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特許7054250スマート工場の迅速カスタムデザイン方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】スマート工場の迅速カスタムデザイン方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20220406BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220406BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019552458
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2018109855
(87)【国際公開番号】W WO2019076233
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2019-09-24
(31)【優先権主張番号】201710960941.3
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518005942
【氏名又は名称】広東工業大学
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No. 729 Dongfengdong Road, Yuexiu District Guangzhou, Guangdong 510062 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】劉 強
(72)【発明者】
【氏名】冷 杰武
(72)【発明者】
【氏名】張 定
(72)【発明者】
【氏名】陳 新
(72)【発明者】
【氏名】魏 麗軍
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106774223(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物理的単一機設備を有するスマート工場の迅速カスタムデザイン方法であって、スマート工場設計システムに応用され、前記スマート工場の迅速カスタムデザイン方法は、以下のステップA乃至ステップDを含む
ことを特徴とするスマート工場の迅速カスタムデザイン方法。
ステップA:生産ラインのカスタムデザインの情報を獲得し、それに基づいて、シミュレーションシステムでモデリングを行い、各物理的単一機設備の3D図形モデルである単一機デジタル化モデルと工場のデジタル化モデルを構築する。
ステップB:前記工場のデジタル化モデルにおいて動作計画を行い、製品の運動計画を行い、製品の運動と単一機デジタル化モデルの動作制御スクリプトを編制し、オフライン操作が正常になるまで、オフラインシミュレーション操作を行う。
ステップC:デジタルツイン技術を利用して前記工場の物理的単一機器設備のPLCシステムに対応する前記工場のデジタル化モデルのPLCシステムを構築し、前記工場のデジタル化モデルのPLCシステムと前記工場の物理的単一機器設備のPLCシステム及びホストコンピューターとの間の通信チャンネルを構築し、前記ホストコンピューターからのダウンコマンドと前記ホストコンピューターへのアップ情報の相互接続を実現し、当該ダウンコマンドとアップ情報とを同期することによって、物理的単一機設備のリアルタイムデータホストコンピューターのモニタリングデータとシミュレーションデータのリアルタイム同期を実現しさらに、仮想制御ネットワークを構築し、デジタルツイン技術を使用しバーチャルの物理シミュレーションプラットフォームに前記工場の各物理的単一機器設備に対応するように工場のデジタル化モデルにおける各単一機デジタル化モデルを構築することにより、各物理的単一機設備は、工場のデジタル化モデルで対応する単一機デジタル化モデルと動作同期化を実現して工場の3Dデジタルツインモデルを得て、上位MES(Manufacturing Execution System)システムと前記工場の3Dデジタルツインモデルを統合し、生産ライン全体において、生成されたMESコマンド下での操作を実現し、同時に工場の3Dデジタルツインモデルの実施情况を前記MESにフィードバックし、オンラインシミュレーション操作を実現する。
