(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】粉塵等除去用セパレータ
(51)【国際特許分類】
B01D 45/06 20060101AFI20220406BHJP
B01D 47/06 20060101ALI20220406BHJP
B01D 50/00 20220101ALI20220406BHJP
【FI】
B01D45/06 101
B01D47/06 Z
B01D50/00 501F
B01D50/00 501Q
B01D50/00 501Z
(21)【出願番号】P 2021518399
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2020018588
(87)【国際公開番号】W WO2020226164
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2019087906
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516084723
【氏名又は名称】HKテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】高木 祐
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-071510(JP,A)
【文献】特開平10-192628(JP,A)
【文献】特開昭62-065715(JP,A)
【文献】特開昭62-225220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00 - 45/18
B01D 46/00 - 46/90
B01D 47/00 - 47/18
B01D 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口及び排気口が設けられたケーシングを有し、排気口に接続される吸引手段によって、吸気口からケーシング外の気体を吸引し、吸引した気体中の粒子をケーシング内で除去又は低減して排気口から排出するセパレータであって、
前記ケーシング内には、
前記吸気口から流入した気体を誘導し、気体中の粒子を分離する気体誘導部と、
気体から分離された粒子を回収する粒子回収部、
とから成り、
前記気体誘導部は、
狭小に形成された空間への気体の誘導を促進する気体誘導促進ブレードと、
気体及び粒子をブレード先端の前方に設けられた間隙を通して誘導方向前方に噴出させる噴出ブレードと、
噴出された気体の流れ方向を前記吸引手段によって噴出直後に誘導方向前方から斜め後方へ誘導し、噴出された粒子を気体中から遠心分離させる遠心分離促進ブレード、
を備え、
前記粒子回収部は、
前記遠心分離促進ブレードの前方に設けられ、前記斜め後方へ誘導する際に遠心分離する粒子を回収することを特徴とする粉塵等除去用セパレータ。
【請求項2】
前記気体誘導部は、
第1の気体誘導部と第2の気体誘導部を備え、
第1の気体誘導部は、
吸気口側から排気口側へ下るように間隔を空けて配列された複数のルーバブレードを有し、前記ルーバブレードは吸気口側から排気口側へ向かう気流を下向きに押さえるようにブレード面の傾斜角が設けられ、前記ルーバブレードの配列により、吸気口側から排気口側に向かって気体の通過する空間が狭小に形成され、
第2の気体誘導部は、
狭小に形成された空間への気体の誘導を促進する前記気体誘導促進ブレードと、
該空間を形成し、該空間から気体及び粒子を前方に噴出させると共に、ブレード先端の前方に設けられた間隙を通して、噴出された気体の流れ方向を噴出直後に上方へ誘導し、噴出された粒子を気体中から遠心分離させる前記噴出ブレードと、
吸気口側から排気口側へ向かう気流を下向きに押さえるようにブレード面の傾斜角が設けられ、前記噴出ブレードにより噴出された気体の流れ方向を、前記噴出ブレード先端との間隙を通して噴出直後に上方ないし後方斜め上方へ誘導し、上記の遠心分離を促進させる前記遠心分離促進ブレード、
を備え、
前記粒子回収部は、
前記ケーシングの下方に設けられ、ブレード面に慣性衝突し重力により沈降する粒子又は遠心分離される粒子を回収することを特徴とする請求項1に記載の粉塵等除去用セパレータ。
【請求項4】
前記粒子回収部は、
第1の気体誘導部の前記ルーバブレードに気体が接触することによる慣性衝突により、気体中に含まれる粒子を重力により沈降させて回収する第1の粒子回収部と、
第2の気体誘導部によって遠心分離された粒子あるいは慣性衝突した粒子を回収する第2の粒子回収部、を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の粉塵等除去用セパレータ。
【請求項14】
前記気体誘導部は、吸気側のスリット状開口部から吸気し、前記気体誘導促進ブレードと前記噴出ブレードによってスリット幅が狭まったスリットから気体を前方へ噴出し、前記遠心分離促進ブレードによって噴出直後に気体を斜め後方へ誘導し、前記遠心分離促進ブレードの先端から気体を再び前方へ誘導して排気側のスリット状開口部から排出し、
前記粒子回収部は、狭まったスリット幅と同等以上、かつ、スリット長と同等以上のスリット状収容部を有し、前記収容部が前記気体誘導部に対して前方位置と隣接位置に配置され、前方位置の前記収容部が前記斜め後方へ誘導する際に遠心分離する粒子を回収し、隣接位置の前記収容部が前記遠心分離促進ブレードの先端から再び気体を前方へ誘導する際に遠心分離する粒子を回収することを特徴とする請求項13に記載の粉塵等除去用セパレータ。
【請求項15】
前記気体誘導部は、吸気側のスリット状開口部から吸気し、前記気体誘導促進ブレードと前記噴出ブレードによってスリット幅が狭まったスリットから気体を前方へ噴出し、前記遠心分離促進ブレードによって噴出直後に気体を斜め後方へ誘導し、前記遠心分離促進ブレードの先端から気体を斜め前方へ誘導し、気体を再び斜め後方へ誘導し、排気側のスリット状開口部から排出し、
前記粒子回収部は、狭まったスリット幅と同等以上、かつ、スリット長と同等以上のスリット状収容部を有し、前記収容部が前記気体誘導部に対して前方位置に配置され、粒子を回収することを特徴とする請求項13に記載の粉塵等除去用セパレータ。
