(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】顕微鏡撮像における口径食を低減するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20220406BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B21/36
(21)【出願番号】P 2020518703
(86)(22)【出願日】2017-10-02
(86)【国際出願番号】 US2017054701
(87)【国際公開番号】W WO2019070226
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】511289471
【氏名又は名称】ナノトロニクス イメージング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NANOTRONICS IMAGING,INC.
【住所又は居所原語表記】2251 FRONT STREET,SUITE 110,P.O.BOX 306,CUYAHOGA FALLS,OHIO 44223,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プットマン,マシュー シー
(72)【発明者】
【氏名】プットマン,ジョン ビー
(72)【発明者】
【氏名】ファシュバウ,ディラン
(72)【発明者】
【氏名】ホーストメイヤー,ローク
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-84059(JP,A)
【文献】国際公開第03/025656(WO,A1)
【文献】特表2001-521205(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0193604(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡装置の光源からの光の口径食を補正するために、前記顕微鏡装置内の画像センサの視野にわたる光の強度を修正するための方法であって、前記顕微鏡装置が、画素を有する画像センサと、試料ステージと、を含み、前記光源からの光が、光路に沿って、前記試料ステージに、次いで、前記画像センサに進行し、前記方法が、
前記光源と前記画像センサとの間の前記光路内にプログラム可能な空間光変調器pSLMを介在させるステップであって、前記pSLMが複数の画素を有する、介在させるステップと、
前記画像センサの前記視野内に基準試料を配置し、前記pSLMにおける1つ以上の画素を有するセグメントを複数画定し、前記光源によって電力レベルP
1
で前記基準試料を照明し、各セグメントが別個に光を透過する一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断することによって、電力レベルP
1
で前記pSLMの各セグメントを通って前記画像センサに到達する前記光の強度を別個に測定することを含む、前記顕微鏡装置の基準照明環境を評価するステップと、
前記画像センサにおいて生じうる光の口径食の影響を低減する、変更した照明環境を前記画像センサの前記視野に生成するために、前記pSLMの前記複数の画素のうちの1つ以上の画素を通過する前記光の強度を変調するステップと、を含
み、
前記変調する前記ステップが、
前記基準照明環境の最低強度を呈する、強度IS
min
を有するセグメントS
min
を識別することと、
各セグメントが別個に光を透過する一方で、前記残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断し、その各セグメントごとに、前記セグメントがIS
min
以下の強度を呈するまで、第1の増分値で、前記pSLMの吸収を段階的に増加させることによって、電力レベルP
1
でIS
min
よりも大きい前記pSLMの前記セグメントを通して前記画像センサに到達する前記光の強度を別個に低減することとを含み、
前記強度がIS
min
未満に減少した場合、前記方法が、前記第1の増分値未満である第2の増分値でそのセグメントでの前記pSLMの吸収を段階的に減少させることをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記pSLMが、液晶ディスプレイ、液晶オンシリコン、デジタルマイクロミラーデバイス、および懸濁粒子デバイスからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変更した照明環境が、光の強度の均一性を有し、前記視野にわたる光の強度が、前記視野にわたる平均強度の±5%以内である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記変調する前記ステップにおける前記1つ以上の画素を通過する前記光の強度が、プロセッサからの入力によって制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記1つ以上の画素への電気信号によって前記pSLMの前記1つ以上の画素を通過する前記光の強度を制御する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各セグメントが別個に光を透過し、一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断することを可能にする前記ステップにおいて、光の少なくとも一部分を遮断する前記セグメントが、前記pSLMによって許容される最低強度で光を透過する、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記pSLMの
前記複数のセグメントを画定する前記ステップにおいて画定された前記セグメントが、環状セグメントと、中央セグメントと、を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記pSLMを通過する前記光の強度を変調する前記ステップが、
電力レベルP
1でIS
minよりも大きい前記pSLMの前記セグメントの前記画素の各々を通過する前記光の強度を、IS
minにより近づくように低減することと、を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記光の強度を別個に低減する前記ステップにおいて、光の少なくとも一部分を遮断する前記残りのセグメントが、前記pSLMによって許容される最低強度の光を透過する、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
顕微鏡装置の光源からの光の口径食を補正するために、前記顕微鏡装置内の画像センサの視野にわたる光の強度を修正するための方法であって、前記顕微鏡装置が、画素を有する画像センサと、試料ステージと、を含み、前記光源からの光が、光路に沿って、前記試料ステージに、次いで、前記画像センサに進行し、前記方法が、
前記光源と前記画像センサとの間の前記光路内にプログラム可能な空間光変調器pSLMを介在させるステップであって、前記pSLMが複数の画素を有する、介在させるステップと、
前記画像センサの前記視野内に基準試料を配置し、前記pSLMにおける1つ以上の画素を有するセグメントを複数画定し、前記光源によって電力レベルP
1
で前記基準試料を照明し、各セグメントが別個に光を透過する一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断することによって、電力レベルP
1
で前記pSLMの各セグメントを通って前記画像センサに到達する前記光の強度を別個に測定することを含む、前記顕微鏡装置の基準照明環境を評価するステップと、
前記画像センサにおいて生じうる光の口径食の影響を低減する、変更した照明環境を前記画像センサの前記視野に生成するために、前記pSLMの前記複数の画素のうちの1つ以上の画素を通過する前記光の強度を変調するステップと、を含み、
前記変調する前記ステップが、
前記基準照明環境内の最大の光の強度IT
maxを識別することと、
前記基準照明環境の最低強度
を呈する、
強度IS
min
を有するセグメント
S
min
を識別することと、
前記S
minの強度を監視し
つつ、前記光源の前記電力を電力レベルP2まで増加させて、前記S
minの強度をIT
maxまで上昇させることと、
電力レベルP
2でIT
maxよりも大きい前記pSLMの前記セグメントの前記画素の各々を通過する前記光の強度を、電力レベルP
2でIT
maxにより近づくように低減することと、を含む、方法。
【請求項11】
