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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】遠隔アンテナ切換システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/40 20150101AFI20220406BHJP
   H01Q 3/24 20060101ALI20220406BHJP
   H04B 1/18 20060101ALI20220406BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
H04B1/40
H01Q3/24
H04B1/18 A
H04B1/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019035459
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020141258
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2020-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】514174213
【氏名又は名称】株式会社フェニックスソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉村 詩朗
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-253844(JP,A)
【文献】特開2010-028318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38-1/58
H01Q 3/00-3/46
H01Q 21/00-25/04
H04B 1/04
H04B 1/18-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ切換送信装置、および
アンテナ切換受信装置から構成される遠隔アンテナ切換システムにおいて、
前記アンテナ切換受信装置には複数のアンテナが接続され、
前記アンテナ切換送信装置と前記アンテナ切換受信装置とは1本の同軸線で接続され、
前記アンテナ切換送信装置は、クロック信号とデータ信号とに対応して3値の振幅から選択される振幅のRF信号を送信し、
前記アンテナ切換受信装置は、前記RF信号を受信し検波して前記クロック信号と前記データ信号とを分離し、分離された前記クロック信号と前記データ信号とを用いてアンテナ選択信号を生成して、前記複数のアンテナの中から指定された一のアンテナを選択して接続し、
前記クロック信号および前記データ信号と前記3値の振幅との対応は、
前記クロック信号が2値のうち一方の場合は振幅が小さく、
前記クロック信号が2値のうち他方の場合は、
前記データ信号が2値のうち一方であれば振幅が中間の大きさであって、
前記データ信号が2値のうち他方であれば振幅が大きく、
前記アンテナ切換送信装置は、
エンコーダ回路と、
振幅制御回路と、を含み、
前記エンコーダ回路は、前記クロック信号と前記データ信号とに対応した3値信号を生成し、
前記振幅制御回路は、前記RF信号の振幅を前記3値信号に対応した振幅となるよう制御する、遠隔アンテナ切換システム。
【請求項2】
前記アンテナ切換受信装置は、
検波回路と、
定電圧回路と、
デコーダ回路と、
スイッチ回路と、を含み、
前記検波回路は、入力される前記RF信号を直流電圧に変換し、
前記定電圧回路は、前記直流電圧から定電圧を生成し、
前記デコーダ回路は、前記直流電圧から前記クロック信号および前記データ信号を分離し、さらに、前記クロック信号および前記データ信号をDフリップフロップに入力して前記アンテナ選択信号を生成し、
前記スイッチ回路は、前記アンテナ選択信号に基づき、接続すべきアンテナとのスイッチを導通させる、請求項1に記載の遠隔アンテナ切換システム。
【請求項3】
分離された前記クロック信号を、遅延回路を介して前記Dフリップフロップのクロック入力端子に入力する、請求項2に記載の遠隔アンテナ切換システム。
【請求項4】
