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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20220406BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220406BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
H05K3/00 W
H05K1/02 B
B29C45/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022500138
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2021031924
【審査請求日】2022-01-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514015019
【氏名又は名称】エレファンテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】312003595
【氏名又は名称】タカハタプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】中島 崇
(72)【発明者】
【氏名】北山 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】横山 英明
(72)【発明者】
【氏名】老田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 清
【審査官】小林 大介
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
H05K 1/02
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に導電性パターンが形成された基板と、
前記基材の少なくとも一面に、第1のビカット軟化点を有し、硬化後のビカット軟化点が前記第1のビカット軟化点よりも高く、耐熱性を有しかつ硬化後も柔軟性を有する樹脂をベース樹脂とする光硬化性粘接着剤層を介して接着積層された樹脂シートと、
樹脂材料が前記樹脂シートの樹脂材料と相溶性を有するとともに前記第1のビカット軟化点よりも高い第2のビカット軟化点を有し、前記樹脂シートと熱溶融接着された樹脂層と、を備えた、
ことを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記光硬化性粘接着剤は、硬化後において、
150℃における貯蔵弾性率の値が10MPa以上であり、
周波数10Hzにおける貯蔵弾性率/損失弾性率で表される損失正接(tanδ)のピーク値が0.50以上である、
ことを特徴とする請求項に記載の回路基板。
【請求項3】
前記樹脂シートは、前記導電性パターンが形成された前記基材の面とは反対側の面に前記光硬化性粘接着剤層を介して接着積層されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記樹脂シートは、前記導電性パターンが形成された前記基材の面に前記光硬化性粘接着剤層を介して接着積層されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項5】
前記導電性パターンの一部は、前記樹脂シート及び前記光硬化性粘接着剤層を貫通して前記樹脂層の表面に露出している、
ことを特徴とする請求項に記載の回路基板。
【請求項6】
前記基材が合成樹脂材料からなる変形可能なフィルムである、
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項7】
前記導電性パターンは、Cu、Ni、Ag、Auの中から選択される少なくとも1種の金属よりなる金属めっき層である、
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項8】
基材の一面に導電性パターンが形成された基板と、前記基材の少なくとも一面に、第1のビカット軟化点を有し、硬化後のビカット軟化点が前記第1のビカット軟化点よりも高い粘接着剤層を介して接着積層された樹脂シートと、樹脂材料が前記樹脂シートの樹脂材料と相溶性を有するとともに前記第1のビカット軟化点よりも高い第2のビカット軟化点を有し、前記樹脂シートと熱溶融接着された樹脂層と、を備えた回路基板の製造方法であって、
前記基材を準備する工程と、
前記基材の一面に前記導電性パターンを形成する工程と、
前記導電性パターンが形成された前記基材の少なくとも一面に前記粘接着剤層を貼り付ける工程と、
前記粘接着材層に前記樹脂シートを貼り合わせて加圧した後前記粘接着剤層に光を照射して硬化反応を開始させる接着積層工程と、