【請求項21】
前記気体誘導部は、ミスト噴霧手段を更に備えることを特徴とする請求項1~20の何れかに記載の粉塵等除去用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体中に含まれる火山灰、鉄粉などの粉塵や、雨水・オイルミスト等を除去する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、気体中に含まれる火山灰、鉄粉、などの粉塵等を除去するためには不織布などのフィルタが用いられるが、不織布などのフィルタは、多量の粉塵が存在する環境やミストが混在する環境では短時間で目詰まりを起こすという問題がある。これに対して、ルーバ型のセパレータは、ファンにより空気の引き込みを行うことで、粉体、ミストとも分離して回収することができ、目詰まりが無いため長寿命である。また、サイクロンセパレータなどに比べると安価で設置場所も少ないスペースで済むという利点がある。
ルーバ型のセパレータとしては、屈曲した折れ板の壁面に、固体微粒子を慣性力で衝突させ、折れ板壁面に沿って重力で下部に落下させて微粒子を捕集する固体微粒子の分級装置が知られている(特許文献1を参照)。これによれば、大粒子と小粒子を効果的に分級することができるが、粉塵等を含む気体から、大粒子だけではなく小粒子も除去して、浄化し得るものではない。
【0003】
また、大粒子に限らず、分級後の粉体の粒径に応じた後処理を容易にする多段式分級機が知られている(特許文献2を参照)。これは、遠心式分級機と、衝突式分級機と、重力式分級機とを備え、多様な粒径の粉体の分級を可能としたものである。しかしながら、上記特許文献2に開示された多段式分級機は、粉塵等を含む気体の浄化を目的とするものではなく、目的の点で異なる。また、気体中に含まれる火山灰、鉄粉などの粉塵や、雨水・オイルミスト等を除去する技術は、特定の場所に限定して必要とされるとは限らず、装置をあらゆる場所に移動させて使用できることが望ましいといえる。しかしながら、特許文献2に開示された多段式分級機では、構造が複雑であり、装置が大がかりなものとなってしまい、高価でかつ移動に適さないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-68630号公報
【文献】実開平5-18681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況に鑑みて、本発明は、低圧損で長寿命であり、粉塵等除去効果が高く、かつ、安価でコンパクトな設計が可能な粉塵等除去用セパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の粉塵等除去用セパレータは、吸気口及び排気口が設けられたケーシングを有し、排気口に接続される吸引手段によって、吸気口からケーシング外の気体を吸引し、吸引した気体中の粒子をケーシング内で除去又は低減して排気口から排出するセパレータであって、ケーシング内には、吸気口から流入した気体を誘導し、気体中の粒子を分離する気体誘導部と、気体から分離された粒子を回収する粒子回収部を備える。
気体誘導部は、狭小に形成された空間への気体の誘導を促進する気体誘導促進ブレードと、気体及び粒子を誘導方向前方に噴出させると共に、ブレード先端の前方に設けられた間隙を通して、噴出された気体の流れ方向を噴出直後に誘導方向前方から斜め後方へ誘導し、噴出された粒子を気体中から遠心分離させる噴出ブレードを備える。
粒子回収部は、噴出ブレードの前方に設けられ、斜め後方へ誘導する際に遠心分離する粒子を回収する。
ここで、遠心分離を促進させるために、噴出ブレードにより噴出された気体の流れ方向を、噴出ブレードとの間隙を通して噴出直後に斜め後方へ誘導し、遠心分離を促進させると共に、斜め前方に向かう粒子をブレード面に慣性衝突させる遠心分離促進ブレードを更に備えることが好ましい。
【0007】
本発明の第1の観点の粉塵等除去用セパレータについて説明する。
第1の観点の粉塵等除去用セパレータにおいて、気体誘導部は、第1の気体誘導部と第2の気体誘導部を備える。第1の気体誘導部は、吸気口側から排気口側へ下るように間隔を空けて配列された複数のルーバブレードを有し、ルーバブレードは吸気口側から排気口側へ向かう気流を下向きに押さえるようにブレード面の傾斜角が設けられ、ルーバブレードの配列により、吸気口側から排気口側に向かって気体の通過する空間が狭小に形成される。
また、第2の気体誘導部は、狭小に形成された空間への気体の誘導を促進する上記気体誘導促進ブレードと、該空間を形成し、該空間から気体及び粒子を前方に噴出させると共に、ブレード先端の前方に設けられた間隙を通して、噴出された気体の流れ方向を噴出直後に上方へ誘導し、噴出された粒子を気体中から遠心分離させる上記噴出ブレードと、吸気口側から排気口側へ向かう気流を下向きに押さえるようにブレード面の傾斜角が設けられ、上記噴出ブレードにより噴出された気体の流れ方向を、上記噴出ブレード先端との間隙を通して噴出直後に上方ないし後方斜め上方へ誘導し、上記の遠心分離を促進させる上記遠心分離促進ブレードを備える。なお、遠心分離促進ブレードによって、前方斜め上方に向かう粒子が、ブレード面に慣性衝突することも想定できる。
粒子回収部は、ケーシングの下方に設けられ、ブレード面に慣性衝突し重力により沈降する粒子又は遠心分離される粒子を回収する。
【0008】
ルーバブレードは、吸気口側から排気口側へ向かう気流を下向きに押さえるようにブレード面の傾斜角が設けられ、かつ、吸気口側から排気口側へ下るように間隔を空けて階段状に配列される。このため、吸気口から流入した気体は、吸気口側に配置されたルーバブレードから順に、ルーバブレードの下面側に接触することによる慣性衝突により、気体中に含まれる粒子を重力により、気体中に含まれる粒子が沈降することとなる。ここで、粒子とは、火山灰、鉄粉などの粉塵や、雨水・オイルミスト等のことである。また、吸気口側および排気口側とは、吸気口が存在する側、排気口が存在する側という意味合いに加え、吸気側および排気側という主な気流の方向を指す意味で用いている。例えば、ケーシングの左側に吸気口があり、右側に排気口があれば、主な気流の方向は、左から右である。一方、ケーシングの一側面に吸気口と排気口があり、配管などで吸気側と排気側が分けられている場合は、吸気側および排気側というように解釈する。
