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特許7054404架橋性ポリマー組成物、その作製方法、およびそれから作製される物品
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  • 特許-架橋性ポリマー組成物、その作製方法、およびそれから作製される物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】架橋性ポリマー組成物、その作製方法、およびそれから作製される物品
(51)【国際特許分類】
   C08F 255/02 20060101AFI20220406BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20220406BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
C08F255/02
C08F2/44 C
H01B7/02 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020130599
(22)【出願日】2020-07-31
(62)【分割の表示】P 2018147966の分割
【原出願日】2013-09-11
(65)【公開番号】P2020196891
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2012/081275
(32)【優先日】2012-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ヤビン・サン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ジェイ・パーソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エム・コーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ルー・チュ
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-049673(JP,A)
【文献】特開昭54-038342(JP,A)
【文献】特開平06-329810(JP,A)
【文献】特開平01-098649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 255/02
C08F 2/44
H01B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン系ポリマー;
-O-O-R(式中、RおよびRの各々はヒドロカルビル部分である)の構造からなる単官能性有機過酸化物;および
トリアリル架橋助剤
を含む架橋性ポリマー組成物であって、
前記トリアリル架橋助剤および前記単官能性有機過酸化物が、前記トリアリル架橋助剤のアリル含有量および前記単官能性有機過酸化物の活性酸素含有量基準で、7.5~12.2のアリル:活性酸素モル比を提供するために充分な量で存在し、
前記架橋性ポリマー組成物はさらにヒンダードフェノールまたはチオ化合物である抗酸化剤を含み、
前記架橋性ポリマー組成物はアクリレート化合物およびアルカジエン化合物を含まない、架橋性ポリマー組成物。
【請求項2】
前記単官能性有機過酸化物が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記エチレン系ポリマーと前記単官能性有機過酸化物と前記トリアリル架橋助剤との合計重量基準で1.4重量パーセント未満の量で存在し;前記トリアリル架橋助剤が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記エチレン系ポリマーと前記単官能性有機過酸化物と前記トリアリル架橋助剤との合計重量基準で少なくとも0.5重量パーセントの量で存在し;前記エチレン系ポリマーが、前記架橋性ポリマー組成物中、架橋性ポリマー組成物総重量基準で50~98.9重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項1に記載の架橋性ポリマー組成物。
【請求項3】
前記トリアリル架橋助剤が、トリアリルイソシアヌレート(「TAIC」)、トリアリルシアヌレート(「TAC」)、トリメリット酸トリアリル(「TATM」)、およびそれらの2以上の混合物からなる群から選択され;前記単官能性有機過酸化物がジクミルペルオキシドである、請求項1または2のいずれかに記載の架橋性ポリマー組成物。
【請求項4】
前記架橋性ポリマー組成物が実質的にスコーチ防止剤を含まない、請求項1~3のいずれか1項に記載の架橋性ポリマー組成物。
【請求項5】
コーティングされた伝導体を製造するための方法であって:
(a)伝導体を、エチレン系ポリマーと単官能性有機過酸化物とトリアリル架橋助剤とを含む架橋性ポリマー組成物でコーティングし、当該単官能性有機過酸化物はR-O-O-R(式中、RおよびRの各々はヒドロカルビル部分である)の構造からなる単官能性有機過酸化物であり;そして
(b)前記架橋性ポリマー組成物の少なくとも一部を硬化するかまたは硬化を可能にし、それによって架橋ポリマーコーティングを形成することを含み、
前記トリアリル架橋助剤および前記単官能性有機過酸化物が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記トリアリル架橋助剤のアリル含有量および前記単官能性有機過酸化物の活性酸素含有量基準で7.5~12.2のアリル:活性酸素モル比を提供するために充分な量で存在し、
前記架橋性ポリマー組成物はさらにヒンダードフェノールまたはチオ化合物である抗酸化剤を含み、
前記架橋性ポリマー組成物はアクリレート化合物およびアルカジエン化合物を含まない、方法。
【請求項6】
前記単官能性有機過酸化物が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記エチレン系ポリマーと前記単官能性有機過酸化物と前記トリアリル架橋助剤との合計重量に基づいて1.4重量パーセント未満の量で存在し;前記トリアリル架橋助剤が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記エチレン系ポリマーと前記単官能性有機過酸化物と前記トリアリル架橋助剤との合計重量基準で少なくとも0.5重量パーセントの量で存在し;前記エチレン系ポリマーが、前記架橋性ポリマー組成物中、架橋性ポリマー組成物総重量基準で50~98.9重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記トリアリル架橋助剤が、トリアリルイソシアヌレート(「TAIC」)、トリアリルシアヌレート(「TAC」)、トリメリット酸トリアリル(「TATM」)、およびそれらの2以上の混合物からなる群から選択され;前記単官能性有機過酸化物がジクミルペルオキシドである、請求項5または6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記架橋性ポリマー組成物がスコーチ防止剤を実質的に含まず、前記架橋ポリマーコーティングが少なくとも2.5dN・mの架橋密度(MH-ML)を有する、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の架橋性ポリマー組成物を硬化して調製された架橋ポリマーコーティングを含む絶縁層と、伝導体とを含むケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は2012年9月12日付で出願された国際出願第PCT/CN2012/081
275号の利益を主張する。
【0002】
本発明の様々な実施形態は架橋性ポリマー組成物に関する。本発明の他の態様は架橋エ
チレン系ポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
中、高、および超高電圧(「MV」、「HV」、および「EHV」)ケーブルは特徴的
には過酸化物架橋エチレン系ポリマー材料を絶縁層として含む。架橋は材料の熱機械的特
性において有益な改善を提供するが、架橋のために用いられる過酸化物は副生成物を生成
し、これは(たとえば脱気することにより)絶縁層に形成した後であるがジャケット層を
絶縁層上に配置する前に材料から除去する必要がある。ジクミルペルオキシドの場合、こ
