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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】システムキッチン
(51)【国際特許分類】
   A47B 77/02 20060101AFI20220406BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220406BHJP
   A47B 77/08 20060101ALN20220406BHJP
【FI】
A47B77/02
F24F7/06 101B
A47B77/08 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018099773
(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2019201991
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】山頭 良太
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 大介
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-288475(JP,A)
【文献】特開2012-180950(JP,A)
【文献】特公昭52-5769(JP,B1)
【文献】特開平6-38840(JP,A)
【文献】特開2006-275407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/02
F24F 7/04-7/06
A47B 77/08
F24F 13/02
F23J 13/00
E04B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面及び背面を建築の壁面から離間させて設置されるキッチン本体と、
前記キッチン本体に設けられる加熱調理機の上方に設置されるレンジフードと、
前記建築の天井面よりも下方に設けられ、前記レンジフードから前記壁面に向かって水平方向に延びる延在部を有し、前記レンジフードと前記建築に設けられた排気設備とを接続する排気ダクトと、
前記水平方向に延びる板状であり、前記排気ダクトの下方に設置され、前記排気ダクトの下方からの視認を抑制する隠蔽部材と、
を備え、
前記延在部の延びる方向と直交する横方向における前記隠蔽部材の幅は、前記横方向における前記延在部の幅よりも大きく、
前記隠蔽部材は、前記延在部の前記横方向の少なくとも一方を開放する開放状態を有し、
前記隠蔽部材の前記開放状態において開放された側の前記横方向の一方の端部から前記延在部の前記横方向の一方の端部までの前記水平方向の長さは、前記隠蔽部材の前記延在部の延びる方向の長さよりも短いことを特徴とするシステムキッチン。
【請求項2】
前記排気ダクトは、前記レンジフードよりも前記壁面側に設けられ、
前記隠蔽部材は、前記壁面と前記レンジフードとの間に設けられることを特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。
【請求項3】
前記隠蔽部材は、前記開放状態において、前記延在部の前記横方向の両方を開放することを特徴とする請求項1又は2に記載のシステムキッチン。
【請求項4】
前記隠蔽部材は、前記延在部の前記横方向の両方を常時開放していることを特徴とする請求項3記載のシステムキッチン。
【請求項5】
前記隠蔽部材は、前記横方向の幅を調整可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のシステムキッチン。
【請求項6】
前記隠蔽部材は、前記横方向において着脱可能な複数のパネル部材を有することを特徴とする請求項5記載のシステムキッチン。
【請求項7】
前記隠蔽部材の前記横方向の一方の端部から前記延在部の前記横方向の一方の端部までの前記水平方向の長さは、前記隠蔽部材の上端から前記排気ダクトの上端までの高さよりも長いことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載のシステムキッチン。
【請求項8】
前記隠蔽部材の上に設けられ、前記天井面に向けて光を照射する照明をさらに備えたことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載のシステムキッチン。
【請求項9】
前記隠蔽部材の上端は、前記排気ダクトの下端と当接していないことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載のシステムキッチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、システムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
キッチン空間において、老朽化やデザインの多様性により、キッチン空間をリフォームしたいというお客様からの要望がある。キッチン空間のリフォームにおいて、加熱調理機の位置を変更した場合、加熱調理器の変更位置に合わせて、レンジフードの設置位置も同様に変更する必要がある。その際、例えば、キッチン空間を壁付け式のキッチンから対面式のキッチンに変更しようとすると、排気ダクトを建築側の排気設備からレンジフードまで通す必要がある。
【0003】
