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特許7054210海上構造物の据え付けや搬送のための補助浮き装置、およびその装置を備える方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】海上構造物の据え付けや搬送のための補助浮き装置、およびその装置を備える方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 17/00 20060101AFI20220406BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20220406BHJP
   E02B 17/08 20060101ALI20220406BHJP
   E02B 17/02 20060101ALI20220406BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20220406BHJP
【FI】
E02B17/00 Z
B63B35/00 T
E02B17/08 Z
E02B17/02 Z
F03D13/25
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018559863
(86)(22)【出願日】2017-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 ES2017070306
(87)【国際公開番号】W WO2017194813
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-05-11
(31)【優先権主張番号】P201630627
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】516180117
【氏名又は名称】エステイコ・ソシエダッド・アノニマ
【氏名又は名称原語表記】Esteyco S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・サルスティアノ・セルナ・ガルシア-コンデ
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル・アンヘル・フェルナンデス・ゴメス
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-510524(JP,A)
【文献】特開2002-285951(JP,A)
【文献】特開2001-241374(JP,A)
【文献】国際公開第01/034977(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 17/00
B63B 35/00
E02B 17/08
E02B 17/02
F03D 13/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上構造物(2)の据え付けや搬送のための補助浮き装置(1)であって、上記海上構造物(2)は一時的または最終的にそれ自身で浮き、かつ、垂直シャフト(4)を備えるタイプであり、上記補助浮き装置(1)は、
1つ以上の浮き要素5と、
上記浮き要素(5)に連結されると共に、上記垂直シャフト(4)の海上構造物(2)に連結されるように構成された少なくとも1つの連結構造(7)を備え、
上記連結構造(7)は、上記海上構造物(2)へのその配置や上記海上構造物(2)からの除去を容易にするための開放や閉鎖サブシステム(10)を備え、
上記補助浮き装置(1)は、さらに、
上記連結構造(7)に固定された1以上のガイド要素(9)を備え、上記ガイド要素()は上記垂直シャフト(4)と滑り接触ることを特徴とし、かつ、
上記ガイド要素(9)と上記垂直シャフト(4)との間の滑り接触は、
上記海上構造物(2)が沈むならば、上記補助浮き装置(1)は海上と同じレベルのままに留まるように、上記補助浮き装置(1)と上記垂直シャフト(4)との間の自由な相対的な垂直運動を可能とし、かつ、
相対的な水平運動、および、揺れ、上下動、左右の揺れの間の相対的な回転の両方の場合において、上記補助浮き装置(1)と上記垂直シャフト(4)との間の他の相対的な運動を制限や防止するようなものであることを特徴とし、かつ、
上記開放や閉鎖サブシステム(10)は、1以上の関節(15)を備え、上記関節は上記連結構造の1以上の浮き要素(5)に関して上記関節の垂軸回りの回転が可能であることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項2】
請求項1による補助浮き装置(1)において、複数のガイド要素(9)を備え、そのガイド要素(9)は上記垂直シャフト(4)の回りに平面配置を有し、そのため、いずれかのガイド要素(9)と、そのとなりのガイド要素(9)と、上記垂直シャフト(4)の中心軸とによって形成された最大平面角(α)は3ラジアン以下であることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2による補助浮き装置(1)において、少なくとも2つのレベルの高さ方向の配置を有する複数のガイド要素(9)を備え、上記複数のレベルのうち最も高いレベル(401)と最も低いレベル(402)との間のレベル差は、1m以上であることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項4】
海上構造物(2)で使用するための請求項1から3のいずれか1つによる補助浮き装置(1)において、上記垂直シャフト(4)は多角形の外形の形状を有する横断面を有し、上記多角形の形状の頂点の近くで、上記垂直シャフト(4)と接触する少なくとも3つのガイド要素(9)を備えることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項5】
請求項1による補助浮き装置(1)において、上記連結構造(7)は上記海上構造物(2)の上記垂直シャフト(4)を取り囲むようになっている少なくとも1つのリング(8)を備えることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つによる補助浮き装置(1)において、2つ以上の浮き要素(5)を備え、上記連結構造(7)は、複数の上記浮き要素(5)の少なくとも2つを連結するモジュールや関節構造であることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つによる補助浮き装置(1)において、上記開放や閉鎖サブシステム(10)は、上記連結構造(7)の1つの浮き要素(5)のもう1つの浮き要素(5)に関する垂直軸回りの回転を可能にする1以上の関節(15)を備えることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項8】
