(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構
(51)【国際特許分類】
E05B 81/06 20140101AFI20220406BHJP
E05B 81/14 20140101ALI20220406BHJP
E05B 81/34 20140101ALI20220406BHJP
E05B 81/30 20140101ALI20220406BHJP
【FI】
E05B81/06
E05B81/14
E05B81/34
E05B81/30
(21)【出願番号】P 2020551388
(86)(22)【出願日】2019-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2019084342
(87)【国際公開番号】W WO2020191849
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】201910233989.3
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520133640
【氏名又は名称】上海工程技術大学
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI UNIVERSITY OF ENGINEERING SCIENCE
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】杭 魯濱
(72)【発明者】
【氏名】白 楽楽
(72)【発明者】
【氏名】劉 哲
(72)【発明者】
【氏名】王 明遠
(72)【発明者】
【氏名】汪 千升
(72)【発明者】
【氏名】王 炎
(72)【発明者】
【氏名】王 四玲
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 輝宇
(72)【発明者】
【氏名】黄 暁波
(72)【発明者】
【氏名】郭 輝
(72)【発明者】
【氏名】李 文涛
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗君
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-127420(JP,A)
【文献】特開2003-90412(JP,A)
【文献】特開2001-18328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 81/00-81/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々な自由度を有するフレキシブルで複合
構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構であって、ねじりばねを取り付けた
回転部材・
移動部材組み合わせに基づく
複合部材を備え、多運動モード及び復帰特徴を有するフレキシブルなリンク機構を構成し、ドアロック開錠チェーン及び該チェーンとボルトチェーンが協働するタイミング組み合わせを構成し、
自動車ドアロック電動開錠機構は駆動モータを備え、駆動モータの出力軸がウォーム(15)に接続され、ウォームがトリプルギアに接続され、前記トリプルギアは
上段・中間・下段の3つのギアを備え、中間ギアはウォーム(15)と噛合するウォームホイール(14)であり、中間ギアの両端面に
上段ギア及び下段ギアである2つの円筒平歯車がそれぞれ接続され、
上段ギアがウォームギア運動をドアロック開錠チェーンに伝達し、
下段ギアがウォームギア運動をボルトチェーンに伝達し、
前記ドアロック開錠チェーンは力増幅機構と、
複合部材を含むリンク機構とを備え、前記力増幅機構はアイドラー(10)を備え、前記
複合部材を含むリンク機構は第1リンク部材及び横引きリンク(8)を備え、ねじりばね、回転軸と
複合部材(24)を形成し、第1リンク部材が
複合部材を介して横引きリンク(8)に接続され、横引きリンク(8)の他端が開錠回転円板に接続され、開錠回転円板(7)を引くことで爪ラチェット構造を連動して、ドアロックを開錠し、
前記ボルトチェーンは
下段ギア、及び
下段ギアと噛合するボルトギア(11)を備え、ボルトギアがボルト回転円板(13)を連動してボルトプッシュロッド(6)を推進し、ボルトプッシュロッド(6)の一端を前記開錠回転円板(7)の開口溝内でスライドさせ、さらに開錠回転円板(7)をボルトプッシュロッドの一端のフランジを介して爪ラチェット構造と接続し又は接続せず、
運動タイミング制御部材をさらに備え、前記運動タイミング制御部材によって、自動車がドアを開放する時、
下段ギアがまずボルトチェーンを連動してボルトを解除し、所定時間後、ドアロック開錠チェーンが開錠し、自動車がドアを閉鎖する時、施錠後、ボルトを電動でロックし、運動タイミング制御部材が初期位置に復帰することを特徴とする
複合構造を有
する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項2】
前記運動タイミング制御部材は
上段ギアと噛合するダブルギアを備え、前記ダブルギアの下ギアが