ルーバブレードが所定の間隔を空けて設けられることにより、粒子が含まれない或は低減された気体は上方へと抜け出ることが可能となる。これにより、粉塵等除去効果を維持しつつ、低圧損の構成とすることができる。ここで、ルーバブレード間の間隔とは、均等な間隔であることが好ましいが、ルーバブレード間毎に異なる間隔としてもよい。また、“間隔を空けて”とは、ルーバブレード同士が全面において接着することを除外する趣旨に過ぎず、ルーバブレードの一部分と一部分が当接或は接着されていても構わない。
【0009】
ルーバブレードの配列により、第1の気体誘導部において気体の通過する空間は、吸気口側は幅広に形成され、排気口側は狭小に形成されるため、吸気口付近では気体の流速は遅くなり、排気口側へ進むに連れて流速が速くなる。吸気口付近での気体の流速を遅くすることにより、粒子の沈降を促進し、粒子を多く含んだ気体が、第2の気体誘導部へ巻き込まれることを防止できる。
沈降した粒子は、粒子回収部において回収され、比較的大きな粒子が除去された気体が、第2の気体誘導部へと誘導される。
【0010】
第2の気体誘導部には、狭小に形成された空間への気体の誘導を促進する気体誘導促進ブレードが設けられるが、気体誘導促進ブレードは、粉塵等を含んだ気体の漏出を防止又は抑制する機能を有するため、噴出ブレードと接続されていることが好ましい。また、気体誘導促進ブレードは、ルーバブレードと同様に、吸気口側から排気口側へ向かう気流を下向きに押さえるようにブレード面の傾斜角が設けられることが好ましい。
噴出ブレードは、気体誘導部と粒子回収部を仕切る仕切り部、又は、ケーシング内における底部との間に狭小空間を形成し、該狭小空間から高速で気体及び粒子を前方に噴出する。ここで前方とは、気体の流れ方向における前方を意味している。噴出ブレードは、気体誘導部と粒子回収部を仕切る仕切り部、又は、ケーシング内における底部よりも面積が狭く設けられ、かつ、噴出ブレード先端の前方には間隙が設けられているため、噴出した気体を、噴出ブレードの排気口側、すなわち噴出ブレード先端において上方に急激に変化させることで、粒子を遠心分離により噴出ブレード前方に分離させる。分離された粒子は、粒子回収部において回収される。
【0011】
遠心分離促進ブレードは、吸気口側から排気口側へ向かう気流を下向きに押さえるようにブレード面の傾斜角が設けられ、噴出ブレードにより噴出された気体の流れ方向を、噴出ブレード先端とこの遠心分離促進ブレードとの間隙を通して噴出直後に上方ないし後方斜め上方へ誘導する。そして、遠心分離促進ブレードは、噴出された粒子を気体中から遠心力により分離する遠心分離を促進させると共に、前方斜め上方に向かう粒子をブレード面に慣性衝突させる。
遠心分離促進ブレードが設けられることにより、気体の流れは、噴出直後に上方ないし後方斜め上方へ誘導されるため、より急激な曲率となり、噴出ブレード先端における遠心分離性能を更に促進する。噴出ブレード先端と遠心分離促進ブレードとの間隙が狭くなればなるほど、遠心分離促進ブレードのブレード面の傾斜によって、気体の流れが噴出方向(前方)から間隙を通り後方斜め上方へ向かうという、あたかもヘアピンカーブのように急激な曲率が形成されることになる。
【0012】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、粒子回収部は、第1の気体誘導部のルーバブレードに気体が接触することによる慣性衝突により、気体中に含まれる粒子を重力により沈降させて回収する第1の粒子回収部と、第2の気体誘導部によって遠心分離された粒子或は慣性衝突した粒子を回収する第2の粒子回収部を備えることが好ましい。
気体中に含まれる粒子を重力により沈降させるとは、第1の気体誘導部のルーバブレードに気体が接触した際に、慣性衝突により粒子の運動エネルギーが小さくなり粒子に働く重力によって下方に沈降することをいう。
なお、第1の粒子回収部と第2の粒子回収部は、それぞれ個別の開口部を有し、粒子を回収することができるが、回収された粒子を溜める粒子回収ユニットは、一体化されたことが好ましい。
【0013】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、吸気口から流入した直後に、気体中に浮遊する比較的に比重が大きい粒子又は比較的にサイズが大きい粒子を整流ブレード面に慣性衝突させ自重により沈降させる少なくとも1枚の整流ブレードから成る第3の気体誘導部が更に設けられたことが好ましい。
整流ブレードが設けられることにより、吸気口から流入した直後の気体から、比較的に比重の大きい粒子又はサイズの大きい粒子を、ブレード面に慣性衝突及び重力により早期に沈降させ、粒子の回収効率を高めることができる。整流ブレードは、吸気口側から排気口側へ下るように傾斜が設けられた形状で、かつ、該傾斜は各ルーバブレードよりも緩やかな傾斜であることが好ましい。
【0014】
本発明の粉塵等除去用セパレータは、上記の第3の気体誘導部において、慣性衝突した粒子を回収する第3の粒子回収部が更に設けられたことが好ましい。
第3の粒子回収部が設けられることにより、吸気口から流入した直後の気体から、比較的比重の大きい粒子又はサイズの大きい粒子を早期に回収することができる。第3の粒子回収部には、第1の粒子回収部又は第2の粒子回収部に設けられる開口部とは異なる開口部を有するが、回収された粒子を溜める粒子回収ユニットは、第1の粒子回収部及び第2の粒子回収部と一体化されたことが好ましい。
【0015】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、ルーバブレードの少なくとも1枚は、上端が吸気口側へ湾曲又は屈曲して延設されたことが好ましい。
ルーバブレードの上端が吸気口側へ向けて加工された形状とされることで、ルーバブレード間に流入した気体を滞留させ、気体中の粒子が上方へ抜け出ることを防止できる。
【0016】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、ルーバブレードの少なくとも1枚は、下端が排気口側へ湾曲又は屈曲して延設されたことが好ましい。
