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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】インキ飛散防止装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 31/07 20060101AFI20220406BHJP
   B41F 9/00 20060101ALI20220406BHJP
   B41F 13/00 20060101ALI20220406BHJP
   B41F 9/10 20060101ALI20220406BHJP
   B41F 31/02 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
B41F31/07
B41F9/00 B
B41F13/00 614
B41F9/10
B41F31/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019167689
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021041682
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000237260
【氏名又は名称】富士機械工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 亮
(72)【発明者】
【氏名】大宮 利信
(72)【発明者】
【氏名】石橋 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】村上 徹
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 誠
(72)【発明者】
【氏名】鷹野 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】篠原 博人
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-012721(JP,A)
【文献】特開平09-085932(JP,A)
【文献】特開平09-141832(JP,A)
【文献】特開2003-220691(JP,A)
【文献】実開昭62-063141(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第10307089(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/07
B41F 9/00
B41F 13/00
B41F 9/10
B41F 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インキパンの上方に配置された版胴と圧胴とがウエブを挟持した状態で回転するとともに、前記版胴の外周面に付着する過剰なインキをドクターブレードで掻き取った後、連続搬送される前記ウエブに適量のインキを転写して印刷する印刷機が備えるインキ飛散防止装置であって、
前記印刷機は、
前記ドクターブレードを支持するドクターホルダと、
前記版胴の外周面に刃先が所定の角度で接する印刷位置と、前記版胴から離れた待機位置とに、前記ドクターホルダと共に前記ドクターブレードを変位させるドクター変位装置と、
を更に備え、
前記インキ飛散防止装置は、
可撓性の素材で横長に形成されていて、一方の側部が前記ドクターホルダに取り付けられることによって前記ドクターホルダから張り出すインキカバーと、
前記ドクターホルダに取り付けられることによって前記インキカバーの張出部位から離れた位置で前記インキカバーと略平行に延びるカバーガイドと、
を有し、
前記ドクターブレードが前記待機位置から前記印刷位置に変位する時に、前記インキカバーが、前記カバーガイドに下支えされることによって前記インキパンの内部に入り込む、インキ飛散防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインキ飛散防止装置において、
前記カバーガイドは、
前記ドクターホルダの両端部に配置される一対のガイド支持部と、
前記一対のガイド支持部の間に架設される線材と、
を有し、
前記線材が前記インキカバーを下支えするインキ飛散防止装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のインキ飛散防止装置において、
前記印刷位置は、予め設定された所定の範囲で、直径が異なる複数の前記版胴に対応して、複数の径別印刷位置に変位可能に構成されており、
前記径別印刷位置の各々において、前記インキカバーが前記インキパンの内部に入り込むように、前記インキカバーおよび前記カバーガイドが設定されている、インキ飛散防止装置。
【請求項4】
請求項3に記載のインキ飛散防止装置において、
前記ドクター変位装置は、
前記ドクターホルダを横軸回りに回動可能かつ固定可能に支持する第1支持部と、