前記アンテナ切換送信装置から送信される前記RF信号の振幅は、アンテナ切換時を除いて一定である、請求項1から3のいずれか1項に記載の遠隔アンテナ切換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ切換送信装置と複数のアンテナを接続したアンテナ切換受信装置との間を1本の同軸ケーブルで接続する遠隔アンテナ切換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
送受信信号にアンテナ切換信号を重畳することによって、1本の同軸ケーブルで送受信信号とアンテナ切換信号を伝達するシステムは従来から知られている。
【0003】
特許文献1(特開2008-244569号公報)には、読取装置の制御ユニットは、高周波回路からアンテナユニットに出力する高周波信号に、アンテナ切替用の制御信号を重畳する。アンテナユニットは、該重畳信号を高周波信号及び制御信号に分離する分離手段と、ループアンテナを切り替えるスイッチ回路と、分離手段により分離された制御信号に基づきスイッチ回路を制御する制御回路とを備えたRFIDタグ読取装置が記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2002-344228号公報)には、同軸励振型モノポールアンテナが複数である場合、アンテナを選択する高周波信号切替器を該複数のアンテナ毎に有しており、切替信号は、質問器から出力される高周波信号に重畳したパルスカウント式の信号によって生成されることが記載されている。
【0005】
また、送受信信号にアンテナ切換信号を重畳して送信するシステムにおいては、アンテナ切換信号としてクロック信号とデータ信号とを用い、クロック信号とデータ信号とを3値信号として送信することが考えられる。クロック信号とデータ信号から3値信号を生成する方法も従来から知られている。
【0006】
特許文献3(特開2016-82339号公報)には、データ信号の論理値が1であってクロック信号の論理値が0である場合に、論理値が1の信号を出力する。また、信号生成回路は、データ信号の論理値が0であってクロック信号の論理値が0である場合に、論理値が-1の信号を出力する。また、信号生成回路は、データ信号の論理値が0又は1であってクロック信号の論理値が1である場合に、論理値が0の信号を出力する信号生成回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-244569号公報
【文献】特開2002-344228号公報
【文献】特開2016-82339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のRFIDタグ読取装置では、図9にデジタル化制御信号として、1または0の2値で構成される制御信号の例が記載されている。2値の信号を用いて制御データを送信する場合、例えばプリアンブルとデータ本体を備え、プリアンブル受信後にアンテナ切換の制御信号をデコードするなどの複雑な処理が必要であり、アンテナ切換受信装置の構成が複雑になるとの課題がある。
【0009】
特許文献2に記載の物品管理システムは、4ビットバイナリカウンタで構成され、切換信号発生回路にはクロック信号のみが入力される(図10-11参照)。この場合、クロック信号のチャタリング等により誤動作を起こす可能性があり、チャタリング防止回路を追加する必要が発生するなど、やはり、アンテナ切換受信装置の構成が複雑になるとの課題がある。
【0010】
特許文献3の信号生成回路では、データ信号とクロック信号を3値信号に変換することが記載されている。具体的には、データ信号の論理値が1であってクロック信号の論理値が0である場合に、論理値が1の信号を出力し、データ信号の論理値が0であってクロック信号の論理値が0である場合に、論理値が-1の信号を出力し、データ信号の論理値が0又は1であってクロック信号の論理値が1である場合に、論理値が0の信号を出力する(請求項1参照)。
しかし、上記方法で3値信号を生成した場合、クロック信号と3値信号との関係がデータ信号の論理値によって変化することなどにより、3値信号から簡単な回路でクロック信号とデータ信号を分離することが困難であるとの課題がある。
【0011】
本発明の主な目的は、アンテナ切換送信装置と複数のアンテナを接続したアンテナ切換受信装置との間を1本の同軸ケーブルで接続する遠隔アンテナ切換システムにおいて、アンテナ切換受信装置の構成が簡単でかつ確実に所望のアンテナ切換を行うことができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)
