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  • 特許-ライニング材剥離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】ライニング材剥離方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20220406BHJP
   B09B 3/30 20220101ALI20220406BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20220406BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20220406BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
B09B3/00 Z
B09B5/00 Z
B09B3/00 303Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018082620
(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2019188671
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】定木 啓
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-165214(JP,A)
【文献】特開昭62-054673(JP,A)
【文献】特開平09-303620(JP,A)
【文献】特開2002-018852(JP,A)
【文献】特開平06-166769(JP,A)
【文献】特開2010-070971(JP,A)
【文献】国際公開第2019/142435(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/02
B09B 3/30
B09B 5/00
B09B 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材の表面に貼着されたライニング材を剥離するライニング材剥離方法であって、
前記ライニング材又は前記金属部材の一部を除去して境界面を露出させた段差部を形成する加工工程と、
前記ライニング材の接着剤を軟化させる軟化工程と、
前記段差部を基点として前記ライニング材を前記金属部材から剥離する剥離工程と、を含み、
前記剥離工程は、前記ライニング材と前記金属部材の境界面に液体窒素を供給し、前記液体窒素の気化膨張によって前記ライニング材を剥離する工程である、
ことを特徴とするライニング材剥離方法。
【請求項2】
前記軟化工程は、前記接着剤の軟化点以上かつ前記ライニング材の発火点未満の範囲の温度で加熱する工程である、請求項1に記載のライニング材剥離方法。
【請求項3】
前記軟化工程は、前記接着剤の軟化点以上かつ前記ライニング材の融点以下の範囲の温度で加熱する工程である、請求項1に記載のライニング材剥離方法。
【請求項4】
前記加工工程は、前記ライニング材又は前記金属部材の端部を削ることによって前記段差部を形成する工程である、請求項1に記載のライニング材剥離方法。
【請求項5】
前記加工工程は、前記ライニング材又は前記金属部材の表面に穴を開けることによって前記段差部を形成する工程である、請求項1に記載のライニング材剥離方法。
【請求項6】
前記剥離工程は、切削、研削、プレス又は物理的な衝撃の何れかの手段によって前記ライニング材を剥離する工程である、請求項1に記載のライニング材剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライニング材剥離方法に関し、特に、金属部材の表面に貼着されたライニング材を剥離するライニング材剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部材の腐食を防止するため、その表面にポリエチレン、ゴム等の樹脂からなるライニング材が被覆される場合がある。例えば、腐食性の高い流体が流動する鋼管、海中等の腐食しやすい環境に配置される鋼管等の場合には、鋼管の内面に加えて外面にもライニング材を被覆している。一方、このようなライニング鋼管を廃棄する際には、鋼管とライニング材とを分別して回収するため、鋼管からライニング材を剥離する必要がある。
