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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】面取り工具
(51)【国際特許分類】
   B23D 79/00 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
B23D79/00 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018000003
(22)【出願日】2018-01-01
(65)【公開番号】P2019118994
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】置田 昌宏
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-116515(JP,A)
【文献】独国実用新案第202006007258(DE,U1)
【文献】特許第001937(JP,C1)
【文献】実開昭52-033077(JP,U)
【文献】実開昭60-142003(JP,U)
【文献】特開2002-239825(JP,A)
【文献】登録実用新案第3151877(JP,U)
【文献】特開2010-094797(JP,A)
【文献】特開2017-220977(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0226423(US,A1)
【文献】西独国特許出願公告第1297320(DE,B)
【文献】米国特許第2807297(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0291386(US,A1)
【文献】特開2012-130996(JP,A)
【文献】特開2007-331055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06
B23C 1/00-9/00
B23D 67/00-81/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切刃と、当該切刃を保持しかつパイプの端部が挿入される筒状の面取り部と、当該面取り部を回転させる際に作業者が操作する操作ハンドルと、前記面取り部と前記操作ハンドルとを連結する、当該面取り部及び当該操作ハンドルよりも外径が小さい軸部とを備えた面取り具において、
前記面取り部は前記切刃を保持するための切刃収容部を有し、当該切刃収容部において前記操作ハンドル側の端部は、前記面取り部から前記軸部の外周面に突出されており、前記切刃収容部において前記切刃は、前記面取り部から前記突出されている部分に渡って収容されている面取り工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ端部の面取りを行うための面取り工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、切刃を有しかつ被加工パイプの端部が挿入される筒状の部分と、筒状の部分を回転操作する際に手で握るための円板状の回転トルク付加握り部と、筒状の部分と回転トルク付加握り部とを連結する軸状の部分とを備えた面取り工具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-239825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような面取り工具において、軸線方向に長尺の切刃を取り付けようとする場合、筒状の部分ひいては面取り具が軸線方向に長くなる問題があった。面取り工具が軸線方向に長くなると、回転トルク付加握り部による回転操作が不安定となる等、面取り作業に悪影響を与える危惧がある。
本発明の目的は、軸線方向にコンパクトにできしかも面取り作業をさらに安定して行い得る面取り工具を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明の面取り工具は、切刃と、当該切刃を保持しかつパイプの端部が挿入される筒状の面取り部と、当該面取り部を回転させる際に作業者が操作する操作ハンドルと、前記面取り部と前記操作ハンドルとを連結する、当該面取り部及び当該操作ハンドルよりも外径が小さい軸部とを備えた面取り工具において、前記面取り部は前記切刃を保持するための切刃収容部を有し、当該切刃収容部において前記操作ハンドル側の端部は、前記面取り部から前記軸部の外周面に突出されている。
【発明の効果】
【0006】
上記構成の請求項1の発明によれば、切刃収容部の一部が軸部の外周面まで突出されているため(換言すれば軸部の外周面の一部を切刃収容部の配置に利用しているため)、軸線方向に長尺の切刃であっても、面取り部の全体が長くなることひいては面取り工具が長くなることを防止できる。軸線方向にコンパクトな面取り工具は、操作ハンドルの回転操作ひいては面取り作業を安定して行い得る。また、切刃収容部において軸部の外周面に突出した部分を、操作ハンドルを回転操作する際に指を引っ掛ける部分として利用することができ、操作ハンドルの回転操作ひいては面取り作業をさらに安定して行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の面取り工具の正面図。
図2】面取り工具の背面図。
図3】面取り工具の平面図。
図4】面取り工具の底面図。
図5】面取り工具の左側面図。
図6】面取り工具の右側面図。
図7】パイプを挿入した状態での面取り工具の断面図。
図8】面取り工具の使用方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図8に示すように、給水給湯配管に用いられる樹脂パイプ101は、継手(図示しない)に挿入・接続されるものであって、当該継手への挿入力軽減のために、樹脂パイプ101の端部外周縁を面取りすることがある。この樹脂パイプ101の端部外周縁の面取りに、本実施形態の面取り工具1が用いられる。
【0009】
