに垂直な方向は、このマルチコプター50における水平方向Dbである。なお、ここでは、マルチコプター50が傾いている場合でも、上面51uと下面51dとが並ぶ方向がこのマルチコプター50における上下方向Daであり、この上下方向Daに垂直な方向がこのマルチコプター50における水平方向Dbである。この胴体51には、この胴体51を上下方向Daに貫通するスライドシャフト挿通孔52と、このスライドシャフト挿通孔52の内周面から水平方向Dbに延びる爪収納穴53とが形成されている。
【0016】
複数のモータ56の回転軸は、複数のロータ55のうちのいずれか一のロータ55の回転軸に機械的に接続されている。このため、モータ56の回転により、ロータ55が回転する。
【0017】
複数のアーム57は、いずれも、アーム部58と揺動力受け部59とを有する。アーム部58は、長手方向を有する。アーム部58は、長手方向の一方側である先端部58tと長手方向の他方側である基端部58bとを有する。アーム部58の先端部58tには、モータ56が取り付けられている。アーム部58の基端部58bは、アーム接続部60であるアーム接続ピンにより胴体51に接続されている。アーム57は、このアーム接続部60により、飛行可能状態と折り畳み状態との間で、胴体51に対して揺動可能に接続されている。ここで、飛行可能状態とは、
図1に示すように、アーム部58の長手方向が水平方向Dbに延びて、複数のロータ55毎の回転軸が上下方向Daに延び、且つ複数のロータ55が互いに接触不能な状態である。また、折り畳み状態とは、
図3に示すように、アーム部58の長手方向が上下方向Daに延びて、複数のロータ55毎の回転軸が水平方向Dbに延び、且つ、複数のモータ56相互間の距離が飛行可能状態のときより短くなっている状態である。
【0018】
揺動機構61は、飛行可能状態及び折り畳み状態を実現可能に、複数のアーム57を揺動する。この揺動機構61は、胴体51に対して相対的に上下方向Daに移動可能なスライド部材62を有する。このスライド部材62は、スライドシャフト63と、スライドシャフト63の一方の端部からスライドシャフト63に対して放射方向に延びる複数のスライドアーム64と、を有する。スライドシャフト63の他方の端部は、駆動受け端63dを成す。スライドアーム64は、複数のアーム57毎に存在する。各スライドアーム64の端部は、アーム操作端64mを成す。スライドシャフト63は、胴体51のスライドシャフト挿通孔52に挿通されている。よって、このスライドシャフト63は、上下方向Daに延びている。スライドアーム64は、胴体51の下側に位置している。複数のスライドアーム64毎のアーム操作端64mは、複数のアーム57毎の揺動力受け部59に接している。
【0019】
揺動拘束機構66は、飛行可能状態を維持できるよう複数のアーム57の揺動を拘束する。この揺動拘束機構66は、胴体51の爪収納穴53に対して出没可能に配置されている爪67と、爪収納穴53内に配置されて爪67を爪収納穴53から押し出す側に押し付けるバネ68と、を有する。
【0020】
マルチコプター側接続部69は、磁性を有する金属で形成されている。このマルチコプター側接続部69は、胴体51の上面51uに設けられている。
【0021】
マルチコプター50のコントローラ71は、各種演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、このCPUからの指示に従って、モータ56等への電力供給を制御するための電力回路と、を有する。
【0022】
中継装置20は、マルチコプター50を飛行空間Sf内で飛行される際、狭隘空間Sn内に配置される。この中継装置20は、ワイヤ22と、巻き取り機構24と、駆動機構31と、中継装置側接続部34と、操作装置10との間で信号を送受信可能な通信機40と、コントローラ41と、これらを覆うケーシング21と、保持装置35と、を有する。
【0023】