前記第1支持部を略縦方向にスライド可能かつ固定可能に支持する第2支持部と、
を有し、
前記第1支持部の作動により、前記ドクターブレードが前記印刷位置と前記待機位置とに変位し、
前記第2支持部の作動により、前記印刷位置が前記径別印刷位置の各々に変位する、インキ飛散防止装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1つに記載のインキ飛散防止装置において、
前記インキパンは、少なくとも一方の側部に、内側に向かって下り傾斜するテーパ面を有し、
前記ドクターブレードの下方に前記テーパ面が位置するように、前記インキパンが配置される、インキ飛散防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、グラビア印刷機に関し、ドクターブレードとインキパンとの間からインキが飛散するのを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、グラビア印刷機では、インキパンに溜まるインキに浸漬した状態でファニッシャロールが回転し、そのファニッシャロールに接して回転している版胴にインキが供給される。それにより、版胴の外周面に形成されている版面にインキを付着させ、ドクターブレードで版面から過剰なインキを掻き取った後、連続搬送されるウエブに版面を圧着させる。そうすることにより、適量のインキをウエブに転写し、印刷が行われる。
【0003】
回転数が高くなると、ドクターブレードで掻き取られたインキは、その周辺に飛散する。特に、ドクターブレードと、その下方に位置するインキパンとの間には、比較的大きな横長スペースがある。その横長スペースを通ってインキが飛散すると、インキ汚れが周辺に拡散する。乾燥固化したインキ汚れは、溶剤で溶かす必要があり、簡単には除去できない。
【0004】
そこで、横長スペースを通ってインキが飛散するのを防止するため、ドクターブレードに横長なシート(ドクターエプロン)を取り付けることが行われている(例えば、特許文献1、2)。具体的には、ドクターブレードにドクターエプロンを垂れ下がるように取り付け、そのドクターエプロンの下端部を、インキパンの側面に貼り付けたりインキパンの内部に差し入れたりして、横長スペースを覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-79860号公報
【文献】特開平9-85932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
印刷時のドクターブレードは、版胴の外周面に対して所定の角度、押圧で接するように、精度高く位置決めされる。一方、印刷の切替時のドクターブレードは、変位して、版胴から離れた位置(待機位置)に配置される。
【0007】
そのため、上述したドクターエプロンでは、ドクターブレードが待機位置に配置されている時に、ドクターエプロンの上端部をドクターブレードに取り付け、ドクターブレードが印刷時の状態に配置された後、その下端部をインキパンの側面に貼り付けたりインキパンの内部に差し入れたりする作業が行われる。
【0008】
しかしながら、ドクターエプロンは、横に長いため、その長い下端部をインキパンの側面に貼り付けたりインキパンの内部に差し入れたりする作業は、手間がかかるし煩わしい。そのため、ドクターエプロンの取り換えに時間を要し、印刷の切替時間短縮の障害となっている。
【0009】
更に、グラビア印刷機では、様々な直径の版胴を用いて印刷が行われる。版胴の直径が大小に変化すれば、印刷時のドクターブレードの位置もそれに応じて変化する。それにより、ドクターエプロンの位置関係も変化するし、横長スペースを覆うために必要なドクターエプロンの長さも変化する。
【0010】
従って、版胴が変更されると、用いる版胴の直径に合わせて、ドクターエプロンの取り付け位置や長さを調整する必要も生じる。
【0011】
そこで開示する技術の主たる目的は、ドクターブレードの変位に連動して、ドクターブレードとインキパンとの間を自動的に覆うことができるインキ飛散防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示する技術は、グラビア印刷機が備えるインキ飛散防止装置に関する。
【0013】
具体的には、インキパンの上方に配置された版胴と圧胴とがウエブを挟持した状態で回転するとともに、前記版胴の外周面に付着する過剰なインキをドクターブレードで掻き取った後、連続搬送される前記ウエブに適量のインキを転写して印刷する印刷機が備えるインキ飛散防止装置である。
【0014】
前記印刷機は、前記ドクターブレードを支持するドクターホルダと、前記版胴の外周面に刃先が所定の角度で接する印刷位置と、前記版胴から離れた待機位置とに、前記ドクターホルダと共に前記ドクターブレードを変位させるドクター変位装置と、を更に備える。
【0015】