上段ギアと噛合し、ダブルギアの上ギアが不完全ギアであり、前記アイドラーと間欠的に噛合し、前記第1リンク部材がギアコンロッドであり、前記アイドラーと噛合し、不完全ギアがアイドラーと噛合していない時、ボルトチェーンが運動し、ドアロック開錠チェーンが運動せず、ボルト解除を実現し、不完全ギアがアイドラーと噛合する時、ドアロック開錠チェーンが運動し始め、ドアロックを開錠することを特徴とする請求項1に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項3】
前記運動タイミング制御部材は第1リンク部材であり、アイドラーと同軸に回転する円板カムと、円板カムにフォースクロージャの形態で接触する揺動プッシュロッドとを備え、前記揺動プッシュロッドがねじりばねを介して横引きリンクに接続され、円板カム(23)が近停留箇所で揺動プッシュロッドに接触すると、ボルトチェーンが運動し、円板カムが遠停留箇所に回転すると、揺動プッシュロッドが横引きリンクを連動し、ドアロックの電動開錠を実現することを特徴とする請求項1に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項4】
前記
複合部材を含むリンク機構はねじりばねを備え、ねじりばねの1本のアームが第1リンク部材のストレート溝内に取り付けられ、前記第1リンク部材の新型
複合部材でざぐり式構造を採用し、ねじりばね本体の一部をリング溝内に固定して取り付け、ねじりばねのもう1本のアームが横引きリンクのストレート溝内に取り付けられ、横引きリンクもざぐり式構造を採用し、ねじりばね本体の残りの部分を横引きリンク内に嵌入させ、且つ横引きリンクのストレート溝内に取り付けられたねじりばねのアームがストレート溝内でねじりばねの中心とともに移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項5】
前記横引きリンクのざぐり式構造はトラック式シュートを採用し、ねじりばねをシュート内でスライドさせることを特徴とする請求項4に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項6】
前記横引きリンクのトラック式シュートは中間部がやや外へ食み出すドラム状シュート又は中間部がやや内へ収縮する括れ状シュートを採用し
、ドアロックシステムに優れた運動学的特性及び機械的特性を付与することができることを特徴とする請求項5に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項7】
前記トリプルギアはアイドラーと同軸に取り付けられるが、同軸に回転しないことを特徴とする請求項1に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項8】
前記ボルトギアはダブルギアと同軸に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項9】
前記
複合部材では、ねじりばねは設定可能な初期ねじり角度を有し、取り付け時、アームが非動作力受け方向側で湾曲して取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項10】
前記ドアロック開錠チェーンでは、力増幅機構はトリプルギア、ダブルギア及びアイドラーによって2段ギア減速を行い、ダブルギアの上ギアは不完全ギアであり、不完全ギアの歯なしストロークの長さは2本のチェーンの間欠時間に応じて決められることを特徴とする請求項1に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項11】
前記ギアコンロッドは力増幅効果を有するレバー式ギアコンロッド部材として設けられ、ギアコンロッドの右側は前記
複合部材を含むリンク機構コンロッドであり、左側はアイドラーと噛合する部分ギア式構造であることを特徴とする請求項2に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【請求項12】
前記力増幅機構では、アイドラーは剛性骨格を有するフレキシブルギア構造として設けられることを特徴とする請求項1に記載の
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車工学の分野に関し、特に様々な自由度を有するフレキシブルで複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構に関し、シングルモータ駆動ダブル運動チェーン構造を有し、復帰ねじりばねを取り付けた回転部材・移動部材の組み合わせに基づく複合部材によって、多運動モード及び復帰特徴を有するリンク機構を構成し、それによってドアロック伝動機構が複数の動作モード間で繰り替えして切り替えて復帰することを可能にする。具体的には、電動ボルトチェーン(ボルト機能を有する)のみを備えたドアロックの内部に、1本の電動開錠チェーンを追加し、2本のチェーンがシングルモータによって伝動リズムに応じて協働してドアロックの電動開錠を実現する。
【背景技術】
【0002】