ワイヤ22は、第一端22fと第二端22sとを有する。ワイヤ22の第一端22fは、マルチコプター50の胴体51に接続されている。巻き取り機構24は、巻き取りドラム25と、テンション維持部材26と、ドラム回転軸27と、ドラム回転モータ28と、クラッチ29と、を有する。巻き取りドラム25には、ワイヤ22の第二端22sが接続されている。テンション維持部材26は、常にワイヤ22に一定以上のテンションがかかるよう、ワイヤ22が巻き取りドラム25に巻き付く側に、巻き取りドラム25に対して回転力を作用させる。このテンション維持部材26は、例えば、巻きバネである。クラッチ29は、ドラム回転モータ28の回転力がドラム回転軸27に伝わる接続状態と、ドラム回転モータ28の回転力がドラム回転軸27に伝わらない切り離し状態とに、ドラム回転モータ28とドラム回転軸27との接続状態を変える。
【0024】
駆動機構31は、マルチコプター50の揺動機構61及び揺動拘束機構66を動作させる。この駆動機構31は、アクチュエータケーシング33と、このアクチュエータケーシング33に対して出没可能なアクチュエータロッド32と、を有するリニアアクチュエータである。アクチュエータロッド32の先端部は、駆動端32dを成す。駆動端32dは、揺動機構61の駆動受け端63d及び揺動拘束機構66の爪67に接触可能である。アクチュエータケーシング33は、アクチュエータロッド32の駆動端32dがケーシング21から突出可能に、ケーシング21内に固定されている。
【0025】
中継装置側接続部34は、例えば、電磁石である。この中継装置側接続部34は、マルチコプター側接続部69に磁気的に結合可能である。
【0026】
中継装置20のコントローラ41は、各種演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、このCPUからの指示に従って、アクチュエータ、電磁石、モータ、クラッチ等への電力供給を制御するための電力回路と、を有する。すなわち、このコントローラ41は、通信機40が受信した操作装置10からの指示等に応じて、駆動機構31、巻き取り機構24、中継装置側接続部34の動作を制御する。
【0027】
保持装置35は、複数の接触端36と、複数の接触端36毎に設けられている押圧部材37と、を有する。各接触端36は、ケーシング21の外部に配置され、中継装置20が狭隘空間Sn内に配置されているときに、狭隘空間Snを画定する狭隘空間形成面Pnに接触可能である。各押圧部材37は、ケーシング21の外面に取り付けられ、接触端36をケーシング21から遠ざかる向きに押すバネ等である。例えば、狭隘空間Snが円柱状である場合、ケーシング21の形状も円柱状にする。押圧部材37と接触端36との組は、円柱状のケーシング21の外周面に取り付けられ、接触端36は、押圧部材37により、円柱の中心から遠ざかる向きに押される。なお、保持装置35は、中継装置20のケーシング21を狭隘空間Sn内に保持できる構造であれば、如何なる構造であってもよく、例えば、ボルト等の連結具を含む構造であてもよい。
【0028】
次に、本実施形態のマルチコプターシステムの取り扱い方、及び動作について説明する。
【0029】
まず、
図2に示すように、マルチコプター50を、操作空間Soから狭隘空間Snを経て、飛行空間Sf内に入れる。マルチコプター50を飛行空間Sf内に入れる前、マルチコプター50は、中継装置20に接続されている。具体的には、中継装置側接続部34とマルチコプター側接続部69とが磁気的に結合している。マルチコプター50の複数のアーム57は、折り畳み状態である。マルチコプター50の揺動機構61におけるスライドシャフト63は、胴体51の上面51uから上側に突出している。マルチコプター50の揺動拘束機構66における爪67は、爪収納穴53内に収まっている。これは、スライドシャフト挿通孔52内のうち、爪収納穴53に連通している部分に、スライドシャフト63が存在しているため、爪67が、スライドシャフト挿通孔52内に突出できないからである。中継装置20に設けられている駆動機構31のアクチュエータロッド32は、中継装置20のケーシング21内に収まっている。巻き取り機構24のクラッチ29は、接続状態である。保持装置35における複数の接触端36は、いずれも、それぞれの押圧部材37により押されて、ケーシング21から最も離れた位置に位置している。
【0030】
次に、
図3に示すように、マルチコプター50及び中継装置20が以上の状態のまま、中継装置20が接続されているマルチコプター50を、前述したように、狭隘空間Snを経て飛行空間Sf内に入れる。この過程で、保持装置35における複数の接触端36は、狭隘空間形成面Pnに接して、中継装置20のケーシング21に近づく側に移動する。この結果、接触端36には、押圧部材37により、ケーシング21から遠ざかる向きの力が作用して、接触端36と狭隘空間形成面Pnとの間の接触圧が高まり、中継装置20は、狭隘空間Sn内に保持される。