排気ダクトの取付箇所としては、室内又は天井裏が考えられるが、排気ダクトを天井裏に通そうとすると、天井裏への施工作業が発生することにより、例えば、コード類の取り回しを考慮する必要があり、困難な作業となってしまう。また、天井の構造によっては、スペースの関係上、排気ダクトを通すことが出来ない場合がある。そこで、室内に排気ダクトを配設することが考えられる。例えば、特許文献1のように、加熱調理機などの上部に設けられたレンジフード本体から連通する排気ダクトを室内に設ける構成が知られている。
【0004】
しかしながら、室内に排気ダクトを配設すると、室内に排気ダクトが露出してしまい、キッチン空間の使用者などの視界に排気ダクトが入ってしまう。このため、キッチン空間をリフォームしたいお客様に対して、意匠性に優れたシステムキッチンを提供することが難しくなってしまう。
【0005】
排気ダクトに専用のダクトカバーを設けることも考えられるが、天井の一部が排気ダクトを覆う形状に膨らむことにより、排気ダクトの存在を使用者に感じさせてしまうため、必ずしも意匠性に優れるものではない。さらに、ダクトカバーを設けてしまうと、メンテナンスやレンジフードの取付位置の変更などで排気ダクトへの作業が必要となった場合に、ダクトカバーを取り外す大掛かりな作業が必要となってしまう。
【0006】
このため、システムキッチンでは、室内に設けた排気ダクトの存在を隠蔽し、意匠性の向上を図りつつ、排気ダクトへの作業を容易に行うことができるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-337141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、室内に設けた排気ダクトの存在を隠蔽し、意匠性の向上を図りつつ、排気ダクトへの作業を容易に行うことができるシステムキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、正面及び背面を建築の壁面から離間させて設置されるキッチン本体と、前記キッチン本体に設けられる加熱調理機の上方に設置されるレンジフードと、前記建築の天井面よりも下方に設けられ、前記レンジフードから前記壁面に向かって水平方向に延びる延在部を有し、前記レンジフードと前記建築に設けられた排気設備とを接続する排気ダクトと、前記水平方向に延びる板状であり、前記排気ダクトの下方に設置され、前記排気ダクトの下方からの視認を抑制する隠蔽部材と、を備え、前記延在部の延びる方向と直交する横方向における前記隠蔽部材の幅は、前記横方向における前記延在部の幅よりも大きく、前記隠蔽部材は、前記延在部の前記横方向の少なくとも一方を開放する開放状態を有し、前記隠蔽部材の前記開放状態において開放された側の前記横方向の一方の端部から前記延在部の前記横方向の一方の端部までの前記水平方向の長さは、前記隠蔽部材の前記延在部の延びる方向の長さよりも短いことを特徴とするシステムキッチンである。
【0010】
このシステムキッチンによれば、室内に排気ダクトを設けることにより、例えば、レンジフードの設置位置を変更する際に、天井裏に配設されたコードなどを考慮する必要が無く、室内からダイレクトにアプローチすることが可能となり、排気ダクトの設置位置の変更作業を容易にすることができる。また、排気ダクトの延在部の横方向の少なくとも一方を開放する開放状態を有し、延在部の横方向の幅よりも大きい隠蔽部材を設けることにより、キッチンの使用者などに対して排気ダクトを隠蔽するだけでなく、排気ダクトの存在を感じないようにさせることができる。そして、隠蔽部材の開放状態において開放された側の横方向の一方の端部から延在部の横方向の一方の端部までの水平方向の長さを、隠蔽部材の延在部の延びる方向の長さよりも短くすることにより、室内から排気ダクトへのアプローチが容易となり、排気ダクトへの作業性を向上させることができる。従って、室内に設けた排気ダクトの存在を隠蔽し、意匠性の向上を図りつつ、排気ダクトへの作業を容易に行うことができるシステムキッチンを提供することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記排気ダクトは、前記レンジフードよりも前記壁面側に設けられ、前記隠蔽部材は、前記壁面と前記レンジフードとの間に設けられることを特徴とするシステムキッチンである。
【0012】
このシステムキッチンによれば、室内から排気ダクトへのアプローチをより容易にし、排気ダクトへの作業性をより向上させることができる。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記隠蔽部材は、前記開放状態において、前記延在部の前記横方向の両方を開放することを特徴とするシステムキッチンである。
【0014】
このシステムキッチンによれば、排気ダクトへのアプローチが隠蔽部材の横方向のどちらからでも可能となり、室内において排気ダクトが取り付けられる設置位置によらず、室内から排気ダクトへのアプローチをより容易にし、排気ダクトへの作業性をより向上させることができる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、前記隠蔽部材は、前記延在部の前記横方向の両方を常時開放していることを特徴とするシステムキッチンである。
【0016】
このシステムキッチンによれば、室内から排気ダクトへのアプローチをより容易にし、排気ダクトへの作業性をより向上させることができる。また、延在部の横方向の両方を常時開放することにより、隠蔽部材を設けた場合にも、キッチンの使用者などに対して圧迫感を与えてしまうことを抑制することができる。