れらの副生成物としては、メタン、アセトフェノン、アルファメチルスチレン、およびク
ミルアルコールが挙げられる。副生成物の量を減少させるために、架橋のために用いられ
る過酸化物の量を減らすために使用することができる架橋助剤の使用が研究されてきた。
そのような助剤(coagent)は進歩してきたが、依然として改善が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は:
エチレン系ポリマー;
有機過酸化物;および
ポリアリル架橋助剤
を含む架橋性ポリマー組成物であり、
前記ポリアリル架橋助剤および前記有機過酸化物は、前記ポリアリル架橋助剤のアリル
含有量および前記有機過酸化物の活性酸素含有量に基づいて少なくとも1.6のアリル:
活性酸素モル比を提供するために充分な量で存在する。
【0005】
別の実施形態は、コーティングされた伝導体を製造するためのプロセスであって、前記
プロセスは:
(a)伝導体を、エチレン系ポリマーと有機過酸化物とポリアリル架橋助剤とを含む
架橋性ポリマー組成物でコーティングし;そして
(b)前記架橋性ポリマー組成物の少なくとも一部を架橋するかまたは架橋を可能に
し、それによって架橋ポリマーコーティングを形成すること
を含み、
前記ポリアリル架橋助剤および前記有機過酸化物は、前記架橋性ポリマー組成物中、前
記ポリアリル架橋助剤のアリル含有量および前記有機過酸化物の活性酸素含有量に基づい
て少なくとも1.6のアリル:活性酸素モル比を提供するために充分な量で存在する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面が参照される。
【0007】
図1図1は、過酸化物-架橋ポリエチレンのスコーチ時間(scorch time)と架橋密度との間の関連性を決定するために用いられるts1’@140℃に対するMH-ML@180℃のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の様々な実施形態は、エチレン系ポリマーと有機過酸化物とポリアリル架橋助剤
とを含む架橋性ポリマー組成物に関する。さらなる実施形態は、そのような架橋性ポリマ
ー組成物から調製される架橋ポリマー組成物に関する。さらなる実施形態は、架橋性ポリ
マー組成物を使用してコーティングされた伝導体を製造するためのプロセスに関する。
【0009】
架橋性ポリマー組成物
上述のように、本明細書中で記載されるポリマー組成物の1つの成分はエチレン系ポリ
マーである。本明細書中で用いられる場合、「エチレン系」ポリマーは、主(すなわち、
50重量パーセント(「wt%」)を上回る)モノマー成分としてエチレンモノマーから
調製されるポリマーであるが、他のコモノマーも用いることができる。「ポリマー」とは
、同一または異なる種類のモノマーを反応(すなわち重合)させることによって調製され
る高分子化合物を意味し、ホモポリマーおよびインターポリマーを包含する。「インター
ポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマー種の重合によって調製されるポリマーを
意味する。この一般名称は、コポリマー(通常、2つの異なるモノマー種から調製される
ポリマーを指すために使用される)、および2より多い異なるモノマー種から調製される
ポリマー(例えば、ターポリマー(3つの異なるモノマー種)およびテトラポリマー(4
つの異なるモノマー種))を包含する。
【0010】
様々な実施形態において、エチレン系ポリマーはエチレンホモポリマーであり得る。本
明細書中で用いられる場合、「ホモポリマー」は、単一のモノマー種から誘導される繰り
返し単位を含むポリマーを意味するが、連鎖移動剤などのホモポリマーの調製で用いられ
る他の成分の残存量を除外しない。
【0011】
1つの実施形態において、エチレン系ポリマーは、全インターポリマー重量基準で少な
くとも1wt%、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、
少なくとも20wt%、または少なくとも25wt%のα-オレフィン含有量を有するエ
チレン/アルファ-オレフィン(「α-オレフィン」)インターポリマーであり得る。こ
れらのインターポリマーは、インターポリマーの重量基準で50wt%未満、45wt%
未満、40wt%未満、または35wt%未満のα-オレフィン含有量を有し得る。α-
オレフィンが用いられる場合、α-オレフィンはC3-20(すなわち、3~20個の炭
素原子を有する)直線状、分枝または環状α-オレフィンであり得る。C3-20α-オ
レフィンの例としては、プロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセ
ン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、
および1-オクタデセンが挙げられる。α-オレフィンは、シクロヘキサンまたはシクロ
ペンタンなどの環状構造も有する可能性があり、その結果、3-シクロヘキシル-1-プ
ロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα-オレフィンが得
られる。例示的エチレン/α-オレフィンインターポリマーとしては、エチレン/プロピ
レン、エチレン/ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテン、エチレン
/スチレン、エチレン/プロピレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エ
チレン/ブテン/1-オクテン、およびエチレン/ブテン/スチレンが挙げられる。
【0012】
様々な実施形態において、エチレン系ポリマーは単独または1以上の他の種類のエチレ
ン系ポリマー(例えば、モノマー組成および含有量、触媒調製法などが互いに異なる2以
上のエチレン系ポリマーのブレンド)との組み合わせで用いることができる。エチレン系
ポリマーのブレンドが用いられる場合、ポリマーは任意のリアクター中(in-reac
tor)またはリアクター後(post-reactor)プロセスによってブレンドす
ることができる。
【0013】
様々な実施形態において、エチレン系ポリマーは、低密度ポリエチレン(「LDPE」
)、直線状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、超低密度ポリエチレン(「VLDP
E」)、およびそれらの2以上の組み合わせからなる群から選択することができる。
【0014】
1つの実施形態において、エチレン系ポリマーはLDPEであり得る。LDPEは概し
て高分枝エチレンホモポリマーであり、高圧プロセスにより調製することができる(すな
わち、HP-LDPE)。本明細書中での使用に適したLDPEは0.91~0.94の
範囲の密度を有し得る。様々な実施形態において、エチレン系ポリマーは、少なくとも0
.915g/cmであるが0.94未満または0.93g/cm未満の密度を有する
高圧LDPEである。本明細書中で提供されるポリマー密度は、米国材料試験協会(「A
STM」)法D792にしたがって測定される。本明細書中での使用に適したLDPEは
、20g/10分未満、もしくは0.1~10g/10分、0.5~5g/10分、1~
3g/10分のメルトインデックス(I)、または2g/10分のIを有し得る。本
明細書中で提供されるメルトインデックスはASTM法D1238にしたがって測定され
る。特に断りのない限り、メルトインデックスは190℃および2.16Kgで測定され
る(Iとも呼ばれる)。概して、LDPEは幅広い分子量分布(「MWD」)を有し、
高い多分散性指数(「PDI」;数平均群試料に対する重量平均分子量の比)をもたらす
【0015】
1つの実施形態において、エチレン系ポリマーはLLDPEであり得る。LLDPEは
、概して、コモノマー(例えば、α-オレフィンモノマー)の不均一な分布を有するエチ
レン系ポリマーであり、短鎖分枝によって特徴づけられる。例えば、LLDPEは、上述
されたものなどのエチレンおよびα-オレフィンモノマーのコポリマーであり得る。本明
細書中での使用に適したLLDPEは、0.916~0.925g/cmの範囲の密度
を有し得る。本明細書中での使用に適したLLDPEは1~20g/10分、または3~
8g/10分の範囲のメルトインデックス(I)を有し得る。
【0016】
1つの実施形態において、エチレン系ポリマーはVLDPEであり得る。VLDPEは
