(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/14 20060101AFI20220406BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20220406BHJP
B41F 15/20 20060101ALI20220406BHJP
B41F 15/30 20060101ALI20220406BHJP
B41F 15/36 20060101ALI20220406BHJP
B41F 15/42 20060101ALI20220406BHJP
B41F 15/38 20060101ALI20220406BHJP
B41F 33/00 20060101ALI20220406BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
B41F15/14 C
B41F15/08 303L
B41F15/20
B41F15/30
B41F15/36 Z
B41F15/42
B41F15/36 A
B41F15/38 Z
B41F33/00 280
B41F33/00 290
B41M1/12
(21)【出願番号】P 2017155102
(22)【出願日】2017-08-10
【審査請求日】2020-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】593039856
【氏名又は名称】マイクロ・テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】溝井国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】笠原 隼人
(72)【発明者】
【氏名】丸山 充志
(72)【発明者】
【氏名】深澤 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】本間 好人
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-012361(JP,A)
【文献】特開2013-146942(JP,A)
【文献】特開平06-031895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0041540(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/14
B41F 15/08
B41F 15/20
B41F 15/30
B41F 15/36
B41F 15/42
B41F 15/38
B41F 33/00
B41M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に曲面を有するワークにスキージを用いて印刷をするスクリーン印刷装置において、
前記ワークを載置するとともに、基準マークを有する治具と、
前記治具の前記基準マークと前記ワークに印刷された印刷パターンとを撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した画像により印刷結果を分析する制御部と
を備えたスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記カメラのカメラ軸を鉛直方向下方に向けた状態で、前記基準マークと前記印刷パターンを撮影する請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記ワークは、透明であり、
前記カメラは、前記ワークを介して前記基準マークを撮影する請求項1又は2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
印刷パターンを有するスクリーンと、
前記スクリーンを移動させる版移動機構と
を備え、
前記制御部は、前記版移動機構により前記スクリーンを移動させて前記ワークの上空を開放した状態で、前記カメラにより撮影する請求項1から3いずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記スキージを着脱可能に取り付けるとともに前記カメラを固定している多関節ロボットを備え、
前記制御部は、前記多関節ロボットから前記スキージを取り外した状態で、前記カメラを移動する請求項1から4いずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
前記カメラは、1度の撮影で1個の基準マークと印刷パターンとを撮影し、
前記制御部は、前記カメラにより撮影された画像を分析して、前記1個の基準マークの位置と前記印刷パターンの位置とに基づいて前記印刷パターンの良否を判断する請求項1から5いずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項7】
前記カメラは、1度の撮影で1対の基準マークと印刷パターンとを撮影し、
前記制御部は、前記カメラにより撮影された画像を分析して、前記1対の基準マークの位置と前記印刷パターンの位置とに基づいて前記印刷パターンの良否を判断する請求項1から5いずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項8】
前記カメラは、複数個所で基準マークと印刷パターンとを撮影し、
前記制御部は、各箇所の基準マークと各箇所の印刷パターンとの距離を計算し、計算した距離と前記複数個所の基準マーク
間の距離とに基づいて、前記複数個所の印刷パターン
間の距離を計算する請求項1から7いずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項9】
表面に曲面を有するワークにスキージを用いて印刷をするスクリーン印刷方法において、
前記ワークを載置する治具に基準マークを形成し、
カメラが、前記治具の前記基準マークと前記ワークに印刷された印刷パターンとを撮影し、
制御部が、前記カメラが撮影した画像により印刷結果を分析するスクリーン印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲面を有するワークにスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、曲面を有するワークにスクリーン印刷をする装置が考えられている。
また、従来から、多関節ロボットを用いて、スクリーン印刷をする装置が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-044330号公報
【文献】特開2014-172099号公報
【文献】特開2005-088577号公報
【文献】特開平11-320820号公報
【文献】特開平06-031895号公報
【文献】国際公開第2017/005576号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、印刷結果を正確に検査するスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスクリーン印刷装置は、
表面に曲面を有するワークにスキージを用いて印刷をするスクリーン印刷装置において、
前記ワークを載置するとともに、基準マークを有する治具と、
前記治具の前記基準マークと前記ワークに印刷された印刷パターンとを撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した画像により印刷結果を分析する制御部と
を備えた。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、治具が基準マークを有しているので印刷結果を正確に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の正面図。
【
図2】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の左側面図。
【
図3】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の右側面図。
【
図4】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の一部省略背面図。
【
図5】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の平面図。
【
図6】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の多関節ロボット600の構成図。
【
図7】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の版移動機構700の正面図。
【
図8】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の版移動機構700の右側面図。
【
図9】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の離着機構800の正面図と右側面図。
【
図10】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の離着機構800の左側面図。
【
図11】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の離着機構800の右側面図。
【
図12】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の印刷部900の構成図。
【
図13】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の印刷部900の構成図。
【
図14】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の印刷部900の構成図。
【
図15】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100のワーク200とスクリーン300と治具400との構成図。
【
図16】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の部分配置図。
【
図17】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の部分配置図。
【
図18】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の部分配置図。
【
図19】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の動作フローチャート。
【
図20】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の印刷動作説明図。
【
図21】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の印刷動作説明図。
【
図22】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の印刷動作説明図。
【
図23】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の離着機構800の動作説明図。
【
図24】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の離着機構800の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1、
図2、
図3、
図4、及び、
図5に基づいて、スクリーン印刷装置100の構成について説明する。
図1において、印刷方向となる方向、すなわち、紙面に向かって左方向を前方向という。
