(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】照明付き鏡及び洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
A47G 1/00 20060101AFI20220407BHJP
A47K 1/02 20060101ALI20220407BHJP
A47B 67/02 20060101ALI20220407BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20220407BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20220407BHJP
F21V 3/04 20180101ALI20220407BHJP
【FI】
A47G1/00 D
A47K1/02 B
A47K1/02 C
A47B67/02 503A
A47B67/02 502A
F21V33/00 130
F21V3/00 320
F21V3/04
(21)【出願番号】P 2018023163
(22)【出願日】2018-02-13
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】古來 幸二
(72)【発明者】
【氏名】香坂 幸史
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-131269(JP,A)
【文献】特開平11-089646(JP,A)
【文献】特開2003-116726(JP,A)
【文献】実開昭56-146029(JP,U)
【文献】特開平03-297004(JP,A)
【文献】特開2008-135202(JP,A)
【文献】特開2009-268623(JP,A)
【文献】特開2011-152330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/00
A47K 1/02
A47B 67/02
F21V 33/00
F21V 3/00
F21V 3/04
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間を有する枠体と、
前記枠体の前面に設けられた鏡と、
前記収納空間の内部に設けられ、上方に光を照射する光源と、
前記枠体の後部に取り付けられ、前記枠体の上方において前方に延びる前延部を有し、前記光源から上方に照射された光を下方に反射させることによって前記鏡の正面に照射する反射部材と、
を備え、
前記反射部材は、前記前延部の下面と前記枠体の上端との間において、両側端
を開口
させることにより光が通過可能となっており、
前記枠体の上部には、前記収納空間を覆い、光を透過する透過カバーを有し、
さらに、前記枠体の上部の左
右両端には、
前記透過カバーよりも光透過率が低
い低透過率部が設けられており、
前
記低透過率
部は、前記光源と前記反射部材との間に位置することを特徴とする照明付き鏡。
【請求項2】
前記低透過率部は、前記透過カバーの左右方向の両端部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明付き鏡。
【請求項3】
前
記低透過率
部は、
左右方向で前記反射部材の前記開口に向かうにつれて徐々に光透過率が低減していることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明付き鏡。
【請求項4】
前記前延部の前端は、前記鏡の前端よりも前方に位置していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の照明付き鏡。
【請求項5】
洗面ボウルを有する洗面器と、
前記洗面ボウルに向けて水を吐出する水栓装置と、
前記水栓装置の上に設けられた、請求項1~4のいずれか1つに記載の照明付き鏡と、
を備えたことを特徴とする洗面化粧台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、照明付き鏡及び洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鏡を備えた洗面化粧台において、鏡の上部に設けられた照明装置から前方に光を照射する構造が知られている(例えば、特許文献1)。このような洗面化粧台において、光が照明装置の左右から漏れ出さないようにカバーを設けることが知られている。例えば、照明装置の左右の両側端に光を遮光するためのキャップを設けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、光源より上方の位置に反射板などの反射部材を設け、光源から上方に光を照射し、その光を鏡の正面に反射させることにより、光源からの直接光が使用者の眼に入射することを抑制しようとする動きがある。