【0003】
ライニング材を剥離する方法として、例えば、高周波誘導加熱によりライニング鋼管を加熱し、ライニング材を融解させて分離する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ライニング鋼管を冷却し、ライニング材を脆化させた状態で外部から衝撃を加えることにより、ライニング材を粉砕して剥離する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-272995号公報
【文献】特開平7-164445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の剥離方法では、ライニング材が発火点付近の高温に達することもあるため、火災のリスクを許容できない場所での作業には適用することができないという問題がある。また、後者の剥離方法では、例えば、ポリエチレンの脆化温度は-60~-70℃の低温であることから、設備コストの負担が大きい、作業性が悪い、ライニング材をきれいに剥離することが難しい等の問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、火災のリスクを低減しつつ、容易かつ効率的にライニング材を剥離することができる、ライニング材剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、金属部材の表面に貼着されたライニング材を剥離するライニング材剥離方法であって、前記ライニング材又は前記金属部材の一部を除去して境界面を露出させた段差部を形成する加工工程と、前記ライニング材の接着剤を軟化させる軟化工程と、前記段差部を基点として前記ライニング材を前記金属部材から剥離する剥離工程と、を含み、 前記剥離工程は、前記ライニング材と前記金属部材の境界面に液体窒素を供給し、前記液体窒素の気化膨張によって前記ライニング材を剥離する工程である、ことを特徴とするライニング材剥離方法が提供される。
【0008】
前記軟化工程は、前記接着剤の軟化点以上かつ前記ライニング材の発火点未満の範囲の温度で加熱する工程であってもよい。
【0009】
前記軟化工程は、前記接着剤の軟化点以上かつ前記ライニング材の融点以下の範囲の温度で加熱する工程であってもよい。
【0010】
前記加工工程は、前記ライニング材又は前記金属部材の端部を削ることによって前記段差部を形成する工程であってもよい。
【0011】
前記加工工程は、前記ライニング材又は前記金属部材の表面に穴を開けることによって前記段差部を形成する工程であってもよい。
【0012】
前記剥離工程は、切削、研削、プレス又は物理的な衝撃の何れかの手段によって前記ライニング材を剥離する工程であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明に係るライニング材剥離方法によれば、ライニング材を発火させずに接着剤を軟化させる程度に加熱してからライニング材を剥離するようにしたことから、ライニング材が発火する可能性を低減することができ、火災のリスクを低減することができる。また、軟化工程の前にライニング材又は金属部材に段差部を形成する加工を施したことにより、段差部を基点にしてライニング材を剥離しやすくすることができ、容易かつ効率的にライニング材を剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るライニング材剥離方法を用いてライニング鋼管の外面に貼着されたライニング材を剥離する際の手順を示す部分断面図であり、(a)は初期状態、(b)は加工工程、(c)は軟化工程、(d)は剥離工程、を示している。
図2】本発明の一実施形態に係るライニング材剥離方法を用いてライニング鋼管の内面に貼着されたライニング材を剥離する際の手順を示す部分断面図であり、(a)は初期状態、(b)は加工工程、(c)は軟化工程、(d)は剥離工程、を示している。
図3】加工工程の一例を示す側面図であり、(a)は第一例、(b)は第二例、(c)は第三例、を示している。
図4】剥離工程の一例を示す部分断面図であり、(a)は第一例、(b)は第二例、(c)は第三例、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図1(a)~図4(c)を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係るライニング材剥離方法を用いてライニング鋼管の外面に貼着されたライニング材を剥離する際の手順を示す部分断面図であり、(a)は初期状態、(b)は加工工程、(c)は軟化工程、(d)は剥離工程、を示している。
