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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】防振パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/38 20060101AFI20220406BHJP
   B65D 19/28 20060101ALI20220406BHJP
   B65D 19/32 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
B65D19/38 B
B65D19/28
B65D19/32
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020080730
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021172429
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】520153578
【氏名又は名称】武蔵貿易通関株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592063401
【氏名又は名称】株式会社ナベヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100083253
【弁理士】
【氏名又は名称】苫米地 正敏
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 康幸
(72)【発明者】
【氏名】馬場 美充
(72)【発明者】
【氏名】小林 久良雄
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3118274(JP,U)
【文献】特開2018-165161(JP,A)
【文献】特開2008-239170(JP,A)
【文献】特開2007-039067(JP,A)
【文献】特開平11-189242(JP,A)
【文献】特開平07-291289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/28-19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送する物品が載置される天板部(2)と、緩衝材(31)を備えた複数の駒(3)を介して天板部(2)を支持する基台部(1)を備えた防振パレットであって、
各駒(3)は、基台部(1)に対して脱着可能に固定される固定用部材(30a)と、天板部(2)に対して脱着可能に固定される固定用部材(30b)が緩衝材(31)を介して連結されたものであり、
各駒(3)の固定用部材(30a),(30b)は断面溝形状であり、各駒(3)は、基台部(1)を構成するフレーム材(100)に固定用部材(30a)が嵌め込まれ、天板部(2)を構成するフレーム材(200)に固定用部材(30b)が嵌め込まれ、固定用部材(30a),(30b)が固定手段(5)でそれぞれフレーム材(100),(200)に対して脱着可能に固定されることにより、基台部(1)と天板部(2)にそれぞれ固定され、
パレットの適用荷重範囲(但し、「適用荷重」とはパレットに載置して輸送する物品による荷重を指す。)を、少なくとも適用最小荷重~適用最小荷重×5の範囲とし、
緩衝材(31)の動的バネ定数が異なる複数セットの駒(3)を備えるとともに、該複数セットの駒(3)は、前記適用荷重範囲において固有振動数が7~30Hzとなるような動的バネ定数の緩衝材(31)を備え、
輸送する物品による荷重に応じて、使用する駒(3)のセットを選択できるようにしたことを特徴とする防振パレット。
【請求項2】
緩衝材(31)の動的バネ定数が異なる複数セットの駒(3)のうちの少なくとも1つのセットの緩衝材に対して、動的バネ定数が同等で損失係数が異なる緩衝材(31)を備える駒(3)のセットを、さらに備え、輸送する物品による荷重及び物品の揺れやすさに応じて、使用する駒(3)のセットを選択できるようにしたことを特徴とする請求項に記載の防振パレット。
【請求項3】
少なくとも1つのセットが、損失係数が異なる緩衝材(31)を備えた駒(3)からなることを特徴とする請求項又はに記載の防振パレット。
【請求項4】
平面4角形状のパレットにおいて、パレットの四隅近傍の領域に配置される駒(3x)と、他の領域に配置される駒(3y)を備え、これら駒(3x),(3y)が備える緩衝材(31)の損失係数は駒(3x)>駒(3y)であることを特徴とする請求項に記載の防振パレット。
【請求項5】
天板部(2)は、載置された物品を少なくとも水平方向で拘束するための拘束機構(4)を備えることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の防振パレット。
【請求項6】
拘束機構(4)は、天板部(2)に載置された物品のキャスターを拘束する複数の拘束部材(40)を備え、該各拘束部材(40)は水平方向位置調整可能であることを特徴とする請求項に記載の防振パレット。
【請求項7】
拘束機構(4)は、天板部(2)に載置された物品のアジャスターを拘束する複数の拘束部材(40)を備え、該各拘束部材(40)は水平方向位置調整可能であることを特徴とする請求項に記載の防振パレット。
【請求項8】
拘束機構(4)は、複数の拘束部材(40)を支持するための1対の支持部材(41)を備え、該1対の支持部材(41)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
拘束部材(40)は、支持部材(41)に該支持部材長手方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で支持部材(41)に対して固定可能であることを特徴とする請求項又はに記載の防振パレット。
【請求項9】
拘束機構(4)は、天板部(2)に載置された物品を、水平方向で直交する2方向において両側から挟んで拘束する拘束部材(42)を備え、該各拘束部材(42)は水平方向位置調整可能であることを特徴とする請求項に記載の防振パレット。
【請求項10】
天板部(2)は、その上部に並列した状態で支持される1対の負荷材(24)を備え、該1対の負荷材(24)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
拘束機構(4)は、天板部(2)にそれぞれ支持され、負荷材(24)に載置された物品を一方向で両側から挟んで拘束する1対又は複数対の拘束部材(42a)と、各負荷材(24)にそれぞれ支持され、負荷材(24)に載置された物品を、拘束部材(42a)による拘束方向と直交する方向で両側から挟んで拘束する1対の拘束部材(42b)とを備え、
1対又は複数対の拘束部材(42a)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
各1対の拘束部材(42b)は、負荷材(24)に負荷材長手方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置において負荷材(24)に対して固定可能であることを特徴とする請求項に記載の防振パレット。
【請求項11】
拘束機構(4)は、拘束部材(42a)を支持するための1対の支持部材(45)を備え、該1対の支持部材(45)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
拘束部材(42a)は、支持部材(45)に該支持部材長手方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で支持部材(45)に対して固定可能であることを特徴とする請求項10に記載の防振パレット。
【請求項12】
拘束機構(4)は、天板部(2)にそれぞれ支持され、天板部(2)に載置された物品を、一方向で両側から挟んで拘束する1対の拘束部材(42c)と、該1対の拘束部材(42c)による拘束方向と直交する方向で両側から挟んで拘束する1対の拘束部材(42d)とを備え、
1対の拘束部材(42c)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
1対の拘束部材(42d)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であることを特徴とする請求項に記載の防振パレット。
【請求項13】
拘束機構(4)が天板部(2)に対して脱着可能であり、
物品の拘束方式が異なる複数の拘束機構(4)を備え、輸送する物品の種類に応じて、天板部(2)に装着する拘束機構(4)を選択できるようにしたことを特徴とする請求項に記載の防振パレット。
【請求項14】
物品の拘束方式が異なる複数の拘束機構(4)は、請求項12に記載の拘束機構(4)のうちの2つ以上であることを特徴とする請求項13に記載の防振パレット。
【請求項15】
請求項に記載の防振パレットの使用方法であって、輸送する物品の荷重に応じて、固有振動数が7~30Hzとなるような動的バネ定数の緩衝材(31)を備えた駒(3)のセットを選択して、防振パレットに取り付けることを特徴とする防振パレットの使用方法。
【請求項16】
請求項1~14のいずれかに記載の防振パレットがコンテナ内の床部に設置されたことを特徴とする輸送用コンテナ。
【請求項17】
防振パレットの基台部(1)がコンテナ内の床部により構成されることを特徴とする請求項16に記載の輸送用コンテナ。
【請求項18】
請求項に記載の防振パレットが床部に設置されたコンテナの使用方法であって、輸送する物品の荷重に応じて、固有振動数が7~30Hzとなるような動的バネ定数の緩衝材(31)を備えた駒(3)のセットを選択して、防振パレットに取り付けることを特徴とする輸送用コンテナの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振手段に特徴がある防振パレットであって、特に精密機器などの輸送に好適な防振パレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工業製品をはじめとする様々な物品を輸送するために、輸送用パレットが用いられているが、特に、輸送する物品が医療機器や計測機器などのような精密機器の場合には、輸送中の物品の防振を十分に確保する必要がある。このため、地面と接する下部部材(基台)と物品を載せる上部部材(天板)間に防振パッドやスプリングなどの緩衝材(防振材)を介在させ、輸送中の物品の防振を図るようにした防振パレットが用いられている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
