(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】3次元量子構造の評価方法、3次元量子構造評価装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 23/20058 20180101AFI20220407BHJP
【FI】
G01N23/20058
(21)【出願番号】P 2018002667
(22)【出願日】2018-01-11
【審査請求日】2020-12-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年7月12日,http://algainn.jsms.jp/,http://algainn.jsms.jp/?page_id=35,http://algainn.jsms.jp/files/H29-1-program.pdf,(日本材料学会半導体エレクトロニクス部門委員会ウェブサイトで公開された日本材料学会半導体エレクトロニクス部門委員会 平成29年度第1回研究会のプログラム) [刊行物等] 平成29年7月15日,日本材料学会 半導体エレクトロニクス部門委員会 平成29年度第1回研究会“プログラム・予稿集” [刊行物等] 平成29年7月15日,日本材料学会 半導体エレクトロニクス部門委員会 平成29年度第1回研究会にて発表 [刊行物等] 平成29年10月11日,和歌山大学大学院システム工学研究科システム工学講究(ナノテクノロジークラスタ)にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】504145283
【氏名又は名称】国立大学法人 和歌山大学
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 信彦
(72)【発明者】
【氏名】生野 大吾
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/010389(WO,A1)
【文献】特開2009-134124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0013042(US,A1)
【文献】Kenta Arai, et al,Self-organized formation processes of CdSe quantum dots studied by reflection high-energy electron diffraction,Journal of Crystal Growth,NL,Elsevier,2000年06月02日,Vol.214,703-706
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元量子構造
上にキャップ層が形成されている状況において前記3次元量子構造に波動性ビームを照射して、前記3次元量子構造による回折強度を測定し、
前記回折強度の変化の度合いに関する変化度パラメータを求め、
前記変化度パラメータと前記3次元量子構造の形態に依存する値との相関情報に基づいて、前記変化度パラメータから、前記3次元量子構造の形態に依存する値を求める
ことを含む3次元量子構造の評価方法。
【請求項2】
前記値は、前記3次元量子構造の発光波長又は吸光波長である
請求項1に記載の3次元量子構造の評価方法。
【請求項3】
前記3次元量子構造は、量子ドットである
請求項1又は2に記載の3次元量子構造の評価方法。
【請求項4】
前記波動性ビームは、電子線である
請求項1~3のいずれか1項に記載の3次元量子構造の評価方法。
【請求項5】
前記波動性ビームは、電磁波である
請求項1~3のいずれか1項に記載の3次元量子構造の評価方法。
【請求項6】
前記変化度パラメータは、前記回折強度の変化を示す関数における変曲点である
請求項1~5のいずれか1項に記載の3次元量子構造の評価方法。
【請求項7】
前記関数は、ブリルアン関数又はランジュバン関数である
請求項
6に記載の3次元量子構造の評価方法。
【請求項8】
3次元量子構造に波動性ビームを照射して、前記3次元量子構造による回折強度を測定する測定部と、
前記3次元量子構造
上にキャップ層が形成されている状況において測定された回折強度の変化の度合いに関する変化度パラメータを算出する変化度パラメータ算出部と、
前記変化度パラメータと前記3次元量子構造の形態に依存する値との相関情報に基づいて、前記変化度パラメータを、前記3次元量子構造の形態に依存する値に変換する変換部と、
を備える3次元量子構造の評価装置。
【請求項9】
コンピュータに3次元量子構造の評価処理を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記評価処理は、
前記3次元量子構造
上にキャップ層が形成されている状況において前記3次元量子構造に波動性ビームを照射して測定された前記3次元量子構造による回折強度の変化の度合いに関する変化度パラメータを算出する処理と、