スマート技術の発展に伴い、自動車のスマート化の追求がますます高まり、電動開錠を実現できるスマートドアロックの開発はその一環である。現在、中国国外では多くの車両が自動車ドアロックの電動開錠機能を備えている一方、中国国内の自動車はほとんどドアロック製品のスマート開錠が不能であり、依然としてボルトを電動で解除し、ドアロックを手動で開錠し、自動車ドアロックの電動開錠機能の開発は差し迫っている。
【0003】
自動車ドアロックボルトシステムの開発について、中国特許CN 103541611には機械的ボルト機能を備えたドアロックが開示されており、該ドアロックは中央制御ウォームホイールが回転して中央制御移行レバーをボルトステーション又はボルト解除ステーションの間で移動して切り替えるように駆動し、中国特許CN 204552360には新型自動車ドアロックアクチュエータ機構が開示されており、アクチュエータの伝動方式を変更し、車用ドアロックのボルトかけ/解除、開閉時の信号の感度を向上さえ、中国特許CN 201666054には自動車ドアロックが開示されており、ロック本体及びボルトモジュール、ロック本体制御モジュール及びボルト制御モジュールを備え、電動又は手動方式でボルトのかけ又は解除を実現でき、ボルト信号装置が追加されることで、内側ハンドルレバー又は外側ハンドルレバーを引くと、ボルト解除を実現する。自動車ドアロックの電動開錠の開発について、中国特許CN 104895424には電動開錠を実現可能なサイドドアロック伝動機構が開示されており、その原理として、ドアロック本体内に電動開錠システムを取り付け、カムリンク機構によってドアロックの電動開錠制御を実現する。
【0004】
以上のように、現在、従来の新型電動開錠ドアロック伝動システムは、シングルモータ駆動開錠チェーン(シングル駆動シングル運動チェーン)、ダブルモータ駆動ボルト及びロック解除ダブル運動チェーン(ダブル駆動ダブル運動チェーン)の2種類に大別されている。シングル駆動シングル運動チェーンのドアロックシステムは開錠チェーンのみを有し、ボルトチェーン又はボルト機能がなく、ドアロックの電動開錠を実現することができ、設計寸法を小さくする反面、ドアロックシステムの施錠の安全安定性が低下してしまい、ダブル駆動ダブル運動チェーンのドアロックシステムはダブルモータを用いてそれぞれボルトチェーン及び開錠チェーンを駆動し、機能が完全で性能が安定する反面、ドアロック全体の寸法が大きく、ドアロックの製造コストが増えてしまう。
【0005】
本発明は上記欠陥に対して、シングルモータ駆動ダブルチェーンの電動開錠ドアロックを提案し、すなわち複合部材に基づくシングルモータ駆動ダブルチェーンのドアロック伝動機構である。該電動開錠機能の開発アイデアは、ボルトの電動解除、手動開錠機能を有する自動車ドアロックに電動開錠機能を追加することで、ボルト機能を備える電動開錠可能な新型自動車ドアロックを構成することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構を提案することであり、自動車電動ドアロックの開錠工程に適用することで、自動車ドアロックがシングルモータだけでボルトの電動解除、開錠及びボルトかけ等の複数種の動作モードを実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複合構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構であって、復帰ねじりばねを取り付けた回転部材・移動部材組み合わせに基づく複合部材を備え、多運動モード及び復帰特徴を有する様々な自由度を有しフレキシブルなリンク機構を構成し、ドアロック開錠チェーン及び該チェーンとボルトチェーンが協働するタイミング組み合わせを構成する。ドアロック機構は駆動モータを備え、駆動モータの出力軸がウォームに接続され、ウォームがトリプルギアに接続され、前記トリプルギアは上段・中間・下段の3つのギアを備え、中間ギアはウォームと噛合するウォームホイールであり、中間ギアの両端面に上段及び下段の2つの円筒平歯車がそれぞれ接続され、上段ギアがウォームギア運動をドアロック開錠チェーンに伝達し、下段ギアがウォームギア運動をボルトチェーンに伝達し、
前記ドアロック開錠チェーンは力増幅機構と、複合部材を含むリンク機構とを備え、前記力増幅機構は力増幅効果を有するギア伝動システムを備え、前記複合部材を含むリンク機構は第1リンク部材と、横引きリンクと、復帰ねじりばねを取り付けた回転部材・移動部材組み合わせに基づく複合部材とを備え、第1リンク部材が複合部材によって横引きリンクに接続され、横引きリンクの他端が開錠回転円板に接続され、開錠回転円板を引くことで爪ラチェット構造を連動してドアロックを開錠し、
前記ボルトチェーンは下段ギア、及び下段ギアと噛合するボルトギアを備え、ボルトギアがボルト回転円板を連動してボルトプッシュロッドを推進し、ボルトプッシュロッドの一端を前記開錠回転円板の開口溝内でスライドさせ、さらに開錠回転円板をボルトプッシュロッドの一端のフランジを介して爪ラチェット構造と接続し又は接続せず、
運動タイミング制御部材をさらに備え、前記運動タイミング制御部材によって、自動車がドアを開放する時、下段ギアがまずボルトチェーンを連動してボルトを解除し、所定時間後、ドアロック開錠チェーンが開錠し、自動車がドアを閉鎖する時、施錠後、ボルトを電動でロックし、運動タイミング制御部材が初期位置に復帰することを特徴とする。