当該技術分野では超低密度ポリエチレン、またはULDPEと呼ばれる場合もある。VL
DPEは概してコモノマー(例えば、α-オレフィンモノマー)の不均一な分布を有する
エチレン系ポリマーであり、短鎖分枝によって特徴づけられる。例えば、VLDPEは、
エチレンと1以上の前述のα-オレフィンモノマーなどのα-オレフィンモノマーとのコ
ポリマーであり得る。本明細書中での使用に適したVLDPEは0.87~0.915g
/cmの範囲の密度を有し得る。本明細書中での使用に適したVLDPEは0.1~2
0g/10分または0.3~5g/10分の範囲のメルトインデックス(I)を有し得
る。
【0017】
1つの実施形態において、エチレン系ポリマーは任意の2以上の上記エチレン系ポリマ
ーの組み合わせを含み得る。
【0018】
エチレン系ポリマーを調製するために使用される製造プロセスは多種多様であり、当該
技術分野で公知である。任意の従来型または今後見いだされる、前述の特性を有するエチ
レン系ポリマーを製造するための製造プロセスを、本明細書中で記載されるエチレン系ポ
リマーを調製するために用いることができる。概して、重合はチーグラー・ナッタまたは
カミンスキー・シン型重合反応について当該技術分野で公知の条件で、すなわち、0~2
50℃、または30もしくは200℃の温度、そして大気圧から10,000気圧(1,
013メガパスカル(「MPa」))の圧力にて達成することができる。ほとんどの重合
反応では、用いられる重合性化合物に対する触媒のモル比は、10-12:1~10-1
:1、または10-9:1~10-5:1である。
【0019】
上述のように、上記エチレン系ポリマーを有機過酸化物と組み合わせる。本明細書中で
用いられる場合、「有機過酸化物」は、構造:R-O-O-R、またはR-O-O
-R-O-O-R(式中、RおよびRの各々はヒドロカルビル部分であり、Rはヒ
ドロカルビレン部分である)を有する過酸化物を意味する。本明細書中で用いられる場合
、「ヒドロカルビル」という用語は、炭化水素(たとえば、エチル、フェニル)から1個
の水素原子を除去することによって形成される一価基を意味する。本明細書中で用いられ
る場合、「ヒドロカルビレン」という用語は、炭化水素から2個の水素原子を除去するこ
とによって形成される二価基を意味する。有機過酸化物は、同一または異なるアルキル、
アリール、アルカリール、またはアラルキル部分を有する任意のジアルキル、ジアリール
、ジアルカリール、またはジアラルキル過酸化物であり得る。1つの実施形態において、
およびRの各々は独立して、C~C20もしくはC~C12アルキル、アリー
ル、アルカリール、またはアラルキル部分である。1つの実施形態において、Rは、C
~C20もしくはC~C12アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、またはアラル
キレン部分であり得る。様々な実施形態において、R、R、およびRは、同一または
異なる数の炭素原子を有し得るか、またはR、R、およびRのうちのいずれか2つは
同じ数の炭素原子を有し得、一方、第3のものは異なる数の炭素原子を有する。
【0020】
本明細書中での使用に適した有機過酸化物としては、単官能性過酸化物および二官能性
過酸化物が挙げられる。本明細書中で用いられる場合、「単官能性過酸化物」は、一対の
共有結合した酸素原子を有する(例えば、構造R-O-O-Rを有する)過酸化物を意味
する。本明細書中で用いられる場合、「二官能性過酸化物」は、2対の共有結合した酸素
原子を有する(例えば、構造R-O-O-R-O-O-Rを有する)過酸化物を意味する
。1つの実施形態において、有機過酸化物は単官能性過酸化物である。
【0021】
例示的有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド(「DCP」);tert-ブチ
ルペルオキシベンゾエート;ジ-tert-アミルペルオキシド(「DTAP」);ビス
(t-ブチル-ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(「BIPB」);イソプロピルクミ
ルt-ブチルペルオキシド;t-ブチルクミルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシ
ド;2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン;2,5-ビス
(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3;1,1-ビス(t-ブチル
ペルオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;イソプロピルクミルクミルペルオ
キシド;4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)吉草酸ブチル;ジ(イソプロピルク
ミル)ペルオキシド;およびそれらの2以上の混合物が挙げられる。様々な実施形態では
、1種だけの有機過酸化物が用いられる。1つの実施形態では、有機過酸化物はジクミル
ペルオキシドである。
【0022】
上述のように、架橋性ポリマー組成物はポリアリル架橋助剤をさらに含む。本明細書中
で用いられる場合、「ポリアリル」は、少なくとも2個のペンダントアリル官能基を有す
る化合物を意味する。様々な実施形態において、架橋助剤はトリアリル化合物である。あ
る実施形態において、架橋助剤は、トリアリルイソシアヌレート(「TAIC」)、トリ
アリルシアヌレート(「TAC」)、トリメリット酸トリアリル(「TATM」)、およ
びそれらの2以上の混合物からなる群から選択される。1つの実施形態において、架橋助
剤はTAICである。
【0023】
様々な実施形態において、ポリアリル架橋助剤は、架橋性ポリマー組成物中に存在する
架橋助剤の全部または実質的に全部を構成する。いくつかの実施形態において、架橋性ポ
リマー組成物は、ニトロキシド化合物(例えば、(2,2,6,6-テトラメチルピペリ
ジン-1-イル)オキシル、または「TEMPO」)を含まないかまたは実質的に含まな
い。本明細書中で用いられる場合、「実質的にない」とは、架橋性ポリマー組成物の全重
量基準で10ppmの濃度を意味する。1以上の実施形態において、架橋性ポリマー組成
物はビニル官能性エステルを含まないかまたは実質的に含まない。様々な実施形態におい
て、架橋性ポリマー組成物はアクリレート化合物を含まないかまたは実質的に含まない。
1以上の実施形態において、架橋性ポリマー組成物はジビニルスチレン化合物を含まない
かまたは実質的に含まない。様々な実施形態において、架橋性ポリマー組成物は、アルカ
ジエン、アルカトリエン、および/またはアルカテトラエン化合物を含まないかまたは実
質的に含まない。
【0024】
様々な実施形態において、架橋性ポリマー組成物は、エチレン系ポリマーを、架橋性ポ
リマー組成物の全重量基準で50~98.9wt%、80~98.9wt%、90~98
.9wt%、または95~98.9wt%の範囲の量で含み得る。ある実施形態において
、エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーと有機過酸化物とポリアリル架橋助剤との
合計重量基準で95.6~99.6wt%、または97.5~98.5wt%の範囲の濃
度で存在する。さらに、架橋性ポリマー組成物は有機過酸化物を、エチレン系ポリマーと
有機過酸化物とポリアリル架橋助剤との合計重量基準で0.1~1.4wt%、0.4~
1.4wt%、0.4~1.2wt%、0.5~1.0wt%、または0.7~1.0w
t%未満の量で含み得る。1つの実施形態において、有機過酸化物は、架橋性ポリマー組
成物中、エチレン系ポリマーと有機過酸化物とポリアリル架橋助剤との合計重量基準で1
.4wt%未満、または1.0wt%未満の量で存在する。さらに、架橋性ポリマー組成
物は、ポリアリル架橋助剤を、エチレン系ポリマーと有機過酸化物とポリアリル架橋助剤
との合計重量基準で0.5~3wt%、0.7~3wt%、1.0~3wt%、または1
.5~3wt%の量で含み得る。1つの実施形態において、ポリアリル架橋助剤は、架橋
性ポリマー組成物中、エチレン系ポリマーと有機過酸化物とポリアリル架橋助剤との合計
重量基準で少なくとも0.5wt%、少なくとも0.85wt%、または少なくとも1w
t%の量で存在する。
【0025】
様々な実施形態において、ポリアリル架橋助剤および有機過酸化物は、少なくとも1.