一局面に従う遠隔アンテナ切換システムは、アンテナ切換送信装置、およびアンテナ切換受信装置から構成される遠隔アンテナ切換システムにおいて、
アンテナ切換受信装置には複数のアンテナが接続され、アンテナ切換送信装置とアンテナ切換受信装置とは1本の同軸線で接続され、アンテナ切換送信装置は送信するRF信号を階段状の直流電圧に重畳した信号、またはRF信号の振幅を階段状とした信号を送信し、アンテナ切換受信装置は階段状の直流電圧、または階段状の振幅に基づき、複数のアンテナの中から指定された一のアンテナを選択して接続し、一のアンテナを選択する信号は、2値のクロック信号と2値のデータ信号とで構成され、直流電圧または振幅は第1信号、第2信号、および第3信号から構成される3値信号のいずれかから選択され、第1信号は直流電圧または振幅が最も大きく、第3信号は直流電圧または振幅が最も小さく、第2信号は直流電圧または振幅が第1信号より小さく、かつ第3信号より大きく設定され、クロック信号が2値のうち一方の場合は第3信号が選択され、クロック信号が2値のうち他方の場合は、データ信号が2値のうちの一方であれば第1信号が選択され、データ信号が2値のうちの他方であれば第2信号が選択される。
【0013】
この場合、コンパレータ2つと、クロック信号が一方から他方に変化するタイミングでデータ信号を取り込むDフリップフロップとで、アンテナ切換受信装置のデコーダ回路を構成することができる。その結果、アンテナ切換受信装置の構成が簡単でかつ確実に所望のアンテナ切換を行うことができる。
【0014】
(2)
第2の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムは、一局面に従う遠隔アンテナ切換システムにおいて、アンテナ切換送信装置が、エンコーダ回路と、直流電圧発生回路と、を含み、エンコーダ回路は、クロック信号とデータ信号に対応した3値信号を生成し、直流電圧発生回路は、3値信号に対応した直流電圧を発生させてもよい。
【0015】
この場合、簡単な構成で、クロック信号とデータ信号に対応した、3値の直流電圧を備えたRF信号を生成することができる。
【0016】
(3)
第3の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムは、一局面に従う遠隔アンテナ切換システムにおいて、アンテナ切換送信装置が、エンコーダ回路と、振幅制御回路と、を含み、エンコーダ回路は、クロック信号とデータ信号に対応した3値信号を生成し、振幅制御回路は、RF信号の振幅を3値信号に対応した振幅となるよう制御してもよい。
【0017】
この場合、簡単な構成で、クロック信号とデータ信号に対応した、3値の振幅を備えたRF信号を生成することができる。
【0018】
(4)
第4の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムは、一局面から第3の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムにおいて、アンテナ切換受信装置が、定電圧回路と、デコーダ回路と、スイッチ回路と、を含む。
定電圧回路は、入力されるRF信号の直流電圧から定電圧を生成し、デコーダ回路は、RF信号の直流電圧からクロック信号およびデータ信号を分離し、さらに、クロック信号およびデータ信号をDフリップフロップに入力してアンテナ選択信号を生成し、スイッチ回路は、アンテナ選択信号に基づき、接続すべきアンテナとのスイッチを導通させてもよい。
【0019】
この場合、アンテナ切換受信装置は、送信するRF信号を階段状の直流電圧に重畳した信号を出力するアンテナ切換送信装置と1本の同軸ケーブルで接続することにより、簡単な構成で、階段状の直流電圧に基づき、複数のアンテナの中から指定されたアンテナを選択して接続することができる。
【0020】
(5)
第5の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムは、一局面から第4の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムにおいて、アンテナ切換受信装置が、検波回路と、定電圧回路と、デコーダ回路と、スイッチ回路と、を含む。
検波回路は、入力されるRF信号を直流電圧に変換し、定電圧回路は、直流電圧から定電圧を生成し、デコーダ回路は、直流電圧からクロック信号およびデータ信号を分離し、さらに、クロック信号およびデータ信号をDフリップフロップに入力してアンテナ選択信号を生成し、スイッチ回路は、アンテナ選択信号に基づき、接続すべきアンテナとのスイッチを導通させてもよい。
