(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置用電極板およびプラズマ処理装置用電極板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20220406BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220406BHJP
C04B 41/87 20060101ALI20220406BHJP
C04B 35/565 20060101ALI20220406BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20220406BHJP
C23C 16/509 20060101ALI20220406BHJP
C23C 16/455 20060101ALN20220406BHJP
【FI】
H01L21/302 101L
H01L21/31 C
C04B41/87 G
C04B35/565
C23C16/42
C23C16/509
C23C16/455
(21)【出願番号】P 2018017983
(22)【出願日】2018-02-05
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】野村 聡
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-058510(JP,A)
【文献】特開平02-150024(JP,A)
【文献】特開2014-157944(JP,A)
【文献】特開2003-051485(JP,A)
【文献】特開平08-227874(JP,A)
【文献】特開2016-181385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/56-35/599
C04B 41/80-41/91
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材板に、前記基材板の内方より外方に向けて拡径するテーパ部を有する複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔を有する前記基材板に炭化珪素を主成分とするコーティング材を化学気相成長法により堆積させて、前記貫通孔内に前記コーティング材を充填するとともに前記基材板の少なくとも一方の表面を被覆してコーティング層を形成するCVD工程と、
前記貫通孔と同心で前記貫通孔よりも小径の孔を前記基材板の厚さ方向に貫通形成して、複数の通気孔を形成する通気孔形成工程と
を有することを特徴とするプラズマ処理装置用電極板の製造方法。
【請求項2】
前記基材板は炭化珪素を主成分とする焼結体からなることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置用電極板の製造方法。
【請求項3】
厚さ方向に貫通する複数の通気孔を有するプラズマ処理装置用電極板であって、
複数の貫通孔を有する基材板と、
炭化珪素を主成分として前記基材板の少なくとも一方の表面を被覆するとともに前記貫通孔の内壁面を被覆して前記通気孔を形成するコーティング層と
を備え、
前記貫通孔は、前記基材板の内方より外方に向けて拡径して前記基材板の表面に開口するテーパ部を有し、
前記通気孔は、前記貫通孔に充填された前記コーティング層を前記貫通孔と同心で貫通し、前記貫通孔よりも小径で前記基材板の厚さ方向に一定の内径を有していることを特徴とするプラズマ処理装置用電極板。
【請求項4】
全体の厚さが8~12mm、
前記通気孔の内径が直径0.5~1.0mm、前記通気孔同士の各中心間距離が5~10mm、
前記コーティング層の厚さが前記基材板の表面において1~5mm、前記通気孔の内壁面において0.5~1.2mm
であることを特徴とする請求項3記載のプラズマ処理装置用電極板。
【請求項5】
前記基材板は炭化珪素を主成分とする焼結体からなることを特徴とする請求項3または4記載のプラズマ処理装置用電極板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置用電極板およびプラズマ処理装置用電極板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造プロセスに使用されるプラズマエッチング装置やプラズマCVD装置等のプラズマ処理装置は、高周波電源に接続された一対の電極が真空チャンバー内に上下方向に対向配置された構成を有している。この構成において、被処理基板を下側電極上に配置し、この被処理基板に向けて上側電極に形成された複数の通気孔を通じてプラズマ生成用ガスを流通させながら、上下電極間に高周波電圧を印加してプラズマを発生させることにより、被処理基板にエッチング等の処理が行われる。
【0003】
このようなプラズマ処理装置に使用される上側電極として、同径の通気孔が複数形成された電極板が一般に使用される。電極板(上側電極)は、被処理基板側がプラズマにさらされて浸食され、また通気孔内にもプラズマが回り込むことにより、通気孔の開口径が徐々に大きくなる。このため、電極板の使用時間が長くなると各通気孔から流通するプラズマ生成用ガスの量に偏りが生じ、被処理基板へのプラズマ処理量にも偏りが生じて、均一な処理を行うことができなくなる。
【0004】
