IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鹿児島県の特許一覧 ▶ 鹿児島精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図1
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図2
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図3
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図4
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図5
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図6
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図7
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図8
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図9
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図10
  • 特許-デュアル装着型ピンゲージアダプター 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】デュアル装着型ピンゲージアダプター
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/46 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
G01B3/46
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022002877
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2022-01-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591155242
【氏名又は名称】鹿児島県
(73)【特許権者】
【識別番号】520211340
【氏名又は名称】鹿児島精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195051
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 海幹
(72)【発明者】
【氏名】栗毛野 裕太
(72)【発明者】
【氏名】牟禮 雄二
(72)【発明者】
【氏名】谷山 清吾
(72)【発明者】
【氏名】山村 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】野田 太一
(72)【発明者】
【氏名】徳永 佑太
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112902785(CN,A)
【文献】特開2021-196236(JP,A)
【文献】中国実用新案第201170710(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/46-3/52
G01B 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上半部と下半部とで略棒状の外形をなす人手で把持可能な本体部からなり、前記上半部と前記下半部の端部に其々ピンゲージを装着自在なゲージ保持部を有するデュアル装着型ピンゲージアダプターであって、
前記上半部は、一方のピンゲージを保持する第一ゲージ保持部と、前記第一ゲージ保持部と相対する端部に突設した連結基部と、で構成し、
前記下半部は、他方のピンゲージを保持する第二ゲージ保持部と、前記第二ゲージ保持部と相対する端部に形成した連結受部と、で構成し、
前記連結基部は、水平方向に突出した規制凸部を形成し、
前記連結受部は、前記連結基部が離脱することなく前記連結基部を内部に遊挿する摺動溝を垂直方向に形成すると共に、前記摺動溝には前記規制凸部と略係合し前記規制凸部を上下移動自在とする規制溝を水平方向に開口し、更に、前記摺動溝の底部に負荷検出部を配設することで、
前記上半部と前記下半部とが所定領域内で近接離反自在の前記本体部として一体に連結しつつ近接時に前記連結基部が前記負荷検出部を押圧するよう構成したことを特徴とするデュアル装着型ピンゲージアダプター。
【請求項2】
前記負荷検出部はロードセルからなることを特徴とする請求項1に記載のデュアル装着型ピンゲージアダプター。
【請求項3】
前記負荷検出部は、前記摺動溝の底部に配設した圧縮バネと、前記圧縮バネの圧縮長さに応じて導通する複数の接点を備えることを特徴とする請求項1に記載のデュアル装着型ピンゲージアダプター。
【請求項4】
前記負荷検出部は、前記摺動溝の底部から所定長さ立設し上部に水平方向に突出した基本接点を有するバネ軸受部を形成し、前記連結基部は、前記バネ軸受部を挿通する軸挿通溝を形成すると共に前記軸挿通溝の内部には前記基本接点と導通する複数の個別接点を形成したことを特徴とする請求項3に記載のデュアル装着型ピンゲージアダプター。
【請求項5】