顕微鏡装置の光源からの光の口径食を補正するために、前記顕微鏡装置内の画像センサの視野にわたる光の強度を修正するための方法であって、前記顕微鏡装置が、画素を有する画像センサと、試料ステージと、を含み、前記光源からの光が、光路に沿って、前記試料ステージに、次いで、前記画像センサに進行し、前記方法が、
前記光源と前記画像センサとの間の前記光路内にプログラム可能な空間光変調器pSLMを介在させるステップであって、前記pSLMが複数の画素を有する、介在させるステップと、
前記画像センサの前記視野内に基準試料を配置し、前記pSLMにおける1つ以上の画素を有するセグメントを複数画定し、前記光源によって電力レベルP
1
で前記基準試料を照明し、各セグメントが別個に光を透過する一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断することによって、電力レベルP
1
で前記pSLMの各セグメントを通って前記画像センサに到達する前記光の強度を別個に測定することを含む、前記顕微鏡装置の基準照明環境を評価するステップと、
前記画像センサにおいて生じうる光の口径食の影響を低減する、変更した照明環境を前記画像センサの前記視野に生成するために、前記pSLMの前記複数の画素のうちの1つ以上の画素を通過する前記光の強度を変調するステップと、を含み、
前記変調する前記ステップが、
前記基準照明環境内の光の最大強度IT
maxを識別することと、
前記基準照明環境の最低強度
を呈する、
強度IS
min
を有するセグメント
S
min
を識別することと、
前記S
minの強度を監視し
つつ、前記光源の前記電力を電力レベルP2まで増加させて、前記S
minの強度をIT
maxまで上昇させることと、
各セグメントが別個に光を透過
する一方で、前記残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断
し、その各セグメントごとに、前記セグメントがIT
max
以下の強度を呈するまで、第1の増分値で、前記pSLMの吸収を段階的に増加させることによって、電力レベルP
2でIT
maxよりも大きい前記pSLMの前記セグメントを通って前記画像センサに到達する前記光の強度を別個に低減することとを含み、
前記強度がIT
max未満に減少した場合、前記方法が、前記第1の増分値未満である第2の増分値でそのセグメントでの前記pSLMの吸収を段階的に減少させることをさらに含む、方法。
【請求項12】
前記光の強度を別個に低減する前記ステップにおいて、光の少なくとも一部分を遮断する前記残りのセグメントが、前記pSLMによって許容される最低強度の光を透過する、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
顕微鏡装置の光源からの光の口径食を補正するために、前記顕微鏡装置内の画像センサの視野にわたる光の強度を修正するための方法であって、前記顕微鏡装置が、画素を有する画像センサと、試料ステージと、を含み、前記光源からの光が、光路に沿って、前記試料ステージに、次いで、前記画像センサに進行し、前記方法が、
前記光源と前記画像センサとの間の前記光路内にプログラム可能な空間光変調器pSLMを介在させるステップであって、前記pSLMが複数の画素を有する、介在させるステップと、
前記画像センサの前記視野内に基準試料を配置し、前記pSLMにおける1つ以上の画素を有するセグメントを複数画定し、前記光源によって電力レベルP
1
で前記基準試料を照明し、各セグメントが別個に光を透過する一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断することによって、電力レベルP
1
で前記pSLMの各セグメントを通って前記画像センサに到達する前記光の強度を別個に測定することを含む、前記顕微鏡装置の基準照明環境を評価するステップと、
前記画像センサにおいて生じうる光の口径食の影響を低減する、変更した照明環境を前記画像センサの前記視野に生成するために、前記pSLMの前記複数の画素のうちの1つ以上の画素を通過する前記光の強度を変調するステップと、を含み、
前記基準試料は、均一な背景を提示せず、前記顕微鏡
装置が、反射率に基づいて、焦点を外し、前記基準試料を不明瞭にして、実質的に均一な背景を提供し、反射率が、前記画像センサの視野全体にわたって5%を超えて変動しない、方法。
【請求項14】
顕微鏡装置の光源からの光の口径食を補正するために、前記顕微鏡装置内の画像センサの視野にわたる光の強度を修正するための方法であって、前記顕微鏡装置が、画素を有する画像センサと、試料ステージと、を含み、前記光源からの光が、光路に沿って、前記試料ステージに、次いで、前記画像センサに進行し、前記方法が、
前記光源と前記画像センサとの間の前記光路内にプログラム可能な空間光変調器pSLMを介在させるステップであって、前記pSLMが複数の画素を有する、介在させるステップと、
前記画像センサの前記視野内に基準試料を配置し、前記pSLMにおける1つ以上の画素を有するセグメントを複数画定し、前記光源によって電力レベルP
1
で前記基準試料を照明し、各セグメントが別個に光を透過する一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断することによって、電力レベルP
1
で前記pSLMの各セグメントを通って前記画像センサに到達する前記光の強度を別個に測定することを含む、前記顕微鏡装置の基準照明環境を評価するステップと、
前記画像センサにおいて生じうる光の口径食の影響を低減する、変更した照明環境を前記画像センサの前記視野に生成するために、前記pSLMの前記複数の画素のうちの1つ以上の画素を通過する前記光の強度を変調するステップと、を含み、
基準照明環境を評価する前記ステップの前に、整列ステップ
の実行をさらに含み、前記整列ステップが、
a.アクティブ領域を画定するステップであって、
i.前記pSLMの各画素を連続的に起動させて、光を透過し、一方で、他の全ての画素が光の少なくとも一部分を遮断することと、
ii.連続的に起動した画素ごとに前記画像センサによって画像を取り込むことと、
iii.前記pSLMの各画素と、それらのアクティブ化に影響を及ぼされる前記画像センサの画素とを関連付けることと、を含む、アクティブ領域を画定するステップ、
b.中央整列ステップであって、
i.前記pSLMの中央を包含している複数の画素をアクティブ化することと、
ii.ステップb.のi.の前記アクティブ化した複数の画素について前記画像センサによって画像を取り込むことと、
iii.ステップb.のii.の1つ当たりの前記画像センサの前記影響を及ぼされた領域と、前記画像センサの前記中央とを比較することと、前記影響を及ぼされた領域が前記画像センサの中央にない場合に、
iv.前記pSLMをセンタリング方向に移動することと、を含む、中央整列ステップ、
c.画素整列ステップであって、
i.前記pSLM画素のx方向およびy方向が前記画像センサのx方向およびy方向とそれぞれ整列されるように前記pSLMを回転させることを含む、画素整列ステップ、ならびに
d.これらのステップの組み合わせ、から選択される、方法。
【請求項15】
前記基準試料が、反射率に基づいて、実質的に均一な背景を提供する基準材料であり、反射率が、前記画像センサの視野全体にわたって5%を超えて変動しない、請求項1,10,11及び14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、顕微鏡検査に関し、より具体的には、顕微鏡撮像における照明の口径食を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡検査において明瞭な画像を取得するためには、均一な照明野を有することが極めて重要である。しかしながら、一般に知られているように、照明野は、試料の中央の近くでより明るく照明される場合があり、光の強度は、照明野の外周に向かって半径方向に減弱する。口径食として知られているこの照明の変化は、野内で取得した試料画像を分析する際に問題点を示す。
【0003】
残念なことに、口径食の問題は、ほぼ全ての顕微鏡に影響を及ぼす。口径食は、多くの場合、照明および撮像光学経路内の光学要素および口径が有限幅であることによって生じるシャドーイング効果に起因する。また、レンズの各セット内の収差にも影響を受ける。典型的には、口径食のこれらの原因の全てが一緒に組み合わさって、画像平面にわたって無視できない背景強度の変動を生じさせる。
【0004】