このような構造において、側方への光の漏れ出しを抑制するキャップなどを反射部材の両側端に設けると、意匠性の低下を招いてしまう可能性がある。一方で、キャップなどを設けないと、光源から照射された光が反射部材の側方から漏れ出し、場合によっては縞模様が発生してしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、意匠性を確保しつつ、反射部材の側方からの光の漏れ出しを抑制することができる照明付き鏡及び洗面化粧台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、収納空間を有する枠体と、前記枠体の前面に設けられた鏡と、前記収納空間の内部に設けられ、上方に光を照射する光源と、前記枠体の後部に取り付けられ、前記枠体の上方において前方に延びる前延部を有し、前記光源から上方に照射された光を下方に反射させることによって前記鏡の正面に照射する反射部材と、を備え、前記反射部材は、前記前延部の下面と前記枠体の上端との間において、両側端が開口しており、前記枠体の上部の左右方向の両端領域には、前記両端領域の間に位置する中央領域よりも光透過率が低い一対の低透過率部が設けられており、前記一対の低透過率部のそれぞれは、前記光源と前記反射部材との間に位置することを特徴とする照明付き鏡である。
【0007】
この照明付き鏡によれば、反射部材の前延部の下面と枠体の上端との間において、反射部材の両側端が開口しているため、意匠性を確保することができる。換言すれば、反射部材の両側端にキャップが設けられていないため、キャップによって意匠性を損なうことを抑制できる。また、この照明付き鏡によれば、枠体の上部の左右方向の両端領域に、中央領域よりも光透過率が低い一対の低透過率部が設けられており、一対の低透過率部のそれぞれは、光源と反射部材との間に位置する。このため、一対の低透過率部によって、光源から反射部材の左右方向の両端部に照射される光の強度を、光源から反射部材の左右方向の中央部に照射される光の強度よりも低減させることができる。これにより、反射部材の側方からの光の漏れ出しを抑制することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記枠体は、前記上部に、前記収納空間を覆い、光を透過する透過カバーを有し、前記一対の低透過率部は、前記透過カバーの左右方向の両端部に設けられていることを特徴とする照明付き鏡である。
【0009】
この照明付き鏡によれば、収納空間の上部を覆う透過カバーを設けることで、収納空間の内部に埃などが入るのを抑制することができ、清掃性が向上する。また、一対の低透過率部をより簡単に設けることができるとともに、十分な明るさを確保することができる。従って、十分な明るさを確保しつつ、反射部材の側方からの光の漏れ出しをより簡単に抑制することができる。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記一対の低透過率部のそれぞれは、前記中央領域から左右方向に離れるにつれて徐々に光透過率が低減していることを特徴とする照明付き鏡である。
【0011】
この照明付き鏡によれば、反射部材に照射される光の強度を、反射部材の中央部から左右方向に離れるにつれて徐々に低減させることができるため、枠体の上部の左右方向の両端領域に低透過率部を設けたとしても、両端領域における反射部材から鏡の正面に反射する光の強度が急激に変化することを抑制でき、意匠性を低下させることなくより自然に反射部材の側方からの光の漏れ出しを抑制することができる。
【0012】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記前延部の前端は、前記鏡の前端よりも前方に位置していることを特徴とする照明付き鏡である。
【0013】
この照明付き鏡によれば、鏡の前方斜め上方への光の漏れ出しを抑制することができる。
【0014】
第5の発明は、洗面ボウルを有する洗面器と、前記洗面ボウルに向けて水を吐出する水栓装置と、前記水栓装置の上に設けられた、第1~第4のいずれか1つの発明の照明付き鏡と、を備えたことを特徴とする洗面化粧台である。
【0015】
この洗面化粧台によれば、意匠性を確保しつつ、反射部材の側方からの光の漏れ出しを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、意匠性を確保しつつ、反射部材の側方からの光の漏れ出しを抑制することができる照明付き鏡及び洗面化粧台が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る照明付き鏡を模式的に表す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る照明付き鏡の一部を拡大して模式的に表す断面図である。