前記変化度パラメータと前記3次元量子構造の形態に依存する値との相関情報に基づいて、前記変化度パラメータを、前記3次元量子構造の形態に依存する値に変換する処理と
を含むコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記評価処理は、前記3次元量子構造
上にキャップ層が形成されている状況に関する環境パラメータに基づいて、複数の相関情報から前記変換する処理において用いられる前記相関情報を選択する処理をさらに含む請求項
9に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、量子ドットなどの3次元量子構造の評価に関する。
【背景技術】
【0002】
量子ドットは、大きさが数nmの半導体微結晶である。特許文献1,2は、量子ドットの成長を、RHEEDによってモニタリングすることを開示している。
【0003】
量子ドットは、新規な光デバイスへの応用が進められている。量子ドットの発光波長又は吸光波長は、主に量子ドットのサイズに依存して決まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-529877号公報
【文献】特開2015-179832号公報
【発明の概要】
【0005】
通常、光デバイスに利用される量子ドットは、キャリアに対するエネルギー障壁を形成するためにキャップ層を量子ドット上に成長して結晶基板内に埋め込まれる。ところが、キャップ層を成長する際に、熱拡散やキャップ層の原子との相互拡散によって量子ドット内の原子が拡散し、量子ドットの構造変化やサイズの減少が起きる。量子ドットのサイズ変化は、量子ドットのバンドギャップエネルギーを変化させ、量子ドットの発光波長又は吸光波長が変わるため、光デバイス応用には、埋め込まれた量子ドットのサイズの把握が重要である。
【0006】
しかし、キャップ層に埋め込まれた量子ドットのサイズ計測は容易ではない。例えば、キャップ層によって埋め込まれた量子ドットを含む基板を、成長後に薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)にて断面構造を観察する必要がある。
【0007】
したがって、キャップ層成長時に量子ドットのサイズが変化する場合のように、3次元量子構造の形態が変化する際に、変化した3次元量子構造の評価がその場で容易に行えることが望まれる。
【0008】
本開示における一の側面は3次元量子構造の評価方法である。前記評価方法は、3次元量子構造の形態が変化する状況において前記3次元量子構造に波動性ビームを照射して、前記3次元量子構造による回折強度を測定し、前記回折強度の変化の度合いに関する変化度パラメータを求め、前記変化度パラメータと前記3次元量子構造の形態に依存する値との相関情報に基づいて、前記変化度パラメータから、前記3次元量子構造の形態に依存する値を求めることを含む。本開示の他の側面は、3次元量子構造評価装置である。本開示のさらに他の側面は、コンピュータプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、3次元量子構造評価装置を有する結晶成長装置の構成図である。
【
図2】
図2Aは、3次元量子構造評価装置の構成図であり、
図2Bは、変曲点-波長変換テーブルの構成図である。
【
図4】
図4は、実験で作製したサンプルの構造図である。
【
図5】
図5は、RHEED強度測定の説明図である。
【
図6】
図6Aは、第1実験におけるRHEED強度測定結果を示し、
図6Bは、第1実験におけるRHEED強度変化量を示し、
図6Cは、変曲点とキャップ層成長温度との関係を示す。
【
図7】
図7Aは、第1実験におけるPLスペクトルを示し、
図7Bは、キャップ層成長温度と発光ピークエネルギーとの関係を示し、
図7Cは、変曲点と発光ピークエネルギーとの関係を示す。
【
図8】
図8Aは、第2実験におけるRHEED強度測定結果を示し、
図8Bは、第2実験におけるRHEED強度変化量を示す。
【
図9】
図9Aは、第2実験におけるPLスペクトルを示し、
図9Bは、In組成比Xと発光ピークエネルギーとの関係を示し、
図9Cは、変曲点と発光ピークエネルギーとの関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1.3次元量子構造の評価方法、3次元量子構造評価装置、コンピュータプログラム]
【0011】
(1)実施形態に係る3次元量子構造の評価方法は、3次元量子構造の形態が変化する状況において前記3次元量子構造に波動性ビームを照射して、前記3次元量子構造による回折強度を測定することを含む。3次元量子構造は、例えば、量子ドット又は量子ダッシュである。3次元量子構造は、半導体薄膜の界面に形成された3次元構造であってもよい。3次元構造の界面を有する薄膜は、本出願人によって2017年1月11日に日本特許庁に提出された特願2017-002562に開示されている。