【0031】
中継装置20が狭隘空間Sn内に保持され且つマルチコプター50が飛行空間Sf内に配置されると、操作者は、操作装置10を操作して、マルチコプター50の複数のアーム57が飛行可能状態になるよう指示する。この指示は、操作装置10から中継装置20の通信機40を介して、コントローラ41に送られる。コントローラ41は、この指示を受けると、
図4に示すように、アクチュエータロッド32の駆動端32dがケーシング21から突出するよう、駆動機構31を動作させる。この結果、アクチュエータロッド32の駆動端32dが、マルチコプター50のスライド部材62における駆動受け端63dに接して、このスライド部材62を下側に押す。アクチュエータロッド32によりスライド部材62が押されて、このスライド部材62が下側に移動すると、スライド部材62における複数のスライドアーム64毎のアーム操作端64mがアーム57の揺動力受け部59を押す。この結果、複数のアーム57は、アーム接続部60を中心として、揺動し始め、折り畳み状態から飛行可能状態に近づく。
【0032】
アクチュエータロッド32の駆動端32d、及びマルチコプター50のスライド部材62における駆動受け端63dのそれぞれが、爪67の下縁よりも、下に位置する過程で、複数のアーム57は、飛行可能状態になる。さらに、アクチュエータロッド32の駆動端32d、及びマルチコプター50のスライド部材62における駆動受け端63dのそれぞれが、爪67の下縁よりも、下に位置すると、アクチュエータロッド32が上側にゆっくりと移動し始める。この過程で、爪収納穴53内に収まっていた爪67が、バネ68に押されて、駆動端32dと駆動受け端63dとの間に入り込み、
図1に示すように、駆動受け端63dが爪67の下縁に接するようになる。この結果、アクチュエータロッド32が上側に移動しても、スライド部材62は、爪67の存在より、移動できなくなる。つまり、マルチコプター50が飛行可能状態を維持できるよう、複数のアーム57の揺動が拘束される。
【0033】
マルチコプター50が飛行可能状態になると、中継装置20のコントローラ41は、巻き取り機構24のクラッチ29に対して、切り離し状態になるよう指示する。この結果、ドラム回転モータ28の回転力が巻き取りドラム25に伝わらなくなり、巻き取りドラム25は、ドラム回転モータ28の回転に関わらず、回転できるようになる。但し、この巻き取りドラム25には、テンション維持部材26から、ワイヤ22が巻き取りドラム25に巻き付く側に回転力が作用している。
【0034】
マルチコプター50が飛行可能状態になると、操作装置10からの飛行制御信号が、マルチコプター50の通信機70を介して、マルチコプター50のコントローラ71に送られる。コントローラ71は、この飛行制御信号を受けると、この飛行制御信号に応じて、複数のロータ55毎のモータ56を駆動させ、各ロータ55を回転させる。さらに、操作装置10からのマルチコプター分離指示が、中継装置20の通信機40を介して、中継装置20のコントローラ41に送られる。このコントローラ41は、この分離指示を受けると、電磁石である中継装置側接続部34への電力供給を断ち、中継装置側接続部34とマルチコプター側接続部69との磁気結合を解除する。この結果、マルチコプター50は、中継装置20から離れて、飛行空間Sf内を飛行する。マルチコプター50のコントローラ71には、マルチコプター50の飛行中も、操作装置10からの飛行制御信号が、マルチコプター50の通信機70を介して入力する。このコントローラ71は、飛行制御信号に応じて、複数のロータ55毎のモータ56を駆動させ、各ロータ55を回転させ、飛行制御信号に応じたマルチコプター50の飛行を実現する。
【0035】
マルチコプター50の飛行中、巻き取りドラム25に巻き付いているワイヤ22は、マルチコプター50と中継装置20との間の距離に応じて、巻き取りドラム25から解かれる。但し、巻き取りドラム25には、前述したように、テンション維持部材26から、ワイヤ22が巻き取りドラム25に巻き付く側に回転力が作用しているため、ワイヤ22には一定のテンションがかかり、ワイヤ22は弛まない。
