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特許7054466車両のノズル接続検出装置およびエンジン制御システム
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  • 特許-車両のノズル接続検出装置およびエンジン制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】車両のノズル接続検出装置およびエンジン制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 28/10 20060101AFI20220407BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20220407BHJP
   B60K 15/04 20060101ALI20220407BHJP
   F02D 41/06 20060101ALI20220407BHJP
   F02B 43/00 20060101ALI20220407BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20220407BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
B60K28/10 A
B60K15/05 Z
B60K15/04 Z
F02D41/06
F02B43/00 A
F02M21/02 L
F02M21/02 V
B60R16/02 650C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017174980
(22)【出願日】2017-09-12
(65)【公開番号】P2019051732
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】道下 大和
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-177253(JP,A)
【文献】特開2002-61555(JP,A)
【文献】米国特許第5720327(US,A)
【文献】特開2011-156896(JP,A)
【文献】特開2005-264966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0272062(US,A1)
【文献】特開2014-11671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04-15/05,28/10,
F02D 41/06,
F02B 43/00,
F02M 21/02,
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に燃料を充填するためのガス充填ノズルを前記車両に設けられたノズル接続部に接続して前記ノズル接続部の所定方向の一側のガス充填口から燃料を充填する際に、前記ガス充填ノズルが前記ノズル接続部に接続された接続状態を検出する車両のノズル接続検出装置であって、
前記所定方向と交叉する板状の可動板本体と、前記可動板本体に設けられて前記ノズル接続部が挿通する開口とを有し、前記ガス充填口よりも前記所定方向の他側の検出位置と前記検出位置よりも前記所定方向の一側の通常位置との間を移動可能に車体側に支持される移動部材と、
前記ノズル接続部の外部に配置され、前記検出位置の前記移動部材を検出することによって前記接続状態を検出する検出手段と、を備え、
前記移動部材は、前記ガス充填ノズルが前記ノズル接続部に接続されていない非接続状態では、前記通常位置に位置し、前記ガス充填ノズルを前記ノズル接続部に接続する際には、前記所定方向の前記一側から前記他側へ移動する前記ガス充填ノズルの先端に押圧され、前記ノズル接続部が前記開口を挿通した状態で前記通常位置から前記検出位置へ移動し、前記接続状態では、前記ガス充填ノズルの先端によって前記検出位置に保持される
ことを特徴とする車両のノズル接続検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のノズル接続検出装置を有する車両のエンジン制御システムであって、
前記検出手段が前記接続状態を検出している間、前記車両のエンジンの始動を禁止するエンジン始動禁止手段を備えた
ことを特徴とする車両のエンジン制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載のノズル接続検出装置を有するエンジン制御システムまたは請求項2に記載のエンジン制御システムであって、
前記検出手段が前記接続状態を検出すると、前記接続状態であることを乗員に報知する報知手段を備えた
