(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】鋼製排水溝の連結構造および連結工法ならびに連結部材
(51)【国際特許分類】
E03F 5/046 20060101AFI20220406BHJP
E01C 11/22 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
E03F5/046
E01C11/22 A
(21)【出願番号】P 2017068421
(22)【出願日】2017-03-30
【審査請求日】2020-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090114
【氏名又は名称】山名 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(73)【特許権者】
【識別番号】391006304
【氏名又は名称】ソイル工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593159903
【氏名又は名称】株式会社宝機材
(74)【代理人】
【識別番号】100090114
【氏名又は名称】山名 正彦
(72)【発明者】
【氏名】古谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 充明
(72)【発明者】
【氏名】大高 範寛
【審査官】山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-240734(JP,A)
【文献】実開昭51-126627(JP,U)
【文献】特開2017-179782(JP,A)
【文献】実公平06-040706(JP,Y2)
【文献】実開昭52-013059(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/046
E01C 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設置されて溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝が端部同士を跨いで配置される連結部材により接続される鋼製排水溝の連結構造であって、
前記連結部材は、前記鋼製排水溝の両側面を挟んで上向き略コ字形に形成した板状部材と、その内側の略全面に設けた止水材とからなり、
前記鋼製排水溝の端部同士が前記連結部材の内側面の止水材に内嵌され
るに際し、前記止水材が前記鋼製排水溝の各端部の底面部及び両側面部で
押圧されるとともに圧縮されて密着することにより前記鋼製排水溝の端部同士が外部へ漏水しないように連結されていることを特徴とする、鋼製排水溝の連結構造。
【請求項2】
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右両側又は一側の立ち上がり部の上端部の内側面に、丸棒材が略水平に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項3】
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右両側又は一側の立ち上がり部の上端部が、内向きのフック状に折り曲げられていることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項4】
前記上向き略コ字形の連結部材の底面部が拡幅され、前記板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部と止水材との間に可動プレートが介在され
ていること、
前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けられるのに代えて、前記板状部材と前記可動プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けられていること、
前記一方の立ち上がり部の外方からねじ込まれたボルトにより
前記可動プレートを介して
前記止水材の立ち上がり部が圧縮されていることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項5】
前記上向き略コ字形の連結部材の底面部が拡幅され、前記板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部と止水材との間に可動プレートが介在され
ていること、
前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けられるのに代えて、前記板状部材と前記可動プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けられていること、
常時内向きに付勢する挟持部を備えて弾性変形された
前記一方の立ち上がり部により
前記可動プレートを介して
前記止水材の立ち上がり部が圧縮されていることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項6】
前記上向き略コ字形の連結部材の底面部が拡幅され、前記板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部が前記止水材に接触するよう内向きくの字形状に屈曲され、前記くの字形状の下半部分が前記底面部に定着されるとともに、上半部分の押圧力により止水材の立ち上がり部が圧縮されていること
、
前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けられるのに代えて、前記底面部に定着する下半部分を除いた前記板状部材の内側の略全面に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項7】
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右両側又は一側のコーナー部が面取りされていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項8】
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材のコーナー部内側の左右両側又は一側に丸棒材が略水平に設けられていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項9】
前記鋼製排水溝は、集水用角形鋼管と、前記集水用角形鋼管の一側又は両側に設けられる排水用角形鋼管とを組み合わせてなる複合体の鋼製排水溝であり、前記集水用角形鋼管は、上面に集水孔と、一方又は両方の側面に排水孔とが設けられ、前記排水用角形鋼管は、前記集水用角形鋼管に当接する側面に、前記集水用角形鋼管の排水孔に連通する通水孔が設けられ、前記集水孔を通じて前記集水用角形鋼管内に集まった流下物中の流水が、前記排水孔から通水孔を通じて前記排水用角形鋼管へ流入して排水される構成であることを