【0036】
マルチコプター50を回収する際には、操作者が、操作装置10に対してマルチコプター50を回収する旨の指示を与える。操作装置10は、この指示を受けると、回収制御信号が、中継装置20の通信機40を介して、中継装置20のコントローラ41に送る。コントローラ41は、この回収制御信号を受けると、巻き取り機構24のクラッチ29を接続状態すると共に、ドラム回転モータ28を巻き取り側に回転させる。この結果、ワイヤ22が巻き取りドラム25に巻き付き始め、マルチコプター50が中継装置20に近づく。マルチコプター側接続部69と中継装置側接続部34とが接触して、巻き取りドラム25が回転できなくなり、ドラム回転モータ28への電力負荷が急激に大きくなると、中継装置20のコントローラ41は、電磁石である中継装置側接続部34へ電力を供給し、中継装置側接続部34とマルチコプター側接続部69とを磁気結合させると共に、ドラム回転モータ28への電力供給を断つ。操作装置10は、回収指示を受け付けた後、マルチコプター50に対して停止信号を送信する。マルチコプター50のコントローラ71には、この停止信号がマルチコプター50の通信機70を介して入力する。このコントローラ71は、全てのモータ56に対する電力供給を断ち、全てのロータ55を停止させる。
【0037】
中継装置20のコントローラ41は、その後、アクチュエータロッド32の駆動端32dがケーシング21から突出するよう、駆動機構31を動作させる。この結果、アクチュエータロッド32の駆動端32dが、飛行可能状態であるマルチコプター50のスライド部材62における駆動受け端63dに接して、このスライド部材62を下側に押して、このスライド部材62を僅かに下側に移動させる。この過程で、爪67は、
図4に示すように、アクチュエータロッド32に押されて、爪収納穴53内に収まる。さらに、アクチュエータロッド32の駆動端32d、及びマルチコプター50のスライド部材62における駆動受け端63dのそれぞれが、爪67の下縁よりも、下に位置すると、アクチュエータロッド32が上側に急に移動する。この過程で、飛行可能状態であるマルチコプター50のモータ56等にかかる重力により、複数のアーム57がアーム接続部60を中心として、揺動し、飛行可能状態からから折り畳み状態になる(
図3参照)。この過程で、スライド部材62が急に上昇して、爪67は爪収納穴53に収まった状態を維持する。
【0038】
マルチコプター50が中継装置20に接続され、且つマルチコプター50が折り畳み状態になると、操作者は、中継装置20及びマルチコプター50を操作空間Soに戻す。
【0039】
以上のように、本実施形態のマルチコプター50は、飛行可能状態と折り畳み状態とに変形可能である。このため、本実施形態では、飛行可能状態のままではマルチコプター50を狭隘空間Snに通すことができない場合でも、マルチコプター50を折り畳み状態にすることで、マルチコプター50を狭隘空間Snに通すことができる。よって、本実施形態によれば、飛行可能状態におけるマルチコプター50のサイズが狭隘空間Snのサイズに応じたサイズである必要がなく、マルチコプター50のペイロードの制限を緩和することができる。
【0040】
「第一変形例」
本開示に係る上記実施形態の第一変形例におけるマルチコプターシステムについて、
図5を参照して説明する。
【0041】
第一変形例におけるマルチコプターシステムは、上記実施形態におけるマルチコプターシステムの揺動機構61を変更したシステムであり、その他の構成に関しては、上記実施形態におけるマルチコプターシステムの構成と同様である。
【0042】
本変形例のマルチコプター50aにおける揺動機構61aも、上記実施形態の揺動機構61と同様、飛行可能状態及び折り畳み状態を実現可能に、複数のアーム57aを揺動する。複数のアーム57aは、胴体51に対して揺動可能に、その基端部58bが胴体51にアーム接続部60で接続されている。本変形例の揺動機構61aは、胴体51に対して相対的に上下方向Daに移動可能なスライド部材62aと、複数のアーム57a毎に設けられているリンク片65と、を有する。このスライド部材62aは、スライドシャフト63と、スライドシャフト63の一方の端部からスライドシャフト63に対して放射方向に延びる複数のスライドアーム64aと、を有する。スライドシャフト63の他方の端部は、駆動受け端63dを成す。スライドアーム64aは、複数のアーム57a毎に存在する。一のスライドアーム64aの端部と一のアーム57aとは、一のリンク片65で接続されている。リンク片65の一方の端部は、スライドアーム64の端部にピンで接続されている。よって、リンク片65は、スライドアーム64の端部に対して揺動可能である。また、リンク片65の他方の端部は、アーム57aの中間部にピンで接続されている。よって、このリンク片65は、アーム57aに対しても相対的に揺動可能である。このリンク片65の他方の端部は、アーム操作端65mを成す。