0、少なくとも1.2、少なくとも1.5、または少なくとも2.0、かつ10.0まで
の架橋助剤/有機過酸化物の重量比で存在する。
【0026】
様々な実施形態において、ポリアリル架橋助剤および有機過酸化物は、少なくとも1.6のアリル:活性酸素モル比、少なくとも1.9のアリル:活性酸素モル比、少なくとも2.5のアリル:活性酸素モル比、または少なくとも3.0のアリル:活性酸素モル比、かつ5のアリル:活性酸素モル比まで、7.5のアリル:活性酸素モル比まで、10のアリル:活性酸素モル比まで、12のアリル:活性酸素モル比まで、または16のアリル:活性酸素モル比までの活性酸素原子に対するアリル基のモル比を達成するために充分な量で存在する。この比を決定する際、有機過酸化物中の2個の共有結合した酸素原子のうちの1個として存在する酸素原子だけが「活性酸素原子」とみなされる。例えば、単官能性過酸化物は2個の活性酸素原子を有する。別の酸素原子に共有結合しない、有機過酸化物またはポリアリル架橋助剤中に存在する酸素原子は活性酸素原子とみなされない。さらに、ポリアリル架橋助剤上で見いだされるペンダントアリル基だけがアリル:活性酸素モル比に含まれる。アリル:活性酸素モル比は次のように算出される:
【0027】
【数1】
【0028】
架橋性ポリマー組成物はまた、限定されるものではないが、加工助剤、フィラー、カッ
プリング剤、紫外線吸収剤または安定剤、帯電防止剤、核形成剤、スリップ剤、可塑剤、
潤滑剤、粘度調節剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エキステンダー油
、酸スカベンジャー(acid scavenger)、難燃剤、および金属不活性化剤
をはじめとする他の添加剤も含んでよい。フィラー以外の添加剤は、特徴的には、組成物
の総重量基準で0.01wt%以下から10wt%以上まで及ぶ量で使用される。フィラ
ーは概して、さらに多量で用いられるが、その量は、組成物の総重量基準で0.01wt
%以下もの少量から65wt%以上まで及び得る。フィラーの実例としては、15ナノメ
ートルより大きな特徴的な算術平均粒径を有する、クレイ、沈降シリカおよびケイ酸塩、
ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、粉末状鉱物(ground mineral)、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、およびカーボンブラックが挙げられる。
【0029】
さらに、抗酸化剤を架橋性ポリマー組成物とともに用いることができる。例示的抗酸化
剤としては、ヒンダードフェノール(例えば、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-
ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン);ホスファイトおよびホスホナ
イト(例えば、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート);チオ化合物
(例えば、ジラウリルチオジプロピオネート);様々なシロキサン;およびさまざまなア
ミン(例えば、重合した2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)が挙げら
れる。抗酸化剤は、架橋性ポリマー組成物の総重量基準で0.1~5wt%の量で使用す
ることができる。後述のワイヤーおよびケーブル組成物の形成において、抗酸化剤を特徴
的には完成品の加工前(すなわち、押出および架橋の前)に添加する。
【0030】
様々な実施形態において、架橋性ポリマー組成物はスコーチ防止剤を含まないかまたは
実質的に含まない可能性がある。例えば、架橋性ポリマー組成物はα-トコフェロールを
含まないかまたは実質的に含まない可能性がある。
【0031】
様々な実施形態において、架橋性ポリマー組成物は、ポリアルキレングリコールがない
かまたは実質的ない可能性がある。様々な実施形態において、架橋性ポリマー組成物は、
エラストマーポリマーを含まないかまたは実質的に含まない可能性がある。様々な実施形
態において、架橋性ポリマー組成物はカルボン酸/エステル修飾ポリマー(例えば、エチ
レン/エチルアクリレートコポリマー)を含まないかまたは実質的に含まない可能性があ
る。
【0032】
架橋性ポリマー組成物の調製は、上記成分を配合することを含み得る。例えば、配合は
、(1)全成分をエチレン系ポリマー中に配合すること、または(2)後述するように浸
漬される有機過酸化物を除く全成分を配合すること、のいずれかによって実施することが
できる。架橋性ポリマー組成物の配合は、当業者に公知の標準的機器によって実施するこ
とができる。配合機器の例は、ブラベンダー(Brabender)(商標)、バンバリ
ー(Banbury)(商標)、またはボリング(Bolling)(商標)ミキサーな
どの内部バッチミキサーである。別法として、連続一軸または二軸スクリューミキサー、
たとえばファレル(Farrel)(商標)連続ミキサー、ワーナー(Werner)お
よびプフライデラー(Pfleiderer)(商標)二軸スクリューミキサー、または
バス(Buss)(商標)混錬連続押出機などを使用することができる。配合は、エチレ
ン系ポリマーの融点よりも高く、それ以上でエチレン系ポリマーが分解し始める温度まで
の温度で実施することができる。様々な実施形態において、配合は100~200℃、ま
たは110~150℃の範囲の温度で実施することができる。様々な実施形態において、
有機過酸化物のエチレン系ポリマー中への浸漬は、30~100℃、50~90℃、また
は60~80℃の範囲の温度で実施することができる。
【0033】
別法として、1以上の実施形態において、有機過酸化物およびポリアリル架橋助剤を同
時または連続的にエチレン系ポリマー中に浸漬することができる。1つの実施形態におい
て、有機過酸化物およびポリアリル架橋助剤を有機過酸化物およびポリアリル架橋助剤の
融点のいずれか高い方よりも高い温度で予混合することができ、続いてエチレン系ポリマ
ーを結果として得られる有機過酸化物とポリアリル架橋助剤との混合物中に30~100
℃、50~90℃、または60~80℃の範囲の温度で1~168時間、1~24時間、
または3~12時間浸漬する。別の実施形態では、エチレン系熱可塑性ポリマーを有機過
酸化物中に30~100℃、50~90℃、または60~80℃の範囲の温度で、1~1
68時間、1~24時間、または3~12時間の範囲の時間浸漬することができ、続いて
エチレン系ポリマーをポリアリル架橋助剤中に、30~100℃、50~90℃、または
60~80℃の範囲の温度で1~168時間、1~24時間、または3~12時間の範囲
の時間浸漬する。さらに別の実施形態では、エチレン系ポリマーをポリアリル架橋助剤中
に30~100℃、50~90℃、または60~80℃の範囲の温度で、1~168時間
、1~24時間、または3~12時間の範囲の期間浸漬することができ、続いてエチレン
系ポリマーを有機過酸化物中に30~100℃、50~90℃、または60~80℃の範
囲の温度で1~168時間、1~24時間、または3~12時間の範囲の期間浸漬するこ
とができる。さらに別の実施形態では、エチレン系ポリマーを有機過酸化物およびポリア