ルーバブレードの下端が排気口側へ向けて加工された形状とされることで、ルーバブレード間に流入する気体の量自体を低減させ、気体中の粒子が上方へ抜け出ることを防止できる。
【0017】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、第2の粒子回収部は、流入した気体の流速を低下して、遠心分離された粒子を捕集するチャンバが設けられたことが好ましい。
第2の粒子回収部に流入する気体は、第2の気体誘導部から高速で噴出された気体であるため、逆流の恐れがある。そこで、チャンバを設けることにより、流入する気体の速度を低下させて、効率的に粒子を回収できる構造とすることができる。
【0018】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、第2の粒子回収部に流入した気体の流速を低下するチャンバが設けられた場合には、チャンバの内壁には、気体の衝突による粒子の跳ね返りを緩和するクッション部材が設けられたことが好ましい。
チャンバの内壁にクッション部材が設けられることにより、チャンバの内壁に気体が衝突し、粒子が跳ね返る現象を緩和することができる。クッション部材としては、例えば、不織布、フェルトなどが用いられる。
【0019】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、第2の粒子回収部は、電気集塵手段を備えることが好ましい。第2の粒子回収部は、流入した気体の流速を低下して、遠心分離された粒子を捕集するが、この際、粒径が極めて小さいものも捕集するために、電気集塵手段を更に備える。電気集塵手段は浮遊粒子を荷電させる電極と、荷電粒子を引き寄せる電極又は荷電粒子と反対の電荷が帯電したフィルタ等とから構成される。
【0020】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、ケーシングは、多角柱形状又は円柱形状であることが好ましい。
ケーシングが多角柱形状又は円柱形状とされることにより、外部の集塵手段、気液分離手段又は吸気手段等と組み合わせてコンパクトに接続でき、省スペースな構成とすることができる。また、台車等に取り付けて移動可能な構成とする場合にも設計がしやすく、利便性が向上する。したがって、ケーシングと他の機器とは配管を用いずに接続し得ることが好ましい。なお、円柱形状における円柱とは楕円柱も含む。
【0021】
本発明の第2の観点及び第3の観点の粉塵等除去用セパレータについて説明する。
まず、第2の観点及び第3の観点の粉塵等除去用セパレータにおいては、噴出ブレードにより噴出された気体の流れ方向を、噴出ブレードとの間隙を通して噴出直後に斜め後方へ誘導し、上記の遠心分離を促進させると共に、斜め前方に向かう粒子をブレード面に慣性衝突させる遠心分離促進ブレードを更に備えることを前提とする。
第2の観点の粉塵等除去用セパレータにおいて、気体誘導部は、吸気側のスリット状開口部から吸気し、気体誘導促進ブレードと噴出ブレードによってスリット幅が狭まったスリットから気体を前方へ噴出する。遠心分離促進ブレードによって噴出直後に気体を斜め後方へ誘導し、遠心分離促進ブレードの先端から気体を再び前方へ誘導する。そして、排気側のスリット状開口部から排出する。
また、第2の観点の粉塵等除去用セパレータにおいて、粒子回収部は、狭まったスリット幅と同等以上、かつ、スリット長と同等以上のスリット状収容部を有し、収容部が気体誘導部に対して前方位置と隣接位置に配置される構成を備える。前方位置の収容部は、斜め後方へ誘導する際に遠心分離する粒子を回収する。一方、隣接位置の収容部は、遠心分離促進ブレードの先端から再び気体を前方へ誘導する際に遠心分離する粒子を回収する。
【0022】
第3の観点の粉塵等除去用セパレータにおいて、気体誘導部は、吸気側のスリット状開口部から吸気し、気体誘導促進ブレードと噴出ブレードによってスリット幅が狭まったスリットから気体を前方へ噴出する。遠心分離促進ブレードによって噴出直後に気体を斜め後方へ誘導し、遠心分離促進ブレードの先端から気体を斜め前方へ誘導し、気体を再び斜め後方へ誘導する。そして、排気側のスリット状開口部から排出する。
また、第3の観点の粉塵等除去用セパレータにおいて、粒子回収部は、狭まったスリット幅と同等以上、かつ、スリット長と同等以上のスリット状収容部を有し、収容部が気体誘導部に対して前方位置に配置され、粒子を回収するように構成される。
【0023】
第2及び第3の観点の粉塵等除去用セパレータにおいて、気体誘導部と粒子回収部は、スリットの長さ方向の各々の中心面に対して面対称であり、各々の中心面が同一平面となるように各々が配置される。また、気体誘導促進ブレードと噴出ブレードと遠心分離促進ブレードとが、中心面に対して対称な位置に配置される。このような構成を備えることにより、構造がシンプルとなり、セパレータの製造コスト低減と製造面の品質を向上できる。
また、第2及び第3の観点の粉塵等除去用セパレータにおいて、上記の中心面となる仕切り面が形成されてもよく、仕切り面が形成されることにより、容積を少なくした収容部を多く備えることができる。
【0024】
ここで、粒子回収部の収容部の内壁には、凹凸の形成、粉塵吸着剤の塗布又は粉塵吸着シートの貼付による粉塵飛散防止加工が施されたことが好ましい。
【0025】
第2及び第3の観点の粉塵等除去用セパレータにおいて、気体誘導部と粒子回収部の対は、複数並列配置された態様が好ましい。複数のスリット状開口部を並列配置することにより、吸気口の開口面積を調整する。この場合、ケーシングは、対向する2つのパネル面を有し、一方のパネル面に吸気口、他方のパネル面に排気口が配置され、パネル面の縦又は横の長さと比べて厚みが小さくできる。矩形のフィルタのような形状にでき、コンパクトな設計が可能である。