【0021】
この場合、アンテナ切換受信装置は、送信するRF信号の振幅を階段状とした信号を出力するアンテナ切換送信装置と1本の同軸ケーブルで接続することにより、簡単な構成で、階段状の振幅に基づき、複数のアンテナの中から指定されたアンテナを選択して接続することができる。
【0022】
(6)
第6の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムは、第4または第5の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムにおいて、分離されたクロック信号を遅延回路を介してDフリップフロップのクロック入力端子に入力してもよい。
【0023】
この場合、例えば階段状の直流電圧、または階段状の振幅の立ち上がり、または立下りの速度が遅い場合にもDフリップフロップの誤動作を防ぐことができる。
【0024】
(7)
第7の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムは、第2の発明から第5の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムにおいて、アンテナ切換送信装置が短絡検出回路をさらに含んでもよい。
【0025】
この場合、送信するRF信号を階段状の直流電圧に重畳した信号を出力するアンテナ切換送信装置においても、短絡を検出した場合直流電圧を重畳しないように制御することで、過大電流による事故を未然に防止することができる。
【0026】
(8)
第8の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムは、一局面から第6の発明にかかる遠隔アンテナ切換システムにおいて、アンテナ切換送信装置から送信されるRF信号の直流電圧および振幅は、アンテナ切換時を除いて一定であってもよい。
【0027】
この場合、RF信号送受信時のRF信号の直流電圧および振幅が一定であることにより、本遠隔アンテナ切換システムの採用による送受信時の性能劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施形態における遠隔アンテナ切換システムの構成を示すブロック図である。
図2】データ、クロック入力と3値信号との対応を示す表である。
図3】デコーダ回路の一例を示す回路図である。
図4図3のデコーダ回路の動作波形の一例である。
図5】第1の実施形態におけるRF信号入力の直流電圧とデコーダ回路の動作の一例を示す図である。
図6】第2の実施形態における遠隔アンテナ切換システムの構成を示すブロック図である。
図7】第2の実施形態における検波回路の一例を示す回路図である。
図8】第2の実施形態におけるRF信号入力の波形とデコーダ回路の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0030】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態における第1の遠隔アンテナ切換システム40aの構成を示すブロック図であり、図2は、データ、クロック入力と3値信号との対応を示す表である。
【0031】
(第1の遠隔アンテナ切換システム40aの構成)
第1の遠隔アンテナ切換システム40aは、第1のアンテナ切換送信装置10aと第1のアンテナ切換受信装置20aとから構成される。第1のアンテナ切換送信装置10aと第1のアンテナ切換受信装置20aとの間は1本の同軸ケーブル30で接続され、第1のアンテナ切換受信装置20aには複数のアンテナ(ANT1-ANT4)が接続される。
【0032】
第1のアンテナ切換送信装置10aは、直流電圧発生回路11、エンコーダ回路12、および短絡検出回路13から構成される。エンコーダ回路12は、データ、クロック入力を受けて、図2の対応表に従った3値信号(H,M,L)を生成する。
直流電圧発生回路11は、エンコーダ回路12の3値信号を受けて、3値信号に対応した直流電圧を発生する。本実施例の場合、例えば、H信号は5V、M信号は2.5V、L信号は0Vである。
【0033】
短絡検出回路13は、直流電圧発生回路11の出力電圧の設定値と第1のアンテナ切換送信装置10aの実際の直流電圧とを比較し、設定値と実際の直流電圧との間の差が大きい場合は短絡と判断して直流電圧発生回路11にフィードバックする。