【0017】
本発明の一実施形態に係るライニング材剥離方法は、例えば、図1(a)~図1(d)に示したように、金属部材1の外面に貼着されたライニング材2bを剥離するライニング材剥離方法であって、ライニング材2bの一部を除去して境界面を露出させた段差部3を形成する加工工程と、ライニング材2bの接着剤を軟化させる軟化工程と、段差部3を基点としてライニング材2bを金属部材1から剥離する剥離工程と、を備えている。
【0018】
金属部材1は、例えば、鋼管である。図1(a)に示したように、鋼管の内面(内側の表面)には、ポリエチレン、ゴム等の樹脂からなるライニング材2aが接着剤により貼着されている。また、鋼管の外面(外側の表面)にも同様のライニング材2bが接着剤により貼着されている。なお、図1(a)~図1(d)の各図は、説明の便宜上、ライニング鋼管の中心線Lの下半分の断面のみを図示してある。
【0019】
かかるライニング鋼管は、プラント等の設備から切り出された後、樹脂と金属とを分別回収するために、以下の工程により、金属部材1(鋼管)からライニング材2a,2bが剥離される。最初に、鋼管の外面に貼着されたライニング材2bを剥離する場合について説明する。
【0020】
加工工程は、ライニング材2bの一部を除去して段差部3を形成する工程である。段差部3は、金属部材1の表面(接着剤が残っている場合を含む)が露出するように、ライニング材2bを切削加工又は研削加工によって削り取ることによって形成される。図1(b)に示した加工工程では、ライニング材2bの端部を削ることによって段差部3を形成している。
【0021】
軟化工程は、ライニング鋼管を加熱してライニング材2bの接着剤(図示せず)を軟化させる工程である。具体的には、図1(c)に示したように、ライニング鋼管の外周にヒータ4を配置して加熱する。このとき、温度センサ5をライニング鋼管の内部に配置して表示器6に表示された温度を確認するようにしてもよい。なお、ライニング鋼管は、加熱炉内で加熱するようにしてもよい。
【0022】
ところで、原子力発電施設に使用されるライニング鋼管は、原子力発電施設内で分別処理されることとなるが、この施設内では火災が生じないように処理する必要がある。従来技術のように、高周波誘導加熱等により高温(例えば、200℃以上の温度)に加熱した場合には、ライニング材2a,2bが発火する可能性がある。
【0023】
そこで、本実施形態では、ライニング材2a,2bが発火しないように低温加熱している。具体的には、軟化工程における加熱温度は、ライニング材2a,2bが発火する温度である発火点未満の温度に設定される。より好ましくは、ライニング材2a,2bが溶融する温度である融点以下の温度に設定される。軟化工程の加熱温度の上限をライニング材2a,2bの融点に設定することにより、ライニング材2a,2bが発火点に到達するまでのマージンを容易に確保することができる。
【0024】
また、剥離工程でライニング材2a,2bを剥離するためには、ライニング材2a,2bの接着剤の粘着力を低下させる必要がある。そこで、軟化工程における加熱温度は、接着剤を軟化させる温度である軟化点以上の温度に設定される。なお、本実施形態において、接着剤には粘着テープも含まれるものとする。
【0025】
例えば、ライニング材2a,2bがポリエチレン製である場合には、一般に、発火点は350~450℃程度、融点は115~135℃程度である。また、接着剤には多くの種類が存在しているが、概ね50℃以上の温度であれば軟化させることができる。そこで、軟化工程における加熱温度は、例えば、50~100℃の範囲内に設定される。
【0026】
剥離工程は、接着剤が軟化したライニング材2bを金属部材1から剥離する工程である。具体的には、図1(d)に示したように、段差部3から金属部材1とライニング材2bとの境界面にバール等の切削工具7の先端を差し込んでライニング材2bを剥離する。このとき、必要に応じてニッパやカッタ等により切り込みを入れたり、切断したりしながら剥離するようにしてもよい。なお、剥離手段は、切削工具7に限定されるものではなく、研削工具であってもよいし、電動式の工具を使用してもよい。
【0027】
