(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】体液収集装置
(51)【国際特許分類】
A61F 5/453 20060101AFI20220406BHJP
A61F 5/458 20060101ALI20220406BHJP
A61F 6/04 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
A61F5/453
A61F5/458
A61F6/04
(21)【出願番号】P 2019527558
(86)(22)【出願日】2018-01-09
(86)【国際出願番号】 CN2018000012
(87)【国際公開番号】W WO2018130103
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】201710021718.2
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810008717.9
(32)【優先日】2018-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519178401
【氏名又は名称】楊国煌
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】楊国煌
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/041534(WO,A1)
【文献】米国特許第05458114(US,A)
【文献】米国特許第04626250(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1396317(KR,B1)
【文献】特開昭47-009245(JP,A)
【文献】実公昭48-008157(JP,Y1)
【文献】米国特許第04738673(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0213415(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/453,5/458,6/02-6/04
A61G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するシート部材であって第一表面及び第二表面を有する接合部と、
前記接合部の前記第一表面に設置される粘着層と、
周縁部の周長は前記接合部の前記開口の周長より大きく、前記接合部の前記開口を囲むように前記接合部の前記第二表面に接合された収集膜と、
を含
み、
前記収集膜の前記周縁部と前記接合部の前記第二表面との接合部分は幅を有し、前記接合部分の内周縁部は前記開口を囲む接合周縁部を形成し、前記接合周縁部の周長は前記開口の周長より大きく且つ前記接合周縁部と前記開口の間は距離を有することから、前記接合部は中心部と外周部に分けられ、前記接合部の前記中心部と前記収集膜で前記開口を有する貯蔵空間を構成し、前記貯蔵空間は使用者の体液を貯蔵するのに用いることができる、体液収集装置。
【請求項2】
前記収集膜は嚢状構造を有し、前記嚢状構造は前記収集膜の前記周縁部により定義された開口端を有することを特徴とする、請求項1に記載の体液収集装置。
【請求項3】
少なくともストッパ部開口を有し、外縁は前記嚢状構造のうち前記開口端に近い外側に接合される、平面状または円弧
面状のシート部材であるストッパ部を更に含むことを特徴とする、請求項
2に記載の体液収集装置。
【請求項4】
前記収集膜は、平面状または円弧
面状の環状膜で、外縁が前記収集膜の前記周縁部である環状部と、
前記環状部の内表面に接合し、周長は前記環状部の内縁の周長より大きく、前記環状部の内縁と距離を維持するように前記環状部の内表面に接合する嚢状部開口端を有する嚢状部と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の体液収集装置。
【請求項5】
前記収集膜は平面状または円弧
面状の弾性膜であることを特徴とする、請求項1に記載の体液収集装置。
【請求項6】
排液管を更に含み、
前記収集膜は接続孔を有し、前記排液管は前記接続孔に接合することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【請求項7】
前記収集膜の前記周縁部は円形、楕円形または丸みを帯びた正多角形に沿って、接合部の前記第二表面に接合されることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【請求項8】
前記接合部の前記開口は前記円形、楕円形または丸みを帯びた正多角形の中心に位置することを特徴とする、請求項
7に記載の体液収集装置。
【請求項9】
前記接合部は平面状のシート部材または円弧
面状のシート部材であることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【請求項10】