前記負荷検出部は、前記規制凸部に複数のLEDを配設すると共に、前記LEDは前記個別接点の各々に接続していることを特徴とする請求項4に記載のデュアル装着型ピンゲージアダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンゲージを用いた内径測定の測定効率を向上しつつ測定のバラツキをシンプルな構成で抑制できるデュアル装着型ピンゲージアダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、精度が要求される加工部品に形成された各種の穴は、内径寸法に対応した種々のピンゲージを測定者が把持し、測定対象の穴の上方からピンゲージが負荷なく、また、ガタツキなく正確に挿入可能か否かにより内径寸法の合否を判断していた。
【0003】
しかしながら、測定者自らが測定対象の穴にピンゲージを挿入するため、例えば、設計値よりも微妙に小径に加工された本来ならば不合格となる穴に対して、設計通りの直径を有するピンゲージの挿入力に負荷を掛ければ無理やりでも挿入できてしまう場合があり、測定者の習熟度や性格に一定程度左右されてしまうという問題を有している。
【0004】
また、内径寸法に対応したピンゲージが余裕をもって挿入できた場合、寸法公差の上限内に収まっているかを確認するために寸法公差の上限に対応した別途のピンゲージを用いて再度の測定を行うが、この場合も同様に測定者の習熟度や性格に一定程度左右されてしまうという問題を有している。
【0005】
更に、ピンゲージは人手で把持するだけで体温が伝わり微妙に膨張してしまうため、例えば、設計値通りの穴に対して設計通りの直径を有するピンゲージが挿入できないこともあり、上述した測定者の習熟度等と共に測定精度に複雑に影響を及ぼすことも懸念されていた。
【0006】
このような状況において、熱伝導によるピンゲージの膨張に対してはピンゲージを熱伝導率の低い材料で被覆して把持することが一般的な作業として行われており、測定者の習熟度等による測定精度のバラツキについては以下のような技術が開示されている。
【0007】
例えば、特許文献1に係る技術は、ピンゲージとピンゲージを装着する伝達ロッドと伝達ロッドをピンゲージの軸方向に摺動可能に保持するホルダで構成し、ピンゲージから伝達ロッドに伝えられるピンゲージ挿入力の検出部を備えたピンゲージ装置である。
【0008】
本技術では、検出部をリミットスイッチやロードセルで構成することでピンゲージの挿入力を電気的に検出・判断させることで所定の挿入力を越えた場合に警報としてブザーを鳴らすよう構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実開昭63-054005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
確かに特許文献1に記載の技術によれば、合否の判断がブザーにより報知される点で測定者の習熟度に関係なく簡便に判断できる点で優れているが、直径違いのピンゲージによる再測定を考慮すると測定に必要なピンゲージ毎に本装置が必要となるため費用面で不利となり作業効率としても良好とは言えない。
【0011】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、シンプルな構成で合否の判断を測定者に容易且つ確実に報知でき、しかも、作業効率の向上を図ることができるデュアル装着型ピンゲージアダプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上のような目的を達成するために、本発明は以下の技術を提供する。
【0013】
請求項1に係る発明では、上半部と下半部とで略棒状の外形をなす人手で把持可能な本体部からなり、前記上半部と前記下半部の端部に其々ピンゲージを装着自在なゲージ保持部を有するデュアル装着型ピンゲージアダプターであって、前記上半部は、一方のピンゲージを保持する第一ゲージ保持部と、前記第一ゲージ保持部と相対する端部に突設した連結基部と、で構成し、前記下半部は、他方のピンゲージを保持する第二ゲージ保持部と、前記第二ゲージ保持部と相対する端部に形成した連結受部と、で構成し、前記連結基部は、水平方向に突出した規制凸部を形成し、前記連結受部は、前記連結基部が離脱することなく前記連結基部を内部に遊挿する摺動溝を垂直方向に形成すると共に、前記摺動溝には前記規制凸部と略係合し前記規制凸部を上下移動自在とする規制溝を水平方向に開口し、更に、前記摺動溝の底部に負荷検出部を配設することで、前記上半部と前記下半部とが所定領域内で近接離反自在の前記本体部として一体に連結しつつ近接時に前記連結基部が前記負荷検出部を押圧するよう構成したことを特徴とするデュアル装着型ピンゲージアダプターを提供せんとする。
【0014】
請求項2に係る発明では、前記負荷検出部はロードセルからなることを特徴とする請求項1に記載のデュアル装着型ピンゲージアダプターを提供せんとする。
【0015】
請求項3に係る発明では、前記負荷検出部は、前記摺動溝の底部に配設した圧縮バネと、前記圧縮バネの圧縮長さに応じて導通する複数の接点を備えることを特徴とする請求項1に記載のデュアル装着型ピンゲージアダプターを提供せんとする。
【0016】
請求項4に係る発明では、前記負荷検出部は、前記摺動溝の底部から所定長さ立設し上部に水平方向に突出した基本接点を有するバネ軸受部を形成し、前記連結基部は、前記バネ軸受部を挿通する軸挿通溝を形成すると共に前記軸挿通溝の内部には前記基本接点と導通する複数の個別接点を形成したことを特徴とする請求項3に記載のデュアル装着型ピンゲージアダプターを提供せんとする。