照明源の後に、かつ試料の前にディフューザを提供することによって口径食を補正するための試みがなされてきた。このディフューザは、とりわけ、すりガラス、フレネルレンズ、またはフライアイレンズであり得る。照明源を変更する代わりに、口径食を補正するための代替方法は、口径食を被っている照明によって生成された画像にアルゴリズムを適用し、画像を人工的に補正して、口径食に対処する。この方法は、口径食を被っている照明の下で撮影した画像を変更することを含むが、口径食自体を補正するものではない。どちらの事例においても、口径食をもたらす照明変動の全ての影響を排除することは困難である。
【0005】
当技術分野では、撮像平面における顕微鏡の視野全体にわたる照明光のより一貫した強度を提供する装置および方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
第1の形態において、本発明は、顕微鏡装置の光源からの光の口径食を補正するために、顕微鏡装置内の画像センサの視野にわたる光の強度を修正するための方法を提供し、顕微鏡装置は、画素を有する画像センサと、試料ステージと、を含み、光源からの光は、光路に沿って、試料ステージに、次いで、画像センサに進行し、本方法は、光源と画像センサとの間の光路内にプログラム可能な空間光変調器pSLMを介在させるステップであって、pSLMが複数の画素を有する、介在させるステップと、pSLMの複数の画素のうちの1つ以上の画素を通過する光の強度を変調して、別の方法であれば画像センサにおいて生じうる光の口径食の影響を低減する、変更した照明環境を画像センサの視野に生成するステップと、を含む。
【0007】
第2の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、pSLMは、液晶ディスプレイ、液晶オンシリコン、デジタルマイクロミラーデバイス、および懸濁粒子デバイスからなる群から選択される。
【0008】
第3の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、変更した照明環境は、光の強度の均一性を有し、視野にわたる光の強度は、視野にわたる平均強度の±5%以内である。
【0009】
第4の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、変調する当該ステップにおいて1つ以上の画素を通過する光の強度は、プロセッサからの入力によって制御される。
【0010】
第5の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、光の強度を変調する当該ステップにおいて、プロセッサは、1つ以上の画素への電気信号によって、pSLMの1つ以上の画素を通過する光の強度を制御する。
【0011】
第6の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、変調する当該ステップの前に、本方法は、顕微鏡装置の基準照明環境を評価するステップをさらに含み、評価する当該ステップは、画像センサの視野内に基準試料を配置することと、pSLMにおける1つ以上の画素を有するセグメントを複数画定することと、光源によって電力レベルP1で基準試料を照明することと、各セグメントが別個に光を透過する一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断することによって、電力レベルP1でpSLMの各セグメントを通って画像センサに到達する光の強度を別個に測定することと、を含む。
【0012】
第7の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、各セグメントが別個に光を透過し、一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断することを可能にする当該ステップにおいて、光の少なくとも一部分を遮断するセグメントは、pSLMによって許容される最低強度で光を透過する。
【0013】
第8の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、pSLMの複数のセグメントを画定する当該ステップにおいて画定されたセグメントは、環状セグメントと、中央セグメントと、を含む。
【0014】
第9の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、pSLMを通過する光の強度を変調する当該ステップは、基準照明環境の最低強度を呈するセグメント、本明細書では強度IS
min
を有するSminを識別することと、電力レベルP1でISminよりも大きいpSLMのセグメントの画素の各々を通過する光の強度を、ISminにより近づくように低減することと、を含む。
【0015】
第10の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、pSLMを通過する光の強度を変調する当該ステップは、最低強度の基準照明環境を呈するセグメント、本明細書では強度IS
min
を有するSminを識別することと、各セグメントが別個に光を透過する一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断し、その各セグメントごとに、セグメントがIS
min
以下の強度を呈するまで、第1の増分値で、pSLMの吸収を段階的に増加させることによって、電力レベルP1でISminよりも大きいpSLMのセグメントを通して画像センサに到達する光の強度を別個に低減することと、を含み、強度がISmin未満に減少した場合、本方法は、第1の増分値未満である第2の増分値でそのセグメントでのpSLMの吸収を段階的に減少させることをさらに含む。
【0016】
第11の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、光の強度を別個に低減する当該ステップにおいて、光の少なくとも一部分を遮断する残りのセグメントは、pSLMによって許容される最低強度の光を透過する。
【0017】
第12の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、pSLMを通過する光の強度を変調する当該ステップは、基準照明環境における最大の光の強度、ここではITmaxを識別することと、最低強度の基準照明環境を呈するセグメント、本明細書では強度IS
min
を有するSminを識別することと、Sminの強度を監視しつつ、光源の電力を電力レベルP2まで増加させて、Sminの強度をITmaxまで上昇させることと、電力レベルP2でITmaxよりも大きいpSLMのセグメントの画素の各々を通過する光の強度を、電力レベルP2でITmaxにより近づくように低減することと、を含む。
【0018】
第13の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、当該のpSLMを通過する光の強度を変調するステップは、基準照明環境内の光の最大強度、ここではITmaxを識別することと、基準照明環境の最低強度を呈するセグメント、本明細書では強度IS
min
を有するSminを識別することと、Sminの強度を監視しつつ、光源の電力を電力レベルP2まで増加させて、Sminの強度をITmaxまで上昇させることと、各セグメントが別個に光を透過する一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断し、その各セグメントごとに、セグメントがIT
max
以下の強度を呈するまで、第1の増分値で、pSLMの吸収を段階的に増加させることによって、電力レベルP2でITmaxよりも大きいpSLMのセグメントを通って画像センサに到達する光の強度を別個に低減することと、を含み、強度がITmax未満に減少した場合、本方法は、第1の増分値未満である第2の増分値でそのセグメントでのpSLMの吸収を段階的に減少させることをさらに含む。
【0019】
第14の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、当該の光の強度を別個に低減するステップにおいて、光の少なくとも一部分を遮断する残りのセグメントは、pSLMによって許容される最低強度の光を透過する。
【0020】
第15の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、基準試料は、反射率に基づいて、実質的に均一な背景を提供する基準材料であり、反射率は、画像センサの視野全体にわたって5%を超えて変動しない。
【0021】
第16の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、基準試料は、均一な背景を提示せず、顕微鏡は、反射率に基づいて、焦点を外し、基準試料を不明瞭にして、実質的に均一な背景を提供し、反射力は、画像センサの視野全体にわたって5%を超えて変動しない。
【0022】