前記収集膜の前記周縁部は前記接合部の外縁と接触しないことを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【請求項11】
前記開口は前記接合部の長対称軸上に位置し、前記開口と前記長対称軸上における前記接合部の両外縁の距離は等しくないことを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【請求項12】
前記接合部の形状は、円形、楕円形または丸みを帯びた多角形であることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【請求項13】
前記接合部の周縁部は切り欠きを有することを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【請求項14】
前記切り欠きは円弧状切り欠きであることを特徴とする、請求項
13に記載の体液収集装置。
【請求項15】
前記接合部の周縁部に延設された構造維持部を更に含むことを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【請求項16】
前記構造維持部の一部の外縁は更に外に向かって伸び、使用者が指で摘まむための、前記接合部から突出した翼部を少なくとも一つ形成することを特徴とする、請求項
15に記載の体液収集装置。
【請求項17】
少なくとも一点が前記構造維持部に接続され、使用前は折り畳むことで前記接合部に平らに貼りつけることができる把持部を更に含むことを特徴とする、請求項
15に記載の体液収集装置。
【請求項18】
前記粘着層の組成材料は感圧性接着剤を含むことを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【請求項19】
前記収集膜の前記周縁部と前記接合部は一体的に形成される方法で接合されることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の体液収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の収集装置に関し、特に体液収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
寝たきりの男性にとって、従来の尿瓶や試験管を使用して尿検体を採取するとマットレスを汚しやすい。また、従来の精液検査の過程において、男性が自慰行為を行いながら精液を確実に小容器内に注入するのは非常に困難であり、この煩わしさにより採取量が足りず、検査を行えないことが度々起こる。従来の避妊具は男女における粘膜の直接接触がされないため、男性の避妊意欲を低下させる。よって、尿や精液等の体液を十分採取でき、前記公知技術の問題点を解決しつつ、男性用避妊装置として精液を貯蔵可能で使用者の性的快感も損なわない体液収集装置を如何にして提供するかが、喫緊の課題となっている。
【発明の概要】
【0003】
上記課題に鑑みて、本発明は、人体に粘着しやすく、剥がれにくく、尿や精液等の体液を収集でき、漏れによる汚染も起こりにくい体液収集装置を提供することを目的とする。また、本発明に係る体液収集装置の実施形態は、使用者の性的快感を損なわずに精液の貯蔵もできる男性用避妊装置である。
【0004】
本発明に係る実施例の体液収集装置は、開口を有するシート部材であり、第一表面及び第二表面を有する接合部と、接合部の第一表面に設置される粘着層と、周縁部の周長は接合部の開口の周長より大きく、接合部の開口を囲むように接合部の第二表面に接合された収集膜と、を含む。つまり、収集膜と接合部の少なくとも一部分は貯蔵空間を構成し、前記開口は接合部の少なくとも一部に位置する。
【0005】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、収集膜の周縁部と接合部の第二表面との接合部分は幅を有し、前記接合部分の内周縁部は前記開口を囲む接合周縁部を形成する。前記接合周縁部の周長は前記開口の周長より大きいことから、接合部は中心部と外周部に分けられ、接合部の中心部と収集膜で開口を有する貯蔵空間を構成し、前記貯蔵空間は使用者の体液を貯蔵するのに用いることができる。
【0006】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、収集膜は嚢状構造を有し、前記嚢状構造は収集膜の周縁部により定義された開口端を有する。本発明に係る実施例の体液収集装置では、少なくともストッパ部開口を有し、外縁は嚢状構造のうち開口端に近い外側に接合される、平面状または半径方向に円弧状のシート部材であるストッパ部を更に含む。
【0007】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、収集膜は、平面状または半径方向に円弧状の環状膜で、外縁が収集膜の周縁部である環状部と、環状部の内表面に接合し、周長は環状部の内縁の周長より大きく、環状部の内縁と距離を維持するように環状部の内表面に接合する嚢状部開口端を有する嚢状部と、を含む。