ここで、防振パレットに使用される緩衝材は、輸送する物品の荷重に応じて適正化された動的バネ定数を有する必要があり、緩衝材の動的バネ定数が適正でないと十分な緩衝効果(防振効果)が得られない。
しかし、従来の防振パレットは、緩衝材を簡単に交換できるような構造にはなっておらず、このため、1つの防振パレットで輸送できる物品の重量に制限があり、汎用性に乏しい欠点がある。
【0004】
これに対して、特許文献3には、輸送する物品の荷重に応じて緩衝材を交換できるようにした防振パレット(コンテナ)として、パレットの中央部に昇降部を設け、パレット上に移動させた物品(輸送する物品)を昇降部により一時的に持ち上げ、その状態でパレットと物品の間に緩衝材を備えた支持部を差し込み、その後、昇降部を下降させることで、物品が支持部上に載置されるようにしたものが示されており、緩衝材を備えた支持部は物品の荷重に応じて交換可能であり、適切な防振状態で物品を輸送できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3118274号公報
【文献】特開2009-234619号公報
【文献】特開2009-234625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献3の防振パレットは、昇降部とその駆動機構が必要であるため、構造が複雑であり、パレット自体の重量も大きく、さらに製作コストも高いという問題がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、輸送する物品の荷重や揺れやすさに応じて緩衝材を比較的簡単に交換でき、しかも、構造が簡単で安価に製作できる防振パレットを提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのような防振パレットを利用したコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]輸送する物品が載置される天板部(2)と、緩衝材(31)を備えた複数の駒(3)を介して天板部(2)を支持する基台部(1)を備えた防振パレットであって、
各駒(3)は、基台部(1)に対して脱着可能に固定される固定用部材(30a)と、天板部(2)に対して脱着可能に固定される固定用部材(30b)が緩衝材(31)を介して連結されたものであることを特徴とする防振パレット。
[2]上記[1]の防振パレットにおいて、緩衝材(31)の動的バネ定数又は/及び損失係数が異なる複数セットの駒(3)を備え、輸送する物品による荷重又は/及び物品の揺れやすさに応じて、使用する駒(3)のセットを選択できるようにしたことを特徴とする防振パレット。
【0008】
[3]上記[2]の防振パレットにおいて、緩衝材(31)の動的バネ定数が異なる複数セットの駒(3)を備えるとともに、そのうちの少なくとも1つのセットの緩衝材に対して、動的バネ定数が同等で損失係数が異なる緩衝材(31)を備える駒(3)のセットを、さらに備え、輸送する物品による荷重及び物品の揺れやすさに応じて、使用する駒(3)のセットを選択できるようにしたことを特徴とする防振パレット。
[4]上記[2]又は[3]の防振パレットにおいて、少なくとも1つのセットが、損失係数が異なる緩衝材(31)を備えた駒(3)からなることを特徴とする防振パレット。
【0009】
[5]上記[4]の防振パレットにおいて、平面4角形状のパレットにおいて、パレットの四隅近傍の領域に配置される駒(3x)と、他の領域に配置される駒(3y)を備え、これら駒(3x),(3y)が備える緩衝材(31)の損失係数は駒(3x)>駒(3y)であることを特徴とする防振パレット。
[6]上記[1]~[5]のいずれかの防振パレットにおいて、各駒(3)は、基台部(1)を構成するフレーム材(100)に固定用部材(30a)が脱着可能に固定され、天板部(2)を構成するフレーム材(200)に固定用部材(30b)が脱着可能に固定されることにより、基台部(1)と天板部(2)にそれぞれ固定されることを特徴とする防振パレット。
【0010】
[7]上記[6]の防振パレットにおいて、各駒(3)の固定用部材(30a),(30b)は断面溝形状であり、各駒(3)は、基台部(1)を構成するフレーム材(100)に固定用部材(30a)が嵌め込まれ、天板部(2)を構成するフレーム材(200)に固定用部材(30b)が嵌め込まれ、固定用部材(30a),(30b)が固定手段(5)でそれぞれフレーム材(100),(200)に対して脱着可能に固定されることにより、基台部(1)と天板部(2)にそれぞれ固定されることを特徴とする防振パレット。
【0011】
[8]上記[1]~[7]のいずれかの防振パレットにおいて、天板部(2)は、載置された物品を少なくとも水平方向で拘束するための拘束機構(4)を備えることを特徴とする防振パレット。
[9]上記[8]の防振パレットにおいて、拘束機構(4)は、天板部(2)に載置された物品のキャスターを拘束する複数の拘束部材(40)を備え、該各拘束部材(40)は水平方向位置調整可能であることを特徴とする防振パレット。
[10]上記[8]の防振パレットにおいて、拘束機構(4)は、天板部(2)に載置された物品のアジャスターを拘束する複数の拘束部材(40)を備え、該各拘束部材(40)は水平方向位置調整可能であることを特徴とする防振パレット。
【0012】
[11]上記[9]又は[10]の防振パレットにおいて、拘束機構(4)は、複数の拘束部材(40)を支持するための1対の支持部材(41)を備え、該1対の支持部材(41)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
拘束部材(40)は、支持部材(41)に該支持部材長手方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で支持部材(41)に対して固定可能であることを特徴とする防振パレット。
[12]上記[8]の防振パレットにおいて、拘束機構(4)は、天板部(2)に載置された物品を、水平方向で直交する2方向において両側から挟んで拘束する拘束部材(42)を備え、該各拘束部材(42)は水平方向位置調整可能であることを特徴とする防振パレット。
【0013】
[13]上記[12]の防振パレットにおいて、天板部(2)は、その上部に並列した状態で支持される1対の負荷材(24)を備え、該1対の負荷材(24)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
拘束機構(4)は、天板部(2)にそれぞれ支持され、負荷材(24)に載置された物品を一方向で両側から挟んで拘束する1対又は複数対の拘束部材(42a)と、各負荷材(24)にそれぞれ支持され、負荷材(24)に載置された物品を、拘束部材(42a)による拘束方向と直交する方向で両側から挟んで拘束する1対の拘束部材(42b)とを備え、
1対又は複数対の拘束部材(42a)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
各1対の拘束部材(42b)は、負荷材(24)に負荷材長手方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置において負荷材(24)に対して固定可能であることを特徴とする防振パレット。
【0014】
[14]上記[13]の防振パレットにおいて、拘束機構(4)は、拘束部材(42a)を支持するための1対の支持部材(45)を備え、該1対の支持部材(45)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
拘束部材(42a)は、支持部材(45)に該支持部材長手方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で支持部材(45)に対して固定可能であることを特徴とする防振パレット。
【0015】
[15]上記[12]の防振パレットにおいて、拘束機構(4)は、天板部(2)にそれぞれ支持され、天板部(2)に載置された物品を、一方向で両側から挟んで拘束する1対の拘束部材(42c)と、該1対の拘束部材(42c)による拘束方向と直交する方向で両側から挟んで拘束する1対の拘束部材(42d)とを備え、
1対の拘束部材(42c)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であり、
1対の拘束部材(42d)は、天板部(2)に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部(2)に対して固定可能であることを特徴とする防振パレット。
【0016】
[16]上記[8]の防振パレットにおいて、拘束機構(4)が天板部(2)に対して脱着可能であり、
物品の拘束方式が異なる複数の拘束機構(4)を備え、輸送する物品の種類に応じて、天板部(2)に装着する拘束機構(4)を選択できるようにしたことを特徴とする防振パレット。
[17]上記[16]の防振パレットにおいて、物品の拘束方式が異なる複数の拘束機構(4)は、上記[9]~[15]の拘束機構(4)のうちの2つ以上であることを特徴とする防振パレット。
[18]上記[2]の防振パレットの使用方法であって、輸送する物品の荷重に応じて、固有振動数が7~30Hzとなるような動的バネ定数の緩衝材(31)を備えた駒(3)のセットを選択して、防振パレットに取り付けることを特徴とする防振パレットの使用方法。
【0017】
[19]上記[1]~[17]のいずれかの防振パレットがコンテナ内の床部に設置されたことを特徴とする輸送用コンテナ。
[20]上記[19]の輸送用コンテナにおいて、防振パレットの基台部(1)がコンテナ内の床部により構成されることを特徴とする輸送用コンテナ。
[21]上記[2]の防振パレットが床部に設置されたコンテナの使用方法であって、輸送する物品の荷重に応じて、固有振動数が7~30Hzとなるような動的バネ定数の緩衝材(31)を備えた駒(3)のセットを選択して、防振パレットに取り付けることを特徴とする輸送用コンテナの使用方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の防振パレットの一実施形態を示すもので、天板部と基台部を分離した状態で示す部分切欠斜視図
図2図1の実施形態の防振パレットにおける駒の1つを部分的に示す斜視図
図3図1の実施形態の防振パレットにおける基台部及び天板部に対する駒の取付固定部の縦断面図
図4図1の実施形態の防振パレットの使用状態を模式的に示す説明図
図5】本発明の防振パレットで使用する複数セットの駒が備える緩衝材について、適用荷重と固有振動数との関係を例示したグラフ
