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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
G05D7/06 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018545043
(86)(22)【出願日】2017-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2017036949
(87)【国際公開番号】W WO2018070464
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2016202539
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】平田 薫
(72)【発明者】
【氏名】杉田 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】今井 嵩浩
(72)【発明者】
【氏名】小川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】西野 功二
(72)【発明者】
【氏名】池田 信一
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特許第5947659(JP,B2)
【文献】特開2011-180992(JP,A)
【文献】特開2000-146071(JP,A)
【文献】特開2015-146163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通流入口および共通流出口と、前記共通流入口および共通流出口にそれぞれが連通する第1流路および第2流路とを有する本体ブロックと、
前記第1流路に設けられた第1流体制御ユニットと、
前記第2流路に設けられた第2流体制御ユニットと
を備え、
前記第1流体制御ユニットの少なくとも一部および前記第2流体制御ユニットの少なくとも一部は、前記本体ブロックの取り付け面に固定されており、
前記第1流路および第2流路のうちの少なくともいずれか一方は、前記取付け面の法線方向から見たときに第1の方向に沿って延びる第1流路部分と、前記法線方向から見たときに前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って延びる第2流路部分とを含み、
前記第2流路部分は、前記本体ブロックの前記取付け面の側方に配された面から前記第2の方向に沿って延びる穴部と、前記穴部の開口部を塞ぐ封止部材とによって形成されており、
前記第1流体制御ユニットおよび前記第2流体制御ユニットのそれぞれは、コントロール弁と、前記コントロール弁の下流側に設けられた上流圧力センサと、前記上流圧力センサの下流側に設けられた絞り部と、前記上流圧力センサおよび前記コントロール弁に接続された制御部とを有し、圧力式流量制御ユニットを構成しており、
前記本体ブロックは、前記第1流路および前記第2流路の一部が形成された第1のブロック部分と、前記第1流路および前記第2流路の一部が形成された第2のブロック部分とを接続して固定することによって形成され、前記第1のブロック部分と前記第2のブロック部分との接続部において、前記第1流体制御ユニットおよび前記第2流体制御ユニットのそれぞれの前記絞り部が設けられている、流体制御装置。
【請求項2】
前記第1流体制御ユニットの前記コントロール弁と、前記第2流体制御ユニットの前記コントロール弁とは、前記第1の方向において離れた位置に設けられている、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記法線方向から見たときに、前記第1流路と前記第2流路とは、少なくとも部分的に重なっている、請求項1または2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1流路および前記第2流路のうちの一方の流路において流体を流すとき、前記一方の流路に設けられた前記上流圧力センサの出力に基づいて前記コントロール弁の開度を制御するとともに、他方の流路に設けられた前記コントロール弁を閉じるように制御するように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記一方の流路において流体を流すとき、前記他方の流路に設けられた前記コントロール弁を閉じた後の前記他方の流路における流量を検出し、前記検出した結果に基づいて、前記一方の流路に設けられた前記コントロール弁を制御するように構成されている、請求項4に記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記第1流体制御ユニットおよび前記第2流体制御ユニットの前記絞り部の下流側において、前記第1流路と前記第2流路とに共通に設けられた下流圧力センサをさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記それぞれの前記絞り部はオリフィス部材を含む、請求項1から6のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項8】