【0008】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、収集膜は、嚢状構造を有し、前記嚢状構造は接続孔、収集膜の周縁部により定義された開口端、及び接続孔に接合する排液管と、を有する。
【0009】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、収集膜は平面状または円弧状の弾性膜とすることができる。つまり、収集膜の弾性により、接合部の少なくとも一部分と貯蔵空間を構成することができ、前記開口は接合部の少なくとも一部に位置する。
【0010】
本発明による一実施例の体液収集装置では、収集膜の周縁部は円形、楕円形または丸みを帯びた正多角形に沿って、接合部の第二表面に接合される。本発明に係る実施例の体液収集装置では、接合部の開口は、前記円形、楕円形または丸みを帯びた正多角形の中心に位置する。
【0011】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、接合部は未使用の自然状態では平面状のシート部材または円弧状のシート部材である。
【0012】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、収集膜の周縁部は接合部の外縁と接触しない。
【0013】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、前記開口は接合部の長対称軸上に位置し、前記開口と前記長対称軸上における接合部の両外縁の距離は等しくない。
【0014】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、接合部は丸みを帯びた多角形であり、前記丸みを帯びた多角形は、対称軸と、前記対称軸に垂直な第一辺及び第二辺を有し、前記第一辺の長さは前記第二辺の長さと等しくなく、前記開口は前記対称軸上に位置する。
【0015】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、接合部の形状は、円形、楕円形、または丸みを帯びた多角形である。
【0016】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、接合部の周縁部は、切り欠きを有し、前記切り欠きは、例えば円弧状切り欠きであることが好ましい。
【0017】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、接合部の周縁部に延設された構造維持部を更に含み、構造維持部の一部の外縁は更に外に向かって伸び、使用者が指で摘まむための、接合部から突出した翼部を少なくとも一つ形成する。
【0018】
本発明による一実施例の体液収集装置では、少なくとも一点が構造維持部に接続され、使用前は折り畳むことで接合部に平らに貼りつけることができる把持部を更に含む。
【0019】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、接着層の組成材料は感圧性接着剤を含む。
【0020】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、収集膜の周縁部と接合部の第二表面の接合は、溶剤、接着剤、テープまたはフィルムを使用することができ、また電熱、超音波または高周波等の方法で溶接することができる。
【0021】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、収集膜の周縁部と接合部は一体的に形成される方法で接合される。
【0022】
本発明に係る実施例の体液収集装置では、接合部11の外周部112の最も広い部分は2mmより大きい、または接合周縁部22の周長を31.4で割った商より大きい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の有用な効果は、本発明の体液収集装置の構造が簡単であること、人体に粘着しやすいこと、そして収集した体液の漏出を効果的に防ぐことができるということである。例えば、本発明の体液収集装置に係る実施例では、男性用避妊装置として、前記男性用避妊装置を男性の亀頭に粘着させるだけでこの装置を使用でき避妊の効果が得られ、使用者の避妊問題を簡単且つ安全に解決することができる。また、男性用避妊装置としての実施例では、本発明の接合部は亀頭の一部にしか粘着しないため、男女双方の性的快感を更に効果的に高めることができる。本発明における収集膜は接合部の開口周縁部に直接接合しない、即ち収集膜の周縁部と接合部の接合部分が開口を囲む接合周縁部を形成し、接合周縁部と接合部の開口との間に中心部を有し、この部分も接着層により亀頭に粘着される。このような構造により精液の漏出を防ぐのに更に有用である。同一の構造に基づき、本発明は男性の精液または尿収集装置としても、同様に漏出を防ぐ効果を有する。こうした実施形態を通じ、本発明は使用者の尿検査、精液検査または避妊問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の体液収集装置に係る一実施例の概略図である。
