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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】タイヤ固定具
(51)【国際特許分類】
   B60T 3/00 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
B60T3/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018204558
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020069882
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】318015253
【氏名又は名称】株式会社シンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】柚木 茂
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0118680(US,A1)
【文献】特開2010-052658(JP,A)
【文献】特開2017-086312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/00-7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面とタイヤとの隙間に嵌め込む前後一対のストッパーと、
中央の屈曲箇所を挟んで前側部分の端部が前側の前記ストッパーに固定され、後側部分の端部が後側の前記ストッパーに固定されるロープと、
前記前側部分と前記後側部分を束ねて保持するロープ保持部と、
前記ロープ保持部に固定される磁石とを備えており、
前記ロープ保持部の位置を前記ロープに沿って変更できることを特徴とするタイヤ固定具。
【請求項2】
前記ロープ保持部が下部開口を備える筒状体であり、その表面の上部の前後2箇所に貫通穴を備えており、
前記前側部分が前側の前記貫通穴及び前記ロープ保持部の内部を通って前記下部開口から下方にのびており、前記後側部分が後側の前記貫通穴及び前記ロープ保持部の内部を通って前記下部開口から下方にのびていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ固定具。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱着及び収納が容易で外し忘れを防止できるタイヤ固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を停車・駐車する際に、地面とタイヤとの隙間に楔状の固定具を嵌め込むことで車両が意図せずに移動してしまう事態を防止している。特にバスやトラック等の大型車両は重量が大きいことからタイヤ固定具の使用が推奨されている。
例えば特許文献1には一つのタイヤの前後の隙間に嵌め込む前後一対の楔状のストッパーと、前後のストッパー同士をコイルバネの張力でタイヤ側に引き込む連結部材を備える固定具が開示されている。
また、特許文献2には前後のストッパー同士を2本のパイプで連結し、支点を中心にして前後のストッパーの間隔を変更できる固定具が開示されている。
また、特許文献3には前後のストッパーから上方にのびるアームと、車体に磁着させる係止部とを備えており、アームの上端を係止部に掛けて使用する固定具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3135847号公報
【文献】実用新案登録第3118537号公報
【文献】特開2010-52658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記先行技術では以下の問題がある。
特許文献1の場合、使用者が固定具をタイヤから取り外す際に腰を落として作業する必要があるため体に負担がかかるという問題や、固定具が下方に位置していて視認し難いので、固定具をタイヤから取り外し忘れたまま車両を運転してしまうおそれがある。
特許文献2の場合、パイプが長尺なので収納時に邪魔になるという問題や、パイプが車体に接触して車体に傷を付けるおそれがある。
特許文献3の場合、アームの長さが一定なので、タイヤの径が大きい大型車両の場合、係止部が車体まで届かず、係止部を車体に磁着させることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような問題を考慮して、脱着及び収納が容易で外し忘れを防止できるタイヤ固定具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のタイヤ固定具は、地面とタイヤとの隙間に嵌め込む前後一対のストッパーと、中央の屈曲箇所を挟んで前側部分の端部が前側の前記ストッパーに固定され、後側部分の端部が後側の前記ストッパーに固定されるロープと、前記前側部分と前記後側部分を束ねて保持するロープ保持部と、前記ロープ保持部に固定される磁石とを備えており、前記ロープ保持部の位置を前記ロープに沿って変更できることを特徴とする。
また、前記ロープ保持部が下部開口を備える筒状体であり、その表面の上部の前後2箇所に貫通穴を備えており、前記前側部分が前側の前記貫通穴及び前記ロープ保持部の内部を通って前記下部開口から下方にのびており、前記後側部分が後側の前記貫通穴及び前記ロープ保持部の内部を通って前記下部開口から下方にのびていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明ではロープ保持部に磁石が固定されているので、ロープ保持部を車体等に磁着させることができる。ロープ保持部が地面よりも上方に位置することになるので、使用者がロープ保持部を視認し易くなり、タイヤ固定具をタイヤから取り外し忘れる事態を防止できる。
使用者はロープ保持部やロープを持って手前に引っ張るだけで前後のストッパーをタイヤから取り外すことができる。
また、前後のストッパーを柔軟性を備えるロープで繋ぐので、ロープが車体等に接触した場合でも車体に傷が付きにくくなる。
また、ロープ保持部の位置をロープに沿って変更できるので、ロープ保持部の位置を車体のサイズに応じて調節することができる。大型車両等の場合は鉄製のタイヤホイールに直接ロープ保持部を磁着することもできる。
【0008】
タイヤ固定具をタイヤから取り外した後は、ロープ保持部を一対のストッパーの近くまで移動させることで、ストッパー同士を密着させた状態で保持することができ、また、ロープを丸めておけるので収納が容易になる。