【0017】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記隠蔽部材は、前記横方向の幅を調整可能であることを特徴とするシステムキッチンである。
【0018】
このシステムキッチンによれば、隠蔽部材の横方向の幅を調整可能とすることにより、排気ダクトを隠蔽するために、横方向における隠蔽部材の幅を大きくしたとしても、例えば、排気ダクトへの作業の際に、隠蔽部材の幅を短くすることで、室内から排気ダクトへのアプローチをより容易とすることができる。従って、排気ダクトへの作業がより容易となり、リフォームなどをし易くすることができる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、前記隠蔽部材は、前記横方向において着脱可能な複数のパネル部材を有することを特徴とするシステムキッチンである。
【0020】
このシステムキッチンによれば、隠蔽部材の横方向の幅の調整をより容易に行うことができる。例えば、レンジフードや排気ダクトの設置位置の変更などにともなって隠蔽部材の設置位置を変更する場合などにも、隠蔽部材を分割することにより、重量を軽くすることが可能となり、隠蔽部材の設置位置の変更を容易に行うことができる。また、例えば、レンジフードの周囲を囲む形で隠蔽部材を設ける際に、レンジフードの外周サイズに合わせて隠蔽部材を切り抜くなどの手間を抑制することができる。従って、サイズの異なるレンジフードなどに対応し易くし、リフォームなどをより容易に行うことができる。
【0021】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記隠蔽部材の前記横方向の一方の端部から前記延在部の前記横方向の一方の端部までの前記水平方向の長さは、前記隠蔽部材の上端から前記排気ダクトの上端までの高さよりも長いことを特徴とするシステムキッチンである。
【0022】
このシステムキッチンによれば、延在部の横方向の一方を開放したとしても、使用者などが天井に視線を移した際に、排気ダクトが視認されてしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0023】
第8の発明は、第1~第7のいずれか1つの発明において、前記隠蔽部材の上に設けられ、前記天井面に向けて光を照射する照明をさらに備えたことを特徴とするシステムキッチンである。
【0024】
このシステムキッチンによれば、間接照明を行うことができ、システムキッチンの意匠性をより向上させることができる。例えば、隠蔽部材を設けた場合にも、隠蔽部材の上方が暗くなってしまうことを抑制することができる。
【0025】
第9の発明は、第1~第8のいずれか1つの発明において、前記隠蔽部材の上端は、前記排気ダクトの下端と当接していないことを特徴とするシステムキッチンである。
【0026】
このシステムキッチンによれば、排気ダクトの振動が隠蔽部材に伝わって異音が発生したり、排気ダクトの熱が隠蔽部材に伝わって隠蔽部材が熱くなってしまうことなどを抑制することができる。また、例えば、隠蔽部材に照明を設けた際などに、排気ダクトと隠蔽部材との間の空間に配線を通すことが可能となり、照明の配線作業などを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の態様によれば、室内に設けた排気ダクトの存在を隠蔽し、意匠性の向上を図りつつ、排気ダクトへの作業を容易に行うことができるシステムキッチンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施形態に係るシステムキッチンを模式的に表す斜視図である。
図2】実施形態に係るシステムキッチンを模式的に表す側面図である。
図3】実施形態に係るシステムキッチンを模式的に表す平面図である。
図4】実施形態に係る排気ダクト及び隠蔽部材を模式的に表す断面図である。
図5】実施形態に係る隠蔽部材の変形例を模式的に表す断面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る隠蔽部材の変形例を模式的に表す断面図である。
図7】実施形態に係る隠蔽部材の変形例を模式的に表す断面図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係る隠蔽部材の変形例を模式的に表す平面図及び側面図である。
図9】実施形態に係るシステムキッチンの変形例を模式的に表す断面図である。
図10】実施形態に係るシステムキッチンの変形例を模式的に表す断面図である。
図11】実施形態に係るシステムキッチンの変形例を模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るシステムキッチンを模式的に表す斜視図である。
図2は、実施形態に係るシステムキッチンを模式的に表す側面図である。
図3は、実施形態に係るシステムキッチンを模式的に表す平面図である。
図1図3に表したように、システムキッチン10は、キッチン本体12と、レンジフード14と、排気ダクト16と、隠蔽部材18と、を備える。システムキッチン10は、建築2のキッチン空間KSに設置して使用される。
【0030】
キッチン本体12は、例えば、左右方向に延びた直方体状である。キッチン本体12は、正面12a及び背面12bを建築2の壁面WSから離間させて設置される。キッチン本体12は、例えば、キッチン空間KS及びリビング(ダイニング)と対面して設置され、リビング側を向いた状態で炊事などを行えるようにする、いわゆる対面式のキッチンである。