【0017】
請求項5に係る発明では、前記負荷検出部は、前記規制凸部に複数のLEDを配設すると共に、前記LEDは前記個別接点の各々に接続していることを特徴とする請求項4に記載のデュアル装着型ピンゲージアダプターを提供せんとする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、上半部と下半部とで略棒状の外形をなす人手で把持可能な本体部からなり、上半部と下半部の端部に其々ピンゲージを装着自在なゲージ保持部を有するデュアル装着型ピンゲージアダプターであって、上半部は、一方のピンゲージを保持する第一ゲージ保持部と、第一ゲージ保持部と相対する端部に突設した連結基部と、で構成し、下半部は、他方のピンゲージを保持する第二ゲージ保持部と、第二ゲージ保持部と相対する端部に形成した連結受部と、で構成し、連結基部は、水平方向に突出した規制凸部を形成し、連結受部は、連結基部が離脱することなく連結基部を内部に遊挿する摺動溝を垂直方向に形成すると共に、摺動溝には規制凸部と略係合し規制凸部を上下移動自在とする規制溝を水平方向に開口し、更に、摺動溝の底部に負荷検出部を配設することで、上半部と下半部とが所定領域内で近接離反自在の本体部として一体に連結しつつ近接時に連結基部が負荷検出部を押圧するよう構成したことより、1つのデュアル装着型ピンゲージアダプターで直径の異なるピンゲージを2本装着できるため測定効率の向上を図ることができ、更に、2本の何れのピンゲージを使用する際でも負荷検出部が作用するためピンゲージが測定対象の穴に挿入可能か否かを測定者の習熟度等によらず容易に判断することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、負荷検出部はロードセルからなることより、ピンゲージが測定対象の穴に挿入可能か否かを高い精度で容易に判断することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、負荷検出部は、摺動溝の底部に配設した圧縮バネと、圧縮バネの圧縮長さに応じて導通する複数の接点を備えることより、穴に対するピンゲージの挿入力を所定のバネ定数の圧縮バネを用いることで容易に調整することができると共に、接点に応じて合否の信号を容易に取り出して報知することができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、負荷検出部は、摺動溝の底部から所定長さ立設し上部に水平方向に突出した基本接点を有するバネ軸受部を形成し、連結基部は、バネ軸受部を挿通する軸挿通溝を形成すると共に軸挿通溝の内部には基本接点と導通する複数の個別接点を形成したことより、負荷検出部を本体部の内部にコンパクトに内蔵することができるのでデュアル装着型ピンゲージアダプターを人手で容易に把持できる大きさに形成することができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、負荷検出部は、規制凸部に複数のLEDを配設すると共に、LEDは個別接点の各々に接続していることより、接点に応じて合否の信号をLEDの発光色の違い等で表示して測定者に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプターの斜視図である。
図2】本実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプターの分解斜視図である。
図3】(a)は測定対象の穴の近傍に本実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプターを位置させた説明図で、(b)はピンゲージが穴に挿入された状態を示す説明図である。
図4図3(b)のA-A断面図である。
図5】(a)はピンゲージが挿入されたゲージ保持部の部分透視図で、(b)は太いピンゲージが挿入された様子を示すゲージ保持部の部分断面図で、(c)は細いピンゲージが挿入された様子を示すゲージ保持部の部分断面図である。
図6】(a)、(b)は上半部を上方にした上半部と下半部の部分拡大図である。
図7】(a)、(b)は下半部を上方にした上半部と下半部の部分拡大図である。
図8】本実施形態に係る他のデュアル装着型ピンゲージアダプターの斜視図である。
図9】(a)、(b)は本実施形態に係る他のデュアル装着型ピンゲージアダプターの上半部を上方にした上半部と下半部の部分拡大図である。
図10】(a)、(b)は本実施形態に係る他のデュアル装着型ピンゲージアダプターの上半部を上方にした上半部と下半部の部分拡大図である。
図11】本実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプターを測定表示器に接続した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプターの要旨は、上半部と下半部とで略棒状の外形をなす人手で把持可能な本体部からなり、上半部と下半部の端部に其々ピンゲージを装着自在なゲージ保持部を有するデュアル装着型ピンゲージアダプターであって、上半部は、一方のピンゲージを保持する第一ゲージ保持部と、第一ゲージ保持部と相対する端部に突設した連結基部と、で構成し、下半部は、他方のピンゲージを保持する第二ゲージ保持部と、第二ゲージ保持部と相対する端部に形成した連結受部と、で構成し、連結基部は、水平方向に突出した規制凸部を形成し、連結受部は、連結基部が離脱することなく連結基部を内部に遊挿する摺動溝を垂直方向に形成すると共に、摺動溝には規制凸部と略係合し規制凸部を上下移動自在とする規制溝を水平方向に開口し、更に、摺動溝の底部に負荷検出部を配設することで、上半部と下半部とが所定領域内で近接離反自在の本体部として一体に連結しつつ近接時に連結基部が負荷検出部を押圧するよう構成したことを特徴とする。すなわち、シンプルな構成で合否の判断を測定者に容易且つ確実に報知でき、しかも、作業効率の向上を図ることができるデュアル装着型ピンゲージアダプターの提供を図ろうとするものである。