【0012】
3次元量子構造の形態の変化は、例えば、3次元量子構造のサイズの変化又は形状の変化である。3次元量子構造の形態の変化は、3次元量子構造の成長後の別工程において生じることがある。3次元量子構造の形態が変化する状況は、例えば、3次元量子構造上にキャップ層が形成されている状況である。3次元量子構造を持つ量子ドットをキャップ層に埋め込む際には、量子ドット内の原子が熱拡散またはキャップ層内の原子との相互拡散を起こし、量子ドットのサイズが減少する。
【0013】
波動性ビームは、結晶に照射されて回折パターンを示すビームであり、例えば、電子線や中性子線などの物質波、又は、X線や光などの電磁波である。観測対象が3次元量子構造である場合、波動性ビームは、原子レベルの波長を持つのが好ましい。
【0014】
回折強度は、波動性ビームを観測対象に照射し、反射又は散乱する波動性ビームを測定する回折法により得られる。回折法は、例えば、電子線回折法、X線回折法などの電磁波回折法、又は中性子線回折法である。電子線回折法は、反射高速電子線回折法(Reflection High Energy Electron Diffraction : RHEED)であってもよい。電子線回折は、例えば、分子線エピタキシー法など真空中で行われる成長におけるその場(in situ)観察に適している。X線回折法などの電磁波回折法は、例えば、化学蒸着法(Chemical Vapor deposition : CVD)など気相中で行われる成長におけるその場観察に適している。
【0015】
例えば、量子ドットをRHEEDで測定した場合、電子線は、量子ドット表面から数原子層程度の結晶面で反射し、蛍光スクリーンにおいて、回折パターンとして現れる。回折パターンにおいては、3次元構造を有する量子ドット内の結晶面に対応して強度の高い回折点が散点(スポット)状に現れる。この場合、回折強度は、例えば、任意の一つの回折点の蛍光強度として測定される。なお、量子ドット上にキャップ層が形成されている状況を、RHEEDでその場観察すると、キャップ層の成長につれて量子ドットが埋め込まれていくため、回折点の蛍光強度は徐々に低下する。
【0016】
実施形態に係る3次元量子構造の評価方法は、前記回折強度の変化の度合いに関する変化度パラメータを求めることを含むことができる。変化度パラメータは、例えば、回折強度の変化を示す関数における変曲点である。変化度パラメータは、測定された回折強度が、所定の大きさになるまでの時間であってもよい。所定の大きさは、例えば、3次元量子構造の形態が変化する状況の開始時点(例えば、キャップ層の成長開始時点)における回折強度の半分である。所定の大きさは、3次元量子構造の形態が変化する状況の開始時点(例えば、キャップ層の成長開始時点)における回折強度の1/eであってもよい。eは、自然対数の底である。
【0017】
実施形態に係る3次元量子構造の評価方法は、前記変化度パラメータと前記3次元量子構造の形態に依存する値との相関情報に基づいて、前記変化度パラメータから、前記3次元量子構造の形態に依存する値を求めることを含むことができる。
【0018】
本発明者らの実験により、3次元量子構造の形態が変化する状況においてその場観察された回折強度の変化の度合いと、3次元量子構造の形態が変化する状況が終了した後の3次元量子構造の形態に依存する値と、には相関があることが見出された。したがって、その相関を用いることで、変化度パラメータから3次元量子構造の形態に依存する値を定量的に求めることができる。この結果、例えば、キャップ層の成長後の基板薄片の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察しなくても、キャップ層成長後の量子ドットの形態に依存する値を把握することができる。
【0019】
3次元量子構造の形態に依存する値は、量子ドットのサイズのように3次元量子構造の形態を直接的に示す値であってもよいし、量子ドットの発光波長又は吸光波長のように3次元量子構造の形態によって必然的に決まる値であってもよい。なお、一般的に量子ドットのサイズが減少すると、量子ドットのバンドギャップエネルギーが増加し、発光波長又は吸光波長は短波長化する。
【0020】
前記変化度パラメータと前記3次元量子構造の形態に依存する値との相関情報は、例えば、変化度パラメータと3次元量子構造の形態に依存する値(例えば、発光波長又は吸光波長)とが対応付けられたテーブルである。相関情報は、変化度パラメータから3次元量子構造の形態に依存する値を算出するための関数であってもよく、その情報形式は限定されない。
【0021】
(2)3次元量子構造の形態に依存する値は、前記3次元量子構造の発光波長又は吸光波長であるのが好ましい。3次元量子構造が半導体レーザーなどの光学デバイスに利用される場合、3次元量子構造の発光波長などの光学特性を把握することが重要である。
【0022】