前記コントロール弁は、樹脂製のシートを含む、請求項1から7のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項9】
前記本体ブロックは、前記法線方向から見たときに略長方形の形状を有し、前記第1の方向は前記本体ブロックの長手方向であり、前記第2の方向は前記本体ブロックの幅方向である、請求項1から8のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項10】
前記第1流路および前記第2流路は、前記法線方向から見たときに前記第1の方向および前記第2の方向とは異なる斜め方向に沿って延びる流路部分を含まない、請求項1から9のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項11】
前記第1流路および前記第2流路を含む流路の全体において、前記法線方向から見たときにコの字型の流路部分が含まれている、請求項1から10のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項12】
共通流入口および共通流出口と、前記共通流入口および共通流出口にそれぞれが連通する第1流路および第2流路とを有する本体ブロックと、
前記第1流路に設けられた第1流体制御ユニットと、
前記第2流路に設けられた第2流体制御ユニットと
を備え、
前記第1流体制御ユニットの少なくとも一部および前記第2流体制御ユニットの少なくとも一部は、前記本体ブロックの取り付け面に固定されており、前記第1流路および第2流路のうちの少なくともいずれか一方は、前記取付け面の法線方向から見たときに第1の方向に沿って延びる第1流路部分と、前記法線方向から見たときに前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って延びる第2流路部分とを含み、前記第2流路部分は、前記本体ブロックの前記取付け面の側方に配された面から前記第2の方向に沿って延びる穴部と、前記穴部の開口部を塞ぐ封止部材とによって形成されている流体制御装置であって、
前記第1流体制御ユニットおよび前記第2流体制御ユニットのそれぞれは、コントロール弁と、前記コントロール弁の下流側に設けられた上流圧力センサと、前記上流圧力センサの下流側に設けられた絞り部と、前記上流圧力センサおよび前記コントロール弁に接続された制御部とを有し、圧力式流量制御ユニットを構成しており、
前記制御部は、前記第1流路および前記第2流路のうちの一方の流路において流体を流すとき、前記一方の流路に設けられた前記上流圧力センサの出力に基づいて前記コントロール弁の開度を制御するとともに、他方の流路に設けられた前記コントロール弁を閉じるように制御するように構成され、前記一方の流路において流体を流すとき、前記他方の流路に設けられた前記コントロール弁を閉じた後の前記他方の流路における流量を検出し、前記検出した結果に基づいて、前記一方の流路に設けられた前記コントロール弁を制御するように構成されている、流体制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御装置に関し、特に複数の流路が設けられた流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置や化学プラントにおいて、原料ガスやエッチングガス等の流体を制御するための種々のタイプの流量計や流量制御装置が利用されている。このなかで圧力式流量制御装置は、例えばピエゾ素子駆動型のコントロール弁と絞り部(オリフィスプレートや臨界ノズル)とを組み合せた比較的簡単な機構によって各種流体の流量を高精度に制御することができるので広く利用されている。
【0003】
圧力式流量制御装置には、臨界膨張条件P1/P2≧約2(P1:絞り部上流側のガス圧力(上流圧力)、P2:絞り部下流側のガス圧力(下流圧力))を満足するとき、流量は下流圧力P2によらず上流圧力P1によって決まるという原理を利用して流量制御を行っているものがある。この種の圧力式流量制御装置では、圧力センサとコントロール弁とを用いて上流圧力P1を制御するだけで、絞り部下流側に流れるガスの流量を高精度に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5430007号
【文献】特許第5947659号
【文献】特許第3616875号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
幅広い流量レンジで精度よく流量を制御することを可能にするために、大流量用の絞り部と、小流量用の絞り部とを備える圧力式流量制御装置が知られている。例えば、特許文献1には、切換弁を用いて大流量用オリフィス(絞り部)が設けられた流路を開閉制御することによって、大流量供給と小流量供給とを流路を変えて行う構成が記載されている。
【0006】
特許文献1に記載の圧力式流量制御装置では、大流量用オリフィスおよび小流量用オリフィスの上流側に共通に設けられたコントロール弁によって、上流圧力および流量を制御している。ただし、上記の圧力式流量制御装置では、単一のコントロール弁を用いており、コントロール弁と各オリフィスとの間の流路が連通しているので、小流量レンジと大流量レンジとを切り替えた直後に、上流圧力を所望の圧力まで即座に制御することが困難な場合があった。この場合、オーバーシュートやアンダーシュートなどの不要な流量変動を引き起こすおそれがある。