ステップD:前記工場の3Dデジタルツインモデルを、今後続けて行う物理的単一機設備、制御システム及び実施システムの設計研究開発のためにアウトプットし、前記設計研究開発された物理的単一機設備、制御システム及び実施システムと動作同期化を実現した工場の3Dデジタルツインモデルと上位MESシステムを統合し、オンラインデバッグを同期して行う。
【請求項2】
前記ステップAにおいて、工場のデジタル化モデルの方法を構築は、以下のステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法。
工場の建築物構造に基づき、工場物流形式、製造プロセス、生産組織形式、設備幾何形態等の要因を総合的に考慮し、生産ラインの全体レイアウトを行うステップ、
工場空間の敷地形状が細長い形状の区域を呈し、かつ工場の材料出入口が工場の異なる側に位置する場合、工場生産ラインを、直線型或いはL型レイアウトに設計するステップ、および
工場空間の敷地形状が方形状区域を呈し、工場の材料出入口が工場の同一側に位置する場合、工場生産ラインをU型に設計し、工場の材料出入口が異なる側に位置する場合、S型レイアウトに設計するステップ。
【請求項3】
前記ステップAにおいて、工場のデジタル化モデルの方法を構築は、
単一機設備の選択モデルに基づき、工場の生産能力のバランスを最初に考慮し、単一機設備の専用設備に含まれる伝送リンク設備とキャッシュリンク設備の3D図形モデリングを完了し、3D仮想設計プラットフォーム上で生産ラインレイアウトに従って、工場仮想組立てを完了するステップを含む
ことを特徴とする
請求項2に記載のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法。
【請求項4】
前記ステップAで単一機設備の專用設備の3D図形モデリングをする時、移動する設備と移動しない設備を分類モデリングする
ことを特徴とする
請求項3に記載のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法。
【請求項5】
前記ステップCの、上位MESシステムと工場の3Dデジタルツインモデルを統合する方法は、
制御ネットワークと構成ソフトウェアによって、ダウンコマンドチャンネルとアップ情報チャンネルを構築し、データインタラクションを行い、ダウンコマンドチャンネルとアップ情報チャンネルによって、工場の3Dデジタルツインモデルと上位MESシステムとインテリジェント管理システムの接続及びデータ同期を実現することである
ことを特徴とする
請求項1に記載のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法。
【請求項6】
前記ステップCと前記ステップDの間に、反復最適化ステップをさらに設置し、
MESシステム上に一つのオーダーをシミュレーション発注し、操作結果分析によって、オーダー生産完了期日達成率、生産ラインバランス率と設備稼動率、及び生産ライン全体のラインロバスト性、脆弱性、柔軟性を分析し、分析指標に基づき、スマート工場の設計ソリューションをさらに調整し、分析指標を最適化し、このように循環し、反復実施工場性能を調整する
ことを特徴とする
請求項1に記載のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法。
【請求項7】
前記ステップAの単一機設備の3D図形モデルは、CAD3D設計ソフトウェアを利用して得られた3DCADモデルで、かつモデルの単一機設備の可動部はすべて独立表示と標識が可能である
ことを特徴とする
請求項1に記載のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法。
【請求項8】
前記ステップCの前記ホストコンピューターは、構成ソフトウェアである
ことを特徴とする
請求項5に記載のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法。
【請求項9】
請求項1~8の任意の1項に記載のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法を用いるスマート工場の迅速カスタムデザインシステムは、ホストコンピューター、シミュレーションシステム、PLCコントローラーを含み、
前記シミュレーションシステム、ホストコンピューターとPLCコントローラーは、現場情報とデジタルコマンドの通信ネットワークを構築し、