図6】本発明の防振パレットにおける1セットの駒(9個)の配置例を模式的に示すもので、図6(ア)は1つのセットで損失係数が同じ緩衝材(緩衝材A)を用いた例、図6(イ)は1つのセットで損失係数が異なる緩衝材(緩衝材A、A’)を用いた例をそれぞれ示す説明図
図7図6(ア)、(イ)に示す駒の各セットの緩衝材の損失係数に基づく伝達特性を示すグラフ
図8】本発明の防振パレットにおいて、駒を基台部及び天板部に固定する固定手段(固定機構)の他の実施形態を示すもので、基台部及び天板部に対する駒の取付固定部の縦断面図
図9】本発明の防振パレットにおいて、駒を基台部及び天板部に固定する固定手段(固定機構)の他の実施形態を示すもので、基台部及び天板部に対する駒の取付固定部の縦断面図
図10】本発明の防振パレットにおいて、駒を基台部及び天板部に固定する固定手段(固定機構)の他の実施形態を示すもので、基台部及び天板部に対する駒の取付固定部の縦断面図
図11】本発明の防振パレットであって、天板部が物品の拘束機構を備えた防振パレットの一実施形態を示す全体斜視図
図12図11中のB-B線に沿う部分切欠断面図
図13図11中のC-C線に沿う断面図
図14図11中のD-D線に沿う断面図
図15図11の実施形態の防振パレットにおいて、拘束機構の拘束部材が物品のキャスターを拘束した状態を示す説明図(拘束部材の平面図)
図16図11の実施形態の防振パレットにおいて、基台部の受け部に梱包カバーを支持させた状態を示す説明図
図17】本発明の防振パレットであって、天板部が物品の拘束機構を備えた防振パレットの他の実施形態を示す全体斜視図
図18図17の実施形態の防振パレットにおいて、拘束機構の拘束部材が物品のアジャスターを拘束した状態における拘束部材及び支持部材の縦断面図(図17中のL-L線に沿う断面図)
図19】本発明の防振パレットであって、天板部が物品の拘束機構を備えた防振パレットの他の実施形態を示す全体斜視図
図20図19中のE-E線に沿う断面図
図21図19中のF-F線に沿う断面図
図22図19中のG-G線に沿う断面図
図23図19中のH-H線に沿う部分切欠断面図
図24図19の実施形態の防振パレットにおいて、拘束部材が物品を拘束した状態を模式的に示す平面図
図25】本発明の防振パレットであって、天板部が物品の拘束機構を備えた防振パレットの他の実施形態を示す全体斜視図
図26図25中のI-I線に沿う断面図
図27図25中のJ-J線に沿う断面図
図28図25中のK-K線に沿う部分切欠断面図
図29図25の実施形態の防振パレットにおいて、拘束部材が物品を拘束した状態を模式的に示す平面図
図30】本発明の防振パレットを組み込んだコンテナを模式的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図4は、本発明の防振パレットの一実施形態を示すもので、図1は天板部と基台部を分離した状態で示す部分切欠斜視図、図2は駒の1つを部分的に示す斜視図、図3は基台部及び天板部に対する駒の取付固定部の縦断面図、図4は防振パレットの使用状態を模式的に示す説明図である。
本発明の防振パレットは、輸送する物品g(荷物)が載置される(但し、負荷材などを介して載置される場合を含む。)天板部2と、緩衝材31(防振材)を備えた複数の駒3を介して天板部2を支持する基台部1(台座)を備えている。
【0020】
基台部1は、天板部2を支持するためのフレーム体からなる本体部10と、この本体部10を支える4本の脚部11と、各脚部11の上部に連成される柱部12などを備えている。本体部10は、複数のフレーム材100(角パイプ、形鋼材など)を組み立て・接合して構成されている。本体部10は、平面4角形状の枠体10x(4隅に脚部11及び柱部12が設けられる外枠)を構成するフレーム材100と、この枠体10xの内側に梁状に設けられるフレーム材100を備え、本実施形態では、この梁状のフレーム材100の複数個所に駒3(駒3の固定用部材30a)が取付固定される。それら駒3の取付固定部となるフレーム材100の箇所には、固定手段5である締結用ボルトを挿通させるための挿通孔101が水平方向に貫設されている。
【0021】
天板部2は、平面4角形状であり、フレーム体20と、このフレーム体20に支持される板体21(天板本体)を備えている。フレーム体20は、複数のフレーム材200(角パイプ、形鋼材など)を組み立て・接合して構成されている。フレーム体20は、平面4角形状の枠体20x(外枠)を構成するフレーム材200と、この枠体20xの内側に梁状に設けられるフレーム材200を備え、本実施形態では、この梁状のフレーム材200の複数個所に駒3(駒3の固定用部材30b)が取付固定される。それら駒3の取付固定部となるフレーム材200の箇所には、固定手段5である締結用ボルトを挿通させるための挿通孔201が水平方向に貫設されている。
【0022】
天板部2は、その全周(平面4角形状の4辺)に沿ってガイドレール部22を有している。本実施形態では、フレーム体20の枠体20x(外枠)を構成するフレーム材200が断面箱型ないし門型の部材(形鋼材など)からなり、このフレーム材200の上部長手方向に沿ってガイド孔220を設けることにより、ガイドレール部22が形成されている。このガイドレール部22は、図4に示すような掛止用部材28をスライド移動可能に設けたり、天板部2上で物品を支持するための負荷材(例えば、後述する図19に示すような負荷材24)をスライド移動可能に設けたり、載置した物品を拘束するための各種形式の拘束機構(例えば、後述する図11図29に示すような各種形式の拘束機構4)を構成する部材をスライド移動可能に設けたりするのに利用される。したがって、このようにガイドレール部22が形成された天板部2を備えることにより、1つの防振パレットにおいて、載置した物品を拘束するための各種形式の拘束機構(例えば、後述する図11図29に示すような各種形式の拘束機構4)を交換して選択的に取り付けすることが可能となる。なお、ガイドレール部22は、例えば、天板部2の対向する2辺にのみ設けてもよい(例えば、後述する図11図17図19などの実施形態においてガイドレール部22aのみを設ける)。
基台部1と天板部2の材質は、耐久性の観点から金属製が好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、一部を樹脂材などで構成してもよい。
【0023】
各駒3は、図2に示すように、基台部1に対して脱着可能に固定される固定用部材30aと、天板部2に対して脱着可能に固定される固定用部材30bが緩衝材31を介して連結されたものであり、本実施形態の各駒3は、基台部1を構成するフレーム材100に固定用部材30aが脱着可能に固定され、天板部2を構成するフレーム材200に固定用部材30bが脱着可能に固定されることにより、基台部1と天板部2にそれぞれ固定される。緩衝材31は、平面4角形状の板状パッドであり、その詳細は後述する。
本実施形態では、各駒3の固定用部材30a,30bの本体は、底板部300と両側板部301からなる断面溝形状であり、それぞれの両側板部301に、固定手段5である締結用ボルトを挿通させるための挿通孔302が形成されている。
【0024】
固定用部材30aの底板部300と緩衝材31の下面、固定用部材30bの底板部300と緩衝材31の上面は、それぞれ接着剤により接合されている。
また、本実施形態では、パレット使用時の揺れにより変形した緩衝材31が水平方向にずれないようにするために、緩衝材31が接合される固定用部材30a,30bの各底板部300の外周に、緩衝材31の下部周縁と上部周縁をそれぞれ拘束する枠状部320(枠状の板部)が突設され、緩衝材31はこの枠状部320の内側に嵌め込まれるようにして、固定用部材30a,30bの各底板部300に接合されている。
【0025】
図3に示すように、各駒3は、基台部1を構成するフレーム材100に固定用部材30aが嵌め込まれ、天板部2を構成するフレーム材200に固定用部材30bが嵌め込まれ、これら固定用部材30a,30bとフレーム材100,200を固定手段5である締結用ボルト・ナットで締結することにより、基台部1と天板部2にそれぞれ脱着可能に固定される。すなわち、フレーム材100の挿通孔101と固定用部材30aの挿通孔302にボルト50を挿通させてナット51で締め付け、フレーム材200の挿通孔201と固定用部材30bの挿通孔302にボルト50を挿通させてナット51で締め付けることで固定する。
【0026】
本実施形態では、基台部1と天板部2間に9個の駒3が分散して配置され、これらの駒3により天板部2を基台部1に安定して支持させるようにしている。ここで、駒3の個数やレイアウトは特に限定しないが、駒3は天板部2が基台部1に支持される支持点となるので、天板部2を4点以上の十分な数の支持点(駒)で基台部1に安定して支持させることが好ましく、このため載置される物品gの荷重配分や天板部2の撓みなども考慮して適宜選択される。一般に、駒3の個数は天板部1m当たり1~16個程度(したがって標準的なパレットサイズである110cm×110cmでは4~19個程度)が好ましい。
【0027】
緩衝材31の材質は特に限定しないが、特に、比較的高い防振性能を有しかつ荷重を受ける面積で動的バネ定数を変更できるポリウレタンエラストマー、防振ゴムなどが好ましく、そのなかでも、固有振動数を低くすることができ、成分組成を変えることで広い荷重範囲に適切な緩衝効果が得られるエーテル系の発泡ポリウレタンエラストマーが好ましい。
また、緩衝材31のサイズや厚さも特に限定しないが、一般には、サイズは25cm(例えば5cm×5cm)~400cm(例えば20cm×20cm)程度、厚みは10mm~50mm程度が好ましい。
【0028】
本発明の防振パレットは、輸送する物品gの荷重(負荷)や揺れやすさに応じて緩衝材を交換できるようにするため、緩衝材31の動的バネ定数や損失係数(動的損失率)が異なる複数セットの駒3を備えることが好ましい。図1図4の実施形態の防振パレットでは、天板部2が9個の駒3を介して基台部1に支持されるので、駒3は9個で1セットであり、このような9個で1セットの駒3であって、セットごとに緩衝材31の動的バネ定数又は/及び損失係数が異なる複数セットの駒3を備え、輸送する物品gによる荷重又は/及び物品gの揺れやすさに応じて、使用する駒3のセットを選択して交換(変更)できるようにしている。ここで、本発明において、動的バネ定数とはJIS K6385に準拠して測定されるものであり、また、損失係数とはDIN 53513に準拠して測定されるものである。
なお、各駒3は、基台部1と天板部2に対して脱着可能であるので、搬送対象の物品gによっては、必要に応じて、基台部1と天板部2間に取り付ける駒3の数を減らす(すなわち9個よりも少なくする)ようにしてもよい。
【0029】