上述した手順により、金属部材1の外面に貼着されたライニング材2bを全て剥離した後、金属部材1の内面に貼着されたライニング材2aを剥離する。ここで、図2は、本発明の一実施形態に係るライニング材剥離方法を用いてライニング鋼管の内面に貼着されたライニング材を剥離する際の手順を示す部分断面図であり、(a)は初期状態、(b)は加工工程、(c)は軟化工程、(d)は剥離工程、を示している。なお、図2(a)~図2(d)の各図は、説明の便宜上、ライニング鋼管の中心線Lの下半分の断面のみを図示してある。
【0028】
図2(a)に示したように、ライニング鋼管は、鋼管(金属部材1)の内面にライニング材2aが貼着された状態になっている。このライニング材2aを剥離する場合も、上述したライニング材2bを剥離する場合と同様に、加工工程、軟化工程、剥離工程の手順によって処理される。
【0029】
図2(b)に示したように、加工工程は、金属部材1の表面に複数の穴を開けることによって複数の段差部3を形成する工程であってもよい。穴は、金属部材1とライニング材2aとの境界面が露出するまで形成される。なお、図示しないが、金属部材1の端部を削ることによって段差部3を形成するようにしてもよい。
【0030】
図2(c)に示したように、軟化工程は、ライニング鋼管の外周にヒータ4を配置して低温加熱する工程である。加熱方法及び設定温度は、図1(c)に示した軟化工程と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、図示しないが、ヒータ4は、ライニング鋼管の内側に配置するようにしてもよい。この場合、温度センサ5及び表示器6は、ライニング鋼管の外側に配置される。
【0031】
図2(d)に示したように、剥離工程は、ライニング材2aと金属部材1の境界面に液体窒素を供給し、液体窒素の気化膨張によってライニング材2aを剥離する工程であってもよい。具体的には、金属部材1の表面に液体窒素を噴射ノズル8から超高圧ジェットで噴き付けて、段差部3を形成する穴からライニング材2aと金属部材1との境界面に液体窒素を浸透させる。その後、液体窒素が気化し、約700倍の体積に膨張することによって、ライニング材2aが剥離される。
【0032】
かかる液体窒素を用いた剥離方法では、水を使用しないドライプロセスであり二次汚染や液体破棄物が生じない、研磨剤が不要である、再付着が少なく洗浄能力が高い、反力が小さく手動作業又は遠隔操作が容易である、剥離したライニング材2aのみを吸引回収することができる(窒素ガスは大気中に開放される)、大気中に多く含まれる窒素を使用しているため環境保全に優れている等のメリットがある。
【0033】
噴射ノズル8を金属部材1の表面で移動させながら噴射することによって、液体窒素は全ての段差部3から金属部材1とライニング材2aとの境界面に供給され、金属部材1(鋼管)の内面に貼着されたライニング材2aの全てを剥離する。
【0034】
なお、図示しないが、ライニング鋼管の内側に噴射ノズル8を挿入できる場合には、金属部材1に段差部3を形成せずに、ライニング材2aの端部又は表面に段差部3を形成して液体窒素を噴き付けるようにしてもよい。
【0035】
次に、加工工程及び剥離工程の一例について、図3(a)~図4(c)を参照しつつ説明する。ここで、図3は、加工工程の一例を示す側面図であり、(a)は第一例、(b)は第二例、(c)は第三例、を示している。図4は、剥離工程の一例を示す部分断面図であり、(a)は第一例、(b)は第二例、(c)は第三例、を示している。
【0036】
図3(a)に示した加工工程の第一例は、金属部材1の外面に貼着されたライニング材2bの端部の外周全域に渡って段差部3を形成したものである。この第一例に示した段差部3は、図1(b)に示した段差部3と同じ形状である。段差部3の鋼管軸方向の削り幅は、例えば、10~数十mmである。ここでは、ライニング材2bの片側(図の左側)の端部の段差部3を形成しているが、ライニング材2bの両端部に段差部3を形成するようにしてもよい。なお、図示しないが、金属部材1の内面に貼着されたライニング材2aの場合も同様の段差部3を形成することができる。
【0037】
図3(b)に示した加工工程の第二例は、金属部材1の外面に貼着されたライニング材2bの端部に複数のスリット形状の段差部3を形成したものである。かかる形状の段差部3であっても、剥離工程で工具等を金属部材1とライニング材2bとの境界面に差し込むことができる。なお、図示しないが、金属部材1の内面に貼着されたライニング材2aの場合も同様の段差部3を形成することができる。
【0038】