【0043】
本変形例では、スライド部材62aが上下方向Daに移動することで、リンク片65がスライドアーム64の端部に対して揺動し、さらに、アーム57aに対しても相対的に揺動する。この結果、本態様でも、マルチコプター50aを飛行可能状態と折り畳み状態との間で変形可能である。
【0044】
以上のように、揺動機構は、モータ毎のアームを胴体に対して揺動させて、マルチコプターを飛行可能状態と折り畳み状態との間で変形させることができれば、如何なる態様の機構であってもよい。このため、例えば、駆動機構が、リニアアクチュエータではなく、ロータリーアクチュエータである場合、揺動機構は、このロータリーアクチュエータの回転で回転するカムを有する機構であってもよい。
【0045】
以上のように、揺動機構は、各種態様が考えられるため、揺動拘束機構も各種態様が考えられる。例えば、揺動拘束機構は、ラチェット機構を含む機構であってもよい。
【0046】
「第二変形例」
本開示に係る上記実施形態の第二変形例におけるマルチコプターシステムについて、
図6を参照して説明する。
【0047】
上記実施形態におけるマルチコプターシステムでは、中継装置20のケーシング21内に駆動機構31が配置され、駆動機構31の駆動端32dが、マルチコプター50の駆動受け端63dと接触及び離間可能である。本変形例におけるマルチコプターシステムでは、駆動機構31がマルチコプター50bの胴体51に設けられ、駆動機構31の駆動端32dが、揺動機構61の駆動受け端63dにネジ等で接続されている。また、中継装置20bのケーシング21b内には、駆動機構が設けられていない。
【0048】
以上のように、マルチコプター50b側に駆動機構31を設けてもよい。このように、駆動機構31をマルチコプター50b側に設けた場合、中継装置20bを省略することが可能である。
【0049】
「その他の変形例」
【0050】
上記実施形態及び上記各変形例では、操作装置10と中継装置20,20bの間、及び操作装置10とマルチコプター50,50a,50bとの間のそれぞれで信号の送受信を行う。しかしながら、中継装置20,20bのみが操作装置10との間で信号の受送信を行い、マルチコプター50,50a,50bは、中継装置20,20bとの間で信号の受送信を行うようにしてもよい。この場合、操作装置10からのマルチコプター50,50a,50bに対する指示は、中継装置20を介して、マルチコプター50に送られる。
【0051】
上記実施形態及び上記各変形例において、ワイヤ22及び巻き取り機構24を省略してもよい。この場合、マルチコプター50,50a,50bの回収は、操作装置10からの飛行制御信号に基づいて行われる。
【0052】
中継装置20,20bとマルチコプター50,50a,50bとを接続するワイヤ22を有する場合には、このワイヤ22に信号線を含ませてもよい。すわわち、中継装置20,20bとマルチコプター50,50a,50bと間で、有線通信できるようにしてもよい。この場合、操作装置10からの指示を中継装置20,20b及び信号線を介してとマルチコプター50,50a,50bに送ってもよい。さらに、この場合、マルチコプター50,50a,50bの飛行等を制御するコントローラ71等を中継装置20に配置してもよい。また、操作装置10と中継装置20,20bとを信号線を含む有線で接続し、操作装置10と中継装置20,20bとの間で、有線通信できるようにしてもよい。
【0053】
「付記」
以上の実施形態及び各変形例におけるマルチコプターシステムは、例えば、以下のように把握される。
【0054】
(1)第一態様におけるマルチコプターシステムは、