【0008】
さらに、前記運動タイミング制御部材は上段ギアと噛合するダブルギアを備え、前記ダブルギアの下ギアが上段ギアと噛合し、ダブルギアの上ギアが不完全ギアであり、前記アイドラーと間欠的に噛合し、前記第1リンク部材がギアコンロッドであり、前記アイドラーと噛合し、不完全ギアがアイドラーと噛合していない時、ボルトチェーンが運動し、ドアロック開錠チェーンが運動せず、ボルト解除を実現し、不完全ギアがアイドラーと噛合する時、ドアロック開錠チェーンが運動し始め、ドアロックを開錠し、開錠チェーンが復帰する。
【0009】
さらに、前記運動タイミング制御部材は第1リンク部材であり、アイドラーと同軸に回転する円板カムと、円板カムにフォースクロージャの形態で接触する揺動プッシュロッドとを備え、前記揺動プッシュロッドがねじりばねを介して横引きリンクに接続され、円板カムが近停留箇所で揺動プッシュロッドに接触すると、ボルトチェーンが運動し、円板カムが遠停留箇所に回転すると、揺動プッシュロッドが横引きリンクを連動し、ドアロックの電動開錠を実現する。
【0010】
さらに、前記複合部材を含むリンク機構はねじりばねを備え、ねじりばねの1本のアームは第1リンク部材のストレート溝内に取り付けられ、前記第1リンク部材の新型複合部材でざぐり式構造を採用し、ねじりばね本体の一部をリング溝内に固定して取り付け、ねじりばねのもう1本のアームは横引きリンクのストレート溝内に取り付けられ、横引きリンクもざぐり式構造を採用し、ねじりばね本体の残りの部分を横引きリンク内に嵌入させ、且つ横引きリンクのストレート溝内に取り付けられたねじりばねのアームがストレート溝内でねじりばねの中心とともに移動可能である。
【0011】
前記横引きリンクのざぐり式構造はトラック式シュートを採用し、ねじりばねをシュート内でスライドさせる。
【0012】
前記横引きリンクのトラック式シュートは中間部がやや外へ食み出すドラム状シュート又は中間部がやや内へ収縮する括れ状シュートを採用する。
【0013】
さらに、前記トリプルギアはアイドラーと同軸に取り付けられるが、同軸に回転しない。
【0014】
さらに、前記ボルトギアはダブルギアと同軸に取り付けられる。
【0015】
さらに、前記複合部材では、ねじりばねは特定の初期ねじり角度を有し、取り付け時、アームが非動作力受け方向側で湾曲して取り付けられる。
【0016】
さらに、前記ドアロック開錠チェーンでは、力増幅機構はトリプルギア、ダブルギア及びアイドラーによって2段ギア減速を行い、ダブルギアの上ギアは不完全ギアであり、不完全ギアの歯なしストロークの長さは2本のチェーンの間欠時間に応じて決められる。
【0017】
さらに、前記ギアコンロッドは力増幅効果を有するレバー式ギアコンロッド部材として設けられ、ギアコンロッドの右側は前記複合部材を含み多運動モード及び復帰特徴を有するリンク機構のコンロッドであり、左側はアイドラーと噛合する部分ギア式構造である。
【0018】
さらに、前記力増幅機構では、アイドラーは剛性骨格を有するフレキシブルギア構造として設けられてもよい。
【発明の効果】
【0019】
有益な効果について、
1)本発明の複合的な構造を有する自動車ドアロック電動開錠機構は、ドアロック開錠チェーンとボルトチェーンの協働を実現できるとともに、所望のタイミングでドアロックの電動開錠及びドアロックのボルトの電動ロックを実現することができる。
【0020】
2)機構の設計が精巧で、該自動車ドアロック開錠チェーンは従来のボルトチェーンをもとに、複合部材を含み多運動モード及び復帰特徴を有する様々な自由度を有し、フレキシブルなリンク機構を含む1本のドアロック開錠チェーンを設計することで、ドアロックシステムは元の機能を保持するうえに、ほかのチェーンの運動に干渉しない。
【0021】
3)ドアロックの繰り返し開錠を実現でき、該ドアロック開錠伝動機構はドアロックのボルトの電動解除、開錠、ボルトかけ等を一括して完了する(モータが1回通電するだけで完了する)ことができる。不完全ギアが歯なし位置に回転し又は円板カムが近停留箇所に到達するごとに、ドアロック開錠チェーンのリンク機構がばね復元力の作用で次回の開錠位置に戻る。ドアロックは電動開錠、ボルトの電動ロックを繰り返すことができる。
【0022】
4)構造の設計が合理的で、該自動車ドアロック開錠チェーンのギアコンロッド部材がギアの回転を多運動モード及び復帰特徴を有するリンク機構のコンロッドに伝達し、ギア回転をリンク機構のコンロッドの固定軸回転に変換し、該部分の寸法及び設計の複雑さを低減させる。
【0023】
5)多回の力増幅効果を備え、該ドアロック機構を大密封力の電動開錠に適応させることできる。該自動車ドアロック開錠チェーンには力増幅設計が2箇所あり、それぞれ2段円筒歯車減速伝動及び第1リンク部材をレバー式構造とすることによって、力増幅を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の伝動システムの構造模式図であり、ドアロックシステムを施錠してボルト(初期位置)をかけた状態の模式図でもある。