第17の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、基準照明環境を評価する当該ステップの前に、整列ステップをさらに含み、当該整列ステップは、
a.アクティブ領域を画定するステップであって、
i.pSLMの各画素を連続的に起動させて、光を透過し、一方で、他の全ての画素が光の少なくとも一部分を遮断することと、
ii.連続的に起動した画素ごとに画像センサによって画像を取り込むことと、
iii.pSLMの各画素と、それらのアクティブ化に影響を及ぼされる画像センサの画素とを関連付けることと、を含む、アクティブ領域を画定するステップと、
b.中央整列ステップであって、
i.pSLMの中央を包含している複数の画素をアクティブ化することと、
ii.ステップb.のi.のアクティブ化した複数の画素について画像センサによって画像を取り込むことと、
iii.ステップb.のii.の1つ当たりの画像センサの影響を及ぼされた領域と、画像センサの中央とを比較することと、影響を及ぼされた領域が画像センサの中央にない場合に、
iv.pSLMをセンタリング方向に移動することと、を含む、中央整列ステップと、
c.画素整列ステップであって、
i.pSLM画素のx方向およびy方向が画像センサのx方向およびy方向とそれぞれ整列されるようにpSLMを回転させることを含む、画素整列ステップと、
d.これらのステップの組み合わせと、を含む。
【0023】
第18の形態において、本発明は、光源、画素を有する画像センサ、および試料ステージを有する顕微鏡装置の画像センサの視野にわたる光の強度を変更するための方法であって、光源からの光は、光路に沿って、試料ステージに、次いで、画像センサに進行し、本方法は、光源と画像センサとの間の光路内にプログラム可能な空間光変調器pSLMを介在させるステップであって、pSLMが複数の画素を有する、介在させるステップと、pSLMの複数の画素のうちの1つ以上の画素を通過する光の強度を変調して、別の方法であれば画像センサにおいて生じうる未変更の照明環境と異なる、変更した照明環境を画像センサの視野に生成するステップと、を含む。
【0024】
第19の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、当該の光の強度を変調するステップにおいて、プロセッサは、1つ以上の画素への電気信号によって、pSLMの1つ以上の画素を通過する光の強度を制御する。
【0025】
第20の形態において、本発明は、先行する形態のいずれかの方法を提供し、当該の変調するステップの前に、本方法は、顕微鏡装置の基準照明環境を評価するステップをさらに含み、当該の評価するステップは、画像センサの視野内に基準試料を配置することと、pSLMの複数のセグメントを画定することであって、各セグメントが、1つ以上の画素を有する、画定することと、電力レベルP1で光源によって基準試料を照明することと、各セグメントが別個に光を透過し、一方で、残りのセグメントが光の少なくとも一部分を遮断することを可能にすることによって、電力レベルP1でpSLMの各セグメントを通って画像センサに到達する光の強度を別個に測定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による、顕微鏡装置の一般的な概略図である。
【
図2】プログラム可能な空間光変調器(pSLM)の一部分の一般的な概略図である。
【
図3A】顕微鏡の試料平面において経験し得る、半径方向に口径食された光を示す一般的な概略図である。
【
図3B】顕微鏡の試料平面において経験し得る、軸外に口径食された光を示す一般的な概略図である。
【
図3C】pSLMの使用を介して、
図3Aの半径方向の口径食パターンの所望の反転の作成を示す一般的な概略図である。
【
図3D】
図3Cの反転させた口径食パターンを有するpSLMを使用して、
図3Aの口径食パターンを生成した光を変調したときに、試料平面に結果として生じる照明野を示す図である。
【
図4A】全ての画素がアクティブ化されているn個の離散矩形セグメント(S
1、S
2、・・・、S
n)に分割したpSLMの図である。
【
図4B】
図4Aに示されるpSLMの状況下で画像センサによって取り込まれた画像である。
【
図4C】セグメントS
1がアクティブ化され、全ての他のセグメントが非アクティブ化されたことを示すpSLMである。
【
図4D】
図4Cに示されるpSLMの状況下で画像センサによって取り込まれた画像である。
【
図4E】セグメントS
1がアクティブ化され、全ての他のセグメントが非アクティブ化されたことを示すpSLMである。
【
図4F】
図4Eに示されるpSLMの状況下で画像センサによって取り込まれた画像である。
【
図5A】全ての画素がアクティブ化されているn個の離散環状セグメント(A
1、A
2、・・・、A
n)に分割したpSLMの図である。
【
図5B】
図5Aに示されるpSLMの状況下で画像センサによって取り込まれた画像である。
【
図5C】セグメントA
1がアクティブ化され、全ての他のセグメントが非アクティブ化されたことを示すpSLMである。
【
図5D】
図5Cに示されるpSLMの状況下で画像センサによって取り込まれた画像である。
【
図5E】セグメントA
3がアクティブ化され、全ての他のセグメントが非アクティブ化されたことを示すpSLMである。
【
図5F】
図5Eに示されるpSLMの状況下で画像センサによって取り込まれた画像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
典型的な顕微鏡システムを
図1に示し、参照番号10で表す。顕微鏡システム10は、試料を撮像する光学システム12と、光学システム12の光学部品および撮像構成要素によって画定された視野にわたる光の強度を自動的に調整するための口径食補正システム14と、を含む。この特定のシステム10は、光学システム12として、改良された反射光顕微鏡を用いているが、本明細書で開示される概念は、限定されることなく、透過光顕微鏡、倒立顕微鏡、およびステレオ顕微鏡を含む、全ての種類の顕微鏡に容易に当てはまることに留意されたい。また、照明野が視野とも称され得ること、および実際には、撮像される試料がその場の中にあることにも留意されたい。
【0028】
光学システム12は、対物レンズ18の下に、試料8を担持する試料ステージ16を含む。光学システム12は、照明源20と、視野内に保持されている試料8を照明するように照明源20の光を方向付けるための垂直照明器36と、をさらに含む。光学システム12はまた、調整可能なF絞り42と、開口絞り40(A絞り)も含む。画像センサ26は、対物レンズ18を通して透過される試料の画像を受信する。画像センサ26は、口径食補正システム14の一部とみなすことができる。いくつかの形態において、この画像センサは、カメラ27の一部として提供され得る。口径食補正システム14はまた、プロセッサ28と、プログラム可能な空間光変調器30(本明細書ではpSLMともいう)と、を含み、プロセッサ28は、(参照番号38で表されるように)画像センサ26とpSLM30の間で通信して、画像センサ26によって提供される画像情報を処理し、pSLM30を使用して照明環境を変更する。
【0029】
顕微鏡システムの光学経路または光学縦列は、
図1の経路33および35で例示することができる。経路35は、試料を照明する照明ビームの経路であり、この形態において、光は、光路35内に斜めの線で示されているが、参照番号が付されていないプリズムによって、反射光顕微鏡において知られているように再方向付けされる。透過光顕微鏡などの他の顕微鏡は、そのような鏡を必要としない。経路33は、反射光顕微鏡の場合のように、試料平面において試料によって反射されるか、または透過光顕微鏡の場合のように、試料平面において試料を通して透過されるか、のいずれかである、照明ビームの経路である。経路33および35によって表される各照明経路は、それ自体の照明環境を提供する。照明環境は、照明の領域にわたる光の強度の分布として理解されたい。照明環境の根本的な供給源は、照明源であるが、これは、様々な光学構成要素および本発明によるpSLMによって影響を及ぼされる場合がある。照明環境は、画像センサ26によって撮影される画像に影響を及ぼし、試料ステージにおいて所望の試料を撮像するために必要なデータを記録する画像センサであるので、この照明環境は、最も重要である画像センサにおける照明環境である。したがって、pSLMは、照明源20と画像センサ26との間の任意の位置に位置付けることができる。照明源と試料平面の試料との間-すなわち経路35内-に位置付けられたpSLMは、試料(したがって画像センサ)に送達される照明環境を変更する役割を果たし、一方で、試料と画像センサとの間-すなわち経路33内-に位置付けられたpSLMは、試料から画像センサへと進む照明環境を変更する役割を果たす。いずれの場合も、照明環境の望ましくない態様(例えば、口径食)を補正することができるか、または所望の照明環境を導入することができるか、のいずれかである。上述のように、顕微鏡の未変更の照明環境は、典型的に、様々な原因によって生じる口径食および他の照明むらに起因して、均一でない。いくつかの形態において、pSLMは、光の強度を均一にして口径食に対処するために使用されるが、他の場合においては、意図的に不均一な照明環境を作成するために使用することができる。