リル架橋助剤中に予混合せずに30~100℃、50~90℃、または60~80℃の範
囲の温度で、1~168時間、1~24時間、または3~12時間の範囲の期間浸漬する
ことができる。
【0034】
架橋ポリマー組成物
架橋エチレン系ポリマーを形成するために、上記架橋性ポリマー組成物を硬化するかま
たは硬化を可能にすることができる。そのような硬化は、架橋性ポリマー組成物を、17
5~260℃の範囲内の温度で維持することができる加熱された硬化ゾーン中で高温に供
することによって実施することができる。加熱された硬化ゾーンを加圧蒸気によって加熱
することができるか、または加圧窒素ガスによって誘導加熱することができる。その後、
架橋ポリマー組成物を(例えば、周囲温度まで)冷却することができる。
【0035】
架橋プロセスは、架橋ポリマー組成物中に揮発性分解副生成物を形成することができる
。「揮発性分解生成物」という用語は、有機過酸化物のイニシエーションによって硬化ス
テップ中、そしておそらくは冷却ステップ中に形成される分解生成物を意味する。そのよ
うな副生成物は、メタンなどのアルカンを含み得る。様々な実施形態において、架橋ポリ
マー組成物は当初(すなわち、後述する脱気前)メタンを架橋ポリマー組成物の全重量基
準で860パーツ・パー・ミリオン(「ppm」)以下、750ppm以下、700pp
m以下、または650ppm以下、600ppm以下、550ppm以下、500ppm
以下、450ppm以下、または400ppm以下の最大量で含む。
【0036】
架橋後、架橋ポリマー組成物を脱気させて、揮発性分解副生成物の少なくとも一部を除
去することができる。脱気を、脱気温度、脱気圧力で脱気期間実施して、脱気ポリマー組
成物を製造することができる。様々な実施形態において、脱気温度は、50~150℃、
または60~80℃の範囲であり得る。1つの実施形態では、脱気温度は65~75℃で
ある。脱気は、標準的大気圧(すなわち、101,325Pa)下で実施することができ
る。
【0037】
架橋ポリマー組成物における架橋の程度は、ムービングダイレオメータ(moving
die rheometer)(「MDR」)で180℃にてASTM D5289に
したがって分析することによって決定することができる。分析により、最大トルク(「M
H」)と最小トルク(「ML」)との差(「MH-ML」)によって示されるトルクの増
加は、より高い架橋度を意味する。結果として得られる架橋ポリマー組成物は、少なくと
も2.5dN・m、少なくとも2.75dN・m、少なくとも3dN・m、少なくとも3
.25dN・m、少なくとも3.5dN・m、または少なくとも3.75dN・mのMH
-MLを有する可能性があり、実際的な上限は6dN・mである。1つの実施形態におい
て、架橋ポリマー組成物は、2.5~6dN・m、2.75~6dN・m、3~6dN・
m、3.25~6dN・m、3.5~6dN・m、または3.75~6dN・mの範囲の
MH-MLを有し得る。
【0038】
様々な実施形態において、架橋ポリマー組成物は、少なくとも10、少なくとも11、
少なくとも12、少なくとも15、または少なくとも20、かつ25まで、30まで、4
0まで、50まで、60まで、または70までのスコーチ改善(Scorch impr
ovement:「SI」)を有し得る。スコーチ改善は下記試験方法のセクションで記
載される手順にしたがって決定される。
【0039】
コーティングされた伝導体
伝導体と絶縁層とを含むケーブルは、上記架橋性ポリマー組成物を用いることによって
調製することができる。「ケーブル」および「電力ケーブル」は、シース、例えば、絶縁
カバーまたは保護外側ジャケット内の少なくとも1つのワイヤーまたは光ファイバーを意
味する。特徴的には、ケーブルは、特徴的には共通の絶縁カバーおよび/または保護ジャ
ケット中の互いに結合した2以上のワイヤーまたは光ファイバーである。シース内部の個
々のワイヤーまたは繊維はむき出しであるか、被覆されているか、または絶縁されていて
もよい。組み合わせケーブルは電線および光ファイバーの両方を含み得る。特徴的なケー
ブルデザインは米国特許第5,246,783号、同第6,496,629号および同第
6,714,707号で記載されている。「伝導体」は熱、光、および/または電気を伝
導するための1以上のワイヤーまたは繊維を意味する。伝導体は1本のワイヤー/繊維ま
たは複数のワイヤー/繊維であってよく、ストランド形態または管状形態であってよい。
好適な伝導体の非限定的例としては、銀、金、銅、炭素、およびアルミニウムなどの金属
が挙げられる。伝導体はまた、ガラスまたはプラスチックのいずれかから作製される光フ
ァイバーであってもよい。
【0040】
そのようなケーブルは、様々な種類の押出機(例えば、一軸または二軸スクリュー型)
で架橋性ポリマー組成物を伝導体上に直接または介在層(interceding la
yer)上に押し出すことによって調製することができる。従来型押出機の説明は、米国
特許第4,857,600号で見出すことができる。共押出および押出機の一例は、した
がって米国特許第5,575,965号で見出すことができる。
【0041】
押出後、押し出されたケーブルは押出ダイの下流の加熱された硬化ゾーン中に移行して
、架橋性ポリマー組成物の架橋を助け、それによって架橋ポリマー組成物を製造すること
ができる。加熱された硬化ゾーンを175~260℃の範囲内の温度で維持することがで
きる。1つの実施形態において、加熱された硬化ゾーンは連続加硫(「CV」)チューブ
である。様々な実施形態において、上述のように、架橋ポリマー組成物を次いで冷却する
ことができ、脱気することができる。
【0042】
本願にしたがって調製された交流ケーブルは低電圧、中電圧、高電圧、または超高電圧
ケーブルであり得る。さらに、本願にしたがって調製される直流ケーブルには、高または
超高電圧ケーブルが含まれる。
【0043】
試験方法
実施例1~6のサンプル調製
実施例1~6について、抗酸化剤(約0.36wt%)を含有するポリエチレン(「P
E」)ペレットをブラベンダーミキサー中に130℃にて30rpmのローター速度で供
給し、PEが融解したら架橋助剤を予混合する。架橋助剤の添加後の混合時間は5分であ
る。結果としての化合物をオーブン中で90℃にて1時間加熱し、次いで二段圧延機中に
120℃で供給する。PEが融解したら過酸化物を添加し、続いて12rpmのロール速
度および0.6mmのロール間距離で4分間混合する。用いられるPEは米国ミシガン州
ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能なDFDA-4
850NTであり、これは0.92g/cmの密度、および2g/10分のメルトイン
デックス(I)を有する。用いられる抗酸化剤は、米国ニュージャージー州ウッドラン
ド・パークのCytec Industriesから入手可能な、DFDA-4850中
にすでにブレンドされたCyanox 2212である。用いられる過酸化物は、米国ミ
ズーリ州セントルイスのSigma-Aldrichから入手可能なジクミルペルオキシ
ド(「DCP」)である。架橋助剤を後述する。
【0044】
圧縮成形
Lab Tech LP-S-50/ASTM実験室用油圧プレスを使用して、型中2
つのポリエチレンテレフタレート(「PET」)膜によって両側を覆われたサンプルを1
30℃で5分間予熱する。プレートを8回開閉することによってサンプル中に閉じ込めら