前記樹脂シートが接着積層された前記回路基板を金型に載置して樹脂を射出成形して前記樹脂シートに前記樹脂層を熱溶融接着する工程と、を含む、
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記接着積層工程の後に、前記樹脂シートが接着積層された前記基板を型に載置して前記基板に3次元形状への賦形を施す賦形工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項に記載の回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内面がプラスチック層で外側が紙からなるトレー状容器に内容物を充填後、紙、プラスチックフィルム又は金属箔を基材とする蓋材により封緘して密封するトレー状複合容器において、トレー状複合容器が、上面に開口部を有し、開口部の周縁にフランジ部を有する紙を基材とする容器の内面に、少なくともカルボキシル基又は金属で中和されたカルボキシル基を有するエチレン系共重合体層を有する熱可塑性樹脂フィルムを溶融接着したトレー状複合容器が知られている(特許文献1)。
【0003】
金属膜を有する樹脂成形品の製造方法であって、少なくとも一方の表面が、金属微粒子を分散させたポリアミド系樹脂から形成されている樹脂シートを、上記樹脂成形品を成形する金型内に、上記ポリアミド系樹脂が上記金型と接した状態で設置することと、上記樹脂シートが設置された上記金型内に溶融樹脂を充填して、上記樹脂シートと上記溶融樹脂とが一体化してなる上記樹脂成形品を成形することと、アルコールを含有した無電解めっき液に上記樹脂成形品を常圧下で浸漬させることとを含む製造方法も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-238197号公報
【文献】特開2010-69761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、基材上に導電性パターンが形成された基板に結着層を介することなく樹脂層を強固に接合することができる回路基板及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の回路基板は、
基材上に導電性パターンが形成された基板と、
前記基材の少なくとも一面に、第1のビカット軟化点を有し、硬化後のビカット軟化点が前記第1のビカット軟化点よりも高く、耐熱性を有しかつ硬化後も柔軟性を有する樹脂をベース樹脂とする光硬化性粘接着剤層を介して接着積層された樹脂シートと、
樹脂材料が前記樹脂シートの樹脂材料と相溶性を有するとともに前記第1のビカット軟化点よりも高い第2のビカット軟化点を有し、前記樹脂シートと熱溶融接着された樹脂層と、を備えた
ことを特徴とする。
【0007】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回路基板において、
前記樹脂シートは、前記導電性パターンが形成された前記基材の面とは反対側の面に前記光硬化性粘接着剤層を介して接着積層されている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回路基板において、
前記樹脂シートは、前記導電性パターンが形成された前記基材の面に前記光硬化性粘接着剤層を介して接着積層されている、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の回路基板において、
前記導電性パターンの一部は、前記樹脂シート及び前記光硬化性粘接着剤層を貫通して前記樹脂層の表面に露出している、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の回路基板において、
前記光硬化性粘接着剤は、硬化後において、
150℃における貯蔵弾性率の値が10MPa以上であり、
周波数10Hzにおける貯蔵弾性率/損失弾性率で表される損失正接(tanδ)のピーク値が0.50以上である、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の回路基板において、
前記基材が合成樹脂材料からなる変形可能なフィルムである、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の回路基板において、
前記導電性パターンは、Cu、Ni、Ag、Auの中から選択される少なくとも1種の金属よりなる金属めっき層である、
ことを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するために、請求項に記載の回路基板の製造方法は、