図1において、印刷方向と逆方向、すなわち、紙面に向かって右方向を後方向という。
図1において、紙面に向かって上下方向を高さ方向をという。
図1において、紙面に向かって手前方向を右方向という。
図1において、紙面に向かって奥行方向を左方向という。
図1において、多関節ロボット600が2個図示されているが、実際には、多関節ロボット600は1個しか存在しない。
【0009】
スクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク200に対してスクリーン300を有する版枠310によりスクリーン印刷をする装置である。
スクリーン印刷装置100は、筐体500と多関節ロボット600と版移動機構700と離着機構800と印刷部900とを有する。
【0010】
<<筐体500>>
スクリーン印刷装置100は、筐体500を有している。
筐体500は、基台510と、制御ボックス520と、柱フレーム530と、梁フレーム540と、天板550とを有する。
基台510は、スクリーン印刷装置100の台座である。
基台510は、箱状の形状を有する。
制御ボックス520は、内部に制御部110を収納している。
柱フレーム530は、基台510の床面に立てられた柱である。
梁フレーム540は、柱フレーム530の頂部を繋いだ梁である。
天板550は、梁フレーム540の間に配置された天井である。
スクリーン印刷装置100は、ロール保持部590を有する。
ロール保持部590は、ロールフィルムを回転可能に保持している。ロールフィルムは、テスト印刷されるロール状のフィルムである。
【0011】
<<制御部110>>
スクリーン印刷装置100は、制御部110を有している。
制御部110は、装置全体を制御するものである。
制御部110は、中央処理装置、プログラム、メモリ、及び、記憶装置により実現できる。
制御部110は、
図1に示すモニタ120、ロボットコントローラ130、画像処理ユニット140、真空ポンプ150、
図2に示すコンソール170、及び、
図5に示す空気圧力回路160を制御して後述する印刷動作と検査動作を制御する。
制御部110からの信号は、信号線により各部に伝達される。
後述する印刷方法の各動作は、制御部110が信号線により命令を伝達することにより実現できる。
【0012】
<<多関節ロボット600>>
図6は、多関節ロボット600を示している。
多関節ロボット600は、産業用ロボットの一種である。
産業用ロボットとは、自動制御によるマニピュレーション機能又は移動機能を持ち、各種の作業をプログラムによって実行でき、産業に使用できる機械のことである。
産業用ロボットは、マニピュレータ及び記憶装置を有している。
産業用ロボットは、記憶装置の情報に基づきマニピュレータの伸縮、屈伸、上下移動、左右移動若しくは旋回の動作又はこれらの複合動作を自動的に行うことができる機械である。
ここで、マニピュレータとは、人間の腕に類似した機能を持ち各種の作業を行うことのできるものである。
【0013】
多関節ロボットは関節ロボットの一種である。
関節ロボットは、腕の機械構造が、三つ以上の回転ジョイントで構成されている。すなわち、関節ロボットは、3軸以上の自由度を持し、自動制御が可能な、あるいは、プログラム可能なマニピュレータである。
【0014】
多関節ロボット600は、複数のリンクと複数のジョイントを有する。
リンクとは、機械構造を構成し互いに相対運動可能な個体要素のことである。
ジョイントとは、二つのリンクが互いに接触して相対的に運動するときの連結部分のことである。
【0015】
図6に示す多関節ロボット600は、天吊りタイプのロボットである。
図6に示す多関節ロボット600は、以下に述べる軸J1から軸J6の6個の回転軸を有する多軸ロボットである。
多関節ロボット600は、ベース610と、ボディ620と、ショルダ630と、アッパーアーム640と、エルボ650と、フォアアーム660と、リスト670と、エンド680とを有する。
ボディ620と、アッパーアーム640と、フォアアーム660と、エンド680は、リンクである。
ショルダ630と、エルボ650と、リスト670は、ジョイントである。
【0016】
ベース610は、スクリーンの印刷幅の中央上部にある天井の天板550に固定されている。
ベース610は、天板550と垂直な軸J1を有する。
ベース610の軸J1は、天井と直交する回転軸である。
ベース610の軸J1は、スクリーン300の左右方向における印刷幅の中央上部に配置されている。
ベース610の軸J1は、スクリーン300の前後方向における印刷範囲の上空に配置されている。
ボディ620は、天井と垂直な軸J1を中心に回転できるようにベース610に取り付けられている。
ショルダ630は、ボディ620に固定されており、水平方向の軸J2を有する。
アッパーアーム640は、水平方向の軸J2を中心に回転できるように、ショルダ630に取り付けられている。
エルボ650は、アッパーアーム640に固定されており、水平方向の軸J3を有する。
また、エルボ650は、軸J3に対して垂直な軸J4を有する。
フォアアーム660は、軸J3と軸J4とを中心に回転できるように、エルボ650に取り付けられている。
また、フォアアーム660は、水平方向の軸J3に対して垂直で軸J3と交差する軸J4を中心に回転できるようになっている。
リスト670は、軸J4に対して垂直で軸J4と交差する軸J5を有する。
また、リスト670は、軸J5に対して垂直で軸J5と交差する軸J6を有する。
エンド680は、軸J5と軸J6とを中心に回転できるように、フォアアーム660に取り付けられている。
【0017】
各軸に取り付けられた各リンクは、各軸を中心にして図示していないモータで回転する。
各モータは、ロボットコントローラ130から出力された電気信号に基づいて、回転角度が制御される。
図6において、軸J1と軸J2とは、印刷開始位置S1と印刷終了位置S2との間の印刷ストロークの上空にある。
軸J1は、印刷方向と直交しており、かつ、軸J2と直交している。
軸J2は、印刷方向と直交しており、かつ、軸J1と直交している。
軸J2と印刷開始位置S1を結ぶ直線と軸J2と印刷終了位置S2を結ぶ直線とのなす最大角度は、ワーク200のサイズが変われば変更される角度であり、90度以下がよく、60度以下が好ましく、さらには50度以下が好ましく、40度が好適である。
【0018】
<<版移動機構700>>
版移動機構700は、版枠310を水平方向に移動する機構である。
版移動機構700は、印刷後に版枠310を移動してワーク200の上空を開放する。
図7と
図8に示すように、版移動機構700は、4本の脚720と2本のスライド機構730を有する。
各スライド機構730は、2本の脚720の上部に固定されている。
スライド機構730は、左右方向に搬送ベルト740を配置している。
搬送ベルト740は、1本のスライド機構730の端部に配置されたモータ750により回転する。
スライド機構730は、枠固定部760を左右にスライド可能に取り付けている。
枠固定部760は、版枠310を着脱可能に取り付ける。
枠固定部760は、搬送ベルト740の回転により左右にスライドする。
図8において、版枠310が最も紙面左に移動した状態が、ワーク200を版枠310が覆ったカバー状態であり、印刷可能状態である。
図8において、版枠310が最も紙面右に移動した状態が、ワーク200の上空が開放された開放状態であり、ワーク200の印刷結果を検査することができる検査可能状態である。
【0019】
<<離着機構800>>
図9、
図10、及び、
図11により、離着機構800について説明する。
図9の(a)は、離着機構800が原点にある図であり、治具400が最下にある図である。
図9の(b)は、離着機構800が原点にある場合、テーブル820の一端を手で持ち上げた図である。
図9の(c)は、離着機構800がテーブル820を水平に持ち上げた図である。
【0020】
離着機構800は、版枠310に対して治具400を移動する機構である。
離着機構800は、スクリーン300と治具400との距離を変更する。
離着機構800は、治具400とスクリーン300との距離を変更可能に、治具400を取り付けている。
離着機構800は、治具400を固定したフレーム822とフレーム822を固定したテーブル820を有する。
フレーム822は、アルミニウム製あるいはその他の金属製の2本の四角柱である。
テーブル820は、アルミニウム製あるいはその他の金属製の矩形の板である。
離着機構800は、スクリーン300に対して治具400を上下させる上下機構830を有する。
離着機構800は、スクリーン300に対して治具400を回転させる回転機構860を有する。
【0021】
<上下機構830>
上下機構830は、筐体500の床面に固定されている。
上下機構830は、印刷方向に沿って配置された複数の上下シリンダを有する。
治具400は、フレーム822を介してテーブル820に固定されている。
上下機構830は、6個の上下シリンダと8個のリニアシャフトとを有する。
上下シリンダは、テーブル820を上下させるものである。
上下シリンダとは、油圧、空気圧、水圧又は電動によって伸縮駆動するアクチュエータであり、エアシリンダが好適である。
上下シリンダは、上下動する上下シャフト839を有する。
リニアシャフトは、上下シリンダの直線運動を支持するものであり、テーブル820の上下動を鉛直方向に規制するものである。
各リニアシャフトは、上下にスライドする直動シャフト849を有する。
【0022】
6個の上下シリンダは、テーブル820の前方、中央、後方の左右6箇所に配置されている。
2個の上下シリンダ831は、テーブル820の一端の下に配置されている。
4個のリニアシャフト841は、2個の上下シリンダ831の内側に配置されている。
2個の上下シリンダ832は、テーブル820の中央の下に配置されている。
2個のリニアシャフト842は、2個の上下シリンダ832の内側に配置されている。
2個の上下シリンダ833は、テーブル820の他端に配置されている。
2個のリニアシャフト843は、2個の上下シリンダ833の内側に配置されている。
【0023】
上下シャフトの先端には、フローティングジョイント835が取り付けられている。
上下シリンダの先端に取り付けられたフローティングジョイント835は、上下シリンダの上下シャフトとローラユニットとを接続している。
上下板844は、2個の上下シリンダ831のフローティングジョイント835と4個のリニアシャフト841の直動シャフト849に固定されている。
上下板844は、両端において2個の軸受862を固定している。
上下板845は、2個の上下シリンダ832のフローティングジョイント835と2個のリニアシャフト842の直動シャフト849に固定されている。
上下板845は、両端において2個のローラユニット865を固定している。
上下板846は、2個の上下シリンダ833のフローティングジョイント835と2個のリニアシャフト843の直動シャフト849に固定されている。
上下板846は、両端において2個のローラユニット866を固定している。
【0024】
上下板844の両端は、2個の上下シリンダ831のフローティングジョイント835に固定されている。
上下板845の両端は、2個の上下シリンダ832のフローティングジョイント835に固定されている。
上下板846の両端は、2個の上下シリンダ833のフローティングジョイント835に固定されている。
上下板846はフローティングジョイント835を介して上下シリンダとコネクトされているので、上下シリンダの上下シャフト839の上昇により上下板846が傾く可能性がある。
そこで、上下シリンダのサイドにリニアシャフトを配置して、リニアシャフトの直動シャフト849の上昇により、上下板の傾きを抑止し上下板846が水平に上下方向に動くようにする。
6個の上下シリンダの上下シャフト839が均等に上昇するとテーブル820が水平に上昇し、6個の上下シリンダの上下シャフト839が均等に下降するとテーブル820が水平に下降する。