【
図2】実施例1の機構全体がドアロック本体の内部に取り付けられている斜視模式図である。
【
図3】ドアロック機構全体における各運動チェーンの接続関係の模式図であり、a-手動ボルトチェーン、b-電動ボルトチェーン、c-電動開錠チェーン、d-車内開錠チェーン、e-車外開錠チェーンである。
【
図4】本発明における
複合部材の運動
構造の多運動モード及び復帰特徴を有するリンク機構の模式図である。
【
図5】
図4中のリンク機構をマークしたドアロックの模式図である。
【
図6】電動ドアロック全体に本発明の機構を適用する場合における運動の概略図であり、入力I-手動外側開錠入力、入力II-手動内側開錠入力、入力III-手動車外ボルト入力、入力IV-手動車内ボルト入力である。
【
図8】
図1中のドアロックがボルト部を有し完全施錠後にボルトをかけた状態の模式図である。
【
図9】
図1中のドアロックがボルト部を有し完全施錠後にボルトを解除した状態の模式図である。
【
図10】
複合部材を有するリンク部材の構造模式図である。
【
図12】ねじりばねを取り付けた横引きリンクの模式図である。
【
図13】横引きリンクのストレート溝がドラム状溝である模式図である。
【
図14】横引きリンクのストレート溝が括れ状溝である模式図である。
【
図15】ボルトチェーン、ドアロック開錠チェーンが下向きとなる斜視模式図である。
【
図16】ボルトチェーン、ドアロック開錠チェーンが上向きとなる斜視模式図である。
【
図17】ボルトプッシュロッドが爪とオーバーラップ接続する時の接続模式図である。
【
図18】背面視の爪ラチェットの構造模式図である。
【
図19】開錠中にボルト解除直後、開錠し続ける状態の模式図である。
【
図21】システムの完全施錠後、ボルトかけ直後、可撓性リンク部材が復帰していない状態の模式図である。
【
図22】
複合部材を有するリンク機構のボルトかけ状態での運動の概略図である。
【
図23】モータ故障等に起因するギアコンロッド部材が固着する場合における手動開錠の模式図である。
【
図24】実施例2における円板カムが近停留箇所に位置し、ドアロック開錠チェーンがボルト解除を完了した状態の模式図である。
【
図25】実施例2における円板カムが遠停留箇所に位置し、ドアロック開錠チェーンが開錠を完了した状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、具体的な実施例及び図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0026】
本願は自動車ドアロック用のシングル駆動ダブルチェーン伝動機構を提案し、具体的には、シングルボルト機構のみを有する元のドアロックの内部に1本の電動開錠機構を追加し、追加された開錠チェーンが元の伝動システムと協働することによって、ドアロックがシングル駆動だけでドアロックの電動開錠及びボルトの電動ロック機能を実現することができる。
【0027】
複合部材を有するシングル駆動ダブルチェーン伝動機構は、複合部材を有するドアロック開錠チェーンと、ボルトチェーンと、ボルトチェーンと協働するタイミング組み合わせと、を備え、
前記ドアロック開錠チェーンの減速機構はウォーム伝動減速機構であり、該減速機構のウォームホイールの両端面に円筒平歯車がそれぞれ同軸に設けられ、トリプルギアであり、該トリプルギアを取り付ける軸はマンドレルであり、前記トリプルギアは上から下へ3つの部分を備え、中間ギアはウォームと噛合するウォームホイール14であり、中間ギアの両端面に上段及び下段の2つの円筒平歯車がそれぞれ接続され、上段ギアがウォームギア運動をドアロック開錠チェーンに伝達し、下段ギアがウォームギア運動をボルトチェーンに伝達する。
【0028】
前記ドアロック開錠チェーンは力増幅機構と、複合部材を有するリンク機構とを備える。ドアロック開錠チェーンの力増幅機構は2段円筒歯車減速機構であり、2段ギア機構は2本の軸に配置され、トリプルギアを取り付けるマンドレルに、非同期回転する円筒平歯車、すなわちアイドラー10が取り付けられる。
【0029】
前記複合部材を有するリンク機構は、復帰ねじりばねを取り付けた回転部材・移動部材組み合わせに基づく複合部材によって構成され、多運動モード及び復帰特徴を有するリンク機構であり、それによってドアロック伝動機構は多動作モード間で切り替え及び復帰を繰り返すことができる。
【0030】
第1リンク部材及び横引きリンク8を備え、第1リンク部材は力復元ねじりばね17を有する複合部材を介して横引きリンク8に接続され、横引きリンク8の他端が開錠回転円板7に接続され、開錠回転円板7を引いて爪ラチェット構造を連動し、ドアロックを開錠する。
【0031】
前記ボルトチェーンは下段ギア、及び下段ギアと噛合するボルトギア11を備え、ボルトギア11はボルト回転円板13を連動してボルトプッシュロッド6を推進し、ボルトプッシュロッド6の一端を前記開錠回転円板7の開口溝内でスライドさせ、ボルトプッシュロッド6の一端のフランジが爪ラチェット構造に接触するか否かは開錠回転円板7と爪の接続又は非接続状態を決め、接続状態はボルト解除状態である反面、非接続状態はボルトかけ状態である。