請求項6または7による補助浮き装置(1)において、上記補助浮き装置(1)の上記開放や閉鎖サブシステム(10)は、少なくとも2つの共同する閉鎖要素(16,17)を有し、これらの閉鎖要素には、複数の嵌め込みガイド(18,18’,18’’)が備えられており、これらの嵌め込みガイドは、上記海上構造物(2)への上記補助浮き装置(1)の閉鎖動作の間に、上記連結構造(7)の上記浮き要素(5)の位置を調整するようになっていることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1つによる補助浮き装置(1)において、少なくとも1つの浮き要素(5)は、潜水可能な水力学的制動板(26)を備え、上記水力学的制動板(26)は水平であり、平らであることを特徴とする補助浮き装置1。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1つによる補助浮き装置(1)において、上記浮き要素(5)の平面配置は、上記開放や閉鎖サブシステムが上記海上構造物(2)に閉鎖されているとき、上記海上構造物(2)の平面配置と重ならないようなものであることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項11】
請求項1から1のいずれか1つによる補助浮き装置(1)において、装備や職員を、上記海上構造物(2)に配置または上記海上構造物(2)から除去するのに適した上昇手段を備えることを特徴とする補助浮き装置(1)。
【請求項12】
海上構造物(2)の据え付けや搬送のための方法であって、上記海上構造物(2)は垂直なシャフト(4)を有するタイプであって、請求項1から11のいずれか1つに記載の補助浮き装置(1)を使用し、少なくとも下記の工程、すなわち、
a) 上記海上構造物(2)の回りに上記補助浮き装置(1)を連結する
b) 上記補助浮き装置(1)を海面上のその同じ浮きレベルに維持しながら、上記海上構造物(2)をその最終的な深さに固定し、
c) 上記補助浮き装置(1)を上記海上構造物(2)から取り外す
ことを技術的に可能な順序で行うことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1による方法において、上記工程a)の前または後に、上記補助浮き装置(1)や上記海上構造物(2)をその最終的な海上の位置に搬送する追加の工程を備える方法。
【請求項14】
請求項1または1による方法において、以上の上記工程の間に、上記補助浮き装置(1)にタグボート(23)を接続することをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1から1のいずれか1つによる方法において、伸縮可能な塔モジュール(22,22’,22”)から作られた海上構造物2に使用され、さらに、その以上の工程の間に、上記モジュール(22,22’,22”)を伸ばすことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1から1のいずれか1つによる方法において、工程b)を完了する前に、工程a)が保護された海岸領域でなされることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1から1のいずれか1つによる方法において、上記海上構造物(2)は基礎(3)を備え、上記補助浮き装置(1)の1以上の浮き要素(5)は、その浮き要素(5)の底部のバラストを調整するための1以上のゲート(26’)を備え、上記基礎が浮上した位置に位置していて上記調整されたゲート(26’)が完全にまたは部分的に開放されている第1の段階と、上記基礎が沈んだ位置に位置していて上記調整されたゲート(26’)が完全に閉鎖または部分的に閉鎖されている第2の段階とを備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、コンクリート製の伸縮可能(telescopic)な海上風力タービン塔のような基礎および/または海上塔(基礎や海上塔)を据え付けるための補助浮き装置に関する。この発明の主な適用分野は、土木建築工業であり、特に、再生可能エネルギー、すなわち、グリーンエネルギー、特に、海上風力エネルギーと関連する塔および/または基礎の組立に関するものである。この発明は、さらに、海上構造物の搬送、および/または、メンテナンス作業に利用される。
【背景技術】
【0002】
海上の土木建築分野において、重くて大きな構造物、例えば、海上の基礎および風力タービン塔の海上での据え付けおよび/または輸送を目的として、補助浮き構造、または、船を使用することが知られている。上記補助構造物の多数は、これらのタイプの操作を意図した特別の特徴を有する大きな荷船からなり、利用可能性が非常に少なくて、さらに、非常に特別な良い天候状態でしか作動させることができないということに加えて、大抵、極端に高いコストを伴う。
【0003】
例えば、特許出願EP2597027 A1は、浮き構造と作業船とを備える装置を記している。その浮き構造は、上記船の部分を形成する取付部に嵌まり込むことができるフランジを装備した部分を含む。上記浮き構造が一旦作業船に連結されると、その据え付けおよびメンテナンス作業を行うことができる。この発明の問題は、高い使用コストと、これらの特徴を有する船の利用可能性が限られていることに加えて、上記浮き構造が固定手段によって固定されたままであって、ある状態では、それの据え付けを困難または不可能にするということである。
【0004】
同様に、海上構造物、より詳しくは、輸送および/または据え付けられる海上風力タービン塔を収容することを目的としているスペースを有する異なるタイプの荷船が存在することが知られている。それらの多数はU形をしており、すなわち、特許出願WO 2010028762 A1 に記載されているように、固定された金属梁で連結された2つの平行な構造からなる。これらの解決方法は、例えば、EP 2905217 A1 に記載された荷船の場合のように、上記風力タービン塔のタイプに基づいて、それらの各々に特別な設計が必要であることに併せて、補助浮き構造の大きな寸法とそれから帰着する高いコストという主要な問題を有する。さらに、このタイプの解決方法は、上記補助浮き要素が上記補助構造の重さの少なくとも部分を支持することによって、上昇すなわち垂直連結要素と大抵関連している。このタイプの要素は、対応する結合および非結合工程と共に、有効性を減じ、その解決方法のコストを上昇させる。
【0005】
大きな構造物のための海上での位置決めまたは搬送装置の多くは、据え付け期間の間、海底に固定する目的の大きな延長できる垂直の金属柱、例えば、特許出願WO 200807186 A1 および WO 2009153530 A1 に記載されている装置を使用している。その装置は、位置決めまたは搬送のトータルコストを増大させる。
【0006】
他方、特許出願 GB 2501459 A1 に記載された装置は、知られているように、特に、ジャケット型の海上プラットホームの輸送および据え付けのために設計されている。しかしながら、上記装置は通常自身で浮かばない構造に適用され、それ故、その装置は2つの補助装置、すなわち、それらの一方は浮力を与えることを目的とし、他方はその安定性を改善することを目的とすることを目的とする機能する構造を必要とする。同様に、上記出願に記載された装置は、主構造と補助浮き構造との間に複数の連結要素(クランプ、予め設けられた支持物など)を据え付けており、その連結は剛の状態で固定する方法でされていて、それによって、主構造に浮き支持の垂直力を伝達して、その浮力に寄与する。この取り組みは、浮かばない構造(GB 2501459 A1の場合のように)の搬送および据え付けのために必要であるけれども、主構造物をいかりで固定する前に浮き構造の取り外しまたは部分的な除去を必要とすることを考慮すると、自分で浮かぶ構造を据え付けるためには欠点がある。これは、その据え付け方法に複雑性と追加の工程とを付加し、それによって作業および補修時間に影響し、それに関連して追加のコストを伴う。