また、ロープ保持部を筒状体にしてその表面の上部の前後2箇所に貫通穴を設けて、ロープを貫通穴に通して下部開口から下方にのばすことにしてもよい。ロープの一部がロープ保持部の内部を通るので、ロープが車体等に接触して傷が付く事態を防止できる。
また、貫通穴とロープとの接触面に生じる摩擦力を利用することでロープ保持部がロープをより確実に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】タイヤ固定具の正面図(a)及び背面図(b)
図2】ロープ保持部の平面図
図3】ロープ保持部を上方に移動させた状態の正面図(a)及びロープ保持部を下方に移動させた状態の正面図(b)
図4】タイヤ固定具をタイヤに取り付けた状態を示す図
図5】ロープ保持部をタイヤホイールに取り付けた状態を示す図
図6】タイヤ固定具を収容した状態を示す図
図7】タイヤ固定具の変形例を示す図
図8】タイヤ固定具の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のタイヤ固定具1の実施の形態について説明する。
図1及び図2に示すようにタイヤ固定具1は前後一対のストッパー10,11、ロープ20、ロープ保持部30及び磁石40を備える。
ストッパー10,11は地面50とタイヤ51の隙間に嵌め込むための部材であり、前後一対で構成される。本実施の形態のストッパー10,11は楔形状であり、その傾斜面12をタイヤ51の表面に接触させた状態でストッパー10,11を隙間に押し込んで使用する(図4参照)。ストッパー10,11の形状は楔状に限定されず、タイヤ51の回転を止める機能を発揮できる形状であればよい。
ロープ20は中央で屈曲しており、この屈曲箇所21を挟んで前側部分22と後側部分23に分かれる。前側部分22の端部は前側のストッパー10に固定され、後側部分23の端部は後側のストッパー11に固定される。ロープ20の素材は特に限定されず、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維や綿、麻等の天然繊維でもよい。
【0011】
ロープ保持部30はロープ20の前側部分22と後側部分23を束ねて保持するための部材である。本実施の形態のロープ保持部30は筒状体であり、その表面の上部の前後2箇所に貫通穴31,32を備える。ロープ20の前側部分22の端部を前側の貫通穴31に挿入し、ロープ保持部30の内部を通過させて下部開口33から下方に露出させている。また、ロープ20の後側部分23の端部を後側の貫通穴32に挿入し、ロープ保持部30の内部を通過させて下部開口33から下方に露出させている。これにより、ロープ20の屈曲箇所21が貫通穴31,32から外部に露出した状態になる。
図3(a)に示すように使用者はロープ保持部30を手で掴み、ロープ20に沿って上方に移動させることで、前側部分22及び後側部分23のうち下部開口33から下方に露出する部分を長くすることができる。また、図3(b)に示すように使用者はロープ保持部30を手で掴み、ロープ20に沿って下方に移動させることで前側部分22及び後側部分23のうち下部開口33から下方に露出する部分を短くすることができる。
磁石40はロープ保持部30に固定される。磁石40を利用してロープ保持部30を例えば鉄等から成る車体60の側面、例えばホイールアーチ61の外側や内側、タイヤホイール62等に磁着させることができる。ロープ保持部30の素材は特に限定されないが、ロープ保持部30を車体60等に磁着させた際に車体60等に傷が付かないように柔軟性を有する素材を用いるのが好ましい。
【0012】
次に、タイヤ固定具1の使用方法について説明する。
タイヤ固定具1をタイヤ51に取り付ける際には、まず使用者は前後一対のストッパー10,11を地面50とタイヤ51との隙間に嵌め込む。この際にロープ20が地面50に接触しないようにロープ保持部30を手で持っている方がよい。
そして、使用者は前側部分22及び後側部分23のうち下部開口33から下方に露出している部分が弛まない程度までロープ保持部30をロープ20に沿って移動させる。これによりロープ20が地面50に接触して汚れる事態を防止できる。
そして、図4に示すように使用者はロープ保持部30を車体60の側面の適当な箇所に磁着する。
以上でタイヤ固定具1の取り付けが完了する。
なお、タイヤ固定具1の取り付けは上述した方法に限らない。例えば使用者はロープ20が地面50に接触しない程度にロープ保持部30を上下させて長さを調節し、ロープ保持部30を車体60の側面の適当な場所に磁着させた後、前後一対のストッパー10,11を地面50とタイヤ51との隙間に嵌め込むことにしてもよい。
また、図5に示すように、大型車両の場合は鉄製のタイヤホイール62にロープ保持部30を磁着させることもできる。この場合はロープ保持部30を下方に移動させればよい。この際にロープ保持部30から上方に露出する部分(屈曲箇所21を含む部分)が地面50に接触しないようにロープ保持部30の位置を調節する必要がある。
タイヤ固定具1をタイヤ51から取り外す際は、使用者はロープ保持部30やロープ20を手に持って手前に引っ張るだけでよい。
タイヤ固定具1をタイヤ51から取り外した後は、図6に示すようにロープ保持部30を一対のストッパー10,11の近くまで移動させることで、ストッパー10,11同士を密着させた状態で保持することができるので収納が容易になる。
【0013】
なお、ロープ保持部30は本実施の形態で示した形状以外の形状であってもよい。例えば、図7に示すようにロープ保持部70が貫通穴31,32を備えない形状であってもよい。この場合、筒状のロープ保持部30の上部開口71から屈曲箇所21を上方に露出させればよい。或いは図8に示すようにロープ保持部72を板状にして上下4つの貫通穴73a~73dにロープ20を通すようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、脱着及び収納が容易で外し忘れを防止できるタイヤ固定具であり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0015】
1 タイヤ固定具
10,11 ストッパー
12 傾斜面
20 ロープ
21 屈曲箇所
22 前側部分
23 後側部分
30 ロープ保持部
31,32 貫通穴
33 下部開口
40 磁石
50 地面
51 タイヤ
60 車体
61 ホイールアーチ
62 タイヤホイール
70 ロープ保持部
71 上部開口
72 ロープ保持部
73a~73d 貫通穴





図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8