【0030】
ビーム34は、pSLM30による減衰前の照明源20からの光の光学経路を表す。ビーム32は、pSLM30による減衰後の光の光学経路を表す。いくつかの形態では、プロセッサ28および適切なハードウェアを用いて、試料ステージ16、照明源20、カメラ27、および本明細書で指定されていない他の顕微鏡構成要素を制御することができる。
【0031】
図1において、説明の便宜上、pSLM30は、照明源20と垂直照明器36の本体との間で外部的に示されている。代替的に、(代替の30aで表されるように)照明源20と画像センサ26との間の任意の位置に位置付けられ得ること、および最も効果的には、照明源20と試料Sとの間に位置付けられることが認識されるであろう。別の例として、pSLM30は、A絞り40の位置において垂直照明器36内に配置され得る。
【0032】
プログラム可能な空間光変調器(pSLM)は、ある空間パターンの入射光を変調するトランスデューサであり、変調は、電気入力または光入力に基づいている。入射光は、その位相、強度、偏光または方向において変調することができ、光変調は、様々な電気光学効果または磁気光学効果を呈する様々な材料によって、および表面の変形によって光を変調する材料によって達成することができる。本発明では、プログラム可能な空間光変調器を通して光の強度を変調することによって口径食を補正することに重点を置いており、「プログラム可能である」という用語は、pSLMにわたる異なる位置においてpSLMを通過する光の強度を変化させるために、pSLMが電気入力または光入力によって影響を及ぼされ得ることを意味する。pSLMへの入力は、画像センサ26によって取得され、プロセッサ28によって処理された口径食情報に基づいており、入力は、視野においてより均一な照明が実現されるように口径食に対処する役割を果たす。プロセッサ28は、大まかには、単数であることを指すが、複数のプロセッサを包含することも同様に認識されるべきである。プロセッサ28は、ケーブルまたは無線通信などの他の適切な手段を介して画像センサ26および空間光変調器と通信することができ、全てのそのような通信は、一般に、参照番号38で表される。キーボード、タッチスクリーンモニタ、または他の標準的な手段などの(一般に参照番号39で表されるような)操作者入力ユニットは、操作者が所望の制御およびデータを入力することを可能にするために利用可能である。
【0033】
pSLMの例としては、透過型液晶ディスプレイ(LCD)、液晶オンシリコン(LCOS)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、および懸濁粒子デバイス(SPD)が挙げられる。全てが、典型的に矩形のアレイ内の、多数の固有の空間位置(すなわち、画素)において、光の振幅および/または位相を変調する能力を有する。LCD、LCOS、およびDMDなどのいくつかのpSLMにおいて、各画素は、プロセッサ28などの接続されたプロセッサを介してデジタル的にアドレス指定することができる。SPDなどの他のpSLMにおいて、デバイスは、複数の画素としてではなく単一のユニットとしてプログラムされる。
【0034】
知られているように、pSLMは、大きさが様々である。LCD、LCOS、およびDMDなどのpSLMの物理的寸法は、1平方cm~約10平方cmであり得る。pSLMの画素数kは、2,000~2,000,000以上の間で様々であり得る。本発明では、数多くの異なる構成を使用することができるので、これらのサイズは、限定するものとみなすべきではない。SPD型のpSLMは、数平方メートルもの大きさになり得るが、1つのプログラム可能な要素のみを有する。
【0035】
ここで使用されるpSLMは、複数の個々にアドレス指定可能な画素または画素群を含み、これは、各画素または画素群が、場合により、プロセッサ28からの信号入力に影響を及ぼされて、その画素/画素群の位置を通過する光の強度を変化させ得ることを意味する。個々の画素強度は、変数または二進数のいずれかであり得る。変数の場合は、画素を通して透過される光の強度を、完全な遮断と、完全な透過との間で変動させることができることを意味する。二進数の場合は、画素を通して透過される光が、完全な透過か、または完全な遮断のいずれかであり、それ以外の場合、これらの両極端の間で強度を変動させる能力を伴わない。pSLMの画素および画素群をアドレス指定して、それらの光の透過を変動させる能力は、試料ステージおよび画像センサの視野に向かって送信された光ビームの断面にわたって照明環境を変化させることを可能にし、したがって、口径食は、口径食に起因して減光を被っている空間位置により高い強度の光を送達することによって、または口径食に起因してより高い強度である空間位置を減光することによって、修正することができる。
【0036】
いくつかの形態では、pSLM30は、各画素を通過する光の局所的な振幅(すなわち、強度)を変化させる振幅変調器として用いられる。
図2に示されるように、pSLM30の平面の直前で、画素位置x
iにおける照明源20からの光34は、L(x
i)によって表される強度を有する。下でさらに開示した後により明らかになるであろうが、必要に応じて、プロセッサを用いて、電気入力を通して画素x
iなどの様々な画素でのpSLMの吸収度を操作して、t(x
i)によって表される、結果として生じる強度を提供する。振幅変調モードにおいて、プロセッサ28は、画素x
iにおいてpSPMを通過する光の強度が係数g(x
i)だけ減衰されるように、位置x
iの画素に値を割り当てる。g(x
i)の値は、プロセッサ28によって制御される。g(x
i)=0の非アクティブ化状態である場合、最小量の光が画素x
iを通して透過される。g(x
i)=1のアクティブ化状態である場合、最大量の光が画素x
iを通して透過される。pSLMsの特性に精通している人であれば、g(x
i)=0において、いくらかの光が画素x
iを通して透過される場合があり、また、g(x
i)=1において、いくらかの光が画素x
iにおいて減衰される場合があることは周知である。これらの違いは、本発明の適用には重要でない。「アクティブ化」という用語の今後の使用は、画素の完全なアクティブ化を指し、「非アクティブ化」は、画素の完全な非アクティブ化を指す。
【0037】
本方法において、pSLMによる任意の変更前の照明環境は、視野内に基準試料を配置し、光源20を介して基準試料を照明し、そして、画像センサ26によってその1つ以上の画像Tを撮影して、環境にわたる光の強度に関する画像データを取得することによって評価される。いくつかの形態において、照明源の電力レベルPは、最初に、光源の能力の中央値である強度で試料を照明するように設定される。他の形態において、強度は、光源から利用可能な強度の範囲を表す複数のレベルに設定される。他の形態において、強度は、本発明に従って口径食を補正した後に試料を撮像する際に用いられる強度を再現するように設定される。
【0038】
基準試料は、反射率の標準的測定によって決定される、均一な反射背景を呈する基準材料とすることができる。いくつかの形態において、背景は、反射率が試料の視野全体にわたって5%以上変動しない、好ましくは2%未満である場合に、均一であるとみなすことができる。
【0039】
いくつかの場合では、均一な反射背景を伴わない実際の試料が使用され得る。そのような事例において、表面むらおよび顕微鏡的な異物などが不均一な画像を作成し得るが、焦点外れは、そうしたむら/異物を不明瞭にし、本方法に好適なより均一な画像を作成する役割を果たすことができる。
【0040】
いずれの場合-均一な反射背景を有する基準材料への光入射を伴う場合、または均一な背景を有する非合焦試料への光入射を伴う場合-においても、
図3Aで例示されるように、口径食は明らかになるであろう。いくつかの事例において、照明は、
図3Bに示されるように中央を外れる場合があり、顕微鏡を調整して、
図3Aに示されるように、照明を中央にすることができる。これは、口径食の減光効果が視野の中央から半径方向の線に沿って外向きに段階的に増加するとみなす、という仮定に基づく技法を用いるときに最も有用である。特に、この仮定は、光源照明が中央にあるときの一般的な傾向に従うものであるが、照明野は、レンズまたは照明源から生じる、明るい点および他のむらを有する可能性がある。したがって、本明細書の特定の形態は、仮定された半径方向減光パターンに基づいていない。口径食の生じた1つまたは複数の画像から取得したデータは、プロセッサ28によって処理して、pSLMを制御し、また、そのデータを使用してプロセッサが口径食の補正を継続して、