特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項10】
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材における前記集水用角形鋼管と前記排水用角形鋼管との連結部位に沿って丸棒材が略水平に設けられていることを特徴とする、請求項9に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項11】
前記上向き略コ字形の連結部材に外部へ漏水しないように連結された前記鋼製排水溝の端部同士はそれぞれ、前記板状部材の立ち上がり部の上部とリベットで留め付けられていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結構造。
【請求項12】
道路に設置される鋼製排水溝の溝延長方向の連結工法において、
上向き略コ字形に形成した板状部材と、その内側の略全面に設けた止水材とからなり、前記鋼製排水溝の両側面を挟む構成の上向き略コ字形の連結部材を、前記鋼製排水溝の端部に半分程度突き出して設け、
前記連結部材の突き出し部に、連結する鋼製排水溝の端部を上方から落とし込み、その底面部及び両側面部で前記止水材を
押圧しながら圧縮
させることにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結することを特徴とする、鋼製排水溝の連結工法。
【請求項13】
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部と止水材との間に可動プレートを介在させておき、
前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けるのに代えて、前記板状部材と前記可動プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けておき、前記連結部材に鋼製排水溝の端部同士を
前記止水材を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットした
後、さらに前記一方の立ち上がり部の外方からボルトをねじ込み前記可動プレートを押圧して
前記止水材の立ち上がり部を圧縮することにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結することを特徴とする、請求項12に記載した鋼製排水溝の連結工法。
【請求項14】
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部と止水材との間に可動プレートを介在させ、かつ、前記一方の立ち上がり部を常時内向きに付勢するよう弾性変形させておき、
前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けるのに代えて、前記板状部材と前記可動プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けておき、前記連結部材に鋼製排水溝の端部同士を
前記止水材を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットする際に、前記一方の立ち上がり部の弾性力で
前記可動プレートを押圧して
前記止水材の立ち上がり部を圧縮することにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結することを特徴とする、請求項12に記載した鋼製排水溝の連結工法。
【請求項15】
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部をくの字形状に屈曲させて止水材を押圧可能な構成としておき、前記連結部材に鋼製排水溝の端部同士を
前記止水材を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットした
後、さらに前記くの字形状の屈曲部を更に屈曲させて、その上半部分で止水材を押圧しつつ下半部分を板状部材の底面部に定着させて止水材の立ち上がり部を圧縮することにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結すること
、前記止水材は予め、前記板状部材の内側の略全面に設けるのに代えて、前記底面部に定着する下半部分を除いた前記板状部材の内側の略全面に設けておくことを特徴とする、請求項12に記載した鋼製排水溝の連結工法。
【請求項16】
前記くの字形状に屈曲形成した一方の立ち上がり部と止水材との間に仮設プレートを介在させておき、
前記止水材は、前記底面部に定着する下半部分を除いた前記板状部材の内側の略全面に設けるのに代えて、前記板状部材と前記仮設プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けておき、前記連結部材に鋼製排水溝の端部同士を
前記止水材を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットした後に、前記仮設プレートを上方へ引き抜きながら、前記くの字形状の屈曲部を更に屈曲させて、その上半部分で
前記止水材を押圧しつつ下半部分を
前記連結部材の底面部に定着させて
前記止水材の立ち上がり部を圧縮することにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結することを特徴とする、請求項15に記載した鋼製排水溝の連結工法。
【請求項17】
前記鋼製排水溝は、集水用角形鋼管と、前記集水用角形鋼管の一側又は両側に設けられる排水用角形鋼管とを組み合わせてなる複合体の鋼製排水溝とし、前記集水用角形鋼管は、上面に集水孔と、一方又は両方の側面に排水孔とが設けられ、前記排水用角形鋼管は、前記集水用角形鋼管に当接する側面に、前記集水用角形鋼管の排水孔に連通する通水孔が設けられ、前記集水孔を通じて前記集水用角形鋼管内に集まった流下物中の流水が、前記排水孔から通水孔を通じて前記排水用角形鋼管へ流入して排水される構成とすることを特徴とする、請求項12~16のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結工法。
【請求項18】
前記上向き略コ字形の連結部材に前記鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結した後、前記鋼製排水溝の端部同士はそれぞれ前記連結部材の板状部材の立ち上がり部の上部とリベットで留め付けることを特徴とする、請求項12~17のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結工法。
【請求項19】
道路に設置される鋼製排水溝の溝延長方向の連結に用いる連結部材であって、
上向き略コ字形に形成した板状部材と、その内側の略全面に設けた止水材とからなり、前記鋼製排水溝の両側面を前記止水材で