前記インキ飛散防止装置は、可撓性の素材で横長に形成されていて、一方の側部が前記ドクターホルダに取り付けられることによって前記ドクターホルダから張り出すインキカバーと、前記ドクターホルダに取り付けられることによって前記インキカバーの張出部位から離れた位置で前記インキカバーと略平行に延びるカバーガイドと、を有している。そして、前記ドクターブレードが前記待機位置から前記印刷位置に変位する時に、前記インキカバーが、前記カバーガイドに下支えされることによって前記インキパンの内部に入り込む。
【0016】
すなわち、このインキ飛散防止装置では、ドクターブレードと共に所定の印刷位置と待機位置との間を変位するドクターホルダに、ドクターブレードとインキパンとの間の横長スペースを覆うインキカバーと、カバーガイドとが取り付けられている。
【0017】
インキカバーは、可撓性の素材により、横長スペースに対応して横長に形成されている。カバーガイドは、インキカバーの張出部位から離れた位置でインキカバーと略平行に延びている。そのカバーガイドが、ドクターブレードが待機位置から印刷位置に変位する時にインキカバーを下支えすることにより、インキカバーがインキパンの内部に入り込むようになっている。
【0018】
従って、可撓性を有する横長なインキカバーでも、ドクターホルダから張り出している中間部分が横長なカバーガイドで下支えされているので、インキカバーを横向きに張り出しても、折れたり大きく曲がったりすることなく、延びた一定の状態に保持できる。印刷位置ではインキカバーは下向きになるので、待機位置でインキカバーを横向きにすることで、インキパンの内部にインキカバーを容易に差し入れることができる。
【0019】
インキカバーは可撓性を有しているので、インキパンの内部に差し入れられたインキカバーがインキパンに突き当たっても湾曲し、インキカバーをインキパンの奥方へと導くことができる。従って、ドクターブレードの変位に連動して、インキカバーをインキパンに差し込むことができ、横長スペースを自動的に覆うことができる。
【0020】
前記インキ飛散防止装置はまた、前記カバーガイドは、前記ドクターホルダの両端部に配置される一対のガイド支持部と、前記一対のガイド支持部の間に架設される線材と、を有し、前記線材が前記インキカバーを下支えする、としてもよい。
【0021】
線材であれば、ほとんどスペースを占めることがないので、ドクターブレードや版胴などの近傍に配置しても印刷の邪魔にならない。従って、狭い空間でも、その広い範囲に配置できるので、配置条件の自由度を高めることができる。
【0022】
前記印刷位置が、予め設定された所定の範囲で、直径が異なる複数の前記版胴に対応して、複数の径別印刷位置に変位可能に構成されている場合には、前記径別印刷位置の各々において、前記インキカバーが前記インキパンの内部に入り込むように、前記インキカバーおよび前記カバーガイドが設定されているようにするのが好ましい。
【0023】
そうすれば、直径が異なる版胴に切り替えられても、インキカバーで自動的に横長スペースを覆うことができる。版胴の直径に合わせて、インキカバーの取り付け位置や長さを調整する必要が無いので、作業工数が減り、印刷の切替時間を短縮できる。
【0024】
前記インキ飛散防止装置はまた、前記ドクター変位装置は、前記ドクターホルダを横軸回りに回動可能かつ固定可能に支持する第1支持部と、前記第1支持部を略縦方向にスライド可能かつ固定可能に支持する第2支持部と、を有し、前記第1支持部の作動により、前記ドクターブレードが前記印刷位置と前記待機位置とに変位し、前記第2支持部の作動により、前記印刷位置が前記径別印刷位置の各々に変位する、としてもよい。
【0025】
この場合、ドクターブレードおよびドクターホルダは、回動することで、待機位置から印刷位置に変位する。インキカバーやカバーガイドもそれに伴って回動するので、インキカバーは、円滑な動きで比較的緩やかに変位する。それにより、インキカバーやカバーガイドの調整が容易になり、調整可能な範囲も拡大する。
【0026】
前記インキ飛散防止装置はまた、前記インキパンは、少なくとも一方の側部に、内側に向かって下り傾斜するテーパ面を有し、前記ドクターブレードの下方に前記テーパ面が位置するように、前記インキパンが配置される、としてもよい。
【0027】
そうすれば、インキカバーがインキパンの内部に入り込んだ時に、テーパ面でインキカバーを受け止めて、インキカバーを、円滑に湾曲させながら、インキパンの奥方へと誘導できる。従って、インキカバーを自動的に装着する動作をより安定化させることができる。
【発明の効果】
【0028】
開示する技術を適用したインキ飛散防止装置によれば、ドクターブレードとインキパンとの間をインキカバーで自動的に覆うことができる。従って、インキカバーの取り換え作業を簡略化できるので、印刷の切替時間も短縮できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】印刷時における印刷機の要部を下流側から見た概略図である。
図2図1における矢印X-X線での概略断面図である。
図3】切替時における印刷機の要部を上流側から見た概略図である。
図4図3における矢印Y-Y線での概略断面図である。