れた空気を放出する。プレート温度を182℃まで5分にわたって上昇させる。サンプル
を100kNの圧力下で15分間硬化させる。プレート温度を45℃まで5分かけて減少
させる。
【0045】
ムービングダイレオメータ
ムービングダイレオメータ(「MDR」)試験を180℃にてASTM D5289で
記載された方法にしたがい、Alpha Technologies MDR 2000
で2本ロールミルによって調製されたシートから切り出したサンプルまたは浸漬ペレット
を使用して実施する。
【0046】
機械的(引張)特性
圧縮成形された硬化サンプルを使用してInstron5565型引張試験機でAST
M D638にしたがって機械特性を測定する。
【0047】
電気特性
後述するように50または60Hz、そしてASTM D150にしたがって1kVで
1mmプラークに関して圧縮成形された硬化サンプルを使用して誘電率および散逸率を決
定する。
【0048】
スコーチ改善
DCPおよびポリアリル架橋助剤の両方を使用して調製したサンプルXのスコーチ改善
を、次式を用いて算出する:
SI=ts1@140℃-ts1’@140℃’
(式中、SIはスコーチ改善であり、ts1@140℃は、140℃でMDRによって
測定されるサンプルXのスコーチ時間であり、そしてts1’@140℃は、サンプルX
と同じ処方を有するが、架橋助剤を有しない理論的サンプルの予想されるスコーチ時間で
あり、ここで、予想はサンプルXの架橋(MH-ML)密度に基づく)。予想されるスコ
ーチ時間は次式(1)にしたがって算出される:
ts1’@140℃=-7.97+(167.91/(MH-ML@180℃))
(式中、MH-ML@180℃は、180℃でMDRによって測定されるサンプルXの
架橋密度である)。式(1)を、ポリエチレンおよびジクミルペルオキシドだけ(すなわ
ち、架橋助剤なし)で調製された8つのサンプルの比較に基づいて決定して、架橋助剤を
有しないサンプルについてスコーチ時間と架橋密度(MH-ML)との間の関連性を決定
する。サンプルを、サンプル調製のセクションで前述するようにして表1中の処方にした
がって調製し、上述の方法にしたがってMDRによって分析する:
【0049】
【表1】
MH-ML@180℃対ts1@140℃を使用して表1中に提供されたデータをプロ
ットして、式(1)を得る。JMP(商標)統計的発見ソフトウェアを用いて、表1中の
データを適合させて、式(1)に達する。MH-MLとts1@140℃との間の関連性
は(少なくともDCPローディングの通常の範囲内で)逆数である。したがって、MH-
MLをまずその逆数形態1/(MH-ML)に変換し、次いでts1@140℃と1/(
MH-ML)との間の直線を適合させる。これによってts1@140℃とMH-MLと
の間の式(式(1))を得る。JMP(商標)統計的発見ソフトウェアで式(1)を生成
するために用いられるステップを以下に記載する。
1.YをXによって分析/適合をクリックする;
2.MH-MLをX(因子)に代入し、ts1@140℃をY(応答)に代入する;
3.左上の赤い三角をクリックして、「特別の適合(fit special)」を
選択する;
4.X変換カラム中の逆数:1/xを選択し、OKボタンをクリックする。
この分析の結果を図1中に提供する。
【0050】
スコーチ改善の値に関して、負のSIは抗スコーチ特性の悪化を意味し、この場合、正
のSIは改善された抗スコーチ特性を意味し、正のSI値が高いほど、優れた最終用途性
能に好ましい。
【0051】
メタン含有量(ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによるマルチプルヘッドスペー
ス抽出)
以下の条件を使用してヘッドスペースガスクロマトグラフィー(「HSGC」)を用い
たマルチプルヘッドスペース抽出(「MHE」)を実施する:
器具類
ガスクロマトグラフ Agilent 6890
注入ポート スプリット/スプリットレス
カラム DB-5MS、30m×0.32mm×1.0mm
検出器 FID
サンプル導入 G1888
データ収集 ChemStation
G1888ヘッドスペース条件
GCサイクル時間 60分
オーブン温度 150℃
ループ温度 160℃
移送ライン温度 170℃
バイアル平衡時間 60分
振盪速度 Off
ループ充填時間 0.20分
ループ平衡時間 0.05分
注入時間 0.50分
加圧時間 0.50分
拡張機能 バイアルごと5回抽出に対するMulti HS EXT
6890GC条件
キャリアガス(EPC) 窒素、2.0mL/分
入口温度 250℃
スプリット比 1:10
流れモード 一定流量
FID温度 300℃
オーブンプログラム 40℃、3分間保持;
15℃/分の速度で280℃まで上昇;
5分間保持(合計24分)
検出器 300℃でのFID;
水素40mL/分;空気450mL/分;構成(窒素)4
5mL/分
【0052】
サンプルをある温度で所与の時間平衡化し、サンプルの上のヘッドスペースを分析する
。この平衡および測定プロセスを複数回繰り返し、ピーク面積の指数関数的減少が観察さ
れる。約1.0gのサンプルを22mLヘッドスペースバイアル中に入れ、上述の条件に
したがって分析する。
式(1):
【0053】
【数2】
式(1)によると、全ピーク面積を算出するために2つの値、すなわちA1および定数
Kしか必要でない。前者は測定値であり、一方、後者は次式の直線回帰分析から得ること
ができる:
式(2):
【0054】
【数3】
ピーク面積値の合計が与えられれば、ピーク面積と測定物質の濃度(量)との間の関係
を表す較正係数だけが必要である。
【0055】
メタン標準較正曲線
以下のメタン量をHSGCバイアル200μl、400μl、500μl、600μl
、800μlおよび1000μl中に注入する。全ピーク面積
とメタン含有量との間の関係を構築する。10mm×50mm×1mmのサイズの2片
の圧縮成形サンプル(上述のようにして調製)をHSGC試験用のHSGCバイアル中に
入れて、全ピーク面積
を得る。次いで面積対メタンのμlの標準較正曲線を作製し、この標準較正曲線を使用
して各サンプルの全ピーク面積
に基づいてメタン含有量(μl/g)を算出する。次いでメタンの全密度(throu
gh density)を算出することによってメタン含有量の単位をμl/gからpp
mに変換した。
【0056】
密度
ASTM D792にしたがって密度を測定する。
【0057】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわちIをASTM D1238、条件190℃/2.16
kgにしたがって測定し、10分あたりに溶出されるグラム数で報告する。I10をAS
TM D1238、条件190℃/10kgにしたがって測定し、10分あたりに溶出さ
れるグラム数で報告する。
【実施例
【0058】
実施例1 高トリアリル助剤:DCP比を有する架橋ポリエチレン
5つの比較サンプル(CS1~CS5)および9つのサンプル(S1~S9)を下記表
2で示される処方にしたがって、上記試験方法のセクションで記載された手順を用いて調
製する。用いられるトリアリルイソシアヌレート(「TAIC」)(99%)はShan
ghai Fangruida Chemicals Co., Ltd.から入手可能