【0031】
以下、本願明細書においては、キッチン空間KS側に立ち、リビング側を向くようにキッチン本体12と対面する使用者からみた上方、下方、前方、後方、右側方、及び左側方を、それぞれ「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右側方」、及び「左側方」とする。前方は、換言すれば、キッチン本体12のリビング側を向く方向である。キッチン本体12は、正面12aを後方の壁面WSよりも前方に離間させて設置される。
【0032】
キッチン本体12は、左右の両側面も建築2の壁面WSから離間させたアイランド型のキッチンである。キッチン本体12は、一方の側面を建築2の側方の壁面に当接させたペニンシュラ型のキッチンでもよい。また、キッチン本体12は、上面視L字状のキッチンでもよい。この場合、キッチン本体12の正面側の一部(L字状の部分の後端部)を後方の壁面WSに当接させてもよい。また、キッチン本体12は、背面12bの一部を建築2の袖壁などに当接させて設置してもよい。キッチン本体12は、正面12a及び背面12bの少なくとも一部を建築2の壁面WSから離間させて設置されていればよい。
【0033】
キッチン本体12には、加熱調理機20が設けられる。加熱調理機20は、例えば、ガスコンロ、電気コンロ、電磁調理機などである。加熱調理機20は、キッチン本体12に一体的に設けてもよいし、キッチン本体12と別体的に設けてもよい。換言すれば、キッチン本体12は、加熱調理機20を備えた構成でもよいし、加熱調理機20を設置するための設置スペースを有し、加熱調理機20を設置可能とする構成でもよい。
【0034】
キッチン本体12は、例えば、カウンタ22と、シンク24と、水栓26と、を有する。カウンタ22は、キッチン本体12の上面を形成する。カウンタ22には、例えば、ステンレス、人工大理石、又は人造大理石などが用いられる。シンク24は、カウンタ22の上面よりも下方に凹む。カウンタ22は、例えば、加熱調理機20とシンク24との間に調理などを行うための作業スペースを設ける。
【0035】
水栓26は、キッチン本体12の内部において給水管や給湯管などと接続される。水栓26は、シンク24の周囲に設けられ、シンク24内に湯水を吐水する。シンク24は、キッチン本体12の内部において排水管と接続され、シンク24内に吐水された湯水を排水管を介して外部に排出する。シンク24は、カウンタ22と一体に形成してもよいし、カウンタ22とは別に形成した後、接着などを介してカウンタ22に取り付けてもよい。
【0036】
なお、キッチン本体12において、カウンタ22、シンク24、及び水栓26は、必要に応じて設けられ、省略可能である。キッチン本体12は、少なくとも加熱調理機20又は加熱調理機20の設置スペースを有していればよい。
【0037】
レンジフード14は、キッチン本体12に設けられる加熱調理機20の上方に設置される。レンジフード14は、建築2の天井に直接的に取り付けられるか、あるいは吊りボルトなどを介して建築2の天井に取り付けられることにより、加熱調理機20の上方に設置される。
【0038】
排気ダクト16は、建築2の天井面CSよりも下方に設けられ、レンジフード14から壁面WSに向かって水平方向に延びる延在部16aを有し、レンジフード14と建築2に設けられた排気設備30とを接続する。レンジフード14、排気ダクト16、及び排気設備30は、加熱調理機20の使用にともなって生じる水蒸気、煙、臭気などを建築2の外部に排出可能とする。排気ダクト16は、断面略円形の管状である。排気ダクト16の形状は、断面略矩形の管状などでもよい。排気ダクト16の形状は、レンジフード14と排気設備30とを接続し、煙などを排出可能とする任意の形状でよい。
【0039】
排気ダクト16は、支持部材32を介して建築2の天井に取り付けられることにより、天井面CSの下方に設けられる。支持部材32は、排気ダクト16を着脱可能に建築2の天井に取り付ける。支持部材32には、例えば、吊りボルトなどが用いられる。支持部材32は、例えば、複数設けられる。また、排気ダクト16は、レンジフード14及び排気設備30と着脱可能に接続される。このように、排気ダクト16は、レンジフード14、排気設備30、及び建築2の天井に対して着脱可能に設けられる。
【0040】
但し、排気ダクト16は、レンジフード14、排気設備30、及び建築2の天井に固定されていてもよい。また、例えば、レンジフード14と排気設備30との接続によって排気ダクト16を保持できる場合には、支持部材32は、不要である。排気ダクト16は、必ずしも建築2の天井に取り付けられていなくてもよい。
【0041】
排気設備30は、換気扇などの換気機能を有する機器でもよいし、建築2の外部と連通する換気口などでもよい。排気設備30が換気機能を有しない場合には、レンジフード14にファンなどの換気機能が設けられる。このように、換気機能は、レンジフード14及び排気設備30の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0042】
システムキッチン10は、例えば、壁付け式のキッチンから対面式のキッチンへのリフォームの際などに、キッチン空間KSに設置される。この場合、排気設備30は、キッチン空間KS内の元のキッチンの設置位置に対応して壁面WSや天井面CSなどに設けられている。排気ダクト16は、壁付け式のキッチンから対面式のキッチンへの変更にともなうレンジフード14の設置位置の変更に合わせて、レンジフード14と排気設備30とを接続する。
