(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】折り畳み封書
(51)【国際特許分類】
B42D 15/02 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
(21)【出願番号】P 2018098308
(22)【出願日】2018-05-02
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114104(JP,A)
【文献】特開2017-136812(JP,A)
【文献】特開平09-142065(JP,A)
【文献】特開2017-196885(JP,A)
【文献】特開2013-035170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/08
B42D 15/02
B42D 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向の折り線を介して横方向に連接された複数の葉片が横方向の折り線を介して縦方向に2列連接された封書シートを縦方向の折り線から折り畳んだ後に最後に横方向の折り線に沿って折り畳み、任意の対向面間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に接着した折り畳み封書であって、右側縦方向の縁辺が最後に横方向の折り線に沿って折り畳んだ際に対向する葉片間に介在する疑似接着フィルムシートの接着により封緘され、また左側縦方向の縁辺が折り畳み封書の内部に折り込まれる葉片群を包み込む外側2葉片の前記葉片群から突出した縁辺の対向面間に介在する疑似接着フィルムシートの接着により封緘され、さらに天辺が前記右側縦方向の縁辺が最後に横方向の折り線に沿って折り畳んだ際に対向する葉片間に介在する疑似接着フィルムシートと外側2葉片の天辺から突出した疑似接着フィルムシート同士の接着により封緘されると共に、地辺が各葉片の折り畳みにより形成される袋閉じ態様により封緘されたことを特徴とした折り畳み封書。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の折り畳みにより得られる封書であり、大量の情報伝達を可能にすると共に開封後に様々な立体的な状態で展開されるため受取人の興味を引く折り畳み封書とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、案内状やパンフレット等の大量の情報を伝達する手段として、封筒に各種広告宣伝物を封入封緘して郵送する方法が一般的である。しかし最近では個人情報等の管理が重要となり、誤って他人の情報を内容に記載したり、あて先を間違えて記載したために誤配したりする等の事故は極力避けなければならない。また多数の個別の情報を封入封緘する作業に係る多大な経費を削減したいところである。そのような状況下、例えば特開2000-43456号に記載される折り畳み封書用シートが提案されている。
【先行技術分野】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述の引用文献に記載される折り畳み封書用シートは、一枚のシートに一対一対応で情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、誤って他人の情報が混じることはない。また折り畳むことで封書に仕上がるので封入封緘の手間も省ける等の長所がある。しかし特殊加工を必要とする突出した封緘辺、封緘のための接着剤塗布、開封に際して封着片を引きちぎるための切取ミシン加工、接着部分が容易に剥離するための剥離剤塗布加工、二条のミシン目による開封手段等の複雑で手間が掛かる加工が必要で、既述の長所があるにも関わらず割高についてしまう。
【0005】
本発明の折り畳み封書は、上記問題に鑑み、一枚のシートに情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、一つの封筒に複数の紙片、情報を封入する際に起こる他人の情報の誤封入や誤配等の事故が起こらず、開封後は様々な状態で展開するため情報の確認がしやすく受取人の興味を引くと共に、使用する疑似接着フィルムシートの量を最小限に抑えるためコストが掛からない折り畳み封書を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み封書は、縦方向の折り線を介して横方向に連接された複数の葉片が横方向の折り線を介して縦方向に2列連接された封書シートを縦方向の折り線から折り畳んだ後に最後に横方向の折り線に沿って折り畳み、任意の対向面間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に接着した折り畳み封書であって、右側縦方向の縁辺が最後に横方向の折り線に沿って折り畳んだ際に対向する葉片間に介在する疑似接着フィルムシートの接着により封緘され、また左側縦方向の縁辺が折り畳み封書の内部に折り込まれる葉片群を包み込む外側2葉片の前記葉片群から突出した縁辺の対向面間に介在する疑似接着フィルムシートの接着により封緘され、さらに天辺が前記右側縦方向の縁辺が最後に横方向の折り線に沿って折り畳んだ際に対向する葉片間に介在する疑似接着フィルムシートと外側2葉片の天辺から突出した疑似接着フィルムシート同士の接着により封緘されると共に、地辺が各葉片の折り畳みにより形成される袋閉じ態様により封緘されたことを特徴としている。