【0007】
一方、特許文献2には、単一の流入ポートが形成された本体ブロックにおいて、コントロール弁を含む2つの流量制御ユニットを2つの流路に沿って別個に設ける構成が記載されている。この構成では、2つの流路が独立して設けられているとともに、各流路に設けられたコントロール弁を独立して制御することができるので、各流路での圧力制御をより精度よく行い得る。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の構成では、流入ポートから各流量制御ユニットに向かう流路のそれぞれが平面視にて斜めに延びるように設けられているため、流路を形成するためのドリルでの孔開けの位置合わせが容易ではないという問題が生じ得る。また、特許文献2に記載の構成では、幅方向に広がるように流入ポートから延びる斜め流路が設けられているので、本体ブロックの幅および長さを小さく設計しにくいという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、複数の流路が設けられた流体制御装置において、流路切り替え時の流体制御を適切に行うとともに、サイズをコンパクトに設計し得る構成を提供することをその主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態による流体制御装置は、共通流入口および共通流出口と、前記共通流入口および共通流出口にそれぞれが連通する第1流路および第2流路とを有する本体ブロックと、前記第1流路に設けられた第1流体制御ユニットと、前記第2流路に設けられた第2流体制御ユニットとを備えており、前記第1流体制御ユニットの少なくとも一部および前記第2流体制御ユニットの少なくとも一部は、前記本体ブロックの取り付け面に固定されており、前記第1流路および第2流路のうちの少なくともいずれか一方は、前記取付け面の法線方向から見たときに第1の方向に沿って延びる第1流路部分と、前記法線方向から見たときに前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って延びる第2流路部分とを含み、前記第2流路部分は、前記本体ブロックの前記取付け面の側方に配された面から前記第2の方向に沿って延びる穴部と、前記穴部の開口部を塞ぐ封止部材とによって形成されている。
【0011】
ある実施形態において、前記第1流体制御ユニットおよび前記第2流体制御ユニットのそれぞれは、コントロール弁と、前記コントロール弁の下流側に設けられた上流圧力センサと、前記上流圧力センサの下流側に設けられた絞り部と、前記上流圧力センサおよび前記コントロール弁に接続された制御部とを有し、圧力式流量制御ユニットを構成している。
【0012】
ある実施形態において、前記第1流体制御ユニットの前記コントロール弁と、前記第2流体制御ユニットの前記コントロール弁とは、前記第1の方向において離れた位置に設けられている。
【0013】
ある実施形態において、前記法線方向から見たときに、前記第1流路と前記第2流路とは、少なくとも部分的に重なっている。
【0014】
ある実施形態において、前記制御部は、前記第1流路および前記第2流路のうちの一方の流路において流体を流すとき、前記一方の流路に設けられた前記上流圧力センサの出力に基づいて前記コントロール弁の開度を制御するとともに、他方の流路に設けられた前記コントロール弁を閉じるように制御する。
【0015】
ある実施形態において、前記制御部は、前記一方の流路において流体を流すとき、前記他方の流路に設けられた前記コントロール弁を閉じた後の前記他方の流路における流量を検出し、前記検出した結果に基づいて、前記一方の流路に設けられた前記コントロール弁を制御する。
【0016】
ある実施形態において、前記第1流体制御ユニットおよび前記第2流体制御ユニットの前記絞り部の下流側において、前記第1流路と前記第2流路とに共通に設けられた下流圧力センサをさらに備える。
【0017】
ある実施形態において、前記本体ブロックは、前記第1流路および前記第2流路の一部が形成された第1のブロック部分と、前記第1流路および前記第2流路の一部が形成された第2のブロック部分とを接続して固定することによって形成されており、前記第1のブロック部分と前記第2のブロック部分との接続部において、前記第1流体制御ユニットおよび前記第2流体制御ユニットのそれぞれの前記絞り部が設けられている。
【0018】
ある実施形態において、前記それぞれの前記絞り部はオリフィス部材を含む。
【0019】
ある実施形態において、前記コントロール弁は、樹脂製のシートを含む。
【0020】
ある実施形態において、前記本体ブロックは、前記法線方向から見たときに略長方形の形状を有し、前記第1の方向は前記本体ブロックの長手方向であり、前記第2の方向は前記本体ブロックの幅方向である。
【0021】
ある実施形態において、前記第1流路および前記第2流路は、前記法線方向から見たときに前記第1の方向および前記第2の方向とは異なる斜め方向に沿って延びる流路部分を含まない。
【0022】
ある実施形態において、前記第1流路および前記第2流路を含む流路の全体において、前記法線方向から見たときにコの字型(angular U shaped)の流路部分が含まれている。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によれば、複数の流路が設けられた流体制御装置において、流路変更時の流体制御を好適に行うとともに、コンパクトな設計を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態による流体制御装置(圧力式流量制御装置)の構成を示す模式図である。