【
図2A】本発明の体液収集装置に係る一実施例における使用方法の概略図である。
【
図2B】本発明の体液収集装置に係る一実施例における使用方法の概略図である。
【
図2C】本発明の体液収集装置に係る一実施例における使用方法の概略図である。
【
図2D】本発明の体液収集装置に係る一実施例における使用方法の概略図である。
【
図2E】本発明の体液収集装置に係る一実施例における使用方法及び効能の概略図である。
【
図2F】本発明の体液収集装置に係る一実施例における使用方法及び効能の概略図である。
【
図2G】本発明の体液収集装置に係る一実施例における使用方法及び効能の概略図である。
【
図3】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【
図4A】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【
図4B】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【
図5A】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【
図5B】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【
図6】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【
図7A】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【
図7B】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【
図8】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【
図9】本発明の体液収集装置に係る一実施例における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。なお、同じまたは類似の部材については、同じ符号を付して説明する。
【0026】
本発明の体液収集装置10に係る一実施例を
図1に示す。体液収集装置10は開口12を有する接合部11及び収集膜21を含む。接合部11は、第一表面及び第一表面の反対にある第二表面を有し、前記第一表面には使用者に粘着させる粘着層13が設けられている。収集膜21の周縁部の周長は、接合部11の開口12の周長より大きく、接合部11の開口12を囲むように接合部11の第二表面に接合される。また収集膜21の周縁部は円形、楕円形、または丸みを帯びた正多角形に沿って接合部11の第二表面に接合され、開口12は円形、楕円形、または丸みを帯びた正多角形の中心に位置する。本実施例において、収集膜21は嚢状構造を有し、前記嚢状構造は収集膜21の周縁部により定義された開口端を有し、開口端は接合部11の第二表面上に接合される。収集膜21の材質は弾性を有するものが好ましいが、弾性を有さない材質を使用することもできる。弾性が大きい材質を使用すれば、収集膜21を平面状または円弧状の膜として製造することも可能である。
【0027】
本発明の体液収集装置10に係る一実施例を
図1に示す。体液収集装置10は開口12を有する接合部11及び収集膜21を含む。接合部11は
シート部材であり、第一表面及び第一表面の反対にある第二表面を有し、前記第一表面には使用者に粘着させる粘着層13が設けられている。収集膜21の周縁部の周長は、接合部11の開口12の周長より大きく、接合部11の開口12を囲むように接合部11の第二表面に接合される。また収集膜21の周縁部は円形、楕円形、または丸みを帯びた正多角形に沿って接合部11の第二表面に接合され、開口12は円形、楕円形、または丸みを帯びた正多角形の中心に位置する。本実施例において、収集膜21はメ・状構造を有し、前記メ・状構造は収集膜21の周縁部により定義された開口端を有し、開口端は接合部11の第二表面上に接合される。収集膜21の材質は弾性を有するものが好ましいが、弾性を有さない材質を使用することもできる。弾性が大きい材質を使用すれば、収集膜21を平面状または円弧状の膜として製造することも可能である。
【0028】
図1に示すように、収集膜21の周縁部と接合部11の第二表面の接合部分は幅を有し、接合部分の内周縁部(前記周縁部は開口12に隣接する)は開口12を囲む接合周縁部22を形成する。接合周縁部22の周長は開口12の周長より大きいことから、接合部11を中心部111及び外周部112に分ける。つまり、接合周縁部22と開口12の間は距離を有し、接合部11の内縁(開口12の周縁部)と接合周縁部22により中心部111が定義され、接合周縁部22と接合部11の外縁により外周部112が定義される。接合部11の中心部111と収集膜21は開口12を有する貯蔵空間を構成し、使用者の体液を貯蔵するのに用いることができる。