図5A】インキ飛散防止装置を組み付けた状態での、ドクターブレード、ドクターホルダ、およびドクター変位装置の部分を上流側から見た概略図である。
図5B図5Aにおける矢印Z-Z線での概略断面図である。
図6】インキ飛散防止装置を組み付けた状態での印刷機の要部を示す概略断面図である。各部材を印刷位置に配置した状態を表している。
図7】版胴の直径が小さい場合での、ドクターブレードの変位過程とそれに伴うインキカバーの動きを説明するための図である。
図8】版胴の直径が大きい場合での、ドクターブレードの変位過程とそれに伴うインキカバーの動きを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。なお、以下の説明では、ウエブWが搬送される方向を「MD方向」といい、ウエブWの幅方向を「TD方向」という。そして、MD方向のうち、印刷前のウエブWが位置する側を「上流側」、印刷後のウエブWが位置する側を「下流側」ともいう。
【0031】
<印刷機>
図1図2に、開示する技術を適用した印刷機1(グラビア印刷機)を例示する。この印刷機1が備えるインキ飛散防止装置40については、後述する。
【0032】
印刷機1は、連続して搬送される帯状のウエブWに、連続的にインキを転写して印刷を行う。印刷機1は、大略、インキパン2、版胴4、ファニッシャロール3、圧胴5、ドクターブレード6、ドクターホルダ30などの部材で構成されている。
【0033】
印刷機1には、印刷の切り替え作業を容易にするために、ファニッシャロール3を変位させるFR変位装置10、圧胴5を変位させる圧胴変位装置11、ドクターブレード6およびドクターホルダ30を変位させるドクター変位装置20なども備えられている。印刷機1は、床面上に対向配置された一対のサイドフレーム1a,1aを備え、これらの間に、これら各部材や装置が設けられている。
【0034】
この印刷機1ではまた、版胴4およびファニッシャロール3の交換や、インキの入れ替え等の作業が容易に行えるように構成されている。そのため、この印刷機1には更に、版胴4およびファニッシャロール3の各々を着脱してサイドフレーム1a,1aの外に移送可能にする装置や機構、版胴4およびファニッシャロール3の着脱時にインキパン2をスライドさせるとともに着脱可能にする装置や機構などからなるユニット(切替ユニット1b)も設けられている。本来の印刷機能に付随した切替ユニット1bは簡略化して図示し、その具体的な説明は省略する。
【0035】
(インキパン2)
インキパン2は、TD方向が長い矩形の、上面が開放されたトレイ状の容器からなる。インキパン2のTD方向に延びる側部は、版胴4およびファニッシャロールの各々の全長よりも長く形成されている。インキパン2のMD方向に延びる端部は、版胴4およびファニッシャロールの各々の直径を合算した寸法よりも大きく形成されている。
【0036】
インキパン2の各側部には、内側に向かって下り傾斜するテーパ面2aが形成されている。側部の一方には、他方の側部よりも延出された張出テーパ面2bが形成されている。インキパン2は、その張出テーパ面2bが有る方を上流側に向けた状態で、印刷機1に着脱可能に装着される。
【0037】
印刷時のインキパン2は、ファニッシャロール3、版胴4、および圧胴5の直下の位置(印刷位置)に配置される。このとき、張出テーパ面2bは、ドクターブレード6の下方に位置し、その突端は、ドクターブレード6の刃先や版胴4の最も上流側に位置する部位よりも更に上流側に位置している。
【0038】
そして、図2に示すように、印刷時のインキパン2には、常に所定量のインキが貯留される。切替時のインキパン2は、図3図4に示すように、印刷位置から降下した位置(退避位置)に配置される。
【0039】
(ファニッシャロール3)
ファニッシャロール3は、細長い円柱状の部材からなる。ファニッシャロール3は、両端に設けられたシャフト3aを介してFR変位装置10に回転可能に支持されている。
【0040】
FR変位装置10は、サイドフレーム1a,1aの間に揺動可能に支持された一対の支持アーム10a,10aを有している。各支持アーム10aは、細長い板形状を有し、互いに対向するように配置されている。ファニッシャロール3は、これら支持アーム10a,10aの下端部に、シャフト3aを介して回転自在に架設されている。図示は省略するが、ファニッシャロール3は、各支持アーム10a,10aに着脱可能に軸支されていて、印刷機1の制御によって回転駆動される。
【0041】
ファニッシャロール3は、印刷機1の制御によって両支持アーム10a,10aが揺動することにより、図1図2に示すような、下流側の斜め下方から版胴4の下部に圧接する印刷位置と、図3図4に示すような、印刷位置から下流側に離れた待機位置とに変位する。
【0042】
印刷時のファニッシャロール3は印刷位置に位置し、そのファニッシャロール3の下部はインキパン2に溜まるインキに浸漬された状態になる。切替時のファニッシャロール3は待機位置に位置し、インキパン2の上方かつ版胴4の斜め下方に配置された状態になる。
【0043】
(版胴4)