特許文献1には、プラズマ生成用ガスが吹き出す側の表面にコーティング層を有するプラズマエッチング装置用電極(ガス吹き出し板)が開示されている。この特許文献1には、コーティング層として、化学気相成長法(CVD法:Chemical Vapor Deposition)により形成されたSiC(CVD―SiC)と、緻密な炭化珪素焼結体からなる焼結体層が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電極板はコーティング層の耐プラズマ性が高くても、基材板の耐プラズマ性が低い場合には、コーティング層が消耗する前に基材板の通気孔の内壁が消耗することがある。
【0007】
特許文献1に記載されているように、電極板は、通気孔となる貫通孔を有する基板に対してCVD法によりコーティング層を形成して製造できるが、CVD法を行う際には基板の貫通孔がカーボン製の棒状体で塞がれており、この棒状体はコーティング層形成後に分解除去される。このため、電極板の通気孔の内壁面にはコーティング層が形成されておらず、プラズマ処理時に通気孔の内壁が消耗しやすくなる。
【0008】
通気孔の内壁面にコーティング層を形成するため、CVD法を行う際に貫通孔を開放しておくことが考えられる。しかしながら、貫通孔はごく小径であり、また入口の角部にコーティングの材料が集中して付着しやすいため、コーティングの材料が貫通孔の内部に入り込む前に貫通孔の入口を閉塞させてしまい、貫通孔の内壁面を被覆することができない。
【0009】
プラズマ処理時にコーティング層のない通気孔の内壁が消耗して通気孔の孔径が広がると、プラズマ生成用ガスの流量が変動し、安定してプラズマ処理を行うことが困難となるおそれがある。また、コーティングされていない通気孔の内壁が消耗する際に、基材板の粒子が脱落して被処理基板上に付着し、パーティクル発生の原因となる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、表面だけでなく通気孔の内壁も耐プラズマ性が高く消耗しにくいプラズマ処理装置用電極板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のプラズマ処理装置用電極板の製造方法は、基材板に、前記基材板の内方より外方に向けて拡径するテーパ部を有する複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を有する前記基材板に炭化珪素を主成分とするコーティング材を化学気相成長法により堆積させて、前記貫通孔内に前記コーティング材を充填するとともに前記基材板の少なくとも一方の表面を被覆してコーティング層を形成するCVD工程と、前記貫通孔と同心で前記貫通孔よりも小径の孔を前記基材板の厚さ方向に貫通形成して、複数の通気孔を形成する通気孔形成工程とを有する。
【0012】
この製造方法によれば、CVD工程において、コーティング材は広く開口するテーパ部を通じて貫通孔の内部まで入り込みやすいので、貫通孔の内壁面全体をコーティング材で確実に覆うことができる。そして、貫通孔に充填されたコーティング材を貫通して通気孔が形成されるので、基材板の表面だけでなく通気孔の内壁面も被覆するコーティング層が形成される。したがって、耐プラズマ性が高く全体が消耗しにくいプラズマ処理装置用電極板を形成できる。
【0013】
この製造方法において、前記基材板は炭化珪素を主成分とする焼結材であってもよい。この場合、焼結材からなる基材板は容易に製造できるので、生産性の良い製造方法が実現できる。
【0014】
本発明のプラズマ処理装置用電極板は、厚さ方向に貫通する複数の通気孔を有するプラズマ処理装置用電極板であって、複数の貫通孔を有する基材板と、炭化珪素を主成分として前記基材板の少なくとも一方の表面を被覆するとともに前記貫通孔の内壁面を被覆して前記通気孔を形成するコーティング層とを備え、前記貫通孔は、前記基材板の内方より外方に向けて拡径して前記基材板の表面に開口するテーパ部を有し、前記通気孔は、前記貫通孔に充填された前記コーティング層を前記貫通孔と同心で貫通し、前記貫通孔よりも小径で前記基材板の厚さ方向に一定の内径を有している。
【0015】
このプラズマ処理装置用電極板によれば、広く開口するテーパ部を通じて比較的大径の貫通孔の内部にもコーティング層が形成され、その中心部に通気孔が形成されていることにより、基材板の表面だけでなく通気孔の内側もコーティングされているので、表面だけでなく通気孔内においてもプラズマ処理による消耗が防止され、プラズマ処理におけるパーティクルの発生を防止できる。
【0016】
このプラズマ処理装置用電極板は、全体の厚さが8~12mm、前記通気孔の内径が直径0.5~1.0mm、前記通気孔同士の各中心間距離が5~10mm、前記コーティング層の厚さが前記基材板の表面において1~5mm、前記通気孔の内壁面において0.5~1.2mmであることが望ましい。この場合、表面だけでなく通気孔内壁面まで十分な厚さのコーティング層が設けられているので、プラズマ処理による消耗およびパーティクルの発生をより効果的に抑制できる。
【0017】
このプラズマ処理装置用電極板において、前記基材板は炭化珪素を主成分とする焼結体であってもよい。この場合、焼結体からなる基材板は容易に製造できるので、生産性の良いプラズマ処理装置用電極板が実現される。
【0018】
本発明の電極板用基材板において、複数の貫通孔を有する基材板であって、前記貫通孔は、その両端に、前記基材板の内方より外方に向けて拡径して前記基材板の表面に開口するテーパ部を有するとよい。