【0032】
タイミング設計は運動タイミング制御部材を採用し、前記運動タイミング制御部材によって、自動車がドアを開放する時、下段ギアがまずボルトチェーンを連動してボルトを解除し、所定時間後、ドアロック開錠チェーンが開錠し、自動車がドアを閉鎖する時、施錠後、ボルトをかけ、運動タイミング制御部材が初期位置に復帰する。
【0033】
上記設計に応じて、参考として以下の2種の具体的な実施構造を提供する。
【0034】
実施例1
【0035】
運動タイミング制御部材は上段ギアと噛合するダブルギア4を採用し、前記ダブルギア4の下ギアがトリプルギアの上段ギアと噛合し、ダブルギア4の上ギアが不完全ギア16であり、前記アイドラー10と間欠的に噛合し、第1リンク部材がギアコンロッド5であり、前記アイドラー10と噛合し、不完全ギア16がアイドラー10と噛合していない時、ボルトチェーンが運動し、ドアロック開錠チェーンが運動せず、ボルト解除を実現する。不完全ギアがアイドラーと噛合する時、ドアロック開錠チェーンが運動し、ドアロックを開錠する。不完全ギア構造の目的は、ボルト解除時間を開錠時間よりも早くことであり、所定時間だけ間欠して開錠し始め、間欠時間は歯なし部分のストロークに応じて決められる。それとともに、該不完全ギア1が駆動ギアであり、歯なし位置に回転するごとに、システム内の関連ばねに蓄積された弾性ポテンシャルが放出され、リンク部材が初期位置に戻る。ダブルギアを採用することで、該部分の占有体積を小さくするとともに、減速付勢作用を有する。
【0036】
図4に示すように、本発明に係る
複合部材に基づくリンク機構であり、ねじりばねの中心がシュートの両端に位置する時、該運動
部材が
回転部材であり、ねじりばねの中心がシュートの中間部に位置する時、該運動
部材が
移動部材と
回転部材を組み合わせてなる二自由度
複合部材である。ねじりばねの力の影響によって、決定されたコンプライアント復帰機能を運動
部材に付与する。
【0037】
図1に示すように、自動車ドアロックシステムはドアロック開錠チェーン及びボルトチェーンを備える。ドアロック開錠チェーンはボルトチェーンとモータ1、ウォームギア減速機構を共有する。ドアロック開錠チェーンは2段力増幅ギア機構と、
複合部材を有するリンク機構とをさらに備える。該リンク機構は、復帰ねじりばねを取り付けた
回転部材・
移動部材組み合わせに基づく
複合部材構造によって構成され多運動モード及び復帰特徴を有するリンク機構であり、第1リンク部材とするギアコンロッド5、ねじりばね17、及び横引きリンク8を備える。ボルトチェーンは共有機構に加えて、1段ギア減速機構(ウォームの下端の円筒平歯車は
下段ギア及びボルトギア11からなる)と、ボルトギア11と同軸に取り付けられるボルトフォーク12と、ボルトフォーク12と嵌合するボルト回転円板13と、一端がボルト回転円板13に設けられ、他端が開錠回転円板7の開口溝内に設けられるボルトプッシュロッド6と、を備える。
【0038】
前記ボルトプッシュロッド6と開錠回転円板7がプロファイル接続され、開口溝が貫通溝であり、ボルトプッシュロッド6の末端が開錠回転円板7の開口溝内に位置し、ボルトプッシュロッド6の末端が開錠回転円板7の内端に位置する時、開錠回転円板貫通溝内に位置するボルトプッシュロッド6の末端のフランジと開錠回転円板の他側に位置する爪20の上フランジがボルトプッシュロッドの末端を介してオーバーラップ接続し、この場合、ボルトを解除し、ボルトプッシュロッドの末端が開錠回転円板の外端に位置する時、開錠回転円板の上フランジが爪20の上フランジとオーバーラップ接続できず、このとき、開錠回転円板を回転させても爪ラチェット構造を推進できず、それによってボルトかけ動作を完了する。
【0039】
ボルトチェーンの構造及びボルトの状態は
図8、
図9に示され、
図8はボルトかけ状態であり、ドアロックシステムがボルトを解除する時、モータ1が正転し、ウォーム15を連動して運動をウォームホイール14に伝達させる。ウォームホイール14の
下段ギアが1段減速して運動をボルトギア11の上側のボルトフォーク12に伝達し、ボルトフォーク12を時計回りに回転させ、ボルト回転円板13を固定軸回転させ、ボルトプッシュロッド6を推進し、ボルトプッシュロッド6が開錠回転円板7の開口溝内で該回転円板の内端までスライドし、ボルト解除模式は
図9に示される。
【0040】
ドアロックシステムがボルトをかける時、モータ1が逆転し、ウォーム15を連動して運動をウォームホイール14に伝達する。ウォームホイール14の下段ギアが1段減速して運動をボルトギア11の上側のボルトフォーク12に伝達し、ボルトフォーク12を反時計回りに回転させ、ボルト回転円板13を動かしてボルトプッシュロッド6を推進し、ボルトプッシュロッド6が開錠回転円板7の開口溝内で該回転円板の外端にスライドする。
【0041】
ドアロック開錠チェーンは2段力増幅ギア機構と、
複合部材を有するリンク機構とを備える。
図4は
複合部材を有するリンク部材の構造模式図であり、ギアコンロッド5、ねじりばね17及び横引きリンク8を備える。前記ギアコンロッド5の一端は部分ギア構造であり、固定軸の周りに回転し、他端のリンク部分は多運動モード及び復帰特徴を有するリンク機構のギアコンロッドであり、ギア群により力増幅された回転運動を、レバー式ギアコンロッドによって再び力増幅してリンク機構コンロッドの固定軸回転に変換し、ギアコンロッド5の