【0007】
最後に、特許出願WO 2014073956 A1は、完全に組み立てられ、起立した風力タービン塔を記述している。この構造は、固定手段と収容領域とゲート構造を備えている。この場合、補助浮き構造は、風力タービンの下部構造に連結されて固定される。したがって、この全アッセンブリは、風力タービンをその最終的は位置で据え付けおおび固定のために垂直方向に移動できるけれども、この解決方法は、補助浮き構造と風力タービン塔との間の相対移動を許容しなく、そのため据え付け作業を困難にする。さらに、この形式の構造は、完全に組み立てられたTLP(引っ張り脚プラットホーム:Tension Leg Platform)風力タービン塔の据え付けおよび搬送のために特に設計されていて、他の形式の海上構造物の使用を不可能にするかあるいは著しく困難にする。
【0008】
この発明は、海上構造物の据え付けおよび搬送を遂行するための新しい補助浮き装置およびその装置と連携する方法によって、海上構造物の据え付けおよび搬送のための公知の装置の制限および欠点を解消することを目的としている。
【発明の概要】
【0009】
従来技術の前述の欠点を克服するために、本発明は、基礎および/または風力タービン塔のような海上構造物の据え付けおよび搬送のための補助浮き装置であって、その海上構造物は一時的または最終的に浮いていて、かつ、上述の据え付けおよび搬送を最適化することが可能な補助浮き装置を提供することを目的としている。
【0010】
この発明の上記目的は、好ましくは、本質的には垂直なシャフトを備える形式の海上構造物の据え付けおよび/または搬送(据え付けや搬送)のための補助浮き装置であって、上記補助浮き装置は、
少なくとも1つの浮き要素(2,3またはそれ以上の上記要素が使用される可能製がある)と、
上記浮き要素に連結されると共に、上記シャフトの回りの海上構造物に連結されるように構成された少なくとも1つの連結構造と
を備える。
【0011】
有利なことには、この発明の補助浮き装置は、さらに、
上記連結構造に固定された1以上のガイド要素を備え、上記ガイド要素は上記シャフトとの1以上の滑り接触面を与え、かつ、
上記ガイド要素と上記海上構造物の上記シャフトとの間の滑り接触は、
上記海上構造物が沈むならば、上記補助浮き装置は海上の本質的に同じレベルのままに留まるように、上記補助浮き装置と上記シャフトとの間の本質的に自由な相対的な垂直運動を許容し、
相対的な水平運動、および、揺れ、上下動、左右の揺れの間の相対的な運動の両方の場合において、上記補助浮き装置と上記シャフトとの間の他の相対的な運動を制限および/または防止(制限や防止)するようなものである。
【0012】
上記海上構造物の基礎の底部の部分および/またはシャフトと、上記連結構造に固定された上記ガイド要素との間の滑り接触は、この発明の装置のキー(必須のもの)である。現在知られている解法とは異なるこの特徴は、上記海上構造物と補助浮き装置との間の相対的な垂直移動を許容し、そのため、上記海上構造物の最終的な位置への据え付けを容易にする。このように、このアッセンブリがその最終的な場所に一旦搬送されると、上記補助浮き装置と上記構造物自身との間の連結および切り離しを遂行する必要なく、上記構造物をバラストで安定させることによって、いかりで固定される。それによって、海上でなされる作業が非常に単純化される。同様に、大きないかりの船の使用が必要でなくなり、据え付けのコストを大幅に減じ、帰着する障害を除去する。
【0013】
この発明の好ましい実施形態では、この補助浮き装置の複数のガイド要素は、上記シャフトの回りに平面配置を有し、そのため、上記ガイド要素の対と上記シャフトの中心軸とによって形成された最大平面角は3ラジアン以下である。このことは、上記補助浮き装置と、据え付けられつつある海上構造物との間の相対的な水平運動と相対的な回転を制限することによって、効率が改善される。
【0014】
この発明の別の好ましい実施形態では、上記複数のガイド要素は、違った高さに位置する少なくとも2つのレベルの高さ方向の配置を有し、上記複数のレベルのうち最も高いレベルと最も低いレベルとの間のレベル差は、1m以上である。このことは、揺れ、前後動の相対的な回転を具体的に制限する補助浮き装置の能力を改善し、かつ、その効果として両構造物の間に伝達されるに違いない力の大きさを減ずる。
【0015】
この発明の好ましい別の実施形態では、上記補助浮き装置は、本質的に多角形の形状を有す断面をもったシャフトを有する海上構造物に適用される。より好ましくは、上記適用において、少なくとも3つの上記ガイド要素は、上記本質的に多角形の形状の頂点の近くで、上記シャフトと接触している。このことは、上記海上構造物の据え付け工程の間に、上記補助浮き装置が上記シャフトに上記ガイド要素によって伝える力に対して、上記シャフトの構造がより効果的に抵抗することを可能にする。
【0016】
この発明のもう1つの好ましい実施形態では、上記連結構造は、上記海上構造物のシャフトを完全に取り囲む少なくとも1つのリングを備える。上記リングは、円形であり、または、他の閉鎖し、湾曲し、あるいは、多角形の形状であることができる。上記ガイド要素は、好ましくは、上記1つまたは複数のリングに沿って配置される。
【0017】
代替方法として、または、相補的に、上記補助浮き装置に備えられた浮き要素および上記連結構造は、モジュールであることができ、そのため、モジュールの追加および除去は、その寸法を調整することを可能にし、上記補助浮き装置を、異なる特徴、および/または寸法を有する複数の海上構造物に適合することを可能にする。
【0018】
好ましくは、上記連結構造は、上記海上構造物(例えば、上記塔のシャフト)上の支持要素(それはガイド要素としての役目をすることが可能である)と、上記構造物を閉鎖する1以上の可動構造とを備える。この目的を達成するために、上記可動要素は、完全に閉鎖するサブシステムまたはその部分を備えて、上記完全な構造が上記海上構造物を閉鎖することを可能にし、以下のステップを実行する。
折り畳まれた構成の上記補助浮き装置は、上記支持要素が海上構造物と接触するまで、近くに移動させられる。
上記支持要素と海上構造物との間の接触が連結工程の間を通じて維持されるように、位置を維持するための1つ以上の手段が利用される(例えば、タグボート、または、ケーブル若しくはウィンチの装置)。
上記連結構造の可動要素は、それが上記海上構造物を完全に囲むまで動かされる。
上記連結構造の閉鎖要素が、上記補助浮き装置を折り畳まれたまたは連結された構成に固定するために、作動させられる。
【0019】