基材の一面に導電性パターンが形成された基板と、前記基材の少なくとも一面に、第1のビカット軟化点を有し、硬化後のビカット軟化点が前記第1のビカット軟化点よりも高い粘接着剤層を介して接着積層された樹脂シートと、樹脂材料が前記樹脂シートの樹脂材料と相溶性を有するとともに前記第1のビカット軟化点よりも高い第2のビカット軟化点を有し、前記樹脂シートと熱溶融接着された樹脂層と、を備えた回路基板の製造方法であって、
前記基材を準備する工程と、
前記基材の一面に前記導電性パターンを形成する工程と、
前記導電性パターンが形成された前記基材の少なくとも一面に前記粘接着材層を貼り付ける工程と、
前記粘接着剤層に前記樹脂シートを貼り合わせて加圧した後前記粘接着剤層に光を照射して硬化反応を開始させる接着積層工程と、
前記樹脂シートが接着積層された前記回路基板を金型に載置して樹脂を射出成形して前記樹脂シートに前記樹脂層を熱溶融接着する工程と、を含む、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の回路基板の製造方法において、
前記接着積層工程の後に、前記樹脂シートが接着積層された前記基板を型に載置して前記基板に3次元形状への賦形を施す賦形工程を更に含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、基材の一面に導電性パターンが形成された基板に結着層を介することなく樹脂層を強固に接合することができる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、回路基板の導電性パターンが形成されていない面に樹脂層を接合して基板の強度を向上させることができる。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、回路基板の導電性パターンが形成されている面に樹脂層を接合して導電性パターン及び基板上に実装された素子を保護することができる。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、基板上に電気接点を配置することができる。
【0021】
請求項に記載の発明によれば、樹脂シートと樹脂層を一体化した際に、樹脂シートの位置ずれを抑制することができる。
【0022】
請求項に記載の発明によれば、基板を3次元形状に賦形することができる。
【0023】
請求項に記載の発明によれば、導電性パターンを賦形された基材の3次元形状に沿って配置することができる。
【0024】
請求項に記載の発明によれば、導電性パターンを賦形された基材の3次元形状に沿って配置することができる。
【0025】
請求項に記載の発明によれば、基板を3次元形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1Aは本実施形態に係る回路基板の一例を示す断面模式図、図1Bは回路基板の一例を示す平面模式図である。
図2図2Aは硬化前の粘接着剤層の貯蔵弾性率の一例を示す図、図2Bは硬化後の粘接着剤層の貯蔵弾性率及び損失正接の一例を示す図である。
図3図3Aは変形例1に係る回路基板の断面構成を示す模式図、図3Bは変形例2に係る回路基板の断面構成を示す模式図である。
図4】回路基板の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図である。
図5】回路基板の製造過程を説明するための回路基板の部分断面模式図である。
図6】基材を3次元形状に賦形するための熱プレス成形の各工程を説明するための説明図である。
図7】賦形された基材に樹脂層を射出成形して樹脂シートと熱溶融接着する熱溶融接着工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0028】
(1)回路基板の全体構成
図1Aは本実施形態に係る回路基板1の一例を示す断面模式図、図1Bは回路基板1の一例を示す平面模式図、図2Aは硬化前の粘接着剤層6の貯蔵弾性率の一例を示す図、図2Bは硬化後の粘接着剤層6の貯蔵弾性率及び損失正接の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る回路基板1の構成について説明する。
【0029】
回路基板1は、図1に示すように、基材2、基材2の一面2a上に配置された導電性パターン3、導電性パターン3で電気的に接合された電子部品4からなる基板5と、基材2の一面2aとは反対側の他面2bに設けられた粘接着剤層6と、粘接着剤層6に接着積層された樹脂シート7と、樹脂シート7と熱溶融接着された樹脂層8と、を備えて構成されている。
【0030】
(基材)
本実施形態における基材2は、合成樹脂材料からなり変形可能な絶縁性のフィルム状の基材である。ここで、「変形可能な基材」は、導電性パターン3を配置後に変形できる、すなわち、熱成形、真空成形または圧空成形によって実質的に平坦な2次元形状から実質的に立体的な3次元形状に変形することができる基材を意味する。
【0031】