版胴4は、ファニッシャロール3よりも大径の細長い円柱状の部材からなる。この印刷機1で用いられる版胴4は、シャフトレスタイプであり、版胴4の各端面4dの中央には軸支孔4aが形成されている。
【0044】
両サイドフレーム1a,1aには、各々の対向面から向かい合って突出する一対の支持軸12,12が設けられている。これら支持軸12,12に、軸支孔4aを介して、版胴4が着脱可能に軸支されている。一方の支持軸12は、印刷機1の制御によって回転駆動するように構成されている。それにより、印刷時の版胴4は、図2に矢印で示す方向(図例では時計回り)に、TD方向に延びる軸を中心に所定の速度で回転する。
【0045】
ファニッシャロール3は、版胴4から独立して回転駆動される。ファニッシャロール3の回転速度は、適量のインキを飛散させることなくインキ溜まり(版胴4とファニッシャロール3との接触部位に形成されるインキの溜まりip)に供給するため、例えば、マイナス10%~0%等、版胴4の回転数よりも所定量小さく設定されるのが一般的である。
【0046】
(圧胴5)
圧胴5は、版胴4より小径で、版胴4よりも長い細長い円柱状の部材からなる。圧胴5の両端部の各端面には、支持シャフト5aが、圧胴5と同軸に取り付けられている。そして、これら支持シャフト5a,5aを介して、圧胴変位装置11に圧胴5が変位可能に支持されている。
【0047】
圧胴変位装置11は、両サイドフレーム1a,1aの間に対向して配置された一対の支持体11a,11aを有しており、圧胴5は、これら支持体11a,11aに、支持シャフト5a,5aを介して回転自在に架設されている。一対の支持体11a,11aは、印刷機1の制御によって昇降するように構成されている。
【0048】
印刷機1に搬送されるウエブWは、複数のガイドロール(不図示)により、上方から圧胴5の下側に誘導されるように構成されている。従って、圧胴5は、圧胴変位装置11の駆動により、そのウエブWを下面で受け止めた状態で昇降する。
【0049】
それにより、圧胴5は、図1図2に示すように、版胴4の上部に圧接し、版胴4とでウエブWを挟持する位置(印刷位置)と、図3図4に示すように、印刷位置から上方に離れた位置(待機位置)とに変位する。
【0050】
(ドクターブレード6、ドクターホルダ30、ドクター変位装置20)
図5A図5Bに、ドクターブレード6、ドクターホルダ30、およびドクター変位装置20を示す。
【0051】
ドクターホルダ30は、一対の支持ブロック31,31、スライドブロック32、挟持体33などで構成されている。更に、図5A図5Bに示すドクターホルダ30には、インキ飛散防止装置40を構成するインキカバー41およびカバーガイド42も取り付けられているが、これらについては後述する。
【0052】
ドクターブレード6は、版胴4よりも長い、帯板形状を有する刃物状の部材からなる。ドクターブレード6は、版胴4に沿って延び、その両端部が版胴4の両端部よりも外方に位置するように、挟持体33に支持されている。
【0053】
挟持体33は、TD方向に延びる横長な部材からなる。ドクターブレード6は、挟持体33に挟み込まれた状態で、挟持体33に固定されている。ドクターブレード6が固定された挟持体33は、スライドブロック32の突端部分に着脱可能に取り付けられている。
【0054】
スライドブロック32は、TD方向に延びる横長な部材からなる。スライドブロック32は、一対の支持ブロック31,31に組み付けられている。一対の支持ブロック31,31は、後述するホルダ軸23に取り付けられることにより、TD方向に間隔を隔てて対向配置されている。
【0055】
スライドブロック32の突端部分には、傾斜面が形成されている。この傾斜面を介して、スライドブロック32と挟持体33とが接している。挟持体33は、スライドブロック32の傾斜面に沿ってスライドし、所定の位置で固定されている。
【0056】
スライドブロック32は、支持ブロック31の基端部に設けられたハンドル34を回すことでスライドする。スライドブロック32がスライドする方向(スライド方向)は、印刷位置においてMD方向かつ略水平方向となるように設定されている。
【0057】
ドクター変位装置20は、一対のスライドガイド21,21、一対のスライド軸22,22、ホルダ軸23などで構成されている。ホルダ軸23は、第1支持部を構成し、一対のスライドガイド21,21および一対のスライド軸22,22は、第2支持部を構成している。
【0058】
一対のスライドガイド21,21は、両サイドフレーム1a,1aの間に対向して配置されている。各スライドガイド21は、上側の部分ほど上流側に位置しており、略縦方向、つまり鉛直方向に対して所定の傾斜角度θで僅かに傾斜した方向に延びている。各スライドガイド21には、軸受部24が、スライドガイド21に沿ってスライド可能に支持されている。
【0059】
ホルダ軸23は、TD方向に延びた状態で、その両端部が各軸受部24に回転可能に軸支されている。図示はしないが、印刷機1には、印刷機1の制御により、ホルダ軸23を回動するとともにホルダ軸23を任意の角度で固定可能な回動装置が設置されている。印刷機1にはまた、所定の範囲でホルダ軸23をTD方向に揺動させる揺動機構も設けられている。