上記補助浮き装置に備えられた浮き要素は、好ましくは、その深さおよび/または重さが変わるように、バラストで安定化させられ得る。この特徴は、上記補助浮き装置が上記アッセンブリの必要に応じるようにする。また、それらは、区画されていて、異なる区画の異なるバラストでの安定化をすることを可能にしている。さらに、それらは、その動作、より具体的には、上記アッセンブリの制動および固有振動数を調整する手段として、上記要素の底部に1以上の下側ゲートを備えることができる。上記浮き要素の海中部のゲートの特定レベルの開口は、それらが配置された水の本体と上記浮き要素の内側との間の制御された水通路の形成を可能にする。このことは、上記アッセンブリの浮力のレベルが調整され、かつ、上記浮き板の効果的な慣性を可能にしている。こうして上記ゲートの開度を調整して、上記アッセンブリの作動を容易に変えることができる。例えば、上記ゲートを開くことは、さらに、上記アッセンブリの固有揺れ周期を減じ、それらを閉じることは、その周期を増加させる。このことは、本発明のより効果的な使用のために、搬送される構造物の状態および/またはその据え付けられ構造物の状態にそれを適合させることを可能にする。好ましくは、上記浮き要素の水中領域にある上記ゲートは、上記浮き要素がその内側にシールされた区画(室)を有するときに、使用される。そのため、1つまたは複数のゲートは、上記複数の室の部分だけで水の流れを可能にする。
【0020】
この発明は、上記補助浮き装置と海上構造物との間のより簡単かつ効果的な
連結および切り離しを可能にする。その連結および切り離しは、たくさんの数の据え付けが行われることを考慮すると、海上浮力タービン塔へのその適用に非常に多くの相対的な捉え方がある。この目的を達成するために、もう1つの好ましい実施形態では、上記補助浮き装置は、2以上の浮き要素を備え、上記連結構造は関節構造であり、上記関節構造は少なくとも2つの浮き要素を連結し、かつ、上記海上構造物の設置および/または除去を容易にするための開放および/または閉鎖サブシステム(開放や閉鎖サブシステム)を備える。
【0021】
上記開放および/または閉鎖サブシステムは、連結構造の違った部分または異なる浮き要素を連結する延長できる油圧アームのようなこの技術分野で知られた多くの要素によって作動することができる。牽引力が内部、および/または連結構造の違った部品の間、または、その浮き要素に使用されるケーブルおよび/またはウィンチがまた使用されてもよい。また、上記開放または閉鎖サブシステムの異なる部品を引っ張りまたは押すために使用されてもよい。
【0022】
上記開放および/または閉鎖サブシステムのおかげにより、上記補助浮き装置は、折り畳まれていない、すなわち、閉鎖された構成または折り畳まれている、すなわち、開放された構成のいずれかをとることができる。上記折り畳まれていない、すなわち、閉鎖された構成で、上記補助浮き装置は上記海上構造物に連結されている一方、上記折り畳まれている、すなわち、開放された構成で、上記補助浮き装置は上記海上構造物に連結され、および/または、上記海上構造物から切り離される。他の補助構造と違って、本発明の補助浮き装置は、一旦、上記海上構造物がその最終的な位置に既に据え付けられると、上記折り畳まれた、すなわち、開放した構成で、搬送および/または連結することができる。そのことは、上記構成がより小さく、かつ、コンパクトであるから、作業を簡単にする。この意味で、上記装置に備えられた浮き要素は、折り畳まれた構成での搬送の間に、それらの間の衝突を防止するための1以上のフェンダーを備えることができる。
【0023】
この発明の好ましいもう1つの実施形態では、少なくとも1つの浮き要素は、潜水可能な流体力学的制動板を備え、上記板は本質的に水平であり、平らである。上記板は、またときにはヒーヴ(heave)板と知られており、上記海上構造物と補助浮き装置とに形成されたアッセンブリの動きに制限および制動をする水力学的流体ブレーキが生成されることを可能にする。さらに、それらは、作動中の増大する周期の固有周期への接近に関係するありうる動的な振幅の防止または減少の目的のために、追加された水を移動させることによって、従来、装置の固有周期を調整するために使用されている。
【0024】
この発明のもう1つの好ましい実施形態では、上記浮き要素は、深さと設定された長さ(H)以上の乾舷とを有し、その値は、本質的に式 H=R・sin (α’) に従い、ここで、(R)は各浮き要素の中心から上記シャフトの縦軸までの距離であり、(α’) は海上構造物の据え付け、および/輸送の間に許され、あるいは予測される海上構造物の基礎の傾きの最大角度である。このようにして、海上構造物の据え付け工程を通じて、浮き要素が完全に沈んだり、完全に浮上した表面に現れたりしないようにすることが確保される。
【0025】
この発明の別の好ましい実施形態では、上記補助浮き装置は、装備および/または職員を、上記海上構造物に配置または上記海上構造物から除去するのに適した上昇手段を備える。上記手段は、この技術出知られている何らかのタイプのクレーン、上昇プラットホーム、ウィンチ、エレベータ、リフトや他の上昇装置からなることができる。上記手段は、例えば、その据え付けの間に上記海上構造物上に配置された装備および従業員を集めるために使用される。同様に、上記手段は、上記据え付けられた海上構造物の補修点検のためや、それが収容している風力タービンのような他の設備のために使用される。それ故、上記好ましい実施形態において、上記補助浮き装置は、海上構造物の据え付けのための補助手段として使用されるのみならず、その有用寿命を通じて、海上構造物および/またはそれが収容するかもしれない装備の補修作業の補助手段としても使用されるかもしれない。上記上昇手段は、上記補助浮き装置が上記シャフトに連結され、かつ、上記装置の移動が制限されて、作業を容易にするような、上記海上構造物が既に海底に静止ているときに、作動させるのが好ましい。さらに、上記上昇手段は、大きくて、高価な海上上昇手段や船舶の必要性を回避できるという大きな利点を与えることができる。
【0026】
この発明の他の目的は、基礎および/または海上風力タービンの輸送および/または据え付けのための大きな船の必要を除去し、それらの方法の高いコストを著しく減じる据え付けおよび/または輸送の方法、および、より小さな寸法でアッセンブリのより優れたな作業性を有する補助構造を提供することに関する。
【0027】
上記目的は、海上構造物の据え付けおよび/または輸送のための方法によって好ましくは実行され、上記海上構造物は本質的に垂直なシャフトを有するタイプであって、上述のいずれか1つによる補助浮き装置を使用し、少なくとも下記の工程を技術的に可能な何らかの順序で行われる。
【0028】
上記補助浮き装置が上記海上構造物の回りに配置され、連結する
上記補助浮き装置と上記海上構造物とにより形成されたアッセンブリが随意にその海上の最後の場所に輸送され、
上記海上構造物がその最終的な深さにいかりで固定され、
上記補助浮き装置が海上構造物から取り除かれる。
【0029】
この発明の好ましい実施形態では、上記方法は、上記補助浮き装置と海上構造物とによって形成されたアッセンブリのその最終的な海上の位置への輸送の完了する前に、上記海上構造物を部分的にいかりで固定することを備える。
【0030】
この発明のもう1つの好ましい実施形態では、上記方法は、伸縮する塔を有する海上構造物に適用されて、さらに、部分的または全体的に上記伸縮する塔を上昇させることを含む。
【0031】
この発明の別の好ましい実施形態では、上記海上構造物の周りに補助浮き装置を据え付ける工程は、港でなされる(また、開放した海すなわち海上よりも保護のレベルが大きくなる湾、入り江、海岸に近い沿海領域内でなされることができる。)
この発明の方法の別の好ましい実施形態では、上記補助浮き装置は、折り畳むことができるモジュール構造を有し、上記補助浮き装置を海上構造物から取り除いた後、上記補助浮き装置は折り畳まれた構成にされる。