【0025】
以下、本発明に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1,101の一実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する。
【0026】
また、デュアル装着型ピンゲージアダプター1,101の上下は、上半部17を上側にして長手方向を垂直に位置させた際、上半部17側を上方、下半部28側を下方として説明する。
【0027】
本発明の実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1,101は、図1図4図9(a)に示すように、上半部17と下半部28とで略棒状の外形をなす人手で把持可能な本体部2からなり、上半部17と下半部28の端部に其々ピンゲージPを装着自在なゲージ保持部3を有し、上半部17は、一方のピンゲージp1を保持する第一ゲージ保持部3aと、第一ゲージ保持部3aと相対する端部に突設した連結基部22と、で構成し、下半部28は、他方のピンゲージp2を保持する第二ゲージ保持部3bと、第二ゲージ保持部3bと相対する端部に形成した連結受部29と、で構成し、連結基部22は、水平方向に突出した規制凸部26を形成し、連結受部29は、連結基部22が離脱することなく連結基部22を内部に遊挿する摺動溝33を垂直方向に形成すると共に、摺動溝33には規制凸部26と略係合し規制凸部26を上下移動自在とする規制溝35を水平方向に開口し、更に、摺動溝33の底部に負荷検出部12を配設することで、上半部17と下半部28とが所定領域内で近接離反自在の本体部2として一体に連結しつつ近接時に連結基部22が負荷検出部12を押圧するよう構成している。
【0028】
また、上記を基本構成とし、第一実施形態として負荷検出部12を図6(a)に示すようにロードセル13で構成し、第二実施形態として負荷検出部12を図9(a)に示すように圧縮バネ113で構成した2つの構成について説明する。
【0029】
負荷検出部12がロードセル13のデュアル装着型ピンゲージアダプター1は、ピンゲージPが装着され、図3(a)、(b)に示すように測定対象物Wの表面に形成された測定対象の穴yにピンゲージPを挿入する際、負荷検出部12がロードセル13の場合は、強引に押し込んでいるのか適正なのか緩すぎないかを図11に示すように挿入力の表示や報知により判断することができる。
【0030】
また、負荷検出部12が圧縮バネ113のデュアル装着型ピンゲージアダプター101は、ピンゲージPの外径が穴yの内径と同等の時にピンゲージPが適正な挿入力で挿入されるよう圧縮バネ113の付勢力を調整し、そこを基準とする電気的接点と、強引に押し込んだ際の電気的接点と、緩すぎる場合の電気的接点を内部に構成していれば、挿入力の状況がLED116の発光等よる報知により判断できる。
【0031】
更に、これら本実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1,101であれば、測定対象の穴yに対してピンゲージPが挿入されない場合、ピンゲージPの外径が穴yの内径よりも大きいと判断され、挿入されればピンゲージPの外径が穴yの内径と同等以下であると判断することができるが、測定精度の向上のためにピンゲージPの外径を穴yの内径よりも若干だけ大きなものに変更して再度の測定を行う場合でも、これら2種類の外径からなるピンゲージをp1,p2を予め第一・第二ゲージ保持部3a,3bに装着しておけば、ピンゲージPの交換やピンゲージアダプターの交換作業が不要となる。
【0032】
以下、本実施形態に係る第一・第二実施形態のデュアル装着型ピンゲージアダプター1,101の各部の構成について図面を用いて具体的に詳述する。
【0033】
[第一実施形態]
図1に示す第一実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1の本体部2は、上半部17と下半部28とで略棒状の外形をなす人手で把持可能に形成し、上半部17と下半部28の端部には其々ピンゲージp1,p2を装着自在なゲージ保持部3を備えている。
【0034】
そして、上半部17は、図2図4に示すように、一方のピンゲージp1を保持する第一ゲージ保持部3aと、第一ゲージ保持部3aと相対する端部に突設した連結基部22とで構成している。
【0035】
具体的には、第一ゲージ保持部3aは、外観視略円柱状の上胴部18の上部に連設し、連結基部22は、上胴部18の下部に連設している。
【0036】
第一ゲージ保持部3aは、上胴部18と螺合する第一保持カバー4aと、第一保持カバー4aの内部に収納される上コレット7aとで構成し、第一保持カバー4aは、上下に貫通するゲージ挿入孔5を穿設した中空状の円筒状で上端側を円錐台状とした砲弾型に形成している。
【0037】
また、第一保持カバー4aは、円錐台状の上部の内側壁も同様に円錐台状の傾斜を形成した逆すり鉢状に形成し、下部の内側壁には上胴部18に形成した上連結雄ネジ20と螺合する上連結雌ネジ6aを螺刻している。