【
図3】実施形態に係る照明付き鏡の変形例を模式的に表す斜視図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係る洗面化粧台を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る照明付き鏡を模式的に表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る照明付き鏡の一部を拡大して模式的に表す断面図である。
【0019】
図1及び
図2に表したように、照明付き鏡10は、枠体20と、鏡30と、光源40と、反射部材50と、を備える。照明付き鏡10は、例えば、洗面化粧台に用いられる。照明付き鏡10は、洗面化粧台において洗面器や水栓装置などの上方に配置して使用される。照明付き鏡10は、洗面化粧台に限ることなく、他の用途に用いてもよい。
【0020】
本願明細書においては、照明付き鏡10と向き合う使用者からみて手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とし、上側を「上方」とし、下側を「下方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0021】
枠体20は、鏡30、光源40、及び反射部材50を支持する。枠体20は、その内部に、収納空間21を有する。この例では、枠体20は、本体部22と、透過カバー23と、を有する。本体部22の内部の空間が、収納空間21である。
【0022】
本体部22は、例えば、直方体状である。この例では、本体部22は、上面及び背面を開放させた略直方体の箱状である。本体部22の上面は開放されており、収納空間21の内部に設けられた光源40から上方に照射された光を、収納空間21(本体部22)の上方まで通すことができる。本体部22の背面は開放されていなくてもよい。本体部22の形状は、直方体状に限ることなく、任意の形状でよい。本体部22は、例えば、木製である。本体部22は、木製に限ることなく、樹脂製及び金属製などでもよい。
【0023】
本体部22の前面の上端及び下端には、例えば、鏡30を取り付けるための鏡取付具28が設けられている。この鏡取付具28に鏡30をはめ込むことで、本体部22の前面で鏡30を支持することができる。鏡取付具28は、例えば、ネジ止めなどにより、本体部22の前面の上部及び下部に取り付けられる。
【0024】
本体部22の前面が扉になっており、収納空間21の一部がキャビネットとして使用されてもよい。この場合、扉の数は、1枚、2枚、又は3枚でもよいし、4枚以上でもよい。扉は、回動式の扉(いわゆる開き戸)でもよいし、スライド式の扉(いわゆる引き戸)などでもよい。扉は必要に応じて設けられ、省略されてもよい。この例では、扉は設けられていない。
【0025】
透過カバー23は、本体部22の上端に設けられ、収納空間21の上部を覆っている。このような透過カバー23を設けることで、収納空間21の上部を覆い、収納空間21の内部に埃などが入るのを抑制することができるため、清掃性が向上する。
【0026】
透過カバー23は、光源40から上方に照射された光を透過させることができる。透過カバー23は、例えば、アクリル樹脂などのプラスチック製の板である。透過カバー23は、ガラス製の板などであってもよい。透過カバー23の左右方向の中央部の光透過率は、例えば、90%を超える。このような透過カバー23であれば、反射部材50の中央部に照射される光の強度が大きく低減されないため、十分な明るさを確保しやすい。
【0027】
透過カバー23の左右方向の幅は、例えば、本体部22の左右方向の幅と実質的に同じ、又は、それよりも短い。透過カバー23の前後方向の幅は、例えば、本体部22の前後方向の幅と実質的に同じ、又は、それよりも短い。透過カバー23の厚さは、例えば、1mm以上10mm以下である。透過カバー23は必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0028】
枠体20の上部の左右方向の両端領域24aには、一対の低透過率部25(25a及び25b)が設けられる。一対の低透過率部25のそれぞれは、光源40と反射部材50との間に位置する。例えば、上下方向において、一対の低透過率部25のぞれぞれは、光源40の左右方向の両端部と重なる。
【0029】
この例では、一対の低透過率部25は、透過カバー23の左右方向の両端部に設けられている。例えば、透過カバー23の左右方向の両端部を、塗装又は印刷などにより着色することで、透過カバー23の両端部に、容易に一対の低透過率部25を設けることができる。