【0032】
この発明の別の好ましい実施形態では、完全な状態の上記海上構造物は上記補助浮き装置と共に自立しているだけであるが、上記海上構造物は不完全な状態で自立している。
【0033】
最後に、例として、この発明の他の目的は、非制限的な態様で、この明細書で記載された実施形態による方法によって据え付けられ、搬送される風力タービンの基礎、風力タービン塔、および、風力タービンに関する。
【0034】
先行する段落で述べられたように、この発明は、海上構造物を据え付けるための特定のいかりで固定する船のコストの高い使用に依存をもはや必要ではなくして、それに伴う障害を克服し、アッセンブリの輸送、据え付けにおいて、非常に容易にし、コストを安くし、作業の自由度を達成する。
【0035】
さらに、この発明の装置および方法は、据え付け工程の間のアッセンブリの安定性を適切に増大するが、前に述べられた従来技術の状態の発明とは違って、上記補助浮き装置に対して基礎および/または風力タービン塔の自由な垂直方向のスライドを許容し、その据え付けを容易にし、そのバラストおよびいかりでの固定を可能にし、それが完全に据え付けられるまで、上記アッセンブリの安定の維持および/または安定の増大を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
他のことに加えて、上記前述の特徴は、例としての実施形態の詳細な記載に照らして、また、添付の図面に関する好ましい実施形態によって、より完全に理解されるだろう。
【0037】
図1は、一時的な状態で、据え付けられるべき海上構造物と一緒になった補助浮き装置の概略図である。
【0038】
図2a~2hは、この発明の補助浮き装置の異なる実施形態およびその折り畳まない,および、折り畳む異なる段階の方法を示している。
【0039】
図3a~3dは、この発明の補助浮き装置の開放および閉鎖サブシステムの実施形態の異なる図を示している。
【0040】
図4は、伸縮風力タービン塔に適用されるこの発明の補助浮き装置の実施形態を示している。
【0041】
図5は、上記風力タービン塔がある程度いかりで固定され、上記塔の部分が上昇させられているこの発明の実施形態のを示している。
【0042】
図6は、タグボートによる上記補助浮き装置での据え付け方法のある段階を示めしている。
【0043】
図7は、少なくとも1つの多角形断面を有する風力タービン塔を有するこの発明の実施形態を示している。
【0044】
図8a~8eは、上記基礎および/または海上風力タービン塔のこの発明による据え付け方法を示している。
【0045】
図9は、この発明の補助浮き装置に備えられた浮き要素の可能な実施形態を示している。
【0046】
図10は、塔シャフトの回りの連結構造のガイド要素の異なる外観を示し、そこでは、連続する対のガイド要素とシャフトの中心軸とにより形成された最大平面角が示されている。
【0047】
図11は、2つの異なる高さレベルでの連結構造のガイド要素の構成を示しており、最も高いレベルと最も低いレベルとのレベルの差、並びに、浮き要素の深さおよび乾舷を示している。
【0048】
図12は、海上構造物の補修作業に特に適応したこの発明の好ましい実施形態を示し、そこにおいて、補助浮き装置は1つの右記要素を備えている。
【符号の説明】
【0049】
1 補助浮き装置
2 海上構造物
3 基礎
4 シャフト
5 浮き要素
6 海面
7 連結構造
8 連結構造の固定リング
9 ガイド要素
10 開放および閉鎖サブシステム
11 装置を折り畳みまたは開くためのアクチュエータ
12 フェンダー
13 支持要素
14 移動閉鎖要素
15 関節
16, 17 共同閉鎖要素
18, 18’, 18’’嵌め込みガイド
19 ガイドアーム
20 ボルト
21 接近ボルト継手
22, 22’, 22’’伸縮モジュール
23 タグボート
24 海底
25 区画
26 流体力学式制動板
26’ 浮き要素の安定を調整するゲート
27 ガイド要素の配置のための上レベル
28 ガイド要素の配置のための下レベル
29 深さ
30 乾舷
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1~12に基づいて、本発明の好ましい実施形態に関して、本発明の詳細な説明が以下に与えられる。この説明は、請求項に記載の本発明の非制限的な説明のために与えられる。
【0051】
図1は、海上構造物2と共に、本発明の補助浮き装置1の概略の側面図を示し、この場合、海上構造物は基礎3と塔またはシャフト4とを備える。この実施形態では、上記補助浮き装置1は少なくとも浮き要素5(詳しくは、図1の例では、2つの上記要素5が示されている。)を備える。上記補助浮き装置1は、海洋構造物2の据え付け、基礎の敷設、いかりでの固定または搬送の間に、海上構造物2に連結される。図示の実施形態では、上記海上構造物2の据え付け工程の暫定的な段階が示されており、この海上構造物2は浮かんでおり、海面6の下に部分的に沈んでいる。
【0052】
上記補助浮き装置1の浮き要素5は、連結構造7に連結されている。上記連結構造は、好ましくは、海上構造物2と接触する点または領域が海上構造物2のための安定ガイドとしての役目をして、前述の操作の間に上記海上構造物2の垂直性を維持するのに役立つように、軸9の回りに配置された海上構造物2を取り囲むようになっている。上記連結構造7は、シャフト4の回りに固定リング8(例えば、図2aまたは2bを参照)を形成し、円形、どのような他の閉じた形状、湾曲した形状、多角形の形状で有り得る。
【0053】
連結構造7と海上構造物2との間の点または領域の接触に関連して、本発明の装置には上記連結構造7に固定される少なくとも1つのガイド要素9が備え付けられており、そのガイド要素は好ましくは固定リング8に沿って配置される。上記ガイド要素は、上記シャフト4に摺動自在に接触しており、有利なことには、上記シャフト4と補助浮き装置1との間の相対的な垂直移動を可能にしている。この方法で、上記連結構造7は海上構造物2の垂直位置の変動に対して物理的な停止を与え、海上構造物2が経験するかもしれない可能性のある傾きを制限し、上記海上構造物2が安定を維持するのに役立つが、摺動接触によって、実質的な垂直軸に沿った自由運動を許容する。これは、上記海上構造物2が最終位置にあるときに、海上構造物2をいかりで固定し、または安定させる操作をする場合における基本的な利点である。上記海上構造物2の自由運動は、スライド、回転、無限軌道、または何らかの知られた技術によって行われる。それらは、独立した相対運動を可能にし、上記シャフト4の表面上の複数のガイド要素9の間に十分に自由である。
【0054】
上記ガイド要素9は、相対的な水平運動(好ましくは1m以下)、ロック(揺れ)および/またはピッチ(上下動)による相対的な回転(好ましくは10度以下)、ヨーイング(右または左に向きを変える動き)による相対的な回転(好ましくは20度以下)のいずれかによる上記補助浮き装置と上記シャフト4との間の他の相対運動を防止および/または制限する。
【0055】