している。
【0007】
なお本発明の折り畳み封書は、下縁辺が最終的に封書シート全体を大きく二つ折りにした際の折り線部分(折り返し部分)になるため、前記折り線部分(折り返し部分)は袋状に閉じられた状態になっている。従って残りの三方が最少限の面積に形成された疑似接着フィルムシートと葉片の横幅を加味した折り畳み形態により封緘されるように構成されている。
【0008】
本発明の折り畳み封書に使用される資材は、例えば上質紙、マット紙、コート紙等の通常の用紙、合成紙、不織布或いは樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。そして折り畳まれた対向面同士を剥離可能に接着して全体を封緘するための疑似接着手段として疑似接着フィルムシートが好適に使用できる。
【0009】
前記疑似接着フィルムシートには、例えばポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレン等の基材の一方の面に公知の感熱接着剤層を形成し、残るもう一方の面に疑似接着層を形成したサーマルラミネート対応のものがある。このものは印刷後の用紙の疑似接着予定面に被覆し、疑似接着フィルムシート同士が対向するように折り畳み、加圧或いは加熱・加圧処理を施すことにより剥離可能に接着する。
【0010】
また、本発明の折り畳み封書は、一枚の封書シートを縦横に折り畳み完成されるものであるが、前記折り線に形成されるミシン目や折り筋等の折り手段は、予め折り畳み封書の資材に形成されていても或いは製造工程中に被覆された疑似接着フィルムシートと共に形成されても構わない。また資材の性質(斤量や銘柄等)によっては、何も施さずに折り機で強制的に折り畳んでも構わない。
【0011】
本発明の折り畳み封書は当初縦方向の折り線から折り畳み、続いて横方向の折り線から上下に分割された葉片群を二つ折りに折り畳み、例えば長3サイズやメール便サイズの封書に仕上げる。そして前記横方向の折り線からの折り畳みに際し対向する葉片の対向面間を剥離可能に接着する。そうすることにより下側縁辺を折り畳みによる袋とじ状態で封緘し、上側縁辺は疑似接着予定面に上側縁辺からはみ出すように被覆された疑似接着フィルムシート同士の接着により封緘される。また左右側の縁辺は、前記疑似接着フィルムシートが被覆された各葉片の縁辺で封緘される。
【0012】
なお最終の横方向の折り線からの折り畳みにより袋とじとなった縁辺を下側縁辺と表現しているが、折り畳み封書のデザインにより上縁辺を袋状に閉じられた辺としても構わない。また横長手方向にデザインした場合、左右側の何れかの縁辺が袋状の閉じられた辺となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の折り畳み封書は、一枚のシートに全ての情報を記載し折り畳み封書に仕上げるので、個人情報を印字した複数の別体の紙片を集めて封入封緘する場合に起こる他人の情報の混入、及びそれにより発生する情報の漏洩等の重大な事故が起きない。
さらに疑似接着手段の形成面積が最低限で抑えられるためコストの低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)は折り畳み封書Fの平面図、(B)は(A)におけるI-I線断面図である。
【
図2】
図1(A)におけるII-II線断面図である。
【
図3】(A)は折り畳み封書Fの製造に使用する封書シートSの表面図、(B)は裏面図である。
【
図4】(A)は疑似接着フィルムシートGが疑似接着予定面に被覆された状態の封書シートSの表面図、(B)は裏面図である。
【
図5】(A)は第一の折り畳み後の封書シートSの平面図、(B)は(A)におけるIII-III線断面図、(C)はIV-IV線断面図である。
【
図6】(A)は第二の折り畳み後の封書シートSの平面図、(B)は(A)におけるV-V線断面図、(C)はVI-VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
本実施例で使用する折り畳み封書の資材は通常のマットコート紙(四六換算70kg)である。
また本実施例で使用する疑似接着フィルムシートGは、二軸延伸ポリプロピレン等からなる基材の一方の面に、ポリエチレンからなる公知の感熱接着剤層を形成すると共に、残るもう一方の面に疑似接着層を形成したサーマルラミネート法に対応したもので、通常のプリントラミに使用するものである。