【0060】
各軸受部24には、スライド軸22が取り付けられている。印刷機1の制御により、これらスライド軸22はスライドガイド21に沿って上下動し、任意の位置で停止する。それにより、各軸受部24に支持されたホルダ軸23は、両スライドガイド21をスライドし、所定の位置に固定される。
【0061】
ドクターホルダ30に支持されているドクターブレード6は、ホルダ軸23が回動することによって旋回し、図4に実線で示すような、版胴4の外周面に刃先が所定の角度で接する印刷時の位置(印刷位置)と、図4に二点鎖線で示すような、版胴4から離れた位置(待機位置)とに変位する。
【0062】
印刷位置のドクターホルダ30は、図2に示すように、スライド方向が略水平になる横臥した姿勢で、上流側から版胴4に近接するように配置される。そして、印刷時のドクターブレード6は、版胴4の外周面のうち、ファニッシャロール3との圧接部位から、圧胴5との圧接部位(挟持位置NP)に向かって回転している側の所定部位に、所定の角度かつ所定の押圧で、その刃先が圧接するように位置決めされる。
【0063】
印刷時には、ウエブWの搬送に合わせて版胴4が回転駆動される。それに連動して、ファニッシャロール3および圧胴5も回転する。それにより、形成されるインキ溜まりipを介して版胴4の印刷面に付着された過剰なインキは、ドクターブレード6によって掻き取られる。
【0064】
そうして、適量になったインキが挟持位置NPに運ばれることで、連続搬送されるウエブWに、印刷面からインキが転写されて印刷が行われる。刃先の摩耗の偏りを抑制するため、印刷時のドクターブレード6は、印刷機1の制御により、TD方向に繰り返し揺動する。
【0065】
詳細は後述するが、ドクターブレード6の印刷位置は、ホルダ軸23がスライドガイド21に沿って上下に移動することにより、複数の異なる位置(径別印刷位置)に変位する。それにより、この印刷機1では、予め設定された所定の範囲で、直径が異なる複数の版胴4が使用できるようになっている。
【0066】
対して、待機位置のドクターホルダ30は、印刷位置から上方に向かって旋回し、スライド方向が略垂直になる直立した姿勢で、版胴4から上流側に離れるように配置される。
【0067】
(インキ飛散防止装置40)
図2に示すように、印刷時のドクターブレード6と、その下方に位置するインキパン2との間には、横方向に長く拡がるスペース(横長スペースDS)がある。その横長スペースDSを通ってインキが飛散すると、インキ汚れが周辺に拡散する。乾燥固化したインキ汚れは、溶剤で溶かす必要があり、簡単には除去できないので、その清掃作業には手間がかかる。
【0068】
横長スペースDSをドクターエプロンで覆えばインキの飛散は防止できるが、ドクターエプロンは横に長い。そのため、その長いドクターエプロンの下端部をインキパン2の側面に貼り付けたりインキパン2の内部に差し入れたりする作業は、手間がかかるし煩わしい。
【0069】
そこで、この印刷機1には、そのような不具合を効果的に解消するため、横長スペースDSを自動的に覆うことができるインキ飛散防止装置40が装備されている。インキ飛散防止装置40は、図5A図5B図6に示すように、インキカバー41およびカバーガイド42を有している。
【0070】
インキカバー41は、印刷の度にインキで汚れる消耗品である。従って、使い捨てできるのが好ましい。そのため、インキカバー41には、プラスチックシートや厚紙、ラミネート紙などの、安価な素材が用いられている。インキカバー41は、厚みの薄いシート状の部材からなり、適度な可撓性を有している。インキカバー41はまた、適度な弾性を有するのが好ましい。
【0071】
インキカバー41は、横長な矩形の帯状に形成されている。すなわち、インキカバー41の横幅は、インキパン2(詳細には張出テーパ面2b)の横幅よりも僅かに小さい程度であり、横長スペースDSの略全域を覆う。インキカバー41の縦幅は、横長スペースDSよりも大きい、所定の長さに設定されている。インキカバー41は、横長な側部の一方を、スライドブロック32と挟持体33との間に挟み込むことで、ドクターホルダ30に取り付けられる。
【0072】
それにより、インキカバー41は、図5Bに示すように、ドクターホルダ30から、スライド方向と略直交する方向に張り出している。それにより、印刷位置でのインキカバー41は、インキパン2が無いと、ドクターホルダ30におけるインキカバー41が張り出している部位(張出部位PL)から垂れ下がった状態となる。
【0073】
そして、図6に示すように、インキパン2がその印刷位置に配置された状態になると、インキカバー41の先端部分がインキパン2の内部に入り込むように、インキカバー41の寸法が設定されている。それにより、横長スペースDSは、インキカバー41によって覆われた状態となる。
【0074】