図1における円形の接合周縁部22と前期円形の中心に位置する開口12は例に過ぎず、体液圧を効果的に分散させるために、接合周縁部22は、例えば丸みを帯びた正多角形のようなその他の形状として配置することもできるが、円形または楕円形が好ましく、開口12も接合周縁部22で囲まれた範囲の中心に位置することに限定されない。
【0029】
図2Aから
図2Dは体液収集装置10の使用方法における異なる視点から見た概略図で、
図2Aは立体図、
図2Bは底面図、
図2Cは平面図、
図2Dは側面図である。例えば、収集膜21は透明の嚢状構造を有し、前記嚢状構造は収集膜21の周縁部により定義された開口端を有し、収集膜21と接合部11が溶接の方法で接合された状況である。
図2Aに示すように、収集膜21の開口端は溶接の方法で円形(または楕円形)に沿って円形(または楕円形)の接合部11の第二表面上に接合される。接合部分は幅を有し、1mmより大きいまたは等しくするのが好ましい。使用者は体液収集装置10を使用する際、開口12を使用者の尿道口71に合わせ、接合部11の上端14を使用者の腹72の方向に向け、接合部11の下端15を使用者の陰嚢73の方向に向け、接合部11の開口12から下端15の部分を粘着層(図示せず)により亀頭74下方の包皮小帯75と陰嚢73に隣接する部分である亀頭冠76に粘着させ(
図2Bに示す)、接合部11の開口12から上端14までの部分を粘着層により亀頭74(
図2Cに示す)に粘着させる。上端14と腹72に隣接する亀頭冠76の間は距離を有し、本発明を男性用避妊装置として用いた場合、多くの神経が通る亀頭74の露出がより多くなり、使用者の性行為を行う際の快感が増加する。また、弾性を有する接合部11は容易に接合できる他、異なる大きさまたは異なる曲面の亀頭74に用いるのに適し、体液の検査を行う場合、体液収集装置10を剥がすだけで、貯蔵空間に貯蔵された体液(尿又は精液)を開口12より試験管に注ぐことができる。
【0030】
本発明の体液収集装置10を男性用避妊装置として用いた場合、亀頭に粘着させて使用するのに適し、接合部11の外縁は腹72に隣接する亀頭冠76の半径方向における垂線Y(
図2Dに示すように、垂線Yと陰茎の軸線は垂直である)を超えると好ましくないため、接合部11の最大幅は例えば90mm未満、より好ましくは70mm未満、更に好ましくは50mm未満であり、こうすることで多くの神経が通る陰茎をより覆わないようにすることができる。接合周縁部22の周長は一般の陰茎の周長より小さく、例えば150mm未満、より好ましくは120mm未満、更に好ましくは90mm未満であり、こうすることで陰茎を覆う二層の材料(接合部11の中心部111と収集部21)の面積がより小さくなり、使用者の快感を増加させることができる。収集膜21の嚢の深さは接合周縁部22の周長を6.28で割った商より大きく、例えば10mmより大きく、より好ましくは20mmより大きく、更に好ましくは30mmより大きい。こうすることで、より多くの精液を収容できる。
【0031】
収集膜21が接合部11と形状が同一で、両者の周縁部が互いに向かい合って接合する場合、製造過程はより簡単となる。しかし、収集膜21の周縁部が接合部11の外縁より小さく、本発明を男性用避妊装置として用いた場合、過度に厚い周縁部が膣壁を傷つけることで起こる女性の不快感を防ぐことや、接合部11の外縁が過度に厚いために巻き上がってしまい剥離するのを防ぐこともできる。しかし、収集膜21の周縁部が接合部11外縁より小さい構造の場合、両者はパンチングを分ける必要があり、収集膜21の例えば成形、グリップ、位置決め(位置決め穴は設置できない)または接合部11との接合等製造過程において、困難さがかなり増す。特に収集膜21が嚢状構造である場合は更に困難となる。本発明の実施例において、収集膜21の周縁部と接合部11の外縁の間は距離を有し(接合部11の外縁とは接触しない)、この距離は2mmより大きくするのが好ましい。
図2Dに示すように、性行為を行う際に陰茎が膣を開くため、収集膜21の開口端の口径が亀頭74の直径より凡そ小さければ(つまり、接合部11の中心部111の面積が亀頭74の半径方向の断面よりも小さくなる)、ピストン運動時の膣壁の摩擦や収集膜21の引張りによる収集膜21の破裂を防ぐことができる。
【0032】
体液が貯蔵空間に入る過程における貯蔵空間内の尿または精液の液圧、又は本発明を男性用避妊装置として用いた際の性行為過程における男女の分泌物の浸透、貯蔵空間内の前立腺液の液圧、ピストン運動による収集膜21の引張り、射精時に収集膜21の膨張により生じる接合部11に対する張力、ピストン運動による接合部11の周縁部の摩擦、等の要因により、接合部11が亀頭74から剥離し体液が漏出する可能性がある。
図2Eから
