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特許7054491長尺LED発光体の筐体端部におけるキャップ構造
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  • 特許-長尺LED発光体の筐体端部におけるキャップ構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】長尺LED発光体の筐体端部におけるキャップ構造
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220407BHJP
   F21V 17/10 20060101ALI20220407BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20220407BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220407BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21V17/10 350
F21V31/00
F21Y115:10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020133401
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029857
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2021-04-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502291610
【氏名又は名称】神田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一英
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 直
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 万起
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195064(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0029734(US,A1)
【文献】特開2016-208717(JP,A)
【文献】特開2014-028452(JP,A)
【文献】特開2017-157312(JP,A)
【文献】特開2017-037710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 17/10
F21V 31/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面略方形状の筐体中に基板実装のLEDを収納した面発光LEDモジュールにおいて、
断面略方形状に構成した長尺の筐体端部にはキャップを装着すると共に、キャップは筐体開口部を閉塞する略方形状の蓋部と蓋部の背面に突設した略方形状のキャップ本体とより構成し、
キャップ本体は左右側面の下部に左右切欠き部を形成し、筐体開口部内壁には左右内側面下部に左右規制凸部を設け、キャップ本体を筐体開口部に嵌着する際に左右切欠き部と左右規制凸部とを凹凸嵌合してキャップ本体と筐体開口部内壁と密着固定可能に構成し、しかもキャップ本体の外側面における上側面と左右側面には多数のスリットを形成してスリットからの接着剤は毛細管現象によりキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に侵入するように構成し、しかもキャップの蓋部側面には接着剤を注入するための注入口を形成すると共に、注入口はキャップ本体の外側面に設け多数のスリットに連通して接着剤を注入口からスリットを介してキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に毛細管機能で侵入するように構成し、筐体とキャップ本体とは筐体の壁体上側面のピン孔からキャップ本体の上側面に設けたピン嵌入穴に挿入する固定ピンにより一体固定可能に構成したことを特徴とする長尺LED発光体の筐体端部におけるキャップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多種の製品に使用されている長尺物の面発光LED発光体の筐体端部におけるキャップ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDを面発光体として利用する製品が各種の製品分野で使用されている。例えば、自動車の車内インテリアやフロントグリルや移動デスプレイ等に実施されて見るものの注意を喚起したり美観を呈する等の使用が行われている。
【0003】
その構造は一定の広がりを有する筐体や長尺物の筐体中にLEDを実装した基板を収納して筐体を透過したLED発光を面発光体や線発光体等の所定のモジュールに構成したものである。
【0004】
そして、LEDを実装した基板を収納する筐体は両端部が解放されているので開口部にキャップを嵌合して閉塞し密閉ケースとして筐体を構成している。
【0005】
特に、美観を呈する目的で使用されるLED発光体の中には、直接光源を視認できる場所に設置されていたり、冷蔵装置或いは冷凍装置を備えたショーケース内に設置されているものもある。これらのLED発光体は、LEDを実装した基板を収納する筐体とキャップとの嵌合部から接着剤が外部へと漏洩したり、嵌合部から結露が入り込むことにより故障する点が指摘されていた。これらの課題の改善案として、例えば、特許文献1には、カバー本体とカバーエンドとの接合強度を高めることができる光源ユニットが開示されている。
【0006】
特許文献1に開示の光源ユニットは、少なくとも一端が開口した筒状のカバー本体と、カバー本体の開口内部に差し込まれる差込部と、溶剤を外部から注入するために差込部に形成された溶剤注入部と、を備えている。特許文献1に開示の光源ユニットは、かかる構成を備えてなることにより、外観を損なわないようにしながらもカバー本体とカバーエンドとの接合強度を高めることができる。
【0007】