なお、短絡検出回路13は、第1のアンテナ切換送信装置10aに含まれなくてもよいが、過大電流による事故を未然に防止するためには、含まれている方が望ましい。
【0034】
第1のアンテナ切換受信装置20aは、定電圧回路21、デコーダ回路22、およびスイッチ回路23から構成される。定電圧回路21は、RF信号入力のDC成分を受けて、デコーダ回路22およびスイッチ回路23の電源として用いられる定電圧を生成する。デコーダ回路22については後述する。スイッチ回路23はデコーダ回路22のアンテナ選択信号を受けて、選択されたアンテナとRF信号入力とを接続するスイッチを導通させる。
【0035】
(デコーダ回路22の構成と動作)
図3は、第1の実施形態におけるデコーダ回路22の一例を示す回路図である。また、図4は、図3のデコーダ回路22の動作波形の一例を示す図である。
【0036】
デコーダ回路22は、2つのコンパレータ(U1,U2)、2つのDフリップフロップ(A3,A4)、遅延回路(A1,A2)、アンテナデコードロジック(A5-A8)で構成されている。
コンパレータ(U1)の出力は、Dフリップフロップ(A3)のD入力に接続され、コンパレータ(U2)の出力は、遅延回路(A1,A2)を介して、2つのDフリップフロップ(A3,A4)のクロック(CLK)入力に接続されている。
Dフリップフロップ(A3)のQ出力は、Dフリップフロップ(A4)のD入力に接続されている。2つのDフリップフロップ(A3,A4)の出力は、アンテナデコードロジック(A5-A8)に入力されている。
【0037】
コンパレータ(U1)は、入力(INPUT)の電圧を基準電圧(V2)と比較し、基準電圧(V2)より高い場合、出力(D)を1と設定し、低い場合0と設定する。
コンパレータ(U2)は、入力(INPUT)の電圧を基準電圧(V3)と比較し、基準電圧(V3)より高い場合、出力(CLK)を1と設定し、低い場合0と設定する。
遅延回路(A1,A2)は、入力(INPUT)の電圧の立ち上がりが遅い場合にもDフリップフロップのD入力がCLK入力より先に切り替わるようにするために挿入したものである。なお、図3および図4の実施例では、入力(INPUT)はH信号の場合5V、M信号の場合2.5V、L信号の場合0Vであり、V2は3.5V、V3は1.5Vである。
【0038】
図4に示すように、デコーダ回路22の動作波形では、クロック(CLK)の立ち上がり時にデータ(D)は、0-0-1-1-0-0と変化しており、このとき(Q1、Q2)は、(0、*)-(0、0)-(1,0)-(1,1)-(0,1)-(0,0)と変化している。
そして、(Q1,Q2)の上記変化に伴って、アンテナデコードロジック(A5-A8)の出力は、(*)-(ANT1選択)-(ANT3選択)-(ANT4選択)-(ANT2選択)-(ANT1選択)と切り替わっており、図3のデコーダ回路22によって4つのアンテナのうちいずれも選択することができることが示されている。なお、*はその個所のデータが不定であることを示す。
【0039】
図5は、第1の実施形態におけるRF信号入力の直流電圧とデコーダ回路の動作の一例を示す図である。すなわち、第1の遠隔アンテナ切換システム40aのより実際的な動作を示すための動作波形の一例である。
【0040】
図5に示すように、第1の遠隔アンテナ切換システム40aでは、アンテナ切換信号送信時、2つのクロック信号が挿入され、2つのクロック信号立ち上がり時のデータ信号に対応して第1のアンテナ切換送信装置10aのRF信号出力の直流電圧が階段状に変化する。
第1のアンテナ切換受信装置20aでは、デコーダ回路22により、2つクロック信号の立ち上がり時のデータ信号の値に応じて第1のアンテナ-第4のアンテナのうちいずれかのアンテナが選択される。
アンテナ切換信号送信が完了した後RF信号送受信した場合には、入力信号のDC成分は3値信号のH信号に相当する電圧、例えば5Vに固定される。
なお、本実施例では、Dフリップフロップの数は2個であり、切換できるアンテナの数は4個であるが、Dフリップフロップの数をn個とした場合は、切換できるアンテナの数は2のn乗個となる。
【0041】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態における第2の遠隔アンテナ切換システム40bの構成を示すブロック図であり、図7は、第2の遠隔アンテナ切換システム40bに含まれる検波回路24の回路図である。
