(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】ヒータ内蔵バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 49/00 20060101AFI20220407BHJP
F16K 41/10 20060101ALI20220407BHJP
F16K 1/32 20060101ALN20220407BHJP
F16K 27/02 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
F16K49/00 B
F16K41/10
F16K1/32 A
F16K27/02
(21)【出願番号】P 2017191770
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】平松 浩司
(72)【発明者】
【氏名】曽我尾 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-161382(JP,A)
【文献】特開2004-156720(JP,A)
【文献】特開2016-180495(JP,A)
【文献】米国特許第05915410(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0011404(US,A1)
【文献】特開2004-270716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 49/00
F16K 27/00-27/12
F16K 1/00- 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの入口流路、出口流路およびこれらの流路の間に形成された弁座を有するバルブボディと、
前記弁座と当接・離間する弁体を下端部に有する弁棒と、
前記バルブボディの上部に気密に固定され、前記弁棒が貫通する蓋部材と、
前記弁棒および前記蓋部材に溶着固定されるベローズと、を有するヒータ内蔵バルブであって、
前記蓋部材は、少なくとも1つのヒータ挿入孔を有し、
当該ヒータ挿入孔は、前記蓋部材の側面であって前記ベローズの上端よりも上に開口し、当該蓋部材を水平方向に通るように形成されており、
前記ヒータ挿入孔に少なくとも1つの棒状ヒータが挿入配置されるヒータ内蔵バルブ。
【請求項2】
前記弁棒内部にヒータが設けられている請求項1に記載のヒータ内蔵バルブ。
【請求項3】
前記ヒータ挿入孔が貫通孔である請求項
1または2に記載のヒータ内蔵バルブ。
【請求項4】
前記ヒータ挿入孔は前記弁棒を挟んで平行に設けられた少なくとも2つの孔である請求項
1~3のいずれか1項に記載のヒータ内蔵バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒータ内蔵バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程で真空チャンバー内と真空ポンプとを接続する流路の途中に設けられるバルブには、ヒータを内蔵し、200℃を超えるような高温条件で使用されるものもある。
【0003】
特許文献1に記載のバルブは、高温用のベローズ弁であり、外部からの加熱を行うとともに、弁体にヒータを内蔵している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バルブを高温条件下で使用する場合、バルブを流れるガスによっては温度の不均一により、バルブ内部にガスの液化・蒸着が生じる。ヒータ内蔵バルブはこのような課題を解決するために用いられるが、特許文献1のように弁体にヒータを内蔵したバルブにおいても、バルブ内部の温度の不均一性により条件によってはガスの液化・蒸着が生じることがある。このとき、液化・蒸着は主にベローズ上部において生じるため、バルブ上方からの放熱を防ぎバルブ内部全体を均一に加熱することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)は、ガスの入口流路、出口流路およびこれらの流路の間に形成された弁座を有するバルブボディと、前記弁座と当接・離間する弁体を下端部に有する弁棒と、前記バルブボディの上部に気密に固定され、前記弁棒が貫通する蓋部材と、前記弁棒および前記蓋部材に溶着固定されるベローズと、を有するヒータ内蔵バルブであって、前記上部蓋部材は、少なくとも1つのヒータ挿入孔を有し、前記ヒータ挿入孔に少なくとも1つの棒状ヒータが挿入配置されるヒータ内蔵バルブである。
【0007】
本発明(1)は、この構造を有しているので、バルブ内部の温度の不均一性が是正され、ベローズ上部でバルブを通過するガスの液化や蒸着を防止することができる。また、蓋部材にヒータ挿入孔が備えられ、このヒータ挿入孔に棒状ヒータを挿入するだけでよいので、ヒータの取り換えが容易となる。
【0008】
本発明(2)は、本発明(1)に記載のヒータ内蔵バルブであって、さらに前記弁棒内部に配置されるヒータを設けたヒータ内蔵バルブである。
【0009】
本発明(2)は、本発明(1)の蓋部材内部に備えられた棒状ヒータ以外に、弁棒内部にもヒータが設けられているので、ヒータ内部の温度は、本発明(1)と比べてより均一となり、バルブ内部の温度の不均一性が改善され、バルブを通過するガスの液化や蒸着をさらに防止することができる。
【0010】
本発明(3)は、前記ヒータ挿入孔が、前記蓋部材の側面に設けられている本発明(1)または(2)に記載のヒータ内蔵バルブである。
【0011】
本発明(3)によれば、ヒータ挿入孔が蓋部材の側面に設けられているので、ヒータの交換や修理等の際にヒータを抜き取り、再挿入をする必要が生じた場合、バルブの分解が必要でなく、その作業が容易となる。
【0012】
本発明(4)は、前記ヒータ挿入孔は貫通孔である本発明(3)に記載のヒータ内蔵バルブである。
【0013】