前記シミュレーションシステムは、生産ラインのカスタムデザインの情報を獲得し、それに基づき、3Dモデリングを行い、工場のデジタル化モデルと物理的単一機設備の3D図形モデルである単一機デジタル化モデルを構築し、
前記シミュレーションシステムと前記物理的単一機設備は、PLCコントローラーに同時に接続し、
前記PLCコントローラーは、同期制御モジュールを含み、前記同期制御モジュールは、データを介して、生産ラインのシミュレーションモデルと物理的単一機設備の同期動作の駆動、前記生産ラインのシミュレーションモデルと物理的単一機設備のリアルタイム状態データの収集に用いられ、
前記ホストコンピューターは、構成モニタリングシステム、ERPシステム、MES管理ユニットを含み、前記構成モニタリングシステムは、前記リアルタイム状態データを受け取り、構成モニタリングビューを構築し、前記生産ラインのシミュレーションモデルと物理的単一機設備に対して、リアルタイムモニタリングを行い、
前記MES管理ユニットは、前記PLCコントローラーに対して、テストコマンドを発送し、前記リアルタイム状態データを受け取り分析を行い、物理的単一機設備テスト結果を生成し、物理的単一機設備テスト結果に基づき、生産ライン最適化設計ソリューションを生成する
ことを特徴とするスマート工場の迅速カスタムデザインシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工業自動化技術の分野に関し、特に、スマート工場の迅速カスタムデザイン方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インテリジェントな製造設備と通信技術の急速な発展に伴い、自動化生産ラインの迅速設計と合理的な実施に対する製造業のニーズは日増しに切迫している。
【0003】
カスタムデザインは顧客の差別化されたニーズを満たすことを目標に、設計対象に基づいて、選択、配置、変形等の技術と方法を採用し、新しい設計ソリューションを形成する。
【0004】
工場の迅速カスタムデザイン方法はすでに、インテリジェント製造の差し迫ったニーズとなっている。
【0005】
工場のカスタムデザインは、顧客の生産場所、予想される生産能力、プロセスルート、レガシー設備等の差別化されたニーズに基づき、静的な工場レイアウトを迅速に形成し、工場設備の動作設計と製品の運動設計を完了し、上位管理システムと工場の統合設計との最適化を実現させる必要がある。
【0006】
工場のカスタムデザインは、設備、制御システム、管理ソフトウェアの一体化統合にまで拡張され、その実施システムとエンジンの自己適応修正とその実施効率のセッティングにまで及ぶ。
【0007】
工場が必要とする設備の多くは構造も形態も異なり、コントローラーと通信インターフェースも異なる。
【0008】
しかし、専用機設備の間、中間設備と専用機設備は協同作業が必要で、頻繁な通信があり、これは工場ライン全体の統合に対して極めて高い難度となっている。
【0009】
従来技術は、工場モデリングと配置設計に焦点を当て、モジュール化を基礎とし、配置空間を形成し、推理と最適化等の技術を結合し、個性化ニーズを満たす設計ソリューションを形成し、さらにオフラインシミュレーションと分析に対応する。
【0010】
これらの技術は静的設計により近いが、その最大の欠点は以下の通りである。
【0011】
(1)従来の設計方法が形成する設計ソリューションは、工場デジタル化モデルと上位管理システムを統合考慮しないため、“管理システムから生産コマンドを発し工場デジタル化モデル操作を駆動する”オンライン仮想操作を実現することができない。同時に、単一機のデジタル化モデルと物理的設備の間で、コマンド同期と情報を同期できず、これにより工場仮想操作プロセスで、実際の生産プロセスをシミュレーションできず、工場デジタル化モデルの仮想操作を利用して行う分析結果と検証結果に対する信頼性は高くない。
【0012】
(2)従来の工場カスタムデザインプロセスと工場実施プロセスは深刻に切り離され、設計ソリューションは実際の実施プロセスによってオンライン評価を行わないため、実際の操作結果に基づき、設計ソリューションの調整と最適化を行うことができず、設計の質を効果的に保証できない。
【0013】