図3(c)に示した加工工程の第三例は、金属部材1の外面に貼着されたライニング材2bの表面に複数の穴を開けることによって段差部3を形成したものである。例えば、上述した液体窒素を用いた剥離方法を金属部材1の外面に貼着されたライニング材2bの剥離に適用する場合には、図示したように、金属部材1の表面に複数の段差部3を形成するようにしてもよい。また、かかる段差部3を形成することにより、軟化工程において、ライニング材2bの接着剤の一部をヒータ4で直接的に加熱することができ、短時間に接着剤を軟化させることができる。
【0039】
図4(a)に示した剥離工程の第一例は、例えば、図3(a)に示した段差部3を有するライニング材2bにおいて、段差部3に噴射ノズル8から液体窒素を噴き付けるようにしたものである。このように、液体窒素を用いた剥離方法は、ライニング材2bの端部に段差部3を形成した場合にも適用することができる。
【0040】
図4(b)に示した剥離工程の第二例は、金属部材1の内面に貼着されたライニング材2aの端部に段差部3を形成し、段差部3に切削工具7(例えば、スクレーパ)の先端を差し込んでライニング材2aを剥離するようにしたものである。このように、金属部材1の内面に貼着されたライニング材2aの場合も工具の種類を適宜選択することによって、液体窒素を用いることなくライニング材2aを剥離することができる。
【0041】
図4(c)に示した剥離工程の第三例は、金属部材1の内面に貼着されたライニング材2a及び金属部材1の外面に貼着されたライニング材2bの両端部に段差部3を形成し、プレス装置(図示せず)によってライニング鋼管をプレスするようにしたものである。軟化工程によりライニング材2a,2bの接着剤が軟化していることから、段差部3を形成したライニング鋼管に所定の圧力を付加することにより、鋼管(金属部材1)とライニング材2a,2bとの変形量の違いによって、ライニング材2a,2bを剥離することができる。また、ライニング鋼管をプレスした後、金属部材1の表面に残ったライニング材2a,2bを切削又は研削により剥離するようにしてもよい。
【0042】
また、図示しないが、剥離工程は、ライニング材2a,2bに物理的な衝撃を与える方法であってもよい。ライニング材2a,2bに物理的な衝撃を与える方法としては、例えば、ハンマーで打ち叩く方法(打撃)、粒子(砂、金属粒子、ドライアイス等)を衝突させる方法(いわゆる、ショットブラスト、アイスブラスト等)を採用することができる。
【0043】
上述した本実施形態に係るライニング材剥離方法によれば、ライニング材2a,2bを発火させずに接着剤を軟化させる程度に加熱してからライニング材2a,2bを剥離するようにしたことから、ライニング材2a,2bが発火する可能性を低減することができ、火災のリスクを低減することができる。また、軟化工程の前にライニング材2a,2b又は金属部材1に段差部3を形成する加工を施したことにより、段差部3を基点にしてライニング材2a,2bを剥離しやすくすることができ、容易かつ効率的にライニング材を剥離することができる。
【0044】
上述した実施形態では、金属部材1が鋼管の場合について説明しているが、金属部材1は、鋼管に限定されるものではなく、平板形状又は湾曲形状の金属板であってもよい。また、金属部材1は、鋼管の内面又は外面の何れか一方にのみライニング材が貼着されたライニング鋼管であってもよいし、鋼板の表面又は裏面の何れか一方又は両方にライニング材が貼着されたライニング鋼板であってもよい。また、金属部材1は、鋼材以外の金属により形成されたものであってもよい。
【0045】
また、加工工程において形成される段差部3は、例えば、図3(a)~図3(c)に示した形状に限定されるものではない。また、ライニング材2a,2bの端部及び表面の両方に段差部3を形成するようにしてもよい。
【0046】
また、剥離工程において適用される剥離方法は、一つの剥離方法に限定されるものではなく、複数の剥離方法を組み合わせて適用するようにしてもよい。例えば、大きな塊のライニング材2a,2bを剥離する方法と、金属部材1の表面に残ったライニング材2a,2bをきれいに除去する仕上げ方法とで異なる剥離方法を適用するようにしてもよい。
【0047】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1 金属部材
2a,2b ライニング材
3 段差部
4 ヒータ
5 温度センサ
6 表示器
7 切削工具
8 噴射ノズル
図1
図2
図3
図4