1つのセット内の複数の駒3は、動的バネ定数又は/及び損失係数が異なる緩衝材31を備える場合があり、その場合には、セットごとの「緩衝材31の動的バネ定数」とは、1セット内でのすべての駒3の緩衝材31の動的バネ定数の合計値とし、また、セットごとの「緩衝材31の損失係数」とは、1セット内でのすべての駒3の緩衝材31の損失係数に基づく合成損失係数とする。ここで、例えば、各駒3の緩衝材31の動的バネ定数が同じである場合には、緩衝材31の合成損失係数ηは、駒3の総数をX個、そのうち損失係数ηaの緩衝材を使用した駒3がx個、損失係数ηbの緩衝材を使用した駒3がx個、損失係数ηcの緩衝材を使用した駒3がx個・・・であるとした場合、η=(ηa×x+ηb×x+ηc×x・・・)/Xで求めることができる。
【0030】
防振システム(振動系)の固有振動数は、緩衝材31の動的バネ定数と載置する物品gによる荷重によって決まる。すなわち、固有振動数fと物品gの質量m、動的バネ定数kの関係は下式で表される。
【数1】
一般に、防振効果の面では固有振動数は低い方が好ましいが、低すぎると物品gの荷重を支えられなくなる。このような観点から、固有振動数は7~30Hz程度が好ましい。したがって、緩衝材31としては、載置する物品gによる荷重に応じて、固有振動数が7~30Hzとなるような動的バネ定数のものを選択することが好ましい。すなわち、輸送する物品gの荷重に応じて、固有振動数が7~30Hzとなるような動的バネ定数の緩衝材31を備えた駒3のセットを選択して、防振パレットに取り付けることが好ましい。
【0031】
一例として、動的バネ定数が異なる5種類の緩衝材31(防振パッド)を使用する場合について、適用荷重範囲と固有振動数との関係を図5に示す。ここで緩衝材31(緩衝材A~E)に使用したのは、組成又はサイズが異なることによって動的バネ定数が異なる5種類の発泡ポリウレタンエラストマーであり、例えば、緩衝材Aでは適用荷重範囲1161~510kgにおいて、また、緩衝材Bでは適用荷重範囲631~330kgにおいて、それぞれ固有振動数が7~30Hzの範囲内となり、適正な防振効果が得られることが判る。図1図4の実施形態の防振パレットが、図5に示した緩衝材A~Eをそれぞれ備えた5セットの駒3を備える場合の使用荷重範囲(物品gによる荷重範囲)と各使用荷重範囲における固有振動数を、緩衝材A~Eの動的バネ定数とともに表1に示す。この防振パレットは、125~1161kgの範囲において、物品gによる荷重に応じて駒3のセットを使い分ける(5セットの中から選択して使用する)ことにより、適正な防振効果が得られることが分かる。
【0032】
【表1】
【0033】
本発明の防振パレットが、緩衝材31の動的バネ定数が異なる複数セットの駒3を備える場合、防振パレットの適用荷重範囲やこれに応じた駒3のセット数は特に限定されないが、一般的には、防振パレットの適用荷重範囲を、少なくとも「適用最小荷重~適用最小荷重×5」(この適用荷重範囲はさらに広くてもよい)程度とし、これに応じた駒3のセット数を4以上(好ましくは5以上)とすることが望ましい。具体例としては、防振パレットの適用荷重範囲を、少なくとも200~1000kg(この適用荷重範囲はさらに広くてもよい)とし、これに応じた駒3のセット数を4以上(好ましくは5以上)とする。
【0034】
また、物品gには重心の高低などによって揺れやすさに違いがあり、揺れやすい物品gについて所望の減衰効果を得たい場合(揺れを早く収めたい場合)には、損失係数が高い緩衝材を用いることが好ましい。したがって、上述したような固有振動数(好ましくは7~30Hz)とこれに応じて選択される動的バネ定数の範囲において、緩衝材31の損失係数が異なる複数セットの駒3を備えてもよい。ここで、緩衝材31の損失係数は、低すぎると減衰効果が乏しく、高すぎると防振効果(振動低減率)が低下することから、0.05~0.6程度の範囲で選択することが好ましい。
【0035】
ここで、本発明の防振パレットが、緩衝材31の損失係数が異なる複数セットの駒3を備える場合としては、緩衝材31の動的バネ定数が同等で損失係数のみが異なる複数セットの駒3のみを備えるようにすることもできるが、通常は、緩衝材31の動的バネ定数が異なる複数セットの駒3を備えるとともに、そのうちの少なくとも1つのセットの緩衝材に対して、動的バネ定数が同等で損失係数が異なる緩衝材31を備える駒3のセットを、さらに備えるものとなる。ここで、動的バネ定数が同等とは、動的バネ定数の値が±10%(好ましくは±5%)以内程度であることを指す。表2は、そのような駒3のセットを備えた防振パレットの例を示している。すなわち、表2の防振パレットは、表1に示す緩衝材A~Eをそれぞれ備えた5セットの駒3に加えて、さらに、緩衝材A~Cと同等の動的バネ定数でありながら、損失係数が高い緩衝材A’~C’を備えた3セットの駒3を備えるものである。これら緩衝材A’~C’を備えた3セットの駒3は、例えば、重心が高く揺れやすい物品gを載置する場合に選択的に使用される。なお、緩衝材A’~C’の動的バネ定数は、これら緩衝材A’~C’のサイズ(例えば長さ)を調整することで、緩衝材A~Cと同等にすることができる。
【0036】
【表2】
【0037】
したがって、本発明の防振パレットが備える交換可能な複数セットの駒3としては、例えば、以下のような実施形態が挙げられる。
(i)緩衝材31の動的バネ定数が異なる複数セットの駒3を備え、輸送する物品gによる荷重に応じて、使用する駒3のセットを選択して交換できるようにする。(例えば、表1の実施形態)
(ii)緩衝材31の損失係数が異なる複数セットの駒3を備え、輸送する物品gの揺れやすさに応じて、使用する駒3のセットを選択して交換できるようにする。
(iii)緩衝材31の動的バネ定数が異なる複数セットの駒3を備えるとともに、そのうちの少なくとも1つのセットの緩衝材に対して、動的バネ定数が同等で損失係数が異なる緩衝材31を備える駒3のセットを、さらに備えるものとし、輸送する物品gによる荷重及び物品gの揺れやすさに応じて、使用する駒3のセットを選択して交換できるようにする。(例えば、表2の実施形態)
【0038】
また、1つのセットにおいて、損失係数が異なる緩衝材31を用いてもよく、この場合には、損失係数が異なる緩衝材31の組み合わせや数を適宜選択することにより、損失係数(1つのセット内の緩衝材31の合成損失係数)の調整が容易になる。また、物品gによる荷重が偏荷重である場合にも有効である。
図6に、1セットの駒3(9個)の配置例を模式的に示す。このうち図6(イ)は、1つのセットで損失係数が異なる緩衝材31(表2の緩衝材A,A’)を用いた例であり、9個の駒3は、損失係数0.10の緩衝材Aを備えた駒3:5個、損失係数0.30の緩衝材A’を備えた駒3:4個からなる。一方、図6(ア)は、1つのセットで損失係数が同じ緩衝材31(表2の緩衝材A)を用いた例であり、9個の駒3はすべて損失係数0.10の緩衝材Aを備えている。
【0039】
表3に、図6(ア)、(イ)の各セットにおける緩衝材31の損失係数(図6(イ)の場合には合成損失係数)と動的バネ定数、使用荷重800kgにおける固有振動数を示す。なお、図6(イ)の場合の損失係数η(合成損失係数)は、損失係数0.10の緩衝材Aを5個、損失係数0.30の緩衝材A’を4個使用したことから、η=(0.10×5+0.30×4)/(5+4)で求めたものである。表3によれば、図6(ア)、(イ)のセットは、緩衝材31の動的バネ定数は同等であるが、図6(ア)のセットにおける緩衝材31の損失係数が0.10であるのに対して、損失係数が異なる緩衝材A,A’を用いた図6(イ)のセットでは、緩衝材31の損失係数は0.19まで高くなっている。
【0040】
【表3】
【0041】
図7に、図6(ア)、(イ)の各セットの緩衝材31の損失係数に基づく伝達特性を示す。これによれば、緩衝材31の損失係数が0.19の図6(イ)のセットでは、緩衝材31の損失係数が0.10の図6(ア)のセットに比べて、防振効果(高周波域での振動低減率)がやや劣るが、減衰性能が高くなっている(共振での振動増幅率が下がり、共振周波数での揺れが抑制される)ことが判る。
また、図6(イ)のように、1つのセットにおいて損失係数が異なる緩衝材31を用いれば、損失係数が異なる緩衝材31の組み合わせや数(比率)を変えることにより、1つのセット内の緩衝材31の損失係数(1つのセット内の緩衝材31の合成損失係数)の調整が容易になる利点がある。
また、図6(イ)に示すように、平面4角形状のパレットにおいて、パレットの四隅近傍の領域(部位)に配置される駒3xと、他の領域(部位)に配置される駒3yを備える場合、これら駒3x,3yが備える緩衝材31の損失係数は駒3x>駒3yとすることが好ましい。このような構成とすることにより、物品gの重心が高いことにより大きくなるローリングやピッチング方向の揺れを効率よく低減することができる。
【0042】
本発明の防振パレットは、輸送する物品gが天板部2に載置されるが、基台部1に対して天板部2を支持する複数の駒3の緩衝材31の作用により、天板部2に載置された物品gの所望の防振効果が得られる。なお、天板部2に物品gが載置されるとは、天板部2に物品gが直に載置される場合のほかに、後述する実施形態のように負荷材などを介して載置される場合を含む。
一般に、天板部2に載置された物品gは適当な拘束・固定手段で天板部2に固定される。例えば、図4に示すように天板部2に載置された物品gにラッシングベルトxを掛け回し、このラッシングベルトxの端部のフックyを天板部2(又は基台部1)に設けられた掛止用部材28に引っ掛けて係止する。
これにより、天板部2に載置された物品gを拘束・固定することができるが、物品gに応じてより適切に拘束することができる機構を備えることが好ましく、具体的には、天板部2が、載置された物品gを少なくとも水平方向で拘束するための拘束機構4を備えることが好ましい。これについては後に詳述する。
【0043】
駒3を基台部1及び天板部2に脱着可能に固定するための固定手段5(固定機構)としては、図1図4に示す実施形態の方式(ボルト50,ナット51による締結方式)に限らず、種々の方式のものを採用できる。
図8は、固定手段5(固定機構)の他の実施形態(方式)を示すものであり、駒3の取付固定部の縦断面図である。
この実施形態では、駒3を構成する固定用部材30a,30bが板バネ材で構成されるとともに、その側板部301の内側面に係合用の突起部303が形成されている。一方、駒3の取付固定部におけるフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)の各両側面には、駒3の突起部303を係合させるための係合用穴102,202が形成されている。そして、これら突起部303と係合用穴102,202が固定手段5(固定機構)を構成している。
【0044】
固定用部材30a,30bの開放端部を構成する側板部301の先端部304は、固定用部材30a,30bをフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)にそれぞれ嵌め込み易くするため、駒3の外側方向に湾曲した形状に構成されている。