(3)前記3次元量子構造は、量子ドットであるのが好ましい。量子ドットは、3次元方向の量子閉じ込め構造を持つ。この量子閉じ込めによる特異な電子物性を利用することで、光学デバイスにおいては、例えばレーザーの温度依存性の大幅な改善、発振閾値電流の低下などが実現する。
【0023】
(4)前記波動性ビームは、電子線であるのが好ましい。電子線は真空中の観察対象に対するその場観察に適する。
【0024】
(5)前記波動性ビームは、電磁波であってもよい。電磁波は大気中の観察対象に対するその場観察に適する。
【0025】
(6)前記変化度パラメータは、前記回折強度の変化を示す関数における変曲点であるのが好ましい。
【0026】
(7)前記関数は、ブリルアン関数又はランジュバン関数であるのが好ましい。ブリルアン関数又はランジュバン関数は、理想的な常磁性体の磁化を求めるのに利用されるが、量子ドットのように原子が整列した結晶構造を有する対象物からの回折強度が、外的擾乱によって原子の整列構造が乱されていくときの時間的変化をフィッティングする際にも適している。3次元量子構造の形態が変化する状況は、3次元量子構造内の結晶の原子の拡散(構造の乱れ)である場合が多いと考えられるため、ブリルアン関数又はランジュバン関数の利用が好適である。
【0027】
(8)前記状況は、前記3次元量子構造上にキャップ層が形成されている状況であるのが好ましい。キャップ層の成長の際には、量子ドットなどの3次元量子構造のサイズが変化するが、実施形態によれば、キャップ層成長後の3次元量子構造の形態に依存する値を求めることができる。
【0028】
(9)実施形態に係る3次元量子構造評価装置は、3次元量子構造に波動性ビームを照射して、前記3次元量子構造による回折強度を測定する測定部を備える。3次元量子構造評価装置は、前記3次元量子構造の形態が変化する状況において測定された回折強度の変化の度合いに関する変化度パラメータを算出する変化度パラメータ算出部を更に備える。3次元量子構造評価装置は、前記変化度パラメータと前記3次元量子構造の形態に依存する値との相関情報に基づいて、前記変化度パラメータを、前記3次元量子構造の形態に依存する値に変換する変換部を更に備える。
【0029】
(10)実施形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに3次元量子構造の評価処理を実行させる。前記評価処理は、前記3次元量子構造の形態が変化する状況において前記三次元量子構造に波動性ビームを照射して測定された前記3次元構造による回折強度の変化の度合いに関する変化度パラメータを算出する処理を含む。前記評価処理は、前記変化度パラメータと前記3次元量子構造の形態に依存する値との相関情報に基づいて、前記変化度パラメータを、前記3次元量子構造の形態に依存する値に変換する処理をさらに含む。
【0030】
(11)前記評価処理は、前記3次元量子構造の形態が変化する状況に関する環境パラメータに基づいて、複数の相関情報から前記変換する処理において用いられる前記相関情報を選択する処理をさらに含む。この場合、環境パラメータに応じて適切な相関情報が選択される。
【0031】
[2. 3次元量子構造評価装置の例]
【0032】
図1は、3次元量子構造評価装置として用いられる観察装置10を示している。観察装置10は、反射高速電子線回折法(RHEED)によって、結晶成長中の結晶表面の状態を、その場で測定することができる。観察装置10は、半導体結晶成長装置20に組み込まれている。結晶成長装置20は、分子線エピキタシー法(Molecular Beam Epitaxy)により結晶を成長させる。結晶成長装置20は、制御装置21を備えている。制御装置20は、結晶の成長温度及び結晶組成などを制御する。
【0033】
観察装置10は、電子銃40、蛍光スクリーン50、カメラ60、及びコンピュータ70を備える。電子銃40は、3次元量子構造30が形成された基板の表面に電子線を照射する。蛍光スクリーン50は、3次元量子構造の表面で反射した電子線が回折パターンとして現れる。回折パターンは、3次元構造30の表面の状態を表す。回折パターンにおいては、量子ドットからの強度の高い回折点が散点状に現れる。
【0034】
回折パターンは、カメラ60によって撮像される。回折パターンを示すデータは、カメラ60からコンピュータ70に与えられる。
【0035】
コンピュータ70は、プロセッサ80及び記憶装置90を備える。記憶装置90は、プロセッサ80によって実行されるコンピュータプログラム91を備える。コンピュータプログラム91は、コンピュータ70に、3次元量子構造の評価処理を実行させるためのプログラムコードを含む。評価処理については後述する。
【0036】
実施形態のコンピュータプログラム91は、コンピュータ70に測定処理81を実行させるためのプログラムコードも含む。実施形態の測定処理81は、結晶成長装置20により量子ドット上にキャップ層を成長させる工程中に行われる。測定処理81において、コンピュータ70は、回折パターンを示すデータをカメラ60から取得し、回折パターン60における任意の一つのスポットの蛍光強度の時間的変化を、回折強度の時間的変化を示す強度変化測定データ92として得る。強度変化測定データ92は、記憶装置90に保存される。