図2Gに示すように、貯蔵空間において、接合部11の中心部111は粘着層13により亀頭74に粘着しており、接合部11が剥離するのを効果的に防止する。
図2Eに示すように、体液収集装置10を使用する際、接合部11は粘着層13により亀頭74に粘着することで、中心部111が貯蔵空間の円弧曲面の方向に向けられる。体液が貯蔵空間内部に入った後、前記貯蔵空間内部において、開口12は開口12に隣接する体液収集装置10(即ち、接合部11の中央部111)との間に角度A1を形成し、角度A1は貯蔵空間の方向を向いた平角または優角となる。つまり、貯蔵空間において亀頭74表面と体液収集装置10との間に形成される角度は平角又は優角であり、体液が開口12から接合部11と亀頭74との隙間に沿って接合部11の周縁部から漏れにくくなる。
【0033】
図2Fに示すように、亀頭74に粘着する接合部11の中心部111と収集膜21が形成する閉鎖構造は、体液及び/または内部空気の圧力F1に耐え得り、貯蔵空間内の体液を接合部11の周縁部から容易に漏出させないようにすることができる。接合部11の中心部111と外周部112は粘着層13により亀頭74に粘着することで、接合周縁部22を参考点として、内側及び外側それぞれに両辺が固定される効果が生じる。これにより、体液及び/または空気が十分に満たされた際に膨張する収集膜21により接合部11に対し生じる張力(例えば、
図2Fに示す張力F2)を相殺し、及び、本発明を男性用避妊装置として用いた際のピストン運動により収集膜21が引っ張られ接合部11に対し生じる張力(例えば、
図2Fに示す張力F3)を相殺する。より好ましい両辺固定効果を得るために、接合部11の外周部112の最も広い部分は、例えば2mmより大きく、好ましくは4mmより大きく、更に好ましくは6mmより大きく、または接合周縁部22の周長を31.4で割った商より大きい。
【0034】
図2Gに示すように、性行為の過程において、女性の膣分泌物または潤滑液の浸透、及びピストン運動の摩擦または引張りにより、接合部11は周縁部から開口12の方向へ亀頭74から剥離する可能性がある。しかし接合部11の外周部112に剥離が生じ、或いは中心部111の一部にまで剥離が生じたとしても、開口12に隣接する中心部111が一部でも亀頭74に粘着していれば、貯蔵空間内の精液が漏出することはない。
【0035】
上記説明により、本発明の体液収集装置10は構造がシンプルで、尿、前立腺液、精液の収集効果、避妊効果も有する。以下で更に関連図を参照しながら、本発明の体液収集装置の他の変形例を男性用避妊装置の実施例として説明する。
【0036】
図3は、本発明に係る体液収集装置10の別の実施形態である。
図3に示す使用者の亀頭74を正面から見たものであり、収集膜21は透明の円形平面状弾性膜であり、接合部11の円弧状上端14と円弧状下端15の間の間隔は、接合部11の両側周縁部の間隔より大きく、接合部11の両側周縁部の間隔は小さい構造とすることで、使用者が体液収集装置10を男性用避妊装置として使用する際、亀頭74の両側がより多く露出するため、使用者の快感を更に増加させることができる。
【0037】
接合部11を更にしっかりと亀頭74に粘着させるために、接合部11の周縁部は少なくとも切り欠きを有し、例えば円弧状切り欠きがより好ましい。体液収集装置10を表面が曲面である亀頭74に粘着すると、接合部11の周縁部に突起のしわが生じ接合部の密着性に影響を与えることを防ぐことができる。
図4Aに示すように、収集膜21は透明の円形円弧曲面の弾性膜であり、接合部11の両側周縁部の開口12と向き合う所にはそれぞれ円弧状の切り欠き16を有する。また、包皮小帯75と陰嚢73に隣接する亀頭冠76の接触場所の陰茎表面は凸凹で平らではなく、この場所はピストン運動の摩擦力を最も受ける領域でもある。接合部11の開口12から下端15までの部分は、接合部11の開口12から上端14までの部分より長くすることで、下端15を陰茎縫線77に粘着させるまで延ばすことができる。つまり、接合部11が凡そ丸みを帯びた矩形(
図4Aに示す)である場合、開口12は接合部11の長対称軸(
図4Aにおける長対称軸は垂直方向)上に位置するが、接合部11の短対称軸(
図4Aにおける短対称軸は水平方向)上には位置しない。また開口12と前記矩形の二つの短辺(長対称軸上の接合部11の両外縁)の距離は等しくないため、接合部11が更にしっかりと粘着され剥離しにくくなる。接合部11の上端14または下端15は直線状であってよく、使用時は陰茎縫線77に対し凡そ垂直で、直線状の上端14または下端15がピストン運動方向に対し垂直となり、円弧状の周縁部に比べピストン運動の摩擦に耐えることが可能となり、接合部11が上端14または下端15からより剥離されにくくなる。また、
図4Bに示すように、丸みを帯びた多角形の透明な収集膜21の周縁部は、丸みを帯びた正六角形に沿って接合部11の第二表面上に接合され、接合部11の下端15は上端14より長くなり、接合部11は上が狭く下が広い構造となる。開口12から下端15の間までの部分は比較的広く、接合部11がよりしっかりと使用者陰茎の包皮小帯75と亀頭冠76の接触点に粘着する。つまり、前記接合部11は丸みを帯びた多角形(