押圧させながら圧縮させて挟むように上向き略コ字形に構成されていることを特徴とする、鋼製排水溝の連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路に設置される鋼製排水溝の技術分野に属し、さらに言えば、溝延長方向に連設する鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水することなく連結する鋼製排水鋼の連結構造および連結工法ならびに連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鋼製排水溝の形態は、例えば、特許文献1~4に示したような、単体(単管)で、上部(カバー部、蓋部)が開閉可能なものが一般的である。
前記鋼製排水溝は、溝延長方向の連結部において止水が必要となる。例えば、特許文献4では、継ぎプレート(26)の上に鋼製排水溝(11)の端部同士を跨がるように設置し、上部を開口した状態で前記端部同士の隙間をシリコンシーラント等で埋めて止水している。
また、特許文献5、6には、単体で、上部が開閉しない閉断面形状の鋼製排水溝も開示されている。この鋼製排水溝も溝延長方向の連結部において止水が必要となる。例えば、特許文献5では、連設する一方の鋼製排水溝(10)の端部にソケット(1b)を設け、同ソケットに他方の鋼製排水溝(10)の端部を挿入して一連の構造とすることにより連結している。
【0003】
ところで、近年、複数の角形鋼管を組み合わせて一体化した複合体の鋼製排水溝が開発されている(未公知の特願2016-65752)。この鋼製排水溝は、集水用角形鋼管(集水部)と排水用角形鋼管(排水部)とに分かれており、集水用角形鋼管で集水した水等の流下物を排水用角形鋼管に通水可能なように、各鋼管に通水用の孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3361506号公報
【文献】特許第4607843号公報
【文献】特許第5643148号公報
【文献】特開2015-203219号公報
【文献】特許第5153908号公報
【文献】特許第5285799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記複合体の鋼製排水溝は、鋼製排水溝を構成する角形鋼管が閉断面形状であるが故に、前記特許文献1~4に係る鋼製排水溝のように、上部を開口した状態で鋼製排水溝の端部同士の隙間をシリコンシーラント等で埋めて止水することはできない。
また、前記特許文献5、6に係る鋼製排水溝は、連設する一方の鋼製排水溝の端部に設けたソケットに他方の鋼製排水溝の端部を挿入(スライド)して連結させていたが、いずれも端部の漏水を防止するものではなかった。
要するに、前記複合体の鋼製排水溝は、止水スペースが確保できない閉断面形状のために、前記した従来の止水手段では、止水性を確保して連結することはできなかった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、単体の鋼製排水溝はもとより、集水と排水の機能を別々に保有させた2種の鋼管を組み合わせた複合体の鋼製排水溝であっても、十分に止水性を確保して連結することができる、施工性、確実性に優れた鋼製排水鋼の連結構造および連結工法ならびに連結部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る鋼製排水溝の連結構造は、道路に設置されて溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝が端部同士を跨いで配置される連結部材により接続される鋼製排水溝の連結構造であって、
前記連結部材は、前記鋼製排水溝の両側面を挟んで上向き略コ字形に形成した板状部材と、その内側の略全面に設けた止水材とからなり、
前記鋼製排水溝の端部同士が前記連結部材の内側面の止水材に内嵌されるに際し、前記止水材が前記鋼製排水溝の各端部の底面部及び両側面部で押圧されるとともに圧縮されて密着することにより前記鋼製排水溝の端部同士が外部へ漏水しないように連結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右両側又は一側の立ち上がり部の上端部の内側面に、丸棒材が略水平に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右両側又は一側の立ち上がり部の上端部が、内向きのフック状に折り曲げられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明は、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記上向き略コ字形の連結部材の底面部が拡幅され、前記板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部と止水材との間に可動プレートが介在されていること、
前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けられるのに代えて、前記板状部材と前記可動プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けられていること、
前記一方の立ち上がり部の外方からねじ込まれたボルトにより前記可動プレートを介して前記止水材の立ち上がり部が圧縮されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載した発明は、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記上向き略コ字形の連結部材の底面部が拡幅され、前記板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部と止水材との間に可動プレートが介在されていること、
前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けられるのに代えて、前記板状部材と前記可動プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けられていること、
常時内向きに付勢する挟持部を備えて弾性変形された前記一方の立ち上がり部により前記可動プレートを介して前記止水材の立ち上がり部が圧縮されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載した発明は、請求項1に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記上向き略コ字形の連結部材の底面部が拡幅され、前記板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部が前記止水材に接触するよう内向きくの字形状に屈曲され、前記くの字形状の下半部分が前記底面部に定着されるとともに、上半部分の押圧力により止水材の立ち上がり部が圧縮されていること、