【0043】
この例において、排気設備30は、後方の壁面WSに設けられている。このため、排気ダクト16の延在部16aは、レンジフード14から後方の壁面WSに向かって水平方向に延びる。また、この例において、排気ダクト16は、延在部16aの後端から壁面WSに沿って左右方向に延びる別の延在部16bをさらに有する。これにより、レンジフード14と排気設備30との左右方向の位置が異なる場合でも、レンジフード14と排気設備30とを排気ダクト16によって適切に接続することができる。
【0044】
排気ダクト16は、例えば、上下方向に延びる別の延在部をさらに有してもよい。また、例えば、延在部16aを傾斜させることによって、レンジフード14と排気設備30との左右方向や上下方向の位置を調整してもよい。延在部16aの延びる方向は、少なくとも水平方向の成分を有する任意の方向でよい。排気設備30は、後方の壁面WSに限ることなく、側方の壁面WSや天井面CSなどに設けられていてもよい。例えば、排気設備30が、側方の壁面WSに設けられている場合には、排気ダクト16をレンジフード14から側方の壁面WSに向かって水平方向の左右に延ばしてもよい。
【0045】
隠蔽部材18は、水平方向に延びる板状であり、排気ダクト16の下方に設置され、排気ダクト16の下方からの視認を抑制する。隠蔽部材18は、少なくとも排気ダクト16の延在部16aの下方に設けられる。この例において、隠蔽部材18は、排気ダクト16の延在部16bの一部を下方に露出させている。このように、隠蔽部材18は、必ずしも排気ダクト16の全体の下方に設けられていなくてもよい。隠蔽部材18は、少なくともレンジフード14から壁面WSに向かって延びる延在部16aの下方に設けられ、延在部16aの下方からの視認を抑制可能に構成されていればよい。但し、隠蔽部材18は、排気ダクト16全体の下方からの視認を抑制可能に構成されていることが、より好ましい。換言すれば、隠蔽部材18は、排気ダクト16全体の下方に設けられていることが好ましい。
【0046】
隠蔽部材18は、支持部材34を介して建築2の天井に取り付けられることにより、排気ダクト16の下方に設置される。支持部材34は、隠蔽部材18を着脱可能に建築2の天井に取り付ける。支持部材34には、例えば、吊りボルトなどが用いられる。支持部材34は、例えば、複数設けられる。支持部材34は、隠蔽部材18を排気ダクト16に取り付けてもよい。支持部材34は、隠蔽部材18を建築2の天井及び排気ダクト16の少なくとも一方に着脱可能に取り付ける。但し、隠蔽部材18は、建築2の天井及び排気ダクト16の少なくとも一方に固定されていてもよい。
【0047】
図3に表したように、延在部16aの延びる方向と直交する横方向における隠蔽部材18の幅W1は、横方向における延在部16aの幅W2よりも大きい。隠蔽部材18は、延在部16aの横方向の少なくとも一方を開放する開放状態を有する。隠蔽部材18は、例えば、開放状態において、延在部16aの横方向の両方を開放する。隠蔽部材18は、例えば、延在部16aの横方向の両方を常時開放している。
【0048】
隠蔽部材18の開放状態において開放された側の横方向の一方の端部18aから延在部16aの横方向の一方の端部までの水平方向の長さL11は、隠蔽部材18の延在部16aの延びる方向の長さL21よりも短い。また、両方を常時開放している隠蔽部材18では、隠蔽部材18の開放状態において開放された側の横方向の他方の端部18bから延在部16aの横方向の他方の端部までの水平方向の長さL12も、隠蔽部材18の延在部16aの延びる方向の長さL21よりも短い。
【0049】
隠蔽部材18の延在部16aの延びる方向の長さL21は、例えば、1300mm程度(例えば900mm以上2000mm以下)である。従って、端部18a、18bから延在部16aまでの長さL11、L12を、隠蔽部材18の長さL21よりも短くすることにより、隠蔽部材18を取り付けた状態において、室内から排気ダクト16にアプローチし易くすることができる。
【0050】
また、成人の腕の長さの平均は、700mm程度である。従って、長さL11、L12は、例えば、700mm以下とすることがより好ましい。これにより、隠蔽部材18を取り付けた状態においても、特殊な工具などを用いることなく、排気ダクト16に対して横方向から直接的に作業を行うことができる。例えば、作業者などが排気ダクト16を直接的に掴んで作業を行うことができる。
【0051】
排気ダクト16は、レンジフード14よりも壁面WS側に設けられる。隠蔽部材18は、壁面WSとレンジフード14との間に設けられる。排気ダクト16は、例えば、レンジフード14よりも後方の壁面WS側に設けられる。隠蔽部材18は、例えば、後方の壁面WSとレンジフード14との間に設けられる。換言すれば、排気ダクト16及び隠蔽部材18は、レンジフード14よりも前方に延びない。
【0052】
レンジフード14は、上下方向に延びる筒状のフード本体14aと、フード本体14aの下端部から水平方向の外側に向かって延びる突出部14bと、を有する。突出部14bは、例えば、フード本体14aの下端部の全周に設けられる。ここで、フード本体14aの下端部とは、例えば、フード本体14aの下端とフード本体14aの上下方向の中央との間の部分である。
【0053】