【0025】
<上下ガイド850>
図9の(a)と(b)に示すように、離着機構800は、治具400の左右の傾きを規制する上下ガイド850を有する。
上下ガイド850は、テーブル820の後方寄りの位置であって上下シリンダ833よりも中央寄りの位置に配置され、テーブル820の幅方向中央に配置されている。
上下ガイド850は、テーブル820の上下移動の際にテーブル820の左右への移動と左右への傾きとの少なくともいずれか一方又は両方を防止するガイドである。
上下ガイド850は、プレート851とカムフォロア852とを有する。
プレート851は、テーブル820に固定され、テーブル820の下面から垂直に下方に伸びている。
カムフォロア852は、プレート851に複数取り付けられている。
複数のカムフォロア852は鉛直方向に配置されている。
上下ガイド850は、ガイド柱854とガイド部853とを有する。
ガイド柱854は、筐体500の基台510の床に固定され、床面から垂直に上方に伸びている柱である。
ガイド部853は、ガイド柱854の片方の側面の上下方向に存在し、カムフォロア852を挟んでいる鉛直方向のガイドである。
ガイド部853は、カムフォロア852の上下方向と前後方向の動きを許容するが、左右方向への動きを禁止する。
ガイド部853により、治具400の左右への移動と左右への傾きとが禁止される。
【0026】
<調整機構870>
図9の(c)に調整機構870を示す。
上下機構830は、上下シリンダの高さを調節する調整機構870を有する。
調整機構870は、連結板871とネジ872とダイヤルゲージ873を有する。
連結板871とネジ872とダイヤルゲージ873とは、テーブル820の前、中、後の3箇所に配置されている。
連結板871は、基台510の床下にあり、左右にあるリニアシャフトの直動シャフト849の下端を連結している。
ネジ872は、基台510の床を貫通して基台510に取り付けられている。
ネジ872は、左右にあるリニアシャフトの中央に取り付けられている。
ネジ872の下端は、連結板871の中央に接している。
ネジ872を回転させることにより、連結板871の上下位置が変更でき、上下シリンダの直動シャフト849の高さ方向の昇降位置を調節することができる。
ダイヤルゲージ873は、0.1mm単位での上下シリンダの直動シャフト849の高さ方向の昇降位置を測定する。
【0027】
<回転機構860>
回転機構860は、上下機構830の上部に配置され、上下機構830の上下動により上下する。
回転機構860は、上部にテーブル820を配置しており、テーブル820を傾斜させる機構である。
回転機構860は、シャフトユニット864とローラユニット865とローラユニット866を有する。
テーブル820の前方端部は、シャフトユニット864の回転シャフト861に固定されている。
テーブル820の中央と後方端部は、ローラユニット865とローラユニット866の上に載せられている。
シャフトユニット864は、複数の上下シリンダのうちの前方の端部にある上下シリンダ831の上に取り付けられている。
シャフトユニット864は、回転シャフト861と軸受862とを有する。
回転シャフト861は、テーブル820の前方の一端でテーブル820に固定され、水平に固定されている。
回転シャフト861の中心軸が、テーブル820の回転軸となる。
2個の軸受862は、回転シャフト861の左右両端に配置されて、回転シャフト861を回転可能に保持している。
ローラユニット865とローラユニット866は、複数の上下シリンダのうち回転シャフト861が取り付けられていない中央と後方の上下シリンダの上に取り付けられている。
ローラユニット865とローラユニット866は、軸867を中心に回転可能なローラ868を有する。
テーブル820は、中央と後方との左右にローラ868を受ける受け板821を有する。
ローラ868は、テーブル820が傾く時、受け板821の下面で軸867を中心に回転する。
ローラユニット865とローラユニット866は、ローラ868のみでテーブル820の下面に接している。
印刷中に、前方の上下シリンダ831の上下シャフト839の上昇している状態を保ちながら上下シリンダ833と上下シリンダ832との上下シャフト839を下降させると、回転シャフト861を回転軸としてテーブル820が傾斜する。テーブル820が傾斜する際、ローラユニット865とローラユニット866とのローラ868が回転する。
制御部110は、ローラユニットを載せた複数の上下シリンダの上昇量を変更してローラユニットの高さ位置を制御してテーブル820を傾斜させる。
【0028】
<<印刷部900>>
図12、
図13、及び、
図14により、印刷部900について説明する。
多関節ロボット600は、エンドエフェクタとして、印刷部900を取り付ける。
エンドエフェクタとは、ロボットが作業対象に直接働きかける機構を持つ部分である。
図12に示すように、印刷部900は、スキージ910とスクレッパー920を有する。
スキージ910は、取付部941により交換可能にスキージユニット930に保持されている。
スクレッパー920は、取付部942により交換可能にスキージユニット930に保持されている。
スキージ910は、スクリーン300に圧力をかけてスクリーン300にあるインクをワークに押し付ける。
スクレッパー920は、スクリーン300に圧力をかけてスクリーン300にあるインクをスクリーン300に均一にコーティングする。
スキージユニット930は、エンド680に着脱可能に取り付けられている。
スキージユニット930の取付部941は、スキージ910の取り付け角度をかえてスキージ910を取り付けることができる。
図12では、3種類の取り付け角度におけるスキージ910が図示されている。
したがって、多関節ロボット600とロボットコントローラ130とに対して何ら変更を加えることなく、スキージ910のワーク200に対するアタック角度の変更が可能である。
図示していないが、スキージユニット930のスクレッパー920の取付部942が、スクレッパー920の取り付け角度をかえてスクレッパー920を取り付けるようにしてもよい。
スキージユニット930は、軸J6の真下又は真下からやや後方にスキージ910とスクレッパー920とを取り付けている。
【0029】
スキージユニット930は、加圧器931と加圧器932を有する。
加圧器931は、スキージ910に対して印刷圧力をかける加圧器であり、油圧、空気圧、水圧又は電動によって伸縮駆動するアクチュエータがよく、エアシリンダが好適である。
加圧器932は、スクレッパー920に対してコーティング圧力をかける加圧器であり、油圧、空気圧、水圧又は電動によって伸縮駆動するアクチュエータがよく、エアシリンダが好適である。
加圧器931と加圧器932とは、固定板933の両面に固定されている。
【0030】
図13に示すように、加圧器931は、加圧シャフト943を有し、フローティングジョイント939を介してスキージ910を取り付けている。
加圧器931の加圧シャフト943のシャフト軸JSは、軸J6と平行である。
加圧器931の両側には、スキージ910の直動を保証する1対のリニアブッシュ938が配置されている。
1対のリニアブッシュ938は固定板933に固定されている。
リニアブッシュ938は、直線運動をする直動シャフト940を有し、直動シャフト940の下端は、スキージ910の取付部941に固定されている。
【0031】
図14に示すように、加圧器932は、加圧シャフト943を有し、フローティングジョイント939を介してスクレッパー920を取り付けている。
加圧器932の加圧シャフト943のシャフト軸JSは、軸J6と平行である。
加圧器932の両側には、スクレッパー920の直動を保証する1対のリニアブッシュ938が配置されている。
1対のリニアブッシュ938は固定板933に固定されている。
リニアブッシュ938は、直線運動をする直動シャフト940を有し、直動シャフト940の下端は、スクレッパー920の取付部942に固定されている。
【0032】
固定板933は、下板934の下面に固定されている。
下板934は、2枚の側板935に挟まれている。
2枚の側板935は、上板936の下面に固定されている。
上板936の上面には、着脱部937がある。
上板936の両端は、翼のように2枚の側板935から突出している。
上板936の両端は、スキージユニット930がラック560の懸架部561に保持される場合、懸架部561への引っ掛け部となる。
着脱部937は、エンド680に着脱可能に取り付けられている。
【0033】
1枚の下板934と2枚の側板935と1枚の上板936とは、長方体の空間Sを形成している。
長方体の空間Sには、加圧器931と加圧器932との加圧シャフト943の上部が配置されている。
加圧器931と加圧器932との加圧シャフト943が最も上にある場合でも加圧シャフト943の頭部が上板936に接触することがない。
長方体の空間Sは、加圧シャフト943の自由な上下動を確保するための空間である。
長方体の空間Sがあるので、多関節ロボット600の軸J5がスキージユニット930をどのような体勢にしても、シリンダシャフトの頭部が多関節ロボット600のフォアアーム660に接触することがない。
【0034】
<<カメラ690>>
図12に示すように、スクリーン印刷装置100は、カメラ690を有する。
カメラ690は、エンド680に固定されている。
カメラ690は、エンド680とスキージユニット930のサイドに配置されている。
カメラ690のカメラ軸JCは、レンズの中心軸であり、軸J6と平行である。
カメラ690は、スキージユニット930の配置を妨げることがない位置に配置されている。
カメラ690は、スキージユニット930の着脱を妨げることがない位置に配置されている。
カメラ690は、印刷中に、フォアアーム660と接触することがない位置に配置されている。
カメラ690の具体例は、1画像あたり500万画素のCCDカメラである。
カメラの視野サイズは縦横とも40mmであり、1画素当たりの長さは19.5マイクロメートルである。
【0035】
<<ワーク200>>
図15により、ワーク200について説明する。
ワーク200は、高さ方向に凹凸のある曲面を有する曲面ワークである。
ワーク200は、左右方向においては、凹凸がなく直線を呈している。
図15の(a)に示すように、ワーク200は、正面視では、厚さが一定の湾曲した板又は波状の板である。
図15の(c)に示すように、ワーク200は、平面視では矩形である。
ワーク200の材質の具体例は、ガラス、樹脂、プラスチック、紙、布、金属である。
ワーク200は、薄い板であるため、柔軟性があり、変形しやすく、破損しやすい。
【0036】
ワーク200の表面の曲面は、水平面から窪んだ凹面と水平面から突出した凸面との少なくともいずれかの曲面を有する。
ワーク200の表面の左右方向の断面形状は、矩形である。
ワーク200の表面の前後方向の断面形状は、波型である。
【0037】
図15において、ワーク200は表面に一つの凸曲面と一つの凹曲面とを有する。
図15において、凸曲面の半径と凹曲面の半径とは、同じ長さであり、半径の長さの一例は、500mmである。
凸曲面の中心角と凹曲面の中心角とは、同じ角度であり、20度以上40度以下であり、30度が好適である。
一つの凸曲面の中央には、高さが最も高くなる頂部220がある。
一つの凹曲面の中央には、高さが最も低くなる底部230がある。
凸曲面と凹曲面とは変曲点240で接続されている。
図15において、変曲点240は、ワーク200の中央に存在する。
【0038】
ワーク200は、裏面に曲面を有する。
ワーク200の裏面の曲面は、ワーク200の表面の曲面に対応しており、ワーク200の表面と同じ凸曲面と凹曲面とを有する。
ワーク200は、厚さが一定の湾曲板である。
図15の(c)に示すように、ワーク200には印刷パターンとして複数の印刷ライン201が印刷される。