前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けられるのに代えて、前記底面部に定着する下半部分を除いた前記板状部材の内側の略全面に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載した発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右両側又は一側のコーナー部が面取りされていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載した発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材のコーナー部内側の左右両側又は一側に丸棒材が略水平に設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載した発明は、請求項1~8のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記鋼製排水溝は、集水用角形鋼管と、前記集水用角形鋼管の一側又は両側に設けられる排水用角形鋼管とを組み合わせてなる複合体の鋼製排水溝であり、前記集水用角形鋼管は、上面に集水孔と、一方又は両方の側面に排水孔とが設けられ、前記排水用角形鋼管は、前記集水用角形鋼管に当接する側面に、前記集水用角形鋼管の排水孔に連通する通水孔が設けられ、前記集水孔を通じて前記集水用角形鋼管内に集まった流下物中の流水が、前記排水孔から通水孔を通じて前記排水用角形鋼管へ流入して排水される構成であることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載した発明は、請求項9に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材における前記集水用角形鋼管と前記排水用角形鋼管との連結部位に沿って丸棒材が略水平に設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載した発明は、請求項1~10のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結構造において、前記上向き略コ字形の連結部材に外部へ漏水しないように連結された前記鋼製排水溝の端部同士はそれぞれ、前記板状部材の立ち上がり部の上部とリベットで留め付けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載した発明に係る鋼製排水溝の連結工法は、道路に設置される鋼製排水溝の溝延長方向の連結工法において、
上向き略コ字形に形成した板状部材と、その内側の略全面に設けた止水材とからなり、前記鋼製排水溝の両側面を挟む構成の上向き略コ字形の連結部材を、前記鋼製排水溝の端部に半分程度突き出して設け、
前記連結部材の突き出し部に、連結する鋼製排水溝の端部を上方から落とし込み、その底面部及び両側面部で前記止水材を押圧しながら圧縮させることにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結することを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載した発明は、請求項12に記載した鋼製排水溝の連結工法において、 前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部と止水材との間に可動プレートを介在させておき、前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けるのに代えて、前記板状部材と前記可動プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けておき、前記連結部材に鋼製排水溝の端部同士を前記止水材を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットした後、さらに前記一方の立ち上がり部の外方からボルトをねじ込み前記可動プレートを押圧して前記止水材の立ち上がり部を圧縮することにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結することを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載した発明は、請求項12に記載した鋼製排水溝の連結工法において、
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部と止水材との間に可動プレートを介在させ、かつ、前記一方の立ち上がり部を常時内向きに付勢するよう弾性変形させておき、前記止水材は、前記板状部材の内側の略全面に設けるのに代えて、前記板状部材と前記可動プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けておき、前記連結部材に鋼製排水溝の端部同士を前記止水材を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットする際に、前記一方の立ち上がり部の弾性力で前記可動プレートを押圧して前記止水材の立ち上がり部を圧縮することにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結することを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載した発明は、請求項12に記載した鋼製排水溝の連結工法において、
前記上向き略コ字形の連結部材の板状部材の左右の立ち上がり部のうち、一方の立ち上がり部をくの字形状に屈曲させて止水材を押圧可能な構成としておき、前記連結部材に鋼製排水溝の端部同士を前記止水材を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットした後、さらに前記くの字形状の屈曲部を更に屈曲させて、その上半部分で止水材を押圧しつつ下半部分を板状部材の底面部に定着させて止水材の立ち上がり部を圧縮することにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結すること、前記止水材は予め、前記板状部材の内側の略全面に設けるのに代えて、前記底面部に定着する下半部分を除いた前記板状部材の内側の略全面に設けておくことを特徴とする。
【0022】
請求項16に記載した発明は、請求項15に記載した鋼製排水溝の連結工法において、