隠蔽部材18は、排気ダクト16の下方、かつレンジフード14の下端よりも上方に配置される。隠蔽部材18は、突出部14bよりも上方に位置する。隠蔽部材18の前端18cは、フード本体14aよりも後方に位置する。すなわち、隠蔽部材18の前端18cは、フード本体14aに接しない。また、隠蔽部材18の前端18cは、突出部14bの上方に位置する。これにより、隠蔽部材18の前端18cをフード本体14aから離間させた場合にも、延在部16aの一部(レンジフード14と排気ダクト16との接合部)が下方に露出してしまうことを、突出部14bによって抑制することができる。例えば、突出部14bと隠蔽部材18とによって、延在部16a全体の下方を覆うことができる。
【0054】
図4は、実施形態に係る排気ダクト及び隠蔽部材を模式的に表す断面図である。
図4に表したように、隠蔽部材18の横方向の一方の端部18aから延在部16aの横方向の一方の端部までの水平方向の長さL11は、隠蔽部材18の上端から排気ダクト16の上端までの高さH1よりも長い。同様に、隠蔽部材18の横方向の他方の端部18bから延在部16aの横方向の他方の端部までの水平方向の長さL12は、隠蔽部材18の上端から排気ダクト16の上端までの高さH1よりも長い。
【0055】
隠蔽部材18の上端は、排気ダクト16の下端と当接していない。換言すれば、隠蔽部材18の上端は、排気ダクト16の下端よりも下方に位置する。
【0056】
以上、説明したように、本実施形態に係るシステムキッチン10では、室内に排気ダクト16を設けることにより、例えば、レンジフード14の設置位置を変更する際に、天井裏に配設されたコードなどを考慮する必要が無く、室内からダイレクトに排気ダクト16にアプローチすることが可能となり、排気ダクト16の設置位置の変更作業を容易にすることができる。また、排気ダクト16の延在部16aの横方向の少なくとも一方を開放する開放状態を有し、延在部16aの横方向の幅W2よりも大きい隠蔽部材18を設けることにより、システムキッチン10の使用者などに対して排気ダクト16を隠蔽するだけでなく、排気ダクト16の存在を感じないようにさせることができる。そして、隠蔽部材18の開放状態において開放された側の横方向の一方の端部から延在部16aの横方向の一方の端部までの水平方向の長さL11、L12を、隠蔽部材18の延在部16aの延びる方向の長さL21よりも短くすることにより、室内から排気ダクト16へのアプローチが容易となり、排気ダクト16への作業性を向上させることができる。従って、室内に設けた排気ダクト16の存在を隠蔽し、意匠性の向上を図りつつ、排気ダクト16への作業を容易に行うことができるシステムキッチン10を提供することができる。
【0057】
また、システムキッチン10では、排気ダクト16をレンジフード14よりも壁面WS側に設け、隠蔽部材18を壁面WSとレンジフード14との間に設けることにより、室内から排気ダクト16へのアプローチをより容易にし、排気ダクト16への作業性をより向上させることができる。
【0058】
また、システムキッチン10では、隠蔽部材18が、延在部16aの横方向の両方を開放することにより、排気ダクト16へのアプローチが隠蔽部材18の横方向のどちらからでも可能となり、室内において排気ダクト16が取り付けられる設置位置によらず、室内から排気ダクト16へのアプローチをより容易にし、排気ダクト16への作業性をより向上させることができる。さらに、隠蔽部材18が、延在部16aの横方向の両方を常時開放することにより、室内から排気ダクト16へのアプローチをより容易にし、排気ダクト16への作業性をより向上させることができる。また、延在部16aの横方向の両方を常時開放することにより、隠蔽部材18を設けた場合にも、システムキッチン10の使用者などに対して圧迫感を与えてしまうことを抑制することができる。
【0059】
また、システムキッチン10では、隠蔽部材18の横方向の一方の端部から延在部16aの横方向の一方の端部までの水平方向の長さL11、L12が、隠蔽部材18の上端から排気ダクト16の上端までの高さH1よりも長い。これにより、延在部16aの横方向の一方を開放したとしても、使用者などが天井に視線を移した際に、排気ダクト16が視認されてしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0060】
排気ダクト16の高さ(例えば直径)は、例えば、150mm以上300mm以下程度である。排気ダクト16と隠蔽部材18との間に設けられる隙間は、排気ダクト16と隠蔽部材18とが直接的に接しない程度に設定されていればよい。従って、高さH1は、例えば、150mm以上300mm以下程度である。長さL11、L12は、例えば、300mm以上に設定する。これにより、延在部16aの横方向の一方を開放した場合の排気ダクト16の視認を適切に抑制することができる。また、前述のように、長さL11、L12は、長さL21よりも短く設定される。長さL11、L12は、例えば、300mm以上700mm以下に設定される。これにより、排気ダクト16の視認を抑制しつつ、排気ダクト16への直接的な作業を可能とし、意匠性及び作業性をより向上させることができる。
【0061】
また、システムキッチン10では、隠蔽部材18の上端が、排気ダクト16の下端と当接していない。これにより、排気ダクト16の振動が隠蔽部材18に伝わって異音が発生したり、排気ダクト16の熱が隠蔽部材18に伝わって隠蔽部材18が熱くなってしまうことなどを抑制することができる。また、システムキッチン10では、隠蔽部材18の前端18cが、レンジフード14(フード本体14a)に接しない。これにより、振動や熱などが隠蔽部材18に伝わってしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0062】