基材2の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ナイロン6-10、ナイロン46などのポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
特にポリエステルがより好ましく、さらにその中でもポリエチレンテレフタレート(PET)が経済性、電気絶縁性、耐薬品性等のバランスが良く最も好ましい。
【0032】
基材2の一面2aには、金属ナノ粒子等の触媒インクを均一に塗布するために、表面処理を施すことが好ましい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、溶剤処理、プライマー処理等を用いることができる。
【0033】
(導電性パターン)
基材2の一面2aに導電性パターン3を配置する場合、さきに、金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒からなる下地層(不図示)を所定のパターン状に形成する。下地層は、基材2上に金属ナノ粒子等の触媒インクを塗布したあと、乾燥および焼成を行うことにより形成する。
【0034】
下地層の厚み(μm)は、0.1~20μmが好ましく、0.2~5μmがさらに好ましく、0.5~2μmが最も好ましい。下地層が薄すぎると、下地層の強度が低下するおそれがある。また、下地層が厚すぎると、金属ナノ粒子は通常の金属よりも高価であるため、製造コストが増大する虞がある。
【0035】
触媒の材料としては、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルなどが用いられ、導電性の観点から金、銀、銅が好ましく、金、銀に比べて安価な銅が最も好ましい。
【0036】
触媒の粒子径(nm)は1~500nmが好ましく、10~100nmがより好ましい。粒子径が小さすぎる場合、粒子の反応性が高くなりインクの保存性・安定性に悪影響を与える虞がある。粒子径が大きすぎる場合、薄膜の均一形成が困難になるとともに、インクの粒子の沈殿が起こりやすくなる虞がある。
【0037】
導電性パターン3は、下地層の上に電解めっきまたは無電解めっきにより形成される。めっき金属としては、銅、ニッケル、錫、銀、金などを用いることができるが、伸長性、導電性および価格の観点から銅を用いることが最も好ましい。
【0038】
めっき層の厚さ(μm)は、0.03~100μmが好ましく、1~35μmがより好ましく、3~18μmが最も好ましい。めっき層が薄すぎると、機械的強度が不足するとともに、導電性が実用上十分に得られない虞がある。めっき層が厚すぎると、めっきに必要な時間が長くなり、製造コストが増大する虞がある。
【0039】
(電子部品)
基材2上の導電性パターン3には、複数の電子部品4が取り付けられてもよい。電子部品4としては、制御回路、歪み、抵抗、静電容量、TIRなどの接触感知および光検出部品、圧電アクチュエータまたは振動モータなどの触知部品または振動部品、LED、OLED,LCDなどの発光素子、マイクおよびスピーカーなどの発音または受音、メモリチップ、プログラマブルロジックチップおよびCPUなどのデバイス操作部品、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ALSデバイス、PSデバイス、処理デバイス、MEMS等が挙げられる。
【0040】
また、図1Bに示すように、導電性パターン3には、一端にコネクタ接点9が形成されてもよい。コネクタ接点9は導電性パターン3の一部として基材2の一端2cが樹脂層8の端部から外部に向かって突出するようになっている基材2上に形成されている。コネクタ接点9が形成された基材2の他面2b側には板材(不図示)が配置され、回路基板1の外部に設けられた外部装置と電気的に接続するためのコネクタを形成している。これにより、回路基板1のコネクタ構造を簡素化して外部に設けられた外部装置と電気的に接続することができるようになっている。
【0041】
(絶縁層)
基材2の導電性パターン3が配置された一面2aには基材2と導電性パターン3とを一体的に覆う絶縁層10が設けられてもよい(図1Aに図示)。ただし、絶縁層10は、導電性パターン3における電子部品4との接合部分上には設けられていない。このような絶縁層10としては、具体的には、ソルダーレジストが塗布されて導電性パターン3を保護している。特に、ソルダーレジストは、電子部品4をはんだ付けで実装する際に、電気的接続をとる接合部以外にはんだが付着して回路ショートを起こすのを防止している。また、導電性パターン3間の絶縁性を維持するとともに、ほこり、熱、湿気などの外部環境から導電性パターン3を保護している。
【0042】
(粘接着材層)