図2】第2流路を用いて小流量を流すときの流量と制御圧力との関係、および、第1流路を用いて大流量を流すときの流量と制御圧力との関係を示すグラフである。
図3】本発明の実施形態における流路切り替え時の流体制御ユニットの動作例を説明するための図であり、(a)は第1流路(大流量)F1および第2流路(小流量)F2におけるコントロール弁の開閉のタイミングを示し、(b)は各流路F1、F2を流れるガス流量の変化を示し、(c)は合計流量の変化を示す。
図4】本発明の実施形態による流体制御装置の構成例を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA-A’線およびB-B’線に沿った断面図であり、中央部においてA-A’線に沿った断面を、両端部においてB-B’線に沿った断面を示す合成断面図である。
図5】本発明の実施形態による流体制御装置のより具体的な構成を示す平面図である。
図6図5におけるC-C’線に沿った断面図である。
図7図5におけるD-D’線に沿った断面図である。
図8図5図7に示した流体制御装置の流路を模式的に示す透視図であり、第1流路をガスが流れる様子を矢印で示す。
図9図5図7に示した流体制御装置の流路を模式的に示す透視図であり、第2流路をガスが流れる様子を矢印で示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態による流体制御装置である圧力式流量制御装置1の構成を示す模式図である。圧力式流量制御装置1は、共通流入口11と共通流出口12とを有しており、これらの間には第1流路F1と第2流路F2との2つの流路が設けられている。第1流路F1と第2流路F2は、共通流入口11および共通流出口12に連通しており、共通流入口11から分岐するとともに共通流出口12へと再び合流するように形成されている。なお、第1流路F1と第2流路F2とは、共通流入口11と共通流出口12との間の流路において互いに分離して設けられた部分であり、共通流入口11側の流路分岐点から共通流出口12側の流路合流点までの間の分離した2流路に対応する。
【0027】
圧力式流量制御装置1の上流側はガス供給源に接続され、下流側は半導体製造装置のプロセスチャンバに接続されている。プロセスチャンバには真空ポンプが接続されており、プロセスチャンバ内を真空引きすることができる。また、圧力式流量制御装置1の下流側には、図示しない下流開閉弁が設けられており、下流開閉弁を用いてプロセスチャンバへのガスの供給を遮断することができる。下流開閉弁は、圧力式流量制御装置1の内部に組み込まれていてもよい。
【0028】
第1および第2流路F1、F2に対して、第1および第2圧力式流量制御ユニット(流体制御ユニット)20a、20bがそれぞれ設けられている。第1および第2圧力式流量制御ユニット20a、20bは、それぞれ、コントロール弁22a、22bと、コントロール弁22a、22bの下流側に設けられた上流圧力センサ23a、23bと、上流圧力センサ23a、23bの下流側に設けられた絞り部24a、24bとを備えている。また、第1および第2圧力式流量制御ユニット20a、20bは、上流圧力センサ23a、23bおよびコントロール弁22a、22bに接続された共通の制御部5を備えている。
【0029】
圧力式流量制御装置1は、さらに、各流路F1、F2に共通するものとして、コントロール弁22a、22bの上流側に設けられた流入圧力センサ21と、絞り部24a、24bの下流側に設けられた下流圧力センサ25とを備えている。
【0030】
上流圧力センサ23a、23bは、コントロール弁22a、22bと絞り部24a、24bとの間の流路の圧力を測定することができ、下流圧力センサ25は、絞り部24a、24bの下流側の圧力を測定することができる。また、流入圧力センサ21は、共通流入口11に接続されたガス供給装置(例えば原料気化器)から供給されるガスの圧力を測定することができ、ガス供給量または供給圧を制御するために用いることができる。
【0031】
コントロール弁22a、22bは、例えば、弁機構としての金属製ダイヤフラムバルブと、これを駆動する駆動装置としてのピエゾ素子(ピエゾアクチュエータ)とによって構成されたピエゾ素子駆動型コントロール弁であってよい。上流圧力センサ23a、23b、下流圧力センサ25、および、流入圧力センサ21は、例えばシリコン単結晶のセンサチップとダイヤフラムとを内蔵するものであってよい。
【0032】
また、図示しないが、第1および第2圧力式流量制御ユニット20a、20bは、流路F1、F2を流れるガスの温度を測定するための温度センサを有していてよい。温度センサは、上流圧力センサ23a、23bの近傍において各流路F1、F2に対して別個に設けられていてもよいし、流路F1、F2が近接して配置されている場合には共通に設けられていてもよい。温度センサとしては、例えばサーミスタを用いることができる。温度センサの出力は、制御部5においてより精度高く流量を演算するために用いられ得る。
【0033】