(3)従来の設計プロセスの直列化により設計サイクルが過度に長くなり、従来の工場カスタムデザインプロセスで工場レイアウト、設備統合、制御システム研究開発、管理システム開発を直列化して行い、特に、前段階の大幅な変更で、後続プロセスがダイレクトに押し戻され、変更コストが高くサイクルが長くなってしまう。
【0014】
全体的に言って、現在の工場カスタムデザイン技術は、有効で、リアルタイムで、統合された検証方法、プラットフォーム及び最適化技術を欠いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記先行技術には、有効で、リアルタイムで、統合された検証方法、プラットフォーム及び最適化技術を欠いているという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、並列化及び完全に統合され、設計プロセスと実施プロセスがインタラクティブに最適化されたスマート工場の迅速カスタムデザイン方法及びシステムに関する。
【0017】
本発明によるスマート工場の迅速カスタムデザイン方法は、スマート工場設計システムに応用され、該スマート工場の迅速カスタムデザイン方法は、以下のステップA乃至ステップDを含む。
【0018】
ステップA:生産ラインの設計依頼情報を獲得し、それに基づき、シミュレーションシステムでモデリングを行い、工場のデジタル化モデルと各単一機設備の3D図形モデルを構築する。
【0019】
ステップB:単一機設備の動作計画を完了し、製品物流と運動計画において完了し、運動と動作制御スクリプトを編制し、オフライン操作が正常になるまで、オフラインシミュレーション操作を行う。
【0020】
ステップC:デジタルツイン技術を利用し、該工場デジタル化モデルのPLCシステムと工場物理的設備PLCシステム及びホストコンピューターの間の通信チャンネルを構築し、データと情報の相互接続を実現し、ダウンコマンドとアップ情報のバイナリー同期技術によって、物理的設備のリアルタイムデータ、ホストコンピューターのモニタリングデータと3D仮想シミュレーションデータのリアルタイム同期を実現し、スマート工場の3Dデジタルツインモデルを得る。
【0021】
ステップD:該工場の3Dデジタルツインモデルを、今後続けて行う単一機設備、制御システム、実施システムの設計研究開発のブループリントとしてアウトプットし、仮想制御ネットワークと3Dデジタルツインモデルによって、統合と同期を行い、オンラインデバッグを同期して行う。
【0022】
好ましくは、該ステップAに工場デジタル化モデルを構築する方法は以下を含む。
【0023】
工場の建築物構造に基づき、工場物流形式、製造プロセス、生産組織形式、設備幾何形態等の要因を総合的に考慮し、生産ラインの全体レイアウトを行う。
【0024】
工場空間の敷地形状が細長い形状の区域を呈し、しかも工場の材料出入口が工場の異なる側に位置する場合、工場生産ラインを、直線型或いはL型レイアウトに設計する。
【0025】
工場空間の敷地形状が方形状区域を呈し、工場の材料出入口が工場の同一側に位置する場合、工場生産ラインをU型に設計し、工場の材料出入口が異なる側に位置する場合、S型レイアウトに設計する。
【0026】
好ましくは、該ステップAに工場デジタル化モデルを構築する方法は以下を含む。
【0027】
単一機設備の選択モデルに基づき、工場の生産能力のバランスを最初に考慮し、単一機設備の専用設備に含まれる伝送リンク設備とキャッシュリンク設備の3D図形モデリングを完了し、3D仮想設計プラットフォーム上で生産ラインレイアウトに従って、工場仮想組立てを完了する。
【0028】
好ましくは、該ステップAで単一機設備の專用設備の3D図形モデリングを完了する時、移動する設備と移動しない設備を分類モデリングする。
【0029】
具体的には、該ステップCは、さらに以下を含む。
【0030】
仮想制御ネットワークを構築し、デジタルツイン技術を使用し、バーチャルの物理シミュレーションプラットフォームを構築し、これにより単一機設備は、デジタル化工場上で対応する単一機デジタル化モデルと動作同期化を実現し、上位MESシステムと工場デジタルツインモデルを統合し、ライン全体の、生成MESコマンド下での操作を実現し、同時に工場デジタルツインモデル実施情况をMESにフィードバックし、オンラインシミュレーション操作を実現する。
【0031】
具体的には、該ステップCの上位MESシステムと工場デジタルツインモデルを統合する方法は、以下の通りである。
【0032】