【0026】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、気体誘導部は、ミスト噴霧手段を更に備えることが好ましい。ミスト噴霧手段は、水などの液体を人工的に霧状にして散布(噴霧)するものであり、吸気口から入る気体に対して、水などを霧状にして噴霧することにより、気体中に浮遊する粉塵を濡らし、重力による沈降や遠心分離による回収効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の粉塵等除去用セパレータによれば、目詰まりが無いため低圧損で長寿命であり、粉塵等除去効果が高く、かつ、安価でコンパクトな設計が可能になるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施例1の粉塵等除去用セパレータの正面イメージ図
【
図2】実施例1の粉塵等除去用セパレータの斜視イメージ図
【
図5】実施例3の粉塵等除去用セパレータの正面イメージ図
【
図8】実施例6の粉塵等除去用セパレータの外観模式図
【
図9】実施例6の粉塵等除去用セパレータの断面模式図
【
図10】実施例6の粉塵等除去用セパレータの構造説明図
【
図11】実施例7の粉塵等除去用セパレータの外観模式図
【
図12】実施例7の粉塵等除去用セパレータの構造説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例1】
【0030】
図1は、実施例1の粉塵等除去用セパレータの正面イメージ図を示している。
図1に示すように、粉塵等除去用セパレータ1は、気体誘導部1a及び粉塵回収部1bから成る。気体誘導部1aには、吸気口7a及び排気口7bが設けられており、吸気口7aから粉塵等を含んだ気体を吸引し、排気口7bから排出する構造である。気体の吸引は、図示しないが排気口7b側に送風機を接続して吸引を行う。なお、排気口7bは、別の粉塵除去ユニットと配管無しでコンパクトに接続可能な構成となっているが、配管(図示せず)を接続することも可能である。粉塵回収部1bは、第1の粉塵回収部4a、第2の粉塵回収部4b及び第3の粉塵回収部4cから成り、気体誘導部1aと粉塵回収部1bは、仕切り部1cにより、仕切られている。
仕切り部1cには、開口部(1d~1f)が設けられ、開口部1dを通じて第1の粉塵回収部4aに、開口部1eを通じて第2の粉塵回収部4bに、開口部1fを通じて第3の粉塵回収部4cに気体が流入し得る構造となっている。また、開口部1eの排気口側には遠心分離促進ブレード5が設けられている。気体誘導部1aの内部には、ルーバブレード(2a~2k)、整流ブレード(21a~21e)、気体誘導促進ブレード3a及び噴出ブレード3bが設けられ、気体誘導促進ブレード3aと噴出ブレード3bは接続されている。
【0031】
図2は、実施例1の粉塵等除去用セパレータの斜視図を示している。なお、
図2においては説明の都合上、整流ブレード(21a~21e)や第3の粉塵回収部4cは図示せず、またルーバブレード2等についても枚数や形状を簡略化して図示している。
図2に示すように、粉塵等除去用セパレータ1は、略直方体形状を呈しており、ルーバブレード2は、気体誘導部1a内において、略直方体形状の粉塵等除去用セパレータ1の手前の面と奥の面のいずれにも当接するように固定されている。これにより、ルーバブレード2の左右、すなわち粉塵等除去用セパレータ1の手前の面と奥の面に当接する部位から、気体8が漏れることの無い構造となっている。
【0032】
図1に示すように、ルーバブレード(2a~2k)は、いずれも左上から右下へと傾斜を設けて配置されている。ルーバブレード(2a~2k)が左上から右下に向けて傾斜を設けて配置されることにより、吸気口7aから流入した気体8aは、ルーバブレード(2a~2k)の下面に衝突し、下方へと誘導されるだけではなく、吸気口付近の空間が広く形成され、気体が右方へ流れるに従って次第に空間が狭くなるため、吸気口付近における吸い込み速度を低下させることができ、粉塵が右方に巻き込まれる量を低減することができる。
【0033】
ここで、ルーバブレード(2a~2k)の構造について説明する。
図3は、実施例1のルーバブレードの説明図を示している。例えば、平板形状のルーバブレード(図示せず)では、ブレードとブレードの隙間から気体が容易に抜け出るため、気体中に含まれる粉塵等も一緒に抜け出てしまいやすくなるという問題がある。そこで、
図3に示すように、L字型のルーバブレード(2a~2e)は、上端部12aが左方に向けて略90°屈曲している。気体8は、基本的に、ルーバブレード(2a~2e)の下面に衝突しながら、左上から右下へと誘導されるが、矢印6cに示すように、気体8の一部は、ルーバブレード2aとルーバブレード2bの隙間、ルーバブレード2bとルーバブレード2cの隙間、ルーバブレード2cとルーバブレード2dの隙間又はルーバブレード2dとL字型ルーバブレード2eの隙間に流入する。しかしながら、L字型のルーバブレード(2a~2e)の上端が左方に向けて略90°屈曲していることにより、矢印6cに示すように、気体8はブレードとブレードの隙間に滞留するため、粉塵等がブレードとブレードの隙間から上方に向けて漏出し難い構造となっている。
【0034】
整流ブレード(21a~21e)は、吸気口7aから流入した気体8a中に浮遊する比較的比重が重い粒子又は比較的サイズが大きな粒子を、ブレード面に慣性衝突させ自重により沈降させるために設けられたものであり、ルーバブレード(2a~2k)よりも緩やかな傾斜が設けられている。吸気口7aから流入した気体8a中に浮遊する粉塵の内、比較的重い粉塵やサイズが大きい粉塵は、整流ブレード(21a~21e)面に慣性衝突し、自重により沈降することによって、気体8aから分離し、矢印8bのように下方へと誘導され、開口部1fから第3の粉塵回収部4cに流入し、粉塵回収ユニット90に粉塵9として回収される。
【0035】
吸気口7aから流入した気体8aの内、比較的重い粉塵やサイズが大きい粉塵が除かれた気体8cは、ルーバブレード(2a~2k)の下面に触れながら下方へと誘導される。
本実施例ではルーバブレード(2a~2k)は、一定の間隔を空けて、吸気口7a側から排気口7b側へ階段状に下るように配列されている。
ルーバブレードが複数設けられることにより、流入した気体8aは、ルーバブレード(2a~2k)によって方向を変える気流に乗り切らず、自らの慣性によってルーバブレード(2a~2k)の下面に衝突する。その結果、気体8cに含まれる粉塵が下方に落下しやすくなる。
【0036】