である。用いられるトリアリルシアヌレート(「TAC」)(97%)はFluka A
Gから入手可能である。用いられるトリメリット酸トリアリル(「TATM」)(96%
)はMeryer (Shanghai) Chemical Technology
Co., Ltd.から入手可能である。用いられるポリエチレンおよびDCPは上記試
験方法のセクションで記載されるのと同じである。
【0059】
【表2】
【0060】
表2で記載されたサンプルのすべてを上記試験方法のセクションで概要を記載したMD
Rおよびスコーチ改善手順にしたがって分析する。これらの分析から得られる結果を下記
表3中で提供する。
【0061】
【表3】
【0062】
表3中で示されるように、比較サンプルと比較すると、S1~S9は硬化および抗スコ
ーチの両方でより良好な性能を示す。例えば、S4のts1@140℃はほぼ70分であ
り、このことはより良好な抗スコーチ性能を示唆する。
【0063】
スコーチ改善(「SI」)はスコーチ特性に対する架橋助剤の効果の指標である。同じ
架橋密度を有するサンプルの抗スコーチ性を比較すること(MH-ML)が有効な方法で
ある。表3で示されるように、助剤のローディングが増加するにつれ、SIが増加する。
さらに、助剤:DCPの重量比が少なくとも1まで増加すると(少なくとも1.6の活性
酸素に対するアリル基のモル比)、サンプルS1~S5においてと同様に、SIは、1未
満の助剤:DCP重量比を有する比較サンプルCS1~CS4のSIよりも高くなる。
【0064】
さらに、サンプルS6~S9は、TATMおよびTACも1より高いDCPに対する助
剤の重量比で10より高いSIを達成することを示す。
【0065】
実施例2 高いトリアリル助剤:DCP比を有する架橋ポリエチレンのメタン含有量
2つのさらなる比較サンプル(CS6およびCS7)を下記表4で示される処方にした
がって、上記試験方法のセクションで記載された手順を用いて調製する。比較サンプルC
S8であるDOW ENDURANCE(商標)HFDB-4201SCは、米国ミシガ
ン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能な長寿命未
充填(unfilled)架橋性低密度ポリエチレン絶縁化合物である。ポリエチレンお
よびDCPは実施例1で上述したのと同じである。
【0066】
【表4】
【0067】
サンプルS1およびS2、ならびに比較サンプルCS1、CS3、およびCS6~CS
8のメタン含有量および架橋密度(MH-ML)を上記試験方法のセクションで提供され
る手順にしたがって測定する。結果を下記表5中で提供する。
【0068】
【表5】
【0069】
表5で見られるように、DCPローディングを減らることによって、S1およびS2の
メタン含有量は、0.7wt%のDCPローディングしか有しないCS6を除く全ての比
較サンプルよりも低い。しかしながら、CS6は0.99dN・mの許容できないほど低
い架橋密度を有する。
【0070】
実施例3 高トリアリル助剤:DCP比を有する架橋ポリエチレンの機械特性
サンプルS1~S4および比較サンプルCS1~CS5の機械特性(すなわち、引張強
度および引張伸び)を上記試験方法のセクションで提供された手順にしたがって測定する
。結果を下記表6中で提供する。
【0071】
【表6】
【0072】
上記で提供された結果は、助剤対DCPの比が増加する場合でもサンプルS1~S4の
機会特性は維持されることを示す。
【0073】
実施例4 高トリアリル助剤:DCP比を有する架橋ポリエチレンの電気特性
サンプルS1およびS4ならびに比較サンプルCS1およびCS3の電気特性(すなわ
ち、誘電率および散逸率)を上記試験方法のセクションで提供された手順にしたがって測
定する。結果を下記表7中に提供する。
【0074】
【表7】
【0075】
サンプルS2およびS3ならびに比較サンプルCS8について高温(100℃)、高圧
(20kV/mm)、および60Hzで散逸率を測定する。結果を下記表8中で提供する
【0076】
【表8】
【0077】
表7および8で示されるように、助剤の添加によって室温および高温/高圧の両方で散
逸率のわずかな増加が起こるが、サンプルは依然として仕様を満たし、現行の工業的手法
の範囲内である。
【0078】
実施例5 広範囲のトリアリル助剤:DCP比を有する架橋ポリエチレン
6つのさらなるサンプル(S10~S15)および1つのさらなる比較サンプル(CS
9)を下記表9で示される処方にしたがって、上記試験方法のセクションで記載した手順
を用いて調製する。これらのサンプルで用いられるポリエチレンは、実施例1~6で上述
されたものと同じ(すなわち、米国ミシガン州ミッドランドのDow Chemical
Companyから入手可能なDFDA-4850NT)である。DCPおよびTAI
Cも実施例1で上述するのと同じである。
【0079】
【表9】
【0080】
表9中に記載されたサンプル全てを上記試験方法のセクションで概要を記載したMDR
およびスコーチ改善手順にしたがって分析する。これらの分析から得られる結果を下記表
10中に提供する。
【0081】
【表10】
【0082】
表10中で提供される結果は、非常に高いアリル:活性酸素のモル比(例えば、約50
、CS9など)が実行不可能であり得ることを示す。しかしながら、7.5~12.2も
の高いアリル:活性酸素モル比(S10およびS11など)は、架橋密度を維持しつつ優
れたスコーチ改善をもたらす。さらに、アリル:活性酸素のモル比を維持しながらDCP
含有量を増加させることは、S13~S15を比較することによって示されるように、ス
コーチ改善の減少を引き起こす傾向がある。
【0083】
実施例6 アクリレート系助剤を有する架橋ポリエチレン
上記試験方法のセクションで記載される手順を用いて、下記表11で示される処方にし
たがって7つのさらなる比較サンプル(CS10~CS16)を調製する。
【0084】
【表11】
【0085】
前記試験方法のセクションで概要を記載したMDR手順にしたがって表11で記載され
るサンプルのすべてを分析する。これらの分析から得られた結果を下記表12中に提供す
る。比較サンプル1およびサンプル2を再度比較のために表12中に提供する。
【0086】
【表12】
【0087】
表12で提供された結果は、アクリレート系助剤が、低いMH-ML値によって証明さ
れるように充分な架橋密度を提供しないことを示す。
【0088】
実施例7 助剤およびDCPのポリエチレン中への浸漬
比較サンプルの配合手順
抗酸化剤を含有するポリエチレンペレットをブラベンダーミキサー中に130℃にて3
0rpmのローター速度で供給する。ポリエチレンが融解したら、助剤を添加する。助剤
の添加後の混合時間は5分である。次に、サンプルをオーブン中90℃で予熱した後、こ
の化合物を二段圧延機中に120℃で供給する。ポリエチレン化合物が融解したら、過酸
化物を滴加し、次いで12rpmのロール速度および0.6mmのロール距離で4分間混
合する。
【0089】
サンプルの予混合手順
DCP結晶をビン中に入れ、TAIC液体をシリンジによってビン中に注入し、ビンを
60℃のオーブン中に約10分間入れる。ビンを取り出し、最初の2相液体から均質な液
体混合物が得られるまで振盪する。
【0090】
サンプルの浸漬手順
ポリエチレンペレットをビン中に入れ、液体DCP、TAIC、またはTAICとDC