【0016】
[折り畳み封書F]
図1(A)、(B)及び
図2に示される本実施例の折り畳み封書Fは、例えば
図3(A)及び(B)に示す封書シートSより作られる。前記封書シートSは縦方向の折り線9、10及び11により横方向に連接された第一葉片1、第二葉片2、第三葉片3及び第四葉片4が、同様に縦方向の折り線9、10及び11により横方向に連接された第五葉片5、第六葉片6、第七葉片7及び第八葉片8と横方向の折り線12を介して、第一葉片1と第五葉片5、第二葉片2と第六葉片6、第三葉片3と第七葉片7及び第四葉片4と第八葉片8がそれぞれ隣接するように上下に連接されている。
【0017】
そして前記封書シートS表面は
図4(A)に示すように、第二葉片2及び第六葉片6の略全面が疑似接着フィルムシートGにより上下縁辺からはみ出した状態で被覆されている。また同図(B)に示すように、封書シートS裏面は第一葉片1及び、第五葉片5の略全面が疑似接着フィルムシートGにより上下縁辺からはみ出した状態で被覆されている。本発明によれば前記2か所に疑似接着フィルムシートGを被覆すれば折り畳み封書Fの周囲(天地左右の4縁辺)の封緘を実施することができる。
【0018】
なお縦方向の折り線9、10、11及び横方向の折り線12に折りミシンや折り筋等の折り手段を形成しておいて正確に折り畳めるようにしても構わない。本実施例では全ての折り線に折りミシンが形成されている。
【0019】
既述の構成の封書シートSは第一の折り畳みにより
図5(A)、(B)及び(C)に示すように、第一葉片1及び第二葉片2裏面が第三葉片3及び第四葉片4裏面と対向するように、また第五葉片5及び第六葉片6裏面が第七葉片7及び第八葉片8裏面と対向するようにそれぞれ縦方向の折り線10から折り畳まれる。
【0020】
第一の折り畳みを終えた封書シートSは引き続き第二の折り畳みにより
図6(A)、(B)及び(C)に示すように、第三葉片3と第四葉片4表面が対向するように、また第七葉片7と第八葉片8表面が対向するようにそれぞれ縦方向の折り線9及び11から折り畳まれる。
【0021】
既述の通り第二の折り畳みを終えた封書シートSは、最後に第二葉片2及び第六葉片6の表面同士(疑似接着フィルムシートGが被覆されている)が対向するように横方向の折り線12から二つ折りに折り合わされて、
図1(B)の断面図に示す状態に折り畳まれる。なおこの時点では、第二葉片2及び第六葉片6の疑似接着フィルムシートG同士は接着しておらず、また第一葉片1及び第五葉片5の突出し疑似接着フィルムシートGが対向している縁辺部分も未接着状態であるが、加圧或いは加熱加圧処理を施して接着を完了するのである。
【0022】
このようにしてできた折り畳み封書Fは
図1(B)に示すように、右側縦方向の縁辺が第二葉片2と第六葉片6の対向面間に介在する疑似接着フィルムシートGの接着により封緘され、左側縦方向の縁辺が第一葉片1及び第五葉片5の他の葉片群の左側縦方向の縁辺から突出した縁辺の対向面間に介在する疑似接着フィルムシートGの接着により封緘される。
【0023】
また
図2に示すように、折り畳み封書Fの天辺は葉片群からはみ出した疑似接着フォルムシートG同士の接着により封緘され、地辺は各葉片の折り畳みにより袋状に閉じられている。このようにして折り畳み封書Fの四周は全て封緘されているのである。
【0024】
この折り畳み封書Fの受取人は、例えば
図1(B)に示す左右の縦方向の縁辺の疑似接着フィルムシートGが被覆されていない非接着域から第二葉片2及び第六葉片6、或いは第一葉片1及び第五葉片5の突出した封緘縁辺を引き剥がし、次に天辺の突出した疑似接着フィルムシートG同士の接着を引き剥がしながら、最終的に
図4(A)及び(B)に示す平面に展開して、内部の情報をそのまま或いは透明な疑似接着フィルムシートGを透して確認することができるのである。
【0025】
なお本発明は上記実施例に限定されるものではない。
例えば前記実施例では横に4葉片の葉片群が縦に2列並んだ封書シートSを使用しているが、葉片の数についてはそれ以上の葉片群が並んだ封書シートでも構わない。要は
横方向の折り線に沿って最終的に折り畳んだ際に対向する葉片間に介在する疑似接着フィルムシートGの接着により右側縦方向の縁辺が封緘され、また折り畳み封書の内部に折り込まれる葉片群を包み込む2葉片の突出した縁辺の対向面間に介在する疑似接着フィルムシートGの接着により左側縦方向の縁辺が封緘される構成であれば良いのである。なお天地辺の封緘は既述の通りである。
【0026】
また前記表出して全体を包み込む2葉片の他の葉片群からの突出幅にも制限はなく、製造装置の機能にもよるが突出幅が広いほど左側縦方向の縁辺をより確実に封緘することができる。
【符号の説明】
【0027】
F 折り畳み封書
S 封書シート
G 疑似接着フィルムシート
1、2、3、4、5、6、7、8 葉片
9、10、11 縦方向の折り線
12 横方向の折り線