制御ネットワークと構成ソフトウェアによって、コマンドチャンネルと情報チャンネルを構築し、データインタラクションを行い、コマンドダウンチャンネルと情報アップチャンネルによって、工場デジタルツインモデルと上位MESシステムとインテリジェント管理システムの接続及びデータ同期を実現する。
【0033】
好ましくは、該ステップCと該ステップDの間に、反復最適化ステップをさらに設置する。
【0034】
MESシステム上に一つのオーダーをシミュレーション発注し、操作結果分析によって、オーダー生産完了期日達成率、生産ラインバランス率と設備稼動率、及び生産ライン全体のラインロバスト性、脆弱性、柔軟性を分析し、分析指標に基づき、スマート工場の設計ソリューションをさらに調整し、分析指標を最適化する。
【0035】
このように循環し、反復実施工場性能を調整する。
【0036】
具体的には、該ステップAの単一機設備の3D図形モデルは、CAD3D設計ソフトウェアを利用して得られた3DCADモデルで、しかもモデルの単一機設備の可動部はすべて独立表示と標識が可能である。
【0037】
具体的には、該ステップCの該ホストコンピューターは、構成ソフトウェアである。
【0038】
上述のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法を応用したスマート工場の迅速カスタムデザインシステムは、ホストコンピューター、シミュレーションシステム、PLCコントローラーを含む。
【0039】
該シミュレーションシステム、ホストコンピューター、PLCコントローラーは、現場情報とデジタルコマンドの通信ネットワークを構築する。
【0040】
該シミュレーションシステムは、生産ラインの設計依頼情報を獲得し、それに基づき、3Dモデリングを行い、工場のデジタル化モデルと物理的単一機設備の3D図形モデルを構築する。
該シミュレーションシステムと該物理的単一機設備は、PLCコントローラーに同時に接続する。
【0041】
該PLCコントローラーは、同期制御モジュールを含み、該同期制御モジュールは、データを介して、該生産ラインシミュレーションモデルと物理的単一機設備の同期動作の駆動、該生産ラインシミュレーションモデルと物理的単一機設備のリアルタイム状態データの収集に用いられる。
【0042】
該ホストコンピューターは、構成モニタリングシステム、ERPシステム、MES管理ユニットを含む。
【0043】
該構成モニタリングシステムは、該リアルタイム状態データを受け取り、構成モニタリングビューを構築し、該生産ラインシミュレーションモデルと物理的単一機設備に対して、リアルタイムモニタリングを行う。
【0044】
該MES管理ユニットは、該PLCコントローラーに対して、テストコマンドを発送し、該リアルタイム状態データを受け取り分析を行い、物理的単一機設備テスト結果を生成し、物理的単一機設備テスト結果に基づき、生産ライン最適化設計ソリューションを生成する。
【0045】
該スマート工場の迅速カスタムデザイン方法は、デジタルツインの方式によって、工場デジタルモデルと物理的単一機設備の3D図形モデル及びホストコンピューターの間で、コマンドとデジタル情報の接続を実現し、生産ラインの設計、組立て、デバッグ、最適化、モニタリングとデータアウトプット等を実現する。
【0046】
生産ラインの製造プロセスにおいて、半物理的シミュレーションの形式によって、生産ラインでのテストを待つユニットの物理的単一機設備を、該生産ラインシミュレーションモデルの対応する生産ラインユニットに当て嵌め、セミシミュレーションの方法により、リアルな生産ラインに代替えし、或いは部分的に代替えする。
【0047】
こうして、デバッグと最適化を行うのに、生産ライン全体の製造及び組立て完了を待つ必要がなくなり、生産ラインの設計製造プロセス中に、各ユニットに対して、ユニットテストと統合テストを行うことができ、生産ライン設計ソリューションをタイムリーに補正して最適化でき、デバッグサイクルを短縮し、投入コストを低下させることができる。
【0048】