【0038】
また、上コレット7aは、図2図5(a)に示すように、合成樹脂材料からなり、第一保持カバー4aのゲージ挿入孔5と連通する上下貫通のゲージ固定用孔8を形成し、上部を円錐台状とした砲弾型で第一保持カバー4aの上部の内側壁と略嵌合し、下部を上部よりも縮径した円筒状に形成して後述する上胴部18に形成した上コレット挿入部19内に嵌入される。
【0039】
また、上コレット7aは、上端から下部の中途部にかけてゲージ固定用孔8と水平方向で直交する上下に伸延した切れ目9を水平方向に等間隔で8箇所形成することで下部から上部に伸延する略台形帯状の押圧片10を8個形成し、各々の押圧片10が下部を起点として内外に傾斜する屈曲自在に形成している。
【0040】
上胴部18は、上端面を平面視円形で凹状とした上コレット挿入部19を形成して上コレット挿入部19の外側面に上連結雄ネジ20を螺刻すると共に、下端面には連結基部22を螺入する基部連結雌ネジ孔21を形成している。
【0041】
このように形成することで、上コレット挿入部19に上コレット7aの下部を嵌入し、上コレット7aの上方から第一保持カバー4aを囲繞しつつ上胴部18に螺着させることで第一保持カバー4aの傾斜した内側壁が上コレット7aの押圧片10を押圧し、切れ目9によりゲージ固定用孔8の孔径を縮径させることができる。
【0042】
また、上胴部18と第一保持カバー4aとの螺着を緩めれば、第一保持カバー4aの傾斜した内側壁による押圧片10の押圧が解除され切れ目9により押圧片10を外側に拡径させることができる。
【0043】
従って、図5(b)、(c)に示すように、この状態でゲージ固定用孔8にピンゲージPを挿入し第一保持カバー4aを上胴部18に強く螺着すれば縮径する押圧片10がピンゲージPを押圧して第一ゲージ保持部3aにピンゲージPを略固定させることができるので、直径の異なるピンゲージPであっても対応することができる。
【0044】
連結基部22は、図2図4図6(a)に示すように、上部に上胴部18の下端面に形成した基部連結雌ネジ孔21と螺合する基部連結雄ネジ23を形成し、基部連結雄ネジ23の下部は、基部連結雄ネジ23の直径よりも大きく上胴部18の直径よりも小径で円柱状の移動段差部24を形成している。
【0045】
更に、移動段差部24の直下には、移動段差部24の直径よりも大きく上胴部18の直径よりも小径で略円柱状のコア移動部25を形成し、その下側縁に水平方向に突出した規制凸部26を形成している。
【0046】
規制凸部26は、縦長で略楕円状の所定厚のブロック体からなり、規制凸部26の突出した水平方向の長さは、連結基部22を遊挿する後述する連結受部29の周面と規制凸部26の端部が略面一となる程度の長さに形成している。
【0047】
以上のように、上半部17は、上胴部18を介して一方のピンゲージp1を保持する第一ゲージ保持部3aと、第一ゲージ保持部3aと相対する端部に突設した連結基部22とで構成している。
【0048】
次に、下半部28は、図2図4図5(a)に示すように、他方のピンゲージp2を保持する第二ゲージ保持部3bと、第二ゲージ保持部3bと相対する端部に形成した連結受部29とで構成している。
【0049】
具体的には、第二ゲージ保持部3bは、外観視略円柱状の連結受部29の下部に連設し、連結受部29は、下胴部30とストッパ36とで構成している。
【0050】
なお、第二ゲージ保持部3bの材質や構造は、上述した第一ゲージ保持部3aと同一のため説明を省略するが、第一ゲージ保持部3aと異なる点は、第二保持カバー4bが螺合するのは上胴部18ではなく連結受部29を構成する下胴部30の下連結雄ネジ32である点のみであり、この点で第一保持カバー4aの上連結雌ネジ6aは第二保持カバー4bでは下連結雌ネジ6bとなっている。
【0051】
すなわち、第二ゲージ保持部3bを構成する第二保持カバー4bは第一保持カバー4aと同一で、下コレット7bは上コレット7aと同一であり、従って、第二ゲージ保持部3bの機能は第一ゲージ保持部3aと同一となっている。
【0052】
また、連結受部29の一部を構成する下胴部30は、下端面を底面視円形で凹状とした下コレット挿入部31を形成して下コレット挿入部31の外側面に下連結雄ネジ32を螺刻している。
【0053】
なお、下コレット挿入部31は、下コレット7bの下部よりも縮径した円筒状の上部を嵌入自在に形成している。
【0054】
また、下胴部30の上端面から下方の内部にかけて連結基部22を遊挿する摺動溝33を垂直方向に形成すると共に、摺動溝33には規制凸部26と略係合し遊挿する規制凸部26を上下移動自在とする規制溝35を水平方向に開口し、更に、摺動溝33の底部に負荷検出部12を配設している。
【0055】
摺動溝33は、規制凸部26を除く略円柱状の連結基部22の下部が上方から挿入可能な略円柱状の空間をなし、規制溝35は、下胴部30の外周面の一部においてその上端から摺動溝33の底部近傍に至るまで規制凸部26の幅員よりも若干だけ広い幅員で垂直方向に切削して摺動溝33と水平方向に連通した開口をなしている。
【0056】
このように摺動溝33と規制溝35を形成することで、規制凸部26を規制溝35に挿入するように摺動溝33の上方から連結基部22を摺動溝33内に上下移動自在に配設することができる。
【0057】
また、摺動溝33の上端近傍の外側面には、連結受部29の一部を構成するストッパ36に形成したストッパ連結雌ネジ38と螺合するストッパ連結雄ネジ34を螺刻している。