本発明(4)によれば、ヒータ挿入孔は両端で開口しているので、ヒータはそのどちら側の開口部からでも挿入・抜き取りが可能となり、バルブの設置環境に起因するヒータの出し入れの困難さを少なくすることができる。
【0014】
本発明(5)は、ヒータ挿入孔が弁棒を挟んで平行に設けられた少なくとも2つの孔である本発明(3)に記載のヒータ内蔵バルブである。
【0015】
本発明(5)によれば、ヒータ挿入孔は弁棒を挟んで2つ以上設けられているので、予め予想される数のヒータ挿入孔を穿孔しておけば、液化・蒸着が他の種類のガスに比べて高いようなガスをバルブに流す場合、使用していないヒータ挿入孔にヒータを挿入してヒータ増設を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明のベローズを加熱するヒータを有するヒータ内蔵バルブによると、バルブを通過するガスの液化・蒸着が従来のヒータ内蔵バルブと比べてより少なくすることができ、ヒータの交換等も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、この発明によるヒータ内蔵バルブの実施例1を示す。
【
図2】
図2は、実施例1のヒータ内蔵バルブの蓋部材を上面から見た時の平面図を示す。
【
図3】
図3は、実施例2のヒータ内蔵バルブのバルブボディ、蓋部材あたりの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、便宜的に図面上での方向によって部材等の方向を上下左右と指称することがあるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0019】
図1は、この発明によるヒータ内蔵バルブの実施例1を示すものであり、このバルブ1は、ヒータ内蔵真空開閉バルブとも呼ばれるものである。
【0020】
バルブボディ10の内部には、入口流路11と出口流路12が備えられ、その間に弁座13が形成されている。流体は左方向から入り、バルブが開いている状態では下方向に流れていく構成となっている。
【0021】
弁の開閉状態は、弁座13と当接する弁体21の移動によって制御され、弁座13と弁体21が密接しているときは流体の流れは遮断され、離間しているときは、流体は左方向からバルブに流入して、バルブの下方向に流れ出るようになっている。
【0022】
弁体21は、弁棒20の下端部に形成されており、弁棒20の内部にはヒータ収容空間22が形成され、その中に第1カートリッジヒータ35がはめ込まれている。なお、ヒータは弁棒内部をヒーティング可能であれば何でも良く、シースヒータ等も用いることが可能である。
【0023】
バルブボディ10の上部には、弁棒20が貫通する蓋部材31が設けられている。蓋部材31にはベローズ39の一端が溶接され、ベローズ39の他端が弁棒に設けられたベローズフランジ30に溶接されることで、流体の外部へのリークが防止されている。
【0024】
蓋部材31には、棒状の第2カートリッジヒータ36C, 36Dが挿入されるヒータ挿入貫通孔34C, 34Dが設けられている。ヒータ挿入貫通孔34は、正面から背面に向かう方向に左右に穿孔された2箇所のヒータ挿入貫通孔34A, 34Bと、左方から右方へ向かう方向に(点線で示す)ヒータ挿入貫通孔34Cと貫通孔34Cの背後側(
図1においては紙面の後ろ側)に隠れている34Dである。
【0025】
図1は、前側のヒータ挿入貫通孔34Cに右から第2カートリッジヒータ36Cが挿入され、後ろ側のヒータ挿入貫通孔34Dに左から第2カートリッジヒータ36Dが挿入されている状態を示し、左側のヒータ挿入貫通孔34Aおよび右側のヒータ挿入貫通孔34Bには第2カートリッジヒータ36は挿入されていない状態を示している。そして挿入された第2カートリッジヒータ36には動力ライン40aが接続されている。なお、ヒータ挿入貫通孔34に挿入されるヒータはカートリッジヒータに限らず、棒状のものであればよい。
【0026】
アクチュエータ(符号略)はステー51を介してカバー14に支持されて、ステム50を介して弁棒20を電動力または電磁力で上下方向に動作させる。
【0027】
バルブボディ10の外周には、入口流路用バンドヒータ43a、出口流路用バンドヒータ43bおよびバルブボディ用バンドヒータ43cが巻かれている。これらのバンドヒータによっても、バルブボディ10の外部からバルブボディ10の内部を加熱することもできる。
【0028】
また、流すガスの種類によって流すガスの液化・蒸着の防止のために追加でヒータを追加したい場合がある。本実施例1の発明では、蓋部材31に追加のヒータ挿入貫通孔34A, 34Bがあるので、新たなヒータ挿入孔を設けるための設計変更や追加工が必要でない。
【0029】
図2は、A-Aから見た矢視図である。蓋部材31に、ヒータ挿入貫通孔34(34A, 34B, 34C, 34D)が4本、図面で縦向きに2本34A, 34B、横向きに2本34C, 34Dが穿孔され、縦に穿孔された2本34A, 34Bと、横に穿孔された2本34C, 34Dとは、
図1に示すヒータ内蔵バルブ1の上下方向で異なった高さに位置している。蓋部材31は、ボルト44によってバルブボディ10に固定されている。実施例1においては、第2カートリッジヒータ36Aおよび36Bは挿入されていないので、
図2においては二点鎖線で記載している。
【0030】
蓋部材31の上面にはカバー14が取り付けられ、蓋部材31とカバー14とは、ボルト42によって固定され、ステー51の下端部がカバー14の上面に固定されている。
【0031】
蓋部材31の右側面には、熱電対45が挿入されており、第2カートリッジヒータ36近傍の温度がモニターされている。
【0032】
図3は、バルブボディ10、蓋部材31近傍の斜視図であり、部分的に断面を示している。
図1および
図2で説明した個所については省略する。
【符号の説明】
【0033】
1 ;ヒータ内蔵バルブ
10;バルブボディ
11;入口流路
12;出口流路
13;弁座
20;弁棒
21;弁体
31;蓋部材
34;ヒータ挿入貫通孔
35;第1カートリッジヒータ
36;第2カートリッジヒータ
39;ベローズ