ことを特徴とする車両のエンジン制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のノズル接続検出装置およびエンジン制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の燃料タンクが記載されている。この燃料タンクの給油口付近には、給油ガンがシールを介して給油口に差し込まれたことを検出する給油検出手段である給油スイッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-103084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、天然ガスを燃料とする車両などでは、燃料であるガスを車両のタンクへ充填する際に、ガス充填ノズルの先端からガス充填ノズルの内部にタンク側のノズル接続部を挿入して、ガス充填ノズルとノズル接続部とを接続した状態でガスを充填する。このように、天然ガス車両は、ガソリンや軽油等を燃料とする車両とは、燃料を充填する部分の構造が異なるので、上記特許文献1に記載の構造をノズル接続部内に適用することが難しい。また、ノズル接続部の外部にノズル接続部を覆い隠す開閉自在の扉部材等を設け、扉部材の開放状態を検出することによって燃料充填作業中であることを検出することが考えられるが、この場合、燃料充填作業の終了後に扉部材を閉止し忘れてしまうと、扉部材の開放状態を検出してしまうので、燃料充填作業が終了しているにも拘らず燃料充填作業中であると検出されてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ガス充填ノズルとノズル接続部とを接続した状態でガスを充填する車両において、ガス充填ノズルの接続状態を検出することによって燃料充填作業中であることを正確に検出することが可能な車両のノズル接続検出装置およびエンジン制御システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、車両に燃料を充填するためのガス充填ノズルを車両に設けられたノズル接続部に接続してノズル接続部の所定方向の一側のガス充填口から燃料を充填する際に、ガス充填ノズルがノズル接続部に接続された接続状態を検出する車両のノズル接続検出装置であって、移動部材と検出手段とを備える。移動部材は、上記所定方向と交叉する板状の可動板本体と、可動板本体に設けられてノズル接続部が挿通する開口とを有し、ガス充填口よりも上記所定方向の他側の検出位置と検出位置よりも上記所定方向の一側の通常位置との間を移動可能に車体側に支持される。検出手段は、ノズル接続部の外部に配置され、検出位置の移動部材を検出することによって接続状態を検出する。移動部材は、ガス充填ノズルがノズル接続部に接続されていない非接続状態では、通常位置に位置し、ガス充填ノズルをノズル接続部に接続する際には、上記所定方向の一側から他側へ移動するガス充填ノズルの先端に押圧され、ノズル接続部が開口を挿通した状態で通常位置から検出位置へ移動し、接続状態では、ガス充填ノズルの先端によって検出位置に保持される。
【0007】
上記構成では、移動部材が検出位置に移動すると、検出手段が検出位置の移動部材を検出して接続状態を検出する。これにより、ガス充填ノズルがノズル接続部に接続された接続状態を検出することができる。このように、ガス充填ノズルの接続状態を検出することが可能であるので、充填作業中であることを正確に検出することができる。
【0008】
また、移動部材及び検出手段がノズル接続部の外部に配置されるので、例えば、ガス充填ノズルの先端からガス充填ノズル内にノズル接続部を挿入して燃料を充填する車両において、簡易な構造で燃料充填作業中であることを検出することができる。
【0009】
また、移動部材及び検出手段がノズル接続部の外部に配置されるので、ノズル接続部の内部に配置する場合とは異なり、車体側へのノズル接続検出装置の組付作業が容易であり、またメンテナンス性が向上する。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のノズル接続検出装置を有する車両のエンジン制御システムであって、エンジン始動禁止手段を備える。エンジン始動禁止手段は、検出手段が接続状態を検出している間、車両のエンジンの始動を禁止する。
【0011】
上記構成では、エンジン始動禁止手段は、検出手段が接続状態を検出している間、エンジンの始動を禁止する。すなわち、ガスの充填作業中には、エンジンの始動が禁止されるので、安全性を確保することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様のノズル接続検出装置を有するエンジン制御システムまたは上記第2の態様のエンジン制御システムであって、報知手段を備える。報知手段は、検出手段が接続状態を検出すると、接続状態であることを乗員に報知する。
【0013】
上記構成では、報知手段は、検出手段が接続状態を検出すると、接続状態であることを乗員に報知する。報知手段は、例えば、音や光(ランプ等)によって接続状態であることを乗員に報知する。このため、乗員は、ガスの充填作業中に、接続状態であることを認知することができるので、ガスの充填作業中であること又はエンジンの始動が禁止されていることを認知することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガス充填ノズルとノズル接続部とを接続した状態でガスを充填する車両において、ガス充填ノズルの接続状態を検出することによって燃料充填作業中であることを正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るエンジン制御システムを適用する天然ガス車両の外観斜視図である。