【0058】
ストッパ36は、中央部に連結基部22の基部連結雄ネジ23を挿通する円形の挿通孔37を穿設した下方開放の凹状で平面視ドーナツ状に形成し、内側壁にストッパ連結雌ネジ38を螺刻して下胴部30のストッパ連結雄ネジ34と螺着することで摺動溝33を上方から略閉蓋した一体の連結受部29を形成している。
【0059】
また、挿通孔37の内径は、連結基部22に形成した移動段差部24の直径よりも若干だけ大径でコア移動部25の直径よりも小径に穿設することで、挿通孔37の上方から基部連結雄ネジ23を突出させた状態で連結基部22の下部が連結受部29から離脱しないように内部に収納することができ、連結受部29としてはこの挿通孔37も含めて摺動溝33をなしている。
【0060】
また、図6(a)に示すように、ストッパ36上面の厚みh2を移動段差部24の高さh1よりも薄く形成することで、その差分の長さ(以下、摺動距離t1とする)だけ連結基部22に対して連結受部29が上下に摺動自在となるように形成している。
【0061】
すなわち、上半部17と下半部28とが最も離反した際の上胴部18の下底面とストッパ36の上面との間隙を上述した摺動距離t1としている。
【0062】
また、規制溝35に上下移動自在に挿入された規制凸部26は、規制凸部26が連結受部29の最上の位置に移動した場合でも、連結基部22に対して連結受部29が移動可能な上述の摺動距離t1の範囲内では規制凸部26の上端がストッパ36の下端と当接しない程度に形成している。
【0063】
すなわち、規制凸部26は、連結基部22に対して連結受部29が水平方向に回動しないように規制すると共に、連結受部29の上下方向の移動を補助的に案内する機能を有するものである。
【0064】
なお、本実施形態では上半部17と下半部28とが所定領域内で近接離反自在となる距離を上述した摺動距離t1となるように構成しているが、規制凸部26が連結受部29の最上の位置に移動した際に規制凸部26の上端がストッパ36の下端と当接するように形成することで上半部17と下半部28とが最も離反する距離を規定しても良い。
【0065】
また、図2に示すように、摺動溝33の底部に配設し略固定される負荷検出部12は、円柱状に突出したロードボタン14を上面中央部に備えた平面視円形で外観視略円盤状のロードセル13からなり、ロードセル13の周側面からは電気配線15が進出し、図11に示すように、電気配線15は規制溝35から外部へと進出して測定表示器M等に接続される。
【0066】
また、図6(a)に示すように、ロードボタン14の上端と連結基部22の下端との間隙t2は、上半部17と下半部28とが最も離反した際に近接する程度(摺動距離t1>間隙t2)、すなわち、ロードセル13が無負荷の状態となるように形成している。
【0067】
従って、第一実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1を図11に示すように測定表示器M等に接続して測定を行う場合、上半部を把持して図3(b)の如く測定対象の穴yに第二ゲージ保持部3bに装着したピンゲージp2を挿入した際、穴yの内径がピンゲージp2の外径よりも大幅に広ければ、図6(a)に示すように摺動距離t1は変化せず結果としてロードセル13は無負荷のままとなり測定表示器Mの表示部sが示す数値も変化しない。
【0068】
また、穴yの内径がピンゲージp2の外径よりも大幅に狭ければ、図6(b)に示すように摺動距離t1はゼロ(上胴部18の下底面とストッパ36の上面とが当接した状態)となり結果としてロードセル13には多大な負荷が印加され測定表示器Mの表示部sにて数値を確認することが出来る。
【0069】
また、穴yの内径がピンゲージp2の外径と同等で適正な寸法であれば、図6(a)、(b)の間、すなわち、摺動距離t1はゼロとはならず結果としてロードセル13には適正な負荷が印加され測定表示器Mの表示部sにて数値を確認することが出来る。
【0070】
更に、下半部を把持して測定対象の穴yに第一ゲージ保持部3aに装着したピンゲージp1を挿入することも可能であり、穴yの内径がピンゲージp1の外径よりも大幅に広ければ、図7(a)に示すように摺動距離t1は変化せず結果としてロードセル13は無負荷のままとなり測定表示器Mの表示部sが示す数値も変化しない。
【0071】
また、穴yの内径がピンゲージp1の外径よりも大幅に狭ければ、図7(b)に示すように摺動距離t1はゼロとなり結果としてロードセル13には多大な負荷が印加され測定表示器Mの表示部sにて数値を確認することが出来る。
【0072】
また、穴yの内径がピンゲージp1の外径と同等で適正な寸法であれば、図7(a)、(b)の間、すなわち、摺動距離t1はゼロとはならず結果としてロードセル13には適正な負荷が印加され測定表示器Mの表示部sにて数値を確認することが出来る。
【0073】
このように、本実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1は、本体部2の上下に装着した外径の異なるピンゲージp1,p2に対して同様の操作でロードセル13による精度の高い測定を可能とする。
【0074】
[第二実施形態]