【0037】
キャップ層の成長につれて量子ドットが埋め込まれて回折に寄与しなくなるため、回折強度は、時間経過によって減少する。ただし、回折強度の減少の仕方は、キャップ層成長の環境に依存して変化する。
【0038】
実施形態において、電子銃40、蛍光スクリーン50、カメラ60、及び測定処理81の組み合わせは、3次元量子構造に波動性ビームを照射して回折強度を測定する測定部100を構成する(
図2A参照)。
【0039】
実施形態の評価処理による評価の対象は、キャップ層成長によって形態が変化した量子ドットである。量子ドットをキャップ層に埋め込む際には、量子ドット内の原子が拡散し、量子ドットのサイズが減少する。したがって、キャップ層に埋め込まれた量子ドットのサイズは、量子ドット成長工程で得られた直後の量子ドットの大きさとは異なる。しかし、キャップ層に埋め込まれた量子ドットは、キャップ層によって覆われているため、分子間力顕微鏡などの結晶表面を観察する通常の手法では、そのサイズを測定することができない。量子ドットのサイズが不明であると、量子ドットの発光波長などの光学特性も不明となる。
【0040】
これに対して、実施形態の評価処理では、キャップ層成長中における結晶のその場観察の結果に基づいて、キャップ層成長後の量子ドットの光学特性を定量的に推定することができる。本発明者らは、キャップ層成長中における回折強度の変化の度合いが、キャップ成長後の量子ドットのサイズ又は光学特性と相関していることを見出した。この相関を利用することで、回折強度の変化の度合いから量子ドットの光学特性を推定することができる。
【0041】
実施形態の評価処理は、関数フィッティング処理84を含む。関数フィッティング処理84では、記憶装置90に保存された強度変化測定データ92が関数にフィッティングされる。実施形態においては、フィッティングのための関数として、ランジュバン関数が用いられる。フィッティングのための関数は、ブリルアン関数であってもよい。
【0042】
前述のように、実施形態において、回折強度は、キャップ層成長中の時間経過に伴って減少するが、キャップ層成長当初は、減少の度合いが増加していき、その後、減少の度合いが減少に転じる。このような変化をフィッティングできる関数であれば、ブリルアン関数又はランジュバン関数に限定されるものではない。
【0043】
実施形態の評価処理は、変曲点算出処理(変化度パラメータ算出処理)85を含む。変曲点算出処理85では、強度変化測定データ92にフィッティングされたランジュバン関数の変曲点が変化度パラメータとして算出される。変曲点は、例えば、ランジュバン関数を一階微分して得られた一次導関数のピーク点として算出されてもよいし、ランジュバン関数を二階微分して得られた二次導関数の符号が変化する点として算出されてもよい。回折強度の減少すなわち結晶内の原子配列の乱れの度合いが大きいほど、キャップ層成長開始時点から変曲点が生じるまでの時間は、短くなる。したがって、キャップ層成長開始時点(3次元量子構造の形態が変化する状況の開始時点)から変曲点が生じるまでの時間は、回折強度の減少の度合いを示す。なお、以下では、変曲点の位置を示す値として、キャップ層成長開始時点から変曲点が生じるまでの時間を用いる。
【0044】
実施形態において、変曲点算出処理85を実行するコンピュータ70は、3次元量子構造の形態が変化する状況において測定された回折強度の変化の度合いに関する変化度パラメータを算出する変化度パラメータ算出部200としても機能する(
図2A参照)。
【0045】
実施形態の評価処理は、変曲点-波長変換処理(変化度パラメータを3次元量子構造の形態に依存する値に変換する処理)86を含む。変換処理86では、変曲点と波長の相関情報に基づいて、変曲点が波長に変換される。実施形態において、変曲点と波長の相関情報は、変曲点の位置と波長とが対応付けられた変曲点-波長変換テーブル93として構成されている。変換処理86では、変曲点算出処理85により算出された変曲点に対応する波長を、テーブル93を参照することにより求める。
【0046】
実施形態において、変換処理86を実行するコンピュータ70は、変化度パラメータと3次元量子構造の形態に依存する値との相関情報に基づいて、変化度パラメータを、3次元量子構造の形態に依存する値に変換する変換部300としても機能する(
図2A参照)。
【0047】
実施形態の評価処理は、環境パラメータ設定処理82及びテーブル選択処理(相関情報選択処理)83を含む。環境パラメータ設定処理82では、3次元量子構造の形態が変化する状況に関する環境パラメータが設定される。実施形態において、3次元量子構造の形態が変化する状況はキャップ層成長であるから、環境パラメータは、キャップ層成長環境を示すパラメータである。環境パラメータは、キャップ層成長中における量子ドットのサイズ変化に影響を与えるパラメータであり、例えば、キャップ層の成長温度、キャップ層の原料組成、キャップ層の原料供給速度、キャップ層成長時の雰囲気、量子ドットの組成、キャップ層成長前の量子ドットのサイズ、及び量子ドットが形成される基板の組成の少なくともいずれか一つを含む。