図5A図5Bに示すように、カバーガイド42は、一対のサイドプレート42a,42a、一対のガイド支持部42b,42b、針金42c(線材の一例)などで構成されている。各サイドプレート42aは、スライドブロック32の各端部に取り付けられている。各サイドプレート42aは、ドクターブレード6の下方に張り出して互いに対向する対向部位を有している。
【0075】
各ガイド支持部42bは、細長い矩形状のプレートからなる。各ガイド支持部42bの一端は、各サイドプレート42aの対向部位に固定されている。各ガイド支持部42bの他端側は、サイドプレート42aから突出し、互いに対向した状態で、スライド方向と略直交する方向に延びている。
【0076】
各ガイド支持部42bは、固定を緩めることで、各サイドプレート42aに対して回動可能かつスライド可能に構成されている。そして、これらガイド支持部42bの突端部分に、ステンレス製の針金42cが、TD方向に延びるように架設されている。
【0077】
針金42cは、スライド方向では、張出部位PLと略同じ位置に配置され、スライド方向と略直交する方向では、張出部位PLから離れた所定の位置に配置されている。針金42cの位置は、事前に行われる試験等に基づいて設定される。
【0078】
それにより、ドクターブレード6が待機位置から印刷位置に変位する時に、インキカバー41は、その下側が針金42cによって受け止められて下支えされることにより、折れ曲がることなく、適度に湾曲した状態に保持される。
【0079】
それにより、長くて撓み易いインキカバー41であっても、自動的に、その先端部分を安定してインキパン2の内部に入れ込むことができる。そして、インキパン2の内部に入り込んだインキカバー41は、撓み易いので、インキパン2の内面に沿って湾曲しながら滑り込み、インキパン2の内面に支持される。それにより、インキカバー41は、ドクターホルダ30とインキパン2とによって支持された状態となり、横長スペースDSを覆うことができる。
【0080】
インキカバー41が適度な弾性を有していれば、インキカバー41は、弾性変形して緩く張った状態でドクターホルダ30とインキパン2とに支持される。従って、より安定した状態のインキカバー41で横長スペースDSを覆うことができる。
【0081】
図7に、ドクターブレード6が、待機位置から印刷位置に変位する過程を示す。このとき、版胴4、ファニッシャロール3、およびインキパン2は、印刷位置に配置されている。なお、図7の版胴4は、印刷機1で使用できる版胴4のうち、直径が最も小さい版胴4Sを示している。
【0082】
図7の上図に示すように、待機位置では、インキカバー41は、略水平に張り出した状態に保持される。インキカバー41は、印刷位置に変位した時に、その先端部分がインキパン2に入り込む長さを有している。そのため、撓み易いインキカバー41だけでは、二点鎖線で示すように、略水平に張り出した状態に保持できない。張出部位PLで折れ曲がり、垂れ落ちた状態になる。
【0083】
それに対し、このインキ飛散防止装置40では、ドクターホルダ30から張り出したインキカバー41の中間部位が針金42cによって下支えされるので、インキカバー41を略水平に張り出した状態に保持できる。このとき、インキカバー41の先端は、その下方に位置しているインキパン2の側部よりも上流側を指向している。
【0084】
図7の中図に示すように、ドクターホルダ30が傾倒してドクターブレード6が下方に向かって旋回していくと、インキカバー41は、針金42cに下支えされた状態で下向きに変位していく。このとき、インキカバー41の先端は版胴4Sの外周面に接触しないで、インキパン2の内部に入り込むように調整されている。
【0085】
またこのとき、インキカバー41を下支えするカバーガイド42が細い針金42cであるので、ドクターブレード6の近傍に配置してあってもほとんど邪魔にならない。従って、針金42cの位置は比較的自由に設定できる。インキカバー41の長さや物性に合わせて調整できる。
【0086】
一方、針金42cが無い場合には、インキカバー41は、大きく屈曲しているため、二点鎖線で示すように、インキパン2の外方に向かって変位する。従って、インキパン2の内部にインキカバー41を収容するには、手作業でインキカバー41をインキパン2に差し入れるしかない。
【0087】
針金42cで下支えされたインキカバー41の先端は、インキパン2の内面のうち、張出テーパ面2bまたはテーパ面2aに、傾斜した状態で接触し始める。インキカバー41は撓み易いので、インキカバー41を、インキパン2の内面に沿って奥方に円滑に滑り込むことができる。
【0088】
そうして、図7の下図に示すように、ドクターブレード6が印刷位置に達すると、可撓性を有するインキカバー41の先端部分は、インキパン2の内面に沿って上側が凹むように湾曲する。インキカバー41が適度な弾性を有していれば、インキパン2の内面に弾性変形した状態で支持される。それにより、横長スペースDSを覆うインキカバー41の中間部分は、適度に湾曲し、張った状態となる。
【0089】
横長スペースDSを覆っているインキカバー41の先端部分は、インキパン2の内部に位置している。そのため、横長スペースDSに向かって飛散するインキは、インキカバー41に付着するかインキカバー41を伝ってインキパン2に垂れ落ちる。従って、インキ汚れの拡散を抑制できる。