その他の構成は、図2及び図3の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態の突起部303は、側板部301の一部を内側に突出成形することにより構成されているが、側板部301の内側面に他の部材を接合することなどにより構成してもよい。
【0045】
この実施形態では、駒3の固定用部材30aをフレーム材100(基台部1)に取り付けする際には、固定用部材30aの側板部301が、突起部303の高さの分だけ弾性変形して外側に開くことで、固定用部材30aがフレーム材100に嵌め込まれる。そして、側板部301の突起部303がフレーム材100の係合用穴102に係合することで、固定用部材30aがフレーム材100に脱着可能に固定される。同様に、駒3の固定用部材30bをフレーム材200(天板部2)に取り付けする際には、固定用部材30bの側板部301が、突起部303の高さの分だけ弾性変形して外側に開くことで、固定用部材30bがフレーム材200に嵌め込まれる。そして、側板部301の突起部303がフレーム材200の係合用穴202に係合することで、固定用部材30bがフレーム材200に脱着可能に固定される。これにより、駒3がフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)にそれぞれ固定された状態になる。
また、駒3をフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)から取り外すには、固定用部材30a,30bを、それらの両側板部301の弾性力に抗してフレーム材100とフレーム材200から引き抜くことにより、突起部303がフレーム材100,200の係合用穴102,202から外れ、駒3を取り外すことができる。
【0046】
図9は、固定手段5(固定機構)の他の実施形態(方式)を示すものであり、図9(ア)は駒3の取付固定部の縦断面図、図9(イ)は図9(ア)のA-A線に沿う断面図である。この実施形態では、固定手段5に磁石を利用したものであり、断面溝形状の固定用部材30a,30bの内底部(底板部300)に磁石305を設け、この磁石305の磁力(吸着力)により固定用部材30a,30bがフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)にそれぞれ脱着可能に固定されるようにしたものである。
【0047】
固定用部材30a,30bの内底部の一部(本実施形態では内底部長手方向の中央部)にはストッパ部306が突設され、そのストッパ部306以外の内底部に磁石305(永久磁石)が配され、内底部に接着剤などで接合・固定されている。一方、駒3の取付固定部におけるフレーム材100(基台部1)の上面と、同じくフレーム材200(天板部2)の下面には、駒3側のストッパ部306が係合する係合用穴103,203が形成されている。そして、これら磁石305とストッパ306及び係合用穴103,203が固定手段5(固定機構)を構成している。なお、ストッパ部306は、固定用部材30a,30bの長手方向で2か所以上に設けてもよく、その場合には、係合用穴103,203もフレーム材100,200の長手方向でそれぞれ2か所以上設けられる。
その他の構成は、図2及び図3の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0048】
この実施形態では、駒3の固定用部材30a,30bをフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)にそれぞれ嵌め込むと、磁石305がフレーム材100とフレーム材200に吸着し、さらに、ストッパ部306が係合用穴103,203に係合することで駒3の水平方向での位置ずれも抑えられることにより、駒3がフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)にそれぞれ確実に取付固定される。
駒3をフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)から取り外すには、固定用部材30a,30bを磁石305の吸着力に抗してフレーム材100とフレーム材200から引き抜けばよい。
【0049】
図10は固定手段5(固定機構)の他の実施形態(方式)を示すものであり、駒3の取付固定部の縦断面図である。
この実施形態では、駒3を構成する固定用部材30a,30bの側板部301に、先端が側板部301の内側面から出没可能なピン307とこのピン307を付勢してピン先端を側板部301の内側面から突出させるスプリング308を内蔵させいている。一方、駒3の取付固定部におけるフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)の各両側面には、駒3のピン307の先端部を係合させるための係合用穴104,204が形成されている。そして、これらピン307と係合用穴104,204などが固定手段5(固定機構)を構成している。
【0050】
ピン307の途中には、スプリング308の一端が当接する段部310が形成されている。一方、固定用部材30a,30bの側板部301には、ピン307を取付するための取付穴309が貫設され、この取付穴309の内側には、スプリング308の他端が当接する段部311が形成されている。ピン307は、取付穴309に挿通されるとともに、スプリング308が外装され、このスプリング308の各端部が段部310,311に当接している。このスプリング308により、ピン307が固定用部材30a,30bの内側方向に付勢される。
なお、側板部301の外側に突き出たピン307の部分には、ピン抜け止め用のストッパ312が設けられている。
その他の構成は、図2及び図3の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0051】
この実施形態では、駒3の固定用部材30aをフレーム材100(基台部1)に嵌め込んで取り付けする際には、スプリング308で付勢されたピン307がフレーム材100の係合用穴104に係合することで、固定用部材30aがフレーム材100に脱着可能に固定される。同様に、駒3の固定用部材30bをフレーム材200(天板部2)に嵌め込んで取り付けする際には、スプリング308で付勢されたピン307がフレーム材200の係合用穴204に係合することで、固定用部材30bがフレーム材200に脱着可能に固定される。これにより、駒3がフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)にそれぞれ固定した状態になる。
【0052】
また、駒3をフレーム材100(基台部1)とフレーム材200(天板部2)から取り外すには、固定用部材30a,30bを、そのスプリング308の弾性力に抗してフレーム材100とフレーム材200から引き抜くか、若しくは固定用部材30a,30bの外側に突出したピン307の部分をスプリング308の弾性力に抗して引っ張り、ピン307をフレーム材100とフレーム材200の係合用穴104,204から引き抜いた状態で、固定用部材30a,30bをフレーム材100とフレーム材200から引き抜けばよい。
【0053】
次に、天板部2が、載置された物品gを少なくとも水平方向で拘束するための拘束機構4を備えた実施形態について説明する。
以下に述べる図11図16図17及び図18図19図24図25図29に示す各実施形態の防振パレットは、図1図4の実施形態と同様の基台部1及び天板部2を有し、したがって、天板部2は、その全周(平面4角形状の4辺)にガイドレール部22を有し、このガイドレール部22を利用して、以下に述べる各実施形態の拘束機構4を選択的に取り付けすることができる。なお、図11図16図17及び図18図19図24の各実施形態の防振パレットは、天板部2の対向する2辺にガイドレール部(ガイドレール部22a)があれば拘束機構4を取り付けすることができるので、場合によっては、天板部2の対向する2辺にのみガイドレール部(ガイドレール部22a)を設けるようにしてもよい。
【0054】
すなわち、本発明の防振パレットは、物品gの拘束方式が異なる複数の拘束機構4を備えるものとし、拘束機構4を天板部2に対して脱着可能とし、輸送する物品gの種類に応じて、天板部2に装着する拘束機構4を選択できるようにすることができる。したがって、1組の基台部1と天板部2を有する防振パレットが、以下に述べる各実施形態に示されるような異なるタイプの2つ(2種)以上の拘束機構4を備え、輸送すべき物品gの種類に応じて使用する拘束機構4を選択できるようにしてもよい。
【0055】
図11図16は、天板部2が拘束機構4を備えた本発明の防振パレットの一実施形態を示すもので、図11は全体斜視図、図12図11中のB-B線に沿う部分切欠断面図、図13図11中のC-C線に沿う断面図、図14図11中のD-D線に沿う断面図、図15は拘束機構4の拘束部材が物品gのキャスターを拘束した状態を示す説明図(拘束部材の平面図)、図16は基台部1の受け部に梱包カバーを支持させた状態を示す説明図である。この実施形態の防振パレットは、キャスター付きの物品gの輸送に好適なものである。
この実施形態の拘束機構4は、天板部2に載置された物品gの各キャスターを拘束する複数の拘束部材40を備え、各拘束部材40を水平方向位置調整可能としたものである。
【0056】
拘束機構4は、それぞれ2つの拘束部材40を支持するための1対の支持部材41を備えている。この1対の支持部材41は、天板部2に水平方向で且つ互いに接近離間する方向(図11の矢印d1方向)にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段23により任意のスライド移動位置で天板部2に対して固定可能である。拘束部材40は、各支持部材41に支持部材長手方向(図11の矢印d2方向)にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段43により任意のスライド移動位置で支持部材41に対して固定可能である。
【0057】
1対の支持部材41は、天板部2上に並列した状態で支持される。各支持部材41は断面箱型ないし門型などのフレーム材(形鋼材)からなり、その上部長手方向に沿って設けられたガイド孔440によりガイドレール部44が構成されている。また、各支持部材41の両端には、ボルト挿通孔410が形成されている。
1対の支持部材41の両端は、天板部2に形成されたガイドレール部22のうちの支持部材41の長手方向と直交する方向に沿ったガイドレール部22aにスライド移動可能に支持されている。
【0058】