比較的大きな粉塵は、一般に比重が重いため、前述した第3の粉塵回収部4cにおいて回収される。そのため、下方へと誘導された気体8cには、比較的小さな粉塵が含まれている。下方へと誘導された気体8c中に浮遊する比較的小さな粉塵の内、やや大きめのものは、ルーバブレード(例えば、2d~2kなど)のブレード面による慣性衝突及び重力により沈降し矢印8dのように下方へと誘導され、開口部1dから第1の粉塵回収部4aに流入し、粉塵回収ユニット90に粉塵9として回収される。
なお、第1の粉塵回収部4a、第3の粉塵回収部4c及び後述する第2の粉塵回収部4bは連通しており、いずれの回収部において回収された粉塵等も同じ粉塵回収ユニット90に収容される構造となっている。かかる構成とは異なり、第1の粉塵回収部4a、第2の粉塵回収部4b及び第3の粉塵回収部4cがそれぞれ独立した粉塵回収ユニットを備える構成でもよい。独立した粉塵回収ユニットを備える構成とした場合には、粒径の異なる粉塵を分級して回収することができ、その後の処理における利便性を向上させることができる。
また、回収された粉塵9は、粉塵回収部1bに設けられた粉塵取り出し口25を矢印6aに示すように開き、矢印6bに示すように粉塵回収ユニット90を引き出して、廃棄処理を行うことができる。
【0037】
さらに、気体8cは、気体誘導促進ブレード3aにより、上方へ向かう気体8eに浮遊する極めて小さな粉塵の上方への漏出を防止しつつ、噴出ブレード3bと仕切り部1cとの間に形成された狭小空間に誘導され、噴出ブレード3bの右端部から高速で噴出される。噴出ブレード3bは、上方に吸引される気体8eの流れ方向を噴出ブレード3bの先端において急激に変化させることで、粉塵を遠心分離により噴出ブレード3bの前方に分離させる。
すなわち、矢印で示す気体8eの根元辺りは、噴出ブレード3bによって水平から斜め下方向に噴出する気体と気体に含まれる粒子の流れを表現しており、その後、排気口7b側の吸引によって噴出ブレード3bの右端部と遠心分離促進ブレード5の間に形成された間隙を通って急激に上方に気体の方向が変わることによる遠心分離の力によって、気体8e中に浮遊する粉塵は、そのまま水平から斜め下方向(矢印8f)に進み、後述するチャンバボックス13に進む。或は、粉塵の内、水平から斜め上方に浮き上がるものは、遠心分離促進ブレード5のブレード面に慣性衝突してチャンバボックス13に向かう方向に変化する。このように、気体8e中に浮遊する粉塵は、開口部1eから第2の粉塵回収部4bに流入し、粉塵回収ユニット90に粉塵9として回収される。
なお、噴出ブレード3bと遠心分離促進ブレード5の間の間隙が狭いほど、気体8eは上方よりも後方斜め上方に向かうため、噴出ブレード3bと遠心分離促進ブレード5の間の間隙を狭く設けることで遠心力が強く働く構成とすることも可能である。
【0038】
気体8eは、噴出ブレード3bと仕切り部1cとの間に形成された狭小空間から噴出されるため、高速で噴出される。したがって、粉塵が進む方向(矢印8f)についても、高い流速を保ったまま開口部1eから第2の粉塵回収部4bに流入することになる。粉塵が進む方向8fの粒子速度が速いままであると、粉塵が開口部1eの方向へ逆流する恐れが生じるため、第2の粉塵回収部4bの上方には、チャンバボックス13が設けられている。チャンバボックス13の内壁面上には、クッション部材14が貼り付けられており、粉塵がチャンバボックス13の内壁面に衝突した際の跳ね返りを防止する構造となっている。第2の粉塵回収部4bに流入した粉塵は、チャンバボックス13の広い空間とクッション部材14により流速が低下し、粉塵9として粉塵回収ユニット90に回収される。
【実施例2】
【0039】
図4は、実施例2のルーバブレードの説明図を示している。本実施例では、S字型のルーバブレードについて説明する。
図4に示すように、S字型ブレード(22a~22e)は、上端部12aが左方に向けて湾曲し、下端部12bが右方に向けて湾曲している。気体8は、S字型ブレード(22a~22e)の下面に左方から衝突し、S字型ブレード22aからS字型ブレード22b、S字型ブレード22bからS字型ブレード22c、S字型ブレード22cからS字型ブレード22d、S字型ブレード22dからS字型ブレード22eと順に下面に触れて、
図4に示すように、基本的に左上から右下へと誘導されるが、矢印6dに示すように、気体8の一部は、S字型ブレード22aとS字型ブレード22bの隙間、S字型ブレード22bとS字型ブレード22cの隙間、S字型ブレード22cとS字型ブレード22dの隙間又はS字型ブレード22dとS字型ブレード22eの隙間に流入する。しかしながら、
図3で示したL字型のルーバブレード(2a~2e)とは異なり、S字型ブレード(22a~22e)は、下端部12bが右方に向けて湾曲しているため、L字型のルーバブレード(2a~2e)よりもブレード間に気体8が流入し難い形状となっている。また、ブレード間に気体8aが流入した場合でも、S字型ブレード(22a~22e)は、上端部12aが左方に向けて湾曲していることにより、矢印6dに示すように、気体8はブレードとブレードの隙間に滞留するため、粉塵等がブレードとブレードの隙間から上方に向けて漏出し難い構造となっている。
【実施例3】
【0040】
図5は、実施例3の粉塵等除去用セパレータの正面イメージ図を示している。
図5に示すように、粉塵等除去用セパレータ100は、気体誘導部1a及び粉塵回収部1bから成る。気体誘導部1aには、吸気口7a及び排気口7bが設けられており、吸気口7aから粉塵等を含んだ気体を吸引し、排気口7bから排出する構造である。かかる点については、実施例1で説明した粉塵等除去用セパレータ1と同様である。
しかしながら、粉塵等除去用セパレータ100では、粉塵等除去用セパレータ1とは以下の点で異なる。すなわち、粉塵回収部1bは、第1の粉塵回収部4a及び第2の粉塵回収部4bから成る。仕切り部1cには、開口部(1d,1e)が設けられ、開口部1dを通じて第1の粉塵回収部4aに、開口部1eを通じて第2の粉塵回収部4bに気体が流入し得る構造となっている。また、気体誘導部1aの内部には、ルーバブレード(2a~2k)、気体誘導促進ブレード3a及び噴出ブレード3bが設けられ、気体誘導促進ブレード3aと噴出ブレード3bは接続されている。
【0041】
図5に示すように、粉塵等除去用セパレータ100では、