圧力式流量制御装置1において、制御部5は、上流圧力センサ23a、23bの出力に基づいて、絞り部24a、24bを通過する流量が設定流量となるようにコントロール弁22a、22bを制御する。制御部5は、回路基板上に設けられたCPU、ROMやRAMなどのメモリ(記憶装置)M、A/Dコンバータ等を含んでおり、後述する動作を実行するように構成されたコンピュータプログラムを含んでいてよく、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせによって実現され得る。制御部5は、第1および第2圧力式流量制御ユニット20a、20bの動作を独立して制御できる限り任意の態様で設けられていてよく、第1および第2圧力式流量制御ユニット20a、20bに対して共通に設けられたものであってもよい。
【0034】
本実施形態において、第1流路F1は、大流量のガスを流すときに用いられる流路であり、第2流路F2は、小流量のガスを流すときに用いられる流路である。具体的には、第1流路F1に設けられた絞り部24aの口径が、第2流路F2に設けられた絞り部24bの口径よりも大きく形成されている。この構成において、第2流路F2に設けられたコントロール弁22bを閉じて第2流路F2を遮断するとともに、第1圧力式流量制御ユニット20aを用いて流量制御を行うことで、第1流路F1を介して所望流量のガスをプロセスチャンバに供給することができる。同様に、第1流路F1に設けられたコントロール弁22aを閉じて第1流路F1を遮断するとともに、第2圧力式流量制御ユニット20bを用いて流量制御を行うことで、第2流路F2を介して所望流量のガスを供給することができる。
【0035】
図2は、流量(最大流量を100%としたときの比率)と、制御圧力(流量に対応する上流圧力)との関係を示すグラフである。0.1%~5%流量(例えば1~50sccmの小流量)のときには、グラフG1からわかるように、第2流路F2においてコントロール弁22bの開閉度を調整して上流圧力を制御することによって、所望流量で精度よくガスを供給することができる。同様に、5%~100%流量(例えば50~1000sccmの大流量)のときには、グラフG2からわかるように、第1流路F1おいてコントロール弁22aの開閉度を調整して上流圧力を制御することによって、所望流量で精度よくガスを供給することができることがわかる。なお、小流量レンジと大流量レンジとは、上記の例に限られず、様々なレンジに設定されてよいことは言うまでもない。
【0036】
圧力式流量制御装置1では、第1流路F1と第2流路F2とに対して、独立して動作可能な第1圧力式流量制御ユニット20aと第2圧力式流量制御ユニット20bとが個別に設けられているので、流路の切り替え時においても各コントロール弁22a、22bを個別に制御して応答性高く圧力調整を行うことができる。また、第1流路F1と第2流路F2とで、コントロール弁22a、22bと絞り部24a、24bとの間の空間が分離して設けられているので、流路を切り替える際に、一方の流路の上流圧力が他方の流路の上流圧力に直接的に影響を与えることがない。このため、流路切り替え時のオーバーシュートやアンダーシュートの発生を抑制し、任意の設定流量で適切にガスを供給することができる。
【0037】
制御部5は、好適には、第1流路F1および第2流路F2のいずれか一方で流体を流すとき、その流路に設けられた上流圧力センサ等の出力に基づいてコントロール弁の開度をフィードバック制御して流量を制御するとともに、他方の流路に設けられたコントロール弁を閉じて、両方の流路を同時にガスが流れないように制御を行う。このようにいずれか一方の流路のみをガスが流れるようにすることによって、精度よく流量制御を行うことがより容易になる。
【0038】
また、圧力式流量制御装置1は、上記のように一方の流路のみをガスが流れるようにするために、他方の流路に設けられたコントロール弁は流路を完全に閉じることができるように構成されていることが好ましい。このためには、コントロール弁のシートとして樹脂製(例えば、ポリクロロトリフルオロエチレン(PETFE)製)のシートを用いることが好適である。樹脂製のシートを用いれば、コントロール弁を閉じたときの気密性を向上させることができるので、流路切り替えを好適に行うことができる。
【0039】
なお、流量制御は、従来と同様の種々の方法(例えば特許文献1に記載の方法)によって行うことができる。例えば、臨界膨張条件(P1≧約2×P2:アルゴンガスの場合)を満たすときには、流量Q=K1P1(K1は流体の種類と流体温度に依存する比例係数)の関係にしたがって上流圧力センサの出力P1から演算流量を求め、演算流量が設定流量と同じになるようにコントロール弁をフィードバック制御すればよい。また、非臨界膨張条件下では、流量Qc=K2P2m(P1-P2)n(K2は流体の種類と流体温度に依存する比例係数、指数m、nは実際の流量から導出された値)の関係にしたがって上流圧力センサの出力P1および下流圧力センサの出力P2から演算流量を求め、演算流量が設定流量と同じになるようにコントロール弁をフィードバック制御すればよい。演算流量は、温度センサの出力に基づいて補正されてもよい。
【0040】
以下、図3(a)~(c)を参照しながら、流量Q1(大流量レンジ)から流量Q2(小流量レンジ)に切り替える際のコントロール弁の制御の具体例について説明する。
【0041】