図15の(c)は、ワーク200の外周縁に幅V1と幅V2との印刷ライン201を印刷し、中央に幅V1の印刷ライン201を印刷した場合を示している。
印刷ライン201を形成している両外側の直線を外郭線という。2本の外郭線の中央の線を中心線204という。
図15の(c)に示すように、外郭線202と外郭線213との距離は、長さV3である。
外郭線203と外郭線212との距離は、長さV4である。
中心線204と中心線214との距離は、長さV5である。
印刷パターンを形成する複数の印刷ライン201の情報、すなわち、幅V1、幅V2、長さV3、長さV4、長さV5、その他の情報は、記憶装置に記憶されており、印刷結果の検査に用いられる。
【0039】
<<スクリーン300>>
図15により、スクリーン300について説明する。
スクリーン300は、高さ方向に凹凸のある曲面を有する曲面スクリーンである。
スクリーン300は、左右方向においては、凹凸がなく直線を呈している。
スクリーン300は、平面視では矩形である。
スクリーン300は、メタルマスクスクリーン、メッシュスクリーン、その他の形式のスクリーンである。
【0040】
スクリーン300は、水平面から窪んだ凹面と水平面から突出した凸面との少なくともいずれかの曲面を有する。
スクリーン300の曲面は、ワーク200の表面の曲面に対応して水平面から窪んだ凹面と水平面から突出した凸面と曲面を有する。
スクリーン300の表面の左右方向の断面形状は、直線である。
スクリーン300の表面の前後方向の断面形状は、波型である。
図15に示すワーク200に対応して、スクリーン300は一つの凸曲面と一つの凹曲面とを有する。
一つの凸曲面の中央には、高さが最も高くなる頂部320がある。
一つの凹曲面の中央には、高さが最も低くなる底部330がある。
凸曲面と凹曲面とは変曲点340で接続されている。
図15において、変曲点340は、スクリーン300の中央に存在する。
【0041】
<<版枠310>>
図15により、版枠310について説明する。
版枠310は、額縁形状の矩形の金属枠である。
版枠310は、外形が矩形でありかつ中央が矩形に開口している矩形枠である。
版枠310は、枠固定部760に固定されるフレームである。
版枠310は、スクリーン300にテンションをかけて、スクリーン300を保持している。
【0042】
版枠310は、版移動機構700に対して前後反対に取り付けることができる。
図1では、版枠310の凹面が紙面右側にあり凸面が紙面左側にあり、凹面から凸面の順に印刷する場合を示している。
逆に、版枠310の凸面が紙面右側にあり凹面が紙面左側にあり、凸面から凹面の順に印刷してもよい。
【0043】
<治具400>
図15により、治具400について説明する。
治具400は、ワーク200を曲面で保持する曲面治具である。
図15の(a)に示すように、治具400は、正面視では下面が平面であり上面が波状の金属部品である。
図15の(b)に示すように、治具400は、平面視では矩形である。
治具400は、上面にワーク200と同じ曲面あるいは湾曲を有する載置面を有している。
治具400の材質の具体例は、樹脂、又は、アルミニウム、鉄、ステンレス、その他の金属である。
治具400は、厚い板であるため、剛性があり、変形せず、破損しない。
【0044】
治具400の載置面は、ワーク200の裏面の曲面に対応して、少なくとも水平面から窪んだ凹面と水平面から突出した凸面とのいずれかの曲面を有する。
図15に示すワーク200に対応して、治具400の載置面は一つの凸曲面と一つの凹曲面とを有する。
【0045】
治具400は、テーブル820に対して前後反対に取り付けることができる。
図1では、治具400の凹面が紙面右側にあり凸面が紙面左側にあり、凹面から凸面の順に印刷する場合を示している。
逆に、治具400の凸面が紙面右側にあり凹面が紙面左側にあり、凸面から凹面の順に印刷してもよい。
【0046】
<基準マーク410>
図15の(b)に示すように、治具400は、上面に複数の基準マーク410を有する。
基準マーク410の具体例は、直径3mmの円形穴である。
穴の中心軸は、高さ方向と並行であり、鉛直方向に存在する。
基準マーク410は、治具400の製造時に、形成することができる。
治具400の基準マーク410の配置位置は印刷パターンに基づきあらかじめ決定されている。
配置位置とは、2次元水平面の直交座標の座標位置である。
基準マーク410の配置位置を基準マーク410の中心位置とすると、基準マーク410の中心位置は、直交するX軸の値とY軸の値で表すことができる。
具体的には、基準マークP1の中心位置と基準マークP2の中心位置とを以下ように表すことができる。
P1(x1、y1)
P2(x2、y2)
基準マークP1の中心位置と基準マークP2の中心位置との距離Wは、以下の計算式で求めることができる。
W×W=(x2-x1)×(x2-x1)+(y2-y1)×(y2-y1)
前述したとおり、全ての基準マーク410の配置位置はあらかじめ決定されているから、すべての基準マークの間の距離を予め求めることができる。
図15の(b)では、治具400は、28個の基準マーク410を有する。
28個の基準マーク410のうち、12個の基準マーク410は、ワーク200の外側に形成されている。
28個の基準マーク410のうち、16個の基準マーク410は、ワーク200の内側に形成されている。
印刷パターンを形成する印刷ライン201の両側に形成されている2個の基準マーク410を1対の基準マーク410と呼ぶことにする。
図15の(b)では、治具400は、14対の基準マーク410を有する。
14対の基準マーク410は、印刷ライン201と印刷ライン201とが交差する交点の近傍に形成されている。
1対の基準マーク410は、1対の基準マーク410の中心を結ぶ直線が印刷ライン201と直交するような位置に形成されている。
1対の基準マーク410は、正確な印刷ができた場合に印刷ライン201が1対の基準マーク410の中央に位置するように形成されている。
1対の基準マーク410の中心を結ぶ直線の長さW1は、印刷ライン201の幅より大きい。
図15の(b)では、14対の基準マーク410の中心を結ぶ直線の長さは、全て同じ長さW1である。
長さW1は、全ての印刷ライン201の最大幅より大きく、カメラの視野サイズ40mmより小さい。
図15の(b)では、「幅V1<幅V2<長さW1<視野サイズ40mm」である。
治具400において、すべての基準マーク410の中心位置は既知であり、すべての基準マーク410の中心位置同士の距離は既知である。
すべての基準マーク410の中心位置と基準マーク410の中心位置同士の距離とは、記憶装置に記憶されている。
【0047】
図16、
図17、及び、
図18により、インク受け皿570の配置位置について説明する。
筐体500は、ラック560とインク受け皿570とを有している。
ラック560は、基台510に固定された台である。
ラック560は、2本のスライド機構730のうち軸J1に近いスライド機構730の外側に設置されている。
ラック560は、4本の脚を有し、中央に印刷部900を保持する空間がある。
図18に示すように、ラック560は、4本の脚の上部に、印刷部900を懸架する懸架部561を有する。
懸架部561は、スキージユニット930の上板936の両端を着脱可能に固定してスキージユニット930を保持する。
カメラ690は多関節ロボット600に常時固定されているので、懸架部561は、カメラ690を保持する機能を有していない。
懸架部561は、中央に印刷部900とカメラ690とを配置する空間Rを有している。
懸架部561は、空間Rに印刷部900とカメラ690とを配置した状態で、印刷部900を多関節ロボット600に対して着脱する。
【0048】
インク受け皿570は、ラック560の上部のサイドから庇状に突出した受け皿である。
インク受け皿570は、印刷部900の移動中に印刷部900から落下するインクを受けるものである。
インク受け皿570の高さは、スライド機構730の高さよりも高い。
インク受け皿570は、ラック560の懸架部561の片方のサイドから水平に突出している。
インク受け皿570は、スライド機構730と枠固定部760を覆っている。
インク受け皿570の端部は、版枠310のスクリーン300の上空まで達している。
【0049】
<<配置>>
図5により、スクリーン印刷装置100の平面での各部の配置について説明する。
スクリーン印刷装置100の平面形状は、長辺と短辺とを有する矩形である。
版移動機構700の2本のスライド機構730は、スクリーン印刷装置100の短辺と平行に配置されている。
版枠310の短辺は、スクリーン印刷装置100の短辺と平行に配置されている。
版枠310の長辺は、スクリーン印刷装置100の長辺と平行に配置されている。
版枠310は、スクリーン印刷装置100の短辺と平行にスライドする。
スライド機構730は、版枠310の短辺の長さの2倍の長さを有する。
版枠310のスライドにより、版枠310が治具400とワーク200との上空を覆う印刷可能状態と、治具400とワーク200との上空を開放した検査可能状態とが作り出される。
【0050】
離着機構800の短辺は、スクリーン印刷装置100の短辺と平行に配置されている。
離着機構800の長辺は、スクリーン印刷装置100の長辺と平行に配置されている。
治具400は、離着機構800の配置範囲の内側に配置されている。
【0051】
図5に示す2個の円弧は、軸J1を中心とする多関節ロボット600の回転範囲を示している。
内側の円弧は、軸J6を鉛直方向に配置した場合の軸J6の最大可動範囲を示している。
外側の円弧は、スキージユニット930の先端の最大可動範囲を示している。
【0052】
図5において、記号と寸法の意味は以下のとおりである。
X1:筐体500の長辺の長さ
X2:スクリーン300の長辺の長さ
X3:軸J1と筐体500の端部SEまでの距離
X4:筐体500の2本の長辺の中央を結ぶ直線S0と筐体500の端部SEまでの距離、すなわち、X1÷2=X4
X5:印刷ストロークの中央位置S4と筐体500の端部SEまでの距離
X6:印刷開始位置S1から印刷終了位置S2の長さ、すなわち、印刷ストロークの長さ
X7:筐体500の2本の長辺の中央を結ぶ直線S0と印刷開始位置S1との平面視の距離
X8:筐体500の2本の長辺の中央を結ぶ直線S0と印刷終了位置S2との平面視の距離
X9:筐体500の2本の長辺の中央を結ぶ直線S0と印刷ストロークの中央位置S4との平面視の距離
Y1:筐体500の短辺の長さ
Y2:スクリーン300の短辺の長さ
NP:軸J1が回転できない範囲、回転できない範囲の中心角が約20度
【0053】
軸J1の回転可能範囲は、340度である。
軸J1は、回転可能範囲の中央から時計回りに170度回転でき、反時計回りに170度回転することができる。
軸J1は、スクリーン300の2本の短辺の中央を結ぶ直線の上空にある。
軸J1は、鉛直方向には、配置される。
軸J1は、印刷中に回転しない。
軸J1は、印刷ストロークの方向すなわち印刷方向と直交する。
軸J1の回転可能範囲の中央と印刷方向とは同一方向である。
【0054】
軸J2は、印刷中、筐体500の短辺と平行に配置され、印刷方向と直交する。
軸J2の平面視の位置は、印刷中に動かず、筐体500の2本の長辺の中央を結ぶ直線S0と同じ位置にある。
距離X7は、平面視での軸J2と印刷開始位置S1との距離と同じである。
距離X8は、平面視での軸J2と印刷終了位置S2との距離と同じである。
距離X7と距離X8との比は、1対3である。
距離X9は、距離X7と同じである。
距離X6と距離X7と距離X8と距離X9は以下の関係がある。
X7=X9=X8÷2
X6=X7+X8+X9
軸J2の平面視の位置は、印刷開始位置S1から印刷ストロークの長さX6の4分の1の位置にある。
したがって、印刷中、スキージユニット930は、印刷ストロークの長さX6のうち、4分の1まで軸J2の後方にあり、
その後の4分の3は軸J2の前方にある。