【0042】
(第2の遠隔アンテナ切換システム40bの構成)
第2の遠隔アンテナ切換システム40bは、第2のアンテナ切換送信装置10bと第2のアンテナ切換受信装置20bとから構成される。
第2のアンテナ切換送信装置10bと第2のアンテナ切換受信装置20bとの間は1本の同軸ケーブル30で接続され、第2のアンテナ切換受信装置20bには複数のアンテナ(ANT1-ANT4)が接続される。
【0043】
第2のアンテナ切換送信装置10bは、振幅制御回路14、およびエンコーダ回路12から構成される。エンコーダ回路12は、第1の実施形態のエンコーダ回路12と同一である。振幅制御回路14は、エンコーダ回路12の3値信号を受けて、3値信号に対応した振幅となるようRF信号の振幅を制御する。第2の実施形態の場合、例えば、H信号は5Vp-p、M信号は2.5Vp-p、L信号は0Vp-pである。
【0044】
第2のアンテナ切換受信装置20bは、定電圧回路21、検波回路24、デコーダ回路22、およびスイッチ回路23から構成される。検波回路24はRF入力信号を両波検波し、出力の直流電圧を定電圧回路21およびデコーダ回路22に送る。
定電圧回路21、デコーダ回路22、スイッチ回路23の動作は第1の実施形態と同一である。
【0045】
図7は、検波回路24の回路の一例を示す図である。
図7に示す検波回路24は両波検波回路である。検波回路24は、入力端子24aからRF信号を入力した場合、RF信号の振幅に近い直流電圧が出力端子24bから出力される。
【0046】
図8は、第2の遠隔アンテナ切換システム40bのより実際的な動作を示すための動作波形の一例を示す図である。
【0047】
図8に示すように、第2の遠隔アンテナ切換システム40bでは、アンテナ切換信号送信時、2つのクロック信号およびデータ信号が挿入され、2つのクロック信号およびデータ信号に対応して第2のアンテナ切換送信装置10bのRF信号出力の振幅が階段状に変化する。
第2のアンテナ切換受信装置20bでは、検波回路24によりRF信号入力の振幅に対応した直流電圧が出力される。
次に、デコーダ回路22により、2つクロック信号の立ち上がり時のデータ信号の値に応じて第1のアンテナ-第4のアンテナのうちいずれかのアンテナが選択される。
アンテナ切換信号送信が完了した後RF信号送信の場合には、RF信号の振幅は、3値信号のH信号に相当する振幅に固定される。(RF信号受信の場合には第2のアンテナ切換送信装置10bからはRF信号は送信されない。)
なお、本実施例では、Dフリップフロップの数は2個であり、切換できるアンテナの数は4個であるが、Dフリップフロップの数をn個とした場合は、切換できるアンテナの数は2のn乗個となる。
【0048】
本発明においては、第1のアンテナ切換送信装置10aおよび第2のアンテナ切換送信装置10bが『アンテナ切換送信装置』に相当し、第1のアンテナ切換受信装置20aおよび第2のアンテナ切換受信装置20bが『アンテナ切換受信装置』に相当し、H信号が『第1信号』に相当し、M信号が『第2信号』に相当し、L信号が『第3信号』に相当し、直流電圧発生回路11が『直流電圧発生回路』に相当し、エンコーダ回路12が『エンコーダ回路』に相当し、短絡検出回路13が『短絡検出回路』に相当し、振幅制御回路14が『振幅制御回路』に相当し、定電圧回路21が『定電圧回路』に相当し、デコーダ回路22が『デコーダ回路』に相当し、スイッチ回路23が『スイッチ回路』に相当し、検波回路24が『検波回路』に相当し、同軸ケーブル30が『同軸ケーブル』に相当し、第1の遠隔アンテナ切換システム40aおよび第2の遠隔アンテナ切換システム40bが『遠隔アンテナ切換システム』に相当する。
【0049】
本発明の好ましい実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0050】
10a 第1のアンテナ切換送信装置
10b 第2のアンテナ切換送信装置
11 直流電圧発生回路
12 エンコーダ回路
13 短絡検出回路
14 振幅制御回路
20a 第1のアンテナ切換受信装置
20b 第2のアンテナ切換受信装置
21 定電圧回路
22 デコーダ回路
23 スイッチ回路
24 検波回路
30 同軸ケーブル
40a 第1の遠隔アンテナ切換システム
40b 第2の遠隔アンテナ切換システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8