複合部材はざぐり式構造設計を採用し、ねじりばね17をリング溝内に部分的に取り付け、ねじりばねの一端のアームがギアコンロッド5のストレート溝内に固定して取り付けられ、ねじりばねのもう1つの可動端のアームが横引きリンク8のストレート溝内に取り付けられ、該ねじりばねはヒンジ軸とともにストレート溝内でスライド可能であり、ねじりばねの本体の円筒部分が横引きリンク8とギアコンロッド5との間に嵌入されることで、これらの部材間の結合間隔を小さくし、ねじりばねは横引きリンクとギアコンロッドヒンジ軸に取り付けられ、初期角を設定することが可能である。
【0042】
複合部材を含むリンク機構は、モータが開錠チェーンに出力する運動を、レバー構造式ギアコンロッド5によって力増幅して開錠回転円板7及び爪20に伝達する。ギアコンロッド5の一部の歯の基準ピッチ円の弧長はギアによる開錠に必要な弧長の2倍である。
【0043】
ドアロックシステムの開錠中、モータ1がまずボルトを解除する必要があり、ボルトを解除した後、開錠し続ける。開錠時間を節約し1回駆動で2つのタスクを行うために、ボルト解除開始時間は開錠時間よりもやや早い。ボルトプッシュロッド6が開錠回転円板7の内端に到達すると、ボルト解除を完了し、このとき、ボルトプッシュロッド6もちょうど爪による開錠を駆動直前の位置にある。ボルトプッシュロッド6が開錠回転円板7の内端に位置した後、モータ1が回転し続け、横引きリンク8が開錠回転円板7を回転駆動し、回転円板が固定軸回転すると同時にボルトプッシュロッド6を運動駆動し、ボルトプッシュロッドが爪20を回転させ、爪20をラチェット19と分離し、ラチェット19を解放し、ラチェット19が回転し、ドアロックが開錠する。このとき、不完全ギアがちょうど歯なし位置に回転し、開錠回転円板の回転マンドレルに復帰ねじりばねが取り付けられ、開錠回転円板7はそのマンドレルに取り付けられた復帰ねじりばね(図示せず)の復元力の作用下で、電動開錠チェーンのリンク機構を初期位置に復帰させる。
【0044】
ドアロック施錠後、モータ1が逆転し、運動をボルトプッシュロッド6に伝達し、ボルトプッシュロッドをボルトかけ位置まで運動させる。モータを共有するため、運動をドアロック開錠チェーンにも伝達し、該チェーン運動方向がちょうど開錠時とは反対であるが、開錠回転円板7の逆方向運動が不能である(一方向回転しかない)ため、ドアロック開錠チェーンに伝達されるエネルギーを消費するとともに、自動車ドアロックのボルトをかけるために、複合部材を有するリンク機構によって運動を分解すると考えられる。ギアコンロッド5がねじりばねを逆方向回転させ、可撓性リンク部材にシュートが存在するため、ギアコンロッド5のヒンジ軸がねじりばねを連動してリンク部材の死点位置を越え、ドアのボルトをかけ、このとき、不完全ギアがちょうど歯なし位置に回転し、ねじりばねが弾性ポテンシャルを放出すると、ギアコンロッド5がさらに逆方向に機構の死点位置を超えてドアロックシステムの初期位置に戻る。
【0045】
開錠時、該ギアコンロッド5機構は開錠するまで時計回りに回転し、その後、機構は開錠回転円板7のマンドレルに取り付けられた復帰ねじりばね(図示せず)の復元力作用で、瞬時初期位置に戻る。ドア施錠後、ドアロックシステムがボルトをかけ続け、ドアロックのボルトかけが完了するまでギアコンロッド5が逆時計回りに回転し、不完全ギアが歯なしストロークに回転し、ギアコンロッド5がねじりばね17の逆方向弾性力を受けて初期位置に戻る。
【0046】
前記爪ラチェット構造の爪は爪マンドレル18に固定軸回転可能に取り付けられ、一端がばね21に接続され、他端がラチェット19にプロファイル係合され、ラチェット19がラチェットマンドレル9に固定軸回転可能に取り付けられる。
【0047】
前記第1リンク部材であるギアコンロッド5はラチェットマンドレル9に固定軸回転可能に取り付けられる。開錠チェーンのリンク機構は、軽量化を図るために、細孔構造が設けられてもよい。
【0048】
モータ軸はウォーム軸と同軸であり、トリプルギアはアイドラー10と同軸に取り付けられるが、同軸に回転しない。ボルトギア11、ボルトフォーク12、及びダブルギア4は同軸に取り付けられる。ボルト回転円板13は固定軸回転し、ボルトプッシュロッド6はリニアプッシュロッドを採用し、一端が開錠回転円板7の開口溝内に収容され、他端がボルト回転円板13のシュート内に取り付けられ、ねじりばねによってフレキシブル接続される。
【0049】
前記横引きリンク8のざぐり式構造はトラック式シュートを採用し、ねじりばねの制限的移動に用いられ、横引きリンクは軽量化のために穿孔構造を採用してもよい。
【0050】
前記横引きリンクのトラック式シュートは中間部がやや外へ食み出すドラム状シュート又は中間部がやや内へ収縮する括れ状シュートを採用する。
【0051】
ねじりばね17が横引きリンク8のストレート溝内でスライド可能であり、ギアコンロッド5と横引きリンク8がシュート内で運動する時、ドアロック開錠チェーンの平面リンク機構の死点位置を通過した後、ねじりばね17の弾性力で初期位置に復帰する。