該ホストコンピューターによって、該物理的単一機設備と生産ラインシミュレーションモデル中の各センサーのリアルタイムデータに対して分析を行い、設計ソリューションと物理的実施の反復最適化を行い、生産ライン最適化設計ソリューションを生成し、生産ライン設計の合理性を効果的に向上させ、半物理的シミュレーションのみによって、生産ラインのシミュレーション操作を行い、シミュレーション操作プロセスの設備稼動率、生産バランス率、システムロバスト性等を分析でき、膨大なリアル生産ラインにおいて反復デバッグを行う必要なく、設備操作効率が最高の生産ライン設計ソリューションを知ることができ、該生産ライン最適化設計ソリューションをリアル生産システムへダイレクトに移植でき、生産投入コストを節減し、設計から生産製造までの間の不確定性を低下させ、製品設計から生産へと転化する時間を短縮し、しかも製品の信頼性と成功率を高め、システムの安定性を保証し、製品開発と生産サイクルを大幅に短縮し、企業全体のバリューチェーンを効果的に積み重ね、製品の市場投入を加速し、製品の質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の実施形態のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施形態のシミュレーションシステム、ホストコンピューター、PLCコントローラーが現場情報とデジタルコマンドの通信ネットワークを構築する構造模式図である。
図3】本発明の実施形態のスマート工場の迅速カスタムデザインシステムの操作原理図である。
図4】従来技術の直列化工場カスタムデザインプロセスと本発明の並列化工場カスタムデザインプロセスの対比模式図である。
図5】本発明のスマート工場の迅速カスタムデザインシステムの架設原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(実施形態)
【0051】
図1~5に示す通り、スマート工場の迅速カスタムデザイン方法は、スマート工場設計システムに応用され、スマート工場の迅速カスタムデザイン方法は、以下のステップA乃至ステップDを含む。
【0052】
ステップA:生産ラインの設計依頼情報を獲得し、それに基づき、シミュレーションシステムでモデリングを行い、工場のデジタル化モデルと各単一機設備の3D図形モデルを構築する。
【0053】
具体的には以下の内容を含む。
【0054】
ステップA1:工場デジタル化モデルを構築する際に、工場の建築物構造に基づき、工場物流形式、製造プロセス、生産組織形式、設備幾何形態等の要因を総合的に考慮し、生産ラインの全体レイアウトを行う。
【0055】
工場空間の敷地形状が細長い形状の区域を呈し、しかも工場の材料出入口が工場の異なる側に位置する場合、工場生産ラインを、直線型或いはL型レイアウトに設計する。
【0056】
工場空間の敷地形状が方形状区域を呈し、工場の材料出入口が工場の同一側に位置する場合、工場生産ラインをU型に設計し、工場の材料出入口が異なる側に位置する場合、S型レイアウトに設計する。
【0057】
ステップA2:工場デジタル化モデルを構築する際に、単一機設備の選択モデルに基づき、工場の生産能力のバランスを最初に考慮し、単一機設備の專用設備の3D図形モデリングを完了し、単一機設備の専用設備に含まれる伝送リンク設備とキャッシュリンク設備の3D図形モデリングを完了し、3D仮想設計プラットフォーム上で生産ラインレイアウトに従って、工場仮想組立てを完了する。
【0058】
単一機設備の專用設備の3D図形モデリングを完了する時、移動する設備と移動しない設備を分類モデリングする。
【0059】
単一機設備の3D図形モデルは、CAD3D設計ソフトウェアを利用して得られた3DCADモデルで、しかもモデル中の単一機設備の可動部はすべて独立表示と標識が可能である。
【0060】
ステップB:各単一機設備の動作計画を完了し、製品物流と運動計画において完了し、運動と動作制御スクリプトを編制し、オフライン操作が正常になるまで、オフラインシミュレーション操作を行う。
【0061】
ステップC:デジタルツイン技術を利用し、工場デジタル化モデルのPLCシステムと工場物理的設備PLCシステム及びSCADAシステムの間の通信チャンネルを構築し、データと情報の相互接続を実現し、ダウンコマンドとアップ情報のバイナリー同期技術によって、物理的設備のリアルタイムデータ、SCADAシステムのモニタリングデータと3D仮想シミュレーションデータのリアルタイム同期を実現し、スマート工場の3Dデジタルツインモデルを得る。
具体的には以下の内容を含む。
【0062】