【0048】
コンピュータ70は、環境パラメータを、キャップ層及び量子ドットの成長を制御する制御装置21から取得してもよいし、ユーザ手入力により取得してもよい。取得された環境パラメータは、テーブル選択処理83にて用いられる選択パラメータとして記憶装置90に設定される。
【0049】
図2Bに示すように、実施形態に係るテーブル93は、複数のテーブル93a,93b,93c,・・・,93nを備えることができる。キャップ層成長環境によって、変曲点と波長の相関が異なることがあるため、キャップ層成長環境の種類に応じて、変曲点-波長変換テーブルを用意しておくことで、キャップ層成長環境に応じて適切に波長を求めることができる。例えば、量子ドット及びキャップ層の組成によって、キャップ層成長による量子ドットの変化の仕方は異なるため、量子ドット組成及びキャップ層組成の複数の組み合わせに応じて、複数のテーブル93a,93b,93c,・・・,93nを用意しておくことができる。
【0050】
テーブル選択処理83では、設定処理82にて設定された環境パラメータに基づいて、複数のテーブル93a,93b,93c,・・・,93nから、変換処理86で用いられる一のテーブルを選択する。例えば、選択処理では、環境パラメータとしての量子ドット組成及びキャップ層組成に基づき、量子ドット組成及びキャップ層組成の複数の組み合わせに応じた複数のテーブル93a,93b,93c,・・・,93nから、変換処理86に用いられるテーブルが選択される。なお、選択処理83で用いられる環境パラメータは、量子ドット組成及びキャップ層組成以外のものであってもよい。
【0051】
図3は、評価処理に関連した手順を示している。結晶成長装置20では、ステップS11において基板上に量子ドットが形成される。量子ドットの成長後のステップS12において量子ドット上にキャップ層が形成される。キャップ層の成長中は、成長中のキャップ層表面に電子線を照射するRHEED測定により電子線回折強度が測定される(ステップS21)。
【0052】
また、評価処理では、ステップS31において環境パラメータ設定処理が行われる。続いて、ステップS32において、環境パラメータに基づき、複数のテーブル93a,93b,93c,・・・,93nから、一のテーブルが選択される。
【0053】
さらに、評価処理では、ステップS33において、RHEED強度測定により得られた回折強度の時間的変化を、ランジュバン関数にフィッティングさせる。ステップS34では、フィッティングされたランジュバン関数の変曲点が求められる。ステップS35では、ステップS32で選択されたテーブルを用いて、変曲点から発光波長を求める。ステップS36では、ステップS35で求めた発光波長が出力される。出力は、例えば、ディスプレイへの出力である。これにより、ユーザは、キャップ層に埋め込まれた量子ドットの発光波長を把握することができる。
【0054】
[3.実験]
【0055】
[3.1 実験の概要]
【0056】
以下、実験について説明する。実験によって、3次元量子構造の形態が変化する状況において、その場観察された回折強度の変化の度合いと、3次元量子構造の形態が変化する状況が終了した後の3次元量子構造の形態と、には相関があることが示された。実験は、第1実験及び第2実験を含む。より具体的には、これらの実験により、キャップ層成長中における回折強度の変化の度合いが、キャップ成長後の量子ドットのサイズ又は光学特性と相関していることが示された。
【0057】
実験では、分子線エピタキシー法により、
図4に断面模式図を示すサンプルをGaAs基板上に作製した。サンプル作製においては、GaAs(001)基板上にInAs供給量2.0ML(成長レート0.2ML/s)、基板温度約480℃で、InAs量子ドット(InAs-QD)500を成長させた(
図3のステップS11)。その後、In
XGa
1-XAsキャップ層600を成長させた(
図3のステップS12)。ここで、XはInのGaに対する組成比である。キャップ層600の成長に伴い、量子ドット500内のIn原子が拡散し、量子ドット500のサイズが減少する。
【0058】
キャップ層600の成長過程を、RHEEDにより観察し、キャップ層成長中の回折強度の時間的変化を測定した(
図3のステップS21)。
図5に示すように、回折強度測定は、InAs-QD(004)回折点のスポット強度測定として行った。また、作製されたサンプルの発光スペクトルを室温フォトルミネッセンス(PL)測定により評価した。
【0059】
[3.2 第1実験(キャップ層の成長温度:420℃,450℃,480℃)]
【0060】
第1実験では、キャップ層組成をGaAs(In組成比X=0)とし、キャップ層の成長温度T