図3dに示されるように、より均一に近い光の強度である画像を作成する。この光の強度の均一性は、しばしば、均一または平坦な照明野と称される。いくつかの形態において、均一な画像は、画像のあらゆる画素が、画像の平均画素強度の±20%以内(20%を含む)である場合の画像である。他の形態において、均一な画像は、画像のあらゆる画素が、画像の平均画素強度の±10%以内(10%を含む)である場合の画像である。他の形態において、均一な画像は、画像のあらゆる画素が、画像の平均画素強度の±5%以内(5%を含む)である場合の画像である。さらに他の形態において、画素強度は、画像の平均画素強度の±2%以内(2%を含む)である。
図3の画像強度は、口径食の影響を例示するために誇張されている。実際には、強度差の程度は、より微妙である。pSLMはまた、一部の撮像の実施または適用に要求または必要とされ得るような、意図的に不均一な画像を生成するために用いることもできることを認識されたい。これは上記に対して既に回避されており、したがって、本発明は、より一般的には、視野にわたる光の強度(照明環境)を変更するための方法および装置を提供するが、特に口径食に対処するための変更が、この例示的な開示の重点である。
【0041】
本方法において、プロセッサ28によるpSLM30への適切な入力を用いて、口径食の影響に対処し、視野に(すなわち、視野で保持される試料に)より均一な強度を有する照明野を提供する。これは、視野での必要以上に高い強度の領域に対応する位置においてpSLMを通って進行する光の強度を減少させること、または視野での必要以上に低い強度の領域に対応する位置においてpSLMを通って進行する光の強度を増加させること、またはこれらの技法の組み合わせを用いることを伴う。
【0042】
いくつかの形態では、口径食の減光効果は、
図3Aに示されるように、視野の中央から半径方向の線に沿って外向きに段階的に増加するものと仮定される。pSLMは、試料の中央における光をある程度制限し、中央から同心円に沿って外向きにこの制限を少なくすることによって、口径食に対処するようにプログラムされる。pSLMは、光を制限して、少なくとも
図3Aの反転または負のパターンに近似させ、
図3Cのように現れるように機能する。結果として生じる口径食を低減させた視野の照明を
図3Cに表す。口径食パターンは、多数の技法を通して推定し、補償することができる。
図3Aの口径食のパターンは、典型的なものであり、限定するものではないことに留意されたい。不均一な照明は、任意の方向から、または多数の方向から生じ得る。本発明の形態は、全ての種類の不均一な照明を修正することができる。
【0043】
本発明の好ましい第1のステップは、pSLMを画像センサ26と整列させることである。1つの方法は、pSLM30のアクティブ領域を決定することである。アクティブ領域は、画像センサ26において直接撮像される、光が通過するpSLMの領域である。効果的であるためには、システム内に配置された実際のpSLMを、照明源のビームよりも小さくするべきではないことを認識することができる。しかし、pSLMが照明ビームより大きくても問題はない。したがって、必ずしもpSLMの全ての画素が、画像センサ26によって取り込まれる画像に影響を及ぼすとは限らない。このステップは必須ではないが、特定の形態における本発明の適用を容易にする。アクティブ領域を決定することは、システムの光学経路内のpSLMの正確なセンタリング、およびシステムの既知の光学特性に基づくことができる。例えば、アクティブ領域は、システムの光学構成要素が既知であり、かつpSLMがシステムの共役焦点平面の1つに集中している場合に計算することができる。
【0044】
しかしながら、本発明は、pSLMを共役平面内に配置することを必要とせず、実験的にアクティブ領域を決定することが必要であり得る。実験的にアクティブ領域を決定するには、先に説明したように、顕微鏡を試料に、好ましくは基準試料に合焦させる。最初に、pSLMの各画素xiを非アクティブ化する。次いで、各画素xiを連続的にアクティブ化する。各画素をアクティブ化したときに、画像を取り込む。画素xi+1をアクティブ化する前に、画素xiを非アクティブ化する。pSLMのアクティブ領域の外にある画素をアクティブ化することは、取り込まれた画像にいかなる影響も及ぼさず、一方で、pSLMのアクティブ領域内の画素をアクティブ化することは、取り込まれた画像を変化させる。pSLMの単一の画素のアクティブ化は、(a)光の拡散、または(b)pSLMの画素が画像センサの画素よりも大きいこと、または(c)画像センサの画素がpSLMの画素と整列していないこと、または(d)一群の画素が、pSLM上でアクティブ化され、したがって、画像センサ上の複数の画素を変更すること、によって、複数の画像センサ画素の強度の変化をもたらすことができる。全てのpSLMの画素が、連続的にアクティブ化および非アクティブ化され、画素のアクティブ化ごとに画像が取り込まれたときに、pSLMの画素を画像センサ画素にマッピングすることができる。マッピングとは、各pSLM画素xiが、所与のpSLM画素のアクティブ化に応じて影響を及ぼされる1つ以上の画像センサ画素yiと関係づけられることを意味する。より正確には、pSLMの各画素は、選択的にアクティブ化されると、画像センサ26の一組の画素を照明する。これらの一組の画素は、重複する画素を有し得るが、各組は、特定のpSLM画素にマッピングする。
【0045】
アクティブ画素を画定する際の上記ステップは、複数群の画素をアクティブ化し、一方で、残りの画素を非アクティブ化することによって実施することができる。複数群の画素は、(本発明は、本明細書に示される群化の形状に限定されないが)
図4および
図5に関して開示されるセグメントに類似する。
【0046】
pSLMを整列させるための別の方法は、pSLMの最も中央の画素が画像センサの最も中央の画素にマッピングされるようにpSLMを調整することである。この方法は、プログラム的にpSLM画素を画像センサ画素にマッピングするのではなく、pSLMをX/Y平面内で画像センサ平面に平行に物理的に移動させて、センタリングを達成する。この方法は、pSLMの位置をXおよびY方向に移動させることができるようにpSLMが搭載されることが必要である。この概念の例は、一般に、
図1のpSLM30と相互作用して示されるx/y移動ステージ43によって表される。pSLMをセンタリングするには、pSLMの中央の一組のpSLM画素をアクティブ化し、一方で、pSLMの全ての他の画素を非アクティブ化する。一組のアクティブ化されたpSLM画素は、pSLMで中央に、または中央近くに位置付けられる。正確な中央画素は存在しないが、センタリングを目的とする場合、いくつかの形態では、pSLMの中央画素が中央から±1画像外れることが許容可能であることを認識されたい。いくつかの応用例において、pSLMの中央画素は、中央から±2画像、他の応用例では±5画素、他のものでは±10画素、さらに他の応用例では±15画素外れる場合があり、さらに他の応用例では、中央画素は、中央から±20画素以上も外れる場合がある。センタリングするために必要な近さは、pSLM画素の総数に依存する。少ない数の画素、例えば500個未満の画素を有するpSLM内の単一の画素は、pSLMの総領域に対して、より大きいpSLM、例えば2メガ画素である場合の単一の画素よりもはるかに大きい領域を表す。また、少ない数の画素を有するpSLMsは、一般に、より多い数の画素を有するpSLMsよりも大きい画素を有する。したがって、より少ない総数を有するpSLM内の単一の画素は、アクティブ化されたときに、多数の画素を有するpSLMよりも多くの光を透過する。したがって、より多い数の画素を有するpSLMsが、より大きい一組の「センタリング」画素をアクティブ化することが必要であり得る。一組のアクティブ化された画素は、中央画素の周りに正方形パターンまたは円形パターンで均等に離間することができる。一組の画素の数は、単一の画素とすることができる。他の事例において、一組は、2~5画素とすることができる。他の事例において、一組の画素の数は、5~10画素とすることができ、他の事例において、一組の画素の数は、10~100画素とすることができる。一組の総画素数は、画像センサがpSLMを通して透過された光によって完全に飽和するほど多くすることはできない。「飽和する」とは、8ビットの画像センサの全ての画素が、例えば、0を超える、いくつかの事例では50~150の、および他の事例では200超256未満の強度値を有する。センタリングする一組のpSLM画素がアクティブ化されると、画像が取り込まれ、領域の照明領域が画像センサの中央と比較される。照明領域がセンタリングされていない場合は、照明領域がセンタリングされるまで、pSLMを画像センサに平行なX方向および/またはY方向に移動させる。