【0030】
一対の低透過率部25の光透過率は、両端領域24aの間に位置する中央領域24bの光透過率よりも低い。つまり、この例では、透過カバー23の左右方向の両端部の光透過率は、透過カバー23の左右方向の両端部の間に位置する中央部の光透過率よりも低い。一対の低透過率部25の光透過率は、例えば、10%以上90%以下である。一対の低透過率部25の光透過率は、例えば、20%以上80%以下でもよく、30%以上70%以下でもよく、40%以上60%以下でもよく、50%程度でもよい。
【0031】
一方、一対の低透過率部25の光透過率は、例えば、0%を超える。換言すれば、一対の低透過率部25は、例えば、完全遮光ではなく、光源40から照射された光の一部は、一対の低透過率部25を透過する。このような光透過率とすることで、反射部材の両端が暗くなり過ぎることを抑制し、意匠性を向上させることができる。
【0032】
ここで、光透過率は、例えば、全光線透過率又は可視光透過率である。光透過率は、例えば、JIS K 7361-1:1997に規定される全光線透過率であってもよい。光透過率は、例えば、JIS K 7375:2008に規定される全光線透過率であってもよい。光透過率は、例えば、JIS R 3106:1998に規定される可視光透過率であってもよい。
【0033】
また、一対の低透過率部25のそれぞれは、左右方向において光透過率の勾配(グラデーション)を有していてもよい。この例では、一対の低透過率部25のそれぞれは、中央領域24bから左右方向に離れるにつれて徐々に光透過率が低減している。すなわち、左側方側の低透過率部25aでは、右から左に向かって、徐々に光透過率が低減している。一方、右側方側の低透過率部25bでは、左から右に向かって、徐々に光透過率が低減している。
【0034】
この場合、例えば、一対の低透過率部25のそれぞれにおいて、中央領域24bから最も離れた位置(すなわち、光透過率が最も低い位置)の光透過率が、上記の範囲を満たす。この例では、一対の低透過率部25のそれぞれの光透過率は、中央領域24bに最も近い位置で中央領域24bの光透過率と同程度(例えば、90%程度)であり、中央領域24bから最も離れた位置で50%程度である。このような構造であれば、反射部材50に照射される光の強度を、反射部材50の中央部から左右方向に離れるにつれて徐々に低減させることができる。従って、反射部材50に照射される光の強度に境目がなく、枠体20の上部の左右方向の両端領域24aに低透過率部25を設けたとしても、両端領域24aにおける反射部材50から鏡30の正面に反射する光の強度が急激に変化することを抑制でき、意匠性を低下させることなくより自然に反射部材50の側方からの光の漏れ出しを抑制することができる。そのため、例えば、洗面化粧台100の正面に立ち化粧を行う使用者に対して違和感を与えることを抑制できる。
【0035】
一対の低透過率部25のそれぞれの左右方向の幅は、例えば、収納空間21の左右方向の幅の半分以下である。一対の低透過率部25のそれぞれの左右方向の幅は、例えば、30mm以上200mm以下である。一対の低透過率部25のそれぞれの左右方向の幅は、例えば、90mm程度である。一対の低透過率部25のそれぞれの前後方向の幅は、例えば、本体部22の前後方向の幅と実質的に同じ、又は、それよりも短い。一対の低透過率部25のそれぞれの前後方向の幅は、例えば、透過カバー23の前後方向の幅と実質的に同じである。
【0036】
鏡30は、枠体20の前面に設けられている。鏡30は、例えば、本体部22の前面の上端及び下端に設けられた鏡取付具28にはめ込まれている。この例では、1枚の鏡30が、枠体20(本体部22)の前面に設けられている。鏡30の数は、1枚、2枚、又は3枚でもよいし、4枚以上でもよい。上記のように本体部22の前面が扉になっている場合、例えば、鏡30の数は、扉の数と同じである。鏡30の数は、扉の数よりも少なくてもよい。
【0037】
光源40は、収納空間21の内部に設けられ、上方に光を照射する。この例では、光源40は、収納空間21の内部の後方側に設けられ、上方斜め前方に光を照射する。光源40は、例えば、収納空間21内部の上部に設けられる。光源40の取り付け位置は、収納空間21内部の上部に限ることなく、上方に光を照射可能な任意の位置でよい。
【0038】
光源40は、例えば、LED41を有する。光源40は、LED41の代わりに、例えば、LD(Laser Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)、又は、OLED(Organic light-emitting diode)などを有していてもよい。光源40は、LED41の代わりに、白熱電球又は蛍光灯などを有していてもよい。