支持部材41の固定手段23(締結手段)は、支持部材41のボルト挿通孔410とガイドレール部22aを構成するガイド孔220に対して上下に挿通されたボルト230と、このボルト230に装着されるナット231を備えており、各支持部材41は、ボルト230がガイド孔220(ガイドレール22a)に案内されることで、天板部2に対してスライド移動可能であるとともに、任意のスライド移動位置において、固定手段23のボルト230・ナット231を締め込むことにより天板部2に対して固定可能である。
ここで、ボルト230は、そのボルト頭側がガイド孔220の両側部位の下面に係合するように、ボルト軸がガイド孔220とボルト挿通孔410に挿通され、ガイド孔220とボルト挿通孔410から突き出たボルト軸にナット231が装着されている。
【0059】
各拘束部材40は、支持部材41の上面にスライド移動可能に当接するスライド基部400と、このスライド基部400に連成された拘束部401を備えている。この拘束部401は、物品gのキャスターの前部と両側部を囲む平面コ字状の板部403を有している。各拘束部材40のスライド基部400には、ボルト挿通孔402が形成されている。
【0060】
拘束部材40の固定手段43(締結手段)は、拘束部材40のボルト挿通孔402とガイドレール部44を構成するガイド孔440に対して上下に挿通されたボルト430と、このボルト430に装着されるナット431を備えており、各拘束部材40は、ボルト430がガイド孔440(ガイドレール部44)に案内されることで、支持部材41に対して支持部材長手方向にスライド移動可能であるとともに、任意のスライド移動位置において、固定手段43のボルト430・ナット431を締め込むことにより支持部材41に対して固定可能である。
ここで、ボルト430は、そのボルト頭側がガイド孔440の両側部位の下面に係合するように、ボルト軸がガイド孔440とボルト挿通孔402に挿通され、ガイド孔440とボルト挿通孔402から突き出たボルト軸にナット431が装着されている。
【0061】
天板部2の4辺の縁部には、天板部2に載置された物品gに掛け回されたラッシングベルトなどの端部を引っ掛けて係止するための掛止用部材28(フックを係止するためのリングを有する掛止用部材)が位置調整可能に設けられている。
本実施形態では、天板部2の全周に形成されたガイドレール部22(22a,22b)に複数の掛止用部材28がスライド移動可能に設けられている。
掛止用部材28は、上端にリング282を有し、下端にボルト取付孔283を備える本体280と、この本体280のボルト取付孔283に取り付けられるボルト281を備え、ガイド孔220に挿通させたボルト281を本体280のボルト取付孔283に装着することにより、ガイドレール部22にスライド移動可能(位置調整可能)に取り付けられている。
【0062】
また、基台部1の4辺の側部には、天板部2に載置された物品gを覆う梱包カバーの下端を差し込んで保持するための受け部13が、それぞれ2つずつ設けられている。
また、基台部1は、各脚部11の下端に嵌合用穴部(図示せず)が、各柱部12の上端に嵌合用凸部120がそれぞれ設けられており、防振パレットを上下に重ねた際に、上側の防振パレットの各脚部11の嵌合用穴部に、下側の防振パレットの各柱部12の嵌合用凸部120が嵌合されるようになっている。なお、嵌合用穴部を各柱部12の上端に、嵌合用凸部を各脚部11の下端に設けるようにしてもよい。
【0063】
本実施形態の防振パレットを使用する場合、事前に、輸送対象の物品gの荷重(さらには揺れやすさ)に合わせて駒3のセットを選択し、そのセットの複数の駒3をパレットに装着(各駒3の固定用部材30a,30bを基台部1及び天板部2にそれぞれ固定)しておく。防振パレットに輸送対象であるキャスター付きの物品gを載置するには、キャスター付きの物品gをスロープなどを用いて天板部2(板体21)の上に移動させる。各支持部材41に支持された拘束部材40をガイドレール部44に沿ってスライド移動させ、キャスターの位置に合わせて位置調整する。次いで、1対の支持部材41をガイドレール部22aに沿って互いに接近する方向にスライド移動させ、図15に示すように拘束部材40の拘束部401(板部403)内にキャスターcを収める。この位置で支持部材41を固定手段23(ボルト230・ナット231)で天板部2に対して固定するとともに、拘束部材40を固定手段43(ボルト430・ナット431)で支持部材41に対して固定する。このように物品gの4つのキャスターcが拘束部材40で拘束されることで、物品gは拘束機構4により水平方向で拘束された状態となる。
【0064】
次いで、物品gの跳ね上がりを抑えるために、図4に示すように物品gにラッシングベルトxを掛け回し、このラッシングベルトxの端部のフックyを掛止用部材28に引っ掛けて係止する。さらに、必要に応じて、図16に示すように、強化段ボールなどで構成される梱包カバーeを物品gに被せ、この梱包カバーeの側板下端部を基台部1の受け部13に差し込み、梱包カバーeを基台部1に支持させる。
なお、本実施形態の拘束機構4は、支持部材41の固定手段23(ボルト230・ナット231)をガイドレール部22の端部から出し入れすることにより、天板部2に対して脱着可能としている。以下に述べる図17及び図18の実施形態も同様である。
【0065】
図17及び図18は、天板部2が拘束機構4を備えた本発明の防振パレットの他の実施形態を示すもので、図17は全体斜視図、図18は拘束機構4の拘束部材が物品gのアジャスターを拘束した状態における拘束部材及び支持部材の縦断面図(図17中のL-L線に沿う断面図)である。この実施形態の防振パレットは、物品gが備えるアジャスターを利用して拘束機構4により物品gを拘束するものであり、特に図4に示すようなラッシングベルトを使用できない物品gの輸送に好適なものである。
この実施形態では、拘束機構4の拘束部材40が、天板部2に載置された物品gの各アジャスターを拘束できるように構成されている。
【0066】
各拘束部材40は、支持部材41の上面にスライド移動可能に当接するスライド基部400と、このスライド基部400に連成された水平板状の拘束部401を備えている。この拘束部401は、その先端側に物品gのアジャスターを挿通させるための切り欠き溝部404を有している。この切り欠き溝部404は、拘束部401の先端側からスライド基部方向に向かって細長状に形成されている。
その他の構成は、図11図16の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0067】
本実施形態の防振パレットを使用する場合、事前に、輸送対象の物品gの荷重(さらには揺れやすさ)に合わせて駒3のセットを選択し、そのセットの複数の駒3をパレットに装着(各駒3の固定用部材30a,30bを基台部1及び天板部2にそれぞれ固定)しておく。防振パレットに輸送対象であるアジャスター付きの物品gを載置するには、アジャスター付きの物品gを天板部2(板体21)の上に載置した状態で、各支持部材41に支持された拘束部材40をガイドレール部44に沿ってスライド移動させ、アジャスターの位置に合わせて位置調整する。次いで、1対の支持部材41をガイドレール部22aに沿って互いに接近する方向にスライド移動させ、拘束部材40の切り欠き溝部404内にアジャスターa(アジャスターボルトs)を位置させる(図18参照)。この位置で支持部材41を固定手段23(ボルト230・ナット231)で天板部2に対して固定するとともに、拘束部材40を固定手段43(ボルト430・ナット431)で支持部材41に対して固定する。
【0068】
次いで、図18に示すように、アジャスターaのアジャスターボルトsに装着されているナットnを回して拘束部材40に当接するように移動させ、拘束部材40に対してナットnを締め込むことで、アジャスターaを天板部2に固定する。本実施形態では、物品gの4本のアジャスターaが拘束部材40により水平方向・上下方向で拘束された状態となるので、図4に示すようなラッシングベルトxを用いることなく、物品gが天板部2に拘束・固定される。なお、図18において、pはアジャスターボルトsの下端が螺装される高さ調整用のアジャスターパッドである。また、ナットnは元々アジャスターaが備えるものであってもよいし、本発明の防振パレットに載置するために別途取り付けたものでもよい。
本実施形態でも、必要に応じて、図16に示すように梱包カバーeを物品gに被せ、この梱包カバーeの下端部を基台部1の受け部13に差し込み、梱包カバーeを基台部1に支持させる。
【0069】
図19図24は、天板部2が拘束機構4を備えた本発明の防振パレットの他の実施形態を示すもので、図19は全体斜視図、図20図19中のE-E線に沿う断面図、図21図19中のF-F線に沿う断面図、図22図19中のG-G線に沿う断面図、図23図19中のH-H線に沿う部分切欠断面図、図24は拘束部材が物品gを拘束した状態を模式的に示す平面図である。
この実施形態の拘束機構4は、天板部2が備える負荷材に載置された物品gを、水平方向で直交する2方向において両側から挟んで拘束する拘束部材42(42a,42b)を備え、これら各拘束部材42を水平方向位置調整可能としたものである。
【0070】
天板部2は、その上部に並列した状態で支持される1対の負荷材24を備えている。この1対の負荷材24は、天板部2上に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段25により任意のスライド移動位置で天板部2に対して固定可能である。
拘束機構4は、天板部2にそれぞれ支持され、負荷材24に載置された物品gを一方向で両側から挟んで拘束する1対又は複数対の拘束部材42aと、各負荷材24にそれぞれ支持され、負荷材24に載置された物品gを、1対又は複数対の拘束部材42aによる拘束方向と直交する方向で両側から挟んで拘束する1対の拘束部材42bとを備えている。なお、本実施形態の防振パレットは、2対の拘束部材42aを備えているが、幅の広い1対の拘束部材42aを備えるようにしてもよい。
【0071】
各1対の拘束部材42aは、天板部2に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部2に対して固定可能である。本実施形態では、各1対の拘束部材42aは、1対の支持部材45を介して天板部2にスライド移動可能に支持されている。
また、各拘束部材42bは、負荷材24に負荷材長手方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で負荷材24に対して固定可能である。
【0072】
以下、本実施形態の防振パレットの構造をより詳細に説明する。