マルチコプター50,50a,50bと、外部からの指示で変位する駆動端32dを有する駆動機構31と、を備える。前記マルチコプター50,50a,50bは、互に背合わせの関係にある上面51uと下面51dとを有する胴体51と、複数のロータ55と、複数の前記ロータ55毎に設けられ、前記ロータ55を回転させるモータ56と、複数の前記モータ56毎に設けられ、前記モータ56を支持するアーム57,57aと、複数の前記アーム57,57a毎に設けられ、前記アーム57,57aを前記胴体51に対して揺動可能に接続するアーム接続部60と、複数の前記アーム57,57aのそれぞれを揺動動作させることができる揺動機構61,61aと、複数の前記アーム57,57aの揺動動作を拘束可能な揺動拘束機構66と、を有する。前記上面51uと前記下面51dとが並ぶ方向が前記マルチコプター50,50a,50bにおける上下方向Daを成す。前記アーム接続部60は、複数の前記ロータ55毎の回転軸が前記上下方向Daに延び且つ複数の前記ロータ55が互いに接触不能な飛行可能状態と、複数の前記モータ56相互間の距離が前記飛行可能状態のときより短くなっている折り畳み状態との間で、複数の前記アーム57,57aが前記胴体51に対して揺動可能に複数の前記アーム57,57aを前記胴体51に接続する。前記揺動機構61,61aは、前記駆動端32dに接続されている又は接触可能で、前記駆動端32dの変位に伴って変位する駆動受け端63dと、複数の前記アーム57,57a毎に接続され、前記駆動受け端63dの変位に伴って変位して、前記飛行可能状態及び前記折り畳み状態を実現可能に、前記アーム57,57aを揺動させるアーム操作端64m,65mと、を有する。前記揺動拘束機構66は、前記駆動端32dの変位に応じて、前記飛行可能状態を維持できるよう複数の前記アーム57,57aの揺動を拘束する一方で、複数の前記アーム57,57aの拘束を解除できるよう、構成されている。
【0055】
マルチコプター50,50a,50bの飛行空間Sfが、狭隘空間Snを経て、操作装置10が位置している操作空間Soにつながっている場合について説明する。この場合、本態様では、折り畳み状態のマルチコプター50,50a,50bを操作空間Soから、狭隘空間Snを経て、飛行空間Sf内に入れる。マルチコプター50,50a,50bを飛行空間Sf内に入れた後、外部から駆動機構31に駆動端32dの変位を指示する。この結果、駆動機構31の駆動端32dが変位し、この変位に伴って、揺動機構61,61aのアーム操作端64mが変位する。アーム操作端64mが変位すると、複数のアーム57,57aが揺動して、マルチコプター50,50a,50bが飛行可能状態になる。揺動拘束機構66は、この過程で、マルチコプター50,50a,50bを飛行可能状態に拘束する。
【0056】
以上のように、本態様のマルチコプター50,50a,50bは、飛行可能状態と折り畳み状態とに変形可能である。このため、本態様では、飛行可能状態のままではマルチコプター50,50a,50bを狭隘空間Snに通すことができない場合でも、マルチコプター50,50a,50bを折り畳み状態にすることで、マルチコプター50,50a,50bを狭隘空間Snに通すことができる。よって、本態様によれば、飛行可能状態におけるマルチコプター50,50a,50bのサイズが狭隘空間Snのサイズに応じたサイズである必要がなく、マルチコプター50,50a,50bのペイロードの制限を緩和することができる。
【0057】
(2)第二態様におけるマルチコプターシステムは、
前記第一態様におけるマルチコプターシステムにおいて、前記折り畳み状態では、複数の前記ロータ55毎の前記回転軸は、前記上下方向Daよりも前記上下方向Daに垂直な方向の成分が多くなる方向に延びる。
【0058】
(3)第三態様におけるマルチコプターシステムは、
前記第一態様又は前記第二態様におけるマルチコプターシステムにおいて、中継装置20,20bをさらに備える。前記中継装置20,20bは、前記胴体51と分離及び接続可能なケーシング21,21bを有する。
【0059】
本態様では、マルチコプター50,50a,50bの胴体51が接続されている中継装置20,20bを狭隘空間Snに配置することで、マルチコプター50,50a,50bを飛行空間Sf内に配置することができる。
【0060】
(4)第四態様におけるマルチコプターシステムは、