仮想制御ネットワークを構築し、デジタルツイン技術を使用し、バーチャルの物理シミュレーションプラットフォームを構築し、これにより単一機設備は、デジタル化工場上で対応する単一機デジタル化モデルと動作同期化を実現し、上位MESシステムと工場デジタルツインモデルを統合し、ライン全体の、生成MESコマンド下での操作を実現し、同時に工場デジタルツインモデル実施情况をMESにフィードバックし、オンラインシミュレーション操作を実現する。
【0063】
上位MESシステムと工場デジタルツインモデルを統合する時、制御ネットワークと構成ソフトウェアによって、コマンドチャンネルと情報チャンネルを構築し、データインタラクションを行い、コマンドダウンチャンネルと情報アップチャンネルによって、工場デジタルツインモデルと上位MESシステムとインテリジェント管理システムの接続及びデータ同期を実現する。
【0064】
最適化ステップを反復し、MESシステム上に一つのオーダーをシミュレーション発注し、操作結果分析によって、オーダー生産完了期日達成率、生産ラインバランス率と設備稼動率、及び生産ライン全体のラインロバスト性、脆弱性、柔軟性を分析し、分析指標に基づき、スマート工場の設計ソリューションをさらに調整し、分析指標を最適化する。
【0065】
このように循環し、“シミュレーション操作-性能分析-ソリューション調整”最適化プロセスを反復実施することで、工場性能を調整する。
【0066】
ステップD:工場の3Dデジタルツインモデルを、今後続けて行う単一機設備、制御システム、実施システムの設計研究開発のブループリントとしてアウトプットし、仮想制御ネットワークと3Dデジタルツインモデルによって、統合と同期を行い、オンラインデバッグを同期して行う。
【0067】
上記のスマート工場の迅速カスタムデザイン方法を応用するスマート工場の迅速カスタムデザインシステムは、ホストコンピューター、シミュレーションシステム、PLCコントローラーを含む。
【0068】
シミュレーションシステム、ホストコンピューター、PLCコントローラーは、現場情報とデジタルコマンドの通信ネットワークを構築する。
【0069】
シミュレーションシステムは、生産ラインの設計依頼情報を獲得し、それに基づき、3Dモデリングを行い、工場のデジタル化モデルと物理的単一機設備の3D図形モデルを構築する。
【0070】
シミュレーションシステムと物理的単一機設備は、PLCコントローラーに同時に接続する。
【0071】
PLCコントローラーは、同期制御モジュールを含み、同期制御モジュールは、データを介して、生産ラインシミュレーションモデルと物理的単一機設備の同期動作の駆動、生産ラインシミュレーションモデルと物理的単一機設備のリアルタイム状態データの収集に用いられる。
【0072】
ホストコンピューターは、構成モニタリングシステム、ERPシステム、MES管理ユニットを含む。
【0073】
構成モニタリングシステムは、リアルタイム状態データを受け取り、構成モニタリングビューを構築し、生産ラインシミュレーションモデルと物理的単一機設備に対して、リアルタイムモニタリングを行う。
【0074】
MES管理ユニットは、PLCコントローラーに対して、テストコマンドを発送し、リアルタイム状態データを受け取り分析を行い、物理的単一機設備テスト結果を生成し、物理的単一機設備テスト結果に基づき、生産ライン最適化設計ソリューションを生成する。
【0075】
構成ソフトウェアは、ホストコンピューターソフトウェアの一種で、構成ソフトウェアは、ホストコンピューターソフトウェアの下位概念であり、構成モニタリングソフトウェアシステムソフトウェアとも呼ばれる。
【0076】
これらは自動制御システムモニタリング層一級のソフトウェアプラットフォームと開発環境にあり、フレキシブルな構成方式を使用し、ユーザーに工業自動制御システムモニタリング機能の迅速な構築、一般レベルのソフトウェアツールを提供する。
【0077】
MES(Manufacturing Execution System、製造実施システム)は、製造企業生産プロセス実施システムで、製造企業工場実施層への生産情報化管理システムである。
【0078】
MESは、製造データ管理、計画スケジューリング管理、生産調整管理、在庫管理、品質管理、人的資源管理、ワークセンター/設備管理、ツールツーリング管理、調達管理、コスト管理、プロジェクトボード管理、生産プロセス制御、基礎データ統合分析、上位データ統合分解等を含む管理モジュール企業に提供でき、確実で信頼性が高く、包括的で実現可能な製造協同管理プラットフォームを構築し上げることができる。
【0079】