図1で示したような整流ブレード(21a~21e)は設けられていないため、比較的大きな粉塵を第3の粉塵回収部4cにおいて予め回収することはできないが、ルーバブレード(2a~2k)及び第1の粉塵回収部4aが設けられることにより、比較的大きな粉塵についても第1の粉塵回収部4aにおいて回収し得る構造となっている。
また、遠心分離促進ブレード5が設けられていないが、噴出ブレード3bの右端部とチャンバボックス13の間に設けられた間隙により、気体8e中に含まれる粉塵を遠心分離する構造である。チャンバボックス13には、クッション部材14は設けられていないが、チャンバボックス13に設けられた広い空間により、流入する気体8fの流速を低下させる構造である。
このように、比較的少ない部材で構成されたシンプルな構造のセパレータであっても、粉塵等を効果的に除去又は低減できることから、コンパクトかつ低コストで製造することが可能である。
【実施例4】
【0042】
図6は、実施例4の粉塵除去装置の概略イメージ図を示している。
図6に示すように、粉塵除去装置10は、粉塵等除去用セパレータ11、湿式集塵装置30、気液分離機40、送風機50及び台車部60から成り、粉塵等除去用セパレータ11、湿式集塵装置30、気液分離機40及び送風機50は、台車部60上に設置されている。粉塵除去装置10は、送風機50の作動により、吸気口71aから外部の空気を吸引し、粉塵を除去した上で、排気口71bから空気を排出する。粉塵の除去は、粉塵等除去用セパレータ11及び湿式集塵装置30を用いて行う。また、台車部60には、車輪(60a,60b)が設けられており、移動が容易な構成となっている。
粉塵等除去用セパレータ11の構造については、実施例1とは異なり、粉塵回収部11bにおいて第3の粉塵回収部4cが設けられていないが、その他は類似した構成となっている。
すなわち、
図6に示すように、気体誘導部11aにおいてルーバブレード2及び整流ブレード21は、複数設けられ、いずれも左上から右下に向けて傾斜を設けて配置されている。ルーバブレード2及び整流ブレード21が左上から右下に向けて傾斜を設けて配置されることにより、吸気口71aから流入した気体8a中に浮遊する比較的大きい粉塵は、矢印8hのように下方へと誘導される。
下方へと誘導された粉塵は、ルーバブレード2又は整流ブレード21によって、慣性衝突及び重力により沈降し、粉塵回収部11bにおいて、粉塵9として回収される。
これに対して、比較的小さな粉塵は、噴出ブレード3bと仕切り部11cの間に形成された空間に誘導されて噴出する。比較的小さな粉塵は、噴出ブレード3bと遠心分離促進ブレード5aにより、矢印8iのように上方に吸引される気体の流れ方向が急激に変化し、粉塵は遠心分離により噴出ブレード3bの前方下向き(矢印8nの向き)に分離される。気体誘導部1aの右端には、遠心分離促進ブレード5aが設けられており、遠心分離及び慣性衝突により粉塵を下方へと落下させる。
【0043】
湿式集塵装置30は、粉塵等除去用セパレータ11により、粉塵が除去された気体8jにつき、さらに微細な粉塵を除去するために用いられる。湿式集塵室31の室内には、塩化カルシウムなどを含んだ不凍液32が収容されている。不凍液32の液体中には、管群型スクラバ33の気体導入管34が挿し込まれている。管群型スクラバ33へと送られた気体8jは、気体導入管34の下端から噴出して気泡となり、不凍液32に触れることで微細な粉塵が除去される仕組みである。
不凍液32による粉塵除去が行われた気体8kは、気液分離機40へと送られ、ここで気体8mと液体に分離されて、気体8mのみが配管70を通って排気口71bから排出される。
【0044】
湿式集塵装置3は、微細な粉塵を捕集することができるが、捕集された粉塵が溜まり、捕集効率が低下すると、捕集効率を高めるためには、不凍液32自体を交換する必要があり、コストや手間がかかる。これに対して、粉塵等除去用セパレータ11が設けられる場合には、捕集された粉塵が溜まった場合には、
図1に示した粉塵取出し口25から溜まった粉塵9を粉塵回収ユニット(図示せず)ごと取出すだけでよく、コストや手間がかからないというメリットがある。そのため、湿式集塵装置3の前に粉塵等除去用セパレータ11を設けることで、大方の粉塵を粉塵等除去用セパレータ11で捕集し、その後、微細な粉塵についてのみ湿式集塵装置30で捕集することができ、低コストでメンテナンスを行うことを可能としている。
【0045】
図6に示すように、湿式集塵装置30による粉塵除去が行われた気体8kは、気液分離機40へと送られる。不凍液32中を通った気体8kには、僅かに水分が含まれているため、気液分離機40を用いて気体と液体が分離されることとなる。
気液分離機40は、室内の上方から流入した気体を下方へと誘導し、遠心分離により気体と液体を分離する構造である。気液分離機40は、第1の気液分離室41及び第2の気液分離室42から成る。第1の気液分離室41には傾斜板24aが設けられ、第2の気液分離室42には傾斜板24bが設けられている。また、第1の気液分離室41と第2の気液分離室42は、隔壁23により隔てられている。隔壁23は、第1の気液分離室41及び第2の気液分離室42の下端部においては、隙間なく接着されているが、第1の気液分離室41及び第2の気液分離室42の上端部とは接着されず、気体の流路となる間隙が設けられている。
【0046】
第1の気液分離室41に流入した気体8kは、下方へと誘導され、下端がV字状に形成された傾斜板24aにより気体と液体に遠心分離され、液体が分離された気体8lは、第2の気液分離室42へと誘導される。第2の気液分離室42に流入した気体8lは、同様に、下方へと誘導され、下端がV字状に形成された傾斜板24bにより気体と液体に遠心分離され、液体が分離された気体8mは、配管70を通って排気口71bから排出される。
【実施例5】
【0047】
本発明の粉塵等除去用セパレータにおいて、第2の粒子回収部に電気集塵手段を備えた構成について、
図7を参照して説明する。
図7において、第2の粒子回収部4bは、流入した気体8fの流速を低下して、遠心分離された粒子を捕集するが、この際、粒径が極めて小さいものも捕集するために、電気集塵手段としての放電極81と集塵極82を備える。放電極81では流入した気体8fに浮遊する小さな粒子を荷電させ、荷電した粒子を集塵極82で引き寄せることにより、重力や遠心分離の作用により回収されない更に小さい粒子を捕集でき、集塵性能を更に向上することができる。