図1Aに示されるように、粘接着剤層6は、基材2と樹脂シート7の間に形成された接着層である。粘接着剤層6は、例えば、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、アルキッド樹脂などの重縮合ポリマーに、光重合開始材を含み、硬化前の貼り合わせ時には、十分な剥離強度、空隙充填性を有し、紫外線又は可視光線を照射された硬化後は、十分な密着性、硬度、耐熱性を有する。
【0043】
図2Aには、硬化前における粘接着剤層6の貯蔵弾性率G´(測定周波数10Hz)の温度分散データの一例を示す。
粘接着剤層6は、硬化前における85℃貯蔵弾性率G´(測定周波数10Hz)の値が0.01MPa以下であることが好ましい。硬化前における85℃貯蔵弾性率G´の値が0.01MPa以下であることで、被着体としての基材2の表面に導電性パターン3による段差が存在する場合、また被着体としての樹脂シート7の表面に空隙等による段差が存在する場合に、それらの段差を埋めて平滑化し接着性を向上させることができる。
【0044】
図2Bには、硬化後における粘接着剤層6の貯蔵弾性率E´(測定周波数10Hz)と正接損失tanδの温度分散データの一例を示す。
粘接着剤層6は、硬化後における150℃貯蔵弾性率E´(測定周波数10Hz)の値が10MPa以上であり、測定周波数10Hzにおける貯蔵弾性率/損失弾性率で表される損失正接(tanδ)のピーク値が0.50以上であることが好ましい。
粘接着剤層6は、硬化後に高い貯蔵弾性率E´(測定周波数10Hz)を有することで、高い耐熱性を有し、被着体としての樹脂シート7に射出成形で樹脂層8を熱溶融接着する際に樹脂シート7の位置ずれを抑制することができる。また、硬化後も一定の柔軟性を有することで、樹脂シート7が接着積層された基材2に3次元形状への賦形を施しやすくなる。
ここで、貯蔵弾性率G´E´、損失正接(tanδ)は、JlS K7244-1(ISO 6721)に準拠した方法に従って求められる値である。
【0045】
(樹脂シート)
樹脂シート7は、粘接着剤層6を介して基材2の一面2aとは反対側の他面2bに積層接着され、射出成形でインモールドされる樹脂層8と熱溶融接着される熱可塑性樹脂シートである。また、樹脂シート7は、透明性材料とし、樹脂シート7側から粘接着剤層6に紫外線又は可視光線を照射して粘接着剤層6を光硬化させる。
樹脂材料としての熱可塑性樹脂は、インモールドされる樹脂層8と相溶性を有することが望ましく、例えば、樹脂層8が、射出成形可能な熱可塑性樹脂、具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、変性ポリフェニレンオキサイト(m-PPO)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはこれらの混合物を含む熱可塑性樹脂である場合、これらと相溶性がある樹脂材料を用いることができる。
【0046】
第1のビカット軟化点である樹脂シート7のビカット軟化温度は、第2のビカット軟化点である熱溶融接着される樹脂層8のビカット軟化温度よりも低いことが好ましい。樹脂層8の樹脂材料として、例えば、ポリカーボネート(PC)を用いる場合、そのビカット軟化温度は142~146℃であり、樹脂シート7の樹脂材料としては、ポリカーボネート(PC)と相溶性を有し、そのビカット軟化温度が90~100℃であるアクリルブタジエンスチレン(ABS)や、そのビカット軟化温度が90~110℃であるポリメチルメタクリレート(PMMA)、そのビカット軟化温度が85~100℃であるポリスチレン(PS)を用いることができる。
ここで、ビカット軟化温度は、JIS K7206(ISO 306:2004)に記載のB50に従って、試験荷重50N、昇温速度50℃/時間の条件で求められる値である。
樹脂シート7にビカット軟化温度が樹脂層8のビカット軟化温度よりも低い樹脂材料を用いることで、樹脂シート7と樹脂層8の接合をより強固とすることができる。
【0047】
また、樹脂シート7のビカット軟化温度は、硬化後の粘接着剤層6のビカット軟化温度よりも低いことが好ましい。換言すれば、硬化後の粘接着剤層6のビカット軟化温度は、被着体である樹脂シート7のビカット軟化温度よりも高いことが好ましい。粘接着剤層6に硬化後のビカット軟化温度が樹脂シート7のビカット軟化温度よりも高い樹脂材料を用いることで、樹脂層8を樹脂シート7に射出成形で熱溶融接着する場合に、溶融した樹脂層8の熱が粘接着剤層6に伝導されても軟化しにくく、樹脂シート7の位置ずれを抑制することができる。
【0048】