【0039】
この例では、上方に光を照射する複数のLED41を左右方向に配列することで、左右方向に延びる光源40を構成している。このように光源40を左右方向に延びる構造とすることで、反射部材50の左右方向の両端部及び中央部に光を照射することができる。
【0040】
光源40の左右方向の幅は、反射部材50の左右方向の幅よりも短い。光源40の左右方向の幅は、例えば、収納空間21の左右方向の幅と実質的に同じでもよい。光源40は、例えば、収納空間21の左側方の端から10mm程度内側の位置から、右側方の端から10mm程度内側の位置まで、設けられていてもよい。
【0041】
反射部材50は、光源40から上方に照射された光を、下方に反射させることによって、鏡30の正面に照射する。これにより、鏡30の正面に位置する使用者の顔などを照らすことができる。反射部材50は、光を反射可能な任意の構成でよい。反射部材50は、例えば、金属製である。
【0042】
反射部材50は、枠体20の後部に、例えば、ネジ止めなどにより取り付けられる。反射部材50は、枠体20の上方において前方に延びる前延部51を有する。この例では、反射部材50は、枠体20の後部から上方に略鉛直に延びる上延部52と、上延部52から前方に略水平に延びる前延部51と、を有する。前延部51は枠体20の後部から前方斜め上方に延びていてもよい。上延部52は、省略されてもよい。
【0043】
前延部51の前端は、例えば、収納空間21の前面よりも前方に位置している。前延部51の前端は、例えば、鏡30の前端よりも前方に位置している。換言すれば、反射板50は、鏡30の前端よりも前方に突出している。このような構造とすることで、鏡30の前方斜め上方への光の漏れ出しを抑制することができる。
【0044】
反射部材50は、前延部51の下面と枠体20の上端との間において、両側端が開口している。換言すれば、収納空間21の上方において、反射部材50の前延部51の下面と収納空間21の上部との間は左右の側面が開口している。すなわち、反射部材50の両側端には、キャップが設けられていない。これにより、意匠性を確保することができる。
【0045】
反射部材50の左右方向の幅は、例えば、枠体20の左右方向の幅と実質的に同じである。このように、反射部材50の左右方向の端部と枠体20の左右方向の端部とを略面一とすることで、意匠性をさらに向上させることができる。
【0046】
以上、説明したように、実施形態に係る照明付き鏡10によれば、反射部材50の前延部51の下面と枠体20の上端との間において、反射部材50の両側端が開口している。換言すれば、反射部材50の両側端にキャップが設けられていない。これにより、キャップによって意匠性を損なうことを抑制し、意匠性を確保することができる。
【0047】
また、実施形態に係る照明付き鏡10によれば、枠体20の上部の左右方向の両端領域24aに、中央領域24bよりも光透過率が低い一対の低透過率部25が設けられており、一対の低透過率部25のそれぞれは、光源40と反射部材50との間に位置する。このため、一対の低透過率部25によって、光源40から反射部材50の左右方向の両端部に照射される光の強度を、光源40から反射部材50の左右方向の中央部に照射される光の強度よりも低減させることができる。これにより、反射部材50の側方からの光の漏れ出しを抑制することができる。また、反射部材50の側方からの光の漏れ出しによる縞模様の発生を抑制することができる。
【0048】
例えば、反射部材50の側方からの光の漏れ出しを抑制する別の手段として、枠体20の上部の全体を光透過率の低い部材で構成することが考えられる。しかしながら、この場合、反射部材50の左右方向の両端部だけでなく、反射部材50の中央部に照射される光の強度も大きく低減されてしまう。従って、鏡30の正面に照射される光の強度が低下し、十分な明るさを確保しづらくなってしまう。これに対し、実施形態に係る照明付き鏡10では、枠体20の上部の中央領域24bの光透過率を、枠体20の上部の両端領域24aの光透過率よりも高くする。これにより、反射部材50の中央部に照射される光の強度が大きく低減されることを抑制できる。このため、例えば、枠体20の上部の全体を光透過率の低い部材で構成する場合などと比べて、鏡30の正面に照射される光の強度が低下しづらく、十分な明るさを確保しやすい。
【0049】
図3は、実施形態に係る照明付き鏡の変形例を模式的に表す斜視図である。
図3に表したように、この例では、透過カバー23は設けられていない。換言すれば、枠体20の上部の左右方向の中央領域24bは、上下方向において解放されている。この場合、中央領域24bの光透過率は、実質的に100%である。
【0050】