図2】ノズル接続検出装置の概略斜視図である。
図3】エンジン制御システムのブロック図である。
図4】ノズル接続検出装置の断面図であり、(a)は通常状態を、(b)は検出状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、天然ガスを燃料としてエンジン30(図3参照)を駆動する天然ガス車両(NGV)であって、車両1の側面部の下方に天然ガスを貯蔵する複数のタンク2(図1には1つのタンクのみが図示されている。)を有する。タンク2に貯蔵される天然ガスは、例えば、気体のまま高圧で貯蔵される圧縮天然ガス(CNG:Compressed Natural Gas)や、液体状態で超低温容器としての燃料容器内に貯蔵される液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)や、燃料容器内の吸着材に吸着されて貯蔵される吸着天然ガス(ANG:Adsorbed Natural Gas)である。タンク2は、カバー3によって覆われた状態で車体側に支持される。タンク2の前端側のカバー3の上部には、タンク2へ燃料を充填するための燃料充填部4が設けられている。
【0018】
図1及び図2に示すように、燃料充填部4は、箱状の収納カバー5を有する。収納カバー5には、車幅方向外側へ開放される開口5aが形成され、開口5aを開閉する開閉扉6がヒンジを介して開閉自在に取り付けられる。なお、図2では、収納カバー5の後部側および開閉扉6の図示を省略している。収納カバー5内には、燃料を充填するためのノズル接続部7が配置される。ノズル接続部7は、略筒状に形成され、車幅方向(所定方向)に沿って延び、タンク2へ連続する。ノズル接続部7の車幅方向の外側(一側)の端部には、ガス充填口8が設けられている。燃料を充填する際には、燃料を充填するための筒状のガス充填ノズル9(図4(b)参照)がノズル接続部7に対して車幅方向外側から接続され、ガス充填口8からタンク2内へ燃料が充填される。ノズル接続部7の外径は、ガス充填ノズル9の内径よりも小径に形成される。燃料を充填する際には、ノズル接続部7がガス充填ノズル9の先端からガス充填ノズル9内に挿入されてガス充填ノズル9に対して係止され、ガス充填ノズル9がノズル接続部7に接続された接続状態(図4(b)に示す状態)となる。
【0019】
図3に示すように、車両1は、燃料を充填しているときにエンジン30の始動を禁止するためのエンジン制御システム10を有する。エンジン制御システム10は、ノズル接続検出装置20とコントローラ(エンジン始動禁止手段、報知手段)29と報知ランプ(報知手段)12とスピーカー(報知手段)13とを備える。車両1には、イグニッションキー(図示省略)の操作に応じてエンジン30の始動を制御するエンジン始動制御部11が設けられている。
【0020】
図2及び図3に示すように、ノズル接続検出装置20は、可動板(移動部材)21と検出スイッチ(検出手段)22とを備える。
【0021】
図2図4(a)及び図4(b)に示すように、可動板21は、車幅方向と交叉する可動板本体21aと、可動板本体21aの前後方向の端縁部から車幅方向外側へ曲折する前後の板部21b,21cとを一体的に有する。前後の板部21b,21cの下端部には、前後方向に貫通する軸挿通孔25が形成され、軸挿通孔25には、収納カバー5内のノズル接続部7の下方で前後方向に延びる軸23が挿通している。可動板21は、その下端側が、軸23を中心として収納カバー5に回転自在に支持される。可動板本体21aは、車幅方向に貫通する開口24を有し、開口24には、ノズル接続部7が挿通している。すなわち、可動板21の可動板本体21aのうち開口24周辺の領域は、ノズル接続部7の側面の近傍に配置される。収納カバー5の前後に対向する内側面5bには、該内側面5bから突出するストッパ部材26が取り付けられており、可動板21は、前後の板部21b,21cの車幅方向外端縁がストッパ部材26に車幅方向内側から当接する通常位置(図4(a)に示す位置)と、可動板21の上端側が通常位置よりも車幅方向内側へ移動して前後の板部21b,21cの車幅方向外端縁がストッパ部材26から車幅方向内側へ離間した検出位置(図4(b)に示す位置)との間を傾動可能である。ストッパ部材26は、可動板21の車幅方向外側への傾動を通常位置までに規制する。軸23にはコイルスプリング(付勢部材)27が設けられており、コイルスプリング27は、一端が軸23に対して固定されて、他端が可動板本体21aの車幅方向内側面に当接した状態で、可動板21を車幅方向外側(通常位置側)へ付勢している。図4(a)に示すように、通常位置の可動板21は、下端側よりも上端側が車幅方向外側に配置されて、鉛直方向に対して所定の角度だけ傾斜している。可動板21が通常位置に配置された状態で、ノズル接続部7は、可動板21の可動板本体21aから車幅方向外側へ突出している。図4(b)に示すように、検出位置の可動板21は、下端側よりも上端側が車幅方向外側に配置されて、鉛直方向に対して上記所定の角度よりも小さな角度で傾斜している。なお、検出位置は、燃料を充填する際に、接続状態のガス充填ノズル9の先端によって規定される位置である。すなわち、検出位置は、ガス充填口8よりも車幅方向内側の位置である。