前記第三態様におけるマルチコプターシステムにおいて、前記中継装置20,20bを狭隘空間Sn内に保持しておくための保持装置35をさらに備え、前記保持装置35は、前記狭隘空間Snを画定する狭隘空間形成面Pnに接触可能な接触端36と、前記ケーシング21,21bから遠ざかる向きに前記接触端36を押す押圧部材37と、を有する。
【0061】
本態様では、中継装置20,20bを狭隘空間Sn内に保持しておくことができる。
【0062】
(5)第五態様におけるマルチコプターシステムは、
前記第三態様又は前記第四態様におけるマルチコプターシステムにおいて、第一端22fと第二端22sとを有し、前記第一端22fが前記マルチコプター50,50a,50bに接続されているワイヤ22と、前記ワイヤ22の前記第二端22sに接続され、前記ワイヤ22を巻き取ることが可能な巻き取り機構24と、をさらに備える。前記巻き取り機構24は、前記ケーシング21,21b内に配置されている。
【0063】
本態様では、ワイヤ22を巻き取り機構24で巻き取ることで、中継装置20,20bから離れたマルチコプター50,50a,50bを容易に回収することができる。
【0064】
(6)第六態様におけるマルチコプターシステムは、
前記第三態様から前記第五態様のうちのいずれか一態様におけるマルチコプターシステムにおいて、前記中継装置20は、前記駆動機構31を有する。前記駆動機構31は、前記ケーシング21内に配置されている。前記胴体51が前記ケーシング21に接続されているときに、前記駆動機構31の前記駆動端32dに前記揺動機構61の前記駆動受け端63dが接触可能である。
【0065】
本態様では、駆動機構31がマルチコプター50,50aの胴体51に取り付けられていないため、マルチコプター50,50aのペイロードを大きくすることができる。
【0066】
(7)第七態様におけるマルチコプターシステムは、
前記第三態様から前記第五態様のうちのいずれか一態様におけるマルチコプターシステムにおいて、前記駆動機構31は、前記胴体51に取り付けられている。前記駆動受け端63dは前記駆動端32dに接続されている。
【0067】
本態様では、駆動機構31を設けるための中継装置を省略することができる。
【符号の説明】
【0068】
10:操作装置
20,20b:中継装置
21,21b:ケーシング
22:ワイヤ
22f:第一端
22s:第二端
24:巻き取り機構
25:巻き取りドラム
26:テンション維持部材
27:ドラム回転軸
28:ドラム回転モータ
29:クラッチ
31:駆動機構
32:アクチュエータロッド
32d:駆動端
33:アクチュエータケーシング
34:中継装置側接続部
35:保持装置
36:接触端
37:押圧部材
40:通信機
41:コントローラ
50,50a,50b:マルチコプター
51:胴体
51u:上面
51d:下面
52:スライドシャフト挿通孔
53:爪収納穴
55:ロータ
56:モータ
57,57a:アーム
58:アーム部
58t:先端部
58b:基端部
59:揺動力受け部
60:アーム接続部
61,61a:揺動機構
62,62a:スライド部材
63:スライドシャフト
63d:駆動受け端
64,64a:スライドアーム
64m:アーム操作端
65:リンク片
65m:アーム操作端
66:揺動拘束機構
67:爪
68:バネ
69:マルチコプター側接続部
70:通信機
71:コントローラ
Da:上下方向
Db:水平方向
So:操作空間
Sn:狭隘空間
Sf:飛行空間
Pn:狭隘空間形成面
【要約】
【課題】マルチコプターの飛行空間が、狭隘空間を経て、操作装置が位置している操作空間につながっている場合、マルチコプターのペイロードの制限を緩和する。
【解決手段】マルチコプターシステムは、マルチコプターと、外部からの指示で変位する駆動端を有する駆動機構と、を備える。前記マルチコプターは、胴体と、複数のロータと、前記ロータを回転させるモータと、前記モータを支持するアームと、前記アームを前記胴体に接続するアーム接続部と、複数の前記アームのそれぞれを揺動動作させる揺動機構と、を有する。前記アーム接続部は、飛行可能状態と、複数の前記モータ相互間の距離が前記飛行可能状態のときより短くなっている折り畳み状態との間で、前記胴体に対して揺動可能に前記アームを接続する。前記揺動機構は、前記駆動端の変位に伴って、前記飛行可能状態及び前記折り畳み状態を実現可能に、前記アームを揺動させる。
【選択図】
図1