【0047】
別の整列方法は、pSLMが画像センサに平行な平面内を回転することができるようにpSLMを搭載することである。この方法において、単一または複数の隣接する列であるpSLMの一組の画素は、列が、pSLMの中央画素を、または中央画素の近くを通過するようにアクティブ化される。アクティブ化された列に加えて、単一または複数の隣接する行は、行が、pSLMの中央画素を、またはその近くを通過するようにアクティブ化される。アクティブ化された列および行の隣接する画素の数および中央に対する近さは、先に説明した整列方法において説明したものと同じ状態に従う。行および列がアクティブ化したときに、画像を取り込む。pSLMの直交投影は、センサ上の直交画像を照明する。この投影は、画像センサの画素行および列に平行である場合もあり、またはそうでない場合もある。投影が平行でない場合、投影が画像センサの行および列に平行になるまでpSLMを回転させる。回転は、
図1の44で表されるような適切な駆動によって達成することができる。
【0048】
pSLMの画像センサに対するマッピングおよび整列の他の方法を使用することができ、また、上述した3つの方法を組み合わせて使用することができることを認識することができる。本発明は、マッピングおよび整列を必要としないが、マッピングおよび整列は、本発明の適用を容易にすることをさらに認識することができる。本方法は、以下でより十分に展開される。
【0049】
本発明の方法を実施するために、pSLMは、別個に制御可能なセグメントSnに離散化される。いくつかの形態において、セグメントは、1つの画素のみを含み、したがって、セグメントの数は、画素の数に等しい。他の形態において、セグメントの数nは、一般に、(画像センサ(例えば、CCD(電荷結合素子)およびCMOS(相補型金属酸化膜半導体)を4つの象限に分けることなどによって)4個よりも多い。他の形態において、セグメントの数は、9個よりも多く、他の形態では16個よりも多く、他の形態では25個よりも多く、他の形態では36個よりも多い。さらに他の形態において、セグメントの数は、400個未満であり、他の形態では225個未満であり、他の形態では100個未満である。典型的に、セグメントの数は、16~25個であり得、例外的な結果を提供し得る。他の形態では、26~100個のセグメントが用いられる。
【0050】
セグメントの数nが多くなるほど、本発明が口径食の影響を低減するのにより効果的である。各セグメントS
nは、j個の画素から成る。いくつかの形態において、セグメント内の画素の数は、2個よりも多くかつ0.25k個未満であり、kは、画像センサ26のアクティブ領域内の総画素数である。pSLMの各セグメントは、一組の画素PS
nから成る。16個のセグメントS
nを有し、n=1~16である、pSLMの例を
図4Aに示す。この例示のために、セグメントは、正方形として示されているが、他の事例では、異なるジオメトリを有し得る。
【0051】
例示および簡潔にするために、pSLMのアクティブ領域を画定するために、最初に説明した整列方法を使用する。したがって、pSLMの非アクティブ領域は、
図4AにおいてQと記された×印の画素によって示される。この形態の第1のステップは、pSLMを通してより望ましい照明環境を実装することができるように、顕微鏡装置の基準照明環境を評価することである。本開示は、より均一な照明環境を作成して、上で説明および例示したように口径食の影響に対処することに重点を置いているが、不均一な環境も同様に、本発明に従ってpSLMによって実装され得る。基準照明環境を評価するためには、照明をP
1の一定の電力に設定し、
図4Bのように全てのセグメントをアクティブ化して画像Tを取り込む。当業者に知られている方法によって、画像Tの最大強度および最小強度を決定することができ、ここでは、それぞれ、IT
maxおよびIT
minと称する。
【0052】
P
1を一定に保つことで、pSLMの全ての画素が非アクティブ化される。次いで、各セグメントを連続的にアクティブ化および非アクティブ化して、各セグメントのアクティブ化時に画像を取り込む。S
1およびS
2をアクティブ化する、最初の2つのアクティブ化シーケンスにおいて取り込んだ画像の例を
図4Dおよび
図4Fに示す。この形態において、非アクティブ化されたセグメントは、黒で、すなわち、光が完全に遮断されている状態で示されているが、いくつかのpSLMsの特性のため、その所与のセグメントの完全な非アクティブ時であっても、いく
らかの光がセグメントを通して透過され得ることが認識されるであろう。これは、本発明の動作に影響を及ぼさない。いくつかの形態において、非アクティブ化されたセグメントは、光の少なくとも一部分を遮断し、他の形態において、pSLMによって許容される最低強度で光を透過する。アクティブ化されたセグメントの平均強度値は、各セグメントのアクティブ化に応じて計算および記録され、値は、本明細書で、I(PS
1)、I(PS
2)、・・・、I(PS
n)で表される。本発明の目的は、異なるセグメントでの強度を評価し、各セグメントPS
nの画素を通過する光の強度を(必要な場合に)変更することによって平坦な照明野を作成し、よって、この平坦な照明野の平均強度を指定された目標強度Cにすることである。
【0053】
Cを取得するためには、PSnの画素ごとに減衰係数fnを決定しなければならない。この係数を使用して、g(PSn)=fnとなるように、一組の画素PSnごとに、減衰値g(x)を設定する。係数fnは、次式によって決定される:
fn=(I(PSn)-C)/I(PSn) (1):式中、
fn=セグメントの減衰係数Sn
C=平坦な照明野の目標強度、
I(PSn)=セグメントnの非減衰強度値、である。
【0054】
平坦な照明野を取得するためのこの形態の1つの方法は、照明の電力を変化させることおよびpSLMをプログラムすることの組み合わせによって達成される。基準照明環境の評価によれば、ITmaxは、既知である。代替的に、ITmaxは、上で開示したセグメント化手順の間に、最高強度の光を提供する画素セグメントを識別することによって決定することができる。この形態において、照明電力は、最低強度を呈するセグメントS
min
の画像強度がITmaxに等しくなるように、P2まで増加される。P2を決定するためには、セグメントSminをアクティブ化し、一方で、pSLMの全ての他の画素を非アクティブ化する。Sminがアクティブ化されている間に、照明電力レベルをI(PSmin)=ITmaxまで段階的に増加させる。各増分電力レベルで画像を取り込み、強度を測定する。I(PSmin)=ITmaxであったときには、照明電力レベルをP2に設定する。この形態において、平坦な照明野は、減衰係数fnを各セグメントの各画素に適用することによって取得され、よって、適用されたときに、結果として生じる画像は、電力レベルP2において一定の値、C=ITmaxである。
【0055】
fnを決定するためには、最初に、全てのpSLMセグメントを非アクティブ化する。第1のセグメントS1をアクティブ化し、画像を取り込む。電力レベルP2は、最低強度セグメントS
min
の強度=ITmaxとなるように設定されているので、全ての他のセグメントは、アクティブ化されたときに、ITmaxよりも大きい強度を有する。したがって、Smin以外の全てのセグメントを減衰させて、ITmaxに等しい画像強度を達成することができる。の例では、C=ITmaxである。ITmaxの強度を達成するために必要とされる各セグメントの係数fnを計算するためには、ITmaxを式(1)のCに代入する:
fn=(I(PSn)-ITmax)/I(PSn) (2):式中、
fn=セグメントの減衰係数Sn
I(PSn)=電力レベルP2でのセグメントnの非減衰強度値、である。
【0056】
補正した照明野は、pSLMの各セグメントの各画素を調整することによって取得される:
g(p1S1)=f1;g(p2S1)=f1;…;g(pjS1)=f1
g(p1S2)=f2;g(p2S2)=f2;…;g(pjS2)=f2
g(p1Sn)=fn;g(p2Sn)=fn;…;g(pjSn)=fn
【0057】