ERPシステムは企業資源計画(Enterprise Resource Planning)の略称で、情報技術を基礎として、情報技術と先進的な管理思想を集め、システム化の管理思想により、企業従業員及び計画決定層に、決定手段の管理プラットフォームを提供する。
【0080】
デジタルツインは、物理モデル、センサー更新、操作履歴等データを十分に利用し、複合分野、マルチ物理量、マルチスケール、多重確率のシミュレーションプロセスを統合し、仮想空間に投影し、対応する実体設備のすべてのライフサイクルプロセスを反映し、”デジタルミラー”或いは“デジタルマッピング”とも別称される。
【0081】
図5に示す通り、スマート工場の迅速カスタムデザインシステムの架設原理は、以下の通りである。
【0082】
第三者の3D設計プラットフォームに基づき、専用機、伝送、積み卸し、保管等設備の3Dモデル(組立て基準/構造)、可動部モーショントラック、感知設備と制御スクリプト、通信規格等情報を対象にパッケージしそのパラメーターモデルを絞り込み、専用のライブラリを設置し、これにより工場の迅速カスタムデザインをサポートする。
【0083】
ダウンコマンドチャンネルとアップ情報チャンネルを構築し、ソフトウェアPLCとPLC通信、制御ネットワーク統合、共有データ構造及びマクロ対象、データバンクアクセスコンポーネント等メカニズムに依存し、プラットフォームと上位MESシステム及びそのエンジン、下層設備の間で行われるリアルタイムコマンド通信と現場情報通信をサポートし、工場のほぼ物理的なシミュレーションと半物理的シミュレーションをサポートする。
【0084】
スマート工場の迅速カスタムデザインシステムは、PLCを架け橋に、デジタルツイン技術を利用し、工場デジタル化モデルのソフトウェアPLCと工場物理的設備PLC、構成ソフトウェアの間の通信チャンネルを構築し、データと情報の相互接続を実現し、ダウンコマンドとアップ情報のバイナリー同期技術によって、設備リアルタイムデータ、構成モニタリングデータと3D仮想シミュレーションデータのリアルタイム同期を実現し、仮想工場(デジタル化モデル)、リアル工場(物理的設備)の間の動作同期を実現する。
【0085】
制御ネットワーク、SCADAシステムによって、コマンドチャンネルと情報チャンネルのデータインタラクションを構築し、コマンドダウンチャンネルと情報アップチャンネルによって、工場デジタルツインモデルと上位MESシステム、インテリジェント管理システム接続とデータ同期を実現する。
【0086】
本発明がもたらす主要な有益効果は以下の通りである。
【0087】
(1)設計ソリューションは立体視でき、顧客、設計人員の言語或いは2D図によるコミュニケーション不足がもたらす設計の偏差を早い段階で回避でき、設計修正コストを大幅に下げることができる。
【0088】
(2)設計ソリューションの質を迅速に評価し最適化でき、仮想実施方式によって、設計ソリューションの実施効率に対して、オンライン分析と評価を行い、レスポンシブなソリューション調整を行い、これにより最適化を反復し、設計の質を高めることができる。
【0089】
(3)カスタムデザインサイクルを大幅に短縮し、図4に示す通り、本発明は伝統的な直列化工場カスタムデザインプロセスを並列化プロセスに転換できる。先ず、伝統的な全体ソリューション設計を工場の仮想設計プロセスに置換し、このプロセスは、工場レイアウト、設備動作、製品運動方式等を含む工場の3Dデジタルツインモデルを形成し、予備設計の最適化を完了する。次に、様々なデザイナーは、工場の3Dデジタルツインモデルをブループリントに、単一機設備、制御システム、実施システムの研究開発を同時に行い、仮想制御ネットワークと3Dデジタルツインモデルによって、統合と同期を行い、オンラインデバッグを同期して行い、これにより並列化の研究開発プロセスを実現し、設計製品を減少させ、設計サイクルを短縮する。
【0090】
(4)工場全体生産ラインの統合サイクルを大幅に短縮し、デジタルツイン技術を採用し、物理的設備をセクションに統合し、以前の分布統合をまとめ、制御ロジック、物流設計エラーを局部的に回避し、ジョイントテスト時間を短縮し、場所の占有と資金占用コストの割合を減らすことができる。
【0091】
前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は後述の特許請求の範囲を基準とする。
図1
図2
図3
図4
図5