capを420℃,450℃,480℃とした3パターンについて、キャップ層成長中の回折強度(InAs-QD(004)回折点のRHEED強度)の時間的変化を測定した。測定結果を、
図6Aに示す。
図6Aにおいて、横軸は、経過時間にGaAsキャップ層の成長レートを乗じて算出した層厚(GaAs thickness)を示し、縦軸は、RHEED強度を示す。RHEED強度は、キャップ層成長前の強度で規格化した。GaAsキャップ層の層厚は、時間経過とともに大きくなるため、
図6Aの横軸はキャップ成長開始からの時間を示す時間軸とみなせる。
【0061】
図6Aにおいて、下向き三角印のプロットはキャップ層の成長温度T
capが420℃である場合の回折強度時間的変化を示し、丸印のプロットはキャップ層の成長温度T
capが450℃である場合の回折強度時間的変化を示し、四角印のプロットはキャップ層の成長温度T
capが480℃である場合の回折強度時間的変化を示す。
図6Aでは、RHEED強度変化それぞれにフィッティングさせたランジュバン関数が実線で示されている。
【0062】
図6Aによれば、キャップ層成長に伴い、RHEED強度が減少することがわかる。また、キャップ層成長温度が高くなるに従い、RHEED強度減衰が速くなる傾向がみられる。量子ドットは秩序的な原子配列を持った固相(結晶)であるが、キャップ層成長時においてはキャップ層の原料原子や量子ドットから拡散した原子が高速に動き回っており、表面は疑似的な液相となっている。つまり、キャップ層成長中においては、キャッピングされた量子ドットの表層の原子の周期性が乱れ、電子線の散乱確率が増加し、測定されるRHEEDの回折強度が低下する。
【0063】
図6Bは、RHEED強度変化の度合いを示している。
図6Bにおいて、横軸は、GaAsキャップ層の層厚(GaAs thickness)を示し、キャップ層成長開始からの時間を示す時間軸とみなされる。
図6Bの縦軸は、
図6Aの横軸の値(層厚)をx、
図6Aの縦軸の値(RHEED強度)をyとした場合における-dy/dxを示している。
【0064】
図6Bにおける各ピーク位置が、
図6Aに示すランジュバン関数の変曲点に対応する。
図6Bによれば、キャップ層成長温度T
capが高いほど、変曲点が早期に生じることがわかる。
【0065】
図6Cは、変曲点とキャップ層成長温度T
capとの関係を示している。
図6Cの横軸は、キャップ層成長温度(キャップ成長時の基板温度:Substrate temperature)を示し、縦軸は、変曲点の位置を示している。変曲点の位置は、変曲点が生じたときのGaAsキャップ層の層厚(GaAs thickness)によって示され、この層厚は、キャップ成長開始時点からの経過時間を示す。
図6C示すように、キャップ成長温度の増加に従い、変曲点が減少しており、温度T
capが高いほど変曲点が早期に生じていることがわかる。このように、変曲点と温度T
capには明らかな相関がみられる。
【0066】
図7Aは、第1実験により作製された3パターンのサンプルそれぞれから得られた室温でのPLスペクトルを示す。
図7Aにおいて、横軸は発光波長(下側)及び光子エネルギー(上側)を示し、縦軸は規格化されたPL強度を示す。
図7Aによれば、キャップ層成長温度T
capの増加に伴い、発光ピークエネルギーが増加し、波長が短くなっていることがわかる。
図7Bは、
図7Aに示した結果を、キャップ層成長温度T
capと発光ピークエネルギーとの関係として表したものである。
図7Bより、キャップ層成長温度T
capと発光ピークエネルギーとには相関があることがわかる。
【0067】
波長及び発光ピークエネルギーの変化は量子サイズ効果によるものであると考えられるため、温度Tcapの増加に伴い、量子ドットのサイズが減少していることがわかる。量子ドットのサイズ減少は、キャップ層成長時に、量子ドット500内のIn原子が拡散するためであり、温度Tcapが高いほど、In原子の拡散が促進され、量子ドットのサイズ減少がより進んだためであると考えられる。
【0068】
図7Cは、変曲点(Inflection point)と発光ピークエネルギー(PL Peak Energy)との関係を示している。
図7Cによれば、変曲点の増加に伴い、発光ピークエネルギーが減少していることがわかる。つまり、変曲点が遅れて生じるほど、波長は長くなる。逆に、変曲点が早期に生じるほど、波長は短くなる。このように、変曲点は、量子ドットの発光波長又は吸光波長と相関があり、変曲点は、量子ドットのサイズを反映したパラメータであることがわかる。
【0069】
ここで、変曲点が早期に生じるということは、
図6Aに示すRHEED強度減衰の度合いが大きいということである。強度減衰の度合いが大きいことは、電子線の散乱確率が増大しやすいことを示している。電子線の散乱確率の増大は、量子ドット表面の原子の拡散(メルティング)が促進されていることを示していると考えられる。メルティングが促進されると量子ドット内のIn原子の拡散も促進され、量子ドットサイズが減少する。したがって、キャップ層成長中のRHEED強度(回折強度)の変化の度合いが、キャップ層成長後の量子ドットサイズを示していると考えられる。