前記くの字形状に屈曲形成した一方の立ち上がり部と止水材との間に仮設プレートを介在させておき、前記止水材は、前記底面部に定着する下半部分を除いた前記板状部材の内側の略全面に設けるのに代えて、前記板状部材と前記仮設プレートとが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けておき、前記連結部材に鋼製排水溝の端部同士を前記止水材を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットした後に、前記仮設プレートを上方へ引き抜きながら、前記くの字形状の屈曲部を更に屈曲させて、その上半部分で前記止水材を押圧しつつ下半部分を前記連結部材の底面部に定着させて前記止水材の立ち上がり部を圧縮することにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結することを特徴とする。
【0023】
請求項17に記載した発明は、請求項12~16のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結工法において、前記鋼製排水溝は、集水用角形鋼管と、前記集水用角形鋼管の一側又は両側に設けられる排水用角形鋼管とを組み合わせてなる複合体の鋼製排水溝とし、前記集水用角形鋼管は、上面に集水孔と、一方又は両方の側面に排水孔とが設けられ、前記排水用角形鋼管は、前記集水用角形鋼管に当接する側面に、前記集水用角形鋼管の排水孔に連通する通水孔が設けられ、前記集水孔を通じて前記集水用角形鋼管内に集まった流下物中の流水が、前記排水孔から通水孔を通じて前記排水用角形鋼管へ流入して排水される構成とすることを特徴とする。
【0024】
請求項18に記載した発明は、請求項12~17のいずれか1項に記載した鋼製排水溝の連結工法において、前記上向き略コ字形の連結部材に前記鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結した後、前記鋼製排水溝の端部同士はそれぞれ前記連結部材の板状部材の立ち上がり部の上部とリベットで留め付けることを特徴とする。
【0025】
請求項19に記載した発明に係る鋼製排水溝の連結部材は、道路に設置される鋼製排水溝の溝延長方向の連結に用いる連結部材であって、上向き略コ字形に形成した板状部材と、その内側の略全面に設けた止水材とからなり、前記鋼製排水溝の両側面を前記止水材で押圧させながら圧縮させて挟むように上向き略コ字形に構成されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る鋼製排水溝の連結構造および連結工法ならびに連結部材によれば、鋼製排水溝を上方から落とし込むだけで止水を実現できるので、以下の効果を奏する。
(1)上部が開口できない閉断面形状の鋼製排水溝であっても、簡易かつ確実に止水された連結構造を実現することができる。
(2)従来の単体(単管)はもとより、複合体からなる鋼製排水溝であっても、やはり簡易かつ確実に止水された連結構造を実現することができる。
(3)シリコン等を用いた狭所作業など全く必要ないので、施工性、経済性、および確実性に非常に優れている。
(4)いわゆる乾式作業で連結構造を実現できるので、鋼製排水溝を個別に取り替えることができる等、メンテナンス性にも非常に優れている。
(5)隣り合う鋼製排水溝の隙間をあけて連結しても連結部材上であれば止水を確実に実現できるので、例えば、カーブ(R)がついた道路に対しても柔軟に対応できる等、自在性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】Aは、本発明に係る鋼製排水溝の連結構造に用いる連結部材の実施例を示した正面図であり、Bは、同平面図である。
【
図2】A~Cは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の実施例を段階的に示した説明図である。
【
図3】
図2Cに係る鋼製排水溝の連結構造を示した平面図である。
【
図4】Aは、本発明に係る鋼製排水溝の連結構造に用いる連結部材の異なる実施例を示した正面図であり、Bは、同平面図である。
【
図5】A~Cは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を段階的に示した説明図である。
【
図6】A~Cは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を段階的に示した説明図である。
【
図7】A~Cは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を段階的に示した説明図である。
【
図8】A~Cは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を段階的に示した説明図である。
【
図9】A~Cは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を段階的に示した説明図である。
【
図10】A~Dは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を段階的に示した説明図である。
【
図11】A~Dは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を段階的に示した説明図である。
【
図12】A~Cは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を段階的に示した説明図である。
【
図13】A~Cは、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を段階的に示した説明図である。
【
図14】A~Cはそれぞれ、本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を示した正面図である。
【
図15】本発明に係る鋼製排水溝の連結工法(連結構造)の異なる実施例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明に係る鋼製排水鋼の連結構造および連結工法ならびに連結部材の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
本発明に係る鋼製排水溝の連結構造は、
図1~
図3に示したように、道路に設置されて溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝10、10が端部同士を跨いで配置される連結部材1により接続され、前記連結部材1は、前記鋼製排水溝10、10の両側面を挟んで上向き略コ字形に形成した板状部材2と、その内側の略全面に設けた止水材3とからなり、前記鋼製排水溝10、10の端部同士が前記連結部材1の内側面の止水材3に内嵌され
るに際し、前記止水材3が前記鋼製排水溝10、10の各端部の底面部及び両側面部で
押圧されるとともに圧縮されて密着することにより前記鋼製排水溝10、10の端部同士が外部へ漏水しないように連結されている。
【0030】
前記鋼製排水溝10は、道路(アスファルト等の舗装材。透水性の有無は不問。)の側端又は中央(分離)帯の側端等に設置される鋼製排水溝10であり、本実施例では、集水用角形鋼管10aと排水用角形鋼管10bとを組み合わせて一体化した複合体の鋼製排水溝10で実施している。ちなみに図中の符号11は、集水用角形鋼管10aと排水用角形鋼管10bとの間の止水を実現するために設けられた(圧縮された)止水材を示している。