軸J2の平面視の位置は、印刷ストロークの範囲内にあればよく、印刷ストロークの前半にあるのが好適であり、さらに、印刷ストロークの前半の中央にあるのがよい。
【0055】
印刷開始位置S1は、軸J1の真下又はほぼ真下である。
印刷終了位置S2は、軸J6の最大可動範囲の半径の70%以内にある。
したがって、印刷ストロークの長さX6は、軸J6の最大可動範囲の半径の長さの70%以内にある。
スクリーン300の短辺の中心を結んだ中心線すなわち印刷幅の中心線は、軸J1と交わり軸J1と直交する。
ラック560は、軸J6の最大可動範囲内にある。
軸J1から印刷終了位置S2までの距離は軸J1からラック560の懸架台中央までの距離とほぼ等しい。
あるいは、軸J1から印刷終了位置S2のある版枠310の短辺までの距離は軸J1からラック560の懸架台中央までの距離とほぼ等しい。
印刷終了位置S2にあるスキージユニット930を、軸J1を中心にして時計回りにG度回転させた位置に、スキージユニット930を保持するラック560が配置されている。
図5では、G度は140度である。
【0056】
多関節ロボット600のベース610は、版枠310の短辺の中央であって、版枠310の長辺の中央よりラック560があるサイドに偏った位置に配置されている。
ベース610の軸J1から2個のスライド機構730のうち軸J1から遠い方のスライド機構730までの距離と、軸J1からラック560の最も離れた角までの距離は同じである。この距離は、軸J1を中心とする多関節ロボット600の最大可動範囲の4分の3に等しい。
なお、
図5に基づいて説明した配置関係及び寸法関係は一例であり、ワークのサイズが変更された場合、前述した配置関係及び寸法関係は変更される場合がある。
ワークのサイズが変更された場合は、スクリーン300の長辺の長さX2の中央に、印刷ストロークの中央位置S4を配置して、できるだけ前述した配置関係及び寸法関係を維持することが望ましい。
可能であれば、
図5に基づいて説明した配置関係及び寸法関係で示した割合を前述した割合の値のプラスマイナス20%の範囲で使用することが望ましく、さらに、プラスマイナス10%の範囲で使用することが望ましい。
【0057】
***動作の説明***
図19を用いて、スクリーン印刷装置100のスクリーン印刷方法について説明する。
以下の動作は、制御部110からの電気信号に基づいて行われる。
制御部110は、多関節ロボット600を動作させるときは、ロボットコントローラ130を介して多関節ロボット600を制御する。
制御部110は、検査工程で画像処理をするときは、画像処理ユニット140を用いて画像処理をする。
制御部110は、シリンダ又は加圧器を動作させるときは、真空ポンプ150と空気圧力回路160を介してシリンダ又は加圧器を制御する。
制御部110は、ワーク200を治具400に吸着させるときは、真空ポンプ150と空気圧力回路160を介してワーク200を治具400に吸着させる。
【0058】
ワーク200は、透明なガラス板、透明な樹脂板、又は、透光性のある板であるものとする。
ワーク200とスクリーン300と治具400が凸曲面と凹曲面とを有し、印刷部900が凸曲面から凹曲面に向かって印刷する場合について説明する。
電源オン前には、スキージユニット930は、ラック560にあるものとする。
全ての基準マーク410の位置と全ての基準マーク410の中心位置の距離は記憶装置に記憶されているものとする。
以下、テスト印刷なしの場合を説明する。
【0059】
*電源オン工程S11*
スクリーン印刷装置100の電源がオンになると、スクリーン印刷装置100は、初期動作を開始し、以下の順で初期設定をする。
1.多関節ロボット600の原点復帰
制御部110は、多関節ロボット600を原点に復帰させる。
多関節ロボット600の原点とは多関節ロボット600のエンド680がラック560の上空にある状態をいう。
2.離着機構800の原点復帰
制御部110は、離着機構800を原点に下降させる。
離着機構800の原点とは最も低い位置である。
図20は、離着機構800が原点にある状態を示している。
3.版移動機構700の原点復帰
制御部110は、版移動機構700を原点に復帰させる。
版移動機構700の原点とは開放状態位置である。
【0060】
*スキージユニット930の装着工程S12*
制御部110は、多関節ロボット600を動作させ、ラック560にあるスキージユニット930をエンド680に装着する。
多関節ロボット600は、スキージユニット930をエンド680に固定する。
【0061】
*ワーク200の搬入工程S13*
制御部110は、図示していない搬入装置により、ワーク200を治具400に載せる。
すなわち、凹面と凸面とを有するワーク200を凹面と凸面とを有する治具400に載置する。ワーク200の裏面は治具400の上面に形成された載置面に隙間なく重なる。
治具400の載置面には、吸引溝があり、制御部110は、吸引溝の空気を吸引する。この吸引により、ワーク200は、治具400の載置面に密着して固定される。
ワーク200は柔軟性があり搬入時に変形した状態で運ばれてきたとしても、剛性のある治具400の載置面に載せられ載置面に対して吸引されることにより、本来の形状になる。
【0062】
*版枠310とスキージユニット930とのセッティング工程S14*
制御部110は、多関節ロボット600を動作させ、スキージユニット930をラック560から取り出し、インク受け皿570の上空を経由して版枠310の上空に移動する。
制御部110は、モータ750を動作させ、版枠310を開放状態位置から印刷可能位置にスライドさせる。同時に、制御部110は、多関節ロボット600を動作させ、移動している版枠310の上空を使用してスキージユニット930をワーク200の上空に移動する。
すなわち、制御部110は、版移動機構700によるスクリーン300の移動時に、スキージ910をスクリーン300の上空で移動させる。
制御部110は、軸J1を140度回転させて、スキージユニット930をラック560から版枠310の印刷終了位置S2に移動する。
【0063】
*スクレッパー920によるインクコート工程S15*
制御部110は、多関節ロボット600を動作させ、スクレッパー920により版枠310のスクリーン300にインクをコートする。
制御部110は、多関節ロボット600によりスクレッパー920の先端をスクリーン300の曲面に沿って移動させる。
制御部110は、多関節ロボット600によりスクレッパー920を印刷終了位置S2から印刷開始位置S1に向かって移動させる。
制御部110は、多関節ロボット600によりスクレッパー920のスクリーン300に対するアタック角度が一定になるようにスクレッパー920の角度を制御する。スクレッパー920のアタック角度は、80度から100度がよく、90度が好適である。
制御部110は、スクレッパー920の移動中に加圧器932を動作させ、スクレッパー920をスクリーン300に押し付ける。あるいは、制御部110は、スクレッパー920をスクリーン300に押し付けることなく、スクレッパー920をスクリーン300の表面に沿ってスライドさせる。
多関節ロボット600によるスクレッパー920の制御は、移動方向が逆であることを除き、印刷工程S17における多関節ロボット600によるスキージ910の制御と同じであり、その制御の詳細は、印刷工程S17において説明する。
【0064】
*離着機構800の上昇工程S16*
制御部110は、離着機構800を動作させてワーク200を載せた治具400を上昇させる。
制御部110は、ワーク200とスクリーン300との間隔が所定のクリアランスになるまで治具400を上昇させる。
クリアランスは、1mm以上10mm以下の範囲であらかじめ設定されている。
【0065】
*多関節ロボット600の印刷工程S17*
制御部110は、多関節ロボット600によりスキージ910を移動させて、ワーク200の凹面と凸面とに印刷をする。
図21は、印刷開始状態を示している。
【0066】
まず、制御部110は、多関節ロボット600を動作させ、スキージ910を印刷開始位置S1に移動させる。
制御部110は、スキージ910の先端をスクリーン300の曲面に沿って移動させる。
すなわち、多関節ロボット600は、ワーク200の曲面に沿ってスキージ910を印刷方向に波状に移動する。
多関節ロボット600は、軸J2と、軸J3と、軸J5との3軸を水平かつ平行に配置し、軸J2と、軸J3と、軸J5との3軸の回転を用いて、スキージ910を印刷方向に移動する。
多関節ロボット600は、残りの軸、すなわち、軸J1と、軸J4と、軸J6とを同一鉛直面に配置して印刷する。
軸J1と、軸J4と、軸J6とが配置された同一鉛直面とは、印刷方向と平行な平面でありかつ版枠310又はスクリーン300の左右方向の中央において版枠310又はスクリーン300と直交する平面である。
制御部110は、スキージ910のワーク200の表面に対するアタック角度が一定になるようにスキージ910の角度を制御する。
多関節ロボット600は、ワーク200の表面のいずれの位置においてもアタック角度が一定になるようにスキージユニット930の姿勢を制御する。
スキージ910のアタック角度は、50度から90度がよく、60度から80度が好ましく、70度が好適である。
多関節ロボット600は、スキージユニット930に対して印刷圧力をかけることなくスキージユニット930を印刷方向に移動する。
制御部110は、スキージ910の移動中に加圧器931を動作させ、スキージ910をスクリーン300に押し付ける。
【0067】
多関節ロボット600により印刷圧力をかけるのではなく、加圧器932のみにより印刷圧力をかける理由は以下のとおりである。
理由1:多関節ロボット600よりも加圧器932の方が印刷中に印刷圧力を一定に保つ精度が高い。
理由2:多関節ロボット600による圧力制御をなくし、多関節ロボット600をスキージユニット930の移動制御と角度制御とに専念させることにより、移動制御と角度制御との精度を高める。
【0068】
多関節ロボット600は、多関節ロボット600の水平かつ平行に配置された軸のみの回転により、すなわち、軸J2と、軸J3と、軸J5との3軸のみの回転により、スキージ910を移動させる。
多関節ロボット600は、ワーク200の曲面に対するスキージ910のアタック角度を一定にしながら、スキージ910をワーク200の曲面に沿って移動させる。
多関節ロボット600は、印刷中、残りの軸、すなわち、軸J1と、軸J4と、軸J6と回転させない。
制御部110は、印刷開始位置S1からワーク200の凸面の頂部220までの登り坂の印刷では離着機構800を動作させない。
【0069】
*回転機構860の回転工程*
制御部110は、印刷中に離着機構800を動作させ、ワーク200の凸面の頂部220の印刷後に離着機構800により治具400をスクリーン300から引き離す。
制御部110は、スクリーン300に対して治具400を回転させる回転機構860を用いて治具400をスクリーン300から引き離す。
図22は、離着機構800の動作状態を示している。
【0070】
図23の(a)に示すように、印刷中に離着機構800を動作させず、治具400をスクリーン300から引き離さないと、ワーク200の凸面の頂部220の印刷後に、矢印で示す版離れ角度が減少する。すなわち、ワーク200の凸面の頂部220の印刷後に、ワーク200とスクリーン300との距離が減少してしまう。
図23の(b)に示すように、制御部110は、ワーク200の凸面の頂部220の印刷後に離着機構800を動作させ、治具400をスクリーン300から引き離し、版離れ角度又はワーク200とスクリーン300との距離を維持する。
離着機構800は、ワーク200の凸面の頂部220の印刷後、ワーク200とスクリーン300との距離が減少しないようにワーク200とスクリーン300との距離を大きくする。
離着機構800は、スキージ910で印刷している間、スキージ910が印刷している場所のワーク200とスクリーン300との距離を確保して、版離れ角度を確保する機構である。