樹脂シート7の厚みは特に限定されないが、取り扱い性及び薄型化のバランスの点から、0.01~3mmが好ましく、0.02~1mmがより好ましく、0.05~0.2mmが更に好ましい。樹脂シート7の厚みが薄すぎる場合、強度が不十分になるとともに、粘接着剤層6を介して基材2の一面に積層接着する貼り付け工程における取り扱い性が低下する。また、樹脂シート7の厚みが厚すぎる場合、接着積層工程の後に、樹脂シート7が接着積層された基材2を型に載置して、基材2に3次元形状への賦形を施す賦形工程において、樹脂シート7の剛性により発生するスプリングバック現象が発生しやすくなる。また、粘接着剤層6に光を照射して硬化反応を開始させる接着積層工程において、光の透過性が低下する。尚、樹脂シート7の表面には、樹脂層8を熱溶融接着するために、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、溶剤処理、プライマー処理等の表面処理を施して、その表面自由エネルギーを高くしておくことが好ましい。
【0049】
(樹脂層)
樹脂層8は、結着層を介することなく基材2の少なくとも一面を覆うように形成されている。樹脂層8は、射出成形可能な熱可塑性樹脂材料からなる熱可塑性樹脂であり、樹脂シート7に射出成形で熱溶融接着されている。
樹脂層8は、熱溶着される樹脂シート7と相溶性を有し、ビカット軟化温度(第2のビカット軟化点)が、樹脂シート7のビカット軟化温度(第1のビカット軟化点)よりも高い熱可塑性樹脂材料、具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、変性ポリフェニレンオキサイト(m-PPO)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはこれらの混合物を含む熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0050】
樹脂層8は、例えば、非晶性樹脂であるポリカーボネート(PC)を用いる場合、熱溶融接着される樹脂シート7に、非晶性樹脂で、ビカット軟化温度がポリカーボネート(PC)よりも低いポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)等を用いることで、樹脂シート7と強固に熱溶融接着される。
そして、樹脂シート7は、回路基板1の基材2に樹脂シート7のビカット軟化温度よりも高いビカット軟化温度を有する粘接着剤層6で接着積層されている。これにより、本実施形態に係る回路基板1によれば、基材2上に導電性パターン3が形成された回路基板1に結着層を介することなく、樹脂層8が強固に接合されている。
【0051】
「変形例1」
図3Aは変形例1に係る回路基板1Aの断面構成を示す模式図である。
樹脂シート7は、基材2の導電性パターン3が配置された一面2a側に積層接着し、射出成形でインモールドされる樹脂層8と熱溶融接着されてもよい。この導電性パターン3が配置された一面2aに積層接着される樹脂シート7は、基材の一面2aに導電性パターン3を配置した後、電子部品4を実装する前に、粘接着剤層6を介して積層接着される。粘接着剤層6は、硬化前における85℃貯蔵弾性率G´(測定周波数10Hz)の値が0.01MPa以下であり、被着体としての基材2の表面に導電性パターン3による段差が存在しても、その段差を埋めて平滑化し接着性を向上させることができる。尚、樹脂層8は、導電性パターン3を外部から不可視に覆い隠すように調色されてもよい。
【0052】
尚、導電性パターン3が配置された一面2aに樹脂シート7を積層接着して、樹脂シート7に樹脂層8を射出成形でインモールドして熱溶融接着する場合、導電性パターン3の一部は、樹脂シート7及び樹脂層8を貫通して樹脂層8の表面に露出させ、後実装される電子部品4と電気接合される。
【0053】
「変形例2」
図3Bは変形例2に係る回路基板1Bの断面構成を示す模式図である。
樹脂シート7は、基材2の導電性パターン3が配置された一面2a側及び一面2aとは反対側の他面2bの両面に積層接着し、射出成形でインモールドされる樹脂層8と熱溶融接着されてもよい。この導電性パターン3が配置された一面2aに積層接着される樹脂シート7は、基材の一面2aに導電性パターン3を配置した後、電子部品4を実装する前に、粘接着剤層6を介して積層接着される。
【0054】
基材2の一面2a及び他面2bの両面に熱溶融接着される樹脂層8は、同一の樹脂材料であってもよいが、異なる樹脂材料であってもよい。例えば、他面2bに形成される樹脂層8は樹脂材料を透明樹脂材料とすることで、例えば回路基板1の内部に加飾が施された場合に、加飾を保護しながら視認可能とすることができる。ここで、その使用態様から、導電性パターン3が配置され電子部品4が実装された基材2の一面2aを覆う樹脂層8が熱溶融接着された側は、回路基板1としては裏面側となり、透明樹脂材料からなる樹脂層8が熱溶融接着された側は加飾側として回路基板1としての表面側となる。
【0055】
(2)回路基板の製造方法
図4は回路基板1の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図、図5は回路基板1の製造過程を説明するための回路基板1の部分断面模式図、図6は基材2を3次元形状に賦形するための熱プレス成形の各工程を説明するための説明図、図7は賦形された基材2に樹脂層8を射出成形して樹脂シート7と熱溶融接着する熱溶融接着工程を示す図である。