なお、連結対象部材である鋼製排水溝10の構成は勿論これに限らず、従来の単管(単体)からなる鋼製排水溝にも前記連結部材1のサイズを適宜設計変更して適用できる。
【0031】
本実施例1に係る前記連結部材1は、上向き略コ字形に折り曲げ成形した板状部材2と、その内側の略全面に貼着された止水材3とで構成される。
前記板状部材2は、金属製であり(樹脂製でも可)、一例として、板厚3.2mm、底面部の内法寸法362mm、左右の立ち上がり部の内法寸法がそれぞれ160mm、奥行き寸法(幅寸)120mmで実施されている。
前記止水材3は、例えば、発泡ポリオレフィン材、発泡ウレタン材、又はEPDM(エチレンプロピレンゴム)混和物等を素材とする止水のための発泡止水材3が用いられる。本実施例では、一例として、圧縮前の厚さが10mmで(
図1、
図2A、B参照)、圧縮後の厚さが4mm(
図2C、
図3参照)になる発泡止水材3が用いられている。前記止水材11にも同様の発泡止水材11が用いられている。
【0032】
前記複合体の鋼製排水溝10は、縦長の集水用角形鋼管10aと、その一側(右側)に設けられる横長の排水用角形鋼管10bとをボルトや結束バンド等の連結手段で一体的に組み合わせた構成で実施されている。前記集水用角形鋼管10aは、図示は省略するが、上面に集水孔と、一方の側面(右側)に排水孔とが設けられ、前記排水用角形鋼管10bは、前記集水用角形鋼管10aに当接する側面に、前記集水用角形鋼管10aの排水孔に連通する通水孔が設けられ、前記集水孔を通じて前記集水用角形鋼管10a内に集まった流下物中の流水が、前記排水孔から通水孔を通じて前記排水用角形鋼管10bへ流入して排水される構成で実施されている。
前記流下物とは、風や車両で運ばれた泥、土砂、ゴミ、アスファルト粉塵、タイヤの摩耗塵、又は流水等を指し、前記流水とは、具体的に雨水、スプリンクラーの水、湧き水、山水等を指す。
ちなみに、前記集水用角形鋼管10aは、一例として、縦200mm、横100mm、板厚4.5mmで実施され、前記排水用角形鋼管10bは、一例として、縦150mm、横250mm、板厚6.0mmで実施されている。
なお、前記複合体の鋼製排水溝10の実施形態(バリエーション)は勿論この限りではなく、上記した未公知の特願2016-65752の明細書及び図面に一層詳細に示されていることを念のため特記しておく。
例えば、前記集水孔は、前記集水用角形鋼管10aの上面のほか(又は上面に代えて)、前記集水用角形鋼管10a(以下、鋼管10aと略す場合がある。)の側面における前記排水用角形鋼管10b(以下、鋼管10bと略す場合がある。)の上面よりも高い部位に設けて実施する場合もある。また、前記集水孔、排水孔、又は通水孔は、長孔で実施される場合もあるし、丸孔で実施される場合もある。前記各鋼管10a、10bの間に設けられる前記止水材11は、前記排水孔および通水孔を避けた部位に配設されている。
【0033】
かくして、本実施例1に係る鋼製排水溝の連結構造は、前記した構成の上向き略コ字形の連結部材1が、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝10、10の端部同士を略均等(本実施例では約6cmずつ)に跨ぐ配置に設けられ、前記鋼製排水溝10、10の端部同士が前記連結部材1の内側面に内嵌され、前記止水材3が前記鋼製排水溝10、10の各端部の底面部及び両側面部で押圧され、10mmから4mmに圧縮されて密着することにより、前記鋼製排水溝10、10の端部同士が外部へ漏水しないように連結されて止水を実現している。
なお、図示例に係る前記鋼製排水溝10の各鋼管10a、10bの端部同士は隙間なく突き合わせて連結しているが(
図3中の符号X、Y参照)、これに限らず、長さ調整やR(カーブ)対応等のため適宜隙間をあけて連結してもよい。適宜隙間をあけて実施しても、連結部材1上であれば止水材3により止水は確保(実現)できるからである。もっとも、本実施例のように鋼製排水溝10を複合体で実施する場合は、前記隙間を通して鋼管10a(の端部)から、連結する側の鋼管10b(の端部)への流入を阻止するべく、前記隙間を防ぐ平板材を介在させておくことが好ましい。或いは、
図15に示すように、鋼管10aと10bとを、前記排水孔・通水孔の穿設ピッチ分(3cm程度)だけ前後にずらした複合体で実施することが好ましい。ちなみに
図15中の符号Sは隙間を示している。
【0034】
前記鋼製排水溝の連結構造は、以下の連結工法により実現される。
すなわち、前記上向き略コ字形の連結部材1を、前記鋼製排水溝10の端部を若干持ち上げ、半分程度突き出すようにして設置面に設置し、しかる後、前記連結部材1の突き出し部に、連結する側の鋼製排水溝10の端部を上方から落とし込み、位置決めのための微調整を行いつつ、その底面部及び両側面部で前記止水材3を圧縮することにより、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝10、10の端部同士を外部へ漏水しないように連結する。
なお、前記各鋼管10a、10bの間の止水材11は、その下端部を鋼管10a、10bの下面よりも突き出して配設することにより、
図2B、Cに段階的に示したように、連結部材1(止水材3)上に設置した際に、鋼管10a、10bの各コーナー部が形成する隙間を塞ぎ、より安定した鋼製排水溝10の設置状態を保持する工夫が施されている。以下の実施例についても同様の技術的思想とする。
【0035】
したがって、上記構成の鋼製排水溝の連結構造および連結工法によれば、鋼製排水溝10を上方から落とし込むだけで、後は必要に応じ、開放された空間での作業員による単純作業(例えば、鋼製排水溝10の位置決め等のための微調整作業)を行えば、止水を確実に実現できるので、以下の効果を奏する。
(1)上部が開口できない閉断面形状の鋼製排水溝10であっても、簡易かつ確実に止水された連結構造を実現することができる。
(2)従来の単体(単管)はもとより、複合体からなる鋼製排水溝10であっても、やはり簡易かつ確実に止水された連結構造を実現することができる。
(3)シリコン等を用いた狭所作業など全く必要ないので、施工性、経済性、および確実性に非常に優れている。
(4)いわゆる乾式作業で連結構造を実現できるので、鋼製排水溝10を個別に取り替えることができる等、メンテナンス性にも非常に優れている。
(5)隣り合う鋼製排水溝10、10の隙間をあけて連結しても連結部材1上であれば止水性を確実に保持(確保)できるので、例えば、R(カーブ)がついた道路に対しても柔軟に対応できる等、自在性にも優れている。
【実施例2】
【0036】
図4~
図7は、鋼製排水溝の連結構造及び連結工法の異なる実施例を示している。なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0037】