制御部110は、回転機構860により、ワーク200の凸面の頂部220の印刷後に、印刷済みの凸面側のスクリーン300と治具400との距離を大きくする。
制御部110は、ワーク200の凹部側の端部にある上下シリンダ831の上下シャフト839の高さは一定に保つ。
制御部110は、ワーク200の凸部側の端部にある上下シリンダ832と上下シリンダ833との上下シャフト839を下降させる。
図22では、制御部110は、上下シリンダ832と上下シリンダ833との上下シャフト839を同量降下させている。
このため、上下シリンダ832の上下シャフト839の上にあるローラユニット865の先端にあるローラ868とテーブル820の受け板821の間には隙間ができる。
制御部110は、上下シリンダ832と上下シリンダ833との上下シャフト839を1対2の割合で降下させ、隙間ができないようにしてもよい。
回転機構860の回転シャフト861の回転により、テーブル820が傾き、治具400が傾く。
凸面側の治具400を低くすることにより、版離れ角度を維持することができ、さらに、ワーク200の凸部がスクリーン300の下面を接触することを避けることができる。
制御部110は、ワーク200の凸曲面の頂部220から凹曲面の底部230までの印刷の間、治具400をスクリーン300から引き離した状態にする。すなわち、制御部110は、下り坂の印刷中に治具400をスクリーン300から引き離した状態にする。
【0071】
ワーク200の凸曲面の頂部220の印刷後、制御部110の制御として以下の制御がある。
制御1.ワーク200の凹曲面の底部230に達するまで、治具400の傾きを増加させ、治具400をスクリーン300から徐々に引き離す。
ワーク200の凹曲面の底部230の経過時に治具400の傾きの増加を停止する。
ワーク200の凹曲面の底部230の経過後の印刷は、治具400の傾きを維持しながら、又は、治具400の傾きを徐々に減少させながら印刷する。
制御2.ワーク200の凸曲面と凹曲面の変曲点240に達するまで、治具400の傾きを増加させ、治具400をスクリーン300から徐々に引き離す。
ワーク200の変曲点240の経過時に治具400の傾きの増加を停止する。
ワーク200の変曲点240の経過後の印刷は、治具400の傾きを維持しながら、又は、治具400の傾きを徐々に減少させながら印刷する。
制御部110は、治具400の傾きを徐々に減少させる場合、予定されたクリアランスになるまで治具400をスクリーン300に近づけてゆく。
制御部110は、予定されたクリアランス未満になるまで治具400をスクリーン300に近づけることはない。
【0072】
*上下機構830の下降工程*
回転機構860の回転により十分な引き離しができない場合は、制御部110は、上下機構830により治具400全体を下降させ、治具400をスクリーン300から引き離した状態にする。
【0073】
*離着機構800の下降工程S18*
印刷が終了すると、制御部110は、離着機構800を動作させ、ワーク200と治具400を原点に下降させる。
【0074】
*版枠310とスキージユニット930との退避工程S19*
制御部110は、モータ750を動作させ、版枠310を印刷可能位置から開放状態位置に退避させる。
版枠310の退避と同時に、制御部110は、多関節ロボット600を動作させ、移動している版枠310の上空を使用してスキージユニット930を開放状態位置に移動する。
制御部110は、軸J1を140度回転させて、スキージユニット930を印刷終了位置S2からラック560へ移動する。
スキージユニット930の移動中にスキージ910又はスクレッパー920からインクが落下する場合、インクは版枠310に落ちる。
制御部110は、多関節ロボット600を動作させ、インク受け皿570の上空を経由してスキージユニット930を版枠310の上空からラック560に移動する。
スキージユニット930の移動中にスキージ910又はスクレッパー920からインクが落下する場合、インクはインク受け皿570に落ちる。
【0075】
*スキージユニット930の分離工程S20*
制御部110は、多関節ロボット600の軸J6を垂直にして軸J6を回転させ、スキージユニット930とカメラ690とを懸架部561の空間Rに挿入する。
制御部110は、エンド680に装着されていたスキージユニット930をエンド680から分離してラック560の懸架部561に吊り下げる。
【0076】
*検査工程S21*
(撮影工程)
制御部110は、版移動機構700を制御して、印刷後に版枠310を移動してワーク200の上空を開放する。
制御部110は、版移動機構700によりスクリーン300を移動させてワーク200の上空を開放した状態で、多関節ロボット600を動作させ、カメラ690をワーク200の上空に移動する。
制御部110は、多関節ロボット600からスキージ910を取り外した状態で、多関節ロボット600に固定したカメラ690を移動する。
制御部110は、多関節ロボット600により、カメラ690を1対の基準マーク410の上空に位置決めする。
基準マーク410の配置位置は既知であり、多関節ロボット600は、1対の基準マーク410を順に撮影する。
制御部110は、多関節ロボット600により、カメラ690のカメラ軸JCを鉛直方向下方に向けた状態で、カメラ690を位置決めする。
制御部110は、カメラ690を動作させ、1度の撮影で1対の基準マーク410と1対の基準マークの間に印刷された印刷ライン201とを1枚の画像に撮影する。
制御部110は、多関節ロボット600を動作させてカメラ690を移動させ、カメラ690により14対の基準マーク410すべてを順に撮影する。その際、カメラ軸は常時鉛直方向にある。すなわち、多関節ロボット600は軸J6を鉛直方向にしてカメラ690を移動させる。
制御部110は、撮影後、多関節ロボット600を動作させて、カメラ690をラック560の上空に移動する。
【0077】
(分析工程)
制御部110は、カメラ690が撮影した画像を分析して以下の位置検査と幅検査と距離検査とを実行する。
【0078】
(位置検査)
制御部110は、カメラ690により撮影された1個所の画像を分析する。
制御部110は、1対の基準マークの位置と印刷パターンの位置とに基づいて印刷パターンの良否を判断する。
A.基準マーク1個による位置検査例
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP1の中心位置から印刷ライン201の外郭線202までの距離G1を計算する。
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP1の中心位置から印刷ライン201の外郭線203までの距離G3を計算する。
制御部110は、距離G1と距離G2とが予定された距離であれば印刷は正常であると判断する。
制御部110は、距離G1と距離G2とが予定された距離以外であれば印刷は不良であると判断する。
この位置検査には、基準マーク410の配置位置を使用しない。すなわち、位置検査には、基準マーク410の中心位置の座標を使用しない。
B.基準マーク2個による位置検査例1
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP1の中心位置から印刷ライン201の外郭線202までの距離G1を計算する。
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP2の中心位置から印刷ライン201の外郭線203までの距離G4を計算する。
制御部110は、距離G1と距離G4とが予定された距離であれば印刷は正常であると判断する。
制御部110は、距離G1と距離G4とが予定された距離以外であれば印刷は不良であると判断する。
この位置検査には、基準マーク410の配置位置を使用しない。すなわち、位置検査には、基準マーク410の中心位置の座標を使用しない。
C.基準マーク2個による位置検査例2
制御部110は、
図15の(d)に示すように、外郭線202と外郭線203とを検出して外郭線202と外郭線203との中央を計算し印刷ライン201の中心線204の位置とする。
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP1の中心位置から中心線204までの距離K1を計算する。
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP2の中心位置から中心線204までの距離K4を計算する。
制御部110は、距離K1と距離K4とが予定された距離であれば印刷は正常であると判断する。
制御部110は、距離K1と距離K4とが予定された距離以外であれば印刷は不良であると判断する。
印刷ライン201が、1対の基準マークの中央に印刷されなければならない場合、さらに、制御部110は、1対の基準マークの距離W1の中間位置に印刷ライン201の中心線204があるか判定する。
制御部110は、K1=K4=W1/2であれば、印刷は正常であると判断する。
制御部110は、K1=K4=W1/2でなければ、印刷は不良であると判断する。
すなわち、制御部110は、1対の基準マークの距離W1の中間位置に印刷ライン201の中心線204があれば、その位置の印刷は正常であると判断する。
制御部110は、2個の基準マークの中間からずれて印刷ライン201の中心線204があれば、その位置の印刷は不良であると判断する。
この位置検査には、1対の基準マークの距離W1が使用される。
この位置検査には、基準マーク410の配置位置を使用しない。すなわち、位置検査には、基準マーク410の中心位置の座標を使用しない。
以上のように、位置検査では、印刷ラインと1個又は1対の基準マークとを1画像に撮影して、印刷ラインと基準マークとの距離を計算し、印刷ラインの印刷位置の良否を判定する。
【0079】
(幅検査)
制御部110は、カメラ690により撮影された1個所の画像を分析する。
制御部110は、1対の基準マークの距離W1と印刷パターンの幅とに基づいて印刷パターンの良否を判断する。
制御部110は、1対の基準マークの中心位置の距離W1と印刷ライン201の画像とから印刷ライン201の幅を計算する。
制御部110は、具体的には、以下のような計算をする。
A.基準マーク1個による幅検査例
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP1の中心位置から印刷ライン201の外郭線202までの距離G1を計算する。
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP1の中心位置から印刷ライン201の外郭線203までの距離G3を計算する。
制御部110は、「印刷ライン201の幅=G3-G1」の計算をして、印刷ライン201の幅を求める。
制御部110は、印刷ライン201の幅が予定された幅V1であれば印刷は正常であると判断する。
制御部110は、印刷ライン201の幅が予定された幅V1以外であれば印刷は不良であると判断する。
幅検査には、基準マーク410の配置位置を使用しない。すなわち、位置検査には、基準マーク410の中心位置の座標を使用しない。
B.基準マーク2個による幅検査例
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP1の中心位置から印刷ライン201の外郭線202までの距離G1を計算する。
制御部110は、
図15の(d)に示すように、基準マークP2の中心位置から印刷ライン201の外郭線203までの距離G4を計算する。
制御部110は、基準マークP1の中心位置と基準マークP2の中心位置との距離W1を記憶装置から取り出して、以下の計算をする。
印刷ライン201の幅=W1-(G1+G4)
制御部110は、印刷ライン201の幅が予定された幅V1であれば印刷は正常であると判断する。
制御部110は、印刷ライン201の幅が予定された幅V1以外であれば印刷は不良であると判断する。