図3(a)は、第1流路F1および第2流路F2に設けられたコントロール弁22a、22bの開閉タイミングを示す。図3(a)に示す例では、時刻tsにおいて、第1流路F1のコントロール弁22aを開から閉に切り替えるのに同期させて、第2流路F2のコントロール弁22bを閉から開に切り替えている。
【0042】
ただし、図3(b)に示すように、第1流路F1を流量Q1でガスが流れていた場合、時刻tsにコントロール弁22aを閉じた後、ガス流量が瞬時に0まで低下するわけではなく、上流圧力の低下を伴いながら減衰するようにして低下する。これは、コントロール弁22aを閉じた後にも、コントロール弁22aと絞り部24aとの間のガスが、上流圧力が下流圧力よりも高い状態のもと、絞り部24aを介して流出するからである。
【0043】
一方で、第2流路F2におけるガス流量も、瞬時に設定流量Q2にまで上昇するわけではなく、時間とともに徐々に上昇する。なお、急激な流量変化を防止するために、コントロール弁を公知のランプ関数制御にしたがって制御することが知られており、この場合には、流量目標値自体が時間と共に増加する。
【0044】
ここで、本実施形態では、第1流路F1に設けられたコントロール弁22aを閉じた後に第1流路F1を流れるガス流量を上流圧力センサ23aを用いて検出するとともに、この検出結果に基づいて、第2流路F2に設けられたコントロール弁22bの開度を制御するようにしている。より具体的に説明すると、第1流路F1を流れるガス流量の低下の程度に適合するように、第2流路F2を流れるガス流量を増加させている。これによって、図3(c)における実線のグラフに示すように、第1流路F1を流れるガスの流量と第2流路F2を流れるガスの流量との合計流量Qtotalを、流量Q1から流量Q2へとスムーズに変化させることが可能になる。したがって、流量の切り替え時において、破線のグラフに示すようなアンダーシュートUの発生やオーバーシュートの発生を防止することが可能になる。
【0045】
第2流路F2を流れるガス流量は、例えば、検出した第1流路F1のガス流量から減衰の時定数を求め、この時定数に基づいて第2流路F2のコントロール弁22bの制御信号(例えばランプレートなど)を決定することによって、適切に制御することができる。
【0046】
以下、圧力式流量制御装置1の具体的な構成例を、図4(a)および(b)を参照しながら説明する。図4(a)および(b)には、図1に示した流入圧力センサ21が設けられていない態様を示しているが、本構成例においても、コントロール弁22a、22bの上流側において、流入圧力センサ21が第1流路F1および第2流路F2に共通して設けられていてもよいことは言うまでもない。また、図4(b)は、図4(a)の断面図に対応するが、流路のつながりを明瞭にするために、図中の中央部において、図4(a)のA-A’線に対応する断面を示すとともに、図中の両端部において、図4(a)のB-B’線に対応する断面を示している。
【0047】
図4(a)および(b)に示すように、圧力式流量制御装置1は、第1流路F1および第2流路F2が形成された本体ブロック10を備えており、この本体ブロック10の取付面10X上に、第1および第2圧力式流量制御ユニット20a、20bの構成要素であるコントロール弁22a、22bおよび上流圧力センサ23a、23bと、下流圧力センサ25とが取り付けられている。なお、絞り部24a、24bは、後述するように本体ブロック10の内部において各流路F1、F2に介在するように取り付けられているが、本明細書では、このように一部の構成要素が他の場所に配置される場合であっても、第1圧力式流量制御ユニット20a(または第1流体制御ユニット)および第2圧力式流量制御ユニット20b(または第2流体制御ユニット)とが本体ブロック10の取付け面10Xに取り付けられているというように記載することがある。
【0048】
図4(a)および(b)に示すように、本実施形態では、本体ブロック10は、4つのブロック部分10a~10dを接続し固定することによって構成されている。また、4つのブロック部分10a~10dのうちの2つの中間ブロック部分10a、10bには、第1流路F1および第2流路F2の一部が形成されており、これらのブロック部分10a、10bを接続することによって第1流路F1および第2流路F2が形成されている。
【0049】
本体ブロック10は、全体として平面視にて略長方形の形状を有しており、図に示すように長手方向D1と幅方向D2とを有している。本体ブロック10は、例えば、ステンレス鋼(SUS310Lなど)などからなる金属製のブロック部分10a~10dを用いて作製されていてよく、ブロック部分同士の接続および固定は、溶接やネジ留めなどによって行われてよい。
【0050】
両端のブロック部分10c、10dにおいて、共通流入口11と共通流出口12とがそれぞれ設けられている。一方で、2つの中間のブロック部分10a、10bには、制御ユニットが取り付けられる。また、2つの中間のブロック部分10a、10bの接続部には、各流路F1、F2に介在する絞り部24a、24bが固定されている。
【0051】
絞り部24a、24bとしては、オリフィス部材(オリフィスプレートなど)の他に臨界ノズルまたは音速ノズルを用いることもできる。オリフィスまたはノズルの口径は、例えば10μm~500μmに設定される。
【0052】