【0052】
図7及び
図8はドアロック開錠チェーンの横引きリンク8のストレート溝構造の2種の変形を示す。
図7はドラム状シュートであり、このシュート構造はねじりばねの力の迅速な放出等に寄与する。
図8は括れ状シュートであり、このようなシュート構造はねじりばねの力の保持等に寄与する。
【0053】
本発明のさらなる改良として、ドアロック開錠チェーン伝動システムの横引きリンク8のストレート溝の冗長長さを設定してもよく、このように設計することで、故障時のドアロックの安全性を向上させ、すなわち、モータ故障、モータの運転不良等の場合、ギアコンロッドが固着しても、手動開錠が可能であり、電動開錠も手動開錠も効かずドアロックが徹底的に固着してしまう現象を回避する。横引きリンク8のストレート溝を長くすることで、モータが故障して停止状態になり、伝動システムがギア伝動の精確噛合によってドアロックの固着を引き起こし、すなわち不完全ギア16が歯なしストロークまで到達してない場合、開錠回転円板7を手動で回転させて横引きリンク8を運動させ、最終的にドアロックの開錠を実現する。
【0054】
本発明のさらなる改良として、開錠チェーン中のアイドラー10は剛性骨格構造を有するフレキシブルギア構造として設けられてもよい。フレキシブル材料はある程度衝撃干渉及び振動吸収の機能を有し、ギアを適宜変形することでドアロック開錠チェーンの部材の過負荷保護を実現することができる。
【0055】
実施例2
【0056】
運動タイミング制御部材は第1リンク部材を採用し、実施例1のドアロック開錠チェーン伝動システムを元のギアーリンク直列式組み合わせ機構からギアー揺動カムーリンク直列式組み合わせ機構に変更し、元々チェーン末端のリンク機構のロッカーに揺動運動を提供するギア機構をフォースクロージャ形式の揺動カム機構に変更する。アイドラー10と同軸に回転する円板カム23と、円板カム23にフォースクロージャの形式で接触する揺動プッシュロッド22とを備え、前記揺動プッシュロッド22がねじりばねを介して横引きリンク8に接続され、円板カム23が近停留箇所で揺動プッシュロッド22に接触する時、ボルトチェーンが運動し、円板カム23が遠停留箇所に回転する時、揺動プッシュロッド22が横引きリンク8を連動して、ドアロックの電動開錠を完了し、カムが近停留箇所でロッカーに接触する時、該ドアロックシステムの初期動作位置であり、すなわち、復帰して次回のドアロック開錠に準備する。
【0057】
近停留箇所では、カムが回転するドアロック開錠チェーンは運動をチェーン末端の爪20に伝達せず、これは上記チェーンシステムの不完全ギアの機能と同じである。モータが回転し、運動を開錠チェーンに伝送する時、円板カムが遠停留箇所に回転し、ドアロックの開錠を完了し、円板カムが1周期回転し続け、次回の開錠位置に戻る。
【0058】
上記伝動機構に比べて、本実施例の形態はダブルギア4の上層ギアが全歯ギアであり、アイドラー10の上面に円板カム23が固定して接続され、円板カム23の回転速度がアイドラー10と同じである。
【0059】
図24は円板カムが近停留箇所に位置し、ドアロック開錠チェーンがボルト解除を完了した状態の模式図、
図25は円板カムが遠停留箇所に位置し、ドアロック開錠チェーンが開錠を完了した状態の模式図である。
【0060】
以上のように、ドアロック開錠チェーンを追加することで、該ドアロックシステムは該ドアロックの元の機能を保持するとともに電動開錠を実現できる。本発明の開錠チェーン伝動機構はシングル駆動電動開錠を実現できる。複合部材は、多運動モード及び復帰特徴を有するリンク機構を構成し、ドアロック伝動機構が多動作モード間で切り替え及び復帰を繰り返すことができる。不完全ギア伝動によって、該ドアロックシステムの2本のチェーンを所定の順序で動作させることができ、リンク機構と協働して開錠チェーンの一部の機構の多動作モード間での復帰を実現する。開錠又はボルトの電動ロックが完了するごとに、システム全体が初期位置に戻ることを確保し、ドアロックの電動開錠は再現性を有する。ドアロック開錠チェーンのリンク機構は該複合部材を介して、ボルトの電動ロック時、運動復帰作用を有し、シュートの長さによってドアロック開錠チェーンの耐障害性を確保し、構造の損傷を回避する。
【0061】
以上、実施例を参照して本発明の設計思想及び技術案を詳細説明した。当業者は上記実施例に対して種々の変形又は変形を行うことができ、本発明特許の趣旨を逸脱せずに、これらの変形又は変形はすべて本発明特許の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0062】
1-モータ、2-ウォームホイールマンドレル、3-ボルトマンドレル、4-ダブルギア、5-ギアコンロッド、6-ボルトプッシュロッド、7-開錠回転円板、8-横引きリンク、9-ラチェットマンドレル、10-アイドラー、11-ボルトギア、12-ボルトフォーク、13-ボルト回転円板、14-ウォームホイール、15-ウォーム、16-不完全ギア、17-ねじりばね、18-爪マンドレル、19-ラチェット、20-爪、21-ばね、22-揺動プッシュロッド、23-円板カム、24-複合部材。