前述のように、図1の実施形態では、海上構造物2は、基礎プラットホーム3と、その基礎の平面寸法よりも小さな平面寸法を有するシャフト4とを備える。タグボートで搬送している暫定的な状態では、上記基礎3は、好ましくは、半ば沈んでおり、上記シャフト4は完全に浮かび上がっている。また、半ば沈んだ浮き要素5は、半ば沈んだ状態にいながら、基礎3に衝突しないように、シャフト4の軸から十分な距離をもって位置している。このように、上記連結構造7は、浮き装置5に連結されたままであり、浮き上がっていて、半ば沈んだ基礎3の上に浮いており、こうして、それは、シャフト4に対する補助浮き装置1の連結の邪魔をすることがない。
【0056】
図1の実施形態では、前述のように、補助浮き装置1が海上構造物2との相対的な垂直運動が自由で、それ故、補助浮き装置1が、その浮力に相対的な方法で関係する海上構造物2に垂直力を伝達しないことを考えると、上記補助浮き装置1が海上構造物2の安定性に貢献するが、その浮力に貢献しないことが分かる。それ故、上記海上構造物2は、主として、自分で浮く構造または確かな浮力を有する構造であり、換言すると、上記浮力を持つために、上記補助浮き装置1によって与えられる垂直力に依存しないだろう。言い換えると、上記補助浮き装置1が存在しない場合、上記海上浮き構造物2は、安定性が少なくなるが、その浮き深さの相対的な変化を経験しないだろう。それ故、従来技術の他の解法とは異なって、本発明は補助手段と海上構造物との間の垂直方向の連結が設けられることを必要としなくて、そのことは、大きな操作性の利点を与える。
【0057】
この発明の装置1の場合、剛体の棒、長さを変えることができるケーブル、またはそれに固定されたもののような、上記海上構造物2とガイド要素9との間の相対的な垂直運動を防止または制限する固定手段、または公知の他の連結および/または固定手段を、選択的に、使用することができる。しかしながら、これらの固定手段は、好ましくは、臨時のものであり、その使用は、全ての場合、上記海上構造物2と上記装置1とによって形成されたアッセンブリのタグボートによる搬送のような、据え付け工程の1つだけ、または、いくつかの段階だけに制限される。
【0058】
図2a~2eは、本発明による補助浮き装置1の好ましい実施形態における連結構造7の異なる位置の上面を示している。上記実施形態は、連結構造4に連結された3つの浮き装置5と上記連結構造7に連結された複数のガイド要素9に基づく構成を示している。上記ガイド要素9は、上記海上浮き構造物2のシャフト4を取り囲んで、上記海上浮き構造物2を収容し、連結するための安定した周囲を作りあげている(図2a~2eに示されている。)。
【0059】
この好ましい実施形態による上記連結構造7は、また、異なる浮き装置5のための連結構造として作用する。例えば、それに本発明は制限されないが、上記連結構造7は、図2a~2eに示されているように、金属の格子構造によって作られている。
【0060】
また、上記連結構造7は、海上浮き構造物2の据え付けおよび/または取り除きを容易にするための開および/または閉サブシステム10と、上記補助浮き装置1の折りたたみおよび/または開きのための1以上の選択的なアクチュエータ11とを備え、上記アクチュエータは、補助浮き装置1の異なる浮き要素5と補助浮き装置1との間に必要とされる力を印加し、折りたたみ構成から開き構成に行くために、上記浮き装置1の異なる浮き要素5の間に必要な力を印加するようになっている(逆も同様)。上記アクチュエータ11は、遠隔動作ができてもよく、または、できなくてもよい。図2a~2eの好ましい実施形態では、上記アクチュエータは、伸長または引っ込みによって力を及ぼすことができる伸縮自在の油圧シリンダを備える。または、上記アクチュエータ11は、機械、空気または油圧アクチュエータ、ウインチまたは同様なものによって作動するケーブルのような、この技術分野で知られた違ったタイプの手段を備えることができる。
【0061】
前述のように、上記連結構造7は、好ましくは、違った寸法および/または特性の海上構造物2および/またはシャフト4に適合することができるために、モジュール組立または調整できるようになっている。例えば、その長さを調整してシャフト4に対する距離を調整するために、モジュールは、上記連結構造7の格子アームに付け加えたり、取り去ったりされる。あるいは、または、相補的に上記ガイド要素9の位置および/または寸法は、変更され、調整されて、その結果、上記同じ補助浮き装置1が、異なる直径のシャフト4または可変直径のシャフト4と共に、海上構造物2を据え付けるために使用される。
【0062】
図2aは、上記海上構造物2の輸送および/または据え付けの間に全く同じように動作するように、折り畳んで無くて閉鎖された伸長した構成の上記補助浮き装置1を示している(例えば、図2f~2hを参照)。次に、図2b~2dは、上記補助浮き装置1の折りたたみ方法の違った工程を示しており、そこにおいて、関節連結構造7が示されている。その関節連結構造7は、折りたたみ構成が採用されるようになっていて、シャフト4に対する連結およびシャフト4からの連結の取り外しを可能になっていて、それが運転中でないときに、その搬送および/または収集を容易にしている。さらに、図2eは、折り畳んだ構成の上記補助浮き装置1を示しており、それは、例えば、上記海上構造物2の据え付けが一旦終了すると、上記補助浮き装置1を港に搬送するために使用される。この発明のこの実施形態または他の好ましい実施形態ために、補足的な方法では、上記浮き要素5は複数のフェンダー12を備え、それは、搬送の間、および/または上記折り畳まれた構成において、上記浮き要素5の間の衝撃を防止するために使用される。
【0063】
図2a~2eに示されているように、モジュールである、および/または調整できる連結構造7の選択は、違った寸法または特徴の基礎3および/またはシャフト4へこの装置を適合させることを可能にし、それによって、この技術分野の他の装置と比較したときに、追加の適用をすることができるという利点を提供する。例えば、上記補助浮き装置1は、3つの浮き要素5を備え、上記連結構造7は3つの格子アームを備え、各々は各浮き要素5に一端によって連結されている。この方法で、3つのモジュールまたはサブアッセンブリが形成されて、各1つは、互いに連結された浮き要素5と連結構造7のアームから形成されている。好ましくは、各アームと浮き装置5とのアッセンブリは、自分でバランスをとっており、換言すると、上記サブアッセンブリは、独立して浮かび、格子アームを基本的に水平位置に維持している。そうするために、上記浮き要素5は、釣り合い重りとして、偏心した上のスラブ(厚板)および/または偏心したバラストを有することができ、それによって、格子の偏心を補償する。前述の提案のおかげで、上記補助浮き装置1が海上構造物2に対する連結、海上構造物2からの切り離しのために、開放または閉鎖しているときに、上記連結構造7は本質的には上記水平面に維持されている。
【0064】
さらに、図2f~2hは、シャフト4と基礎3を備える海上構造物2に、この発明の装置1の連結工程の異なる位相を示している。この工程の間に、上記モジュールの連結構造7は、タワーシャフト4の支持要素13と、上記シャフト4を閉鎖する1つ以上の移動要素14を備える。
【0065】
この目的を達成するために、上記移動要素14は、閉鎖サブシステム10の部品の一部または全てを備え、それは完全な連結構造7が海上構造物2を閉めて、例えば、以下の工程を行うことを可能にする。
折り畳まれた構成の上記浮き装置1は、上記支持要素13が海上構造物2と接触するまで、近くに移動させられる。図2f。