【0056】
回路基板1は、図4に示すように、基材2の準備工程S11と、基材2上に導電性パターン3を形成する配線用めっき工程S12と、基材2の少なくとも一面に粘接着剤層6を貼り付ける粘接着剤層形成工程S13と、粘接着剤層6に樹脂シート7を貼り合わせて加圧した後、粘接着剤層6に光を照射して硬化反応を開始させる接着積層工程S14と、必要に応じて、樹脂シート7が接着積層された基板5を型に載置して基板5に3次元形状への賦形を施す賦形工程S15と、樹脂シート7が接着積層された基板5を金型に載置して樹脂を射出成形して樹脂シート7に樹脂層8を熱溶融接着する熱溶融接着工程S16と、を経て製造される。
【0057】
(基材の準備工程S11)
基材の準備工程S11においては、まず、所定の形状及び大きさに形成された実質的に平坦なフィルム状の基材2に導電性パターン3を配置するために、基材2上に金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる下地層をミアンダ形状を含む所定のパターン状に形成する。尚、基材2には、金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる触媒インクを均一に塗布するために、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、溶剤処理、プライマー処理等の表面処理を施すことが好ましい。
【0058】
基材2上に金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる触媒インクを塗布する方法としては、インクジェット印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、ローラーコーター方式、刷毛塗り方式、スプレー方式、ナイフジェットコーター方式、パッド印刷方式、グラビアオフセット印刷方式、ダイコーター方式、バーコーター方式、スピンコーター方式、コンマコーター方式、含浸コーター方式、ディスペンサー方式、メタルマスク方式が挙げられるが、本実施形態においてはインクジェット印刷方式を用いている。
【0059】
具体的には、1000cps以下、例えば、2cpsから30cpsの低粘度の触媒インクをインクジェット印刷方式で塗布した後、溶媒を揮発させ金属ナノ粒子のみを残す。その後、溶媒を除去し(乾燥)、金属ナノ粒子を焼結させる(焼成)。
焼成温度は、100°C~300°Cが好ましく、150°C~200°Cがより好ましい。焼成温度が低すぎると、金属ナノ粒子同士の焼結が不十分となるとともに、金属ナノ粒子以外の成分が残ることで、密着性が得られない虞がある。また、焼成温度が高すぎると、基材2の劣化や歪みが発生する虞がある。
【0060】
(配線用めっき工程S12)
基材2上に形成された下地層に対し、電解めっきまたは無電解めっきを行うことにより、下地層の表面および内部にめっき金属を析出させ導電性パターン3を配置する(図5A 参照)。めっき方法は公知のめっき液およびめっき処理と同様であり、具体的に無電解銅めっき、電解銅めっきが挙げられる。
【0061】
(粘接着剤層形成工程S13)
導電性パターン3が配置された基材2の一面2a又は反対側の他面2bに、あるいは両面に粘接着剤層6を貼り付ける(図5B 参照)。粘接着剤層6は、紫外線又は可視光線を照射された硬化する粘接着剤が少なくとも一方に剥離可能な離型材を有する粘接着フィルムとして供される。離型材としては、例えばシリコン処理されたPETフィルムが挙げられ、基材2に貼り付ける際に剥がして使用される。
【0062】
(接着積層工程S14)
基材2の他面2bに貼り付けられた粘接着フィルムの表面側の離型材を剥離して粘接着剤層6を露出させ、樹脂シート7を貼り合わせる。そして、加温と加圧によって粘接着剤層6を変形しやすくして、空隙に確実に追従させて樹脂シート7を粘接着剤層6に貼り合わせる(図5C 参照)。この加温の温度としては、25℃以上40℃以下、加圧の圧力としては、0.1MPa以上1.0MPa以下が好ましい。特に、基材2の表面に導電性パターン3による段差が存在する場合に加温と加圧による加圧処理を行うことが好ましい。
【0063】
加圧処理の後、粘接着剤層6に光を照射して硬化反応を開始させる。硬化反応を促進させる光としては、紫外線、可視光線等が挙げられ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、UV無電極ランプ、紫外線又は可視光を放射するLED等が挙げられる。尚、光の照射は、接着積層される樹脂シート7を透明材料として、樹脂シート7側から行う。
【0064】
(賦形工程S15)