拘束部材42aを支持する1対の支持部材45は、天板部2上に並列した状態に支持される。この1対の支持部材45は、天板部2上を水平方向で且つ互いに接近離間する方向(図19の矢印d3方向)にスライド移動可能であるとともに、固定手段46により任意のスライド移動位置で天板部2に対して固定可能である。拘束部材42aは、支持部材45に支持部材長手方向(図19の矢印d4方向)でスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段47により任意のスライド移動位置で支持部材45に対して固定可能である。
【0073】
各支持部材45は断面箱型ないし門型などのフレーム材(形鋼材)からなり、その上部長手方向に沿って設けられたガイド孔480によりガイドレール部48が構成されている。また、各支持部材45の両端には、ボルト挿通孔450が形成されている。
1対の支持部材45の両端は、天板部2に形成されたガイドレール部22のうちの支持部材45の長手方向と直交する方向に沿ったガイドレール部22aにスライド移動可能に支持されている。
【0074】
支持部材45の固定手段46(締結手段)は、支持部材45のボルト挿通孔450とガイドレール部22aを構成するガイド孔220に対して上下に挿通されたボルト460と、このボルト460に装着されるナット461を備えており、各支持部材45は、ボルト460がガイド孔220(ガイドレール部22)に案内されることで、天板部2に対してスライド移動可能であるとともに、任意のスライド移動位置において、固定手段46のボルト460・ナット461を締め込むことにより天板部2に対して固定可能である。
ここで、ボルト460は、そのボルト頭側がガイド孔220の両側部位の下面に係合するように、ボルト軸がガイド孔220とボルト挿通孔450に挿通され、ガイド孔220とボルト挿通孔450から突き出たボルト軸にナット461が装着されている。
【0075】
拘束部材42aは、各支持部材45に対して2つ設けられ(すなわち、1対の支持部材45に対して、相対する関係にある1対の拘束部材42aが2対設けられる)、ガイドレール部48に沿って支持部材長手方向でスライド移動可能である。
拘束部材42aは、支持部材45の上面にスライド移動可能に当接するスライド基部420と、このスライド基部420の一端側に立設され、負荷材24に載置された物品gの側部に当接する拘束部421を有しており、本実施形態ではL型アングル材で構成されている。スライド基部420には、ボルト挿通孔422が形成される。
【0076】
拘束部材42aの固定手段47(締結手段)は、拘束部材42aのボルト挿通孔422とガイドレール部48を構成するガイド孔480に対して上下に挿通されたボルト470と、このボルト470に装着されるナット471を備え、各拘束部材42aは、ボルト470がガイド孔480(ガイドレール部48)に案内されることで、支持部材45に対して支持部材長手方向にスライド移動可能であるとともに、任意のスライド移動位置において、固定手段47のボルト470・ナット471を締め込むことにより支持部材45に対して固定可能である。
ここで、ボルト470は、そのボルト頭側がガイド孔480の両側部位の下面に係合するように、ボルト軸がガイド孔480とボルト挿通孔422に挿通され、ガイド孔480とボルト挿通孔422から突き出たボルト軸にナット471が装着されている。
【0077】
1対の負荷材24は、天板部2上に並列した状態で支持される。この1対の負荷材24は水平方向で且つ互いに接近離間する方向(図19の矢印d5方向)にスライド移動可能であるとともに、固定手段25により任意のスライド移動位置で天板部2に対して固定可能である。拘束部材42bは、負荷材24に負荷材長手方向(図19の矢印d6方向)でスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段49により任意のスライド移動位置で負荷材24に対して固定可能である。
各負荷材24は断面箱型ないし門型などのフレーム材(形鋼材)からなり、その上部長手方向に沿って設けられたガイド孔260によりガイドレール部26が構成されている。また、各負荷材24の両端には、ボルト挿通孔240が形成されている。
1対の負荷材24の両端は、天板部2に形成されたガイドレール部22のうちの負荷材24の長手方向と直交する方向に沿ったガイドレール部22aにスライド移動可能に支持されている。
【0078】
負荷材24の固定手段25(締結手段)は、負荷材24のボルト挿通孔240とガイドレール部22aを構成するガイド孔220に対して上下に挿通されたボルト250と、このボルト250に装着されるナット251を備えており、各負荷材24は、ボルト250がガイド孔220(ガイドレール部22)に案内されることで、天板部2に対してスライド移動可能であるとともに、任意のスライド移動位置において、固定手段25のボルト250・ナット251を締め込むことにより天板部2に対して固定可能である。
ここで、ボルト250は、そのボルト頭側がガイド孔220の両側部位の下面に係合するように、ボルト軸がガイド孔220とボルト挿通孔240に挿通され、ガイド孔220とボルト挿通孔240から突き出たボルト軸にナット251が装着されている。
【0079】
拘束部材42bは、1つの負荷材24に対して2つ(1対)設けられ、ガイドレール部26に沿って支持部材長手方向でスライド移動可能である。
各拘束部材42bも、負荷材24の上面にスライド移動可能に当接するスライド基部420と、このスライド基部420の一端側に立設され、負荷材24に載置された物品gに当接する拘束部421を有しており、本実施形態ではL型アングル材で構成されている。スライド基部420には、ボルト挿通孔422が形成される。
拘束部材42bの固定手段49(締結手段)は、拘束部材42bのボルト挿通孔422とガイドレール部26を構成するガイド孔260に対して上下に挿通されたボルト490と、このボルト490に装着されるナット491を備え、各拘束部材42bは、ボルト490がガイド孔260(ガイドレール部26)に案内されることで、負荷材24に対して負荷材長手方向にスライド移動可能であるとともに、任意のスライド移動位置において、固定手段49のボルト490・ナット491を締め込むことにより負荷材24に対して固定可能である。
【0080】
ここで、ボルト490は、そのボルト頭側がガイド孔260の両側部位の下面に係合するように、ボルト軸がガイド孔260とボルト挿通孔422に挿通され、ガイド孔260とボルト挿通孔422から突き出たボルト軸にナット491が装着されている。
本実施形態の拘束部材42a,42bには、天板部2に載置された物品gと相対する面(拘束面)にクッション材429が設けられている。このクッション材429には、例えば、ポリウレタンなどを用いることができる。
なお、本実施形態におけるその他の構成は、図11図16の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0081】
本実施形態の防振パレットを使用する場合、事前に、輸送対象の物品gの荷重(さらには揺れやすさ)に合わせて駒3のセットを選択し、そのセットの複数の駒3をパレットに装着(各駒3の固定用部材30a,30bを基台部1及び天板部2にそれぞれ固定)しておく。防振パレットに輸送対象である物品gを載置するには、物品gの大きさに合わせて、1対の負荷材24をガイドレール部22aに沿って互いに接近又は離間する方向にスライド移動させて位置調整し、固定手段25(ボルト250・ナット251)でその位置に固定する。輸送対象である物品gを負荷材24上に載置し、その状態で、各支持部材45に支持された拘束部材42aをガイドレール部48に沿ってスライド移動させ、物品gの幅に合わせて位置調整し、固定手段47(ボルト470・ナット471)でその位置に固定する。さらに、1対の支持部材45をガイドレール部22aに沿って互いに接近する方向にスライド移動させて拘束部材42aを物品gの側面に当接させ、固定手段46(ボルト460・ナット461)でその位置に固定する。次いで、各負荷材24に支持された拘束部材42bを、ガイドレール部26に沿ってスライド移動させて物品gの側面に当接させ、その位置に固定手段49(ボルト490・ナット491)で固定する。これにより、図24に示すように、物品gは拘束部材42a,42bによって水平方向で直交する2方向において両側から挟んで拘束された状態となる。
【0082】
次いで、図4に示すように天板部2に載置された物品gにラッシングベルトxを掛け回し、このラッシングベルトxの端部のフックyを掛止用部材28に引っ掛けて係止する。また、本実施形態でも、必要に応じて、図16に示すように梱包カバーeを物品gに被せ、この梱包カバーeの下端部を基台部1の受け部13に差し込み、梱包カバーeを基台部1に支持させる。
なお、本実施形態の拘束機構4は、負荷材24の固定手段25(ボルト250・ナット251)と、支持部材45の固定手段46(ボルト460・ナット461)をガイドレール部22の端部から出し入れすることにより、天板部2に対して脱着可能としている。
【0083】
図25図29は、天板部2が拘束機構4を備えた本発明の防振パレットの他の実施形態を示すもので、図25は全体斜視図、図26図25中のI-I線に沿う断面図、図27図25中のJ-J線に沿う断面図、図28図25中のK-K線に沿う部分切欠断面図、図29は拘束部材が物品gを拘束した状態を模式的に示す平面図である。
この実施形態の拘束機構4は、天板部2(板体)に直に載置された物品gを、水平方向で直交する2方向において両側から挟んで拘束する拘束部材42(42c,42d)を備え、これら各拘束部材42を水平方向位置調整可能としたものである。
【0084】
拘束機構4は、天板部2にそれぞれ支持され、天板部2に直に載置された物品gを、一方向で両側から挟んで拘束する1対の拘束部材42cと、この1対の拘束部材42cによる拘束方向と直交する方向で両側から挟んで拘束する1対の拘束部材42dとを備えている。
1対の拘束部材42cは、天板部2に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部2に対して固定可能である。
また、1対の拘束部材42dも、天板部2に水平方向で且つ互いに接近離間する方向にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段により任意のスライド移動位置で天板部2に対して固定可能である。
【0085】
以下、本実施形態の防振パレットの構造をより詳細に説明する。
本実施形態では、1対の拘束部材42cは、それぞれ支持部材60を介して天板部2にスライド移動可能に支持されている。
拘束部材42cを支持する1対の支持部材60は、天板部2上に並列した状態に支持される。この1対の支持部材60は、天板部2上を水平方向で且つ互いに接近離間する方向(図25の矢印d7方向)にスライド移動可能であるとともに、固定手段61により任意のスライド移動位置で天板部2に対して固定可能である。拘束部材42cは、支持部材60に支持部材長手方向(図25の矢印d8方向)でスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段62により任意のスライド移動位置で支持部材60に対して固定可能である。