上記支持要素13と海上構造物2との間の接触が、連結工程の間を通じて維持されるように、上記位置を維持するための1以上の手段が用いられる(例えば、タグボート、または、ケー-ブルやウインチの装置)。
上記連結構造7が海上構造物2のシャフト4を完全に取り囲むまで、上記連結構造7の移動要素14が移動させられる。図2g。
上記補助浮き装置1を折り畳まれた構成、すなわち、連結された構成に固定するために、上記連結構造の閉鎖サブシステムに動作が遂行される(図2h)。
【0066】
同様に、図2f~2hに示されるように、上記開放および/または閉鎖サブシステム10は、上記連結構造7の1つの浮き要素5ともう1つの浮き要素5との本質的には垂直軸回転を可能にする1以上の関節15を備える。
【0067】
図2a~2hに示された上記実施形態による浮き要素5の配置は、さらに、上記開放および/または閉鎖サブシステム10が上記海上構造物2に閉鎖されているとき、上記浮き要素5がその平面配置において、上記海上構造物2の平面配置と重ならないという利点を有する。上述の図の例において、上記基礎3の浮き位置に関係なく、上記海上構造物2の基礎3の平面位置が上記浮き要素5の対応する位置とどうして一致しないかを見ることができる。このことは、上記補助浮き装置1に大きな柔軟性を与えて、上記海上構造物2の輸送、据え付け、またはメンテナンスの操作の異なる段階に適切に適合することができる。上記段階は一般に異なるアンカーレベルを生じる(例えば、上記海上構造物2の基礎3の浮上した位置とその基礎の沈んだ位置との両方)。
【0068】
他方、図3a~3dに示されるように、上記補助浮き装置1の上記開放および/または閉鎖サブシステム10は、少なくとも2つの共同する閉鎖要素16,17を備える。上記閉鎖要素には、随意に、複数の嵌め込みガイド18,18’, 18’’が具備されていて、そのガイドは、上記海上構造物2への上記補助浮き装置1の閉鎖操作の間に、上記連結構造7の浮き要素5を適切な方向に向けるのを容易にする。上記嵌め込みガイド18,18’, 18’’は、海面6の平坦でないレベル(例えば、うねり)によって生じる擾乱が存在する場合に、連結構造7の位置に適合すると言う利点を有する。好ましくは、上記嵌め込みガイド18,18’, 18’’は、面上と高さとの両方において方向付けを行うようになっている。(面上の方向付けは、例えば、接続を示す図3a~3dに示されている指向ウエッジ18によって行われ、高さの方向付けは、例えば、上記共同する閉鎖要素15,16の指向させる歯18,18’、または、上記閉鎖要素15,16を備える上記連結構造7の端のモジュールを整列させるガイドアーム19によって行われる。)
前述の部品に加えて、上記開放および/または閉鎖サブシステム10において、ボルト20によるジョイント(継手)、接近(approximation)用のボルト上ジョイント、あるいは磁石、電機機械的ロックなどのような1個以上の追記の閉鎖手段を含むことができる。これらは、本発明の範囲内で使用され得る。
【0069】
随意選択で、上記補助浮き装置1は、さらに、少なくとも長手要素を含むことができ、その長手要素はその一端で上記海上構造物2に固定されていて、その他端で上記補助浮き装置1に固定されている。上記長手要素の長さは、上記海上構造物2が沈んでいる間、上記接続が維持されるように、調整できる。その海上構造物の相対位置は、上記補助浮き装置1に関して変化する。そのことは、本質的にその面の同じ浮きレベルに維持されるということである。
【0070】
この発明の追加の例として、図4は好ましい実施形態を表し、そこにおいて、据え付けられるべき海上構造物2は、伸縮可能な海上風力タービン塔を備え、この塔は円形平面を有する伸縮モジュール22,22’,22’’によって形成されている。上記実施形態において、基礎3はその搬送の間に半分沈んでおり、上記シャフト4はモジュールまたは伸縮可能な風力タービン塔の基礎部として作用することが観察することができる。
【0071】
他方、同じ実施形態について、図5は、上記塔シャフト4の基礎3の据え付け方法の一部を図示している。上記基礎3は、重力、および/または、仮にまたは最終的に浮力に基づいている。そこにおいて、上記シャフト4は本質的に垂直であり、基礎3それ自身の一部および基礎上に配置されて風力タービン塔の一部を形成することができ、その目的を達成するために本発明の補助浮き装置1を使用する。図4から分かるように、上記方法は海上構造物2の部分的なアンカーで固定することを含み、それによって、それの輸送状態を改善する。さらに、上記方法は、追加に、上記伸縮塔を部分的または全体的に上昇させる工程を含むことができる。
【0072】
図6は、上記基礎3および/または海上風力タービン塔の据え付け方法のもう1つの段階を示している。そこにおいて、アッセンブリの最終位置への搬送の間、および/または、上記海上構造物2のその確実な状態へいかりで固定する間に上記補助浮き装置1を引っ張るために、1つ以上のタグボート23が使用される。上記図において、また、上記海上構造物2はその搬送の間に部分的にいかりで固定され、かつ、上記伸縮塔は部分的に上昇させられていることが観察されるかもしれない。
【0073】
図7は、この発明の他の好ましい実施形態を表し、そこにおいて、据え付けられるべき上記海上構造物2は多角形断面を有するシャフト4を備えている。そのため、それは、上記補助浮き装置1の据え付けを容易にして、ガイド要素9に関して海上構造物2の回転を制限または防止する。上記実施形態において、上記連結構造7は格子によって形成されており、2つのリング8を備えている。それらのリング8は、上記格子の下部分と上部分とに一致する2つの異なる高さで上記シャフト4を取り囲んでいる。上記ガイド要素9は両リング8の周囲に配分されており、したがって、2つの異なるレベルに配置されていて、浮き装置1とシャフト4との間の相対的な傾きを制限する効率を改善し、それと同時に、基礎の水平力を減じる。上記目的を達成するために、それらの基礎の水平力は、ガイド要素9を介して互いに伝達される。
【0074】
図8a~8eは、この発明による補助浮き装置1を使用する海上風力タービン塔の基礎3および/またはシャフト4の据え付けの方法を示している。この場合、基礎3は、据え付けられた状態で、重力で海底に支持されている。図8aは、海上構造物アッセンブリ2を、それに既に取り付けられた補助浮き装置1と共に、示している。図8bは、上記方法のもう一つの工程、詳しくは、1以上のタグボート23を使用して、上記海上構造物2と補助浮き装置1とを搬送する工程を表している。しかしながら、この発明の状況において、他の同様な引っ張り、または、押し集団が同様に使用できる。
【0075】
図8cは、海上風力タービン塔の基礎100および/またはシャフト4を据え付ける方法の別の段階、より詳しくは、海底24のその最終的な位置に海上構造物2をいかりで固定する工程を示している。この実施形態では、上記海上構造物2は、基礎3の部分を形成するいくつかの区画(小部屋)を備え、そこにおいて、アッセンブリの傾きの制御を容易にするために、区画を満たす異なる制御が実行される。好ましくは、上記いかりで固定する段階で、2または3のタグボート(図8cでは示されていない。)が使用され、それらは上記アッセンブリの平面位置を維持するために、装置1に作用する。
【0076】