枠体20の上部の左右方向の両端領域24aには、一対の低透過率部25が設けられている。この例では、低透過率部25aと低透過率部25bとは、別々の部材として設けられている。一対の低透過率部25の光透過率及び大きさについては、上記と同様の光透過率及び大きさを適用することができる。この例では、一対の低透過率部25のそれぞれは、全体が実質的に均一な光透過率を有する。つまり、一対の低透過率部25のそれぞれは、左右方向において光透過率の勾配(グラデーション)を有していない。
【0051】
この変形例の一対の低透過率部25は、例えば、光透過率が90%を超えるプラスチック製の板などの基材を塗装又は印刷により着色することで、容易に作製することができる。また、例えば、光透過率が50%程度のプラスチック製の板などを、そのまま一対の低透過率部25として用いてもよい。
【0052】
この変形例においても、反射部材50の前延部51の下面と枠体20の上端との間において、反射部材50の両側端が開口しているため、意匠性を確保することができる。また、枠体20の上部の左右方向の両端領域24aに一対の低透過率部25が設けられているため、反射部材50の左右方向の両端部に照射される光の強度を抑制し、反射部材50の側方からの光の漏れ出しを抑制することができる。これにより、反射部材50の側方からの光の漏れ出しによる縞模様の発生を抑制することができる。
【0053】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係る洗面化粧台の一例を表す説明図である。
図4(a)は、実施形態に係る洗面化粧台の一例を表す正面図である。
図4(b)は、実施形態に係る洗面化粧台の一例を表す側面図である。
【0054】
図4(a)及び
図4(b)に表したように、洗面化粧台100は、照明付き鏡10と、支持台102と、洗面器104と、水栓装置106と、を備える。洗面化粧台100は、洗面所などの設置空間において、所定の壁面に取り付けられた状態で使用される。
【0055】
支持台102は、例えば、フロアキャビネットである。この例において、支持台102は、引き出し式のキャビネットである。支持台102は、例えば、観音開き式のキャビネットなどでもよい。支持台102は、洗面器104を支持可能な任意の構成でよい。
【0056】
洗面器104は、支持台102の上に設けられる。洗面器104は、下方に向かって凹んだ凹状の洗面ボウル104aを有する。洗面ボウル104aは、水栓装置106から吐出された水を受ける。
【0057】
水栓装置106は、例えば、洗面器104の上に設けられる。水栓装置106は、例えば、洗面ボウル104aの内部に設けられてもよい。水栓装置106は、吐水口106a(スパウト)と、操作部106bと、を有する。吐水口106aは、洗面ボウル104aに向けて水を吐出する。操作部106bは、吐水口106aから吐出される水の流量及び温度を調節する。この例において、操作部106bは、レバーハンドルである。操作部106bは、これに限ることなく、回転型のハンドルなどでもよい。操作部106bは、少なくとも流量を調節できればよい。
【0058】
照明付き鏡10は、水栓装置106の上に設けられる。照明付き鏡10は、例えば、照明付き鏡10の枠体20に設けられた取付具と、壁面に設けられた取付受け具とによって、壁面に固定される。照明付き鏡10は、ネジなどにより、壁面に固定されてもよい。
【0059】
このように、実施形態に係る洗面化粧台100は、照明付き鏡10を備える。従って、実施形態に係る洗面化粧台100であれば、反射部材50の前延部51の下面と枠体20の上端との間において、反射部材50の両側端が開口しているため、意匠性を確保することができる。また、枠体20の上部の左右方向の両端領域24aに一対の低透過率部25が設けられているため、反射部材50の左右方向の両端部に照射される光の強度を抑制し、反射部材50の側方からの光の漏れ出しを抑制することができる。これにより、反射部材50の側方からの光の漏れ出しによる縞模様の発生を抑制することができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、照明付き鏡10及び洗面化粧台100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0061】
10 照明付き鏡、 20 枠体、 21 収納空間、 22 本体部、 23 透過カバー、 24a 端領域、 24b 中央領域、 25、25a、25b 低透過率部、 28 鏡取付具、 30 鏡、 40 光源、 41 LED、 50 反射部材、 51 前延部、 52 上延部、 100 洗面化粧台、 102 支持台、 104 洗面器、 104a 洗面ボウル、 106 水栓装置、 106a 吐水口、 106b 操作部