【0086】
各支持部材60は断面箱型ないし門型などのフレーム材(形鋼材)からなり、その上部長手方向に沿って設けられたガイド孔630によりガイドレール部63が構成されている。また、各支持部材60の両端には、ボルト挿通孔600が形成されている。
1対の支持部材60の両端は、天板部2に形成されたガイドレール部22のうちの支持部材60の長手方向と直交する方向に沿ったガイドレール部22bにスライド移動可能に支持されている。
【0087】
支持部材60の固定手段61(締結手段)は、支持部材60のボルト挿通孔600とガイドレール部22bを構成するガイド孔220に対して上下に挿通されたボルト610と、このボルト610に装着されるナット611を備えており、各支持部材60は、ボルト610がガイド孔220(ガイドレール部22)に案内されることで、天板部2に対してスライド移動可能であるとともに、任意のスライド移動位置において、固定手段61のボルト610・ナット611を締め込むことにより天板部2に対して固定可能である。
ここで、ボルト610は、そのボルト頭側がガイド孔220の両側部位の下面に係合するように、ボルト軸がガイド孔220とボルト挿通孔600に挿通され、ガイド孔220とボルト挿通孔600から突き出たボルト軸にナット611が装着されている。
【0088】
拘束部材42cは、各支持部材60のガイドレール部63に沿って支持部材長手方向でスライド移動可能である。
拘束部材42cは、支持部材60の上面にスライド移動可能に当接するスライド基部423と、このスライド基部423の一端側に立設され、天板部2に載置された物品gの側部に当接する拘束部424を有しており、本実施形態ではL型アングル材で構成されている。スライド基部423には、ボルト挿通孔425が形成される。
【0089】
拘束部材42cの固定手段62(締結手段)は、拘束部材42cのボルト挿通孔425とガイドレール部63を構成するガイド孔630に対して上下に挿通されたボルト620と、このボルト620に装着されるナット621を備え、各拘束部材42cは、ボルト620がガイド孔630(ガイドレール部63)に案内されることで、支持部材60に対して支持部材長手方向にスライド移動可能であるとともに、任意のスライド移動位置において、固定手段62のボルト620・ナット621を締め込むことにより支持部材60に対して固定可能である。
ここで、ボルト620は、そのボルト頭側がガイド孔630の両側部位の下面に係合するように、ボルト軸がガイド孔630とボルト挿通孔425に挿通され、ガイド孔630とボルト挿通孔425から突き出たボルト軸にナット621が装着されている。
【0090】
1対の拘束部材42dは、拘束部材42cのように物品幅方向で移動しないので、拘束部材42cに較べて広幅に構成されている。この1対の拘束部材42dは、その幅方向の両端側が1対の支持部材60に水平方向で且つ互いに接近離間する方向(図25の矢印d9方向)にスライド移動可能に支持されるとともに、固定手段64により任意のスライド移動位置で支持部材60に対して固定可能である。
1対の拘束部材42dは、支持部材60のガイドレール部63に沿って支持部材長手方向でスライド移動可能である。
【0091】
各拘束部材42bは、支持部材60の上面にスライド移動可能に当接するスライド基部426と、このスライド基部426の一端側に立設され、天板部2に載置された物品gに当接する拘束部427を有しており、本実施形態ではL型アングル材で構成されている。スライド基部426には、拘束部材42bの幅方向に沿ったガイド孔428が形成される。
拘束部材42dの固定手段64(締結手段)は、拘束部材42dのガイド孔428とガイドレール部63を構成するガイド孔630に対して上下に挿通されたボルト640と、このボルト640に装着されるナット641を備え、各拘束部材42dは、ボルト640がガイド孔630(ガイドレール部63)に案内されることで、支持部材60に対して支持部材長手方向にスライド移動可能であるとともに、任意のスライド移動位置において固定手段64のボルト640・ナット641を締め込むことにより支持部材60に対して固定可能である。
【0092】
ここで、ボルト640は、そのボルト頭側がガイド孔630の両側部位の下面に係合するように、ボルト軸がガイド孔630とガイド孔428に挿通され、ガイド孔630とガイド孔428から突き出たボルト軸にナット641が装着されている。
本実施形態の拘束部材42c,42dには、天板部2に載置された物品gと相対する面(拘束面)にクッション材429が設けられている。このクッション材429には、例えば、ポリウレタンなどを用いることができる。
なお、本実施形態におけるその他の構成は、図11図16の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0093】
本実施形態の防振パレットを使用する場合、事前に、輸送対象の物品gの荷重(さらには揺れやすさ)に合わせて駒3のセットを選択し、そのセットの複数の駒3をパレットに装着(各駒3の固定用部材30a,30bを基台部1及び天板部2にそれぞれ固定)しておく。防振パレットに輸送対象である物品gを載置するには、物品gを天板部2上に直に載置した状態で、各支持部材60に支持された拘束部材42cをガイドレール部63に沿ってスライド移動させ、物品gの幅に合わせて位置調整し、固定手段62(ボルト620・ナット621)でその位置に固定する。さらに、1対の支持部材60をガイドレール部22bに沿って互いに接近する方向にスライド移動させて1対の拘束部材42cを物品gの側面に当接させ、その位置で1対の支持部材60を固定手段61(ボルト610・ナット611)で固定する。この際に、1対の支持部材60をガイドレール部22bに沿ってスライド移動させると、固定手段64を構成するボルト640が、拘束部材42dのガイド孔428に沿ってスライド移動するので、支持部材60のスライド移動が拘束部材42dにより妨げられることはない。
【0094】
次いで、支持部材60に支持された1対の拘束部材42dを、ガイドレール部63に沿ってスライド移動させて物品gの側面に当接させ、その位置で固定手段64(ボルト640・ナット641)で固定する。これにより、図29に示すように、物品gは拘束部材42c,42dによって水平方向で直交する2方向において両側から挟んで拘束された状態となる。
次いで、図4に示すように天板部2に載置された物品にラッシングベルトxを掛け回し、このラッシングベルトxの端部のフックyを掛止用部材28に引っ掛けて係止する。また、本実施形態でも、必要に応じて、図16に示すように梱包カバーeを物品gに被せ、この梱包カバーeの下端部を基台部1の受け部13に差し込み、梱包カバーeを基台部1に支持させる。
なお、本実施形態の拘束機構4は、支持部材60の固定手段61(ボルト610・ナット611)をガイドレール部22の端部から出し入れすることにより、天板部2に対して脱着可能としている。
【0095】
本発明の防振パレットは、コンテナの一部として組み込むことができ、例えば、(i)防振パレットがコンテナ内の床部に設置される、(ii)防振パレットの基台部1がコンテナ内の床部により構成されるようにする、といった形態を採ることができる。図30(ア),(イ)は、それぞれ本発明の防振パレットを組み見込んだコンテナの構造を模式的に示したものであり、コンテナの一部切り欠き正面図である。
図30(ア)は、本発明の防振パレットAをコンテナB(荷物室)内の床部bにそのまま設置したものである。一方、図30(イ)は、防振パレットの基台部1がコンテナB内の床部b(床部bの一部)により構成されたものであり、コンテナB内の床部bに基台部1の本体部10(フレーム材100を有する部材)を設けたものである。いずれの場合も、防振パレットA自体の構造は、さきに述べたとおりである。
【符号の説明】
【0096】
1 基台部
2 天板部
3,3x,3y 駒
4 拘束機構
5 固定手段
10 本体部
10x 枠体
11 脚部
12 柱部
13 受け部
20 フレーム体
20x 枠体
21 板体
22,22a,22b ガイドレール部
23 固定手段
24 負荷材
25 固定手段
26 ガイドレール部
28 掛止用部材
30a,30b 固定用部材
31 緩衝材
40 拘束部材
41 支持部材
42,42a,42b,42c,42d 拘束部材
43 固定手段
44 ガイドレール部
45 支持部材
46 固定手段
47 固定手段
48 ガイドレール部
49 固定手段
50 ボルト
51 ナット
60 支持部材
61 固定手段
62 固定手段
63 ガイドレール部
64 固定手段
100 フレーム材
101 挿通孔
102 係合用穴
103 係合用穴
104 係合用穴
120 嵌合用凸部
200 フレーム材
201 挿通孔
202 係合用穴
203 係合用穴
204 係合用穴
220 ガイド孔
230 ボルト
231 ナット
240 ボルト挿通孔
250 ボルト
251 ナット
260 ガイド孔
280 本体
281 ボルト
282 リング
283 ボルト取付孔
300 底板部
301 側板部
302 挿通孔
303 突起部
304 先端部
305 磁石
306 ストッパ部
307 ピン
308 スプリング
309 取付穴
310 段部
311 段部
312 ストッパ
320 枠状部
400 スライド基部
401 拘束部
402 ボルト挿通孔
403 板部
404 切り欠き溝部
410 ボルト挿通孔
420 スライド基部
421 拘束部
422 ボルト挿通孔
423 スライド基部
424 拘束部
425 ボルト挿通孔
426 スライド基部
427 拘束部
428 ガイド孔
429 クッション材
430 ボルト
431 ナット
440 ガイド孔
450 ボルト挿通孔
460 ボルト
461 ナット
470 ボルト
471 ナット
480 ガイド孔
490 ボルト
491 ナット
600 ボルト挿通孔
610 ボルト
611 ナット
620 ボルト
621 ナット
630 ガイド孔
640 ボルト
641 ナット
x ラッシングベルト
y フック
g 物品
c キャスター
a アジャスター
s アジャスターボルト
p アジャスターパッド
n ナット
e 梱包カバー
A 防振パレット
B コンテナ
b 床
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図19
図20
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図25
図26
図27
図28
図29
図30