Pとの予混合物をビン中に注入し、ビンを密封し、約1分間手で振って、確実に液体が全
ペレット上に分布するようにする。次いで、ビンを80℃のオーブン中に9時間入れる。
【0091】
サンプル調製
直前に記載した手順を使用して、2つの比較サンプル(CS17およびCS18)なら
びに3つのサンプル(S16~S18)を、下記表13中の処方を使用して調製する。ポ
リエチレンペレットをTAICおよびDCPの混合物中に浸漬することによって、S16
およびS17を調製する。ポリエチレンをDCP中80℃にて9時間、続いてTAIC中
に85℃にて9時間、連続して浸漬することによってS18を調製する。これらのサンプ
ルの各々において、用いられるポリエチレン、DCP、およびTAICは実施例1中で上
述したものと同じである。
【0092】
【表13】
【0093】
表13中に記載したサンプルのすべてを上記試験方法のセクションで概要を記載したM
DRおよびSI手順にしたがって分析する。これらの分析から得られる結果を下記表14
中に提供する。
【0094】
【表14】
【0095】
上記表14で提供される結果を見ると、前述の浸漬手順を用いる場合、配合手順と比較
してMHの増加および相当するスコーチ時間が観察される。特に、CS17およびS16
は同じ組成を有し、さらにS16はさらに高いMHおよび相当するスコーチ時間を示す。
同様に、CS18、S17、およびS18はすべて同じ組成を有し、さらにS17および
S18はさらに高いMHおよび相当するスコーチ時間を示す。
【0096】
実施例8 過酸化物の変形
下記表15で提供される処方にしたがい、そして異なる過酸化物を用いる以外はサンプ
ルS1~S6の調製について前述した手順を用いて、9つのさらなるサンプル(S19~
S27)を調製する。以下の実施例では、BIPBはビス(t-ブチル-ペルオキシイソ
プロピル)ベンゼンであり、これはShanghai Fangruida Chemi
cal Co., Ltd.から市販されている。LUPROX(商標)101は2,5
-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサンであり、これはArk
emaから市販されている。DTAPはジ-tert-アミルペルオキシドであり、これ
はArkemaから市販されている。ポリエチレン、DCP、およびTAICはサンプル
S1~S6について前述されているのと同じである。
【0097】
【表15】
【0098】
表15で記載されるサンプルの全てを前記試験方法のセクションで概要を記載したMD
R手順にしたがって分析する。これらの分析から得られた結果を下記表16中に提供する
【0099】
【表16】
【0100】
表16で提供される結果からわかるように、少なくとも1.6のアリル:活性酸素比を使用しつつ、過酸化物の種類をDCPから変えることによって、依然として適切な架橋密度を有する架橋ポリエチレンが得られる。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
エチレン系ポリマー;
有機過酸化物;および
ポリアリル架橋助剤
を含む架橋性ポリマー組成物であって、
前記ポリアリル架橋助剤および前記有機過酸化物が、前記ポリアリル架橋助剤のアリル含有量および前記有機過酸化物の活性酸素含有量基準で、少なくとも1.6のアリル:活性酸素モル比を提供するために充分な量で存在する、架橋性ポリマー組成物。
項2.
前記有機過酸化物が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記エチレン系ポリマーと前記有機過酸化物と前記ポリアリル架橋助剤との合計重量基準で1.4重量パーセント未満の量で存在し;前記ポリアリル架橋助剤が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記エチレン系ポリマーと前記有機過酸化物と前記ポリアリル架橋助剤との合計重量基準で少なくとも0.5重量パーセントの量で存在し;前記エチレン系ポリマーが、前記架橋性ポリマー組成物中、架橋性ポリマー組成物総重量基準で50~98.9重量パーセントの範囲の量で存在する、項1に記載の架橋性ポリマー組成物。
項3.
前記ポリアリル架橋助剤がトリアリル化合物であり;前記有機過酸化物が単官能性過酸化物である、項1または2のいずれかに記載の架橋性ポリマー組成物。
項4.
前記ポリアリル架橋助剤が、トリアリルイソシアヌレート(「TAIC」)、トリアリルシアヌレート(「TAC」)、トリメリット酸トリアリル(「TATM」)、およびそれらの2以上の混合物からなる群から選択され;前記有機過酸化物がジクミルペルオキシドである、項1または2のいずれかに記載の架橋性ポリマー組成物。
項5.
前記ポリアリル架橋助剤および前記有機過酸化物が前記ポリアリル架橋助剤のアリル含有量および前記有機過酸化物の活性酸素含有量基準で少なくとも1.9のアリル:活性酸素比を提供するために充分な量で存在し;前記架橋性ポリマー組成物が実質的にスコーチ防止剤を含まない、項1~4のいずれか1項に記載の架橋性ポリマー組成物。
項6.
コーティングされた伝導体を製造するための方法であって:
(a)伝導体を、エチレン系ポリマーと有機過酸化物とポリアリル架橋助剤とを含む架橋性ポリマー組成物でコーティングし;そして
(b)前記架橋性ポリマー組成物の少なくとも一部を硬化するかまたは硬化を可能にし、それによって架橋ポリマーコーティングを形成することを含み、
前記ポリアリル架橋助剤および前記有機過酸化物が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記ポリアリル架橋助剤のアリル含有量および前記有機過酸化物の活性酸素含有量基準で少なくとも1.6のアリル:活性酸素モル比を提供するために充分な量で存在する、方法。
項7.
前記有機過酸化物が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記エチレン系ポリマーと前記有機過酸化物と前記ポリアリル架橋助剤との合計重量に基づいて1.4重量パーセント未満の量で存在し;前記ポリアリル架橋助剤が、前記架橋性ポリマー組成物中、前記エチレン系ポリマーと前記有機過酸化物と前記ポリアリル架橋助剤との合計重量基準で少なくとも0.5重量パーセントの量で存在し;前記エチレン系ポリマーが、前記架橋性ポリマー組成物中、架橋性ポリマー組成物総重量基準で50~98.9重量パーセントの範囲の量で存在する、項6に記載の方法。
項8.
前記ポリアリル架橋助剤が、トリアリルイソシアヌレート(「TAIC」)、トリアリルシアヌレート(「TAC」)、トリメリット酸トリアリル(「TATM」)、およびそれらの2以上の混合物からなる群から選択され;前記有機過酸化物がジクミルペルオキシドである、項6または7のいずれかに記載の方法。
項9.
前記ポリアリル架橋助剤および前記有機過酸化物が、前記ポリアリル架橋助剤のアリル含有量および前記有機過酸化物の活性酸素含有量に基づいて少なくとも1.9のアリル:活性酸素モル比を提供するために充分な量で存在し;前記架橋性ポリマー組成物がスコーチ防止剤を実質的に含まず、前記架橋ポリマーコーティングが少なくとも2.5dN・mの架橋密度(MH-ML)を有する、項6~8のいずれか1項に記載の方法。
項10.
項6~9のいずれか1項に記載の方法にしたがって調製されたケーブル。
図1