図4Bで開示する接合部11は凡そ六角形)であることができ、対称軸(
図4Bでは垂直方向)と前記対称軸に垂直な第一辺及び第二辺(
図4Bの上端14及び下端15)を有し、前記第一辺の長さは前記第二辺の長さと等しくなく、開口12は前記対称軸上に位置する。
【0038】
本発明に係る体液収集装置10の別の実施例を
図5Aに示す。収集膜21は嚢状構造を有し、体液収集装置10が使用される前の状態において、嚢状構造の閉鎖端は開口端の中央に向かって内反りまたは折り返され、閉鎖端の内表面21iは接合部11に近くにある。収集膜21の開口端に近い外側には、少なくともストッパ部開口24を有し、平面状または半径方向に円弧状のシート部材であるストッパ部23が更に設けられ、ストッパ部23の外縁は嚢状構造のうち開口端に近い外側に接合される。性行為の過程において、ストッパ部23は折り返した後の収集膜21の大部分を収納でき、収集膜21がピストン運動により過度に引っ張られるのを防ぐことができ、また収集膜21は、使用者が射精した際に精液が溜まりストッパ部開口24を通して外に向かって裏返るので、収集膜21を折り返る前の状態に戻すことができる(
図5Bに示す)。
【0039】
本発明の別の実施例を
図6に示す。体液収集装置10は接合部11、環状部211及び嚢状部212からなる収集膜21を含むことができる。環状部211は平面状または半径方向に円弧状の環状膜で、外縁は収集膜21の周縁部である。嚢状部212は開口端を有し、前記開口端の周長は環状部211の内縁の周長より大きく、環状部211の内表面211iに接合する。つまり、嚢状部212の開口端と環状部211の内表面211iの接合部分と環状部211の内縁の間は距離を有する。よって、接合部11の中心部111、環状部211の一部及び嚢状部212は開口12を有する貯蔵空間を構成し、使用者の前立腺液または精液を貯蔵するのに用いる。環状部211及び嚢状部212は同一または異なる材質を使用して製造することができ、厚さも同一であってもよくまたは異なっていてもよい。
【0040】
本発明の別の実施例を
図7に示す。体液収集装置10は、接合部11上に枠を設置するように接合部11の周縁部に延設され、接合前に接合部11の周縁部形状を維持するために用いる構造維持部17を含むことができる。接合部11を使用者の亀頭74に粘着する際にしわが生じるのを防ぐことができる。構造維持部17は弱粘着性の粘着テープにより接合部11の第二表面上に粘着される、つまり構造維持部17と接合部11の間の粘着力は接合部11と亀頭74の間の粘着力より弱いことから、使用者が構造維持部17を取り外す際に接合部11は亀頭74から剥離しない。構造維持部17の一部の外縁は更に外に向かって伸び、使用者が指で摘まむための少なくとも接合部11から突出した翼部(
図7Bに示す)を形成する。
【0041】
本発明の別の実施例を
図8に示す。体液収集装置10は少なくとも一点が構造維持部17に接合された把持部18を含む。把持部18は折り畳むことができ接合部11または構造維持部17に平らに貼り付けることができる。また使用者が指で摘まみ体液収集装置10を粘着若しくは調整する、又は構造維持部17を取り外せるように、接合部11との間に形成された約90度の角度の位置まで引くことができる。
【0042】
以上の説明は、体液収集装置を本発明の一実施例としたものであるが、これに限定されるものではなく、前記実施例で示す構造は、例えば尿等その他体液の収集においても用いることができる。
【0043】
本発明のもう一つの実施例を
図9に示す。収集膜21は嚢状構造を有し、接合部11と接合する開口端(収集膜21の周縁部により定義される)を有する他、接続孔を有する。前記接続孔は排液管26に接続され、排液管26の末端はラッパ状の継手とすることができるが、これに限定されない。またカバーを接続し前記ラッパ状の継手を封鎖し、不定期に貯蔵空間に貯蔵された体液(例えば精液または尿)を容器(例えば試験管または尿袋)に容易に注入することができる。
【0044】
上記内容は例示に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われるいずれかの等価な変更又は変形は、全て本発明の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0045】
10…体液収集装置
11…接合部
12…開口
13…接着層
14…上端
15…下端
16…円弧状の切り欠き
17…構造維持部
18…把持部
21…収集膜
21i…内表面
22…接合周縁部
23…ストッパ部
24…ストッパ部開口
26…排液管
71…尿道口
72…腹
73…陰嚢
74…亀頭
75…包皮小帯
76…亀頭冠
77…陰茎縫線
111…中心部
211…環状部
211i…内表面
F1…圧力
F2…張力
F3…張力