図4、
図5にかかる鋼製排水溝の連結構造及び連結工法は、上記実施例1と比し、連結部材1を構成する板状部材2の一側(図示例では右側)の立ち上がり部の上端部の内側面に、丸棒材4が略水平に設けられている点が相違する。
図6にかかる鋼製排水溝の連結構造及び連結工法は、上記実施例1と比し、連結部材1を構成する板状部材2の一側(図示例では右側)の立ち上がり部の上端部が延設され、内向きのフック状に折り曲げられている点が相違する。
図7にかかる鋼製排水溝の連結構造及び連結工法は、上記実施例1と比し、連結部材1を構成する板状部材2の左側の立ち上がり部を、鋼製排水溝10の鋼管10aの高さに揃う程度に高く設定している点、前記板状部材2の左右両側の立ち上がり部の上端部の内側面に、丸棒材4が略水平に設けられている点が相違する。
これら
図4~
図7に係る丸棒材4やフックは、鋼製排水溝10の端部を連結部材1上に落とし込むにあたり、前記端部が止水材3の上端部(始端部)を巻き込み、止水材3が弛んだり、板状部材2から剥がれたりするのを防止する干渉阻止部材の役割を果たしている。
【0038】
したがって、この実施例2に係る鋼製排水溝の連結構造及び連結工法によれば、上記実施例1と同様、鋼製排水溝10を上方から落とし込むだけで止水を確実に実現できることに変わりはないので、上記実施例1と同様の作用効果を奏する(前記段落[0035]参照)。
加えて、前記丸棒材4やフックが、その直下の止水材3の上端部が鋼製排水溝10の端部と干渉することを確実に防止できるので、一層良好な板状部材2と止水材3との貼着状態、ひいては鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着状態を実現でき、止水性の向上に寄与する。
【実施例3】
【0039】
図8は、鋼製排水溝の連結構造及び連結工法の異なる実施例を示している。なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0040】
この実施例3に係る鋼製排水溝の連結構造は、上記実施例1と比し、前記上向き略コ字形の連結部材1の底面部が拡幅され、前記板状部材2の左右の立ち上がり部のうち、一方(図示例では右側)の立ち上がり部と止水材3との間に厚さ2~3mm程度の平板状の可動プレート5が介在され、前記一方の立ち上がり部の外方からねじ込まれたボルト6により可動プレート5を介して止水材3の立ち上がり部が圧縮されている点が相違する。前記止水材3は、前記板状部材2と前記可動プレート5とが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けられている。
すなわち、この実施例3に係る鋼製排水溝の連結工法は、前記連結部材1に鋼製排水溝10、10の端部同士を前記止水材3を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットした後に、前記一方(図示例では右側)の立ち上がり部の外方からボルト6をねじ込み前記可動プレート5を押圧して止水材3の立ち上がり部を圧縮することにより、鋼製排水溝10と連結部材1との密着状態をより密実にして、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝の端部同士を外部へ漏水しないように連結する。
なお、本実施例に係るボルト6は、連結部材2の立ち上がり部に対し、上下にバランスよく2本設けられて実施されている。勿論これに限らず、ボルト6は長方形の頂点に相当する配置にバランスよく4本設けるなど適宜増減可能である。
【0041】
したがって、この実施例3に係る鋼製排水溝の連結構造及び連結工法によれば、鋼製排水溝10を上方から落とし込んだ後に外方から締め付け作用を付加する違いはあるものの、実施例1と同様のコンセプトで止水を確実に実現できることに変わりはないので、上記実施例1と同様の作用効果を奏する(前記段落[0035]参照)。
また、前記止水材3が貼着された可動プレート5は、
図8Bに示すように、外方に開いた状態で鋼製排水溝10を受け入れることができるので、上記実施例2と同様に、止水材3の上端部が鋼製排水溝10の端部と干渉することを確実に防止でき、一層良好な板状部材2と止水材3との貼着状態、ひいては鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着状態を実現できる。
さらに、前記ボルト6の押圧効果により、鋼製排水溝10、10と連結部材1との(特には側面の)密着状態をより密実にできるので、止水性を更に確実なものにすることができる。
【実施例4】
【0042】
図9は、鋼製排水溝の連結構造及び連結工法の異なる実施例を示している。なお、上記実施例1、3と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0043】
この実施例4に係る鋼製排水溝の連結構造は、上記実施例1と比し、前記上向き略コ字形の連結部材1の底面部が拡幅され、前記板状部材2の左右の立ち上がり部のうち、一方(図示例では右側)の立ち上がり部と止水材3との間に前記可動プレート5が介在され、常時内向きに付勢する挟持部を備えて弾性変形(湾曲)された前記一方の立ち上がり部により可動プレート5を介して止水材3の立ち上がり部が圧縮されている点が相違する。前記止水材3は、前記板状部材2と前記可動プレート5とが形成する上向き略コ字形の内側の略全面に設けられている。
すなわち、この実施例4に係る鋼製排水溝の連結工法は、前記連結部材1に鋼製排水溝10、10の端部同士を前記止水材3を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットした後に、常時内向きに付勢する挟持部を備えて弾性変形された前記一方の立ち上がり部により可動プレート5を押圧して止水材の立ち上がり部が圧縮することにより、鋼製排水溝10と連結部材1との密着状態をより密実にして、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝10、10の端部同士を外部へ漏水しないように連結する。
【0044】
したがって、この実施例4に係る鋼製排水溝の連結構造及び連結工法によれば、鋼製排水溝10を上方から落とし込んだ後に外方から締め付け作用を付加する違いはあるものの、実施例1と同様のコンセプトで止水を確実に実現できることに変わりはないので、上記実施例1と同様の作用効果を奏する(前記段落[0035]参照)。
また、前記止水材3が貼着された可動プレート5は、
図9Bに示すように、外方に開いた状態で鋼製排水溝10を受け入れることができるので、上記実施例2、3と同様に、止水材3の上端部が鋼製排水溝10の端部と干渉することを確実に防止でき、一層良好な板状部材2と止水材3との貼着状態、ひいては鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着状態を実現できる。