図8dは、上記方法のもう一つの段階を示し、そこにおいて、海上構造物2の基礎3は、既に海底に静止している。図8eは、海上構造物2をその最終的状態でかつ本発明の装置と連結されていない状態で示している。この場合、上記海上構造物2は、既に完全に上昇させられた伸縮塔22,22’,22’’を備える。上記図は、同様に、本発明の補助浮き装置1が、輸送を容易にするために、いかに海上構造物2から分離されて、折り畳み構成に配置されるかを示している。前述したように、本発明の装置1の関節およびモジュールの能力は、複数のタイプの海の構造物2に対するその装置の適用が可能で、続く据え付けまたは輸送のために、その装置が回復でき、再使用することができるようにする。
【0077】
図8a~8cにおいて、いかに、上記海上構造物2の据え付け工程の間ずっと、上記補助浮き装置1が半分沈み、本質的に同じ海面レベルで浮いたままであり、一方、上記海上構造物2のレベルは海底24に静止するまで沈むように変化し、両方の自身で浮く本体の間に存在する相対的な垂直方向に運動が本質的に自由であることを見ることができる。
【0078】
同様に、図8a~8eの実施形態において、上記シャフト4は一定の直径を有し、この直径はガイド動作を容易にし、シャフトの長さは、据え付けられた状態でその上部が浮かび上がっており、それで、上記シャフト4の頂上の高さレベルは、上記装置に含まれるガイド要素9の少なくとも部分が位置しているレベルよりも高いようになっている。
【0079】
本書面の図9は、本発明の補助浮き装置1の浮き要素5の可能な特定の実施形態を示している。そこにおいて、上記浮き要素5は、望まない動きを減じ、制動するために、例えば、重たい板形のような流体制動板26を備える。同様に、浮力の制御の追加の手段を与え、かつ、海上構造物2の安定させるために、上記装置1の浮き要素5は、バラストで安定させられる。同様に、上記浮き要素5は、上記浮き要素5の底部のバラストを調整するための1つまたはそれよりも多くの下側ゲート26’を備えることができる。上記下側ゲートは、水面下の領域(水と接触して沈んでいる浮き本体の部分)に設けられていて、アッセンブリの動き、制動、固有振動数を調整するための手段として、浮き要素5の内側とそれが浮かんでいる水の本体との間の水の流れを可能にし、および/または、制御することを可能にする。上記ゲート26’は、好ましくは、調整できる開口、および/または、遠隔作動装置を有する。
【0080】
上記調整ゲート26’の開口は、上記装置の浮き要素5の水の充填および/または入口/出口のレベルが設定されることを可能にする。このことは、実際には、浮き要素の浮力の有効領域を調整することと同等である。それ故、上記浮き要素5および/または上記アッセンブリの振動の周期を間接的に制御することが可能である。それらは、海の構造物2の輸送、据え付け、メンテナンスの異なる段階で海上構造物2とともにすることができる。
【0081】
このように、上述の操作と関係がある方法は、上記ゲートの少なくとも1つが全体または部分的に開いており、それを含む浮き要素5の有効領域を減じることと同等である第1段階と、上記ゲート26’が上記第1段階の位置よりも閉じていて、上記浮き要素5の有効領域を増大することと同等である第2段階とを随意に含むことができる。さらに、上記調整ゲート26’は、浮き要素5のバラストレベルを調整するために使用される。好ましくは、基礎3を備える海上構造物2において、上記調整ゲート26’は、基礎3が露出位置にある段階で、全体的または部分的に開放される。同様に、上記基礎3が沈んだ位置にあるときに、上記調整できるゲート26’は閉じられる。(あるいは、基礎3が露出位置に有るときよりも少なくともより多く閉じられる。)
次に、上記浮き要素5は、この技術分野で知られた種々の材料、好ましくはコンクリートおよび/または金属材料を使用して製造される。浮き要素5の内側をコンクリートで製造し、その残りを鋼鉄で製造する複合構造もまた使用できる。プレキャストコンテナーの建造に一般に使用されている方法と類似のプレキャストコンクリートを使用する技術もまた使用できる。
【0082】
上記浮き要素5の構成はモジュールであって、その広範囲の寸法を調整することができる。上記浮き要素5を形成するために使用できるモジュールは様々な形であることができて、その寸法は、その輸送、再使用を容易にするためにコンテナー詰めに適したものになっている(普通のコンテナーの寸法よりも大きくない)。上記モジュールは、互いに結合されて、その底と上との両方で浮き要素5を作り上げる。
【0083】
好ましくは、上記浮き要素5、および、上記海上構造物2に連結された連結構造7から形成されたアッセンブリは、上記浮き要素5および連結構造7の質量および対応する浮心の分布が、上記開放および/または閉鎖サブシステム10が開放しているとき(すなわち、海上構造物2が連結されていない装置1の場合)、浮き要素5が起立位置でバランスしているような方法で、流体力学的に自己安定をしている。実際、これは、上記サブシステム10が開放しているときでさえ、関節15の各端のエレメントのアッセンブリは、閉鎖したサブシステム10の深さ、ピッチ、傾きに本質的に等しいそれらをもって位置を選定するだろう。
【0084】
この発明の補助浮き装置1の要素の幾何的な関係に関して、図10および11は、図で説明する目的で与えられた上記装置の異なる面を示している。図10は、上記ガイド要素9がシャフト4の回りにどのような平面配置を有するかを示す。それで、上記ガイド要素9のいずれかの対とシャフト4の中心軸とによって形成される平面視の最大角度(α)は3ラジアン以下である。次に、図11はガイド要素9を示し、その立面図の配置は少なくとも2つのレベルをとり、上記レベルのうち最も高いレベル27と最も低いレベル28とのレベル差は、1m以下である。同様に、図11は上記補助浮き装置1の実施形態も示している。上記浮き要素5は深さ29と、設定された長さH以上の乾舷30とを備え、その値は、本質的に式 H=R・sin (α’) に従う。ここで、(R)は各浮き要素の中心から上記シャフト4の縦軸までの距離であり、(α’) は海上構造物の据え付け、輸送の間に許される海上構造物2の基礎3の傾きの最大角度である。
【0085】
最後に、図12は、海上構造物2に固定される連結構造7に連結された1つの浮き要素5に基づく本発明の1実施形態を示している。上記装置の実施形態は、例えば、輸送を必要としない上記構造物2のメンテナンス操作を行う場合について、特に示されている。図12に示されるように、上記メンテナンス操作は、通常、上記補助浮き装置1の海上構造物2の場所への搬送と、上記連結構造7の上記開閉サブシステム10の操作による上記海上構造物の固定とを含む。本発明のこのタイプの応用の場合、上記浮き要素5および/または連結構造7には、海上構造物2、補助浮き装置1および補助船舶から、または、に向けて搬送するのに適した縦型クレーンのような補助操作またはメンテナンス手段が具備され得る。
【0086】
好ましくは、海上クレーンよりも安価である陸上クレーンを使用することができる。そのことは、上記補助浮き装置1の海上構造物2への連結が前者の動きを制限し、クレーンの操作を容易にするというおかげによって、例えば、風力タービンの補修作業の場合のように、高所での作業の場合でさえ、可能である。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図9
図10
図11
図12