【0090】
しかも、このインキ飛散防止装置40では、インキカバー41は、ドクターブレード6の変位に伴って、自動的に適切な状態にセットされる。従って、インキカバー41の先端を、インキパン2の側面に貼り付けたりインキパン2の内部に差し入れたりする、煩わしい手作業は不要である。その結果、作業工数が削減でき、印刷の切替時間を短縮できる。
【0091】
しかも、このインキ飛散防止装置40では、直径の異なる版胴4が使用される場合であっても、自動的にセットできる。
【0092】
図8に、印刷機1で使用可能な版胴4のうち、直径が最も大きい版胴4Bが使用された場合でのドクターブレード6の変位過程を示す。事前に、ドクターホルダ30は、印刷機1の制御により、版胴4の直径に合わせて、スライドガイド21に沿ってスライドし、所定位置に位置決めされる。
【0093】
図8に示すように、直径が大きい版胴4Bの場合には、ドクターホルダ30は、スライドガイド21の上方に位置決めされる。それにより、ホルダ軸23の回動中心は、図7の版胴4Sと比べると、版胴4の中心に対して上流側かつ上方に変位している。
【0094】
図8の上図に示すように、待機位置のインキカバー41は、版胴4の直径の大小に関係なく、略水平に張り出した状態となる。そして、図8の中図に示すように、ドクターホルダ30が傾倒してドクターブレード6が下方に向かって旋回すると、インキカバー41は、針金42cによって下支えされた状態で下向きに変位していく。
【0095】
このとき、版胴4Bの直径が大きい分、インキカバー41は版胴4Bの外周面に接触し易くなる。そして、ホルダ軸23の回動中心が、版胴4Bの中心から上流側かつ上方に変位した分、インキカバー41はインキパン2の内部に入り込み難くなる。
【0096】
それに対し、このインキ飛散防止装置40では、インキカバー41の長さが調整され、また、インキカバー41の長さや物性に合わせて針金42cの配置が調整されている。それにより、インキカバー41は、版胴4Bの外周面に接触しないでインキパン2の内部に入り込むように設定されている。
【0097】
ドクターブレード6の下方に位置するインキパン2の側部には、張出テーパ面2bおよびテーパ面2aが設けられている。従って、インキパン2の内部にインキカバー41の先端が入り込めば、これら張出テーパ面2bおよびテーパ面2aにより、インキパン2の内面に沿って上側が凹むように、インキカバー41の湾曲を誘導でき、インキカバー41をインキパン2の奥方に円滑に入れ込むことができる。
【0098】
図8の下図に示すように、版胴4Bの直径が大きい分、印刷位置は、図7の場合よりも上方にシフトしている。それにより、印刷位置では、横長スペースDSが相対的に大きくなって、インキカバー41がインキパン2に入り込む量も相対的に小さくなるが、インキカバー41の長さや物性、針金42cの配置の調整により、インキカバー41で横長スペースDSを覆うことができる。
【0099】
このように、版胴4の直径が異なる場合には、印刷位置が、その直径に応じた異なる位置(径別印刷位置)に変化するが、このインキ飛散防止装置40の場合、インキカバー41の長さや物性、針金42cの配置の調整により、径別印刷位置の広い範囲に適合させることができる。それにより、版胴4の直径が異なる場合でも、予め、これら径別印刷位置の各々に対応可能なインキカバー41の長さや物性、針金42cの配置に調整しておくことで、版胴4の直径の大小に関係無く、共通のインキカバー41および針金42cで、横長スペースDSを安定して自動的に覆うことができる。
【0100】
なお、開示する技術にかかるインキ飛散防止装置は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0101】
例えば、印刷機1の構成は一例である。仕様に応じてその細部構造は変更できる。線材には、針金42cが好ましいが、棒状の部材であってもよい。線材の材質も紐や合成繊維であってもよい。また、カバーガイド42を薄板で構成し、その一方の側縁でインキカバー41を支持するようにしてもよい。
【0102】
インキカバー41は、芯材にロール状に巻き取った帯状のシートをドクターホルダ30に取り付け、そこから断続的に引き出すことによって構成してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 印刷機
2a テーパ面
2b 張出テーパ面
3 ファニッシャロール
4 版胴
5 圧胴
6 ドクターブレード
20 ドクター変位装置
21 スライドガイド(第2支持部)
22 スライド軸(第2支持部)
23 ホルダ軸(第1支持部)
30 ドクターホルダ
40 インキ飛散防止装置
41 インキカバー
42 カバーガイド
42a サイドプレート
42b ガイド支持部
42c 針金(線材)
W ウエブ
DS 横長スペース
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8