さらに、前記ボルト6の押圧効果により、上記実施例3と同様に、鋼製排水溝10、10と連結部材1との(特には側面の)密着状態をより密実にできるので、止水性を更に確実なものにすることができる。
【実施例5】
【0045】
図10は、鋼製排水溝の連結構造及び連結工法の異なる実施例を示している。なお、上記実施例1と同様の部材は同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0046】
この実施例5に係る鋼製排水溝の連結構造は、上記実施例1と比し、前記上向き略コ字形の連結部材1の底面部が拡幅され、前記板状部材2の左右の立ち上がり部のうち、一方(図示例では右側)の立ち上がり部が前記止水材3に接触するよう内向きくの字形状に屈曲され、前記くの字形状の下半部分がボルト7、ねじ、ビス等の接合手段により前記底面部に定着されるとともに、上半部分の押圧力により止水材3の立ち上がり部が圧縮されている点が相違する。
前記止水材3は、前記底面部に定着する下半部分を除いた前記板状部材2の内側の略全面に設けられている。
すなわち、この実施例5に係る鋼製排水溝の連結工法は、止水材3の右側の立ち上がり部の上端部を作業員の手指等で持ち上げておいて、前記連結部材1に鋼製排水溝10、10の端部同士を
前記止水材3を押圧しながら圧縮させて対向する配置でセットした後に、前記くの字形状の屈曲部を更に屈曲させて、その上半部分で止水材3を押圧しつつ下半部分を板状部材2の底面部に前記ボルト7等の接合手段により定着させて止水材3の立ち上がり部を圧縮することにより、鋼製排水溝10と連結部材1との密着状態をより密実にして、溝延長方向に隣り合う鋼製排水溝10、10の端部同士を外部へ漏水しないように連結する。
なお、止水材3の右側の立ち上がり部の上端部を作業員が持ち上げておく代わりに、
図11に示したように、前記立ち上がり部と止水材3との間に仮設プレート8を介在させておき、前記仮設プレート8を上方へ引き抜きながら、前記くの字形状の屈曲部を更に屈曲
させる手法で実施することもできる。
【0047】
したがって、この実施例5に係る鋼製排水溝の連結構造及び連結工法によれば、鋼製排水溝10を上方から落とし込んだ後に外方から締め付け作用を付加する違いはあるものの、実施例1と同様のコンセプトで止水を確実に実現できることに変わりはないので、上記実施例1と同様の作用効果を奏する(前記段落[0035]参照)。
また、前記止水材3は、前記上端部を作業員が把持したり、仮設プレート8を外方へ開くことにより、上記実施例2~4と同様に、止水材3の上端部が鋼製排水溝10の端部と干渉することを確実に防止でき、一層良好な板状部材2と止水材3との密着状態、ひいては鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着状態を実現できる。
さらに、前記くの字形状の屈曲部を更に屈曲させることによる押圧効果により、上記実施例3、4と同様に、鋼製排水溝10、10と連結部材1との(特には側面の)密着状態をより密実にできるので、止水性を更に確実なものにすることができる。
【実施例6】
【0048】
図12に係る鋼製排水溝の連結構造は、いわば上記実施例2に係る
図5の変形例であり、前記上向き略コ字形の連結部材1の板状部材2の左右両側のコーナー部を面取
13することにより、鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着性、ひいては止水性をさらに向上させることができる。
【0049】
なお、図示は省略するが、
図2、
図6、及び
図7に係る実施例についても同様に、前記板状部材2の左右両側のコーナー部を面取することにより、鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着性、ひいては止水性をさらに向上させることができる。
また、
図8、
図9、
図10、及び
図11に係る実施例では、板状部材2の一側(図示例では左側)のコーナー部を面取することにより、鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着性、ひいては止水性をさらに向上させることができる。さらに、続く
図13のように前記集水用角形鋼管10aと前記排水用角形鋼管10bとの連結部位に沿って丸棒材9を略水平に設けることによって、鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着性、ひいては止水性をより向上させることができる。
【実施例7】
【0050】
同様に、
図13に係る鋼製排水溝の連結構造は、いわば上記実施例2に係る
図5の変形例であり、前記上向き略コ字形の連結部材1の板状部材2のコーナー部内側の左右両側に丸棒材9を略水平に設けることにより、鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着性、ひいては止水性をさらに向上させることができる。
ちなみに、本実施例のように鋼製排水溝10を複合体で実施する場合は、さらに、前記連結部材1の板状部材2における前記集水用角形鋼管10aと前記排水用角形鋼管10bとの連結部位に沿って丸棒材9を略水平に設けると、より一層、止水性を向上させることができる。
【0051】
なお、図示は省略するが、
図2、
図6、及び
図7に係る実施例についても同様に、前記板状部材2のコーナー部内側の左右両側、および鋼管10a、10bの間に計3本の丸棒材9を略水平に設けることにより、鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着性、ひいては止水性をさらに向上させることができる。
また、
図8、
図9、
図10、及び
図11に係る実施例では、板状部材2のコーナー部内側の一側(図示例では左側)、および鋼管10a、10bの間に計2本の丸棒材9を略水平に設けることにより、鋼製排水溝10、10と連結部材1との密着性、ひいては止水性をさらに向上させることができる。
【実施例8】
【0052】
図14A~Cに係る鋼製排水溝の連結構造及び連結工法は、それぞれ、
図2、
図7、
図6の変形例であり、前記鋼製排水溝10、10の端部同士と連結部材1の板状部材2の立ち上がり部
の上部とをリベット12で留め付けることにより、前記連結部材1の開きを確実に防止して、止水性を恒久的に保持する連結構造を実現することができる。
なお、図示は省略するが、
図5、
図8~
図13に係る実施例についても同様に、前記鋼製排水溝10、10の端部同士と連結部材1の板状部材2の立ち上がり部とをリベット12で留め付けることにより、前記連結部材1の開きを確実に防止して、止水性を恒久的に保持する連結構造を実現することができる。
【0053】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0054】
1 連結部材
2 板状部材
3 止水材
4 丸棒材
5 可動プレート
6 ボルト
7 ボルト
8 仮設プレート
9 丸棒材
10 鋼製排水溝
10a 集水用角形鋼管
10b 排水用角形鋼管
11 止水材
12 リベット
13 面取