図5は、実施形態に係る隠蔽部材の変形例を模式的に表す断面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5に表したように、この例では、隠蔽部材50が、本体部51と、一対の立壁部52、53と、を有する。本体部51は、水平方向に延びる板状である。本体部51の構成は、上記実施形態で説明した隠蔽部材18の構成と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0063】
立壁部52は、本体部51の横方向の一方の端部51aに設けられる。立壁部52は、本体部51の横方向の一方の端部51aから上方に向かって延び、排気ダクト16の横方向の一方の少なくとも一部を覆う。立壁部52は、例えば、延在部16aの横方向の一方の少なくとも一部を覆う。
【0064】
立壁部53は、本体部51の横方向の他方の端部51bに設けられる。立壁部53は、本体部51の横方向の他方の端部51bから上方に向かって延び、排気ダクト16の横方向の他方の少なくとも一部を覆う。立壁部53は、例えば、延在部16aの横方向の他方の少なくとも一部を覆う。
【0065】
立壁部52、53は、例えば、ネジ止めなどにより、本体部51の端部51a、51bに着脱可能に取り付けられる。隠蔽部材50では、立壁部52、53を取り外すことによって、延在部16aの横方向の少なくとも一方を開放する開放状態となる。そして、隠蔽部材50では、立壁部52、53を取り付けることにより、延在部16aの横方向の少なくとも一部をさらに覆う隠蔽状態とすることができる。
【0066】
このように、隠蔽部材50は、延在部16aの横方向を常時開放する構成に限ることなく、延在部16aの横方向の少なくとも一部を覆える構成としてもよい。立壁部52、54を設け、延在部16aの横方向の少なくとも一部を覆えるようにすることにより、例えば、排気ダクト16の下方及び側方からの視認を、より確実に抑制することができる。
【0067】
なお、立壁部52、53は、本体部51に着脱可能に取り付けられる構成に限ることなく、例えば、ヒンジなどによって本体部51に回動可能に取り付けたり、上下方向にスライド移動可能に本体部51に取り付けたりすることにより、開放状態と隠蔽状態とに移動可能な構成としてもよい。
【0068】
図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る隠蔽部材の変形例を模式的に表す断面図である。
図6(a)及び図6(b)に表したように、この例では、隠蔽部材60が、本体部61と、一対の可動部62、63と、を有する。本体部61は、水平方向に延びる板状である。本体部61の構成は、上記実施形態で説明した隠蔽部材18の構成と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0069】
可動部62、63は、本体部61に横方向に移動可能に取り付けられている。これにより、隠蔽部材60では、横方向の幅W1を調整可能である。このように、隠蔽部材60の横方向の幅W1を調整可能とすることにより、排気ダクト16を隠蔽するために、横方向における隠蔽部材60の幅W1を大きくしたとしても、例えば、排気ダクト16への作業の際に、隠蔽部材60の幅W1を短くすることで、室内から排気ダクト16へのアプローチをより容易とすることができる。従って、排気ダクト16への作業がより容易となり、リフォームなどをし易くすることができる。
【0070】
なお、隠蔽部材60の幅W1を調整可能とした場合には、例えば、少なくとも隠蔽部材60の幅W1を最も長くした状態において、横方向における隠蔽部材60の幅W1が、横方向における延在部16aの幅W2よりも大きければよい。そして、少なくとも隠蔽部材60の幅W1を最も短くした状態において、隠蔽部材60の開放状態において開放された側の横方向の一方の端部60a、60bから延在部16aの横方向の一方の端部までの水平方向の長さL11、L12が、隠蔽部材60の延在部16aの延びる方向の長さL21よりも短ければよい。
【0071】
図7は、実施形態に係る隠蔽部材の変形例を模式的に表す断面図である。
図7に表したように、この例では、隠蔽部材70が、横方向において着脱可能な複数のパネル部材72を有する。パネル部材72は、例えば、延在部16aと同じ方向に延びる板状である。この例において、パネル部材72は、前後方向に延びる板状である。パネル部材72は、横方向の一端側に設けられた第1嵌合部72aと、横方向の他端側に設けられた第2嵌合部72bと、を有する。第1嵌合部72aは、隣接する別のパネル部材72の第2嵌合部72bと嵌合する。このように、複数のパネル部材72は、第1嵌合部72aと第2嵌合部72bとの嵌合により、互いに横方向に接続される。すなわち、複数のパネル部材72は、第1嵌合部72aと第2嵌合部72bとの嵌合により、横方向において着脱可能とすることができる。
【0072】
隠蔽部材70では、横方向に接続するパネル部材72の数により、横方向の幅W1を調整することができる。これにより、隠蔽部材70では、横方向の幅W1の調整をより容易に行うことができる。例えば、レンジフード14や排気ダクト16の設置位置の変更などにともなって隠蔽部材70の設置位置を変更する場合などにも、隠蔽部材70を分割することにより、重量を軽くすることが可能となり、隠蔽部材70の設置位置の変更を容易に行うことができる。なお、図7では、4つのパネル部材72を図示している。隠蔽部材70に設けられるパネル部材72の数は、任意の数でよい。
【0073】