このようにブロック部分10a、10bの接続部に絞り部24a、24bを配置する構成では、絞り部24a、24bの取り付けや交換を比較的容易に行うことが可能である。このため、堆積物によるオリフィスの詰まりや、腐食によるオリフィス径の拡大などが生じたときにも、絞り部24a、24bを交換して不具合に迅速に対処することができる。なお、ブロック部分10a、10bの接続部に設ける絞り部としては、気密性を向上させることができるガスケットオリフィスを用いることが好適である。ガスケットオリフィスを用いれば、ブロック部分での接続部におけるリークを防止することができるとともに、交換が比較的容易に行えるという利点が得られる。
【0053】
以下、本体ブロック10に設けられた第1流路F1および第2流路F2について詳細に説明する。
【0054】
図4(a)に示すように、本実施形態における第1流路F1および第2流路F2は、取付け面10Xの法線方向D3から見たときに、本体ブロック10の長手方向D1(第1の方向と呼ぶことがある)に沿って延びる第1流路部分13と、本体ブロック10の幅方向D2(第2の方向と呼ぶことがある)に沿って延びる第2流路部分14とを含んでいる。また、第1流路F1および第2流路F2は、法線方向D3から見たときに斜め方向(長手方向D1および幅方向D2とは異なる方向)に沿って延びる流路部分を含んでいない。
【0055】
なお、上記の長手方向D1と幅方向D2とは互いに直交する方向であるが、本明細書において、直交する方向とは、約80°~90°の角度で交わる方向を意味するものとする。つまり、第1流路部分13と第2流路部分14とが、加工誤差などによって90°から多少ずれた方向に交差している場合も、これらは直交する方向に形成されたものとする。
【0056】
長手方向D1に沿って延びる第1流路部分13は、本体ブロック10を構成するブロック部分10a~10dの接続面や底面などから、長手方向D1に沿ってドリルなどを用いて細穴を開けておき、その後、ブロック部分10a~10dを接続および固定することによって形成することができる。一方、第2流路部分14は、本体ブロック10の側面10Yから、幅方向D2に沿ってドリルなどを用いて穴部14’を開け、穴部14’の開口部14aを封止することによって形成することができる。
【0057】
第2流路部分14を構成する穴部14’の開口部14aを封止する封止部材15としては、種々のものを用いることができる。例えば、後述するように、ブラインドプラグのようなもので開口部14’を封止してもよい。なお、特許文献3には、金属ブロックの側面から穿孔するとともに、開口部を塞ぐことによって流路を形成する方法が記載されている。本発明の実施形態においても、特許文献3に記載の方法と同様の方法を利用して、第2流路部分14を形成することが可能である。
【0058】
以上のように、本実施形態において、第1流路F1および第2流路F2は、複数のブロック部分から本体ブロックを構成するとともに、法線方向D3から見たときに長手方向D1および幅方向D2に沿って延びる流路部分を組み合わせて形成されており、典型的には、全体流路においてコの字型の流路部分が含まれている。
【0059】
そして、本実施形態の構成によれば、斜め方向の流路を設けるときのように、ドリルでの孔開けの位置合わせに困難が伴わず、正確に流路を形成することができる。また、斜めの流路を形成する場合には必要とされる、長手方向と幅方向との両方での流路形成用のスペースの確保が不要となる。このため、必要最小限の分だけ幅方向に沿って流路を設けることが可能であり、長手方向にサイズを大きくすることなく圧力式流量制御ユニットを種々の態様でコンパクトに搭載することが可能になる。
【0060】
以下、図5図9を参照しながら、圧力式流量制御装置1のより具体的な構成例を説明する。以下に説明する構成例では、第1流路F1と第2流路F2(図8および図9参照)とが、法線方向D3から見たときに長手方向D1に沿った中心軸に対して非対称に形成されており、上記のように必要最小限の分だけ幅方向D2に沿った流路部分を設けた構成を採用している。これにより、本体ブロック10上においてコンパクトに制御ユニットや圧力センサが配置され、幅方向D2に離間して平行に第1流路F1および第2流路F2を設けたときよりも本体ブロック10の幅を狭小化し得る。
【0061】
なお、図5図9に示す圧力式流量制御装置1において、上記に説明した構成要素と同様の構成要素については同じ参照符号を付すとともに、詳細な説明は省略する場合がある。
【0062】
図5は、取付け面10Xの法線方向から見たときの本体ブロック10の平面図である。また、図6は、図5に示すC-C’線に沿った断面を示し、図7は、図5に示すD-D’線に沿った断面を示す。ただし、図6および図7には、圧力式流量制御ユニットが取り付けられた状態が示されている。
【0063】
また、図8および図9は、図5図7に示した流体制御装置の流路を模式的に示す透視図である。図8および図9において、第1流路F1をガスが流れる様子および第2流路F2をガスが流れる様子を矢印で示しているが、流路等の構成については同じものが図示されている。図8に示すように、第1流路F1をガスが流れるときには、共通流入口11からのガスが、矢印A1で示すようにコントロール弁22aを通り、絞り部24aを介して矢印A2で示すように共通流出口12へと流れる。このとき、第2流路F2のコントロール弁22bは閉じられており、コントロール弁22bおよび絞り部24bを介してガスが流れることはない。一方、図9に示すように、第2流路F2をガスが流れるときには、共通流入口11からのガスが、矢印B1で示すようにコントロール弁22bを通り、その後、絞り部24bを介して矢印B2で示すように共通流出口12へと流れる。このとき、第1流路F1のコントロール弁22aは閉じられており、コントロール弁22aおよび絞り部24aを介してガスが流れることはない。また、図8および図9に示すように、第1流路F1および第2流路F2のいずれをガスが流れる場合にも、矢印A3、B3に示すように流入圧力センサ21にガスが流れるので流入側圧力を検出することが可能であり、矢印A4、B4で示すように下流圧力センサ25にガスが流れるので下流圧力を検出することが可能である。