【0070】
実験では、RHEED強度変化の度合いを変曲点で表したが、強度変化の度合いは、測定された強度が所定の大きさになるまでの時間など、他のパラメータで示されてもよい。また、実験は、量子ドットのサイズ変化が生じる状況として、キャップ層成長を対象としたが、キャップ層成長に限られない。キャップ層成長時に限られず、量子ドットなどの3次元量子構造の形態が変化する場合には、3次元量子構造の表層の原子配列の周期性が乱れランダムになる。RHEED強度の変化の度合いは、周期的秩序を持った結晶から無秩序な表面構造への推移のし易さを示していると考えられることから、3次元量子構造の形態が変化する状況における回折強度の変化によって、変化後の3次元量子構造の形態に依存する値を推定することができる。
【0071】
[3.3 第2実験(キャップ層種)]
【0072】
第2実験では、キャップ層組成In
XGa
1-XAsにおけるXを様々に変化させてサンプルを作製した。第2実験では、X=0,0.1,0.2,0.25,0.3の5パターンについて、キャップ層成長中の回折強度(InAs-QD(004)回折点のRHEED強度)の時間的変化を測定した。測定結果を、
図8Aに示す。
図8Aの縦軸と横軸は、
図6Aと同様である。
【0073】
図8Bは、RHEED強度変化の度合いを示している。
図8Bの縦軸と横軸は、
図6Bと同様である。
図8B中には、変曲点とIn組成比Xとの関係も示されている。
【0074】
図8Aによれば、In組成比Xが大きくなるほど、RHEED強度減衰が遅くなる傾向がみられる。つまり、In組成比Xが大きくなると、変曲点が増加し、In組成比Xが遅くなるほど、変曲点が遅く生じることがわかる。このように、変曲点とIn組成比Xには明らかな相関がみられる。
【0075】
図9Aは、第2実験により作製された5パターンのサンプルそれぞれから得られた室温PLスペクトルを示す。
図9Aの縦軸と横軸は、
図7Aと同様である。
図9Aによれば、In組成比Xの減少に伴い、発光ピークエネルギーが増加し、波長が短くなっていることがわかる。
図9Bは、
図9Aに示した結果を、In組成比Xと発光ピークエネルギーとの関係として表したものである。
図7Bより、In組成比Xと発光ピークエネルギーとには相関があることがわかる。
【0076】
図9Cは、変曲点(Inflection point)と発光ピークエネルギー(PL Peak Energy)との関係を示している。
図9Cによれば、
図7Cと同様に、変曲点の増加に伴い、発光ピークエネルギーが減少していることがわかる。このように、In組成比Xを変えた場合も、変曲点と発光ピークエネルギーに相関があることがわかる。
【0077】
したがって、キャップ層の組成が量子ドットの組成と近いほど(キャップ層のIn組成比Xが大きいほど)は、量子ドットのサイズが大きくなり、波長が長くなる。このように、キャップ層の組成と量子ドットの組成との関係も、量子ドットサイズの変化に影響する。
【0078】
第2実験では、In組成比Xを小さくするほど、RHEED強度減衰の度合いが大きく、変曲点が早期に生じた。強度減衰の度合いが大きいことは、電子線の散乱確率が増大しやすいことを示している。In組成比Xが小さくなって、量子ドットとキャップ層の組成の違いが大きくなるほど、量子ドット表面のメルティングが促進され、電子線の散乱確率が増大していると考えられる。
【0079】
以上のように、量子ドットなどの3次元量子構造の形態が変化する場合には、3次元量子構造の表層の原子配列の周期性が乱れランダムになる。RHEED強度の変化の度合いは、無秩序な表面構造への推移のし易さを示していると考えられることから、3次元量子構造の形態が変化する状況における回折強度の変化によって、変化後の3次元量子構造の形態に依存する値を推定することができる。
【0080】
[4.変形]
【0081】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 3次元量子構造評価装置
20 結晶成長装置
30 3次元量子構造
40 電子銃
50 蛍光スクリーン
60 カメラ
70 コンピュータ
80 プロセッサ
81 測定処理
82 環境パラメータ設定処理
83 テーブル選択処理(相関情報選択処理)
84 関数フィッティング処理
85 変曲点算出処理(変化度パラメータ算出処理)
86 変曲点-波長変換処理(変化度パラメータを3次元量子構造の形態に依存する値に変換する処理)
90 記憶装置
91 コンピュータプログラム
92 強度変化測定データ
93 変曲点-波長変換テーブル(相関情報)
93a 第1テーブル(第1相関情報)
93b 第2テーブル(第2相関情報)
93c 第3テーブル(第3相関情報)
93n 第nテーブル(第n相関情報)
100 測定部
200 変化度パラメータ算出部
300 変換部