セグメントの各画素への吸収値の割り当ては、g(PSn)=fnで表され、式中、PSnは、セグメントSnに収容されている画素の各々である。各セグメントは、異なる数の画素を収容することができるが、ここでの例示のために、全てのセグメントは、等しい数の画素を有することに留意されたい。減衰が必要でない画素セグメント、すなわち、既に所望の目標強度Cで透過しているセグメントにおいて、g(x)は、1であり、よって、それらのセグメントの画素は、(pSLM自体の特性としての任意の固有の減衰結果以外に)いかなる減衰も伴わずに透過し、減衰が必要である画素セグメント、すなわち、所望の目標強度Cを超えて透過しているセグメントにおいて、g(x)は、0~1未満に設定され、したがって、ある割合の強度のみを透過するように設定される。プロセッサ28を用いて、電気入力を通して、所与のセグメントの画素でのpSLMの吸収度を操作する。
【0058】
口径食の許容可能な改善が達成されるまで、(
図4C~4Eに従って)セグメント化ステップを繰り返して、減衰係数を決定し、適用することが必要であり得る。いくつかの形態において、許容可能な改善は、操作者の主観的な判定に基づいているが、いくつかの形態では、許容可能な改善は、「均一な画像」に関する上記の開示に従って、平均画素強度に基づいて均一な画像を提供することに基づいている。
【0059】
係数fnを計算するのではなく、実験的にg(PS1)を決定することも可能である。上述のように、照明電力は、最低強度を呈するセグメントS
min
の画像強度がITmaxに等しくなるまで、P2まで増加される。セグメントS1の画素をアクティブ化し、一方で、pSLMの全ての他の画素を非アクティブ化する。セグメントS1内の一組の画素の吸収係数g(PS1)を段階的に増加させ、IS1=ITmaxの強度になるまで、各段階的増加時に画像を取り込む。例えば、g(PS1)=0で開始して、g(PS1)を、IS1≧ITmaxになるまで、0.1ずつ段階的に増加させることができる。IS1>ITmaxである場合は、IS1=ITmaxになるまで、g(PS1)を0.01(比較的小さい増分)だけ段階的に減少させる。この手順は、次いで、n個全てのセグメントを評価し、全てのセグメントの強度がISn=ITmaxになるまで、セグメントSnごとに繰り返す。
【0060】
平坦な照明野を取得するための、この形態の別の方法は、元々の照明電力レベルP1を保ち、pSLMのセグメントが等しくなるようにプログラムすることである。この方法では、全てのセグメントを、最小強度ISminを有するセグメントに減衰させることを必要とする。この例では、次いで、全てのセグメントが≧ISminの強度を有する。この形態において、平坦な照明野は、減衰係数fnを各セグメントの各画素に適用することによって取得され、よって、適用されたときに、結果として生じる画像は、電力レベルP1において一定の値、C=ISminである。
【0061】
P1でのfnを決定するためには、最初に、全てのpSLMセグメントを非アクティブ化する。第1のセグメントS1をアクティブ化し、画像を取り込む。全ての強度がISmin以上であることが分かる。したがって、Smin
のセグメント以外の全てのセグメントを減衰させて、ISminに等しい画像強度を達成することができる。式(1)に従ってC=ISminの強度を達成するために必要とされる各セグメントの係数は、以下の通りである:
fn=(I(PSn)-ISmin)/I(PSn) (3)
【0062】
上述のように、セグメントの各画素に対する吸収値は、g(PSn)=fnで表され、式中、PSnは、セグメントSn内に収容されている画素の各々である。
【0063】
上述のように、係数fnはまた、実験的に決定することもできる。
【0064】
本発明の別の形態は、特に、
図4Aのような半径方向の口径食を呈する口径食を修正する。
図5Aは、中心セクション(A
1)および離散環状部(A
2~A
n)を有するこの口径食を示す。中心セクションおよび環状セクションは、集合的に、環状セクションA
1~A
nの一部と称されるが、中心セクションは、環状でない。中心セクションA
1は、画素で測定することができる半径を有する。いくつかの形態において、中心セクションの半径は、2画素以上であり、他の形態では5画素以上であり、他の形態では10画素以上であり、他の形態では25画素以上であり、他の形態では50画素以上である。各環は、画素で測定することができる内径riおよび外径roを有する。環の幅wは、(ro-ri)である。いくつかの形態において、環の数は、2つ以上である、他の形態では5個以上、他の形態では10個以上、他の形態では25個以上、および他の形態では50個以上である。いくつかの形態において、環の幅wは、2画素以上であり、他の形態では5画素以上であり、他の形態では10画素以上であり、他の形態では25画素以上であり、他の形態では50画素以上であり得る。最適には、環の数は、pSLM内の画素kの数および環の幅wの関数とみなすことができる。例えば、pSLMがk個の画素を有し、10個の環が選択された場合、各環は、k/10の幅である。正確な環の数および環の幅は、本発明の一般的概念に影響を及ぼさない。また、各環の幅が異なり得ること-例えば、環A2がA3よりも大きい幅を有すること-があり得るが、この例示のために、wは、全ての環について同じであることにも留意されたい。先の形態のように、係数f
nは、記載されているものを含む、数々の方法で測定することができる。
図5A~5Fにおいて、本方法を視覚的に認識するのを補助するために完全な円が示されているが、透過した光が、光を透過している画素に従って画素化されることが認識されるであろう。
【0065】
上述の方法は、包括的に、0~1の連続可変の吸収値g(x)を有するpSLMsを使用することに留意されたい。いくつかのpSLMsは、g(x)=0またはg(x)=1であるように二進数であることに留意された。これらの事例において、セグメントの画素は、セグメントの画素密度が吸収係数fに等しく設定されるように、g(x)=0またはg(x)=1に選択的に設定される。セグメントの画素密度は、次式の通りである。
Dn=Kn/Rn (4):式中、
Dn=n番目のpSLMセグメントの画素密度
Kn=n番目のpSLMセグメントのアクティブ化された画素(すなわち、g(x)=1)の数
Rn=n番目のpSLMセグメントの総画素数、である。
上で決定したように、Dn=fnであることに留意されたい。いくつかの形態において、アクティブ化された画素は、好ましくはセグメントを通して等しく分配されたパターンを形成する。
【0066】
これらの記載されている形態は、本発明の応用例を例示するが、それらの方法は、限定するものとみなされるべきではない。セグメントは、任意のサイズまたは形状とすることができ、他の数学的、統計的、および実験的な手段を使用して、平坦な照明野の所望の効果を達成することができる。
【0067】
上述したものに照らして、本発明は、構造的および機能的にいくつかの方法で改善される、顕微鏡撮像の口径食を低減するための装置および方法を提供することによって、当該技術を大きく進歩させることを理解されたい。本発明の特定の形態を本明細書で詳細に開示したが、本明細書の本発明に対する変形例が当業者によって容易に認識されるので、本発明は、当該形態に、または当該形態によって限定されるものではないことを理解されたい。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から認識されるものとする。
用語:
d 画像センサの画素数
yi 画像センサのi番目の画素
k pSLM内の画素数
xi pSLMアレイの中でi番目の画素、1≦i≦k
I pSLMまたは画像センサの画素、セグメント、または全アレイの強度
L(xi) pSLMアレイのi番目の画素に進入する前の光度
g(xi) pSLMアレイのi番目の画素の減衰値、g(xi)は実数であり、よって、0≦g(x)≦1である
t(xi) pSLMアレイのi番目の画素を通して透過される光度
n pSLMの離散セグメントの数
Sn pSLMのn番目のセグメント、1<n<pSLM内の画素数
pjSn セグメントSnのj番目の画素
PSn セグメントSnを形成する一組の画素
I(PSn) pSLMのn番目のセグメントを形成する画素の平均強度、強度は、pSLMの減衰前に画像センサで測定される
g(PSn) pSLMのセグメントSn内に収容されている画素の各々に適用される吸収値
P 照明源の電力レベル
C 平坦な照明野を表す、取り込まれた画像の目標強度値
fn n番目のセグメント内の画素の吸収値、よって、fn×IPSn=C
T 画像センサによって取り込まれた画像
ITmax 画像Tの最大強度
Smin 最低強度を呈するpSLMセグメント
ISmin セグメントSminの最小強度、
g(PSn)は、n番目のpSLMセグメントの減衰値である
An pSLMのn番目の環状セグメント
Dn n番目のpSLMセグメントの画素密度
Kn n番目のpSLMセグメントのアクティブ化された画素の数
Rn n番目のpSLMセグメントの総画素数