幅検査には、1対の基準マークの距離W1が使用される。
幅検査には、基準マーク410の配置位置を使用しない。すなわち、位置検査には、基準マーク410の中心位置の座標を使用しない。
以上のように、幅検査では、印刷ラインと1個又は1対の基準マークとを1画像に撮影しているので、印刷ラインと基準マークとの距離を計算することができ、印刷ラインの幅の良否を判定することができる。
【0080】
(距離検査)
制御部110は、カメラ690により撮影された複数個所の画像を分析する。
制御部110は、各箇所の基準マークの位置と各箇所の印刷パターンの位置とに基づいて各箇所の基準マークと各箇所の印刷パターンとの距離を計算する。
制御部110は、基準マークと印刷パターンとの距離と複数個所の基準マークの距離とに基づいて、複数個所の印刷パターンの距離を計算する。
制御部110は、ワーク200の曲面の弧長ではなく平面視の直線距離を計算して、印刷の良否を判断する。
距離検査には、2個の基準マークと2本の印刷ライン201との距離と、記憶装置に記憶されている2個の基準マークの距離とが使用される。
距離検査には、基準マーク410の配置位置を使用しない。すなわち、位置検査には、基準マーク410の中心位置の座標を使用しない。
2個の基準マークの距離が記憶装置に記憶されていない場合は、基準マーク410の中心位置の座標から2個の基準マークの距離を計算すればよい。
【0081】
制御部110は、具体的には、以下のような検査をする。
A.距離検査例1
図15に示す直線Lに配置された基準マークP1の中心位置と基準マークP4の中心位置との距離はW2であるものとする。
制御部110は、基準マークP1の位置と印刷ライン201の外郭線202の位置とに基づいて、基準マークP1の中心位置と印刷ライン201の外郭線202との距離G1を求める。
制御部110は、基準マークP4の位置と印刷ライン211の外郭線213の位置とに基づいて、基準マークP4の中心位置と印刷ライン211の外郭線213との距離G2を求める。
制御部110は、距離W2-(距離G1+距離G2)が予定の長さV3であれば正常であると判断する。
制御部110は、距離W2-(距離G1+距離G2)が予定の長さV3以外であれば不良であると判断する。
また、
図15に示す直線Lに配置された基準マークP2の中心位置と基準マークP3の中心位置との距離はW3であるものとする。
制御部110は、基準マークP2の位置と印刷ライン201の外郭線203の位置とに基づいて、基準マークP2の中心位置と印刷ライン201の外郭線203との距離G4を求める。
制御部110は、基準マークP3の位置と印刷ライン211の外郭線212の位置とに基づいて、基準マークP3の中心位置と印刷ライン211の外郭線212との距離G5を求める。
制御部110は、距離W3+(距離G4+距離G5)が予定の長さV4であれば正常であると判断する。
制御部110は、距離W3+(距離G4+距離G5)が予定の長さV4以外であれば不良であると判断する。
B.距離検査例2
図15に示す直線Lに配置された基準マークP1の中心位置と基準マークP4の中心位置との距離はW2であるものとする。
制御部110は、基準マークP1の位置と印刷ライン201の中心線204の位置とに基づいて、基準マークP1の中心位置と印刷ライン201の中心線204との距離K1を求める。
制御部110は、基準マークP4の位置と印刷ライン211の中心線214の位置とに基づいて、基準マークP4の中心位置と印刷ライン211の中心線214との距離K2を求める。
制御部110は、距離W2-(距離K1+距離K2)が予定の長さV5であれば正常であると判断する。
制御部110は、距離W2-(距離K1+距離K2)が予定の長さV5以外であれば不良であると判断する。
【0082】
また、
図15に示す直線Lに配置された基準マークP2の中心位置と基準マークP3の中心位置との距離はW3であるものとする。
制御部110は、基準マークP2の位置と印刷ライン201の中心線204の位置とに基づいて、基準マークP2の中心位置と印刷ライン201の中心線204との距離K4を求める。
制御部110は、基準マークP3の位置と印刷ライン211の中心線214の位置とに基づいて、基準マークP3の中心位置と印刷ライン211の中心線214との距離K5を求める。
制御部110は、距離W3+(距離K4+距離K5)が予定の長さV5であれば正常であると判断する。
制御部110は、距離W3+(距離K4+距離K5)が予定の長さV5以外であれば不良であると判断する。
【0083】
以上のように、距離検査では、印刷ラインと1個の基準マークとを2箇所撮影しているので、2個の基準マーク間の距離と、2画像から求めた基準マークから印刷ラインまで距離とにより印刷ラインの距離を計算することができる。
前述した検査内容と検査方法と計算方法とは異なるその他の検査内容と検査方法と計算方法を使用してもよい。
【0084】
検査工程S21では、カメラ690の位置決めには、基準マーク410の配置位置のみが使用される。
検査工程S21では、印刷パターンの良否を判断するために、基準マーク410の配置位置は使用されない。
検査工程S21では、基準マーク410と印刷パターンとの距離のみ、又は、基準マーク410同士の距離のみが使用される。
制御部110は、撮影中、あるいは、撮影後に、目視チェックのために撮影した画像、測定値、計算値、及び、検査結果をモニタ120に表示することができる。
具体的には、制御部110は、コンソール170からの指示に基づいてモニタ120に画像、測定値、計算値、及び、検査結果を順次又は選択的に表示する。
また、制御部110は、コンソール170からの指示に基づいて、不良と判断された印刷パターンの画像、測定値、計算値、及び、検査結果をモニタ120に表示する。
【0085】
*ワーク200の搬出工程S22*
制御部110は、図示していない搬出装置により、ワーク200を搬出する。
【0086】
*繰り返し工程S23*
制御部110は、ワーク200の搬出後、次の印刷があるか判断し、スキージユニット930の装着工程S12に戻る。
制御部110は、次の印刷がなければ、印刷を終了する。
【0087】
以上のように、実施の形態1では、凹凸両方の曲面を有するワーク200に印刷できる機能を持つスクリーン印刷方法を説明した。
また、スクリーン印刷後にカメラ690にて印刷位置を測定して印刷結果を検査するスクリーン印刷方法を説明した。
前述したスクリーン印刷方法によれば、曲面形状を有するガラス基板、フィルム、その他の曲面ワークへの印刷が可能である。
【0088】
***実施の形態1の効果の説明***
実施の形態1によれば、多関節ロボット600を備えているので、曲面のワーク200に印刷することができる。
多関節ロボット600を使用するメリットは、以下のとおりである。
A.曲面印刷において、スキージ910とスクレッパー920とを曲面に沿って移動させることができる。
B.曲面印刷において、スキージ910とスクレッパー920のアタック角度を一定にすることができる。
C.多関節ロボット600により印刷と検査との2種類の動作ができる。すなわち、スキージユニット930を着脱可能とすることで、カメラ690による検査が可能になる。
D.スキージユニット930をラック560に移動させることができ、ワーク200の上空を完全に開放することができる。
E.ワーク200の搬入装置及び搬出装置の代わりに、多関節ロボット600によりワーク200の搬入及びワーク200の搬出をすることも可能である。
【0089】
スクリーン印刷装置100がワークの曲面に対応した曲面を有する治具400を備えているので、ワーク200を変形させることなく印刷することができる。
【0090】
多関節ロボット600は、天吊りタイプなので、スクリーン印刷装置100の平面面積が小さくなる。
多関節ロボット600は、3軸を水平に配置して、残りの軸を同一平面に配置して印刷するので、精度よくスキージユニット930を操作することができる。
多関節ロボット600は、水平に配置した3軸のみを制御して印刷するので、平面視でスキージユニット930を正確に直線移動することができる。
多関節ロボット600は、水平に配置した3軸以外の残りの軸を全て固定して印刷するので、スキージユニット930の姿勢制御が容易になる。
【0091】
実施の形態1によれば、ワーク200の表面の凹凸面に対応した凹凸面を有するスクリーンを備えているので、曲面のワーク200に印刷することができる。
ワーク200とスクリーン300と距離を変更する離着機構800を備えているので、版離れ角度を最適に調節することができる。
【0092】
離着機構800がワーク200の凸面の頂部220の印刷後に治具400をスクリーン300から引き離すので、ワーク200の凸面とスクリーン300との版離れ角度の減少を避けることができる。
【0093】
離着機構800は、治具400を上下させる上下機構830と治具400を回転させる回転機構860とにより、ワーク200とスクリーン300との版離れ角度を調整することができる。
【0094】
実施の形態1によれば、基準マーク410を有する治具400とカメラ690とを備えているので、印刷パターンを検査することができる。
基準マーク410が、曲面板のワーク200ではなく、堅固な治具400に形成されているので、基準マーク410の位置ずれがなく正確な検査することができる。
【0095】
カメラ690がカメラ軸を鉛直方向下方に向けた状態で、基準マークと印刷パターンを撮影するので、撮影が容易であるとともに、位置計算が容易である。
【0096】
ワーク200が透明なので、カメラ690は、ワーク200を介して基準マーク410を撮影することができる。
【0097】
実施の形態1によれば、版枠310を移動させる版移動機構700を備えているので、ワーク200を移動させることなく、印刷パターンの検査ができる。
ワーク200を治具400から搬出した後に検査する場合、ワーク200が変形した状態で検査する可能性があり、正確な検査が保証されない。
【0098】
多関節ロボット600は、スキージユニット930を取り外した状態でカメラ690の移動をするので、検査中にスキージ910又はスクレッパー920からインクが落下することがない。
多関節ロボット600がカメラ690を常時固定しているので、カメラ690の着脱動作をする必要がない。
【0099】
印刷ラインと少なくとも1個の基準マークを1画像に撮影しているので、印刷ラインと1個の基準マークとの距離を計算することができ、印刷ラインの印刷位置の良否又は印刷ラインの幅の良否を判定することができる。
すなわち、基準マークの位置が既知なので、基準マークと印刷ラインとの距離を計算することにより印刷ラインの位置の良否がわかり、印刷パターンの良否を判定することができる。
【0100】
印刷ラインと基準マークとを複数箇所を撮影しているので、基準マーク間の距離と、基準マークから印刷ラインまで距離とにより印刷ラインの距離を計算することができ、印刷ラインの距離の良否を判定することができる。
すなわち、2個の基準マーク410の距離が既知なので、2個の基準マーク410の位置と印刷ラインの位置とに基づいて2本の印刷ラインの距離が計算でき、印刷パターンの良否を判断することができる。
【0101】
***実施の形態1の変形例***
(ワーク200の変形例)
ワーク200の表面は、複数の凹曲面と複数の凸曲面を有していても構わない。
ワーク200の表面の凹曲面と凸曲面との半径の長さは異なっていてもよい。
ワーク200の表面には、半径が異なる凹曲面と凹曲面とが連続する部分が存在してもよい。
ワーク200の表面には、半径が異なる凸曲面と凸曲面とが連続する部分が存在してもよい。
ワーク200の表面には、曲面と平面とが連続する部分が存在してもよい。
ワーク200の裏面は、ワーク200の表面と対応する曲面を有している必要はなく、ワーク200の厚さは一定でなくてもよい。
ワーク200の裏面は、平面であってもよい。ワーク200裏面が平面の場合、治具400は、ワーク200の裏面の平面に対応して、平面であればよい。