基板に賦形を施して3次元形状の回路基板1とする場合には、樹脂シート7が接着積層された基材2を、熱プレス成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、等の成形手段により、3次元形状に賦形する(図5D 参照)。
賦形に用いられる型は、賦形が施された基材2に接着積層された樹脂シート7の外表面が後述する熱溶融接着工程S16における射出成形(インモールド成形)に用いられる射出成形用金型KのキャビティCAの形状に沿うように形成されている。
【0065】
はじめに、図6Aに示すように、樹脂シート7が接着積層された基材2(以下、単に基材2と記す)を雌型11と雄型12との間に載置する。このとき、雌型11と雄型12とは基材2及び樹脂シート7を軟化させることができる所定の温度に加熱されている。
そして、図6Bに示すように、雌型11と雄型12とを所定の圧力で型締めすると、基材2は雄型12のコア部12aと雌型11のキャビティ部11aとの間に挟まれて賦形される。
【0066】
そして、雌型11と雄型12とを型開きし、冷却することにより、トリミング前の所定の3次元形状に賦形された基材2が得られる。そして、雌型11及び雄型12から基材2を取り出し、不要部分をトリミングすることにより、樹脂層8が熱溶融接着される前の基材2が得られる。
【0067】
このようにして賦形された基材2は、熱溶融接着工程S16における射出成形(インモールド成形)に用いられて、樹脂層8と一体化されて回路基板1とされる。
【0068】
(熱溶融接着工程S16)
熱溶融接着工程S16では、3次元形状に賦形が施された基材2を樹脂シート7がキャビティCA側になるように射出成形用金型Kに位置決めしてセットする(図5E 参照)。基材2を射出成形用金型KのキャビティCAにセットする場合には、3次元形状に賦形が施された基材2をキャビティCAの表面に自己吸着させて配置しても、位置ずれさせないように、キャビティCAの表面に両面テープで貼り付けたり、真空吸着させたり、キャビティCAに突起(不図示)を設け、突起に嵌め込むようにして固定してもよい。
【0069】
そして、図7に示すように、基材2を射出成形用金型Kに位置決めしてセットした後、射出成形用金型Kに装着した加熱源(例えばヒーター)により樹脂シート7のビカット軟化温度まで加熱し、基材2に積層接着された樹脂シート7が軟化される状態にして、溶融樹脂をキャビティCAに充填する。尚、樹脂シート7を基材2に積層接着している粘接着剤層6は、硬化後のビカット軟化温度が樹脂シート7のビカット軟化温度よりも高く、硬化後に高い貯蔵弾性率E´(測定周波数10Hz)を有することで、樹脂シート7のビカット軟化温度まで加熱しても軟化することがない。
【0070】
キャビティCAに充填される溶融樹脂が、例えば、ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)である場合、300℃~320℃に加熱されており、キャビティCAに充填されて樹脂温度が低下しても、キャビティCAにセットされた基材2の樹脂シート7は、そのビカット軟化温度である80℃~110℃に加熱され軟化された状態にあるために、キャビティCAに充填される溶融樹脂と熱溶融し一体化する。
また、樹脂シート7を基材2に積層接着している粘接着剤層6は、硬化後における150℃貯蔵弾性率E´(測定周波数10Hz)の値が10MPa以上であり、測定周波数10Hzにおける貯蔵弾性率/損失弾性率で表される損失正接(tanδ)のピーク値が0.50以上であるため、キャビティCAに充填される溶融樹脂の熱で軟化することなく、樹脂シート7に射出成形で樹脂層8を熱溶融接着する際に樹脂シート7の位置ずれを抑制することができる。
【0071】
このように、本実施形態に係る回路基板1の製造方法によれば、基材2の一面に導電性パターン3が形成された基板に結着層を介することなく樹脂層8を接合することができる。
【符号の説明】
【0072】
1、1A、1B・・・回路基板
2・・・基材
2a・・・一面(導電性パターン3側)
2b・・・他面
3・・・導電性パターン
4・・・電子部品
5・・・基板
6・・・粘接着剤層
7・・・樹脂シート
8・・・樹脂層
K・・・射出成形用金型
CA・・・キャビティ
【要約】
基材上に導電性パターンが形成された回路基板に結着層を介することなく樹脂層を接合することができる電子装置及びその製造方法を提供する。
基材上に導電性パターンが形成された基板と、基材の少なくとも一面に、第1のビカット軟化点を有し、硬化後のビカット軟化点が第1のビカット軟化点よりも高い粘接着剤層を介して接着積層された樹脂シートと、樹脂材料が樹脂シートの樹脂材料と相溶性を有するとともに第1のビカット軟化点よりも高い第2のビカット軟化点を有し、樹脂シートと熱溶融接着された樹脂層と、を備えている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7