次に、図8に示す第二実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター101は、図9(a)に示すように、負荷検出部12を圧縮バネ113で構成し、規制凸部26に3個のLED116(116a,116b,116c)を配設している点で上述した第一実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1と外観上の差はあるが、第一実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1の構成と多くの部分で共通しているため、共通する構成については説明を割愛し、異なる構成について以下説明する。
【0075】
負荷検出部12は、摺動溝33の底部に配設した圧縮バネ113と、圧縮バネ113の圧縮長さに応じて導通する複数の接点120(個別接点120a,120b,120c,基本接点120d)を備えている。
【0076】
また、負荷検出部12は、摺動溝33の底部から所定長さ立設し上部に水平方向に突出した基本接点120dを有するバネ軸受部122を形成し、連結基部22は、バネ軸受部122を挿通する軸挿通溝125を形成すると共に軸挿通溝125の内部には基本接点120dと導通する複数の個別接点120a,120b,120cを形成している。
【0077】
また、負荷検出部12は、規制凸部26に複数のLED116を配設すると共に、LED116a,116b,116cは個別接点120a,120b,120cの各々に接続している。
【0078】
具体的には、連結基部22の一部を構成する略円柱状のコア移動部25の下方内部に、後述するバネ軸受部122をコア移動部25の下底面から挿通する軸挿通溝125を形成しており、軸挿通溝125は、コア移動部25と同心で略円柱状の連通する接点空間126と軸孔127とで構成してり、軸孔127は、接点空間126をなす底部を貫通して形成している。
【0079】
接点空間126は、水平方向で規制凸部26の範囲内に形成し、規制凸部26の側の壁部129の上部において上下に隣接した3つの個別接点120a,120b,120cを接点空間126に向けて突設している。
【0080】
また、この壁部129の外側に位置する規制凸部26は、内部を穿設して上下に隣接した3つのLED116a,116b,116cを内装している。
【0081】
LED116は、発光面を規制凸部26の端部から若干だけ突出して配設し、LED116の各2本の端子117a,117bは壁部129に接続すると共に各個別接点120a,120b,120cの上下の位置関係と各LEDの上下の位置関係が同じになるように壁部129内で各一方の端子を個別接点120a,120b,120cの各々と接続している。
【0082】
なお、LED116の他方の各端子(117a or 117b)は、壁部129内からコア移動部25の底部を通して後述する電池等の電源部131へと配線118しているが、配線118の引き回しに関しては本実施形態に限定されるものではなく、また、LED116を点灯させるための回路等の配設箇所については特に限定されるものではない。
【0083】
バネ軸受部122は、摺動溝33の底部に略嵌合する平面視円形の基底部124と基底部124の中心に立設し接点空間126に現出する長さの円柱状の軸部123とで構成しており、基底部124の下部には電源部131を内蔵し、軸部123の上部には水平方向に突出した基本接点120dを形成している。
【0084】
基本接点120dは、個別接点120a,120b,120cの側に向けて突設し、軸部123の上下移動に応じて各個別接点120a,120b,120cとの導通や離反をするように構成すると共に、基本接点120dから軸部123内を通して電源部131まで配線119している。
【0085】
また、本実施形態では、上胴部18の下底面とストッパ36の上面との間隙を示す摺動距離t1が最も離反した位置(図9(a))では基本接点120dと個別接点120a,120b,120cが導通しないように構成し、図10(b)に示すような摺動距離t1がゼロの場合には基本接点120dが最上の個別接点120aと導通し最上のLED116aが点灯するよう構成している。
【0086】
なお、配線119の引き回しに関しては本実施形態に限定されるものではなく、また、LED116を点灯させるための回路等を基本接点120d側に配設することや、ON/OFFスイッチを配設することや、それらの配設箇所についても適宜構成することができる。
【0087】
また、圧縮バネ113は、バネ軸受部122の軸部123を遊挿し、連結基部22の下底面とバネ軸受部122の基底部124との間隙に配設している。
【0088】
従って、第二実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター101を用いて測定を行う場合、上半部を把持して測定対象の穴yに第二ゲージ保持部3bに装着したピンゲージp2を挿入した際、穴yの内径がピンゲージp2の外径よりも大幅に広ければ、図9(a)に示すように摺動距離t1は変化せず結果として基本接点120dと各個別接点120a,120b,120cとの導通はなくLED116が点灯することはない。
【0089】
また、穴yの内径がピンゲージp2の外径よりも大幅に狭ければ、図10(b)に示すように摺動距離t1はゼロとなり結果として基本接点120dが最上の個別接点120aと導通し最上のLED116aが点灯する。
【0090】
また、穴yの内径がピンゲージp2の外径と同等で適正な寸法であれば、図9(b)や図10(a)、すなわち、摺動距離t1が最大でもゼロでもない位置で基本接点120dが中央や最下の個別接点120b,120cと導通し、中央のLED116bや最下のLED116cが点灯する。
【0091】