【0019】
この電極板用基材板によれば、広く開口するテーパ部を通じてコーティング材が貫通孔の内部まで入り込みやすいので、通気孔内壁面も消耗しにくい電極板を製造できる。
【0020】
この電極板用基材板は、前記電極用基材板の厚さが2~6mm、前記貫通孔の最小内径が直径2.5~3mm、各中心間距離が5~10mm、前記貫通孔の前記テーパ部のテーパ角が前記貫通孔の中心線に対して15~75度、前記電極板用基材板の表面からの深さが0.5~4.5mmであることが望ましい。この場合、CVD法によりコーティング層を形成する際に貫通孔の内部までコーティング材が充填されやすいので、プラズマ処理によって消耗しにくい通気孔を有する電極板を実現できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、耐プラズマ性が高く、表面だけでなく通気孔の内壁も消耗しにくいので、プラズマ処理においてパーティクルが発生しにくく安定した処理を長時間行うことが可能なプラズマ処理装置用電極板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る電極板の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る電極板用基材板およびプラズマ処理装置用電極板の一実施形態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る電極板用基材板(貫通孔形成工程)を示す断面図である。
【
図5】本発明のプラズマ処理装置用電極板の製造方法を示す工程図である。
【
図6】本発明のプラズマ処理装置用電極板の製造方法の一実施形態におけるCVD工程を示す断面図である。
【
図7】本発明のプラズマ処理装置用電極板の製造方法の一実施形態における通気孔形成工程を示す断面図である。
【
図8】本発明に係る電極板用基材板の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るプラズマ処理装置用電極板、電極板用材およびプラズマ処理装置用電極板の製造方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置用電極板10を示す斜視図、
図2はこのプラズマ処理装置用電極板10の断面図、
図3はプラズマ処理装置用電極板10およびこのプラズマ処理装置用電極板10を構成する電極板用基材板20を示す斜視図である。
【0024】
図1~3に示すように、プラズマ処理装置用電極板(電極板)10は円板状に形成され、厚さ方向に貫通する複数の通気孔11を有し、複数の貫通孔21を有する電極板用基材板(基材板)20と、基材板20の少なくとも一方の表面(本実施形態では両面)を被覆するとともに貫通孔21の内壁面を被覆して通気孔11を形成するコーティング層30とを備える。
【0025】
この電極板10は厚さ8~12mm(本実施形態では12mm)、直径200~600mm(本実施形態では380mm)の円板である。各通気孔11の内径は直径0.5~1.0mm(本実施形態では0.5mm)、通気孔11同士の各中心間距離は5~10mm(本実施形態では10mm)である。
【0026】
電極板10を構成する基材板20の断面を
図4に示す。基材板20の貫通孔21は、基材板20の内方より外方に向けて拡径して基材板20の表面に開口するテーパ部22と、このテーパ部22に連なり基材板20の厚さ方向に略一定の内径を有するストレート部23とを有する。本実施形態では
図4に示すように、テーパ部22は各貫通孔21の両端に形成されている。
【0027】
基材板20は、厚さが2~11mm(本実施形態では6mm)、直径が200~600mm(本実施形態では380mm)の円板であり、貫通孔21のストレート部23の内径が直径2.5~3mm(本実施形態では2.5mm)、貫通孔21同士の各中心間距離が5~10mm(本実施形態では10mm)、テーパ部22の深さが0.5~4.5mm(本実施形態では1.25mm)、テーパ部22のテーパ角が15~75度(本実施形態では45度)である。なお、ここでテーパ角とは、貫通孔21の中心線に沿う断面においてこの中心線と斜面とがなす角度で示す。本実施形態のテーパ部22は、深さが1.25mm、テーパ角が45°であるので、開口径は直径5mmとなる。
【0028】
本実施形態の基材板20は、炭化珪素を主成分とする焼結材である。この焼結材は、例えばY2O3,Al2O3およびAlNからなる群より選ばれる一種もしくは二種以上の混合物と、SiCとの混合物により形成されている。なお、この基材板20を形成する焼結材の空孔率は2%以下であることが好ましい。本実施形態において「炭化珪素を主成分とする」とは、炭化珪素の含有量が80質量%以上であることを意味する。
【0029】
コーティング層30は、密度が3.20g/cm3以上である緻密質炭化珪素であり、化学的気相成長法(CVD法)によって形成されたいわゆるCVD-SiCである。コーティング層30の厚さは、基材板20の表面において1~10mm(本実施形態では両面とも3mm)、貫通孔21の内壁面において0.5~1.2mm(本実施形態では1mm)である。図示例では、基材板20の両面にコーティング層30が設けられている。
【0030】