また、特許文献2には、筐体に容易に取り付けることができるキャップ部材が開示されている。
【0008】
特許文献2に開示のキャップ部材は、発光素子が配置された基板を収納した筐体の端部に取り付けられるものである。筐体と取り付けた際には、キャップ部材の内壁面には、筐体と接触する位置に突起部が形成されている。キャップ部材は、防水機能性を有した素材からなることが好ましい。特許文献2に開示のキャップ部材は、かかる構成により、筐体へ容易に取り付けることができると共に、防水機能を提供するものである。
【0009】
特許文献1及び特許文献2に開示された照明器具のエンドキャップのように、美観及び実用性をより一層高めるための提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2017-195064号公報
【文献】特開2019-145424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来の面発光LEDモジュール収納の筐体における両端開口部はキャップによる閉塞構造とする場合が多く、LEDモジュールを実装するときの折曲作業などにより筐体に偏奇荷重がかるとキャップが脱落したり嵌着接合部分に生起するクリアランスによってLEDモジュールの応用製品から生じる筐体内漏水が発生してLED照明の機能に支障を生起するという課題があった。
【0012】
かる課題を解決すべく本発明では、キャップ本体は左右側面の下部に左右切欠き部を形成し、筐体開口部内壁には左右内側面下部に左右規制凸部を設け、キャップ本体を筐体開口部に嵌着する際に左右切欠き部と左右規制凸部とを凹凸嵌合してキャップ本体と筐体開口部内壁と密着固定可能に構成し、しかもキャップ本体の外側面における上側面と左右側面には多数のスリットを形成してスリットからの接着剤は毛細管現象によりキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に侵入するように構成し、しかもキャップの蓋部側面には接着剤を注入するための注入口を形成すると共に、注入口はキャップ本体の外側面に設けは多数のスリットに連通して接着剤を注入口からスリットを介してキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に毛細管機能で侵入するように構成し、筐体とキャップ本体とは筐体の壁体上側面のピン孔からキャップ本体の上側面に設けたピン嵌入穴に挿入する固定ピンにより一体固定可能に構成したことを特徴とする長尺LED発光体の筐体端部におけるキャップ構造を提供する
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、断面略方形状の筐体中に基板実装のLEDを収納した面発光LEDモジュールにおいて、断面略方形状に構成した長尺の筐体端部にはキャップを装着すると共に、キャップは筐体開口部を閉塞する略方形状の蓋部と蓋部の背面に突設した略方形状のキャップ本体とより構成し、キャップ本体は左右側面の下部に左右切欠き部を形成し、筐体開口部内壁には左右内側面下部に左右規制凸部を設け、キャップ本体を筐体開口部に嵌着する際に左右切欠き部と左右規制凸部とを凹凸嵌合してキャップ本体と筐体開口部内壁と密着固定可能に構成し、しかもキャップ本体の外側面における上側面と左右側面には多数のスリットを形成してスリットからの接着剤は毛細管現象によりキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に侵入するように構成し、しかもキャップの蓋部側面には接着剤を注入するための注入口を形成すると共に、注入口はキャップ本体の外側面に設けは多数のスリットに連通して接着剤を注入口からスリットを介してキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に毛細管機能で侵入するように構成し、筐体とキャップ本体とは筐体の壁体上側面のピン孔からキャップ本体の上側面に設けたピン嵌入穴に挿入する固定ピンにより一体固定可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、断面略方形状の筐体中に基板実装のLEDを収納した面発光LEDモジュールにおいて、断面略方形状に構成した長尺の筐体端部にはキャップを装着すると共に、キャップは筐体開口部を閉塞する蓋部と蓋部の背面に突設したキャップ本体とより構成し、キャップ本体は筐体開口部内壁と凹凸嵌合して筐体開口部内壁と密着固定可能に構成し、しかもキャップ本体の外側面には多数のスリットを形成してスリットからの接着剤は毛細管現象によりキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に侵入することにより、確実にキャップと筐体開口部とを一体に確実に固定することができると共に、接着剤は筐体開口部内壁とキャップ本体との接合面に侵入してより確実な接着機能を果たすことができる効果がある。
【0017】
また、キャップの蓋部側面には接着剤えを注入するための注入口を形成すると共に、注入口はキャップ本体の外側面に設けは多数のスリットに連通して接着剤を注入口からスリットを介してキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に毛細管機能で侵入するように構成したことにより、接着剤注入口からスリットを介してキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に侵入してより密着接合機能を果たし筐体内部を大気からの完全な遮断空間としLEDモジュールの保護をすることができる効果がある。
【0018】
また、筐体とキャップ本体とは筐体の壁体外部から挿入する固定ピンにより一体固定可能に構成したことにより、接着剤の機能と共に機械的にピンを介して筐体とキャップ本体とを一体に接合することが出きるため完全な筐体の密封構造を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】筐体の端部に密着状に装着固定するキャップの構造例を説明する図である。
図2】筐体の端部に密着状に装着固定するキャップの構造例を説明する図である。
図3】筐体の端部に密着状に装着固定するキャップの構造例を説明する図である。
図4図7で説明するキャップを筐体の端部に装着固定する様子を説明する平面図である。
図5】ハーネスの構造を説明する概略図である。