更に、下半部を把持して測定対象の穴yに第一ゲージ保持部3aに装着したピンゲージp1を挿入することも可能であり、本実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター101は、本体部2の上下に装着した外径の異なるピンゲージp1,p2に対して同様の操作でLED116a,116b,116cの点灯による精度の高い測定を可能とする。
【0092】
以上の通り説明した第一・第二実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1,101は、上半部17と下半部28とで略棒状の外形をなす人手で把持可能な本体部2からなり、上半部17と下半部28の端部に其々ピンゲージPを装着自在なゲージ保持部3を有し、上半部17は、一方のピンゲージp1を保持する第一ゲージ保持部3aと、第一ゲージ保持部3aと相対する端部に突設した連結基部22と、で構成し、下半部28は、他方のピンゲージp2を保持する第二ゲージ保持部3bと、第二ゲージ保持部3bと相対する端部に形成した連結受部29と、で構成し、連結基部22は、水平方向に突出した規制凸部26を形成し、連結受部29は、連結基部22が離脱することなく連結基部22を内部に遊挿する摺動溝33を垂直方向に形成すると共に、摺動溝33には規制凸部26と略係合し規制凸部26を上下移動自在とする規制溝35を水平方向に開口し、更に、摺動溝33の底部に負荷検出部12を配設することで、上半部17と下半部28とが所定領域内で近接離反自在の本体部2として一体に連結しつつ近接時に連結基部22が負荷検出部12を押圧するよう構成したことより、1つのデュアル装着型ピンゲージアダプター1,101で直径の異なるピンゲージp1,p2を2本装着できるため測定効率の向上を図ることができ、更に、2本の何れのピンゲージp1,p2を使用する際でも負荷検出部12が作用するためピンゲージp1,p2が測定対象の穴yに挿入可能か否かを測定者の習熟度等によらず容易に判断することができる。
【0093】
また、第一実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1は、負荷検出部12をロードセル13で構成したことより、ピンゲージPが測定対象の穴yに挿入可能か否かを高い精度で容易に判断することができる。
【0094】
また、第二実施形態に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター101は、負荷検出部12を摺動溝33の底部に配設した圧縮バネ113と、圧縮バネ113の圧縮長さに応じて導通する複数の接点120を備えることより、穴yに対するピンゲージPの挿入力を所定のバネ定数の圧縮バネ113を用いることで容易に調整することができると共に、接点120に応じて合否の信号を容易に取り出して報知することができる。
【0095】
更に、負荷検出部12は、摺動溝33の底部から所定長さ立設し上部に水平方向に突出した基本接点120dを有するバネ軸受部122を形成し、連結基部22は、バネ軸受部122を挿通する軸挿通溝125を形成すると共に軸挿通溝125の内部には基本接点120dと導通する複数の個別接点120a,120b,120cを形成したことより、負荷検出部12を本体部2の内部にコンパクトに内蔵することができるのでデュアル装着型ピンゲージアダプター101を人手で容易に把持できる大きさに形成することができる。
【0096】
しかも、負荷検出部12は、規制凸部26に複数のLED116a,116b,116cを配設すると共に、LED116a,116b,116cは個別接点120a,120b,120cの各々に接続していることより、接点120に応じて合否の信号をLED116a,116b,116cの発光色の違い等で表示して測定者に報知することができる。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
P ピンゲージ
p1 ピンゲージ
p2 ピンゲージ
1 デュアル装着型ピンゲージアダプター
2 本体部
3 ゲージ保持部
3a 第一ゲージ保持部
3b 第二ゲージ保持部
12 負荷検出部
13 ロードセル
17 上半部
22 連結基部
26 規制凸部
28 下半部
29 連結受部
33 摺動溝
35 規制溝
101 デュアル装着型ピンゲージアダプター
113 圧縮バネ
116 LED
116a LED
116b LED
116c LED
120 接点
120a 個別接点
120b 個別接点
120c 個別接点
120d 基本接点
122 バネ軸受部
125 軸挿通溝
【要約】
【課題】シンプルな構成で合否の判断を測定者に容易且つ確実に報知でき、しかも、作業効率の向上を図ることができるデュアル装着型ピンゲージアダプターを提供する。
【解決手段】本発明に係るデュアル装着型ピンゲージアダプター1,101は、上半部17と下半部28の端部に其々ピンゲージPを装着自在なゲージ保持部3を有し、上半部17は、第一ゲージ保持部3aと連結基部22と、で構成し、下半部28は、第二ゲージ保持部3bと連結受部29と、で構成し、連結基部22は、規制凸部26を形成し、連結受部29は、連結基部22を内部に遊挿する摺動溝33を形成すると共に、摺動溝33には規制溝35を開口し、更に、摺動溝33の底部に負荷検出部12を配設することで、上半部17と下半部28が近接離反自在の本体部2として一体に連結しつつ近接時に連結基部22が負荷検出部12を押圧するよう構成したことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11