【0022】
検出スイッチ22は、収納カバー5内でノズル接続部7よりも上方に配置され、可動板21の可動板本体21aの上端部の車幅方向内側で収納カバー5に対してブラケット28を介して固定される。検出スイッチ22は、車幅方向内側へ押圧可能な被押圧部22aを有し、可動板21が通常位置に配置された状態では被押圧部22aが可動板21に押圧されない位置に配置され、可動板21が検出位置に配置された状態では被押圧部22aが可動板21に押圧される位置に配置される。検出スイッチ22は、被押圧部22aが可動板21に押圧されることによって、可動板21が検出位置に位置していることを検出する。すなわち、検出スイッチ22は、ノズル接続部7に対してガス充填ノズル9が接続された接続状態を検出する。検出スイッチ22は、ガス充填ノズル9の接続状態を検出している間、コントローラ29へ接続状態検出信号を送信する。
【0023】
ガス充填ノズル9をノズル接続部7に接続していない非接続状態(図4(a)に示す状態)では、可動板21は、通常位置に位置し、検出スイッチ22の被押圧部22aは、可動板21に押圧されない。燃料を充填する際にガス充填ノズル9を車幅方向内側へ移動して、ノズル接続部7のガス充填口8に対して車幅方向外側からガス充填ノズル9を近付け、ガス充填ノズル9の先端からガス充填ノズル9内にノズル接続部7を挿入すると、ガス充填ノズル9の先端が可動板21の可動板本体21aの開口24周辺の領域に当接して可動板21を押圧し、可動板21がガス充填ノズル9の先端に車幅方向内側へ押圧されて通常位置から検出位置へ移動する。ガス充填ノズル9がノズル接続部7に接続された接続状態(図4(b)に示す状態)では、可動板21がガス充填ノズル9の先端によって検出位置に保持され、検出スイッチ22の被押圧部22aが可動板21に押圧されることによって可動板21が検出位置に位置していることを検出してガス充填ノズル9の接続状態を検出する。
【0024】
報知ランプ12は、運転席の前方のインストルメントパネル(図示省略)に設けられるランプであって、点灯することによってガス充填ノズル9が接続状態であることを報知可能である。なお、接続状態を報知する方法は、ランプの点灯に限定されず、ランプの点滅であってもよいし、或いは「燃料充填作業中」や「エンジン始動禁止中」等の文字を車室内のディスプレイに表示してもよい。
【0025】
スピーカー13は、車室内に設けられ、音或いは音声を出力することによってガス充填ノズル9が接続状態であることを報知可能である。
【0026】
コントローラ29は、検出スイッチ22から接続状態検出信号を受信している間、エンジン始動制御部11を制御してエンジン30の始動を禁止するとともに、報知ランプ12を点灯させる。また、コントローラ29は、検出スイッチ22から接続状態検出信号を受信すると、スピーカー13から車室内に音或いは音声を予め設定された所定時間が経過するまで継続して出力し、接続状態であることを報知する。なお、接続状態であることを知らせる音或いは音声を、検出スイッチ22がガス充填ノズル9の接続状態を検出している間継続して出力してもよい。すなわち、コントローラ29は、検出スイッチ22が接続状態を検出している間、エンジン30の始動を禁止するエンジン始動禁止手段として機能する。また、コントローラ29、報知ランプ12及びスピーカー13は、検出スイッチ22が接続状態を検出すると、接続状態であることを乗員に報知する報知手段として機能する。
【0027】
上記のように構成されたノズル接続検出装置20では、検出スイッチ22は、被押圧部22aが可動板21に押圧されることによって、可動板21が検出位置に位置していることを検出し、ガス充填ノズル9の接続状態を検出する。ガス充填ノズル9が接続状態の場合には燃料充填作業中であり、ガス充填ノズル9が非接続状態の場合には燃料充填作業中ではないので、検出スイッチ22がガス充填ノズル9の接続状態を検出することによって、燃料充填作業中であることを正確に検出することができる。例えば、燃料充填部4の開閉扉6の開状態を検出することによって燃料充填作業中であることを検出する場合には、燃料充填作業後に開閉扉6を閉め忘れると燃料充填作業が終了しているにも拘らず燃料充填作業中であると勘違いしてしまうおそれがあるが、上記ノズル接続検出装置20では、燃料充填作業中であることを正確に検出することができる。
【0028】
また、可動板21及び検出スイッチ22がノズル接続部7の外部に配置されるので、ガス充填ノズル9の先端からガス充填ノズル9内にノズル接続部7を挿入して燃料を充填する天然ガス車両1において、簡易な構造で燃料充填作業中であることを正確に検出することができる。
【0029】