【0064】
図5図9に示すように、本体ブロック10において、共通流入口11と共通流出口12との間において、第1流路F1および第2流路F2が設けられているが、これらの流路F1、F2は、取付け面10Xの法線方向D3から見たときに、長手方向D1に沿って延びる第1流路部分13と、幅方向D2に沿って延びる第2流路部分14との組み合わせによって構成されており、斜め方向に設けられた流路部分を含んでいない。また、幅方向D2に沿って延びる流路部分14は、第2流路F2においてのみ設けられ、図5図8および図9に示すように、本体ブロックの側面10Yに開口する穴部14’が、封止部材15(ここではブラインドプラグ)によって封止されることによって形成されている。
【0065】
なお、図7に示すように、第2流路F2に設けられたコントロール弁22bの近傍において、図示する断面では斜め方向に設けられた流路部分16が形成されているが、この流路部分16は、法線方向D3から見たときには長手方向D1に沿って延びる流路部分である。
【0066】
本実施形態において、第1流路F1に設けられたコントロール弁22aと、第2流路F1に設けられたコントロール弁22bとは、長手方向D1において離れた位置に設けられており、図3に示した態様のように幅方向D2に並んで配置されたものではない。同様に、第1流路F1に設けられた上流圧力センサ23aと、第2流路F2に設けられた上流圧力センサ23bも、幅方向D2に並んだものではなく、長手方向D1に沿って並んで配置されている。なお、流入圧力センサ21および下流圧力センサ25は、本構成例においても、第1流路F1および第2流路F2に共通するように設けられている。
【0067】
また、上記のコントロール弁22aと、コントロール弁22bとは、異なる態様のものが用いられている。より具体的には、コントロール弁22aとしては大流量の制御に適した大型のコントロール弁が用いられ、コントロール弁22bとしては、小流量の制御に適した小型のコントロール弁が用いられている。このように小型のコントロール弁22bを用いているので、省スペース化を実現することができる。
【0068】
さらに、図5図8および図9に示すように、本実施形態では、法線方向D3から見たときに、第1流路F1と第2流路F2とは部分的に重なるように形成されており、これに対応して、絞り部24a、24bも、法線方向D3に沿って並ぶように配置されている。
【0069】
以上の構成において、本体ブロック10の幅方向中央部分において流路や制御ユニットを集約して配置できるので、本体ブロック10の幅を小さくすることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、種々の改変が可能である。例えば、上記には第1流路F1と第2流路F2との2つの流路が設けられた流体制御装置を説明したが、3つ以上の流路が設けられていてもよい。3つ以上の流路が設けられている場合であっても、流路が、上記の直交する2方向に沿って延びる流路部分のみから構成されていることが好ましい。
【0071】
また、絞り部として、オリフィス部材と遮断弁とが近接して一体的に形成された構成を有するオリフィス内蔵弁を用いてもよい。オリフィス内蔵弁を用いれば、立ち上がりおよび立ち下がり特性よくガスを供給することができ、プロセスチャンバへの短時間(パルス的)ガス供給も好適に行い得る。
【0072】
また、上記には、小流量と大流量との切り替えのために2つの流路を設ける態様を説明したが、他の目的で複数の流路が設けられていてもよく、例えば、ガスの種類や温度に応じて流路が選択されるような用途であってもよい。また、圧力式流量制御装置に限られず、複数の流路が設けられた種々の流体制御装置において本発明を適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の実施形態にかかる流体制御装置は、例えば、半導体製造のガス供給ラインに接続されて流量制御を行うために好適に利用される。
【符号の説明】
【0074】
1 圧力式流量制御装置 (流体制御装置)
5 制御部
10 本体ブロック
10X 取付け面
10Y 側面
11 共通流入口
12 共通流出口
13 第1流路部分
14 第2流路部分
14’ 穴部
14a 開口部
15 封止部材
20a 第1圧力式流量制御ユニット (第1流体制御ユニット)
20b 第2圧力式流量制御ユニット (第2流体制御ユニット)
21 流入圧力センサ
22a、22b コントロール弁
23a、23b 上流圧力センサ
24a、24b 絞り部
25 下流圧力センサ
F1 第1流路
F2 第2流路
D1 長手方向(第1の方向)
D2 幅方向(第2の方向)
D3 法線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9