図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係る隠蔽部材の変形例を模式的に表す平面図及び側面図である。
図8(a)及び図8(b)に表したように、隠蔽部材70は、レンジフード14の周囲を囲むように配置してもよい。換言すれば、隠蔽部材70は、レンジフード14よりも前方まで延びてもよい。隠蔽部材70の前端70cは、レンジフード14を超えて、レンジフード14よりも前方に位置してもよい。
【0074】
レンジフード14の周囲を囲むように隠蔽部材を配置する際に、例えば、1枚の板状の隠蔽部材18などでは、レンジフード14の位置に合わせて隠蔽部材18に開口を形成しなければならず、開口の形成に手間がかかってしまう。また、レンジフード14や隠蔽部材18の取り付けが煩雑になり、施工性を低下させてしまう恐れもある。
【0075】
これに対して、複数のパネル部材72を有する隠蔽部材70では、パネル部材72の長さの調整のみで、レンジフード14を通すための開口を形成することができ、開口の形成や開口の位置調整に係る手間を抑制することができる。このように、隠蔽部材70では、レンジフード14の周囲を囲む形で隠蔽部材70を設ける際に、レンジフード14の外周サイズに合わせて隠蔽部材70を切り抜くなどの手間を抑制することができる。従って、サイズの異なるレンジフード14などに対応し易くし、リフォームなどをより容易に行うことができる。
【0076】
図9は、実施形態に係るシステムキッチンの変形例を模式的に表す断面図である。
図9に表したように、この例において、システムキッチン10aは、照明80をさらに備える。照明80は、隠蔽部材18の上に設けられ、天井面CSに向けて光を照射する。照明80は、例えば、隠蔽部材18の上に複数設けられる。但し、照明80の数は、任意の数でよい。照明80の数は、1つでもよい。
【0077】
このように、システムキッチン10aでは、天井面CSに向けて光を照射する照明80を設けることにより、間接照明を行うことができ、システムキッチン10aの意匠性をより向上させることができる。例えば、隠蔽部材18を設けた場合にも、隠蔽部材18の上方が暗くなってしまうことを抑制することができる。
【0078】
また、システムキッチン10aでは、隠蔽部材18の上端が、排気ダクト16の下端と当接していない。これにより、隠蔽部材18に照明80を設けた際に、排気ダクト16と隠蔽部材18との間の空間に配線を通すことが可能となり、照明80の配線作業などを容易にすることができる。
【0079】
図10は、実施形態に係るシステムキッチンの変形例を模式的に表す断面図である。
図10に表したように、この例において、システムキッチン10bは、照明82をさらに備える。照明82は、隠蔽部材18に下方を向けて設けられ、隠蔽部材18の下方に向けて光を照射する。照明82は、いわゆるダウンライトである。照明82は、例えば、隠蔽部材18に複数設けられる。照明82の数は、任意の数でよい。
【0080】
このように、システムキッチン10bは、下方を照らす照明82を備えてもよい。これにより、隠蔽部材18の下方の空間が暗くなってしまうことを抑制することができる。照明82は、例えば、加熱調理機20を照らすスポットライトとして用いてもよい。システムキッチン10bは、天井面CSを照らす照明80と、下方を照らす照明82と、を備えてもよい。
【0081】
図11は、実施形態に係るシステムキッチンの変形例を模式的に表す平面図である。
図11に表したように、システムキッチン10cでは、建築2の側方の壁面WS2が、キッチン本体12の側端に近接しており、延在部16aの横方向の他方、及び隠蔽部材18の横方向の他方の端部18bが、建築2の側方の壁面WS2によって覆われている。
【0082】
このように、隠蔽部材18は、延在部16aの横方向の両方を開放する構成に限ることなく、延在部16aの横方向の一方のみを開放する構成でもよい。隠蔽部材18を取り付けた状態において、延在部16aの横方向の他方は、建築2や棚などの他の部材などで覆われていてもよい。隠蔽部材18は、延在部16aの横方向の少なくとも一方を開放する任意の構成でよい。
【0083】
なお、延在部16aの横方向の他方が開放されていない場合には、隠蔽部材18の横方向の他方の端部18bから延在部16aの横方向の他方の端部までの水平方向の長さL12は、隠蔽部材18の延在部16aの延びる方向の長さL21より長くてもよい。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、システムキッチン10、10a~10cなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0085】
10、10a~10c システムキッチン、 12 キッチン本体、 12a 正面、 12b 背面、 14 レンジフード、 14a フード本体、 14b 突出部、 16 排気ダクト、 16a、16b 延在部、 18 隠蔽部材、 18a、18b 端部、 18c 前端、 20 加熱調理機、 22 カウンタ、 24 シンク、 26 水栓、 30 排気設備、 32、34 支持部材、 50 隠蔽部材、 51 本体部、 51a、51b 端部、 52、53 立壁部、 60 隠蔽部材、 60a、60b 端部、 61 本体部、 62、63 可動部、 70 隠蔽部材、 70c 前端、 72 パネル部材、 72a、72b 嵌合部、 80、82 照明
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11