従って、本実施形態によれば、天然ガス車両1において、ガス充填ノズル9の接続状態を検出することによって燃料充填作業中であることを正確に検出することができる。
【0030】
また、可動板21及び検出スイッチ22がノズル接続部7の外部に配置されるので、可動板21及び検出スイッチ22等をノズル接続部7の内部に配置する場合とは異なり、ノズル接続検出装置20の組付作業が容易であり、またメンテナンス性が向上する。
【0031】
また、上記のように構成されたエンジン制御システム10では、コントローラ29は、検出スイッチ22がガス充填ノズル9の接続状態を検出している間、エンジン始動制御部11を制御してエンジン30の始動を禁止する。このため、燃料充填作業中にイグニッションキー(図示省略)をオンにしてもエンジン30の始動が禁止されており、エンジン30が始動しないので、安全性を確保することができる。
【0032】
また、コントローラ29、報知ランプ12及びスピーカー13は、検出スイッチ22がガス充填ノズル9の接続状態を検出すると、ガス充填ノズル9が接続状態であることを乗員に報知する。このため、乗員は、燃料充填作業中に接続状態であることを認知することができるので、燃料充填作業中であること、またはエンジン30の始動が禁止されていることを認知することができる。これにより、燃料充填作業中の乗員によるエンジン30の始動操作を抑制することができ、または乗員がエンジン30の始動操作をした際にエンジン30が始動しないことによって車両1が故障したと勘違いしてしまうことを防止することができる。
【0033】
なお、ノズル接続部7の延設方向は、車幅方向(所定方向)に限定されるものではなく、例えば、前後方向であってもよい。
【0034】
また、本実施形態では、軸23を中心として傾動可能な可動板21を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、車幅方向に沿って延びるレールを車体側に設け、該レールに車幅方向にスライド移動自在に支持される可動板21を設けてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、可動板(移動部材)21を可動板本体21aと前後の板部21b,21cとによって構成し、可動板本体21aにノズル接続部7が挿通可能な開口24を設けたが、移動部材の形状はこれに限定されるものではなく、少なくともノズル接続部7の側面の近傍に配置されて通常位置と検出位置との間を移動可能な移動部材であれば、他の形状であってもよい。
【0036】
また、本実施形態では、被押圧部22aを有する検出スイッチ22によってガス充填ノズル9の接続状態を検出したが、他の検出手段でガス充填ノズル9の接続状態を検出してもよい。例えば、非接触型のセンサ等によって検出位置の可動板21を検出してガス充填ノズル9の接続状態を検出してもよい。
【0037】
また、本実施形態では、可動板21の下端側にコイルスプリング(付勢部材)27を設けたが、コイルスプリング27を設けなくてもよい。この場合であっても、可動板21は、下端側に軸23を有し、検出位置の可動板21は、下端側よりも上端側が車幅方向外側に配置されて鉛直方向に対して傾斜しているので、ノズル接続部7からガス充填ノズル9を取り外して非接続状態にすると、可動板21はその自重で検出位置から通常位置へ移動する。
【0038】
また、本実施形態では、報知手段として報知ランプ12及びスピーカー13の双方を設けたが、報知手段として報知ランプ12及びスピーカー13のいずれか一方を設けてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、報知手段として報知ランプ12及びスピーカー13を設け、乗員の視覚及び聴覚によって接続状態を認知させたが、報知手段はこれに限定されるものではなく、乗員に対して接続状態を認知させることが可能な様々な報知手段を適用することができる。例えば、着座シートやハンドルの振動等によって乗員に対して接続状態を認知させる報知手段であってもよい。
【0040】
また、本実施形態では、エンジン制御システム10に、エンジン始動禁止手段(コントローラ29)及び報知手段(コントローラ29、報知ランプ12及びスピーカー13)の双方を設けたが、エンジン始動禁止手段または報知手段のいずれか一方を設けたエンジン制御システム10であってもよい。
【0041】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、本発明の一実施形態に係るノズル接続検出装置20及びエンジン制御システム10を、天然ガスを燃料とする天然ガス車両(NGV)に適用したが、天然ガス以外のガスを燃料とする車両(LPG車等)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1:車両
7:ノズル接続部
8:ガス充填口
9:ガス充填ノズル
10:エンジン制御システム
12:報知ランプ(報知手段)
13:スピーカー(報知手段)
20:ノズル接続検出装置
21:可動板(移動部材)
22:検出スイッチ(検出手段)
29:コントローラ(エンジン始動禁止手段、報知手段)
30:エンジン
図1
図2
図3
図4