ワーク200は、前後方向だけでなく、左右方向において少なくとも一部に凹部と凸部の一方又は両方があってもよい。ワーク200が左右方向において凹部又は凸部がある場合は、スキージ910の先端にワーク200の凹部又は凸部に対応した凸部又は凹部が存在していればよい。
【0102】
(治具400の変形例)
治具400の載置面は、ワーク200の裏面の形状と一致させなくてもよく、ワーク200が十分な硬さを有していれば、治具400の載置面とワーク200の裏面との間に隙間があってもよい。
基準マーク410は、印刷ライン201に対して1対存在していなくてもよく、印刷ライン201に対して1個存在していてもよい。基準マーク410が印刷ライン201に対して1個存在する場合でも、基準マーク410の位置が既知であるから基準マーク410の位置と印刷ライン201との距離を計算できる。
また、基準マーク410が印刷ライン201に対して1個存在する場合でも、複数の基準マーク410の距離を用いて、複数の印刷ライン201の距離も計算することができる。
【0103】
基準マーク410は、直線の印刷ライン201ではなく、曲線、正方形、三角形、多角形、半円、その他の形状の印刷パターンに対応して形成されていてもよい。
基準マーク410は、印刷ライン201の各端部にある必要はなく、品質検査の上で重要と思われる個所だけに存在してもよい。
基準マーク410は、穴でなくてもよく、治具400の表面に記載した印又はシールでもよい。
基準マーク410の形状は、円形でなくてもよく、正方形、三角形、多角形、直線、半円、その他の形状でもよい。
基準マーク410は、カメラ690で撮影して識別できるものであればよい。
基準マーク410は、ワーク200の外側だけにあってもよい。
基準マーク410は、ワーク200の内側だけにあってもよい。
ワーク200を介して基準マーク410をカメラ690で撮影できる場合、基準マーク410はワーク200により覆われる位置だけにあってもよい。ワーク200を介して基準マーク410をカメラ690で撮影できる場合の具体例は、ワーク200が透明である場合、又は、ワーク200が基準マーク410を露出する貫通孔を有している場合である。
基準マーク410の穴の中心軸が鉛直方向ではなく、ワーク200の表面に対して垂直になるように基準マーク410を形成してもよい。カメラ690で撮影する場合、多関節ロボット600はカメラ軸JCを基準マーク410の穴の中心軸と一致させて撮影する。制御部110は、曲面の弧長に基づいて印刷パターンのサイズと距離を計算する。
【0104】
(多関節ロボット600の変形例)
多関節ロボット600は、6軸のロボットでなくてもよく、5軸、4軸、又は3軸のロボットでもよい。
具体的には、軸J4はなくてもよい。
カメラ690による検査がなくかつスキージユニット930をラック560に移動させる必要がなければ、軸J1はなくてもよい。
カメラ690による検査がなくかつスキージユニット930をラック560の上空で回転させる必要がなければ軸J6はなくてもよい。
【0105】
版移動機構700と離着機構800は、スキージユニット930を水平方向に直線的に移動させる駆動機構を使用したスクリーン印刷装置に対しても使用することができる。
また、前述した基準マークを用いた検査内容と検査方法は、スキージユニット930を水平方向に直線的に移動させる駆動機構を使用したスクリーン印刷装置に対しても使用することができる。
また、カメラ690は多関節ロボット600に取り付けなくてもよく、カメラ690を多関節ロボット600に取り付ける代わりに、カメラ690を水平2次元方向に移動させる2次元駆動機構に取り付けてもよい。
【0106】
(版移動機構700の変形例)
版移動機構700は、版枠310を左右に移動させず、版枠310を前後に移動させてもよい。
版移動機構700は、版枠310の一辺を軸にして版枠310を回転させてもよい。
版移動機構700は、版枠310を移動させず、離着機構800を移動台に乗せて離着機構800を移動するようにしてもよい。
【0107】
(離着機構800の変形例)
離着機構800の中央にある上下シリンダ832とリニアシャフト842とは、テーブル820が堅固であれば、なくてもよい。
離着機構800の前方にあるリニアシャフト841は、4個なくてもよく、2個でもよい。
離着機構800は、上下機構830と回転機構860との両方を備えていなくてもよく、上下機構830のみ又は回転機構860のみを備えていてもよい。
回転機構860として、片側のみに傾く機構を示したが、回転機構860は、反対側のみに傾く機構でもよい。あるいは、回転機構860は、両側に傾く機構であってもよい。
上下ガイド350は、テーブル820の下面の左右に複数あってもよいし、テーブル820の下面の前後に複数あってもよい。
【0108】
(印刷部900の変形例)
印刷部900にスキージ910とスクレッパー920とがある場合を示したが、印刷部900にスキージ910とスクレッパー920とのいずれかを交換して取り付けるようにしてもよい。
印刷部900がエンド680の回転によりフォアアーム660に接触しないのであれば、印刷部900に空間Sを設けなくてもよい。
【0109】
(動作の変形例:テスト印刷)
テスト印刷する場合について、前述した動作と異なる点について説明する。
ワーク200の搬入工程S13において、ワーク200を治具400に載せる。
その後、ロール保持部590にあるロールフィルムを引っ張り出してワーク200をロールフィルムで覆う。
その後、ロールフィルムに対してセッティング工程S14から検査工程S21までを実施する。
すなわち、版枠310とスキージユニット930とを印刷位置に移動してロールフィルムに対して印刷する。
その後、ロールフィルムへの印刷結果を検査する。
ロールフィルムへの印刷結果の検査終了後、ロールフィルムをワーク200からはがす。
ロールフィルムへの印刷結果が不良であれば、不良の原因を除去してから再度テスト印刷をする。
ロールフィルムへの印刷結果が正常であれば、ワーク200に対してセッティング工程S14から搬出工程S22までを実施する。すなわち、版枠310とスキージユニット930とを印刷位置に移動してワーク200に対して印刷と検査を実施してワーク200を搬出する。
【0110】
(動作の変形例:サンプリング検査)
検査工程S21を毎回実施しなくともよく、サンプリング検査を実施してもよい。
サンプリング検査をする場合、スキージユニット930の分離工程S20は実施せず、分離工程S20の代わりに、スキージユニット930の待機工程を実施すればよい。
待機工程とは、多関節ロボット600がスキージユニット930を装着したままスキージユニット930をインク受け皿570の上空に待機させる工程である。
待機中にスキージ910又はスクレッパー920からインクが落下してもインク受け皿570で受け止めることができる。
【0111】
(動作の変形例:凹面印刷から凸面印刷)
図1に示すように、ワーク200の凹面を先に印刷して凸面を後に印刷してもよい。
図24は、ワーク200の凹面を先に印刷して凸面を後に印刷する場合を示している。
ワーク200の凹面を印刷する際には、印刷済みの部分に凸部がないので、治具400をスクリーン300から引き離す必要がない。
図24の(a)に示すように、ワーク200の凸面の頂部220を印刷した後も、下り坂の高低差が小さければ版離れ角度又はワーク200とスクリーン300との距離が小さくなる前に印刷が終了するので、治具400をスクリーン300から引き離す必要がない。
ワーク200の凸面の頂部220を印刷した後、下り坂の高低差が大きい場合、
図24の(b)に示すように、上下機構830のみを動作させ、治具400全体をスクリーン300から引き離す。あるいは、
図24の(c)に示すように、回転機構860を動作させ、治具400の後方をスクリーン300から引き離す。
図示しないが、ワーク200が連続する複数の凹凸からなる波状の表面を有する場合は、制御部110は、上下機構830と回転機構860とを用いて、ワーク200とスクリーン300との版離れ角度又はワーク200とスクリーン300との距離を調整する。
原則として、制御部110は、上り坂の印刷後の下り坂の印刷においてワーク200とスクリーン300とを引き離す制御をする。
【0112】
(動作の変形例:逆方向印刷)
印刷方向を逆にしてもよい。
印刷方向を逆にする場合は、以下の構成が考えられる。
構成1.
図1に示す多関節ロボット600の配置を前後反対にする。
構成2.
図1に示す多関節ロボット600に対して、印刷部900を反対に取り付ける。
構成3.
図1に示す多関節ロボット600の印刷部900に対して、スキージ910とスクレッパー920とを180度反転させかつスキージ910とスクレッパー920との取付位置を入れ替える。
【0113】
(動作の変形例:カメラ690の着脱)
ラック560にカメラ690を保持するカメラ保持部を形成して、多関節ロボット600に対してカメラ690を着脱してもよい。印刷時には、制御部110はカメラ690をカメラ保持部に保持しておき、検査時には、多関節ロボット600からスキージユニット930を外して多関節ロボット600にカメラ690を取り付ける。
【0114】
(動作の変形例:印刷の圧力)
印刷時に、加圧器931ではなく、多関節ロボット600によりスキージ910に印刷の圧力を加えてもよい。
あるいは、印刷時に、加圧器931と多関節ロボット600とによりスキージ910に印刷の圧力を加えてもよい。
同様に、インクコート時に、加圧器932ではなく、多関節ロボット600によりスクレッパー920に圧力を加えてもよい。
あるいは、インクコート時に、加圧器932と多関節ロボット600とによりスクレッパー920に圧力を加えてもよい。
【符号の説明】
【0115】
100 スクリーン印刷装置、110 制御部、120 モニタ、130 ロボットコントローラ、140 画像処理ユニット、150 真空ポンプ、160 空気圧力回路、170 コンソール、200 ワーク、201,211 印刷ライン、202,203,212,213 外郭線、204,214 中心線、220 頂部、230 底部、240 変曲点、300 スクリーン、310 版枠、320 頂部、330 底部、340 変曲点、400 治具、410 基準マーク、500 筐体、510 基台、520 制御ボックス、530 柱フレーム、540 梁フレーム、550 天板、560 ラック、561 懸架部、570 インク受け皿、590 ロール保持部、600 多関節ロボット、610 ベース、620 ボディ、630 ショルダ、640 アッパーアーム、650 エルボ、660 フォアアーム、670 リスト、680 エンド、690 カメラ、700 版移動機構、720 脚、730 スライド機構、740 搬送ベルト、750 モータ、760 枠固定部、800 離着機構、820 テーブル、821 受け板、822 フレーム、830 上下機構、831,832,833 上下シリンダ、835 フローティングジョイント、839 上下シャフト、841,842,843 リニアシャフト、844,845,846 上下板、849 直動シャフト、850 上下ガイド、851 プレート、852 カムフォロア、853 ガイド部、854 ガイド柱、860 回転機構、861 回転シャフト、862 軸受、864 シャフトユニット、865,866 ローラユニット、867 軸、868 ローラ、870 調整機構、871 連結板、872 ネジ、873 ダイヤルゲージ、900 印刷部、910 スキージ、920 スクレッパー、930 スキージユニット、931 加圧器、932 加圧器、933 固定板、934 下板、935 側板、936 上板、937 着脱部、938 リニアブッシュ、939 フローティングジョイント、940 直動シャフト、941 取付部、942 取付部、943 加圧シャフト、J1,J2,J3,J4,J5,J6 軸、JC カメラ軸、S1 印刷開始位置、S2 印刷終了位置、P1,P2,P3,P4 基準マーク。