図1及び図7に示すように、面取り工具1は、切刃2と、切刃2を保持する円筒状の面取り部3と、作業者が操作する際の手掛かりとなる円筒状の操作ハンドル4と、面取り部3と操作ハンドル4とを連結する円筒状の軸部5とを備えている。面取り部3と操作ハンドル4と軸部5は、同一の軸線L上に配置されているとともに、合成樹脂材料によって一体成形されている。図7に示すように、面取り工具1の軸線L位置には、肉抜き孔13が形成されている。肉抜き孔13は、面取り部3の内部から軸部5の内部を介して操作ハンドル4の内部に至り、操作ハンドル4の端面で開口されている。
【0010】
図1図4及び図7に示すように、面取り部3は、樹脂パイプ101が挿入される円筒状の外筒6と、樹脂パイプ101に挿入される円柱状の案内柱7と、外筒6の基端と案内柱7の基端との間を連結する円環状の底板8とを、同一の軸線L上に備えている。図6及び図7に示すように、外筒6の内周面と案内柱7の外周面と底板8の端面とで囲まれることで、円環状の挿入空間9が軸線L方向に形成されている。案内柱7は、樹脂パイプ101への挿入を容易とするために、先端部7aが挿入空間9から突出されているとともに、先端部7aの外周縁がR面とされている。
【0011】
図1図5及び図7に示すように、操作ハンドル4の外周面には凹部4aが形成されている。凹部4aは、軸線L方向へと直線状に延びる長溝からなるとともに、複数が周方向に等間隔で配置されている。この複数の凹部4aは、作業者が操作ハンドル4を回転操作する際の滑り止めとなる。
【0012】
図1図4及び図7に示すように、軸部5は、面取り工具1の操作を行い易くするために、面取り部3と操作ハンドル4とを適度に離間させるためのものである。軸部5は、面取り工具1を構成する肉量の軽減や操作ハンドル4の握り易さ等を考慮し、外径が面取り部3の外径および操作ハンドル4の外径よりも小さくなっている。したがって、面取り部3と操作ハンドル4との間には、軸線Lを中心とした円環状の突出用空間5aが軸線L方向に形成されている。
【0013】
図1及び図7に示すように、面取り部3において外筒6の外周面と、軸部5の外周面とに跨って、切刃収容部11が形成されている。換言すれば、面取り部3に設けられた切刃収容部11は、一部が面取り部3から軸部5の外周面に突出されており(以下、突出部分11aとする)、突出用空間5aは突出部分11aによって環状が一部で離断されている。
【0014】
切刃収容部11は、切刃2を収容・保持するための保持凹所12を備えている。保持凹所12は、正面視(図1の状態)にて軸線L方向へと直線状に延びるとともに、底面視(図7の状態)にて操作ハンドル4側ほど軸線Lに近づくように当該軸線L方向へと直線状に延びている。保持凹所12の底面において面取り部3側の端部には、保持凹所12の内空間と挿入空間9とを連通する刃物口12aが形成されている。保持凹所12の底面において長手方向の中間部分には、ねじ穴12bが形成されている。
【0015】
切刃2は、矩形板状をなすとともに、短手方向の一端縁に刃先2aが付けられている。切刃2において長手方向の中間位置には、ねじ孔2bが形成されている。切刃2は、切刃収容部11の保持凹所12に収容されている。保持凹所12に収容された切刃2は、保持凹所12のねじ穴12bにねじ孔2bが一致する。この一致したねじ孔2b及びねじ穴12bに挿入されたねじ15によって、切刃2は保持凹所12に固定されている。切刃収容部11に収容・固定された切刃2は、刃先2aの一部が、刃物口12aを介して挿入空間9に露出されている。なお、保持凹所12の内面において刃物口12aの近傍には、切刃2の刃先2aと対向するように、排出凹所12cが形成されている。
【0016】
前述したように、保持凹所12の底面は、操作ハンドル4に近づくにつれて軸線Lに近づくように、軸線Lに対して傾斜されている。したがって、切刃収容部11に収容・保持された切刃2(刃先2a)も、操作ハンドル4に近づくにつれて軸線Lに近づくように、軸線Lに対して傾斜されている。この切刃2の傾斜に応じて、挿入空間9の底板8付近は、底板8側が小径となるテーパ状に形成されている。
【0017】
図7及び図8に示すように、本実施形態の面取り工具1を用いて樹脂パイプ101の面取りを行うには、面取り部3の挿入空間9に樹脂パイプ101を挿入して、樹脂パイプ101の先端を切刃2に当接させる。この状態で、操作ハンドル4を介して面取り工具1を回転させ、面取り工具1と樹脂パイプ101とを相対回転させると、樹脂パイプ101の先端に対して傾斜した切刃2が、当該先端の外周縁を削って面取りを行う。このとき発生する樹脂パイプ101の削り屑は、排出凹所12cを介して外部へと排出される。
【0018】
そして、面取り工具1と樹脂パイプ101との相対回転を所定回転数行うことで、樹脂パイプ101が挿入空間9を軸線L方向へと進んでやがては底板8に当接し、よって樹脂パイプ101の先端は、挿入空間9の奥側のテーパ状に沿った形状で面取りが施されることになる。
【0019】
以上詳述したように本実施形態の面取り工具1は、軸部5の外周面の一部を切刃収容部11の配置に利用している。したがって、軸線L方向に長尺の切刃2であっても、面取り部3が軸線L方向に長くなることなく、よって面取り工具1をコンパクトにできる。軸線L方向にコンパクトな面取り工具1は、操作ハンドル4の回転操作ひいては面取り作業を安定して行い得る。
【0020】
また、切刃収容部11において軸部5の外周面への突出部分11aを、操作ハンドル4を回転操作する際に指を引っ掛ける部分として利用することができる。したがって、操作ハンドル4の回転操作ひいては面取り作業をさらに安定して行い得る。
【0021】
<変形例>
なお、本発明は、例えば次の態様でも実施可能である。
○案内柱7を別体とすること。そして、異なる外径の案内柱7を準備して、異なる内径の樹脂パイプ101に対応可能とすること。
【符号の説明】
【0022】
1…面取り工具、2…切刃、3…面取り部、4…操作ハンドル、5…軸部、11…切刃収容部、101…パイプ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8