【実施例6】
【0048】
本発明の第2の観点の粉塵等除去用セパレータの一実施形態について、
図8~10を参照して説明する。
図8はセパレータの外観模式図(斜視イメージ)であり、
図9は断面模式図である。なお、
図8の外観模式図において、内部構造の理解のために、上蓋を外した状態を図示している。
図8に示すとおり、本実施例の粉塵等除去用セパレータ200は、パネル面の縦横の長さと比べて厚みが小さいパネル状のケーシング204を有し、ケーシング204の一方のパネル面には、吸気201を吸い込むスリット状開口部205(吸気口)が並列して配置されている。また、対向する他方のパネル面には、排気202を排出するスリット状開口部206(排気口)が並列して配置されている。本実施例のセパレータは、
図9において破線で囲む枠内の気体誘導部と粒子回収部の一対が、並列に8個並んだものである。気体誘導部の流路に流れる気体の動きを
図9中に矢印で示す。
【0049】
本実施例における気体誘導部と粒子回収部について
図10を参照して説明を行う。気体誘導部は、吸気側のスリット状開口部205から入った気体を、気体誘導促進ブレード3aと噴出ブレード3bによってスリット幅が狭まったスリット207から前方へ噴出するように構成される。また、気体誘導部は、遠心分離促進ブレード5によって噴出直後に気体を、斜め後方へ誘導し、遠心分離促進ブレード5の先端から気体を再び前方へ誘導して、排気側のスリット状開口部206から排出するように構成されている。粒子回収部は、スリット状開口部205と同じ幅で、スリット幅が狭まったスリット207のスリット幅より大きく、かつ、スリット長と同等以上のスリット状収容部(211a,211b)を有し、収容部が気体誘導部に対して前方位置と隣接位置に配置されるように構成される。前方位置の収容部211aは、斜め後方へ誘導する際に遠心分離する粉塵9aを回収し、隣接位置の収容部211bは、遠心分離促進ブレード5の先端から再び気体を前方へ誘導する際に遠心分離する粉塵9bを回収する。図において矢印は気体の大まかな流れを示している。
【0050】
図10(1)に示す気体誘導部と粒子回収部の対は、
図9において破線枠で囲まれたものである。これを単位と捉えてもよいし、
図10(2)に示す気体誘導部と粒子回収部の対を最小単位として捉えてもよい。
図10(1)に示す気体誘導部と粒子回収部の対は、
図10(2)に示すペアを面対称に隣接したものになる。
ここで、
図10(1)に示す気体誘導部と粒子回収部の対を単位と捉える場合には、仕切り板212が無くてもよい。
【実施例7】
【0051】
本発明の第3の観点の粉塵等除去用セパレータについて
図11,12を参照して説明する。
図11はセパレータの外観模式図(斜視イメージ)であり、
図12は断面模式図である。なお、
図11の外観模式図において、内部構造の理解のために、上蓋を外した状態を図示している。
図11に示すとおり、本実施例の粉塵等除去用セパレータ220は、上述の実施例6の粉塵等除去用セパレータ200と同様に、パネル面の縦横の長さと比べて厚みが小さいパネル状のケーシング204を有し、ケーシング204の一方のパネル面には、吸気201を吸い込むスリット状開口部205(吸気口)が並列して配置されている。また、対向する他方のパネル面には、排気202を排出するスリット状開口部206(排気口)が並列して配置されている。本実施例のセパレータは、
図12において破線で囲む枠内の気体誘導部と粒子回収部の一対が、並列に6個並んだものである。気体誘導部の流路に流れる気体の動きを
図12中に矢印で示す。
【0052】
本実施例において、気体誘導部は、吸気側のスリット状開口部205から入った気体を、気体誘導促進ブレード3aと噴出ブレード3bによってスリット幅が狭まったスリット207から前方へ噴出するように構成されている。また、気体誘導部は、遠心分離促進ブレード5によって噴出直後に気体を、斜め後方へ誘導し、遠心分離促進ブレード5の先端から気体を斜め前方へ誘導し、気体を再び斜め後方へ誘導する。そして、排気側のスリット状開口部206から排出する。粒子回収部は、スリット幅が狭まったスリット207のスリット幅より大きく、かつ、スリット長と同等以上のスリット状収容部221を有し、収容部221が気体誘導部に対して前方位置に配置され、粒子を回収するように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、地震、火山の噴火等の災害時における非常用の粉塵除去装置用のセパレータとして利用可能である。また、作業現場における鉄粉、オイルミスト等の除去装置用のセパレータとしても利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1,11,100,200,220 粉塵等除去用セパレータ
1a,11a 気体誘導部
1b,11b 粉塵回収部
1c,11c 仕切り部
1d~1f 開口部
2,2a~2k ルーバブレード
3a 気体誘導促進ブレード
3b 噴出ブレード
4a 第1の粉塵回収部
4b 第2の粉塵回収部
4c 第3の粉塵回収部
5,5a 遠心分離促進ブレード
6a~6d 矢印
7a,71a 吸気口
7b,71b 排気口
8,8a~8n 気体又は粉塵の進む向き
9,9a,9b 粉塵
10 粉塵除去装置
12a 上端部
12b 下端部
13 チャンバボックス
14 クッション部材
21,21a~21e 整流ブレード
22a~22e S字型ブレード
23 隔壁
24a,24b 傾斜板
25 粉塵取出し口
30 湿式集塵装置
31 湿式集塵室
32 不凍液
33 管群型スクラバ
34 気体導入管
40 気液分離機
50 送風機
60 台車部
60a,60b 車輪
70 配管
81 放電極
82 集塵極
90 粉塵回収ユニット
201 吸気
202 排気
204 ケーシング
205 スリット状開口部(吸気側)
206 スリット状開口部(排気側)
207 スリット幅が狭いスリット
212 仕切り板
211,211a,211b,221 スリット状収容部