つまり、電極板10において、基材板20の貫通孔21の表面はコーティング層30によって被覆されており、各通気孔11はコーティング層30を貫通して各貫通孔21の中心に形成されており、基材板20の厚さ方向に一定の内径を有している。
【0031】
次に、
図4~7を参照して電極板10の製造方法を説明する。電極板10は、
図5に示すように、基材板20に複数の貫通孔21を形成する貫通孔形成工程(
図4)と、基材板20上にコーティング層30を形成するCVD工程(
図6)と、このコーティング層30を貫通する複数の通気孔11を貫通孔21と同心状に形成する通気孔形成工程(
図7)とを行うことにより製造される。
【0032】
貫通孔形成工程では、炭化珪素を主成分とする焼結体からなる基材板20に、基材板20の内方より外方に向けて拡径するテーパ部22と、このテーパ部22に連なり基材板20の厚さ方向に略一定の内径を有するストレート部23とを有する複数の貫通孔21を
図4に示すように形成する。貫通孔21の形成は、ドリル加工、超音波加工、レーザ加工等により行うことができる。
【0033】
次いで、CVD工程では、貫通孔21を有する基材板20に対して、炭化珪素を主成分とするコーティング材を化学気相成長法により堆積させて、貫通孔21内にコーティング材を充填するとともに基材板20の表面を被覆してコーティング層30を
図6に示すように形成する。このCVD工程において形成するコーティング層30は、基材板20の表面における厚さが1~10mm(本実施形態では3mm)である。
【0034】
このCVD工程においてコーティング材は、基材板20の表面に堆積するだけでなく、貫通孔21に対しては開口部に形成されたテーパ部22を通じてストレート部23にも円滑に入り込む。これにより
図6に示すように貫通孔21内にもコーティング層30が充填形成され、貫通孔21の内壁面はコーティング材によって完全に被覆される。
【0035】
次いで、通気孔形成工程では、貫通孔21と同心で貫通孔21よりも小径の孔を基材板20の厚さ方向に貫通形成して、
図7に示すように複数の通気孔11を形成する。通気孔11の形成は、ドリル加工、超音波加工、レーザ加工等により行うことができる。
【0036】
この通気孔形成工程において形成する通気孔11の内径は直径0.5~1mm(本実施形態では0.5mm)、通気孔11同士の中心間距離は貫通孔21と同じく5~10mm(本実施形態では10mm)である。通気孔11が形成された後、貫通孔21のストレート部23の内壁面におけるコーティング層30の厚さは0.5~1.2mm(本実施形態では1mm)である。
【0037】
上述した貫通孔形成工程、CVD工程、通気孔形成工程のほか、各工程の前後に必要に応じて、たとえば、通気孔出口の面取り加工、コーティング層に対するエッチングやケミカルポリッシングなどの各種処理を行い、電極板10が製造される。このように、本発明によれば、基材板20の表面だけでなく通気孔11の内壁面も被覆するコーティング層30を形成でき、耐プラズマ性が高く全体が消耗しにくいプラズマ処理装置用電極板10を得ることができる。
【0038】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0039】
上記実施形態の基材板20の貫通孔21は、
図1~4,6,7に示したようにそれぞれテーパ部22同士が離れて形成されているが、
図8に示すように、基材板120の厚さや貫通孔121の各中心間距離やテーパ部122の形状等によっては、隣接する貫通孔121同士でテーパ部122が一部つながるように形成されていてもよい。このような形状のテーパ部122であっても、コーティング材は貫通孔121の内部まで入り込みやすいので、通気孔の内壁面がコーティング材によって被覆された電極板を製造することができる。
【0040】
また、上記実施形態では基材板20の両面にコーティング層30を設けているが、コーティング層は基材板の片面のみに形成されていてもよい。その場合、貫通孔のテーパ部は、コーティング層が形成された表面(コーティング面)に開口するように設けられる。そして、この電極板をプラズマ処理装置に取り付ける際は、コーティング面(テーパ部開口側)が被処理基板に面するように配置すればよい。
【0041】
さらに、このようなプラズマ処理装置用電極板は、プラズマ処理によって消耗した場合に、再度CVD処理によりコーティング層を再形成し、穴開け加工により通気孔を形成することにより再生して利用することが可能であり、その場合に本発明の製造方法を応用することができる。つまり、消耗した電極板に対して、テーパ部を有する貫通孔を形成し(貫通孔形成工程)、CVD法によりコーティング材を貫通孔内に充填するとともに電極板の表面に堆積させてコーティング層を形成し(CVD工程)、貫通孔と同心で貫通孔よりも小径の孔を電極板の厚さ方向に貫通形成して通気孔を形成する(通気孔形成工程)ことにより、電極板の再生利用が可能である。この場合、消耗し再生される電極板が本発明に係る電極板である必要はない。また本発明に係る基材板を用いて形成されていない電極板であっても、本発明に係る製造方法の各工程を行うことにより、プラズマ処理による消耗が少ない電極板に再生することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 プラズマ処理装置用電極板
11 通気孔
20,120 電極板用基材板
21,121 貫通孔
22,122 テーパ部
23 ストレート部
30 コーティング層