図6】ハーネスを筐体が備える拡散板の反対側に引き出した状態を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の要旨は、断面略方形状の筐体中に基板実装のLEDを収納した面発光LEDモジュールにおいて、断面略方形状に構成した長尺の筐体端部にはキャップを装着すると共に、キャップは筐体開口部を閉塞する略方形状の蓋部と蓋部の背面に突設した略方形状のキャップ本体とより構成し、キャップ本体は左右側面の下部に左右切欠き部を形成し、筐体開口部内壁には左右内側面下部に左右規制凸部を設け、キャップ本体を筐体開口部に嵌着する際に左右切欠き部と左右規制凸部とを凹凸嵌合してキャップ本体と筐体開口部内壁と密着固定可能に構成し、しかもキャップ本体の外側面における上側面と左右側面には多数のスリットを形成してスリットからの接着剤は毛細管現象によりキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に侵入するように構成し、しかもキャップの蓋部側面には接着剤を注入するための注入口を形成すると共に、注入口はキャップ本体の外側面に設けは多数のスリットに連通して接着剤を注入口からスリットを介してキャップ本体と筐体開口部内壁との接合部に毛細管機能で侵入するように構成し、筐体とキャップ本体とは筐体の壁体上側面のピン孔からキャップ本体の上側面に設けたピン嵌入穴に挿入する固定ピンにより一体固定可能に構成したことを特徴とする。
【0023】
この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1から図4は、キャップ構造を説明する概略図であり、図5及び図6は、キャップの使用例を説明する図である。
【0024】
筐体10の端部は開口しているために筐体10の内部を密閉するため長尺の筐体端部にキャップ30を密着状に装着固定している。以下、キャップ30が装着固定される筐体10の端部に設けられた開口は開口部15とする。
【0025】
すなわち、キャップ30は、図1に示すように、筐体10の開口部15を閉塞する平板の蓋部31と蓋部31の背面31aに突設し筐体10の端部の開口部15に嵌着することができる方形状のキャップ本体32とからなる。
【0026】
方形状のキャップ本体32の左右側面32aには筐体10の開口部15内壁に突設した左右の規制凸部13と凹凸嵌合するように切欠き部33を設けている。
【0027】
更には、図2に示すように、筐体10の端部天井面10dにはピン孔34を左右2個形成しており、キャップ本体32の上面にはピン孔34に対応する位置にピン嵌入穴35を穿設して筐体10の開口部15にキャップ本体32を嵌着した場合に固定ピン36をピン孔34からピン嵌入穴35に挿通してキャップ本体32のロック機能を果たすように構成している。
【0028】
キャップ本体32の上側面32bと左右側面32aには、図3及び図4に示すように、液状の接着剤が流通するための歯様の形状を備えたスリット37を形成しており、キャップ30の蓋部31の天井面31bにスリット37に連通する外部接着剤注入口38を切欠形成している。外部接着剤注入口38から液状の接着剤を流入すればスリット37を介して接着剤は毛細管現象で筐体10の開口部15内壁とキャップ本体32の外側面との接合部に侵入し接着剤と共に一体的な嵌着構造を介してキャップ30を筐体10の開口部15に強固に密閉して一体性を向上して長尺LED発光体1の製品を永続的に実施できる効果がある。
【0029】
キャップ30の蓋部側面30a(蓋部31の天井面31b)には、図3及び図4に示すように、接着剤を注入するための外部接着剤注入口38を形成すると共に、注入口38はキャップ本体32の外側面(32a及び32b)に設けた多数のスリット37に連通することにより、外部接着剤注入口38からスリット37を介してキャップ本体32と筐体10の開口部15内壁との接合部に侵入してより密着接合機能を果たし筐体10の内部を大気から遮断した遮断空間として内部に収容したLEDモジュール20を外部の湿度や漏水や汚損物から保護している。
【0030】
また、筐体10の外形は上記したように方形状であるため他の製品に実装するときには方形の平面を利用して容易に密着実装することが可能であり、従って例えば両面テープなどの接着テープを介して他製品の平面部分に筐体を貼着することができる。
【0031】
また、筐体10の内部にはLED22間を結線するハーネス40が配線されており、具体的には、図5(a)に示すように、筐体10と連接した分岐ケース47の内部に緩衝充填剤41を収納してその内部に4本のハーネス40を上下左右に規則的に配設している。図中、符号42はハーネスの外周の絶縁体、符号43は導体を示す。なお、図5(a)は分岐ケース47の構造を説明する図であり、図5(b)は分岐ケース47の横断面図であり、図5(c)は、筐体10と分岐ケース47とを連結させるハーネスキャップ46近傍の図である。
【0032】
筐体10から導出されるハーネス40は次の隣接筐体10′に接続される場合には、図6(a)に示すように、ハーネススチレン系エラストマー樹脂を筐体10の延長線上に配線するのが一般的であるが、発光面の拡散板11を前面露出側として実装するとハーネス40がセットフレーム44に入らずに外観を損ねるため拡散板11の反対側に配線することによりかかる課題を解決する手段があるが、そのためには筐体10の壁面(筐体10b′側)にハーネス導出のための導出孔45を穿設しなければならず筐体10内の密閉性が損なわれる。そのために、図6(b)に示すように、筐体10の端部に装着したハーネスキャップ46に分岐ケース47を分岐連設してハーネスキャップ46の蓋部48からハーネス40を引き回してハーネス40の配線と共に筐体10の内部の密閉性を確保するように構成している。
【符号の説明】
【0033】
1 LED発光体
10 筐体
13 規制凸部
15 開口部
30 キャップ
31 蓋部
31a 蓋部の背面
31b 蓋体の天井面
32 キャップ本体
32a キャップ本体の左右側面
32b キャップ本体の上側面
33 切欠き部
34 ピン孔
35 ピン嵌入穴
36 固定ピン
37 スリット
38 外部接着剤注入口
40 ハーネス
41 緩衝充填剤
42 絶縁体
43 導体
44 セットフレーム
45 導出孔
46 ハーネスキャップ
47 分岐ケース
48 蓋部
図1
図2
図3
図4
図5
図6